2015年12月15日火曜日

軽減税率をめぐる攻防ではっきりした財務省主税局の「没落」―【私の論評】財務省の大惨敗によって、さらに10%増税は遠のいた(゚д゚)!

軽減税率をめぐる攻防ではっきりした財務省主税局の「没落」

攻防の第1幕は安倍官邸の「谷垣」不信から始まった
軽減税率をめぐる政府・与党内の攻防はやはり、首相・安倍晋三、官房長官・菅義偉による官邸の勝利に終わった。

浮き彫りになったのは、これまで税の決定権限を握ってきた自民党税制調査会と財務省主税局の没落である。財務事務次官の有力候補だった主税局長・佐藤慎一は官邸の意向に逆らい、自ら次官の目をつぶした。
■官邸の「谷垣」不信

軽減税率をめぐる攻防で大きなヤマが3つあった。第1幕は11月24日午前9時から30分間、自民党本部で行われた安倍と、幹事長・谷垣禎一、税調会長・宮沢洋一との会談だ。

安倍は谷垣と2人で会うつもりでいた。ところが、宮沢が同席し、さらに財務省主税局の幹部が10人近くぞろぞろと入ってきた。安倍はこの異様さに強い警戒感を抱き、慎重に言葉を選んで発言した。
幹事長・谷垣禎一(左)と税調会長・宮沢洋一(左)
谷垣、宮沢の説明を聞いた後、安倍が話したのは、①国民の理解が得られるような内容にする、②事業者の混乱を招かないように配慮する、③安定財源を確保する、の3点のみだった。

ところが、谷垣は会談後の記者会見で、安倍の発言として「いわゆる税と社会保障の枠内で議論してほしい」「ない袖は振れない」と語ったーーと紹介した。また、記者団から「4000億円という指示があったのか」と質問され、「首相もそうお考えだと思う」と答えた。

これに対し、菅は同日午前の記者会見で「社会保障と税一体改革の枠内ということは聞いていない。具体的な指示はしていないと思う」と、谷垣の会見内容を否定した。菅は翌25日の記者会見で「(首相は)具体的な数字は言っていない。首相に確認した」と重ねて否定した。

このころ、官邸の「谷垣不信」が一気に強まった。ある官邸関係者はこう言った。

「谷垣さんは軽減税率の問題を、財務大臣経験者としてしか考えていないのか。公明党、創価学会を含む政権全体の問題として考えてほしい」
■谷垣の方針転換

第2幕は今月9日正午から首相官邸で約1時間20分間行われた、安倍、菅、谷垣3人の会談だ。

この会談を経て、谷垣は財務省寄りの姿勢を一気に転換し、公明党の意向を尊重してまとめる方向にカジを切った。軽減税率の対象品目を「生鮮食料品のみ」から「加工食料品を含む」に拡大し、その額は3400億円から「8000億円~1兆円」になった。

安倍と菅は谷垣に、公明党、なかんずく公明党の母体である創価学会の窮状を詳しく説明した。公明党・創価学会は最近の選挙を「軽減税率実現」に絞って戦っており、軽減税率が導入されてもコンビニに行って適用されるのはバナナだけというのでは「選挙マシンが動かなくなる」と説明した。

そして安倍は「この交渉は決裂させてはならない。なんとかまとめてほしい」と頼んだ。安倍は命令・指示はしておらず、谷垣が納得して自ら動くように仕向けた。会談の最後は次のような会話で終わっている。

谷垣「もう一回やらせてほしい」

安倍「よろしくお願いします」

党総裁、幹事長の立場なら、安倍が指示・命令してもおかしくない。しかし、谷垣本人がその気にならなければうまく運ばず、しこりを残すことになる。かつ、谷垣が理解しなければ、党が官邸主導に反対することにつながる。

谷垣が自分自身でやらなければと思うようになるのに、安倍は1時間20分もの時間をかけたのだった。

■麻生が外食案をつぶす

第3の幕は自公が「加工品を含む1兆円規模」で決着したあと、11日に上がった。自民党から谷垣、宮沢ら、公明党から幹事長・井上義久、税調会長・斉藤鉄夫らが出席した幹部協議で、自民党側が「外食を含む飲食料品全般」を提案した。もし、実現すれば、必要財源がさらに3000億円膨らんで1兆3000億円に上る案だった。

提案は谷垣が行った。出席者によると、これは立場上のことで、必要性を熱心に説いたのは宮沢。宮沢を主税局が支え、「宮沢さんと主税局が一緒になって作った案」(出席者の一人)だった。

外食を含める理由は、①線引きが難しい、②財務相・麻生太郎が答弁で立ち往生しかねない、の2点だった。テークアウト、コンビニのイートイン、出前などに軽減税率を適用するかどうかなど、線引きは難しい。

この提案は麻生がつぶした。12日午後、谷垣と会談した際、「手当済みの4000億円を除き、6000億円の財源を探すのでさえ大変なのに、9000億円もの財源を探すのはもっと大変になる。外食を除くことはヨーロッパでも行っているんだから説明できる」と言って反対した。

もちろん、麻生は安倍、菅と連絡を取っていた。安倍や菅も、かつ公明党・創価学会も外食を含むことを望んではいなかった。財務省では主計局が抑えに回った。

繰り返すが、外食を含む案を主導したのは、軽減税率導入決定で敗北した自民税調と主税局だった。とくに、主税局は財務相が反対する案を懸命に根回ししていたことになる。

官邸主導の決定に対して、反乱を起こしたと見られてもやむを得ない。主税局長である佐藤に対する官邸の視線は厳しい。(敬称略)

田崎 史郎

【私の論評】財務省の大惨敗によって、さらに10%増税は遠のいた(゚д゚)!

上の記事で、軽減税率の対象品目と、必要な財源について、文章だけでは理解しにくいと思いますので、以下に図を掲載します。



今回の、バトルは上記の田崎氏の記事にもあったように、公明党+官邸vs.自民党税調+財務省です。田崎氏自身は、財務省主計局としてますが、無論、これは財務省とみて間違いないです。今回は公明党+官邸が大勝利を収めました。

ただし、上の田崎氏の記事では、このバトルの背後に何があるのか、明確に伝えていません。これが理解できなければ、上記のバトルの意味が全く見えません。

■バトルの背後にあるもの

この背後にあるのは、公明党サイドとしては、来年の参議院議員選挙に向けての選挙対策です。

官邸サイドとしては、なぜ軽減税率対象を広くしたいかといえば、もし消費増税を実施せざるを得なくなった場合でも、できるだけその悪影響を薄めたいという思惑があるからでしょう。おそらく官邸としては、2014年4月からの8%への消費増税に懲りているので、できることなら、2017年4月からの10%への消費増税も避けたいという思惑があるのだと思います。

ただし、安倍首相は、リーマンショックのようなことがない限り増税するともいっているので、増税回避6割、増税4割の二つのシナリオを用意していると思われます。

増税回避へのシナリオは、財務省やその関係者の押さえ込みです。そのため、今回の大勝利は、財務省抑えこみの最初の大勝利になったといえます。

一方、増税実施への対応プランは、ダメージコントロールとしての軽減税率です。このブログでは、つい最近も、7%増税を予定通りに実施すれば、平成18年あたりには、そのとき政権が誰のものであったにしても崩壊の危機に見舞われることを掲載しました。

この崩壊の危機を少しでも低減する一つの方策が、軽減税率対象を広くとることなのです。

自民党税調・財務省が、最後になって外食まで含む案を出してきたのは、低所得者対策という公明党のウリを奪うとともに、加工食品と外食との境界を決める作業が難しいので、事務作業を優先し、何が何でも2017年4月からの消費増税を成し遂げたい、という財務省事務方の希望の合作であろう。

■財務省は、最初からつまづき通しだった

それにしても、今回のバトルでは財務省は最初から大きなつまづきを繰り返してしていました。9月上旬、海外で麻生財務相に、軽減税率の代わりに給付金で対応すると言わせたのだ。大臣が発言するからには、最終決着点でなければならないはずです。

まだ予算編成が始まったばかりの時期に大臣発言でしたが、やはり詰めが甘く、給付案は完全に頓挫してしまいました。そもそも、制度が出来上がっておらず、うまくスタートできるかどうかすらわからないマイナンバーを前提とたのは、誰にでもわかる初歩的ミスとしかいいようがありません。

それでも、軽減税率はできないと財務省は踏んでたようです。軽減税率の導入には、商品ごとに税率や税額を明記した請求書(インボイス)が必要になるのですが、これに経済界は事務が煩瑣になるとして反対すると読んでいたようです。

インボイスは、売り買いする商品それぞれの価格と消費税率、税額を記入するものです。現在は消費税率が一律8%のため請求書に基づいて税額の計算が可能ですが、消費税が複数税率になると対応しきれず、インボイスは不可欠とされていました。

世界の中でも、インボイスがないのは日本の消費税だけです。これが、消費税脱税や益税(消費者が事業者へ支払った消費税のうち事業者から国庫に納入されず、事業者の手元に残る租税利益)の温床ともされ、問題視されていました。

そうした声から、世界と同様にインボイス導入する運びとなり、軽減税率の技術的な障壁が取り除かれました。

それでも、財務省は、学者・エコノミストを使って、高所得者に便益が及び真の弱者対策ではない、弱者対策を行うのであれば給付金、という原則論から軽減税率に反対し続けました。

確かに、この意見は、消費税部分だけを見れば正しいです。ただし、約6000万人いる日本の納税者のうち、申告納税と源泉徴収の比率は1:2くらいで、申告納税は海外と比べて少ないです。このため、給付金を申告と合わせてやりにくいのが実情であり、しかも今回救済すべきは非納税者なので、給付金措置が実際には軽減税率よりも実施しにくいです。

給付金とインボイスに関しては、財務省は完全に読み誤りました。

ただし、安倍首相は、リーマンショックのようなことがない限り増税するといっているので、回避6割、増税4割の二つのシナリオに対応したプランをもっているはずだ。

増税回避への対応プランは、財務省やその関係者の押さえ込みである。一方、増税実施への対応プランは、一つにはダメージコントロールであり、軽減税率対象を広くとるのはそのためす。

自民党税調・財務省が、最後になって外食まで含む案を出してきたのは、低所得者対策という公明党のウリを奪うとともに、加工食品と外食との境界を決める作業が難しいので、事務作業を優先し、何が何でも2017年4月からの消費増税を成し遂げたい、という財務省事務方の希望の合作であろう。

■10%増税は遠のいた

さて、軽減税率を導入したうえで、10%増税をしたとしたらどういうことになるでしょうか。

昨年は、経済対策として3兆円の補正予算が組まれました。その結果がどうなったかといえば、今年の第一四半期はご存知のようにマイナス成長になりました。第二四半期は、速報値ではマイナス、修正値でもほんのわずかのプラスで、とても順調であるとはいえません。

これからみても、1兆円規模の、軽減税率だけではどうにもならないことが、十分予想できます。仮に、経済対策として3兆円上乗せしたとして、4兆円クラスの対策としたらどうなるでしょう。

現状の日本では、10兆円程度のデフレ・ギャップがあるといわれています。これを改善するためには、10兆円以上の対策を実施しなければ焼け石に水です。4兆や、5兆くらいでは、やるなとはいいませんが、あまり効果は期待できません。

この10兆円のデフレ・ギャップが、10%増税のときまで解消されているとはとても思えません。

昨年か、少なくとも今年あたり10兆円くらいの補正予算が実行されていたというなら、軽減税率を織り込んだ10%増税をすれば、なんとかなるかもしれません。しかし、現実はそうではありません。

であれば、やはり、10%増税は見送るべきです。そうして、このようなことは、安倍総理は良く理解されていると思います。

そうして、安倍総理は14日、2017年4月の消費税再引き上げ時に導入する軽減税率をめぐり、国民的な納得が得られるものでなければ、再増税によって「経済に大きなブレーキがかかる可能性がある」との見方を示した上で、自民・公明両党が合意した内容は「最善の結果」と評価しています。

この言葉から、私は安倍総理は、10%増税スキップをやる気満々であると見ています。

やる気まんのんの安倍総理

そうして、ここにきて、民主党が増税反対の狼煙をあげました。民主党の枝野幸男幹事長は9日の記者会見で、消費税増税時に導入する軽減税率制度に関し、社会保障の財源を充てるならば消費税率10%への引き上げに反対する考えを示唆しました。「社会保障と税の一体改革に関する3党合意違反だ。税率引き上げを認められなくなる可能性は高い」と述べました。

枝野氏がなぜこのような批判をするかといえば、財務省が消費税を社会保障目的税化(社会保障財源化)しているからです。しかし、今回、官邸は、財務省の財源論を完全に破りました。

本日、麻生太郎財務相は本日の閣議後記者会見で、酒類・外食を除く食料品に適用する消費税の軽減税率制度の財源が1兆円に上ることについて「(与党で)1年かけて検討していく。安定的な恒久財源確保が必須だ」と述べました。これで、財務省は完膚なきまでに、敗北したと見て間違いありません。枝野氏もびっくり仰天しているかもしれません。

民主党が増税に反対するというのは、10%増税見送りに拍車をかけるものと思います。来年の参議院選挙(衆参両院同時選挙になる可能性も大)で、もし安倍総理が10%増税見送りを公約の中にいれたとしたら、これは選挙の争点ではなくります。

仮に、民主党が増税反対をやめたとて、安倍総理が10%増税見送りを公約にしたとしたら、安倍自民党はさらに有利になります。

今回のは新聞にも軽減税率が適用されるのが決まったようですが、今回の誰の目からみても、財務省の敗北からみて、これは財務省が新聞に飴玉与えたというよりは、官邸側が、あえてリスクを冒さず、新聞を官邸に向ける作戦であると思います。官邸は、自民党税調・財務省の連合軍に完膚なきまでに圧勝しました。新聞はパワーのあるところに、ネタを求めてくるので、官邸は軽減税率のアメ玉を与えたと見るべきでしょう。

今後新聞は、増税に対してどうのような報道をするのか、楽しみです。

いずれにせよ、政治の世界は一寸先は闇ともいわれますから、まだ完璧とは言いがたいですが、予定どおりの10%増税は相当遠のいたとみて、間違いないようです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年12月14日月曜日

中朝国境“緊迫状態” 中国、即応部隊2千人を増派 正恩氏発言が影響か―【私の論評】南北から挟み撃ちされる中国は、海洋進出どころではなくなる!しかし、日本にとっても深刻な問題だ(゚д゚)!




中国と北朝鮮の関係が緊迫している。習近平国家主席率いる中国人民解放軍の即応部隊2000人が中朝国境に緊急増派されたという情報がある。北朝鮮の美女音楽グループ「牡丹峰(モランボン)楽団」は北京公演をドタキャンし、緊急帰国した。金正恩(キム・ジョンウン)第1書記による「水爆保有発言」が影響しているようだ。

香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターは13日、中国が北朝鮮に対し石油支援を中止する可能性があることを伝達し、12日夜に中国軍の即応部隊2000人を国境に緊急増派したと伝えた。

中朝関係はこれまでも何度か悪化したが、中国はパイプラインを通じて北朝鮮に石油支援を続けてきた。支援中止は北朝鮮体制の崩壊に直結しかねず、中朝関係の断絶を意味するからだ。

真偽は不明だが、同センターは、この決定に金第1書記が激怒し、北京で12日から3日連続で行われる予定だった「牡丹峰楽団」の公演が中止されたとしている。

「牡丹峰楽団」は金第1書記が2012年に結成した。ミニスカート姿の派手な衣装で、北朝鮮版「少女時代」とも称される。

今回の中朝緊張のきっかけは、金第1書記による「水爆保有発言」とみられている。

朝鮮中央通信は10日、金第1書記が平壌の視察先で、北朝鮮が「自衛の核爆弾、水素爆弾の巨大な爆音をとどろかせることのできる強大な核保有国」になったと述べた-と報じたのだ。

中国はこれに猛反発した。習主席がこれまで何度も「北朝鮮による核開発は容認しない」と表明してきたためだ。当初、「牡丹峰楽団」の公演を、中国共産党の政治局員1人が観覧する予定だったが、観覧者の格を次官級に引き下げた。

習主席は、親中派だった張成沢(チャン・ソンテク)氏を粛清し、核開発で従わない金第1書記を嫌っているとされる。

【私の論評】南北から挟み撃ちされる中国は、海洋進出どころではなくなる!しかし、日本にとっても深刻な問題だ(゚д゚)!

北朝鮮の少女時代ともいわれているモランボン楽団ですが、日本では彼女らのテレビなど一切放映されることもないので、どのような楽団なのかご存知ない方々がほとんどだと思いますので、以下にその動画を掲載します。

牡丹峰楽団 学ぼう 
모란봉악단 배우자




それにしても、中国にしてみれば、確かに北朝鮮に水爆など開発されれば、大変なことになりそうです。北朝鮮は各弾道ミサイルも開発中ですから、もし水爆でも開発され、ミサイルに搭載されて、中国に向けて発射されることにでもなれば大変なことです。

弾道ミサイルの開発がうまくいかなくても、爆撃機に搭載して、核爆弾で攻撃されれば大変なことです。トラックか何かで秘密裏に持ち込まれ、爆発させるなどのことも考えられなくもありません。

いずれにせよ、中国にとっては、かなりの脅威です。それに中国には従来はなかった、新たな脅威が迫っています。それについては、このブログにも何度か掲載したことがあります。

その記事のリンクを以下に掲載します。
「イスラム国」が習政権に“宣戦布告” ウイグル周辺に中国語で聖戦呼び掛け―【私の論評】国境溶解で、中国はISの侵入を防ぐことは困難、崩壊の序曲がはじまる(゚д゚)!
ISは中国を新たな標的に定めたのか
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、東トルキスタンと言われる、現在は中国領である新疆ウィグル自治区、その他キルギスさらに、カザフスタンの東部を含む地域には、すでにイスラム国の影響が及んでいることを掲載しました。
 
中央アジアに第二イスラム国ができるあがるのは、時間の問題のようです。現状は、イスラム国から随分とテロリスト・グループが入っており、キルギスあたりでは統治不能の状態になっています。そうして、新疆ウィグル地区にも相当過激派が入っている状態になっています。

これらは、様々な筋から判断して間違いないようです。近いうちに、中国はISの脅威にさらされ、そうして、上記で述べたように、北朝鮮の脅威もあるわけですから、南北から挟み撃ちされている状況です。

このような状況が深刻化すれば、中国は海洋進出などは断念せざるを得なくなることでしょう。おそらく、尖閣問題も沈静化するかもしれません。沖縄の脅威も軽減されるかもしれません。
モランボン楽団の演奏
とはいいながら、これは日本にとっても深刻な問題です。日本のすぐ近くの2つの国が、核兵器を保有し、その2つの国が悪化、さらに一方の国には、ISの脅威が間近に迫っているという状況です。

日本を取り巻く環境は、安全や安定からは、ほど遠い状況です。北朝鮮が、水爆開発でもしようものなら、拉致問題など永遠に解決できなくなるかもしれません。

日本も、安全保障を本気で考える時期になったのだと思います。日本では、安全保障の問題を考えるうえで、様々なタブーが存在します。核の問題もその一つです。

ISや、中朝の対立が深刻化する前に、日本もタブーは棚上げにして、安全保証の問題を議論すべきです。

日本は核兵器を開発するための技術は十分保有していると思います。日本も、核保有も視野に入れるべきか否かという、真摯な議論がなされるべきです。

また、それを実現するためにも、京都学派の憲法解釈を広く日本国内に流布して、自衛のための武装は可能であるとの見方もあることを周知徹底すべきです。それが、戦争に関する論議のタブーを破るかもしれません。

日本では、多くの人それも保守派と目される人でも、憲法9条の解釈は、東大を頂点とする、日本の主流派の憲法学者らの解釈に従っています。要するに、憲法9条は、自衛のための武装や、戦争もはっきりと否定しているという解釈です。

しかし、同じ憲法学者でも、京都学派の憲法解釈によれば、日本国憲法9条は、日本が自衛のための武装をしたり、自衛のための戦争まで禁じてはいないという解釈をしています。

これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
佐々木惣一の「憲法第九条と自衛権」―【私の論評】安保法制=戦争法案としてデモをする人々は、まるで抗日70周年記念軍事パレードをする人民解放軍の若者と同じか?
京都学派の重鎮 佐々木惣一氏

詳細は、この記事を読んでいただくものとして、確かに、憲法9条を隅から隅まで読んでも、国際紛争を解決するための手段として、武力を用いてはならないとの明確な規定は存在しますが、自衛のための戦争をはっきりと否定はしていません。そんなことは、どこにも書かれていません。

このようなことを書くと、日本の主流派の憲法学者の解釈が正しいと認識している人たちは、それは詭弁であると考えるかもしれません。しかし、自衛のための戦争に関しては、国連憲章でも禁じていませんし、他国の憲法典をみると、自らの国が自衛のための戦争ができるなどと明記しているものはほとんどありません。

なぜなら、自衛のための戦争は、人権と同じく自然権であり、自然権とは、人が生まれなら我に持っている固有の権利とみなされているからです。

中朝の対立の激化、煮え切らない韓国、さらに中国に迫る第二イスラム国の脅威を考えると、日本も様々なタブーという呪縛から解き放たれ、まともに安全保障論議をすべきときに迎えたと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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佐々木惣一の「憲法第九条と自衛権」―【私の論評】安保法制=戦争法案としてデモをする人々は、まるで抗日70周年記念軍事パレードをする人民解放軍の若者と同じか?

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【朝まで生テレビ】ケント・ギルバート氏、沖縄基地反対のデモ隊の日当を中国共産党が間接的ではありますけども、払ってますと発言―【私の論評】公然の秘密ともいえる日当の資金源はここだ(゚д゚)!


【佐藤優】中国はこれから深刻な国家的危機に陥る!!!―【私の論評】日本の安全保障は、第二イスラム国の脅威が中国西端に迫っていることも考慮に入れよ(゚д゚)!

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2015年12月13日日曜日

消えた中国の富豪…新たなチャイナリスクが露見 当局拘束で「星野リゾートトマム」買収に暗雲―【私の論評】企業買収成功の5つの原則を知らない中国の投資をあてにしても、万に一つも成功する見込みはない(゚д゚)!

消えた中国の富豪…新たなチャイナリスクが露見 当局拘束で「星野リゾートトマム」買収に暗雲

郭広昌氏

中国有数の民間投資会社「復星集団」の会長で、米著名投資家ウォーレン・バフェット氏(85)になぞらえ「中国のバフェット」とも呼ばれる郭広昌氏(48)が、10日から当局の拘束下におかれ、周囲と連絡が取れなくなっている。(SANKEI EXPRESS)

中国メディアが報じたもので、これを受けて関連株が軒並み下落。上海証券取引所では11日に復星傘下企業の上場株が取引停止となった。復星は日本とも関わりが深く、傘下の上海豫園旅游商城が先月、北海道占(しむ)冠(かっぷ)村(むら)にあるスキーリゾート「星野リゾートトマム」の全株式を約183億円で取得したばかり。トマムはどうなるのか? 新たなチャイナリスクが露見した形だ。

トマム・リゾート

■「捜査に協力」火消し

郭会長は中国電子商取引最大手、阿里巴巴(アリババ)集団の馬雲(ジャック・マー)会長(51)と並ぶ中国民営企業のカリスマ実業家として国際的にも有名だ。中国東部、浙江省の農家に生まれ、上海の名門、復旦大学を卒業(哲学専攻)。1992年に大学の同窓生4人と復星の前身会社を設立し、投資、保険、医薬、不動産など幅広い分野に事業を拡大、中国を代表する民営複合企業体に育てた。

中国経済誌「財新」(ウェブ版)などによると、郭氏は拠点とする上海の空港で警察に連れて行かれた。ただ、何らかの嫌疑で自身が捜査対象になっているのか、単に参考人として事情を聴かれているのかは不明で、復星の広報担当者はメディアに「『捜査協力』で警察に呼ばれているだけで、(郭氏は)『適切な手段』を通じて社の主要な決定に関与できている。上海上場の関連株も、14日には取引が再開される」と語った。捜査協力の内容についてはノーコメントとしている。

■無罪に「不公平」

上海市では現在、艾(がい)宝(ほう)俊(しゅん)副市長(55)が「重大な規律違反」をしたとして中国共産党の中央規律検査委員会から取り調べを受けており、これに関連しているとの報道もある。

上海市艾宝俊 上海副市長
 また、郭氏は今年8月、中国国有の光明食品集団の会長だった王宗南氏(60)の親族による不動産取得で便宜を図り、王氏から何らかの見返りを得ていた容疑で警察に事情を聴かれている。この際、贈賄罪に問われた王氏には懲役18年の実刑判決が下ったのに対して、郭氏は無罪放免だったことから、「不公平」との声が国民から上がっていた。

■民間摘発を強化
腐敗追放を掲げる中国の習近平指導部は、これまでは主に党幹部や高級官僚の摘発に力を注いできたが、今年前半の株価暴落を機に、金融業界などを重点に民間分野へも追及の手を伸ばしている。今年後半からは、企業経営者が突然、当局に拘束され姿を消すケースが頻発。個人資産57億ドル(約6900億円)の郭氏の場合は、初の大物拘束であり、摘発強化を示す習指導部のサインとも受け取られている。

だが、本格的な郭氏摘発となれば、影響は甚大だ。復星は最近は国際展開にも積極的で、日本のトマムだけでなく、フランスのリゾート施設運営会社「クラブメッド」を買収したほか、ギリシャのジュエリーブランド「フォリフォリ」、カナダのサーカス劇団「シルク・ドゥ・ソレイユ」などにも出資。東京や米ニューヨーク、英ロンドンなどでランドマーク的な大型オフィスビルを相次いで手に入れている。

異形の国「中国」とビジネスでパートナーを組むには、どこまでも慎重さが必要だ。

【私の論評】企業買収成功5つの原則を知らない中国の投資をあてにしても、万に一つも成功する見込みはない(゚д゚)!

中国人の経営者にはもともと、問題がありました。その問題とは、中国は以前は共産主義、その後は国家資本主義体制という体制をとってきたことです。そのため、中国には普通の資本主義国、自由主義国の中での商売を経験するものはほとんどいません。

このブログでも、何度か掲載してきたように、中国では民主化、経済と政治の分離、法治国家化がなされていません。今の中国の体制は、国家が経済に深く関与する、国家資本主義体制にあるといえます。

そうして、中国の現状の個人消費が、GDPに占める割合は35%に過ぎません。これは、日本をはじめとする先進国では60%台が普通です。アメリカに至っては70%台です。先進国では、企業経営というと、顧客を第一に考え、顧客のことが本当に理解できれば、すぐにも経営者になって成功することができます。

しかし、中国は違います。中国のGDPの多くは、政府が国内外から資金を集め、インフラに投資することで得られたものです。そのためでしょうか。中国人の経営者には、顧客が大事とか、事業の本質とは顧客を創造することであるとの認識は希薄です。

そんなことよりも、政府の官僚(中国には選挙がないので、厳密な意味では政治家は存在せず存在するのは官僚のみです)と人脈を築くことのほうが重要です。

実際に、金をばら撒く権限のある権力者と強力な人脈を築くことができれば、顧客など無視しても、事業は大発展します。しかし、せっかく権力者と強力な人脈を築くことができても、その権力者が失脚したり、主流派でなくなってしまえば、事業は破綻したり、伸びなくなったりします。

郭広昌氏も、習近平もしくはそれに連なる人脈を構築できていなかったということが、今回の拘束劇に繋がってるのだと思います。

これでは、日本をはじめとする先進国のように、そもそも、事業というもかのが顧客の創造であるなどというまともなことを考える経営者は育ちません。

だから、中国の経営者は、顧客などあまり重要ではなく、権力者にいつも顔を向けて商売をします。そのため、中国では、先進国で普通と思われているような経営者は、ほとんど存在しません。

そうして、さらに2011年あたりから中国人経営者の異形ぶりが非常に目立つようになっていました。

①高級経営幹部の大量退社が常態の中国

ある大手中国メディアの記者の調査では、2011年7月の1か月間だけで、A株上場会社の高級管理者が合計88名辞職していました。ここでの高級管理者とは、董事長、董事、監事、総経理、副総経理など、会社の重要幹部を指します。

これらの高級管理者には、自社株を保有している者が多く、そして2人以上で一斉に退社したという共通の現象がありました。これらのことから、巷ではこの高級管理者たちの大量退社は、「自社株の売り抜け準備」ではないかと言われていました。

中国では、「自社株を持っている高級管理者は、上場後1年以内にはそれを譲渡することができない」という法律があります。したがって高級管理者が早く自社株を譲渡し、大儲けしようするならば、会社を辞職すること、つまり自分の会社を放り出し、縁を切ることがもっとも手っ取り早いのす。

今に至るまでその傾向が続いています。最近では、事業環境の悪化から、それを最後の金儲けの手段と考えている経営者も多数存在しました。

②経営者の経営意欲の減退とモラルの崩壊
中国の企業の現場では高級管理者が、10年以上前からいわゆる財テクに走っていました。それはあたかもかつての日本がバブル経済のときに、企業の幹部が財テクに血眼になっていたのとまったく同様のようです。

しかし中国では事態はもっと深刻です。なぜならそれは企業が5重苦と呼ばれるような経営環境に置かれており、実業では業績を維持することがきわめて難しくなっているところから、苦肉の策として行われているからです。ちなみに5重苦とは、労働争議の頻発(人手不足)、人件費高、金融難、電力不足、原材料高です。

5重苦の中でも、とりわけ経営者から経営意欲を奪っているものは、労働争議の頻発でした。労働争議が特に頻発するようになったのは、2007年末の労働者絶対有利の新労働契約法の施行に端を発しており、それが人手不足という状況下で起きているため、ひとたび労働争議が生ずれば経営者はほぼ完璧に負ける結果となってしまいました。

そしてその後、経営者は労働者に足下を見透かされ、譲歩に次ぐ譲歩、妥協に次ぐ妥協を余儀なくされるようになりました。そうして、企業内では労働者と経営者の地位が逆転し、労働者は経営者を見下すようになり、経営者の威光も意向も労働者にはまったく通じなくなりました。

一般に中国人は面子を大事にすると言われています。ことに中国人経営者は立派な部屋でふんぞり返っている人が多いです。日本人のように「便所掃除を日課としているような経営者」、つまり「労働者に頭を下げることに抵抗がない経営者」などいません。

それが今では、営々として築いてきた自分の会社で、自分が給料を払っている労働者に頭を下げなければならない事態となっています。これが中国人経営者にとってはもっとも屈辱であり、経営意欲をなくさせている元凶です。

より先鋭化した中国のストライキ
今の中国人経営者は「人を使う実業」を嫌い、「人を使わなくてもよい虚業」に精を出すようになっています。新聞の広告を見ても、一時大流行したMBAの広告は激減し、株やマンションなどの勉強会の広告が目立つようになりました。

真剣に経営を勉強しようとする経営者が減り、手っ取り早く投機で儲けようとする経営者が増えていることを示します。また手持ち資金をなんらかの形で裏金融に回し、巨利をつかもうとしている経営者が多くなっています。今や、中国人経営者は地道に実業で利益を出すことを諦め、企業の存続の道を虚業の世界に追い求めているのです。

先に述べたように、元々、社会主義を標榜してきた中国、現在は国家資本主義である、中国には、本物の経営者は育っていません。なぜなら元来、社会主義社会には資本家や経営者がいなかったからである。皮肉なことに、かつての中国には「資本主義社会は資本家と労働者という2種類の人間で構成されており、それは敵対的階級として存在している」という共産主義思想はあってもその実態は存在せず、したがって労働者の造反という事態もなく、現下のストライキに対処する経営者の思想的準備もありませんでした。

また資本主義社会で「労働者の敵」として生き抜き、その中で培って来た経営者の知恵やモラルは、にわか仕立ての中国の経営者には根付きませんでした。それが、今、中国のすべての経営者を虚業に向かわせてしまうという事態を生じさせています。

今、中国では経営者が経営意欲をなくし、その結果、経営モラルが音を立てて崩壊しています。

郭広昌氏も例外ではありません。そもそも、彼は経営者でも投資家でもなく、投機家とみるべきでしょう。中国のいわゆる、投資家といわれる人々は、他国では単なる投機家とみられる人々がほとんどです。中国の経済発展そのものが、他国のようにかなりの部分が個人消費に向けた実業というのとはかなり異なるものです。

そうした中で、郭広昌氏は、中国民営企業のカリスマ実業家ともてはやされていますが、企業経営者などからは、ほど遠い、単なる規模の大きな投資をする博打打ちにすぎないのだと思います。

そうして、中国の投資は、あらゆる方面で失敗をしています。日本のトマム・リゾートへの投資も、彼にとっては単なる投機の対象に過ぎないのだと思います。

ちなみに、中国の対外投資は、ほとんど成功していません。結局のところ、中国ではインフラ投資一つとってみても、国の発展とか、国民のためというより、政府の都合、あるい政府に連なる人々が儲けるために実施するのであって、明確な目標も目的もないのだと思います。それでは、そもそも、

さて、経営学の大家である、ドラッカー氏は「事業上の目的による企業買収に成功するには5つの原則がある」としています。その意味するところをドラッカー氏の書籍『マネジメント・フロンティア』より抜粋して、以下に掲載します。


事業上の意味のない企業買収は、マネーゲームとしてさえうまくいかない。事業上も金銭上も失敗に終わる。企業買収に成功するには5つの簡単な原則がある。
ドラッカーは、40年にわたる企業観察の結果、すでに1980年代の初めに、企業買収に成功するための5つの原則を「ウォールストリート・ジャーナル」に発表しています。

しかし、当時はよいことを聞いたと喜んでいた米国の企業家たちが、いざとなると、それら5つの原則を守れずに失敗していった。そして、今日も、相変わらず失敗し続けています。

ドラッカーのいう、事業上の目的による企業買収に成功するための5つの原則とは以下の諸原則です。
 第1に、企業買収は、買収される側に大きく貢献できる場合にのみ成功する。問題は、買収される側が買収する側に何を貢献できるかではない。買収する側が貢献できるものは、経営能力、技術力、販売力など、さまざまである。 
 第2に、企業買収は、買収される側と共通の核がある場合にのみ成功する。共通の核となりうるものは、市場であり、技術である。あるいは、共通の文化である。 
 第3に、企業買収は、買収する側が買収される側の製品、市場、顧客に敬意を払っている場合にのみ成功する。やがて、事業上の意思決定が必要になる。そのとき、製品、市場、顧客への敬意がなければ、決定は間違ったものとなる。 
 第4に、企業買収は、買収される側に、1年以内にトップマネジメントを送り込める場合にのみ成功する。マネジメントを買えると思うことは間違いである。社長だった者が、事業部長になって満足し切れるわけがない。 
 第5に、企業買収は、最初の1年間に、買収される側の者と買収する側の者を、多数、境界を越えて昇進させる場合にのみ成功する。買収を、歓迎されるものに仕立て上げなければならない。 
 少なくともニューヨーク株式市場は、60年代のコングロマリット熱から目を覚まして以来、企業買収に関する5つの原則の重要性に気づいている。買収のニュースによって、買収する側の株価が大幅に下落することが、あのように多いのはそのためである。
この原則は今でも変わりありません。多くの投資家が、安易に企業買収を行って、今でも失敗し続けています。成功した買収では以上の原則が貫かれています。中国の郭広昌氏を含む投資家は、上記の5つの原則などそもそも、知らないでしょうし、過去の失敗から学んでいるということもないでしょう。企業をあたかも、モノのようにしか考えていません。

そのためでしょうか、中国の投資は、国内でいっときうまくいったようにも見えましたが、最近ではその不味さが露呈するようになりましたし、中国以外の国々ではほとんど大失敗しています。

そもそも、中国以外の国では、かつて中国がやったような、人民など全く考慮することなく、政府やそれに連なる人たちの都合を再優先した強圧的投資などうまくいかないばかりか、最近では中国国内でも、うまくいかなくなり、不動産バブル崩壊、株式下落、金融の空洞化を招いているです。

トマム・リゾートの冬のイベント。経営者から従業員にいたるまで、
「おもてなしの心」がなければ、リゾート運営などできない
日本のような先進国で、商売の根本を全く理解しない、郭広昌氏が、トマム・リゾートに投資したとしても、結局はうまくいかず、失敗に終わるだけでしょう。

中国の投資をあてにして、日本国内で商売をしようとしても、以上のようなことから、全く無駄であることが良く理解できます。

異形の国「中国」とビジネスでパートナーを組んで、成功できる見込みは万に一つもありません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年12月12日土曜日

小保方さんの発見は真実!ネイチャーにマウスの体細胞が初期化して多能性を持つ「STAP現象」がアメリカの研究者により発表される―【私の論評】日本のマスコミや識者もSTAP細胞騒動を二度と繰り返すな(゚д゚)!

小保方さんの発見は真実!ネイチャーにマウスの体細胞が初期化して多能性を持つ「STAP現象」がアメリカの研究者により発表される

小保方さん

▼ブログ管理人より注意▼
以下専門的記述が続きますが、生物学などの専門知識のない方には、読んで理解するのは、難しいと思います。結局以下の文章での結論は、小保方さんの「STAP細胞は存在します」という発言は、おそらく正しいということがいえるということです。

これを念頭において、以下の文章を読んでいただくか、あるいは読み飛ばして【私の論評】を読んでいただければ、幸いです。 

以上
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 小保方晴子さんの発見した「外部ストレスにより体細胞が初期化して多能性を持つ」「STAP現象」が存在した事を報告する論文が、科学雑誌「ネイチャー」の姉妹紙でオンライン専用媒体「Nature.com SCIENTIFIC REPORTS」に2015年11月27日付けで掲載されました。


『Characterization of an Injury Induced Population of Muscle-Derived Stem Cell-Like Cells』 損傷誘導性による筋肉由来の幹細胞様細胞(iMuSCs)
http://www.nature.com/articles/srep17355
※下記に論文の自動翻訳有り

【怪我のストレスにより体細胞が初期化して多能性を持つSTAP現象と同じ研究結果】
この報告書では負傷したマウスの骨格筋から幹細胞になる新規の細胞集団を発見した_とあります。

「物理的ストレスで体細胞が初期化され、多能性を持つ」とされるSTAP現象と同じ原理が記されています。キメラマウス実験でもこの体細胞から多能性に変化した多能性細胞は脳や肺、心臓にそのGFPが認められたという事です。※参照の事。

【笹井芳樹博士の驚きは幹細胞学者として正しかった】
http://www.nature.com/news/acid-bath-offers-easy-path-to-stem-cells-1.14600 より〜

体細胞が物理的要因で未分化の状態に戻り、多能性を持つ細胞に変化する_小保方さんの「酸性の液に浸けるストレスにより細胞が未分化の状態に戻り、様々な身体の組織に分化できる多能性細胞になる」事をSTAP現象と名付けた研究結果と同じ原理です。
外部刺激により、体細胞を幹細胞に出来るとした小保方さんのSTAP実験について故笹井芳樹博士(享年52)はネイチャーの記者デイビット氏にこう話した。「素晴らしい成果です。私自身、外部からのストレスが細胞にこのような効果をもたらすとは思ってもみませんでした」この驚きは正しかった。ノーベル賞級の研究者も、思いもよらない未知の細胞生態を小保方さんは発見していたのだ。

【小保方晴子さんの発見は真実だった事が証明された】

小保方晴子さんは細胞培養中、細胞にストレスをかけると分化多能性を持つようになるアイデアが浮かんだという。今回のネイチャーの報告書で小保方さんのアイデアの本筋は間違っていなかった事が証明された。小保方さんは細胞にストレスをかける実験は低酸性液だけではなく、細胞膜に穴を開ける方法や物理的圧迫なども試し、多能性マーカーを発現するようになった、と報告している。

【STAP細胞と全く同じ物ではないが、STAP現象とされる細胞の初期化は証明された】
物理的圧迫で細胞が初期化し、多能性を持つとする現象が報告された事により、細胞がリプログラミングする事がある、という事が解った。「細胞はいったん分化したら未分化の状態に戻る事は無い、細胞は分化が進んで行くだけ」「体細胞が未分化細胞になり、幹細胞状態として身体組織を作れるようになるなんて事はない」とするSTAP否定派はこの実験結果をどのように捉えるのか?

論文に引用された小保方さんの論文。

ハーバード留学時代に書かれ、再生医学専門誌「ティッシュ・エンジニアリング誌」に掲載された「The Potential of Stem Cells in Adult Tissues Representative of the Three Germ three Layers」

体細胞が多能性を持つようになる研究が実験段階である事を示すために引用されています。博士号を授与される前に、多能性細胞について書いた論文が一流の研究者達の参考になっているのです。小保方さんはこの論文を元に博士論文を書きましたが、間違って草稿を製本し早稲田大学に提出したために、「不正により学位の授与を受けた」と判定され、学位を剥奪されました。



 
【ネイチャー論文日本語翻訳】 http://www.nature.com/articles/srep17355

■Abstract 要約

我々は最近、負傷したマウス骨格筋からの幹細胞の新規な集団を発見しました。これらの傷害誘導性の筋肉由来幹細胞様細胞(iMuSCs)は部分的に分化した筋原細胞から再プログラムおよび多能性のような状態を表示しています。

このような神経性および筋原分化などの複数の系統に分化する能力を含むiMuSCs展示幹細胞の性質;彼らはまた、in vivoでの筋肉の生着の強力な能力を実証する優れた移行容量を表示します。 IMuSCsには、いくつかの多能性および筋原幹細胞マーカーを発現します。

胚様体及び奇形腫を形成する能力を有し、そして3つのすべての胚葉に分化することができます。また、胚盤胞のマイクロインジェクションは、iMuSCsキメラ胚に貢献したが、生殖系列伝達を完了できなかったことを示しました。我々の結果は、iMuSCsが負傷した骨格筋の微小環境によって生成された多能性の部分的に再プログラムされた状態であることを示しています。

■Introducion 導入

損傷後の組織修復は、組織常駐前駆体および幹細胞の活性化、および局所および全身の信号に応答する細胞の浸潤の多様性を含む複雑な生物学的プロセスです。哺乳動物の骨格筋の再生には、筋線維の基底膜と筋細胞膜の間に位置する単核細胞の集団である衛星細胞と筋肉幹細胞(MuSCs)、などの常駐筋前駆cells1,2の活性化および増殖に依存しています。

 MuSCsは、細胞の機能的に不均一な集団であり、可変増殖速度、マーカー発現プロフィール、自己再生能力、クローン原性および分化capacities2,3を持っています。

我々は以前MuSCsうち、iMuSCsの小集団が存在することを発見した、我々のlaboratory4で確立Cre-loxPシステムを用い、損傷したマウスの骨格筋から単離することができます。我々はiMuSCsは、CD34を発現するのSca1(細胞抗原-1幹)、およびPAX7(ペアボックスタンパク質7)だけでなく、vivo5に強い筋原性分化および筋肉の再生能力を提示するだけでなくことが示されています。さらに、我々はiMuSCsは、細胞の挙動を幹実証し、そのような癒さ骨格muscle4におけるCD31 +内皮様細胞などの非筋原性系統に分化することが可能であることを実証しました。

ここでは、さらに、それらの形態、マーカー発現プロフィール、多能性、渡り鳥能力と分化能力に焦点を当て、iMuSCsの特有の性質を調べます。

■Results 結果

我々の確立された細胞分離法(図1a)を適用することによりiMuSCs正常負傷したマウスの前脛骨(TA)筋から単離しました。三日後、細胞単離後、増殖iMuSCs(約全体筋細胞集団の0.1%)を培養皿に現れました。しかし、細胞は、対照から確立された培養物中に存在していない無傷の筋肉(図1b)。

顕微鏡評価は、代表iMuSCsは、直径5-7ミクロンであった比較的大きな核と細胞質の狭いリムが含まれていることが明らかになりました。それらの核はMSX1(MSHホメオボックス1)式(補足図S1aと)とヘキスト33342陽性および取り込まれたBrdU(ブロモデオキシウリジン)となりました。たてPAX7とのSca1(図1c)を発現する少数の細胞であったそのうちの陽性細胞を単離し、またはiMuSCsの初期の人口はMSX1およびCXCR4(CXCケモカイン受容体タイプ4)の割合が高いが含まれていました。全体生検負傷したTA筋肉の遺伝子発現分析は、MSX1、(またPOU5F1と呼ばれる)のOct4、Sox2の制御無傷古い脛骨筋(図1dおよび補足図と比較してアップレギュレート(SRYボックス2)およびNanogの発現がありました。S1bが)。

新たに単離したiMuSCsは筋原幹細胞関連マーカー、すなわちのSca1、PAX7およびCD34、およびコア多能性マーカー遺伝子、すなわちのOct4、Sox2のおよびNanog発現した(図1E及び補足図。S1cを)。培養iMuSCsは、13時間の平均の細胞集団の倍加時間を有する筋成長培地中でin vitroで増殖させました。細胞遺伝学的解析は、iMuSCsが正常な女性核型を持っていたことを明らかにしました。しかし、染色体異常は、染色体5(補足図S1D)のためのトリソミーで、その結果、長期培養(継代33)の間に現れました。

また、iMuSCsが顕著マイグレーション特性を有していたことを発見しました。タイムラプス運動性アッセイからのデータは、iMuSCsは対照マウス筋芽細胞株、C2C12に比べて長く、より高い速度と距離を移行していることを確認し、コントロールから分離しMuSCsは(図1F)筋肉を無傷。また、iMuSCsはmRNAレベル(図1G)でβカテニンおよびいくつかのカドヘリンを高レベルで発現しました。

Figure 1
図1 クリックすると拡大します

体外多能分化アッセイでiMuSCsはMyHC +(ミオシン重鎖)制御MuSCsとC2C12筋芽細胞(図2a)と同様の融合インデックスを持つ筋分化培地中で筋管と融合することができたことを示しました。 iMuSCsもBMP2と骨形成培地内の骨形成系統(補足図S2)に分化することが可能でした。 iMuSCsも簡単かつ効果的に、一週間のために神経幹細胞培地(方法を参照)で一度培養ニューロスフェアの形成を介して神経性系統に誘導することができた(図2b)、制御一次筋芽細胞およびMuSCsはこれらの構造を形成するの兆候を示さありませんでした。 iMuSCsによって誘発されるニューロスフェアは、神経表現型を示し、ネスチン、CNPアーゼとNefm(ニューロフィラメント)(図2b)を表明しました。 3週間後、神経分化培地にラミニン/ポリオルニチンコーティングした単層培養でメッキ再ニューロスフェアは、三つの主要な神経系統(ニューロン、アストロサイト、およびオリゴデンドロサイト)に分化することができ、彼らはMtap2を表明し、βチューブリンIII、Nefm 、ネスチンおよびOlig1 / 2(オリゴデンドロサイト転写因子1/2)(図2B、C)


さらにiMuSCsの起源を調べるために、我々は、in vivo筋肉内移植試験で行いました。 iMuSCsと制御MuSCs同数のは6 6-8週齢の雄のmdx / SCIDマウス(ジャクソン研究所、米国)のTA筋に注射しました。二三週間の細胞移植後、我々はホストのTA筋肉のユートロフィンとジストロフィン(図2d)の発現を検出し、iMuSCs制御MuSCs(図2d)と比較して、より大きく、より強固なジストロフィン+筋肉移植片を形成していることが観察されました。

図2  クリックすると拡大します。

我々はまた、iMuSCsの遺伝子及びタンパク質発現プロファイルを明らかにするために、定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)および免疫組織化学分析を行い、胚性幹細胞(ESC)および筋原幹細胞(C2C12及びMuSCs)にこれらを比較しました。 iMuSCsはESCのと同様に、(B、図3a及び補足図のS3a)のOct4、SSEA1(段階特異的胚抗原1)、Sox2の、CXCR4、MSX1、PAX7、とのSca1を発現したが、より低い発現レベルで。 QPCR分析はiMuSCsがESG1及びDAX1(図3B)を除いて、多能性マーカー遺伝子の大部分を発現することを明らかにしました。しかし、ESCは異なり、iMuSCsは筋原性マーカー遺伝子を発現し、興味深いことに、始原生殖細胞関連マーカーの一部、例えばBlimp1とフラジリス、そのようなCD45またはCD90(図3c)として、他の系統に関連した遺伝子を発現しませんでした。また、iMuSCsは、アルカリホスファターゼ(図3a)に対して陽性でした。これらの結果は、彼らが筋原性メモリ(ESCのに比べて、筋原性遺伝子の例えば、高発現を維持するため、iMuSCsは、に似ていますが、ESCのと同じではないことを示し、容易にin vitroで筋原系統に分化するように誘導され、生体内で)。

iMuSCsの多能性を明確にするために、我々はiMuSCsシャーレで胚様体(EB)(図3d、e)を形成することができることを示したin vitroでのassays6,7分化を行いました。浮遊培養で7日後、EBを拡大し、自発的分化を開始した外胚葉と中胚葉胚葉種々の誘導体にし、さらに2週間培養した後、付属のEBは、神経のような構造に包含多核筋管を収縮を形成した(図3F 、G)。

図3 クリックすると拡大します

我々はさらに、in vivoで奇形腫形成によってiMuSCsの多能性を検討しました。 7週間のSCIDベージュマウス(ジャクソン研究所、米国)に移植すると、iMuSCsは(90%、N = 7)は、3つの胚葉の代表組織を含む(図4a)奇形腫を形成しました。組織学的検査はiMuSCsは、神経、筋肉、および脂肪組織、および上皮に分化することを明らかにしました。奇形腫は、移植された細胞から直接形成されたことを確認するには、iMuSCsは、注射の前にβ-galで事前に標識し、我々はLacZを(図で染色したとき奇形腫内のすべての3つの胚葉誘導体は、β-galの+細胞を含んでいた検出した。図4b )。

iMuSCsはキメラマウスを生じさせることができるかどうかを評価するために、胚盤胞注入アッセイを行った(図4c)。我々は、標準的なprocedures8以下のマイクロインジェクションによってのBALB / c(ジャクソン研究所、米国)胚盤胞に未分化のβ-gal +および単一細胞としてのGFP-予め標識iMuSCsを移しました。我々は、6が適切に開発され、胚にGFP + iMuSCsの寄与を示し、E14で8胚を得ました。 β-galおよびGFP発現細胞の高〜中程度の貢献は、これらのE14のキメラ胚(図4c、dおよび補足図S4aでは)で見ることができました。組織学的分析は、iMuSCsはすべての3つの胚葉(図4E及び補足図S4bと)に寄与していることを確認しました。 iMuSCs注入した胚盤胞由来子孫が生まれ、正常に開発されました。この実験を3回繰り返した後、私たちは白衣(補足表S1)を持って生まれた23匹の子、すべてを得ました。自分の髪がiMuSCsが表示されませんでしたが、生殖系列伝達、免疫染色およびqPCR分析は、図(例えば、皮膚、筋肉、心臓、肺、腎臓、脾臓、および脳などの仔のいくつかの組織でのLacZ +およびGFP + iMuSCsの存在を明らかにした。4Fと補足図ステップS4c)。


図 4 クリックすると拡大します

■Discussion 議論

矛盾した結果が、様々なgroups9,10,11,12,13,14,15によって報告されているので、成体組織における多能性細胞様細胞の存在は、年間の論争の種となっています。しかし、研究は、これまで、そのような多能性幹細胞は、分化した体細胞組織から生じ得ることを証明していません。本研究では、細胞の再プログラミングが骨格筋を負傷しているときに発生する強い刺激することによって開始することができることを明らかにしました。このように、我々が負傷骨格筋から再プログラムさiMuSCsを単離することができました。

まとめると、我々の知見は、iMuSCsこれまで研究されたすべての細胞型とは異なる特性(形態、大きさ、および遺伝子発現プロフィール)を有する細胞のユニークな、非常に敏感な集団であることを示しています。 IMuSCsはESCの代表的ないくつかの特徴を表示する(細胞質の狭い縁に囲まれた例えば大型核、高い核/細胞質比、開いたクロマチン、非構造化核質、及び染色体の二倍体数)(表1)だけでなく、いくつかの多能性を表現するだけでなく、マーカー遺伝子は、筋原性遺伝子の高い発現レベルを維持します。

また、本研究の最も注目すべき発見はiMuSCsは、in vitroおよびin vivoでの多能性のための基準のいくつかの成就ということでした。しかし、我々は、胚盤胞のマイクロインジェクション後に生殖系列伝達とiMuSCsを得ることができませんでした。これはiMuSCsは、多能性マーカーの低い遺伝子発現プロファイル(例えば、あるOct4、Nanogの、及びSox2の)を有するとのESCと比較した場合、ESG1及びDAX1発現を欠いているという事実に起因し得ます。

それはiMuSCsによってのBlimp1、フラジリスおよび筋原性マーカー遺伝子の比較的高い発現がこの観察に寄与​​し得ることももっともらしいです。これらの結果は、iMuSCsが多能性を完全に退行し、おそらく彼らの筋原組織起源のエピジェネティックな記憶を保持していないことを示しています。このようなDNAメチラーゼまたはNanogの過剰発現の阻害などiMuSCsのさらなる操作は、潜在的に完全な多能性を達成するためにiMuSCsをプッシュすることができます。

【私の論評】日本のマスコミや識者もSTAP細胞騒動を二度と繰り返すな(゚д゚)!

さて、以上のことから、小保方さんの行った実験が正しいものだったのか、そうではないかは別にして、小保方さんの語っていた「STAP細胞は存在します」という発言をはきり否定することはできなくなりました。

小保方さんの実験は、何度も追試された結果、再現されないことが明らかにされていますが、それはもしかすると、小保方さんも気づいていない、他の条件などが見過ごされているということなのかもしれません。これから、さらに他の実験などがこれを明らかにするかもしれません。

ただし、少し前までは、世界中で小保方さんの実験の追試などが行われましたが、その結果一度も成功していなかったのですが、ブログ冒頭の記事で、小保方さんの発見したSTAP細胞とは、全く同じ物ではないものの、STAP現象とされる細胞の初期化は実在したことが証明されたようです。

さて、小保方さんについては、このブログでも何度か掲載したことがあります。その主なものは、ブログ記事の一番下のほうの【関連記事】に掲載しますので、是非ご覧になってください。

さて、過去に掲載したもののうち、本日のこのニュースに接して思い出されたのは以下の記事です。
ドクターZは知っている STAP騒動と論文問題―【私の論評】学問の世界を歪めるどころか、とんでもない惨禍をもたらす、マスコミの『空気』醸成に乗るな、そそのかされるな、加担するな(゚д゚)!
お昼のワイドーショーの番組に流れた笹井氏死亡のテロップ。
何やら、今の日本の状況を象徴しているような気がした。
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では私の学生時代の経験を掲載しました。その部分のみ以下に掲載します。
そうなんです、まさに、「論文といっても学術誌に掲載された段階では、エンドではなくあくまでスタートであり、その論文が学術界に受け入れられることもあるし、逆に批判されることもある」のです。

これは、学問界の常識です。私は学生の頃生物学を学んでいました。その時経験したことからもこのことは確かです。

私は、学生だったころ、当時助教授(現在では、准教授と呼称する)と、いわゆるポスドク(後に若くして地方大学の助教授になった人)と3人で、とはいっても、これが当時の講座の全員で、大学内で開催された学会に行きました。今から思えば、本当に贅沢な環境だったと思います。一つの講座がたった、3人ですよ。そのかわり、それなりにシンドかったですが・・・・・・・(笑)。そうして、学会での発表を聴くのはこのときが初体験でした。

3人は、自由行動することとして、時間を決めて昼には、レストランに集合して、食事をすることにしていました。そのため、私は私で、自分の聴きたい発表を聴きました。そうして、これは後でどのようなものだったのか報告することになっていました。

報告する以上、いい加減なことはできず、まともな発表と、その内容しっかりと控えておく必要がありました。

そうして、いくつかの発表を聴いてみたのですが、驚くべきことを発見しました。

いくつか、「タイトル」から非常に面白そうだったので、2つほど聴いてみましたが、これが素人目にもすぐにわかるような酷い内容で、何といえば良いのか、カルト的とも言いたくなるような内容だったので、時間の無駄と思い途中で退席しました。

このカルト的ともいえるような、発表ですが、聴いている人はわずか数人とか、多くても十数人でしたが、それでも聴いている人いるし、私が退席した後でも聴いている人は聴いていました。

さて、昼飯時に助教授(当時の年齢はおそらく38歳くらいの新進気鋭の方でした)にその話をしてみたところ、驚くことに別にその発表の内容自体を完全否定はされませんでした。

もう、随分昔の話なので、カルト的な内容の発表自体も、助教授の話も良くは覚えていませんが、そのときの助教授の話は、「確かに今カルト的に聴こえるかもしれませんが、実はそうした研究が、数十年後に世界を変えるかもしれないし、あるいは、まったくこの世から消えてしまうかもしれません。しかし、最初から全部を否定していては、学問は進展しません」というような内容でした。

世の中の人の多くは、学会での発表というとそれこそ、上の記事のSTAP細胞の論文のように「学術界で確立したもの」と見る傾向があるのではないかと思います。

私も当時は、そのように考えていて、助教授に、では私も場合によっては、あのようなカルト的な内容を発表することができるのかという質問をしたところ、先生は、「学会員となり、手続きをきちん踏んでなら、無論できます」ということでした。

学会での発表もまさしく「学術界で確立したもの」が発表されているわけではないのです。

学問界で発表されるのは学術界で確立したもの」ではない。
そんなことは学者は最初から知っている。知らないのはマスコミ?
しかし、そもそも、出鱈目を発表したとしても、まずは最初からあまり聴く人はいないですし、そのとき発表した内容も誰からも引用されず、いずれ世の中からきれいさっぱり消えるわけです。

ただし、きれいさっぱり消えたと思われていたものが、数十年後に別の学者の目にとまり、その後発展した技術やノウハウなどを用いて実験をしてみたら、本当であるどころか、画期的で次世代を切り拓くようなものであったことが再発見されることもあります。無論、そうなることは滅多にはありません。

しかし、このようなことがあるからこそ、学問の世界、特に科学の世界においては、新たな芽を摘むことにならないように、学会での発表や、論文発表など手続きさえ踏めば自由にさせているしすべての発表や論文を保存しているのです。

STAP細胞も存在する可能性も十分あり得るわけです。ただし、何かが足りなくて、再現できないのかもしれません。それは、ひょっとすると、今後の新たな技術やノウハウ、新素材などを用いると克服できるものである可能性は否定できません。
まさに、ブログ冒頭の記事は、可能性は否定できないことを実証したようです。もし、世の中の学者がすっかり諦めて、STAP現象などありえないものと決めつけて、すっかり諦めてしまえば、この方面の研究がないがしろにされて、この分野の学問がかなり遅れてしまったかもしれません。

しかし、上記の科学者らによって、STAP現象はあり得ることが実証されたようです。今後さらなる追試やその他の新たな実験が行われて、この分野の新しい展開が期待できます。

この記事には、現在では外科手術やお産のときに滅菌するのは当たり前になっていますが、その滅菌をするべきことを最初に発見した医師は、誰にも信じてもらえず、不遇の人生を送ってしまったということがあります。

STAP細胞に関しては、たとえ発表や論文掲載が過ちであったとしても、先の滅菌の件のように、いたずらに多くの一般人の犠牲者を出すということはありません。もし、本当であれば、様々な可能が膨らむということになります。しかし、とにかくSTAP細胞も、STAP現象もあり得ないことと、最初から決め込んでは、夢も希望もありません。

STAP細胞報道に関しては、本来はたいしたことではなかったにもかかわらず、まずは功を焦った理研の対応か悪かったことと、マスコミが騒ぎ過ぎたことが原因だと思います。

幸いなことに、今回は、ブログ冒頭の記事のような内容は、マスコミには一切報道されていないようです。そうして、これはそれで良いのだと思います。マスコミが下手に騒ぎすぎると、笹井氏の死亡などというとんでもない騒動をまた、招きかねません。関係当局などの、今後の冷静な判断を期待したいと思います。

そんなことより、日本の研究者の方々は、STAP細胞騒動など乗り越えて、頑張っていただきたいものです。

とにかく、日本のマスコミや識者などもこのような騒動を二度と繰り返さないで欲しいです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?


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2015年12月11日金曜日

GPIF年金8兆円損失 総活躍どころか「1億総下流」のアベノリスク―【私の論評】マスコミはGPIFのリスクを重箱の隅を突くように報道するくらいなら、特別会計の埋蔵金について報道せよ(゚д゚)!

GPIF年金8兆円損失 総活躍どころか「1億総下流」のアベノリスク

GPIFを成長戦略に使いたい安倍首相と塩崎厚労相

年金積立金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、約8兆円の損失を出したことを11月末、発表した。

昨年から市場関係者の間で「安倍政権はPKOをやっているのでは」とささやかれていた。PKOとは1990年代にあった、政府主導で株を買い支えるプライス・キーピング・オペレーション(PKO)、つまり官製相場のことだ。

GPIFで株価を吊り上げるカラクリは、いたってシンプルだ。GPIFが国内株への投資比率を1%上げれば、単純計算で1兆3500億円の資金が市場に流れ込む。東証1部の1日の売買代金は2兆~3兆円程度だから、その影響がいかに大きいかがわかる。さらに、昨年から市場では不可思議な現象が起こっている。

東証では、株式売買の6割以上を占める海外投資家の動向が、株価に大きな影響を与える。昨年はじめごろから、海外投資家の売りが続くと、それに反して国内の信託銀行が買いに入った。これが何度も繰り返されている。

市場関係者が目を疑ったのは、今年8月に入ってからの信託銀行の動きだ。上海株価の暴落を受けて、海外投資家の売り越しが続いたが、この期間になぜか買い越しを続けていたのが信託銀行だった。経済ジャーナリストの磯山友幸氏は言う。

「株価が下落している中で、信託銀行を介してGPIFが株を買い支えたのではないか。官製相場は、いつか必ずしっぺ返しがくる。海外投資家の信頼を失い、国内市場から引き揚げられかねない」

政府がGPIFの資金で狙っているのは、株価の吊り上げだけではない。

安倍政権は、企業に対して設備投資の拡大と賃上げを繰り返し要求しているが、政府内にはGPIFを利用して企業に圧力をかけるべきとの意見もある。

安倍首相も出席した、政府の経済財政諮問会議でも、そんなやりとりがあった。民間議員であるサントリーホールディングス社長の新浪剛史氏が、GPIFが運用委託している機関投資家に、株主として企業経営に介入することを提案。内部留保の多い企業に、

<3年以内に設備投資するのか賃上げするのか、どうするか決めさせる>(11月27日議事要旨)

という。埼玉学園大の相沢幸悦教授(金融政策)は、驚きを隠せない。


「賃金や設備投資は、企業にとって重要な意思決定で、政府が指図してはいけない。それが、安倍政権はGPIFを使って、株価浮揚という目的を達成しようとしている。来年夏には参院選があるので、今後はゆうちょ銀行やかんぽ生命の資産なども政治利用されるのではないか」

人為的に作られた相場は、いつか必ず滅びる――。これがマーケットの鉄則だ。今年1月、政府はリーマンショックが再来した場合、GPIFが受ける損失の試算結果を公表した。その額はなんと、26.2兆円。実際にリーマンショックのあった08年度の損失額は9.3兆円だったので、約2.8倍に膨らむことになる。これにより年金基金の2割以上が消える。

「株式は高値で売って底値で買うのが基本。しかし、GPIFは資産が巨大すぎて、売りに転じたら国内市場が暴落する。危機の時にも枠がいっぱいなら、機動的な対応ができない。海外の投資家は、それを見越して容赦なく日本株を売り浴びせてくるでしょう」(経済評論家の斎藤満氏)

また、政府は今年10月から格付けが「ダブルB」以下の高リスクな外国債券にも投資できるようにした。これらは「ジャンク債」とも呼ばれ、財政不安に苦しむギリシャ国債も含まれる。こんなリスクは許されるのか。民主党の山井和則衆院議員は言う。

「年金基金は、国民が積み立てたお金を政府が預かっているだけ。だからこそ、安定的な運用が求められる。ハイリスクに運用するのであれば、国民にきちんとした説明をしなければならない。ところが、安倍政権は国会が閉じている時に、審議会の議論だけで変更してしまったのです」

では、ハイリスクな運用をやめ、元のように国内株式の投資比率を10%前後に戻せばいいのかというと、そう簡単な話でもない。野党の幹部は戦々恐々としている。

「安倍首相の退陣後に政権を取っても、国内株への投資比率を下げることは、市場への影響が大きすぎてできない。まともな経済政策に戻すと官製相場が崩壊して、日本発の世界金融危機がおこりかねない」

前出の山井衆院議員は、今のアベノミクスを1912年に沈没した豪華客船「タイタニック」に例える。

「氷山に衝突することがわかっていても、舵を切って避けることができない。安倍首相のやっていることは、とんでもない時限爆弾を抱えることなのです」

一時的な株高に沸いても、いつか現実に戻される日はやって来る。自民党内からも異論が出ている。村上誠一郎衆院議員はこう話す。

「アベノミクスは金融緩和で円安誘導し、財政出動で景気回復を目指したが、経済成長に結びつかなかった。本来であれば、その反省と総括をしなければならない。ところが、GPIFによる運用やさらなる金融緩和で人為的に株価を上げて、経済政策がうまくいっていると国民に思わせようとしている。しかし、これではいずれ財政と金融が同時に大変になる時が来る」

そのとき、日本人の老後の生活を支えるはずの年金が消える。総活躍どころか、やがて「1億総下流」へ転落する日が来るかもしれない。

(本誌・西岡千史、永野原梨香、長倉克枝)

週刊朝日  2015年12月18日号より抜粋

【私の論評】マスコミはGPIFのリスクを重箱の隅を突くように報道するくらいなら、特別会計の埋蔵金について報道せよ(゚д゚)!

上の記事は、週刊朝日のものですが、他にもGPIFのリスクを指摘する記事もあります。さて、GPIFはそんなにリスクが高いものなのでしょうか。私自身は、それほどでもないと思っています。上の週刊朝日の記事は、リスクを煽りすぎていると思います。

その根拠としては、私自身で説明するよりも、『週間闇株新聞』というサイトが非常にわかりやすく解説していたので、その記事を以下に引用します。


「7兆円の運用損」は、何の問題もない! 
闇株新聞がGPIFの運用成績を精査 
国債から株式へのシフトはひとまず成功
昨年秋にポートフォリオを「国債中心から株式での積極運用へ」と大転換したGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用成果を検証! 
■7-9月期は7兆8899億円ものマイナスだったが… 
 11月30日に発表されたGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の2015年7~9月期運用収益は7兆8899億円ものマイナスになっていました。さっそく「年金が危ない」などとする報道もありましたが、あまり目くじらを立てる必要もなさそうです。 
 確かに2015年7~9月期の期間収益率は運用資産比5.59%ものマイナスですが(年率換算ではありません!)、これは2015年8~9月の世界の株式が大きく下落したためです。10月以降の世界の株式市場は大きく回復していますから、2015年10~12月期の運用成績はいくらなんでも回復しているでしょう。 
 そもそも年金運用は超長期の運用なので、短期的な相場変動に一喜一憂する必要はありません。相場が上昇時でも下落時でも指標(インデックス)に大きく見劣る運用でなければ一応は合格です。指標を上回る運用などハナからアテにしないことです。 
■ポートフォリオの大転換は見事なタイミングだった 


 GPIFは昨年(2014年)10月31日付で、厚生労働大臣の認可を受けた「中期計画の変更について」というリリースを出していました。その主な内容は基本ポートフォリオの大幅な変更でした。その内訳は以下の通りです。 
・国内債券60%(上下8%)→35%(上下10%)大幅減
・国内株式12%(上下6%)→25%(上下9%)大幅増
・外国債券11%(上下5%)→15%(上下4%)やや増
・外国株式12%(上下5%)→25%(上下8%)大幅増 
 ところで、このリリースが出された2014年10月31日は、いわゆる「黒田バズーカ2」(日銀の追加量的緩和)が発表された日です。ご存じの通り、そこから日経平均は急上昇し、円安が加速していったのでした。 
 追加量的緩和で株高・円安にしてGPIFの運用成果を向上させようとしたのか、あるいは逆にGPIFの資金を使って一層の株高・円安にしようと考えたのかはわかりませんが、とにかく「見事に連携を取っていた」ことになります。 
 これには「よくやっていたじゃないか!」と少し感心しています。2012年12月に安倍政権が発足して急激に円安・株高が進んだ局面では、ジョージ・ソロスらヘッジファンドに収益機会を提供しただけだったことを考えれば、大変な進歩です。 
■GPIFの運用成果を詳しくチェック! 
 運用方針が変更される直前(2014年9月末)の国内株式の運用残高は23兆8635億円、年金積立金全体に占める構成割合は17.79%でした。9月末の株価は日経平均1万6173円/TOPIX1326.29ポイントでしたが、10月17日に日経平均1万4532円/TOPIX1177.22ポイントの安値を付けています。 
 運用方針の変更は株価的にも絶好のタイミングだったのです。 
 次に、四半期毎に収益額(運用資金の増減ではなく純粋の運用成果だけです)と期末のTOPIXを比べてみます。 
 この1年間の国内株式の収益合計は2兆1022億円で、その間のTOPIXは1326.26から1411.16まで6.4%上昇、2014年10月17日の安値からだと19.9%も上昇しています。 
 2015年9月末の国内株式の運用残高がなぜか記載されておらず、年金積立金全体に占める比率が21.35%とだけ記載されています。 
 同時点の運用資産額は135兆1087億円ですが、年金積立額はこれより3~5%多いはずです。とすれば、国内株式の運用総額はだいたい29兆7000億円~30兆3000億円だったと見積もることができます。 
結論:GPIFの積極運用への変更は「成功」 
 2014年9月末~2015年9月末の国内株式の収益額合計は2兆2011億円で運用資産は6兆1365億円も増えています。ということは、GPIFはこの1年間に国内株式を約4兆円買い増していたことになります。 
 仮に2014年9月末時点の国内株式運用残高23兆8635億円をそのまま1年間維持していたとすれば、運用収益はTOPIXの上昇幅(+6.4%)と同じとして、1兆5272億円のプラスです。 
 つまり、この1年間で4億円買い増したことで収益額は6000億円ほど多くなったことになり、買い増した4兆円も15%の収益を上げていたことがわかります。 
 以上から、追加量的緩和とタイミングを合わせたGPIFの積極運用への変更は、とりあえず「成功」だったと言えるでしょう。
以上のように、GPIFの運用は、とりあえずは「成功」と見て良いようです。ただし、「とりあえず」という言葉通り、 そもそもそもそも年金運用は超長期の運用なので、短期的な相場変動に一喜一憂する必要性など全くありません。

株式運用というと、日本人は忌避感が強く、単なる個人の博打のように考えてしまう人も大勢います。確かに、一般の個人が株式運用するのは、博打に近いものがあります。しかし同じ個人でも、最低1億円以上の資金を株式に運用できる人であれば、博打とは言えないと思います。なぜなら、この程度の資金を運用できるのであれば、分散投資をすることにより、リスクを回避することが可能になるからです。

しかし、上の朝日新聞の記事はこのことを無視して、GPIFの株式運用をまるで、個人の博打のように危険なものとしています。

以上のようなことから、ブログ冒頭の週刊朝日の記事は、話半分に読んでおくべきでしょう。

それにしても、この週刊朝日の記事に限らず、マスコミはなぜか、経済特にマクロ経済に関しては頓珍漢、奇妙奇天烈な報道ばかりします。そうして、とにかく煽り報道をするのが常です。

極めつけは、国の借金国民一人あたり、1000万円超というものです。これに関しては、最近でもこのブログに掲載し、その間違いを指摘したばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
税収上ぶれで国庫収支改善 「国の借金」1054兆円だが資産も653兆円―【私の論評】日本国借金まみれ説は、財務省と追従者が築く馬鹿の壁(゚д゚)!


詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事で、国には国民一人あたり1000万円の借金があるなどというのは、全くの間違いであり、国民一人あたり政府に1000万円の金を貸し付けているというのが真実です。

そもそも、国の借金=政府の借金ではなく、日本政府は確かに多大な借金をしていますが、日本国は借金どころか、世界で一番お金を貸し付けている国です。

そうして、政府の借金(負債)とはいっても、日本の政府は世界で一番金融資産を持つ政府であり、この資産と負債を相殺すると、日本政府の借金は確かに実額は巨大ですが、GDP比で比較すると、他の先進国と比較してさほど多くもありません。

日本政府は世界で一番金融資産を持つ政府なのですが、ではそれはどこにあるかといえば、そのほとんどが、財務省により特別会計に計上されています。

この特別会計には、様々なものがありますが、以下に3つの特別会計を説明します。

まず、国債整理基金特別会計です。一般会計又は特別会計からの繰入資金等を財源として公債、借入金等の償還及び利子等の支払いを行う経理を一般会計と区分するために設置された特別会計です。定率繰入れ等の形で一般会計から資金を繰り入れ、普通国債等の将来の償還財源として備える「減債基金」の役割もあります。

この「減債基金」は、先進国で日本しかありません。他の先進国では昔はありましたが、公債市場が大きくなって整備されると償還財源はその都度借換債で調達するので、「減債基金」はなくなったのです。そういえば、民間会社で社債の「減債基金」もありません。将来の借金償還のために、さらに借金をする必要がないわけです。

この観点から見ると、2015年度予算の11.6兆円の定率繰入は過大な計上で、不要です。
また、利払費が9.7兆円です。しかし、この積算金利は1.8%と過大です。おそらく2兆円くらいは過大計上になつています。

次に労働保険特別会計。労災保険と雇用保険を経理するために設置された特別会計です。労災保険は、業務上の事由等による労働者の負傷等に対して迅速かつ公正な保護をするための保険給付及び被災労働者の社会復帰の促進等を図るための社会復帰促進等事業を行うもの、雇用保険は、労働者の失業中の生活の安定、再就職の促進等を図るための失業等給付及び雇用機会の増大等を図るための雇用保険二事業を行うものです。

2013年度の労働保険特別会計財務書類をみると、雇用勘定のバランスシートで7.1兆円の資産負債差額があります。いわゆる埋蔵金です。これは、高めの雇用保険料にもかかわらず失業保険給付が少ないために生じたものです。これは、国民に還元すべきでしょう。

最後に、外国為替資金特別会計。政府が行う外国為替等の売買に関し、その円滑かつ機動的な運営を確保するため外国為替資金が設置されるとともに、その運営に伴って生じる外国為替等の売買、運用収入等の状況が区分経理するために設置された特別会計です。

外為資金として127.9兆円(2013.3末)。このうち外貨債権は103兆円(証券は99.5兆円、貸付3.5兆円)です。ちなみに、外貨証券の満期は1年以下1割、1年超5年以下6割、5年超3割)となっています。一方、外貨負債はありません。ということは、円安は資産を膨らませるだけであり、政府財政にとっては確実にプラスである。ざっくりみると、外為資金での円安による評価益は20兆円程度ありそうです。

この3つの特別会計だけでも、10兆円もの特にすぐに必要とも思えないようなお金が財務省によって積み上げられています。

この特別会計余分なもの全部とはいいませんが、少なくとも10兆円くらいは国民に還元すべきものと思います。こんなに金があるんですから、そもそも増税など必要ありません。1

10兆円というと、現在日本にはデフレギャップが10兆円ほどあるいわれています。これを元手に補正予算を組めば、10兆円で様々な対策が実行でき、日本は完璧にデフレから脱却して、緩やかなインフレに一直線に飛躍することができ、実体経済もかなり良くなります。そうなれば、増税しなくても、経済成長によって、景気が良くなり税収も増えます。

GPIFのリスクを重箱の隅をつつくように報道するくらいなら、マスコミは以上のようなことを報道すべきものと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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