2019年12月18日水曜日

菅官房長官と記者の質疑応答 目立つ“的外れ”質問や印象操作…内容より答弁姿勢ばかり批判―【私の論評】破綻した社会を生み出そうとするマスコミ自体が最早「反社会勢力」なのではないか?


臨時閣議後、会見で記者団の質問に答える菅義偉官房長官=13日午後、首相官邸

 菅義偉官房長官の記者会見をめぐり、一部のマスコミでは「桜を見る会問題で連日苦しい答弁をしている」などと報じられている。今回はこれを検証してみよう。

 一つは、菅氏が「桜を見る会」の招待者名簿のバックアップデータを行政文書ではないので国会に提出しなかったことについての質疑だ。

 菅氏は「国会議員からの資料要求については、その対象が行政文書であること」と答えたが、これに対し記者から「これは何に基づいて、前提としているのか」という質問があった。菅氏の答えは同じだったのでマスコミは答えられなかったと報じた。この記者は、行政文書のみならず公文書であれば国会議員からの要求に応えるべきと言いたかったらしい。

 行政文書の定義は公文書管理法で定められている。(1)行政機関の職員が職務上作成したもので、(2)当該行政機関の職員が組織的に用いるものだ。(1)が公文書で、(2)の作成者以外の役人も存在を知っているものを行政文書というわけだ。

 形式的には、記者が想定する通り公文書と行政文書は違うが、行政文書でない公文書は、個人メモなど理論的には存在するが、実際の実務ではまず目にしない。というのは、作成者以外が存在を知らないからだ。というわけで、それを国会議員から要求されても対応しようがない。この意味で、菅氏の対応が正しく、記者の質問が的外れだった。

 ほかの記事では、政府が「反社会的勢力の定義が困難だ」と質問主意書に答弁したことを批判していた。それは、かつて安倍晋三政権で反社会的勢力の定義をしていたのに、都合が悪くなると定義が困難といい出したと言わんばかりだった。

 筆者は原資料を見たが、反社会的勢力を見るときの着目点が書かれたもので、とても定義といえるものでなかった。筆者の役人時代の感覚からいえば、定義なら本文に書くが、これは脚注に書かれた説明だ。

 もともと、定義の方法によっては人権侵害になるようなもので、定義は難しい。反社会的勢力の典型例である暴力団についても明確な定義は困難なので、法規制は暴力団の中で具体的に指定して明確性を確保しているくらいだ。

 なお、原資料は公開済みなのに、マスコミが引用するときには一部のみを出して周囲は黒くボカすなど印象操作的なことをしているのも不思議だ。

 マスコミは、菅氏の答弁内容に対しまともな批判をしていない。システムに関する記者会見では、答弁の時に、事務方からメモが差し入れられた回数に関する記事もあったが、本質的なことではない。記者も自社のシステムについて知っている人は少ないだろう。質問している記者の方の無理解もあるから、慎重を期して答えているだけだろう。そもそもシステムに関する記者会見は、官房長官より専門家が行うべきだ。

 マスコミが、答弁内容ではなく答弁スタイルを批判的に書くときは、内容で批判できないので、揚げ足取りや印象操作をしたいときではないのか。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)


【私の論評】破綻した社会を生み出そうとするマスコミ自体が最早「反社会勢力」なのではないか?

最近でも、マスコミの不祥事はあとを絶ちません。以下に事例をあげます。

世耕氏


世耕氏「印象操作だ」 テレ朝は直接おわび 「批判」と「謝罪」への違和感
毎日新聞 2019年12月12日
https://mainichi.jp/articles/20191212/k00/00m/040/252000c
この記事は、先日世耕議員がテレビ朝日の報道に対してクレームを入れ、その件でテレビ朝日側が謝罪をした件について、「両者ともに過剰な対応をしている」と批判している記事です。

この件なのですが発端は以下の通りです。

世耕弘成 Hiroshige SEKO
@SekoHiroshige
https://twitter.com/SekoHiroshige/status/1204418540297576449
世耕氏が定例記者会見において、「定例会見が今年最後になるかもしれない」というやり取りの流れで「よいお年を」と発言したところ、それを編集で切り貼りし桜を見る会の問題でのやり取り取とつなぎ合わせ、あたかも問題を年越しさせ時間稼ぎをしようとしているかのように編集していたという事例です。

当たり前のことですが、そもそもそんな印象操作をする方が悪く、印象操作をされた方は抗議をして当たり前であり、毎日の主張は冤罪に対しての自己弁護を否定しているのと同じです。

しかし記事では、問題のやり取り自体を「自民党参院幹事長の発言の取り上げ方について触れ」と大幅に省略しており、「何が問題にされたのか」がわからなくなっています。

次に、朝日の事例をあげます。

千円札に気づかされたアジア人の葛藤論座/朝日新聞 2019年12月15日
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019121100013.html
非常に長い記事ですので、詳細は当該記事をご覧いただくものとして、一部分のみを抜粋します。記事では徴用工裁判に関連して「日本が韓国の三権分立を否定したり、攻撃的で嘲(あざけ)るような言葉を投げたりしたことは、過去にもなかったのではないか。」と書かれています。

そもそもこの裁判には大きく分けて以下の3つの問題点があります。

1:日韓国交正常化交渉の中の都合の悪い内容をなかったことにしている 
2:交渉にあたった韓国側当事者が「証拠としての価値がない」としている金額を根拠にしている 
3:国際学術会議において、「日韓併合は合法である」という結論が出されている事を無視している
このような、朝日の『論座』の記事は、根本的な部分を無視しています。つまり、「なぜ裁判が問題視されるのか」という最も肝心な部分を伝えず、「韓国の三権分立を否定している」と印象操作しているわけです。

この2つの事例では、どちらも問題において本来必要となる判断材料を欠いており、都合の悪い情報を排し、特定の結論へと誘導しているわけです。
マスコミのこの機能不全ともみられる、異常さはどこからでてくるのでしょうか。それは、このブログにも経営学の大家ドラッカー氏の考えを参照して何度かのべてきたことです。

多くのリベラル・左派、左翼のマスコミや識者は「政権や権力と戦うのが使命」であり、その使命を貫徹するためには安倍総理に対する個人攻撃をすることも当然と思っているようです。

ここが間違いの原点であると思います。
決定においては何が正しいかを考えなければならない。やがては妥協が必要になるからこそ、最初から誰が正しいか、何が受け入れられやすいかという観点からスタートしてはならない。(『経営者の条件』)
頭のよい人、しかも責任感のある人は、せっかくの意思決定も実行されなければ意味がないと思う。そのため、最初から落としどころとしての妥協を考えます。

GMのCEOアルフレッド・スローンは、当時無名の政治学者だったドラッカーに対し、GM研究の報告書には何を書いてもよい、ただし妥協は書いてほしくないと釘を刺しました。

妥協には2つの種類があります。1つは古い諺の「半切れのパンでも、ないよりはまし」、1つはソロモンの裁きの「半分の赤ん坊は、いないより悪い」との認識に基づきます。前者では半分は必要条件を満足させます。パンの目的は食用であり、半切れのパンは食用とななります。半分の赤ん坊では妥協にもならないです。

ドラッカーは、何が受け入れられやすいか、何が反対を招くから触れるべきでないかを心配することは無益であって、時間の無駄だと言います。心配したことは起こらず、予想しなかった困難や反対が突然ほとんど対処しがたい障害となって現れるます。

何が受け入れられやすいかからスタートしても得るところはない。それどころか、妥協の過程において大切なことを犠牲にし、正しい答えはもちろん、成果に結びつく可能性のある答を得る望みさえ失う。(『経営者の条件』)
以上のドラッカーの意思決定に関する原理・原則は、マスコミの機能不全とはあまり関係なくも見えるのですが、実はマスコミという組織の機能不全の原因を探るため、大きなヒントがあります。 

私は、菅官房長官に質問する記者に限らず、大手マスコミではある種の不文律があるのだと思います。それは、「権力・政権と戦うこと」そうして「その戦いには必ず勝つべきこと」というような不文律、もしくはこのような言葉に出さなくても、日々大手マスコミの経営者や幹部などから、これに類することが社員等に向けて発信されているのではないでしょうか。

そうして、このようにすることの意思決定は、まともな議論を経てされたものではなく、「当然のこと」「やらなければならないから」ということで、何の吟味もされていないのではないでしょうか。

そうして、大手マスコミのほとんどでは、「最初から誰が正しいか、何が受け入れられやすいかという観点からスタート」して、中間管理職や現場の意思決定が行われているのではないでしょうか。

要するに、会社の幹部の言うことは、正しく、幹部に受け入れられやすい自分たちの行動は何かという観点から、日々の意思決定が行われているのでしょう。

そのためとにかく「倒閣」に結びつけば何でもよく、後先を全く考えないで行動するので、「桜を見る会」などて延々と時間をついやして何も得られないのだと思います。

そもそも、彼らの「権力・政権と戦うこと」が自分たちの使命であると思い込むことが大きな間違いです。

それに、権力者は全て腐敗しているような先入観を持っていては、統治という営み、政治という営みが不可能になります。いずれの世にも権力者は存在するからです。権力者が全く存在しないという社会はアナーキーな世界そのものです。ホッブズが「自然状態」として描いた社会といえばよいでしょうか。その実体が破綻した社会であることを知れば、そんな世界に住みたいという人はいないはずです。


ホップスの著作「リバイアサン」の表紙

マスコミは、このような誤った意思決定にもとづき、様々な行動をするため、仕事においていずれ必ずしなければならなくなる妥協においても誤り続け、衰退し続けているのでしょう。

妥協とは、ドラッカーも語っているように、半分のパンであるべきであって、半分の赤ん坊では、何の用も足さないのです。いつも半分の赤ん坊を得るような妥協を続ければ、衰退するのは当然のことです。

いまのまま「権力・政権と戦うこと」を使命にし続ければ、大手マスコミ自体が、多くの国民から「反社会勢力」とみなされることになってしまうでしょう。

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2019年12月17日火曜日

「日本は貧乏」説に「でも日本は住みやすいし楽しいから充分」と反論するのはもうやめないとオレら後進国まっしぐらだぞ―【私の論評】最も恐ろしいのは日本のニセコ化(゚д゚)!

「日本は貧乏」説に「でも日本は住みやすいし楽しいから充分」と反論するのはもうやめないとオレら後進国まっしぐらだぞ


中川 淳一郎


日経新聞の「 『年収1400万円は低所得』人材流出、高まるリスク 安いニッポン(下)」という記事が登場し、12月16日の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)で、OECD加盟国で日本だけが成長しておらず、サンフランシスコでは1400万円でも「低所得」扱い、という話をしていました。日本の家庭あたりの所得は500万円、とも説明していました。

厚労省によると給与は男性441万円、女性249万円。外国人が日本のダイソーで爆買いするのは、日本の方が安いからだそうです。これは嘆くべき話です。しかし、これに対してネットでは反発する人も一部います。それは以下のような論に表れています。

【1】日本で十分に楽しく生活できているんだからいいじゃないか
【2】お前達は家賃60万円、ランチに3000円かかるサンフランシスコに住みたいか?
【3】それでもGDP世界3位だろ
【4】こんなに安全な国はない
【5】税金・医療費も安いし、物価も安くて最高じゃないか


【3】については「お前達は何位になるまでそれを良しとするのだ」という危機感を持つべきだし、OECD加盟国の中ではアメリカ・メキシコに次ぐ人口3位。一応「先進国」扱いの中で人口が多いんだからGDP3位というのも驚くべき話ではない。問題は「一人当たりの生産性」についてなのです。

ここではまず【2】から考えるべきです。東京では1人暮らしで満足できる家だと家賃12万円、ランチが800円~1000円でしょう。地方では家賃6万円~8万円、ランチは700~900円とでもしましょうか。「家賃60万円、ランチ3000円のサンフランシスコなんて最悪だろ?」という発想ですが、それは「下から上を見ている」ことに他なりません。サンフランシスコの人間が、東京事務所に駐在して、サンフランシスコと同様の賃金を貰えるとしたら、松濤のマンションやら高級タワマンを借りる「上級国民」になるわけです。


米国で最も家賃の高いサンフランシスコの家賃

普段、日本人のあまりカネ持っていない人々としか付き合っていないから、【2】のような発想になるんですよ。「彼らはこちらに余裕で来られるけど、オレらはサンフランシスコに行けない。それは悔しい」という発想になった方がいいんですよ。最低でも彼らは「世界のどこでも生きられる」という選択肢を持っている。

国の強さを表すのは通貨の価値ですが、私は1996年、1ドル=79円の時、アメリカ旅行をしました。いやはや、円の強さ、感じましたよ。だって学生街でまともな外食をしたら4ドルとか5ドルなわけで、すると320円~400円で腹いっぱいになるんですから。吉野家の牛丼が400円の時代ですから、アメリカの方が満足度は高かったです。ホテルに泊まろうにも60ドルのまともな部屋だったら4800円です。

こうした経験を経た上で2016年にイタリアに行ったら、ビール2本とパスタで4000円!ランチが4000円ですよ! しかし、周囲のイタリア人を含めた白人や中国人は平然とこれらを食べている。円の力が落ちたことと、日本国内の給与水準の低さを痛感し、「もうヨーロッパには来ない。惨めな気持ちになるだけ」と感じてしまいました。

【1】と【4】についてはセットで考えるべきですが、というかこれ、【2】と【3】も全部考え方としては同じだな。えぇい、すべてまとめてしまえ。【5】は詳しくないので述べない。

◆すべて、「日本買いがしやすくなる」ということに落ち着くのだ

この言葉がすべてです。バブル時代、日本が世界中でブランド品を買い漁ったり、企業の買収を仕掛けまくった時期がありました。あれは日本のあの時の富をもってすれば物価が安い国のものをいくらでも買えた、ということなんですよ。日本の若者も1990年代は東南アジア諸国で「安い安い!」と言いながら現地の人々を見下しながら若干お大尽プレイのようなことをしていました。

今、中国人や欧米の観光客、いや、タイ人だって日本で買い物を満喫しています。小売店で買う分にはいいですが、これがマンションの投機(これはもう充分中国人によって進んでいる)に始まり、土地、水源、企業の買収続出に繋がったらどうするか? 外国からやってきた金持ちに使い倒されるかつてのプランテーションの如き状況になってしまうのかもしれません。

恐らく「日本すごい!」でこの50年ほど来ていたけど、それはもう1995年ぐらいでやめるべき話だったんですよ。バブル崩壊から就職氷河期がやってきて、デフレは改善せず、値上げをすると企業にクレームが寄せられる。安物には大行列ができる惨めな光景がそこかしこで展開される。

多分、今我々は「海外から投機の対象になりうる後進国入りまっしぐら」であることを自覚し、値上げに耐えることをまずは、金持ちはカネをガンガン使い、あとは新たなる成長のエンジンを作ることに邁進する必要があるのではないでしょうか。そのためには基礎研究にカネをつぎ込む必要がある。2位じゃダメなんだよ!

多分、その際にネックになるのが英語力なので、文科省、そこなんとかしろよ。

スウェーデンの環境活動家のグレタさんにカッカしてる大人も多かったけど、あれ、16歳であそこまで英語うまいのに対して劣等感抱いた人も多いんじゃないの? 結局、日本企業が海外に進出しまくったり、海外の金持ちからカネを誰もがふんだくるようにできるには、英語力が必要。そして英語力がないことについても上記【1】のように「だって日本にいればすべて大丈夫だもーん」「日本は、英語ができなくても大丈夫なほど大きなマーケットがあるから問題ナシ」的に開き直り、低い給料に甘んじる。

それでいてソフトバンクが牛丼1杯無料になる企画をすれば道が渋滞するほどの車列を作り、無料の牛丼に群がる。こいつら、若いくせにマインドだけはバブル期の「日本すげー」的なんだよな。危機感ってもんは持った方がいいに決まっている。「取りあえず快適だから」でい続けても成長しないぞ。


【私の論評】最も恐ろしいのは日本のニセコ化(゚д゚)!

冒頭の記事をご覧になって皆さんは、どう思われたでしょうか。この記事は、現象面に関しては、確かに非常に良く描写されていて、説得力があります。

しかし、日本がどうしてこのような状態になったのか、さらに日本がどうすればこのような状況から脱出できるのかという点については、この記事を書いた人(以下記者と呼称)は、的外れか、誤った認識をしています。

最大の過ちは、「日本人が英語ができると、日本企業が海外に進出しまくったり、海外の金持ちからカネを誰もがふんだくるようにできる」としていることです。

この方は、対外純資産(ひらたくいうと、日本が外国に貸し付けているお金)が世界一の国はどこなのか知らないようです。

財務省は今年の5月24日、日本の企業や政府、個人が海外に持つ資産から負債を差し引いた対外純資産残高が2018年末時点で341兆5560億円になったと発表しました。17年末と比べ12兆2540億円(3.7%)増えました。2年ぶりの増加で、過去2番目の純資産規模になりました。対外資産負債を公表している国で比べると、日本は28年連続で世界最大の純債権国となりました。

今回の対外純資産残高の増加は、対外負債残高が17年末比7兆5800億円(1.1%)減の676兆4820億円となったことが寄与しました。1年前に比べ減ったのは9年ぶりです。海外投資家が保有する日本企業の株価が下落し、日本にとっての対外負債は減少しました。

対外資産残高は、17年末比4兆6740億円(0.5%)増の1018兆380億円となりました。7年連続で過去最大を更新しました。海外の証券投資による資産残高は減少しましたが、対外直接投資の資産残高が拡大して全体を押し上げました。


日本が世界に貸し付けている資産は、世界一ということです。これはバブル期よりもさらに大きくなっています。ということは、記者の人がいう言葉のままにいえば、日本人は英語ができるかできないかは、別にして、「海外に進出しまくったり、海外の金持ちからカネを誰もがふんだくるようにしている」ということです。それも、世界一これを実行しているということです。

ただし、海外純資産が大きければ、大きいほど良いことなのかといえば、そうとも言い切れないです。日本でいえば、日本ではあまりに長い間デフレが続いたので、国内に投資先等が乏しいので、海外に投資したり、進出したという面は否めません。

もし、日本がデフレでなければ、海外純資産がこれほど大きくはならなかったかもしれません。

記者の方も、「バブル崩壊から就職氷河期がやってきて、デフレは改善せず、値上げをすると企業にクレームが寄せられる。安物には大行列ができる惨めな光景がそこかしこで展開される」と、一応。日本がどうして今のような状況になったのか述べています。

しかし、これも現象面を説明しているに過ぎません。この現象はなぜ起きたかといえば、それは、財務省と日銀が政策を間違い続けたということです。財務省は、増税など緊縮政策ばかりとっていました。

日銀は、金融緩和すべきところを金融引き締めばかりやっていました。金融を大幅に緩めたのは、平成13年4月から、日銀がイールドカーブコントロールを採用する2016年9月までのほんのわずかの期間でした。これを採用してからの、日銀の金融緩和は十分ではありません。

特に財務省は、酷い財政政策の間違いを繰り返してきました。以下に「消費税の導入と増税の歴史」ならびに、一般会計税収の推移のグラフを掲載します。


平成元年は、西暦では1989年ですから、1989年から現在までに、4回消費税を増税しています。ご存知のように米国ではトランプ政権が減税を行っています。

このような短期間に、消費税増税を4回も行った国はどこにもありません。これは、日本と他国の大きな違いです。

税収に関しては、消費税増税をしてから現在まで、昨年も90年度なみの税収でした。19年には予算では若干上回るようですが、しかし、本当にそうなるかは未定です。

私は、増税したので、19年には90年よりは少し増えるかもしれませんが、20年にはまた過去のように下がるのではないかと危惧しています。

このグラブをみてもおわかりになるように、消費税増税政策は完璧に間違いだったということです。

では、なぜそうなったかといえば、消費税増税によって、個人消費が減退したためです。何しろ、日本のGDPの約60%は個人消費であり、その消費が減ったので、経済成長せず、その結果として税収も増えなかったのです。

さらにこれに輪をかけて、日銀が、金融引き締め政策をとってきたことが、これに拍車をかけ、日本はデフレが進行し、なかなか脱却できない状況に至ったのてす。

さらには、物価も賃金も上がらずじまいでした。このように長期間デフレを続けた国は世界でも、日本だけです。だからこそ、経済が成長せず、物価も、賃金も上がらなかったのです。

これが、上の記事の作者が鮮やかに描いている日本の厳しい現象が起こった、原因です。他にも原因は多少はありますが、90%以上はこれが原因です。

そのため、この現象を改善するためには、多くの日本人が英語ができるようになっても、金持ちがカネをガンガン使い、あとは新たなる成長のエンジンを作ることに邁進したとしても、根本原因を除去しなければ、何も変わりません。

特に、金持ちがガンガン金を使ったにしても、金持ちの実数はさほど多くはありません。ある程度のお金を使ってしまえば、後は打ち止めでしょう。大金持ちでも、普通の人でも生活していく上での基本的な支出には、天と地ほどの差があるわけではありません。そんなことよりも、多数の日本人が毎年消費を数十万くらいでも多くしたほうが、はるかに経済には効果があります。

こちらは、札幌ですが、札幌の近くにニセコスキーリゾートがあることは、皆さんご存知だと思います。そのニセコがまさにとんでもない状況になっています。

まるで外国のようなニセコの現在の町並み

昨年3月月末、国土交通省から発表された公示地価では、地元の倶知安町の住宅地の公示地価は前年比33.3%と3年連続全国トップ。しかもトップ3をニセコ地区が独占しました。さらに、商業地でも35.6%と全国トップとなり、まさにニセコが日本全国を圧倒しています。

ニセコ町の人口は2016年6月の時点で4901人。国勢調査の結果からみると、1975年以来の高水準となっており、まるで高度成長期並みだといいます。また、隣接する倶知安町では、冬季は特に、スキーリゾートに従事する関係者やインストラクターが多く移住するため、外国人の移住者がますます増加し、2015年には過去最高の809人となりました。

通年通しての移住者も多く、2016年10月6日現在457人、世帯数にして336世帯、これは倶知安町全世帯数7838世帯の約4.3%を占めます。全国都道府県の外国人移住者割合1位の東京都2.4%を上回る数字になっています。また、ニセコ町に関しては3.5%ではあるものの5000人に満たない小さな町でこの割合は異例な人口数だといえます。

こうなれば、少なくとも不動産開発の分野では、日本のデベロッパーや金融機関が荒稼ぎしているのだろうと思いきや、そうではありません。

私が調べた限り、ニセコでの海外富裕層向けを中心としたコンドミニアムや別荘への不動産投資ニーズに、国内の不動産業者・銀行は、ほとんど応えられていないのです。海外不動産業者やプライベートバンクと海外富裕層との間には、独自のネットワークが形成され、日系企業が入り込む余地がほとんどない状態であるというのです。

それどころか、観光客のほとんどが外国人なので、現地で雇用も最近ではほとんどが外国人になりつつあるそうです。

ニセコは、まさに「外国人の、外国人による、外国人のためのリゾート」と化していると言って良いです。地元ニセコ町の分析でも、民間消費や観光業の生産額のほとんどが、町外に流出超過だとされています。観光客や投資の増加は、もはや地域の収入には十分つながっていないというわけです。

まるでオーストラリアの租界になってしまったかのようなニセコ・比羅夫交番

どうして、このようなことになってしまったかといえば、やはり日本ではあまりに長い間デフレが続き、苗場や越後湯沢などのかつてのスキーリゾートでも、バブル期に建てられた、リゾートマンション等が二束三文で売られているというような状況になっているからでしょう。

確かに、今は良いように見えても、国際情勢の変化などで、外国人客がいなくなるという状況も想定できます。そんなことを考えれば、日本のデベロッパーや金融機関が二の足を踏むのも理解できます。私自身も、20年前くらいから、ニセコが今日のような状況になるのは、はっきりとわかっていましたが、それにしても投資をするかといえば、そのような気分にはとてもなれませんでした。

それにニセコの海外ペロッパーは、規模も大きく、世界各地に拠点を持っており、ニセコが一時的にだめになったとしても十分持ちこたえることができます。大手海外デペロッパーはそのようなリスクヘッジもした上でニセコに参入しているのでしょう。

一方日本のデペロッパーなどは、規模も小さく、バブル崩壊とその後のデフレで疲弊した上に過去に多くのスキーリゾートで失敗した経験を直接・間接に持っているので、ニセコ単独開発などできないし、かといって、海外での目ぼしい開発はほとんど終わっている現在では、海外にも進出できず、どうしても二の足を踏んでしまうのでしょう。

私が最大の危惧の念を抱くのは、日本がニセコ化してしまうことです。日本は、先にも述べたように対外純資産が28年連続世界一という大きな潜在能力を持っていながら、ニセコのようになってしまい、ブログ冒頭の記者がいうように、「日本買いがしやすくなる」ということにおちつき、リゾート産業だけではなくありとあらゆる産業が外国資本にとられることになることです。

そうなったときには、日本人はニセコ町や隣の倶知安町の住民のように隅に追いやられ、まともな企業には勤めることもできず、アウトローのような生活しかできなくなっているかもしれません。

本来、ニセコにも、多くの日本人富裕層も押し寄せていれば、あのようなことにはならなかったはずです。ニセコに訪れるスキーヤーの少なくとも4割から、6割が日本人が占めていて、後の残りが様々に国々から来た外国人が占めているという状況なら、ニセコも健全な状態を保つことができたかもしれません。

日本では、アウトバンド消費をもてはやす風潮がありますが、私はニセコの惨状をみていると、そのような気持ちにはとてもなれません。

そうして、現状の日本を改善するためには、もうおわかりでしょうが、愚かな、財務官僚や、日銀官僚のバカ真似を一刻もはやくやめさせることです。それなしに、日本の復興はあり得ません。

いまのままだと、愚かな財務・日銀官僚が日本がニセコ化した後もなお、増税・金融引き締めを行い、外国の日本買いを促進した見返りに、喜び勇んで外国資本の企業に天下りすることになるかもしれません。

そこでは、日本の企業とは桁違いの年俸がもらえることになるかもしれません。無論すぐにそのような状況になるわけてはないでしょうが、今のまま20年、30年と時を経れば、そうなってもおかしくはありません。

日本の復興は目に見える現象面でいえば、ニセコスキーリゾートの訪問者の半分くらかいが日本人になるということです。その時には、かつての苗場や越後湯沢などのスキーリゾートにもお客が戻ってきて、二束三文で売られていたリゾートマンションがまたどんどん値上がりしているでしょう。

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2019年12月16日月曜日

米中貿易「第1段階合意」が中国の完敗である理由―【私の論評】米国の一方的な完勝、中共は米国の要求に応ずることができず、やがて破滅する(゚д゚)!

米中貿易「第1段階合意」が中国の完敗である理由
石平 中国深層ニュース

       13日に北京で会見する財政相副大臣の廖岷。重要な会見の
       はずなのに出席者はいずれも副大臣級ばかりだった
<先週末の深夜、突然発表された米中貿易協議「第1段階」合意のニュースは世界を驚かせた。どちらがより多くを勝ち取ったのか公式発表では曖昧なままだったが、これまでの経緯と合意項目を注意深く読み解けば、中国にとっての「不平等条約」であることは明白だ>

今月13日に発表された米中貿易協議「第1段階」合意は、中国側による全面的な譲歩の結果である。そのことは、合意に関する中国側の声明文からは簡単に読み取ることができる。

13日深夜に発表された中国側の公式声明によると、米中間の合意項目は(1)知的財産権(2)技術移転(3)食品と農産物(4)金融サービス(5)為替とその透明度(6)貿易拡大(7)双方による査定・評価と紛争処理の7項目に及ぶという。

7項目合意の具体的内容について中国側の声明は直接に触れていない。しかし、今までの米中貿易協議の経過と内容からすれば、この7項目合意の内容は概ね推察することができよう。要するに、7項目合意の内容は全て、中国側がアメリカ側からの要求を飲んでアメリカ側に譲歩した結果である。


7つの項目を1つ1つ分析すると......

まずは(1)の知的財産権。今までの貿易協議において、アメリカ側は一貫して中国による外国企業や研究機関の知的財産権侵害を問題視して、中国側に知的財産権の保護を求めてきた。第1段階合意がこの項目を含んでいることは当然、中国側がアメリカ側の要求に応じて知的財産権への保護を約束したことを意味する。

(2)の技術移転は要するに「技術移転の強要」のこと。中国は今までに外国企業に対して技術の移転を強要してきたが、アメリカ側は貿易協議においてその是正を中国側に強く求めている。従って(2)に関する米中間合意の内容は当然、中国側がこの要求に応じて外国企業に対する技術移転の強要を止めることを承諾したことであろう。

(3)食品と農産物の内容は簡単明瞭で、要するに中国側がアメリカ側の要求に応じてアメリカから大豆や豚肉などの食品・農産物を大量に購入することである。

(4)金融サービスの項目は、アメリカ側が求めている中国国内の金融サービスの外資に対する開放であるが、この項目で合意に達したことは、中国側がアメリカに対して金融サービス業の対外開放の拡大を約束したことを意味する。

(5)為替とその透明度は、アメリカ側がずっと問題視してきた中国政府による為替操作の問題を指している。この項目に関する合意は、中国側がこの要求に応じて為替の操作を控えることやその透明性を高めることであろう。

(6)貿易拡大に関しては、中国側の発表を見るだけで何を意味するのかがよく分からないが、同じ13日にアメリカ政府は、中国がアメリカから農産物などの輸入を今後2年間で2000億ドル(約22兆円)増やすことで同意したと発表した。つまり中国側はアメリカ側の要求に応じてアメリカからの輸入を大幅に増やすことを約束した、ということである。

以上は、(1)から(6)までの米中間合意の概要であるが、そこには1つの共通点があることにすぐ気がつく。この共通点とは要するに、(1)から(6)までの合意項目の全ては、中国側がアメリカ側の要求に応じて何かを約束したのであってその逆ではない、ということである。

そうすると、合意項目(7)の「双方による査定・評価と紛争処理」の意味は自ずと分かってくる。要するに今後において、中国側が自らの約束したことをきちんと実行しているかどうかを「査定・評価」し、それに関して双方で「紛争」が起きた場合はいかにそれを「処理」するかのことであろう。中国側の発表では一応「双方による査定・評価」となっているが、実際はむしろ、アメリカ側が一方的に中国側の約束履行を「査定・評価」することとなろう。

以上は、中国側の発表した「7つの合意項目」から見た、米中貿易協議「第1段階」合意の概要であるが、ともかくこの合意においては中国側が7つの項目にわたるアメリカ側の要求を受け入れて、それに従って何かをすることを約束した。そして(1)から(6)の項目に関しては、中国は今後具体的な行動をとって自らの約束を履行しなければならないが、アメリカ側は中国に対して背負うべき義務は何もない。アメリカはただ、合意項目(7)に従って、中国は今後約束を履行してくるかどうかを「査定・評価」するだけのことである。

中国が一方的にアメリカ側の要求に従って多くの約束・承諾を強いられ、そして約束の履行に関してはアメリカ側によって「査定・評価」される立場にも立たされた。このような合意内容はどう考えても、中国にとっての「不平等条約」であって、不本意と屈辱の合意であろう。

中国がどうしても譲らなかった項目

その代わりに、中国がアメリカ側から何を得たかというと、1つは、12月15日に予定されている新たな対中国制裁関税発動の見送りであり、もう1つは、発動済みの追加関税のうち、約1200億ドル分の中国製品に課している15%の制裁関税を7.5%に下げてもらうことである。その一方、アメリカの対中国制裁関税のもっとも大きな部分、すなわち2500億ドル分の中国に課している25%はそのまま維持されることになる。

その一方、中国側は最後までアメリカの要求を拒否して自らの立場を守った項目もある。アメリカ側が強く求めてきている、中国政府が国有企業に対する今までの産業補助政策をやめてもらうことである。国有企業こそは共産党政権の経済的基盤であるから、中国はどんなことがあっても国有企業に不利となるアメリカ側の要求を飲むことはない。そして、中国側がアメリカのこの要求を飲まないからこそ、米中貿易協議の合意は「第1段階」の合意に止まって、完成された全面的な合意にならないのである。

実は、この第1段階の合意に至るプロセスや合意にかんする中国側の発表の仕方などから見ても、合意の内容は中国にとって屈辱的な不本意なものであることが分かる。

まず、実に奇妙なことであるが、今年の10月までにずっと中国側を代表してアメリカとの貿易協議に当たってきた劉鶴副首相が、第1段階の合意が近づいてきている11月から突如、協議の場から姿を完全に消した。12月13日の合意達成までの数週間、劉の動静はいっさい伝えられていないし、13日の中国政府による合意発表の場にも現れていない。言ってみればこの合意は、中国側のトップの交渉責任者が不在のままの合意である。全く奇妙だ。

その理由は考えみれば実に簡単だ。第1段階の合意は中国にとって屈辱の不平等条約であるからこそ、習近平主席の側近の側近である劉鶴は意図的にそれに関わっていないようなふりをして、自らの政治的責任を回避しようとしているのであろう。そしてそれはまた、習主席自身の政治的権威を傷つけないための措置でもある。


さらに興味深いことに、13日に中国政府が記者会見を開いて合意に関する声明を発表した時、劉鶴が出ていないだけでなく、部長クラス(日本で言えば閣僚クラス)は誰1人として姿を現していない。今までの貿易協議に関わってきたはずの商務部長(商務大臣)の鐘山までが欠席している。出席者全員が各関連中央官庁の副部長(副大臣)ばかりである。

このような様子から見ても、アメリカとの第1段階の合意は中国にとっては実に不味いものであることがよく分かろう。不味いこそ、地位の高い幹部ほどそれから距離を置いて見せたのである。


中国経済を「破壊」するアメリカの制裁

習近平政権は一体どうして、このような屈辱の「不平等条約」を受け入れたのか。最大の理由はやはり、アメリカの制裁関税の破壊力で中国経済が大変深刻な状態に陥っていることだろう。

国内消費が決定的に不足している中で、対外輸出こそは中国経済成長の原動力の1つであるが、今年の8月から連続4カ月、中国の対外輸出はマイナス成長となっている。そして11月に中国の対米輸出は前年同期比では何と、23%以上も激減した。貿易戦争がさらに拡大していけば、中国経済がどうにもならないのは明々白々である。だから中国としてはどんなことがあってもアメリカの制裁関税の拡大を食い止めたい。そして今までの制裁関税をできるだけ減らしてもらいたい。だからこそ中国は止むを得ず、屈辱の不平等条約を飲んでしまったのである。


【私の論評】米国の一方的な完勝、中共は米国の要求に応ずることができず、やがて破滅する(゚д゚)!

中国が「第一段階」の貿易協定に違反すれば米国は一方的報復を行う可能性がある、とホワイトハウスのピーター・ナバロ通商製造政策局長は15日、FOXニュースのエド・ヘンリーに語りました。


https://www.foxbusiness.com/markets/us-retaliation-phase-one-trade-china

「私が合意で最も気に入っている部分は強制の仕組みだ。それによってもし中国が合意に違反しそれに関して何もできなければ、我々は90日以内に、基本的に一方的に報復できる」とナバロは語った。「だからそのことについては強力な合意だ。中国が約束した2,000億ドル分の農産物、エネルギー・サービス、そして製品を買うか見てみよう。それは最も容易に観察できることだろう――見たままだのことだ」

ナバロは視聴者に、米国がまだ3,700億ドル相当の中国製品に関税をかけていることを思い出させました。

「これは中国に対話を続けさせるための保険であると同時に、我々の技術的重要資産に対する保護でもある」とナバロは語りました。



ピーター・ナバロ通商製造政策局長

ロバート・ライトハイザー米国通商代表は15日朝のCBS「Face the Nation」で同じことを指摘し、合意には「本当に確かな強制力」があると説明しました。

「最終的にこの合意全体が機能するかどうかは、米国ではなく中国で誰が決定を行うかによって決まるだろう」とライトハイザーは語りました。「強硬派が決定すれば1つの結果を得ることになる。改革派が決定を行うなら、それが我々の希望だが、別の結果を得ることになる。これがこの合意についての考え方であり、2つのとても異なる制度を両者の利益に統合しようという中での第一歩だ」

どのような反応だとしても「相応」となるとライトハイザーは述べました。



ロバート・ライトハイザー米国通商代表

米中は13日に「第1段階」の貿易協定に合意した。これによって一部の中国製品に対する関税は引き下げられ、19カ月にわたる貿易戦争の応酬によって痛手を受けてきた米国の農家にとっては好材料となる可能性があります。

中国政府はワシントンとの暫定貿易合意後、米国製自動車と他の製品に対して予定していた報復関税を延期するとしています。

北京は米国製自動車に対して15日に25パーセントの関税を課す予定でした。実施されれば総額が40パーセント引き上げられていました。最大の打撃はドイツのBMWとダイムラーのメルセデス部門であり、米国製SUVと他の車を中国に出荷しています。

ライトハイザーは第2段階合意の交渉がいつ始まるのか答えることはできませんでした。

「日程は決まっていない。・・・最終的な転換、手続きに決着をつける必要がある」と彼は語った。「我々はこの合意に署名しようとしている。だがこれを話しておく。第2段階は第1段階がどれだけ実行できたかによっても決定される。第1段階は細部に至るまで完全に実施されるだろう」



米中貿易交渉「第1段階」は、中国の一方的敗北だった、左よりライトハイザー、ムニューシン、劉鶴
米国が中国を監視するということで、中国はいよいよ身動きがとれなくなるでしょう。このようなことをされれば、従来の中国であれば、このような条項は突っぱねたのでしょうが、中国経済が落ち込んでいる現状では、これを受け入れるしかなかったと見えます。
しかし、これはWTOなどで米国が過去に苦い思いをしてきたからに他なりません。トランプ米政権は中国政府による巨額の産業補助金が世界市場をゆがめているとして非難し、WTOが十分に対処できていないとして改革を要求しています。改革がなされない場合は脱退も示唆しています。

中国は、国内で構造改革をすすめる以外に選択肢はなくなったものと思います。もし、これを進めなければ、米国はあらゆる手を使って、中国経済を破壊し、中国の世界への悪影響を除去するだけです。

このブログでは、過去に中国には民主的手続きで選ばれた、政治家は1人もおらず、すべてが官僚であると批判しました。

石平氏は、上の記事で、「第1段階の合意は中国にとって屈辱の不平等条約であるからこそ、習近平主席の側近の側近である劉鶴は意図的にそれに関わっていないようなふりをして、自らの政治的責任を回避しようとしているのであろう。そしてそれはまた、習主席自身の政治的権威を傷つけないための措置でもある」としています。

これは、まさに官僚の自己保身的行動です。中国共産党は官僚のつまらない無謬性へのこだわりにより、現実を見ず、一時しのぎを繰り返し、結局崩壊するしかなくなります。

中国共産党は、米国の要求を実現することができずに、結局滅びの道を選ばざるを得なくなるでしょう。

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2019年12月15日日曜日

従北・文政権でナゼ? 韓国空軍「F35で北攻撃」動画を公開…クーデターの警告か 識者「青瓦台と軍の意思疎通がうまくいっていないのは確か」―【私の論評】在韓米軍が去るか、韓国が中国の傀儡になるかまでのいずれかが、日本に残された期限(゚д゚)!


韓国空軍のF35

 韓国空軍が、米軍から購入した最新鋭ステルス戦闘機F35Aで、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」を攻撃する動画を制作し、9日からネット上で公開を始めた。「従北・離米」の立場を崩さない文在寅(ムン・ジェイン)政権で、なぜ、北朝鮮を刺激するような映像公開にゴーサインが出たのか。

 注目の動画「われわれは大韓民国空軍」は勇ましいBGMが流れるなか、F35に搭乗員が乗り込むシーンから始まる。

 無人偵察機「グローバルホーク」が発見した「火星14」の移動式発射台や、赤い星形のマークが入った基地に対し、F35の編隊がひそかに近づき、ピンポイント攻撃するものだ。約4分半の長さがあり、かなり刺激的で息もつかせない。

 朝鮮日報(12日、日本語版)によると、韓国空軍は動画制作の理由について、「2年ごとの広報用映像をアップデートし、空軍が当然やるべき任務を説明したものだ」とコメントしている。

 ただ、北朝鮮は、韓国のF35導入を「重大な挑発行為」などと強く反発してきた。「従北」の文政権は静かに対応してきただけに、今回の動画公開を「異例の対応で、意外だ」と受け取られているという。

 一体、どんな背景がありそうか。

 朝鮮近現代史研究所長の松木國俊氏は「動画では、韓国語で『われわれ韓国空軍は全方位に向かって、確固たる軍事防衛体制を敷いている』と流れており、建前ながら北朝鮮を想定したものではないと言っている。大統領府(青瓦台)も『公開を取り消せ』とは言えないのだろう」と語った。

 動画で注目されるのは、韓国軍が米軍とみられる他国軍と作戦で協力するシーンだという。文大統領の側近が「中国の核の傘」に言及するなど、「米韓同盟の危機」が指摘されるなか、韓国空軍のメッセージを感じる。

 松木氏は「韓国軍内で、文政権の『従北・容共政策』に反発する強硬派が、韓国国民の危機意識を高めようとした可能性がある。軍部の『文政権の暴走を許さない』『これ以上、従北・容共政策をやるなら、クーデターもあるぞ』という意思表示(警告)も感じる。ともかく、青瓦台と軍の意思疎通がうまくいっていないのは確かだろう」と分析している。

【私の論評】在韓米軍が去るか、韓国が中国の傀儡になるかまでのいずれかが、日本に残された期限(゚д゚)!

冒頭の記事にも出てきた注目の動画「われわれは大韓民国空軍」を以下に掲載します。



ハングル語なので、意味はわかりませんが、かなり刺激的な内容であることはわかります。

韓国空軍が戦略武器として運用するF35Aステルス戦闘機の戦力化行事を17日に開催します。

空軍関係者は10日、国防部の定例記者会見で「戦力化行事は今月中に実施する予定」とし「具体的な計画を樹立中」と述べました。

F35Aは3月末に2機が韓国に初めて到着し、年末までに計13機となります。第5世代戦闘機のF35Aは最大速力マッハ1.8、戦闘行動半径1093キロで、空対空ミサイル、統合直接攻撃弾(JDAM)、小口径精密誘導爆弾(SDB)などで武装しています


さて、我が国の周辺が緊迫しています。韓国は日米から離反し、中露朝の陣営の国であると露骨に示しはじめました。一方、香港では反体制派のデモが半年も続いています。 朝鮮半島問題について語る論者は腐るほどいますし、香港問題を解説してくれる論者も後を絶たないです。

では、この二つの場所で起こっている二つの事件が、独立した別個の問題ではなく、一つの問題だと教えてくれる識者は何人いるでしょうか。半島と香港は、「日本が地球上で生き残れるか」という大きな一つの問題が、現象的に2つの地域で起こっていると捉えるべきなのです。 

現在の国際社会で、唯一の覇権国家は米国です。米国の覇権に中国が取って代わろうとしているのです。かつての挑戦者であったロシアは、中国の陰に隠れて、虎視眈々と失地回復を狙っています。三大国が東アジアで睨み合っているのです。

ここに北朝鮮が、自己主張をしています。朝鮮半島は悲劇の土地で、常に大国に翻弄されてきました。ところが70年間に渡り北朝鮮の地で圧制を強いている金一族だけは違います。米中露の三大国の間を巧みに泳ぎ切り、自らの主体性を示して生き残ろうとしています。

その為なら、人民の100万人を殺してでも核武装をするのが北朝鮮なのです。 北朝鮮は、12万人とも言われるスパイを送り込み、韓国を事実上乗っ取りました。韓国の文在寅大統領の行動を見てください。

その愚かな行動の数々も、文在寅が、北朝鮮が送り込んだスパイだと仮定して考えれば、説明がつくことばかりではありませんか。 19世紀以来、東アジアは海洋国家と大陸国家のせめぎあいで動いてきました。

大英帝国vs.ロシア帝国、アメリカ合衆国vs.ソ連、そして今は米国vs.中国。 現在の形勢はどうかといえば、海洋勢力と大陸勢力がぶつかる主戦場だった朝鮮半島では、韓国の陥落で大陸勢力が優勢です。

ただし、ここで一つ忘れてならないのは、北朝鮮は中国の干渉を極度に嫌っているということです。これは、金正恩の実の叔父である張成沢(チャン・ソンテク)氏を処刑したことや、実の兄である、金正男氏を暗殺したことでも証左されたものと思います。

中国としては、いずれ金正男氏を首班とした、新たな中国寄りの政権を北に樹立させるつもりだったようです。そのパイプ役を張成沢氏が担っていたとされます。

それを認識したからこそ、金正恩は両者を殺害したのです。金正恩の望みは、金王朝を存続させることでした。もし、北に親中国政権が樹立された場合には、金王朝は継続できなくなる可能性を恐れたからこそ、正恩は、彼らを殺害したのです。

結果として、北朝鮮の現体制と、その核が半島への中国の浸透を防ぐことになったのです。そうでなければ、朝鮮半島は米国がオバマ大統領の時代に、完璧に中国の覇権が及ぶところになり、今頃朝鮮半島は中国の一つの省か、自治区になっていたかもしれません。

一方、香港に火が点いて、中国も大わらわです。 しかも、最近では香港の暴動が、中国にも飛び火しているところもあります。世界の政治家は、地球儀を将棋盤か碁盤のように見立て、勢力争いをしています。米中ともにお互いの勢力圏に攻撃を加えて、ポイントを挙げあっているように見えます。現在のところ、挑戦半島において、大陸国家と海洋国家が、かろうじてバランスをとっているというのが実情です。 

韓国では、法務大臣のスキャンダルが噴出し辞任に追い込まれました。香港では、11月24日投票が行われた区議会議員選挙民主派が、圧勝勝しました。親中派は惨敗し、一連の抗議活動で市民の要求を拒み続けてきた香港政府に対する不信感が明確に示された形になりました。

これらに関しては、大陸勢力の方が対応に追われています。では、海洋勢力はこれ以上に攻め込めるのでしょうか。このまま香港や韓国で騒ぎが広がったとして、中国から香港を取り返すことはできないでしょう。

一方で、韓国は今のスキャンダルが広がったとして、反中反北の大統領が誕生する見込みはありません。 保守派とされる朴槿恵前大統領でさえ、任期中には中国に接近を強めていました。あくまで大陸勢力と、海洋勢力なのです。なぜなら、米国は中露二カ国と、もしかすると北の三か国を相手に、一人で立ち向かわねばならないかもしれないのです。

そうして、韓国に至っては、もはや大陸勢力に寝返ったに等しい状況です。 

そして、もう一国。役立たずの国があります。日本です。 韓国のように裏切りはしないですが、同盟国としてはあまり頼りにもならないです。東アジアのすべての国が、韓国すらも国防努力をしている状況であるにも関わらず、防衛力をまるで増やしていません。実際は増やしてはいるのですが、あまりに微々たるものなので、極東の軍事バランスを変えるには至っていません。


それどころか、韓国が敵陣営に回ったことを、喜んでいる人間もいる有様です。 確かに、韓国の数々の所業は許しがたいです。今や多数の日本国民は、文在寅を狂人だと見做しています。

文在寅韓国大統領

雑誌でも本でも、韓国の悪口を書けば売れます。日本国民の怒りはもっともなことだと私も思います。しかし、韓国の狂気に対処しなければならないのは、日本なのです。 

国際政治は動く時は一気に動きます。北朝鮮にしても、中露にしても、いきなり南北朝鮮が統一して、米国と直接対峙するのには慎重にならざるをえないでしょう。しかし、世界の歴史を振り返れば、はずみで国が消えた事例など、山のようにあります。 

古来、朝鮮半島が敵対的になった時、日本には戦う以外の選択肢はありません。白村江の戦い然り、元寇然り、日清日露戦争然り。そして米国が代わりに戦った朝鮮戦争、然りです。 

文在寅が、北朝鮮やその背後の中露に忠誠を誓うということは、日本は開戦前夜だとの危機意識を持たねばならないです。大陸勢力にとって、韓国の次の標的は日本なのです。  

北朝鮮は、軍隊を使わずに韓国を征服しました。間接侵略です。中国も台湾の間接侵略を狙っています。香港問題とは中国にとって台湾問題であり、隙あらば尖閣を奪おうとしているのも、台湾を大陸本土と尖閣で挟み撃ちにして孤立させるためです。

中国にしても北朝鮮にしても、なぜ軍隊を使って直接侵略をしてこないのでしょうか。それは、米軍が東アジアで睨みを利かせているからです。台湾にこそ米軍は駐留していないですが、米国の「台湾関係法」は有事には軍事支援を行うことを決めており、事実上の軍事同盟です。

韓国とは米韓相互防衛条約を結び、今でも在韓米軍が駐留しています。だから、直接侵略はできないのです。 文在寅政権は、一刻も早く在韓米軍を追い出そうとしています。それが大陸勢力の利益だと信じているかのようです。 ただし、韓国は北の金正恩を正しく理解していないところがあります。

それは、すでに述べたように、金正恩の本当の狙いは金王朝を存続させること、そのために中国の干渉を極度に嫌っていることです。金正恩が従来、文在寅を受け入れ、南北統一
を望んでいるかのようにみせかけたのは、韓国による制裁逃れあるいは、韓国により米国等に制裁緩和を進言させることを狙っていたからです。

金正恩

では日本人は、どう考えるべきでしょうか。もはや韓国は実質的に陥落しました。とはいいながら、あくまで北の衛星国であり、中国の手中に落ちたわけではありません。さらに、形式として韓国の独立性は残っています。実際、冒頭の記事のように、少なくとも韓国空軍は文在寅の思い通りにはならないようです。

というより、私は、韓国軍の一部はすでに北側に籠絡されていると聞き及んでいます。といことは、大部分は北に籠絡されていないということです。であれば、文在寅としては、あまり極端なことをすぐに実施すると、軍部にクーデターを起こされるかもしれないと、恐れているはずです。

現在の大韓民国は実質的には北朝鮮の衛星国だとしても、形式的には主権国家です。米国を挑発するような行動を続けても、在韓米軍は残っています。 日本にとって、在韓米軍の最終撤退までが、最後の猶予期間です。

米国を支えるに足る軍拡を行う。台湾や、同じく中国の侵略に怯えるアセアンとの結束を強める。等々、日本がやるべき方策は明確です。 さて、日本はこれを実行できるでしょうか。150年前、列強の侵略を跳ね返した、先人達のように、心ある人たちは、自分が総理大臣になったつもりで考えてみるべきと思います。 

さらに、もう一つの期限もあります。中国が北朝鮮が核保有を認め、なおかつ金王朝の存続を認めることになれば、中国は北と韓国を一つにすることなく、別々の国として、存続を認めることになる可能性もあります。

その場合韓国は完璧に中国側の一員になります。その場合、中国側からすると、北を挟んで韓国を中国の傀儡として、日本を狙わせるという事態もあり得ます。

韓国が中国の傀儡になった場合は、当然在韓米軍は撤退します。中国の艦船に代わって韓国の艦船が尖閣に押し寄せることになるかもしれません。

在韓米軍が去るまでか、韓国が中国の傀儡になるかまでのいずれかが、日本に残された期限です。ただし、韓国が中国の傀儡になりきることはない可能性ももちろんあります。しかし、可能性としては捨てきれないのも確かです。

いずれにしても、北が中国の干渉を極度に嫌っているという事実が、半島問題をより複雑にしていることは確かです。ただし、これは海洋国家側としては、これをうまく利用すると、かなり有利な展開を期待できるかもしれません。海洋国家たる日本は、持っとその自覚を持つべきです。

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2019年12月14日土曜日

【日本の解き方】野党合流で何ができるのか? 政策で変節した人の野合に透けて見える「カネ」と「衆院選」―【私の論評】もりかけ桜に浮き身をやつした野党に明日はない(゚д゚)!


野党党首会談に臨む(左から)立憲民主党の枝野幸男代表、国民民主党の玉木雄一郎代表ら

 立憲民主党の枝野幸男代表が国民民主党の玉木雄一郎代表、社民党の又市征治党首、無所属の野田佳彦前首相らに、野党勢力を結集し政権交代可能な政党を作りたいとして、合流を呼びかけたという。

 本コラムで再三言及してきたが、国会は国会でしかできないことをやってほしい。国でしかできないことは、憲法議論、マクロ経済政策、外交・安全保障だ。臨時国会で、憲法や景気対策、ホルムズ海峡への自衛隊派遣などの問題はほとんど議論されず、「桜を見る会」ばかりに時間を費やした。まったく国会の機能不全である。

 先日、街頭でまた野党が集まって桜問題を追及していたが、そこまでしたいなら内閣不信任案を出すべきだった。衆院解散を恐れて提出できなかったのなら情けない。

 次の衆院選をにらんで、枝野氏は国民民主、社民らに合流を呼びかけている。しかし、枝野氏は対等交渉に否定的なようで、「上から目線」がうかがえるのが面白い。立憲民主は資金面で、このままでは衆院選を戦うのは難しい。かといって国民民主のカネ目当てとも言えないだろう。

 政党助成金の交付要件との関係で、合流のリミットは年内であり、例年この時期に合流話が出てくるのが、政治的な年中行事になっている。

 合流したとして、大きな勢力になるかといえば、数でみれば、自民党の半分くらいの規模になる。しょせん政策ではなく選挙やカネ目当ての選挙互助会とみる有権者も少なくないだろう。

 ほんの2年前、希望の党の誕生によって、民主党は主として憲法改正や安全保障面での政策の違いで分裂したはずだが、2年たったらその経緯もすっかり忘れて野合しようとしている。

希望の党の総決起大会で「ガンバロー」と拳をあげる小池百合子代表(中央)ら2017年10月9日午前

 次の選挙まで期間がある参院で合流話があまり聞かれないのは、衆院議員にとっては合流が選挙のために死活問題であることを示している。

 今のところ、野党を結びつけているのは、衆院選への対応、桜を見る会の追及、合流のタイムリミットが年内ということなので、これから具体的な協議や調整が進められるだろう。

 早ければ、来年の通常国会で補正予算を通した時点での解散もありえる。東京五輪・パラリンピック後になると、自民党の安倍晋三総裁の任期である2021年9月まで1年を切り、追い込まれ解散の印象が出てくるので、避けたいところだ。

 となると、来年冒頭や来年度予算が成立した4月あたりの解散もありえる。これが野党合流の勢いを加速させている。

 ただし、問題は政策である。もし憲法改正や安全保障などで政策が一致するなら、この2年間で変節した人が新しい野党に数多く存在することになる。

 逆に政策が一致しないまま合流したら、単に選挙やカネのための野合ということになる。どちらにしても批判は避けられないだろう。


 この意味で、仮に合流しても分裂含みで、とても求心力を得るのは難しいだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】もりかけ桜に浮き身をやつした野党に明日はない(゚д゚)!
立民は結党から2年が過ぎ、野党第一党として国会運営を仕切るまでに成長しましたが、資金力では同じ旧民進党を系統に持つ野党第二党の国民民主党に水をあけられたままです。

総務省が公表した平成30年分の政治資金収支報告書によると、立民の収入は約36億円で、国民の約65億円の半分程度にとどまりました。主要政党の党首クラスの収入でも枝野氏は4562万円で29年から半減しましたた。個人献金は3002万円と他党党首に差をつけたのですが、やはり29年の6915万円から半減しました。

政党交付金は1月1日現在の所属国会議員数と直近の衆院選、過去2回の参院選の得票率に応じて配分額が決まります。立民のメンバーは旧民進党を離党して新党を立ち上げた形式を取ったため、旧民進党の枠組みを事実上引き継いだ国民と交付金の額で差をつけられたのです。国民には、旧民進党が貯めた預金も残っているとされます。
立民が国民などに年内の合流を呼びかける理由は、国民との合流を一気に進め、資金面で一息つきたいというのが幹部の本音でしょう。
立民は政党支持率も伸び悩んでいます。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が11月に行った合同世論調査によると、同党の支持率は7.8%。結党翌月となる29年11月の結党翌月の支持率が15.3%だったことを考えると、立民への期待値がしぼんでいることがうかがえます
7月の参院選では、支持層が一部かぶるれいわ新撰組に比例代表票を多く奪われ、党内には危機感が走りました。立民幹部は「支持率に一喜一憂しない」とうそぶいていますが、安倍政権は『桜を見る会』の疑惑で支持率が落ちたのですが、それ以上の割合で主要野党の支持率が下落しました。野党がスキャンダル追及を進めても、国民は閉口しているだけなのです。

同じ野党でも、れいわは、主要野党がこぞって進める桜を見る会の追及とは一線を画し、「消費税廃止」など大胆な政策を掲げたり、ターゲットを就職氷河期世代に絞った主張を展開するなど、分かりやすい言動で支持を広げています。

枝野氏もこれまで「単なる数合わせはしない」と“立民カラー”にこだわってきたはずです、これを事実上捨てて大同団結を目指す先には何があるのでしょうか。まずは、党の支持率が上向かない理由を分析することから始めるべきでないでしょうか。
選挙に関しては、このブログでは1月解散、2月総選挙と予想しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】IMFの「消費税引き上げ論」と真水「10兆円」の補正予算浮上…財務省の“絶妙”な対応―【私の論評】いまのところ、1月解散,2月選挙という可能性が最も高い(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下のこの記事の結論部分のみ引用します。
増税の影響が表れる10~12月期の国内総生産(GDP)の速報値が発表されるのは来年の2月17日です。このため「数字が出る前に解散を打った方がいいのではないか」(自民党関係者)との声もあります。野党側は立憲民主、国民民主両党が会派合流を決めたものの、離党の動きが出るなど臨戦態勢が整わず、与党にとっては好条件です。 
1月解散となると、まさに選挙戦の最中にGDPの速報値が発表されることになるわけですが、その時に何の経済対策も打っていなければ、与党が大敗北となることが予想されます。
総選挙の開票開始後間もなく、自民党大敗の趨勢が判明、当選者もまばらな
ボードをバックに質問を受ける同党の麻生太郎総裁=2009年8月31日
しかし、そのときに真水の10兆円の対策を打つことを公約とすれば、話は随分と変わってきます。特に、先日もこのブログでも説明したように、現状では国債の金利はマイナスであり、国債を大量に刷ったとしても何の問題もありません。これは、多くの人に理解しやすいです。10兆円どころか、もっと多くを刷れる可能性もあります。

この対策とともに、日銀がイールドカーブ・コントロールによる現状の引き締め気味の金融政策をやめ、従来の姿勢に戻ることになれば、このブログにも以前掲載したように、マクロ経済的には増税の悪影響を取り除くこともできます。

安倍政権がこれを公約として、丁寧に政策を説明すれば、十分勝てる可能性はあります。来年秋以降ということになると、経済がかなり悪くなっていることが予想され、自民党の勝ち目は半減する可能性が大です。秋以降でなくても、選挙が後になれば、なるほど増税の悪影響がでてきます。

そうなると、いまのところ、1月解散,2月選挙という可能性が最も高いのではないでしょうか。
この記事にも掲載したように、真水の10兆円の対策を打つことができ、さら日銀がイールドコントロールカーブをやめれば、たしかにマクロ経済的は、10%増税の悪影響を取り除ける可能性がかなり高くなります。

ただし、財政政策は長続きはしないので、これだけでは十分な対策とはなりません。おそらく、経済成長がマイナスにはならない程度と考えられます。

できれば、このブログにも掲載したように、国債がマイナス金利であるという最大限活用して、金利がゼロになるまで国債を刷り、様々な経済対策に用いる基金を設立すべきだと思います。

金利がゼロになるまで、国債を刷り続けると一体どのくらいになるかというのは、私には計算できませんが、高橋洋一氏は、103兆円と試算しています。これだけ刷っても、政府の借金が増えることもないどころか、さらに政府がマイナス金利で儲けることができるというのですからこれを活用しない手はありません。

しかし、現状のように野党があまりにも不甲斐なく、脆弱なので、安倍政権がこのようなことはしない可能性のほうが高いです。さらには、ぼんくら財務省は、消費税を増税することだけが、省益を追及することとしか考えていないようなので、これを実行することなど、およびもつかないようです。

もし私が財務省のキャリア官僚で、他のことは無視して省益を最優先するのであれば、この国債のマイナス金利を活用して、100兆円基金を設立し、数十兆円は何らかの手段で財務省の管轄にする方法を考え出すと思います。

これに成功すれば、財務省の英雄になれるでしょう。さらには、副産物として多くの国民等からも好意を持って受け止められるでしょう。これは、財務官僚にとっては、どうでも良いことなのでしょうが、国民や政府等との軋轢がなくなるということでは、大きなメリットになると思います。

そうなれば、財務次官も夢ではありません。財務次官になれるかどうかは、その時々の運があるので、必ずしもなれるとは限りませんか、いずれにせよ財務省の大英雄として、退官後には、素晴らしい天下り先に下り、桁外れにリッチで、ゴージャスなハッピーライフが待っているに違いありません。そうして、財務省退役官僚長老の末席に座ることができるようになるでしょう。

財務省の姿勢はある意味、野党と似ているところがあります。財務省は増税しか頭になく、国民生活など二の次、野党は倒閣しか頭になく、国民生活などの二の次ようです。自らの本分を全く忘れているということでは、財務官僚も、野党も似ています。

    2019年12月、安倍首相の地元、山口県下関市で調査を行い、
    取材に応じる「桜を見る会」追及本部の野党議員ら

もし、多く野党が「もりかけ桜」(ブログ管理人注:"もりかけざくら"は私の造語です)などにかまけていないで、真剣に経済対策に取り組み、明確な根拠を持って政府を批判していれば、政府としてもこれに対抗上、100兆円基金もしくは、そこまではいかなくとも、数10兆円規模の基金をつくる可能性もでてきたかもしれません。

しかし、野党があまりにも不甲斐ないため、これは絶望的です。今のままだと、10兆円の真水の対策程度で終わり、せいぜいGDPがマイナスにならない程度で終わってしまうことでしょう。長期にわたっては、新たに対策を打たないと、マイナスに落ち込むどころか、デフレに舞い戻ることになるかもしれません。

もう、野党には全く希望を託すことはできないです。おそらく、来年の選挙でまた、野党は大敗北を喫することなると思います。

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北朝鮮はICBMを射つのか!? CIAが水面下で陽動作戦も… GSOMIA破棄騒動の韓国はいまや「カヤの外」 
北朝鮮のミサイル発射実験=10月2日

 北朝鮮が「非常に重大な実験」を行ったと発表するなど、米国との交渉期限を年末に設定するなかで、米国などへの牽制(けんせい)を続けている。再び大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験など強硬手段に踏み切れば、日本への影響も大きい。

 米朝首脳会談は膠着(こうちゃく)状態だ。初の会談は2018年6月にシンガポールで、2回目は19年2月にベトナムのハノイで開かれた。ハノイでは協議が決裂した。6月には両首脳が板門店で面会したが、米朝両国とも首脳会談ではないとしている。

 その後、年内の首脳会談を模索していたが、実務者協議で難航している。米国は、柔軟姿勢を示すためにボルトン大統領補佐官を9月に解任し、10月に北朝鮮との実務者協議をストックホルムで行ったが決裂した。その後、北朝鮮は一方的に交渉期限を年内に設定した。

 北朝鮮は北西部・東倉里(トンチャンリ)にある「西海(ソヘ)衛星発射場」で「非常に重大な実験が行われた」と8日、発表した。ICBMに使われるエンジン燃焼実験とみられている。これは、北朝鮮から米国への催促である。「年末」という期限の設定が本気であることを示すために「重大な実験」を行ったのだろう。次には、人工衛星と称しつつICBMの発射をほのめかしている。

 この発表を受けて、トランプ米大統領は、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に対し、米国に対する敵意は、「全て」を失うことになると警告した。その直前には、トランプ氏は正恩氏との良好な関係を強調していた。

 正恩氏にとっても、トランプ氏との特別な関係を失うのは得策でないだろう。トランプ氏は軍歴も政治家経験もない民間人出身なので、軍事オプションよりもディール(取引)を望んでいるはずだ。米朝の緊張関係は、両首脳の個人的な関係でもっているので、もしこの個人的な関係が崩れたら、米朝首脳会談が行われていない2年前のように、ひょっとしたら軍事衝突もあり得るというくらいの緊張関係に戻るかもしれない。

 両首脳はまだお互いに信頼関係があるようだが、具体的な非核化プロセスについては両国でこれといった妙案もない。

 こうなると、北朝鮮はICBM発射に突っ走るのか、それともトップ級が会って仕切り直し、期限先延ばしを行うことも考えられる。あるいは米中央情報局(CIA)などが水面下で陽動作戦を行い、北朝鮮もサイバー攻撃を仕掛けるなど、表面上は軍事オプションに見えないまま水面下で攻撃するという可能性も出てくる。いろいろな展開が考えられるので、今のところ、米朝関係の先行きについて予測は難しい。

 日本としては、警戒態勢を取りながら、米国との連携をとるしかない。

 ここに至って、韓国は先般の日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄騒動が尾を引き、日米からの信頼は得られていない。米朝関係をめぐっても、「あまり関係のない国」になりつつある。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)


【私の論評】日本が「敵基地攻撃能力」を持つことは現実的な対処法(゚д゚)!

北朝鮮のミサイルへの備えとしては、日本が「敵基地攻撃能力」持つことが最優先でしょう。

小西洋之参議院議員の「専守防衛」に関する質問主意書に対する平成27年10月6日付け政府答弁書(安倍晋三内閣総理大臣)では、

「専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、又、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神に則った受動的な防衛政策の姿勢をいうものであり、我が国の防衛の基本的な方針である。」
と言っています。


この「専守防衛」に関する政府答弁書の見解によれば、要するに、「専守防衛」とは、日本は受動的な「自衛」に徹し、他国に対して「侵略戦争」をしない防衛戦略に過ぎないと解すべきです。なぜなら、「専守防衛」は、「侵略戦争」を放棄した憲法9条1項2項に基づく理念であり防衛戦略だからです。
したがって、侵略戦争のためではなく、「専守防衛」即ち自衛のための兵器の保有や自衛権の行使は禁止されないのです。
この政府の立場は、最高裁判例の立場とも完全に適合しています。砂川事件最高裁大法廷判決は、
「憲法9条は我が国が主権国として持つ固有の自衛権を否定したものではなく、憲法9条の平和主義は無防備無抵抗を定めたものではない。我が国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置を取り得ることは国家固有の権能の行使であって、憲法は何らこれを禁止するものではない。9条1項はいわゆる侵略戦争を放棄したものである。」(昭和34・12・16刑集13・13・3225)
と判示しているからです。

このように、「専守防衛」とは、要するに、日本が、受動的な「自衛」に徹し、他国に対して侵略戦争をしない防衛戦略に過ぎないと解されますから、侵略戦争のためではなく、もっぱら、自衛のための「敵基地攻撃」や「敵基地攻撃能力」の保有は専守防衛とは矛盾せず、上記政府見解及び上記最高裁判例に照らして、憲法上も禁止されないことは明らかです。

即ち、「座して死を待つのが憲法の趣旨ではなく、攻撃を防御するため、他に手段がない場合にミサイル基地をたたくこと(敵基地攻撃)は、法理的に自衛の範囲である」(1956年鳩山一郎内閣)と言えるからです。

現在の政府見解では、第一撃を受けたり、ミサイルに燃料を注入するなど、敵が攻撃に着手した時点で敵基地攻撃が可能であるとしている。

以上の通り、「敵基地攻撃」及び「敵基地攻撃能力」の保有が「専守防衛」に反せず、憲法上も禁止されないから、近年の緊迫する北東アジアの安全保障環境の変化を考えれば、日本は、対中・対北朝鮮への抑止力を一層強化するため、「敵基地攻撃能力」を速やかに保有すべきです。

日本は、現在、海上配備型イージス艦及び地上配備型迎撃システムPAC3のミサイル防衛システムを保有していますが、ミサイル防衛にはかねてより技術的限界が指摘されており、弾道ミサイルの迎撃は決して完璧とは言えないからです。


地対空誘導弾ペトリオット PAC-3

日本が、抑止力として、「敵基地攻撃能力」を保有するためには、(1)高性能軍事偵察人工衛星の開発導入(2)イージス・アショアを含む高性能レーダー基地の増設整備(3)長距離巡航ミサイルの導入(4)長距離ステルス戦闘機の導入(5)多用途防衛型空母の保有(6)原子力潜水艦の保有(7)弾道ミサイルの保有(8)無人偵察機及び無人爆撃機の保有(9)宇宙・サイバー・電磁波を含む多次元統合防衛力強化(10)レーザー兵器等新兵器の開発促進(11)速やかな憲法9条解釈の変更もしくは改正、などが必要です。

前記の通り、「専守防衛」は、憲法9条に基づき、他国から攻撃されない限り攻撃しない防衛戦略です。しかし、核ミサイル技術が飛躍的に進歩した現代では、核保有国から先制核攻撃をされてから反撃するのでは最早手遅れです。

なぜなら、日本全土に対する同時数百発の核ミサイルによる先制核攻撃を受けた場合は、1憶2000万日本国民の多数が犠牲になり、日本国自体の人的物的消滅も否定できないからです。したがって、「専守防衛」を貫くためには、他国からの攻撃をあらかじめ抑止することこそが最も重要です。その意味で、「専守防衛」と抑止力強化は決して矛盾しないのでです。

したがって、抑止力、特に核抑止力を強化するためには、米国との同盟関係の一層の強化が不可欠であり、日本独自の核保有が当面困難であるとすれば、次善の策として、米国との「核共有」は必須です。

そして、抑止力を強化するため憲法9条の解釈の変更もしくは改正を急ぎ上記「敵基地攻撃能力」の保有は日本にとって強固な抑止力になります。日本が「敵基地攻撃能力」を持つことになれば、金正恩は今まで想定しなくても良かった日本の自衛隊の攻撃を想定しなければならなくなります。

北朝鮮の戦闘機

北朝鮮の防空能力は、何十年も前から更新されおらず、日本の航空機はステルスであろうが、なかろうが、北朝鮮のどこにでも行って爆撃をすることができます。時代遅れの航空機や、防空兵器しか持たない北朝鮮に迎撃されることは、滅多にありません。

対戦哨戒能力はゼロに近く、日本の潜水艦は北朝鮮の海域で自由に行動し、いずれの港にも妨害されることなく入ることができます。北朝鮮の海域の好きな場所から、北朝鮮のミサイル基地などを思い通りに攻撃することができます。その他の艦船にも、北は全く歯がたたないでしょう。

自衛隊の隊員や、戦車等も思いのままに送ることができるでしょう。北朝鮮の陸軍も自衛隊の敵ではありません。そもそも、北朝鮮の兵士らは、給料は無論のこと、食料ですら、まともに配給されていません。そのため、平均身長も日本や韓国に比較すると随分低いです。おそらく、まともな戦闘には耐えることができないでしょう。

左から米兵士,北兵士,韓国兵士

現在の北朝鮮は、核ミサイル開発のために、他のことをすべて犠牲にしています。ここが、北朝鮮の最大の弱点であり、ミサイル発射の兆候が見られた場合、すぐに行動して、発射基地などをピンポイント的に攻撃することは、十分可能です。決して夢物語でもなんでもなく、かなり現実的な対処法といえます。

そうして、これが北朝鮮に対する最大の抑止力なることはいうまでもありません。

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