まとめ
- ウクライナ軍は8月2日にクリミア半島のセバストポリ港でロシアの潜水艦「ロストフナドヌー」を撃沈したと発表。
- 撃沈が確認されれば、ロシア海軍にとって大きな損失となる。
- ウクライナ国防省はSNSで潜水艦の沈没を報告し、攻撃した兵士たちを称賛。
- ロシア側は潜水艦の防御演習が行われていたとし、地域は落ち着いていると主張。
- ウクライナ軍はクリミアでS-400地対空ミサイルの発射機4基にも損傷を与えたと報告。
ロシア軍の通常型潜水艦、キロ級「ロストフナドヌー」 |
ウクライナ軍参謀本部は、8月2日にロシアが併合したクリミア半島のセバストポリ港でロシア軍の潜水艦「ロストフナドヌー」を攻撃し、沈没させたと発表しました。ただし、証拠は示されていません。もし撃沈が確認されれば、ロシア海軍にとって大きな痛手となります。ウクライナ国防省もSNSで潜水艦の沈没を報告し、攻撃した兵士たちを称賛しました。
一方、ロシア側は潜水艦の防御演習が行われていたとし、市内は落ち着いた状況だと報告しています。また、ロシアの軍事ブロガーは、潜水艦が修理ドックで攻撃を受けた可能性を指摘しました。
「ロストフナドヌー」は2014年に進水したキロ級潜水艦で、昨年9月にウクライナ軍の攻撃で損傷しましたが、その後修理が完了し、試験が行われていました。さらに、ウクライナ軍はクリミア半島でS-400地対空ミサイルの発射機4基にも損傷を与えたと報告しています。
この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。「まとめ」は元記事の要点をまとめ箇条書きにしたものです。
【私の論評】ロシア潜水艦『ロストフナドヌー』撃沈が示す対空能力低下とウクライナ戦争への影響
まとめ
- 今回の撃沈が本当であれば、ロシアの対空能力低下の可能性がある。S-400地対空ミサイル発射機の損傷や潜水艦撃沈の報告がその証拠となる可能性。
- 撃沈されたとする潜水艦は、カリブル巡航ミサイル搭載可能な改良型キロ級潜水艦で、ロシア黒海艦隊の重要な資産である。
- 米国の支援によるウクライナ軍の防空システムの強化や監視能力の向上が影響している可能性がある。
- ロシア海軍の能力低下、ウクライナの士気向上、国際社会からの支援増加の可能性がある。
- ロシアの戦略変更や報復攻撃の可能性があり、状況の推移を注視する必要がある。
ウクライナ軍がロシアの潜水艦「ロストフナドヌー」を撃沈したとする報告が事実であれば、これはロシアの対空能力の低下を示す重要な証拠となります。まず、ウクライナ軍はクリミア半島でロシアのS-400地対空ミサイル発射機4基に激しい損傷を与えたと報告しています。S-400はロシアの最新鋭の防空システムであり、これが機能していれば潜水艦への攻撃を防ぐことができた可能性かあったはずです。
S-400地対空ミサイル発射機 |
次に、ロシア側は潜水艦の防御演習が行われていたと主張していますが、その最中に攻撃を受けたことは、防空体制が十分に機能していなかったことを示唆しています。また、潜水艦「ロストフナドヌー」は修理ドックに入っていた際に攻撃を受けたとされ、修理中の艦艇は通常、防空システムによって厳重に守られるべきであるため、これができていなかったことはロシアの防空能力の脆弱性を示しています。
ロストフナドヌーはカリブル巡航ミサイルを搭載可能で、これらのミサイルはウクライナの重要インフラに対する攻撃に使用されてきました。2023年9月13日にはウクライナ軍のミサイル攻撃により損傷を受け、その後ロシア側が修理を行っていたとされています。
巡航ミサイル「カリブル」 |
また情報収集に支障がでる可能性もあります。潜水艦による情報収集活動には、いくつかの具体的な手法があります。まず、電子情報収集では敵の通信や電子機器からの信号を傍受し、分析します。また、音響情報収集では水中音響センサーを用いて敵艦船や潜水艦の動きを追跡します。沿岸監視では敵の港湾施設や防衛システムの活動状況を観察し、海底ケーブル傍受では海底通信ケーブルを通じて通信内容を収集します。さらに、写真や映像撮影を行い、特殊部隊の輸送や回収を支援することもあります。
ロストフナドヌーのような潜水艦が失われると、ロシアの情報収集能力が著しく低下する可能性があります。
さらに、ウクライナ軍はクリミア北部のジャンコイにあるロシア空軍基地を攻撃し、防空ミサイルシステム「S-400」などを破壊したと報告しています。これもロシアの防空能力が低下している証拠です。最後に、米国はウクライナに対してパトリオットやNASAMSなどの防空ミサイルシステムを追加供与することを決定しています。これは、ロシアの防空能力が低下していることを受けて、ウクライナの防空能力を強化するための措置と見られます。
また、米軍はウクライナに対して航空機や監視衛星を用いた監視支援も行っています。米軍の無人偵察機「グローバル・ホーク」や「MQ-9リーパー」は、情報収集、監視、偵察(ISR)活動において重要な役割を果たしています。これにより、ウクライナ軍はロシア軍の動きをリアルタイムで把握し、効果的な攻撃を実行する能力を高めています。特に、グローバル・ホークは高高度から広範囲を監視できるため、敵の動きを詳細に追跡することが可能です。
ロストフナドヌー潜水艦の沈没が事実であれば、ウクライナ戦争に多くの影響を与える可能性があります。まず、ロシア海軍の能力が低下し、黒海艦隊の海上作戦が制限されることが考えられます。この損失はウクライナ軍と国民の士気を高める要因となり、戦争の心理的側面において重要な影響を与えるでしょう。
“トランプ氏のウクライナ平和計画”ポンぺオ元国務長官ら寄稿 「ロシアは勝てない」―【私の論評】トランプ氏の新ウクライナ政策:支援強化と柔軟な外交戦略の可能性
2024年7月27日
さらに、ウクライナ軍はクリミア北部のジャンコイにあるロシア空軍基地を攻撃し、防空ミサイルシステム「S-400」などを破壊したと報告しています。これもロシアの防空能力が低下している証拠です。最後に、米国はウクライナに対してパトリオットやNASAMSなどの防空ミサイルシステムを追加供与することを決定しています。これは、ロシアの防空能力が低下していることを受けて、ウクライナの防空能力を強化するための措置と見られます。
また、米軍はウクライナに対して航空機や監視衛星を用いた監視支援も行っています。米軍の無人偵察機「グローバル・ホーク」や「MQ-9リーパー」は、情報収集、監視、偵察(ISR)活動において重要な役割を果たしています。これにより、ウクライナ軍はロシア軍の動きをリアルタイムで把握し、効果的な攻撃を実行する能力を高めています。特に、グローバル・ホークは高高度から広範囲を監視できるため、敵の動きを詳細に追跡することが可能です。
グローバル方向 |
さらに、ロシアは海上からの作戦を縮小し、陸上や空中からの攻撃にシフトする可能性があります。この事件は国際社会においてウクライナの防衛能力の向上を示すものとして受け止められ、さらなる軍事支援を引き出す要因になるかもしれません。
また、黒海地域の軍事バランスにも影響を与え、他の沿岸国の戦略を変える可能性があります。
これらの要素を総合すると、ロシアの対空能力が低下している可能性があり、潜水艦撃沈事件はその一例と考えられます。
しかし、ロシアが報復攻撃を強化するリスクも考慮する必要があります。これらの影響は、状況の進展によって変わる可能性があるため、注意深く見守る必要があります。
【関連記事】
2024年7月27日
0 件のコメント:
コメントを投稿