2019年4月11日木曜日

安倍首相、ついに“消費増税凍結+衆参W選”決断か!? 4月に訪米する『隠された理由』とは…―【私の論評】日米首脳会談で消費税凍結が決まる(゚д゚)!


ついに安倍首相は決断するのか

安倍晋三首相が「衆参ダブル選」を決断する公算が出てきた。夏の参院選の前哨戦となる統一地方選前半戦の焦点、北海道知事選で与党系候補が「野党統一候補」に大勝したうえ、新元号「令和(れいわ)」に国民の好感が広がり、内閣支持率が急浮上しているのだ。秋には消費税増税があり、来年には東京五輪・パラリンピックが控える。残りの任期などを考えれば、勝負に打って出るタイミングは多くない。浮上した「7月21日」の日程。ジャーナリストの長谷川幸洋氏は「増税延期+衆参ダブル選」の可能性を指摘している。

 長谷川氏の注目すべき解説は後述するとして、政府・与党幹部から最近、気になる発言が相次いでいる。

 安倍首相の懐刀、菅義偉官房長官は3月31日、ラジオ日本の番組で、「衆参ダブル選は『99%ない』と言えるかもしれないが、『100%ない』とは言えない」と語った。

 菅氏は翌日の新元号発表で一躍時の人になった。安倍内閣の支持率は最高で9・5ポイント(共同通信、前月比)も上がり、52・8%になった。

 7日投開票の北海道知事選は「与党系候補vs野党統一候補」の激突だったが、野党共闘とは形ばかりで、内実はバラバラだった。9日告示の衆院大阪12区補選でも、共産党前職を「無所属」候補として出馬させる「奇策」を使ってまで、野党共闘にこだわったが、立憲民主党や国民民主党は「自主投票」で、ほころびが生じている。

 野党は、夏の参院選で勝敗のカギを握る「1人区」の候補者調整が統一選後半戦(21日投開票)後にずれ込むなど、準備が遅れたままだ。国民民主党と自由党との合併協議も難航している。

 安倍首相には“好機到来”というしかない。

 自民党の閣僚経験者は「野党が連携不足で、体たらくなのはチャンスだ。今後4年間かけ、憲法改正に腰を据えて挑むためには、リスクはあっても、衆参ダブル選がいい。相乗効果も出る」との本音が漏れてきた。

 安倍首相と距離を置く自民党の古賀誠元幹事長も8日夜、BS日テレ番組で「衆参ダブル選はやるべきだ。これを逸したら、衆院解散を打って出るタイミングは難しくなる」と肯定的な発言をした。

 世界経済の先行き不安が広がるなか、予定通りに今年10月に消費税率が10%に上がれば、景気の落ち込みが予想される。来年夏の東京五輪・パラリンピック以降になると、野党共闘への時間的余裕を与える。

 現在の衆院議員の任期は2021年秋まであるが、さまざまな条件を考えると、解散を打つタイミングは限られてくるのだ。

 安倍首相は5月中旬ごろまでには、今年1~3月期のGDP(国内総生産)や市場動向などをにらみ、消費税増税の最終決断を下すとみられる。


 立憲民主党会派の岡田克也元外相は3日、「自民党が強いというよりも、野党が弱い。景気の先行きが不透明ななかで、野党をつぶしにかかるダブル選はあるかもしれない」と記者団に警戒感を隠さなかった。

 前出の閣僚経験者も「令和元年に、いきなりの増税で景気が悪くなるのもどうか。もし、安倍首相が『増税凍結・延期』を決断すれば、その是非がダブル選の『大義』になるかもしれない」と語る。

 一連の動きを、どう分析すべきか。

 夕刊フジで人気連載「ニュースの核心」(金曜掲載)を担当するジャーナリストの長谷川氏は、安倍首相が今月22日から29日まで8日間、フランス、イタリア、スロバキア、ベルギー、米国、カナダの6カ国を歴訪することに注目する。

 6月に大阪で行われるG20(20カ国・地域)首脳会議(サミット)の成功に向けて「緊密な協力を確認する」といい、米国ではドナルド・トランプ大統領と首脳会談を行う方向というが、これが不可解なのだ。

 「トランプ氏は5月末に国賓として来日する。その前に会いに行くのは『別の隠された理由』があるのではないか。内閣府が8日発表した3月の景気ウオッチャー調査など、経済の各種統計は悪化している。米中貿易戦争や、英国のEU(欧州連合)離脱など、世界経済の懸念材料は山積している。安倍首相はG20で議長を務め、『世界経済の成長・安定のために頑張ろう』と各国首脳に呼びかけるが、日本が消費税増税を断行すれば、世界経済悪化の引き金を引きかねない。トランプ氏と4月末に会談して、米中貿易戦争の見極めをして、増税延期に踏み切るつもりではないか」

 ここで、安倍首相が世界経済を守るために「増税延期の是非」などを掲げて、衆参ダブル選に打って出る可能性が浮上してくる。2014年衆院選と同じ構図だ。

 通常国会は延長しなければ6月26日で閉会となる。今回改選組の参院議員の任期満了は7月28日のため、7月中の参院選が不可欠だ。

 もし、会期末の衆院解散となると、公選法の「40日以内」の規定から、衆参ダブル選の選択肢は「7月21日」に絞られてくる。

 長谷川氏は「増税延期は4月中にも発表される可能性もある。新天皇が即位された令和元年に、景気を悪化させることは、政治指導者として避けるのではないか。衆参ダブル選の可能性は十分ある」と語っている。

【私の論評】日米首脳会談で消費税凍結が決まる(゚д゚)!

4月5日の米有力経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル上で、今年10月に予定されている日本の消費増税は日本経済の足枷になるどころか、「自傷行為に近い」との厳しい指摘がなされました。これについては、このブログにも掲載しました。

皆さんご存知のように、私は安倍総理を支持しています。なぜかというと、中国の「反日統一共同戦線戦略」を「無力化」することに成功したからです。今、日韓、日ロ関係が再び悪化していますが、それは多分に相手側に問題があり、外交は概ね成功していると思います。特に、過去の政権と比較すれば、かなり良い線を行っています。

さらに、金融政策に関しては最近は、実質的な引き締め状況ではありますが、それにしても過去の政権のときに比較すれば、緩和状況を続けており、雇用は劇的に改善されました。そのため、私は、安倍政権を支持しています。しかし、内政に関しては、いろいろいいたいことがあります。

たとえば、消費税引き上げについてはこのブログの読者ならご存知のように、私は大昔から大反対しています。

いままで日本の消費税は、3回変わってきました。1989年、消費税導入。税率3%に。翌年、バブルが崩壊しました。これは、日銀が本来インフレでもないのに、土地や株価の値上がりを一般物価の値上がりと勘違いして、金融引き締めに転じたのが、最初の引き金でしたが、それに消費税増税が追い打ちをかけました。

1997年4月、消費税率を3%から5%に引き上げ。これが、日本経済に「とどめ」を刺しました。このち直後から日本経済は完璧にデフレに投入しました。96年のGDP成長率は3.1%でした。今の感覚でいえば、「かなり良い感じ」です。しかし、消費税が導入された1997年は、1.07%。98年:1.13%、99年:0.25%。

これについて、「アジア通貨危機のせいだ」とか「ロシアのデフォルトのせいだ」という人もいます。確かにそういう要因もあるでしょう。しかし、他の国々は、97年98年の危機から速やかに脱却しました。日本だけ「暗黒時代」が長引きました。明らかに消費税引き上げが原因です。

消費税をあげても、税収はさほど上がってはいない。それは、増税によって
個人消費が減ってGDPの成長が鈍化したためである。

安倍さんが総理になられた2013年には、日本経済は、久々に「イケイケ」でした。といっても、この年のGDP成長率は2%。私たちは、どれほど「低成長」「無成長」に慣れてしまったのかということです。

2014年4月、消費税率が8%まで引き上げられました。この年のGDP成長率は、0.38%。アベノミクスは、いきなり「大鈍化」してしまいました。2015年は1.35%、2016年0.96%、2017年1.74%、2018年1.14%。1%台の成長では、本来は「好景気」などとはいえません。

世界経済、去年から米中貿易戦争の影響で暗雲が漂いはじめています。米国による対中国経済冷戦により、特に中国経済が落ち込みをみせています。そして、日本企業にも影響がでてきています。日本電産の永守さんは「リーマン級だ!」とおっしゃっています。

すでにIMFも、米中貿易戦争が原因で世界経済は悪化すると予測しています。明らかに景気が悪化していく未来が見えているのに、日本は消費税をあげようというのです。愚かとしか言いようがないです。病人にドロップキックをくらわすようなものです。ウォール・ストリート・ジャーナルも、その愚かさを指摘しているのです。

先にも掲載したように、5日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは社説で、日本で10月に実施される消費税増税が経済をさらに悪化させる「自傷行為」になるとの見方を示しました。

同紙は、日本の直近の経済指標が低調な上、米中貿易摩擦などで世界的に成長が鈍化し、逆風になっているとするとともに、8年目に突入するアベノミクスは「完全には実現しておらず、投資や生産性への重しになっている」と指摘しました。

同感です。世界的には、米中貿易戦争とブレグジット。日本国内では、消費税率引き上げとオリンピックバブル終焉。悪材料がたくさんあります。

ウォール・ストリート・ジャーナルは本日以下のような記事を掲載しました。
アベノミクス第二の矢を折る消費増税
 日本経済は減速しているが、政府は消費税率の引き上げに踏み切りそうだ。むしろ増税を撤回し、ここ数年の経済発展を維持すべきだ。 
 調査データや消費者態度指数、機械受注統計はいずれも、日本経済がここ何年かで最もぜい弱な状態にあることを示唆している。その一因は中国の減速だ。 
 それにもかかわらず、安倍晋三首相は人口高齢化に伴う社会保障費用の増加に対応するため、10月に消費税を8%から10%へ引き上げなければならないと主張している。2014年に実施した前回の消費税増税がリセッション(景気後退)入りの引き金を引いたことなどお構いなしだ。 
 アベノミクスの第二の矢である財政刺激策は、盛んに議論されたが全く威力を発揮していない。国内総生産(GDP)に対する政府債務残高の比率は安倍氏が内閣総理大臣に返り咲いた12年以降、ほとんど変化していない。安倍氏は今や、第二の矢を自身の足元に放つリスクを冒している。 
 日本が引き続き直面している最大のリスクは成長停滞であって、政府債務の負担ではない。物価変動の影響を含む名目成長率は、第2次安倍政権の初期に改善したものの、その後は実質的にゼロ成長に鈍化した。 
 一方、債務返済コストはGDPのわずか1%程度にとどまる。現在は国債の半分近くを日銀が保有しているため、投資家の動揺を発端に債務を巡るパニックに陥る可能性は一段と低くなっている。 
 日本政府は欧州が犯した過ちを回避すべきだ。欧州は成長鈍化に対する有効策を講じることに後ろ向きで、マクロ経済の政策決定が中国政府の動きに影響されている。 
 確かに、日本では企業利益など他の歳入源に比べ消費税率は低い。だが政策転換は景気が好調な時に、全体的な財政政策を引き締めることなくゆっくりと進めるべきだ。キャッシュレス決済のポイント還元など、増税時の景気対策として打ち出された措置は不十分だろう。 
 中国を震源とする世界的な景気減速に見舞われた16年、安倍氏は消費増税の延期という適切な判断を下した。日本には今一度、誤った増税を棚上げする余地がある。
米国の有力経済紙がこのような記事を二度にわたって掲載しているわけですから、日本が消費税増税を断行すれば、世界経済悪化の引き金を引きかねないことをトランプ政権も十二分に理解しているのではないでしょうか。

冒頭の記事にもあるように、安倍総理は、トランプ氏と4月末に会談して、米中貿易戦争の見極めをして、増税延期に踏み切るつもりではないでしょうか。

4月のトランプ・安倍会談では当然消費税も話題に・・・・

安倍総理には、せめて消費税率を据え置きにし、できれば、消費減税をして消費税を5%に戻していただき、日本経済を救っていただきたいと思います。

私としては、5%の次は、3%に、3%の次は消費税ゼロにし、その後経済の動向をみて、本当にインフレ懸念が起こったときに3%の消費税にするなどして、これをもって日本の財政政策を機動的な財政政策に根本からつくりかえていただきたいと思います。

減税で、経済成長が実現されれば、税収も増え、これに対して批判をする識者もいなくなるでしょう。さらに、金融政策もぬかりなく、現状実質的に引き締め状況になっている金融政策に関しても、果敢に挑戦し、量的緩和をさらに実行して、日本を再び成長軌道にもどしていただきたいものです。

そうして、いつまでもまともなマクロ経済政策ができない状況を終わりにしていただきたいです。だれが、日銀の総裁になろうが、財務省の次官が誰になろうが、だいたいまともなマクロ経済政策が実施できるように、システムを根底から変えていただきたいです。

それができれば、安倍政権は絶大な支持を受けて、憲法改正もかなりやりやすい状況になるでしょう。増税をすれば、これとは全く反対の状況となり、憲法改正は遠のくことになります。

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不安出ずる国、日本の消費増税(ウォール・ストリート・ジャーナル)―【私の論評】WSJの記事には、間違いもあるが概ね正しい。増税はすべきでない(゚д゚)!



2019年4月10日水曜日

ゴーン事件と中東の金融事情 マネーロンダリング解明視野、捜査当局は国際世論に活路か ―【私の論評】ゴーン問題の本質を理解するには?



カルロス・ゴーン氏

日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者が4回目の逮捕となった。今回はオマーンなど中東への資金の流れが問題となる、新しい展開だ。ゴーン容疑者がレバノン系という事情もあると思われるが、ほかにも中東特有の金融の事情や仕組みがあるのか。

 ゴーン容疑者はこれまで、(1)報酬額の過小記載で金融証券取引法違反(2018年11月19日)、(2)別期間の金融証券取引法違反(12月10日)、(3)私的投資損失の日産への付け替えによる会社法違反(12月21日)と3回逮捕されてきた。今回は、(4)日産の支出を私的流用したことによる同法違反(19年4月4日)である。

 会社法違反の特別背任の疑いがある(3)と(4)はともに中東を背景としている。検察は一体として捜査していたのだろうが、(3)と(4)の間の、19年3月9日に保釈があった。検察側は海外案件であるので証拠隠滅の恐れを主張したのだろうが、裁判所に認められなかった。

 筆者の感想では、(3)について、ゴーン容疑者の個人案件にしては国際金融の複雑な手法が取られており、不自然な印象だ。結果として損害を与えなかったとゴーン容疑者側は抗弁したが、犯罪を否定する論拠にはならない。

 一般に中東の金融は、マネーロンダリング(資金洗浄)が比較的容易と言われており、犯罪捜査の基本である資金トレース(追跡)が難しい。本件の場合、邦銀が一部絡んでいるので解明の突破口になったと思われるが、それでも舞台が中東で、ゴーン容疑者の知人が関係者ということもあり、格段に困難な事件だろう。

 筆者はイスラム金融の専門家ではないが、いろいろな話を聞くことが多い。有名なものとしてイスラム原理主義組織のアルカイダが、テロ資金の送金にイスラム金融の送金システムを使ったとされる。それは、宗教、地縁血縁による長期的な結びつきを前提としたもので、欧米の金融システムと違って取引を逐次記録していないため、以前からマネーロンダリングに利用されやすいとされてきた。

 事件がどこまで中東の特殊性に関連しているのかはわからないが、保釈中に再逮捕・拘束することからみても、捜査当局が事件解明にかなり力を入れているのは間違いない。

 特に、(3)と(4)については、会社法違反という重罪であるとともに、国際犯罪での手法であるマネーロンダリングの解明にもつながる可能性がある案件なので、捜査当局としても関心を払わざるを得ないのだろう。

 なにしろ、今月3日、ゴーン容疑者が「11日に記者会見を開く」と発表したら、翌日の逮捕である。

 国際的観点から日本の捜査への批判も織り込みつつ、今回の逮捕は行われたのだろう。ルノー側も、最近ではゴーン容疑者が中東の販売代理店や外部弁護士への疑わしい支払いを行っていたと明らかにしており、一定の距離を置いているようだ。

 捜査当局はマネーロンダリング対応という新たな視点も出しつつ、国際捜査協力を受け、国際世論を味方につけるような行動に出るのではないか。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】ゴーン問題の本質を理解するには?

カルロスゴーンは現在までに4回逮捕されています。いったい何がどうなったら4回逮捕されるのか、と思われる方も多いと思います。


一回目の逮捕

まず今回の不正問題の全体像から見ていきましょう。今回カルロスゴーンが最初に捕まったのが、「有価証券報告書の虚偽記載」の容疑というものです。

有価証券報告書とは、上場している会社が事業年度ごとに作成しなければならない書類です。

上場企業は投資家に株式を購入してもらって資金を集めていますが、その投資家へ自社の情報を開示するための報告書になります。

有価証券報告書には、会社の収益や財政状況、役員の報酬まで様々な会社の状況を記載する必要があります。

会社の正確な情報を投資家に開示して信頼してもらうことで、その会社はお金集めをするのですが、信頼を得るための情報に虚偽があれば投資家は騙されて巨額の投資をしてしまうことになります。

日産ともなればその虚偽の金額が大きく、今回は有価証券報告書に虚偽があったた為に逮捕されたという流れです。

では、どのような虚偽記載を行ったのでしょうか。今回の虚偽疑惑は、「役員報酬を実際の金額よりも過少に報告していた」というものです。

その金額についてですが、2011年~2015年の4年間にわたるカルロスゴーンの役員報酬が、約80億円 だったところを、 約40億円とおよそ40億円も偽っていたのです。

この40億円の虚偽報告の何が問題なのかというと、それは40億円に相当する分の税金を支払っていないということになります。つまり、世間一般的に言われる「脱税」です。

40億円の収入がある人が支払うべき税金はおおよそ10億円ほどになるので、額が額ということもあり、さらには日本を代表する日産の役員ということでここまで大きく取り上げられたのです。

最初のカルロス・ゴーン逮捕を伝えるテレビ画面

2回目の逮捕

さて、2度目の逮捕はどのようなものだったのでしょうか。2度目の逮捕は、2018年12月10日のことでした。カルロスゴーンは1度目と同じ容疑で2度目の逮捕をされてしまいます。

内容は新たにまた別の虚偽記載が発覚したというものです。1度目の逮捕は2011年〜2015年の有価証券報告書の虚偽記載でしたが、2度目の逮捕は2016年〜2018年の有価証券報告書が対象となりました。

2度目の虚偽記載の内容ですが、約70億円 だったところを、 約30億円として記載し提出をした容疑です。

こちらに対してもカルロスゴーンは完全に否定しており、捜査当局を痛烈に批判しています。

3回目の逮捕

3度目の逮捕は、2018年12月21日でしたが、これは1度目、2度目とは違う内容で、「会社法違反(特別背任)の容疑」で逮捕されています。

会社法という法律の960条に、「特別背任罪」というものがあります。簡単に言うと、役員などの特別な権限を持った人間が自分や第三者の利益の為、またはに株式会社に損害を加える為に任務に背く行為のことを言います。

つまりカルロスゴーンが私的な損失を日産株式会社に押し付けた、と言う特別背任容疑がかけられたと言うわけです。

特別背任の内容は以下の2つ上がっていました。

まずは、2008年にリーマンショックが原因で生じた18億5千万円の私的な損失を日産に付け替えたというものです。

この契約を自分に戻す際に、約30億円分の信用保証に協力したサウジアラビアの実業家ハリド・ジュファリ氏に対して、日産子会社から2009~2012年の期間に合計して約12億8400万円という大金を不正に送金したさされています。

2度目の逮捕により拘留されていたカルロスゴーンですが、年越しまでには保釈されるとされていました。

しかし、12月21日と言う年の瀬に3度目の逮捕となったカルロスゴーンは残念ながら拘留が延長され、年越しも拘置所で過ごすことになってしまいました。

4回目の逮捕

そうして、まさかの4度目の逮捕は、つい最近の2019年4月4日のことでした。4度目の逮捕理由もまた会社法違反(特別背任)の容疑でした。

しかし、これは、3度目の特別背任の内容とは少し違うのでその詳細を説明します。

4度目はオマーンの販売代理店側に日産の資金を不正に支出し、一部を流用した疑いがあるということです。

カルロスゴーンのオマーンにいる知人がオーナーを務めている販売代理店に、「中東日産」を通じてゴーン自身の裁量で支出が決められる「CEOリザーブ」と呼ばれる資金からおよそ2015年〜2018年の期間に5億6千万円を不正に支出し、日産に損害を与えた疑いがあるようです。

そのルートでの不正支出は2012年~2018年までで合計で約35億円に上ると調べが付いているようです。

4月3日、解説されたばかりのカルロスゴーンのTwitter公式アカウントからある投稿があり話題となりました。

4月11日に記者会見で真実を話すと言うのです。

しかし、今回の4度目の逮捕により4月11日の記者会見はできなくなってしまいしました。
東京、羽田空港での最初の逮捕から約5ヵ月が経ちますが、カルロス・ゴーンの転落については不明な点が多いです。

ゴーン問題の本質

まず、1点目カルロスゴーン問題、これはカルロスゴーン会長個人の問題いわゆる日産を私的流用によって個人で食い物にしたことです。そして、ここにマネーロンダリング、お金を不正に動かしたのではないかという大きな問題があるわけです。これが、1つ目の大きな問題になるわけです。
そして、次2つ目の問題は、フランス政府とルノー、ルノーと日産と三菱の問題です。では、ルノーという会社は、どのような会社であるのかといえば、一応は民間企業ですが、元々は公社でした。
いわゆる、公の会社、国有企業であったという歴史があります。そして、現在もなお、フランス政府が筆頭株主になっており、フランス政府による指導を受けています。
フランス政府から経営介入を受けている会社というのがルノーの実態です。それに対して、日産や三菱は、完全なる個人企業、私企業、株式会社という形になります。
問題は、このルノーという会社が、会社の存続を目指して、日産や三菱を飲み込もうとした所に大きな問題があるわけです。
国有企業が、一民間企業を買収しても良いという事になってしまえば、これは日本の企業が、殆ど中国の企業などに飲み込まれても良いという事になってしまいます。
ですから、日本政府側の立場としては、民間企業の事であるから、民間企業同士が決める事であるとしているわけですが、フランス政府は、日本政府に対して、ルノー・日産と三菱に最終統合、いわゆるルノーによる吸収合併、飲み込み、乗っ取りをしたいと通達してきているわけです。
そして、最初のゴーン自身の問題に関しては、日産がかつて倒産しようとなっていた時に救世主として入って来たのが、ゴーンであったわけですから、その功罪の功の部分は、まず認めるべきです。
ところが、日産という会社が、なぜ潰れそうになったかというと、主に以下の2点になります。
  1. 強すぎる労働組合
  2. 開発投資にお金をかけすぎて、多品種の開発をしてしまった
つまり、会社の業容にあわない開発費をかけ、逆に労働組合が強いために、リストラなどが出来なかった事、この2つが大きな倒産要因になったわけです。

これを、カルロス・ゴーンという外部の人間が入ってきて、バッサバッサと2万人のリストラ等の首切りをしました。その結果、日産は元気をとりもどしたわけです。

その後は、日産が逆にルノーを支援した形になりました。研究開発等が遅れていたルノーは、その単体ではなりゆかないようになっていた所に対して、日産の技術を入れる事によって、大きく発展をしていったという状況になっているわけです。


ですから、ゴーン氏としては、リストラが終わった時点で、ある意味、仕事をやり終えていたと言えるわけですが、その後、強すぎる権力を手に入れたカルロスゴーンは、会社を飲み込もうと私物化して、どんどんと自分のために会社のお金を利用していたという実態が、今回明らかになったのです。

本来リストラして会社を立て直すことと、会社を育て成長させるということは相反するとこがあり、これを一人の経営者が行うことなどできないです。本来なら、リストラが終了して日産回復のめどがたった時点で経営者を交代するべきでした。

この、ゴーン問題と、三菱、日産、ルノー、この3社の統合問題が、同時並列的に語れているので、なかなか意味が理解しにくい状況になっているのです。

このゴーン問題の本質は、今説明した2つの要素で出来ています。これを理解しないとなかなか全体像はみえてこないでしょう。

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2019年4月9日火曜日

英海軍と日本の海上自衛隊、東シナ海で「瀬取り」北船舶摘発―【私の論評】韓国が北朝鮮と同じ扱いを受けるようになる日が近づいている(゚д゚)!

英海軍と日本の海上自衛隊、東シナ海で「瀬取り」北船舶摘発


米沿岸警備隊(USCG)所属の大型警備艦「バーソルフ」

 北朝鮮による違法な海上での積み替え「瀬取り」を監視するために派遣された米沿岸警備隊(USCG)所属の大型警備艦「バーソルフ」(バーソルフ級カッター、4500トン級)が6日、釜山作戦基地に入港した。

 これは、済州民軍複合港に先月末入港し、韓国海洋警察庁と北朝鮮の制裁違反船舶に対する検問の合同訓練を実施してから約1週間後のことだ。

 外交消息筋は7日、「これは『バーソルフ』が韓半島(朝鮮半島)周辺を巡航していることを意味する。制裁違反を日常的に行っている北朝鮮と、これを黙認する周辺国に、米国が強い警告メッセージを送ったものだ」と語った。

 韓国海軍関係者は同日、「『バーソルフ』の釜山入港は乗組員の休息や物資補充のためのものだ」と説明した。先月の済州入港時のように合同訓練は予定されていないということだ。しかし、外交関係者たちは「バーソルフ」が1週間後に再び韓国の港に停泊したこと自体に注目しているようだ。

 外交消息筋は「『バーソルフ』は米国の徹底した制裁履行の意志を象徴している。文在寅(ムン・ジェイン)政権が開城工業団地や金剛山観光再開などの制裁緩和を推進している中、これに対する遠回しの警告メッセージが含まれている」と話した。

 現在、釜山・甘川港には瀬取りにより少なくとも4300トンの軽油を北朝鮮に供給した疑いで韓国籍の船舶が6カ月間抑留されている。

 「バーソルフ」は今年1月、母港の米カリフォルニア州アラメダ海軍基地を出港、この2カ月間、韓半島周辺を巡航して対北朝鮮制裁違反の船舶を監視・摘発してきた。米本土の沿岸警備を任務とする沿岸警備隊の警備艦が東アジアにまで移動してきて作戦を展開するのは異例だ。

 こうした中、国際社会は北朝鮮制裁監視網を強化するため、「連合海上作戦」に乗り出すなど、協力システムの構築に力を入れている。

 日本の外務省が6日に明らかにしたところによると、英海軍は先月、東シナ海で日本の海上自衛隊と連合作戦を展開、瀬取りをしていたと疑われる北朝鮮タンカー「セビョル」と船籍不明の船を摘発した。毎日新聞は外務省関係者の話として、「海上自衛隊とイギリス海軍が連携して制裁違反が疑われる北朝鮮船舶を摘発したのは初めてだ」と報道した。

【私の論評】韓国が北朝鮮と同じ扱いを受けるようになる日が近づいている(゚д゚)!

上の記事にあるように、海上自衛隊が英国軍と協力して北朝鮮のタンカーと船籍不明の船を摘発しました。日英の連携による瀬取りの摘発は史上初とのことで朝鮮日報の報道には焦りが感じられます。

このことに加え米国の沿岸警備隊所属の大型警備艦が韓国に入港したことも文在寅政権を怯えさせる材料になります。

そのような兆候は他にもあります。

最悪に突き進む韓国と日本の外交的不和が経済界にも広がる兆しが現れています。昨年貿易規模が850億ドルで3位に達するほど経済的に緊密な両国関係が揺らぎ続ければ両国ともに大きな影響を受けるだろうという懸念が出ています。

韓日財界によると昨年11月の韓国大法院(最高裁)の徴用被害者賠償判決後、日本企業と取引する韓国企業が通関と決済遅延など大小の影響を受けています。地方のある金属加工メーカーは2月から日本の取引企業からの代金を1カ月ずつ遅く受け取っています。この会社の関係者は「10年以上取引しているが入金遅延は今回が初めて。取引先が『韓国に警告すべき』という日本政府のメッセージを聞いたという」と話したといいます。

日本国内の韓国企業支社の相当数も「貿易と本国への送金作業が複雑になった」と口をそろえています。主要空港と港湾で要求する通関書類が普段より2倍近く増え、件別審査もやはり細かくなったといいます。大企業のある日本法人長は「日本で20年近く働いたがいまほど厳しかったことはなかった」と話しました。

日本の国税庁の動きも尋常でないという話が出ています。日本で旅行会社を運営する社長は「最近韓国人が社長の中小企業のうち1000万円以上の追徴金命令を受けた業者もいる」と話しています。駐日韓国企業連合会の金正洙(キム・ジョンス)会長は「韓国企業家は毎日悪化する雰囲気を体感している」と伝えました。

韓国でも「戦犯企業」のレッテルが付けられた三菱など日本製品の不買運動の動きまで起きています。京畿道(キョンギド)議会は小中高校が保有する日本製の備品に「戦犯企業が生産した製品」と書かれたステッカーを付着する条例案を推進したりこともしました。仁荷(インハ)大学国際通商学科のチョン・インギョ教授は「韓日が互いに報復を始めれば両国ともに回復しにくい影響を受けるだろう」と警告しました。

◇日本、韓国企業に税務調査や入金遅延…外交破裂音に新規取引に影響

「過去には韓日対立が起きても両国経済系は水面下で根強い関係を維持していました。いまは日本の財界だけでなく知韓派すら冷淡な反応を見せており心配です」(A経済団体会長)

政界で始まった韓日対立が経済分野に拡散し企業家の不安が大きくなっています。日本政府が相次いで警告した「経済報復」が可視化する兆しを見せているためです。過去最悪の韓日関係にともなう打撃は韓国側が大きいだろうという分析が多いです。

◇日本「経済報復」可視化するか



先月、麻生太郎副首相兼財務相が韓国に対する報復措置に言及してから日本の公務員が忖度に出たという解釈が出ています。また、日本製鉄(旧新日鉄住金)、三菱重工業など日本の代表企業が「戦犯企業」と呼ばれ韓国世論のターゲットになっただけに日本財界が反韓戦線を共同構築しているという観測もあります。

日本との日常的な貿易取引ですら送金遅延や書類補完指示が急増しているのが代表的な事例です。主要韓国企業の日本国内新規取引は事実上「オールストップ」状態です。早稲田大学国際教養学部の朴相俊(パク・サンジュン)教授は「韓国は米国、中国の次に大きい日本製品購入者だが、韓国企業と似た条件を掲げる外国企業が現れれば現在の雰囲気では韓国の代わりに第三国の企業を選ぶ可能性がある」と雰囲気を伝えました。

NHKや読売新聞など主要日本メディアは徴用被害者判決後続措置が出るたびに主要ニュースとして扱っています。ヤフージャパンなどオンライン上に公開された韓国関連ニュースには「韓国と断交すべき」などのコメントが数千件ずつ書き込まれています。

韓国では半導体価格の下落等により、輸出の減少傾向が4カ月間続いている

輸出の割合が高い韓国企業は揺らぐ韓日関係のため戦々恐々としています。工場稼動に必須である日本の先端部品素材を調達するのに支障が生じかねないためです。石油化学業界では生産工程に使われる触媒技術を日本が保有しており関連技術を輸入する際に困難がないかと懸念する雰囲気です。

触媒は低付加価値原料を高付加価値商品に変えるのに核心的な役割をします。業界関係者は「日本の技術を基に工場を作ったならば触媒も日本の技術が入ったものを使わなければならない。日本政府が強制的に技術供給を中断すれば韓国での生産に支障が生じかねない」と心配しています。

携帯電話に使われる高付加価値化学素材も「弱点」です。電子情報素材企業が日本から原料を輸入できなければ生産問題に直結するというのが業界の懸念です。ディスプレー企業の懸念も小さくないです。キヤノントッキなど有機EL工程の必須部品を供給する日本企業への依存度が絶対的であるためです。

自動車業界では過去最悪である韓日関係がルノーサムスン釜山(プサン)工場にも致命打を与えかねないという指摘を出しています。ルノーサムスンは日産のスポーツ多目的車(SUV)「ローグ」を受託生産しています。

日産は先月年間委託台数を従来の10万台から6万台に減らしました。日産が掲げた公式の理由は釜山工場の労使対立だが、一部では悪化した韓日関係のせいもあると解釈しています。

委託契約が終わる9月以降どれだけの生産を任せるかもまだ決まっていません。ルノーと同盟関係の日産が最後まで反対すれば釜山工場で日産車両を受託生産するのは事実上不可能という観測が支配的です。

凍りついた韓日関係が現代(ヒョンデ)重工業の大宇(デウ)造船海洋買収過程に障害として作用しかねないとの観測も出ています。両社が合併するには各国政府の企業結合審査を通過しなくてはならないですが、特に日本の公正取引委員会の審査を通過するのが容易でないかもしれないと指摘されています。

韓日経済人間交流は「ひとまず中断」状態です。来月ソウルで開く予定だった韓日経済人会議は突然9月以降に延期されました。韓日経済人会議は両国の最高経営責任者300人が参加する交流の場で1969年から1年も欠かさず開かれてきました。

全国経済人連合会の権泰信(クォン・テシン)常勤副会長は「主に政治次元で議論された多様な韓日問題が経済と民間交流に転移しており心配になる」と話しています。



さらに、日本が韓国に対してTPPに加入させないというのも、報復の一つと考えられます。日欧EPAが発効して、韓国がTPPに加入していないという状況は韓国にとってはかなり不利です。

2019年2月1日、日本とEU(欧州連合)のEPA(経済連携協定)が発効しました。これを受け、韓国・聯合ニュースは「韓国に緊張が走っている」と伝えました。

記事は「EPA発効により、世界の国内総生産(GDP)の3分の1を占め、人口6億3500万人の世界最大規模の自由貿易地帯が誕生した」とし、「EUはEPAが完全に履行されれば、EUから日本に輸出される物品の97%の関税が撤廃され、年間1兆3000億ウォン(約1266億円)相当の関税免除を受けられる」と説明しています。

日欧EPAが発効する前は、韓国とEUは、EPAを締結していたため、日本製品には関税がかかっていましたが、韓国製品にはかからず、相対的に有利でしたが、日欧EPAが発効した後には、日本製品にも関税がかからず、日韓は対等に競争ができるようになりました。さらに、日韓は産業構造が似ているということもあります。

TPPに関しては、TPP加入国同士では非関税もしくは低関税で取引できますが、韓国はTPPに加入していないので相対的に不利になります。

韓国が、北朝鮮への擦り寄せ姿勢を改めず、中国に対しての従属姿勢を改めなければ、これは米国に対する裏切り行為であり、米国は「バーソルフ」を派遣するだけではなく、さらに強力な制裁に踏み切るでしょう。

米国は一方的に北朝鮮との融和を推し進めようとする韓国を、本当の意味で信用できなくなりつつあります。そうした状況が進むと、米国は韓国と連携して北朝鮮政策を進めることは難しくなります。米国政府内では、北朝鮮との融和を目指す韓国の前のめり姿勢への不安が高まっています。韓国が北朝鮮と同じ扱いを受けるようになる日が近づいていると言えます。

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2019年4月8日月曜日

歴史の法則で浮かんできた、安倍政権「改元後半年で退陣」の可能性―【私の論評】安倍総理の強みは、経済!まともな政策に邁進することで強みが最大限に発揮される(゚д゚)!

歴史の法則で浮かんできた、安倍政権「改元後半年で退陣」の可能性
このまま増税を実施するならば…

大阪の成長は安泰だが、では日本の成長は…?

先週の本コラム「平成は終わるが、大阪の成長を終わらせてはいけない 大阪選挙の論点を11の図表で確認」https://gendai.ismedia.jp/articles/-/63847)では大阪ダブル選挙の情勢について取り上げたが、フタをあけてみれば、大阪ダブル選挙は吉村・松井の維新コンビがそれぞれ府知事・市長に当選した。

これまでの実績が十分にあり、さらに2025年に開催予定の大阪万博と夢洲にIR(統合型リゾート施設)を建設する、という将来への布石も打ってきた維新が負けるはずないと思いながら、選挙は水ものなので、筆者の中にも一抹の不安はあった。

しかし、やはり大阪府・市民は賢明な選択をした。選挙当日、お笑い芸人・ブラックマヨネーズの吉田氏が、ツイッター(https://twitter.com/bmyoshida/status/1114602103056375808)で、

<【大阪】人が必死で考えて、結果まで残して言う意見に対して、「それは違います」と言いきる。背筋を伸ばし首を横に振るだけ。そして、代替案は話し合いが大事だという。いいか?相手の意見を首振って否定する、そんな奴が話し合いで解決できるとか言わないで欲しいんだ。>
とつぶやいたが、これは大阪で維新を支持する一般的な人の、まっとうな感想だろう。
さて、これで2025年万博も夢洲IRも実施に向けて動くことになるので、大阪の成長はひとまず安心である。

一方、日本全体の成長はどうなるか。次の元号が「令和」に決まり、慶賀ムードが高まっているが、「令和」はどのような時代になるのだろうかを予測してみたい。

結論から言えば、それは、今後安倍政権がどこまで続くか、その上でもし安倍政権が続く場合、どのような政策を打つのか、によって大きく異なってくるだろう。

自民党の一部からは、自民党総裁の任期を延長して「安倍四選でいい」という話も出てきているが、これまでの歴史をみると、そう簡単ではないことが分かる。

明治以降、改元があったのは①1912年7月3日(大正元年)、②1926年12月25日(昭和元年)、③1989年1月8日(平成元年)と、今回の④2019年5月1日(令和元年)である。

それぞれ、①は第二次西園寺内閣(1911年8月3日0~1912年12月21日)、②は第一次若槻内閣(1926年1月30日~1927月4月20日)、③は竹下内閣(1987年11月6日~1989年6月3日)の時に起こっている。そして④が第四次安倍内閣(2017年11月1日~)である。

これまでの改元では、改元後半年たらず(ほぼ5カ月後)にその時の内閣が退陣している。①大正後は5カ月18日、②昭和後は4カ月26日、③平成後は4カ月26日で、それぞれ内閣が倒れている。これまでの改元は天皇崩御に伴うもので、今回の譲位はまったく違うものではある。

しかし、それにしても過去3回で改元の5カ月後に内閣が退陣している、というのは不吉な事実である。

改元後、各政権で何が起こったか

①の内閣退陣は、日露戦争後の情勢変化により、当時勢力を強めていた軍部と財政難を理由とする内閣との争いが原因で、1912年12月に、西園寺内閣が総辞職に追い込まれた。

②は、1927年3月の昭和金融恐慌が原因であった。経営危機となった台湾銀行を救済する緊急勅令案発布について、1927月4月に枢密院が否決して若槻内閣が倒れた(枢密院は戦前の天皇の諮問機関であり、戦後は廃止されている)。

③は記憶に新しい。1988年12月24日の消費税導入を柱とする「税制改革法」を竹下内閣は剛腕で成立させた。しかし消費税への反発は強く、そのうえ竹下内閣で不祥事が相次いだこともあり、内閣支持率が低下し、1989年6月に退陣に追い込まれた。

いずれも、今とは時代背景が異なるので、軽々に「歴史は繰り返す」とは断言できない。しかし、若干の示唆もあると筆者は思っている。

①は、国際情勢が大きく変化していたにもかかわらず、それを考慮せずに緊縮財政を言い過ぎた結果といえる。②は、若槻内閣の後を継いだ田中義一内閣の高橋是清蔵相が、モラトリアム(支払猶予令)と大量の日銀券増刷を実施することで昭和金融恐慌がおさまった。裏を返せば、若槻内閣が倒れたのは金融引締政策を行ったためだと解釈できる。③は、いうまでもなく消費税が原因である。

これをあえて、今のマクロ経済政策の財政政策と金融政策に置き直してみると、①と③は財政緊縮政策、②は金融引締政策がそれぞれ原因であると整理できる。

マクロ経済政策という観点から、改元後、半年足らずで安倍内閣退陣が起こりえるのかを考えてみよう。

まず、安倍政権のマクロ経済政策は、アベノミクスの第一の矢である「金融緩和」と第二の矢である「機動的財政」である。2013年からの安倍政権をみると、金融政策では異次元緩和を実施してきたが、2013年から2016年9月までは年80兆円日銀保有国債ペースの金融緩和、2016年9月以降は年20兆円の弱い金融緩和、財政政策では、2013年はまさに積極財政、2014年以降は消費増税を強行した。つまり、「なんちゃって」財政政策というべきもので、これは積極財政とはいいがたい。


こうしたマクロ経済政策の推移をみると、最近の景気動向指数の動きをよく説明できる。
これについては、下図や3月25日付け本コラム<消費増税、予定通り進めれば日本に「リーマン級の危機」到来の可能性>https://gendai.ismedia.jp/articles/-/63706)を見てもらいたい。

今の状況はどうかというと、安倍政権が実施する金融政策は弱く、財政政策も積極的とはいえない。ということを考えると、実は過去の「改元後退陣内閣」の状況と似ていると言えなくもない。

しかも、今年10月には消費増税を予定している。いくら消費増税を見越して経済対策を行うとはいえ、それが切れたときには消費増税の悪影響をもろに被ることになる。これは、特に③の前例が繰り返されるそれが強い。

参院選、消費増税で敗北すれば…

国際社会からも「このタイミングで消費増税はないだろ…」という常識論がでてきた。3月25日付け本コラムやその他で何度も指摘しているが、中国の経済低迷やイギリスのブレグジットに伴う世界経済の悪化が予想されているが、これらはいわゆる「リーマン・ショック級の出来事」になりうるからだ。

これについて、4月3日のウォール・ストリート・ジャーナルの社説で、日本が今年10月からやろうとしている消費増税は「経済を悪化させるワケのわからない政策だ」と皮肉っている(https://www.wsj.com/articles/land-of-the-rising-unease-11554333457)。

別に米紙にいわれなくても、おかしな政策であることは、例えば、今年6月の大阪G20サミットに参加する中国やオーストラリアが、増税ではなく減税政策をやろうとしていることから、誰でもわかるだろう。G20では世界経済の話も議題として出てくるはずだが、議長国の日本がヘンテコな政策をやろうとしていることが世界に伝われば、恥をさらすことになるだろう。

冒頭の大阪ダブル選挙に戻ると、筆者は大阪の経済を考えれば、維新が勝利してよかったと思っている。このダブル選挙において、反維新勢は自民と公明が中心であった。一方、国政では、維新は今年10月からの消費増税に反対しているが、自民と公明は消費増税を推進している。

官邸はまだ最終的な決断をしていないものの、自民党の大半と公明党はほとんど財務省の追随と言っていいぐらい、増税に傾いている。もし、大阪ダブル選挙で、一つでも反維新が勝利していたら、10月からの消費増税を大阪府市民が望んでいる、という間違ったメッセージを与えかねなかった、と筆者は思っている。

いずれにしても、このまま今年10月からの消費増税を行えば、今年7月の参院選に安倍政権はまともに勝てない可能性がある。そうなると、安倍政権は、四選どころか、即退陣も現実味を帯びてくる。

安倍総裁の四選を、という声が自民党から出てくるのは、安倍総裁下の自民党が選挙に強いからであり、逆に最大の強みである選挙に負ければ退陣を迫られる、ともいえるのだ。実際、第一次安倍政権は2006年9月26日にスタートしたが、2007年7月29日の参院選で自民・公明を合わせて過半数をとれず、9月26日に退陣した。

このときを参考にするなら、参院選で負ければその2カ月後に退陣である。今回の参院選は7月に行われるが、それに負ければ9月に退陣となる。つまり、改元の後、半年ももたずに内閣退陣になり、明治以降の「改元後半年もたたずに内閣退陣」という悲劇が繰り返される可能性があるのだ。

この悪夢を吹っ飛ばすには、「リーマン・ショック級」があり得ることを見越して、今年10月からの消費増税を取りやめにするしかないと筆者は思っている。

【私の論評】安倍総理の強みは、経済!まともな政策に邁進することで強みが最大限に発揮される(゚д゚)!




新元号「令和」に国民の好感が広がっているとみて、安倍政権が安堵(あんど)しています。

内閣支持率も押し上げる結果になり、安倍晋三首相は新時代の象徴として、さらにアピールしていく考えです。過去3回の改元では、立ち会った首相はいずれも半年以内に退陣に追い込まれた。安倍首相がこのジンクスを打ち破れるかも注目です。

「いよいよ令和の時代が始まる」。首相は3日、国家公務員合同初任研修で新人職員約780人を前に訓示。新元号が、万葉集にある梅の花を歌った和歌の序文を引用したことを引き合いに、「それぞれの花を大きく咲かせてほしい」と激励しました。首相は令和時代の政権維持に向け、統一地方選や夏の参院選の勝利に全力を挙げる方針です。

新元号決定をめぐり、首相が心配したのは、事前の情報漏えいに加え、国民の評判でした。首相は1日夜のテレビ番組で「多くの方々が前向きに明るく受け止めていただいて本当にほっとした」と語りました。一部報道機関の世論調査でも令和に好感を持つ人が八割強に上り、内閣支持率も上昇。初めて日本古典を典拠としたことも評価され、政権は自信を深めています。

首相は1日夜、自民党幹部と会食した際、「万葉集がブームになる」と述べるなど上機嫌でした。出席者からは「この勢いで(参院選に合わせた)衆参ダブル選は勘弁してください」との声が上がり、首相は笑って聞いていたといいます。

これまで改元を経験した首相はこの記事の冒頭の高橋洋一氏の記事にもあるとおり3人。大正(1912年)の西園寺公望首相(当時、以下同)は陸軍2個師団増設問題をめぐる軍部との対立で総辞職。昭和(1926年)の若槻礼次郎首相は金融恐慌によって、平成(1989年)の竹下登首相は消費税への反発とリクルート事件をめぐる疑惑でそれぞれ退陣しました。

ただ、皇位継承に伴う一連の儀式が来春まで続き、国民の祝賀ムードも持続しそうな今回は過去の改元とは状況が違うとの見方が多いです。政府関係者は「当面、自民党は首相を代えられない」と語ったとされています。

今年予定されている儀式

このようなことがあるため、私自身は安倍内閣は仮に消費税増税をしたとしても、参院選で負けることもなく、しばらくは退陣ということにはならないとは思いますが、そのかわり、実質的に増税後は、憲法改正もできずに、レイムダックになり総裁任期の2021年9月までは総理でありつづけるでしょうが、その後の4選の目はでないと思います。

安倍総理が総理大臣になり、他の総理大臣のように劇的に支持率が落下しなかった最大の要因は、やはり経済政策です。その中でも、財政政策は増税により失敗しましたが、金融政策においては、最近は実質上の引き締めに近いところがありますが、それでも過去の政権と比較すれば結果として緩和を実行し続けたことです。

これにより、雇用情勢はかなり良くなっています。これが、安倍内閣の強みの源泉です。これは、理想からいえばは十分とはいえませんが、それにしても、過去の内閣にはない強みです。

さらには、残念ながら自民党の他の幹部や、野党には全くこの金融政策が理解できていません。安倍総理は憲法の改正等その他のことでは、これほどの強みを発揮することはできなかったでしょう。実際、第一次安倍政権はまともなマクロ政策を打ち出すことができず、退陣しました。

やはり、多くの人々は、自分たちや周りの人たちの暮らし向きを最重点に考えるのです。その中でも、雇用は根幹的なものであり、これが確保されなければ、他の経済指標がいくら良くても、政府の経済政策は失敗です。一部の変わり者は別にして、大多数の日々の普通の生活者にとっては、憲法改正など二の次です。まずは、雇用です。

しかし、安倍総理が、10月の消費税増税を実行してしまえば、金融緩和政策の効き目も、完璧に相殺され、安倍総理は強みを失ってしまうことになります。

経営学の大家ドラッカー氏は、強みについて以下のように語っています。
誰でも、自らの強みについてはよくわかっていると思う。だが、たいていは間違っている。わかっているのは、せいぜい弱みである。それさえ間違っていることが多い。しかし、何ごとかをなし遂げるのは、強みによってである。弱みによって何かを行うことはできない」(『プロフェッショナルの条件』)
ドラッカーは、この強みを知る方法を教えています。“フィードバック分析”です。なにかまとまったことを手がけるときは、必ず9ヵ月後の目標を定め、メモしておくのです。9ヵ月後に、その目標とそれまでの成果を比較する。目標以上であれば得意なことであるし、目標以下であれば不得意なことです。
ドラッカーは、こうして2~3年のうちに、自らの強みを知ることができるといいます。自らについて知りうることのうちで、この強みこそが最も重要です。
このフィードバック分析から、いくつかの行なうべきことが明らかになります。行なうべきではないことも明らかになります。
もちろん第1は、その明らかになった強みに集中することです。強みがもたらす成果の大きさには、誰もが驚かされるはずです。
第2は、その強みをさらに伸ばすことです。強みを伸ばすことは、至ってやさしいです。ところが誰もが、弱みを並の水準にするために四苦八苦しています。
第3は、その強みならざる分野に敬意を払うことです。不得意なことを負け惜しみで馬鹿にしてはならないです。自らにとって弱みとなるものに対してこそ、敬意を払わなければならないです。
第4は、強みの発揮に邪魔になることはすべてやめることです。強みを発揮できないほどもったいないことはないです。
第5は、人との関係を大事にすることです。そうして初めて強みも発揮できます。
第6は、強みでないことは引き受けないことです。正直に私は得意ではありませんと言うべきなのです。
第7は、強みでないことに時間を使わないことです。いまさら直そうとしても無理です。時間は、強みを発揮することに使うべきなのです。
これからは、誰もが自らをマネジメントしなければならない。自らが最も貢献できる場所に自らを置き、成長していかなければならない。(『プロフェッショナルの条件』)
安倍総理には、自らの強みを最大限に発揮していただき、増税を見送り、現在日本にとって最も重要なマクロ経済政策に邁進していただきたいです。

そうして、それは必ず大多数の国民に支持されることになります。

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2019年4月7日日曜日

「国民党が勝てば中台統一が加速」 2020年台湾総統選を台湾の保守系シンクタンクが解説―【私の論評】トランプ・安倍台湾電撃訪問で蔡政権・台湾独立派を勢いづかせる起爆剤に(゚д゚)!

「国民党が勝てば中台統一が加速」 2020年台湾総統選を台湾の保守系シンクタンクが解説

新台湾国策シンクタンク査部長 張人傑

張人傑氏 1956年生まれ。台湾の東海大学社会学部博士課程修了,淡江大学欧州研究所博士課程修了、
張榮發基金会・国家政策研究センター研究員。淡江大学公共行政学部専任講師退職。

台湾では2020年1月、総統選挙が行われる。この選挙の結果は、日本だけでなく、アジア全体の方向性を決めるものとなる。

台湾統一を狙う中国の習近平国家主席は今年1月の演説で、香港やマカオに適用している「一国二制度」の受け入れを台湾側に迫った。

これを断固拒否する姿勢の与党・民進党からは、現職の蔡英文総統と頼清徳・前行政院長(首相)が一騎打ちで公認候補を争う構図だ。

一方、台湾の親中派の野党、中国国民党からは、朱立倫・前党主席、王金平・前立法院長(国会議長)、韓国瑜・高雄市長らが出馬意欲を見せている。

来年の台湾総統選で、台湾の未来はどう変わるのか。台北市にある台湾独立志向の新台湾国策シンクタンクを訪れ、台湾政治に詳しい専門家による解説を聞いた。

(国際政治局 小林真由美)

◆     ◆     ◆


国民党が勝てば中国との統一が加速

台湾は今、これまで以上の危機に直面しています。中国国民党の呉敦義主席は今年2月、「国民党が総統選に勝利した場合、中国との平和協議に署名する可能性がある」と述べており、5月の新総統就任後、中国による台湾統一が一気に加速する恐れがあるのです。

これはまさに、中国が建国直後の1949年にチベットに侵攻し、併合した時と同じ状況になることを意味します。中国政府はウイグル人に対しても、最初はじわじわと同化政策を行いましたが、現在は数百万人ものウイグル人を強制収容所に入れて教育するという強硬手段に出ています。

中国共産党は、自由や民主主義の価値観を大事にする台湾人を洗脳し、中国人にしたいと考えているとみられます。今ある台湾の自由を守るためには、中国国民党への政権交代は何としても阻止する必要があります。

台湾メディアも中国共産党の影響下に

気になるのは、来年の総統選で民進党は勝利できるのだろうか、という点です。

昨年11月の統一地方選で、民進党は惨敗しました。この時、中国共産党と中国国民党がフェイク・ニュースを流したことも選挙戦に大きく影響したとみています。

今年3月の台南市の補欠選挙では、民進党は何とか議席を維持しましたが、中国国民党とその背後にいる中国共産党は今回もフェイク・ニュースを流して世論を変えようとしました。

現在、中国国民党と中国共産党は結託して、「民進党が勝ったら独立宣言をする。そうしたら台中関係は非常に緊張し、軍事的な危機が迫る恐れがある」というフェイク・ニュースを盛んに報じ、台湾の人を脅しています。

一方で、「中国国民党が勝ったら中国と平和協議を結ぶ(=台湾が中国に併合される)」というニュースはあまり広く知られていません。民進党は、この危険性をもっと訴えるべきです。

台湾の選挙でこの「フェイク・ニュース作戦」が成功したら、中国共産党は、今年の日本の選挙でも、来年のアメリカの大統領選挙でも同じ手を使うでしょう。来年の総統選挙でも、フェイク・ニュースに惑わされないことが大事です。

ところが、台湾のメディアの多くは中国共産党の影響を受けているため、中国共産党を批判するメディアは少なくなっています。むしろ、台湾では、「中国が短期間でいかに経済を発展させたか」を報じる番組が増えています。

台湾では「中台統一派」が増えている

台湾では現在、いわゆる機会主義者(オポチュニスト)が増えています。「中国に付いた方が有利そうなら中国に付く」という層です。日本人が考えている以上に、中国との統一を「悪くない」と考える中台統一派は多いのです。

台湾の文化は中国の影響を強く受けていますが、その点で宗教も大きな役割を果たしています。台湾には、観光地としても有名な龍山寺などに多くの台湾人が参拝していますが、そこで祀られている神様は皆、中国の神様です。その信仰の中身は、基本的に現世利益的なので、台湾人は一生懸命、「私はお金がほしいです」と神様に祈っている状態です(笑)。

台湾人の考え方が唯物論的になると、商売繁盛、経済発展が最優先になります。民進党も中国国民党も経済政策がダメとなると、「中国と統一した方が経済的に潤うのでは」と考える人が増えるのです。中国側も、台湾は武力侵攻しなくてもお金で買うことができると考えているとみられます。

台湾の唯一の友人は日本

現在、アメリカと台湾の関係は強化されていますが、それはお互いの利益のためであり、「友情」はないです。共通の敵である中国に対抗するために、台湾はカードとして使われていると指摘する専門家も多いです。

でも日本は違います。「台湾が中国の一部になれば、日本も危ない」という運命共同体という言葉以上の友情でつながっていると信じています。台湾の唯一の友人は日本だけです。

中国国民党も中国共産党も、来年の選挙で中台統一を実現したいと考えており、もし国民党が勝ち、民進党が敗れれば、中国の太平洋進出や世界大国化が一気に進みます。来年の総統選は、台湾の未来、日本の未来、そしてアジア全体の未来を分ける非常に重要な選挙になると言えるのです。(談)

【私の論評】トランプ・安倍台湾電撃訪問で蔡政権・台湾独立派を勢いづかせる起爆剤に(゚д゚)!

最近の台湾情勢については、以下の動画がかなりコンパクトでしかも、理解しやすいです。是非ご覧になってください。


この動画で、渡辺哲也氏が、トランプ大統領の台湾電撃訪問の可能性について語っています。

これは、確かにありそうですし、もし実現すれば台湾にとって、というより蔡英文政権にとって本当に良いことになります。

求心力を失いつつある与党が支持率を回復させる起爆剤となるのは、まさに「トランプ米大統領の台湾訪問」でしょう。
イラクを電撃訪問したトランプ米大統領

トランプ政権では、歴代政権に比べて米政府高官が訪台する頻度が多く、長らく凍結していた台湾への武器の売却も決定。米議会も、環太平洋合同演習(リムパック)への台湾の参加や、米台による合同軍事演習の実施を求める法案を提出するなど、政権も議会も台湾重視が鮮明となっています。

そうした中で、政府高官の相互訪問を可能にした「台湾旅行法」に基づき、トランプ氏が台湾を訪問すれば、蔡氏の支持率は一気に回復し、「台湾独立論」を勢いづかせることになります。同時に、中国に接近する台湾の「親中派」の勢いが削がれ、対中包囲網のつながりが強化されるのは違いないです。

もちろん、中国を大いに刺激することにはなりますが、中国がアジアの支配圏を強め続けるのであれば、トランプ氏の訪台は、極めて効果的なけん制球になります。トランプ氏は、対中包囲網の形成を後押しするためにも、台湾への訪問を実現すべきです。
以前、このブログでは、蔡英文総統はまともなマクロ経済政策を実行すべきということを掲載しましたが、確かにこれで蔡英文総統は人心を掌握し、来たるべき2020年1月、総統選挙を有利に運ぶことができるはずです。
しかし、これだけだとインパクトにかけるところがあります。しかし、トランプ米大統領台湾電撃訪問ということになれば、断然現政権にとって有利になります。
日本も、米国が昨年3月に成立させた『台湾旅行法』と同じような法律を成立させるべきです。同法は、閣僚級の安全保障関連の高官や将官を含む米政府当局者全員が台湾に渡航し、台湾側の同等役職者と会談することや台湾高官が米国に入国し国防総省や国務省の当局者と会談することを定めた法律です。
米国は中国との国交樹立以降、台湾とのこうした交流を自粛してきましたが、これをトランプ大統領は反故にしました。ラブコールを送る友人に日本も応えるべきです。

台湾に対する支援は、覇権主義の中国、「怨恨」感情を露わにする韓国や、強欲ロシアとの北方領土返還交渉にカネを使うより費用対効果は高いはずです。

オバマ政権末期に真珠湾を電撃訪問した安倍総理

そうして、日本は日本版『台湾旅行法』を成立させるだけではなく、トランプ大統領が台湾を訪問するしないは別にして、安倍総理が電撃訪問をすべきです。

無論トランプ大統領も電撃訪問したほうが良いに決まっています。トランプ・安倍台湾電撃訪問で蔡政権・台湾独立派を勢いづかせる起爆剤となれば、最高です。

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2019年4月6日土曜日

不安出ずる国、日本の消費増税(ウォール・ストリート・ジャーナル)―【私の論評】WSJの記事には、間違いもあるが概ね正しい。増税はすべきでない(゚д゚)!

不安出ずる国、日本の消費増税(ウォール・ストリート・ジャーナル)


日本は、経済成長の鈍化に直面する世界の多くの国々の仲間入りをしつつある。しかし、ある点において日本は異彩を放つ。安倍晋三首相は年内に消費税率を引き上げ、景気を悪化させると固く心に決めているように見えるのだ。

 日銀が1日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、警戒感を助長する内容だった。企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業・製造業でプラス12となり、昨年12月の19から悪化。7ポイントの悪化は2013年以降で最大となった。中小企業の業況判断も同様に暗くなった。これより先に発表された2月の小売売上高と鉱工業生産もさえない内容だ。鉱工業生産指数は1月までは数カ月連続で低下していた。2018年の国内総生産(GDP)成長率はかろうじて0.8%増となったが、今年は同様の水準を達成するのも難しいかもしれない。

 アジア経済を巻き込んでいる米中貿易戦争を含め、外圧は日本の助けになっていない。輸出依存型の日本経済は依然として、欧州や中国の経済減速の影響を受けやすい。

 加えて、国内問題もある。安倍首相の経済再生計画「アベノミクス」は8年目に入るが、いまだに完全には実施されていない。財政支出の増加や異次元金融緩和は行われたがが、アベノミクス「第3の矢」だったはずの政策改革は全く始まっていない。これが投資と生産性の伸びを圧迫している。

 安倍首相は、今年10月に消費税率を現行8%から10%に引き上げることで日本経済に大打撃をもたらそうとしている。企業も家計も、かつての経験から消費増税がどんな結果を生むか知っている。1997年以降、政府が消費税率を引き上げるたびに景気低迷、あるいは景気後退が到来した。安倍首相は2014年の消費増税(5%から8%)で経済が停滞した後、さらなる引き上げを延期した。しかし、財政規律強化を求める財務省は安倍氏に対し、財政赤字および政府債務の削減のための増税でプレッシャーをかけている。どういうわけか、増税後も債務は増え続けている。景況感指数が悪化するのも無理はない。

 日本はこれまで、毎年のようにケインズ主義的な財政支出やマイナス金利など金融政策の力で景気停滞からの脱却を目指してきた。しかし、思うような効果はあげられていない。世界の経済成長が加速し、米国発の貿易摩擦が緩和すれば、日本を後押しするかもしれない。しかし、安倍首相の増税は自分で自分の首を絞めることになるだろう。

(The Wall Street Journal)

【私の論評】WSJの記事には間違いもあるが概ね正しい。増税はすべきでない(゚д゚)!

昨日も消費税がらみのことをこのブログに掲載したのですが、この記事はかなり気になりましたので、本日も消費税がらみを掲載させていただきます。

名門経済紙と言われるウォール・ストリート・ジャーナルにここまで書かれては、さすがの財務省も気になるかもしれません。

上の記事で、あえて反論するところといえば、日本は輸出依存型の経済ではないことと、本当は財政赤字ではないというところでしょうか。

そもそも、国内総生産(GDP)とは「国内消費(C)+政府支出(G)+国内投資(I)+輸出(X)-輸入(M)」と定義されます(支出項目別の場合。なお、本当は在庫品調整なども含まれるのですが、金額的に大きくないので、ここでは考慮しません)。

GDP=C+G+I+X-M

つまり、大きく内需部分(C+G+I)と外需部分(X-M)から構成されているのですが、外国に輸出する金額(X)の比率が大きければ、外国から貿易関税などを突きつけられた場合の打撃が非常に大きい、ということがよくわかるでしょう。

また、外需の純額(X-M)が低くても、XとMのそれぞれのGDPに対する比率が高ければ、その分、貿易依存国家であるといえます。たとえば、外国から半製品や資本財を買ってきて国内で加工し、製品化して外国に輸出しているようなケースだと、XとMがともに大きくなります。

以上を踏まえ、総務省統計局が公表する『世界の統計2018』によれば、米国、中国、その他の主要国のGDP比率は、次のとおりです(図表)。

(【出所】総務省統計局『世界の統計2018』図表3-5/図表9-3より作成。ただし、Xは輸出依存度、Mは輸入依存度であり、計算方式の違いなどにより、合計しても100%にならない)

日本の輸出(X)は13.1%であり、これは米国よりは高いですが、他国よりは低いです。これでは、日本はどう考えても、輸出依存度が高い国とはいえません。昔は、依存度が高かったと思う人がいるかもしれませんが、過去に高かったという事実はなく、8%程度のこともありました。

以下に日本の貿易依存度のグラフを掲載しておきます。



2015年あたりまでは、輸出依存度が高まる傾向にありましたが、近年はまたもとの水準に戻っています。いずれにせよ、日本は貿易立国などと思いこんでいる人は、考え方を改めるべきです。

内需(C+G+I)の比率は、米国が103%と100%の水準を超えているのですが、これは米国が貿易赤字国である以上は当然のことです。要するに、「国内の生産力が足りないから、外国から輸出している状態だ」、と言い換えても良いでしょう。

一方、「輸出立国」と呼ばれる日本については、内需の合計はほぼ100%であり、純輸出(X-M、つまり貿易黒字の比率)もGDPの0.8%に過ぎません。このため、日本は米国ほどではないにせよ、諸外国と比べ、内需の比率は高いということです。

これに対し、中国、韓国、ドイツの3ヵ国の事例は極端です。いずれも内需を合計すると100%になりません(中国は95%、韓国は94%、ドイツは93%)。ということは、これらの国は貿易黒字によってその差額を埋めているということを示しています。

さらに、輸出依存度だけで見ると、中国は20%近く、韓国とドイツに至っては40%近くに達しており、これらの国が「貿易戦争」の影響を強く受けることは明白です。日本は、これらの国ほど「貿易戦争」の影響を受けることはありません。

次に、財政赤字ですが、これについてはこのブログでは以前IMFのレポート等で紹介しましたが、日本の財政赤字だけをみると、とんでもないと思いがちですが、日本政府の負債だけではなく、資産(現金・預金が7割を超えている、他の不動産なども超優資産ばかりで、現金に替えやすいです)も加味すると、政府の借金はゼロに近いというものです。

以下に、その記事のリンクを掲載します。
コラム:日本の純資産はプラマイゼロ、IMFの新国富論―【私の論評】財務省は解体し複数の他官庁の下部組織として組み入れ、そのDNAを絶つべき(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
巨額の借金を抱える日本の場合、負債額はGDPの283%に相当するが、その半分以上を日本銀行を含めた政府機関が抱えている。他の資産も考慮に入れて試算すると、日本の「純資産」はほぼプラスマイナスゼロになると、IMFは指摘している。

IMF Fical Motitor 2018に掲載されたグラフ
一方で、財政黒字を誇るドイツの場合、純資産はマイナスだ。
資産も含めれば、日本の資産はプラマイゼロということです。これは、英米よりも良い状況です。

以上の2点は、ウォール・ストリート・ジャーナルの記事は間違いだと思いますが、その他はすべて正しいと思います。

この状況を踏まえると、安倍晋三首相は年内に消費税率を引き上げ、景気を悪化させると固く心に決める必要など全くありません。

そのようなことより、さらに積極財政と金融緩和を行い、デフレから完全脱却と、世界経済の悪化に備えるべきです。

現状で、消費税を上げると、消費が減って内需を減らすということになります。日本ではGDPに占める個人消費の割合は6割台です。これが減れば、GDPも低迷するのは当然です。

現在日本経済に必要なのは、増税という緊縮財政ではなく、積極財政です。さらに現状実質的に引き締め傾向である、金融政策を改めて、さらなる量的な金融緩和策を実行することです。

どう考えても、増税などすべきではありません。そのことを理解してるからこそ、ウォール・ストリート・ジャーナルは安倍総理を揶揄するような記事を掲載したのでしょう。

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2019年4月5日金曜日

安倍首相は「令和」機に消費税と決別を デフレ不況深刻化の元凶 ―【私の論評】令和年間を「消費税増税」という大間違いから初めてはいけない(゚д゚)!


元号を発表する菅官房長官

 5月から「令和」の時代に移ることになった。漢和辞典によれば、「令」の原義は神々しいお告げのことで、清らかで美しいという意味にもなるという。日本の伝統とも言える「和」の精神にふさわしい。

 だが、ごつごつとした競争を伴う経済社会では、清らかに和やかに、では済まされない。

 野心と挑戦意欲に満ちた若者たちがしのぎを削り合ってこそ、全体として経済が拡大する。経済成長は国家が担う社会保障の財源をつくり出し、競争社会の安全網を充実させ、和を生み出す。社会人になっていく若者たちの負担が軽くなるし、家庭をつくり子育てしていけるという安心感にもつながる。

 そこで、新元号決定直後の安倍晋三首相の会見をチェックしてみると、「次の世代、次代を担う若者たちが、それぞれの夢や希望に向かって頑張っていける社会」「新しい時代には、このような若い世代の皆さんが、それぞれの夢や希望に向かって思う存分活躍することができる、そういう時代であってほしいと思っています。この点が、今回の元号を決める大きなポイント」と「若者」に繰り返し言及し、若者が「令和」時代を担うと期待している。

 だが、超低成長のもとでは「令」も「和」も成り立ち難い。若者は経済成長という上昇気流があってこそ、高く飛べると楽観できる。ゼロ成長の環境下では、殺伐とした生活しか暮らせないケースが増える。

 グラフは、平成元年(1989年)以来の日本の実質経済成長率の推移である。日本と同じく成熟した資本主義の米欧の年平均の実質成長率が2~3%台だというのに、日本はゼロコンマ%台のまま30年が過ぎた。原因は人口構成の高齢化、アジア通貨危機、リーマン・ショックなどを挙げる向きが多いが、ホントにどうなのか。



 高齢化はドイツなど欧州でも進行している。アジア通貨危機では直撃を受けた韓国はV字型回復を遂げたし、リーマンでは震源地の米国が慢性不況を免れた。いずれも日本だけがデフレ不況を深刻化させた。経済失政抜きに日本の停滞は考えにくい。

 最たる失政は消費税にある。政府は平成元年に消費税を導入、9年(97年)、そして26年(2014年)に税率を引き上げた。結果はグラフの通り、実質成長率はよくても1%台に乗るのがやっとで、家計消費はマイナス続き、外需頼みである。

 消費税はデフレ圧力を生み、経済成長を抑圧するばかりではない。所得が少ない若者や、子育てで消費負担が大きい勤労世代に重圧をかける。今秋の消費税率10%への引き上げは、首相が力説した、若者が担うはずの「令和」時代に逆行すると懸念せざるをえない。

 首相はデフレ下の増税に決別し、経済成長最優先という当たり前の基本路線に回帰すべきだ。その宣言は秋の消費税増税中止では物足りない。思い切って消費税率の引き下げを打ち出す。平成が終わり、令和にシフトする今こそ、政策転換のチャンスではないか。(産経新聞特別記者・田村秀男)

【私の論評】令和年間を「消費税増税」という大間違いから初めてはいけない(゚д゚)!

最たる失敗は確かに冒頭の記事にもあるように、諸費税増税です。他が駄目であっても、少なくとも消費税増税をしていなけれは、日本の経済はこれほど低迷することはありませんでした。

トリンプは、2018年11月29日、世相を映すブラジャーの新作として、東京スカイツリーを
モチーフにした「平成ブラ」(非売品)を発表しました。トリンプは1987年から世相を反
映した下着を定期的に発表し、今回が63作目でしたが、世相ブラは今回で終了するそうです。

「平成」には経済に関して本当に良い思い出は少ないです。先進国の中で、日本だけが経済成長しませんでした。世界各国の国内総生産(GDP)の推移をグラフで書くと、日本だけが横ばいで、この意味で「平に成った」と皮肉ることもできるかもしれません。

先進国で唯一ともいっていいくらいの「デフレ」で悩まされました。少なくとも「失われた25年」といえるでしょう。平成30年間のうちの25年ですから、ほとんどの期間が失われていたということになります。

そうして。もう一つ日本を駄目にしたのは、日銀による金融政策です。日本が最初にデフレになったのは、インフレ率が高くないにもかかわらず、日銀がバブル潰しとして金融引き締めを行ったからです。それは間違いだったのに、その後も日銀が間違いを続けたため、日本はデフレ状況から抜け出すことができませんでした。さらに、これに消費税増税が追い打ちをかけました。

新しい元号「令和」の決定を受け、記者会見で談話を発表する安倍首相

しかしそれは、平成最後の安倍晋三政権でただされました。2013年4月から、異次元の金融緩和を行い、日本経済が急速に改善しはじめました。ただし、その後2014年4月から、消費税を8%にあげ、さらには2016年9月で事実上の金融引き締めを行い、景気も17年12月あたりがピークとなってその後下降気味で、すでに腰折れしているようです。

今月1日に公表された日銀短観は、これらを確認するものでした。大企業・製造業の業況判断指数は、前回の昨年12月調査から7ポイント悪化し、悪化幅は12年12月調査以来、6年3カ月ぶりの大きさとなりました。

平成は、日銀の間違いから始まって、間違いで終わるのでしょうか。そうして、「令和」元年は、10%への消費税増税という間違いから始まるのでしょうか。

もし、そうなれば、「若い世代の皆さんが、それぞれの夢や希望に向かって思う存分活躍することができる、そういう時代」とは程遠い時代になります。

また、若者が真っ先に苦しむ時代になります。それだけは、避けたいです。令和年間を「消費税増税」という大間違いから初めてはいけないのです。

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