2017年11月9日木曜日

未来がなくなった亡国への光景 韓国の若者、楽して暮らせる公務員「最低職位」試験に殺到―【私の論評】ポスト安倍は日本も韓国並に八方塞がりに(゚д゚)!

未来がなくなった亡国への光景 韓国の若者、楽して暮らせる公務員「最低職位」試験に殺到

韓国の若者に「公務員志望」が高まっているという(写真と本文は関係ありません)
 韓国で「公務員志望」の熱気がますます高まっている。といって、国を牽引(けんいん)するような大志を抱いて上級職試験を受けるのではない。「一生楽して暮らせるから」と、若者が9級職(=最低職位)の試験合格を懸命に目指す。これは「亡国への光景」だ。

 韓国に「労働者と北朝鮮のための政権」が誕生して半年余。「北朝鮮のため」は、安保主権を中国に委ねるようなコウモリ外交に象徴されるとおり着々と進んでいるが、「労働者のため」は、有効求人倍率が8月の0・68から9月には0・62に落ちるなど思うに任せない。

 最低賃金は2018年から16%アップするが、玉突き型に賃金レベル全体に上がるのは必至だ。それで民間部門からは「人員削減不可避」の声が聞こえてくる。

 そうした中で、韓国の公務員は恵まれすぎている。

 官庁系シンクタンクの分析によると、9級職でいいから公務員になれば、退職までに15億ウォン(約1億5300万円)を超える収入を得られるが、小企業(従業員49人以下)に入ったら生涯賃金は8億ウォン(約8200万円)に届かない。

 中企業よりはしっかりした中堅企業(同300~999人)に入ったところで、生涯賃金は9級合格者より4億8756万ウォン(約4990万円)少ない。

 大企業(同1000人以上)なら、9級職合格者を6875万ウォン(約700万円)上回るが、大手財閥系に入社できる新卒者は2%に届かない。いまをときめく大手財閥とて「財閥キラー政権」が続けば、どうなるか分かったものではない。上級職公務員試験は難し過ぎる。
それで、国立ソウル大学の卒業者まで、最低職位の公務員試験に殺到するわけだ。2009年の法律改正により、公務員試験の年齢制限が撤廃されてからは、“晩年受験者”も増えている。財閥系に就職したものの「45停」(サオジョン)とも「名誉退職」とも呼ばれる「早期肩たたき」に遭った人々も、9級職公務員を目指す。

 だから、このところの9級職試験の倍率は50倍以上。地方で1人か2人の補充募集があると倍率1000倍といったこともある。

 9級職は、少数の例外はあれ、普通は定年まで勤めても7級までしか出世しない。日本で言えば「主事」だ。

 一昔前の韓国は、会う大学生のほとんどが、李王朝で言えば「両班」(ヤンバン)を目指していた。つまり上級職公務員か大手財閥の社員だ。

 それに比べると、今や韓国の大学生は「そうだ! 中人(チュンイン)を目指そう」に変わった。中人とは両班の下にいた宮廷の吏員だ。中人だって、両班ほどではないにしても、常民(サンミン)、奴婢(ノビ)に対しては威張り散らしていた。アァ、7~9級職公務員とは、官尊民卑が続く現代韓国で、李王朝の中人に値するのだ。

 日本には「どうして1番でなくてはダメなのですか」とわめき散らした政治家がいた。1番を目指したところで1番になれるものではないのに…。若者が初めから「中人」を目指す国に、未来があろうはずはない。

 ■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「悪韓論」(新潮新書)、「呆韓論」(産経新聞出版)、「ディス・イズ・コリア」(同)などがある。

【私の論評】ポスト安倍は日本も韓国並に八方塞がりに(゚д゚)!

韓国統計庁発表によると、韓国の8月の若年層の失業率は9・4%と、アジア通貨危機後の1999年8月の10・7%に次ぎ、8月の数字としては最悪になりました。ちなみに、韓国の若年層の失業率は「15歳から29歳」の労働市場参加者が対象で、ILO(国際労働機関)やOECDの15歳から24歳よりも定義が広くなっている(=というわけで、若年層失業率ではなく『青年失業率』と呼ぶ)。

25歳から29歳の若者は、24歳未満よりも働いている可能性が高いです。韓国の若年層の失業率ならぬ青年失業率は、実態よりも低く見えてしまいます。

OECDの統計によると、2016年の韓国の若年層失業率は10・7%と、2ケタに達していました。ILOやOECDの定義(15-24歳)で見ると、韓国の直近の若年層失業率は12%を上回っている可能性が極めて濃厚です。

現在の韓国では、失業者の4割を若年層が占めます。しかも、就業経験が全くない若年層が増え続けているわけですから、事態は深刻です。同国では、就業経験を一切持たない失業者の8割超を、若年層が占めています。

韓国銀行
なぜ、韓国の若者の雇用機会が減少しているのか。最大の理由は、韓国銀行(韓国の中央銀行、日本の日銀にあたる)が雇用情勢がこれだけ悪化しているにもかかわらず、量的緩和をしないからです。

実際、本日も以下のようなニュースがありました。
成長率とインフレ上昇見通しが金融政策の調整を支援=韓国中銀 
韓国銀行(中央銀行)は9日、半期に一度の金融政策報告を発表し、国内経済が潜在成長率に近づいており、インフレ率も上昇が見込まれることから、金融緩和政策の調整が可能になってきたとの見解を示した。 
中銀は「経済成長率は潜在成長率に向かって好転している一方、インフレ率は目標水準を目指して上昇すると予想されており、低成長と低インフレに取り組むため緩和的に維持されてきた金融政策の調整が徐々に可能になってきている」と分析している。 
第3・四半期の韓国国内総生産(GDP)速報値が過去7年余りで最も大幅な伸びを記録したことを受け、市場関係者は中銀が11月30日の金融通貨委員会で6年超ぶりの利上げを実施するとの予想で一致している。 
中銀は2012年から8回の利下げを実施し、10月19日の委員会では政策金利を過去最低水準の1.25%に据え置いた。 
金融政策報告はまた、現在の成長モメンタムが持続的かどうかを判断するため、中銀が経済動向を注意深く見守っていくとしている。
このニュースからうかがえるのは、韓国銀行がまともに機能していないことです。まず第一に「国内経済が潜在成長率に近づいており、インフレ率も上昇が見込まれることから、金融緩和政策の調整が可能になってきた」という韓国銀行の発言です。これは、全くおかしいです。インフレ率の上昇が見込まれるから金融緩和政策の調整が可能になってきたのではなく、そもそも中央銀行の金融緩和策によって、インフレ率が決まるはずです。

さらに、これだけ雇用が悪化しているにもかかわらず、直近で実施する金融緩和策は、量的緩和ではなく、質的緩和である利上げです。

これでは、雇用情勢を改善することはできません。どうも韓国の金融政策はおかしいです。

韓国中央銀行は、国の中央銀行としては珍しく、2004年から4年間、世界唯一の赤字中央銀行となっていました(なお、2015年にはスイス国立銀行が赤字決算となっている)。これは、市場に流通されている通貨量を調節する目的で発行される通貨安定証券の過多発行と、それにもとづく利子負担によるもので、この時期の通貨安定証券の過多発行は、為替の値下がりを防ぐため行われたものとされています。しかし、これも良くわかりません。

また、1997年のアジア通貨危機当時、韓国銀行は、外貨を国内の市中銀行に貸し出すなどして、公表されていた外貨準備高を確保していなかったことが、アメリカ合衆国・連邦準備理事会のアラン・グリーンスパン議長(当時)の回顧録で明らかとなっています。

韓国銀行は中央銀行としてどうもまともに機能していないようです。日本でも、日銀が現在の黒田体制になる前の白川体制以前では、日銀はまともに機能していませんでした。

金融通貨委員会を取りまとめる李柱烈(イ・ジュヨル)韓国銀行総裁=11日、ソウル
特に、日本国の金融政策を決定す審議会のメンバーが、とても金融政策を理解しているとも思えないようなメンバーがほとんどでした。これらのメンバーのほとんどが、なにかといえば金融引締め策を実施したため、本来金融緩和をすべきときにも引き締め策を堅持しました。

そのため、日本は円高傾向となり、デフレスパイラルのどん底に沈み込み、雇用もかなり悪化しました。韓国では、金融通貨委員会が韓国の金融政策を決定するようですが、この委員会もかつての日銀の審議会のようにまともに機能していないのだと思います。

韓国では、金融政策を疎かにしているようでは、かつての日本のように雇用が改善されることはありません。一刻もはやく金融緩和すべきです。韓国は、金融緩和すべきといういうと、緩和すればキャピタル・フライトがおこるということを主張する人もいますが、韓国の場合はその心配はないと思います。

これに関しては以前もこのブログに掲載したことがあります。結論らかいうと、韓国は金融緩和してもキャピタル・フライトは、おきません。かつてキャピタルフライトの起きた国としてアイスランドは有名です。

その頃アイスランドはGDP比で700%もの外貨建ての借金をしていました。しかし、当時のアイスランドの政府債務対GDP比は29%しかありませんでした。この700%もの債務は一体誰が負っていたのでしょうか。

アイスランド政府の借金でないのであれば、あとは民間しかありません。この膨大な対外の外貨建て債務は国内の金融機関が負っていた負債でした。

このような国であれば、当然のことながらキャピタルフライとは起こりえます。そうして、実際アイスランドではそれが起こったのです。

韓国銀行は2月22日、韓国の対外債権が前年比638億ドル増の7843億ドルとなったのに対し、対外債務は151億ドル減の3809億ドルだったと発表しました。

対外債務では長期対外債務が160億ドル減少し、短期対外債務は8億ドル増えました。外貨準備高(3711億ドル)に占める短期対外債務(1052億ドル)の割合は28.3%で前年と同じでした。同割合は2013年の32.3%、14年の32.0%、15年の28.3%と年々低下してきました。1997年の通貨危機当時(283.1%)、2008年の金融危機当時(79.3%)に比べるとはるかに低い水準です。

この程度の対外債務であれば、どう考えても金融緩和したからといって、キャピタルフライトを起こすことはありません。

にもかかわらず、量的金融緩和をしないのは、やはり、韓国では日本のように、金融政策と雇用が密接に結びついているということを理解しない人が、政治家やマスコミにも多いということだと思います。


日本では、幸いなことにこれを理解している安倍総理や菅官房長官など政府中枢に存在するので、最近は未だ十分とはいえないまでも、日銀の金融政策はまともになってきました。

しかし、ポスト安倍ではこの二人も政権では中枢に居続けることはできないでしょう。そうなると、日本も韓国なみに金融政策が機能しなくなり、また雇用がかなり悪化する恐れがあります。雇用の悪化だけではなく、またデフレスパイラルのどん底に沈み、円高に逆戻りです。

そうなる可能性はかなり高いと思います。ブログ冒頭の記事で、室谷克実(むろたに・かつみ)氏は、韓国の雇用情勢の劣悪さについては詳細に語っていますが、その原因や韓国がすべきことについては何も語っていません。というより、金融政策と雇用政策について室谷氏の頭の中では何の連関性もないのでしょう。

日本でも、室谷氏のような人のほうが一般的です。雇用の悪さと、中央銀行を結びつけて考える人は多くないです。そうして、無論韓国内でも、そのような人は皆無に近く、何かといえば、構造改革ばかり叫ぶ人が多いです。

韓国では、金融緩和策が実施されていないことが、様々な歪みを生んでいるのは間違いないです。まずは、雇用の極度の悪化、家計の借金の悪化、ウォン高、その他諸々です。

私は、韓国政府による反日活動も、これに関係していると思います。そもそも、金融緩和策がまともになされていれば、国民の不満もさほどではないですが、現状ではそうではなく、多くの国民が八方塞がりになっていて、憤怒のマグマがいつ吹き出してもおかしくない状況です。その憤怒のマグマを自分たちに向かせることなく、日本を悪者にしたてて、日本に向けるようにしたのが、韓国の反日でもあります。

まともな金融緩和策を実行すれば、国民にも余裕でき、政府も極端な反日などしなくてもすむようになります。国民と政府との関係も余裕ができ、今よりはかなり良くなります。現状では、国民の不満が増すばかりで、その不満に乗じて、北の勢力が浸透しやすくなっています。

しかし、今日の韓国は金融緩和はせず、そうして国民から政府まで皆が八方塞がりに陥っているのです。

ポスト安倍は今のままでは、金融引締めを繰り返すようになり、現在の韓国のように八方塞がりになる可能性が高いです。

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2017年11月8日水曜日

首相頼みの金融緩和路線 次の政権では風前のともしび、日銀法に雇用目標の明文化を―【私の論評】放置すれば地獄の釜を開く政治家どもに任せて良いのか(゚д゚)!

首相頼みの金融緩和路線 次の政権では風前のともしび、日銀法に雇用目標の明文化を

政権中枢にいる安倍首相と菅官房長官が金融政策を理解していることが幸いしているのだが・・・・
先の衆院選の結果は悲喜こもごもだったが、金融緩和政策の効果を理解する政治家が、政界全体で、かなり少なくなったのは残念だ。

もともと、金融緩和によって雇用が増えることについて、欧米では一般常識になっているが、日本で理解している学者やマスコミは少ない。

ここ10年ほどで、金融政策を正しく理解していると筆者が思い当たる政治家は、安倍晋三、菅義偉、中川秀直、山本幸三、竹中平蔵、渡辺喜美、舛添要一、馬淵澄夫、小沢鋭仁、松原仁、金子洋一の各氏らだった。

ところが、ここ数回の国政選挙などを経て、いまや風前のともしびになっている。ある意味で奇跡的に安倍首相と菅官房長官が政権中枢にいるので、一連の日銀人事では間違いがなく、金融政策はおおむね正しく行われてきた。

その結果、雇用状況は民主党政権と比べて格段に向上した。有効求人倍率や大学新卒者の就職率のまれに見る成果によって如実に表れている。

大学関係者と話をすると、いわゆる一流大学では新卒者の就職率の向上が実感できないらしい。いつでも就職率が高いからだという。一方、筆者の所属大学のレベルになると、民主党政権下での就職率は実質的に現状の3分の2程度だった。安倍政権になってから就職率が高くなって、今ではほぼ全員が就職できるようになった。
正直なところ学生の学力が劇的に向上したとは思えないので、異次元金融緩和の恩恵による部分が大きい。これは、筆者が事前に予測したとおりの結果であり、標準的なマクロ経済分析からの帰結でもある。

雇用が良くなると、自殺率、強盗率、生活保護不正受給率なども減少し、社会の安定にも好都合となる。しかも、雇用を作ったというのは対野党としても格好の材料だ。

つまり、金融政策を上手に使ったことが安倍政権が長期化している裏にある。安倍首相は、日本の政治史で初めて金融政策の効用を正しく理解し、それを活用した首相だといえる。

その安倍政権もいつかは終わる。今の政治家を見渡すと、次の首相候補と目される人の中で、誰が金融政策を理解しているのかと思うと、空恐ろしくなる。

ここは、日銀法を改正して、雇用の確保を金融政策の目標に加えるべきだろう。安倍政権では、その意味を理解している人が日銀の正副総裁や審議委員に起用されているが、金融政策に無理解な政権となったら、人事もひどいものになる恐れがあるためだ。

ニュージーランド準備銀行(中央銀行)が約30年前、世界に先駆けて掲げたインフレ目標は世界中に広がった。そのニュージーランドでは、雇用目標を中央銀行に課すという新たな動きがある。先進国の中央銀行では雇用も事実上の目標になっているが、ニュージーランドではそれを明文化するのだ。

日本は先進国では最も遅くインフレ目標を導入したが、雇用目標ではそうした遅れは許されない。一刻も早く明文化してもらいたいものだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】放置すれば地獄の釜を開く政治家どもに任せて良いのか(゚д゚)!

東大や早稲田、慶応などの有名大学ならいざしらず、他の比較的有名大学では、男子学生はそうでもないでしょうが、女子学生は大変だったようです。また、有名大学であっても、博士課程まで行った人は、ポスドク問題があり大変でした。

高学歴女子の貧困も話題となった
1999年の大学生の就職内定率は男子の66.4%に対し、女子は57.7%と過去最低を記録していました(文部省・労働省調査、 10月1日時点)。「説明会の受付で女子だけ『全国転勤可能か?』ときかれ、中に入れてもらえなかった」など女子学生差別は後を絶ちません。「胸元が開いている服とかも女性の武器ですよ」といったセクハラ面接もひきつづきおきていました。

就職難の背景は、多くの人々、企業経営者や就活生や政治家なども含めて、この時には、大企業の大規模なリストラ・人員削減がおこなわれ、雇用危機が進行していることであると考えていました。長期にわたる金融引締めそのものががその原因と考える人は、政治家の中でもブログ冒頭の記事で高橋洋一氏があげている例外的な人たちくらいのものでした。

日本共産党は、雇用危機の解決のために緊急提案をだしました(1999年11月8日)。(1)異常なリストラ・解雇の横行をおさえ、雇用を守るルールを確立する(2)サービス残業の根絶、労働時間の短縮により雇用を拡大(3)国や自治体が介護、防災、教育など国民の暮らしと安全に不可欠な分野で新たな雇用を創出することなどを提案していました。

これは、今日考えると、そもそも雇用状況がかなり悪くなっているのに、このようなことを実施しても全く意味がありませんでした。しかし、この頃には、共産党に限らず、他の政党の政治家も含めて、雇用というと金融緩和など思いも浮かばず、似たり寄ったりの提案しかしていませんでした。

日本では、残業をなくせば260万人、労働時間をドイツなみの1500時間にすれば約600万人の雇用拡大効果があるといわれました。確かに、残業などの問題は、雇用にも関係はありますが、これはあくまで労働環境に属するものです。

こんなことをしても、結局当時は景気も悪いので、残業を減らしても新人を雇用するという企業は滅多にありませんでした。

また、男女雇用機会均等法や男女共同参画社会基本法にもとづいて、女子学生の就職差別にみられる大企業の女性差別の体質を変えていくことなども主張されたりしましたが、これとてほとんど効果は期待できませんでした。

本当に実施すべきは、やはり大規模な金融緩和でした。これを行えば、慢性的な人手不足となり、女子の雇用を控えていた企業も、女子を雇用するようになります。いくら共産党あたりが、大企業の女性差別の体質を変えるようにと、提言したり、叫んだりしても、実際に雇用枠そのものが増えなければ全く意味はありませんでした。

以下は2011年の動画ですが、共産党の小池氏が就職難について語っています。



そうして、就職対策とはいっても金融緩和については全く述べるでもなく、ほとんど無意味なことを語っています。しかし、この小池氏だけが、雇用と金融政策との間に、密接な相関関係があることを知らないというわけではありません。むしろ、小池氏のような政治家のほうが日本では平均的です。ただし、世界水準では、金融緩和政策は雇用環境を良くするということで世界中の共産党が支持する政策です。なぜか、日本では共産党ですら、金融緩和には無関心です。

米国などでは、無論この頃より相当前から、FRB(米国中央銀行、日本の日銀にあたる)は雇用に責任があるとの考えれていました。米国では、雇用状況が悪くなれば、まずはFRBがやり玉にあげられるというのが一般的です。最近のFRBの金融緩和の目標は雇用状況の指標が用いられていました。

しかし、日本ではなぜか、まるで日米の経済構造が根本的に異なるかのように、雇用と金融政策は全く関係ないとみなされてきました。日本がデフレ・スパイラルの底に沈んでいたときに、厚生労働書の雇用に関係する部署とされる部署に勤めていた女性が、自分の上司が「自分には雇用がわからない」という旨のことを語っていたのでは、驚愕したという話がサイトを賑わしていたことがあります。

日本では、なぜか雇用というと、関係省庁は厚生労働省とされますが、これは全くの間違いです。だから、この女性の上司が「自分は雇用がわからない」というのは当然のことなのです。

実際に、雇用枠を拡大することができるのは、日本銀行です。実際、日銀やFRDが金融緩和をして、物価を数%あげることに成功すれば、それだけで他は何もしなくても、日米のような国々では一夜にして数百万の雇用が生まれます。これは、昔から経験則で知られていましたし、近年では理論的にも完璧に裏付けられています。

わずか数年前まで年越し派遣村が毎年年末に設営されていたが、金融緩和策のため最近はなくなった
厚生労働省は、雇用には直接関係ありません。関係あるのは、労務に関係することです。労働統計や、労働環境、雇用のミスマッチの解消などには関与できますが、雇用そのものには全くタッチできません。そもそも、金融緩和を実行できません。

現在でも、多くの政治家や、民間企業の人事担当者に聴いてみてみても雇用と金融政策が密接に結びつていると考えている人は少数派です。皆さんのまわりにも、この関係を知らない人は大勢いると思います。

こういう心もとない状況を考えると、今のままであれば、ポスト安倍は、また金融政策に無関心・無知な人が政権の中枢を占め、とんでないことになるのは必定です。

であれば、やはり高橋洋一氏が主張するように、雇用の確保を金融政策の目標に加えるべきです。そうしないと、ポスト安倍はとんでもないことになってしまうでしょう。

今の政治家は放置しておけば、地獄の釜を開きかねない・・・・・
金融政策に無関心であれば、地獄の釜を開くことになることを知らない政治家どもに日本の将来を預けるわけにはいきません。明文化し、馬鹿にでもできるように、義務としてしなければならなくなるようにすべきです。

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2017年11月7日火曜日

【新・日米同盟の時代】新たに発覚したクリントン夫妻の「ロシア疑惑」 深刻な政治腐敗、ヒラリー氏の逮捕も―【私の論評】日本のマスコミは、トランプ報道と「もりかけ」報道で二重に愚かさ露呈(゚д゚)!


クリントン氏 写真はブログ管理人挿入
 米国では現在、クリントン・ファミリーの「ロシア・スキャンダル」が大爆発している。

 ドナルド・トランプ大統領の「ロシア・ゲート問題」は、すでに実体がないことが明らかになった。これに対し、新たに発覚したクリントン夫妻の「ロシア・ゲート問題」は、ウォーターゲート事件などが比較にならないほど、深刻な政治腐敗といえる。国家の安全を、金銭でロシアに売り渡していた疑いがある一大スキャンダルなのだ。

 オバマ政権でヒラリー・クリントン氏が国務長官だった当時、カナダの「ウラニウム・ワン」という企業を、ロシア政府の原子力機関「ロサトム」が買収した。「ウラニウム・ワン」は、米国のウラン鉱脈の5分の1を保有しており、買収には米国政府の許可が必要だった。

 ヒラリー氏はこの買収を積極的に推進し、「ウラニウム・ワン」はロシア政府の傘下企業となった。さすがに共和党保守派は当時、「この売却が米国の国家安全保障を大きく毀損(きそん)する」とオバマ政権を批判したが、企業買収は完了してしまった。

 米国の世界戦略における最大のライバルであるロシアにウラン鉱脈を売り渡すことは、誰が考えても米国の安全保障を損なう。ロシアのプーチン大統領は、世界のウラン・マーケットで独占的な地位を確立するために、この買収を行ったのだ。

 国の安全保障の根幹を脅かす決断を行った政治家は、それだけで「国家反逆罪」の対象になり得る。ところが、問題はそれだけではなかった。

この件に絡んで、「クリントン財団」は何と、「ウラニウム・ワン」買収の関係者から総額1億4500万ドル(約165億2850万円)にも及ぶ献金を受け取っていたのだ。同財団は慈善団体だが、事実上のクリントン・ファミリーの“財布同様の存在”である。

 しかも、「ウラニウム・ワン」の売却交渉が行われている最中(=ヒラリー国務長官時代)、ビル・クリントン元大統領は、ロシアの政府系投資銀行に招かれて講演を行い、1回の講演で50万ドル(約5700万円)もの謝礼を受け取った。これは通常の彼の講演謝礼の2倍の金額である。

 また、ロシア政府系のウラン企業のトップは実名を明かさず、クリントン財団に総額235万ドル(約2億6700万円)の献金をしていた。

 これらは、「反トランプ派」の代表的メディアであるニューヨーク・タイムズも、事実関係を認めている。

 クリントン夫妻の「ロシア・ゲート問題」は今後、さらに追及されて、米民主党やリベラル系メディアに壊滅的打撃を与えるだろう。

 ヒラリー氏が逮捕される可能性も出てきた。=おわり

 ■藤井厳喜(ふじい・げんき) 国際政治学者。1952年、東京都生まれ。早大政経学部卒業後、米ハーバード大学大学院で政治学博士課程を修了。ハーバード大学国際問題研究所・日米関係プログラム研究員などを経て帰国。テレビやラジオで活躍する一方、銀行や証券会社の顧問、明治大学などで教鞭をとる。現在、拓殖大学客員教授。著書・共著に『韓国は日米に見捨てられ、北朝鮮と中国はジリ貧』(海竜社)、『希望の日米新同盟と絶望の中朝同盟』(徳間書店)など。

【私の論評】日本のマスコミは、トランプ報道と「もりかけ」報道で二重に愚かさを露呈(゚д゚)!

日本では、未だトランプ大統領の「ロシア・ゲート問題」を報道したり、その他ネガティ負な報道していますが、特に「ロシア・ゲート問題」については随分前からこれで追求などできないことは、まともな識者の間でも明らかになっていました。それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【ロシアゲート疑惑】トランプ氏ひとまず逃げ切り? 「圧力」証言のコミー氏、動機に疑問―【私の論評】ロシアゲートは日本の加計問題と同じ。単なる政治闘争!はなから弾劾など成立しない(゚д゚)!
コミー前FBI長官
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、米国のまともな識者による「ロシアゲート」をどう見ているのかを示す部分を以下に引用します。
共和党の元下院議員で法律家でもあるデービッド・マッキントッシュは、5月中旬に開催された会合で、トランプはコミーに捜査中の事件について話し、またコミーを解任する権限を持つと語っている。「憲法上、大統領は法執行の権限を持っている......FBI長官に対してどのような捜査を行うか指示する立場にある」 
また「アメリカ法律正義センター」のジョーダン・セクローは、民主党議員も今回のケースが実際には司法妨害にならないことを理解しているだろうと言います。コミーが主張するトランプ発言のメモが存在しても、「コミーの証言だけでは、検察官は立件できない」。 
またセクローは、共和党が議会で多数派を占める現状で、司法妨害によって弾劾への道筋が開けたように語るのは政治闘争でしかない、と指摘しています。「オバマ政権時代にも弾劾は取り沙汰されたが、そのたびに実現しない話だと説明してきている」と語りました。
ジョーダン・セクロー氏
結局は、ロシアゲートも何のことはない、日本でいえば加計問題で、野党が何とか安倍首相に悪いイメージをつけて少しでも自分たちに有利になるようしようとするだけの、単なる政治闘争と同じことです。 
これ以上騒ぎたてると、ヒラリーの司法を使った選挙介入疑惑が共和党側からクローズアップされることになります。そうなれば、今度は民主党に悪いイメージがつくということで、良いことはありません。 
以上から、トランプ大統領がロシアゲート問題で、弾劾されるということは、全くあり得ないとみるべきです。 
日本で、ロシアゲートが注目されるのは、以前にもこのブログに掲載したように、米国のメディアはほとんど100%がリベラル・左派系であり、大手テレビ局はFOXtvだけが、保守系であり、あとは全部が、リベラル・左派系、新聞はもっと酷く日本でいえば大手新聞も産日本でいえば産経新聞がないようなもので、すべてがリベラル・左派系であるというところに根本原因があります。 
結局のところ、リベラル・左派系メディアは、民主党の擁護者であり、それが連日大喜びで、ロシアゲートを報道するものですから、それを日本のメディアが鵜呑みにして、日本国内で報道するわけです。 
大統領選挙のときと同じ構図です。特にCNNを見ていると、本当に極端です。ロシアゲート問題に何か新しい展開があると、テレビ局をあげて大騒ぎです。全く馬鹿です。 
それを真に受けて、日本で報道する日本のマスコミもさらに馬鹿です。
現在に至るまで、「ロシアゲート」ではトランプ大統領はもとより、誰も逮捕などされていません。最近では、トランプ大統領を人格障害であるとする報道もありますが、これも鵜呑みにはできません。

後に述べるように、不当な報道をされれば、激怒するのが当然です。これを人格障害とするほうに問題があります。トランプ氏に人格障害があると診断した医師たちこそ、何らかの人格的障害があるのではないでしょうか。この報道をそのまま垂れ流す日本のマスコミにも問題があります。

一方クリントン夫妻には、他にも疑惑があります。米国のトランプ大統領に対する「ロシア疑惑」の発端となった虚偽の秘密報告文書が、実は民主党側のヒラリー・クリントン陣営と同党全国委員会の委託で作成されていたことが10月末に明らかとなったのです。

ロシア疑惑の発端となった調査報告書の作成にクリントン陣営が資金を提供していたことが明らかに
なった。大統領選に関する自身の回顧録「What Happened」のサイン会を行う
ヒラリー・クリントン氏(2017年9月12日)
モラー特別検察官の捜査でロシア疑惑に関して守勢に立つトランプ陣営は、この新事実の発覚を機に反撃に出る構えです。

この文書は、イギリス政府諜報機関のMI6の元工作員でロシア事情に詳しいクリストファー・スティール氏によって書かれました。「スティール報告」と呼ばれる同文書には、トランプ氏やトランプ陣営の幹部たちとロシア政府機関との秘密の共謀関係が具体的に記されているとされ、米国大統領選後半の時期である2016年の夏以降に一部の選挙関係者や米国メディアの間でその存在が語られるようになりました。

クリストファー・スティール氏
その後、トランプ氏の当選が決まり、大統領就任が近くなった今年1月初めに、新興ネットメディアの「バズフィード」が「スティール報告」の全文35ページを掲載しました。大手メディアの大多数はその内容の信憑性を疑い、取り上げなかったのですが、トランプ批判の急先鋒であるCNNニュースが報道したことで広く知られることとなりました。

その時点で、同報告書はワシントンを拠点とする政治関連の調査企業「フュージョンGPS」が作成したことが明らかとなりました。内容は、トランプ氏がロシア政府高官らと親しく接触し、モスクワの豪華ホテルに滞在して乱交や放尿という乱痴気騒ぎを繰り広げた、というような生々しい記述でした。トランプ選対の幹部がロシア政府諜報関係者とチェコのプラハで密会し、大統領選でヒラリー・クリントン候補を打破するための秘密協力を誓い合った、などという記述もありました。

ところがこの「報告」の大部分が虚偽だった。トランプ氏やトランプ選対幹部は指摘された時期にモスクワやプラハにはいなかったことが証明されたのです。

CNNがスティール報告の内容を詳しく報道した直後、2017年1月11日にトランプ大統領は就任後初めての記者会見に臨みました。同氏はその場でCNNへの怒りをあらわにして、CNN記者からの質問には答えを拒み、激しい言葉で「フェイク報道」だと非難しました。ここからトランプ大統領の米国大手メディアとの正面対決が始まり、同時に、同大統領に対するロシア当局との「共謀」を疑う「ロシア疑惑」も大きく広がることとなったのです。

CNN記者からの質問には答えを拒み、激しい言葉で「フェイク報道」だと非難したトランプ大統領
米国連邦議会で一連のロシア疑惑に関する案件を調べている下院情報委員会は、この「スティール報告」問題を取り上げ、フュージョンGPSの代表グレン・シンプソン氏や同社の銀行口座記録への召喚状を出して尋問しました。その結果がこの10月下旬に明らかとなりました。

尋問結果の概要は以下の通りです。
・「スティール報告」はフュージョンGPSが法律事務所「パーキンス・コール」から委託されて作成した。パーキンス・コールは、クリントン選対と民主党全国委員会に雇われていた法律事務所である。 
・フュージョンGPSが委託された仕事は、主にトランプ氏の弱点や欠点を調べることだった。フュージョンGPSはMI6の元工作員、クリストファー・スティール氏にその調査と報告書の執筆を依頼した。 
・パーキンス・コール事務所ではマーク・エリアス弁護士がクリントン選対と民主党全国委員会の法律顧問を正式に務めていた。エリアス弁護士からフュージョンGPSに対して、「スティール報告」作成のための費用が2016年4月から同10月末まで支払われた。その結果、エリアス弁護士に同報告が提供された。 
・クリントン選対は2015年後半から2016年11月の大統領選挙までに、パーキンス・コール法律事務所に対して560万ドルを支払った。民主党全国委員会も360万ドルを支払った。それぞれ「法務協議費用」などという名目だった。スティール報告作成のための正確な支払い額は不明である。
当事者たちは、以上の事柄をすべて事実として認めました。トランプ陣営に対して一貫して批判的な論調を続けてきたワシントン・ポストなどもこの内容を報道しました。

こうして、クリントン陣営がロシア疑惑の文書の作成に直接関与していた事実が明らかになりました。トランプ大統領は、「ロシア政府と私との共謀を捏造する『ロシア疑惑』がそもそも民主党側の陰謀であることが改めて証明された」とツイートし、民主党側を非難しました。

今回、民主党側の「ロシア疑惑」への不明朗な仕掛けの事実が確認されたことで、トランプ陣営は有力な反撃の材料を獲得したどころか、この件でもヒラリー氏が逮捕される可能性も出てきました。

国会で証言する篭池氏
日本では、相変わらず「もりかけ問題」を追求しようとする動きがありますが、森友問題は篭池氏などの不確かな証言があるのみですし、森友問題では前川前文部次官の証言や、公文書とも言い切れないような文部官僚の私的文書があるのみです。

クリントン夫妻のように、金の動きなどがある程度見えているということもありません。上の例では、「クリントン財団」は何と、「ウラニウム・ワン」買収の関係者から総額1億4500万ドル(約165億2850万円)にも及ぶ献金を受け取っていたことが明らかになっています。

そもそも、篭池氏が語るように、安倍総理が森友学園に100万円を寄付したとして、それが何の罪になるのでしょうか。学校法人に寄付することは犯罪ではありません。逆に安倍総理が、クリントン夫妻のように「ウラニウム・ワン」買収の関係者から総額1億4500万ドル(約165億2850万円)にも及ぶ献金を受け取ったいたとしたら、大疑惑になるのは当然です。そのような事実はありません。

さらに、クリントン選対は2015年後半から2016年11月の大統領選挙までに、パーキンス・コール法律事務所に対して560万ドルを支払っています。民主党全国委員会も360万ドルを支払っています。ただし、スティール報告作成のための正確な支払い額は不明です。安倍総理も、野党を不利にするような、報告書などの作成のために、何らかの支払いをしていれば、それは疑惑になりますが、今のところそのような事実はありません。

野党や、マスコミが今後このような問題を追求し続けても、疲弊するだけではないでしょうか。

日本のマスコミは、二重に愚かです。一つは、トランプ大統領の報道の仕方が偏向しすぎで、愚かですし、「もりかけ」報道でも偏向しすぎで愚かです。

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2017年11月6日月曜日

トランプのアジア歴訪は、北朝鮮への「最後通牒」だと判断すべき理由―【私の論評】日本は北に先制攻撃を行う権利を有する(゚д゚)!

トランプのアジア歴訪は、北朝鮮への「最後通牒」だと判断すべき理由

現実を直視しなければならない

夕食会にのぞむトランプ大統領夫妻と、安倍首相夫妻


現実を直視するならば


いよいよ「北朝鮮攻撃」へのカウントダウンが始まった。今回のトランプ大統領のアジア歴訪は、北朝鮮にとって最後の猶予である。

本コラムにこれまで書いてきたように、筆者は北朝鮮が無条件に核ミサイルの開発を中止でもしない限り、近いうちにアメリカ(または国連軍か有志連合軍)を中心に北朝鮮への武力行使が始まる、と見立てている。

筆者もできれば戦争などは起きてもらいたくないし、まして日本から極めて近い朝鮮半島での戦争は真っ平だ。

しかし、それでも現実を直視しなければならない。筆者が「カウントダウンが始まった」と考える理由は単純だ。北朝鮮に対する国連安保理の制裁がすでに9回を数え、もう限界まできている、と言わざるをえないからだ。

最後の9回目の制裁が行われたのは9月11日。北朝鮮による6回目の核実験強行を受け、安保理が新たな制裁決議案を採択したものだ。常任理事国の中では北朝鮮寄りである中国もロシアも拒否権を発動せず、全会一致の決議だった。

現実的にはあと1回しか制裁のレベルを上げる余地は残されていない。北朝鮮が核開発をやめなければ、次に待っているのは、国連軍か多国籍軍による攻撃しかないのだ。

トランプ大統領のアジア歴訪は、極東アジアの安全保障から考えると極めて画期的である。その中身はおそらく、「北朝鮮が非核化に合意しない限り、軍事行動する」という考えを伝えるためのものだろう。

ここで、さらに北朝鮮に時間を与えるという選択肢はないだろう。これまで猶予を与え続けてきた結果、北朝鮮は国際社会を欺いてきたからだ。

軍事的には、北朝鮮による核ミサイルが実戦配備ギリギリのタイミングであるので、そうなる前、近い将来に武力行使した方が、しない場合よりもリスクが少なくなる。

そうであれば、武力行使を躊躇する理由はない。対北朝鮮カウントダウンが既に進行中であり、チェックメイトまでもうクビの皮一枚という状態になっているのだ。こう考えるのが国際政治の常識で、各国の指導者もまともならば、同じことを考えているはずだ。


もちろん、最後の最後まで武力行使回避の話し合いは水面下で行われるべきだし、実際にも行われているはずだ。そもそも、国連の対北朝鮮への経済制裁とは、意図的に抜け穴を作り最後通牒にならない形で圧力をかけ、その間に交渉し、武力行使に至らないようにする仕組みだ。

制裁は交渉のための圧力手段であるので、抜け穴があるのが当たり前だ(もっとも、これまで類似の制裁措置で北朝鮮に十分な時間を与えてきたが、北朝鮮はそれを無視してきたのも事実だ)。

国連が最後の経済制裁という圧力をかけ、実際に武力行使のカウントダウンが始まれば、北朝鮮が全面的に屈服する可能性もある。その際は、金書記長の亡命などが行われる可能性も残されている。この場合には、武力行使はなくなり、北朝鮮の非核化・金体制の崩壊になって、極東アジアには安定がもたらされるだろう。

逆に言えば、北朝鮮の全面的な屈服なしでは、国連の経済制裁、その後のカウントダウン、その後の国連軍(多国籍軍)による武力行使という確率が高いというのが現状である。

アメリカの本音は「一国でも攻撃できるが、しかし、国際的な正統性を得るためには国連決議を経るのががベスト」というものであろう。常任理事国の賛成を得て、北朝鮮を征伐すれば誰も文句を言えない。

これは表向きの戦略であるが、欠点もある。

国連抜きの手順も…?


一つには時間がかかりすぎ、軍事的にベストなタイミングで武力行使できない。いくら米朝で軍事格差があり米軍が圧倒的に優位であるとはいえ、被害を極小化したいアメリカには不満があるだろう。

もう一つは、国連の手続きは、北朝鮮にも筒抜けであり、北朝鮮に先制攻撃のチャンスを与えてしまうということだ。北朝鮮は国連加盟国であり、これまで国連内に独自の情報網を築いてきた。潘基文(パン・ギムン)国連事務総長時代に、北朝鮮の国連職員を多く採用したという話もある。これは軍事面から見れば手痛い点だ。

こうしたことから、アメリカは表向き国連を中心に物事を進めているようにみえても、裏では国連抜きの手順も進めているはずだ。

このような対北朝鮮への武力行使では、残念ながら日本の出番はほとんどない。実際には、このアメリカの行動について、米中ロとともに行動するしかない。これはリアルな軍事力を持っていない日本の宿命である。

ただし、経済面での貢献はできる。トランプ大統領のアジア歴訪は、日本の後に韓国、中国、そしてAPECという順序だ。APECでは、ロシアとも接触するであろう。そこでは米中ロの超大国が、北朝鮮問題を話しあう機会もあるかもしれない。

それは、北朝鮮版「ヤルタ会談」ともいうべきである。そこまでくると、北朝鮮への武力行使の後、どのように北朝鮮の統治をするのか、北朝鮮をどこ管理下にするかも話し合われるはずだ。

もちろん、日米首脳会談でも、そうした「ポスト北朝鮮問題」は話し合われるはずだ。もっとも、対外的にはそうした機微に触れる話は公表されることはない。無難に、経済問題が表に出されるのだろう。しかしその経済問題でこそ、日本の貢献が問われる。

さて、経済政策は話し合われたのか


今回のトランプ大統領の訪日では、安全保障問題で、日米の同盟関係の強固さを対外的に印象付けるのが目的であるので、経済面については日米で議論しないかもしれない。それならそれでいいが、トランプ大統領の顔を立てる必要があるのならば、アメリカが日米FTAを持ちだしたときには、それに応じてもいいし、心配なら日米韓FTAをやろうと応じてもいい。

北朝鮮や中国に対抗する概念は「自由」である。その最たるもののひとつが「自由貿易」になる。トランプ大統領は「保護主義的」と報道されているが、実は本質はビジネスマンであるので、TPPのような多国間自由貿易は否定していない。多国間、という点に不満があり、多国間となればアメリカの力が見せられないので不満という意味で、TPPを否定したのだ。

筆者は、アメリカ大使館の人とも話しているが、彼らは日米FTAを望んでいる。筆者は、日米FTAでもTPPを交渉スタートとすれば日本の国益は確保できると思うが、それでも心配なら韓国も加えて、日米韓FTAでもいいと思っている。

中国経済圏に対抗するためにも…


自由貿易園の裏側には、しばしば軍事同盟があるので、この際、北朝鮮、さらには中国とロシアへの経済的な圧力という意味もこめて、日米韓FTAはいいアイディアだろう。これは米韓FTAの後押しにもなるので、米国にとって悪い交渉ではない。

これで日米韓が結束すれば、軍事的もいいし、なにより、アメリカが中国を訪問する時に、中国を貿易問題で締め上げることができる。そうなれば、北朝鮮へ対する中国の圧力も引き出しやすくなるだろう。


この表は、今年9月までのアメリカの貿易赤字において各国が占める割合であるが、圧倒的に中国の問題であることがわかる。日本に対する貿易赤字は、中国、EU、メキシコの次いで4位でしかない。

日米韓FTAは、長期的に見ても、中国の覇権に対抗できるし、さらに、将来的にオーストラリアやさらにはインドまで視野に広げて考えることもできる。

さてその中国だが、習政権が2期目に突入した。どのように習政権と対峙すべきかは、アジア諸国の重要課題だ。先日の中国共産党大会で、党の最高規則「党規約」の改正や最高指導部メンバーなど重要事項を決めた。「習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想」を行動指針として明記することになった。「習近平思想」という簡潔な文言ではなかったものの、「習近平」という名前が入ったことで、「毛沢東」と並ぶ権威となったとみるべきだろう。

中国は共産党一党独裁であり、共産党規約は憲法の上位になっている「最高規範」である。そこに、個人思想をいれるとは驚くばかりだ。そのうち、中国へ進出している外国企業の定款に習思想を取りいれろという指導が出てきてもおかしくない。今の日本の憲法議論で、既在の自衛隊の法的位置づけを憲法に盛り込むというのとまったく次元の違う話であることがわかるだろう。

しかも、習近平氏の次の指導者は、今回の高指導部メンバーではみえなかった。つまり、習近平氏の独裁による共産党独裁が当面続くのだ。

こうしたことをやる独裁的国家に対して、日本を含めアジア諸国はどのように対峙すべきか。政治的な独裁は、自由で分権を基調とする資本主義経済とは長期的には相容れないのは、ノーベル経済学賞学者であるフリードマンが50年以上も前に喝破している。

ところが、ここ10年スパンで見れば、中国は経済成長している。もっとも筆者は、脱工業化に達する前に中国は消費経済に移行してしまったため、一人あたりの所得が低いうちには高い成長率になるものの、先進国の壁を越えられない、よく見られる開発経済の典型例に陥るだろうとにらんでいる。それが正しければ、次の10年スパンで成長が行き詰まる可能性が高い。

実は中国もこの点を認識しているようであり、中国国外に活路を見いだしている。それが、AIIB(アジアインフラ投資銀行)を梃子とする「一帯一路」構想だ。これは、中国指導による経済圏を中国国外に広めようとするものだ。この経済圏は、先進国の自由貿易圏とは違ったルールに基づくもので、日本を含む自由主義国にとっては国益にならない。

そこで、これに対抗するためには、AIIBとは別機軸の自由貿易圏が必要になってくる。自由貿易圏と中国指導貿易圏では、自由主義と規制主義でどちらかが経済パフォーマンスがいいのか。自由主義には欠陥はあるが、それを補正すれば長期的には優れている。ちょうど、資本主義体制と社会主義体制の間の体制間競争では、欠陥はあるが長期的な経済パフォーマンスは資本主義が優れていたのと同じである。

その自由貿易圏の核となるために、日米韓FTAが大きな貢献をする。このトランプ大統領訪日のタイミングで、こうしたことが話し合われたかどうかは、実に興味深いテーマだ。

【私の論評】日本は北に先制攻撃を行う権利を有する(゚д゚)!

4月のトランプ、習近平会談
トランプ大統領が習近平国家主席と4月に首脳会談を行ったことは記憶にまだ新しいです。当時は日本国内でも、「北朝鮮はすぐに核実験をするはずだ」と考えられていました。
この会談の席で、トランプ大統領は習近平に対して「もし北朝鮮が核実験をして、それでも中国が普段通りにビジネスを行うのであれば、アメリカは中国からの輸入に規制をかける」と述べていました。

このトランプの要求を受け入れた習近平は、すぐに北朝鮮に連絡をとって核実験の停止を求めており、それに従わなかった場合には中国からの北朝鮮への輸出を制限すると脅しています。

このメッセージは聞き入れられて、北朝鮮は核実験を止め、平壌の中で噂が広がって人々はガソリンスタンドに群がりました。

しかも中国政府は、北朝鮮からの輸入も止めています。ただし海産物の輸入は続いていたようで、中国国内の北朝鮮政府経営のレストランは相変わらず営業していたとされています。石炭に関しては中国が輸入をやめたので、価格が低下し、北朝鮮の人々が安く手に入れられるようになり、喜んでいることは以前このブログに掲載しました。

ただしこれがミサイル発射実験への対抗措置であったのかは不明です。

ところが北朝鮮の核実験が停止、つまり北からの声明はなかったのですが、目に見える行動がなくなった次に起こったのは、米・中・日が逆に弾道ミサイルの実験の方に関心を寄せはじめた、ということです。

7月28日の北朝鮮のミサイル発射実験に対して、国連安全保障理事会は全会一致で決議案2371号を可決しましたが、これははじめて核実験を行った2006年から6度目の制裁決議であり、その中でも最も厳しいものでした。

弾道ミサイル「火星12」の発射訓練を視察する金正恩朝鮮労働党委員長
それは北朝鮮から石炭、鉄鉱石、銅、そして海産物という、彼らが物的に輸出できる商品のすべて(衣類を除く)を禁止するものであり、労働者のさらなる受け入れも禁止(といっても現在の雇用は今後も継続)するものでした。

しかもこの時の安全保障理事会のメンバーは、5カ国の常任理事国だけでなく、「過激」なボリビア、北と伝統的に友好国であるエジプト、そして長期的に外交関係を持っているスウェーデンなどが含まれていました。

11日、ニューヨークで開かれた国連安全保障理事会で、北朝鮮制裁決議案を採択
そういう意味で、この国連の安保理決議はアメリカにとって外交的な大勝利であり、アメリカが長年中国から得ようとしていた「大きな譲歩」でした。

それほど重要ではないミサイル発射実験に対応したおかげで、中国は北朝鮮の核実験を止めるための外交的なレバレッジを使い切ってしまいました。そしてまずいことに、北はすでに核実験を再開しています。

外交カードがなくなれば、残りの手段は軍事行動しかなくなります。

ところがそれよりも最悪のシナリオは、北朝鮮を核保有国として認め、金正恩が思いついた時に、いつでも韓国と日本を脅せるようになることを受け入れることです。

さらに、北朝鮮はイランに対して行ったように、核兵器や弾道ミサイルの部品などをいつでも海外の国々に売却できるようになります。

これはいわゆる「降伏」の一つの形態です。われわれは核武装して周辺国を脅すことのできる北朝鮮を受け入れて、その脅威の下で生き延びるしかなくなります。

文在寅韓国大統領とトランプ米大統領
ところが、アメリカの統合参謀本部も、在韓米軍も、太平洋軍司令部も、軍事的なオプションを何も提示しておらず、目の前の問題とは関係のない「韓国を守る」ことしか宣言していません。

もちろんこれは、ソウル周辺が北朝鮮の(非核)ロケットや砲撃に弱いからです。この事実は韓国を麻痺させているわけなのですが、同時に米軍の指揮系統にもそれ以上の非合理的な問題をおこしています。

これに関して、以下のような三つの事実を列挙しておきます。
1.韓国政府は、1975年から78年の危機の後も、政府機能や企業のソウル以外への分散化について何も行動を起こしていない。 
2.韓国政府は、攻撃にさらされる危険が高い地域があるにもかかわらず、そこに対する防御策を講じていない。 
3.韓国政府は、技術的にも可能であった対空兵器等の購入を拒否している。
ここで指摘しておくべきなのは、北朝鮮の核施設を、イラクとシリアの施設に対して行われたように攻撃するというのであれば、そのチャンスははるか以前に過ぎさってしまっているという点です。

ただし北朝鮮は、今日においても空からの攻撃に対抗できるような、統合された防空網を持っていません。レーダーは40年以上前のものであり、それをつぶすのは簡単です。

また、北朝鮮は即時発射式の核弾頭搭載型ミサイルを持っているわけではありません。しかも核弾頭を飛行機で運搬できるわけでもないのです。

当然ながら、既知の、もしくはその疑いのある核施設に対する空からの攻撃は、拡大的な被害や核物質による汚染を引き起こすはずです。

それに対抗して、やはり北朝鮮は韓国の脆弱な地域に対して多くのロケットを発射するでしょう。

ところが「軍事行動を起こさない」ということは「何も行動しない」ということを意味します。外交的な手段は尽きてしまっているからです。


そのような中で、トランプ大統領の北朝鮮に対する政策には大きな問題があります。なぜなら、その軍事アドバイザーたちは、ほとんどがアラブやアフガニスタンのように、ろくに反撃できない相手と戦っていた経験を持つ人々だからです。

ところが北朝鮮は対抗手段をもっています。そうなると戦略のパラドックス、つまり攻撃をしかける側とそれに対抗する側との作用と反作用が起こるため、戦略の計算が非常に困難になってしまうのです。

トランプ政権の軍事アドバイザーたちは、果たしてこのようなダイナミックな関係性を考慮した上で、軍事的なオプションを本気で考えられるのでしょうか。

マティス米国防長官は9月18日、核・ミサイル開発で挑発を続ける北朝鮮への対応について、「多くの軍事的選択肢がある」と語りました。「選択肢」には、北朝鮮による報復攻撃で韓国の首都ソウルが危険にさらされない方法も含まれていることを強調しました。しかし、これは本当なのでしょうか。実際にそれは可能なのでしょうか。

もちろん彼らの考える軍事オプションはいくつも存在しますが、それらには一つの条件があります。

それは、韓国が何十年間にもわたる自分たちの無責任な態度に大きな代償を支払うことを、本当に受け入れられるかどうかです。

ところが現在の彼らのオプションは、ただ単に「金正恩に得をさせる」というものなのです。北朝鮮をめぐる情勢は、今後もしばらくは予断を許さないままでしょう。

無論、米国は近日中に軍事的行動を起こす可能性は高いですが、かといってどれほどの覚悟で実行するかは別問題です。軍事的行動を起こすとはいっても、様々なオプションがあります。たとえ、米国が軍事攻撃をしたとして、金正恩が失脚したり、亡命したとしても、北朝鮮の体制は温存される可能性もあります。

韓国ははなからあてになりませんが、米国が覚悟を決めて、北朝鮮に米軍や多国籍軍を進駐させ、50年以上にわたり、この地を監視して民主的な体制を築く覚悟がなければ、この地域は次の戦争の弾薬庫となる可能性もあります。いずれ核実験や、ミサイル発射実験をはじめるかもしれません。

護衛艦「いずも」は空母に改装できる
この予断を許さない中で、日本は何をすべきなのでしょうか。

日本に必要なのは核抑止力ではなく、役に立つ防衛力です。先制攻撃能力を持つことで抑止力が強まります。

たとえ1,000発の核兵器を持っていても実際にはなかなか使えないので、ナイフよりも無意味です。ナイフは簡単に使用できますが、核は強力すぎて使うに使えない兵器です。ただし、使えなくても保有することには一定の意味があることも確かではありますが、一足飛びに核に走るそれ以前にまずは先制攻撃能力が必要です。両方を持てば、完璧です。

北がすっかり欠いているものは、上にも述べたように防空体制です。北朝鮮のレーダーは40年以上前のものであり、それをつぶすのはいたって簡単です。なぜそうなっているかといえば、技術的な理由で、防空には莫大なカネがかかるからです。

自国民が脅威に晒されているとき、その直接の危険を除去するために先制攻撃を行う権利はあらゆる国家が持っています。日本政府がそうした意思を持つことは大きな意味があります。

そうして、日本はそれができます。日本政府は、すでに保有している航空機をそのまま使って、追加の兵装を購入するだけでそれが可能になります。核兵器を持ち、それを保守するためのような大きな予算は必要ありません。また、護衛艦「いずも」などを攻撃型空母に改装することも比較的簡単できます。

イスラエルの人々は、イラクの核開発の脅威に直面したとき、それを破壊しました。

日本ができるだけ早く行動しなければ、米国がたとえ北朝鮮に軍事攻撃を加えて、北朝鮮が一定の譲歩をしたとしても、核実験を継続し、膠着状態が続けば間違いなく2年後には核の脅しに屈する危機に直面すると断言できます。その前に、日本は先制攻撃能力を持つべきです。

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2017年11月5日日曜日

AIでできる銀行の融資業務、仕事は奪われるが人口減の日本にはチャンス―【私の論評】今後5年以内に政界、銀行、マスコミ再編成の嵐が吹き荒れる(゚д゚)!

AIでできる銀行の融資業務、仕事は奪われるが人口減の日本にはチャンス



説明を追加


 筆者は銀行の人員減というニュースを聞いても驚かない。というか、よくこれまでやってこられたと驚く。

 実は、筆者は旧大蔵省キャリア官僚としては珍しい経歴を持っている。金融検査官だ。検査官になるのは旧大蔵省キャリアの同期でも1人か2人しかいない。たまたま1990年代前半は銀行の不良債権問題が大変な時期だったので、あまり前例のなかった金融検査官を拝命し、同時に不良債権処理プログラムを企画立案した。

 そのためには実際に銀行の金融検査をしなければいけない。そこで、金融検査の現場をみっちり経験し、1日で100件以上の資産査定を行った。

 資産査定とは、銀行の支店の貸出をチェックするもので、ここで金融検査官に不良債権と指定されるかどうかは、銀行にとって死活問題になる。

 支店長や銀行幹部も必死になって不良債権を否定するが、筆者は財務諸表の数字と確率論で対抗した。

 多くの資産査定をやっているうちに、貸出先企業のバランスシートのどこに着目すれば、貸付金の健全度が示されるか、分かるようになった。要するに貸出先企業の財務状況の分析について、数量的に把握できたのだ。

 筆者のこの論法は新鮮だったようで、多くの銀行の人は面食らっていた。いくら情で訴えられても、データで不良債権、しかも、あと2年以内にどの程度のロスが出るかも予測できた。

 このときの経験から、融資業務をかなりの程度自動化、今の言葉でいえばAIにやらせることは可能だと思った。

 企業融資業務は、銀行の中では高度な業務だ。それすらAIでできるとなると、住宅ローンなどの定型融資も当然可能だ。預金や金融商品の販売はもっと容易にAIで代替できる。そうなると、人の塊であった銀行の支店には、ほとんど人が不要になると思ったのだ。

 銀行の本部でも、資産運用などは、下手に人間がやるよりは、ある条件になったら自動的に売買して、損益が一定以上になったらやめるというシステムの方がましだろう。

 筆者は、中央銀行の金融政策ですらAIで可能と思っているほどの論者である。

 よく銀行は、資産運用だけではなく、相続の相談にも乗るというが、税法なら、今や無料で正確なソフトもある。要するに、ほとんどの銀行業務は人がやる必要のないものだということもできる。

 銀行以外でも、単純・定型的な業務はどんどんAIに代わるだろう。ただし、日本は人口減少なのだからこれをチャンスとすべきだ。AIにはできない、人らしい仕事を少ない人でやっていけばいいと楽観的に考えよう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】今後5年以内に銀行、政界、マスコミ再編成の嵐が吹き荒れる(゚д゚)!

私は、「日本は人口減少なのだからこれをチャンスとすべきであり、AIにはできない、人らしい仕事を少ない人でやっていけば良い」という高橋洋一氏の意見には大賛成です。

ただし、AIに実施させる仕事も、少数ながらそれを実施できる人は温存して、実行できるようにすべきであるとは思っています。なぜなら、仕事の改善自体は人しかできないからです。全くAIに任せきりということは、考えられないからです。

それにマネジメントの主体は無論人間です。また、真のイノベーションとは、組織の内部ではなく、組織の外の社会(人間によって構成され)を変えるものだからです。

いくらAIにより、銀行の業務などを実行するようになったからとはいえ、そのことにより組織の外の社会が変わる、具体的には、たとえば、融資を受けるべき企業が融資を受けられるようになり、実際にそれらの企業が融資したことにより、成長し繁栄するようにならなければなりません。

だから、AIが融資業務を実施するにしても、やはり人が関わらなければまともな融資はできないでしょう。ただし、AIが融資の業務に関わることにより、より客観的で、正確な判断ができるということでは良いことであるのは間違いありません。

AIと人との共存は可能か?
ところで、2001年大蔵省がなくなるまでは、日本の銀行は金利から店舗数、預金高に至るまで大蔵省にコントロールされ、箸の上げ下ろし一つ自由にできませんでした。しかし、その代わりに互いに競争する必要もありませんでした。

その結果、新しいビジネスを創り出す必要に迫られなかった日本の銀行は、「土地専門の質屋」と呼ばれるような土地を担保に金を貸すだけのビジネスしかできなくなってしまいました。

不良債権の問題を解決する決断もできなかった日本の金融機関は、外国の金融機関のような差別化のための経営戦略もなく、優秀な人材を育てることもシステムに投資することもせず、結果的に、競争の激しいアメリカの金融業の労働生産性を大きく下回ることになりました。

こうした背景から、1999年に第一勧業銀行・富士銀行・日本興業銀行が事業統合で合意したのが引き金となり、2000年代初頭にかけて大手都市銀行どうしのグループ化、共同金融持株会社の設立が相次ぐこととなりました。

しかしその後日本経済は深刻なデフレに見舞われ、銀行はその対応に精一杯であり、日本の銀行に内在する諸問題はあまり解決されてきませんでした。

しかし、「三重銀行」と「第三銀行」の経営統合などにみられるように、最近銀行の再統合がまた、進む気配があります。最大の変化は、銀行の収益環境が厳しくなっていることです。銀行ビジネスの基本は、「預金を集めて、お金を必要としている企業や個人に貸し出す」ことです。


銀行は預金者に都合のよい、元本保証の預金商品を提供すると同時に、借り手の要望に応じて、預金商品よりも長い期間の資金も提供しています。

銀行の主な収益源は、預金金利と貸出金利の差(利ざや)です。通常の金利体系は、「期間が長いほど金利が高い」ので、銀行は、短期間の低い金利で預金を調達する一方で、期間の長い高い金利で貸出し、「長短金利差」によって利ざやを確保し、安定的な収益をあげてきました。

ところが長年続いた金融引締めの状況が銀行にとって当たり前になってしまった結果、現在の金融緩和で、長期の全ての期間で、金利が相対的にきわめて低くなり、金融引締めが続いた時代よりも利ざやの確保が困難になっているのです。

といより、従来からある銀行の遅れた体制が温存されている部分があり、現在のままでは体制を維持できなくなっているのです。おそらく、今後5年以内に銀行の再統合が進み、銀行の数は現在の1/5くらいになるものと考えられます。

銀行の歴史は「経営統合の歴史」といわれます。明治以降の銀行の歴史をみると、銀行どうしの経営統合は決して珍しい動きではありません。現在営業している銀行も、多くの銀行どうしが経営統合を繰り返しています。今後展開が予想される地方銀行の再編も、いわば「歴史の必然」ともいえるでしょう。

このような状況の中で、銀行の統合が進むだけではなく、AIに様々な業務を実行させるということが急速に進められていくものと考えられます。これが現在良く言われてる、AIも含めたIT技術を使った新たな金融サービス「FinTech(フィンテック)」というものです。


おそらく、今後5年以内に、現状の1/5に統合された銀行が、少ない人で、AIを用いて効率的な業務を実行していく体制が築かれることになります。

今後、銀行業界のリストラが加速します。銀行業界でも早期退職などの嵐が吹き荒れることになるでしょう。そうして、その後は人口減の時代が来ても、現状のような銀行サービスが十分維持できるどころか、それ以上のことができる体制に変わることでしょう。まさに、これから銀行業界は大変革期を迎えるのです。

大変革期を迎えるのは、銀行業界だけではありません。このブログでは、政界、マスコミ再編成がおこることも示唆しました。

今後5年以内に本格的な、政界再編成、銀行再編成、マスコミ再編成の嵐が吹き荒れることになります。銀行に限らず、弱い組織、異常な組織、非効率な組織はいずれ淘汰されるしかないのです。

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2017年11月4日土曜日

モリ・カケの“偏向報道”追及した小川榮太郎氏直撃 「虚報が政権揺るがす事態」が執筆のきっかけ―【私の論評】「もりかけ」で野党・マスコミ再編・崩壊が進む(゚д゚)!


小川榮太郎氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 「森友・加計学園」問題の、マスコミ報道に切り込んだ著書が話題となっている。発売10日で5万部以上を売り上げた文芸評論家、小川榮太郞氏のベストセラー『徹底検証「森友・加計事件」 朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』(飛鳥新社)だ。衆院選が終わり、野党各党は特別国会でも「モリカケ」追及を継続する方針という。小川氏を直撃した。

「『情報謀略』という完全な犯罪だ。朝日新聞などが追っているストーリーと現実のギャップがありすぎる」

小川氏はこう切り出した。

注目の同書は5章構成。前半3章は森友問題について、地元の左派系市議の存在や、執拗(しつよう)な安倍首相夫人たたき、土地売却(値引き)の経緯などに迫る。後半2章は加計問題について、既得権を死守する獣医師会や、前川喜平前文科事務次官の不可解さなどを詳述している。

「加計問題になって内閣支持率が急落したことで、虚報が政権を揺るがす事態になった」と感じたことが執筆のきっかけという。

文芸評論家として「原典をよく読むこと」を重視しており、朝日新聞などの記事や資料を800点ほど集め、「素人目線」で読み込んでも分かる“問題点”や“ウソ”などを指摘している。

例えば、森友学園の小学校用地について、《沼地を埋め立てた場所》《バラック住宅が建つ》《大阪空港の至近だった為、騒音問題が生じた》《住宅がなくなった為、家庭ごみの廃棄場所となり、産業廃棄物の不法投棄場所になった》などと記す。同規模の隣接地は、豊中市に公園用地として売却されており、さまざま補助金が付き《市の実質負担金は二千万円。籠池の実質負担額より低い》と喝破する。

加計問題でも一部マスコミが大騒ぎした「総理のご意向」を、《文科省が(既得権を死守しようとする)獣医師会と族議員から、規制を崩された責任を糾弾された時に、『総理からの指示』で仕方なく呑んだという話》と指摘している。

小川氏は「権力批判=マスコミの役割」との見方にも、「それが通用したのは昭和年間のことだ」といい、続けた。

「マスコミによる権力批判に正当性があったのは、中選挙区制で派閥が存在し、政権が『自民党』と『財界』『地方経済』という利権ネットワークを基盤とし、パワーを持っていたからだ。(小選挙区制となり)世論を基盤とする時代には、政権には以前ほどのパワーは存在していない。『権力対マスコミ』というときの『権力』は政治側に残っていない」

そのうえで、「森友・加計」問題を総括した。

「マスコミが世論をウソで誘導しようとするのは『デモクラシーの破壊活動』だ。情報謀略に対し、政府の組織防衛は必要なのではないか」(海野慎介)

【私の論評】「もりかけ」で野党・マスコミ再編・崩壊が進む(゚д゚)!

「森友・加計問題」に関しての私の結論は以下のようなものです。まず、森友問題に関しては、国会で議論する筋のものではなく、最初から司法の手に委ねるべき問題であったということです。

次に、加計問題に関しては、ラーメン屋に行列ができていたのですが、一番最初に並んだ人がラーメンを最初に食べたというだけのことです。しかし、マスコミや野党は、たまたまそのラーメンを最初に食べた人が、たまたま店長の友人であったため、最初にラーメンを食べれたのではないかと騒いでいるだけのことです。

これには、多くの国民も気づいているのではないでしょうか。だからこそ、今回の衆院選で自民党は大勝したのです。

加計問題に関しては、以下の動画をご覧いただけるとこれは、そもそも疑惑でも何でもないことが理解できます。特に加戸氏の証言はそうです。


文部科学省の大学設置・学校法人審議会の専門委員会は2日、政府の国家戦略特区制度を活用し、愛媛県今治市に獣医学部を新設するという学校法人「加計学園」(岡山市)の計画に改善が見られると評価する意見をまとめました。

今後、設置審として新設の可否を最終判断しますが、専門委の意見が覆される可能性は低く、来年4月の新設は認可される見通しです。設置審は10日にも林芳正文科相に答申するとみられます。獣医学部の新設は1966年の北里大以来、52年ぶりとなります。

獣医学の専門家の観点から「お墨付き」が与えられた形ですが、野党は選考過程が「加計ありき」だったのではないかとの疑念は払拭できておらず、特別国会で安倍晋三首相の説明責任を厳しく追及する構えです。

野党はまだ、この問題に拘泥しているようです。私は、これからも野党がこの問題に拘泥し続ける限り、さらに野党再編・崩壊が進むとみています。

これについては、以前このブログにも掲載した民進党崩壊の要因が参考になります。その記事のリンクを以下に掲載します。
リベラル勢力たちの自業自得 「反安倍なら何でもあり」では国民から見捨てられるだけ―【私の論評】マネジメントの原則から見る民進党消滅の要因(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧たただくものとして、この記事より、私が民進党崩壊の要因としたものを以下に列挙します。 
第1は、自分たちの使命は「政権や権力と戦うこと」と定義してしまうと、本来の使命を考えなくなってしまうことです。 
第2に、「アベ政治を許さない」では、まともな意思決定ができないということがあります。 
第3に、民進党は、「アベ政治を許さない」という信念に凝り固まって、妥協の仕方が下手だということもあります。
この3つが知らず知らずのうちに、民進党を弱体化し、とうとう消滅の憂き目に会いました。この3つが実は、マスコミに携わるものの、頭を悪くしていると考えられます。

多くのマスコミは、とくにかく「政権や権力と戦うこと」平たくいうと「安倍政権打倒」が使命になっています。これでは、あまりに単純すぎてまともに物事を考えなくなります。

政治家なら選挙に落ちれば、ただの人ということになりますから、どのような議員でもある程度緊張感があります。しかし、大手テレビや大手新聞など、既得権益に守られてかなり楽な仕事で、給料も高いですが、ほとんど緊張感を欠いてまともに報道の使命など考えなくなります。これで、まずは頭が相当悪くなります。

まともな意思決定ができない状況というのは、決定においては誰が正しいかを考えてばかりいて、何が正しいかを考えないとか、いずれは妥協が必要になるからこそ、最初から誰が正しいか、何が受け入れられやすいかという観点からスタートしてしまうような状況です。

まさに、マスコミは「安部政権打倒」という観点から、スタートするので、「何が正しい」などとは最初から考えず、「安倍政権が間違いで、我々が正しい」という観点からスタートするので、まともな意思决定などできません。まともな意思決定ができない状態というのは、かなり頭の悪い状態です。この状態を長い間続けていると、本当に知能が低下することになると思います。

「安倍やめろ!」はスローガンとしても最悪の部類
最後に、妥協の仕方が下手というのは、ソロモン王の裁きの逸話にもあるように、「半分のパン」は食用になるが、「半分の赤ん坊」はいないより悪いということが理解できていないということです。

実際野党の多くは、何が国民から受け入れやすいかという観点から、護憲という立場を崩さないことを前提に物事を考え、最初から落とし所を考えるため、北朝鮮の危機にまともに対応できるような意思決定ができません。北朝鮮どころか、国際情勢からかけ離れた意思決定しかできません。そうして、政治の世界では妥協がつきものですが、「半分のパン」を得る正しい妥協ができません。

しかし、マスコミは、先にも述べたように、既得権益に守られているため、このように正しい妥協をして「半分のパン」を得る努力もあまりしなくてもすみます。

普通の人なら誰もがなるべく正しい妥協をして、「半分のパン」を得る努力を日々しています。たとえば、日々会社やの自分の担当する部署を運営をするにしても、多くの人が、モノ・カネ・人・情報などのすべて潤沢に揃えらることは少なく、その範囲の中でもなるべく良い結果がでるように智慧を絞り努力しています。

しかし、マスコミはそうではありません。上記で述べたようにかなりいい加減な仕事をしていても、既得権益があるので、何とでもなります。そういう中では、創意工夫も生まれず、日々知能が低下していくのは当然のことです。

そうして、彼らは社会人としての知能が低下しているので、自分たちが「アベ憎し」で野党などを応援しているつもりなのでしょうが、かえって弱体化を助長しているという意識がないようです。

これからも、「もりかけ」を追求し続けるというのなら、この構図は変わらず、ますます野党を弱体化していくことでしょう。マスコミも姿勢を変えない限り弱体化することでしょう。

朝日新聞をはじめとする反日メディアが、「安倍政権は信任されたわけではない」としきりに負け惜しみを言っています。

それは「当社の世論調査の結果と違っている」とか「小選挙区制による虚構の多数である」とか、ほとんど理由にもならない理由によっています。

これまで反日野党と反日メディアがスクラムを組んで、あれだけ「もりかけ」問題で安倍政権の評判を落としてきたのに、選挙ではまた安倍自民が圧勝してしまいました。悔しくて仕方がないのでしょう。

こうした反日メディアの論調に、いい加減にワイドショー民も不信感を持つべきです。ワイドショー民がメディアをまったく信用しなくなれば、彼らは存在意義を無くします。


そこから、メディアの再編が起こります。私自身は、テレビはあまり見ないので、実態はよく判らないですが、ネットにアップされたマスコミのニュースを見る限り、反日新聞や反日テレビのコメンテーターが言っていることはもはや無茶苦茶です。

あれをボーッと見て信じているようではどうしようもないです。幸か不幸か、世界は日本より遙かに速いスピードで動いています。

その世界で起こるさまざまな事象に、日本は対応していくしかありません。それを任せられるのは安倍政権以外にないと断じたのが、今回の選挙結果だったのではないでしょうか。

ただし、新設獣医学部へのワインセラーの設置でさえ半月ぐらい話題になったご時世ですから、「疑惑を喰う人たち」=ワイドショー民(ネットにもごまんといる)をなめてはいられません。

しかし、日本でも偽ニュースを検証する、ファクトチェックの動きがようやく出てきました。国内初の本格的な検証団体「ファクトチェック・イニシアティブ」が立ち上がり、ネットメディアだけでなく、既存メディアもそれぞれの報道内容や政治家の発言などを検証し始めました。これは健全なことですし、メディア同士のチェックもこれからますます進んでいくことでしょう。

もはやメディアは「第4の権力」などといってあぐらをかいている場合ではありません。ネット上で誰でもニュースを検証でき、その結果をSNSで拡散することが容易になりました。今後ファクトチェックはますます進むでしょう。

そうして、この動きはワイドショー民とは関係なしに進むことになります。そもそも、ファクトチェックが不十分なまま報道するテレビ局や、新聞などにはスポンサーがつきにくくなります。

トヨタが、正月広告を止めました。ユーチューブ内ではVitzの広告が、大量に流されていました。ネットのアフリエイトもトヨタが多いです。テレビ広告は捨てられつつあります。


今年の年初には、綾小路きみまろのCDの発売CMがテレビで流れました。テレビコンテンツは明らかに対象を老人に切り替えたようです。老人しか地上波のユーザーはいなくなりつつあります。

このようなことから、マスコミ再編はこれから5年後くらいに起こるではないかと思います。ファクトチエックが曖昧なマスコミは消え去るか、吸収合併されるしかなくなります。

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2017年11月3日金曜日

「日本を信頼」91% 前回から18ポイント増加 外務省のASEAN世論調査―【私の論評】今日の評価は安倍総理の外交努力の賜物(゚д゚)!


ASEAN諸国
外務省は3日までに、東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国で行った対日世論調査の結果を発表した。日本を「とても信頼できる」「どちらかというと信頼できる」と回答した人は91%に達し、平成27年12月に実施した前回調査の73%から18ポイント増加した。

 対日関係について聞いたところ「友好関係にある」との答えが89%で前回を14ポイント上回った。平和国家としての日本の歩みを「評価する」との回答も88%で6ポイント増えた。

 20カ国・地域(G20)の中で過去50年間にASEANの発展に最も貢献した国・地域(複数回答可)の質問では、日本が55%でトップ。中国(40%)、米国(32%)、韓国(24%)、オーストラリア(23%)が続いた。

 調査は今年3月、ASEAN10カ国の18~59歳の男女を対象に、面接とインターネットを通じて実施。約3千人から回答を得た。

【私の論評】今日の評価は安倍総理の外交努力の賜物(゚д゚)!

冒頭の記事にある、外務省の調査結果は以下のリンクからご覧になることができます。



このが調査結果を外務省が簡潔にまとめた内容を以下に掲載します。
1 対日関係については,ASEAN全体で,89%(前回調査75%)が「とても友好関係にある」又は「どちらかというと友好関係にある」と回答しており,日本との関係に関し肯定的なイメージが広範に定着していることが示されました。 
2 対日信頼度は,ASEAN全体で,91%(前回調査73%)が「とても信頼できる」又は「どちらかというと信頼できる」と回答しており,日本に対する評価が高いことが確認できました。 
3 戦後70年の日本の平和国家としての歩みについてどう思うかとの質問については,ASEAN全体で88%(前回調査82%)が評価すると回答しました。 
4 日本の対ASEAN支援について,日本政府の開発協力(ODAによる経済・技術協力等)が,対象者の住む国の開発に役立っているかという質問に,87%(前回調査84%)が「とても役立っている」又は「どちらかというと役立っている」と回答し,日本のASEAN諸国に対する貢献が評価されていることが確認できました。 
5 日本の青少年交流(JENESYS等)を含む人的交流における取組についても,90%(前回調査84%)が評価すると回答しました。 
6 また,G20諸国の中で,この50年間最もASEANの発展に貢献してきた国(地域)を選ぶ質問(複数回答)では,55%の回答者が日本を選択し,日本の貢献がASEAN諸国から最も高い評価を得ていることが確認できました(今回調査のみ実施)。
 ASEAN 諸国がこのように今日日本に友好的であるのは、安倍総理の度重なるこの地域への訪問とその後の外交努力による成果であると考えられます。

安倍首相は、平成13年からASEAN 諸国を何度も訪問しています。日本のマスコミはほとんど報道せず、野党の議員らは評価しませんが、最初の訪問で安倍総理は日本外交の原則をを発表し、その後その原則にのっとり我が国とASEAN諸国との外交をすすめています。

2013年1月16~18日、安倍晋三首相は、首相就任ごの最初の外遊先として、ベトナム、タイ、インドネシアを歴訪しました。

2013年ベトナムを訪問しサン国家主席と握手する安倍総理
ベトナムではグエン・タン・ズン首相と会談、原発建設計画や高速道路などのインフラ整備、レアアース開発などの貿易投資で協力を進展させることを合意するとともに、尖閣諸島問題、南シナ海の領有権問題で圧力を強める中国を念頭に「全ての地域の紛争と問題を、国際法の基礎に基づき平和的交渉を通じて解決すべきだ」という点で一致しました。

そして南シナ海問題では「力による現状の変更に反対する」との認識を共有するとともに、政治・安全保障分野でも協力を進めることを確認しました。安倍首相はまた、「日中関係は日本にとって最も重要な2国間関係のひとつだ。引き続き冷静に対応し、中国との意思疎通を維持・強化して、関係をしっかりマネジメントしていく」と述べました。

安倍首相は翌17日にはタイのインラック・チナワット首相と会談しました。インラック首相は共同記者会見で、安倍首相がタイの治水事業、高速鉄道計画、ミャンマーのダウェイ経済特区開発といったインフラ事業への日本企業の参入に関心を示したと述べ、ダウェイについて、タイ、ミャンマー、日本の3カ国で近いうちにハイレベルの協議を行うべきだとしました。

安倍首相はさらに18日にはインドネシアでスシロ・バンバン・ユドヨノ大統領と会談を行いました。安倍首相は共同記者会見で、東南アジア諸国連合(ASEAN)との関係を日本外交の「最も重要な基軸」と確認するとともに、「日本外交の新たな5原則」について述べました。

これは日本のASEAN外交、さらには東アジア外交の原則として非常に重要ですので、以下、少し長くなりますが、当初予定されていた安倍首相による演説の原稿から引用させていただきます。(残念ながらこの演説は、アルジェリア人質事件により、安倍首相が急きょ日本に帰国したため、実現しませんでした。)
日本外交の新たな5原則
第1に、2つの海(編注=太平洋とインド洋)が結び合うこの地において、思想、表現、言論の自由――人類が獲得した普遍的価値は、十全に幸(さき)わわねばなりません。 
第2に、わたくしたちにとって最も大切なコモンズである海は、力によってでなく、法と、ルールの支配するところでなくてはなりません。 
わたくしは、いま、これらを進めるうえで、アジアと太平洋に重心を移しつつある米国を、大いに歓迎したいと思います。 
第3に、日本外交は、自由でオープンな、互いに結び合った経済を求めなければなりません。交易と投資、ひとや、ものの流れにおいて、わたくしたちの経済はよりよくつながり合うことによって、ネットワークの力を獲得していく必要があります。 
メコンにおける南部経済回廊の建設など、アジアにおける連結性を高めんとして日本が続けてきた努力と貢献は、いまや、そのみのりを得る時期を迎えています。 
(中略) 
第4に、わたくしは、日本とみなさんのあいだに、文化のつながりがいっそうの充実をみるよう努めてまいります。 
そして第5が、未来をになう世代の交流を促すことです。 
(中略) 
いまから36年前、当時の福田赳夫総理は、ASEANに3つの約束をしました。日本は軍事大国にならない。ASEANと、『心と心の触れ合う』関係をつくる。そして日本とASEANは、対等なパートナーになるという、3つの原則です。 
ご列席のみなさんは、わたくしの国が、この『福田ドクトリン』を忠実に信奉し、今日まできたことを誰よりもよくご存知です。 
いまや、日本とASEANは、文字通り対等なパートナーとして、手を携えあって世界へ向かい、ともに善をなすときに至りました。 
大きな海で世界中とつながる日本とASEANは、わたくしたちの世界が、自由で、オープンで、力でなく、法の統(す)べるところとなるよう、ともに働かなくてはならないと信じます。
この演説の原稿は、無論ASEAN諸国の各々の政府はもとより、 各々の国々のマスコミにも公開されました。

念のために確認しておきますと、安倍首相の東南アジア歴訪に先立ち、1月3日には麻生太郎副総理がミャンマーを訪問し、テイン・セイン大統領と会談して、ミャンマーの対日債務5000億円の一部を放棄する意向をあらためて示すとともに、ティラワ経済特区開発支援の意思を確認した。

また、1月9~14日には、岸田文雄外相がフィリピン、シンガポール、ブルネイ、オーストラリアを訪問しました。岸田外相は、1月10日付のフィリピン地元紙への寄稿で「ASEANとの関係強化を重視する」と述べるとともに、フィリピンとの連携強化の重要性を強調、海洋安全保障分野において「支援と協力は惜しまない」と表明しました。

2013年フイリピンを訪問しデル・ロサリオ外務大臣と会談した岸田外務大臣
また、ブルネイでは、安倍総理は、同国が2013年のASEAN議長国であることから、「ブルネイが議長国の責任を果たし、成果につながるよう日本も努めたい」と述べました。さらに13日には、オーストラリアでボブ・カー外相と会談し、安全保障分野などにおける関係強化を確認するとともに、日豪経済連携協定(EPA)交渉の早期妥結を目指すことで合意しました。

まとめて言いいますと、安倍政権は、政権発足1カ月以内に、総理、副総理、外相がASEAN加盟10カ国中7カ国(ベトナム、タイ、インドネシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、ブルネイ)とオーストラリアを訪問し、日本が、日米同盟と並んで、ASEAN、オーストラリアとの連携を重視していることを行動で示すとともに、外交の原則を明らかにしたのです。

当時、特に3年余りの民主党政権下、日本外交が漂流していただけに、これは重要であり、ASEAN諸国にも大いに歓迎されたのです。

そうしてこの外交5原則の方針を貫いてきたからこそ、今日世論調査で、ASEAN諸国の調査対象の人々の91%もの人々が、日本を信頼すると回答するに至っているのです。

安倍総理は、インドにも足繁く通い、今年もインドの国民から絶大な支持を受けています。

今年インドで大歓迎を受けた安倍総理
21世紀の東アジア/アジア太平洋の秩序づくりのため、日本はこうした原則にのっとり、日米同盟を基軸としつつ、地域協力のハブとしてASEANを重視し、その統一性を支持するとともに、ASEANの国々、さらにはオーストラリア、インドなどのパートナーの国々と協力していくのです。

そして中国が国際的に責任ある役割を果たすよう、中国に関与していきます。それが、当時安倍総理による東南アジア訪問で示された日本外交の方針なのです。 

先日もこのブログで述べたように、以上の外交努力によって安倍総理は、ASEANやインドと関係が深いため、これらの諸国とトランプ氏と仲介役をしたところ、米国とこれらの国々の関係が飛躍的に良くなったという経緯があるからです。

だからこそ、安倍総理はトランプ大統領から全幅の信頼を得ているのです。

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2017年11月2日木曜日

安倍首相が増税撤回する可能性は十分 その根拠とは―【私の論評】既に総理は財務省に10%増税凍結の宣戦布告をしている(゚д゚)!

安倍首相が増税撤回する可能性は十分 その根拠とは

 日本経済を「デフレ逆戻り」の道から方向転換させ、成長路線に乗せるには、2019年10月に予定されている消費税10%引き上げの「再々々延期」が必要だ。

 国民の多くは、はっきり増税を公約して選挙で国民の信任を受けた安倍晋三・首相が、いまさら増税を撤回するとは想像もしていないだろう。が、経済評論家の上念司氏は、その可能性は十分あると見る。

経済評論家 上念司氏
 「消費増税の怖さを身にしみてわかっている安倍首相は本音では増税はしたくないし、できれば“凍結”してしまいたいと考えている。しかし、それを言い出せなかった。

 法律で決まっている増税を延期や凍結するには法改正が必要です。過去2回の増税延期の時は“安倍一強”の力があったから財務省や党内の増税推進派をねじ伏せることができたが、支持率低下で安倍さんにはかつてほどの力がなくなり、今回の総選挙では増税推進派に配慮して『予定通り消費税を引上げて税収の使途を変える』と言わざるを得なかった」

 それが選挙大勝で状況が変わった。

 「国政選挙5連勝で再び求心力を取り戻した安倍首相は、消費税凍結を言える力を取り戻した。消費税を本当に引き上げれば、景気は急激に悪化し、国民の不満が高まって今度こそ安倍政権は終わりに向かう。

 そのため、2019年夏の参院選で『やはり五輪前に景気の腰を折るわけにはいかない』とやりたかった増税凍結を掲げて戦う可能性があります。ただし、それでは遅い。実施まではまだ2年あるとはいえ、景気を考えればできるだけ早く凍結を宣言すべきです」(同前)

 安倍首相が「増税」を公約して選挙に勝ったことで、逆に本来やりたかった「増税凍結」をする力を得たという見方である。

 ※週刊ポスト2017年11月10日号

【私の論評】既に総理は財務省に10%増税凍結の宣戦布告をした(゚д゚)!

私も、安倍総理はできれば10%増税はしたくないと考えていると思います。ただし、今回の衆院選では、上念司氏がブログ冒頭の記事に述べているように、増税凍結を公約にしなかったのでしょう。

何しろ、昨日のこのブログでも述べたように、「まさに消費増税ありきの財務省の走狗のような政治家が日本の圧倒的大多数です。むしろ財務省的な経済政策観をもたない政治家を数える方が容易なくらいです。アベノミクス(の金融政策中心)的政策観をもつ国会議員は、その数は二桁にも満たないでしょう」というような状況です。

安倍総理としては、2年も先の10%増税に関して、これを争点にすれば、選挙戦に悪影響が出ると判断して、今回は争点にしなかったのです。

そうして、消費税凍結を今回の衆院選の争点としないことを前提とた上で、"消費税を引上げる前提で税収の使途を変える"という発言をしたと考えています。そうして、その意図に関して以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
民進は共産と共闘するのか 増税凍結提言で維新好機、準備不足が響く小池新党―【私の論評】消費増税凍結が争点となりえない裏事情(゚д゚)!
財務省は、資産など無視して、負債の額のみを示して、これを「国の借金」としています。これは、明らかに虚偽です。 
これについては、以下の動画をご覧いただけると、さらにご理解いただけるものと思います。


「税と社会保障の三党合意は財務省によるペテンだった」という驚くべき内容です。実際財務省は、税と社会保障の一体改革として、消費税を社会保障の財源とするということで、三党を騙して、ほとんど危機的とはいえない国の借金の返済のなどの名目で、資産を溜め込んでいるのです。無論溜め込んだ資産は、将来様々な天下り先を構築し、財務省退官後のゴージャスなハッピーライフを送るための準備資金ということでしょう。
このような事実を安倍総理は十分理解していて、借金返済に充てる約4兆円の一部を教育無償化に回すことを検討という形で、財務省の、この溜め込み姿勢を批判しているのです。
そうして、以上のようなことから、安倍総理が今回の選挙では、増税を争点としないということは、どういうことか、今一度考えてみると、以下のようなことがいえると思います。
来年生誕90周年を迎える池田大作氏
まずは、首相の今回の解散決断は、北朝鮮情勢の緊迫化、内閣支持率の好転、上の動画にも掲載されていたように、公明党の来年の池田大作氏生誕90周に対する配慮など様々な要因が重なったための急ごしらえのものであるということがあります。
そのため、政治的な駆け引きが必要な消費増税の凍結や再々々延期などは全く無理です。10%の消費増税は、2019年10月に実施されることはすでに法律で決まってることです。これを凍結ないし再々々延期するには法律を修正するか、新しい法律を国会で通す必要があります。
そのためには、国会で消費税増税に反対する議員が多数派になっていなければなりません。無論、その前に安倍総理は自民党内をまとめる必要があります。
そもそもそのための政治日程など、組まれていませんし、白紙の状態にあると見て間違いないです。ちなみに他の野党・新党に至っては、たとえ言ってみたとしてみても、それを争点にして自党に選挙戦を有利にするまでの準備も何もない状況です。
そうして、上の読売新聞の記事のプライマリーバランス2020年問題に関しては、安倍総理の単なる口約束のようなものであり、いつでも撤回できるものであり、これは安倍総理による消費税の分配という形を借りた財務省批判と見るのが妥当だと思います。一般の人はもとより、政治家ですらも気づかないでしょうが、財務省の高級官僚たちは気づいていると思います。
実際、今回の衆院選では、維新の党のように、増税凍結を公約にした党もありましたが、維新の党の凋落にみるように、増税凍結が争点になったとは到底思えません。

私も、上念氏と同じように、安倍首相が増税撤回する可能性は十分あると見ています。安倍総理は、2年後に向けて着々と増税凍結のために様々な手を打っていくことでしょう。

というより、"借金返済に充てる約4兆円の一部を教育無償化に回すことを検討"という発言そのものが、財務省に対する最初の宣戦布告であり、「増税による税収を国の借金などという得体のしれないものには使わせない、その先には無論増税凍結もある」という意思表示であると見ています。

そうして、この戦いは意外と有利かもしれません。そもそも、民進党が分裂してできた、立憲民主党と、旧民進党が大勢をしめる希望の党も、今回の選挙では10%増税の見送りを公約にしています。先に、述べたように維新の党も増税見送りを公約にしました。

さらに、三党合意の当事者である民進党は事実上崩壊しています。今後、完璧に崩壊すれば、三党合意そのものが、意味をもたなくなる可能性もあります。

これらのことから、意外と消費税増税法案の改廃はスムーズに進む可能性が高いと思います。いずれにせよ、財務省ならびに、選挙対策として増税反対とは言ってみたものの、その実財務省の走狗である多くの政治家は、度肝を抜かれる時がやってくると思います。

私は、既に総理は財務省に10%増税凍結の宣戦布告をしているとみています。

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