2020年7月22日水曜日

日米豪、合同軍事演習で中国威圧! 尖閣侵入「100日連続」…識者「日本は実効支配の強化へ公務員常駐を」— 【私の論評】日本は尖閣を守備できるし、奪取されても十分取り返せる能力がある!(◎_◎;)

日米豪、合同軍事演習で中国威圧! 尖閣侵入「100日連続」…識者「日本は実効支配の強化へ公務員常駐を」

   西太平洋上で日米豪の共同訓練に臨む海自護衛艦「てるづき」(右から2番目)
   や米空母「ロナルド・レーガン」(中央)など
    中国の暴挙が止まらない。沖縄県・尖閣諸島の周辺海域で22日、中国海警局の武装公船などが確認された。これで、「100日連続」となった。世界全体で「死者60万人超」という新型コロナウイルスを世界的大流行(パンデミック)を引き起こしながら、軍事的覇権拡大を進める中国を牽制(けんせい)するため、海上自衛隊と米海軍、オーストラリア海軍は、西太平洋と南シナ海で共同訓練を実施した。

 海上保安庁第11管区海上保安本部(那覇)は22日朝、尖閣周辺の接続水域で中国公船4隻を確認した。うち1隻は機関砲のようなものを搭載しているという。海保の巡視船が領海に近づかないよう警告した。

 これで中国公船が確認されるのは、2012年9月の国有化以降、最長日数で「100日連続」となった。

 中国が侵入させているのは、日本の海保に相当する海警局の船舶だが、6月の人民武装警察法改正で、中国海軍と海警局が合同訓練や共同作戦を行うことが可能になった。外務省は17日、「軍の一部になっている」と、自民党の会合で報告した。

 こうしたなか、海上自衛隊トップの山村浩海上幕僚長は21日の記者会見で、西太平洋と南シナ海で、日米豪3カ国の共同訓練を19日から23日まで実施していると発表した。

 海自の護衛艦「てるづき」や、米海軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」、オーストラリア海軍の強襲揚陸艦「キャンベラ」などが参加。敵の潜水艦、水上艦艇、航空機への対処を想定した戦術訓練を行っている。一帯の海域では、中国が覇権拡大をもくろんでおり、日米豪で対峙する構えだ。

 日本は今後、尖閣の「実効支配の強化」をどうすべきか。

 評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「コロナ禍のなか、中国による海洋進出は目に余る状況だ。日米豪の共同訓練は、中国へのプレッシャーだろうが、尖閣周辺での『100日連続』の航行という実績をつくらせてしまえば、十分とはいえない。このまま、中国公船が居座るのは最悪の事態だ。自民党がかつて掲げた『尖閣諸島への公務員常駐』を検討すべきだ」と語っている。

【私の論評】日本は尖閣を守備できるし、奪取されても十分取り返せる能力がある!(◎_◎;)



最近の尖閣諸島周辺領海への中国艦艇侵入に関するポイントを二つ挙げます。

(1)中国海警局の船が日本の領海に勝手に入ってくることは問題ないのか。
(2)日本の領海内で中国海警局船が日本の漁船を追跡することは問題ないのか。

まず(1)については、少なくとも「領海に入ってきてそのまま通り過ぎるだけ」であれば国際法上、何の問題もありません。

海洋に関するさまざまな権利義務などについて定めた「UNCLOS」(国連海洋法条約)に規定されているように、船舶には一定の要件のもとに他国の領海を通航できる「無害通航権」が認められています。UNCLOSでは、無害通航を「それが通航にあたるか(第18条)」と、「それが沿岸国(この場合は日本)にとって無害であるか(第19条)」というふたつの要件に分け、両者に合致するものが無害通航となります。

このとき「通航」は、継続的かつ迅速に行わなければならず、他国の領海内で停船したり錨を降ろしたりすれば、それがやむを得ない場合を除き通航とは見なされません(第18条2項)。そして、たとえ通航にあたるとしても、それが沿岸国の平和、秩序又は安全を害するような場合(第19条1項)、具体的には軍事演習や情報収集の実施、航空機の発着艦や漁獲といった活動を実施した場合には、それは無害な通航とは見なされません(第19条2項)。

それでは最近、中国海警局の船が日本の領海に頻繁に侵入していることは、前述の要件に照らしてどう判断されるのでしょうか。
まず、報道によれば海警局の船は数時間にわたって日本領海内にとどまっていることも往々にしてあります。これは、UNCLOSの第18条2項にいう「継続的かつ迅速」な通航という規定に抵触する、いわゆる「徘徊」や「巡航」と解釈することもでき、そうであればこの時点で海警局の船は、そもそも通航を行っていないことになります。

また、そもそも海警局の船が尖閣諸島沖の日本領海内に侵入してくる目的が、日本の尖閣諸島における実効支配に挑戦するためということを考えると、これはUNCLOSの第19条1項における「沿岸国の平和、秩序又は安全」を害する行為にあたり、たとえそれが通航にあたるとしても無害性を有さず、やはり無害通航にはあたらない可能性が極めて高いです。

こうした中国海警局の行動に対して、尖閣諸島の警備に従事している海上保安庁はどのように対応できるのでしょうか。

先ほど確認したUNCLOSの25条には「沿岸国は、無害でない通航を防止するため、自国の領海内において必要な措置をとることができる」と規定されています。これは沿岸国の保護権というもので、海警局の船が無害通航を行っているとは考えられない場合には、海上保安庁はこの保護権の行使を認められ、かつ相手の行動と釣り合いがとれる範囲内で、海上保安庁法第18条2項などによる措置をとることになります。

たとえば、海警局の船に対して日本の領海外への退去を要請したり、あるいは針路を変更するための接近をしたり、さらに日本漁船を保護するために海警局の船と漁船とのあいだに割り込んだりといった措置をとることができます。また、もし海警局の船が海上保安庁の船に対して放水や進路妨害を行ってきた場合には、海上保安庁側も同様の措置を実施することが可能です。

他方で、武器を使用して追い出すべきだという主張も時折、見られますが、そのような強硬な措置をとることは中国側の活動と比較した場合の均衡性を欠いてしまうほか、かえって事態のエスカレーションを招き、問題をさらに複雑なものとしてしまうため、適法かつ妥当な方法とはいえません。

現在、中国は尖閣諸島における日本の実効支配を弱めるために海警局の船を活動させています。こうした中国の考えをくじくためにも、海上保安庁が行っているような継続的かつ実効的な活動が必要不可欠であるということがいえます。
ただし、明らかに中国軍や民兵が尖閣諸島に上陸しようとし、日本がそれを察知した場合は、そうではありません。無論攻撃はできます。これは、国際法上何の問題にもなりません。
これについては、週刊新潮が、以下のように記事を書いています。
尖閣周辺で中国船が挑発行為、海上民兵による上陸作戦なら海自は手出しできず
この記事から一部を引用します。
  仮に、中国軍が尖閣諸島の占領に成功した場合、自衛隊は奪還作戦を実施することになる。しかし、防衛省が島嶼奪還作戦の目玉として導入したLCAC(エア・クッション艇)とAAV7(水陸両用強襲輸送車)は、尖閣諸島のような岩場で囲まれた島嶼への作戦には使用できない。この点は、中国軍が尖閣諸島へ上陸する際の問題点と全く同じである。 
 ゴムボート等の小型船、あるいはヘリコプターを用いての上陸となるわけだが、海岸近くの海中には機雷が敷設され、海岸は地雷原となっている可能性がある。また、ヘリコプターによる降下を試みた場合、携帯式の地対空ミサイルで攻撃される可能性がある。機関銃や対戦車ロケット等による攻撃に晒され、組織的に上陸すら出来ないまま撤収することになる可能性も高い。 
 このように、占領することよりも、奪還することのほうが大きな困難を伴う。 
 となれば、少人数の特殊部隊を夜間に上陸させ、ゲリラ戦を展開して中国軍を掃討するしかない。
この記事を読んでいると、まるで大東亜戦争の頃から一歩も進んでいないような内容なので、がっかりします。

日本は、大東亜戦争中には、世界で一番優れた潜水艦を持っていましたが、潜水艦をうまく使いこなせていませんでした。ご存知のようにドイツはUボートを第一世界大戦中も第二次世界大戦中も有効に使い、実際かなり成果を上げてました。

米国もかなり有効に潜水艦を使い、大東亜戦争中には、東京湾の中に侵入し、様々な情報を得ていたといわれてます。

対する日本は、あまりうまく活用されていなかったというのが実情でした。

尖閣では、日本はこの過ちを反省して、潜水艦を有効に使うべきでしょう。まずは、常時から尖閣付近を潜航して、情報を集め、危機的な状況になれば、尖閣付近に複数隻の潜水艦を配置し、軽快にあたらせ。

中国が、航空機や船舶によって、軍隊や民兵を運んで、尖閣に近づいた時に撃沈すれば良いのです。このブログにも以前から掲載させて頂いているように、日本の潜水艦は、中国の対潜哨戒能力では、発見できません。

最新鋭の「そうりゅう型」潜水艦は、兵装としては、艦首上部に6門のHU-606 533mm魚雷発射管を装備している。89式魚雷及び、UGM-84 ハープーン 対艦ミサイルを搭載しています。また8番艦(SS-508)以降には新たに潜水艦魚雷防御システム(Torpedo Counter Measures :TCM)が装備されています。

昨年進水した「そうりゅう型潜水艦」12番鑑「とうりゅう」

中国側が艦艇で軍隊や民兵を送り込んでくれば、潜水艦で撃沈して仕舞えば、尖閣上陸は不可能です。仮に、上陸したとして、やはり潜水艦を複数配置して、補給路を絶てば、尖閣の中国軍や民兵は戦闘能力を失います。全員餓死です。

中国がヘリコプターなのどの航空機により軍隊や民兵を送り込んできた場合には、空自や海自のイージス艦でこれを撃墜すれば良いです。これも、もし上陸されてしまった場合、やはり潜水艦を複数配置し、補給路を断てば良いのです。

さらに、日本の掃海能力は世界一ですから、中国が尖閣諸島付近に、機雷を設置したとしても、すぐに解除できます。その後、日本が尖閣付近に機雷を撒けば、中国の乏しい掃海能力では、これを除去できず、事実上尖閣諸島を封鎖し、中国軍や民兵を、飢死させることができます。これが、機雷によりやりやすくなります。これは、無論日本が掃海したいと思えば、すぐにできます。

中国は、このようなことを想定しているため、本当はずっと前に、中国海軍のロードマップにある通り、尖閣諸島を含む第一列島線を確保したかったのでしょうが、結局いまだにできていません。ロードマップでは本当は、今年中に第二列島線まで確保することになっているのですが、それは絵に描いた餅にすぎません。
日本としては、中国側が上陸の気配を見せれば、このような対応して、中国がここまではしないというか、できない場合の対処としては現在海上保安庁が実施してる方式の他に、尖閣諸島への公務員常駐などを実施すべきです。
【関連記事】

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2020年7月21日火曜日

今こそ5Gからファーウェイを締め出すとき— 【私の論評】今日の英国の行動は、まさに中国の将来を予感させるもの!(◎_◎;)

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岡崎研究所

今年の1月、英国のボリス・ジョンソン首相は、5G通信網へのファーウェイの参入について、核になる重要な通信網からは除外する、35%以下の制限をつける、という条件付きで、それを容認した。当時、それを聞いたトランプ大統領が激怒したというニュースが流れた。


米国では、2019年5月に、ファーウェイは安全保障上好ましくない企業として商務省のリストに登録され、大統領は、同社との取引を原則禁止する大統領令に署名した。更に、今年の5月15日、米国は、ファーウェイへの部品供給元である台湾の「台湾半導体製造会社(TSMC)」のアリゾナ州への工場誘致と、ファーウェイへの制裁強化を発表した。

6月30日、英デジタル・文化・メディア・スポーツ大臣のダウデン氏は、議会において、英国は将来的にファーウェイを5Gに使用しないだろうと述べた。これは、米国のファーウェイへの制裁を受けての英国の政策転換であった。英国政府高官は、セキュリティ上信頼性が低くなったファーウェイを使用するわけには行かなくなったと説明する。

この件に関し、英国の秘密情報部(MI6)の元長官ジョン・サワーズが、7月5日付の英フィナンシャル・タイムズ紙で、ジョンソン首相がファーウェイの英国からの締め出しを決めたが、全ての西側の民主主義国家が中国のより攻撃的手法に対し、団結して断固たる態度で臨むことが肝要である、と述べている。

サワーズの論説の見出しは、「英国は、その5G網からファーウェイを締め出すべきである」(The UK should bar Huawei from its 5G network)であり、最初の部分はファーウェイを中心に論じているが、途中から最近の中国のより攻撃的な対外手法に論点を移している。論説は中ほどで、「全ての西側民主主義国家が、中国のより攻撃的な手法に対し、団結して断固たる態度で臨むことが肝要である」と言っているが、これが、論説が一番言いたかったことであろう。

サワーズは、論説の中で、過去6か月で過去6年よりも習近平主席の中国が分かった、と述べているが、最近、中国の対外関係でのより攻撃的な手法が目立つ。

南シナ海でのベトナム漁船への攻撃、中印国境での中国兵のインド軍への攻撃などがあったが、香港での国家安全維持法の制定もその一環と考えてよいだろう。

このような攻撃的な手法は最近「戦狼外交」と言われている。「戦狼」とは、2015年と 2017年に中国で大ヒットしたアクション映画シリーズのタイトルで、国内外の敵から中国の国益を守る戦いに身を投じる戦士を意味するらしい。中国の環球時報は4月に欧米に戦いを挑む中国の「戦狼外交官」を称賛したという。習近平はこのような攻撃的な対外手法を今後とも続けるのではないか。

それに対して、西側諸国は、サワーズの言うように、団結して断固たる態度で臨む必要がある。そして中国が攻撃的な対外手法を続けることが中国にとって得にならないことを知らしめることが重要であろう。

今や世界第2の経済大国となった中国と関係を持たないわけにはいかない。これは貿易面のみならず、投資面においても言えることだろう。要は中国に対する過度の依存が政治的リスクを伴うものであることを常に自覚して行動することが必要であると思われる。

【私の論評】今日の英国の行動は、まさに中国の将来を予感させるもの!(◎_◎;)

ここのところ、英国は矢継ぎ早に、中国への対抗措置を打ち出しています。

今月、19日に英国は、中国西部・新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)のイスラム系少数民族に対する中国政府の対応に「吐き気を催すような甚だしい人権侵害」があると非難し、「深い憂慮」を表明しました。 人権団体や専門家は、ウイグル人をはじめとするチュルク語(Turkic)系の少数民族100万人超が拘束され、各地の強制収容所群に収容されているとみています。

中国の劉暁明駐英大使は19日朝、BBC番組「アンドリュー・マー・ショー」に出演し、新疆ウイグル自治区でウイグル人が目隠しをされて列車に乗せられている様子に見えるドローン映像を見せられて、「何の映像か分からない」と述べのべました。 劉大使はさらに、中国政府が新疆ウイグル自治区でウイグル人女性の不妊手術や妊娠中絶を強制しているという現地報道を否定しました。

ドミニク・ラーブ(Dominic Raab)英外相は、新疆ウイグル自治区で強制不妊手術や大量拘禁が行われているとの報告に、もっと国際社会が注目する必要があると主張し、「吐き気を催すような甚だしい人権侵害が行われているのは、明らかだ」「深く、深く憂慮している」とBBCに語りました。

今月14日付の英紙タイムズは、空母「クイーン・エリザベス」を中核とする空母打撃群が来年初め、初の本格任務として極東に派遣される計画が進んでいると、英軍高官らの話をもとに報じました。

2017年に就役した「クイーン・エリザベス」は、全長約280メートル、排水量約6万5000トンで、英海軍史上最大級の艦船。艦橋が前後に2つある特殊な形状をしています。自衛隊も導入する垂直離着陸可能な最新ステルス戦闘機「F35B」を運用します。

英国が、東アジアを含めたグローバルな安全保障にコミットする姿勢として大きな意味を持池ます。『クイーン・エリザベス』は、海上自衛隊最大のヘリコプター搭載型護衛艦『いずも』より大きく、米海軍の原子力空母『ロナルド・レーガン』よりは小さいスケールです。

クイーン・エリザベス
人権や民主主義の本家である英国が見せた今回の果敢な対応は、歴史的な一歩です。次は、フランスやドイツなど欧州の他の先進国の姿勢が問われるでしょう。これまで尻込みしていた国も、米英に追随するケースも出てくるはずです。中国が反発して報復に出れば、かえって国際社会から見放されることになるでしょう。

英国がこのような姿勢に転じたのは、なんといっても香港の問題があるでしょう。中国が6月末、香港に施行した国安法は、中英共同宣言で保障した2047年までの「高度な自治」に明確に違反するものです。香港の旧宗主国である英国をはじめ、米国や日本など先進7カ国(G7)は事前に、国安法導入に「重大な懸念」を伝える外相共同声明を発表していたが、中国はまったく聞く耳を持ちませんでした。

ボリス・ジョンソン英首相は今月初め、統治時代に香港市民に発行した「英国海外市民(BNO)旅券」の保有者を対象に、英市民権を付与する道筋をつける意向を表明しました。英国は、香港で中国に理不尽な思いをさせられたので、覚醒したと言えるでしょう。

それ以前の英国は、中国とのビジネス関係を失いたくなかったせいでしょうか、かなり歯切れの悪いものでしたが、完璧に吹っ切れたようです。

ボリス・ジョンソン英首相
昨年、トランプ大統領が、中国経済に大きなボディブローをくらわし、習近平を土俵際まで追い詰めたところで新型コロナウイルスが起こりました。トランプの経済制裁により、殆どの中国の産業の輸出がストップし、中国不動産バブルも弾け始めています。中国経済はやがて崩壊すると多くの人が言っています。

しかし中国共産党はしぶとく、簡単には崩壊しないでしょう。習近平はコロナウイルス災害を逆手に取り、形勢の挽回に動き出しました。こうした疫病によるショックを封じ込むのは、情報統制をし、人民を犠牲にする全体主義的な中国共産党国家の方が民主主義国よりやり易いです。

中国はコロナウイルスを封じ込めるために、徹底した都市のロックダウンをし、ITにより個人の行動管理を実行しました。キャシュレスの支払い記録、スマートフォンによる個人の位置情報と全国に張り巡らせた監視カメラ網による顔認証のデータをもとに感染を終息させつつあるといわれています。

4月8日に武漢の都市封鎖を解除し、中国は、いち早くコロナウイルスを退治したので,まだコロナウイルスと闘っている国ぐにを助けるとして、マスク外交や医師団を派遣するという大キャンペーンを繰り広げており、その情報戦を繰り広げています。

習近平は素早く中国内では最早奴隷同然のウイグル人をも動員して、中国の産業の生産開始の号令をかけました。中国はコロナウイルスが発生しても、半導体と通信機器の生産は中断することなく稼働を続けてきました。

こうして中国はこのコロナウイルスを逆手に取って、米国の覇権の座に迫ろうとしていると見るべきです。リーマンショックの時も、中国は、間髪を入れず4兆元を投下し、結果的にこれで輸出を伸ばして貿易黒字として米ドル3兆ドルを獲得し、この資金で中国は「一帯一路戦略」を進めたのです。それにより中国は米国に挑戦できるという自信を得たのです。

米中がデカップリングしても、中国は14億人の市場を持っており、その中で新しい生産・市場関係を創り、経済を維持することができるでしょう。更に一帯一路でアジア、ヨーロッパ、アフリカを取り込み、版図を更に拡大していく可能性があります。

しかし、習近平が恐れているのはトランプが仕掛けようとしてる「米国による中国在米資産の凍結」、「米国の中国に対するコロナウイルス災害に対する賠償訴訟」、「在中国の日本企業とアメリカ企業の中国からの引き上げ」、「米国株式市場に上場している中国企業の上場廃止」等々です。

そこにきて、今回の英国の動きです。この動き、日本はもとより、EU諸国もいずれ巻き込むでしょう。そうして、トランプ氏の対中国制裁に追づいすることになるでしょう。

そしてこれは、「共産党の内部の抗争」、「中国の民衆の政府への反乱」へと結びつくことになるでしょう。

共産党内部の抗争は間違いなく激化します。中国共産党員のほとんどは、共産党員になることにより、中国では最も重要な人脈を得られるから入党します。なぜ人脈が必要かといえと、もちろん金儲けのためです。

この人脈が曲者で、ある特定の人物が失脚すると、それに連なる人脈も同じく失脚するというのが常です。そうして、習近平の失政により、財産を凍結されたりして実害を受けた共産党員は、習近平に恨みを抱くことになるでしょう。

金の切れ目が、縁の切れ目です。そのような共産と幹部が増えるに従い、中国共産党の統治の正統性は崩れていくことになるでしょう。そうなれば、民衆の反乱につながることになります。

そうして、中国共産党は崩壊することになるかもしれません。そうでなければ、米国は、中共を経済的に弱体化させ、少なくともソ連崩壊後のロシアのような状態にまで弱体化させることになるでしょう。

崩壊直前のモスクワ。物資不足のためどこへ行っても行列が目立った

かつての、ソ連は日本に追い越されるまで、GDP世界第二位でした。今日のロシアのGDPは、韓国もしくは、東京都と同程度の水準です。10位以内にすら入っていません。

現在は、復活しましたが、軍事費も日本のそれを下回ってる時もあったほどです。ただし、そうは言いながら、現在のロシアは、旧ソ連の核と軍事技術やノウハウを継承しているので、決して侮ることはできません。旧ソ連の核弾頭は、今でもロシアに温存され、いつでも発射できます。

しかし現在の状況では、ロシアが一国で、大規模な軍事作戦を遂行したり、米国のように効果のある経済制裁などはできません。今では、米国抜きのNATOとも戦争はできないでしょう。すれば、負けます。

旧ソ連は、第二次世界大戦に勝利して、当時の東欧等から様々な資産を奪い、特に東独から多くの科学者を連れてきて、彼らに軍事や宇宙開発、民生品の開発をさせ、経済発展をしました。これは、50年代の米国の経済学者によって暴露されました。

その経済学者によると、ソ連の経済は簡単すぎるほど簡単で、投入=算出でした。50年代でも、他国の資源や技術を奪い続け、多くの資源を投入することによって、経済発展していたのです。つまり、何の付加価値もつけずにただ、投入されたものを算出するだけの経済だったのです。

この意味するところは、放置しておいても、ソ連経済は崩壊するということでした。その後のソ連は、体質的にあまり改善されることなく、崩壊しました。

ソ連邦の人口は、最大で約3億でした。今日のロシアは1億4千万人です。これに比して、中国の人口は、現在約14億人ですから、先にも述べたように、中国は自国の経済だけでも十分成り立つ可能性があります。

ただし、ソ連は、第二次世界大戦直後から他国から奪って資源で、経済的にも超大国になり、それだけでなく、強大な軍事力を用いて、自らの経済圏を作り、他国の資源を簒奪したり、今の中国と同じく、他の先進国の技術を剽窃し、しばらくは超大国として経済発展を続けることができました。

しかし、中国は違います、当初は発展途上国であり、最近GDPを伸ばして、国全体では世界第二のGDPを達成しましたが、一人当たりのGDPでは、英国にも及びません。さらに、致命的なのは、「一帯一路構想」は未だ、構想の段階であり、それに向けての準備はなされていますが、旧ソ連のように、他国の富を簒奪できるような状況ではありません。逆に、現在は様々な国々に投資をする方が多いです

例えば、スリランカのハンバントタ港が2017年7月より99年間にわたり中国国有企業・招商局港口にリースされています。これは、中国がスリランカに投資をして、それをスリランカ政府が返すことができず、借金の方として、中国に取られたようなものです。

これでは、一見中国丸儲けのように見えますが、ハンバントタ港を所有している事は、利益にはなりません。この港が金のなる木であれば、スリランカをそれを手放すことはあり得ません。では、どうなるかといえば、管理費が嵩むだけの話です。これでは、何の富も生み出しません。

中国の国際投資は、国際投資の常識(自分の国よりはるかに経済発展している国に投資すると儲かる)を知らないためか、このようなものばかりです。

この状況で、米国から経済冷戦を挑まれ、さらに英国などの国々も次々とこれに同調すれば、中国も旧ソ連と同じ運命を辿ることは想像に難くないです。

今日の英国の行動は、まさに中国の将来を予感させるものです。

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2020年7月20日月曜日

コロナ「第二波到来」で、「Go To キャンペーン」は延期が正解— 【私の論評】政府は財務省なしの政府・日銀連合軍で第二波、第三波のコロナ禍を余裕で乗り切れるし、そうすべき!(◎_◎;)

経済回復がかえって遅れる可能性も


悪い予感が当たった

とうとう、恐れていたことが起こってしまった。

コロナ「第二波」がきたのだ。本コラムでは、6月下旬からその可能性を指摘してきたが、残念ながらそれはイヤな方に当たってしまったようだ。

まず世界の状況から見てみよう。世界も第二波で苦しんでいる。累積感染者数の多い国(アメリカ、ブラジル、インド、ロシア、南アフリカ、ペルー、メキシコ、チリ、イギリス)とスウェーデン、ノルウェー、ドイツ、イタリア、オーストラリア、インドネシア、韓国、日本を取り上げ、人口100万人あたりの新規感染者数を7日移動平均でみれば、以下の通りだ。

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縦軸は対数目盛なので、一つあがるごとに一桁違いになる。おおざっぱにいえば、100万人あたり10人以上か以下かでは天と地ほどの違いがある。日本でいえば、新規感染者数が1200人より高いか低いかだ。

7月19日のデータをみると、南アフリカ208.82、アメリカ200.16、ブラジル157.95、ペルー116.07、チリ100.43、ロシア49.92、メキシコ48.36、スウェーデン33.71、インド23.61が「高いグループ」、イギリス10.76、オーストラリア10.58が10人の「ボーダー」、インドネシア5.67、ドイツ4.72、日本3.97、イタリア3.28、ノルウェー1.32、韓国0.91が「低いグループ」であると言える。

これから述べるように、日本国内では「第二波」の到来を強く危険視されているが、世界と比較すれば、100万人あたりの新規感染者数が60人を超えたドイツや90人を超えたイタリアが落ち着いている水準で、決して悲観するような状況でなく、むしろ良好な部類だ。

PCR検査数は増えているが

新規感染者数の次は、人口100万人あたりの死者数を見てみると、以下の通りだ。
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日本は他国に比べて格段に低い状況だ。これは、日本が医療崩壊なく、上手く対処してきたといえる。

この理由はまだはっきりしていない。アジア・オセアニアが欧米に比べて感染者数が桁違いに低いことが一因だが、正確なことは当分わからない状況が続くだろう。

一時BCG接種の有無が差を分けたといわれていたが、ロシアはBCG接種国であるが感染者が多く、オーストラリアはBCG非接種国だが感染者数は少ないなど、それほど単純ではないようだ。

特に、マスコミが取り上げるものは、マスコミがもともと論文のサーベイをしたこともない素人なので、話題先行かつ学術的には意味があるのは少ないと筆者は見ている。いずれにしても、不確実な仮説を前提にして、対応策は決め打ちできない。

こうした世界の情勢の中で、日本が第二波を迎えている。筆者の読者には、恒例のグラフだ。2日に1日くらいのペースで公表しているものだ。


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これを見ると、日本が「第二波」が来ていることは間違いない。PCR検査数の増加がこのグラフに影響しているのは事実だが、第一波の過ぎ去った6月中旬と現在のPCR検査水準と今はそれほど増えていないにもかかわらず、劇的に陽性率が上昇しているので、市中感染が拡がっていると判断せざるを得ない。

「スウェーデンモデル」は危険

この第二波は、仮に4~5月のような自粛をただちに実施した場合、感染拡大のピークは今月中、第一波と同じようなインパクトになるだろう。もっとも、後述するが、自粛がうまく行かないと、大きさは第一波を超える可能性も残されている。

先ほど述べたように、第二波が拡がっているとしても、世界の水準から見ればたいしたことはないと、経済最優先で対策をまったく打たない方法も考えられる。

だが、これはやや危険なギャンブルだ。実際、スウェーデンやブラジルは経済を最優先したが、今の感染者数と死者数は悲惨な状況だ。日本でも100万人あたり10人程度の「ボーダー」にすぐになってしまう可能性もある。すると、1日当たりの新規感染者は1200人程度まで増加し、医療崩壊が起こり、死者数が急速に増えるかもしれない。

無難な策は、第一波と同じように対応することだ。第一波では、緊急事態宣言を行い、各都道府県知事が休業要請を行い、一定の休業補償をした。学校を休校するかどうかはそれぞれの判断に任されたが、今回も状況がわからないうちでは同様に休校措置などを取っても仕方ないだろう。

だが、そのような状況にもかかわらず、最悪のタイミングで「Go To キャンペーン」が始まろうとしている。これから述べていくが、経済的なV字回復を目指す策としては有用だが、今やるタイミングでないのは明らかだ。

そのうえ、コロナの感染の再拡大をめぐり、菅義偉官房長官が「東京問題」と表現したことに対し、小池百合子都知事は「むしろ国の問題」と反論。今の新型インフルエンザ等対策特別措置法基づく感染症対策の国と都の役割分担には隙間風が吹いているようだ。

口を出すか、カネを出すか

菅官房長官は「新規感染者数の大半が東京だ」と言うが、小池都知事は、観光需要喚起策としてのGo To キャンペーンと感染対策の整合性をどうするかは「国の問題」としていた。

新型インフルエンザ等対策特別措置法では、国は緊急事態宣言発出、基本方針策定、都道府県の総合調整を行い、都道府県知事は団体・個人への協力要請、緊急事態時に外出自粛、休業の要請・指示を行うとされている。

こうしてみると、知事の権限はやや強化されている。ただし、休業要請では休業補償をともなうのが前提だ。東京都は財政状況が良いのでまだいいが、その他の道府県は財政余力がなく、再び補償を伴う休業要請を出すことは難しい。

そうなると、国は「口を出すか、カネを出すか」の塩梅をどう調整するかにかかっている。「口を出さず、カネも出さない」、つまり休業要請も補償もしないというのなら、是非はともかく首尾は一貫している。

東京都からすれば、「口は出すがカネは出さない」今の国の姿勢が鬱陶しいのだろう。東京はともかく、コロナのような緊急事態では、財政力のない地方に対して国は「口を出さないがカネを出す」くらいなのに、現状は真逆だ。

東京は、北海道のように独自に非常事態宣言し、休業要請を行い休業補償しても構わないというのが、菅官房長官の本音だろう。同氏は、総務大臣を経験していて、かなりの地方分権論者である。

一方、小池都知事は、都知事選は大方の予想通りに圧勝だった。ただし、政治家として、彼女の威光とモチベーションが来年の東京五輪まで待つのかというところもある。もし東京五輪が中止になれば、政治家としてのレガシーもなくなる。

それ以前に、今秋にも国政で解散総選挙という可能性もある。となれば、小池都知事には、秋の解散総選挙に乗じて、国政復帰という選択肢を取るかもしれない。
間の悪い「Go To キャンペーン」

明らかな感染拡大第二波の到来、国と都の補償の考え方のズレが色濃くなるなかで、「Go To キャンペーン」はあまりに間が悪い。これは「観光業のドン」と言われ、全国旅行業協会会長である二階俊博自民党幹事長の肝入りの政策であることは明確だ。

一次補正予算で1.7兆円の予算をもらった以上、官僚としては何としてもやらなければならないという使命感もあっただろう。夏の旅行シーズンを目前にして、いきなり止めることもできない、と言うのが彼らの本音だ。ちなみに、8月の1世帯当たり旅行費(家計調査)は他のつきに比べて5割増しになる傾向がある。

5月の総務省家計調査によれば、実質消費支出は前年同月比▲16.2%と、記録的な落ち込みだった。そのうちでも、「教養娯楽」の宿泊料▲97.6%、パック旅行費▲95.4%と、旅行関係は壊滅的だ。

また、ゴールデンウィーク期間における旅客数は国内線ANA▲96.5%、国内線JAL▲95.1%、国際線ANA▲97.3%、国際線JAL▲99.1%と、こちらもほぼ全滅だった。

このままでは、明らかに観光業は壊滅してしまう。もっとも航空大手であれば、倒産時に国が資本注入し、倒産しながらも経営を継続することができる。だが、観光業の大半を占める中小企業は、数ヵ月先にも倒産ラッシュになるのが見えている。

まずは休業補償を

これまで述べてきたことを整理するとこうだ。日本では、コロナによる感染者数、死亡数より経済損失のほうが社会に対する悪影響が大きいと予想される。かといって、何も対策しなければ、海外諸国のような感染爆発が広がり、死者も急激に増えるかもしれない。

であえば、それを未然に防止するためにも、そこに、休業補償などの形で財政支出をするのが適切な政策になる。そのひとつが「Go Toキャンペーン」であるが、結局のところ東京都抜きで実施しても大きな需要喚起にはつながらないだろう。

筆者は、まずコロナの感染拡大を防ぐのが第一であり、それが解決したら経済活動を復活させるべきと考えている。といっても、過度に自粛を続けると、先に日本が「経済的な死」を迎えてしまうかもしれない。

つまり、コロナ防止と経済活動を両立させるためには、当面は休業補償で凌いで、再びコロナを抑え込んだタイミングで「Go Toキャンペーン」をやればいいのだ。

そこで、6月22日付け本コラム(小池都知事に勝てるのか? 山本太郎氏「15兆円コロナ対策」の現実味)でも書いたが、東京都は財政に余裕があるので、東京の旅行業者の休業補償をすればいい。

と同時に、国でも東京以外の旅行業者の経済支援をしたらいい。筆者がこのように考えるのは、本コラムで既に書いているように、国もバランスシートをみれば財政はまったく悪くない、と言い切れるからだ。

政府と日銀の「連合軍」を活用せよ

特に国は、今回の補正が政府と日銀の「連合軍」で実施され国の財政負担は実質的にない。これについては 6月8日付け本コラム(160兆コロナ補正予算をバラマキと批判する人の「話にならない」現状認識)を参考にしてほしい。

いまだに、多くのマスコミでは、今回の補正により将来世代に負担が増えたと説明しているが、それは間違いだ。なお、財務省も、7月2日財政審会長談話として、財政悪化を述べているが、それも正しくない。

この「連合軍」を活用しない手はない。まずGo To キャンペーンを延期し休業補償で凌いで、いいタイミングで再開がベストシナリオだ。休業補償なしでGo Toキャンペーン強行はかえって経済を悪くするかもしれない。

観光業は20兆円程度の市場規模だ。そこで3ヵ月程度の補償を行うと考えれば、財政支出は5兆円程度になる。国の財政は、1,2次補正予算のほか、あと100兆円程度は「悪質なインフレ」を起こさずに対応できるだろう。併せて、医療従事者など医療業界にも追加支出をすればいい。2次補正で予備費は10兆円があるが、必要なら「3次補正」も視野に入れるべきだ。

【私の論評】政府は財務省なしの政府・日銀連合軍で第二波、第三波のコロナ禍を余裕で乗り切れるし、そうすべき!(◎_◎;)

新型コロナウイルスと共存するには、感染防止対策と経済活動を両立させることが必要になりますが、そのバランスを上手くとることが、いかに難しいことであるかがよくわかりました。

政府は、観光支援事業「Go To トラベル」の補助対象から、感染拡大が急増する東京都を除外して、7月22日から強引に見切り発車するようですが、メディアの世論調査では、このタイミングでの開始に大多数の人が「反対」と回答、スタート直前でエンスト状態のようです。

GoTo Travelのポスター
きょうの朝日によると、18、19日に実施した全国世論調査では、22日から始めることに、74%が「反対」、「賛成」はわずか19%でした。開始時期や対象地域を決めるまでの安倍政権の一連の対応も「評価しない」が74%を占めたといいます。

日経の世論調査でも22日の開始については「早すぎる」と答えた人は80%もいたといいます。

さらに、きょうの東京が1面トップで『「GoTo全面延期」62%、緊急事態再発令を66%」と、大見出しで取り上げていましたが、こちらは共同通信の世論調査の結果です。それによると、「Go To トラベル」を巡り、東京発着の旅行を除外した政府対応を尋ねたところ「全面延期すべきだった」との回答が62.7%に上ったといいます。「他に感染が拡大する地域も除外」17.0%、「適切」14.0%、「予定通り実施」はわずか4.6%でした。

また、 緊急事態宣言については「再発令すべきだ」との回答は66.4%。「必要ない」が27.7%だったといいます。

ゴールデンウイークも外国人観光客のインバウンド需要も空振りだった観光業界が、夏休みに入るこの4連休に合わせて開始する「Go To トラベル」のキャンペーンに大きな期待を抱いていることは痛いほどよくわかります。もてなす側の防止対策が万全だとしても、コロナ感染の恐怖が道連れの旅では足が止まると思います。

これは、多くの国民の正直な考えだと思います。私もそう思います。そもそも、政府は3月あたりからGO TO キャンペーンの内容を公表しており、その時は7月でも本当に国内旅行ができるようになるのか、かなりの疑念を持ちました。その疑念は現実のものとなりました。

政府が進め、7月22日にはスタートするGoToトラベルキャンペーンですが、キャンペーンからの東京除外をめぐり、政府が補償しないとしていたキャンセル料を政府は一転して、肩代わりで補償する方針を固めました。

やはり、現在「GO TO トラベル」をするには、かなり無理がありそうです。現象は、様子を見て、現状は、高橋洋一が言うように、Go To キャンペーンを延期し休業補償で凌いで、いいタイミングで再開がベストシナリオのようです。それに、休業補償なしでGo Toキャンペーン強行はかえって経済を悪くする可能性の方が大きそうです。

そんなことよりも、政府は旅行業界のみならず、飲食店などの他の業種の休業補償や、家賃補填なども視野にいれるとともに、第二次補正の10兆円など早々に使用目的を定め、2回目の現金給付や、減税、医療機関に対する補助も視野に入れた、第三次補正予算に取り組むべきです。

そうして、このようなことは緊縮大好きの、財務省に対応させては、できるものもできなくなります。

やはり、政府と日銀との連合軍が担うべきでしょう。政府が大量の国債発行によって財源調達を行うが、その一方で、日銀がその国債の買い入れを行います。これによって政府が巨額の有効需要を創出でき、不況の下支えをする。まさに大恐慌スタイルの経済政策です。

麻生太郎財務相と日銀の黒田東彦総裁は5月22日午後、新型コロナウイルスへの対応を巡り面談しその後「事態収束のためにあらゆる手段を講じ、収束後に日本経済を再び確かな成長軌道に回復させるため、一体となって取り組んでいく」との共同談話を出しました。両者が共同談話を出したのは、英国の欧州連合(EU)離脱を巡って市場が混乱した2016年6月以来3年11カ月ぶりです。政府日銀連合軍が出来上がったのはこの時のようです。下の写真は、この共同談話発表の時のものです。



このやり方をとっていますので、第二次補正予算は、税金を用いていません。マスコミや似非識者の中には、何かと言えば「血税」とか「バラマキ」などという人もいますが、これは大嘘です。緊縮病で頭が狂った財務省が言うのならわかりますが、バカもいい加減にしろと言いたいです。

この政策のリスクは、インフレ率が高まることです。しかし、日本はもともとコロナショック以前から、物価目標する達成しておらず、さらにコロナ・ショックは基本的に需要蒸発した需要ショックなので、当面はインフレというよりデフレを心配すべきときです。

政府日銀連合軍が潤沢な資金を政府に、提供すれば、「GOTOトラベル」など全面的に廃止し、キャンセル料を補填するどころか、旅館、飲食店等に対して、休業要請や家賃補填などできます。その他の補償もできます。日本政府は、この位のことをしても財政破綻する心配など全くありません。

そうして、このような政府と日銀の連合軍の動きを今後も活発化させ、いざというときは、政府が国債を発行し、それを日銀が買い取るという方式を定着させていただきたいものです。

コロナによってこのような連合軍が成立したのですから、これはコロナ禍でもたらされた、唯一の良いことかもしれません。

コロナが終息した後にも、地震や台風などの大震災が発生した時や、リーマンショック並みの経済の悪化が生じたときに、速やかに政府日銀連合軍で政府が大量の資金を調達できるようにし、緊急時に素早く積極財政と、無制限緩和を実行できるようにしていただきたいものです。

そうして、この政策は、欧米では定番の政策です。日本もこの定番ができるようにすべきです。

そうて、財務省は、国債発行係と、徴税係だけをするようになれば良いと思います。どうせ緊縮病で頭が使えないのですから、その係だけをやったもらったほうが良いです。

ひょっとすると、これは、コロナ終息後に、コロナ禍の唯一の良い置土産になるかもしれません。

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2020年7月19日日曜日

トランプ:「経済全体と生活様式そのもの」を脅かすバイデン6つの方策— 【私の論評】バイデン圧倒的有利とは米国メディアが作り出した幻想! 実態は五分五分と認識すべき!(◎_◎;)

トランプ:「経済全体と生活様式そのもの」を脅かすバイデン6つの方策

<引用元:ワシントン・エグザミナー 2020.7.17>ワシントン・シークレット論説

マスクをしたトランプ大統領

2016年にドナルド・トランプが突然の称賛を受けたせりふは、新規制を1つ提案するごとにオバマ時代の規制を2つ廃止するという約束だった。

現在、1つの新規制ごとにコストのかかる7つ以上の規制を撤廃することでその約束の3倍を遂行した後、トランプ大統領は撤廃した規制をジョー・バイデン政権が復活させ―さらに増やしさえするだろうと、2020年大統領選に向けて警告している。

「我々の経済全体と生活様式そのものが、今までに見たこともないような切れ味の悪い連邦政府規制の手段によって、国を転換して地域社会を従属させるというバイデンの計画に脅かされている」とトランプは16日、規制撤廃の先触れをするためのホワイトハウスのイベントで語った。

「彼らは過去に課したものを何倍にもしたいと考えている」とトランプは続けた。

一方民主党の大統領対抗候補者のバイデンは、自身の計画で米国人の安全が高まり、雇用が増加すると主張している。

政権当局は本紙に、規制撤廃の取り組みによって政府と世帯のコスト削減が実現してきたと述べた。歳出では2千億ドルが削減され、家庭では年間3,100ドルの節約となったと彼らは述べた。また、処方薬の費用は10パーセント削減され、自動車の潜在的コストは2,000ドル削減されたと付け加えた。

イベントでトランプは、バイデンの下ではそれが消え、(コストが)増えてしまうだろうと述べた。「彼らは私がここに来る前のように、ワシントンの官僚主義という息の詰まるような、容赦ない土砂の下に経済を埋めたいと思っている」とトランプは語り、民主党が提案した6つの変化の例を示した。


  1. パリ気候協定の復活。「彼らは雇用を損なう、不公正なパリ協定に再加入することを提案しているが、そのために国に何兆ドルもの費用が課せられ、世界に比べて競争力がとても、とても悪化することになる」とトランプは語った。
  2. ゼロエミッション建築の義務付け。「私はたくさんの家、たくさんのビルを建設する者だ。これを見たら、良さそうに見えない。まだ売る必要があるでしょう?まだ売る必要がある。だが彼らは手の届かないようにしてしまう。コストの観点から。現実的でないし、良くないし、うまく行かない」とトランプは語った。
  3. エネルギーでの二酸化炭素排出の廃止。「この連邦政府停止命令の結果、エネルギー産業全体と他の多くの産業が大規模に破滅し、地域社会全体の経済的な機能停止状態となり、我々の何百万もの最高の雇用を外国と外国の汚染者に自由にオフショアリングすることになる」とトランプは警告した。
  4. グリーンニューディール。「あれは何と狂っていることだろうか?だが彼らは実際にそれを実行しようとしている。この国の終わりを意味することになるだろう」とトランプは語った。
  5. 郊外住宅規則の書き換え。「D.C.の民主党ははるかに高いレベルで、ワシントンの極左官僚に地域の都市計画の決定を任せることで、我々の美しく成功した郊外を破壊してきたし、そうしたいと望んでいる。彼らは単一家族の都市計画を撤廃し、すでに建てられている家と地域社会の価値を破壊しようと実に堅く決心している」とトランプは語った。
  6. 警察活動の規則変更。「バイデン・バーニー計画では、連邦政府規制という武器を使用して、現金の保釈金を廃止することで警察署の自由も奪うつもりだ―考えてみて欲しい。考えてみて欲しい:保釈金のことだ。『問題ない。誰かを殺したって?釈放しろ』という話だ」とトランプは語った。


トランプは選挙運動をテーマにした掛け声でこう締めくくった。

「社会主義者と違い、我々が正当性を信じるのは人々のルールであって、自分たちのやっていることが分かっていない非選出の官僚のルールではない。我々が正当性を信じるのは個人の尊厳であって、国の強い支配力ではない。我々の規制改革は経済の発展だけでなく、民主主義の力と自由そのものの存続のために不可欠だ」

【私の論評】バイデン圧倒的有利とは米国メディアが作り出した幻想! 実態は五分五分と認識すべき!(◎_◎;)

バイデン氏に関しては、上にトランプ氏が示したことのほかに、2つほど残念なことがあります。この2点において、私はトランプ大統領の再選は、日米のメディアで言われているように、バイデンが圧倒的に有利ということはなく、現時点では互角であると思われます。

バイデン氏の残念なところの第一は、増税を表明したことです。というより、民主党の大統領候補者は、全員が増税を掲げていたのですが、バイデン氏は最近さらに踏み込んだ増税に言及しました。



バイデン前副大統領は9日、新型コロナウイルス危機に見舞われた米製造業の復活に向け、4年間で総額7000億ドル(約75兆円)の公共投資計画を発表しました。投資額は「第2次世界大戦以来で最大規模」と強調。財源確保のため将来の増税に言及し、減税を掲げるトランプ大統領との違いを鮮明にしました。

具体的には、再生可能エネルギーやインフラ整備に絡む米国製品購入に4000億ドル、次世代技術の研究開発に3000億ドルを投じます。公共投資に大きな比重を置き、減税や規制緩和を通じた民間企業支援に注力するトランプ氏との差別化を図りました。世論調査では、経済に限ってはトランプ氏がほぼリードしており、てこ入れを狙った形です。

一方、公共投資には財源問題も付きまといます。バイデン氏は「トランプ減税」を撤廃して連邦法人税率を現行の21%から前政権時代の28%に戻すと改めて主張しました。これまでに富裕層課税や所得税増税も取り沙汰され、金融市場では「バイデン氏勝利」への警戒感がくすぶっています。

バイデン氏はこの日、民主党の急進左派が提唱する高齢者向けの医療保険改革や環境規制には一切触れませんでした。「反ビジネス」色の強い政策を打ち出せば、「トランプ氏の離反票や無党派層を取り込めない」(バイデン陣営関係者)と判断したからです。2016年の前回大統領選では、党内対立が敗因の一つに挙げられており、政策の擦り合わせが大きな課題になりそうです。

この増税発言は致命的だったと思います。この発言さえなければ、先ほど述べたように、バイデン氏とトランプ氏は互角などとはとても言えなかったと思います。

コロナ禍で相当ダメージを受けている米国経済ですが、こうした大規模な災害の直後には米国等欧米においては、積極財政と無制限の金融緩和をすることが定番になっています。

日本では、これが定番となっておらず、東日本大震災の後に復興税を導入し、その後も日本経済が、デフレから完全に脱却していないにも関わらず、2014年と2019年の二回にわたって消費税の増税をしました。

日銀は、安倍内閣が成立時より、金融緩和に転じていましたが、数年前からは、物価目標をいまだに達成していないにも関わらず、イールドカーブ・コントロールを実施し、緩和は実行しているものの、抑制的な緩和に転じていました。

日銀は先月15-16日の金融政策決定会合で現行の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き量的・質的金融緩和の継続を賛成多数で決めました。ただ、このブログでも述べたように、10万円の所得制限なしの給付金の実施をめぐって、日銀と政府自民党との連合軍ができたようで、今後どのような展開を見せるか注目です。

いずれにせよ、日本では積極財政と無制限の金融緩和を同時に進行するということが、定番になっていないことは確かです。なぜ金融緩和を同時に行わなければならないかと言えば、ざっくりといえば、災害時の復興では、お金への需要が高まるのは当然のことで、これを放置しておけば、結果として円高となり、復興から立ち直ろうとしている経済に悪影響を与えるからです。

米国では、定番となっている、経済政策である積極財政すべきという王道の政策を、バイデン氏は増税すると発表することで、この政策を真っ向から否定してしまったのですから、金融業界や産業団体、それに国民から不興を買うのは当然のことです。

さて、第二は、バイデン氏の「アルツハイマー症疑惑です」。平たくいうと、バイデン氏のボケ問題です。これは私自身も、バイデン私の演説をテレビで視聴したときに、危惧の念を抱きました。

米国人口は、約3億人ですが、バイデン氏はこの事実を認識していれば、間違えるはずのない、統計数値を、演説の中で二度、三度と間違えていました。明らかに桁を間違えていたです。


3月2日テキサス州で開かれた集会でもバイデン前副大統領は「スーパー・チューズデー(火曜日)」を「スーパー・サースデー(木曜日)」と言いかけたり、演説の決定的な部分で引用するはずだった米国の独立宣言の有名な一節「すべての人間は生まれながらにして平等であり、その創造者によって、生命、自由および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている・・・」を思い出せませんでした。

「すべての男性も女性も生まれながらにして・・・・ほらあれだよ。分かるだろう」

ボケは、かつては日本では「老人性痴呆症」と呼ばれました。痴呆では差別的だ、という批判が起こり、その後「認知症」に言い換えられたのですが、正確には「認知困難症」ではないでしょうか。「認知症」というのは意味不明だと思うのは、と思うのは私だけでしょうか。

米国の大統領選挙では、かねてからトランプの劣勢が伝えられていますが、このブログでも何度か説明させて頂いた通り、メディアのほとんどは、民主党に押さえられていますから、共和党に有利な情報は報道しません。

そのため、いわゆる情弱の人たちの間では「バイデンが必ず勝つ」と思い込んでいるようです。しかし、白人富裕層は本音を押し隠しているようです。前回の大統領選挙では、ヒラリー有利で、絶対勝つとメディアが煽っていましたが、蓋を開けたらトランプの勝利に終わったではありませんか。

米国の白人の多くは、今でもトランプに心酔しています。やっと白人層の意見を代弁してくれる大統領が戻ってきた、と。また、白人に有利ということだけではなく、トランプ氏が大統領に就任してから、黒人の失業率がかなり改善されました。

現在トランプが経済政策上批判を受けているのは、もっぱら彼に落ち度のない武漢ウイルスのせいによるものです。無論、感染後の不手際もあるのでしょうが、私は米国の黒人養護デモで集まった多数の人々の様子を見て絶句しました。

感染の最中にあれほどの人が集まるのですから、感染が爆発的に広がるのは当然といえば、当然です。最近は、共和党側の人が「マスクをつけない権利」を主張しているのが、テレビで報道していますが、どの組織にも変わり者はいるもので、私自身はあれは、トランプ氏に対するネガティブキャンペーンの一環だと思います。

感染拡大がトランプ政権だけの責任であるとはとても思えません。日本では、感染症に関する識者とされる人が、米国にはCDC(アメリカ疾病予防管理センター)という、感染症の専門組織があるので、感染症に強いなどと、なぜか得意げに解説していましたが、CDCは一体何をしていたのでしょうか。

このような状況では、仮にヒラリー政権であったとしても、同じような結果になっていたのではないでしょうか。

バイデン氏は、77歳です。バイデン氏は、民主党の候補者の中でも、一番穏健な左派であり、かつては副大統領を務めた経験から大統領選挙の候補者として指名を受けたのですが、彼がどうやら認知症を患い、とんちんかんなコメントを連発しているのは米国で広く知られています。

トランプ氏は、年齢は74歳であり、バイデン氏と比較して、格段に若いというわけではありません。どちらが勝っても大統領選出最高齢の新記録となります。これまでの記録はトランプ現大統領が4年前に当選した時の70歳でした。驚くべきことに、トランプ氏もバイデン氏も直近3人の元大統領(オバマ、G・W・ブッシュ、クリントン)の現在の年齢よりも年上です。

そのため、トランプ氏にも、「認知症」疑惑はありました。しかし、これは先にも述べたように、ほとんどのメディアが民主党指示であることを考えると、誇張されている点は否めません。

私自身は、「認知症」といえるほどの間違いを連発してしているとは思えません。それに、これは長年職業政治家として過ごしてきたのではなく、実業家として過ごしたきたゆえの、知識不足に由来するものだったと思います。

しかし、現在は武漢ウイルスがバイデンには幸いし、大統領選挙集会を大きく開催できない事態がバイデン氏のボロを広めずに済ませているようです。民主党によって入場は厳しくコントロールされ、純粋な党員でなければ入場を許されないのだそうです。バイデン氏がボケ発言を繰り広げても、SNSなどに上げないよう指示されているに違いないと思います。

先日バイデンの副大統領候補に、黒人女性を指名するのでは、と言った記事が出ていましたが、おそらくバイデンは認知症なのですから、誰であろうと自分で指名する事はできないと思います。おそらく、副大統領指名を含め全部スタッフが実施するのでしょう。バイデンはただの民主党の操り人形状態にあるのでしょう。

ボルトン前補佐官や、トランプの実の姪までもが、かつての上司や実のおじの暴露本を出しています。それも、トランプ氏が大統領選挙戦の真っ最中にです。これは、人としてどうなのかと思います。しかし、そういった本を、莫大な札束と交換に書かせているのも、また民主党なのかもしれません。たとえ、それが真実でないにしても、多くの人はそう解釈する可能性が高いです。

ボルトン暴露本の表紙 アベマニュースより

これが民主党内のことなら「77歳だし、物忘れもするよね」で済むかもしれないですが、トランプ大統領との討論では徹底的に叩かれることは間違いないでしょう。

そのようなことを考えると、現時点でバイデン氏が圧倒的有利であるとの、米国の報道や、それを真に受けて報道している日本のメディアなど信用できません。

バイデン圧倒的に有利とは、米国メディアが作り出した幻想に過ぎないと思います。実態は、五分五分で、いまだどちらになるかなど、判定できない状態だと思います。今後の推移を見極めていくべきものと思います。

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2020年7月18日土曜日

米、中国共産党員の渡航禁止を検討! ハイテク排除、ハリウッドの対中協力も非難 識者「習政権への宣戦布告」— 【私の論評】中国は超大国になるために海洋進出を諦めるかもしれないが、それでも油断は禁物!(◎_◎;)


米、中国共産党員の渡航禁止を検討! ハイテク排除、ハリウッドの対中協力も非難 識者「習政権への宣戦布告」

トランプ氏(写真)は習氏の入国も認めない?
 米国の対中「宣戦布告」なのか。ドナルド・トランプ政権は、全ての中国共産党員と家族による米国への渡航禁止を検討していると米メディアが報じた。8月には通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)など中国企業5社の製品を使う企業が米政府と取引することを禁じる法律も施行される。米中対立は全面戦争状態に突入しそうだ。
 ロイター通信は関係筋の話として、中国共産党員と家族の渡航禁止について、政府高官が大統領令の草案を準備し始めたと報じた。検討は初期段階で、トランプ大統領にはまだ諮られていないというが、複数の連邦機関が関与し、党員の子供が米国の大学に在籍することを拒否するかどうかも検討されているという。

 米国の大学に留学する中国共産党幹部の子供も多く、実現すれば影響は小さくない。

 中国事情に詳しい評論家の石平氏は、「中国共産党員は約9000万人とされ、配偶者や子息を合わせると数億人になるのではないか。いったん入党すれば離党しづらく、世界中に党員は存在する。中には党の任務を負う人もいると考えられ、中国本土だけの問題ではないだろう」とみる。

 一方、米政府が取引停止の対象としたのは、ファーウェイのほか、中興通訊(ZTE)、海能達通信(ハイテラ)、監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)、浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)の5社の製品。

 官報に8月13日から実施する規則を掲載。施行されれば、原則として対象企業の製品やサービスを利用する企業との新規契約や契約更新も行わない。各社は米政府と中国企業のどちらと取引するのか選択を迫られる。

 中国に協力するハリウッドの映画業界や米IT企業にも注文を付けた。ウィリアム・バー司法長官は16日、ハリウッドにが興行収益のため中国当局を怒らせないよう「恒常的に自主検閲している」と指摘。中国のイメージを悪くするシーンを自ら削除することが横行していると説明し、「中国共産党の一大プロパガンダ作戦」に利用されていると懸念を示した。

 IT企業についてはグーグル、マイクロソフト、アップルなどが「中国の手先になっている」と主張した。

 人もモノも中国排除が進む。前出の石平氏は、「米国への留学生や共同研究者などを経た技術の流出もあるが、ハイテク競争の域を越え、党自体を否定することで、習近平政権への事実上の宣戦布告になる」と指摘した。
【私の論評】中国は超大国になるために海洋進出を諦めるかもしれないが、それでも油断は禁物!(◎_◎;)
最早、米国は宣戦布告をしたのも同様という石平氏の見解は、正しいと思います。米国は、このように様々な方策を講じて、米国内やインド太平洋地域から中国を排除し、中国を封じ込めようとしています。
これは、いずれ成功し、中国は、米国や他の国々によって封じ込められるのでしょうか。私は、そうではないと考えています。
その根拠になることが、米国のニュース・ウイーク紙日本版に掲載されています。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国・超大国への道、最大の障壁は「日本」──そこで浮上する第2の道とは
詳細は、この記事を読んでいただくものとして、この記事では、中国が超大国になるための道筋は二つあると言います。

以下に一部を引用します。
1つは、アメリカの多くの戦略専門家が予測してきた道だ。この道を選んだ場合は、まず自国の周辺の西太平洋に君臨し、それを踏み台にしてグローバルな超大国の座を目指すことになる。もう1つは、これとはまるで違う道だ。こちらは、戦略と地政学の歴史的法則に反するアプローチに思えるかもしれない。
まず、最初の道筋は、時刻周辺の南太平洋に君臨し、それを踏み台にしてグーロバルな超大国の道を目指すことです。

これは、困難が伴うとこの記事にも書かれています。なぜなら、最大の障害として日本が立ちはだかっているからです。

中国にとっては、日本は単独でも脅威です。先日中国の潜水艦が日本の接続領域を潜航したのですが、これはあっさりと日本に発見され、河野防衛長官がその事実を大々的に発表しました。その内容は、日本のマスコミでも公表されました。

中国としては、自国の最新鋭原潜が日本や米国に探知されるか否かを試しに、日本の接続領域に潜航させて見たのでしょうが、あっさりと発見されてしまったわけです。

これは、日本のマスコミはいずれも公表しなかったのですが、中国の潜水艦は未だ、日本に簡単に発見されてしまい、日本の敵ではないことを暴露されてしまったわけです。

これに対して、中国は日米の潜水艦の行動をいまだに探知できないようです。これは、機密事項なので、公には公表されませんが、おそらく日米の潜水艦は、中国側に発見されず、自由に南シナ海は無論のこと、東シナ海や黄海あたりを潜航していると思います。

中国が日米の潜水艦の行動を探知できるなら、今まで一度くらいは、日本の高野防衛大臣が行なったように、日米の潜水艦の行動を公表するに違いありません。そうすることによって、中国として、対潜哨戒能力の技術が向上したことをアピールするとともに、日米に対する牽制ができます。

これは、日本単独でも、日本の潜水艦は中国の潜水艦を含む艦艇を、中国に発見されることなく、探知して撃沈できることを示します。これに対して、中国海軍は日本の潜水艦に撃沈は愚か、どこにいるかさえ把握できないのです。

これでは、最初から勝負が決まったようなものです。これでは、尖閣上陸も恐ろしくてできないはずです。無論、私自身は、このブログでも以前から指摘しているように、中国の艦艇の尖閣での狼藉を放置せよと言って訳ではありませんが、それにしても、中国は今のところ、日米の潜水艦が障害となって、未だ尖閣諸島に上陸できないばかりか、尖閣諸島を含む第一列島線すら確保できないでいます。

中国海軍のロードマップでは、今年中には、第二列島線まで、確保する予定なのですが、今のところ、全く不可能な状態です。さらには、英海軍がインド太平洋地域に空母「クリーンエリザベス」を派遣するとの報道もあり、中国海軍のロードマップはますます絵に描いた餅に近づいてきました。


中国がこのように海で苦戦するのは、やはり自らは未だシーパワー国にはなり切れておらず、ランドパワー国でもあるにも関わらず、海洋進出をしようとしているからでしょう。

これについても、以前このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
台湾問題だけでない中国の南太平洋進出―【私の論評】海洋国家を目指す大陸国家中国は、最初から滅びの道を歩んでいる(゚д゚)!
詳細は、この記事をごいただくものとして、以下にこの記事から一部を引用します。
現在の中国は鄧小平が劉華清(中国海軍の父)を登用し、海洋進出を目指した時から両生国家の道を歩み始めました。そして今、それは習近平に引き継がれ、陸海併せ持つ一帯一路戦略として提示されるに至っています。しかしこれは、マハンの「両生国家は成り立たない」とするテーゼに抵触し、失敗に終わるでしょう。
劉華清(中国海軍の父)
事実、両生国家が成功裏に終わった例はありません。海洋国家たる大日本帝国は、大陸に侵攻し両生国家になったため滅亡しました。大陸国家たるドイツも海洋進出を目指したため2度にわたる世界大戦で滅亡しました(ドイツ第2、第3帝国の崩壊)。ソビエト帝国の場合も同じです。よもや、中国のみがそれを免れることはないでしょう。一帯一路を進めれば進めるほど、地政学的ジレンマに陥り、崩壊への道を早めてゆくことになります。
中国の海洋進出には、日本が巨大な壁として立ちはだかっているだけではなく、シーパワー国の雄である、米国の軍隊が駐留しています。さらには、中国の香港などでの横暴に、脅威を抱き、中国の海洋進出に脅威抱いたこれもシーパワー国である英国が、「空母クイーンエリザベス」を太平洋に常駐させる計画を立てています。

シーパワー国になることは、容易ではないのです。まずは、優れた海軍を持つには、資本の蓄積が必要です。資本があれば、艦艇は作れますが、それだけでは優れた艦艇は作れません。高度の技術が必要です。

高度な技術を用いて、優れた艦艇を多数作れるようになってもそれだけでは駄目です。今度は、優れた多数の艦艇を操るノウハウが欠かせません。そうなると、シーパワー国になるための敷居はかなり高いです。かつて、世界には英国だけがシーパワー国だった時期があり、その頃には日本も米国もランドパワー国だったのですが、数十年かけて、シーパワー国に変貌しました。

中国がこれから、本格的にシーパワー国になろうとすれば、少なくとも今後20年くらいはかかるでしょう。

そうして、今後ますます多くの国々がインド太平洋地域において、中国に対して反旗を翻することでしょう。そうなると、中国としては、インド太平洋地区を治めることは、ほとんど不可能といって良いです。

これでは、中国周辺の西太平洋に君臨し、それを踏み台にしてグローバルな超大国の座を目指すことはほぼ不可能です。

では、先ほどのニューズウィークの記事に出てきた、中国が超大国になるもう一つの道とはどのようなものなのでしょうか。

その第二の道は、中国が自国の東に位置する西太平洋ではなく、自国の西に目を向けることです。ユーラシア大陸とインド洋に中国主導の安全保障・経済秩序を確立し、それと並行して国際機関で中心的な地位を占めることを目指すのです。

先のニューヨークタイムズの記事によれば、このアプローチの土台を成すのは、世界のリーダーになるためには、軍事力よりも経済力と技術力のほうがはるかに重要だという認識です。そうした発想に立てば、東アジアに勢力圏を築くことは、グローバルな超大国になるための前提条件ではありません。西太平洋では軍事的バランスを維持するだけでよく、軍事以外の力を使って世界に君臨することを目指せば良いということになります

元々、ランドパワー国である、中国がこの道筋を取ろうと方針転換をすれば、これは今よりも大きな脅威になります。

軍事力以外の力を使って君臨することを目指すにしても、やはり軍事力は重要です。それに関しては、すでにミサイルや核兵器も開発してきた中国ですから、それなりのノウハウも持っており、ランドパワー国としての技術力やノウハウを開発することは、中国に取っては、シーパワー国を目指すよりは、遥かに簡単です。

このブログでも以前示したように、中共は、南シナ海、東シナ海、太平洋、アフリカ、EU、中東などに手を出しつつ、ロシア、インド、その他の国々との長大な国境線を守備しつつ、米国と対峙して、軍事力、経済力、技術力を分散させています。

かつてのソ連も、世界中至る所で存在感を増そうとし、それだけでなく、米国との軍拡競争・宇宙開発競争でさらに力を分散しました。当時は米国も同じように力を分散したのですが、それでも米国の方が、国力がはるかに優っていたため、結局ソ連は体力勝負に負け崩壊しました。

今日、中共は、習近平とは対照的な、物事に優先順位をつけて実行することが習慣となっているトランプ氏という実務家と対峙しています。今のままだと、中国も同じ運命を辿りそうです。

このように、米国と比較すると、今のところ世界中で攻勢に出ているように見える、中国は超大国になるための2つの道の両方を同時試そうとしているようですが、いずれ中国は海洋進出の拡大を諦めて、ユーラシア大陸とインド洋に中国主導の安全保障・経済秩序を確立し、それと並行して国際機関で中心的な地位を占めることを目指すことに、集中するかもしれません。

そうなるとかなり厄介です。ただし、それ以前に中国の経済か政治制度が揺らいだり、競争相手の国々が賢明な対応を取れば、どちらの道もうまくいかない可能性も大いにあります。

米国などの自由主義陣営は、そのことも考慮に入れて、中国と対峙すべきでしょう。そうして、今はインド太平洋地域を最重要点として、中国と対峙していくべきでしょう。そのようにすれば、当面中国はますます、シーパワー国を目指して、多大な経費や労力を無駄に浪費することでしょう。

そうすれば、中国がランドパワーを強化し、ユーラシア大陸とインド洋に中国主導の安全保障・経済秩序を確立しょうとしても、疲弊してうまく行かなくなる可能性が大です。

ただ、我々が気をつけなければならないのは、中国が早めに海洋進出を諦めたように見えた場合、それは自由主義陣営に敗北したためとすぐに判断すべきではないということです。

もしかすると、それは、中国がユーラシア大陸とインド洋に中国主導の安全保証・経済秩序を確立することに転じたサインかもしれないということです。

もし中国がそれに転じたとしても、現在の失敗続きで懲りた中国は、鄧小平が残した「韜光養晦(とうこうようかい)」という言葉を思い出し、今度は細心を注意をしながら、自由主義陣営になるべく気がつかれずに、行動するようになるかもしれません。



ユーラシア大陸の、ロシアや中央アジアの国々に対して、過去の強権的なやり方ではなく、もっとスマートな形で、自らの経済圏に取り込むように働きかけるようになるかも知れません。

気がついたときには、ヨーロッパ、ロシア、中央アジア、インドなどの地域が実質的に中国に飲み込まれているかもしれません。これもかなり困難なことですが、太平洋のハワイの西側まで中国の海とすることよりは、簡単です。

日米を含めた自由主義陣営は、過去には中国が経済成長して豊かになれば、まともになるだろ等として、過去には中国の暴挙を許容してきました。それが今日の危機を招きました。

中国が第二の道を選んだ場合にも、自由主義陣営も過去の失敗を繰り返すことなく、早めにその芽を積むべきです。どのように外見や態度を変えて見せたところで、現在の中共の本質は変わりません。中共が消えるまで、戦いは続くと見るべきです。

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2020年7月17日金曜日

顕在化する中国によるカナダへの〝人質司法〟— 【私の論評】人質を取って相手国を脅し確信的利益を守ろうとする中共は、世界の敵!(◎_◎;)

顕在化する中国によるカナダへの〝人質司法〟

岡崎研究所

 ワシントンン・ポスト紙のコラムニストであるデビッド・モスクロップ(オタワ在住)がHuaweiのCFO孟晩舟の解放と引き換えに中国が拘束しているカナダ人2人を釈放するという中国の取引の誘いをトルドー首相が拒否したことを支持する論説を、6月27日付の同紙に書いている。


 2018年12月1日に孟晩舟がカナダで逮捕されて間もなく、カナダ人の2人が中国においてスパイ容疑で拘束された。Michael Kovrig(元外交官でシンク・タンクInternational Crisis Group勤務、12月10日に北京で拘束)とMichael Spavor(コンサルタント、同じ頃居住していた丹東で拘束)の2人である。中国による報復に違いない。拘束されて既に1年半が過ぎた。報道によればKovrigの妻は夫の解放のために各方面に働き掛けを行っている様子である。

 6月24日、中国外務省報道官の趙立堅(Zhao Lijian)は記者会見においてMichael Kovrigの妻の「司法相は孟晩舟の米国への引き渡しを止める権限を有する」とのメディアへの発言に言及して「そのようなオプションは法の支配の範囲内にあり、2人のカナダ人の状態の解決のための空間を開き得よう」と述べた。

 趙立堅は「(孟晩舟の件)は深刻な政治的事件である。それがカナダ側が主張するように法的なケースだとしても、Kovrigの妻が言ったように、カナダの司法相は如何なる時点においても引渡しのプロセスを停止する権限を有する。このことはカナダ政府がこの事件をカナダの法律に従い正しい方法で現に扱うことが可能であることを示している。我々はカナダ側に対し法の支配の精神を真に尊重し、中国の厳粛な立場と懸念を真剣に受け止め、政治的ごまかしを止め、孟晩舟を直ちに解放し、彼女の中国への安全な帰還を確保するよう、再度強く要請する」とも述べた。

 中国は2人の逮捕は孟晩舟の件とは無関係との立場を維持して来たが、ここに来て、孟晩舟の件との取引をあからさまに示唆するに至った。趙立堅による法の支配についてのレクチャーは噴飯ものである。

 カナダ人2人の境遇は悲劇である。同情の他ない。引渡し法(Extradition Act)の下で司法相が進行中の裁判所による引渡しの審理を止める権限を有することは確かなようである。モスクロップの論説では、トルドー首相宛の19人の元政治家や外交官からの書簡について書かれている。書簡は、このままでは結局カナダ人2人は孟晩舟が中国に帰国するまで中国の牢獄に繋がれることになること、引渡しの可否の審理は2024年までかかり得ること、パンデミックのために2人の生命が重大なリスクに晒されていることなどを指摘するとともに、孟晩舟の1件は2人だけでなくカナダの外交をも人質に取っている(5Gの構築にHuaweiの参加を認めるかの決定を為し得ず、香港問題についても発言に注意を強いられる)と指摘して司法相が引渡しの審理を停止すべきことを進言している。

 トルドー首相は、この進言を斥けた。そうするしかない。モスクロップの論説もこの決定を正しいと支持している。しかし、論説はどこか歯切れが悪い。米国に言及している部分は意味が判然としないが、どこか米国の行動に釈然としないものを感じているように思われる。

 カナダは実に苦しい立場にある。カナダ当局が孟晩舟を逮捕した時、中国が米国あるいはカナダの企業幹部を逮捕する危険は予知出来た。カナダは米国から逮捕の要請を受けた時点で或る程度の時間的余裕をもって中国が汚い手で報復に出る危険を予知出来たはずである。あるいは、それを理由に米国の要請を断ることも出来たかも知れない。どうしてカナダは予め危険を防ぐ手を打たなかったのか。

 日本としても、他山の石とすべき1件である。

【私の論評】人質を取って相手国を脅し確信的利益を守ろうとする中共は、世界の敵!(◎_◎;)

うえの記事にもあるとおり、カナダが孟氏の身柄を確保した直後に、カナダ人2人が中国によくわからない理由で逮捕されました。

このカナダ人逮捕に対して、中国側は「拘束されたカナダ人と孟氏の問題は無関係」と公式見解を述べていますが、カナダのトルドー首相は「明確な関連がある」と述べています。

トルドー首相

確かに、いくら国際法無視の中国であっても、「孟氏が外国の法律を犯したとしても、中国の要人なのだから逮捕するのは許せない。だから、何も法律を侵していないカナダ人を2人の身柄を拘束する。カナダ人を返してほしければ、孟氏を返せ」とは表立っては公言できないのだと思います。

しかしながら、尖閣で何かがあった時や、中国政府が日本政府の対応に怒った時には、日本人もよく中国で逮捕されています。

こうしたことから、中共は人質を取って相手国を脅して中共の我儘(彼らの言葉では中国の革新的利益)を通そうとする事を、外交交渉の一つの手法として採用している可能性が高いです。

閣僚経験者や外交官など19人が「孟氏の身柄引き渡し手続きを停止すれば、中国がカナダ人2人を釈放する可能性が高まる」とトルドー首相に書簡を送ったこと自体も本当なのでしょうか。

閣僚経験者や外交官など19人が、何の根拠もなくて首相に書簡を送ることは、ありえないでしょう。私の考えでは、この19人は中国の外交官と接触した際に「孟子を米国に引き渡さなければカナダ人一人を開放する。孟子を中国に返せば2人とも開放する」などなどの中国側からの要求を、その耳で聞いたのだと思います。

しかし中国政府は、国民の信任を得ていなければならない、トルドー首相の考えが全く読めないようです。

現在、欧米ではコロナ発症国でありながら謝罪もせずに我がもの顔で振る舞っている中国に対して、国民レベルで怒りが燃え上がりつつあります。彼らの心の奥底には、自由・平等・人権という価値観を生み出し、先日もこのブログにも掲載した世界初の近代的な条約であるウエストファリァ条約により生み出された世界秩序による、西欧文明こそが、世界の本質であると考えています。

価値観が全く異なる、異質な成金の中共が国際社会で我儘一杯にふるまうのが不愉快でたまらなかったのでしょうが、自国の経済の繁栄のために我慢していたところがあります。元々嫌いだったのが、今回のコロナ禍の原因を作っても、謝罪するどころか、世界中で我が物顔で振る舞い、さらにマスク外交で攻勢に出た中国に対して、怒りが頂点に達したものと見えます。それが、ネガティプな面に繋がり、欧米でアジア系に対する差別や、暴力事件が起こっています。

  イギリスに留学していたシンガポール人男性が現地の男達に「コロナを持ち込むな」等の
  差別的暴言を吐かれ、殴る蹴る等の暴行を受けた

確かに、差別や暴力はいけませんが、こうなると欧米は、中国叩きでは一致団結します。なぜなら、中国嫌いは国民レベルなのですから、中国の嫌がらせによる不快感は、国民を反中国で団結させる原動力になるからです。政府も、こうした国民感情を無視することはできません。

このようなことから、中国がオーストラリアに対して、「牛肉を買わない」と脅しても、オーストラリアは「すいません。ご意向通りにします」と態度を変えずに、「買わないのは、そちらの自由」と却って反発したのです。

今まで欧米諸国の首脳が中国に対して「買ってください」と低姿勢だったのは、その方が国内で支持が集まると判断したからです。つまり、中国に牛肉を売りつけるのは、自分の政権を盤石にするための《手段》であって《目的》ではありません。真の目的は自らの政権の支持率を上げることです。牛肉を中国に売る事ではありません。

そのため、「オーストラリアが、中国のコロナの調査を求めるという正しい行動をしたにも関わらず、中国は牛肉を買わないと脅してきた。こんな強迫に屈するわけにはいかない。国民の皆さん、中国のせいで広がったコロナ感染の危機を乗り切る為に一致団結を」と呼び掛けた方が、支持率が上がるのですから、そちらを選ぶのです。

だからカナダのトルドー首相も、中国の提案を蹴りました。「中国を軽蔑する」と言外に述べながら…。

このように欧米と世界の人達の中国への嫌悪感は、中国との外交関係を左右する所まで大きく広がっています。

しかし、この嫌悪感や軽蔑は人の心の中にあるので、目には見えません。だから中共には見えないのか、見て見ぬ振りをしているのかは解りませんが、とにかく現状の彼らは、西欧の常識から見れば、やめた方がよい事ばかりしています。

中共からすれば、自国内では、それが当たり前であり、何か問題が起きれば、警察や軍隊を用いて、すぐに鎮圧してしまうのが習い性になっているので、鈍感になっているだけかもしれません。元々、中国はこのブログでも何度か掲載してきたように、他国との関係も自国の都合で動く国柄です。そのため、外交にあまり重きを置いていません。

日本では、日本の外務大臣と同様に思われている、王毅氏は、王氏は党政治局(25人)メンバーではなく、200人ほどいる党中央委員の一人にすぎないです。画数順で公表される中央委員の序列は不明なので、26位から200位までの間ということになります。

さらにいえば、王氏は外務省トップとはいえ、中国外交の責任者ですらないのです。とにかく中国では、外交はもともと重要視されていないのです。そもそも、いよいよになれば、人質をとって脅して、革新的利益を守れば良いのですから、外交など重要視する必要性などありません。

王毅氏は日本で言う外務大臣ではない、かなり下のレベルの位置づけ

そのような国柄ですから、先に述べたように、中共は人質を取って相手国を脅して中共の我儘(彼らの言葉では中国の革新的利益)を通そうとする事を、外交交渉の一つの手法として採用している可能性が高いのもうなずけるところです。

日本も、この問題に関して深刻に考えているようには見えません。どのように対応して良いのかわからず右往左往しているようにも見えますが、はた眼には何にも考えず深刻に捉えてないようにも見えます。

せめて、冒頭の記事のように、カナダのニュースを大きく報道して、中国は人質外交をする国なのかもしれない、スパイ罪なら、中共の恣意で誰でも逮捕できるので、渡航は注意すべきとか、中国ビジネスは危険とか、世論を盛り上げるくらいのことはすべきです。

とにかく、国際法は無視、西欧的価値観やイスラム圏の価値観には鈍感というか、日本も含めた世界中の文化・価値観に鈍感で、先日も述べた弁証法的な考えすらできなくなった中共は、今後西欧的価値観から計り知れない、とんでもないことをしでかす可能性が大です。そのことは、心に留めておくべきでしょう。

現在中共に親和的とみられる国々にもいずれ離反していくでしょう。

そうして、中共は西欧のみならず、世界中の敵になる可能性が高いです。

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2020年7月16日木曜日

米国が一線越えの果たし状、風雲急を告げる南シナ海— 【私の論評】尖閣諸島すら自ら守れないようでは、日本は中共なき後の新世界秩序づくり参加できなくなる!(◎_◎;)

米国が一線越えの果たし状、風雲急を告げる南シナ海

中国の領有権主張に、ついに堪忍袋の緒が切れた米国

         マイク・ポンペオ米国務長官。2020年7月13日、中国の南シナ海
         領有権主張に対する米国の立場を公式文書で表明した
(北村 淳:軍事社会学者)

 アメリカ政府は、これまで永年にわたってアメリカ外交の伝統の1つとしてきた鉄則からついに一歩を踏み出した。南シナ海での中国の領域主張を否定するだけでなく、中国と領域紛争中の諸国側を支持する立場を明確に表明したのである。

アメリカ外交の鉄則とは

 アメリカは第三国間の領域紛争には中立的立場を貫くことを外交の鉄則としてきた。

 様々な手段を用いて、“味方をする”側を実質的に支援することも少なくなかった。しかしながら、そのような場合でも表面上は中立を保っていた。すなわち、アメリカ政府として領域紛争当事者の一方の主張を公式に否定し、他方の主張を支持するという、外交的立場を明確にすることは断固として避け続けてきたのである。

その鉄則は、南シナ海全域で中国が強大な海洋戦力を振りかざして近隣諸国を威嚇し、南シナ海全域に対する中国の軍事的支配を確立しつつある状況に対しても適用されてきた。アメリカ政府はこれまで懸念を表明し続けてはいるものの、中国政府の主張を完全に否定して、中国と紛争中のフィリピン、ベトナム、ブルネイ、マレーシア、インドネシア、台湾などの主張を明確に支持するという立場を明確かつ公式に表明することは避けていた。

 中国に対して融和的であったオバマ政権はもちろんのこと、トランプ政権といえども、これまでは南シナ海領域紛争に関する明確な立場を表明してはこなかった。

外交の鉄則に制約されてきたFONOP

 ただし、アメリカがまったく無策でいたわけでない。中国が南沙諸島に人工島まで建設し始めると、オバマ政権は中国に対して懸念を表明した。そして、南シナ海に軍艦を派遣して公海自由航行維持のための作戦(FONOP)を実施し、アメリカの威信を示して同盟国や友好国の信頼をつなぎ止めておこうとした。

 だが、オバマ大統領はFONOP(南シナ海での、以下同じ)にそれほど積極的ではなく、オバマ政権下でのFONOPは数カ月に一度のペースで極めて散発的に行われたにすぎなかった。

 トランプ大統領も就任直後は習近平主席との関係が悪くなかったため、FONOP実施のペースは若干上がった程度に留まっていた。しかし、米中関係がギクシャクし始めると、昨年(2019年)初頭あたりからのFONOPのペースは目に見えて上がってきている。

 FONOP実施の真意は、中国が南シナ海の大部分を中国の主権的海域であると主張している状況に対する牽制にある。とはいえアメリカは、第三国間の領域紛争には中立的立場を貫くという鉄則から逸脱することはできない。そこで、あくまでFONOPは「南沙諸島や西沙諸島などの周辺海域で領域紛争中諸国の双方の主張は、公海における自由航行を妨げる恐れがあるので、双方ともに必要以上の主張をせず、トラブルを生ぜしめないよう」という警告を発するための軍艦派遣である、という名目で実施されてきた。

 つまり、軍艦を派遣しても、中国に対して露骨に軍事的威圧を加えるような行動は極力とらない。たとえば中国が中国領と主張している人工島などの沿海域を通航するときは、国際法上認められている無害通航原則に従って、直線的針路を可及的速やかに通過する。途中停船させたり、射撃レーダー波を発したり、艦載機(ヘリコプターやドローン)を飛ばしたり、といった軍事的行動は封じ込めてきた。

 その結果、FONOPの米駆逐艦が、中国が中国領と主張している島嶼環礁に接近してくると、中国軍艦が接近してきて追尾を開始し、米軍艦がそれらの島嶼環礁から遠ざかるまで並走するという場面が繰り返された。

 そして中国当局はその都度、「中国の主権を踏みにじり、中国の主権的海域に侵入して軍事的威嚇を加えてきたアメリカ軍艦を、中国海軍が駆逐した」といった声明を発していた(中国は国内法で、あらゆる外国船舶艦艇は中国領海に接近通過するときは中国当局に対して事前に通告しなければならない、と規定している)。

 このようにしてFONOPは、形骸化した行事のようなものになってしまっていた。

新たな局面を迎える南シナ海

 オバマ政権が渋々FONOP実施を認めた当初から、米海軍や米海兵隊などの間には、「何らの軍事的威嚇にならない無害通航原則に従うだけのFONOPでは、中国の人工島建設をはじめとする南シナ海の軍事化を牽制する効果は全く期待できない」「アメリカは、領有権紛争で劣勢に立っている同盟国や友好国を明確に支持する立場を表明しなければならない」と主張する対中強硬論が存在していた。

 7月13日、それらの強硬論がようやく日の目を見ることになった。

 マイク・ポンペオ国務長官が、「南シナ海における中国による全ての主権的主張は国際法上認められるものではなく完全に違法である」「アメリカ政府はフィリピン、ベトナム、マレーシア、インドネシア、ブルネイの排他的経済水域や島嶼に関する領有権の主張などを支持する」との立場を明記した公式声明を発したのである(「U.S. Position on Maritime Claims in the South China Sea」)。

 アメリカ外交当局は、これまでの外交鉄則を大きく変針した。これにより、FONOPも含めてアメリカ海軍や空軍による南シナ海での対中軍事牽制行動も新たな局面を迎えることになるのは確実である。

次は尖閣問題について立場を表明か

 トランプ政権がさらに対中強硬姿勢を強めるであろう次のステップは東シナ海だ。これまで永年にわたってアメリカ政府は尖閣諸島の領有権紛争に関しても中立的立場を貫いてきた。

 日本政府高官は、米側高官たちが「尖閣諸島に対して日本が施政権を行使していると認識している」と表明すると、あたかも日本の主張を支持しているかのように手前勝手に解釈して胸をなで下ろす。しかし、アメリカ政府は「日本が尖閣諸島の領有権を保持している」あるいは「中国による尖閣諸島の領有権の主張は認められない」といった領有権に関する公的コメントを発することを避け続けてきている。

 だが、数年前から米軍関係者などの間では、アメリカ政府として公的に「尖閣諸島の領有権は日本にある」といった明確な立場を表明すべきであり、そうしなければ南シナ海のように東シナ海での中国の軍事的優勢が確立してしまう、と警告を発する者も少なくない。

 トランプ政権がそのような主張に従い、尖閣諸島をめぐる領有権紛争に関して「中国の領有権主張は、アメリカ政府としては認められない」という立場を示すならば(ただし台湾も領有権を主張しているため、そう単純にはいかないのだが)、極めて強力な対中強硬姿勢を明示することになる。

 もちろん我々としては、尖閣諸島に対する日本の領有権を確保するのはアメリカではなく日本自身であることを忘れてはならない。

【私の論評】尖閣諸島すら自ら守れないようでは、日本は中共なき後の新世界秩序づくり参加できなくなる!(◎_◎;)

このブログにもよく登場する米国の戦略家ルトワック氏は、2018年12月28日の産経新聞のインタビューに応えて、以下のような発言をしています。

エドワード・ルトワック氏
 ルトワック氏は現在の中国との「冷戦」の本質は、本来は「ランドパワー(陸上勢力)」である中国が「シーパワー(海洋勢力)」としても影響力の拡大を図ったことで米国や周辺諸国と衝突する「地政学上の争い」に加え、経済・貿易などをめぐる「地経学」、そして先端技術をめぐる争いだと指摘した。 
 特に先端技術分野では、中国はこれまで米欧などの先端技術をスパイ行為によって「好き勝手に盗んできた」とした上で、トランプ政権が今年10月に米航空産業へのスパイ行為に関与した疑いのある中国情報部員をベルギー当局の協力で逮捕し米国内で起訴するなど、この分野で「米中全面戦争の火ぶたを切った」と強調した。 
 一方、中国が南シナ海の軍事拠点化を進めている問題に関しては、トランプ政権が積極的に推進する「航行の自由」作戦で「中国による主権の主張は全面否定された。中国は面目をつぶされた」と強調。中国の軍事拠点については「無防備な前哨基地にすぎず、軍事衝突になれば5分で吹き飛ばせる。象徴的価値しかない」と指摘した。



であれは、米国としては今後もFONOPを実施するにしても、実際に南シナ海の中国軍の基地を叩くまでのことはしないと考えられます。

ただし、一つ懸念があります。それは、中国が南シナ海を中国の原潜の聖域とすることです。

中国が南シナ海で従来から、外国の軍事活動を許さないとの強硬姿勢を取っているのは、領土問題もあるでしょうが、本当の理由は、南シナ海を中国の戦略原潜の基地に接続する原潜の展開水域として確保したいから、ということは以前もこのブログでも述べています

どういうことかといえば、南シナ海は海南島の三亜を基地とする中国の戦略原潜の展開水域なのですが、中国は、対潜水艦兵器や海洋調査船を展開している米国と、インド・太平洋地域の米国の同盟国網によって、第一列島線の中に閉じこまれかねないと感じているのです。



そうして紛争の際には、戦略原潜が第一列島線の外に出る前に、米海軍に発見され、無力化されてしまうのではないかと懸念しているのです。

中国が南シナ海で外国の軍事活動にますます不寛容になっているのは、この懸念のためでしょう。

中国は南シナ海での外国の軍事活動に対して、公には領土問題の観点から抗議していますが、中国の為政者たちは内々には戦略原潜が基本であり、いかに将来の原潜による抑止を守るかが重要な関心事である、従来から述べています。

冷戦中、ソ連の戦略原潜は遠隔のバレンツ海やオホーツク海を基地としていましたが、中国が原潜の基地として選んだのは世界で最も重要なシーレーンの真っ只中に位置しています。

中国の原潜は新型の「晋」級戦略原潜に、射程距離4600マイルの弾道ミサイルを搭載するものと見られ、この原潜は現在海南島を基地としていると見られています。ただし、中国の原潜は未だ、ステルス制に劣り、先日も日本の海自に、日本近海での行動を暴露されてしまいました。

中国の南シナ海における強硬姿勢が、単なる領土主権の主張に留まらず、戦略原潜展開の必要性に基づくものであるとの見解は、第一列島線、第二列島線の概念を中心とする中国の海洋戦略、そして戦略ミサイル搭載原潜という大きな抑止力を持つ対米核抑止戦略に照らせば、当然のものでしょう。

このような見解は、私をはじめ日本でも述べられてきています。中国は南シナ海を、かつてソ連が冷戦中に対米核戦略の拠点としたオホーツク海のようにしようとしている、あるいは南シナ海を、中国の戦略原潜のための「聖域」としようとしている、といった見解です。

今のところ、中国の南シナ海の軍事基地のいずれかを、中国原潜の基地にしようという動きは見られません。しかし、そのような動きが見られた場合は、米国は躊躇わず、原潜基地を5分で吹き飛ばす可能性は十分にあります。

さて、一方尖閣諸島についてはどうでしょうか。米国では超党派の米上院議員グループが5月23日、南シナ海と東シナ海における中国政府の活動に関与した中国人や団体に対して、米国政府が制裁を科せるようにする法案を改めて提出しました。

共和党のマルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州)とトム・コットン上院議員(アーカンソー州)、および民主党のベン・カーディン上院議員(メリーランド州)が提出した「南シナ海・東シナ海制裁法案」は、中国に圧力をかけ、中国が領有権を主張する中国沖の海域の実効支配をやめさせることを目的としていると、香港紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」は伝えています。

この「南シナ海・東シナ海制裁法案」は未だ審議中ですが、いずれ成立するするのは間違いないです。だからこそ、7月13日、マイク・ポンペオ国務長官は、「南シナ海における中国による全ての主権的主張は国際法上認められるものではなく完全に違法である」「アメリカ政府はフィリピン、ベトナム、マレーシア、インドネシア、ブルネイの排他的経済水域や島嶼に関する領有権の主張などを支持する」との立場を明記した公式声明を発したのでしょう。

東シナ海の尖閣諸島については、上にもあるように、中国だけではなく、台湾も領有権を主張しているため、日本と台湾などと調整しなければならず、13日のポンペオ長官の公式声明には、盛り込まれなかったのでしょう。

ただし、尖閣諸島については、台湾の領有権は正統性に乏しく、しかも蔡英文政権が主張し始めたものではなく、国民党政権時代から主張されたものです。

これは、米国の後押しなどで、台湾と日本の間で漁業権問題などが平和的に解消できれば、十分に解決できるものと考えられます。

となると、いずれポンペオ長官は、「東シナ海における中国による尖閣諸島の主権的主張は国際法上認められるものではなく完全に違法である」「米国政府は日本の排他的経済水域や尖閣諸島に関する領有権の主張などを支持する」と声明を発表することになるでしょう。


ただし、尖閣諸島は日本の領土であるため、その防衛は日本が担うべき筋のものです。現状を打破するためには、まずは日本が独力で、尖閣周辺に海自の艦艇などを派遣して、中国の艦艇などを排除すべきです。

このような行動は、以前だとある程度の危険がありましたが、米国が日本の尖閣諸島領有をはっきり認めた後には、かなり実施しやすくなります。

私としては、これを実施するのは当然と思います。流石に、日本国内の勢力を排除するというのですから、これは現行の憲法の範囲でも十分にできそうです。

少なくとも米国はそう思うでしょう。それに関しては、このブログでも従来から述べているように、現状の自衛隊の能力でも、それは十分にできます。

ただし、現行法では、難しい点もあります。まずは、現行法を、平時の自衛権を発動できるような法律に変えていくべきです。この努力をすぐに始めなければ、米国から日本は自衛するつもりがあるのか、米国から疑われてしまうことでしょう。

以前からこのブログで述べているように、現在は自由主義陣営と、中国の全体主義との戦いの真っ最中であり、日本もこれに向けて、自由主義陣営に貢献しなければ、中共敗戦の後の、新世界秩序作りに日本は参加できなくなるかもしれません。

日本は、新たな理念を提唱できる可能性が大です。しかし、尖閣諸島すら自ら守れないようでは、その機会は訪れないかもしれません。

それどころか、日本は戦後レジームから逃れられなかったように、新世界秩序の中でも、一人前に扱われず、半人前の地位に甘んずることになりかねません。

それだけは、避けたいものです。

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