米韓が北にらみ事前演習 米空母、近海に4年半ぶり
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原子力空母エーブラハム・リンカーン(左)と空母打撃群 |
米韓両軍は、12~15日の日程で合同軍事演習の事前演習に当たる危機管理参謀訓練を開始した。18~28日には本演習である合同指揮所演習が行われる。北朝鮮は実施前から米韓演習に激しく反発。米韓は、北朝鮮が対抗措置として核実験や弾道ミサイル発射など、新たな軍事的挑発に踏み出す可能性を警戒している。
また、韓国の聯合ニュースなどによると、米原子力空母「エーブラハム・リンカーン」が12日、韓国東部沖の日本海に入った。軍事的挑発を強める北朝鮮を牽制(けんせい)する狙いとみられる。
米空母の韓国近海入りは2017年11月以来、約4年半ぶり。前回は、北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射や6度目の核実験を受けて米空母3隻が日本海入りし、自衛隊や韓国軍とそれぞれ訓練を実施した。今回、空母は5日間程度この海域にとどまる見込みだが、演習への参加予定は伝えられていない。
危機管理参謀訓練は、局地的な軍事挑発やテロといった突発状況への対処態勢を点検する。本演習では、主にコンピューターシミュレーションにより、北朝鮮の本格的攻撃を想定した防御と反撃の訓練を行う。
北朝鮮では15日に金日成(キム・イルソン)主席生誕110年、25日に朝鮮人民革命軍創建90年の節目を迎えることから、大規模な軍事パレードのほか、7回目の核実験や新たなミサイル発射を実行する可能性が警戒されている。
北朝鮮が18年に廃棄を宣言した北東部、豊渓里の核実験場では、入り口を爆破した坑道を復旧させるための掘削とみられる活動が衛星写真で捉えられている。潜水艦基地のある東部、新浦でも新たな潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射準備の可能性がある動きが観測されている。
【私の論評】ロシアのウクライナ侵攻と韓国新大統領の就任を契機に、日米韓の軍事演習が活発化する(゚д゚)!
ロシアのウクライナ侵攻を契機に、国際情勢が揺れ動き始めています。ウクライナ「異変」で、これから北朝鮮の核問題をめぐって、中国、ロシア、日本、米国、韓国など各国はどのような動きをするのでしょうか。
そうした中、韓国で文在寅大統領から尹錫悦次期大統領に政権交代が実現したことで、国際情勢に変化の兆しがみられるようになってきました。
今回の米韓の演習もその一環であると考えられます。
北朝鮮の核問題は文在寅政権で時間を浪費し、後戻りが難しいところまで来てしまいました。
日米にとって直ちに有効な対処方法はないでしょう。
しかも北朝鮮にだけ対処すれば良い環境でもなくなりました。今後は中ロが北朝鮮を支援しないよう一層の圧力を高めていくなど戦略的な外交が必要になってくるでしょう。
そうした時文在寅政権が去り、尹錫悦氏が大統領になるのが唯一の救いです。日米韓、米韓、日韓の政策調整をついに始めるときが来ています。
日本、米国、韓国の高官らは、北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射後これを非難しました。
米国務省のプライス報道官によると、米国のソン・キム北朝鮮担当特別代表は、外務省の船越健裕アジア大洋州局長や韓国の魯圭悳(ノ・ギュドク)朝鮮半島平和交渉本部長と個別に電話協議を行いました。
北朝鮮の国営メディアは3月25日、同国が3月34日の実験で「新型」のICBM「火星17」を発射したと報じました。
こうした中、米国務省のポーター報道官は、中国やロシアがICBMの発射を再開した北朝鮮に対し、これ以上の「挑発」をやめるよう促すべきだという考えを示しました。
また、米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は「一層危険な挑発行為」を行っている北朝鮮への国際制裁を「更新・強化」するよう国連安全保障理事会に働き掛けると表明。ただ、具体的な内容には触れませんでした。
中国の張軍国連大使は、「いかなる当事者も緊張を高めるような行動をとってはならない」とし、「米国は北朝鮮の正当な要求を無視し続けることはできない。早期対話再開への道を開くため、魅力的な提案をするべきだ」と述べました。
この魅力的な提案とは、おそらく、米国が北朝鮮が核・弾道弾開発を放棄するかわりに、経済援助するなどのことを約束することを意味していると思います。
ただ、これには中国の思惑があると考えられます。
それを理解するには、まずはこのブログでも過去に述べたように、朝鮮半島に北朝鮮と、その核があることによって、それが抑止力となり、朝鮮半島への中国の浸透を防いできたという事実を認識しなければなりません。
北朝鮮の核は、日米などは無論、実は中国も照準に入れています。金王朝は金日成、金正日、金正恩の三代にわたって、中国の浸透を嫌っています。もし、北に核が存在していなければ、中国はすぐに北朝鮮に浸透して、金王朝は放逐され、北朝鮮を共産主義化したかもしれません。挙げ句の果てに、北朝鮮に傀儡政権を樹立したかもしれません。
そうして、いずれは北を中国に飲み込み、韓国に文政権のような政権ができたら、それをも飲み込み、今頃朝鮮半島は中国の朝鮮省になっていたかもしれません。
金王朝はだからこそ、核や弾道弾の開発に踏み切ったという面は否めません。
文政権における韓国は、北との関係を深めていこうとしましたが、ある時点からそれを拒絶しました。金正恩としては、南北統一などすれば、得体の知れない、金王朝に敬意など払うことない韓国人が大勢北朝鮮にやってくることになるので、そもそも統一するつもりなどはなからありません。
ただ、いっとき韓国との関係を良くしたのは、それによって米国との関係を良くして、制裁をゆるめてもらったり、韓国からの援助なども期待したのでしょう。ただ、統一する気などさらさらないですから、最終的には関係が悪化するのは当然の成り行きだったのです。
ポンコツ文在寅は、そんなこととはつゆ知らず、ただビエロのように、北朝鮮によって掌で弄ばれただけなのです。
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白頭山の山頂で記念写真に納まる金正恩朝鮮労働党委員長(左から2人目)と南朝鮮(韓国)の文在寅大統領(右から2人目)。両端は李雪主夫人(左)と金正淑夫人=2018年9月20日
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ただ、その韓国で、保守系の尹錫悦氏が大統領になることが決まり、事情は変わってきました。しかし韓国では24年まで続く『ねじれ国会』問題があります。現在の韓国議会は約6割が革新系で、保守派の尹大統領の意向がストレートに通りづらいところがあります。
そのため、日韓関係がすぐに改善することはありえませんが、軍事面では期待できそうです。尹氏は、「サード(THAAD:終末高高度防衛ミサイル)追加配置」を大統領選の公約にしています。
そうして、ロシアのウクライナ侵攻が現実になってしまった現在、かつてウクライナが核保有国だったことを忘れるべきではありません。ソ連が1991年に崩壊すると、ウクライナは期せずして米露に次ぐ核大国になりました。ソ連がウクライナ国内に大量の核兵器を置いていたためです。ウクライナにあった核弾頭は当時1240発。英国が冷戦期に保有していた「核」の2倍以上です。
それでもウクライナは核保有の道を選びませんでした。チェルノブイリ原発事故の影響から、国民に核アレルギーがありました。ウクライナ議会はソ連崩壊の前年、「受け入れない、作らない、手に入れない」の非核三原則を宣言しています。ただ、政府や軍には「核を手放して、自国の安全を守れるか」との懸念もありました。まるで、現在の日本のようです。
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燃料の処理を終えた大陸間弾道ミサイルRT23の1段目= ウクライナ東部パブログラドで2019年11月29日 |
ソ連崩壊で、核の拡散を懸念する米英露はウクライナに放棄を求めました。ブダペストで94年、全欧安保協力会議の首脳会議が開かれます。ここで米英露は「ウクライナの領土的統一と国境の不可侵を保証する」という覚書を交わします。ウクライナが全ての核をロシアに移送したのは96年です。
当時は冷戦終結(89年)で、欧州がウクライナを敵視する可能性は低いと考えられましたし、ロシアとは歴史的、民族的に結びつきが強く、軍事的脅威とはならないだろうと、信じたウクライナは、経済再建を優先し軍縮を急ぎました。戦略爆撃機や中距離重爆撃機のほとんどをロシアに売却するか、国内で解体しています。
覚書から20年。軍縮を進めたウクライナをあざ笑うかのように、プーチン露政権は2014年、ウクライナ領クリミアを軍事力で強制編入しました。米英は覚書に反すると批判しましたが、プーチンはそのようなことは意に介さず、今度はウクライナに侵攻しました。
もし、ウクライナが一部でも核兵器を保持し、戦略爆撃機や中距離重爆撃機を保持していたとしたら、プーチンも迂闊にはウクライナに侵攻することはできず、ロシアは国境紛争程度でそれ以上は踏み込まなかったかもしれません。
北朝鮮も核を放棄すれば、ウクライナのようになる可能性は十分にあります。それを認識している金王朝は、核・ミサイル開発を手放すことは絶対にしないでしょう。そうすれば、北も金王朝もおしまいと認識しています。
以上のようなことを考えれば、日米韓は北朝鮮問題に慎重にならざるを得ないところがあります。当面は、朝鮮戦争後の秩序を維持するということになるでしょう。要するに、現在の
38度線を一ミリたりとも動かさないということです。これは、米国、中国、ロシア、北朝鮮も朝鮮戦争停戦協定で批准しています。
文在寅大統領のときの韓国は、北朝鮮や中国に接近し、在韓米軍の撤退もあり得る状態になり、この38度線はアチソンラインまで、後退することが懸念されたほどですが、尹新大統領は、38度線を維持するのは間違いないようです。というより、文在寅が極めて異常だったのです。
もし、アチソンラインが米国の防衛ラインということになってしまえば、日本の東京が最前線ということになってしまいます。本当に大変なことになるところでした。私は、文在寅が大統領である限り、韓国には軍事的にも何も期待できず、韓国に軍事的な空き地があるだけで良いと考えていました。
これからの日米韓は、38度前を守りつつ、現状維持をはかるのが最適であると思います。核・ミサイル開発に関しては、反対はするものの、できればその主力を、中国むけの戦術核に限定するようにもっていけるな、そうするべきと思います。
これは、理想論からはかなりかけ離れていますが、現実をみれば、このあたりが当面の落とし所にならざるを得ないと思います。仮に米国が現在すぐに、北朝鮮に対して何らかの手段を工事、核やミサイルを無力化すれば、中国を利することになり、敵に塩を送ることになりかねません。
そのようなことをするのではなく、あくまで対峙の最優先は中国にすべきです。米国が北朝鮮問題を強引に解消したとしても、中国がそのままであれば、習近平をぬか喜びさせるだけです。習近平は、北朝鮮に浸透し、次は韓国に浸透するでしょう。
それを実施する上で、武力を用いれば、朝鮮半島版ウクライナ戦争になりかねません。国際関係は理想論で語れるほど、単純でもないし、秩序だったものではないのです。
新冷戦で中国が破れ、中国の体制が崩壊すれば、北朝鮮問題はほとんど何もしなくても解消することになるでしょう。やはり、中国を最優先すべきなのです。核をなくすのは理想だからといって、順番を間違えれば、かえって事態を悪くし、ウクライナの二の舞いになりかねません。
米国もこれを意識した上で、4年ぶりの米韓合同軍事演習を実施するのでしょう。これによって、文在寅統治の韓国から、尹錫悦新大統領統治の韓国に変わったことを北や中国に理解させようとしているのでしょう。
そうして、これからは韓国も含んだ、合同演習は増えていくと思います。そうして、この演習で牽制する対象は、北朝鮮も含まれますが、メインはあくまで中国なのです。ただ、日本としては、これを機に停滞していた拉致問題を進めるべきでしょう。いずれにしても、拉致という北朝鮮による国家犯罪は、いずれ国際法に照らして裁かれなければいけません。
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