2022年10月30日日曜日

経済対策を懸けた仁義なき戦い 萩生田政調会長を激怒させた財務省の“禁じ手” 「責任を取るのはあなたたちじゃない」―【私の論評】萩生田氏のように闘う政治家を一人でも多く増やせ(゚д゚)!

経済対策を懸けた仁義なき戦い 萩生田政調会長を激怒させた財務省の“禁じ手” 「責任を取るのはあなたたちじゃない」

「禁じ手には禁じ手で返した」。
自民党の政策責任者・萩生田光一政調会長は、総合経済対策を巡る財務省との攻防をこう表現した。与党四役の一人を怒らせた、財務省の“禁じ手”とは一体何だったのか。
29兆1000億円の巨額予算を巡る“仁義なき戦い”の舞台裏を追った。

自民党政調全体会議(10月26日午後)

■会議中に入った岸田総理からの電話
10月26日午後、東京・平河町の自民党本部9階の会議室。物価高や円安などに対応するための総合経済対策をテーマにした会議を取り仕切っていた、萩生田政調会長の携帯電話に着信が入る。電話の主は岸田総理だった。

「これで了承しているのか」

岸田総理が電話で確認したものは、総合経済対策の総額だった。その直前、総理官邸を訪れた鈴木財務大臣から「25兆円」との報告を受けていたが、昨年並みの「30兆円規模」を求めてきた萩生田氏らが納得する数字だとは到底思えなかったのだ。 

「今、議論しているところで、了承はしていません」
「そうか、ごめんな」

萩生田氏の返事に、岸田総理は思わず謝った。自民党内での会議が佳境を迎えているタイミングであることを把握していなかったからだ。

決定に進んでいた総合経済対策がこの電話で一気に振り出しに戻った。
「規模は大事」と言い続けていた総理も「これでは足りない」との認識を示したという。

■「責任取るのはあなたたちじゃない」静かな怒りに青ざめる財務官僚
与党の国会議員たちが総合経済対策の検討を重ねている最中に、総理にその全体像の報告を行う財務省の姿は、与党の議論をまるで無視するかのように映る。萩生田氏にとっては、まさに掟破りの“禁じ手”そのものだった。

岸田総理との電話を終え、会議室に戻った萩生田氏は憮然とした表情でマイクを握った。居並ぶ国会議員や官僚らを前に、岸田総理との電話のやり取りを明かしたのだ。

「党で経済対策の中身について議論をしている最中に財務省はマナー違反だ」

抑制的ではあるが、明らかな怒りが込められた言葉に会場は騒然となったという。

安倍政権を官房副長官として支えた経験のある萩生田氏にとって、総理と一対一で行った会話の内容を公表することもまた“禁じ手”であった。あえて、その“禁じ手”を使ったのは、経済対策を巡る財務省との戦いに決して負けないとの決意の表れだった。

「政策の責任をとるのはあなたたちじゃない、国民に選挙で選ばれた我々なんだ。結果の責任は我々が問われるんだ」

参加者によると、会議に出席していた財務官僚はそう指摘されるとみるみる顔色が青ざめていったという。

自民党政務調査会のメンバーからも「財政民主主義を破壊する行為だ」「財務省はおかしいぞ」などと批判の声が上がっていった。

■「もう一度、規模を見直せ」岸田総理が飛ばした指示
「景気の下振れリスクも考慮して、もう一度、規模を見直せ」

自民党内で財務省の動きへの反発が高まったことを受けて、岸田総理は財務省の示した予算額「25兆円」の見直しを指示した。

財政の規律を重視し、そもそもは「15兆円規模」の経済対策を目指していた財務省にとって、大きな後退を意味した。萩生田氏の“禁じ手”返しを受けて、財務省幹部が急きょ、政調会長室に駆けつけ、その日の内に、一気に約4兆円が積み増され、「29兆円規模」に予算額が拡大された。目標とする「30兆円」には及ばなかったが、萩生田氏らによる短時間の巻き返しが際立つ結果となった。

■「積極財政」VS「財政規律」
10月28日に閣議決定された総合経済対策の規模は29兆1000億円。萩生田氏は記者団を前に「物価高克服、経済再生実現のための総合経済対策として、タイトルにふさわしい内容と規模のものになった」と胸を張った。同時に財務省との攻防を振り返り、「中身が決まって初めて規模が決まるので、規模が先に決まったら、そこに中身を押し込まなきゃならないことになる。政府・与党でお互いに反省して、しっかり連携できる体制を作っていきたい」と牽制するのも忘れなかった。

一方で、多額の補正予算の編成を繰り返すことによる財政悪化を懸念する声は財務省以外からも上がっている。

「財政的なことをしっかり考えて予算編成をしておかないと。外国を見ても教訓になるような国もありますから、そういうことにならないということが大事」

自民党四役の一人、森山裕選挙対策委員長は、大型減税など、財源の見えないバラマキ政策がポンドの通貨としての信用を失わせ、トラス前首相の交代の要因となったイギリスを念頭に警鐘を鳴らす。

また、鈴木財務大臣は閣議決定後、今後の連携をこのように強調した。

「与党の議論を無視をして財務省の考えを押し通すとか、そういうことは毛頭考えていない」
「50兆規模が必要という方もいれば30兆が発射台という方もいた」

だが、財務省内には依然として不満が渦巻いている。

これから議論が本格化する来年度予算編成では巨額の増額が予定される防衛費をはじめ、自民党と財務省の財源を巡る綱引きが激化することが確実視される。

次なる、“仁義なき戦い”はどんな結末を迎えるのか。そして、国民に何をもたらすのか。その動きを注視していきたい。

(TBSテレビ報道局政治部・与党担当 守川雄一郎)

【私の論評】萩生田氏のように闘う政治家を一人でも多く増やせ(゚д゚)!

上の記事だけだと理解しずらいところがあります。そもそも、萩生田氏がなぜ30兆円にこだわったのかというところが何も説明されていません。

なぜ30兆円なのかとぃう理由には、日本経済には現在デフレギャップが30兆円以上もあるとの見積もりがあるからです。それを埋めるためには、30兆円以上の経済対策が必要だからです。

上の記事で気になるところがあります。

萩生田政調会長の以下の発言です。

「中身が決まって初めて規模が決まるので、規模が先に決まったら、そこに中身を押し込まなきゃならないことになる。政府・与党でお互いに反省して、しっかり連携できる体制を作っていきたい」

デフレギャップを埋めるためには、まずはそれを埋めるための規模が必要であり、その規模が決まってから、政治家がその時々で重要な政策や、すぐにも効果が上がりそうな経済対策を考えるというのが筋です。これこそ、政治家の腕の見せ所ともいえます。そもそも、デフレギャップを埋めるだけの予算がなければ、まともな経済対策などできません。

極端なことをいえば、現金をヘリコプターで上空からばらまいても良いからとにかく、素早くデフレギャップを埋める対策をすべきなのです。それを知らない小鳥脳のマスコミは、「バラマキ」などと批判しています。「バラマキ」結構。とにかくスピードが必要なのです。

ヘリコプター・マネーは欧米では常識

ヘリコプター・マネーについては、今年ノーベル経済学賞を受賞した元FRB議長のバーナンキ氏は、「日銀はケチャプでもなんでもも買えば良い」としてこれを提唱していました。反対される方がたは、是非ともそれを論文にまとめて発表してください。ノーベル委員会がそれを認めれば、日本初のノーベル経済学賞ということになります。

以上のようなことから、私は萩生田政調会長が、本当にこのような発言をしたか否かについては、はなはだ疑問です。経済に疎い小鳥脳と揶揄される大手新聞の経済記者が萩生田政調会長の発言を聞き違えているのではないかと思ってしまいます。

ただ、日本の政治家は一般にマクロ政策にかなり疎いので、萩牛田氏もそのようなところがあるのかもしれません。その点、マクロ経済政策を理解していた安倍元総理大臣とは違うところなのかもしれません。ただ、やはり私には萩生田氏がこのような発言をしたとはとても噛んがられません。


ただし、「政策の責任をとるのはあなたたちじゃない、国民に選挙で選ばれた我々なんだ。結果の責任は我々が問われるんだ」という発言は、正しいです。というか、これが本来の姿です。

財務省の官僚は、政府の人事によって選ばれるのであり、政治家のように国民から付託を受けているわけではありません。

財務に関する目標は、政府が決め、財務省はその目標を実現するために専門家的立場から、様々な方法の中から選んで実行するというのが本来のあり方です。日銀の独立性も同じことです。金融政策の目標は政府が決めるものであり、日銀の官僚はその目標に従い、専門家的な立場からその実現のために自由に方法を選ぶことができるというのが、世界標準の中央銀行の独立性というものです。

小鳥脳のマスコミが言うように、日銀が政府の金融政策目標まで決めてしまうというのが、中央銀行の独立性というわけではありません。

しかし、それを無視して、財務省が補正予算の額を決めたり、日銀官僚が金融政策の目標を決定することなど本来あってはならないことです。

財務省の官僚がどうしても日本政府の財務目標などを自ら決めたいというのであれば、官僚をやめて選挙に出馬し、政治家になり、さらに政府内で財務に関与できるような地位に上りつめるのが正しいありかたであり、官僚のままそれを実行しようとするのは明らかな間違いです。

官僚としできるのは、政治家に対して助言や、意思決定のための情報を提供するまではできますが、それを超えてしまえば、完璧な越権行為です。

これは、民間会社であれば、取締役でもない社員の財務部長が、会社の財務目標を定めようとするようなものであり、あり得ない行為です。度が過ぎれば、明らかな越権行為であり、商法や、会社法違反になってしまいます。

財政悪化を懸念する声は、おそらく財務省からの説得によるものと考えられます。そもそも、現在の日本では、財政破綻する可能性などありません。円安により、為替特会の含み益は37兆円にもなっており、これを財源にすることも十分に考えられます。

これに対して適当ではないと岸田総理大臣や、鈴木大臣は言いますが、ではなぜ日本以外の国々、特に先進国には、そもそも為替特会がなぜ存在しないのか、合理的に説明をしていただきたいものです。必要ないから、ないのであり、必要ないものを取り崩して、財源とすることに、何ら問題はないはです。

日本だけに特有の特殊事情があったとして、それを論文にまとめれば、これまたノーベル経済学賞は確実です。岸田首相や鈴木財務大臣は、確固たる自信があるというのなら、是非朝鮮スべきです。

上の記事では、以下のよう主張をする人もいます。
自民党四役の一人、森山裕選挙対策委員長は、大型減税など、財源の見えないバラマキ政策がポンドの通貨としての信用を失わせ、トラス前首相の交代の要因となったイギリスを念頭に警鐘を鳴らす。
しかし、日英ではマクロ経済の状況は全く異なるので、この主張も間違いです。それは、以前このブログで掲載した、表を見ていただければ、一目瞭然です。以下にその表を再掲します。

デフレギャップが存在するのに、日本では減税はすべきではないとの主張は、日本経済における特殊な事情があるというなら、これも論文にまとめれば、これまたノーベル経済学賞は確実です。

上の表の説明の詳細は、当該記事をご覧になってください。ここでは、詳細は説明しません。

以前もこのブログで述べたように、財務省で出世するにはできるだけ、多くの緊縮・増税をするかが決め手になります。これこそ、「財務真理教」です。

彼らは国益よりも省益、自分の出世と天下りが大事なのです。財務省入省後に厳しい洗脳が始まります。円安で政府が儲かった分を防衛費に廻すなどのことはせずに、防衛増税をしてその結果日本が再び失われた30年に見舞わて、国民が苦しもうが、全く頓着しないのですから、異様なカルト集団といわざるをえないです。

日本では、統一教会が問題視されていますが、一番問題なのはカルトの財務真理教です。このようなカルトになぜ、大勢の政治家が恭順するのか、理解できません。

萩生田政調会長による今回の「禁じ手」の背景が、政治家や国民の多くが知ることとなり、異様なカルト集団「財務神理教」がまともな本来そうであるべき官庁組織に戻れば良いと思います。

ただ、現在自民党の中にも安倍元総理には及ばないものの、マクロ経済を理解する議員も増えてきています。

日銀が金融政策を間違え、財務省が財政政策を間違え続け、それを政治家や国民が許容しつづけたために、日本は「失われた30年」といわれるように、平成年間のほとんどの期間経済が発展しませんでしたし、賃金も上がりませんでした。

令和年間はそうならないように、今回の萩生田政調会長の発言の背景を拡散すべきですし、選挙においては、マクロ経済音痴の政治家には投票せず、マクロ経済音痴の政治家しか当該選挙区にいない場合は、マクロ経済に理解を深めるように陳情すべきです。

そうして、萩生田氏のように財務真理教団と闘う政治家を一人でも多く増やすべきです。

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