2022年10月23日日曜日

安保、資源で「準同盟」強化 中国を警戒、重なる思惑 日豪―【私の論評】2015年の安倍政権による安全保障法制の整備がなければ、豪州をはじめとする他国の関係はかなり希薄なものになっていた(゚д゚)!

安保、資源で「準同盟」強化 中国を警戒、重なる思惑 日豪

コアラを抱いて記念撮影するオーストラリアのアルバニージー首相(左)と岸田首相=パースで2022年10月22日

 日本とオーストラリアが安全保障協力を深化させる新たな宣言を打ち出したのは、インド太平洋地域で軍事力を背景に影響力を増す中国に対抗するためだ。 【写真】談笑しながら会談へ向かうオーストラリアのアルバニージー首相と岸田文雄首相  約15年前に締結した共同宣言に中国の脅威を念頭に置いた文言はなく、今回の「改定」で現実の安保環境を踏まえた内容にリニューアルした。「準同盟国」と位置付ける豪州との連携強化で「増大するリスク」(新宣言)に備える。  両首脳が新宣言に署名した22日はくしくも中国共産党大会の閉幕日と重なった。岸田文雄首相は共同記者発表で「安全保障、防衛協力をさらに深化させる充実した内容だ」と意義を強調。アルバニージー首相も「この画期的な宣言が地域に強力なシグナルを発信する」と息の合ったところを見せた。  日豪は07年3月に当時の安倍晋三首相とハワード首相が安保共同宣言に署名し、徐々に関係を進めてきた。ただ、豪州は中国との自由貿易協定(FTA)が15年に発効するなど、中国との貿易関係も重視してきた。

豪ハワード首相(左) と安保共同宣言に署名する安倍首相(右 ) 
 豪中関係は、
新型コロナウイルスの発生源を巡り、豪州が20年に独立した調査を求めたことに中国が反発して冷え込んだ。今年4月には、安保上の「要衝」である南太平洋のソロモン諸島と中国が安保協定を締結するなど、豪州にとって中国が懸念材料となっている。  一方、日豪は21年、海上自衛隊の護衛艦が豪軍艦艇を警護する「武器等防護」を実施。自衛隊が米軍以外を警護するのは初めてだった。22年には日豪の部隊が互いの国を訪問する際の法的地位などを定めた「円滑化協定」で合意した。外務省幹部は「唯一の同盟国・米国を除けば、豪州は日本にとって特別な地位にある」と指摘する。  豪州側も米国、インドを加えた日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」などを軸に、中国の覇権主義的な動きを押しとどめたい考えだ。  ◇会談場所はLNG輸出拠点  日豪首脳が会談場所に選んだ豪州西部パースは液化天然ガス(LNG)や鉄鉱石の輸出拠点として知られる。豪州は日本が輸入するLNGの約4割、鉄鉱石の6割を供給する一大資源国だ。  今回の訪豪は、ロシアのウクライナ侵攻に起因する原材料価格上昇への対策も重要テーマだった。岸田首相は共同記者発表で「協力をさらに進展させることで一致した」と資源・エネルギーの安定供給確保をアピールした。 

【私の論評】2015年の安倍政権による安全保障法制の整備がなければ、豪州をはじめとする他国との関係はかなり希薄なものに(゚д゚)!

22日に署名された日豪共同宣言の第6項

「我々は、日豪の主権及び地域の安全保障上の利益に影響を及ぼし得る緊急事態に関して、相互に協議し、対応措置を検討する」(日本外務省による和文)

岸田文雄首相とオーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相が22日に署名した新し「安全保障協力に関する日豪共同宣言」の第6項に盛り込まれた文言です。

共同宣言は拘束力を伴う国際条約ではありません。このため、他国から武力攻撃を受けた際、互いに防衛義務を負う軍事同盟とは異なります。それでも、共同宣言の一文は、有事の際に日豪が共同作戦を行う可能性に道を開いたものとして関心を集めています。

日豪が戦火を交えた第2次世界大戦の終結から77年。安倍晋三元首相とジョン・ハワード元首相が2007年に締結した最初の安保共同宣言から15年を経て、安保協力を強化してきた両国関係は非公式に「準同盟」とも称されます。今回の新しい共同宣言は、中国の海洋進出やロシアによるウクライナ侵攻など激変する安全保障環境に合わせ、日豪の防衛協力をさらに一段と格上げした格好です。

 1942年日本軍に爆撃された豪州ダーウィン

アルバニージー首相は第6項の文言について「日豪の戦略的連携の強いシグナルを送るものだ」と述べた上で、「緊急事態の相互協議への取り組みは、地域の安全と安定を支える自然な一歩となる。地域の安全保障に対して、両国は互いに責任を共有する」と指摘しました。

同日付の豪州公共放送ABC(電子版)は、「画期的な安保防衛協力の共同宣言に署名」との見出しで伝え、「安保協力の水準を著しく引き上げるものだ」と評しました。

民間シンクタンク「オーストラリア国際問題研究所」(AIIA)の代表で東アジアの国際問題に詳しいブライス・ウェイクフィールド博士はABCに対し、第6項の文言は日米や豪米の同盟関係のように明確な義務を約束するものではないものの、「相互防衛の担保に向け前進した」と解説しました。

「日本にとって(共同宣言は)安全保障上の新しい道筋となる。日本は過去に日米同盟に強く依存してきたが、現在はオーストラリアのような主要パートナーとの間で安保のネットワーク化に傾斜している」(ウェイクフィールド博士)

2014年7月1日、安倍政権は「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」を閣議決定しました。2015年(平成27年)5月14日、国家安全保障会議及び閣議において、平和安全法制関連2法案を決定し翌日、衆議院及び参議院に提出しました。

この時には、皆さんもご存知のように、国会議事堂前で大規模な反対デモが行われました。しかし、 平和安全法制関連2法案は可決され、成立しました。これを当時のマスコミや野党は、「強行採決」として反発しました。当時は、この安保法制整備がなされた途端に戦争が起こるとか、徴兵制が復活になるなどのデマが飛び交いました。

しかし、そのようなことは未だに起こっていません。むしろ、この時期に安保法制の整備がなされなければ、戦争の確立は高まっていた可能性のほうが大きいです。


2015年安保法制改正に反対する国会前のデモ

しかし、これがなければ、現在の日本とオーストラリアの関係は現在よりは、はるかに希薄なものになっていたでしょう。上の記事にもある通り、日豪は21年、海上自衛隊の護衛艦が豪軍艦艇を警護する「武器等防護」を実施しましたが、これも当然なかったでしょう。

安保法制の改正など、政権の維持だけを考えた場合、実施しないほうが良いに決まっていますが、それでも当時の安倍総理はこれを実行しました。このことがなければ、当然のことながら、今日のオーストラリアと日本との関係等もなかったものと思います。無論、現在同盟国や準同盟国などの他の国々との関係も、現在よりはるかに希薄なものになっていたでしょう。

それを考えると、安倍元総理の決断はまさに時宜を得たものでした。それだけではなく、安倍政権下において、日銀は金融緩和に転じ、雇用状況は過去にないほど良くなりました。だからこそ、多くの人は安倍元総理を支持し、安倍政権は憲政史上に残る最長の政権になったのです。国会前で大騒ぎのデモの参加者も単なるノイジー・マイノリティーであることがはっきりしました。

岸田総理には、安倍元総理のように一時政権支持率を下げても、国民国家のために、実施すべきことはするという決断力があるのでしょうか。岸田総理にも安倍元総理のような政治家としての矜持をみせてほしいものです。

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