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2018年3月20日火曜日

【日本の選択】野党に政権担当能力がない悲劇 弱点の多い安倍政権を支持せざるを得ず―【私の論評】ポスト安倍の自民党も政権担当能力があるとは言えない(゚д゚)!

【日本の選択】野党に政権担当能力がない悲劇 弱点の多い安倍政権を支持せざるを得ず

第3次安倍第3次改造内閣 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 財務官僚による決裁文書の改竄(かいざん)など、脇の甘さが目につく安倍政権だが、この政権を支えているのは、どのような人たちなのだろうか。

 私自身は、極めて消極的な安倍政権の支持者である。安倍晋三首相を熱烈に支持しているわけではないし、自民党以外は一切認めないという自民党原理主義者でもない。しかし、他に選択肢がまったく存在しないから、安倍政権を支持せざるを得ないのである。

 端的に言えば、「野党が政権を担う能力を有していない」との判断から、多くの国民が安倍政権を消極的に支持しているのではないだろうか。

 安倍政権や自民党が完璧だとは思わないが、「野党よりはまし」という判断から安倍政権が支持される結果になっている。安倍政権の最大の応援団は「野党の無能さ」だという、笑うに笑えない冗談のような現実を見ると、眩暈(めまい)がしそうになる。

 立憲民主党をはじめとする野党があまりに不甲斐ないのは周知の通りだが、広く国民に訴えておきたい事実がある。

あまりに不甲斐ない野党の筆頭、立憲民主党、彼らは立憲民主主義とは何を意味するかさえ知らない

 岡田克也元外相率いる「無所属の会」というグループ(衆院会派)がある。「無所属の会」なのだから、無所属の政治家の集まりだろうと思うのが、国民の常識というものだ。

 だが、彼らは国民が想像する無所属の政治家ではない。民進党の政党交付金で政治活動し、民進党の役職に就いている政治家も存在する。具体的には岡田氏は「無所属の会」の代表でありながら、民進党の常任顧問に就いている。

 民進党を離党し、本当の意味で無所属を貫いている鷲尾英一郎衆院議員=新潟2区=は自身のブログで昨年11月17日、「無所属の会」を以下のように批判していた。

 「民進党の政党交付金で政治活動し、民進党の役職を受けているメンバーが会派をつくっているのであれば、会派の名称は『無所属の会』ではなく、まさに『民進党』がふさわしいではないか」

 まことに正論である。鷲尾氏が指摘するように、彼らは正々堂々と「民進党」を名乗るべきなのだ。

無所属とはいえない「無所属の会」の看板かけ

 「無所属の会」について、週刊ポスト(2018年2月16・23日号)が「一人メシ事件」として、次のような記事を掲載していた。

 1月16日夜、都内のホテルで会合が開かれた。十数人の出席者には弁当が用意されておらず、岡田代表だけが会合前にスーパーで購入したサンドイッチを食べ、腹を空かせた議員から「代表だけ食べるのか」と不満がもれたという。

 何があろうとも、現在の野党に政権を担当させるわけにはいかないと考える日本国民は健全だ。常識ある野党が出現しない限り、弱点の多い自民党政権が継続せざるを得ない。日本の悲劇である。

 ■岩田温(いわた・あつし) 1983年、静岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同大学院修士課程修了。拓殖大学客員研究員などを経て、現在大和大学政治経済学部政治行政学科専任講師。専攻は政治哲学。著書に『平和の敵 偽りの立憲主義』(並木書房)、『人種差別から読み解く大東亜戦争』(彩図社)、『「リベラル」という病』(同)など。

【私の論評】ポスト安倍の自民党も政権担当能力があるとは言えない(゚д゚)!

まずは、最近の最大の政局に関する動画を以下に掲載しておきます。


この動画は、そもそも根拠が明確であり、かなり理解しやすいです。この動画で、上念司氏は、以下のように主張しています。

まずは、財務省は佐川氏の国会での証言にあわせて、文書を書き換えたということ。そのために、元々は政治家は一切関与していないことがはっきりしていたものが、そうではなくなってしまったとしています。

私も、その通りだと思います。財務省が書き換えたとした文書は、財務省のサイトから誰でも閲覧することができます。そのリンク先を以下に掲載します。


  • 決裁文書についての調査の結果(平成30年3月12日)(PDF:150KB)PDF
  • 決裁文書の書き換えの状況(PDF:7612KB)PDF
  • 平成30年3月14日付け資料(PDF:198KB)PDF
  • 平成30年3月19日付け資料(PDF:263KB)PDF
  • これらを、野党やマスコミのように、最初から「政治家の関与あり」という想定など捨てて、虚心坦懐に読むと、上念氏と同じような結論が導き出せるはずです。

    次に、土地価格については、さらに、森友学園の隣の野田中央公園の土地は、元々は14億円だったものただで売却されているという事実があります。さらに、これには補助金が3000万円も支払われています。

    結局のところ、ゴミが埋まっているので、補助金をつけてでも持って行ってくれということです。

    ゴミが埋まっていることを隠して、近畿財務局は篭池氏に8億円値引きで売ったのです。そうして、差し引き1億円程度が国庫に入っているわけです。そのブロセスに問題があったことから、篭池氏はそのことに気づいたのです。

    その時に、篭池氏はありもしない、政治家や安倍総理、昭恵夫人らがバックについているかのようにいろいろ名前を出したということです。天皇陛下が来たなどと、平気で嘘をつくような男のいうことですから、ほとんどでまかせとみるべきでしょう。

    それに対して近畿財務局は、ゼロ回答だったわけです。これが、書き換え前の決済文書には書かれてあったにもかかわらず、その部分が削除されてしまったため、政治家に不利な内容になってしまいました。そうして、誰に有利かといえば、国会で間違った答弁をしてしまった佐川氏に有利なものになっています。

    これらの事実からみると、やはり、財務省(もしくは理財局)が佐川氏の国会答弁にあわせて、近畿財務局に書き換えを指示して、書き換えさせたと考えるのが、最も自然な解釈であると考えられます。

    近畿財務局

    書き換え前、書き換え後の文書が公開されているわけですから、これをしっかり読めば、上記のような解釈しかしようがないわけです。もし、今後佐川氏が国会招致において、政治家家からの指示があったとか、安倍総理や昭恵夫人の関与があったなどといえば、文書と完璧に矛盾することになるため、そのようなことはしないでしょう。

    さすがに、佐川氏も昨年の国会答弁で余計な答弁をしたため、辞任せざるをえなくなったので、再度国会に招致されたときにはかなり慎重になることでしょう。

    考えられる対応は、核心に迫る事柄については、篭池被告人のように「調査中であるので、答弁できません」ということで終わることになると思います。さらに、昭恵夫人を仮に国会に招致したとしても、野党にとって都合の良い答弁をするなどということは全く考えられません。

    このような状況だと、最初は、興味を持って安倍政権対退陣すべしなどと煽られていたワイドショー民も飽きて、それこそあれど有利であると考えられていた希望の党が選挙の最中に勢いを失ったように、野党の主張(野党自身ではありません)も指示を失って、現在の政権の支持率の低下も回復することになります。

    その頃に、野党が別の対策や、新たな政局を見いだせるなら、さらに安倍政権を窮地に追い込むことができるかもしれませんが、そもそも、公開された文書を見ている限りにおいて、結局昨年と同じように、安倍総理はおろか一人の政治家を辞めさせたりすることはできないでしょう。

    今後、野党やマスコミは「アベにくし」のあまり、篭池夫妻という、頭のあまり良さそうとも思えない、詐欺師らに引っ掻き回さたということがはっきりしてくることになります。そうなると、野党の支持率はますます下がることになります。そのことが全く見えていない野党は、政策論争ができないのは無論のこと、政局すらまともに見ることが出来ないということで、国民の信頼をさらに失うことになります。

    篭池夫妻

    ブログ冒頭の記事で、岩田氏は、「私自身は、極めて消極的な安倍政権の支持者である。安倍晋三首相を熱烈に支持しているわけではないし、自民党以外は一切認めないという自民党原理主義者でもない。しかし、他に選択肢がまったく存在しないから、安倍政権を支持せざるを得ないのである」と述べています。

    私自身は、程度の差はあるとは思いますが、もともと政治とは、特に民主的な政治はそのようなものであると思っています。

    もし、何もかも自分にとって満足と思えるような政権がでてきたとすれば、それは独裁政権に違いないと思います。そうして、自分は独裁者になっているか、独裁者の親族などの、独裁者に極めて近い存在になってるかのいずれかであると思います。

    私自身は、安倍政権は金融政策で雇用状況を改善したということで、過去20年間のいずれの政権よりも、パフォーマンスが高いと思います。また、安全保障においても、過去のいずれの政権よりも突っ込んだ議論し、そうして少しずつでも間違いなく前進していると評価しています。

    ただし、自民党ということでみると、金融政策も財政政策も、安倍総理やその側近のごく一部しか理解しておらず、もし安倍政権が崩壊して、他の人が総理大臣になって新たな自民党政権をつくったとしても、またまた日本はデフレスパイラルの底に沈み、とんでもないことになり、誰の政権であったにしても短期政権になり、その後も同じことを繰り返すと思います。

    小泉進次郎氏のような若い自民党の議員こそ、まともにマクロ経済を理解して欲しいと思うのですが、全くそうではありません。

    安全保障についても、自民党には親中派の政治家も多いことですから、安倍内閣が崩壊となれば、これも後退する可能性が大きいです。

    それを思うと、野党に政権を任せられないのは自明の理として、安倍総理以外には、いまのところ総理大臣を任せられる人物は自民党内にはいないと思います。これこそ、本当に目眩がしそうな現実です。

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    2015年6月22日月曜日

    自衛隊の自殺者は本当に多いのか?数字の読み間違いこそが最大の「悲劇」だ―【私の論評】間違った数字で間違った未来に導かれるな(゚д゚)!

    自衛隊の自殺者は本当に多いのか?数字の読み間違いこそが最大の「悲劇」だ

    筆者が最も許しがたいこと

    筆者はちょっとした疑問をツイートすることがある。6月17日、週刊現代の「どう考えても普通じゃない なんと自殺者54人! 自衛隊の『異常な仕事』」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43700)に対し、

    きちんと計算しなさい。10万人あたりの自殺率は30~40人程度。これは自衛隊の自殺率と大差なく、事務職公務員より高いが、農林漁業、鉱業、電気ガス水道業と比較して低い
    https://twitter.com/YoichiTakahashi/status/611044310616637440)。

    とツイートした。

    この発端は、衆院の安保法制特別委員会における5月27日の政府答弁だ。志位和夫・共産党委員長は、「これまで自衛隊員の戦死者が出ていないものの、犠牲者が出ていないわけではありません。アフガニスタン戦争に際してのテロ特措法、イラク戦争に際してのイラク特措法に基づいて派遣された自衛官のうち、これまでにみずから命を絶った自殺者はそれぞれ何人か、防衛省、報告されたい」と質問した。

    これに対して、防衛省は「イラク特措法に基づきまして派遣された経歴のある自衛官のうち、陸上自衛官が21名、航空自衛官が8名、計29名、それから、テロ特措法に基づいて派遣された経歴のある自衛官のうち、海上自衛官が25名、これは統計の関係で平成16年度以降でございますが、以上、29名と25人で、足し合わせますと54名が帰国後の自殺によって亡くなられております」と答弁した。

    週刊現代の記事の中で、元内閣官房副長官補の柳澤協二氏は「そもそも、自衛隊全体で隊員10万人あたりの自殺者数を計算すると30~40人となり、これは世間一般の1・5倍と多い。しかしイラク派遣部隊の数字は、さらにその約10倍になるのです」と述べている。

    この記事では、半田滋・東京新聞論説委員へのインタビューもある。半田氏による2012年9月27日付け東京新聞「イラク帰還隊員25人自殺」では、「イラク特措法で派遣され、帰国後に自殺した隊員を10万人あたりに置き換えると陸自は345.5人で自衛隊全体の10倍、空自は166.7人で5倍になる」と書かれている。これが、イラク派遣部隊の自殺率が高いという情報源らしい。

    筆者は、これを読んだとき、本当かと思った。それで、17日に冒頭のツイートをしたわけだが、そのとき、筆者の頭に閃いた直感を言えば、イラク派遣で29名の自殺者だが、その後の7年間の数字で、1年平均にすればだいたい4人。イラク派兵はだいたい1万人だから、10万人あたりにすれば40人、これは上で引用されている自衛隊の平均と同じではないか。柳澤氏の引用文の中で矛盾があるわけだ。

    簡単な計算ミス

    まず、2年前の半田氏による東京新聞を読んでびっくりした。これは明らかな計算ミスだ。10万人当たりの自殺者数を計算するとき、分子には1年当たりの自殺者数とするところ、半田氏の記事では累積の自殺者数をとっている。だから、10倍とか5倍とか奇妙な数字が出てきている。

    おそらく、その計算間違いを鵜呑みにした柳澤氏もいただけない。筆者のように暗算で計算すれば、少なくとも桁数を間違うことはない。こうした基本事実の理解のないまま、安全保障を語るとすれば、まさに地に落ちたものだ。

    これに呼応して、防衛省は、


    という資料を出したようだ。

    この防衛省の数字について、それを検証しておくことも重要だ。イラク特措法とテロ特措法は、陸上自衛隊5500人、航空自衛隊3600人、海上自衛隊13800人で合計22900人。7年間で自殺者数54人とすれば、10万当たりの自殺率は33.7人となり、これはほぼ防衛省の数字(イラク派遣の場合33人)と同じである。

    なお、防衛省の資料では、「男性自衛官の自殺率>イラク派遣自衛官の自殺率」と強調しているが、この程度の差では両者はほとんど同じというべきである。

    15歳以上の各業種の自殺率をご存じか

    ついでに、いろいろな業種での自殺率も調べておこう。出典は、厚労省が公表している2010年人口動態統計職業・産業別調査である。まとめると下図のとおりだ。


    この数字は、防衛省資料にある内閣府のものと少し違うが、15歳以上の男子の自殺率は、10万人あたり38.0人。自衛隊やイラク等派遣はそれよりやや低い。

    内訳でみると、就業者で21.6人、無職で63.6人。自衛隊やイラク等派遣は無職の人より低い。これをみると、金融政策で雇用を作れなかった民主党はより多くの人を自殺に追いやったのかと改めて思う。

    就業者のうちでも、公務員は22.3人で、自衛隊やイラク等派遣はそれより高いが、農林業49.9人、漁業57.3人、鉱業285.3人、電気・ガス・水道83.6人はよりは低い。

    アメリカでは派遣兵の自殺率が高いといわれ、日本の自衛隊でもそのはずという思い込みがあるが、これまでのデータはちょっと違う姿になっている。

    東京新聞の計算ミスは、筆者にはちょっと信じがたいが、個人差があるものの、統計数字を扱えない文系あがりの新聞記者ではよくある話だ。統計数字のイロハであるが、フロー数字の概念がわかっていないのだろう。フロー数字は一定期間における数字だが、この場合一定期間は一年間である。

    ついでにいえば、筆者が財務省に在籍していたとき、マスコミ諸氏はフローのみならずストックの概念も怪しかった。このため、毎年の予算数字はフローであるから毎年見ているのでなんとかなったが、バランスシートを説明するのが大変だった。

    「文系不要論」にもつながる

    また、説明に苦しんだといえば、不良債権の時だ。不良債権というのは貸付金のうち返済が滞っているなどの一定のものであり、その数字は、基本的にはある時点のストックの数字だ。

    ところが、不良債権の処理という場合、会計年度内で処理した金額なので、フローの数字になる。不良債権の処理額をきちんと理解するためには会計の知識も必要になるので、不良債権額と不良債権の処理額の両者の関係をきちんと理解できたマスコミ記者は少なかった。

    昨今、文系学部が社会に役立たないと揶揄されるが、マスコミをみていると、時たまそう思うこともある。事実を記述する上で必須な統計、数学、会計などの知識がないので、まともな記事を書けない。その結果、間違った記事が書かれ、何年も放置される。

    図表を書かせると、統計、数学、会計などの知識の有無は一発でわかる。そういえば、新聞には図表が少ない。ある記者に聞いたところ、そうしたのは役所からもらって自分たちではあまり作れないようだ。そのような情報リテラシーに欠けるマスコミは、これから信頼されなくなるだろう。

    高橋洋一

    この記事の詳細はこちらから(゚д゚)!



    【私の論評】間違った数字で間違った未来に導かれるな(゚д゚)!

    この記事を読んでいたところ、トンデモない発言を思い出したことがあります。それは、何かというと、ピザの面積です。ピザの面積を単純に直径とか半径に比例すると思い込んでいる人がいて、話が頓珍漢なことになっているのです。



    円の面積は、ΠR^2(近似では、3.14×半径×半径)ですから、ピザの厚さが場所によって変わらず、同じとすれば、 ピザを円柱と考えて良いので、ビザの体積は(3.14×半径×半径×ピザ円柱の高さ)で求められるはずです。要するにピザ(円)の面積は、半径の二乗に比例するといするということです。

    しかし、この方は、ピザの面積は、半径もしくは直径に比例すると考えおられるようで、話が全く噛み合わず、閉口したことがありました。

    さらに、こんなこともありました。たとえば、実寸が3kmの距離を、縮尺が1/50の地図上では何センチになるのかとか、あるいは95%のアルコールを希釈して、80%のアルコールにするには、どの程度水を加えれば良のかとか・・・・・・。

    無論ここでは、アルコールと水は質量が異なるので、厳密に計算するには複雑になりますが、そんなことを抜きに質量は同じとみなして、近似値を出すとかということとが、すぐにはできない人が結構いたり(無論少数ではありますが)するという事実にも遭遇したことがあります。

    この程度の認識であれば、確かに上の記事で、高橋洋一氏が指摘するような間違いも起こるわけです。上で、高橋洋一氏が指摘している計算間違いは、これらの間違いと遜色ないものだと思います。いくら文系であっても、この程度のことが理解できなければ、経済は無論のこと、社会現象についてもまともに認識できないのではないかと思います。

    世の中には、この程度の人が、一応大学を卒業して新聞記者になったり、官僚になったり、民間企業で高い地位についている場合もあるということなのだと思います。

    このようなことで、不味いことになるなどのことはないだろうと、たかをくくっている人もいらっしゃるかも知れませんが、私はそうではないことを身を持って体験したことがあります。

    それは、大学時代のシンクタンクのアルバイトで、ある地方都市の下水工事について監査をしたときです。バイト先のシンクタンクが、ある地方都市の、下水工事の監査をすることになったので、その都市の下水工事の将来計画について、積算をすることになりました。

    その地方都市でも、積算をしていましたが、こちらがわもその積算は抜きにして、積算をしてみたところ、どう考えても辻褄のあわないことがあったので、担当の課長さんに聴いてみても拉致があかないので、実際に計算した人をインタビューしました。

    驚いたことに、その積算をした人は、その年に工業高校を卒業したばかりの人であり、新たな下水工事をするにあたり、積算で所与の数値として用いたのが、現在のその都市の人口でした。

    その都市の人口は増加していましたから、本来は人口が増加することを見越して計算しなければ、まともな下水工事はできないはずなのに、その有様です。

    そうして、後でわかったことですが、この地方都市の下水工事の専任者は、この高卒の新人に、何ら情報も与えず、計算させでいて、出来上がった計算などあまり吟味もせず、押印して許可をしていたのです。

    下水工事など莫大な費用がかかるが・・・・

    とんでもないことです。もし、そのまま工事が行われていたら、その地方都市では、3年を待たず、追加下水工事が必要となり、さらに莫大な経費がかかるところでした。これは、特異な出来事と思いたいですが、そうでもないことを後から思い知らされました。

    それは、あるトンネルの崩壊事故です。下水工事の監査が終わったときに、バイト先の主任研究員と話をしていると、トンネルや橋でも、問題のあるところは随分あるはずだ、でも実際は放置されており、このままだと10年以内に大きな事故がおきかねないという話題がでてきました。

    そうして、それから10年もしないうちに、あるトンネルの天井が崩落しました。そのニュースを見た時は、忸怩たる気持ちがしました。トンネルにも耐用年数があるはずで、キチンと調べていば、あのようなことは起こらなかったと思いました。

    まさしく、高橋洋一氏の語るように「情報リテラシーに欠けるマスコミは、これから信頼されなくなるでしょう」と述べています。まさしく、その通りです。

    そうして、それは、マスコミだけではなく、他の分野の人でも同じことだと思います。

    私など、自衛隊員で亡くなられた方々は、気の毒であり、ご冥福をお祈りいたしますが、自殺ということでは、自衛隊員の自殺よりも、若年層の自殺のほうがよほど深刻だと思います。

    これについては、以前このブログで解説したことがありますので、その記事をリンクを以下に掲載します。
    若年層の自殺がG7でトップ。日本の若者はなぜ死を選ぶ?―【私の論評】自殺率の高さの原因は、若者の精神的な弱さではない!過去デフレによる悪影響が未だ残っているせいだ(゚д゚)!

    詳細は、この記事をご覧いただくものとして、こうした若者の自殺に関しては、「若年層の精神的な弱さ」を指摘する向きもありますが、それは最近の若者を知らない人が語る言葉だと思います。

    最近は、デフレが解消しつつはありますが、昨年4月に8%増税があり、特に若年層には厳しい環境にあることは確かです。デフレの悪影響が色濃く残っている時期の増税は、このような若者の自殺を促すということは否定できません。この記事では、この可能性について追求しました。

    自殺を心配するなら、こちらのほうを心配すべきであり、その背後にはデフレによる悪影響が色濃く残っていることを忘れるべきではありません。

    今のマスコミは、財務省が出す、非常に疑わし情報をそのまま鵜呑みして報道し、増税には大賛成で、若年層の自殺には興味がないようです。

    社会現象に関する数字など、良く吟味してから、その背後の意味もくみとり発信したり、その数値にもどついて議論をすすめるべきであって、最初から間違えていれば、全く意味がありません。

    少なくとも、私達は間違った数字は発信しないようにし、さらに、数字の間違えがあれば、高橋洋一氏のように糾弾していくべきでしょう。

    間違った数字で間違った未来に導かれないようにすべきです。

    私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

    【関連記事】

    若年層の自殺がG7でトップ。日本の若者はなぜ死を選ぶ?―【私の論評】自殺率の高さの原因は、若者の精神的な弱さではない!過去デフレによる悪影響が未だ残っているせいだ(゚д゚)!


    デフレは、若者世代への「経済的虐待」である―【私の論評】日本の将来を担う若者に対して、これ以上経済的虐待を加え続けることは一刻もはやくやめるべき!そのためにも、消費税再増税などすべきではない(@_@;)



    【関連図書】
    自殺に関する書籍以下にチョイスさせていただきました。

    もしも「死にたい」と言われたら  自殺リスクの評価と対応
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    自殺論 (中公文庫)
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    2014年6月5日木曜日

    若年者死因トップは自殺 先進7か国で日本のみ―【私の論評】若者の死因の第一位が自殺になったのは、デフレ退治をしなかったことによる大きな罪ということを理解しない人が多いためますます、悲劇が続く?

    若年者死因トップは自殺 先進7か国で日本のみ



    26年版自殺対策白書が3日の閣議で報告された。25年の自殺者は2万7283人。前年の2万6433人より850人増えた。40歳代から60歳代男性が自殺者全体の4割近くを占めたことも家庭の中心的役割を担う年代だけに影響の深刻さがうかがえるものになった。

    また15歳から39歳の各年代の死因のトップをみると、いずれも「自殺」で、白書は「こうした状況は国際的にみても深刻で、15~34歳の若い世代で死因の第1位が自殺となっているのは先進7カ国では日本のみ」とした。また日本では15歳から39歳までの死因トップが自殺になっていた。

    40歳から49歳でも死因トップは悪性新生物によるものではあったが、自殺が2位になっており、50歳から54歳でも自殺が3位に入るなど、自殺対策推進が今後も必要なことが浮き彫りになった。

    自殺者を職業別にみると無職が1万6465人と最も多く、被雇用者・勤め人が7272人、自営業者・家族従事者が2129人、学生や生徒らが918人などになっていた。(編集担当:森高龍二)

    【私の論評】若者の死因の第一位が自殺になったのは、デフレ退治をしなかったことによる大きな罪ということを理解しない人が多いためますます、悲劇が続く?

    上の記事に掲載されている、『26年版自殺対策白書』は、以下のURLからダウンロードすることができます。詳細を知りたい方は、こちらをダウンロードして下さい。

    内閣府 自殺対策白書

    自殺の原因というと、ストレスとか経済的なものとか、様々な理由があげられます。しかし、結論からいえば、その最大の原因はデフレです。無論、自殺の要因は個々人によって異なるので、デフレによる経済的な要因以外でも亡くなる方は大勢います。しかし、数的にいえばデフレもしくはデフレが誘発した経済的な困難により引き起こされているものが一番です。

    日本が完璧にデフレに突入して以来、それまで自殺者数が2万人台だったものが、3万人台になりました。それが、2012からまた2万人台に戻りました。2013年度も、2万人台でした。これは、デフレが収束してはいないものの、景気が相対的に良くなったためであると思います。

    これに関しては、このブログでも何度か掲載してきました。その代表的な記事のURLを以下に掲載します。
    「子どもが生まれたら10人に1人、離婚したら半分以上が貧困になる時代を生きる」―【私の論評】ちょっと待ってくれ、貧困の大きな原因の一つとして、個々人の努力や社会制度の問題の前にデフレがあるのでは(゚д゚)!
    詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に日本がデフレに入ってから自殺者数が3万人台に増えたことを示すグラフと、その背景に関してのみコピペさせていただきます。


     ヒトの体に例えるなら、デフレ低体温症である。物価上昇率2、3%程度が続くのは平熱で、経済活動は活発である。体温が平熱より1度低くなると免疫能力が衰え、がん細胞が勢いづく。死に至る病なのに自覚することがなく、何となく日ごろは元気がないだけである。  
     デフレがどれだけ、世の中を暗くするのか。自殺者数、倒産件数とデフレの統計をグラフにして重ね合わせてみた。自殺者が急増したのは消費税増税で消費が一挙に冷え込んだ1998年である。翌年からデフレが始まり、自殺者数は高止まりし、毎年三万数千人にも上る。デフレ指数に比べ、企業倒産件数と自殺者数の関連度は低い。景気は事実、2001年から多少なりとも回復していたのに、デフレは続き、暗い世相が広がるばかりだ。
    この記事では、現状の子どもの貧困率の高さを掲載し、その主たる原因はデフレであることも掲載してあります。

    先にも述べたように、2012年度から自殺者数は2万人台に戻っています。しかし、若者の死因のトップが自殺という異常な状況になっています。これは、やはり日本がデフレから脱却していないことに主たる原因があります。特に、デフレが長期にわたって継続したため、将来に希望の持てない若者が増えているということが影響しているものと思います。

    昨日は、「子ども・若者白書」が公表されています。それに関するニュースのURLと内容を以下にコピペさせていただきます。
    子どもの貧困は止まらず、若者は自分に満足せず
     若いニートはやや減ったものの、子どもの貧困率は上昇傾向が止まらない。政府は、「子ども・若者白書」でこうした現状を報告しました。

     若いニートはやや減ったものの、子どもの貧困率は上昇傾向が止まらない。政府は、「子ども・若者白書」でこうした現状を報告しました。 
     白書では、34歳以下の若いニートが去年は60万人と、おととしより3万人減ったものの、自分の趣味に関すること以外は外出しないという広い意味での「ひきこもり」が69万6000人いると推計しました。また、子どもの貧困率は、2009年時点で15.7%と上昇傾向にあり、特に大人1人で子どもを養育している家庭が困窮しているとしています。 
     一方で、内閣府が世界7カ国の若者を対象に実施した意識調査では、自分自身に対する満足度が日本は諸外国に比べて圧倒的に低いことが明らかになりました。アメリカやイギリスでは8割以上の若者が「満足している」と答えるなか、日本の若者は45.8%にとどまっています。
    日本では、昨年から異次元の包括的金融緩和が実施され、デフレは克服途上にあります。しかし、まだまだ、デフレから脱却したわけではありません。

    このような状況が続いているから、子どもの貧困率は増え、若者の自分自身に対する満足度が45.8%となどということになってしまうのです。

    子どもの貧困は他国の問題ではない日本の問題である

    アメリカやイギリスも経済は決して良くないですが、デフレではありません。以前にもこのブログで述べましたが、デフレはとんでもないことです。

    日本では、なぜか、デフレを景気が悪いくらいの認識しかしない人がいますが、そんなことはありません。デフレは、不景気、好景気を交互に繰り返す通常の景気循環を逸脱した異常な状況です。普通の範疇に収まる現象ではなく、異常現象なのです。

    このデフレをこのまま放置しておけば、子どもの貧困率の上昇、将来に希望の持てない若者がさらに上昇する可能性があります。これを多くの人々が理解し政府がなかなかデフレ脱却に踏み切らないことを糾弾することがなければ、政府や財務省の役人もこのままのらりくらりと、デフレ状況を継続してしまいます。

    なぜそんなことが言えるかって?それは、今までがそうだからです。もう15年以上もデフレは放置されてきているからです。何かを変えなければ、根本は変わりません。増税することがさも正しいかのような空気に流されるべきではありません。

    本来デフレ克服は、上下左右を問わず、全日本国民の願いであると思います。これに反対する人は、余程の大馬鹿か、中国のスパイです。

    見かけは屈託ないのだが、自分に満足できない若者が増えている

    それにしても、現状は結果として4月1日から消費税増税をしてしまったため、経済は冷え込みデフレ脱却からの妨げになるのは目に見えています。前回の消費税増税のときには、増税直後にはさほど影響がみられませんでしたが、あげてから1年たってから景気がかなり冷え込み、デフレ状況にいたりました。

    現在、消費税の影響はあまりないなどとする民間エコノミストがいますが、彼らは前回の増税のときのことを忘れた鳥頭です。

    消費税増税の影響はないなどと言うエコノミストは単なる鳥頭に過ぎない

    今年の秋あたりで、増税の影響はあまりないからなどとして、来年4月からの10%増税など決めてしまえば、再来年には日本はふたたびデフレ・スパイラルの深い深淵に落ち込むことになります。

    増税などもってのほかです。増税すれば、将来に希望の持てない若者が増え、子どもの貧困率が増え、自殺者も増えてとんでもないことになります。

    今やるべきは、10%消費税増税絶対阻止。現状は、公共工事の供給制約があるため、所得税減税、給付金制度の実施を実施するべきです。

    とにかく、今の日本はデフレからの脱却が最優先課題であり、その他のことはサブです。このことを理解していない人があまりにも多すぎです。

    私は、そう思います。皆さんはどう思われますか?

    【関連記事】

    「子どもが生まれたら10人に1人、離婚したら半分以上が貧困になる時代を生きる」―【私の論評】ちょっと待ってくれ、貧困の大きな原因の一つとして、個々人の努力や社会制度の問題の前にデフレがあるのでは(゚д゚)!


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    2012年12月14日金曜日

    【日本の解き方】雇用問題が論争されない悲劇 改善に重要な金融政策―【私の論評】雇用問題と金融政策は全く無関係だと思い込んでいるのは先進国では日本人だけ!!

    【日本の解き方】雇用問題が論争されない悲劇 改善に重要な金融政策:

    衆院選では野田佳彦首相が「民主党政権で雇用を改善させてきた」と訴えている。まずデータを確認しておこう。雇用者については、2009年9月の5457万人から12年10月に5528万人と71万人増となっている。

    就活をして何度も何度も会社を受けても内定がもらえない人も多い
     もっとも、この数字は注意してみる必要がある。筆者が関係した小泉・安倍政権では、01年4月の5383万人から07年9月5499万人と116万人増えたが、雇用調整助成金にほとんど頼らない雇用増だった。しかし、民主党政権では、雇用のカサ上げのために雇用調整助成金の大盤振る舞いだ。12年10月でも対象者は64・6万人もいる。この点を考慮すると、民主党政権下では、形式的な数字をうのみにできないだろう。


    一方、どのように雇用を改善させるか、明確でない政党も目立つ。米国の大統領選では雇用や失業は常に大きな争点である。しかし、日本では雇用問題が政策論争の前面に出てこない。なぜだろうか。

    マスコミの人とこの問題を議論するとき、筆者は雇用問題でどこに取材するかと聞く。ほとんどの人は厚労省に取材するという。もし米国だったらどうだろうか、労働省ではなくFRB(連邦準備制度理事会)だ。政府は統計数字を作るだけで、雇用を拡大できるのはFRBである。

    このように米国では、金融政策は雇用政策とほぼ同義である。というのは、短期的には失業率とインフレ率の間に逆相関関係(フィリップス曲線)があり、「犠牲率」という概念が広く共有されている。犠牲率とは、インフレ率を低下させるためにはどの程度の失業率の上昇になるかということだ。この概念を用いることで、これ以上下げられない失業率より現実の失業率が高ければ、インフレ率を少し高めて失業率を低下させるという政策を実施できる。

    ・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・

    筆者はかつて金融政策で雇用の確保ができることを連合の古賀伸明会長に話したことがある。同氏はかなり驚いて興味を示していたが、いつの間にか立ち消えになった。民主党政権が欧州左派政党のように金融政策を雇用政策の柱として位置づけることを密かに望んでいたが、はかない期待だったようだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

    この記事の詳細は、こちらから!!

    【私の論評】雇用問題と金融政策は全く無関係だと思い込んでいるのは先進国では日本人だけ!!



    さて、雇用といえば、ここしばらく、特に女子学生の就活など大変です。何社受けても内定をとれないひとなどざらにいます。この状況は、まだまだ続きそうです。このブログでは、以前若者の雇用について掲載したことがあります。

    若者雇用戦略のウソ―【私の論評】雇用と中央銀行の金融政策の間には密接な関係があることを知らない日本人?!

    詳細は、上の記事をご覧いただくものとして、特に雇用に関することで述べたことを以下にコピペしておきます。それから、本日は、雇用の話なので、就活女子の写真とともに掲載させていだ
    このブログでも、前に掲載したと思いますが、一国の雇用の趨勢を決めるのは、何をさておいても、まずは中央銀行による金融政策です。たとえば、中央銀行が、インフレ率を2〜3%現状より、高めたとしたら、他に何をせずとも、日本やアメリカのような国であれば、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これに関しては、まともなマクロ経済学者であれば、これを否定する人は誰もいないでしょう。無論、日本に存在するマクロ経済学と全く無関係な学者とか、マルクス経済学の学者には、否定する人もいるかもしれませんが、そんなものは、ごく少数であり、グローバルな視点からすれば、無視しても良いです。 
    日銀が、やるつもりもないインフレ目処1%など無視して、インフレ率を本当に2〜3%上昇させたとします。そうすれば、日本でも、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これは、マクロ経済学上で昔から知られているし、経験則としても成り立っている法則です。
    無論、雇用対策のため、のべつまくなく、インフレにするというわけにはいきません。ある程度以上、インフレになれば、ハイパーインフレとなり大変なことになる場合もあります。そういうときは、中央銀行は、すぐにはインフレ率を高めるわけにはいきませんから、これは、打ち出の小槌のようにいつもできるというわけではありません。雇用枠が増えても、ハイパーインフレということにでもなれば、雇用が増えたという経済に対するブラス要因が、ハイパーインフレというマイナス要因によってかき消されるどころか、経済が悪化してしまいます。 
    それに、経済のその時々の状況で、インフレ率を高める方法もいろいろあります。いろいろある方策のうち、雇用に悪影響を及ぼす方策もあります。同じ二つ三つの金融政策を実施するにしても、順番があります。順番を間違えると、かえって、雇用に悪影響を与える場合もあります。こうしたことを認識しながら、雇用調整を行うことは、本当に難しいことです。だからこそ、アメリカではFRBの金融政策の専門家が専門家的立場から、これを調整して、雇用対策を行います。 
    雇用を直接生み出すのは、日本でも、本来日銀であるはずです。しかし、日本では雇用対策といえば、厚生労働省の管轄とかたく信じて疑わない人が多いようです。しかし、厚生労働省は、雇用枠を増やすことはできません。一定の雇用枠の中で、雇用対策ができるのみです。できることは限られていて、雇用のミスマッチを改善することくらいのものです。


    さて、これをご覧いただければ、いかに雇用の確保が、世界の日本以外の国では、中央銀行の金融政策が、雇用に重大であると受け止められているのか良くお分かりになると思います。さらに、これを裏付ける発言がアメリカFRBのバーナンキ議長から発言されていまいす。それを以下に掲載しておきます。
     【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)は12日、連邦公開市場委員会(FOMC)の2日目の会合を開き、2015年半ばまで続けるとしていたゼロ金利政策について、時期の明示に代えて、少なくとも失業率が6.5%を上回り、今後1、2年のインフレ見通しが2.5%を下回る限りは継続するとの新たな目安を決めた。決定は11対1。バーナンキ議長は会合後の記者会見で「金融政策の透明性を高める」と説明した。
     また、期間が短めの米国債を月450億ドル売って長期国債を同額購入する緩和強化策「ツイスト・オペ」を予定通り年内で終了させる一方で、短期国債の売却を伴わない形で、長期国債を月450億ドル購入する方針を決定。月400億ドルの住宅ローン担保証券(MBS)を購入する量的緩和第3弾(QE3)も継続する。量的緩和の拡大を意味し、FRBの保有資産は一段と膨らむことになるが、将来のインフレ高進などのリスクを冒してでも、労働市場の回復を支える姿勢を示した。(2012/12/13-12:36)



    上のバーナンキ議長の将来のインフレ高進などのリスクを冒してでも、労働市場の回復を支える姿勢を示したという最後の文書をみれば明らかです。 しかし、日本では、このことがほとんど理解されていないことを冒頭の高橋洋一氏の記事が説明しているわけです。

    そうして高橋洋一氏は、このように米国では、金融政策は雇用政策とほぼ同義である。というのは、短期的には失業率とインフレ率の間に逆相関関係(フィリップス曲線)があり、「犠牲率」という概念が広く共有されている。犠牲率とは、インフレ率を低下させるためにはどの程度の失業率の上昇になるかということだ。この概念を用いることで、これ以上下げられない失業率より現実の失業率が高ければ、インフレ率を少し高めて失業率を低下させるという政策を実施できるとも語っているわけです。 そうして、フィリップス曲線とは、以下のようものです。
    フィリップス曲線を示すグラフ
    この曲線をご覧いただければ、消費者物資があがる、要するにインフレになれば、失業率が下がっていくことを示しています。要するに、インフレになれば、雇用率があがっていくということです。これは、無論国によって、相関係数などは異なりますが、どこの国にもあてはまります。無論、日本だってあたはまります。

    こんな、当たり前のことが、日本では、全く理解されていません。皆さんの中には、日銀と雇用とのが関するなど全く結びつかない人もいると思います。しかし日本だけが、他国で通用している、マクロ金融や、経済いの法則くが成り立たないということはありません。日本でも成り立ちます。



    そうして、最近選挙ですから、皆さん、安部総裁の金融政策など聞いたことはありませんか。安部総裁は、金融緩和策によって、無論円高・デフレを克服しようとしています。これを克服しなければ、日本の経済はなかなか良くなることはありません。それに、金融緩和を実施すれば、その過程で、雇用も改善んされるということです。


    デフレ・円高を終わらせ、しかも、雇用を劇的に改善する、安部総裁のインフレターゲット政策、若者にも、雇用という面でかなり期待できそうです。しかし、このインフレ政策、まだまだ反対の人が多く、実施できるかどうかは、来年夏の参院選の結果をみてみないと、まだ、何ともいえないところもあります。

    それにしても、これだけ就職氷河期が続いているのですから、日銀は、はやく金融緩和を本格的にすすめるべきです。円安傾向になり、さらに、特に若者の就職率があがれば、それだけでも随分違うと思います。

    私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?







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