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2014年11月14日金曜日

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 「小泉郵政選挙」のように野党埋没 「消費増税先送り」賛否を明確にせよ―【私の論評】政局すらまともに見られなくなった政治家とマスコミの劣化ぶりは、目を覆いたくなるほどの酷さだが、これは日本国にもまともなトップ・リーダーが生まれる前兆なのかもしれない(゚д゚)!

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 「小泉郵政選挙」のように野党埋没 「消費増税先送り」賛否を明確にせよ

APECで中国に大勝利を収めた安倍総裁だが、国内でも大勝利を収めることになるだろう。その第一歩は増税パス。

解散風が実際に吹き始めると、オロオロする人が結構多いのにはびっくりした。実は、11月と12月は解散が多い月だ。

衆院の任期は4年だが、実際には任期満了の前に解散が行われることが多く、戦後では平均2年9か月である。このため、2年を過ぎるといつでも解散しても不思議ではないといわれている。

「首相外遊中」を意識したタイミングか

こうした事情もあり、一部では年内解散がかなり以前からいわれていた。

解散権は首相の専管事項であり、誰も口出しできない。小泉政権で実際に解散を目の前で経験してきた筆者としては、首相は誰にも相談しないで1人で考えていたという印象だ。1人だけで、または相談しても相手は1人のはずだ。2人であれば、秘密が漏れることはない。政治の世界では、3人以上に話すと、漏れるというのが常識だ。

今回、安倍首相は外遊中である。このタイミングを意識して、おそらく3人以上に話をして漏れるようにしたのではないだろうか。

野党は対立軸をどう打ち出すのか

安倍首相が帰国する11月17日まで、すべては憶測の話だが、それらが独り歩きする。そして、自己実現的な結果になるだろう。

野党の選挙準備が整っていない。民主党の衆院議員候補予定者は現職を含めて130人程度と、前回選挙から約2年がたった今も全295小選挙区の半分も埋まっていない。野党にとっては、この機会に選挙協力と行きたいところだが、自民党が消費増税の延期とでてくると、野党は増税実施連合でないと対抗できなくなる。

ここで思い出すのが、2005年8月の郵政解散だ。そのとき、自民党の郵政民営化に対して、自民党内からの造反も出たが、野党民主党が賛成なんだか反対なのか分からず、埋没してしまった。

マスコミ、特に新聞各紙は、軽減税率が欲しいために消費増税賛成の立場であろう。そのため、消費増税を争点とする総選挙を歓迎していないようだ。民意を問う絶好のチャンスにもかかわらず、選挙でカネがかかるなどと、つまらない「いちゃもん」を付けているのが笑える。

++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「日本は財政危機ではない!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)など。

上の記事は、要約記事です。詳細ははこちらから(゚д゚)!

【私の論評】政局すらまともに見られなくなった政治家とマスコミの劣化ぶりは、目を覆いたくなるほどの酷さだが、これは日本国にもまともなトップ・リーダーが生まれる前兆なのかもしれない(゚д゚)!

私自身も、高橋洋一氏が指摘するように、解散風が実際に吹き始めると、オロオロする人が結構多いのにはびっくりしました。

私を含めた一般人は、選挙といっても多くの政権公約や、候補者の主張を聴いて、自ら判断して、投票に行くだけですし、場合によっては、棄権したとしても、それで良いわけですが、政治家などはそんなことではすまないわけで、まさにお金と時間をかなりかけて、選挙戦にのぞまなければならないわけです。

だから、政治家もマスコミも、本来であれば、解散はいつでもあり得るということを念頭に置いて日々行動していなければならないと思います。

私自身も、結構はやい時期から解散もあり得るとは思っていました。今年、7月あたりから、それもあり得ると踏んでいました。それに関しては、このブログの以前の記事にも掲載したことがあり、はっきりと解散総選挙とは掲載しませんでしたが、それは大いにありうると当時から考えていました。その記事を以下に掲載します。
政府月例経済報告に異議あり!消費税増税の悪影響を認めたくない政府に騙される政治家とマスコミ―【私の論評】財務省はジレンマに陥っている。安部総理と、そのブレーンは肉を切らせて骨を断つ戦略を実行している(゚д゚)!これこそが隠し球?
増税してから一月後の消費水神は、前回2回の増税よりもはるかに落ち込んだ水準だった 
この記事では、景気はかなり落ち込むことははっきりとしており、6月期の落ち込みは、増税したがために、昨年や東日本大震災のときよりも酷い落ち込みであるにもかかわらず、増税推進派からは無論のこと、安倍首相サイドからも、増税反対派からも、景気対策の話はもちあがっていなかったので、なぜそうなのかを分析しました。

そうして、安倍総理は今年は、景気が悪くなっても新たな景気対策は打たないであろうことを予測しました。その部分のみ以下に掲載させていただきます。

今後安倍政権には、二つの道があります。 
一つ目の道としては、景気対策をすぐに推進することです。確かに、国民のことを考えると、景気を良くしたほうが良いに決まっています。しかし、今すぐそれを実行してしまえば、10月に増税派に格好の増税推進の大義名分を与えてしまうことにもなりかねません。 
そうして、来年の4月から10%増税が、なされてしまえば、来年は今年よりもさらに景気が落ち込み、日本はとんでもないことになります。失われた20年が、40年になってしまう可能性も高いです。 
第ニの道としては、直近の経済が悪くても、来年の増税を今度こそ阻止し、その後に先程述べた、再配分的な所得税減税や、給付政策を実行して、経済を上向かせるという道です。 
これにより、日本経済はデフレから脱却できる可能性が高まることになります。おそらく、これを実行すれば、市場関係者も好感して、最初は株価もあがり、かなり経済指標も良くなり、丁度安倍政権が誕生したときの、衆議院議員選挙の直前のときのように安倍政権にとって追い風となることでしょう。 
私としては、安倍総理および、そのブレーンたちは、第二の道を選んでいるのだと思います。
まさに、安倍総理は、「肉を切らせて骨を断つ戦略」を実行しつつあるのだと思います。だからこそ、リフレの論客たちもこのことを理解して、現状では様子見をしているのだと思います。

「肉を切らせて骨を断つ」という戦法は日本で古から知られているものである
この予測は、不十分ながら当たっていたと思います。特に増税見送りということでは、当たっていたと思います。それに今年中には、政府が経済対策も実行しないことも、当たっていたと思います。ただし、残念ながらここで、解散総選挙にまでは触れませんでした。それに、もう一つは日銀の追加金融緩和についても掲載していません。

ただし、解散総選挙、日銀の追加金融緩和も多いにあり得ることであるとは思っていました。しかし、いくつもある選択肢のうちの一つということで、まだこの当時は確信を持てなかったので、特に掲載はしませんでした。

今から考えると掲載しておけばよかったと思います。それにしても、素人の私ですら、こう思うくらいですから、政治家や官僚などは、これより早い時期に、このことを予測するか、そこまでいかなくても、考えておくべきことだと思います。

しかし、つい9月あたりまでは、財務省をはじめとする官僚も与野党も、そうしてマスコミのほとんどが予想も何もしていなかったようです。彼らの頭の中は、今年も昨年と同じように、いずれ安倍総理が、増税の判断をするだろうということで、高をくくっていたと思います。よもや、増税パスなどということになるなどとは、誰も予想しなかったでしょう。

それにしても、これは政局すらまともに見えなくなった政治家やマスコミの酷い実体を示していると思います。

本年も、昨年と同じく、財務省は徹底的に、他の官僚や、政治家などに説明資料などとともに、増税を推進すべきことを正当化する説明をしていました。それは、もともと大蔵省(財務省の前身)出身であり、上の記事の著者でもある高橋洋一氏が記事にしています。その記事のURLを以下に掲載します
財務省の増税「ご説明」戦略 組織的に絨毯爆撃 マスコミや学者、個人まで対象
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、高橋洋一氏は、この記事で自身が大蔵省にいたときの経験も踏まえて、いかに財務省が多くの政治家、官僚、学者などに徹底的に説明しているかを語っています。

これは、おそらく今年もそうでしょうし、昨年もそうだったのだと思います。

そうして、昨年は、残念ながら安倍総理としては、解散総選挙という道は選べなかったので、景気が悪くなることも承知の上で、安倍長期政権を目指すためにも、増税の決断をせざるを得なかったのだと思います。

しかし、今年は違います。さすがに、財務省あたりも、10月中旬あたりまでは、このことに気づかず、気がついたのは下旬あたりだと思います。安倍総理にすっかり裏をかかれた、状況になり、かれらは遇の音も出なかったことでしょう。

財務省がこの有り様ですから、他の省庁の官僚や、増税推進派の多数の政治家、そしてマスコミも完全に裏をかかれたものと思います。

これに関して、驚きの発言をする政治家や、マスコミなどに対して、高橋洋一氏は厳しいツイートを発しています。そのツイートを以下に掲載します。
完全に裏をかかれた、政治家やマスコミ、知識人など、未練たらしく、そもそも自分たちにもともと大義がないにも関わらず、解散には大義はなしと公言する有り様です。

まったく馬鹿で愚鈍な連中です。それにしても、このような結果になってしまったのは、政治家やマスコミ、財務省をはじめとする官僚や、知識人などの連中は、安倍総理から蚊帳の外に置かれるようになってしまったからです。

なぜ、蚊帳の外におかれるようになったかといえば、昨日もこのブログに掲載したように、これらの人々は、安倍総理にすっかり愛想づかしをされてしまったからです。以下に、昨日の記事のURLを掲載します。
【石平のChina Watch】首脳会談で敗者となった習主席―【私の論評】日中首脳会談の安倍総理大勝利を報道できないマスコミ!一国の宰相に愛想づかしをされ、蚊帳の外におかれるマスコミは、もうその使命を終えた(゚д゚)!
APEC首脳会議に出席するため、北京国際空港に到着した安倍首相。右は昭恵夫人

これも詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、マスコミなど安倍総理のいうことなど、まともに聴かず、中国や左翼系などのことばかり配慮して、安倍総理の対中国対策など、安倍総理自身が、どうせマスコミなどに語ったにしても、真意を伝えないし、伝えるならまだしも、全く無視ということもあり、こんなマスコミに何を話しても無駄と判断され、愛想づかしをされていることを掲載しました。

この愛想づかしの結果、マスコミは蚊帳の外に置かれるようになり、その結果一国の宰相の考えや、動向を正しく伝えようにも情報源を絶たれたということです。

安倍総理は増税見送り判断についても、政治家、官僚、マスコミを蚊帳の外に置くようになりました。おそらく、解散総選挙の考えなど、昨年あたりから持っていたのでしょうが、それをマスコミや官僚や他の政治家などに漏らせば、どんな伏兵が待っているかわからないということで、ごく最近まで伏せていたのだと思います。

今後このような傾向は、ますます強まると思います。総理大臣が、政治家や、官僚や、マスコミに本心を語らないのは良くないなどという考えもあるかもしれませんが、なせそうなったかといえば、もともとマスコミや官僚、政治家などが、外交でも、増税に関しても、安倍総理をすっかり蚊帳の外に置いてきたからです。

昨年の増税派のスタンスはまさにそうでした。昨年、石破氏が自民党の幹事長だったときに、奴は、安倍総理が増税の意思決定をするはるか前から、「自民党内は、増税で固まっている」とマスコミに発言していました。

これは、政治家が、安倍総理を蚊帳の外に置いていたということの、格好の事例です。安倍総理としては、このような人物は日本国のためにも、国民のためにも、到底許容できないかったでしょう。だからこそ、内閣改造のときに、安倍総理は、結果として、座敷牢に閉じ込め、次の総裁選には出馬できないようにしました。

冷遇にきまっている(゚д゚)!こんな人物を大臣や幹事長にすべきではない。


私としては、次に座敷牢に入れられるのは、麻生太郎氏だと思いますが、これに関してはここで、掲載していると長くなってしまいますので、また別に機会を改めて掲載します。

それにしても、以上のようなことは、トップリーダーとして当然のことをしているだけです。トップとは、もともとそういうものです。会社でも何でも、組織のトップであれば、自分の本心を本格的に事にとりかかるまえから、あれこれ周りの人間に話をしたり、相談したりはしません。そんなことをする人は、リーダーとはいえません。地位が高かろうと、単なるフォロワーです。

しかし、今までの日本国のトップ・リーダーはそうではありませんでした。これはひよっとすると、日本国にもまともな、トップリーダーが生まれる前兆かもしれません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか(゚д゚)!

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2014年10月2日木曜日

エコノミストは予測のいい人を選べ―【私の論評】そもそも昨年消費税増税に肯定的だった人の意見など聴いても百害あって一利なし、今は増税できるような状況ではないことは明らか、政府は自ら意思決定せよ(@_@;)

エコノミストは予測のいい人を選べ 

高橋洋一・株式会社政策工房 代表取締役会長


 筆者は、文系が多い霞ヶ関の中で、理系出身だ。理系の中でも数学なので文系からいれば、とんでもなく「理系」だろう。その理系から見た経済政策での不思議を述べよう。
 
 昨年、政府に呼ばれて意見を述べた人の氏名や資料は、ここ(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/tenken/)にある。おそらく日本を代表する学者も含まれている。ところが、彼らの予測は、消費増税しても経済に対する影響は軽微ということだったが、ほとんど当たっていない。それが意味するところは、経済理論を使わずに単なる願望を述べただけか、予測するまでに経済理論を使いこなせてないか、正しく経済理論を理解していないかだろう。

 経済予測を商売とするエコノミストの予測能力も低い。興味のある方は、ここ(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40156)をご覧いただきたい。3ヶ月先の予測について、デタラメにサイコロを振ったのと大差ないくらいだ。この人たちのの多くも消費増税賛成であるが、やはり1年前には消費増税しても経済への影響は軽微であると言っていた。結果としては間違いだった。

 いずれにしても、予測を外した人たちの意見をきいたところで、時間のむだ使いだ。

 ところが、政府は、来年10月からの消費増税を決断するために、再び昨年意見を聞いた有識者に聞こうとしている。

 間違った有識者の意見を聞けば、再び間違う可能性は高い。そのとき、政府はどう言い訳するのだろうか。一度間違った人の意見の逆をした方が、ひょっとしたらいい結果になるかのしれない。ということは、有識者に意見を聞くというのは、消費増税を見送るサインかもしれない。これはちょっと楽観的すぎるかもしれないが。

この記事は要約記事です。この記事の詳細はこちらから(@_@;)

【私の論評】そもそも昨年消費税増税に肯定的だった人の意見など聴いても百害あって一利なし、今は増税できるような状況ではないことは明らか、政府は自ら意思決定せよ(@_@;)

いわゆるエコノミストといわれる人々、GDPはもとより、ありとあらゆる予測を外している人が多いです。

高橋洋一氏は、予測を外した人たちの意見をきいところで、時間の無駄としています。これは、実際そうだと思います。

このブログでも過去にそのようなことは、すでにいくつか掲載してきました。それらの記事のURLを以下に掲載します。
消費増税の影響軽視は危険 エコノミストの根拠なき楽観―【私の論評】民間エコノミストには日本の過去の経済史も、イギリスの先行事例も知らない人が多数存在。そもそも、こんな人たちに先の見通しがたつのか、直近の動向だけで判断して本質は理解していないのではないか(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、高橋洋一氏が、8%増税に関する、民間エコノミストの見方があまりにも楽観的のにすぎることを批判していました。

そうして、以下の記事では、高橋洋一氏が指摘したように、全く楽観的で、8%増税後のGDP予測がもののみごと外れたにもかかわらず、熊谷亮丸氏・木下智夫景気はいずれ回復するし、だからこそ10%増税をすべきことを主張しています。
まったくはずした熊谷亮丸氏・木下智夫氏「今度こそ当とに!年末までは絶対V字回復!なにがなんでも増税だ!」WBS-TL不満大爆発!―【私の論評】無責任民間エコノミストの戯言は、捨て置け(゚д゚)! 

詳細は、この記事をごらんいただくものとして、この記事では、熊谷亮丸氏・木下智夫ともに、消費税増税後のGDPの予測をすっかり外してかなり高く予測していていました。

その彼らが、再び増税しても、WBSで景気は落ちないから、絶対に再増税すべきなどと予測したため、多くの人々から反発をかっていることを掲載しました。

まあ、当然といえば当然です。一度外した人の予測などは、よほどの根拠がない限り、信じるべきではありません。

しかし、上の記事で高橋氏が指摘してるように、政府は、来年10月からの消費増税を決断するために、再び昨年意見を聞いた有識者の意見を聞こうとしています。

この意見聴取は、ほとんど意味を持たないことでしょう。それに、現在の状況であせれば、一部の正しい予測のできなかエコノミストなどを除いて増税すべき状況ではないことは誰の目にあきらかです。

今回、こそは、政府自ら増税見送りを決めていただきたいものです。しょっちゅう予測が外れる人々の意見など聴いても時間の無駄です。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?


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2014年7月25日金曜日

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 増税路線を遮二無二進める財務省 ついに「消費税10%超」が動き出した―【私の論評】このままでは、いずれ財務省は解体される、組織として本当は何をどうすれば良いのかよく考えて立ち直っていただきたい(゚д゚)!

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 増税路線を遮二無二進める財務省 ついに「消費税10%超」が動き出した

高橋洋一氏
   先日ツイッターで、「Z省の暗黒史は小泉時代。増税はストップで、特殊法人民営化で天下り先はなくなるから、踏んだり蹴られたり。民営化は株式売却収入だけではなく、補助金機関が納税法人に転化するので、財政収支好転で増税勢力には不都合。民営化反対勢力と増税勢力に親和性があるのは意外と知られていない」と書いた。

   もちろん、Z省は財務省のことで、いろいろなコメントが来た。

小泉政権時代と「増税なしで財政再建」
   その中で、面白かったのは、私の見立てとは逆に、「マスコミでは、小泉首相が財務省の『後ろ盾』として予算を削減して、小泉政権時代は財務省にとっては財政改革が進んだ『よき時代』と思っている」というものだった。

  しかし、 この「増税なしで財政再建」という事実は、財務省にとって不都合だ。多くのマスコミはこの事実を忘れ、財政再建のためには増税やむなしというが、それを根底から覆す話だ。また、小泉政権時代、筆者は特殊法人民営化とともに特別会計の埋蔵金発掘もやらせてもらい、大いに財政改革をやりながら「増税なし」に貢献したはずだが、財務省の諸先輩からは「それを行ったから財務省を裏切ったと言われるのだ」と再三にわたって注意を受けた。

「財務省が財政改革をするはず」?
   マスコミ諸氏のいうように、財務省にとって小泉時代が「よき時代」なら、当時の政府資産売却反対、埋蔵金取崩反対は何だったのだろうか。マスコミは、財務省が財政改革をするはず、というか財務省にそうしたレクを受けて信じ込んでいるにすぎない。
 
   現在財務省は増税路線を遮二無二進めている。政権運営に不慣れな民主党時代に消費税増税法案を成立させ、安倍政権で8%への増税をまず実現させ、さらに10%への再増税(2015年10月)について、今年(14年)12月には、最終判断が予定されている。さらに、次の10%超への消費税増税に向けて動き出したらしいという噂がある。そこでは、経済成長、資産売却や埋蔵金の話などは、再増税、再々増税に不都合なので一切出ない。ひょっとしたら、消費税増税後の今の景気の落ち込みさえ、再増税の口実にするのかもしれない、という予感さえする。

   今と小泉時代のどちらを財務省がいいと考えているのか、答えは明らかだろう。

上記は、要約記事です。この記事の詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】このままでは、いずれ財務省は解体される、組織として本当は何をどうすれば良いのかよく考えて立ち直っていただきたい(゚д゚)!

デフレの最中に消費税増税をすると、消費がさらに冷え込み、税収の源泉である国民所得が減り、課税対象そのもが大幅に減ることが予想されます。消費税増税によって、消費税による税収は増えますが、国民所得を源泉とする所得税・法人税などが大幅に減少し、結局それが消費税増加分より上回り、全体として税収が減るおそれが十分にあります。

もしそうなれば、税収そのものが減ってしまうわけで、そうなれば、財政再建などできなくなるおそれが十分にあります。昨年辺りでは、イギリス、イタリア、スペイン、ポルトガルなどのEU諸国が、財政再建を目指すという目的で、日本でいうところの消費税増税をしましたが、これらの国々すべてにおいて、税収総額が減り、増税は、結局財政再建にはマイナスの効果しかありませんでした。

日本においても、過去の2回の消費税増税のときは、結局消費の冷え込みにより、国民所得が小さくなり、所得税収などが減少し、それが消費税増税分を上回り、全体の税収ではマイナスになりました。

ただし、前二回の増税時には、日本はまだデフレではなく、賃金が下がっている状況ではなく、わずかながらも上昇している最中での増税でした。今年5月には、消費などの景気指標が一気にかなり悪化しています。

日銀は小泉内閣の時期にだけ例外的に、金融緩和をシましが、その後第一次安倍内閣になってから、金融引締めに転じましたが、それでも、日本はまだデフレではありませんでした。

しかし、今回は日銀は金融緩和をしているものの、まだ日本はデフレから脱却しきっていない時期の増税ですから、今回の消費税増税はかなり大きな悪影響を及ぼすことは明らかてす。

もともと、デフレ期の消費税増税は、財政再建には役立ちません。逆の効果を及ぼします。そうして、増税などとは全く関係なく、財政再建の方法はあります。それに関しては、私が解説するより、これも、高橋洋一氏が解説したいた記事がありましたので、そのURLと一部を以下に掲載します。
消費税増税せずとも財政再建はできる――嘉悦大学教授 高橋洋一
増税なしの財政再建策は、アベノミクスによるデフレ脱却すなわち名目GDP成長率アップと、歳入庁創設や消費税のインボイス制度導入による不公平是正かつ増収策である。
これによって財政再建が可能なのは、一部を行った小泉政権でさえ財政再建の実績があることから明らかだろうが、これまでの連載コラムに書いたものからも数量的に確認できる。5月30日付け連載コラム『経済財政諮問会議が放ったとんでもない“矢” 「財政健全化を第4の矢に」は正しいか』では、アベノミクスの数量分析をしている。同コラムのグラフ3から、今のアベノミクスの金融緩和によって2年後は名目GDP成長率は4%程度超になる。となると、同コラムのグラフ2から、その時の基礎的財政収支対名目GDP比は悪くても▲1.2%程度である。
そこで、歳入庁創設で10兆円(名目GDP比2%)や消費税インボイスで3兆円(名目GDP比0.6%)の増収があることを考えると、基礎的財政収支対名目GDP比は、▲1.2+2.6=1.4%以上もプラスになる。これで財政再建は終了だ。
社会保障費が毎年1兆円増えて大変という話も基礎的財政収支の中に含まれている。債務残高がGDPの2倍になっていて大変という話も、5月30日付けラムで数式で説明しているように、基礎的財政収支対名目GDP比がプラスになれば何の心配もいらない。
歳入庁創設や消費税インボイスは、公平な社会保障政策を実施したり、公正な税執行を行うために必要な社会インフラだ。これらはどのような社会保障政策、税制をとるにしても必須なので、これらは増税派でも否定できないものだ。それらをやらずに、消費税増税をするのでは、官僚の歳出権を増やすだけで、経済成長にも財政再建にもつながらない。
 私は、実はこの記事のタイトルには賛成しかねます。この記事のタイトルは、「消費税増税せずとも財政再建できる」とありますが、これでは、あたかも消費税増税をすれば、財政再建ができるが、消費税増税しなくても、財政再建ができる方法があるという意味に受け取れます。

高橋洋一しも、無論そんなことはなく、増税すれば、財政再建はますます困難になることを知って折られると思います。

であれば、上の記事のタイトルは本来、「消費税増税をすれば、ますます財政再建は遠のく、本来の財政再建のあり方」などというようなタイトルにすべきだったと思います。

私は、皆さんが、この記事を読む際には、本来は、私が提案したタイトルのほうが、相応しいということを念頭に置いて読んでいただけたら幸いです。

仮に、来年から10%増税をした場合、今年の5月でも経済指標がかなり、落ち込んでいるので今年も経済が悪化することが十分予想できるのですが、来年になるとさらに悪化することが懸念されます。懸念というより、経済の落ち込みは確定したようなものです。

そうなると、デフレはさらに深化して、昨年あたりの景気の良さなど帳消しになると思います。そうなると、また財務省は15%増税を打ち出すことでしょう。

15%にすれば、景気はまた落ち込み、税収が減り、今度は20%増税を打ち出すことになります。

これでは、きりがありません。50%増税にしても、ますます景気は冷え込むばかりです。

しかし、そうなると、国民も馬鹿ではないので、政府や財務省に対して批判的になります。その時に、昔の大蔵省解体のようなことがおこるかもしれません。これは、単なる空想にも過ぎないようにもみえますが、このまま増税を幾度なく繰り返すとなれば、そうなります。

財務省としては、大蔵省が解体されたように、財務省も解体されることを望んでいるのでしょうか。国民の憤怒のマグマが財務省や政府に向けられ大変なことになっても良いのでしょうか。

そんなはずはないと思います。財務省は、常識的な道を歩むべぎてす。それはどういう道かといえば、公共工事の供給制約がある現在においては、公共工事が経済に及ぼす影響も少ないため、所得税減税、給付金政策、それも再配分的にこれらを行うことです。

これで、直近の貧困問題など緩和しつつ、日銀には金融緩和政策を継続してもらい、こんごなるべくデフレから一刻も早く脱却して、マイルドなインフレになるようにします。

そのままにしておけば、いずれ、インフレが亢進するようになります。インフレが亢進したときには、財務省は、増税を実施して、過度のインフレを是正すれば良いのです。

そうすれば、まともな政策を実施している財務官僚の評価も高まり、財務省も国民から感謝され、官庁のなかの官庁として、君臨することができるようになります。こうなれば、国民も財務省を信頼し、官庁の中で君臨しても、当然のこととして受け止めるようになると思います。

今のままでは、過去の大蔵省がそうであったように、財務省もこのまま増税路線に突っ走れば、いずれとんでもない破局の憂き目に合うと思います。もし、そうなったら、財務省など5つくらいに分割され、分割された部署などは、官庁の中でも、小さく非力な存在となり、他省の後塵を拝する、あまり重要でない役所に成り下がると思います。

財務省解体論
以前は『大蔵省解体論』という書籍があったが、実際に解体
されたため、現在てはこのような書籍が販売されている

エリートが行くところではなく、一応お役人という立場に甘んずるしかなくなる可能性も大です。現在の財務省のトップクラスにある人々はそれでも良い天下り先に行ける可能性があるので、良いかもしれませんが、もっと若い層の人々かそうした憂き目にあうかもしれません。

財務省の有能な若手官僚の方々、それで良いのですか?大蔵省がなぜ解体されたか、今一度思い起こすべきです。

私はそんなことは、国民にとっても、財務省にとっても良いことでは無いと思います。

財務省、組織として、本当は何をどうすれば良いのかよく考えて立ち直っていただきたいものと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年6月1日日曜日

「子どもが生まれたら10人に1人、離婚したら半分以上が貧困になる時代を生きる」―【私の論評】ちょっと待ってくれ、貧困の大きな原因の一つとして、個々人の努力や社会制度の問題の前にデフレがあるのでは(゚д゚)!

「子どもが生まれたら10人に1人、離婚したら半分以上が貧困になる時代を生きる」



NPO法人3keysは、行政の子育て支援や教育の分野を担っている部署の民間バージョンだと思ってもらえたらわかりやすいかもしれません。

具体的には、格差の下にいる子どもたちでも十分な学習環境や進学保障がされるように、ボランティアの家庭教師の養成・派遣をしたり、大学や企業などに働きかけて奨学金や、進学指導の無償サービスの提供などを整えてきたり、弁護士などと連携して親などに頼れない子どもたちの法律相談や権利保障をしたり、企業や他NPOと連携して自立に必要なスキルや資格取得のサポートをしてきました。

さらには民間から社会に対して警鐘を鳴らしたり、市民の意見を集約して発信たりすることで、今支援をしている子どもたちを超えて、社会のシステム・デザイン自体がよくなることを川上の支援として行っています。変わらなければいけないのは子どもたちではなく、支援を必要としている子どもたちを生んでしまう社会構造という考え方なのです。

丸5年、子どもたちに関わる仕事をしてきて感じるのは、日本は子育てに関わる家庭の負担が、金銭的にも精神的にもとても高いということ。普段関わっている子どもたちは、貧困家庭、一人親家庭など、家庭だけでは子どもを育てられず、行政支援や公的支援がないと子どもの健全な育成が明らかに厳しい家庭の子どもたちで、虐待や育児放棄で親と暮らしていない境遇にまでなった子どもたちも少なくありません。

地域社会がなくなり、子育てにおける親の負荷が重くなってきた中で、助けてくれる人が周りにいなかったり、経済的にベビーシッター等を利用できなかったり、早期出産などで子育てのことがわからずまわりに教えてくれる人がいなければ、ストレスや過労で子どもをたたいてしまったり、鬱等の精神疾患などで子どもを育てられなくなってしまう家庭も増えてきました。平成2年から23年の20年間で、虐待相談件数は60倍いう異常な推移を遂げているのです。

児童相談所が対応した児童虐待相談件数の推移

こうした世の中の変化に公的支援や社会保障が追いついていかないと、生活の最低ラインを維持できない家庭が増えていきます。そしてこれだけ多様化してきている今、それを行政だけに丸投げしても、行政はもう既に手一杯状態で、一般市民の私たちが力を合わせて解決していかないといけないくらい深刻になっているのです。その証拠に日本は生活保護の捕捉率(必要数に対する受給率)はわずか5分の1と世界的に低い数字なのです。日本は行政制度はとても整っている先進国だと思いますが、それでも完全ではない。行政制度だけに頼ると、生活保護を必要としている人の8割は1人で頑張らなくてはいけないのです。

私はまだ結婚も出産も経験していませんが、子どもに対する環境や公的支援が充実することは、即ち自分や自分の子どもにかえってくると思っているからこそ、「いつか親になるかもしれない」という当事者意識を持ち続けて仕事ができているとも感じています。

そして、日本には40000人程度の子どもたちが親元ではなく、行政の保護下で児童養護施設などに暮らしているような時代なのです。それに家庭の密室化が進んでいる中で発見されていない数の方が多く、この数字は氷山の一角とも言われているのが現状です。


しかし、そこまで極端な状況にならずしても、どの家庭でもよっぽど裕福でない限りは近しい状況に陥る可能性はとても高いということです。両親と子どものみの世帯の10人に1人は貧困、そして母子家庭の66%が貧困家庭となっているのが今の日本。子どもが生まれた後、離婚やパートナーとの死別などで、1人で子どもを育てる状況になると女性の場合、1/2以上が貧困になる。それに今や3組に1組が離婚すると言われているので、決して他人事ではありません。

森山誉恵さん

これまでは子ども目線で社会問題を語ることが多かったのですが、今回の連載では、自分自身が親になるという観点で、いかに危機感を抱いているのか、どんな状況に置かれていて、今からできることは何かについて、未来の親目線で書いていけたらと思っています。国の制度が整っても、それを十分に知り活用したり、自分なりに工夫していかなければいけません。そして自分に余裕がでてはじめて、ボランティア活動や、助け合いができる余裕が生まれます。さらに民間での助け合いが活発になってこそ、自分の回りの環境だけでなく社会全体の動きが見え、投票率や政治への関心が高まります。そして、共助が活性化されてこそ、行政も資源を行政にしかできないことに集中投下していくことができるのです。この循環を良くしていくためにも、この連載では、仕事の中で知ったり感じた、現在の子育てを取り巻く行政制度や民間の動き、そして個人としてできることについて伝えていけたらと思っています。

特にこれから親になるかもしれない、私と同じ世代の人たちにとって学びのある連載になれればと思っています。

森山誉恵(もりやま・たかえ)

上の記事は要約記事です。元の記事をご覧になりたいかたはこちらから(゚д゚)!

【私の論評】ちょっと待ってくれ、児童虐待の背景ともなっている子どもの貧困の大きな原因として、個々人の努力や社会制度の問題以前にデフレがあるのでは(゚д゚)!

上の記事に関して、アライアンス・バーンスタイン マーケットストラテジスト(兼エコノミスト)の村上尚己氏が以下のようなツイートをしています。
私もこの考えに同意します。ブログ冒頭の記事のタイトルは、今は「子どもが生まれたら10人に1人、離婚したら半分以上が貧困になる時代」であり、それが児童虐待件数が増えた背景にもなっており、そのような時代となった原因はデフレだからです。

これは、本当にそうなのか、まともに検証しようと思えばかなり難しいことですが、私はデフレがかなり大きな影響を与えていることは間違いなことと思います。

こんなポスターをいつの間にか多く見かけるようになったが・・・・・

これに関しては、自殺者数についても同じようなことがいえます。

これに関しては、2009年当時のこのブログでも紹介したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
【日曜経済講座】編集委員・田村秀男 デフレは死に至る病―社会改革が一番の近道だ!!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事で田村秀男氏は、デフレの悲惨さを訴えていました。その部分を以下に掲載します。
 ヒトの体に例えるなら、デフレ低体温症である。物価上昇率2、3%程度が続くのは平熱で、経済活動は活発である。体温が平熱より1度低くなると免疫能力が衰え、がん細胞が勢いづく。死に至る病なのに自覚することがなく、何となく日ごろは元気がないだけである。 
 デフレがどれだけ、世の中を暗くするのか。自殺者数、倒産件数とデフレの統計をグラフにして重ね合わせてみた。自殺者が急増したのは消費税増税で消費が一挙に冷え込んだ1998年である。翌年からデフレが始まり、自殺者数は高止まりし、毎年三万数千人にも上る。デフレ指数に比べ、企業倒産件数と自殺者数の関連度は低い。景気は事実、2001年から多少なりとも回復していたのに、デフレは続き、暗い世相が広がるばかりだ。


デフレと自殺の関係に関しては、田村氏だけではなく、多くの経済学者や識者も指摘しているところです。その中には、日銀副総裁の岩田規久男も含まれます。完璧にデフレになった途端、自殺者が2万人台から3万二台に増え、他にあまりその原因が見当たらないというのであれば、やはりデフレが大きな影響を与えているとみて間違いないと思います。

これと同じく、「子どもが生まれたら10人に1人、離婚したら半分以上が貧困になる時代」になっている一番大きな原因は、デフレです。だから、このような時代の根本原因を作り出しているのはデフレであり、平成2年から23年の20年間で、虐待相談件数は60倍いう異常な推移を遂げる背景ともなっていると思います。他に、根本的な原因はないと思います。

そもそも、この期間は犯罪件数など、平成14年を最高としてその後は一環して減っています。


とすれば、平成14年度以降も、虐待件数が増え続けているということは、いわゆる犯罪動機と児童虐待は特に相関関係が見られないということですから、やはりデフレが大きな背景になっているのではないかと考えられます。

もし他に、児童虐待の件数が増えていることと関係するような変化をあったことをご存知の方は、お知らせ下さい。

しかし、このような考えはなかなか受け入れられないようです。たとえば、自殺者数に関しても、私がデフレと自殺者数の関係について、ツイートしたところ、ある方から「絶対に信じません」という返信があったことがあります。

田村氏や、岩田氏の見解を伝えても、それでも「絶対に信じない」というコメントが帰ってくるばかりでした。これは、自殺者数の増加と、デフレとの関係などマスコミなども全く報道せす、識者もほとんど言及しないということにも問題があると思います。

おそらく、児童虐待とデフレに関しても結びつかない人が多いと思います。さらに、児童虐待と日銀の金融政策とが結びつかない人も多いと思います。しかし、このような問題は貧困によるものがかなり多いですし、貧困問題といえば、雇用の問題が大きいですし、雇用の問題といえば、日銀の金融政策は多いにからんできます。

アメリカでは、雇用問題というと、雇用が悪化すれば、まずは糾弾されるのが中央銀行(FRB)です。それだけ、中央銀行の金融政策は雇用に密接に結びついていることが産業界や、多くの国民にも理解されています。しかし、日本ではまだまだです。

デフレは、通常の経済循環である、好景気と不景気の繰り返しの減少を完璧に逸脱した、とんでもない現象です。デフレを不景気と同程度に認識するのは完璧な誤りです。

私自身も、上記の田村氏の見解をブログに掲載したときには、デフレをあまり深刻にとらえていませんでした。だから、この記事でも、私自身は、社会変革が重要であると述べています。それも、西欧型のNPOを日本でもとりいれるべきことを強調しました。

確かに社会変革は重要です。しかし、社会変革するにしても、デフレの最中に実施しようにも無理です。社会変革によって何かを変えれば、また何かの問題が起こります。デフレが解消しない限り、モグラ叩きになるだけです。

それに、デフレはブラック企業を増やし、大企業などもブラック的にならざるを得なくしてしまいます。本当に、個々人にとっても、産業界にとっても何も良いことは一つもありません。

デフレは、ブラック企業の温床でもある

それだけデフレは深刻なのです。子どもが貧困の影響をまともに受けやすい社会は、改革しなければなりません。しかし、だからといって、社会の仕組みをかえるだけでは、どうにもならないということです。まずはデフレ解消が最優先課題です。水道の元栓が壊れているときに、漏れた水をかき出したにしても限界があります。やはり、根本原因である元栓の壊れを修理し、元栓を閉めるのが、本筋です。

だからといって、このブログ冒頭の記事を書かれた森山誉恵(もりやま・たかえ)の実施されていることを否定するつもりは全くありません。このようなことにより、社会を変えるということは実施すべきです。しかも、その立場にいる人は、経済環境にかかわらず、その場で努力されるべきと思います。一人でも、二人でも助けられたらそれは素晴らしいことです。

しかし、同時に私たちはデフレから脱却しなければ、本当の根本原因は解消しないということを認識すべきと思います。現在日本に貧困、雇用、児童虐待などの大きな問題が10個あったとして、デフレが解消できれば、5~6個は自動的に解消できます。

あと5個から4個はデフレが解消しても解消されないでしょう。しかし、デフレが解消すれば、社会変革などをすることによれば、解消できる可能性は高まります。しかし、デフレが解消されなければ、この10個の問題は全く解消されません。何かをやれば、何かが駄目になるという具合で、モグラたたきになります。それだけ、デフレとは恐ろしいことなのです。

また、こうしたNPOや、雇用も問題を扱う人も、貧困問題や貧困にからむ児童虐待問題を減らすためには、まずはデフレを克服しなければどうしようもないことを理解していただいて、それを訴えてもらいたいです。

デフレを解消したからといって、貧困問題や児童虐待が完全になくなるのかといえば、そんなことはありません。しかし、デフレが解消されれば、他に何もしなくても、全部なくなりはしませんが、確実に貧困問題や児童虐待問題はかなり減るでしょう。これは断言できます。

その上で、上記のようなNPOが行動すれば、まずはデフレのときよりも解消しやすくなり、さらに多くの児童虐待問題が解消されると思います。しかし、デフレを解消しなかった場合、いくらNPOが一生懸命努力したとしても、児童虐待問題を相当減らすなどということはできず、誰かを助けても次から次へと児童虐待問題が大量に発生して、モグラ叩きのようになることでしよう。

デフレ解消はマクロ政策であり、上記のようなNPOが活躍できるような施策はミクロ政策といえると思います。いくらミクロ政策を推進したとしても、マクロ政策であるデフレ解消がなされなければ、ミクロ政策だでは限界があるということです。

上の記事では、森山誉恵(もりやま・たかえ)さんは、残念ながら、貧困問題とデフレの関係については掲載していません。連載ものの記事ですから、いずれどこかにこれからでてでくるのかもしれませんが、デフレを収束させることが、これらの問題を解消する大きな第一歩となることを訴えて欲しいものです。こういう現場の最前線にいる方が、訴えれば世間の見方も変わると思います。そうしたことが、世論を盛り上げ、デフレ解消のきっかけづくりにもなるものと思います。

しかし、現実には4月から増税され、せっかくの昨年からの異次元の包括的金融緩和の効果を薄めています。このままだと、デフレからは脱却するのが遅れるのははっきりしています。

民間エコノミストなどは、増税されたばかりの現状をみて、あまり影響はないようだと語っていますが、そんなことはありません。高橋洋一氏もこの状況に警告を発しています。
一刻も早く減税と給付金を 消費増税が景気にブレーキ―【私の論評】今の状況を理解できず、声高に景気対策として効率の悪い公共工事の増加を叫ぶ輩は馬鹿かスパイ!今はあたり前のど真ん中で減税・給付金政策が一番(゚д゚)!
詳細は、この記事をごらんいただものとして、高橋洋一氏は今のままでは、必ず景気は落ち込むことを懸念しています。その部分のみ以下にコピペさせていただきます。
この1年間で、経済指標はかなり良くなってきた。実質国内総生産(GDP)は、515兆円(2012年10~12月期)から、528兆円(13年10~12月期)へと増加し、失業率は4・3%(12年12月)から3・6%(14年3月)へと低下した。 
物価上昇率(消費者物価総合指数)は、マイナス0・1%(12年12月)からプラス1・6%(14年3月)へとデフレ脱却したといってもいいところまできた。 
しかし、これからが大変だ。いうまでもなく、4月1日から消費税増税が実施されたからだ。これまでの経済運営は「金融緩和あり、増税なし」だったので合格点であるが、4月以降は金融緩和というアクセルと増税というブレーキを同時に踏んだ状態になる。しかも、増税は「景気が本格的に良くなる前」なのでまずい。 
金融政策や財政政策の効果を分析した「マンデル=フレミング理論」からも、十分な金融緩和が実施されていれば、財政政策は効果があるという結果が導き出される。つまり、財政政策の一種である増税による消費減少は、波及効果をもって実体経済の有効需要を減少させるわけだ。 
景気を良くするためには、金融緩和では効果が出るまでラグ(ずれ)があるので、手遅れだ。即効性の強い財政政策、しかも制約の少ない減税・給付金政策を主力とする必要がある。そのために、一刻も早い補正予算の編成が望まれる。
とにかく、今の時期の増税はデフレから脱却するためには本当に不味いことであり、とんでもないことです。それに、高橋洋一氏は、最近過去の1997年の増税のときも、最初の1年間くらいはあまり影響はなく、1年くらい経過してからかなり景気が落ち込んだことを指摘しています。

今年の秋あたりに、10%増税が決まり、来年の4月から増税されてしまえば、デフレからの脱却は当面目処がつかなくなってしまいます。

こんなことを考えると、児童虐待相談件数は当面減りそうもありません。そうして、ここまで掲載すると、今の時期の増税と児童虐待の増加も密接な関係があることもご理解いただけるものと思います。

デフレの状況での増税、それも来年10%増税されてしまえば、また自殺者が増え、貧困問題も児童虐待も増える一方になると思いまます。

こんなことは、まともな識者であれば、理解していることです、そんなこともあってか、日銀岩田総裁の最近の発言を高橋洋一氏が、論評しています。その記事のURLを以下に掲載させていただきます。
岩田日銀副総裁

詳細は、これもこの記事をご覧いただくものとして、高橋洋一氏はこの記事で以下のような結論を述べています。
 岩田副総裁は、なぜデマンド・プルを強調したのだろうか。日銀はこれまで需要を喚起して、頑張ってきたのは事実だ。しかし、今後は潜在成長力、つまり供給を上げていかなければ、金融政策でも限界が来る。そのために、政府の規制緩和の取り組みが重要だというのは、一般論としては否定できない。 
 もちろん、岩田副総裁はそうも主張したかったのだろうが、4月からの消費税増税による需要の減少についても言いたいことがあったのではないか。つまり、2013年度は、日銀はデマンド・プルになるようにやってきたし、政府も有効需要創出に頑張った。しかし、今14年度、日銀は引き続き頑張っているが、政府の消費税増税によって需要減になっている。 
 副総裁の立場では消費税のことを言いにくい。そこで、デマンド・プルを持ち出し、消費税増税でマイナス効果になれば、政府に財政政策で需要を補ってほしいというメッセージではないか。
財政政策としてもできることはたくさんあります。ここで、特に今の日本で筆頭にあげられるのは、公共工事です。しかし、このブログでも掲載してきたように、現在は公共工事の供給制約があり、あまり効果はありません。であれば、高橋洋一氏の語るように規制緩和の取り組みをすれば、需要をたかめることができますし、高橋洋一氏も以前指摘したように、減税、給付などの方法もあります。

とにかく、増税による需要減を最低限に抑えなければ、またぞろ、自殺者が増えたり、貧困問題が深刻になるばかりです。

様々な現場の第一線で働く人々も、物やサービスが売れないことや、貧困問題、雇用の問題などその根本原因はデフレであり、そのデフレからの脱却を妨げているのが増税であることを理解して、自分の担当正面の根本原因を認識し、それを訴えるようにしていただければ、世論も動き、政治の世界も動くかもしれません。

デフレを放置されても、増税されても大人しい子羊のように何も反論しなければ、いずれ私たちは、失われた20年ではなく、失われた100年を甘受しなければならなくなるかもしれません。そんな、希望のない社会を未来の子孫たちに残すわけにはいきません。私たちは、少なくとも個々人が努力すれば、幸せをつかむことが可能であるような社会を残していくべぎてす。

省益最優先の財務省は、10%増税の屁理屈を星の数ほど考えだして、またぞろ増税大キャンペーンを行い、必死で政治家やマスコミを操作すると思います。

しかし私は、現在の日本では、大きな世論に真っ向から反対できるマスコミも、政治家もいないと思います。だからこそ、様々な手段を講じて、デフレ推進派はマスコミに印象操作などをさせているのだと思います。マスコミだって、デフレが継続し、消費者が耐え切れなくなって、新聞など購読しなくなったり、テレビのCMをみても何も反応しなくなれば、自分たちも危ないということを認識すべぎてす。

本来は、新旧、上下、左右関係なく、デフレは全日本人の共通の敵であると思います。まずは、多く人々が、自分たちの周りの閉塞感の根本原因の大きなものの一つがデフレであることに目覚めるときだと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年1月6日月曜日

高橋洋一・嘉悦大教授が占う2014年の日本経済 消費増税で成長鈍化は必至 ―【私の論評】高橋洋一氏の読みは正しい、なぜなら先行事例がかなりあるから!!ただし、経済が伸びないからといって、安部総理を個人攻撃すれば中国・韓国、マスコミの思う壺(゚д゚)!

高橋洋一・嘉悦大教授が占う2014年の日本経済 消費増税で成長鈍化は必至 
2014.01.06
高橋洋一氏
1年前の夕刊フジ新春特別号に書いた2013年の経済見通しに関する記事を読み返してみると、「安倍政権の誕生でデフレ脱却が加速」「夏場までに日経平均株価は1万2000~1万5000円」「為替は1ドル=100円程度」と予測していた。当時、アベノミクスの金融緩和について、財政破綻になるとか、金利が急騰するなどと間違っていた学者や評論家は多かったが、13年7~8月の株価は1万3600~1万4800円、為替は1ドル=96~101円だったので、筆者の予測はほぼ的中したといえるのではないか。

今年もそこまで期待されているとなかなか厳しいが、足元のトレンドと財政政策から定量的に判断するなら、14年度の経済成長率は13年度より鈍化するだろう。マイナス成長になる可能性も、かなり少ないものの排除できない。元凶はもちろん4月から消費税率が8%にアップすることだ。増税とセットで実施予定の経済対策やアベノミクスをもってしても、景気悪化は避けがたい。

実質経済成長率を見てみると、13年度は消費税増税前の駆け込み需要も加わり2・7%程度で着地しそうだが、増税が実施される14年度の成長率をどう見るか。政府は1・0%、日銀は1・5%、民間シンクタンク11社は0~1・6%とばらついているが平均は0・7%だ。

筆者はマイナス0・1%~プラス0・9%とみている。金融政策によって実質2%成長は確保されているが、増税前の駆け込み需要の反動減でマイナス0・7%、さらに増税の悪影響がフルに出るとマイナス1・3%程度とみる。

幅をもたせているのは、政府の出方がわからないからだ。今のままの5兆円程度の財政対策なら、0%程度で最悪はマイナスもありえるだろうが、追加財政対策や追加金融緩和があれば、景気の鈍化は和らげられる。

こうした経済状況では、株価は今年前半のような爆発的な上昇はあまり期待できない。夏場までは1万4000~1万8000円程度だろう。20年の東京五輪開催は面白いテーマだが、14年中に実現する話は少ない。

為替は、米FRB(連邦準備制度理事会)の金融緩和がどこまで続くか次第であるが、14年夏までに1ドル=100~110円程度ではないか。

消費税率10%への引き上げは15年10月に予定されているので、半年前の15年4月が決断のデッドラインだが、通常国会を考えると、14年末にも判断することがあり得る。14年の景気があまり芳しくないとみられることや、さらに15年9月に自民党総裁選があることを考えると10%への増税はスキップされる可能性もある。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】高橋洋一氏の読みは正しい、なぜなら先行事例がかなりあるから!!ただし、経済が伸びないからといって、安部総理を個人攻撃すれば中国・韓国、マスコミの思う壺(゚д゚)!

私は、高橋氏が語っているように、政府がどうでるのかわからないので、まだ何ともいいようがないですが、今年の経済は、高橋氏の言うとおりの展開となると思います。要するに、思ったほど伸びません。

なぜなら、それは先行事例があまりに多すぎるからです。昨年は、世界中の国々で、景気が良くなくて、財政赤字を削減しようとして、増税し国々は軒並み、全部失敗しています。だから、まともな経済学者や、識者の間では、不況に陥り、財政赤字が目立ったにせよ、まずこのような場合は、経済成長を優先させるべきであり、財政赤字を削減するために増税などすべきではないという認識が高まっていました。

一番顕著な例はイギリスです。昨年は、一昨年とこのブログでは、イギリスの経済の悪化について掲載しており、そうして、イギリスの事例から日本でもデフレの最中に増税するは、全くの間違いであることを主張してきました。

まず、以下にそれらの記事のURLを掲載させていただきます。
【国際政治経済学入門】税収減、失業増…消費増税失敗 英の教訓―【私の論評】増税はまだ本決まりではない!!まだ防ぐ機会はある!!(一昨年7月18日の記事) 
五輪に沸くロンドンが「ゴーストタウン」化 短期的な景気浮揚効果の予測に疑問符―【私の論評】不況のイギリスでは増税した後で増刷して、さらにオリンピックでも景気浮揚の効果はなくなったというのに、日本ではこれから増税とはこれいかに?(一昨年8月2日の記事)
 
【五輪閉会式】景気後退、将来への懸念は消えず 政争の予感も―【私の論評】イギリスの今日の姿は、明日の日本の姿である!!(一昨年8月13日の記事)
 

さて、詳細はこれらの記事をご覧いただくものとして、これらの記事では、イギリスでは不況のため、財政赤字が目立つようになり、この財政赤字を減らすために、2011年に付加価値税(日本の消費税にあたる)を大幅増税しました。

そうしたところ、経済はさらに落ち込み、雇用も悪化しました。それも、特に若者雇用がかなり悪化しました。これに対処するべくイギリスの中央銀行(日本の日銀にあたる)である、イングランド銀行は、大規模な金融緩和策を実施しました。そうして、この金融緩和によって、イギリスはハイパーインフレになるなどといわれましたが、そのようなことにはなりませんでした。

しかし、それにしても、2012年の段階では、イギリスの景気は回復せず、財政赤字を削減するために、付加価値税を増税したにもかかわらず、税収は増えるどころかかえって減って、2012年の時点では、財政赤字の削減の目処もたちませんでした。

さすがに、昨年の2013年になってからは、景気がある程度回復しましたが、それにしても、問題は山積しています。このように、不景気のときに、財政赤字幅が増えたからといって、経済成長政策ではなく、増税をしてしまえば、失敗するという格好の事例になっていました。

こういう先行事例があるにもかかわらず、この先行事例が日本では、ほとんど顧みられず、財務省も、政治家も、マスコミもこぞって、財政赤字を減らすため、増税するのは当然のことという論理で、今年4月から増税を決めてしまいしまた。

そうして、このような事例は、イギリスだけにはとどまりませんでした。EUでは、イギリスの他にも、イタリア、スペイン、ポルトガルで、不景気で、財政赤字が目立ったということで、財政赤字を削減しようと、増税しました。ことごとく全部失敗しました。これに関しては、昨年のこのブログでも紹介させていただいたので、その記事のURLを以下に掲載します。
【メディアの嘘を見抜け】酷すぎ、今年の経済白書はバカか工作員の未来日記なのか―【私の論評】マスコミがその巣窟になつている現在、せめて役所それも内閣府だけは馬鹿とスパイはお断りにしていただきたい!
 
詳細は、この記事をご覧いただくものとてして、この記事では、イギリス、スペイン、イタリア、ポルトガルが、財政赤字を削減しようとして、増税してすべからく全部失敗していることを掲載しました。

そうして、あろうことか、このような失敗事例があるにも関わらず、内閣府が出した経済白書においては、この事実が隠蔽されてること、特に、増税後どうなったかをはっきり公表していないという異常事態について掲載しました。本当にとんでもないことです。

このような先行事例、事実をオブラートに包んわからないようにして、日本も増税しても、景気に影響がないかのような、内容を掲載していました。これは、事実を曲げるとんでもないものでした。本当に、昨年の経済白書は、バカか工作員の未来日記なのかと誹られても、言い訳できないような内容でした。

こうした事例については、財務省も、マスコミも、政治家もほとんど問題にするということはなく、結局増税に突っ走ってしまいました。

特に、イギリスの事例は、増税した後に、金融緩和といことで、日本とは少し違います。日本の場合は、昨年の4月より、異次元の包括的金融緩和をしました。そうして、今年の4月に増税します。丁度、順番がイギリスとは反対です。金融緩和をした、昨年は、上の記事高橋氏も言っていたように、経済はかなり回復しました。

しかし、今年4月から増税すれば、増税下の金融緩和ということになり、イギリスと同じような状況になります。これは、悪くなるとみるのが当たり前です。

どう考えてみても、増税はかなり景気に悪影響を及ばします。おそらく、政府が5兆円の経済対策しか行なわなければ、景気の伸びは今年よりも鈍化するのは、必定です。おそらく、高橋洋一氏の予想する通りになることでしょう。

上では、EUの例をあげましたが、実は先行事例として、素晴らしい例があります。それは、何かといえば、日本の事例です。これも、このブログでは、何回か紹介させていただきました。



簡単に述べると、約80年ほど前に、世界恐慌があったのはご存知だと思います。この、世界恐慌の原因は、深刻なデフレであったことが、1990年台の研究で今では明らかにされています。日本も、当時アメリカの金融恐慌に影響を受けて、深刻なデフレに陥っていました。日本では、この大恐慌を昭和恐慌と呼んでいました。

こうしたときに、日本は、何にをしたでしょうか?それは、当時の大蔵大臣である高橋是清による、今でいうところのリフレ政策でした。そうです。増税など一切していません。金融緩和をと財政支出政策を同時に行ったのです。そうして、金融緩和を行っても、ハイパーインフレになることもなく、国債が暴落したということもありませんでした。それどころか、日本は、いち早く昭和恐慌から脱出しました。当時、日本は、世界で一番早く、世界恐慌から脱出しました。世界で日本だけが、大東亜戦争の前に恐慌から脱出することができました。これは、日本が世界に誇るべきことだと思います。

今の日本では、日本の英雄高橋是清のことは、顧みられていない

アメリカが金融恐慌から脱出できたのは、大東亜戦争がばじまてから、数年経てからのことでした。

日本にはさらに新しい、事例があります。それは、多くの方々がご存知のように、小泉政権の時に増税なしでほぼ財政再建したという事実があります。このときには、金融緩和のみによって、あとわずかで、日本はデフレから脱却できそうなところまでいきましたが、残念ながら、小泉政権の後の第一次安倍政権のときに、日銀が金融引き締めに転じて、せっかくの金融緩和の成果が雲散霧消して、日本はまたまた、デフレスパイラルの泥沼に落ちこんでしまいました。

このような先行事例があったにも関わらず、日本では、昨年デフレの最中の増税という愚かなことを決定していまったのです。まさに、愚かしいとしか言いようがありません。

しかし、ここで、さらに日本を悪くさせないために、敢えて一言付け加えさせていただきます。増税を決断したのは、無論最終的には、安部総理です。こんな、愚かしいことをする総理大臣なら切ってしまえなどということは、夢々思うべきではないということです。

安部総理は、自民党や、財務省などか、増税決まりというようなことを言っていたときも、はっきりとは意思表示せず、10月に入ってから慎重に発表を行いました。安部総理は、おそらく、上記の先行事例のことなど、良く理解されていると思います。他の、自民党の幹部などが知らなくて、安部総理だけはご存知だったと思います。

しかし、昨年の10月の時点で、増税見送りを決めてしまえば、世論の支持は高まるでしょうが、絶対に増税しなければならないなどと、財務省に吹き込まれて信じこんでしまっている、多数の自民党の議員を納得させ、支援を得て、安倍政権を長期政権化することが不可能になってしまいます。そうなれば、次の総裁選に立候補することすらできなくなってしまう可能性が大です。

だから、こそ、安部総理は、百害あって一利なしの増税に踏み切らざるをえなかったのです。これに関しては、本人も、苦渋の決断であったと述懐しています。本当にそうだったと思います。

今年、増税すれば、当然経済は悪化し、腰折れします。しかし、それは、承知の上で、安倍政権を長期政権化するために、妥協をしたのです。安倍長期政権が成就すれば、次の増税10%は阻止できる可能性が高まります。増税しても、なるべく経済が悪化しないようにしつつ、最終的にはアベノミクスで経済を良くしようと考えているのだと思います。

安部総理

麻生財務大臣は、年初そうそう、10%増税に言及していますが、日本経済が未だデフレから回復しきっていない状況で更に増税してしまえば、日本はとんでもないことになり、またまた、デフレスパイラルの泥沼に落ち込み、とんでもないことになります。財務省は、増税さえすれば、自らの省益を高めることができますから、全くおかまいなしです。日本がどうなっても、自分たちの省益さえ強まれば、それで良いのです。なぜ増税して、財務省の省益がたかまるかといえば、財務官僚の歳出権を拡大できるからです。こういう視点でとらえれば、増税は、歳出権拡大の実践であり、財政再建が遠のくのも当然のことです。

とにかく、消費税10%ということにでもなれば、日本は、失われた20年が、40年になるということになることでしょう。これから、先20年もさらに、デフレに悩まされ続けることになります。そうして、日本が弱体化すれば、マスコミは大喜びだし、最も喜ぶのは、中国です。日本がデフレに落ち込み、円高になれば、また中国は、日本の富を利用して、経済発展できる可能性が高まります。

そんな馬鹿なことにならないためにも、安部総理には頑張っていただかなけれはなりません。今年の課題は、10%増税絶対阻止です。そうして、できうれば、増税しても、財政出動5兆円に終わらせことなく、もつと多くして、経済の落ち込みを防ぐべきです。そのようにして、増税の悪影響を削減すべきです。

これらが、今年の大きな課題となると思います。私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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