2012年8月26日日曜日

「尖閣は日本領かも」と疑問視した中国人企業幹部のツイートが全削除 どうやら金盾がサボっていただけ―【私の論評】金盾のサボりは真実か?

「尖閣は日本領かも」と疑問視した中国人企業幹部のツイートが全削除 どうやら金盾がサボっていただけ:


中国版ツイッター“微博”で24日、「人民日報が過去に『尖閣は日本領』と認める記事を書いていた」と発言した中国の民間企業幹部のツイートが、25日17時頃までにすべて削除され跡形もなくなってしまいました。

該当のツイートは、広東捷盈電子科技・取締役副主席の林凡氏が24日11時過ぎに発したもの。1953年1月8日付けの人民日報で「琉球群島は尖閣諸島などの島嶼からなる」と記述していた記事を当時発行さ... 続きを読む

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ガジェ通ウェブライターウェブサイト: http://anews.jp/TwitterID: anewsjp

【私の論評】金盾のサボりは真実か?

昨日このブログでも、この話題についてとりあげたばかりです。そうして、このようなことがおこる背景として、中国は、けっして一枚岩ではないことを背景の一つにあげました。そうして、たとえば、日本なども主流派、反主流派、与党、野党などけっして、日本だかといって一つにまとまっているわけではないですが、中国の分裂ぶりは、日本の常識にはあてはまらないことを掲載しました。


上の記事では、微博の当該記事が消去されたことと、ウオールストリート・ジャーナルの中国の検閲に関するグラフから、週末には検閲の頻度が減ることを前提とし、今回の微博騒ぎは、中国検閲官の怠慢、要するに金盾の怠慢としてかたずけています。しかし、これは、本当でしょうか。この二つをもって、上のような結論に達して良いものなのでしょうか?私には、とてもそうは思えません。本日は、その理由を掲載します。本日は、各国サーバー軍などの写真も掲載させていただきます。


私には、そこまで単純には受け取ることができません。まずは、金盾について、以下にこのブログにも過去に掲載した動画を掲載させていただきます。



金盾システムの詳細は関係者以外は、誰も知りはしないとは思いますが、人工知能も用いたような、情報遮断システムのようです。そうして、もともとは、中国国内だけではなく、世界中の情報を統制しようとして作成されたもののようです。そうして、Google、Yahoo、Microsoft、YouTubeの情報も統制しようとという目的をもって設立されています。


しかし、そんなことは、上記にあげられた、世界有数の私企業でも、そんなことはされては、たまったものではないので、当然対抗措置を打ち出しました。Googleは、結局中国から撤退しました。それに、アメリカや他の先進国もそのようなことはさぜし、とサイバー軍を組織し、その対策にあたってきました。だから、金盾といえども、中国外では、情報統制はほとんどできなくなっています。


しかし、中国内は別です。中国内の情報統制まで、私企業や、他国がくちばしを挟むわけにはいきません。だから、どうしても、中国内でも、情報統制されたくなければ、Googleのように完全撤退するしかありません。そういった面で、私はGoogleを高く評価しています。Googleは、中国での事業よりも、情報統制されないことを選んだわけですから、素晴らしい決断だったと思います。


それにしても、各国のサイバー軍は、今でも、中国国内の金盾の状況を今でも、監視していると思います。そうして、自国にとって、非常にまずい、情報統制や漏洩などがおきたり、おきそうになれば、何らかの形で、一般にはわからない形で攻撃を加えていると思います。

いってみれば、金盾は、サイバー戦争の最前線でもあるわけです。金盾の担当者は、上の記事では、なにやら、検閲官などとしていますが、検閲官程度のものではなく、最前線のサイバー戦士であり、当然、最前線基地のパイロットが夜昼なく、不測の事態に備えて、待機しているのと同じように、不測の事態に備えているはずです。

そうして、何か、不測の事態があれば、それにすぐさま対応できる体制を整えているはずであり、実際対応しているはずです。


にもかかわらず、微博でツイートのような事態が起こってしまったのは、金盾が見逃したというより、意図して意識して、そうしたとしか考えられません。そうして、意図してそうした背景として、微博のツイートの主(あるじ)、本人もしくは、その背後に、主流派、反主流派、あるいは、主流派、反主流派の中のどの派閥かまでは判別できませんが、金盾といえども、すぐに、情報を削除すべきか、判断できかねる誰かが控えていたと考えるべきです。

そうして、25日に、完璧に削除したのは、その控えている人間がわかって、削除できると判断したか、主流派と反主流派もしくは、これらの中のさらのいずれかの派閥と他の派閥の間で削除の合意が成立したからであるとみなすべきです。 また、当局そのものが、反日デモの加熱さらには、反政府デモへの拡大を恐れて、噂程度で日本の正当性も訴えておくことが妥当と考えたのかもしれません。

金盾のサイバー戦士もしくは、その上司が単純に見逃したというなら、それが、人為的によるものなのか、それとも、金盾のITに脆弱性があるのかは、未だ判断がつきませんが、金盾にも、脆弱なところがあるということで、今頃、世界中サイバー軍が、その脆弱性をチェックし終わっていることでしょう。


いずれにしても、今回の出来事は、中国が一枚岩でないことを世界に向かって示したか、あるいは、金盾あるいは、中国のサイバー軍の脆弱性を世界中に向かって示したことになるということです。

真相をつかむことは、なかなか難しいですが、いずれ、人事異動とか、懲罰などがあれば、わかるかもしれません。あるいは、闇に葬られるかもしれません。
しかし、今のところは、金盾の検閲官のサボりである結論づけるほどの情報は、ないと思うのは、私はだけでしょうか?


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2012年8月25日土曜日

「尖閣諸島は日本領土」広東の企業幹部が人民日報記事など証拠挙げ、賛同広がる―【私の論評】中国は、一枚岩ではないことと、反日デモは、反共産党デモの裏返しでもあることを認識すべき!!

「尖閣諸島は日本領土」広東の企業幹部が人民日報記事など証拠挙げ、賛同広がる:

微博の画面
【上海=河崎真澄】中国広東省の民間企業幹部が24日、中国版ツイッター「微博」で「1949年から71年まで中国政府は釣魚島(尖閣諸島)を日本の領土と認めていた」と異例の発言をした。日本領有を示す53年1月の中国共産党機関紙、人民日報の記事や、複数の公式地図など根拠を挙げている。微博では中国国内からの感情的な反論に加え、「知識のない大衆が中国共産党に踊らされたことが分かった」などと賛同する見方も広がっている。

発言をしたのは同省広州の電子サービス企業、広東捷盈電子科技の取締役会副主席との肩書を持つ女性の林凡氏。林氏は微博の運営会社、新浪微博から「実名」の認証を受けており、10万人以上の読者をもつ。

林氏の資料によると、人民日報は53年1月8日付の紙面(下の画像)に掲載した記事で「琉球群島(沖縄)は台湾の東北に点在し、尖閣諸島や先島諸島、沖縄諸島など7組の島嶼からなる」と表記していた。中国当局が監修した53年、58年、60年、67年に発行した地図の画像も示したが、その多くが「尖閣群島」「魚釣島」などと表記。日中境界線も明らかに日本領土を示している。


林氏は冷静に証拠を積み重ねた上で「中国政府はこれでも釣魚島はわれわれの領土だといえるのか」と疑問を投げかけた。中国国内からの反応には、「資料をみて(尖閣諸島が)日本領だったことが明白に分かった」「(当局に)タダで使われて反日デモを行う連中には困る」などと、林氏支持の発言が出ている。

一方、25、26の両日も、尖閣諸島の問題を巡る反日デモが、四川省南充や浙江省諸曁、広東省東莞、海南省海口など、地方都市で呼びかけられており、混乱は今後も続きそうだ。

この記事の詳細はこちらから!!

【私の論評】中国は、一枚岩ではないことと、反日デモは、反共産党デモの裏返しでもあることを認識すべき!!

先日は、尖閣に中国人が上陸して、物議を醸しました。そうして、中国各地で反日デモが行われました。このデモでは、日本製の警察車両や個人車両が破壊されたり、経営者、従業員ともに中国人の日本料理店舗が破壊されたりと、なにやら、おかしげな動きもありました。

尖閣諸島は、そもそも、日本の固有の領土であり、領有権を主張して、尖閣に上陸すること自体が、日本人の感覚からすれば、理解に苦しむことです。そうして、さらに、反日デモとなれば、大方の日本人からすれば、理解不能どころか、理不尽であるとさえ思われます。

反日デモに参加して駐車場に戻ってみたら、
自分の日産車が打ち壊しにあっていた女性
これに対して、微博で上記のようなツイートがされているというわけです。それにしても、上記のようなツイートを封鎖しない中国当局は一体どうなっているのか、皆さんも理解に苦しむところがあると思います。

さらに理解に苦しむような動きがあります。


上の画像は、中国のサイトで流されていた動画のキャプチャ画像です。この中国国旗を焼いている人間に見覚えはないでしょうか?そうです。この人物、実際は、先日尖閣列島に上陸した中国人のうちの一人です。

これに関しては、詳細は、以下のURLをご覧いただければ、よく解ると思います。

尖閣諸島上陸の中国人活動家が中国国旗を燃やしていたことが判明 / 中国人「えっ?」

以下に、要約を掲載しておきます。
8月15日に香港と台湾の活動家が尖閣諸島に上陸、中華人民共和国と中華民国(台湾)の旗を立てた。すでに全員強制送還済みだが、日本では「現地では英雄視されている」と報じられている。 
その「英雄」の一人が中国の国旗を燃やしていたことが判明したそうだ。中国ネットユーザーに少なくない驚きを与えている。 
「英雄」のまさかの行動。活動家が国旗を燃やしている画像は、香港のネットユーザーから投稿されたものだという。 
まさかの行動をとったのは、島に上陸・逮捕された色黒、白ひげが印象的な初老の男性。彼は日本のテレビにも何度も映っており、見覚えがある人もいるのではないだろうか。その人物が、2011年の9月には別の活動で中華人民共和国の国旗を燃やしていたのだ。 
この活動家の名は古思堯(66才)である。香港では「社会活動家」として有名な人物だそうだ。若い頃は熱心な中国共産党支持者であったが、1989年の天安門事件をきっかけに反中国共産党に転じ、以後、家族を中国大陸に残し、香港を拠点に様々な抗議運動をしている。 
昨年、中国国旗を燃やしたというのもその一環だったようだ。なお、香港での活動では数度の逮捕歴を持つ。 
「愛国の英雄」のために「都合が悪い」と考えられる国旗を燃やしている画像は一部の掲示板ではすでに削除済だ。しかし、全てをネット上から消すのは困難だろう。
国旗を焼いた人物が、今度は国旗を立てる。ネット上ではどこかからか資金を得てパフォーマンスとして上陸したのではという憶測まで飛び交っている。黒幕がいたのかどうか真相のほどは定かではない。
さて、こうした、理解に苦しむ中国の現状から浮かび上がってくるものがあります。それは、以前にもこのブログに掲載したように、中国は決して一枚岩ではないということです。無論どこの国だって、体制派、反体制派の違いはあります。日本だって与党と野党があります。同じ国の中で、利害が異なる複数の集団があるのは、当たり前のことです。



しかし、たとえば、尖閣の問題で、日本国内で、はっきりとあれは中国の領土であるなど述べる人はいないでしょう。竹島だって同じことです。日本育ちの日本国籍の生粋の日本人であれば、どんなイデオロギーや、信条をもっていようとも、この点はブレないと思います。そんな主張をする人がいたとしても、それは、ごく少数であり、たとえ主張したとしても誰にも受け入れられないでしょう。そういう観点からすれば、少なくとも日本は、まだ、国民国家として一枚岩の国といえると思います。

しかし、中国は、そうではないということです。このことについて、以前のこのブログの記事にも掲載しています。

強硬な中国と友好的な中国=2つの中国が存在する理由とは?―米誌―【私の論評】中国はもともと一枚岩の国家ではない!!

詳細は、上の記事をごらんいただくものとして、以下に少し長めになってしまいましたが、要約だけ掲載しておきます。
中国は長期一党独裁の国家です。しかし、党内における権力争いは、熾烈を極めています。代表なのは、共産主義(毛沢東忠実派)と、改革開放派の争いです。そのほかにも、利権をあさる長老・二世らと、汚職の撤廃を考える者の対立です。
また、「軍事・経済ともに大国」になったように見えるあるいは、見せかけている、中国、2つの考えに分裂しています。 
一つは、アメリカのように、国際的義務を果たし、一人前の先進国の誇りを得ようとする勢力。 
もう一つは、アメリカのように、国際社会に我を通し、覇権主義に走ろうとする勢力があります。 
「竹のカーテン」から漏れ聞く政局は掴みどころがないですが、あらゆる面において、中国政治が一枚岩でないことが窺えます。 
加えて、増長する軍部もあり、権力・利権の争いはまるで、バトル・ロワイアルの様相です。それに、増長する軍部ではありますが、実は正式に中国には存在しません。そうなのです、中国の人民解放軍は、そもそも、中国以外の他の国との軍隊とは全く異なります。 
そもそも、人民解放軍は、共産党の私兵であり、共産党が直轄している組織です。 
中国人民解放軍の軍区
人民解放軍の組織としては、中華人民共和国軍事委員会の下に総参謀部、総政治部、総後勤部、総装備部の四総部があり、その下に海軍、空軍、第二砲兵(戦略ミサイル部隊)および七大軍区が置かれています。 また国防科学技術工業委員会、軍事科学院、国防大学なども軍区級組織です。国務院の国防部は外国との軍事交流などを担当しているだけで、人民解放軍に対する指揮権を持っていません。国務院の管轄下にない解放軍はあくまで党の軍隊であり、国家の軍隊ではありません。 
党と軍の関係については、憲法で中央軍事委員会の指導下にあると規定されているが党主席とは記載されていない。そのため、毛沢東など歴代の最高指導者は中央軍事委員会主席を兼任している。 
それに、この七大軍区というのが曲者で、法律はともかく、現実には、この軍区の上に、地方の共産党があり、これらの軍は、地方共産党の私兵というのが実体です。こうして、地方の共産党の直下にある、人民解放軍が、独自に私兵軍団をもっており、そのなかには、核兵器を持つ軍区が複数あったり、海軍を持つ軍区が複数あるという具合です。全く普通の国の軍隊とは、根本からして異なるのです。 
このような、かなり多くの価値観が存在して、分裂していて、統一国家としてのまとまりのない中国、それは、当然中国の「外交のブレ」にもつながっています。 
あの尖閣問題で、中国が傍若無人とも受け取れる対応をしたのは、私の類推では、おそらく、2012年の人民代表大会における、代表者の選挙、すなわち、次の主席選びに標準をあわせた、保守派の揺さぶりと見ています。これは、以前のブログにも書いたことですが、たとえ、この類推が外れていたとしても、似たような構図の中でおこったものと思われます。 
ただ、どこのどの派閥であれ、いったん起こってしまったものに関して、あそこで日本政府にたいして軟弱な姿勢をみせれば、反対派につけいる隙を与えることになってしまうことを恐れて威圧的な態度をとったというのが真相だと思います。その背景には、何等の深謀遠慮もなく、ただただ、日本を含む他国のことなど考える余裕もなく、即物的に反応していたというところだと思います。 
尖閣問題を冷静に振り返ってみてほしいと思います。この問題で中国が得たものは、国際的な批判だけです。オリンピックや、万博で、一定の国家の威信を高めることに成功したにもかかわらず、ふたたび異質な中国の実態が暴かれてしまいました。世界を相手にして、中国が勝ち取れたものは、何もありません。それに、最近では、中国が対外的に外交で成功した試しなどほとんどありません。長年の中ソ国境紛争の火種となっていた、領土問題に関しても、結局は中国はロシアに対して、ほとんど一方的といえるほど、譲歩して解決したばかりです。このことは、日本でもほとんど報道されませんが、中国国内では、皆無といって良いほど、報道されていないようです。これを知ったら、多くの中国人民は憤激することでしょう。 
日本とのイザコザでも、結果として、尖閣列島を奪ったわけでもなく、何かしらの既成事実を得たわけでもありません。民主党のミスジャッジで行った「船長の解放」は、それ自体が日本の主権を譲ったことにはなりません。それが国内外にどう取られたかはともかく、少なくとも中国は、日本および他国に警戒されるようになり、逆に目立った強硬策を取れないようになっています。特に、アメリカの態度を硬化させ、終戦後日本の自衛隊も含んだ、演習では最大規模の演習であった「キーン・ソード」を実行させる結果となりました。この戦後最大級の演習にたいして、中国の軍区レベルや、一部のマスコミからは抗議の声明が一部からはあったようですが、上層部からは目立った抗議はありませんでした。 
現実には、分裂した中国が、「右往左往」したあげくに、強硬措置を取らざるをえなくなってしまったことを、日本政府がそうとも知らずに、勝手に、翻弄されていたというのが真相です。 
このような背景を知って対処していれば、日本政府としても、翻弄されず、冷静に受け止めるなり受け流すなりしていたと思います。そんなところで、慌てるから、多くの国民が、本来外交ベタの中国に対して、「中国のほうが日本よりも外交が数段上手」などと見られる結果を招いてしまったのだと思います。全く、民主党困ったものです。自力でできないというのなら、外務官僚の優秀な人間にでも任せておけば、これほどの醜態を晒さずにすんだことだと思います。この問題実際には、政府(というより、仙谷氏など)が懸念したような、戦争になるとか、日本国民が憤激するとか、中国との関係が悪化するなどの心配など杞憂といっても良かったと思います。
この記事には書きませんでしたが、中国が一枚岩ではないことは、中国の地理や、歴史など考えれば、最初からわかりきったことです。もともと、少数民族まで含めると、50以上もの民族からなる国家であり、言葉も複数があります。共産党ですら、一枚岩ではなく、有力な上海派閥と、北京派閥とその他の派閥があります。歴史的にいっても、中国など最初から存在せず、もともと、その時々の国々の集合体であり、その集合も、いっときは、統一されたかと思えば、また分裂するというように、集合離散を交互に繰り返してきました。

中国の少数民族
日本の場合は、確かに、豊臣秀吉が日本を平定し、徳川家康が、それを安定したものにするまでは、分散していましたが、それにしても、かなり昔から、日本という概念はあり、朝廷を頂点として国が別れていても、日本という全体いのまとまりのなかの一つという概念がありました。そうして、言葉も、生活習慣、宗教にいたるまで、同じような慣習が根付いていました。中国は、これとは、全く異なります。

日本車を壊す反日デモ参加者
こうした背景および、中国は、いまだ、民主化はもとより、法治国家、政治と経済が分離されておらず、そのため、人民の不満は建国以来鬱積しており、実際毎年平均2万件の暴動があり、いつ憤怒のマグマが大爆発してもおかしくない状況にあることを理解していれば、中国の不可解な行動も理解できます。

中国国内の、反日デモは、実は中国共産党中央政府にも向けられたものであり、現状では反日デモではあるのですが、それが、加熱すればいつ反政府デモになるかわからない状態にあるということです。特に最近では、反日デモは、許容されていますが、反政府デモだと許可がおりない状況になっています。反日デモは、人民の憂さ晴らしをする唯一の合法的な方途であると考えるべきです。
キャノンのカメラを首にぶらさげ、日本製品を買うなーーー
せんかくは中国のものだーと叫ぶ反日デモ主導者
それに、もともと、反日感情など、中国人民の中にはなかったということを認識すべきです。なぜ、反日活動が盛んになったかといえば、江沢民が、反日教育を組織的体型的にはじめたからです。なぜ、そのようなことをしたかといえば、上記のように、中国は一枚岩でないこと、さらには、人民の憤怒のマグマが大爆発するかもしれないので、人民の怒りの矛先を政府にむけさせることなく、矛先を外に向け、共通の敵をつくりだし一枚岩にしようとするためです。

このような動きなかなかうまくはいかないようです。実際以前尖閣で中国漁船が海上保安庁の船に体当たりしたときに、中国国内で、反日サイトがかなりできましてたが、これらは、中国政府によって、ほとんどが閉鎖されています。なぜなら、反日の書き込みいつのまにやら、反政府の書き込みにかわっていて、それも、かわるだけではなく、大炎上するということがくりかえされていたからです。

だから、先日、尖閣に上陸して、中国の旗をたてたその同じ人物が、過去においては、中国の国旗を焼いていて、反政府デモをやっていたなどということは十分あり得ることなのです。そうして、その時々で、サイトに尖閣が日本固有の領土と書き込めば、ある場合には、逮捕され、またある場合は、今回のように許容されてしまうということもあるのです。いずれにせよ、反日デモが過激化すれば、それがいつの間にか反政府デモにまで発展するので、中国中央政府は、反日デモも取り締まらざるを得ないようになり、反日デモも下火になっていくことでしょう。

中国は、海の魚でいえば、カタクチイワシ等が巨大な塊となって巨大魚に擬態しているようなものです。本来日本の政府や外務省など、このような一枚岩ではない中国を手玉にとる方法はいくらでもあると思うのですが、虚構の一枚岩の中国に翻弄されているというのが実態のようです。

中国の問題を語るには、このような実情を踏まえて論ずるべきだし、対策を考えるべきと思うのは、私だけでしょうか?

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2012年8月24日金曜日

成果はわずか!? 国際宇宙ステーションの困難な将来―【私の論評】宇宙でも共産主義はうまくいかない?中国の宇宙開発も結局この二の舞になる!!

成果はわずか!? 国際宇宙ステーションの困難な将来:


NASAが国際宇宙ステーションを未来の実験室として紹介してから14年が過ぎた。野心的でヴィジョンにあふれるプロジェクトによって、世界中の研究者が地球近くの低軌道上にて、時速約2万7,000kmの速度で実験を行うことができるようになるはずだった。


しかし、いままでのところ研究のための宝箱である以上に、国際宇宙ステーションは金食い虫の化け物だった。運用終了までに施設のために投じられる総額は約1,500億ドル。1kgあたり30万ドル以上だ。

成果はわずかだ。1998年以来、衛星軌道上で行われた実験は3,100の研究を生み出しただけだった。比較してみるだけでも、ハッブル宇宙望遠鏡の11,300に対してごくわずかだ。



しかしいま、事態は変わるかもしれない。企業であるSpace Xのカプセル、Dragonの到来によって、宇宙探検における民間投資の時代が公式に始まった。さらにNASAは、莫大な投資に対するわずかなリターンを心配したアメリカ合衆国議会の示唆にしたがって、実験室とその設備の管理をNGOの宇宙科学進歩センター(CASIS: Center for the Advancement of Science in Space)に委ねたのだ。


1年の契約は1,500万ドルであり、CASISは国際宇宙ステーションの未来を見直す任務を引き受ける。基礎研究と応用研究のバランスを取り、ステーションに公的資金と民間資金双方を用いる。

他方で、衛星軌道を回る実験室は、研究のために唯一無二の条件を提供する。火星への旅のような、長い宇宙旅行に取り組む宇宙飛行士たちが直面する状況の検証を考えられる唯一の場所である。

・・・・・・・・・・・・・・・〈中略〉・・・・・・・・・・・・・・・

要するに、国際宇宙ステーションが科学のために有している莫大な潜在能力を使い尽くすためには、宇宙旅行の熱狂に乗ることが最後のチャンスであるように思われるのだ。

この記事の詳細はこちらから!!

【私の論評】宇宙でも共産主義はうまくいかない?中国の宇宙開発も結局この二の舞になる!!

さて、上の記事を読まれて、皆さんはどうお感じになられたでしょうか。結局実験室とその設備の管理を官僚機構のNASAが行なってきたということに問題の根源があるのだと思います。経済的な活動に関して、官僚組織が、主導権を握って、官僚の考える開発をやるというのでは、経済的な利益の追求など最初から土台無理な話だったのです。


この管理が、NGOの宇宙科学進歩センター(CASIS)に移るということで、かなり改善がされると、思います。宇宙旅行もそのプログラムにも含まれるというのも、当然のことだと思います。さて、本日は、上の記事のように、宇宙旅行も身近になると考えられますので、当然女性の宇宙進出も増えるとかんがえられるため、女性の宇宙進出に関連する画像とともに、掲載させていただきます(笑)。

これに関して、最近の日本でも、事柄は一見全く異なるように見えて、同じようなことが繰り返されようとしています。それに関しては、以前このブログでも、記事を掲載したことがあります。


【日本の解き方】あまりにヒドい政府の“日本再生戦略”―【私の論評】今の政府や政治家は、自分の頭の上のハエを追えない人が、他人の世話を焼いているようなもの、自分がやるべきことに専念せよ!!


この記事の詳細は上のURLをから記事そのものをご覧いただくものとして、この記事と今回の記事との関連する部分だけ、以下にコピペしておきます。



この記事では、まずは、政府の「日本再生戦略」に関する,高橋洋一氏の考えを掲載しました。それが、以下です。
政府は「日本再生戦略」の原案を公表した。それは2020年までに環境や医療、観光など11の戦略分野で38の重点施策を掲げ、630万人の雇用を創るという政府の目玉の成長戦略だ。7月末までの閣議決定を目指しているという。 
11分野を具体的にいえば、グリーン成長戦略、ライフ成長戦略、科学技術イノベーション・情報通信戦略、中小企業戦略、金融戦略、食農再生戦略、観光立国戦略、アジア太平洋経済戦略、生活・雇用戦略、人材育成戦略、国土・地域活力戦略。これはほぼ全省庁の守備範囲だ。 
これだけ広範囲になると、「戦略」という名前がすたってしまう。戦略とは選択と集中が伴うものだが、政府のものは総花的で戦略の名に値しない。まるで、各省庁が予算獲得のために「一丁目一番地」(各省庁の優先政策事項)を束ねたものに見える。

そうして、高橋氏の主張に関して、私は、以下のように論評しています。
上の記事で、高橋洋一氏は、「成長する産業としない産業が政府でわかるなら旧共産圏の計画経済は失敗しないはずだ。もし本当に政府が分かるなら苦労はない」と語っていますが、まったくその通りと思います。 
成長する産業は、政府はおろか、優秀な民間企業でさえ、見抜けないことがあります。たとえば、あの世界を携帯電話で、席巻したNOKIAです。

そうして、NOKIAは、アップルがこの世にiPhoneや、iPadを出す数年前に、すでにそれらとほぽ近いものを開発していたにもかかわらず、市場に投入する時期を間違えたばかりではなく、iPhoneや、iPadが発表された後にも、しばらく市場に投入することもなく、今日すっかり、スマホ、タブレットの分野で、アップルに負けたどころか、かなりの市場を失ったことを掲載ました。



そうして、さらに、以下のように論評を続けました。
民間企業ですら、このような失敗をすることがあるわけですから、政府が成長する産業を見極めることなどほとんど不可能です。特に自由主義経済下では、そのようなことは誰もわからないというのが事実です。いろいろなタイプの企業が種々様々な工夫をして、その結果いずれかの事業がその時々の市場に適合うして、それが産業として伸びて行くというのが普通です。 
スマホは、アップルがiPhoneで、現在の原型をつくりあげ、それを市場に投入しました。これが、たまたま、市場に適合していたため、それが、大ヒットして、今日につながっています。そうして、今では、iPhoneだけではなく、Android携帯なども様々の種類のものが、開発され、一大産業となっています。しかし、その影て、ノキアに限らず、ブルーベーリーその他、失敗しているところたくさんあります。それに、私としては、これら携帯電話に限らず、いまでは完璧に姿を消したPDSだって、電話機能さえつければ、現在のスマホと変わりないものがいくつもありました。 
スマホの例でもわかるように、どの産業でも、いくつもの会社が、いくつもの新しい次世代のものを開発しており、そのうちの本の数社、場合によっては、1社だけが、次世代の産業を担って、大きく発展していのです。今日確かにアップルは大成功を収めましたが、何かがどこかで違っていれば、アップルがノキアのような目にあっていたかもしれないのです。 
そんな自由主義経済下の競争において、政府が発展する産業を見抜けるわけはありません。政府はもともと、そのようなことをする機関ではありません。城山三郎氏の小説「官僚たちの夏」では、あたかも、通産省が日本の産業を主導してきたような扱いですが、あれは、幻想にすぎません。現実には、通産省主導で行ったことは、何一つ成功していません。大成功したのは、先送り戦術だけです。 
それに、本来自由主義経済下の政府の役割は、こんなことをすることではありません。政府の役割は、新産業などが生まれやすいように、経済活動が活発になるように、法律を整えるだとか、規制を撤廃するとか、逆に規制を強化するとか、さらに、公共工事をするとか、安全保証などをして、いわゆるインフラ(基盤)を整えることです。このインフラづくりが政府の本命の仕事です。このインフラ上で活動して、成果をあげるのが、民間企業営利企業、非営利企業、その他の組織ということです。間違っても、政府が、インフラの上にのっかって、様々な事業を展開するようなことがあってはなりません。

以上のように国が、直接民間の産業育成に関わっても、成功する見込みは、全くないのです。 そうして、官僚組織の下部組織である、NASAが、国際宇宙ステーションを牛耳って、NASAが、将来儲かるでろうと、判断した開発事業は、いままでのところ研究のための宝箱である以上に、国際宇宙ステーションが単なる金食い虫に終わってしまたっということで、このことを雄弁に物語っています。

さらに、付け加えると、NASAがやって結局このザマですから、言ってしまえば、宇宙でも、共産主義は失敗するということです。役人がこうすれば、経済的利益をあげられると考えて宇宙開発を実施したとしても、結局はうまくはいかないということです。

であれば、結局中国の宇宙開発もうまくはいかないと思います。ただし、利益など度外視して、国威発揚をするとうだけなら十分できると思いますが、アメリカの宇宙開発のように、利益をあげるという目的を達成しようとしても、土台無理だということです。結局金食い虫で終わることでしょう。無論中国は、現在共産主義国家ではなく、国家資本主義というのが正しい認識です。しかし、資本主義の前に国家がつく状況にかわりはなく、官僚、それも、悪徳官僚が幅をきかせているのが、現在の中国です。

しかし、だからといって、中国が、アメリカのようにNGOを宇宙開発の管理主体にしようとしても、これも、結局うまくはいないと思います。中国の場合、本当に不思議なことは、たとえば、民主活動家などといわれる人々が、確かに民主活動をしているのですが、その一方で犯罪行為も行なっているというのがほとんどです。他国には、あり得ないことです。犯罪行為をするなら、民主活動などすべきではないと思うのが、中国以外の一般の人々の考えでしょうが、そのような常識は、中国では通用しません。それに、何事にも、利益優先で、人命軽視ということもあります。それに、常識をはるかに超えた、環境汚染、地溝油をはじめとする、安全ではない食品の蔓延など考えると、中国で、NGOが宇宙開発をはじめたとたん、死人続出ということになりかねません。


さて、日本再生戦略に話を戻します。中国再生戦略のようなものは、中国で過去何回も行われてきて、今のところは、成功してきました。だから、役人主導の日本再生戦略も中国のように成功するだろうと、日本の官僚は思っているに違いありません。


しかし、そこには、大きな落とし穴があります。ご存知のように、中国は、日本のように変動相場制ではなく、固定相場制です。その固定相場制の中で、不況になれば、元を大量に擦り増し、官僚主導で景気対策を行い、すぐに景気を浮揚させることができました。景気が良くなりすぎれば、今度はすかさず、元の流通量を減らし、インフレ対策を行いました。そうして、景気が悪くなれば、また、元の大増刷を行うという具合で、この繰り返しをしつつ、経済を大きくしてきたというのが、中国です。

本当に簡単で安易な経済対策です。では、日本でもこのような簡単なことができるかといえば、そんなことはありません。まずは、日本は変動相場制です。それに、中国のようにやろうとすれば、たとえば、増刷してインフレになれば、国民が騒ぎ出します。通貨の流通量をいきなり減らせば、インフレは、すぐに収束します。しかし、その都度の国民の反発をかい、政治家は、そんなことをすれば、次の選挙でではまけてしまうかもしれません。だから、どんな場合でも、あまりに極端なことはできません。

しかし、中国ならば、そんなことはお構いなしにできます。国民が騒ぐどころか、暴動になったとても、すぐに、警察権力を使ったり、人民解放軍を使ったりして、すぐに鎮圧すれば良いだけです。とにかく、政府のやり方に反対する輩は、逮捕したり、殺したりすれば良いのです。なにせ、地方でも、中央でも、選挙というものがない国です。だから、中国は厳密な意味で、政治家など存在しません。全部官僚です。だからこそ、中国、いままでは、どんなことがあっても、不死鳥のように、経済を回復してきました。しかし、このようなやり方、そろそろ、限界にきて、中国もバブルが崩壊、深刻な経済不況に見舞われるのは、必至の状況になっています。

中国のようなことができない日本では、やはり、官僚が考えた、「日本国家再生戦略」など、絵に描いた餅にすぎず、やれば、必ず失敗します。壮大な無駄遣いをすることになり、金食い虫と言われるだけになります。絶対にやめるべぎです。


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2012年8月23日木曜日

新型天然ガス「シェールガス」開発にわく米、陰でうごめく中国―【私の論評】正しい判断をするため、今こそ正しい情報開示が必要か?

新型天然ガス「シェールガス」開発にわく米、陰でうごめく中国:

シェール・ガス掘削現場
 新型天然ガス「シェールガス」の開発ラッシュに、米国中がわき立っている。ペンシルベニア州のシェールガス産地を昨年取材した際、採掘会社に口説かれて所有地での採掘権をリース契約した地主の一人は「こんな大騒ぎは数十年も前の石炭ブーム以来だ」と興奮気味に話してくれた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

米側には、エネルギー安全保障における警戒感に加え、補助金や非関税障壁で自国企業を手厚く保護する中国の通商政策への不満も強い。太陽電池など米中が激しく競う産業分野で、官民挙げて中国企業の輸出を後押しする一方、国内の市場開放に消極的なためだ。

だが、成長に伴うエネルギー需要が急増する中国は石油の海外依存度が5割を超える。発展途上国で開発を拡大する一方で、政情が安定した欧米でも権益確保に熱心で、北米市場へ貪欲に食い込みをはかる。

LNG輸入をにらみ米国のエネルギー政策を注視する日本は、その陰でうごめく中国のしたたかな戦略にも目をこらしていく必要がある。(産経新聞ワシントン支局 柿内公輔)

この記事の詳細はこちらから!!

【私の論評】正しい判断をするため、今こそ正しい情報開示が必要か?

シェール・オイルに関しては、先日このブログにも掲載したばかりです。シェール・ガスも次世代エネルギーとしてかなり重要なので、本日は、上記の記事をとりあげました。

シエール・ガスのある地域を示す世界地図
世界の天然ガスの推定埋蔵量はあと60年とも65年ともいわれていましたが、シェールガスの登場によってその埋蔵量が数倍以上(さらに多いという説もある)にもなるといわれ、各国のエネルギー政策が大幅に変わってくる可能性が出てきています。

「シェールガス」は従来の天然ガスの発掘場所とは異なり深くて硬い岩盤にあります。採掘するのが難しくコストもかかり従来は採算性がなかったのですが、米国で採掘技術(水圧破砕)が確立され生産量が大幅に増加し、採算性があうようになりました。

このシェール・ガスに関して注視すべき点は以下の2点です。

①中東に依存していた石油エネルギーと異なり、「シェールガス」は北米、アルゼンチン、中国、オーストラリア、ヨーロッパ、南アフリカといった具合に広域に分散しており、従来のエネルギー海外依存度の高低が変わり、企業や各国の戦略が変わりつつある。これから、米国が中東の石油に興味を持たなくなる。これによって、アメリカの外交にどのような影響がでるのか、その方向性を見定めていく必要があります。

②環境にやさしい再生エネルギーへの期待や関心がなくなることです。太陽光・風力など、アメリカやドイツなどでは、大失敗をしており、今後自然再生エネルギーのさらなるコストダウンは見込めず、また、安定したエネルギー源としての地位を確立することは困難であるため、いずれ、姿を消すことになるでしょう。ただし、政府レベルでの実験施設などは残るとは思いますが、民間営利企業の興味や投資の対象となることはないでしょう。ただし、日本を含めた各国政府レベルでは、今後も代替エネルギーの研究・開発を進めていくべきです。

さて、シェール・ガスの日本国内での動きも掲載しておきます。



東京都の副知事である猪瀬直樹氏は、原発の代替エネルギーとして天然ガス発電に注目し、東京に自前の天然ガス発電所を設ける計画を推進しています。その計画でも、シェールガスが一役買いそうです。

猪瀬氏が天然ガス発電を選択した理由は以下の4つで、その中にシェールガスが含まれているからだ。

従来の火力発電にくらべて発電効率が1.5倍と性能がよい。

比較的小さな敷地で建設できるので、都市部でも天然ガス発電所の建設コストは2基で500億円(5年前の価格、現在はもう少し高い)と、原発よりもはるかに低価格です。

天然ガスはCO2(二酸化炭素)の排出が比較的少なく、硫黄酸化物などの排出も極めて少ないクリーンなエネルギーです。

既に天然ガス発電所の計画はスタートしており、東京都の「東京天然ガス発電所プロジェクトチーム」は昨年9月、100万キロワット級の天然ガス発電所を建設するための候補地(適地)を公表しました(「猪瀬直樹:東京天然ガス発電所の候補地5カ所を決定」)。

どの国にとっても、エネルギーは国の要です。日本の領海内にも、「シェールガス」ではない非在来型のガスである「メタン・ハイドレ-ト」の埋蔵量は、膨大だといわれています。アメリカでの「シェール・ガス・オイル」の採掘が、軌道にのったのですから、日本の技術を持ってすれば、採掘技術と環境技術の発展、そして商業化なども近いうちにできるはずです。

しかし、これらのエネルギー革命に関して、少し気になることがあります。石油・ガスの埋蔵量に関しても、何を信じたら良いのか、迷うところがあります。


皆さんは、ローマクラブ(Club of Rome)をご存知でしょうか?これは、スイスのヴィンタートゥールに本部を置く民間のシンクタンクです。

イタリア・オリベッティ社の会長であったアウレリオ・ペッチェイ(Aurelio Peccei)とイギリスの科学者で政策アドバイザーでもあったアレクサンダー・キングが、資源・人口・軍備拡張・経済・環境破壊などの全地球的な問題に対処するために設立したものです。

世界各国の科学者・経済人・教育者・各種分野の学識経験者など100人からなり、1968年4月に立ち上げのための会合をローマで開いたことからこの名称になりました。1970年3月に正式発足。1979年にFEMAを設立。FEMAはローマクラブが設立した機関。「環境保護主義者」を動かしているのはローマクラブの代表機関であるアスペン研究所であり、彼らがアトランティック・リッチフィールドやその他の大手石油会社から莫大な資金援助を受けています。

世界の知性を集結したローマ・クラブだったが・・・・
定期的に研究報告を出しており、デニス・メドウズらによる第一報告書『成長の限界』(1972年)では現在のままで人口増加や環境破壊が続けば、資源の枯渇(あと20年で石油が枯渇する)や環境の悪化によって100年以内に人類の成長は限界に達すると警鐘を鳴らしており、破局を回避するためには地球が無限であるということを前提とした従来の経済のあり方を見直し、世界的な均衡を目指す必要があると論じています。

こうした、世界有数のシンクタンクが、1972年にこのままでは、あと20年で石油が枯渇するとの見解を示したわけですが、結局その20年後の、1992年はどうであったかといえば、石油が枯渇するということもなく、さらに40年後の今日を迎えているわけです。この間、1970年代あたりでは、予見できなかった、莫大な石油の鉱床が発見され、実際に掘削されたり、まだ手付かずのものもでてきました。さらに、従来は採算性がないといわれていた、シェール・ガス・オイルの掘削技術が発達し、さらに、潜在埋蔵量はかなり増えたといことです。

以前は、眉唾とされたシェール・オイル掘削技術を示す図

この間に、様々な技術が発展したということで、ローマ・クラブの予測が外れたことはある面では仕方ないのかもしれません。しかし、世界中の多くの人に無用の不安感を与えたことは事実です。うがった見方をすれば、このシンクタンクが、大手石油会社から援助を受けていることから、石油の相場をあげるためにこのようなことをしたのではないか、そこまでいかなくとも、その方向性に圧力がかかったとの見方もできると思います。

有能であるはずの、ローマ・クラブですら、こういった過ちをおかすくらいですから、各国政府などが間違うのも無理はないものと思います。

しかしながら、少なくとも今後30年間、様々な技術の発達も見込んで、在来型非在来型の石油・ガス・原発その他のエネルギー総需給量など、明確にしておくのが、各国政府の重要な責任となることは間違いないと思います。

下の動画の2分あたりのところで、世界原油生産長期見通しというグラフがでてきます。



この見通しは、正しいものなのか、それとも、「ローマ・クラブ」の報告のようになる可能性もあるのか?

楽観的な、アメリカの見方では、数百年の埋蔵量があるとしていて、その見方の代表的なものが以下の動画です。



いずれにせよ、正しい情報を得て、正しい判断をしていくことが重要だと思います。各国の政府が発表する情報に関しては、必ず当該国の国家安全保障上の思惑が入ってると認識すべきです。しかし、いずれに転んだとしても、原発即全面停止などを主張することは、全く愚かしいことです。少なくとも、誤った情報に扇動されることなく、自分の頭で考えて情報を取捨選択していく必要があります。




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2012年8月22日水曜日

Huluが大きな問題に直面、放送局の新提案―【私の論評】Hulu独走状態は、いずれなくなる?

Huluが大きな問題に直面、放送局の新提案:
20120822hulugetsscrewedup.jpg
毎日Huluにお世話になっている身として、なんとしてもHuluにはがんばりつづけて欲しい。
Huluが、大きな変更を求められるかもしれません。ネタ元のVarietyが手に入れた情報によると、主要株主である大手放送局が、ストリーミングサービスの一部変更を迫っているというのです。その内容が、ユーザー、そしてHuluにとっては痛手となるもの...。

Huluの株主は、NBC、FOX、ABC、Providence Equity Partners4社。Hulu創設に資金協力を行いました。Provindenceは買収されたことから、3つの大手放送局がHuluにおいて大きな力を持つことになります。NBCは契約内容に変更を加えることはできないという条件がついているので、つまりFOXとABCがHuluに大きな圧力をかけようとしているのです。

Varietyが入手したメモによると、以下の内容がFOXとABCがHuluに迫っている改善点。
・番組の最新シーズンにおけるHuluのみの特別配信をやめる。ライセンスをYouTubeのような第3者にもオープンにする。(これによって、市場でのHuluの有利な点がなくなってしまいます。)
・コンテンツの同等化をやめる。ABCとFOXの公式サイトはHuluとの差別化を測るため、一部のコンテンツの提供をやめ公式サイトオンリーのものとする。(かつては、公式サイトにあるコンテンツをHuluは全て使用することができました。)
・Huluのスペシャルコンテンツを、YahooやAOLのような第3者に提供する権利をHuluから、ABC、FOXに戻す。
・FOXは、Hulu.com上での1コマーシャル枠にいれるCMの数を4つに増やすことを要求。
Huluのみの特別配信コンテンツを無くすのは、ユーザーにとってはプラスでしょう。他サービス利用者でも見ることができるようにわけですから。しかし、HuluにとってはNetflixやAmazon Prime等との競合他社とやりあっていく上で不利になるのは絶対です。一部のコンテンツを公式サイト配信のみにしてHuluに渡さないというのは、ユーザーにとっては最悪です。もし、人気ドラマの最新シーズンがHuluでだけ見れないとしたら? なんのためにユーザーになっていることやら。コマーシャルの数を増やすのだって改悪です。

が、これらの変更は、Hulu Plusの大成功を踏まえて要求しているものだと、放送局側は主張しています。Hulu PlusはHuluの有料会員版。Plusならば、より多くのコンテンツを楽しむことができます。が、もし今回の要求によってコンテンツは制限を受けて、CMもガンガンはいってくるとしたら...。Plusは今現在は成功していても、本当に今回の要求でさらに先の成功へ行くことはできるのでしょうか?

今回の要求がユーザーにとって有利に働く可能性があるとしたら、1サービスに限らず広く多種多様なサービスに放送局がコンテンツの提供を始めることくらいですが、きっとそれは難しいでしょう。どちらにせよ、Huluには厳しい試練が訪れることとなりそうです。
この記事の詳細はこちらから!!

【私の論評】Hulu独走状態は、いずれなくなる?
Huluテレビ番組や、映画配信、独走状態です。私は、このブログにも以前書いたように、AppleTVをもっているので、Appleの動画配信に関して興味を持っいるので、いろいろ調べたりしていましたが、結局いつまでたっても、映画配信や、テレビ配信の内容など、増強されることもないので、ほとんど使わなくなってしまいました。そのため、AppleTVは、週に1回ほど、映画をみるだのガジエットになってしまっています。

ただし、アメリカでは、AppleTVでもHuluが見られるようになり、日本でも、いずれ見られるようになるというアナウンスもでていたので、そうなれば、Huluと契約して、AppleTVで、これを見ようと思っています。それにしても、以前から、Apple側では、AppleTVのコンテンツを増やすため、交渉中というようなアナウンスをしていたのですが、結局失敗して、Huluを導入することにしたのだと思います。

アメリカのAppleTVのサービス選択画面。huluplusが付加された。
そうなると、AppleTV配信の映画など誰も見なくなり、Apple側では、Huluを間接的に提供するだけで、手数料などのフィーも直接配信するよりはるかに、少なくなるのだと思います。今は、たまたま、Appleの例を出していますが、NetflixやAmazon Primだって似たようなところがあると思います。このようなことが続けば、Huluの一人勝ちになるだけで、このようなことは長続きしないのではないかと思いました。

それに、これって、どのようなからくりがあるにして、独占状態であり、いずれ独占禁止法が適用され、Huluだけの優先的配信は、できなくなると思います。そうして、そうなったほうが、多くのユーザーにとって、良いことであるには違いありません。

Huluのコンテンツ選択画面
私自身は、実は、Huluと本契約をしたことはありません。試用してみたことはあります。確か一月くらいは、無料でお試し期間があったので、最初は、映画や、24など、iPadなどで、見てみましたが、いくらコンテンツが豊富であったにしても、結局映画や、テレビの内容が見られるだけであって結局何の変哲もなく、無料のうちは良いにしても、有料になって後でも、見ることはないし、特にテレビ番組など見るようになれば、時間がいくらあっても足りないということになりかねず、主に映画を見るようなったので、頻度が少なければ、AppleTVでみるのと、何も変わりないと思い、価格も当時は、今の倍くらいということもあって、結局お試し期間だけで終わってしまいました。

最近iPadでもできるようになったGoogle hangout
このような動画配信業は、コンテンツだけ勝負する時代は、いずれ終わると思います。ただ、豊富なコンテンツから自由に映画や、テレビが見られという受動的なサービスは、廃れると思います。それに変わるサービスとしては、たとえば、Googleのハングアウトのようなプラットフォームなどがあげられると思います。ハングアウトは、ビデオチャットのようなものですが、動画を9人で、同時に見て、同時にチャットもできるようになっています。これを進化させれば、さらに面白いプラットフォームになると思います。そうして、Googleは、Google+を基軸として、文章、画像、動画を統合する全く新たなプラットフォームを目指しているのだと思います。

最近、iPhoneでも、アンドロイドでもできるようになったhangout
さらに、8月21日、東京六本木にあるニコファーレで『niconico新サービス発表会』が行われた。その時に、発表された新サービス「ブロマガ」も有力なものになるかもしれません。

ニワンゴが運営している動画サービス「ニコニコチャンネル」に、8月21日より、ブログやメールマガジンを配信する課金型コンテンツ「ブロマガ」が登場しました。


ニコニコチャンネルは、動画の配信や生放送ができるプラットフォームとして、2008年よりサービスを開始しています。今回の新機能によりテキストベースでの発信も可能となりました。

「ブロマガ」はPCブラウザだけでなく、スマートフォンやタブレットなどの対応端末での閲覧も可能である。合わせて、課金システムも改定され、コンテンツごとに無料もしくは有料(月額/都度課金)の選択ができます。

今回『ブロマガ』第1弾の発行人として、65のチャンネルが開設され、合計76の著名人や会社がコンテンツを発信することも発表されました。

ブロマガの詳細については、以下の記事を御覧ください。

ニコニコがコンテンツプラットフォーム“ブロマガ”を開始 メルマガが初めて進化

いくら、コンテンツが多いといいながら、Huluのように、映画や、テレビ番組を配信するだけというのなら、旧来の仕組みをそのまま現在のデバイス用に焼き直しているだけでは、すぐに飽きられてしまいます。電子書籍だって、従来の書籍をただ、現在のデバイスである、kindleやiPadで見られるだけであれば、本当に必要ものを書籍として読むというだけで、すぐに飽きられてしまうことでしょう。

何か新しいプラットフォームの中に、動画も含まれているという全く既存のものとは異なる新いものが、開発されるべきであると思うのは、私だけでしょうか?




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2012年8月21日火曜日

複数の事を同時にしようとすると生産性はガクッと落ちる / マルチタスクの危険を表したインフォグラフィック―【私の論評】なぜ集中しなければならないのか?

複数の事を同時にしようとすると生産性はガクッと落ちる / マルチタスクの危険を表したインフォグラフィック:

複数の事を同時にしようとすると生産性はガクッと落ちる / マルチタスクの危険を表したインフォグラフィック

複数の仕事、すなわち「マルチタスク」をこなす行為。効率的に時間を使いたいビジネスマンにとって、マルチタスクをマストなスキルと考える人も多いだろう。生産性を高めるためのガジェットやスマートフォンのアプリも次々と開発されている。しかし、マルチタスク状態と気が散っている状態は表裏一体らしいのだ。


ある研究によると、同時に複数の事を効率よくこなせる人は全体のたったの2パーセントであり、その他の98パーセントの人は気が散ってしまって逆効果になっているという。そんな、マルチタスクに関する興味深い実態が表現されたインフォグラフィックが話題となっている。

このインフォグラフィックはOnlineCollege.orgというアメリカの情報サイトが制作したもの。いかに我々が複数のことを同時にしているか、そしてそれが害となっているかを表している。以下がその内容だ。

【職場の実態】
まずはマルチタスク信奉者が最も多いと思われる職場の実態について。
・89パーセントの人が職場でスマートフォンを使用している。
・アメリカ人の45パーセントが一度に多くのことを取り組まなければならないと考えている。
・職場でコンピューターを使う人は10.5分に一度、気が散っている

【学生の実態】
マルチタスクの害は社会人だけでなく、学生にも及んでいるようだ。
・授業中に学生が閲覧するウェブページの62パーセントが授業の内容と関係がないものである。
・平均して、学生は一つの講義あたり65もの新しいウェブページを開いている。



【テレビ視聴時】
仕事や勉強中だけじゃない。テレビを見ながらアメリカ人がついつい同時にやっちゃうことはこんなこと。
・42パーセントがネットサーフィンをする。
・29パーセントが電話で話す。
・26パーセントが携帯メールやチャットをしている

【ついつい見てしまうスマートフォン】
スマートフォンの登場によって、いつでもどこでもメールのチェックやネットの閲覧をすることが容易になった。その結果……
・67パーセントの人がデート中に
・45パーセントが映画館で
・33パーセントが協会でもスマートフォンでメールチェックまたはネットの閲覧をしているという。

【マルチタスクの副作用】
以上の通り、マルチタスクは日常で行われているわけだが、いくつかの研究で以下のようなマルチタスクの「副作用」が指摘されているという。
・複数のことを同時にしようとすると、生産性は40パーセント落ちる。
・仕事中に電話やメールで気が散ると、IQが10ポイント下がる。これは一晩眠らないことによる影響、またはマリワナを吸った際に生じる影響の二倍に匹敵するという。
・デスクワークの仕事をする人は平均して、気が散ることによって一日に2.1時間を無駄にしている。年間にすると546時間だ。
・勉強中にメールやチャットをすると学業成績が下がる。
・運転中に携帯を使うと反応力が鈍る。



このように、これでもかというほどにマルチタスクの負の側面が指摘されている。便利なガジェットが登場しても、それを上手に使いこなすことは実はとても難しいのかもしれない。マルチタスクができる2パーセントと逆効果になっている98パーセント。あなたはどちらだろうか?
(文=佐藤 ゆき

参照元:Mashable(英文)


【私の論評】なぜ集中しなければならないのか?
さて、上の記事では、マルチタスクの弊害、要するに集中しないことの弊害を掲載していました。ただし、なぜ集中しなければならないのかについては、掲載していません。そこで、今日は、集中することの意義など私の経験も含めて掲載させていただきます。


まず、私の経験としては、上の記事をみていて、私が学生のときに、家庭教師をやっていたときのことを思い出しました。私は、家庭教師をするにあたってまずは、対象の子供が普段どのように勉強をしているかをチエックすることからはじめました。いくつも、チェックするのですが、たとえば、英語など明日リーダーの授業がある前の日に、英語の予習を実際に目の前でやってもらいチエックをしていました。予習のやり方をみると、集中力のある子とそうではない子との間にはかなり相違があります。

集中力のある子は、予習の手順がはっきり決まっています。たとえば、まずは、リーダーを読んで、意味のわからない単語を調べます。単語が分かった段階で、黙読、音読をします。2度読んでみてもわからない場合は、再度単語の意味を調べたり、場合によっては、参考書を引っ張りだして、調べます。そうして、最後にどうしてもわからないところは、ピックアップして、授業で質問することにします。子供によって、順番が違ったり、少し異なることを付加したりする場合もありまずか、たいていはこんな具合です。それも、毎回手順が決まっており、よどみなく終了して、だいたい、30分くらいで終わります。長くても1時間以内です。



そうして、このような子は得てして、成績も良く、成績が悪かったとしても、多少手直ししてやれば、すぐに、成績があがります。

一方集中力の欠く子供は、手順が決まっておらず、読んだかと思うと、単語を調べたり、参考書を調べたり、また、読んでみたり、途中で鉛筆を削ってみたりと、手順が一定していません。それも、毎回順序が違ったりします。そうして、予習が終わった後でも、自分がわからない箇所がはっきりしません。そうして、時間も、1時間近くかかるのが普通です。そうして、何回か、予習をチェックすると、毎回順序が違ったりします。こういう子は得てして、成績も悪く、このような子には、最初から教えたりせず、まずは、予習のやり方をその子の特性を把握しつつ教え、毎回そのとおりにさせることから始めます。しかし毎回同じやり方が身につくと、その後は、成績が徐々にあがっていきますし、本人も勉強の仕方が身についてかなり楽になったようです。


やはり、集中して、一度に一つのことを実行することは効果があるようです。

さて、では、どうすれば、集中できるようになるかについて掲載したいと思いますが、それに関しては、私の拙い経験を披瀝するよりも、ネットを見ていただければ種々様々な方法が掲載されています。これは、人によっても異なるので、自分で自分にあった方法を探していただければ良いと思います。


最後に、なぜ集中しなければならないのかを、以下に掲載させていただきます。なお、下の文章は、ほとんどがドラッカーの言葉によるものですが、私自身の頭に入っていることを掲載しますので、特に、ドラッカーのどの書籍のものであるかは、特に掲載しません。

なぜ集中しなければならないかといえば、それは、成果をあげるためです。上の例のように、何かを学ぶというのであれば、短時間に正確にものごとを身につけることです。営利企業であれば、最終的に経済的な利益に結びつく、成果をあげるということです。


成果をあげる秘訣を一つだけあげるとすれば、それは集中です。成果をあげる人は最も重要なことから始め、しかも一度に一つのことしかしません。

行なうべき貢献を分析すれと、驚くほど多くの重要な仕事が出てくるものです。時間を分析すれば、真の貢献をもたらす仕事に割ける時間は、あまりに少ないことが理解できます。多くの人にとって、どのように時間を管理したとしても、時間の半分以上は依然として自分の時間ではありません。

多くの人にとって、時間の収支は常に赤字であるのが普通です。真に生産的な半日あるいは2週間を手に入れるには、厳しい自己管理とノーと言うだけの不動の決意を必要とします。


人には驚くほど多様な能力があります。人はよろず屋です。しかし、その多様性を生産的に使うには、それらの多様な能力を一つの仕事に集中することが不可欠です。あらゆる能力を一つの成果に向けるには集中するしかないのです。

時間と、労力と、資源を集中するほど、実際にやれる仕事の数と種類が多くなります。これこそ、困難な仕事をいくつも行なう人の秘訣です。上の集中力のない子どもの例のように、成果を上げられない人のほうが成果を上げている人よりね長く働いているのが普通です。

 成果をあげる人は、多くのことをなさなければならないこと、しかも成果をあげなければならないことを知っています。したがって自らの時間とエネルギー、組織の時間とエネルギーを一つのことに集中します。最も重要なことを最初に行うべく集中するのです。

だかこそ、集中しなければならないのです。

こんなことをブログに書いておきながら、本日は、このブログマルチタスクの一環として書いてしまいました。やっぱり駄目ですね、普段なら小一時間で書いてしまうのに、本日は、余計な他のタスクと一緒にやらざるをえなかったので、ものすごく時間がかかってしまいました。やはり、マルチタスクはダメだということを痛烈に反省することになりました(笑)。




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