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2020年7月3日金曜日

専門家会議廃止めぐる「誤解」…助言の役割無視する報道も 政権の重い責任は変わらず ―【私の論評】意思決定等の基本原則を知らずにモノを考えるのは、時間の無駄、人生の無駄(゚д゚)!

高橋洋一 日本の解き方

西村経済再生相

西村康稔経済再生相が、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議(以下「専門家会議」)を廃止し、新たな組織に衣替えすると発表した。その背景や力学は何か、今後のコロナ対策に影響が出る可能性はどうか。

 政府の新型インフルエンザ等対策会議には、特別措置法に基づく新型コロナウイルス感染症対策本部が1月30日に設置された。本部長は総理大臣、副本部長は官房長官、厚生労働大臣、措置法事務担当大臣(西村大臣)、本部員はその他の国務大臣だ。ここがコロナ対策の意思決定機関だ。

 専門家会議は、新型コロナウイルス感染症対策本部の下、医学的な見地から対策本部に助言するために、2月14日に設置された。構成員については、座長は脇田隆字・国立感染症研究所所長、副座長は尾身茂・独立行政法人地域医療機能推進機構理事長、その他構成員は医学関係者が10人ほどいる。

 構成員は一応決まっているが、座長は、必要に応じその他関係者の出席を求めることができるので、メンバー限定というわけではない。この専門家会議の役割はあくまで本部に助言することであり、意思決定機関ではない。

 一部のマスコミ報道は、対策本部が意思決定機関、専門家会議は助言機関という役割分担を明確に書かずに、専門家会議があたかも意思決定機関であるかのように書いてきた。「専門家会議は議事録で発言者が特定されていない」「対策本部は専門家会議の助言内容そのままでなく、一部書き換えている」などと批判しているのもその証拠だ。

 助言機関では、発言者の特定はそれほど意味はない。むしろ特定の発言者が個別業種の休業を助言した場合、関係業界から突き上げをくらうなどの不利益を被ることもある。マスコミは取材したいからといって、発言者が特定されていないことを一方的に批判するのは筋違いだ。

コロナ対策専門家会議
また、専門家会議は助言機関に過ぎないので、対策本部の決定事項と一言一句同じになるはずがない。極端に言えば、意思決定権者は助言を無視しても構わない。ただし、意思決定にはそれなりの責任が伴うだけだ。

 一部マスコミが専門家会議をあたかも意思決定機関のように報道し、その誤解の上で、コロナ対策を一部野党が批判するという「共同作業」のやり口も見え透いている。

 そもそも専門家会議は、メンバー限定ではないので、廃止し衣替えとせずに、メンバーを適宜入れ替えて運営する手もあったはずだ。

 西村経済再生相は専門家会議を「廃止」と言わずに、もう少し狡猾(こうかつ)に対応するべきだった。専門家会議の位置づけは、対策本部の一存でどうにでもできるので、廃止という手順が間違っているとは思わないが、一部マスコミの術中にはまった感がある。

 そもそも助言者を選ぶのは、意思決定権者なので、衣替えがあっても今後のコロナ対策に影響があるとも思えない。安倍晋三政権のコロナ対策の責任が大きいことにも変わりはない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】意思決定等の基本原則を知らずにモノを考えるのは、時間の無駄、人生の無駄(゚д゚)!

ドラッカー氏の意思決定に関する原則に関しては、このブログにも何度か掲載してきました。この意思決定の原則を知らない人は、専門家会議の意味や意義などについて何も理解していないのかもしれません。

経営学の大家ドラッカーは意思決定について以下のように語っています。
成果をあげる者は、意図的に意見の不一致をつくりあげる。そのようにして、もっともらしいが間違っている意見や、不完全な意見によってだまされることを防ぐ。(ドラッカー名著集(1)『経営者の条件』)
ドラッカーは、意思決定の過程では意見の不一致が必要だといいます。理由は三つあります。
ドラッカーの意思決定に関する原理・原則のマインド・マップです
クリックすると拡大してします

第一に、組織の囚人になることを防ぐためです。組織では、あらゆる者が、あらゆる決定から何かを得ようとします。特別のものを欲し、善意の下に、都合のよい決定を得ようとするのです。

そのようなことでは、小さな利害だけで決定が行なわれることになります。問題の理解抜きでのそのような決定の仕方は、きわめて危険です。

政権の幹部が政局などだけを中心に、コロナ対策を考えていては大変なことになります。だから、そのようなことにならないために、経験内で多くの人がコロナ対策に関与するのです。それだけでも、偏ることがあるので、専門家会議を設けて、これも異なる見方をする専門家複数で協議をしてもらい、政局などの利害だけで決定が行われることを防ぐのです。

感染症の専門家が同時に意思決定を行うのも間違いです。これは、会社などの組織を例にとってみればわかります。普通の会社では、財務部長や経理部長が、営業部長が意思決定を行うということはありません。会社の最高意思決定機関は、取締役会です。

専門家会議がコロナ対策の意思決定を行うということは、会社で言えば、財務部長や経理部長、営業部長が会社の意思決定を行うのに等しいです。部長クラスは、決められた会社の方針に従い、それぞれ専門の立場から、専門分野に関係する部分を専門家の分野から方法を選ぶことくらいです。会社の方針は定められません。

しかし、これと同じようなことをして大失敗したのが、財務省であり日銀です。財務も金融政策も本来は政府がその方針を定め、その方針に従い、財務省や日銀が専門家的な立場から、方法を選ぶというのが、正しいあり方です。

財務省は国税庁という実動部隊等と、企画をする部隊が一体となっている、不思議な組織です。会社で言えば営業部と、財務部が一緒になったような異様な組織です。企業ではありえない組織です。このまま、この組織を放置しておけば、さらに腐敗するのは目に見えています。

本来の正しいあり方から逸脱したため、日本経済の実情とは関係なし、財務省は緊縮財政を、日銀は金融引き締めを繰り返し、平成年間のほとんどの期間日本はデフレでした。

コロナ対策も、専門家会議が意思決定するか実質それに近いことをしていたら、とんでもないことになったかもしれません。

第二に、選択肢、つまり代案を得るためです。決定には、常に間違う危険が伴います。

最初から間違っていることもあれば、状況の変化によって間違うこともあります。決定のプロセスにおいて他の選択肢を考えてあれば、次に頼るべきものとして、十分に考えたもの、検討ずみのもの、理解ずみのものを持つことができます。

逆に、全員一致で決めていたのでは、その決められたものしか案がないことになります。時の政権が決めたとすれば、そうなりがちです。それ以外にも代替案を得るためにも、専門家会議が必要なのです。専門家会議があるからこそ、政府は常に複数代替案を持ちながら、ことにあたることができたのです。

逆に、専門家会議と、政府の意見が何から何まで、同じであれば、専門家会議を設置した意味はありません。

第三に、想像力を刺激するためです。理論づけられ、検討し尽くされ、かつ裏づけられている反対意見こそ、想像力にとって最も効果的な刺激剤となります。すばらしい案も生まれます。

明らかに間違った結論に達している者は、自分とは違う現実を見て、違う問題に気づいているに違いないと考えなければなりません。

もし、彼の意見が知的かつ合理的であるとするならば、彼はどのような現実を見ているのかを考えなければならないです。意見の不一致こそが宝の山です。意見の不一致が問題への理解をもたらしてくれます。

いかなる問題であれ、意見の不一致が皆無などということは、奇跡です。いわんや、四六時中奇跡を起こしているなどありえないと心得るべきです。それでは、社長が一人いればよいことになります。政府なら、総理大臣が一人いればよいことになります。

後で不祥事となった行動の多くが、ろくに議論もされずに決められていることは偶然ではないのです。
成果をあげる者は、何よりも問題の理解に関心をもつ。(『経営者の条件)
問題の理解をするためにも、専門家会議は必要だったのです。そうして、専門家会議があるからこそ、政府も刺激を受け、様々な案を考えることができたのです。

そうして、結果が全てです。米国は、本日は1日で50万人を超える感染者を出しています。これには、米国の特殊事情もあるでしょうが、どう考えてみても、米国の対策は失敗したとしか言えません。 日本は、成功したと言って良いです。

そうして、専門家会議は、責任負う組織ではありません。日本のコロナ感染対策が成功しようが、失敗しようが、専門家会議自体は責任を持つものではありません。責任はあくまで政府にあります。

新型コロナウイルス対策を話し合う政府の専門家会議について、西村経済再生担当大臣は記者会見で、廃止したうえで、メンバーを拡充するなどして、政府内に「新型コロナウイルス感染症対策分科会」として改めて設置する考えを明らかにしています。

この分科会も、従来の専門家会議と同じ役割を果たすのです。第二波、第三波の到来を恐る人もいるようですが、第一波の到来により、かなりの新たな知見が得られています。油断してはいけないですが、それにしても、私自身は第二波、三波が、第一波をおおきく上回ることはないと思います。

このような意思決定の本質を知っていれば、上の記事で高橋洋一が語っているように、「安倍晋三政権のコロナ対策の責任が大きいことにも変わりはない」ことなど理解できそうですが、マスコミなどは違うようです。

安倍総理は、今ままでもこれからも、日本政府のコロナ対策の最高責任者
とにかく、物を知らなさ過ぎです。意思決定でも、コミュニケーションにもマネジメントには、原則があります、それもあらゆる組織に当てはまる基本原則があります。日本の政治家や、ジャーナリストには、この原則を知らずに、その時々の目の前のことを浅く、軽く考えて、直感的に判断をする人があまり多いようです。これは、はっきり言います。時間と、人生の無駄です。

マネジメントや、経済、軍事に関しても、先達は様々なこと考え、その上で原理・原則としてまとめています。そうして、社会に起きているほとんどの現象が、その原理・原則に当てはまるものです。当てはまらないものは、ほんのわずかです。それも知らずに、何でも最初から自分で考え、原理・原則から離れた、自分だけの考えで、人に意見したりするのは、本人にとっても、意見された人にとっても、時間と人生の無駄です。

原理原則に当てはまらないことを見出した人で、自分の頭で考えて、それを解決できれば、それは、おそらくノーベル賞を受賞できるかもしれません。そこまでいかなくても、本格的な研究の端緒となり、新たな学問や、科学の誕生になるかもしれません。ある事象や、出来事について、自分の頭だけで考えるということはそういうことです。

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2019年6月22日土曜日

【G20大阪サミット】大阪から世界が動く 米中貿易摩擦で歩み寄り焦点 日本、初の議長国―【私の論評】G20前後の安倍総理の意思決定が、安倍政権と国民の運命を左右することになる(゚д゚)!


G20サミット等開催地

主要国の首脳が一堂に会する20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)が28、29日、大阪市で開かれる。貿易摩擦、海洋プラスチックごみ問題など、さまざまな課題で議論が交わされ、初の議長国を務める日本の手腕が注目される。会場となる大阪では2025年大阪・関西万博の開催やカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致を控えており、G20を契機に世界への魅力発信を目指す。一方、市内は大規模な交通規制が行われ、全国から警察官が集まるなど厳戒態勢を敷き、会議の成功へ万全の態勢を取る。


 ■米中貿易摩擦、歩み寄り焦点 日本、初の議長国

 G20大阪サミットでは、米中貿易摩擦をめぐる議論が注目を集めそうだ。対中貿易赤字を問題視するトランプ米大統領は5月、制裁関税「第4弾」として、中国からのほぼ全ての輸入品に高関税を課す準備を開始。中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)への輸出禁止措置も決めた。トランプ氏は大阪で中国の習近平国家主席と会談することを表明、摩擦が緩和されるか注目される。

 世界経済の成長持続もテーマ。その一環として日本はデータの自由な流通を促すルール作りを提案する。

 安倍晋三首相は、消費者や産業活動が生むビッグデータなどへの規制を各国でそろえて広く活用できれば、新たな富を生むと説く。根底には、外国企業に対し、顧客データの国外持ち出しに厳しい制約を課す中国に圧力をかける思惑もある。米グーグルなど巨大IT企業に対する「デジタル課税」の統一ルールの方向性も確認する。

 自由貿易の維持に向け、世界貿易機関(WTO)改革も取り上げるが、各国の主張は入り乱れている。WTO上級委員会が韓国による福島県産などの水産物禁輸を容認したことも踏まえ、日本は紛争解決機能の向上を主張。欧州連合(EU)も機能強化を求める一方、中国の不公正貿易に対するWTOの態度が甘いと批判する米国は上級委の人事を拒むなど議論はまとまりを欠く。

 また、世界で年間800万トンに上るとされる海洋プラスチックごみ問題も議論する。政府はプラごみ削減に向けた「プラスチック資源循環戦略」を策定し、安倍首相も「途上国の支援や実態把握に取り組む」と明言。海洋プラスチックごみの流出元の多くは中国やインドネシアなどで、議長国として問題解決に取り組む姿勢をアピールする。


【用語解説】G20

 先進国と新興国の20カ国・地域が入る国際会議の枠組み。源流はアジア通貨危機後の1999年に開かれた財務相・中央銀行総裁会議。リーマン・ショックの起きた2008年に初めて首脳会議が開かれ、定例化した。日米欧の先進7カ国(G7)のほか、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、中国、インド、インドネシア、韓国、メキシコ、ロシア、南アフリカ、サウジアラビア、トルコ、欧州連合(EU)で構成している。参加国のGDP合計は世界の8割以上、人口は約6割を占める。

【私の論評】G20前後の安倍総理の意思決定が、安倍政権と国民の運命を左右することになる(゚д゚)!

トランプ米大統領は、28─29日の20カ国・地域(G20)首脳会議(大阪サミット)で中国の習近平国家主席と会談したいとの考えを表明しています。しかし現時点では、万一会談が実現しても貿易摩擦解消に向けた進展があるとの期待は乏しいです。

ワシントンと北京の外交官や政府高官などによると、貿易協議が物別れに終わった先月以来、米中両国の関係がとげとげしさを増す一方となっているため、会談を行うための準備作業すら十分ではないそうです。

逆に会談が不調に終われば、両国の関税合戦は激しさを増し、トランプ氏が中国の通信機器大手華為技術(ファーウェイ)と取引する企業の免許を取り消したり、中国側がレアアースの対米輸出禁止に動く可能性もあります。

ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は19日、20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)に先立ち、中国側の対米首席交渉官、劉鶴副首相と会談する見通しを示しました。

ライトハイザー代表は議会で、一両日中に劉鶴副首相と電話で協議した後、G20サミット開催地の大阪でムニューシン財務長官と共に会うと見通しました。


米中通商協議がいつ再開されるかはまだ分からないとしながらも、米国には中国と取り組んでいく明確な意思があると表明。通商合意を得ることは米中両国の国益にかなうとの考えを示しました。

ただし、米中貿易摩擦に関して、G20で何らか解決策が出て、一気に解決するということにはならないのははっきりしています。
米国は昨年夏から秋にかけて、まず対中制裁の第1弾、第2弾として計500億ドル(約5兆5000億円)分の中国産品に25%の追加関税を発動。第3弾として2000億ドル分に10%の追加関税を上乗せし、この2000億ドル分については5月10日、税率を10%から25%に引き上げました。

13日には「第4弾」の対中制裁措置の詳細を発表。対象となるのは3000億ドル分の輸入品で上乗せする税率は最大25%。最短で6月末にも発動可能な状態になる見込みです。

さらに、15日には、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)への部品の輸出禁止措置を発動し、関税以外の手段でも締め付けを強化。これに対し、中国は6月1日、米国からの輸入品600億ドル分に対する追加関税率を従来の最大10%から最大25%に引き上げました。

米中互いの対抗措置がエスカレートすれば、短期的には日本企業にもダメージが及びます。

華為の日本企業からの調達額は昨年、66億ドルに達し、今年は80億ドルに増える見通しでした。華為排除の動きが広がる中、同社との取引を停止する日本企業が続出しているほか、第4弾の対中制裁を見据えて中国から生産拠点を移す「脱中国」の動きも出てきた。

「10月時点で海外経済が減速を続けている場合、わが国経済を下押しする影響が大きくなる可能性はある」

日本銀行の桜井真審議委員は5月30日、静岡市での講演で増税の影響をこう分析し、警戒感を示しました。

日本銀行の桜井真審議委員

経済協力開発機構(OECD)は5月21日、世界全体の実質GDP成長率が2018年から縮小し、19年は3.2%、20年は3.4%との経済見通しを発表しました。日本については、19年と20年のGDP成長率をそれぞれ0.7%、0.6%とし、3月の前回予測から0.1ポイントずつ下方修正しました。米中貿易摩擦の影響が大きく、OECDは「持続可能な成長を取り戻すべく、各国政府は共に行動しなければならない」と強調しました。

そのような中、日本が初めて議長国を務めるG20サミットが開かれます。日本は議長国として、機動的な財政政策などを各国に呼びかける可能性が高いです。それにもかかわらず、日本のみが増税すれば、日本発の経済不況が世界を覆うことになる可能性を指摘されることにもなりかねません。

平成28年5月下旬、三重県で開かれた主要国首脳会議(伊勢志摩サミット、G7)で、安倍首相は「リーマン・ショック級」の危機を強調しながら、増税延期の地ならしを進め、直後に延期を正式表明しました。

伊勢志摩サミットで「リーマン・ショック級」の危機を強調した安倍総理

果たして、G20はG7の再来となるのでしょうか。もし今回増税すれば、日本経済は再びデフレスパイラルの底に沈み、内閣支持率がかなり落ちるのは目に見えています。

それでも、増税を実施した場合、安倍政権は憲法改正どころではなくなります。それどころか、野党はもとより与党内からも安倍おろしの嵐が吹き荒れレームダックになりかねません。

まさに、G20前後の安倍総理の意思決定が、安倍政権と国民の運命を左右することになります。

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2016年10月10日月曜日

豊洲6000億円の移転費用、実は都民の負担はナシ!?―【私の論評】移転と、意思決定の問題とを分けて考えられない人は緊縮脳の恐れが(゚д゚)!

豊洲6000億円の移転費用、実は都民の負担はナシ!?

いったい誰が払うのかというと…

豊洲市場の水産仲卸売り場(2015年10月)
 移転費用と捻出、その内訳

築地市場の豊洲移転に関して、当初4000億円とされていたはずが、すでに6000億円もの「巨額」の事業費が投入されていることが発覚し、話題になっている。さらにここにきて、小池都知事が移転延期を表明したため、費用はさらに膨らむという報道もある。

この莫大な額をいったい誰が払うのか。都民が負担を強いられることはないのだろうか。

'13年1月の段階では「4500億円」と試算されていた移転費用。もともとこれは「中央卸売市場会計」のこれまでの蓄えである余剰金から2400億円、国庫交付金から100億円を捻出し、残り2000億円は築地市場跡の売却の一部を充てるという算段だった。

ここで登場する「中央卸売市場会計」とは、築地市場を含めて11の中央卸売市場の決算をとりまとめているもの。「独立採算制」を原則として運営されていて、都の一般会計から独立したおカネとして扱われる。

その中央卸売市場会計の平成26年度決算を見ると、まずは収益のメインは市場利用者から徴収した施設使用料で、この総収益は約187億円に達する。ここから人件費、物件費などのコストを引いて計算すると、経常利益は約1億円の黒字となる。

次に貸借対照表を見てみると、保有する資産の総額は7705億円。対して負債は2676億円、資本金4261億円、剰余金は768億円。損益状況と財務状況に問題がないことがわかるが、一方であまりにも巨額の移転費用を単独で賄い切れるほどの「余裕」はないことも見えてくる。

 実は都民の負担はなし!?

築地市場の一コマ
それではやはり、6000億円に膨らんだ事業費を捻出するために「都民の追加負担」が必要になってくるかというと、実はそうでもない。

というのも、現在の計画では築地市場跡地の売却収入が2000億円しか組み込まれていないからだ。これは公示地価をもとに都が弾いた跡地の価値3500億円の一部にすぎない。

そもそも、一般的に公示地価は実勢価格より低くなる。また、最近の地価の上昇傾向も踏まえると、築地市場跡地の実勢価格は、5000億円以上とも言われている。つまりはこれで財源は賄えてしまう。

ちなみに、中央卸売市場会計には、都の一般会計から補助金19億円が、「営業外収益」のなかに投入されている。ただこれは中央卸売市場の事業拡充のための補填であって、税金を移転費用に回す目的で入れられているわけではない。

もっと言えば、この規模の補助金を貰っている事業は他にもある。例えば都営地下鉄や都バスも、同様に独立採算制を取っている。地下鉄は東京都交通局の高速電車事業会計、都バスは交通事業会計として扱われる。そして平成26年度決算を見ると、地下鉄には25億円、都バスには12億円の補助金が入っている。

豊洲移転では、様々な問題が世間を騒がせているが、経済面で見れば、「即刻移転」の選択肢がベストだ。今のうちに早く移転を完了させれば、都民の追加コストはない。ただし、延期すればするほど、業者の維持費用がかさんでいく。

老朽化した築地市場よりも、新しい豊洲市場のほうが清潔。だからその安全性を証明でき次第、一刻も早く移転させたほうがいい。

『週刊現代』2016年10月15・22日号より

【私の論評】豊洲移転と、意思決定の問題とを分けて考えられない人は緊縮脳の恐れが(゚д゚)!

上の記事、もっともだと思います。以前も豊洲市場については、盛り土が勝手に決められていたという都庁の意思決定の問題と、豊洲移転は全く別個に考えて、豊洲移転ははやめに実行すべきであることを掲載しました。

その記事のリンクを以下に掲載します。
豊洲盛り土問題の真相〜マスコミには高校化学の知識もないのか…―【私の論評】豊洲は安全、早期に移転しないと意味がなくなる(゚д゚)!
豊洲市場
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、今や老朽化した築地市場よりも豊洲市場のほうがよほど安全であり、なるべく早期に移転すべきであると主張しました。

「盛り土」をしないで、ピットにした事自体については、危険でも何でもなく、むしろ良い発想であり、予定どおりに盛り土されていないということと、豊洲移転とを結びつけて、この問題が解決しないければ、豊洲移転もできないという考え方は、非常に奇異ですらあるといえます。

そうして、以前の別のブログ記事ではでは、「盛り土」しないという意思決定に関して他の事例を出して以下のような解説をしました。これは、地方自治体の意思決定のいい加減さの事例として出したものです。
それは、私が学生の時に、シンクタンクのバイトである人口10万程度の地方都市の新しい下水道の設置をするために積算をしているときに発覚しました。

私は概算を積算したのですが、どうしても市で算出した積算とは数値がかけ離れていました。私の概算のほうが何度計算しなおしても、大きい数字が出るのです。概算であっても数値にあまりの差がありました。これは自分が計算間違いをしているのかもしれないと思い、そのことをシンクタンクの主任研究員に報告したところ、概算そのものは間違いがないようなので、現地調査に行くことになりました。
しかし、その原因は現地調査をするまでもなく、その地方都市の市役所で調べたところすぐに判明しました。何と、その積算は、現在の当該市の人口が変わらぬものというか、そもそもそのようなことは全く考慮に入れず計算したものだったのです。

当時は、今と違って、その地方都市は宅地開発などが盛んで、人口が増えていました。下水道も当然のことながら、人口増を念頭に入れて積算しなければなりません。それをしないと、下水道のキャパシティが不足して、すぐに追加工事が必要となるという事態になったことでしょう。

そうして、驚いたことに、その計算をした人は、その年に高校を卒業したばかりの新人であったことが判明しました。その新人に単純に計算の仕方を教えて、でてきた計算結果について特に調べもせずに、土木課長が押印し、その上の上司の部長もこれも何も調べもせす押印していたのです。

土木課長とはいっても、たまたまそこに配置されて、土木の仕事をしているというわけで、専門家でも何でもないので、こういうことになったのかもしれません。地方自治体には、人材が不足しているので、こうなったのかもしれません。それなら、それなりのやり方というものがあると思うのですが、どうもそうはなっていないようです。 
私はこの時初めて市役所などの地方自治体の仕事は、結構いい加減なことを知ったわけです。そうして、私は他のシンクタンクでもバイトをしたのですが、そのときにも似たような話をいくつか聴きました。本当に、その当時は、それらのことに憤りを感じたものです。その憤りは今でも、感じます。積算間違いは一歩間違えば、事故を誘発します。 
このような傾向はおそらく、この地方都市だけに限らず、他の都市でもあったし、今でもあるのかもしれません。ただし、現在なら少子高齢化の傾向ですから、このようなことがあっても問題にはならないだけなのかもしれません。
地方自治体においては、このようなことは良くあることなのでしょう。結局、土木課長とか、さらにその上の部長の肩書を持つ人も、土木の専門家でも何でもないので、良くりかいできず、めくら判をおしていたということです。

そうして、東京都庁でも、同じようなことが行われていたのでしょう。東京都は、図体は大きいのですが、やはり地方自治体の悪い面が豊洲移転問題にも出てしまったのでしょう。

しかし、意思決定の手続きの問題と、豊洲の安全性や、移転などとはやはり分けるべきでしょう。移転はなるべくはやくすすめて、意思決定の手続きの問題はそれとは分けて徹底的に原因を究明し、二度と同じようなことが起こらないように、意思決定のシステムを構築しなおすべきでしょう。

意思決定の問題はなおざりはできないが・・・・・・
さて、この件については、意思決定とか安全性の問題のほかに、さらに根深いものがあるような気がします。

これは、オリンピックの問題に関して考えると、合点がいきます。様々な施設に関して、経費がかかり過ぎであることが問題になっています。

確かに、経費のかかりすぎは問題ですが、何やら最近では、国や都の財政でも、とにかく緊縮するのが絶対善であるかのような風潮です。このような人たちは、頭が緊縮にとりつかれて、脳が緊縮脳とでも形容すべき状態になっているのでないでしょうか。豊洲やオリンピックの問題に関しては、やはりこうした風潮が影響しているのではないかと思います。

とにかく、あまりにも長い間デフレが続いしまったため、家計においては何でも節約するのが善であり、それはデフレ防衛のためには、当然のことなのですが、国や都の財政にまで、それが当然というか絶対善であるかのような考えの人が多いです。特に、マスコミの報道ぶりにそのような考えがありありと透けて見えます。

マスコミや、国民が無自覚にデフレ政策を求めてるような風潮があります。 概算要求の記事などでも「もっと歳出をカットしろ」「借金するなバカ野郎」のような内容が飛び交うのが定番のようになっています。
 
需要不足のデフレ下で需要抑制策の緊縮財政を行ったら逆効果なのに、そんなこともわからない人が多いようです。無論、政府や都が際限なく公共工事を行なうといっても限界があり、その限界を超えてしまえば、公共工事の供給制約が発生してしまうとか、クラウディング・アウトが生じてしまう負の側面はあります。

しかし、バランスをとって実行すれば、それは悪いことではありません。さらに、緊縮の反対の積極財政の方法は他にも、減税や給付金などもあります。 にもかかわらず、未だに緊縮財政=絶対善、果ては金融引き締め=絶対善だと信じて疑わないようなマスコミや多くの国民が存在することに辟易とすることがあります。こういう人たちは、国や都の財政をあたかも個人の懐具合のように考えていて、国や都が大量の資金を投じて何かを行えば、そのお金は世の中からきえしまうと思い込んでいるのではないかとさえ、思ってしまうことがあります。 

国の借金という妄想に取り憑かれた、緊縮脳の人が未だに大勢いることが信じられません。以下に政府の連結バランスシートを掲載します。


このようなバランスシートをみると、したり顔で、確かに国は多くの資産を持っているが、その資産が売れなければ、意味がないなどと語る愚かな人もいます。しかし、日本国の資産の7割は金融資産です。これを真っ向から否定して、増税すべきなどという酷い緊縮脳の人も多いです。

これも、20年前くらいならメディアの偏向報道という言い訳にできたでしょうが、ネットが普及した今では、そうとばかりはいえなくなってきていると思います。日本にも、反緊縮サイトは結構あります。なのに多くの人は学ぼうともしないし知ろうとしもしなようです。既存大手メディアは、財務省や日銀などの発表を吟味することもなく垂れ流しデタラメなニュースを発信し、それを鵜呑みにしてしまう人が何と多いことか。

自分達の無知を棚上げして安倍自民党を批判してる姿に腹立たしさすら感じることがあります。 選挙を通じて緊縮財政派や半金融緩和派を国会に送り込んでるのは誰なのか、公共事業を批判してデフレを固定化させたいのは誰なのか。 世論調査で赤字国債発行に猛反対して政治家から選択肢を奪ってるのは誰なんだといいたいです。

豊洲の問題や、オリンピックの問題にしても、その背後に緊縮脳がかなり影響しているものと思います。

特に、安全性と意思決定の問題を全く分けて考えることができない人は、緊縮脳におかされている可能性が大だと思います。

【関連記事】

2016年3月3日木曜日

【朝日新聞記事】(政治断簡)だまってトイレをつまらせろ 政治部次長・高橋純子―【私の論評】「朝日が正しい、安倍が間違い」という観点から意思決定をする朝日新聞に明日はない(゚д゚)!

【朝日新聞記事】(政治断簡)だまってトイレをつまらせろ 政治部次長・高橋純子

2016年2月28日05時00分

高橋順子
「だまってトイレをつまらせろ」

このところ、なにかにつけてこの言葉が脳内にこだまし、困っている。新進気鋭の政治学者、栗原康さんが著した「はたらかないで、たらふく食べたい」という魅惑的なタイトルの本に教えられた。

ある工場のトイレが水洗化され、経営者がケチってチリ紙を完備しないとする。労働者諸君、さあどうする。

(1)代表団を結成し、会社側と交渉する。

(2)闘争委員会を結成し、実力闘争をやる。

まあ、この二つは、普通に思いつくだろう。もっとも、労働者の連帯なるものが著しく衰えた現代にあっては、なんだよこの会社、信じらんねーなんてボヤきながらポケットティッシュを持参する派が大勢かもしれない。

ところが栗原さんによると、船本洲治という1960年代末から70年代初頭にかけて、山谷や釜ケ崎で名をはせた活動家は、第3の道を指し示したという。

(3)新聞紙等でお尻を拭いて、トイレをつまらせる。

チリ紙が置かれていないなら、硬かろうがなんだろうが、そのへんにあるもので拭くしかない。意図せずとも、トイレ、壊れる、自然に。修理費を払うか、チリ紙を置くか、あとは経営者が自分で選べばいいことだ――。

船本の思想のおおもとは、正直よくわからない。でも私は、「だまってトイレをつまらせろ」から、きらめくなにかを感受してしまった。

生かされるな、生きろ。

私たちは自由だ。



念のため断っておくが、別にトイレをつまらせることを奨励しているわけではない。お尻痛いし。掃除大変だし。

ただ、おのがお尻を何で拭こうがそもそも自由、チリ紙で拭いて欲しけりゃ置いときな、という精神のありようを手放したくはないと思う。

他者を従わせたいと欲望する人は、あなたのことが心配だ、あなたのためを思ってこそ、みたいな歌詞を「お前は無力だ」の旋律にのせて朗々と歌いあげる。うかうかしていると「さあご一緒に!」と笑顔で促される。古今東西、そのやり口に変わりはない。

気がつけば、ああ合唱って気持ちいいなあなんつって、声を合わせてしまっているアナタとワタシ。ある種の秩序は保たれる。だけども「生」は切り詰められる。



「ほかに選択肢はありませんよ――」

メディア論が専門の石田英敬・東大教授は2013年、安倍政権が発するメッセージはこれに尽きると話していた。そして翌年の解散・総選挙。安倍晋三首相は言った。

「この道しかない」

固有名詞は関係なく、為政者に「この道しかない」なんて言われるのはイヤだ。

近道、寄り道、けもの道、道なんてものは本来、自分の足で歩いているうちにおのずとできるものでしょう?

はい、もう一回。

だまってトイレをつまらせろ。ぼくらはみんな生きている。

【私の論評】「朝日が正しい、安倍が間違い」という観点から意思決定をする朝日新聞に明日はない(゚д゚)!

新聞をトイレットペーパーに?

ネット上でかなり批判を浴びていたので、朝日新聞の2月28日朝刊のコラム記事を読んでみました。それが、ブログ冒頭の記事です。これにはもう、驚いてしまいました。こんなハチャメチャな記事を掲載して、日本の大手全国紙の矜持は一体どこに吹き飛んでしまったのでしょうか。いや、もともと朝日新聞にはそのようなものはなかつたのでしょう。

内容が、偏向しているとか誤報だというのならまだ理解できなくもありませんが、内容があまりに粗暴、下品、かつ論理のかけらもなく、違法行為の扇動を示唆する内容になっています。

筆者は政治部次長の高橋純子記者です。次長だから一般記者の取材や出稿を指揮する立場なのだと思います。少なくとも中堅以上のキャリアのある人だと思います。

さて以上の記事のテーマは普通に読めば、たとえ比喩やたとえにであったとても、トイレで大便をした後に新聞紙を使え、という勧めです。そうして、それが安倍政権への反対活動の最善の方法だということです。

私自身も、長い間地元の北海道新聞や、その他の全国紙を読んできましたが、こんなひどい記事は読んだことがありません。地元地方紙の北海道新聞にも酷い記事が掲載されており、過去には、このブログで北海道赤旗新聞と揶揄したこともあるくらいです。

しかし、今回のこの記事は、北海道新聞よりもさらに低劣で、救いようのない内容です。朝日新聞の編集は、どうしてしまったのでしょうか。もうここまで落ちてしまったのでしょうか。

それにしても、新聞記者が自分の生命でもある新聞を尻拭きに使えという無神経、朝日新聞は、朝日新聞をトイレットペーパーに使えとでも言いたいのでしょうか。そうして、それを強引に安倍政権叩きに結びつけるという論理の飛躍。朝日新聞は、とうとう発狂したのでしょうか。

ブログ冒頭の記事で、安倍総理の「この道しかない」というキャッチフレーズは、2014年衆院解散総選挙のときのものだったと思います。そのときの自民党のCMの動画を以下に掲載します。




この時に、朝日新聞を含めたメデイアの多くは、衆院解散を「大義なき解散」と断定して報道していました。しかし、14年の4月からの増税は大失敗であったことがはっきりとしていたので、今頃10%増税など当初の予定通りに実施していたら大変なことになっていたはずです。

だから、この時の「景気回復、この道しかない」というキャッチフレーズは正しいものであったと評価できます。それに対する批判であるとすれば、とんでもない見当違いです。それに、安倍総理が「この道しかない」としたのは、あくまで「景気回復、この道しかない」としたのであって、ブログ冒頭の記事の書き方では、他の事柄、たとえば「戦争への道、この道しかない」とでも受け取られかねない書き方です。

高橋順子といえば、朝日新聞の社説「余滴」というコラムで、得体のしれない「1分半に1度かけられる命」という意味不明の記事も書いていたました。以下にその記事のコピーを異彩します。


この記事も酷いものですが、ブログ冒頭の記事は、さらに磨きがかかつたというか、酷い内容になっています。

通常、新聞のコラムは、掲載にあたり、デスクや編集長 紙面審査委員による審査があり、コラムの筆者も筆者ですが、これを通過させる神経が全く理解できません。 ガバナンスどころの問題ではありません、通常のマネジメントもできていないレベルではないかと思います。

ブログ冒頭の記事も、上の記事も、何が酷いといって、内容が空虚で結局のところ、安倍総理に対する個人攻撃になって閉まっている点です。

そうして、このような状況では、朝日新聞ではまともなマネジメント上の意思決定など全く行われていないということが良く理解できます。

このブログでは、何度かマネジメント上の意思決定の原則について掲載したことがあります。

その代表的な記事のリンクを以下に掲載します。
民主など 首相の大阪でのテレビ出演に抗議―【私の論評】最初から誰が正しいか何が受け入れられるかで意思決定するな!すれば与野党ともドツポにはまる(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事よりマネジメント上の意思決定の原則に関する部分のみ以下にコピペします。

"
最初から誰が正しいか何が受け入れられるかで決定してはならない

この言葉の意味は重要です。この言葉を良く理解すれば、なぜ今の国会審議があれほどまでに、空虚で意味のないものになっているのかを良く理解できます。

ドラッカー氏は、『経営者の条件』という書籍で以下のように述べています。
 決定においては何が正しいかを考えなければならない。やがては妥協が必要になるからこそ、最初から誰が正しいか、何が受け入れられやすいかという観点からスタートしてはならない。
これは、意思決定の過程においては、まずは「誰が正しくて、誰が間違いか」などという論議すべきではなく、あくまで「何が正しくて、何が間違いか」という議論をすべきであって、そうでなければ、全く不毛な論議となってしまい、まともな意思決定ができなくなってしまうということです。

いわゆる「安倍嫌い」は、最初から「誰が正しくて、誰が間違いか」という主張をしているに過ぎません。要するに、上のTweetで田中氏が述べているように、「自分と意見違うものはリンチという徹底した態度」ではまともな論議ができず、まともな意思決定もでなきないということてず。

そのためでしょうか、国会での最近の安保法制の議論など、全くまともな議論になっておらず、国民にとっても理解しがたいものになっています。

しかも、大方の政治家は、せっかくの意思決定も実行されなければ意味がないと思うものです。そのため、最初から落としどころとしての妥協を考えてしまいます。

妥協には昔から知られているように2つの種類があります。1つは古い諺の「半切れのパンでも、ないよりはまし」、1つはソロモンの裁きの「半分の赤ん坊は、いないより悪い」との認識に基づくものです。

前者では半分は必要条件を満足させる。パンの目的は食用であり、半切れのパンは食用となる。しかし、半分の赤ん坊では妥協にもなりません。

ラファエロ作『ソロモンの審判』
『ソロモンの審判とは、』旧約聖書に出てくる話であり、イスラエルの賢王ソロモンが、いかにも当時の絶対専制君主らしく、子を剣で半分に切って女二人で分けよと審判します。このような妥協ならしないほうがずっとましです。
民主党などの野党は、とにかく「安倍嫌い」の立場から、安倍総理の主張は全く間違いであり、自分たちが正しいものとして、物事を考えているようです。そうして、そのスタンスで安倍総理に対峙するものですから、とにかく憲法解釈の変更による集団的自衛権に関わる、安保法制は違法として、安倍総理に対峙しようとします。

そのため、全く話が噛み合いません。そうして、いずれ妥協の段階に入るとは思いますが、安倍総理の立場からすれば、民主党などの言うとおりに妥協してしまえば、まともな「戦争抑止法案」とはなりえず、それこそソロモンの裁きの「半分の赤ん坊は、いないより悪い」という結果を招いてしまい、とんでもないことになってしまうため、妥協はできません。そのため、無意味な審議は長引くばかりです。

ドラッカーは、何が受け入れられやすいか、何が反対を招くから触れるべきでないかを心配することは無益であって、時間の無駄だと言います。心配したことは起こらず、予想しなかった困難や反対が突然ほとんど対処しがたい障害となって現れるとしています。

かつての自民党は、安全保障に関して、非常に曖昧な態度をとりました。これが、今日の事態を招いたことも否めません。
"
まさしく、朝日新聞は「何が正しい、何が間違い」という観点からマネジメント上の意思決定をするのではなく、「誰が正しい、誰が間違い」という観点、もっと直截に言えば、「自分たちが正しい、安倍が間違い」という観点から意思決定をしているとしか思えないです。

こんなことはでは、まともな意思決定ができないのは当然のことです。上の2つの高橋順子の2つの記事を読むと、「何が正しい、何が間違い」という観点は全くなく、「朝日が正しい、安倍が間違い」という観点で書かれているためか、情報量という観点からも、本当に希薄な内容になっています。安保を論ずるにしては、あまりにもガサツで、粗野な観点しかなく、これではとうていまともな論議などできるはずもありません。

そうして、このような記事の掲載を許す、デスクや編集長 紙面審査委員が存在しているということです。これでは、まともな意思決定ができず、それこそ、いつも半分の赤ん坊を得るという類の妥協しかできず、そのような妥協を重ねていくうちに、やがて組織が崩壊することでしょう。

ドラッカー氏が生きていたとしたら、朝日新聞は、意思決定のまずさのケーススタディーとして、取材を受けたかもしれません。そうして、朝日新聞は、たとえドラッカー氏がコンサルタントをしても、体質を変えることができずにやがて崩壊することでしょう。

朝日新聞の体質は全く変わっていないということです。

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2014年10月2日木曜日

エコノミストは予測のいい人を選べ―【私の論評】そもそも昨年消費税増税に肯定的だった人の意見など聴いても百害あって一利なし、今は増税できるような状況ではないことは明らか、政府は自ら意思決定せよ(@_@;)

エコノミストは予測のいい人を選べ 

高橋洋一・株式会社政策工房 代表取締役会長


 筆者は、文系が多い霞ヶ関の中で、理系出身だ。理系の中でも数学なので文系からいれば、とんでもなく「理系」だろう。その理系から見た経済政策での不思議を述べよう。
 
 昨年、政府に呼ばれて意見を述べた人の氏名や資料は、ここ(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/tenken/)にある。おそらく日本を代表する学者も含まれている。ところが、彼らの予測は、消費増税しても経済に対する影響は軽微ということだったが、ほとんど当たっていない。それが意味するところは、経済理論を使わずに単なる願望を述べただけか、予測するまでに経済理論を使いこなせてないか、正しく経済理論を理解していないかだろう。

 経済予測を商売とするエコノミストの予測能力も低い。興味のある方は、ここ(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40156)をご覧いただきたい。3ヶ月先の予測について、デタラメにサイコロを振ったのと大差ないくらいだ。この人たちのの多くも消費増税賛成であるが、やはり1年前には消費増税しても経済への影響は軽微であると言っていた。結果としては間違いだった。

 いずれにしても、予測を外した人たちの意見をきいたところで、時間のむだ使いだ。

 ところが、政府は、来年10月からの消費増税を決断するために、再び昨年意見を聞いた有識者に聞こうとしている。

 間違った有識者の意見を聞けば、再び間違う可能性は高い。そのとき、政府はどう言い訳するのだろうか。一度間違った人の意見の逆をした方が、ひょっとしたらいい結果になるかのしれない。ということは、有識者に意見を聞くというのは、消費増税を見送るサインかもしれない。これはちょっと楽観的すぎるかもしれないが。

この記事は要約記事です。この記事の詳細はこちらから(@_@;)

【私の論評】そもそも昨年消費税増税に肯定的だった人の意見など聴いても百害あって一利なし、今は増税できるような状況ではないことは明らか、政府は自ら意思決定せよ(@_@;)

いわゆるエコノミストといわれる人々、GDPはもとより、ありとあらゆる予測を外している人が多いです。

高橋洋一氏は、予測を外した人たちの意見をきいところで、時間の無駄としています。これは、実際そうだと思います。

このブログでも過去にそのようなことは、すでにいくつか掲載してきました。それらの記事のURLを以下に掲載します。
消費増税の影響軽視は危険 エコノミストの根拠なき楽観―【私の論評】民間エコノミストには日本の過去の経済史も、イギリスの先行事例も知らない人が多数存在。そもそも、こんな人たちに先の見通しがたつのか、直近の動向だけで判断して本質は理解していないのではないか(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、高橋洋一氏が、8%増税に関する、民間エコノミストの見方があまりにも楽観的のにすぎることを批判していました。

そうして、以下の記事では、高橋洋一氏が指摘したように、全く楽観的で、8%増税後のGDP予測がもののみごと外れたにもかかわらず、熊谷亮丸氏・木下智夫景気はいずれ回復するし、だからこそ10%増税をすべきことを主張しています。
まったくはずした熊谷亮丸氏・木下智夫氏「今度こそ当とに!年末までは絶対V字回復!なにがなんでも増税だ!」WBS-TL不満大爆発!―【私の論評】無責任民間エコノミストの戯言は、捨て置け(゚д゚)! 

詳細は、この記事をごらんいただくものとして、この記事では、熊谷亮丸氏・木下智夫ともに、消費税増税後のGDPの予測をすっかり外してかなり高く予測していていました。

その彼らが、再び増税しても、WBSで景気は落ちないから、絶対に再増税すべきなどと予測したため、多くの人々から反発をかっていることを掲載しました。

まあ、当然といえば当然です。一度外した人の予測などは、よほどの根拠がない限り、信じるべきではありません。

しかし、上の記事で高橋氏が指摘してるように、政府は、来年10月からの消費増税を決断するために、再び昨年意見を聞いた有識者の意見を聞こうとしています。

この意見聴取は、ほとんど意味を持たないことでしょう。それに、現在の状況であせれば、一部の正しい予測のできなかエコノミストなどを除いて増税すべき状況ではないことは誰の目にあきらかです。

今回、こそは、政府自ら増税見送りを決めていただきたいものです。しょっちゅう予測が外れる人々の意見など聴いても時間の無駄です。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?


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2014年5月2日金曜日

成功は対立の中にある。自分と違う意見の人を見つけて、あえて議論をする価値―【私の論評】ドラッカーも昔から主張する意思決定のための意見の不一致!増税決定の意思決定のように、皆が賛成する意思決定にはろくなものがない(゚д゚)!

成功は対立の中にある。自分と違う意見の人を見つけて、あえて議論をする価値



自分のことを常に応援してくれたり、自分と性格が似ている人に囲まれながら過ごすのは気持ちの良いことです。気のいい仲間と一緒にいると自信が高まり、リラックスできます。こうして、多くの人は一緒に働きたい仲間の輪を築いていきます。それは、快適で居心地のよい環境です。互いに心地よいペースを簡単につくれますし、仕事もうまく進むでしょう。ですが一方で、そこまで心地よい環境では、事業やキャリアを成長させるのに必要な学びやイノベーションが阻害されることもあります。

自分の意見に同調してくれる仲間がいるのは素敵なことですが、健全な対立、異なる視点というのも、時には必要です。特に、集団思考(集団の中で愚かな決定をしてしまうこと)や理想の中から真実を見つけ出すためには必要です。グループのメンバー全員が同じような視点を持っていたら、仕事は確証バイアスに陥り、型にはまった考え方から抜け出せず、起こるはずではなかった失敗が起きるようになります。

あなたの人脈について、考えてみてください。その顔ぶれは何年も変わっておらず、同業界の人ばかりではないですか? 同じ話題について、あなたと似た視点を持っていますか? そうだとしたら、今こそ変化を起こし、居心地の悪い環境を作るべきです。組織のリーダーにとっては、周囲の人があなたの意見に同意せず、議論をもちかけてくるような環境をつくるのは、ハードルの高いことかもしれません。ですが、私の良き友人であり同僚でもあるAmilya Antonettiは「対立からこそ、素晴らしいアイデアがうまれる」と言います。

今回紹介するのは、あなたの視点を広げ、成功のチャンスを高めるために、周囲の人を巻き込む5つのヒントです。


1. 自分の考え方が古くなっている分野を見つける

2. 対立が存在する場所に行く

3. 友好的な議論に参加する

4. 定期的に相手の状況をチェックする

5. 議論の成果を共有し、互いに感謝する

Want Success? Surround Yourself With People Who Challenge Your Thinking|Inc.

Kevin Daum(訳:佐藤ゆき)

この記事の詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】ドラッカーも昔から主張する意思決定のための意見の不一致!増税決定の意思決定のように、皆が賛成する意思決定にはろくなものがない(゚д゚)!

意見の不一致は、会社の意思決定以外にも生じるのが
普通。しょうじないというのなら、何かがおかしい(゚д゚)!


ドラッカーは、上記のようなことをすでに数十年も前から主張しています。
 成果をあげる者は、意図的に意見の不一致をつくりあげる。そのようにして、もっともらしいが間違っている意見や、不完全な意見によってだまされることを防ぐ」(ドラッカー名著集(1)『経営者の条件』)
ドラッカーは、意思決定の過程では意見の不一致が必要だといいます。理由は三つあります。
 第一に、組織の囚人になることを防ぐためです。組織では、あらゆる者が、あらゆる決定から何かを得ようとします。特別のものを欲し、善意の下に、都合のよい決定を得ようとします。 
 そのようなことでは、小さな利害だけで決定が行なわれます。問題の理解抜きでのそのような決定の仕方は、きわめて危険です。
 第二に、選択肢、つまり代案を得るためです。決定には、常に間違う危険が伴います。 
 最初から間違っていることもあれば、状況の変化によって間違うこともあります。決定のプロセスにおいて他の選択肢を考えてあれば、次に頼るべきものとして、十分に考えたもの、検討ずみのもの、理解ずみのものを持つことができます。 
 逆に、全員一致で決めていたのでは、その決められたものしか案がないことになります。
 第三に、想像力を刺激するためです。理論づけられ、検討し尽くされ、かつ裏づけられている反対意見こそ、想像力にとって最も効果的な刺激剤となります。すばらしい案も生まれます。 
 明らかに間違った結論に達している者は、自分とは違う現実を見て、違う問題に気づいているに違いないと考えなければなりません。 
 もし、彼の意見が知的かつ合理的であるとするならば、彼はどのような現実を見ているのかを考えなければなりません。意見の不一致こそが宝の山です。意見の不一致が問題への理解をもたらしてくれます。 
 いかなる問題であれ、意見の不一致が皆無などということは、奇跡です。いわんや、四六時中奇跡を起こしているなどありえないと心得るべきです。それでは、社長が一人いればよいことになります。 
 後で不祥事となった行動の多くが、ろくに議論もされずに決められていることは偶然ではありません 
 「成果をあげる者は、何よりも問題の理解に関心をもつ」(『経営者の条件』)
 意見の不一致のない、意思決定は非常に危険です。それは企業内の意思決定についても同じです。無論、企業などの組織では、職位の高い人の意見が優先するのは当たり前のことです。しかし、職位の一番高い社長や会長の意見と、それ以下の人たちの意見がいつも一致するというようなことがあれば、それは全く異常なことです。何かが間違えています。

最終的に職位の最も高い人の意見に従うということにはなりますが、それでも職位の低い人も意見は述べるべきでしょう。上の事例では、意見の不一致があったときに、相手がどのような現実を見ているのかを知るべきとしています。

この場合、無論全く異なる現実を見ている場合もありますが、実は同じ現実みているにもかかわらよず、意見の不一致があるという場合もあります。

それにしても、意見の不一致、対立がほとんどなかった事例として、昨年の増税論議があります。自民党の中では、ごく少数派の人々が増税に反対していましたが、大勢は増税賛成というより、増税は当前で、やらなければならないものという意見でした。

脚の長さの違いに着目(゚д゚)! こんな不一致は意味なし!

そうして、増税をするとせっかく昨年4月から実施し始めたアベノミクスの第一矢である、異次元の包括的金融緩和の腰を折り、景気の腰折れを起こすので、追加財政措置で5.5兆円を財政出動するということまでほとんど意見が一致したようです。

このような予算に群がる寄生虫ネットワークの住人たち(政治家など)にとっては、消費税増税対策の補正予算は、甘い蜜以外のなにものでもありません。むしろこの甘い蜜をほしいために、消費税増税をすすめたり黙認しているでしょう。

特に自民党内では、増税をすすめたり黙認する人々が大勢を占め、結果として内閣参与の中のそれも一部の人たちは別として、自民党内では増税すべきという意見が、大勢を占め、安部総理や菅官房長官、その他のごく一部の人たちが増税に反対でした。石破幹事長などは、はやい時期から「自民党内は増税で固まっている」と語っていました。

まともに議論もされず、意見の不一致も認識されないまま、自民党大勢派に押し切られた形で安部総理は増税の決断をしなければなりませんでした。結局、安部総理としては、せっかくアベノミクスの第一の矢である包括的金融緩和によって、景気がよくなり、デフレから脱客できる可能性が高まったのにもかかわらず、増税してしまえば、デフレ脱却が遠のくことを懸念していたため、忸怩たる思いだったでしょう。

しかし、あの時点で、増税見送りをしてしまえば、党内のほとんどが反対派にまわり、安倍長期政権も得に描いた餅におわってしまうため、やむを得ず増税の決定をしたものです。

増税などの重要な意思決定をするには、意見の不一致があるのが当然であり、この不一致の中で検討を重ねることにより、まともな考えが醸成され、まともな意思決定ができるようになります。

晩年のアルフレッド・スローン

ドラッカーの著書にもGMの会長だったアルフレッド・スローンが、会議で反対意見が全くなかった場合は、この議論はまだまだ醸成されらおらず、よって次の機会にまた話し合うことにするとして、反対意見がでることを助長していました。

いつも会議で満場一致のようになる企業・政府などの組織、全くおかしいです。こんなことになるのは、独裁的であるか、あるいは無責任な経営者の・政治家の集まりの組織以外にあり得ません。

意思決定において、反対意見が全くないとか、反対意見を言えるような雰囲気ではないという状況は最悪です。この面からみても、自民党の増税の意思決定は大失敗だったと思います。

憲法改正などの意思決定においても、たとえば、民主党、社民党、共産党の反対意見は、重要です。彼らのお花畑的な考えで、憲法解釈などしていたら、この日本というという国がとんでもないことになってしまうことが、目に見えるように理解できるので、ますます自信を深めることができます。

とにかく、どのようなことにでも、意思決定においては、意見の不一致は重要です。意見不一致が表面化しないような意思決定はまともなものではありません。私たちは、これを前提として、重要な意思決定をすべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年8月8日木曜日

社会保障制度改革の“皮肉な教訓” 重要問題は会議で決めるな―【私の論評】ガバナンスで時間稼ぎをした民主党、ガバナンスではなく反日で時間稼ぎをしている中韓!!時間稼ぎは、結局大失敗に終わるだけ(゚д゚)!

社会保障制度改革の“皮肉な教訓” 重要問題は会議で決めるな

消費増税派に利用される社会保障制度改革国民会議

民主党が社会保障制度改革国民会議から離脱する。消費税率を引き上げたいと考えている人々から見ると、社会保障制度改革国民会議は、単にこなすべき手続きというだけ。議事をまとめる上では手間を取らせる存在になるはずの民主党が離脱することは歓迎だろう。

有識者の会議で検討したというアリバイを得ながら、抜本的に変えたくはない社会保障制度に触れずに、消費税率の引き上げだけ達成できる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

一般に「重要な問題」にあっては、それが存在すること自体が示唆するように、検討に参加する有識者の意見は簡単にはまとまらない。

つまり、重要な問題を有識者会議の検討に委ねるということは、少なくともその問題の結論を先送りすることを意味する。

加えて、会議の結論は、あらかた「事務局」がコントロールできる。

ビジネスの場合でもそうだが、大きな会議は、情報の周知の役に立つことはあっても、そこで議論が深まることはない。

社会保障制度改革国民会議がわれわれに与えてくれる教訓は、真に重要な問題は、後の会議の検討に委ねるのではなく、その場で先に決めてしまわねばならないということだ。政府であっても、会社であっても、会議というものは、しばしば、「結論の先送り」か「既にある結論のアリバイ作り」に使われる。

そう考えると、結局、民主党にとって社会保障は真に重要な問題ではなかったのだろう。民主党の「魂」は、あの時点で既に抜けていたのだと考えるのが妥当だ。(経済評論家・山崎元)

この記事の詳細はこちらから!!

【私の論評】ガバナンスで時間稼ぎをした民主党、ガバナンスではなく反日で時間稼ぎをしている中韓!!時間稼ぎは、結局大失敗に終わるだけ(゚д゚)!

会議の役割は情報の周知と、意思決定である
民主党政権時代には社会制度改革国民会議にかぎらず、様々な識者会議とか、○○会議とか、あのわけのわからない事業仕分など、とにかく様々な会議が催されました。゜これは、結局上の記事でも指摘しているように、「結論の先送り」か「既にある結論のアリバイ作り」ということです。

そうして、多くの無意味な会議の本質は何かといえば、本来やるべきことをしないというより、やるべきことができないため、何もしなければ国民から本当は何も仕事をしていないことや、能力がないのを見破られててしまうため、それを忌避するため、会議を開催し、あたかも仕事をしているかのように見せかけるためということがあります。

要するに、何か仕事をやっているようにみせかけ時間稼ぎをするためのものが、大きな会議の頻発ということです。そうして、これは何も日本の民主党ことだけではありません。世界中に蔓延していることです。ことに、リーターに決断力がないとか、能力がないという場合には頻々と行なわれることです。

そうして、これが度をすぎるともっと酷いことになります。それは、中韓に見られる反日活動です。昨年の中国人民代表大会の内容をみると、国家的危機に対して結局中国共産党は何もしないということを公表しただけです。これに関しては、以前のこのブログでも掲載したことがあるので、以下にそのURLを掲載します。
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、結局昨年の中国全人代では結局「3つの自信」(道路自信、理論自信、制度自信)である。要約すれば、党は正しく、「このままで良い」と言っているに等しいことを確認しただけです。



今の中国共産党には、中国を改革する力も、するつもりもないのです。しかし、だからといって、何もしなければ人民の不満のマグマはさら強くなりいずれ大噴火します。これを防ぐために、最初は軍事力を使って人民を弾圧しましたが、これにも限界があります。

その後何をしたかといえば、そうです。皆さんご存知、80年代から江沢民が先頭に立って始めた国家レベルの体系的な半日教育です。これは、かなり時間稼ぎに寄与しました。

しかし、国内の反日活動だけでは時間稼ぎができなくなってきたため、今度は、南沙諸島や日本の尖閣での示威行動です。これも時間稼ぎです。しかし、これも中国にとっては危険な綱渡りです。いつまでも、尖閣問題などを現状のままにしておけば、時間稼ぎはできなくなります。かといって、尖閣など占拠するなどの行動をとれば、日本も米国もこれを許しはしないでしょう。日本は、本格的に戦後体制が脱却し、中国を迎え撃ち、中国の行動を挫くでしょう。

そうなれば、時間稼ぎどころか、人民の憤怒のマグマは爆発して、中国は内乱状態になってしまうことでしょう。それを中国共産党中央政府は恐れています。だから、尖閣周辺の中国によるデモンストレーションは日々派手になっているのですが、かといって本格的にもならないのです。そうして、情報筋によれば、中国は国内で日本との戦争に備えている様子は全くありません。

本来中国がやるべきことは、民主化、経済と政治の分離、法治国家化による社会変革を行い、一部の富裕層だけが潤うのではなく、いわゆる中間層を育てることです。これは、西欧諸国をはじめ、日本も通ってきた道です。

方向性ははっきりしています。これなしに、現在の中国に未来はありません。しかし、民主主義や、経済と政治の分離、法治国家化に関して、中国共産党幹部は知識もありませんし、そのための意思決定もできないまま今の状態に至っているのです。

それに、中国の場合、社会が日本と比較してかなり遅れているため、日本の民主党政権のように大きな会議を頻発して、時間稼ぎをすることもできません。中国で、民主党がやった、事業仕分けなどしようものなら、腐れ役人のとんでもない実体がさらに大きく浮かび上がり、人民の憤怒にさらに拍車をかけるだけです。ですから、中国では、日本の民主党政権のように、会議の頻発を時間稼ぎには用いることができないのです。

日本では、すでに国政におけるガバメントとガバナンスは不十分ながらできているので、会議を頻発することもかのうです。

ガバナンスとは、統治のことです。『ガバメント』とは対照的な統治として位置づけられます。ガバメントは政府が上の立場から行なう、法的拘束力のある統治システムです。一方、ガバナンスは組織や社会に関与するメンバーが主体的に関与を行なう、意思決定、合意形成のシステムです。このガバナンスの意味をもとに、経営学の分野でも、「ITガバナンス」や「コーポレートガバナンス」という言葉が使われるようになりました。これらは、株主や経営陣による企業の管理、統治という意味合いも含まれてはいる。だが、企業の利害関係者(株主、経営者、従業員、取引先など)の主体的な作用による、意思決定、合意形成のシステムが、本来の意味に近いです。


そうして、ガバメントとガバナンスは、互いにバランスを保って、事にあたらなければなりません。特に、ガバメントは、現在の中国のように、本当の危機が間近に迫っているときは、ガバメントが優勢になり、危機管理、危機回避をしなければなりません。

たとえば、船が沈没しそうなときに、皆で話あいをして、意思決定、合意形成などしていれば、犠牲者が増えるだけです。このようなときは、船におけるガバメントの最高権力者である船長がすみやかに乗客、乗員の被害をなるべく低くなるよう意思決定をして、すみやかに、乗客・乗員に行動をとらせる権限が付与されています。これは、航海法で定められています。これは、国でも、企業でも同じことです。国では、総理大臣・大統領レベル、企業で社長といわれる人々の最大の仕事がこの危機管理・危機回避です。

日本の民主党は、危機にあたって能力がないため、ガバナンスを発動して、様々な会議を開催して、時間稼ぎをしました。中国は、ガバナンスを発動することはできないため、国家レベルの体系的反日活動を時間稼ぎに活用しています。韓国も、中国とは少し違いますが、朴槿恵大統領は、本来やるべきことをせずに、国家レベルの反日路線に走り、時間稼ぎをしているだけです。


ご存知のように、民主党は、何も決められなく、意思決定をずるずる引き伸ばし、そのために様々な会議を頻発してきました。その結果どうなったかといえば、昨年の暮れの衆院選で政権は崩壊。今年の参院選でも、さらに議席数が激減して、少数野党政党の仲間入りです。

中韓も同じことです。時間稼ぎなどせずに、当面の経済対策・社会改革という仕事に本気に取り組み、行動を起こさなければ、日本民主党と同じ末路をたどることになります。

とにかく、本当に大事なことに取り組まないで、日本民主党のように会議を頻発したり、中韓のように共通の敵を外につくりだして煽ったとしても、単なる時間稼ぎになるばかりで、根本的に何も解決できず、いずれ崩壊するということです。時間稼ぎするにしても、時間稼ぎの後に何かがあって、時間稼ぎは意図して意識してやっているというのならわかりますが、そうではなく、単なる時間稼ぎだけしていても、事態は何も変わらないどころか、日増しに悪くなっていくだけです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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