2014年10月30日木曜日

消費再増税、アベノミクス成功のため冷静に判断=安倍首相―【私の論評】安倍総理は、長期政権樹立のため増税パスの政治的な賭けを実行する可能性が高まってきた!しかし、日本のマスコミはこれをスクープできないだろう(・・;)


国会答弁する安倍総理 昨日

[東京 30日 ロイター] - 安倍晋三首相は30日午前の衆議院予算委員会で、消費税率10%への引き上げ判断について、7─9月に成長軌道に戻ることができるかだと指摘。消費税率の引き上げがデフレ脱却に与える影響も含め、「アベノミクスを完全に成功させるために、冷静に判断していきたい」と語った。

河村建夫委員(自民)の質問に答えた。

安倍首相は消費税率引き上げについて「社会保障制度の水準を次の世代に引き渡す責任があるなかで、3党合意で決定したものだ」とする一方、「消費税を上げた結果、経済が腰折れすれば税収は減る。元も子もなくなるのは当然のことだ。財政健全化にもつながらない」との認識を示した。

そのうえで「4月から消費税を上げた(ことによる)マイナスがあった。(4─6月に)マイナス7.1%という反動減があった」とし、「7月、8月、9月に成長軌道に戻ることができるかということだ。消費税は消費者の購買力を減少させる効果があるのも事実だ。デフレ脱却に影響を与えるかを含めてみていきたい」と語った。

安倍内閣の2閣僚の辞任という事態に対しては「申し訳ない思いだ」とし、「任命者である私の責任だ」と語った。さらに「わが国の前には問題が山積している。デフレ脱却は道半ばで、アジアの安全保障環境は厳しさを増している。山積する課題にしっかり立ち向かい、解決のために全力を尽くす。政治に遅滞があってはならない」と述べた。

(石田仁志 編集:山川薫)

【私の論評】安倍総理は、長期政権樹立のため増税パスの政治的な賭けを実行する可能性が高まってきた!しかし、日本のマスコミはこれをスクープできないだろう(・・;)

上の記事、非常に重要な内容だと思うのですが、日本のマスコミはほとんど報道しません。ちなみに、「消費税 安倍総理」というキーワードで、24時間以内のものググってみました。その結果が、以下です。


何と、この内容を伝えていたのは、ロイターとニューズウィークのみでした。ニューズウィークは、ロイターのものを転載していました。そのほかは、ロイターの報道していた内容とは異なる、森永卓郎氏のエッセイだけでした。

一体日本の報道機関はどうしたというのでしょうか。毎日新聞もこれに近いことは掲載していましたが、これでは、安倍総理の真意は全く伝わっていません。

その記事を以下に引用します。
みんな:首相に消費税増税凍結求める 
毎日新聞 2014年10月29日 20時14分 
 安倍晋三首相は29日、みんなの党の浅尾慶一郎代表と首相官邸で面会した。浅尾氏は消費税率の10%への引き上げの凍結を求め、海外の有識者から意見を聞くよう要請。首相は「今年4月の消費増税後の景気状況について注意深く見ていきたい」と述べるにとどめた。会談には米国の資産運用会社会長が同席した。
これでは、全く安倍総理の真意は伝わりません。まるで、 浅尾慶一郎氏が、増税凍結を求めたのに、安倍総理は、あまり乗り気でないように受け取ることのできるような内容です。

これでは、全く報道の意味がありません。

このような報道姿勢では、安倍総理も日本のマスコミなどには、あまり話をしたくなくなるのが当然ともいえます。

これについては、以前もこのブログに掲載しましたので、その記事のURLを以下に掲載します。
焦点:首相周辺で消費増税延期が優勢、景気腰折れ懸念―【私の論評】恥ずかしくはないかい!日本のマスコミ、政治家、官僚、左翼、似非識者諸君!安倍総理に愛想づかしをされ、本音で話すのは外国のメディアのみになってしまったことを(゚д゚)!
この記事では、増税一色で凝り固まっている、日本のマスコミ、政治家、官僚、左翼、似非識者などに安倍総理が愛想をつかし、こと増税に関しては、海外メディアを使うようになった背景を掲載しまた。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事の締めくくりの部分のみ以下に掲載させていただきます。
そうです。安倍総理は、再増税一色に固まっている、日本のマスコミ、政治家、官僚、左翼、似非識者たちには、何を話しても無駄であると判断したのです。平たくいえば、彼らに愛想をつかしたのです。
愛想をつかされた、彼らにこういいたいです。「一国の総理大臣から、完璧に愛想をつかされて、恥ずかしくないのかい!そのうち、全国民からも愛想をつかされることになるよ」と・・・・・・・・・。
確かに、安倍総理は、増税に関しては、ファイナンシャル・タイムズなどのインだピューは、受けても、日本のメディアなどのインタビューは受けていません。

それに、今回の安倍総理の国会での増税に関する考えの表明に関しては、ロイターのみがまともに報道している事実を考え合わせると、日本のメディアは最早まともな報道ができないと考えても差し支えないと思います。

とにかく、メディアは、増税推進派に与して、昨年のように大増税キャンペーンを繰り返し、増税を押し切ろうとう腹です。

しかし、これで、本当にまともな報道ができるのでしょうか。

先に、あげた森永卓郎氏は、興味深いエッセイをサイトに掲載していました。その記事の一部を以下に引用します。
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 消費税再増税凍結?
森永卓郎氏
安倍総理が来年10月からの消費税再増税に踏み切るのかどうかを判断する期限が、あと1カ月あまりに近づいてきた。
賛成の人は、一体経済のどこをみているのだろうか。8月の家計調査で、実質消費は前年比マイナス4.7%、勤労者世帯の実質収入はマイナス5.4%だ。消費税引き上げ前の駆け込み需要の反動で消費が落ちたのではなく、所得減で消費が落ちているのだ。
そのことは、景気動向にも明確に表れている。景気動向指数(一致指数)は、一昨年11月の101.6から今年3月の114.6まで急上昇したが、そこをピークに、今年8月は108.5へと急落している。日本経済は、消費税引き上げをきっかけに、まさに「逆V字失速」をしているのだ。 
これだけひどい状況でも、多数の有識者が消費税を再引き上げすべきと言っているのだから、普通に考えたら安倍総理は再引き上げの判断をせざるを得ないだろう。
ただ、私の頭からは、どうしても安倍総理が消費税引き上げ凍結を断行するシナリオが消えない。安倍総理が経済の専門家だからではない。政治家だからだ。
圧倒的支持率を誇ってきた安倍総理も、ここのところの景気失速で人気にかげりが出てきた。さらに、今後は支持率を落とす要因が目白押しだ。自民党候補の苦戦が予想される沖縄県知事選、川内原発の再稼働、TPP交渉での大幅譲歩、拉致被害者の帰国難航など、難題続出なのだ。当然内閣支持率はずるずると落ちていくだろう。
そうした中で、年末に安倍総理が突然「消費税引き上げを凍結します」と宣言する。支持率は急上昇するだろう。しかも、この作戦には大きな副産物がある。それは、盟友の麻生財務大臣斬りだ。
実は、安倍総理の座を狙う男が2人いた。石破茂氏と麻生太郎氏だ。石破氏は、地方創生担当大臣として座敷牢に入れた。あとは、麻生氏の息の根を止めれば、安倍総理の長期政権がみえてくる。政治家はそれくらいのことをするものだ。
森永氏の論評など、マクロ経済は知らないようだし、かなり頓珍漢なこともあり、私自身は読む価値などないと思うのですが、こと増税パスに関する森永氏の読みだけは意外と正しいかもしれません。最近、年末衆院解散という話も持ち上がっています。安倍総理は、年末解散総選挙で、支持率を高め、安倍長期政権の樹立を狙っている可能性は十分あります。

現状では、4月の増税でも消費がかなり落ち込み、とんでもない状況に陥っています。しかし、これは、たとえば増税分に相当するか、あるいは増税分を上回るような所得税減税や、給付金を実施すれば、十分に挽回可能です。公共工事は、現状では人手不足などの、公共工事の供給制約があるので、すぐに効果的な経済対策とはなりません。

しかし、来年の10%増税をしてしまえば、このような方策をとってもなかなか挽回できない可能性も高いです。所得税減税や、給付金対策を行ったにしても、かなり大規模にしなければならないし、効果が出るまで時間がかかる可能性が高いです。その間に安倍政権の支持率が急落するのは間違いないです。

上の記事には、書いてはありませんでしたが、女性2閣僚の辞任もかなり影響して、最近では内閣支持率を上げるような要素はありません。

このようなことをいろいろ見ていくと、 昨年は確かに、安倍総理が増税見送りをすると、政治的にかなり危険であり、諸事情を考えると政治的賭けに打って出る事はできませんでしたが、今年は違います。

いくら増税派が騒いでみたからといって、増税の最終判断は安倍総理が実施します。

このような状況の中での、ブログ冒頭の記事の内容のような安倍総理の発言です。しかし、日本のメディアはほとんどこれを報道しません。

こういうことから考えると、増税一色に固まっている日本のメディアは、安倍総理の真理を読みとることができず、増税キャンペーンばかり繰り返し、安倍総理の増税見送りのサインを見逃し、ロイターあたりにスクープされて、梯子を外されてしまうかもしれません。

その可能性は、高まりつつあります。

それにしても、増税を見送りして、新たな経済対策をして、経済が良くなれば、安倍政権の支持率はかなり高まることでしょう。

そうなったら、増税派をこてんこてんに批判しまくって、梯子を外して、奈落の底に落としてやろうではありませんか。

私は、そう思います。皆さんは、どう思いますか(*_*)

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2014年10月29日水曜日

堀 義人 日本を変える「100の行動」―【私の論評】今日本に100の問題があれば、デフレから脱却すれば、50くらいの問題は自動的に解消する!脱却できなければ何も解決できずモグラたたきになるだけ。今の日本の最優先課題はデフレからの脱却であるはず(゚д゚)!

堀 義人 日本を変える「100の行動」
Writing by フォーブス ジャパン 2014年12月号 : P.22 〜 27
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「批判より提案を」「思想から行動へ」「リーダーとしての自覚を醸成する」─。
政界、財界、学界、文化人などが、毎年冬に集まる会合がある。日本版ダボス会議と呼ばれる「G1サミット」だ。討論に終わらず、変革のために「100の行動」を始めるという。


「G1サミット」をご存じだろうか。2009年、冬景色の福島県アルツ磐梯で1回目が開かれて以来、毎年、地方のリゾート施設で開催されているが、一般メディアではほとんど報じられていないため、国民に広く認識されているわけではない。しかし、「日本版ダボス会議」と呼ばれている通り、参加者の顔ぶれからいったい何が話されているのか、興味をもたない者はいないだろう。

 iPS細胞の山中伸弥はノーベル賞を受賞する前からG1のボードメンバーであり、参加者には、安倍晋三、現役閣僚、与野党の政治家、霞が関の官僚、民間からは若手起業家に、名だたる企業の経営者たち、学者など大物から新進気鋭までがそろう。文化人やオリンピック選手もいて、第一線で活動中の人ばかりだ。(中略)

 G1の中から「100の行動」というプロジェクトが動きだしており、日本の100の課題を見つけて、解決していくという。

 まるで政府主催のような大がかりな取り組みだが、民間団体の取り組みに官僚を含めて政権内の人間までもが参加するのはどうしてだろうか。その理由は、G1サミットが生まれたプロセスに関係あるだろう。

 安倍内閣で官房副長官を務める世耕弘成は、辰巳と同じく創設時からのボードメンバーで、「100の行動」に参加している。政策提言を行う民間シンクタンクや社会変革を目指す民間団体と何が違うのか。世耕が言う。

「立派な提言や答案を書くのは簡単なんです。問題は実行すること。実現させなければ意味がない。『100の行動』に期待しているのは、これまで政権内で仕事をした人たちが参画している点です。提言を実行しようとすると、不利益を被る人たちがいるし、反発する人もいる。政治家はどこに障壁があるかを知っています。『そんなのは政治家が突破してよ』と、政治家だけに期待されても現実には合意形成は難しく、簡単にはいかないのです。だから、私は問いかけています。『政治の力だけではなく、民間はどう動くんですか。世論を動かすには、政治の力だけでなく、民間の皆さんの力も必要なんです』と」

 20年前だったら、こんな仕掛けをつくる必要はなかっただろう。政治は、プロレスのように役割が決まっていて、批判する人と批判される人が舞台の上で役割を演じる一方、社会システムはうまく動き続けていた。

 しかし、経済が右肩上がりではなくなると、合意形成は困難になり、停滞の時代になった。すると、こんな世の中に誰がしたとばかりの「犯人探し」に世間は懸命になる。(中略)

「犯人探し」が一巡したとき、「批判よりも提案を」と呼びかけたのが、G1の創設者、堀義人だった。
 賛同する人が多いのは時代の変化だろう。みな、イナゴの大群に辟易し、いい加減に停滞から脱したかったのだ。提案を呼びかける堀は、「100の行動」をこう言う。

「これは静かなる革命です」
(以下略、)
【私の論評】今日本に100の問題があれば、デフレから脱却すれば、50くらいの問題は自動的に解消する!脱却できなければ何も解決できずモグラたたきになるだけ。今の日本の最優先課題はデフレからの脱却であるはず(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事は、NewsPicsに掲載されていたものですが、日本を変える「100の行動」という表題なので、非常に気になってしまったので、記事内容を読んだり、リンク記事なども読んでみたのですが、デフレに関しては何も掲載されていないので、どうしても一言言いたくなって、この記事に対するコメントをしました。

そのコメントの内容を以下に掲載します。
何か、こういう記事をみていると、がっかりします。水を差すようで、悪い気もしますが、今の日本の一番の課題は、どう考えてみても、デフレからの脱却でしょう。こういうこと言うと、ニヒリストのように思われてしまうかもしれませんが、現実はそうでしょう(゚д゚)! 
日本に100の問題があったとして、デフレから脱却すれば、半分の問題は自動的に片付きます。残りの50もある程度目処もたちます。しかし、デフレから脱却できなければ、どの問題も解消せずにモグラたたきになるだけです。 
マクロ的には、そうです。ただし、そうはいっても、ミクロでの努力を否定するつもりはありませんが、水道管が破裂しているときに、それを修理すれば良いのであって、水を汲み出してばかりいても、根本的な解決にはならないことも事実です。
 これは、本当に私の偽らざる本心です。本当にそう思っています。デフレを解消せずに、日本国内でイノベーションやら何やらを実行したとしても、デフレが解消されなければ、日本の社会は良くなりません。

日本では、あまりにもデフレが長い間続いてしまったため、デフレがあたり前になっている人が多いような気がします。多くの人が、デフレを前提として物事を考えるようになっています。

しかし、デフレは、好景気と、不景気を繰り返すという、正常な経済循環から逸脱した経済の病です。あってはならない状況です。この事が理解されていないような気がします。

多くの人が、「デフレ=不景気」くらいに考えているのではないでしようか。しかし、この考えは全く誤りです。ただし、デフレは純然たる貨幣現象であり、人口減などとは全く関係ないものであり、金融政策によって是正されるものです。ましてや、日本国が駄目とか、日本人が駄目になったということでは決してありません。

デフレは社会に悪影響を与えます。これは、社会に大きな歪をもたらすものです。企業活動から、個人の活動にまで、あらゆる面で、悪影響を与えます。日本国が駄目になった、日本人が駄目になったように見えるのはこのためです。

これについては、このブログでも良く掲載することですが、最近では、自殺者が増えるということを事例として掲載します。

最近では、このことをツイートしましたが、かなり多くの人々にリツイートされましたので、そのツイートを以下に掲載します。


このブログを読まれている方にはご理解いただけると思いますが、何か、このツイートだけをご覧いただくと、非常に過激に思われるかもしれませんが、こうしたツイートをしたことについては、それなりの背景があります。

その背景を理解していただくため、このブログを購読されていないかたのために、以下にこのブログの過去の記事を掲載させていただきます。
若年者死因トップは自殺 先進7か国で日本のみ―【私の論評】若者の死因の第一位が自殺になったのは、デフレ退治をしなかったことによる大きな罪ということを理解しない人が多いためますます、悲劇が続く?

この記事では、日本においては若年者死因トップが自殺であることを中心に掲載ました。そうして、その原因がデフレにあることも掲載しました。
【週間現代】全国民必読 日本経済「隠された真実」安倍官邸と大新聞「景気は順調」詐欺の全手口―【私の論評】増税するしないはもう経済理論を超えた、殺人・詐欺マシーンと化した財務省と、それを粉砕しようとする勢力との政治・言論抗争である(゚д゚)!
佐藤慎一 官房長 '80年入閣

この記事では、財務省の増税推進のなりふり構わない、姿勢に関して批判しました。

再増税をすると、またさらに消費が落ち込み、デフレからの脱却が遠退き、自殺者が増えます。

この記事では、経済学者の田中秀臣氏の勇気あるツイートを掲載し、財務省の何が何でも、増税に走る姿勢を厳しく批判しました。

以下に、この記事にも掲載した田中秀臣氏の勇気あるツイートを掲載します。






田中秀臣氏もそうですし、私もわざわざ、「殺人」という言葉まで出して、批判するのは、生半可なことをしていては、本当に再増税が実行されてしまい、景気が落ち込み、また自殺者が増えるという最悪の事態を避けたいがためです。また、最悪の事態が発生しても、責任の所在が曖昧になることを避けるためです。

デフレは、個人ベースでもこのような惨禍をもたらすものです。

企業にとっても、デフレは悲惨な結果をもたらします。10%増税をすると、消費が落ち込み、日本は再びデフレスパイラルの底に沈み、とんでもないことになります。

たとえば、消費税「10%」なら新車販売は年50万台減という試算もあります。その記事を以下に掲載します。
消費税「10%」なら新車販売は年50万台減 政府・自工会試算 増税判断に影響
デフレでかなり悪影響を被っている自動車産業
 消費税率を10%に引き上げた場合の平成28年度の国内新車販売台数について、政府と日本自動車工業会が最大で年間50万台減少すると試算していることが27日、分かった。年間の総販売台数の約1割に相当する。国内の製造業出荷額の約2割を占める自動車産業の業績が落ち込めば、安倍晋三政権が最優先で取り組む景気回復の大きな足かせとなるだけに、年末の消費税再増税の判断にも影響を与えそうだ。
日本の自動車業界も、再増税に関してはさすがに根をあげて、このような資料を公開しているのだと思います。

飲食業界も酷いものです。この業界では、収益が最大だった頃に比較すると、:現在では5兆円も減っているそうです。いろいろな分析もありますが、原因の最たるものは、デフレでしょう。

たまたま、自動車産業や飲食業の事例をあげましたが、ほとんどすべての産業が、デフレの悪影響を被っています。

個人にも、企業にもデフレは悪影響を及ばし、社会に様々な歪みをもたらします。

アメリカのビッグスリーは従来から、経済が不振だったり、その他の理由で、自分たちの車が売れなくなると、エゲツないほどに、政府に圧力をかけていました。

このやり方に、私は、昔は「そこまでやるのか」とエゲツないと考えていましたが、今の日本では、このエゲツなさが重要だと思います。これだけ、過去の日銀の政策がまずかったり、政府の財政政策がまずければ、大きな声をあげないほうがおかしいです。

まずは、デフレを退治しなければ、マクロ的な視点からみれば、モグラたたきになるだけです。

それなしに、様々なイノベーションを実行したり、改善をしてみても、日本の社会は良くはなりません。一部の人が一時潤うだけのことで、その潤いもつかの間で終わってしまうだけです。だから、ブログ冒頭の記事をみると、何やら虚しさを感じてしまうのです。

せっかく、先端医療で、多くの人々の命を助けることができても、自殺者が増えては帳消しです。ただし、先にも述べたように、このような努力を否定するつもりはさらさらありません。

それに、堀 義人氏を個人攻撃するつもりもないですし、G1サミットを否定するつもりもありません。ひよっとしたら、G1サミットの中でも、デフレについて、語られているのかもしれません。私の、勉強不足、認識不足なのかもしれません。それにしても、ブログ冒頭の記事を読んだり、リンクをみてもそのようなことは、全くでてきません。

しかし、今は、政治家、官僚、民間、個人レベルでも、まずは一致協力して、デフレからの脱却を図ることが、日本の最優先課題だと思います。これだけは、絶対に譲ることはできません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】

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「子どもが生まれたら10人に1人、離婚したら半分以上が貧困になる時代を生きる」―【私の論評】ちょっと待ってくれ、貧困の大きな原因の一つとして、個々人の努力や社会制度の問題の前にデフレがあるのでは(゚д゚)!

【田中秀臣氏TW】財務省は「人殺し」の機関の別称だといって差し支えない―【私の論評】政治主導を実現するため、財務省殺人マシーンは分割して破壊せよ!日銀殺人マシーンの亡霊を蘇らせないために、日銀法を改正せよ(゚д゚)!

この国は俺たちのためにある そこどけ!財務省「花の54年組」4人衆のお通りだ 加藤勝信・木下康司・香川俊介・田中一穂―【私の論評】アベノミクスを完遂するために、安部総理が財務省対策の深謀遠慮を巡らしてそれを実行できなければ、この国は終わるかもしれない(゚д゚)!

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2014年10月28日火曜日

潘国連事務総長に高まる疑問の声 ソウル前支局長起訴に沈黙 韓国世論優先? ―【私の論評】国連の事務総長が反日的であるのは、歴史からみて、ある程度あたり前だが、やはり報道の自由に関しては、連合国側の常識に従うべき(゚д゚)!


国連の潘事務総長は、韓国や中国にすりよる一方反日的発言をする

国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長に対し、その資質を問題視する声が強まっている。産経新聞の加藤達也前ソウル支局長が、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領への名誉毀損で在宅起訴された問題について、一切の態度表明を見送っているためだ。出身国・韓国の世論を気にかけるあまり、「基本的人権」や「言論・報道の自由」を軽視しかねない姿勢に、「史上最低の事務総長」という評価も定着してきた。

「われわれは普遍的な人権を擁護するため、報道の自由を尊重する側に立っている」

国連のステファン・ドゥジャリク事務総長報道官は8日の定例記者会見で、加藤前支局長の起訴への懸念を表明した。ただ、この発言は「あくまで一般論に過ぎない」(日本政府関係者)との見方がもっぱらだ。

今年8月、アフガニスタン大統領選の記事に絡み、米ニューヨーク・タイムズの記者がアフガン政府から出国禁止にされた際、国連は「記者を脅かす行為を懸念する」という声明を発表(同月20日)している。ところが、加藤前支局長の件では国連声明が出ていないのである。

国連の動きが鈍いのは、潘氏が高い人権意識や中立性が求められる立場ながら、韓国に配慮しているためとみられる。

ネットメディアの「インナーシティ・プレス」を主宰し、米各紙に国連に関する記事を寄稿しているマシュー・リー記者は「国籍やその他の事情に基づいた、記者に対する異なった取り扱いが許されるべきではない」と韓国当局を批判し、潘氏の沈黙が「際立っている」と指摘した。

国際政治学者の藤井厳喜氏も、潘氏を「史上最低の事務総長だ」と断じ、「韓国内の評判を気にして、沈黙を続けているのは明らかだ。本来、出身国と一線を画すことができる人でなければ、事務総長という立場に就くべきでない」と切り捨てた。

もっとも、事務総長としての中立性に疑問符がつく潘氏の言動は、今に始まったことではない。

昨年8月には、ソウルの韓国外務省での記者会見で、安倍晋三政権の歴史認識や憲法改正の動きに絡み「日本の政治指導者は極めて深く自らを省みて、国際的な未来を見通すビジョンが必要だ」「正しい歴史認識を持ってこそ、他の国々から尊敬と信頼を受けられるのではないか」と語った。

国家間で主張が対立する問題について、国連事務総長が一方の国への否定的見解を示すのは極めて異例で、「国連関係者の中立性堅持」を定めた国連憲章100条に違反する可能性もある。


潘氏がここまで露骨に韓国世論におもねたり、韓国に影響力を持つ中国に気兼ねするのは、次の韓国大統領職に意欲を示しているからだとみる向きもある。

新著『ディス・イズ・コリア』(産経新聞出版)がベストセラーとなっているジャーナリストの室谷克実氏は「潘氏は、自身を大統領に推す声が起きるのを待ち望んでいるのではないか」といい、こう続ける。

ただ、これまでの言動から明らかなように、もし、潘氏が韓国大統領になれば、「世論に流されるばかりで、韓国はさらに悪い方向に行くだろう」(室谷氏)、「統治能力がないため(内政面でも)韓国は破綻する」(藤井氏)。

史上最低の事務総長の天下りは、韓国国民にとっても不幸な結果を招くに違いない。

【私の論評】国連の事務総長が反日的であるのは、歴史からみて、ある程度あたり前だが、やはり報道の自由に関しては、潘基文は連合国側の常識に従うべき(゚д゚)!

国連の事務総長が、反日的発言をするのは、許容されるものの、韓国におもねるのはどうかと思います。

このように書くと、驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、国連の事務総長という立場であれば、反日的発言をするのは当然のことです。

たまたま、今の国連事務総長が韓国籍ということで、話が複雑になってしまいますが、これは事実です。

『国際連合』というと、日本では世界の殆どの国が属した平和目的のための組織と思われているようです。そうして、多くの日本人が、国により力の強弱はあれ、’正義’というモラルに反しない、反することを許さない拘束力がそこにはあるはずという思い違いをしているようです。

そもそも、国際連合を英語で何というのかを知れば、その実体は自ずと分かるはずです。

ニューヨークの国連本部 クリックすると拡大します

国際連合は、英語では『United Nations 』―直訳すると「連合した国家」ということです。 この言葉には、InternationalとかGlobal という日本語でいう「国際」という単語は入っていません。

そうして、第二次世界大戦の『連合国』も、英語で『United Nations 』です。
 
なぜ、わざわざこのような名称にしたのか考えてみれば明らかです。"United Nations"には、何のための連合であるかということすら示されていません。

日本人の感覚からすれば、United Nations for International Peace 略してU.N.I.P であれば、受け入れやすいかもしれませんが、現実はそうではありません。

歴史的にいうと、日本では戦中は『United Nations』を『連合国』と訳していましたが、戦後に『国際連合』と訳を変えています。

中国では現在も「聯合國(連合国)」と呼んでいます、日本以外の国では、『連合国』と意味で国際連合をとらえています。

今更、「日本人は『国連』と『連合国』を別物だと思ってましたなどと言えば、外国人、特に戦勝国の人間には、笑われてしまうかもしれません。特に英語圏の人に笑われてしまうかもしれません。

彼らにとっては、"United Nations"は、そのままであり、昔から今に至るまで、『連合国』であり、変わりようもないからです。

そうして、第二次世界大戦の『連合国』と『国際連合』が英語では同じというのが、まさに実態を表しています。

安保理の常任理事国5か国(米、英、仏、露、中)は第二次世界大戦の戦勝国で国連憲章が改正されない限り恒久的にその地位にあり、拒否権も与えられています。
日本やドイツが常任理事国入りするためには、国連憲章の改正が必要で、5常任理事国すべてが賛成しなければならないのです。そうして、国連憲章には敵国条項があり、日本は敵国であるという条項が今でも生きています。

そんな、国連の事務総長が反日的な発言をするというのは、ある意味当然といえば当然です。

世界は今も第二次世界大戦の戦勝国のルールで動いている。日本がいかに世界平和に貢献しようとどんなに多く国連分担金を納めようと(世界2位、下表)常任理事国入りを目指そうと、中国が反対するから無理です。

国連分担金の多い国
順位国名分担率(%)分担金額
(百万未満四捨五入)
1アメリカ合衆国(米国)22.0006億1,850万
2日本10.8332億7,610万
3ドイツ7.1411億8,200万
4フランス5.5931億4,250万
5英国5.1791億3,200万
6中華人民共和国(中国)5.1481億3,120万
7イタリア4.4481億1,330万
8カナダ2.9847,600万
9スペイン2.9737,580万
10ブラジル2.9347,480万

(単位:%、米ドル 出典:外務省 「2011-13年 国連通常予算分担率・分担金」(2013年))

日本の常任理事国入りを認めると、日本を許す、反日を解除しなればならなくなり、中国共産党の正当性が崩壊してしまうことになります。「5常任理事国すべての賛成が必要」という国連憲章も、
改正するには5常任理事国すべての賛成が必要です。だから、中国が自滅するまでは、ほとんど不可能です。

とは、いいながら、実はこれも確かなことではありません。そもそも、日本と現在の中国、中華人民共和国とは、戦争をしたことがありません。

日本が正式に戦争をしたのは、あくまでも、現在の台湾である、中華民国です。そもそも、戦争中には、中華人民共和国など存在しませんでした。中華人民共和国が建国したのは、1949年10月1日であり、終戦後のことです。

であれば、現中国は、戦勝国ではないわけです。それが、"United Nations"という組織の矛盾です。

1942年1月1日,国連宣言を表象する世論形成
ポスター「連合国:自由のために戦う国際連合」

ましてや、朝鮮人は、戦争中は日本に併合されていましたから、戦勝国ではありません。中国も、韓国も戦勝国ではないのですから、今の国連のあり方は、本当に矛盾しているわけです。

しかし、このような背景を考えてみても、やはり、今の国連事務総長の潘基文が、産経新聞の加藤達也前ソウル支局長が、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領への名誉毀損で在宅起訴された問題について、一切の態度表明を見送っているというのは疑問です。

本来であれば、連合国側の常識に従って、韓国に対して苦言を呈するくらいのことはすべきです。

しかし、そうしないのは、やはり韓国世論を考えてのことでしょう。特に、韓国大統領になりたいという下心があるに違いありません。

韓国紙中央日報は、潘基文にインタビューをしていますが、潘自身は、以下のように答えています。
潘基文「身を政治と外交の半々に置くのは間違っている」
国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長が次期大統領選挙に関して「身を政治と外交の半々に置くのは間違っている」と明らかにした。兪奇濬(ユ・ギジュン)国会外交統一委員長が27日、明らかにした。
何やら、この発言もおかしいと思います。そもそも、事務総長の仕事は、外交でしょうか。違うと思います。ちなみに、国際連合憲章より、事務総長の任務に関す条項をあげておきます。

国際連合憲章

第98条〔事務総長の任務〕
事務総長は、総会、安全保障理事会経済社会理事会及び信託統治理事会のすべての会議において事務総長の資格で行動し、且つ、これらの機関から委託される他の任務を遂行する。事務総長は、この機構の事業について総会に年次報告を行う。
第99条〔平和維持に関する任務〕
事務総長は、国際の平和及び安全の維持を脅威すると認める事項について、安全保障理事会の注意を促すことができる。
これを一口に外交というには、無理があるように思います。それに、このような任務を実行するためには、相当の政治力が必要とされると思います。

やはり、そもそも、潘は国連の事務総長の仕事を理解しておらず、資質が問題視されるのも、当然なのかもしれません。

最後に、日本では、国際連合というと、何やら平和のための崇高な組織を連想しているようですが、それは全くの誤りであり、所詮連合国のための連合国の組織であり、戦勝国とはいっても、戦争があったのは70年も前のことであり、その当時の戦勝国ということであり、もう随分昔のことです。

当然国連事態も制度疲労をおこしており、そもそも、何の強制力もなく、国連が行った事業でまともに成功しているものなど一つもありません。その、一つの原因として、やはり国際舞台は、国と国とのエゴのぶつかり合いであり、いくつかの強力な国々の均衡のもとに平和が成り立っているからです。

世界情勢は、複雑です。第二次大戦の戦勝国だけで、世界の平和を守るなどということは、事実上できません。

その意味では、国連など世界の平和には何も貢献しておらず、今となっては無意味な組織ということもてきます。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年10月27日月曜日

焦点:首相周辺で消費増税延期が優勢、景気腰折れ懸念―【私の論評】恥ずかしくはないかい!日本のマスコミ、政治家、官僚、左翼、似非識者諸君!安倍総理に愛想づかしをされ、本音で話すのは外国のメディアのみになってしまったことを(゚д゚)!

焦点:首相周辺で消費増税延期が優勢、景気腰折れ懸念


ロイター本社

[東京 26日 ロイター] - 安倍晋三首相が年内に判断する消費税率10%への引き上げをめぐり、首相周辺で1年半程度の増税延期が望ましいとの意見が優勢になっていることが明らかになった。8%に引き上げ後の消費回復が思わしくなく、さらに増税すれば、実質所得の目減りが一段と大きくなり、消費を起点に景気が腰折れて税収が増えない事態を警戒している。10月に公表された米為替報告書でも同様の指摘を受けていることも視野に入っているもようだ。

「3%引き上げてわずか1年半後に、さらに増税する国が世界のどこにあるのだろうか」──。首相周辺では、消費税率の連続引き上げに対する警戒感が、このところ急速に台頭している。

今年4月の増税後、デフレ脱却を狙った日銀の量的、質的金融緩和(QQE)の効果もあり、物価の上昇幅が前年比で3%台となり、賃金の上昇が追いつかず、実質賃金の目減りが続いている。

もし、来年10月に再増税すれば、目減りの割来が今よりも大きくなり、所得増が消費を増やし、税収も押し上げるという景気の好循環が失われ、アベノミクスへの評価が一気に低下しかねないと懸念しているもようだ。

首相周辺の1人は「税収が上がり、経済の循環で回していかないといけない。私は引き上げに慎重だ」と述べている。 消費再増税をめぐっては政府・与党内でも意見が分かれており、麻生太郎副総理兼財務・金融担当相や谷垣禎一自民党幹事長、同党税調幹部らは、増税を延期すれば、海外投資家から財政再建が遠のくとみられ、長期金利が急上昇しかねない、と懸念する。

一方、首相周辺では、増税を延期しても、1年半程度であれば、財政への信認は維持され、日銀のQQE効果もあって長期金利が上昇する可能性は低いとみている意見が多い。また、今月15日に公表された米財務省の為替報告書が微妙な波紋を政府部内に投げかけている。「財政再建ペースは慎重に策定することが重要」と指摘し、金融政策は「行き過ぎた財政再建を穴埋めできず、構造改革の代替にもならない」との表現が盛り込まれた。

消費税について具体的な言及はなかったため、財務省関係者の間では「来年10月の消費増税ではなく、その先の再増税などについて慎重に、との意味だと思われる」(幹部)との解釈も聞かれる。   だが、ルー米財務長官は10日、国際通貨基金(IMF)の諮問機関である国際通貨金融委員会(IMFC)開催を前に声明を発表。日本経済について「今年と来年は弱い状態が続く」と指摘し、「財政再建のペースを慎重に調整し、成長を促す構造改革を実行する必要がある」と主張した。

この記事の詳細は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】恥ずかしくはないかい!日本のマスコミ、政治家、官僚、左翼、似非識者諸君!安倍総理に愛想づかしをされ、本音で話すのは外国のメディアのみになってしまったことを(゚д゚)!

この記事に関しては、内容的には何ら新しいことも何もなく、増税判断に関するまともな識者であれば、誰もが思っている常識的なことです。

景気が悪いとき、ましてやデフレのときには、中央銀行は金融緩和をすべきであり、政府は積極財政をすべきであるのは常識中の常識であり、この常識を破って経済が上向いたなどのことは、古今東西に例がありません。

無論、金融緩和や、積極財政と一口に言っても様々な方法があり、それを巡って意見が対立するなどのことは、あり得ますが、まともな中央銀行や、政府なら、不況や、ましてデフレのときに、金融引き締めや、緊縮財政である増税をするようなことはありません。あったにしても、それを実行した国々では全部失敗しています。

実際そのような国々では、全部失敗しています。ここ数年では、不況であるにもかかわらず、財政再建を目指して消費税増税して、イギリス、スペイン、ボルトガル、イタリアなどのEU諸国が大失敗しました。

結局、消費税税収があがっても、消費が落ち込み、所得税、法人税などが、かなり減り、これらを合わせると税収は増税前よりもかえって減りました。

この例は、数年以内のことですが、経済学という学問が成立して以来、不況のときに増税したり、政府の支出を抑え、緊縮財政をしたり、中央銀行が、金融引締めをして成功したためしなどありません。その逆は、成功しています。

これは、日本でもそうであり、江戸時代の幕府による、経済対策は、ほとんどの場合何かというの節約ということで、結局ほとんど成功したためしはありませんでした。その中でも、成功した対策もあり、それは無論のこと、今でいうところの、幕府による、金融緩和でした。

その他にも、日本では、80年前デフレがその原因であることが、1990年代の研究で明らかにされた、世界恐慌(日本では、昭和恐慌と呼称された)を当時の大蔵大臣でもあった、高橋是清が、金融緩和、積極財政で世界で一番先に、デフレから脱却することに成功しました。

これについては、昨日のブログでも掲載したばかりです。これに関しては、昨日も掲載しましが、このブログでも、紹介したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
ポール・クルーグマンの新著『さっさと不況を終わらせろ』−【私の論評】まったくその通り!!

この記事では、この事例のほか、先にあげた幕府の金融緩和政策の成功事例である、「宝永の改鋳」も掲載しました。この部分のみ以下に掲載させていだきます。
江戸時代中期に徳川吉宗が行った緊縮財政(享保の改革)により日本経済はデフレーションに陥いりました。そこで町奉行の大岡忠相、荻生徂徠の提案を受け入れ政策転換し、元文元年(1736年)5月に元文の改鋳を行いました。改鋳は差益を得る目的ではなく、純粋に通貨供給量を増やすことが目的でした。現在でいえば、日銀による増刷に相当するものです。
徳川吉宗は緊縮財政により、日本をデフレに陥れた
元文の改鋳は現在では、幕府初のリフレーション政策と位置づけられ、日本経済に好影響をもたらした数少ない改鋳であると積極的に評価されています。元文の通貨は以後80年間安定し続けました。江戸の経済対策というと、なにかといえば儒教思想にもとづく倹約道徳にもとづく、吉宗が行ったような緊縮財政であり、いわゆるこの事例のような、金融緩和策は数少ない成功事例の一つです。
このような、成功事例は、日本にかぎらず、世界にごまんと存在します。しかし、その逆は全くありません。財務省は、昨年の増税が決まる前に、世界中で増税で成功した事例がないかと随分探したようですが、そのような事例は皆無でした。

このような明らな事実が古今東西に存在にするにも関わらず、日本の政治家、官僚、マスコミ、識者(というより似非識者?)の大部分そうして、挙句の果てに、財界のトップクラスや、労働者の雇用を守る立場である、日本の左翼なども全く以上のようなことを知らないか、知ろうとしないか、あるいは知っていても、全く無視している状況にあります。

そうして、消費税増税をすることが、正しい道ということを心の底から信じ込んでいる、大馬鹿者も多数存在します。自民党の谷垣氏あたりは、その典型です。

だから、昨年あたりも、安倍総理や一部の安倍総理の側近などは、増税に消極的だったのですが、何しろ周りのほとんどが増税推進派であったため、政権維持のためなどに、やむなく増税を決めました。

その結果4月からは、かなり消費が落ち込み、せっかくの金融緩和の腰がおられて、雇用や消費などの指標の数値が、金融緩和をする以前の状況に戻ってしまいました。

しかし、これでも、増税派は性懲りもなく、つい最近まで、天気のせいなどにしていました。しかし、天気の影響など微々たるものであることは最初からわかっていることですし、最近は天気が悪くなくても、消費は落ち込み、景気は低迷するばかりです。

それでも、政治家、官僚、学者、識者、マスコミなどの大多数は、未だ増税に突っ走ろうとしています。まるで、気が狂ったか、認知症患者のようであり、安倍総理からしてみれば、話が全く通じません。

彼らに話しても、真意は理解しません。あるいは、理解しても是が非でも、増税に突っ走ろうとするばかりです。

今年も、再増税一色で、突き進むのかと思っていたところ、最近いろいろと風向きが変わってきました。

まずは、アメリカの財務長官が、増税に懸念を表明したということがあります。これに関しては、このブログにも掲載したことがあるので、その記事のURLを以下に掲載します。
消費増税 米もダメ出し 財務長官が「失望」表明―【私の論評】日本のマスコミが伝えない真実!ルー米財務長官吠える!日本の増税DQNどもをそのまま放置するな(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただものとして、ルー財務長官は、増税に対してはっきりと懸念を表明しています。

これは、国内では全く理解を得られない、安倍総理からすれば、渡りに船です。ただし、無論のことルー財務長官は、日本の増税懸念に関して、アメリカの国益を守るという立場から、懸念を表明しているということを忘れるべきではありません。

アメリカとしては、今後かなり軍事費を削減しなければならないことが、はっきりしているわけで、同盟国である日本が、経済的に落ち込み、失われた20年を繰り返し、今後経済的に振るわない状況が続けば、安全保証上に、大きな問題が生じることを懸念しているということが考えれます。

アメリカは利上げなども視野に入ってきている現在、今後金融緩和政策をいつまでも継続することはできず、景気が停滞する可能性が大きいわけで、そうなると、世界の金融市場にも大きな影響を及ぼすことが予想されます。

現状では、中国の停滞は明らかであり、EUも良い状態ではなく、そうなると、世界的に景気が良くない状況が蔓延するわけで、その中で、最近まで順調に回復していた日本までが、落ち込めは、世界経済そのものが全体的に落ち込む懸念もあります。

それに、日本の経済が停滞すれば、TPP交渉にもかなり影響がでてきます。仮にアメリカに有利な状況で、交渉が妥結したにしても、日本経済が再び、デフレスパイラルのどん底に陥れば、日本への輸出も伸びないことが懸念されます。それでは、せっかくのTPPも意義を失います。

こんな、懸念を払拭するためにも、ルー長官は、日本に再増税を懸念しているのです。日本の再増税は、アメリカの国益にはあわないことであると考えているです。

そうなると、アメリカのマスコミは、日本の朝日新聞などをはじめとする、マスコミとは正反対であり、少なくとも自社がアメリカの国益のになるとみなすことに立脚して、報道をしますから、再増税に対して懸念をするという立場からの報道になります。

だから、安倍総理は、最近は、フィナンシャル・タイムズやねロイターなどの外国のメディアに対して、インタビュー記事を掲載するように方向転換しています。

これについては、以前の述べたことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
安倍首相が消費増税の延期示唆、経済への影響踏まえ判断=FT―【私の論評】安倍総理は、外国の新聞社には増税見送りの示唆をするが、殺人マシーンと化した財務省に諜略された日経・朝日新聞をはじめとする大手新聞にはそのようなことはしない。しかし、本当にそんな事で良いのだろうか(゚д゚)!
フィナンシャル・タイムズの電子版は19日、安倍総理が
イタリアを訪問中に行ったインタビュー記事を掲載した。

この記事の元記事は、イギリスのフィナンシャル・タイムズが安倍総理に対して、インタビューした内容をロイターが掲載したものです。

詳細に関しては、この記事をご覧いただくものとしして、イギリスに関しては、付加価値税(日本の消費税にあたる)増税にものの見事に失敗したという苦い経験があるため、イギリスの経済紙である、ファイナンシャル・タイムズは、安倍総理の考えを良く理解できると考えらます。

そうして、安倍総理は、先に述べたように、気が触れているか、認知症てあるかのような、日本のメディアに対して、安倍総理の考えを述べたにしても、結局増税推進の立場から記事を掲載することになるだけであると考えているのだと思います。

奴らは、そううち全国民から愛想を尽かされるかもしれない・・・・

フィナンシャル・タイムズに独占インタビューさせたのはこうした安倍総理の明確な意図によるものです。これは、消費増税について日本のマスコミは使わないというメッセージでもあります。

そうして、これは、一体何を意味するのでしょう。

そうです。安倍総理は、再増税一色に固まっている、日本のマスコミ、政治家、官僚、左翼、似非識者たちには、何を話しても無駄であると判断したのです。平たくいえば、彼らに愛想をつかしたのです。

愛想をつかされた、彼らにこういいたいです。「一国の総理大臣から、完璧に愛想をつかされて、恥ずかしくないのかい!そのうち、全国民からも愛想をつかされることになるよ」と・・・・・・・・・。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【追記】

ブログ冒頭の、ロイターの記事に関する、経済評論家上念氏のツイート。

【関連記事】

ポール・クルーグマンの新著『さっさと不況を終わらせろ』−【私の論評】まったくその通り!!

消費増税 米もダメ出し 財務長官が「失望」表明―【私の論評】日本のマスコミが伝えない真実!ルー米財務長官吠える!日本の増税DQNどもをそのまま放置するな(゚д゚)!

安倍首相が消費増税の延期示唆、経済への影響踏まえ判断=FT―【私の論評】安倍総理は、外国の新聞社には増税見送りの示唆をするが、殺人マシーンと化した財務省に諜略された日経・朝日新聞をはじめとする大手新聞にはそのようなことはしない。しかし、本当にそんな事で良いのだろうか(゚д゚)!



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2014年10月26日日曜日

実は不寛容だった!? 女性登用先進国の「不都合な真実」 フィナンシャル・タイムズ(UK)より―【私の論評】古今東西の事例をみないか、みても中途半端で失敗するというのは、日本の政治家・官僚・マスコミが何度となく繰り返したきた習性!これからも繰り返し続けるのだろうか(゚д゚)!


26.10.2014 フィナンシャル・タイムの第一面 

首相、財務相、さらには経済界の要職である雇用主組合と労働組合連合のトップに、女性が君臨する。ノルウェーが女性登用先進国と言われる所以である。

2003年、会社法改正により、同国の男女平等政策は民間企業にも広がった。上場企業の取締役会における女性の割合を40%以上とすることを義務づける「クォータ制(割当制)」が導入されたのだ。

国際的には、クォータ制は女性登用に一定の成果を挙げたと評価されている。だがノルウェー国内では、その効果を疑問視する声もあがっている。

ノルウェーではいまや、上場企業の取締役会における女性役員が40・7%を占めるまでになった。だが、実際に経営に携わる女性役員は6・4%にとどまる。さらに言えば、ノルウェーの大手上場企業で社長の座に就いている女性は一人もいない。

結局のところクォータ制は、企業社会の男女平等を後押ししたというより、経営の決定権を持たない女性役員の数を増やしただけだったというのだ。

この制度が非上場企業には適用されないことも、大企業にとっては抜け道となっている。03年に563社あったノルウェーの上場企業は、クォータ制が法的強制力を持つ08年までに、179社に激減した。女性役員の比率を上げたくないがために、7割の上場企業が非上場に転じたのだ。その結果、役員ポストは上場企業全体で1400となり、現在570人の女性役員がいるにすぎない。他方、非上場企業の役員の50万のうち、女性が就いているポストは9万余り。女性の割合は2割にも満たない。

【私の論評】古今東西の事例をみないか、みても中途半端で失敗するというのは、日本の政治家・官僚・マスコミが何度となく繰り返したきた習性!これからも繰り返し続けるのだろうか(゚д゚)!

官邸では、「輝く女性会議」が開催され、安倍総理の肝いりで、女性の社会進出を促そうという機運が盛り上がっているようです。

しかし、それにしても、上の女性登用先進国であるとみなされていたノルウェーの実体は、そうではなかったことが明らかにされています。

日本の政治家や、官僚、マスコミもこぞってこのような事例を出しつつ議論などしているようですが、このようなことは以前にも良くあったことです。そうして、女性の社会進出を促す以外のことでも、十分に調査もせずに、導入しようとしたたものは、大失敗したり、頓挫してしまったことが多いです。

こんな事例はいくつもあるのですが、それをいくつか以下にあげていきます。

ニュージーランド国旗をデザインした水着の女性

たとえば、日本の官僚の数が以上に多いという思い込みによる失敗です。これは、政治家などが、ニュージーランドに行ったときに、官僚の実数があまり少ないのに驚き、日本の官僚は多すぎなどと言い出したのが、きっかけのようです。

これに関して、その後ニュージーランドの人口は、数百万に過ぎず、日本の地方自治体レベルの人口しかないことがわかり、人口あたりの官僚数は、ニュージーランドのほうが多いくらいだということが公にされ、最近はほとんど誰も言わなくなりましたし、テレビでも報道しなくなりました。

こういうことを言い出したり、真に受ける人というのは、そもそも、日本やニュージーランドの人口総数も知らないか、実際に割り算などして、日本とニュージーランドの人口当たりの官僚数など比較したことがないのでしょう。全くもって愚かです。



次に例として出したいのは、「ゆとり教育」です。「ゆりと教育」に関しては、アメリカでも実際にこれを実行していた時期があります。しかし、これを実施したがために、アメリカの児童の学力が極端におち、特に理工系大学などでは、「ゆとり教育」のせいで、学力が低すぎで、まともに大学教育が出来ない状況になったため、「ゆとり教育」を実施するのは、やめてしまいました。

日本は、アメリカが「ゆとり教育」などやめて、その反動でアメリカでは、「詰め込めるだけ、詰め込め」ということが言われた頃に、こうしたアメリカの失敗を顧みることなく、導入され、実施されました。

その結果として、日本の児童などの学力がかなり落ち込んだし、アメリカの事例などもだんだんと知られるようになり、日本でも「ゆとり教育」は弊害が多すぎということで、廃止されるようになりました。

こんなことは、まだまだあります。上の事例は、はっきりと失敗ということが明らかになり、誤ったことを言わなくなった例と、導入した制度を撤回した事例です。

以下には、まだ失敗という認識がいきわたっていないか、まだまだ日本では十分議論されつくしていない事がらに関するものを掲載します。

まずは、夫婦別姓などの事例に関してあげます。

これに関しては、このブログでも以前掲載したことがあるので、その記事のURLを以下に掲載します。
選択的夫婦別姓を明記 第3次男女共同参画基本計画策定に向け答申―日本解体始動!!ゆとり教育の二番煎じになるか?
選択的夫婦別姓制度に関しては、反対派が多数を占めているが、賛成派も多い・・・・・

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の中からアメリカの夫婦別姓に関するものをピックアップして、以下に掲載します。
さて、この選択的夫婦別姓に関しては、米国では、現在の日本と同様、結婚によって夫婦は同じ姓になりますが、婚前の姓をミドルネームと言う形で残すのは、普通のことのようです。「私のパパの名前をミドルネームにして使っているの」という女性も多いです。米国では、法律では夫婦別姓に関して決まりはありません。
ところが、米国では1960年代からいわゆるリベラリスト(自由主義者)らによるフェミニズムの影響で、男性からの経済的自立で女性は自由を得るという生き方が吹聴され、夫婦別姓や事実婚を推奨する運動が盛んでした。
だから、アメリカでは働く女性が自分の旧姓を名乗り続けるなどのことが、珍しくないことになっていました。あるいは、実質的には夫婦関係にあるにもかかわらず、結婚せずに、夫婦別姓で、いわゆる事実婚という形をとるカップルも増えました。ところが、この法律にもとづかない実質的な夫婦別姓制度が大きな不幸をもたらしました。
夫婦別姓、女性の社会進出、子育ての外注化という流れの中で米国では多くの男性が妻と子供を扶養する責任を感じなくなっていきました。離婚や未婚の母が増加し、家族という生活の基礎的な基盤を失って苦しむ子供たちが急増しました。皆さんご存知でしょうが、現在アメリカで結婚したカップルのうち、半数以上が離婚します。半数以上ですよ!米国では、離婚は当たり前のことになってしまいました。近いところでは、あのおしどり夫婦で有名だったアル・ゴア氏の離婚が有名ですね。
ペンシルベニア州立大学ポール・アマト教授は「安定的な結婚を1980年の水準まで上昇させれば、停学になる子供を50万人、非行、暴力行為に走る子供を20万人、心理療法を受ける子供を25万人、喫煙する子供を25万人、自殺志向の子供を8万人、自殺未遂の子供を2万8千人、それぞれ減らせる」と警鐘を鳴らしました。
「家族の絆(きずな)」よりも「個人の意向」を優先する社会-。これが何をもたらしたか。米国の女性たちは既に教訓を得ました。「(米国女性は)過去25年間で初めて女性の就労率が下降し、女性の86%が『仕事よりも家庭が大事だ』と思っている」(2002年3月12日付『USAトゥデー』)
日本は米国の過ちを繰り返すのでしょうか?米国でのこうした、法律で定められていない、ライフスタイルにもとづく夫婦別姓がこれだけ社会に大弊害をもたらしているのです。日本が法律に基づく夫婦別姓を導入したら一体どういうことになるのでしょうか?
米国での、法律に基づかないライフスタイルとしての夫婦別姓が、このような結果を生んでしまったということを、先の学識者らで構成する男女共同参画会議傘下の専門調査会は知らないのでしょうか?一体専門家とはどういう人達なのでしょうか?
さて、選択的夫婦別姓に関しては、民主党政権時代には、法制化の動きもありましたが、結局は見送られました。しかし、選択的夫婦別姓に関して、未だ賛成している政治家も一定数存在します。マスコミにもそのような意見の人も多いようです。

そういう人たちは、アメリカの失敗事例を良く学んでいるのでしょうか。そうではないようです。そもそも、アメリカで法制化もされていない、選択的夫婦別姓をわざわざ、法律にする必要など全くありません。さらに、アメリカでは法制化もしてないのに、「夫婦別姓、女性の社会社会進出、子育ての外注化」という一時の流行で大失敗しているわけです。

この記事は、民主党政権時代に掲載したものなので、法制化の可能性もあっので、その場合は、「ゆとり教育」の二番煎じになる可能性があると論評しました。

私自身は、昨今の若い女性の場合は、社会新種するよりも、結婚したがる人のほうが多いという現実もあるので、女性の社会進出しゃにむに進めることには反対です。

家事に集中したい人は、それに集中し、働きたい人がいれば、働けば良いのだと思います。アメリカの失敗でアメリカ人が学んだように、「家族の絆」よりも「個人の意向」を優先する社会は失敗するのです。

だから、日本では、もっと家庭の重要性や、家事労働の価値を高める必要があると思います。その上で、働きたいと思った女性が働き易い環境を整えていくべきものと思います。

ノルウェー国旗をデザインした水着の女性


だからこそ、ノルウエーの事例のように、女性の閣僚や、女性の取締役が多いということだけでそれを単純に良いこととみなして、女性の社会進出を促すという名目だけで、クオータ制を導入するなどの論議はやめていただきたいです。

その前に、日本では、働きたい女性が働けるようにするために、取り除かなければならない、大きな障害があります。これを取り除かない限りは、日本で女性の社会進出などいつまだたっても、促されることはありません。

それは、何かといえば、デフレです。デフレと女性の社会進出に関しては、日本では全く関係のないものと受け取られているようです。特に、政治家、官僚、マスコミなどには全くその意識はないようです。だから、これらの人たちの中には、平気で増税を推進しようとする人々が大勢います。

デフレを解消して、緩やかなインフレになれば、間違いなく雇用は増大します。雇用が増大すれば、慢性的な人手不足になります。そうなれば、当然のことながら、今までは労働力とみなされなかった女性も労働力とみられるようになり、女性の社会進出が促されます。

それに対応して、女性の就業者の実数が増えれば、女性の正社員や、役職者になる確率は高まります。そうして、役員になる人も増えてきます。

これなしに、いくらいろいろな制度をいじくってみたところで、女性の社会進出はうながされません。

実際に、独女と言われる人たちの現在の境遇をみてみれば、それは良く理解できます。

それに関しては、このブログにも掲載したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
働けども独女の暮らし楽にならず!?:―【私の論評】そろそろ真実に目覚めても良いのでは?

詳細は、この記事をご覧いただくものとて、いわゆる独女と言われる人たちは、独身ですから、働きたいと思っている人が多く、実際に勤めている人が多いのですが彼女たちの暮らしは、デフレの現在働いていてもなかなか良くなりません。

このような状況に至るのは、様々な原因がありますが、最も大きな要因はデフレであることをこの記事では主張しました。

実際そうです、どこの国でも、不景気やそれよりももっと悪い状態のデフレの場合などには、雇用状況が悪化し、最も大きく悪影響を被るのは、社会的には弱い立場にある若者や、女性です。特に、若い世代の女性には一番悪影響があります。

日本は、つい最近までは、デフレスパイラルのどん底に沈んでいましたし、昨年からは日銀が、金融緩和に転じたので、一時雇用状況が改善されましたが、今年4月からの増税で、消費や雇用に関する指標なども、金融緩和を実施し始める前の水準に戻ってしまいました。

これでは、女性の社会進出など促されるはずがありません。全く逆のことをしています。

若い女性の就業を支援する「しごとラボ」 デフレで雇用情勢が悪ければ、このようなラボを利用しても無意味?!
以上述べたように、いくら女性の社会進出を促そうとして、ただ単にクォータ制などを導入しても、ノルウェーのようになるだけで、それでは働きたい女性の社会進出になど役になどたちません。まずは、デフレを解消して、若い女性の就業機会を増やすことが最優先課題です。

そうして、社会進出が進んだとしても、それだけでは社会は良くならないということです。アメリカはその失敗を体験しています。

そういうことなど、アメリカの事例など見ていれば、良くわかるはずなのに、政治家やマスコミではそのようなことも確かめもせず、愚かなことを繰り返しています。

以上の話は、外国の事例など先行事例があるものの話ですが、驚いたことに最近の政治家や、官僚、マスコミなどは、古今東西に先行事例など全くないような事柄を奇妙な理屈で推進して大失敗をしているし、これからもしそうなりそうです。

それは、はっきりしています。デフレのときの金融引締め政策や、増税です。

しかし、それを反証するような事例は、ごまんとあります。デフレや景気が落ち込んでいるときに、金融緩和をしたり、減税して成功した事例は、古今東西にいくらでもあります。

また、マクロ経済学という学問でも、不況になった場合は、金融緩和政策や、積極財政をしなさいと教えています。まちがったも、金融引締めや、緊縮財政をやれと教えてはイません。

その格好の事例としては、日本の昭和恐慌(世界恐慌の日本での呼び名、原因はデフレであったことが1990年台の研究で明らかにされている)からの素早い脱却です。

これに関しては、このブログにも以前掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
ポール・クルーグマンの新著『さっさと不況を終わらせろ』−【私の論評】まったくその通り!!
高橋是清

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事ではポール・クルーグマンの主張である、不況のときには、金融緩和と積極財政して、すみやかに不況状態をぬけるべきであるという趣旨の書籍『さっさと不況をおわらせろ』の概要と、その格好の事例として高橋是清による昭和恐慌対策について掲載しました。

高橋是清は、デフレ対策として、金融緩和と、積極財政を実行したため、世界で一番はやく、日本は世界恐慌から脱却することができました。

今から80年前の日本の事例です。その他にも、古今東西を調べれば、このような事例はたくさんあります。ただし、デフレなのに金融金融引き締めや、増税で成功したという事例は皆無です。

古今東西の事例をみないか、みても中途半端で失敗するというのは、日本の政治家・官僚・マスコミが何度となく繰り返したきた習性です。これからも繰り返し続けるのでしょうか?

本当は、彼らはまずは日本の社会・経済を良くするために存在しているはずです。それが出来ないというのなら、存在価値はないと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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