まとめ
- アメリカ海軍が初めて洋上でミサイル巡洋艦「チョーシン」の垂直発射システムへの再装填を実施。
- TRAM(海上移転再装填)装置を用いて、輸送艦「ワシントン・チェンバーズ」からミサイルを再装填。
- この実験は迅速な船舶護衛を可能にし、海上での持続的な運用に向けた重要な進展とされている。
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ミサイル巡洋艦「チョーシン」(右)と「ワシントン・チェンバース」 |
アメリカ海軍は2024年10月15日、初めて洋上でミサイル巡洋艦「チョーシン」の垂直発射システム(VLS)への再装填を実施した。
この実験は、商船を狙ったミサイル攻撃への対策として行われ、迅速な船舶護衛を可能にするためのTRAM(海上移転再装填)装置が使用された。
ミサイルコンテナを搭載した輸送艦「ワシントン・チェンバーズ」から、ケーブルと滑車を使って再装填を行ったのです。冷戦後に実用化が進まなかった技術が復活し、海軍長官はこの実験を海上での持続的な運用の重要なマイルストーンと位置づけている。
この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。
【私の論評】潜水艦とミサイル巡洋艦の海上補填能力:日本の海自が抱える課題と未来への展望
まとめ
- 米国のミサイル巡洋艦は初めて海上でのミサイル装填が可能になったが、米潜水艦は潜水母艦を用いて従来からこの能力を持っている。
- 潜水母艦は潜水艦の再装填や物資補給、乗員交代を行い、作戦の持続性と柔軟性を高める重要な役割を果たしている。
- 日本の海上自衛隊は、ミサイル巡洋艦の海上でのミサイル補填能力や潜水母艦を持っていない現状がある。
- 日本の潜水艦は魚雷発射管を使用してミサイルを発射するが、将来的には垂直発射型のミサイル搭載が検討されている。
- 日本は海洋国家として、潜水母艦やミサイル巡洋艦の能力強化が必要である。
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米ミサイル巡洋艦(イージス艦) |
米国のミサイル巡洋艦におけるミサイルの海上での装填は、従来できなかった。しかし、今回は初めてその実現が可能になったのだ。この進展は、潜水艦の運用においても重要な意味を持つ。実は、潜水艦は以前から海上での装填が可能であり、これが米潜水艦の強みとなっていたことは、当ブログでも何度か取り上げてきたテーマである。
だが、なぜ攻撃型原潜が圧倒的な強みを持つのか、明確には説明していなかったと思う。そこで、今回はその反省を踏まえ、詳しく解説しよう。
まず、従来のミサイル巡洋艦は海上でミサイルの装填ができない。これに対し、潜水艦には潜水母艦が存在し、ミサイルや魚雷の洋上での装填が可能だ。この事実は、ミサイル巡洋艦がミサイルを使い尽くすと、どれほど優れた索敵能力や破壊力を持っていても戦力として機能しなくなることを意味する。もちろん、魚雷や「5インチ(127mm)艦砲」といった防御兵器は搭載しているが、ミサイルの代替にはならない。
ミサイルを使い果たした場合、特に敵のミサイル飽和攻撃を受ければ、自らを守ることすら困難になる。この状況を回避するためにも、ミサイルの海上での装填は不可欠だ。
一方、米海軍には潜水母艦(Submarine Tender)が存在し、これは潜水艦の運用を支援するために特化した艦艇である。潜水母艦は、潜水艦が洋上で必要な補給や再装填を行う役割を果たしている。
潜水母艦の最大の機能の一つは、魚雷やミサイルの再装填である。潜水艦が作戦中にこれらの兵器を使用する際、通常は基地に戻って再装填を行う必要がある。しかし、潜水母艦が洋上で再装填を行うことで、潜水艦は任務を中断することなく、連続的に作戦を遂行できる。これにより、海上での戦略的な柔軟性が大幅に向上するのだ。
また、潜水母艦は食糧や水、燃料といった物資の補給も行う。潜水艦は長期間の任務を遂行するために、十分な物資を必要とする。潜水母艦がこれらを供給することで、潜水艦の任務継続能力が向上し、長期にわたる作戦の実施が可能となる。例えば、米海軍の「USS McKee」や「USS Holland」は、潜水艦に対して物資補給を行う能力を持っている。
さらに、潜水母艦は乗員の交代も可能だ。潜水艦は長時間の潜航任務を行うため、乗員の疲労が蓄積しやすい。潜水母艦が交代を行うことで、乗員の疲労を軽減し、戦闘能力を維持できる。これにより、潜水艦は常に最適な状態で任務を遂行できるのだ。
このように、潜水母艦は潜水艦の運用を支援し、海上での作戦能力を向上させるための重要な艦艇である。再装填、物資補給、人員交代の機能を通じて、アメリカ海軍は潜水艦の戦略的役割を最大限に活かしている。これにより、潜水艦はより効果的に、持続的に作戦を展開することが可能となる。
一方、日本の海上自衛隊(海自)のミサイル巡洋艦は、現時点で洋上でのミサイル補填を実施していない。「いずも」型や「むらさめ」型の艦艇は先進的なミサイルシステムを搭載しているが、洋上での再装填能力は持っていない。ミサイルが尽きた場合、陸上基地や補給艦に戻って再装填を行う必要があり、これが海自の運用スタイルに影響を与えている。
潜水母艦についても、日本の海自は保有していない。ただし、潜水艦の支援能力を持つ艦艇として「潜水艦支援艦」や「補給艦」が存在し、これらは物資補給や人員交代を行う役割を担っている。
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海自の潜水艦救難母艦「ちよだ」 |
現在、日本の潜水艦は主に魚雷発射管を利用してミサイルを発射しているが、これにはいくつかの制約がある。魚雷発射管から発射されるミサイルは艦対艦ミサイルや対地ミサイルが中心で、発射管のサイズに制約されるため、威力や種類に限界がある。また、ミサイルは空気中での飛行を前提としているため、水中からの発射に適した設計が求められ、性能にも影響が出る。
しかし、将来的には垂直発射型のミサイルを搭載できる潜水艦の構築が検討されており、これにより攻撃能力や運用の柔軟性が向上することが期待されている。
今のところ、日本の海自がミサイル巡洋艦における洋上補填能力や潜水母艦の導入について具体的な計画を発表しているわけではない。しかし、海自は近年、海上での持続的な運用能力を強化するための取り組みを進めている。
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米海軍の垂直発射型のミサイルの発射管 |
ミサイル巡洋艦の洋上補填能力については、米海軍など他国の事例を参考にする可能性があるが、具体的な導入計画は確認されていない。また、潜水母艦についても、現在は潜水艦の支援を行う補給艦や支援艦が存在するが、専用艦艇の建造計画は発表されていない。
しかし、日本の安全保障環境の変化や技術の進展に伴い、今後の運用方針が見直される可能性はある。海自は国際的な連携や自衛能力の向上を図っているため、将来的にこれらの能力の導入が検討されることも考えられる。
日本は海洋国家であり、海洋での強みを失えば、安全保障上の脅威が増すことになる。かつての帝国海軍には潜水母艦が存在した。やはり、海自もこれを持つべきだ。また、ミサイル巡洋艦の海上でのミサイル補填も可能にする必要がある。
これらの情報を参考にしました。
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