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2020年6月30日火曜日

「世界中のリーダーの中で最も…」突出する安倍首相の存在感! 米朝会談のウラで韓国は… 「ボルトン回顧録」を読み解く ―【私の論評】コロナ対策を成功させた人口1億人を超えた唯一の国として日本は、これを世界に向けて大いに発信して行くべき!(◎_◎;)

「世界中のリーダーの中で最も…」突出する安倍首相の存在感! 米朝会談のウラで韓国は… 「ボルトン回顧録」を読み解く 

高橋洋一 日本の解き方

ボルトン前米大統領補佐官

 ボルトン前米大統領補佐官の回顧録が出版された。トランプ大統領の政策が大統領選の再選を目的にしたものばかりで、中国の習近平国家主席にも支援を申し出たと書かれている。

 予約の段階からベストセラーリストで第1位となり、公式出版の前からその内容が話題となっていた。筆者も電子書籍を入手し読んでみた。真偽は分からないが興味深い記述が多い。

 トランプ大統領が「フィンランドがロシアの一部かどうか側近に質問していた」ほか、英国のメイ前首相らとの会話で「英国は核保有国なのかと尋ねた」と記したうえで、「冗談として発言したわけではないのは明らかだった」として、基本的な知識が欠如していると指摘している。これに対して、トランプ大統領は、ボルトン氏を嘘つきだと批判している。

 日本に関係したところでは、2018年6月の初めての米中首脳会談で、実は共同声明のなかに拉致問題を入れることになっていたが、北朝鮮が反対してうまくまとめられなかったとある。この話などはそうだったのかと思ってしまうくだりだ。うまくいくかどうかは交渉なので分からなかったが、トランプ大統領は日本の要望には応えてくれたのかもしれない。

 トランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が会うというのは、韓国側が提案をして正恩氏側を説得したと、ボルトン本では書かれている。正恩氏側が熱望したといわれていたが、そうではなく、韓国側の南北統一目標があったからだという。最近の北朝鮮の韓国に対する威嚇を見ると、説得的だ。

 もっとも、韓国側は否定している。

 日本に対しては、米軍の基地負担、駐留費負担を大幅に増やすよう要求したと書かれている。これについて、菅義偉官房長官は記者会見で「そうした事実はない」とした。ボルトン氏は確かに日本側にそう言ったが、日本側が正式提案として受け取っていなかったと見れば、ボルトン本と菅官房長官の会見の平仄(ひょうそく)が合う。

 2021年3月が日米間の協定の期限なので、通常、ボルトン氏の言うような提案は正式ではないだろう。つまり、ボルトン氏が勝手に話したが、正式提案ではないので、日本側は返事をする必要もなく、「聞いていない」とも言えるわけだ。

 本を実際に読んで印象に残ったのは、安倍晋三首相に対する記述の多さだ。ボルトン氏は、トランプ大統領と安倍首相の関係について、「トランプ大統領が世界中のリーダーの中で最も個人的に仲が良かったのは、ゴルフ仲間でもある安倍首相だった」と評価している。

 ちなみに、安倍首相に関する本文中の記述は、130カ所と従来の日本の指導者の中でも突出している。世界の他の指導者をみると、ロシアのプーチン大統領が188カ所、正恩氏が99カ所、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が155カ所とさすがに多いが、習主席が94カ所、ドイツのメルケル首相が38カ所、英国のジョンソン首相は14カ所だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】コロナ対策を成功させた人口1億人を超えた唯一の国として日本は、これを世界に向けて大いに発信して行くべき!(◎_◎;)

上の高橋洋一氏の文書、いつもながら客観的です。特に、一番最後の部分には、ボルトンの書籍に、世界各国の首脳に関する記述が何個あるのかを調査した上で、意見を述べています。

このあたり、さすがです。最近では、コンピュータにより文学を解析することが行われ、例えば源氏物語の中に「あはれ」とか「をかし」が何度出てくるのかをカウントして、同じ著者や他の著書の作品などと比較して、分析するなどのことが行われているそうです。

そうすることによってただ読んでいるだけでは分からないことが、かなり分析できるそうです。むろん 、研究者らは客観的な歴史も調べているでしょう。

高橋洋一もそのような分析をしていることがうかがわれます。その上での、発言ですから、所詮ただ読みましたなどというレベルではないのです。

その上で、安倍首相の存在感などについて語っているわけですが、信憑性は高いです

さて、安倍総理は海外ではどのように評価されているのでしょうか。それに関して、参考になりそうな記事があります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【谷本真由美】日本流コロナ対策:海外では大絶賛 ミスター安倍・ナイスガイ
谷本真由美氏
詳細は、この記事を是非ご覧になってください。読むと、英国の感染症に対する認識の低さに驚愕します。このかたは、現在英国在留中で、日本では”めいろま”のハンドル・ネームでSNS等でも有名な方です。

タイトルには「大絶賛 ミスター安倍・ナイスガイ」と安倍総理のことが入っているのですが、肝心の記事には、麻生副大臣の「民度発言」は、出てくるのですが、安倍総理の名前は一度も出てきません。

ただ、日本と比較して英国の感染症に対する認識が極度に低いことは、よく書かれていました。これを読むと、英国であれだけ感染が猛威を振るったことも理解できます。

日本では、当たり前のマスクをつけるとか、三蜜を避けるなどのことが、英国ではまともになされていかなったことがよくわかります。

これらの日本人の自発的行動は、日本人にとっては当たり前のことですが、英国人にとっては称賛に値するようです。

日本や日本人の感染症に対する態度や行動については、かなり称賛されていることが、書かれています。その日本と日本人を代表するのが、安倍総理ですから、谷本氏はわざわざ安倍総理が具体的にどのように称賛されているかには触れなかったのかもしれません。

ちなみに、”めいろま”さんは、以前以下のようなツイートをしています。



確かに、日本のコロナ対策は、当初は批判されたところもありましたが、後には称賛に変わっています。

世界多くの人が日本の対策を見て、「最初は焦り、批判し、日本の頑固さに気づき、日本は麻痺しているのだと思い、その後、(感染者や死者数の少なさに)驚き、最後は賛同する」といった一連の感情の変化を経験したようです。

日本は都市封鎖をせず、交通も遮断しないという緩やかな対策で世界的に有名でした。クルーズ船の乗客を公共交通機関で帰宅させ、検査数が少ない状態を保ち、検査やデータにミスが相次ぎ、強制隔離はせず、陽性患者も自宅で待機することができる上に買い物に出ることも許されるなど、あっけにとられる対策ながら、なんと死亡率は欧米各国と比べてはるかに低くかったのです。

そうして、各国の日本に対する評価は最近変わりました。英BBCが3月に日本の検査数が少ないことを挙げて「実際の感染者数は28万~70万人いる可能性がある」と報じたものの、4月末には日本を「最も健康的な国家」に選出し、「健康に対する意識がコロナ危機を最小限にとどめている」とマスクを着用する文化などを称賛したことを伝えました。

韓国については、3月にあるメディアが「安倍首相はわが国のウイルス対策の成功を無視し、自国民の苦痛を見て見ぬふりをしている」「崖っぷちの安倍政権はわが国の経験をくみ取り、勇気を持ってわが国に援助を要請するしかない」とし、「日本の対策は最終的に失敗するだろう」との見方を示していたものの、日本では感染拡大が徐々に抑えられる一方で韓国で再び感染が広がり立場が逆転したことを伝えました。

また、世界保健機関(WHO)についても、2月に同機関のシニアアドバイザーを務める進藤奈邦子氏が「今一番、世界中が心配しているのが日本」と発言したものの、5月25日にはテドロス事務局長が「ピーク時は1日700人以上の感染者が確認されたが、今は40人前後に減った。死者も最小限にとどまっている」として、「日本の対策は成功している」と称賛したことを伝えました。

日本の対策が奏功した理由については様々な憶測が出ています。日ごろからマスクを着用していること、手をよく洗い、屋内では靴を脱ぐこと。欧米人のようにキスやハグをしないこと、日本語は飛沫が飛びにくい言語であること、格差が少なく、貧困地域が多くないこと、アビガンなど有効な薬があったことなどが挙げられています。

普段からマスクをする習慣がある日本人
日本政府の専門家会議が5月29日の会見で、医療レベルや公衆衛生水準、市民の意識が高いことのほかに、「中国由来・欧州等由来の感染拡大の早期検出」と「日本のクラスター対策(早い段階で伝播の特徴を認識)」をあまり知られていないこととして挙げています。

いずれにせよ、日本の死者数が驚異的に少ないのは事実ですし、まだ予断は許されないですが、それにしても、第一波を乗り切った経験があるので、第二波、第三波がきても、欧米のように大きな感染になるとは思えません。

安倍政権は、もっと感染症対策の成功を世界にアピールすべきなのかもしれません。ただし、日本政府としては、未だ世界中でコロナが猛威をふるっている最中、さらには日本がこれから先、第二波、第三派に見舞われるかもしれない現状で、これよがしに、日本の感染症対策の現在までの大成功を喧伝する必要はないと考えているのかもしれません。

ただ、コロナが収束したあかつきには、それを世界に向かって明らかにしていくべきと思います。これにより、日本と安倍首相の世界での存在感はかなり高まることになります。

何しろ、世界の当面の課題はコロナ対策であり、それを成功させた人口1億人を超えた唯一の国として、これは世界に向けて大いに発信して行くべきです。

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2020年5月9日土曜日

新型コロナ、日本人の低死亡率に新仮説…すでに“集団免疫”が確立されている!? 識者「入国制限の遅れが結果的に奏功か」―【私の論評】日本がクラスター対策で成功している背景には、他国にはない日本ならではの事情が(゚д゚)!


新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真
(米国立アレルギー感染症研究所提供)

 日本の新型コロナウイルス対策は「PCR検査が少ない」「自粛措置が甘い」などの批判もあり、厚労省は8日、感染の有無を調べるPCR検査や治療に向けた相談・受診の目安を見直し、公表した。ただ、欧米諸国に比べて、日本の死者数や死亡率がケタ違いに少ないのは厳然たる事実である。この謎について、京都大学大学院医学研究科の上久保靖彦特定教授と、吉備国際大学(岡山県)の高橋淳教授らの研究グループが「日本ではすでに新型コロナウイルスに対する集団免疫が確立されている」という仮説を発表して注目されている。感染力や毒性の異なる3つの型のウイルス(S型とK型、G型)の拡散時期が重症化に影響したといい、日本は入国制限が遅れたことが結果的に奏功したというのだ。

 「2週間後はニューヨークのようになる」など悲観的な予測もあった東京都、そして日本の新型コロナ感染だが、別表のように現時点ではニューヨークにもロンドンにもなっていない。中国や韓国、表にはないが台湾など東アジアが総じて欧米よりも死者数や死亡率が抑えられている。


 理由を解き明かすには、新型コロナウイルスの型を押さえておく必要がある。中国の研究チームが古い「S型」と感染力の強い「L型」に分けたことは知られている。

 研究プラットホームサイト「Cambridge Open Engage」で発表した京大の研究チームは、新型コロナウイルスに感染した場合、インフルエンザに感染しないという「ウイルス干渉」に着目。インフルエンザの流行カーブの分析で、通常では感知されない「S型」と「K型」の新型コロナウイルス感染の検出に成功した。「S型やK型は感知されないまま世界に拡大した。S型は昨年10~12月の時点で広がり、K型が日本に侵入したピークは今年1月13日の週」だという。やや遅れて中国・武漢発の「G型」と、上海で変異して欧米に広がったG型が拡散した。

 集団感染が最初に深刻化した武漢市が封鎖されたのは1月23日。その後の各国の対応が命運を分けた。イタリアは2月1日、中国との直行便を停止。米国は同2日、14日以内に中国に滞在した外国人の入国を認めない措置を実施した。

 これに対し、日本が発行済み査証(ビザ)の効力を停止し、全面的な入国制限を強化したのは3月9日だった。旧正月「春節」を含む昨年11月~今年2月末の間に184万人以上の中国人が来日したとの推計もある。

 ここで集団免疫獲得に大きな役割を果たしたのがK型だった。上久保氏はこう解説する。

 「日本では3月9日までの期間にK型が広がり、集団免疫を獲得することができた。一方、早い段階で入国制限を実施した欧米ではK型の流行を防いでしまった」

 欧米では、中国との往来が多いイタリアなどで入国制限前にS型が広まっていたところに、感染力や毒性が強いG型が入ってきたという。


 上久保氏は「S型へのTリンパ球の細胞性免疫にはウイルス感染を予防する能力がないが、K型への細胞性免疫には感染予防能力がある」とし、「S型やK型に対する抗体にはウイルスを中和し消失させる作用がなく、逆に細胞への侵入を助長する働き(ADE=抗体依存性増強)がある」と語る。

 専門的な解説だが、結論として「S型に対する抗体によるADE」と、「K型へのTリンパ球細胞性免疫による感染予防が起こらなかったこと」の組み合わせで欧米では重症化が進んだという。

 日本で4月に入って感染者数が急増したことについても説明がつくと上久保氏は語る。「3月20~22日の3連休などで油断した時期に欧米からG型が侵入し、4月上旬までの第2波を生んだと考えられる」

 現状の日本の感染者数は減少傾向だが、課題も残る。「病院内で隔離されている患者には集団免疫が成立していないため、院内感染の懸念がある。また、高齢者や妊婦などは、K型に感染しても感染予防免疫ができにくい場合がある」

 さらに「無症候性の多い新型コロナウイルス感染症では、間違ったカットオフ値(陰性と陽性を分ける境)で開発された免疫抗体キットでは正しい結果が出ない」と警鐘を鳴らす。

 上久保氏は「日本の入国制限の遅れを問題視する声もあったが、結果的には早期に制限をかけず、ワクチンと同様の働きをする弱いウイルスを入れておく期間も必要だったといえる」と総括した。

【私の論評】日本がクラスター対策で成功している背景には、他国にはない日本ならではの事情が(゚д゚)!

冒頭の記事の仮設は、非常に興味深いものです。ただし、矛盾も感じます。感染者数の少ない、死亡者数とも少ない韓国はMersのときの反省もあって、比較的早い時期に海外からの渡航を制限しました。

さらに、上の記事にはなぜか例示されていませんが、日本よりも感染者数や死者数が少ない、台湾でも早い時期に海外からの渡航を禁止していました。

ただし、韓国も台湾もかなり中国とは関係が深く、仮に日本よりも早い時期に、海外からの渡航を禁止したとしても、かなり中国などからの感染者がすでに国内に入り込んでおり、免疫を獲得していた可能性もあります。

このあたりは、今後さらに研究をすすめて、明らかにしてほしいところです。

それにしても、一つ言えることは、まずは人口100万人あたりの感染者数や死者数等をみたうえで、評価しないと、客観的に日本の感染者数や死者が多いのか、判断などできないということです。

日本国内でも、都道府県別の感染者数や、死者数をみるときでも、10万人あたりの感染者数や死者数等をみないと客観的に比較などできないのは当然のことです。

日本のマスコミ、特にワイドショーなどでは、最初から100万人あたりとか、10万人あたりの見方をせずに、単に実数だけで、多くのコメンテーターが「ああでもない、こうでもない」と当て推量を言い合うというような展開で、いたずらに脅威を煽るような結果になっていました。

挙げ句の果に、「イタリアを見習え」「韓国を見習え」「ドイツを見習え」などと語っていたコメンテーターもおり、まさに噴飯ものの状況が日々続いていました。

このようなコメンテーターらの発言などは問題外として、やはり、日本のコロナ感染者数と死亡者数が少ないことは、やはり何か原因があるものと考えられます。

私としては、それについてはこのブログですでに述べてきたとは思うのですが、体系的に述べてはいなかったので、一つの仮設として再度はっきりさせておきたいと思います。

まず考えられるのは、日本社会の特徴です。例えば、近年は高齢者が「高齢者のみの世帯」で生活している率が高く、若い世代との接触を遮断するのが容易だということです。

例えば、日本の高齢者入居施設の場合は2月の早い段階から家族を含めた入所者以外の訪問を停止して厳格な管理をし、大規模感染は起きていません。また、大家族が比較的残っている地方は人口密度が低く、反対に人口密集地域では2世帯、3世帯の同居は少なくなっていることが理由として上げられます。

他にも、公衆衛生の概念が浸透しているとか、手洗いの習慣、マスク着用など生活様式の特徴も理由になりそうです。漠然と説得力を感じるストーリーですが、例えば同じように高齢者の命を奪う季節性のインフルエンザの場合は、例えばアメリカで毎年1万5000人前後の死亡者を出している一方で、日本は3,000から5,000の死亡者数で推移しています。しかし、米国の人口は約3億人、日本は1億2千万にですから、あまり有意な差異はありません。

そうなると、社会の特異性だけでは説明できません。その他、死亡者数の隠蔽とか、PCR検査数が少ないなどというのは単なるフェイクにすぎません。(これについては、過去の記事などを参照していただくものとしてここでは、詳細の説明はしません)

であれば、日本と外国で差異が最も顕著なのは何かといえば、やはりクラスター対策です。

この戦略は、3月19日の専門者会議以降、関係者が徐々に説明を始めていますが、要するにSARSを制圧したのと同じ手法で、感染の連鎖を潰していく作戦です。

PCR検査の投入方法も、限りある検査キットを感染者とその濃厚接触者に集中させ、クラスターを抑え込むことを優先して決めているようですし、例えば「ダイヤモンド・プリンセス」下船者については、100%クラスターの発生は抑止されたという説明もされています。

さらに、日本ではCTの普及率が世界1であることも奏功していると思います。コロナ感染者の中にはほとんど自覚症状のない人がいて、咳の症状すらない人もいます。しかし、そういう人の中には肺の異常がみられる人もいます。そういう人の場合でも、CT検査をすると肺に異常がみつかることがあるそうです。

とにかく、CT検査をすると、コロナであろうかなかろうが、肺炎なのかそうでないのか、肺炎だとして、重篤なのか、軽症なのかもすぐにわかります。肺に異常が見られた人で、症状が重い人、これから重くなりそうな人は、PCR検査を優先的に実行するとか、入院させるということが、医師の判断でかなり迅速にできます。


だからこそ、日本ではクラスターを抑え込むことができたともいえると思います。これは、CTが普及しており、総合病院ては大体設置してあるどころか、診療所レベルの小さな医療施設でも設置している場合もある日本だから、可能だったのです。

CTの普及率が日本よりも相対的に少なく、精度の低いPCR検査自体に頼らなければならない他の国と日本の根本的違いです。

そうだとしても、仮に今後「感染経路の見えない」形で、多数の感染者が発生し、クラスターを抑え込むことができなくなる可能性は残っています。専門家会議の言う「オーバーシュート」とはそうした事態であり、これを恐れて警戒を強めようという趣旨は理解できます。

仮にこの仮設が相当程度にあたっているにしても、専門家委員会が声高にそれを誇るのではなく、警戒を促しているというのは正しい姿勢だと思います。

今後、日本や、台湾などの感染者数が低い理由は、本格的に研究を進めていくべきと思います。

なお、中国の場合は、死者数が少ないことにはなっていますが、中国は1月にコロナの統計のとりかたを3回も変えたという事実があることと、その後もコロナ感染者でも症状が出ていない人は、コロナ感染者数に含めないなどの措置をとっていることから、全く信用ができず、疫学的調査には信頼にたるデータを得られる可能性は低いです。

韓国・ソウルの朴元淳市長は9日、市庁で記者会見し、市内繁華街・梨泰院のクラブを訪れた後、新型コロナウイルスへの感染が発覚した20代男性に関連し、同日正午時点で計40人の感染が確認されたと発表しました。感染封じ込めが期待されてきた韓国は、再び増加に転じた感染者数を前に緊迫感が漂っています。

メルケル首相が6日、新型コロナウイルスに絡む規制の大幅緩和を打ち出したドイツ各地で、クラスター(感染者集団)発生が確認されています。どこまで規制を緩和するかは14州と2特別市ごとに決めるが、難しい地域も生まれそうです。

まだまだ、予断を許さない状況であることは間違いないようです。

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2020年4月9日木曜日

ワイドショーが拡散「隠れコロナ死」いる!? 厚労省に取材すると…担当者「決して数字に隠蔽はない」―【私の論評】日本がPCR検査を限定して成功している背景には、CT普及率世界一という背景が(゚д゚)!


日本のマスコミは「隠れコロナ」「隠れコロナ死」を煽るがそれは本当なのか?

新型コロナウイルスによる日本国内での死者数が、世界的に少ないことをめぐり、テレビの複数のワイドショーで、「一般の肺炎患者に、実は隠れた患者がいるのではないか」「PCR検査が少ないから、肺炎による死者に紛れ込んでいる疑いがある」と発言する識者や出演者がいる。視聴者が大いに動揺しそうな疑惑だけに、厚労省の担当者に聞いた。

 同省がまとめた2018年の人口動態統計によると、日本では1年間に肺炎を発症した患者で約9万4000人が亡くなった。365日で割ると1日あたりでは257人の計算だ。

 一方、新型コロナウイルスの感染者数は8日午前0時時点で累計4453人、死者は98人にとどまる。米国(感染者36万8449人、死者1万8人)や、イタリア(同13万2547人、同1万6523人)などに比べると、かなり少ない。

 そこで、冒頭のワイドショーが拡散している疑惑について、新型コロナウイルス対策にあたっている厚労省結核感染症課に問い合わせた。

 同課の担当者は「一般の肺炎患者には、生前の段階から全員にCT検査を実施している。これは、新型コロナウイルス感染の有無を調べる1つの指標としてだ。急に搬送先で原因不明で亡くなった肺炎患者がいれば、死後、CT検査を行うこともある。その結果、コロナ感染が疑われる事例には漏れなくPCR検査に回し、詳細に原因を突き止めている。その確定診断結果を、新型コロナウイルスの死者数などとして、公表している。決して数字に隠蔽はない」と語っている。

 テレビは「公共の電波」を借りて放送しており、放送法第4条には「公安及び善良な風俗を害しないこと」「政治的に公平であること」「報道は事実をまげないですること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」と記されている。

【私の論評】日本がPCR検査を限定して成功している背景には、CT普及率世界一という背景が(゚д゚)!

上の記事では、CTについての記述があります。実は、日本はCTの台数が世界一です。これは、以下のグラフをごらんになれば、一目瞭然です。




他の国では、大病院に行かないと、CT検査は受けられませんが、日本の場合だと診療所にも設置されているところが多く、CT検査自体は特別なものではなく、日常的な検査となりました。私自身も何度か受けた経験があります。ちなみに、MRIもかなり普及しています。皆さんの中にもCT検査をしたことのある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

CT検査で、コロナウイルスに感染しているかどうかは、断定はできませんが、その疑いがあることはすぐにわかります。あるいは、肺炎でないこともすぐにわかります。

中には、全く別の病気の疑いで、CT検査をしたところ、コロナ肺炎の疑いが出てきたため、PCR検査をして陽性となったという事例もあります。

このため、医療現場ではCTで検査し、コロナウイルス感染が疑わしい場合は、PCR検査をする流れができているそうです。これは、何もコロナウイルス肺炎に限らず、他の病気でも同じで、特に肺疾患であれば、レントゲン検査や、CT検査をしてから、他の検査をするというのが普通のようです。これは、日本では当たり前の流れなので特に意識されていないようです。


PCR検査をすぐに実施しないのは、以前のこのブログでも掲載したように、PCR検査反定立の正式な数字はないため政府関係者もはっきり言わないし、テレビなどでも言及されないのですが、誤判断の確率はだいたい3~5割だそうです。簡易検査だとこれをさらに上回るそうです。

以下のようなことも言われています。
  • 感度……その病気にかかっている人が、陽性と判定される確率
  • 特異度……その病気にかかっていない人が、陰性と判定される確率
新型コロナウィルスのPCR検査の場合、感度は 30〜70%程度、特異度は 99%以上ではないかと推測されています(未確定)。
これが意味することは、野放図な検査は意味なしということです。 仮に専門医の目利きで有病である判定率を70%まで上げたとします。それでも健康な人間を30%も入院させてしまうことになるのです。もし、あまり目利きでない人が実施すると、健康な人間を70%も入院させてしまうことになります。
PCR検査は、感度は低いのですが、特異度は高いですから、PCR検査だけをして判定した場合、陽性でなくても、陽性であると診断される率も高いのです。逆に、病気にかかっていない人が陰性であると判断される率は高いのです。
これは特に特異度に関しては納得できるところがあります。PCRの検体は、被験者の鼻に綿棒を入れ、鼻の粘膜から採取します。その時に、採取の仕方が下手で、ウイルスの採取ができないようなやり方をしたとしも、あるいは上手でウイルスがあれば採取できるような方法で実行できたとしても、元々ウイルスがなければ陰性になるのは当然のことです。
いずれにせよ、PCR検査だけをしてその結果で、陽性の人を全員入院させると、本当は陰性の人まで入院させてしまう率もかなり高いということになります。だからこそ、最近ではたとえ陽性とでても、症状が軽い人や、症状のない人は病院にすぐに入院させるのではなく、ホテルなどに滞在させるようになっているのでしょう。
日刊ゲンダイでは、以下の記事で、CT検査に関して以下の記事でデマを撒き散らしています。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、
まさか“隠れコロナ”? 東京都で「インフル・肺炎死」急増の不気味
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
 もうひとつ、先月28日の会見で、安倍首相が質問されてもいない「肺炎死」について長々と語り出したことへの違和感だ。 
PCR検査の数が少ないけども、死者の数が多いということではありません」 
「死者の数、肺炎で亡くなっている方が実はコロナではないかとおっしゃる方がいるんですが、コロナウイルスの場合は、専門家の先生たちがこれはみんな、私も確認したんです」
「肺炎で亡くなった方については、基本的に肺炎になって最後はCTを必ず撮ります。CTにおいて、間質性肺炎の症状が出た方は必ずコロナを疑います。必ず。そういう方については、これ、必ず、だいたいPCRをやっておられます」 
 要するに、間質性肺炎の場合はPCR検査をしているから、他の細菌性肺炎などと混同することはないと言いたいようだ。逆に言えば、間質性肺炎と判断されなければ検査は行われない。何度も念押ししていた「必ず」が最後に「だいたい」にトーンダウンしたのも気になる。 
 最近は、新型コロナに感染しても肺には異常が表れないケースも海外で確認されている。実態を把握するには、やはり片っ端から検査するしかないのだろう。 
 こんな時に政府の発表が信用できないことほど不幸なことはない。
この記事で、「肺炎でなくなった方」というのは、何らかの自覚症状が出て、普通に病院に赴いた人ではなく、たとえば、行き倒れのように亡くなった方とか、あるいは、病院に行ったのですが、すぐにかなり重篤になり、亡くなってしまった場合の人なのでしょう。いわば、例外的な人々なのでしょう。

安倍総理は、「死者の数、肺炎で亡くなっている方が実はコロナではないかと」という疑惑を晴らすために、このような例外的な人の話を敢えてしたのだと考えられます。

こういう例外的な人は、当初にCT検査をしないうちに亡くなったということは十分に考えられることです。だから、まさしく死後にCT検査をしたのです。

もし、最初から普通に病院に行ったのなら、そもそも最初からCT検査を実施し、 コロナウイルス肺炎の疑いがあれば、PCR検査をしているものと思います。PCR検査をしなかったとしても、コロナウイルス肺炎の疑いありという記録は残ることになります。だから、死後にCT検査をするというのは、例外的だと思われます。

さらには、日本の場合、CT台数が、世界一多いため、CT検査→コロナ肺炎の疑い→PCR検査という流れが普通にできているのでしょう。

これが、日本があまりPCR検査を実施しなかった理由と思われます。この事実は、日本がクラスター追跡に成功した背景ともなっていると考えられます。

今後どのようにコロナ肺炎感染がどのように推移していくのかは、まだ未知数ですが、今後もCT検査をしてから、PCR検査をするという流れは変わらないと思います。

まさに、日本がPCR検査をあまり多くしなくても、というより、野放図に検査をしなくてもすんでいるのは、背景にCTの台数が世界有数であるという事実があると思われます。

このあたりは、日本でももっと調査して、海外の感染症専門家が日本ではPCR検査をしないから、感染者数はもっと多いのではないかという疑惑を晴らすべきです。

そうして、海外の感染症専門家が感染者数がもっと多いという疑惑を抱いるとすれば、彼らは当然のことながら死者数の少なさも疑問に思います。その彼らの疑問に応えるかのような、ワイドショー「隠れコロナ死」なるデマを封じるべきです。

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2017年1月14日土曜日

「汚い言葉を使う人ほど正直者」であることが研究で判明―【私の論評】なぜトランプ氏は大統領選で敢えて「汚い言葉」を用いて成功したのか?



悪口やののしりなどの「汚い言葉」を使うのは一般的にタブーとされていますが、「口の悪い人ほど根が正直」であるという研究結果が発表されました。

Frankly, we do give a damn: The relationship between profanity and honesty | Gilad Feldman - Academia.edu

http://www.academia.edu/29725191/Frankly_we_do_give_a_damn_The_relationship_between_profanity_and_honesty



A new study linking profanity to honesty shows people who curse are more authentic — Quartz
https://qz.com/881289/a-new-study-linking-profanity-to-honesty-shows-people-who-curse-are-more-authentic/

一般的に汚い言葉を使う人は社会規範を破りやすい傾向にあり、誰かをののしることは不道徳な行為と考えられています。一方で、無実の罪で逮捕された人は、罪を犯した自覚を持つ人より、取り調べの際に汚い言葉を使う傾向にあることも過去の研究で示されています。そこで、マーストリヒト大学心理学部のジラド・フェルドマン氏率いる国際研究チームは、「汚い言葉」と「率直さ」の関係性を、個人および社会レベルで分析するべく3つの研究を行ないました。


By Neil Girling

1つ目の研究は個人レベルの汚い言葉の分析が目的で、276人の男女に「一般的に人は悪い言葉を使っている」という事実を伝えた上で、「人気の汚い言葉リスト」から、それぞれの汚い言葉から連想する怒り・恥などの感情を答えてもらいました。その後、被験者に1985年に発案された「アイゼンク性格検査(EPQ)」を受けてもらい、汚い言葉に対して話したことの信頼性が調査されました。EPQの結果により、一部の人間がうそをついていることがわかるとのこと。

2つ目の研究は世界中から集めた7万人の被験者を集め、Facebookの更新内容から汚い言葉の使用頻度を割り出し、抽出された内容はオンラインユーザーの正直度を計測する「Linguistic Inquiry and Word Count(LIWC)」という分析にかけられました。この2つの研究はいずれも、「汚い言葉を使う人の方が正直である」という結果を残しており、研究チームは「特にFacebookでは、より多くの汚い言葉を使う人の方が、より正直な人であることを示していました」と話しています。

3つ目の研究では社会レベルの傾向を調べるため、アメリカの48の州で2012年にセンター・フォー・パブリック・インテグリティによって公的に行なわれた「Integrity Analyses(誠実性分析)」のデータが使われました。また、2万9701人のFacebookユーザーを集めて「汚い言葉がよく使われる州」と「汚い言葉をあまり使わない州」が調べられ、2つのデータを比較した結果、汚い言葉をよく使う州ほど、誠実性分析の点数も高いという相関が見られたとのこと。

研究チームは「3つの研究により、個人および社会レベルで汚い言葉の使用頻度に比例して正直度が高くなることがわかりました」と話しています。一方でこの件を取り上げたQuartzは「この研究は倫理的な部分は追求しておらず、口の悪い人が罪を犯さないというわけではない」と警告しています。なお、この研究結果は学術誌・Social Psychological and Personality Scienceで発表される予定です。

【私の論評】なぜトランプ氏は大統領選で敢えて「汚い言葉」を用いて成功したのか?

トランプ氏(左)とオバマ氏(右)
悪口やののしりなどの「汚い言葉」というと、最近では米国新大統領のトランプ氏と、前オバマ大統領を思い浮かべてしまいます。この二人対照的でした。

トランプ氏はいわゆる「汚い言葉」を語るということで、選挙戦当初は泡沫候補とされていましたが、最終的には大統領選挙に勝利しました。

一方オバマ氏はといえば、大統領選中も、大統領になってからも「汚い言葉」はほとんど使いませんでした。オバマ氏の占拠での合言葉は"Yes, we can."でした。

トランプ氏の大統領としての最後の演説の締めくくりは、"Yes We Can. Yes We Did. Yes We Can."でした。最後の演説は自画自賛で終わりました。外交においては、あれほど大失敗を繰り返し、アメリカの世界における存在感を毀損したにもかかわらず、全く反省がありませんでした。

上の心理学の研究の結果からすると、トランプ氏のほうがよりオバマ氏より正直ものであるということがいえそうです。

さて、トランプ氏の「汚い言葉」については、このブログでも以前とりあげたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
テロリスト扱い?軍人はこんなにヒラリーが嫌い 大詰めの大統領選、軍人票がトランプを押し上げる―【私の論評】トランプの暴言は軍人・保守派に対する強烈なメッセージだった(゚д゚)!
米フロリダ州オーランドで開かれた選挙集会で演説する米大統領選民主党
候補のヒラリー・クリントン前国務長官(2016年9月21日撮影、資料写真)
この記事は、米国大統領選挙前の10月5日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくもとして、以下に一部分を引用します。

"
そうして、これがトランプ氏のあの暴言の謎を解く鍵になるかもしれません。アメリカの軍人は日本人の感覚からすると、かなり口が汚いです。特に新兵に対する訓練時の教育での教官は口が汚いです。

アメリカの軍人は口が汚い
たとえば、「フルメタルジャケット」という映画に出てくる、ハートマン先任軍曹の訓練兵に対する口のききかたは、以下のようなものです。

「口でクソたれる前と後に『サー』と言え! 分かったかウジ虫ども!」
Sir,Yes Sir!

「ふざけるな! 大だせ! タマ落としたか!」

Sir,Yes Sir
貴様らは厳しいを嫌う!だが憎めば、それだけ学ぶ!

は厳しいがだ!人種差別許さん黒豚ユダ、イタを、は見下さん!
すべて―
等に―     
―価値がない!
以下にフルメタルジャケットのハートマン先任軍曹の動画を掲載します


この軍曹の口のききかたからすれば、トランプの暴言など霞んでしまうほどです。私は、トランプ氏は、軍人や保守層に訴えるため、あのような暴言をはいたのだと思います。これは、軟なリベラル・左派には出来ない芸当です。あれこそ、軍人に受ける言葉遣いなのです。

トランプ氏は数々のいわゆる暴言で、アメリカの軍人や保守層に以下のようなメッセージを発信したのです。
「てめぇら、アメリカがリベラル・左翼に乗っ取られてもいいのか、俺は厳しいが公平だ!人種差別は許さん!黒豚、ユダ豚、イタ豚を、俺は見下さん!すべて―平等に―リベラル・左派に屈するようでは価値がない!」
無論、周到に計算した上で、場合によっては、ネガティブに受け取られないというリスクをおかしてまで、強力に訴えたのです。そうして、自分はリベラル・左派とは全く異なる保守派であることを強烈にアピールしたのです。
"

ハートマン軍曹は映画に出てくるキャラクターであり、現実のものではないので、本当は違うのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。以下に、アメリカの最近のブート・キャンプの初日の動画を掲載しておきます。


字幕が出ていないので、はっきりとはわかりませんが、これは実際の海兵隊の訓練ですが、当に指導教官の罵声がひっきりなしに飛び交い、ファッキン、ガッデームが頻繁に聞こえ、かなり汚い言葉の連続のようです。確かに、リアル・ハートマン軍曹です。

アメリカでは新兵訓練は叩き上げのベテラン下士官が担当します。たいていは実戦経験豊かな鬼軍曹が担当し、絶対に手を上げないかわりに、これでもかっ、というくらい屈辱的な罵詈雑言で罵倒が行われます。新兵はどんなに罵倒されても絶対服従です。

映画『愛と青春の旅立ち』では新兵がバスで基地に到着すると、L.ゴセットjr演ずる鬼軍曹の、次のようなシーンがありました。

鬼軍曹がある新兵に出身を尋ねた。

鬼軍曹 「貴様の出身はどこだ?」
新兵  「サー、オクラホマであります!」
鬼軍曹 「何、オクラホマだと?いいかよく聞け、オクラホマには牛とホモしかいない、
貴様は角がないからホモだなっwww」
新兵  「いいえ、違います、サッー」
鬼軍曹 「ホモでも牛でもなければ貴様は牛の糞だっ、いや糞以下だ、覚えとけwww」
新兵  「ノー、サー」

このシーンが含まれている動画を以下に掲載します。



実際にアメリカの軍隊の新兵訓練はこのようです。多民族移民国家で個人主義のアメリカの学校教育では、自分の考えを持ち、はっきりと意見を言い、議論することが大切だと教わります。

それにしても、なぜ米軍の新兵訓練でここまで凄まじい罵詈雑言を浴びせかけるかといえば、それはやはり、より緊密なコミュニケーション能力を身につけさせるためであると思われます。ここでいう、コミュニケーションとはいわゆる、どうでもいい「ノミニケーション」や、「ホウレンソウ」の次元のものではなく、真の意味でのコミュニケーションです。

多くの新兵は、頭では軍隊とはどういうものかという解ったつもりでいるのでしょうが、その実解ってはいません。

軍隊において兵士とはまずは、『戦闘マシーン』であり、まずは上位下達の縦社会で、規則と命令のみで動く機械にならなければならないのです。まず必要なことは命令を実行し、任務遂行の為のチームワークです。

兵士の任務はいろいろありますが、戦争は基本的に殺人が前提条件です。これはきれいごとでなく現実です。

兵士は軍隊の規則に従い、敵の殺害も含めてまずは命令されたことを場合によっては、命をかけても忠実に実行する『規格品』でなければならないのです。

このことを頭や理屈ではなく、体で覚えさせるため、このような罵詈雑言を浴びせかける訓練が行われているのです。

経営学の大家であるドラッカー氏は、コミュニケーションについて以下のように語っています。
「上司の言動、些細な言葉じり、癖や習慣までが、計算され意図されたものと受け取られる」(『エッセンシャル・マネジメント』) 
 階層ごとに、ものの見方があって当然である。さもなければ仕事は行なわれない。だが、階層ごとにものの見方があまりに違うため、同じことを話していても気づかないことや、逆に反対のことを話していながら、同じことを話していると錯覚することがあまりに多い。 
 コミュニケーションを成立させるのは受け手である。コミュニケーションの内容を発する者ではない。彼は発するだけである。聞く者がいなければコミュニケーションは成立しない。 
 ドラッカーは「大工と話すときは、大工の言葉を使え」とのソクラテスの言葉を引用する。コミュニケーションは受け手の言葉を使わなければ成立しない。受け手の経験に基づいた言葉を使わなければならない。 
 コミュニケーションを成立させるには受け手が何を見ているかを知らなければならない。その原因を知らなければならない。 
 人の心は期待していないものを知覚することに抵抗し、期待しているものを知覚できないことに抵抗する。 
「受け手が期待しているものを知ることなく、コミュニケーションを行うことはできない。期待を知って初めてその期待を利用できる。あるいはまた、受け手の期待を破壊し、予期せぬことが起こりつつあることを認めさせるためのショックの必要を知る」(『エッセンシャル・マネジメント』)
さて、海兵隊などに入った新兵は、海兵隊という軍隊についても、一般社会常識や、自分たちがそれまで属してきた人種、地域、職場、コミュニティーと同じような価値感や、尺度が通用すると無意識に考えているところがあります。新兵たちは、そうであることをまさに期待しているのです。

しかし、軍隊は場合によっては敵を殺害しなければならないこともあり、一般社会とは全く異なる理念や組織風土があります。新兵はまずは、これを理解しないと、自らも危険ですし、これに関わる人々を危険に陥れかねません。

新兵訓練にあたる教官は、これを新兵に 周知徹底させるために、新兵の期待を破壊し、新兵が予期せぬことが起こりつつあることを認めさせるためのショツクとして、このような罵詈雑言を用いているのです。

多民族国家ではない、単一民族で言葉も日本語だけで十分通じる日本の自衛隊などでは、新人に対してここまで罵詈雑言を浴びせかけなくても、コミュニケーションは成り立つので、十分自衛隊員を養成できるのでしょう。実際、日本の自衛隊は米軍との共同訓練を行っても、米軍が驚嘆するほどかなり良い成績を収めています。ただし、自衛隊でも罵詈雑言は浴びせかけないものの、何か間違ったことをしたり失敗したときには、その場で腕立て伏せをさせるというような罰則はあるようです。

以上のようなことを考えると「汚い言葉」を使う人にも、いろいろいて、本来の意味でのコミュニケーションを深めるために敢えて「汚い言葉」を使う人と、そうではなくてそれが習慣になっている人や病気の人もいるのだと思います。

病気と診断されるものして、汚言症があります。常に汚い言葉を発するのが特徴です。英語では、コプロラリア(Coprolalia)といいます。

社会に受け入れられないわいせつで卑猥な単語を言ってしまう人のことです。YouTube でCoprolaliaと検索すると患者さんの映像が映し出されます。特徴としては、性的なものを単語やフレーズにしてしまう場所や状況などお構いなしにです。

文章のつながりのないところで社会的に許されない場所で大声で言ってしまうため周囲から嫌われます。共通点は止めようと思っても止められない点です。

トゥレット症候群の重篤な多発性チックの症状である汚言症ですが、実際に、汚言症があらわれるのは、3分の1以下です。トゥレット症候群 と診断されたからといって汚言症というわけではありません。

また子どもがふざけて発することばや、わざと言っている場合コプロラリア(汚言症)とは呼びません。
丁寧な言葉では相手に本当の意味が伝わらないときがある
そうして、ブログ冒頭の記事で心理学者が発見した「口の悪い人ほど根が正直」というのは、無論「汚い言葉」を本来の意味でのコミュニケーションを深めるために敢えて意図して意識して使う人なのでしょう。そうして、敢えてこのようなことをしようとする人は、そうでない人と比較して正直者であるであろうことは、容易に納得がいきます。

無論、昨年物議を醸した「日本死ね」などという汚い言葉は、コミュニケーションを深めるためではなく、それこそ政治利用のために用いられたということですから、この言葉を用いた人は正直者ということはあてはまらないでしょう。

もしトランプ氏が、「汚い言葉」を単にリベラル・左派を攻撃するための政治利用のためだけに用いたとしたら今頃大統領にはなっていなかったでしょう。

周りの人とコミュニケーションなど取れなくても良いという人は、うわべではいつも慇懃に丁寧な言葉をつかいますが、その実腹の中では何を考えているのかわからないところがあります。

さて、トランプ氏は、大統領選のとき敢えて「汚い言葉」も有権者とコミュニケーションを深めるために用いたのだとと考えられます。

以前にも掲載したように、米国のマスコミの90%はリベラル・左派で占められていて、本当は米国にも全体の半分くらいは保守層が存在しているはずなのですが、それらの声はかき消され、リベラル・左派の考えが世の中の本筋であるかのように思う人が多いです。それは、今も基本的に変わっていません。

トランプ氏は、大統領選にあたって、まともなことをしていては、自分の味方になってくれる保守派の人々に自分の声や、自分の考えが届かずコミュニケーションを深めることもできないと考え、敢えて「汚い言葉」をつかったり、ポリティカル・コレクトネスなど無視したような話かたをしたのだと思います。

保守派の人々に対して、自分は今までの大統領候補者とは違うということを周知徹底するために、敢えて「汚い言葉」用いて、覚醒のためのショックを与えて、コミュニケーションを深めようとしたのです。

そうして、この試みは、トランプ氏が大統領選挙に勝利したということで、十分に報いられたのです。

もし、トランプ氏がオバマ氏のように"Yes, we can."のような生ぬるいメッセージを発したとしても、大統領選に勝つことはできなかったことでしょう。オバマの場合は、米国リベラル・左派が大挙してオバマを応援して、初の黒人大統領が誕生することを拒むような人は、人種差別主義者であるかのように思われてしまうような状況をつくりだしてしまったため、トランプ氏のようにコミュニケーションを深める必要性もなかったのでしょう。

もしトランプ氏が登場していなかったとしたら、アメリカのメディアは、大挙してクリントンを応援して、初の女性大統領が誕生することを拒むような人は、女性差別主義者であるかのよう思われてしまうかのような状況をつくりだし、クリントンが圧勝したことでしょう。

しかし、有権者とコミュニケーションを深めなくても、当選できたオバマ大統領は、当然のことながら、最初から良い仕事ができるわけもなく、実際オバマは及び腰外交で、在任中に米国の存在感を毀損してしまいました。

そうして、このことは私たちも肝に命じておかなければなりません。パワハラなどになることを恐れて、日々いつも丁寧な言葉を使い続け、本来コミュニケーションを深めなければならない人に対しても、苦言を呈したり、叱ったりするようなことができない人は、人の上に立つことはできません。

そのような人は、いつまでも一番最下位の職位に甘んじるべきです。企業なのどの組織の中で、今よりももっと大きな仕事をしようとか、進歩しようとか、向上しようとすれば、それを自分だけではなく、周りの人にも周知徹底しなければなりません。そんなときに、オバマのような生ぬるい言葉しか発することができなければ、何も成就できません。

組織の中でイノベーションをおこそうとか、周りの大事な人たちに少しでも良くなってもらいたいと思えば、場合によっては「汚い言葉」もつかう勇気も必要なのです。

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2016年2月9日火曜日

ホリエモンが56億円“宇宙詐欺”にあっていた!―【私の論評】投資も、技術も失敗と激しいしばき合いがあるから成功する(゚д゚)!


堀江貴文氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
“ホリエモン”こと堀江貴文氏(43)が約56億円の現金をだまし取られたとして、米テキサス州で訴訟を起こしていたことが分かった。

週刊文春が入手した裁判資料によると、「本件は、民間の宇宙船マーケットで起きた詐欺」として、堀江氏がヒューストンの弁護士であるアート・ドゥラ氏らを訴えている。

堀江氏はロシア製の宇宙船「アルマズ」を利用した宇宙プログラムに投資していたが、後に宇宙船が展示以外に使えない“ポンコツ”であることが判明。投資金などの返還を求めている。一方、ドゥラ氏側は裁判で「何ら不正行為は行っていない」と全面否認している。

2005年に「アルマズ」に乗り込む姿を披露した堀江貴文氏
 堀江氏に取材を申し込むと、取材には応じず、自らのブログで事実関係を認めた。そのうえで「どうせ文春は面白おかしく『ホリエモン詐欺に引っかかる(笑)』と書いて(中略)茶化すつもりだろう」としている。

“情報強者”の立場から社会的発言を続けてきた堀江氏だが、これほど大きな舞台装置で騙されることは「想定外」だったのだろうか。


【私の論評】投資も、技術も失敗と激しいしばき合いがあるから成功する(゚д゚)!

堀江氏は、週間「文春」のやり方に余程腹をすえかねたのでしょうか。以下のようなツイートをしています。


上の記事で、ブログで事実関係を認めたとありますが、そのブログ"HORIEMON.COM"の内容を以下に掲載します。
週刊文春のクソ記者から突然電話がきた
朝ランニングしていたら、突然知らない番号からスマホに着信があった。余り使わないスマホから自動転送にしていたので番号が出ないけど、普段電話に出ない私にわざわざかけてくるというのはよっぽどの重要な電話だと思いでたら、なんとどこで調べたのか週刊文春のクソ記者からの突然の取材電話だ。失礼な奴だ。メールで事務所あてに問い合わせるのが当たり前だろ。なので速攻で切ったら何度もかけてきやがるので着信拒否にした。そしたら事務所あてのメールアドレスに取材内容が書いてあった。 
どこで調べたのか判らないが、私が宇宙開発で詐欺にあった的な内容が書かれている。確かにエクスカリバーアルマズというロシアの宇宙船をリノベーションしてロケットで飛ばす会社に投資をしていたのは事実だし、日本円で50億円以上投資していたのも事実。んで、そこの社長だったArt Dulaに対して賠償請求をしているのも事実だ。で、どうせ文春は面白おかしく「ホリエモン詐欺に引っかかる(笑)」と書いて、まるで私が別で投資をして順調に育ってきているインタステラテクノロジーズのロケット開発まで茶化すつもりだろう。 
ほんとこいつらの頑張っている人の足を引っ張ったり、茶化したりする最低の下劣さには辟易する。まあこんな最低の雑誌をいかしているのは、それを読んでいる下劣な読者のせいなんだけどな。エクスカリバーアルマズに関しては当初ロシアに契約交渉に行ったり計画を精査したりして順調に進んでいると確信していた。現在は訴訟中の為これ以上の事は言えないが、もし一部でも残存している資金が返ってくるならばインタステラテクノロジーズの宇宙開発の方に再投資ができるならば、それがベストだと思える。 
なんというか、こんなネタで週刊文春の部数増に貢献すると思うと虫酸が走るので先に記事にしてやった。もう文春が新事実を書くことはないと思うので文春買う意味ないぞ。 
(エクスカリバーアルマズに関して詳細は こちらの記事 へ。)
さて、以下に堀江氏の宇宙開発に関連する動画を掲載します。

動画の説明を簡単にしておきます。これは、視聴者からホリエモンに質問があり、それに応えるというシリーズ動画です。

この回での質問は、「ロケットの人材を増やす為には、もっと女性の技術­者が増えるべきだと思います。そこで『リケジョ』ならぬ『ロケジョ』みたいな感じで宇­宙に興味のある『宇宙女子』をどんどん支援していく事はできませんか?」というものと、「中高生の­うちからロケットに興味を持たせる事も大切です。ロケット女子が活躍する漫画やアニメ­、映画がヒットすれば全国の学校にロケット部ができる筈です。最近だと『けいおん!』­や『そふてにっ』等、女学生+部活ものはヒットしやすいです。」というものです。

ホリエモ­ンの回答はいかに!? ゲストは準レギュラーのアイスマン福留さんです!



下の動画は、堀江貴文氏の宇宙に対する思い入れを話しているTEDの動画です。


堀江貴文氏は本気で、宇宙に取り組もうとしています。ブログ冒頭の記事では、『“情報強者”の立場から社会的発言を続けてきた堀江氏だが、これほど大きな舞台装置で騙されることは「想定外」だったのだろうか。』と締めくくっています。

しかし、投資でも、技術開発でも、いつも成功できるとは限りません。TEDの動画でも、堀江氏は、失敗したところの動画を聴衆に見せています。その失敗を、聴衆もおおらかに笑ってみています。

かといって、失敗ばかりでもどうにもなりませんが、最後に成功すれば、それで良いわけです。そうして投資し続けたり、研究開発を長年にわたって、続けるというのなら、それは野球でいうところの打率のように見て、評価すべきなのです。

野球のバッターだって、いつも良い成績を収められるとは限りません。長い間、続けていれば、うまくいかないときだってあります。しかし、それでも諦めずに続けていれば、また良い時期もあり、そうして長い間にわたって、高い打率を上げることができれば、そのバッターは能力のあるバッターということになります。

そうして、民間の投資や、技術開発は、多くの人が投資をしたり、技術開発をしてしばきあうことによって、成長していくのです。

あの、iPhoneやiPadとほぼ同じようなプロトタイプを、ノキアがアップルに先駆けて開発していたことを知っている人は少ないかもしれません。しかし、ノキアはそれを市場に投入する機会を狙っていたのですが、残念ながらノキアは市場に投入する時期を間違えて、アップルに完璧に負けてしまいました。

ノキアがアップルより半年も先に、このプロトタイプを市場に投入していたら、状況は大きく変わっていたかもしれません。

ノキアの最初のスマホは、市場導入時期がアップルのiPhoneよりも遅れてしまった
ノキアは、スマホやタブレットなどは、まだ市場に投入しても、ユーザーには受け入れらないと判断していたのです、そうこうしているうちに、後発のアップルに追いぬかれてしまいました。

この事例のように、最初のうちは、誰が成功するかなど、誰にもわかりません。しかし、とにかく他者に抜きん出ようとして努力をして競争して、互いにしばきあって、どこかの企業が成功すれば、それが場合によっては、大きな産業を生み出すこともあるのです。

これを否定してしまえば、優れた投資や、優れた技術なども生まれてきません。それは、計画経済の共産主義がことごとく失敗したことからも明らかです。

“情報強者”のホリエモンでさえ、失敗することはあるのです。というより、資本主義市場における、民間企業は失敗の連続です。その失敗から立ち直り、最後に成功できる企業が次世代を創りだすのです。

しかし、この失敗を許容しない社会は本当につまらない社会になると思います。これは、小保方さんのSTAP細胞についても同じことがいえます。このブログにも以前掲載したように、本来ならば、小保方さんのSTAP細胞に関しても、たとえ小保方さんが間違えていたとしても、どこかで許容されるような社会でなければ、優れた投資活動や、優れた技術開発が阻害されてしまうと思います。

まあ、この程度の茶化しで、堀江氏が尻込みするということなど考えられませんが、このような週刊誌のやり方が、野放図に際限なく行われ、そうして多くの人々が、失敗を許容しないような社会になったとしたら、そのような社会には発展性はありません。

堀江氏の今回の投資の失敗など、笑って許容するくらいの度量が欲しいものです。何やら、私自身は、彼も時にはこんな大失敗をするのかと、思い、かえって親しみがましました。私は、とにかく失敗だけはしないようにする人間は、全く見込みのない人間だと思います。そんな人間に、未来は切り開けないです。そのような人間が世の中の主流となってしまえば、我が国の発展もありません。

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2014年5月2日金曜日

成功は対立の中にある。自分と違う意見の人を見つけて、あえて議論をする価値―【私の論評】ドラッカーも昔から主張する意思決定のための意見の不一致!増税決定の意思決定のように、皆が賛成する意思決定にはろくなものがない(゚д゚)!

成功は対立の中にある。自分と違う意見の人を見つけて、あえて議論をする価値



自分のことを常に応援してくれたり、自分と性格が似ている人に囲まれながら過ごすのは気持ちの良いことです。気のいい仲間と一緒にいると自信が高まり、リラックスできます。こうして、多くの人は一緒に働きたい仲間の輪を築いていきます。それは、快適で居心地のよい環境です。互いに心地よいペースを簡単につくれますし、仕事もうまく進むでしょう。ですが一方で、そこまで心地よい環境では、事業やキャリアを成長させるのに必要な学びやイノベーションが阻害されることもあります。

自分の意見に同調してくれる仲間がいるのは素敵なことですが、健全な対立、異なる視点というのも、時には必要です。特に、集団思考(集団の中で愚かな決定をしてしまうこと)や理想の中から真実を見つけ出すためには必要です。グループのメンバー全員が同じような視点を持っていたら、仕事は確証バイアスに陥り、型にはまった考え方から抜け出せず、起こるはずではなかった失敗が起きるようになります。

あなたの人脈について、考えてみてください。その顔ぶれは何年も変わっておらず、同業界の人ばかりではないですか? 同じ話題について、あなたと似た視点を持っていますか? そうだとしたら、今こそ変化を起こし、居心地の悪い環境を作るべきです。組織のリーダーにとっては、周囲の人があなたの意見に同意せず、議論をもちかけてくるような環境をつくるのは、ハードルの高いことかもしれません。ですが、私の良き友人であり同僚でもあるAmilya Antonettiは「対立からこそ、素晴らしいアイデアがうまれる」と言います。

今回紹介するのは、あなたの視点を広げ、成功のチャンスを高めるために、周囲の人を巻き込む5つのヒントです。


1. 自分の考え方が古くなっている分野を見つける

2. 対立が存在する場所に行く

3. 友好的な議論に参加する

4. 定期的に相手の状況をチェックする

5. 議論の成果を共有し、互いに感謝する

Want Success? Surround Yourself With People Who Challenge Your Thinking|Inc.

Kevin Daum(訳:佐藤ゆき)

この記事の詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】ドラッカーも昔から主張する意思決定のための意見の不一致!増税決定の意思決定のように、皆が賛成する意思決定にはろくなものがない(゚д゚)!

意見の不一致は、会社の意思決定以外にも生じるのが
普通。しょうじないというのなら、何かがおかしい(゚д゚)!


ドラッカーは、上記のようなことをすでに数十年も前から主張しています。
 成果をあげる者は、意図的に意見の不一致をつくりあげる。そのようにして、もっともらしいが間違っている意見や、不完全な意見によってだまされることを防ぐ」(ドラッカー名著集(1)『経営者の条件』)
ドラッカーは、意思決定の過程では意見の不一致が必要だといいます。理由は三つあります。
 第一に、組織の囚人になることを防ぐためです。組織では、あらゆる者が、あらゆる決定から何かを得ようとします。特別のものを欲し、善意の下に、都合のよい決定を得ようとします。 
 そのようなことでは、小さな利害だけで決定が行なわれます。問題の理解抜きでのそのような決定の仕方は、きわめて危険です。
 第二に、選択肢、つまり代案を得るためです。決定には、常に間違う危険が伴います。 
 最初から間違っていることもあれば、状況の変化によって間違うこともあります。決定のプロセスにおいて他の選択肢を考えてあれば、次に頼るべきものとして、十分に考えたもの、検討ずみのもの、理解ずみのものを持つことができます。 
 逆に、全員一致で決めていたのでは、その決められたものしか案がないことになります。
 第三に、想像力を刺激するためです。理論づけられ、検討し尽くされ、かつ裏づけられている反対意見こそ、想像力にとって最も効果的な刺激剤となります。すばらしい案も生まれます。 
 明らかに間違った結論に達している者は、自分とは違う現実を見て、違う問題に気づいているに違いないと考えなければなりません。 
 もし、彼の意見が知的かつ合理的であるとするならば、彼はどのような現実を見ているのかを考えなければなりません。意見の不一致こそが宝の山です。意見の不一致が問題への理解をもたらしてくれます。 
 いかなる問題であれ、意見の不一致が皆無などということは、奇跡です。いわんや、四六時中奇跡を起こしているなどありえないと心得るべきです。それでは、社長が一人いればよいことになります。 
 後で不祥事となった行動の多くが、ろくに議論もされずに決められていることは偶然ではありません 
 「成果をあげる者は、何よりも問題の理解に関心をもつ」(『経営者の条件』)
 意見の不一致のない、意思決定は非常に危険です。それは企業内の意思決定についても同じです。無論、企業などの組織では、職位の高い人の意見が優先するのは当たり前のことです。しかし、職位の一番高い社長や会長の意見と、それ以下の人たちの意見がいつも一致するというようなことがあれば、それは全く異常なことです。何かが間違えています。

最終的に職位の最も高い人の意見に従うということにはなりますが、それでも職位の低い人も意見は述べるべきでしょう。上の事例では、意見の不一致があったときに、相手がどのような現実を見ているのかを知るべきとしています。

この場合、無論全く異なる現実を見ている場合もありますが、実は同じ現実みているにもかかわらよず、意見の不一致があるという場合もあります。

それにしても、意見の不一致、対立がほとんどなかった事例として、昨年の増税論議があります。自民党の中では、ごく少数派の人々が増税に反対していましたが、大勢は増税賛成というより、増税は当前で、やらなければならないものという意見でした。

脚の長さの違いに着目(゚д゚)! こんな不一致は意味なし!

そうして、増税をするとせっかく昨年4月から実施し始めたアベノミクスの第一矢である、異次元の包括的金融緩和の腰を折り、景気の腰折れを起こすので、追加財政措置で5.5兆円を財政出動するということまでほとんど意見が一致したようです。

このような予算に群がる寄生虫ネットワークの住人たち(政治家など)にとっては、消費税増税対策の補正予算は、甘い蜜以外のなにものでもありません。むしろこの甘い蜜をほしいために、消費税増税をすすめたり黙認しているでしょう。

特に自民党内では、増税をすすめたり黙認する人々が大勢を占め、結果として内閣参与の中のそれも一部の人たちは別として、自民党内では増税すべきという意見が、大勢を占め、安部総理や菅官房長官、その他のごく一部の人たちが増税に反対でした。石破幹事長などは、はやい時期から「自民党内は増税で固まっている」と語っていました。

まともに議論もされず、意見の不一致も認識されないまま、自民党大勢派に押し切られた形で安部総理は増税の決断をしなければなりませんでした。結局、安部総理としては、せっかくアベノミクスの第一の矢である包括的金融緩和によって、景気がよくなり、デフレから脱客できる可能性が高まったのにもかかわらず、増税してしまえば、デフレ脱却が遠のくことを懸念していたため、忸怩たる思いだったでしょう。

しかし、あの時点で、増税見送りをしてしまえば、党内のほとんどが反対派にまわり、安倍長期政権も得に描いた餅におわってしまうため、やむを得ず増税の決定をしたものです。

増税などの重要な意思決定をするには、意見の不一致があるのが当然であり、この不一致の中で検討を重ねることにより、まともな考えが醸成され、まともな意思決定ができるようになります。

晩年のアルフレッド・スローン

ドラッカーの著書にもGMの会長だったアルフレッド・スローンが、会議で反対意見が全くなかった場合は、この議論はまだまだ醸成されらおらず、よって次の機会にまた話し合うことにするとして、反対意見がでることを助長していました。

いつも会議で満場一致のようになる企業・政府などの組織、全くおかしいです。こんなことになるのは、独裁的であるか、あるいは無責任な経営者の・政治家の集まりの組織以外にあり得ません。

意思決定において、反対意見が全くないとか、反対意見を言えるような雰囲気ではないという状況は最悪です。この面からみても、自民党の増税の意思決定は大失敗だったと思います。

憲法改正などの意思決定においても、たとえば、民主党、社民党、共産党の反対意見は、重要です。彼らのお花畑的な考えで、憲法解釈などしていたら、この日本というという国がとんでもないことになってしまうことが、目に見えるように理解できるので、ますます自信を深めることができます。

とにかく、どのようなことにでも、意思決定においては、意見の不一致は重要です。意見不一致が表面化しないような意思決定はまともなものではありません。私たちは、これを前提として、重要な意思決定をすべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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