2012年5月19日土曜日

女性による女性のための“チーズとよく合う日本酒”―【私の論評】本命は、女子会ではなくて、若い男性か?

女性による女性のための“チーズとよく合う日本酒”


そんなに詳しいわけではないのだけど、ワインにはチョコや生ハムが合う気がするし、焼酎には肉料理や炒め物が合う気がする。あくまで、個人的な意見ですよ?

そして日本酒には……。やっぱり梅干しとか和食なんじゃないかと思っていたが、どうやらこんな日本酒もあるようだ。兵庫県の「小西酒造」が開発したのは、その名も『チーズとよく合うお酒』。
狙いとコンセプトがそのまま商品名に反映されたこのお酒は、同社の女性スタッフのみで製作されたそうだ。

「当社内には、女性スタッフのみで構成された『酒ガール☆PJ(シュガールプロジェクト)』なるプロジェクトがあります。彼女らがマーケティング部の女性をはじめ、社内の女性の意見を聞きながら開発を担当いたしました」(同社・担当者)

酒ガール☆PJのfacebookカバー写真
「社内での聞き込みの結果、女性向けのお酒はどうも甘過ぎたり、本当に女性が手に取りたいものと違うのではないかという疑問が露わとなりました。このような状況から『自分達が手に取りたいものを開発したい!』と考えるようになったんです」(担当者)




では、何がどうなって「チーズとよく合う」なのか?
「日本酒とチーズは共に発酵食品であり、元から味の相乗効果を生み出す組み合わせではありました。当社独自の工夫としましては、2種類のこうじを組み合わせて酸味に特徴を出し、日本酒に含まれるアミノ酸の生成を抑えたことで、“チーズに合う飲み口の良さ”や“喉越しのさわやかさ”、“キレのある甘い味わい”を生み出すことに成功しております」(担当者)

なるほど。そしてもう一つ、肝心なことを聞きたい。結局、この『チーズとよく合うお酒』はどんな味がするのだろう?

「キレのある甘口です。白ワインは酸味が始めに広がりますが、このお酒は甘味が口に広がり、最後に酸味がきりりと引き締めます。その酸味もクエン酸が多く、爽やかな酸味です(グレープフルーツなど柑橘系の酸味)」(担当者)



こうして、「チーズとよく合う」は形となった。また、チーズ以外にもサーモンマリネなどのフレンチイタリアンや生姜醤油、わさびを効かせた和食とも相性が良いそうだ。

そんな、この『チーズとよく合うお酒』が発売されたのは2月24日。発売から約3カ月となっているが、その人気ぶりは予想をはるかに上回っている。



「最初は『1ヶ月で1000本ぐらい売れれば……』と3500本を製造したのですが、反響は予想以上でした。現在は仕込みを3倍に増やし対応しておりますが、まだ品薄の状態です』(担当者)
そしてやはり、女性を中心に人気を博しているとのこと。具体的には「飲みやすい」、「チーズと合わせると味が変わる」、「これ日本酒? ワインみたい!」といった声が寄せられている模様。

現在は同社が運営する「長寿蔵オンラインショップ」等で、この『チーズとよく合うお酒』は販売されている。価格は、税込み498円(ワンコイン!)。



確かに「チーズを摘まみながらお酒をグイッとやって、DVDを観ながら眠りにつく」というシチュエーションは至福である。それも、日本酒で。

女性じゃないけど、私も個人的に入手していいですか?

この記事の詳細はこちから!!

【私の論評】本命は、女子会ではなくて、若い男性か?

清酒そのものの売り上げは、どう推移してきたかというと、売上数量では、以下の画像の通りです。昭和中期(30年代)が一番売れていて、そのご若干の上下はあるもののどんどん下がっています。昭和20年代に戻っています。


では、他の種類の売上数量は、どうかといえば、まずはワインは以下のようになります。2010年には、日本初のソムリエも登場したためか、ワインブームがおこっています。ワインブームが去ってから、数量は、減っていますが、それでもある程度は、従来よりは、維持しています。


では、ビールの売上数量はどうかといえば、以下のようになっています。ビールは、平成6年を頂点にどんどん減っています。


他のウィスキーなどの酒類もありますが、それも加えた、酒類全部の売上数量はどのような推移をたどっているかといえば、以下のようになっています。


酒類全体でも、平成11年あたりをピークとして下がっていることがわかります。

このような、酒類の売れ行きをみると、何か変化を起こさなければ、酒造メーカとして、先行き不安ということで、最近いろいろな製品が開発されているのだと思います。特に、清酒は落ち込みが激しく、売れる清酒をつくりだすことは、酒造メーカーの至上命題なのだと思います。

その、一環として、上の記事の商品も開発されたのだと思います。ただし、上の記事をみていて、非常に気になったことがあります。それは、開発担当者による「最初は『1ヶ月で1000本ぐらい売れれば……』と3500本を製造したのですが、反響は予想以上でした。現在は仕込みを3倍に増やし対応しておりますが、まだ品薄の状態です」という言葉です。


3倍に増やしたとはいっても、約1万本程度に過ぎません。ということは、年間でも、12万本強くらいということです。これって、何か、普通の新製品の売れるものという感じてはないでしょうか。私自身は、酒類に関しては詳しくはないですが、たとえば、このブログにも掲載した、キリンメッツなどと比較はできないのかもしれませんが、それにしても、多少売れ行きが良いという程度で、ヒットとまではいえないのではないかと思います。このあたりの事情に詳しいかたがいらっしゃれば、是非コメントをお寄せください。

そういわれてみれば、清酒に関しては、ここ最近、いわゆる女性向けが開発されているという話は、良く聴きます。というより、開発といえば、女性向けばかりが目立ちます。そうして、そうした製品は、売れるには売れていますが、いわゆるヒット商品とまで言われるようなものは聴いたことがありません。

女性向けということでは、最近では、菊水酒造のスパークリング清酒「きららきくすい」が記憶に新しいです。


この開発に関しては、菊水酒造のブログに以下のような内容が記載されていました。
日本酒の海外輸出が年々増加傾向にある中で、「スパークリング清酒 きららきくすい」は、当社が今後海外に向けて販路を拡大するための戦略商品として開発したものです。 
当社では昨年来、外国人によるモニター座談会などを実施し、日本酒についての感想や意見を求めてきました。 
その中で「味が強すぎる」「単調な味」「刺激が少ない」などの否定的な意見が集まり、既存の当社の日本酒をそのまま輸出しても受け入れられにくいと判断。
風味やまろやかさなど日本酒の良さは残しつつ、欧米人の嗜好に合う味を求めて、アメリカ人女性社員を中心として、新しい発想の日本酒の開発に取り組むことになりました。

企画・開発チームが今年2月から5ヶ月以上にわたって試作・試飲を繰り返し、ベースとなる日本酒に欧米人が好む炭酸を注入することで、さっぱりとした口当たりと爽やかな甘さをほのかに感じるお酒が完成しました。 
はじける泡の中にもしっかりと日本酒の味と香りを残した、シャンパンのような発泡清酒です。キラキラ輝く金箔を入れることで、豪華さを演出しています。

清酒、梅酒共に金箔入りです。 梅酒はコラーゲンも入ってます! 上記商品は、菊水ショップ(http://kikusuishop.jp/)でも発売中。ぜひ、お試しください☆

上の記事で、アメリカ人女性とはデーナ・ベルテさん(アメリカ・マサチューセッツ州出身)のことです。彼女は大学時代に日本に留学し、卒業後は青森県つがる市役所に国際交流員として勤務。青森で日本酒の魅力を知り、日本で酒造りの仕事がしたいと2010年8月同社に入社しました。

さて、他にも女性向けの製品の開発は良く聴きます。しかし、これは、私の勉強不足のせいでしょうか、特に男性向けそれも、若い男性向けのものの開発という話は聴いたことがありません。


これは、清酒は、もともとは、男が飲むもの、その中でも、若い男性がたくさん飲むものという固定観念があるのかもしれません。その当の若い男性が飲まなくなっているのだから、もともと、あまり清酒を飲まない女性向けを開発するというのは、成り行き上そうするのは、良く理解できます。

しかし、これだけ、女性向け開発が話題になるなか、若い男性向けの、製品開発など聴いたことがありません。

そうして、これは、お酒ではないのですが、飲料で、気になる製品があります。若い男性向けに開発された、エナジー系飲料の、バーンやレッドブルです。


これらは、発売直後どちらも、予定の倍以上の売上でその後順調に推移しています。これらについては、他のサイトでも詳しく解説されていますので、詳細をお知りになりたいかたは、そちらをあたってください。それから、きわめつけは、あのメッツコーラです。これも、もともと、は男性向けです。これらについては、このブログにも掲載したことがあります。これは、発売後わずか2日で年間販売目標の5割を突破したこれら、若い男性向けの飲料が売れていることを考えると、アルコール飲料だって、開発してみれば、かなり売れることも考えられると思います。



このコーラが売れた背景は、やはり、コーラでハンバーガーなどの高カロリーな食べ物を食べたいという欲求があったのでしょうが、カロリーゼロの製品は、あったものの、それ以外は存在しなかったところに、男性向けに、脂肪吸収を抑える特保製品として、開発して販売したら、とてつもないヒットになったというものです。

こんなことを考えると、清酒を飲まなくなった人で、最も多いタイプは人数でいえば、若い男性も女性と変わらないくらいどころか、潜在的には、飲んでもおかしくない人が女性よりもかなり多くいるということだと思います。であれば、男性向けに何か新しい製品を開発すれば、かなりヒットになる可能性もあるのではないかと思います。


メッツコーラは、男性向けに開発しましたが、実際には、女性もかなりの割合で購入しており、こうしたことからも、ヒット商品となりました。日本酒だって、そのような製品を開発すれば、女性も取り込み、ヒット商品になる可能性もあると思います。

上の記事の、以下のような執筆者の感想は、その可能性を示唆しているように思えてなりません。
確かに「チーズを摘まみながらお酒をグイッとやって、DVDを観ながら眠りにつく」というシチュエーションは至福である。それも、日本酒で。
女性じゃないけど、私も個人的に入手していいですか?

皆さんは、どう思われますか?
パッケージをみると、黒が基調で、これなら、そのまま男性向けとしても売れるような気がします。コンセプト的には、このままとして、ただし、男性向けとして、味など一工夫すれば、もっとヒットしたかもしれません。とにかく、チーズと合うという機能性を持たせたのですから、メッツコーラが、機能性を持たせたということにも相通じるところがあります。チーズにもいろいろありますが、無論、ナチュラルチーズで、男性好みのものとあわせると良いかもしれません。

チーズとワインのマリアージュに関しては、このブログにも掲載したことがあります。マリアージュとはフランス語で、結婚の意味です。ワインとチーズは、両方とも、発酵食品なので、昔から相性が良いという意味でつかわれている言葉です。これらを一緒にいただくと、本当にワインの味がまろやかで、フルーティーになります。これを音楽でも聴きながらいただくのは、本当に私にとって至福のひと時です。私ももし、このマリアージュを日本酒でも味わえるなら、是非いただいてみたいものです。

本格的ヒットを狙うなら、本命は、女子会で飲まれるようなお酒でははなくて、外でも、内でも、普段飲まれる、若い男性向けなのかもしれません。皆さんは、どう思われますか?



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2012年5月18日金曜日

【お金は知っている】“国の借金”とは財務官僚の詐欺論法!―【私の論評】全くこの通り、まさに我が意を得たりという心地がする!!ただし、もっとわかりやすくすれば、結局こういうことだ!!

【お金は知っている】“国の借金”とは財務官僚の詐欺論法!:




最近でも、財務省による「1000兆円借金」論が以下のように報じられる。

--財務省は10日、国債など「国の借金」が平成23年度末時点で過去最大の959兆9503億円になったと発表した。24年度末時点の借金は1085兆5072億円と1000兆円を突破する--

「国の借金」とは財務官僚の詐欺論法である。

官僚は「政府」とは「国」のことだと勝手に解釈し、御用メディアを通じて「政府=国=国民」だと読者の頭に刷り込んでしまう。ところが、英語では国と国民はいずれもnationなのだが、政府はgovernmentであり、はっきりと国と政府を区別している。政府の借金とは政府の借金以外、何でもない。米国で「国民の借金」だと政府が公言すれば、「何を言っているか、責任を有権者に押し付けるつもりか」とたちまち世論の袋だたきにあうだろう。

ともあれ、日本の財務官僚はこの錯覚を利用して、そのホームページなどで、「国の借金」を家計や国民一人当たりの借金に置き換えて、記者に劣らず経済音痴の官邸の主や議員を増税また増税に駆り立てる。

財務官僚やメディアの言う「国の借金」とは、「政府の国民からの借金」であり、国民にとってみれば資産である。国民は政府にきちんと元利返済させる権利を持つ。ところが、国民に増税を認めよ、そしたら返すというのが財務官僚と野田政権のロジックである。とんでもない、ならず者の論理ではないか(詳しくは拙近著「財務省『オオカミ少年』論」参照)。

そもそも、お金ですべてが動く近現代社会では、借金があってこそ世が栄える。従って、政府も民間も借金すること自体は「よいこと」なのである。

グラフは米国の政府と民間の借金合計額の国内総生産(GDP)比とインフレ率の推移を追っている。借金超大国でもある米国は借金すればするほど、物価が安定し、経済成長してきた。借金が膨張したからといって、悪性インフレになるどころではない。逆である。物価は安定度を高めていることが読みとれる。

政府の義務は国民から借金し、その資金で国民に安全と雇用機会や所得増をもたらす政策の実行で成果を挙げることだ。

日本の場合、政府が政策で大失敗し、デフレ不況と失業、窮乏化、大災害に無防備、という最悪の結果を招いている。この責任を政府や官僚がとるどころではない。だれも知らぬふり、揚げ句の果てに、政府はこの借金は国すなわち国民の借金だから、さっさと増税を受け入れろ、と迫る。

野党の自公両党も政権時代に大失敗を重ねてきたのに頬被りし、増税で帳尻合わせしようとした。その点、民主党と大差ない。政局の表舞台では小競り合いの演技、裏舞台では消費増税で事実上の大談合、大連立だ。

誤った国の定義をただすのが民主主義国家の野党の役割だというのに情けない。(産経新聞特別記者・田村秀男)

【私の論評】全くこの通り、まさに我が意を得たりという心地がする!!ただし、もっとわかりやすくすれば、結局こういうことだ!!

さて、田村氏、産経新聞のなかでも、ほとんど勉強もしない、理屈もわかっていない、新聞記者が、特にマクロ経済に関して、わけのわからない記事を掲載したりして、げんなりすることもあります。その中にあって、長年経済記者をやってきた田村氏は、きちんと、マクロ経済のことを理解して経済記事を書きます。安心して読むことができます。

産経新聞にも、勉強不足の記者がいますが、他の日経新聞を含む大手新聞などは、ここ10年くらい、特にマクロ経済に関する記事がかなり劣化しており、マクロ経済の専門家などにいわせると、その95%くらいが真偽のほどがはっきりしないものだといわれるほど、酷いことになっています。そんな、中で、田村氏の記事は、しっかりとしたマクロ経済の背景から語る記事であり、情報源として優れています。

田村秀男
上の田村秀男氏の文章なかなか、わかりやすく、ずばり政治家や官僚の無能を指摘しており、まさに、我が意を得たりという感じがして素晴らしいいと思うのですが、この方の話を多くの日本国民に理解していただくためには、上の文書や、資料ではものたりないと思いますので本日は、上記記事の補足をさせていただきます。

まずは、上の記事の以下の部分を実際にグラフでそれに相当する部分をみてみましょう。

まずは、"財務官僚やメディアの言う「国の借金」とは、「政府の国民からの借金」であり、国民にとってみれば資産である。国民は政府にきちんと元利返済させる権利を持つ。ところが、国民に増税を認めよ、そしたら返すというのが財務官僚と野田政権のロジックである。とんでもない、ならず者の論理ではないか(詳しくは拙近著「財務省『オオカミ少年』論」参照)。"の意味するところを紐解いていきましょう。

まずは、下のグラフ(日本国の金融資産をグラフ化したもの)をみれば、政府の借金は、確かに、1000兆円くらいありますが、同時に政府が500兆円近い資産を所有していることがわかります。政府や、官僚は、まずはこのことは絶対にいいません。政府の借金だけ語ります。これは、一般民間企業でいえば、自分の企業に関して、負債ばかり話して、資産について語らないと同じことです。そうして、この金融資産他国の政府の比較すると、トップレベルにあります。アメリカよりも多いです。そうして、この金融資産の多くは、特別会計に含まれているものなどです。


 それから、上のグラフで、合計がありますが、資産のほうが負債よりも大きいです。これは、何を意味するかといえば、日本国のすべての金融資産が日本国内だけにあれば、合計の資産と負債は同額になるはずです。実は、この差額、海外に貸し付けている金融資産です。これは、約260兆円あります。もし、政府がいうように、国単位で借金をしているというのなら、この合計で、では、負債のほうが資産よりも大きいはずです。

実際、アメリカは、ドル建てで、海外から借金をしています。アメリカの場合、この合計のグラフ、負債のほうが、資産よりも300兆円も多いということになります。そういうと、アメリカは借金まみれで、いつ破綻するかわからないのではないかと心配する人もいるかもしれませんが、アメリカの場合、すべて機軸通貨であるアメリカドル建てで借金をしているため、そのような心配はありません。

日本国は、借金どころか、海外に260兆円も貸し付けているということです。これが政府のように借金をしているというのなら、これは、負債のほうが多くなるはずです。日本国は、正真正銘借金などないのです。これが、ギリシャのような国の場合海外から借金をしており、これと同様なグラフを描けば、負債のほうが多くなっています。しかも、ギリシャのような本当に財政破綻しそうな国では、この借金アメリカと異なり、外貨によるものです。この場合を正真正銘の負債であり、国の借金といいます。

グラフでみると、家計という項目がありますが、これが、いわゆる国民の資産ということになります。資産が、1500兆円くらいあることがわかります。借金もありますが、それは、数百兆円に過ぎず、圧倒的に資産が多いことがわかります。これをみただけで、国民は借金をしていないということがよくわかります。ですから、政府や官僚がいう、国民の借金などという表現は、本当に頓珍漢といわざるをえません。政府や官僚の言うことは、無借金で生活している人に、「てめーら、オレからの借金を返しやがれ!!」といって、罵倒しているのと何らかわりありません。

それから、最近では、政府による借金のほとんどが、国債によるものですが、その国債の保有割合を示したのが、下の円グラブです。


右の保有割合の、上の郵貯~個人投資家にいたるまで、すべてが、日本国内ということです。海外投資家というところだけが、海外からの購入であり、その割合は、6.4%に過ぎません。それに、郵貯、カンポ、一般銀行、一般保険・年金、公的年金とは、結局国民の資産です。直接的に国債を購入している国民は、個人投資家という項目で、それは、5.3%に過ぎませんが。他のほとんどは、金融機関などが、国民から預かったお金で、国債を購入して運用しているということです。結局国民が、間接的に購入しているということです。これは、要するに国民が間接あるいは、直接政府に国債を通じて、お金を貸し付けているということです。

ここでもし、海外投資家の項目がかなり、大きければ、それは、外国から国債を通じて、借金をしているということになりますが、この割合はかなり少ないです。要するに、外国からほとんど借金をしていないということです。これが、かなり、海外投資家の割合が多かったとすれば、海外からの借金が、かなりあるとを示しています。日本国は、これだけ、この割合が少ないため、海外に貸しつけている、金融資産が、海外から借りている資産をはるかに上回り、結果として、先ほども掲載したように、差し引き260兆円もの金融純資産を海外に持っているというか、貸し付けていることになります。

それから、上の記事で、"そもそも、お金ですべてが動く近現代社会では、借金があってこそ世が栄える。従って、政府も民間も借金すること自体は「よいこと」なのである。"とありますが、金融機関は、資産と負債がイーブンです。企業は、負債のほうが多いです。政府も負債のほうが多いです。

特に、企業が負債が多いということは、何を示しているかといえば、それは、お金を借りて、設備投資や、人材育成をしているということを示しており、これが、全く借りていなければ、それらに何もしていないということになります。だから、上の筆者は、「借金=悪」という考え方は間違いということをいいたいのです。

これは、リチャード・クー氏が、日本のバブルが崩壊して、しばらくしてからも、景気がなかなか浮揚しないという現実をみて、「バランス・シート」不況と語っていたことを考えてみればわかることです。

2005年当時、リチャード・クー氏がこのバランス・シート不況のことについて語っていたことがあります。それについて、詳細は、以下のURLをご覧いただくものとして、以下のその要約をコピペしておきます。



リチャード・クー氏
一国の経済というのは、家計が貯金して、それを企業が借りて使うということで円滑に回るわけです。その真ん中に証券会社とか銀行があって、仲介業務をするんですね。企業が一斉に借金返済にまわったら、家計の預・貯金はまったく使われない訳です。
そうすると企業の借金返済と家計の貯蓄を合わせた額が銀行に入ってきて、二度と出ていかないということになります。 
これがデフレギャップです。少なく見積もっても35兆円から40兆円あります(当時)>
ということは、誰かがこれを使わないと経済はどんどんシュリンクしちゃうわけで、それを私はバランスシート不況と呼んだわけです。 
今の日本企業は、すでに十数年間借金返済を続けて、かなり有利子負債残高が落ちています。 
ただ、資産価値の下落があまりにも大きかったので、もう少し借金返済をしないと安心できないというのが今の状況だと思います。 
ともかく「合成の誤謬」の中で、政府は民間に対して借金返済をやめろとは言えないわけです。 
でもほっておいたら、それこそ大恐慌になってしまう。 
こういう時には政府は民間と逆の行動をとらないといけないわけで、35兆円から40兆円(当時、現在なら100兆円くらいは必要です)を政府が借りて使う、そうすると全てが回るわけです。 
これを私はずっと言い続けてきた訳で、このバランスシート不況に限って、財政出動は不可欠であるというのがこの理論です。 
今後の景気見通しという点でいえば、まだ企業の借金返済はGDPの6%、30兆円規模で続いていますから、しばらくは財政支出を続けなくてはいけない。 
しかし、もう1~2年もすれば、多くの企業が借金返済を終えるでしょう。一部の企業では、もう去年の4月から終わっているんです。 
企業が再びお金を借りるようになれば、また金融政策が効き始めます。

要するに、多くの企業が、借金を返済することばかりに気を使い、新たにお金を借りることをしなければ、経済は不況に陥るということです。それは、そうですね。多くの企業は、何か新しいことをはじめるには、株式を新たに発行したり、金融機関からお金を借りてはじめるのがほとんどです。それが、借金を全くしないというのであれば、何もしないということです。何もしなければ、企業は業績を伸ばすことはできないということです。

それは、政府だって、同じことです。政府が借金がまるでなく、極端なことをいえば、資産のほうがはるかに多かった場合、この政府は、何も新しいことを実施しないということです。これが、良いことであるはずがありません。政府は、今のところ、借金のほうがはるかに多く、資産は少ないです。では、政府は、良い仕事をしているのでしょうか?そんなことはありません。

日本政府や官僚は、仕事をしない飲んだくれ父さんのようなもの
上の記事にもあるように、「政府の義務は国民から借金し、その資金で国民に安全と雇用機会や所得増をもたらす政策の実行で成果を挙げることだ。」ということなのですが、結局政府は、これをないがしろにしてきました。なんだかんだといって、歴代の政府は、緊縮財政ばかりやってきました。

国民は、政府や役人の無能にも気づかず、大人しく働くラブラドールのよう
「日本の場合、政府が政策で大失敗し、デフレ不況と失業、窮乏化、大災害に無防備、という最悪の結果を招いている。この責任を政府や官僚がとるどころではない。だれも知らぬふり、揚げ句の果てに、政府はこの借金は国すなわち国民の借金だから、さっさと増税を受け入れろ、と迫る。」という具合です。この20年というもの、政府は、本来リチャード・クー氏も言っているように積極財政をすべきだったのですが、結局緊縮財政ばかりして、さらには、増税でその緊縮を加速してきたというのが真相です。そうして、日銀は、金融引き締めを行い続け政府の緊縮を後押ししてきました。

その結果が、現在の経済の癌ともいえるデフレです。デフレは、異常な状況です。デフレ下で増税して、税収が増えたなどということは、日本でも他国でもありません。逆です。減ります。

結局、政府の借金が増えてはいますが、その借金が有効なことにつかわれおらず、先の展望も見えないということです、それを、国民のせいにして、今のデフレの時期に増税するというような馬鹿なをことを言っても、マスコミも、多くの国民も、その不当な要求を退けるどころか、迎合しつつあるというのが、今の状況です。だから、上の記事の筆者は、それに警鐘を鳴らすために、上のような記事を書いたということです。そうして、政府がさらなる借金をして、まともに仕事をするようにしたとすると、ハイパーインフレになるなどという輩がいるので、借金をしても物価が安定するというアメリカの例をグラブで示したということです。

さて、今の段階で政府がさらに借金をして、経済対策を行うとなると、それを国債で賄うということになれば、国債の金利が上昇し、誰も買わなくなるなどとする輩もいます。しかし、現実には、国債の長期金利は低いままで推移しています。さらに、最近では以下のような事態も生じています。
日本銀行が16日に行った資産買い入れ基金を通じた長期国債の買い入れオペで、応札額が取得予定額に届かない札割れとなった。
 金融緩和のため2010年10月に導入した基金での国債の札割れは初めて。
 満期までの期間が「1年以上2年以下」の国債で、6000億円の取得予定額に対し、応札額が4805億円にとどまった。新発2年物国債の流通利回りが一時、オペ対象の利回りの下限である0・1%を割り込むなど、ギリシャの政局不安を背景に投資家の国債への需要が高まったためとみられる。「日銀の相次ぐ金融緩和による国債購入で、市場に出回る2年以下の国債が少なくなっていた」(SMBC日興証券の野地慎氏)との指摘もある。
要するに、日銀が金融緩和措置の一環で、民間銀行から長期国債を買い入れようとしたら、予定額より下回ってしまったということです。それだけ、日本の国債は、現状では、人気があるということです。信用もあるということです。であれば、国債で借金をして、実施すべき震災復興や、それ以外のやるべき公共工事など実施して、 デフレ不況と失業対策、窮乏化対策、大災害に無防備状況の解消を行い、 景気を上向かせ、国民の所得水準向上させ、増収をはかるというのが、政府のやるべきことです。日銀は、本格的に金融緩和をして、政府を下支えすべきです。そうして、景気が過熱してインフレになれば、増税すれば良いということです。

企業や、一般家庭では、一端お金を支出すれば、それは消えてしまうと考えます。しかし、国の場合違います。一端政府が借金をして、支出したとします。それは、国から消えてなくなるわけではありません。それは、何らかの形で、企業や、家計に移転することになります。そうして、企業や個々人が稼いで、収入が増え、景気も上向き、そうなれば、税収も増えるということになります。

ご理解いただけたでしょうか?本来自分たちの無能を国民に押し付けようとする政府や官僚は、袋叩きにされるべき筋のものです。この論考について、反論のある方は、あるいは、賛成の方、是非コメントを残していっていただければ、幸いです。


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2012年5月17日木曜日

【動画あり】飲み残したワインを長持ちさせる、簡単でお金のかからない保存法―【私の論評】他にもいろいろある、これはイノベーションの機会かもしれない!!

【動画あり】飲み残したワインを長持ちさせる、簡単でお金のかからない保存法:


一度コルクを開けてしまったワインは、そのままでは数日しか持ちません。ところが、ブログ「Food52」に、飲み残したワインをもう少しだけ長持ちさせる簡単な方法がありました。なんとフタ付きのガラス瓶に移し替えるだけだというのです。  

【私の論評】他にもいろいろある、これはイノベーションの機会かもしれない!!

上のやり方でも、無論ワインの保存はできますが、丁度良いサイズの瓶がなければ、瓶の上のほうに空気があって、結局うまくはいきません。しかし、ほかにもやり方はありますし、すでに、これを解決しているような製品もあります。本日は、ワインを飲んでいる女の子の画像とともに掲載させていただきます。


しかし、他にもいろいろ方法はあると思います。たとえば、ジップ・ロックの袋にいれるというのは、いかがでしょうか?これだと、空気を完全に取り除くことができて、おおよそ、どのような量のワインでも、格納することができます。実際、私もやっていますが、これだと本当に日持ちがします。


ただし、このやりかた、少しきになるのは、輸血の血液パックのように見えてしまうことがあることです。ただし、下の写真は輸血用の血液パックではありません。それを模した、バス用のジェル(洗剤)です。本物を掲載しようとしたのですが、グロくてやめました(笑)。


しかし、良く考えてみると、もうすでに、これに近いような製品はもうすでに存在しています。

上の画像は、最近テレビでCMが放映されている、ヤマサの「鮮度の一滴」シリーズのお醤油のシリーズです。中の容器の注ぎ口が特殊な薄いフィルムになっており、注ぐときは口が広がりますが、注ぎ終わると口が閉じて、袋の中へ空気の侵入を防ぐのです。 これは、注ぎ口に残った調味料が、フィルム同士を密着させているためです。



また、もし容器が倒れても、中の調味料が一気に外へ流れ出ないようになっています。
※倒れ方や、中の量によりこぼれ方に誤差があります。



これによって、お醤油の鮮度を保つのです。お醤油も酸化していないと、透明に近い色ですが、酸化すると黒っぽい色になります。



まずは、お醤油が酸化していない場合酸化した場合どうなるのか、その色の違いをご覧ください。以下は、同条件で一ヶ月間保存した場合のものです。左側が、酸化していないもの、右側が酸化したものです。無論、左側が、鮮度の一滴の容器で保存したもの、右側が、従来のペットボトルで、空気が入った状態で保存したものです。


色の違いは、歴然です。それに、酸化すると当然味も落ちます。


ヤマサでは、こうした酸化を極力避けるような容器を開発して、それに醤油を入れて、味を保つようにしたということです。それにしても、醤油など、あまり普段意識しないで使っていますが、特に、家庭などで、ペットボトル入りをそのまま使ったいたら、使い切るころには、かなり酸化して味が落ちているということになります。同じ料理を食べていても、美味しいときもあれば、あまり美味しくないときもあるものですが、その原因は、意外と酸化によるものかもしれません。



それと、もう一つ思い出すのが、あの渡哲也さんのテレビCMの松竹梅「天」パウチバックです。


これは、あまり鮮度を意識したもののようではないようです。どちらかといえば、捨てるときに捨てやすいという意味があるのだと思います。しかし、これも、全部飲めなかったときに、なるべく空気を出すようにしてから蓋をすれば、相当空気を抜くことができて、酸化を防ぐことができるように思います。特に、日本酒は、ワインと違い、出来立てが最も美味しいです。それが、古くなったり、酸化すると味が落ちます。こちらは、実験したことがないので、そのうちまた実験してみようと思います。



最近、ワインサーバーのヴァンガードなども販売されています。これは、ワインサーバーに中蓋があって、空気に接触させないようにして、ワインを保存できます。しかし、これっと、価格が1万円もします。ワイン好きで、日々飲む人それも、結構高額なものを飲む人ならともかく、時々飲む人であれば、これを購入するのはためらわれるのではないかと思います。

ワインや清酒など、ヤマサの「鮮度の一滴」のような容器に入れて売り出せば、たとえ、飲みのこしたとしても、酸化しないので、味が落ちるようなことがないと思います。このような、お酒用の酸化を防ぐパックもしできたら、素晴らしいと思うのは、私だけでしょうか?これは、凄いイノベーションになると思います。いままでの、紙容器や、ペットボトル容器など、メーカーのコストカットに貢献することと、捨てるときに嵩張らないというだけでしたが、こうした開発は、消費者側にとっても、鮮度管理の向上という素晴らしいメリットがあります。さあ、どこぞのメーカーさん是非開発してください!!


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恥をかかずにレストランでワインを注文する6つのコツ: −【私の論評】ワインとチーズのマリアージュについても是非知っておこう!!







2012年5月16日水曜日

《書評》検証 財務省の近現代史 政治との闘い150年を読む 倉山満著―【私の論評】大蔵省復活、日銀白川を打て!!

《書評》検証 財務省の近現代史 政治との闘い150年を読む 倉山満著:

倉山満氏自身のブログの扉
明治に入り、政府が政策課題を実現するため、税金の徴収機関として設置された大蔵省(現財務省)。憲政史家である著者が、日本の近代史を陰で支えてきたその知られざる歴史と、税金を中心とした政治との関係を考察した。

病苦を押して職務に邁進、殉職同然に死去した藤井真信、戦時体制の中で「増税無限ループ」に抵抗した賀屋興宣、石渡荘太郎、青木一男、占領期に日本のグランドデザインを描いた下村治、高度成長を演出した森永貞一郎、石野信一など、一般にほとんど知られていない財務官僚たちの姿にスポットを当てている。

また、デフレ不況の中での増税路線が本当に正しいのかも、併せて検証している。


【私の論評】大蔵省復活、日銀白川を打て!!


私は、このブログで、デフレで不況であるときに、増税などもってのほかであること、これは、緊縮財政の一つの手法であること、また、日銀が金融引き締めばかりやることを非難してきました。そうして、多くの人たちが、デフレに慣れてしまっていて、デフレを前提として物事を考えるいることに警鐘を鳴らし続けてきました。

デフレは、経済の病というより、深刻な癌と考えて良いくらいの大病です。私は、過去のブログで、今の日本の状況を癌をわずらったサラリーマンにたとえてきました。

映画『クワイェットルームへようこそ』より
現在のこのデフレの状況下におい、財政バランスが崩れているからといって、これをデフレの克服の前に何とかしようなどという考えは、癌を患ったサラリーマンが、癌の手術をすれば、長期間入院しなければならず、そうなれば、会社を長期間休まねばならず、会社に迷惑をかけてしまうという理由で、入院しないサラリーマンのようなものです。

これは、本来まずは、入院して、癌を治すことが先決です。そのまま放置して、入院しなかった場合、癌は、あちこちに転移して、取り返しがつかないことになり、いずれ、サラリーマン自身が命を失ってしまいます。


これは、本当に簡単な理屈なのですが、ただし、このデフレ、あまりにも緩慢にすこしずつ、日本経済を侵食していくので、多くの人が"ゆで蛙"状況になってしまっているようです。

日本の経済は、成熟化していますから、いわば、癌のたとえにすると、このサラリーマンある程度歳がいっているので、癌の進行が遅いというような感じです。それにしても、癌は癌であり、放置しておけば、いずれ、天寿を全うすることなく死んでしまうことになります。

このようなことを考えていると、情報を集めるようになります。その中の一つがこの書籍です。最初この書籍を手にした理由は、財務省といえば、従来は、日銀も配下にある、旧大蔵省であり、いわば、エリート中のエリートであり、日本を明治時代から、ずっと導いてきた役所であるはずなのに、なぜ今増税に舵取りをするのかということです。

大蔵省錦絵
営利企業である会社でも、国でも、結局は、何をするにしても、お金の裏づけがなければ何もできません。だからこそ、大きな会社であれば、CFO(財務担当最高責任者)などという役職もあるくらいです。まさに、日本国のCFOが旧大蔵省であったはずです。政治家が何を言おうと、結局のところ、予算が割り振られなければ何にもできないわけです。その意味で、予算は、国家の意思です。その国家の意思を策定してきたのが大蔵省です。旧大蔵官僚だった人から、大蔵省の激務ぶりについても、聴いたことがあります。

関東大震災で瓦解した大蔵省
一番驚いたのは、国会の予算委員会などで、大蔵大臣や大蔵次官が質疑をしているときに、相手側が思いもかけない質問を投げかけてきた場合でも、大臣などは、その質問に対して答えるための「ペーパー」を要求するそうです。そのペーパーがなければ、かなり叱責されるため、予めあらゆる状況を想定して、ペーパーを作成しておくということを聴いたことがあります。

参議院予算委員会の一こま

それを聴いて、さすが、エリートは違うと思いました。そんなエリートであるはずの人々が、なぜ、この失われた10年というか、もうすでに20年になりかけているのに、それを放置して、それどころか、マクロ経済的にいえば、禁じ手とも言っていいような増税をするのか、それに、昔は、大蔵省の一部であった、日銀も、なぜこのデフレの最中に、金融引き締めばかりしているのか、どうしても合点がいかず、この疑問を晴らしてくれる情報はないのかと、いろいろ探していました。

その結果、この書籍に行き着いたというわけです。さて、この書籍を読んで、私の疑問は随分解消されたと思います。とにかく、現在の状況ばかり語るのでなく、大蔵省の生い立ちなどの歴史から、解説されているので非常に理解しやすかったです。

大蔵省庁舎

私のような疑問を抱く人には、この書籍かなり価値があります。是非読んでみてください。

アマゾンの書籍の説明など、以下に掲載してきます。
◎ 著者の言葉
これまで一部の研究を除いては、大蔵省が注目されることはあまりありませんでした。
明治以来の通史、しかも大蔵省の立場で、さらに政治というセンシティブな問題に着目してとなると、初めての試みだと思われます。
これはまるで、未開の地を探検する冒険者のような心境です。 
◎ 内容紹介
財務省とは、国の歳入と歳出を管理する官庁、すなわち税金を集めて予算として配分する役所であり、前身の大蔵省以来、「戦後最強の官庁」として日本に君臨してきた。しかし、明治以来、大蔵省ほど絶大な力を持ちながらも注目されてこなかった組織はない。そして今、財務省はデフレ不況下での増税を企んでいる。「増税やむなし」の空気が流れる中、これは本当に正しい選択なのだろうか。 
気鋭の憲政史家が大蔵省・財務省の歴史にメスを入れ、百五十年の伝統を検証しながら、知られざる政治との関係、「増税の空気」の形成過程を描き出し、日本再生への道を綴った本邦初の試みとなる意欲作。 
◎ 目 次
はじめに
第 1 章 大蔵省の誕生 ---- 財政の専門家とキャリア官僚制の起源 (1873-1923)
第 2 章 日本の最強官庁へ ---- 守護神・井上準之助の登場 (1924-1931)
第 3 章 パンドラの箱 ---- 大蔵省史観の「異物」 (1932-1945)
第 4 章 占領と復興 ---- 知力を尽くした戦いの歴史 (1945-1955)
第 5 章 復興から高度経済成長へ ---- 池田勇人のグランドデザイン (1955-1965)
第 6 章 三角大福、赤字国債、消費税 ---- 「無敵」大蔵省に忍び寄る悪夢 (1965-1982)
第 7 章 失われた十年 ---- 政治家に振り回される大蔵省 (1982-1996)
第 8 章 平成と未来の日本 ---- 財務省は「伝統」に目覚めるか (1997-2011)
おわりに
*推奨参考文献*
◎ 著者プロフィール
倉山満(くらやまみつる)
1973年香川県生まれ。中央大学大学院文学研究科日本史学専攻博士後期課程単位取得満期退学。
在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤研究員。
現在、国士舘大学講師。社会人を対象にした「帝国憲法講義」が注目を集めている。専門は憲政史。
著書に『誰が殺した? 日本国憲法!』(講談社)、
編著に『総図解よくわかる日本の近現代史』、
共著に『総図解よくわかる第二次世界大戦』(以上、新人物往来社)がある。
倉山満氏ご自身のブログのURLは、以下です。

http://www.kurayama.jp/modules/wordpress/index.php

さて、この書籍あまり解説してしまうと、読む楽しみを奪ってしまうと思いますので、詳しい解説はしません。



この書籍を読んで、私が結局倉山氏がいいたかったことは、大蔵省復活ならびに、日銀白川討伐であると思いました。とにかく、政治家の皆さんには、必ず読んでおいてもらいたい書籍です。それに、一般の人も読んでおいても損は絶対にないと思います。特に、現在の若い人たち、日本の歴史をあまりに知らなすぎです。日本の近現代史という観点からも読んでおいて、ためになります。自分の国の歴史も良く知らないようでは、そもそも、今の時代や将来も本質的には理解できません。



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2012年5月15日火曜日

アマゾン、今度は高級ブランドのファッション業界へと殴り込み!−【私の論評】すでにアマゾンは、ファッション購入サイトとしては第一位になっている!!そのAmazonが挑戦するからには、何かすごいイノベーションが期待できる!!

アマゾン、今度は高級ブランドのファッション業界へと殴り込み!:



またもや黒船来襲!「Kindle」タブレットが絶好調で、電子書籍にて出版業界を震え上がらせたアマゾンが、とうとう今度はファッション業界へも本格進出すべく、着々と準備を整えていることが明らかになりましたよ。

えっ、もしや簡単には手が届かなかった高級ブランド物が、アマゾンならではの激安ディスカウント価格で買えちゃったりもするの?現在もアマゾンでは、アパレルからファッション小物に至るまで、豊富なセレクションで買い物ができるようになっていますけど、新たにジェフ・ベゾスCEOが狙っているのは、もっと高級なブランドショップの取り込みのようですね。

つまり、とにかく安くで服が買える...みたいなコンセプトではなく、これまで高級ブティックでしか手に入らなかったハイセンスなファッションを、まるで店を訪ねて自分の手に取って品定めするかのごとく、オンラインでも購入を進められるようにすることが目指されていますよ。

すでにアマゾンは、専属のスタイリストやデザイナー、モデルなどを雇い入れ、とかくディスカウントが強調されがちな「安物を売るアマゾン」としてのブランドイメージではなく、世界有数のファッションブランドを満足させられるような高級イメージの販売コーナーのセットアップが進んでいるようです。

「アマゾンで高級ブランド品を買おうとは思わないさ」みたいなイメージを払拭できれば、巨大なマーケットを創造してきたアマゾンだけに、これから一気にファッション分野でもブレイクする可能性だって十分にあると思うんですけど、いかがでしょうかね~[New York Times]Image by Emma Kate under Creative Commons licenseJamie Condliffe(米版/湯木進悟)

【私の論評】すでにアマゾンは、ファッション購入サイトとしては第一位になっている!!そのAmazonが挑戦するからには、何かすごいイノベーションが期待できる!!

なにやら、昨日もファッションに関する記事を掲載したばかりというのに、本日も結局ファッション関連に関して掲載することになりました。というのも、あのAmazonが本科的にファッションに進出するという上のニュースがあったからです。この、ブログては、Amazonの新しい動きなども、逐一掲載していますから。本日は、これを掲載ということです。


Amazonといえば、もうずいぶん前から、特にアメリカでは、何年も前からファッションを扱っていたはずです。実際、上の記事の冒頭に掲載した、Amazonのサイトの画像でもわかるように、すでにファッション自体は扱っています。それどころか、シューズそのた、ファッション小物も結構扱っています。アメリカのサイトで"fashion site"というキーワードで検索してみたら、上の画像のようなファション・ウエブ・サイトのトップテンが、掲載されていました。

このサイトの左の列は、"lovetolearn"となっており、これは、様々ファッションの情報を掲載しているサイトの上位トップテンを紹介するものです。

そうして、このサイトの右の列は、"lovetoshpo"は、実際に購入できるサイトの上位トップテンを紹介するものです。そうして、そのトップには、何とAmazonではありせんか。そうです。何もAmazonは、ファッション界では、すでに一定以上の定評があり、実際に多くの人が購入しているのです。

さて、この"lovetoshop"実際に見てみました。1位のAmazonは、上に掲載したので、2位から5位まで、したに掲載してみました。

第二位:PACSUN


第三位:Torid


第4位:Neiman Mercus

第五位:rusty zipper


これらをご覧になって、皆さん何かお気づきになりませんか?そうです。どちらかというと、かなりファッショナブルというよりは、低価格で、普段着的なものを販売していることがわかります。特に、第3位Toridの モデルのお姉さんは、かなり体格が良く、現代アメリカの典型的な女性です。昨日もこのブログに掲載したビクトリアズ・シークレッツのスタイルが良くてセクシーな女性とは対照的です。

第五位の"rusty zippe"に至っては、モデルのお姉さんと、お兄さんがどちらかといえば、かなりダサいという印象です。これら、アメリカで上位であるはずの、ファッションサイトの特徴は、多少の例外はあるものの、あまり高価ではない、どちらかというと普段着に属するものということができます。体格の良さとか、ダサさを前面に打ち出すということは、いわゆるファッションに対して、あまり敏感ではない普通の人をターゲットにしているということだと思います。ファッションに関しては、あまり敏感でない人だって、それなりに着るものは購入しなければならないはずです。


これらのサイトは、Amazonも含めて、ファションに敏感でない人や、敏感であっても、自宅で着用する普段着などに絞って販売しているのだと思います。このようなサイトも、それなりに顧客を獲得しているのだと思います。ちなみに、上のAmazonのサイトでは、パーティードレスが販売されています。何かパーティードレスというと、日本では高級なイメージがありますが、アメリカでは決してそうではありません。


アメリカでは、日本よりは、住宅がかなり広く、どこの家でも、10人くらい余裕で集まれるスペースがあるので、いわゆる、パーティーなどかなり頻繁に開かれています。日本のように、どこぞで、飲み食いするよりよほど安くできます。ボットラック・パーティーといって、参加者が料理を持参で集まるものもあります。だから、パーティーに参加する際に着用するパーティードレスなど、高いものは、高いですが、安いものも、日本ではかんがえられないくらい、品揃えが多いです。スーパーなどで、決算セールで、ワゴンに山積みにされて、かなり安く売っている場合もあります。だから、いわゆる、パーティードレスは、アメリカ人にとって、決して高級イメージがあるというわけではありません。


私は、Amazonでは、ファッション関係は、あまり購入したことはありません。しかし、靴であれば、何回か購入したことがあります。確か、Javariというサイトでした。これなど、時々特価で販売しているので、結構良い靴が安く購入できたりします。それに、もし靴があわなければ、返却自由ですから、安心して購入できます。ただし、いまだかつて、返却したことはありません。




しかし、その他のファッションは、そもそも、私自身ファッションに関してはあまりうるさくはないということもあり、Amazonで購入したことがありません。UNIQULOなら何回か購入したことがあります。しかし、それも、数回という程度です。他やはり、ほとんどは、実際に店舗で見て、着用してから購入します。


しかし、ファッション以外だと、Amazonでは、パソコンから、デジタルハイビジョンから、CD、書籍、DVD、カメラ、オモチャ、食べ物などありとあらゆる商品を購入しています。下は、Amazon showcaseの画面。



やはり、ファッションに関しては、ファッションサイトの歴史も短いし、実際に着用してからでないと、納得できないとか、たとえ、サイトで購入してから実際に着用してみて気に食わなければ返却できることがわかっていても、長い間の慣習を破ることができない人が多いのだと思います。



こんなことから、本格的なファッションをサイトで販売することは、思ったより易しいことではありません。あのGoogleでさえ、結局失敗していることは、このブログの過去の記事に掲載したことがあります。いろいろなサイトがfacebookと連動させたり、さらに、物理的店舗と連動させたり、様々な実験的な試みを行っています。



このような事実があることから、 Amazonがすでに、ファッションサイトでかなりの地位を築いているにもかかわらず、さらに、これから本格的なファッション・サイトに進出するということは、おそらく、かなり画期的なことを実現しようと試みているとみて間違いないないと思います。まさか、上や下の画像のような、バーチャル試着のような機能を付加するだけなどという単純なものではないと思います。



このブログでは、以前Amazonがアップルストアのような実店舗を出店することを目論んでいることを掲載したことがあります。ひよっとしたら、この実店舗とからめるようなファションサイトをたちあげるかもしれません。いずれにせよ、Amazonからは、このファションサイトがどのようなものになるかは、まだ詳細は発表されていません。おそらく、なんらかの画期的なイノベーションがなされていると思います。いずれ、発表されたら、このブログでも掲載して、論評するものとします。

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