2019年8月19日月曜日

文在寅の報復は「日本に影響ナシ」どころか「韓国に大打撃」の可能性―【私の論評】断交前に韓国のカントリーリスクを高める価値は十分ある(゚д゚)!

文在寅の報復は「日本に影響ナシ」どころか「韓国に大打撃」の可能性

経済の条件が違いすぎる







文在寅


感情的な対応の代償

日韓関係がかつてないほどに緊迫している。すでに、貿易戦争に突入していると言っていい。

最近の出来事を整理しておけば、日本は8月2日、韓国を輸出管理上の優遇国(グループA)から除外する政令を閣議決定した。

これに対して、韓国政府は日本の輸出管理強化への対抗策として、(1)日本を「ホワイト国」から外すと発表した。その上で韓国では、民間レベルで(2)日本製品をボイコットしたり日本行きの旅行をキャンセルしたりする動きが出ている。

さらに韓国政府は、(3)WTOへの提訴、(4)日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の更新を行わない(8月24日までに通告義務)等が検討されていると報じられている。

はたして、これらの韓国の報復措置は、どこまで意味があるのだろうか。

結論を言えば、ほとんど日本経済には影響がない。それどころか、もし日本が本気で対抗策を実行し始めたら、韓国経済は潰れてしまうだろう。韓国は、感情的な対応をするのではなく、一刻も早く冷静な対応をとった方がいい。

まず、日本の輸出管理の見直し措置は、いわゆる徴用工問題に対する報復ではなく、あくまで安全保障上の措置である。

それなのに韓国政府は、「本音は、いわゆる徴用工問題の報復だろう」と公言し、対抗措置を取っている。外交的に、きわめて稚拙だ。

韓国の人とこの話をしても、同じく「本当は、いわゆる徴用工への対抗措置なんだろ」と言ってくる。外交においては、あくまで建前が重要だ。韓国側が、日本が掲げるような安全保障上の問題として扱っていれば、これほどこじれることはなかった。

つまり、日本の措置をいわゆる徴用工問題への報復と捉えているところが、韓国の外交上のミスだ。日本側の問題提起では、あくまで輸出管理の問題なので、最終需要者などを韓国側が特定し、不正な再輸出はなかったと弁明するなり、もしあっても再発防止策を講じるなどの措置を行えば、日本としても基本的には受け入れざるを得ない。

それなのに、徴用工問題と関係していると韓国が言い張るのは、韓国として問題解決をしたくない、と言っているのに等しい。

ここでは、韓国は感情的にならずに、日本がいう安全保障上の措置という問題提起に冷静に乗ったほうが得策だったはずだが、感情だけで動いたのがそもそもの間違いだ。

感情で動くのは韓国の特徴ともいえるが、文政権としては、自分たちの経済運営があまりに無残なので、国内からの批判を日本に向けたかったのも一因だろう。

文在寅政権の「失敗」はどこか

韓国の失政の代表例は、雇用政策である。文政権は、韓国内では左派政権とされるが、それが雇用政策に失敗したとあっては、面目がないだろう。この点、韓国の文政権は驚くほど日本の民主党と共通点がある。

文政権は、「最低賃金引き上げ」と「労働時間短縮」に取り組んだが、結果として失業率は上がってしまった。

最低賃金引き上げも労働時間短縮も、ともに賃金引き上げを意図した政策だ。しかし、金融緩和を行って雇用を作る前に、先に賃金を上げてしまうと、結果として雇用が失われる。典型的な失敗政策で、まさに日本の民主党政権と同じ間違いだ。

左派政党の建前は、労働者のための政治だ。このため、雇用を重視する。しかし、雇用を作るための「根本原理」が理解できていないと、目に見えやすい賃金にばかり話が行きがちだ。

金融緩和は、一見すると企業側が有利になる。そのため左派政党は、短絡的に「金融緩和は労働者のためにならない」と勘違いする。金利の引き下げは、モノへの設備投資を増やすとともに、ヒトへの投資である雇用を生み出すことを分からないからだ。

この間違いを犯す人は、金融引き締めで金利を上げることが経済成長のためになる、などと言いがちだ。例えば、立憲民主党の枝野幸男代表がその典型だ。

そうした勘違いの末、政策として実行しやすい最低賃金の引き上げを進める、という話になる。民主党政権もこれで失敗した。

政権を取ってはじめの年、2010年は、最低賃金を引き上げるべきでなかった。左派政権であることの気負いと経済政策オンチからか、前年比で2・4%も最低賃金を引き上げてしまったのだ。

前年の失業率が5・1%だったので、その値から導かれる無理のない最低賃金引き上げ率は、せいぜい0・4%程度であるのに、民主党はもったいないことをした(この点は、かつて本コラムでも概要を紹介した)。

韓国が痛手を被る構造的理由

韓国の文政権も、この日本の民主党と同様の失敗をした。2018年1月、最低賃金を16・4%引き上げたのだ。その結果、3・6%だった失業率が1年後には4・4%まで上昇し、今年の5月には4・0%と高止まりしている。

そうした失敗の結果、韓国の失業率は、安倍政権以前には日本よりも低い水準だったが、最近では逆転し、日本のほうが低くなっている。特に若者の失業率では、日韓の逆転は顕著である。


もっとも、韓国と日本とでは経済構造が異なることには留意しておいたほうがいい。

まず、日本のGDPはおよそ5兆ドルであるが、韓国はその3分の1にすぎないおよそ1・6兆ドルだ。外貨準備についても、日本は3兆1000億ドルであるのに対し、韓国は4000億ドル(2018年)と7分の1しかない。

しかも、貿易依存度(輸出入合計額のGDPに対する比率)を見ても、日韓で格差がある。

もともと日本は内需中心の国であり、貿易依存度は27・4%だが、韓国は貿易依存度が高く67・6%だ(2017年)。貿易のうち輸出だけをみても、日本の輸出依存度は14・1%、韓国は37・7%。

さらに日本の輸出先のうち、韓国のシェアは7.1%、韓国の輸出先のうち日本のシェアは4・5%なので、日韓間での輸出不振からくるGDPへの影響度は、韓国の方が日本より1・7倍大きいことになる。また、日本の輸入先のうち韓国のシェアは4・5%、韓国の輸入先のうち日本のシェアは11%だ。

つまり、日本は外需依存が少なく、韓国からの影響も受けにくいが、韓国の状況は日本とは逆なので、どう考えても韓国のほうがより大きな影響を受けることになるだろう。

また、外需依存の強い韓国では外資依存も強いので、大きな経済ショックがあると、外資が引き上げられて国内経済がガタガタになってしまう。これは、1998年の金融危機のときに経験済みである。通貨のウォンが大幅下落して対外債務負担が著しく大きくなり、それが国内経済をも毀損するのだ。

こうした観点からみると、このまま日韓で貿易戦争が進展すれば、韓国のほうが痛みが大きい。

訪日客は確かに減っているが…

韓国経済にはこのようなアキレス腱があるために、まともなマクロ経済政策を打ちにくいのも痛いところだ。

対外的な経済危機のときには、国内マクロ経済政策として、変動相場制を採用している先進国においては金融緩和によって為替安状態を作り、同時に積極財政によって国内での有効需要を創出する。

ここでポイントになるのは、金融緩和である。もし、金融緩和を行わずに積極財政だけを行うと、国内で国債発行するために金利が上がり、それが通貨高を招いて輸出減少へつながり、国内での有効需要創出が相殺されてしまう。これが、有名なマンデル=フレミング効果であり、しばしば先進国で見られる現象である。

しかしいずれにしても、韓国がこのオーソドックスな金融緩和と積極財政を行うと、為替安を誘発し、韓国経済にはかえってマイナスになる可能性があるので、金融緩和を行えない弱みがある。この点も、韓国のマクロ経済構造は日本より不利であるといえる。

日本に対する韓国の「報復措置」は、こうした条件の上に行われている。(1)日本を「ホワイト国」から外すこと、(2)日本製品をボイコットしたり日本行きの旅行をキャンセルする動き、(3)WTOに提訴する、(4)日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の更新を行わないといった施策は、日本に対して影響がないばかりか、むしろ韓国自身への打撃になる。

まず(1)について、日本にとっては痛くも痒くもない。前述した通り日本は内需依存国であり、輸出依存度が高くないからだ。しかも、日本はEUなどから優遇国として扱われているので、韓国からの扱いは、はっきり言ってどうでもいい。

では(2)についてはどうだろうか。2018年の韓国からの日本への訪問者は753万9000人と、中国からの838万人に次いで2位。3位は台湾からの475万7000人だ。

しかし、2018年の訪日外国人旅行消費額でみると、韓国は5881億円であり、中国の1兆5450億円に次ぐ2位だが、3位の台湾の5817億円と大差ない。ちなみに1人あたりの消費額でみると、中国18万4000円、台湾12万2000円なのに対し、韓国は7万8000円とかなり低い。

確かに最近、日本を訪問する韓国人は減少している。昨年6月から今年5月までの毎月の訪問者数を対前年同月比で平均してみると、韓国は4・6%減だ。

ただし、中国が10・2%増、台湾は0・3%減なので、韓国からの訪問者の減少は中国が補ってあまりある。中国からの訪問者の消費単価は韓国の倍以上なので、全国平均であれば、韓国からの訪問者数減少が日本の消費にもたらす影響は、あまり大きくないだろう。

むしろ、韓国からの訪問者数の減少が、韓国の旅行業者やLCC事業者など韓国側の企業に悪影響が出ているというレポートもある。先行き業績の悪化を懸念して、韓国LCC各社の株価も低迷しているのだ。

(3)のWTO提訴については、WTOの上級審は事実上機能していないので、当面の解決策にはならない。
また(4)について、これはそもそも米国が許さないし、韓国の軍事的協力がなくとも、アメリカとさえ情報共有できれば、日本としては何の問題もない。

日本にはまだ手がある

今後はどうなるのか。いずれ韓国はアメリカに泣きついて、政治的な仲介を頼むしかなくなる。

8月2日、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会合が開催されているバンコクで、日米韓外相会談があった。ポンペオ米国務長官は日韓での対話を促しただけで、積極的な仲介はしなかった。しかも日米韓外相会談の前日の1日、日米外相会談が行われており、アメリカは日本の事情を理解している。

つまり、表面上アメリカは日韓のいずれにも肩入れしないが、実際には日米両国が駄々っ子の韓国を持て余している、という状態だ。

さらに、韓国が感情的に主張する、「日本の措置はいわゆる徴用工問題への報復だ」とする構図も、アメリカからの情報をきちんと分析すれば、あまり筋が良くない。

アメリカは、いわゆる徴用工問題については「日韓協定により解決済み」という日本の立場を支持していることがすでに明らかになっている。韓国がこの程度の情報さえ入手しないで、感情的に対応しているのは呆れるほかないが、ここでも韓国の勝ち目はなく、詰みの状態だ。

日本は今のところ「安全保障上の措置」をとっているに過ぎないが、本格的に韓国経済へ打撃を与えようと思えば、まだ手が残されている。

今回の輸出規制管理の見直しは「モノ」に対する措置であるが、財務省管轄の外為法を使えば、韓国のカントリーリスクを高めることも、金融庁のさじ加減で可能になる。これは韓国経済の息の根を止めうる措置であり、発動すれば1998年の金融危機の再来になるかもしれない。

韓国は、今回の日本の措置が安全保障上の問題であるという原点に戻って、冷静に対応したほうがいい。
【私の論評】断交前に韓国のカントリーリスクを高める価値は十分ある(゚д゚)!

冒頭の記事で、高橋洋一氏がいうところの、カントリー・リスクとは、その国の政治・経済情勢によって企業などが損をしたり、資金回収ができなくなる危険性を指します。韓国のカントリー・リスクを引き上げることでは、2つの効果があります。

まず、第一は韓国の銀行は現在、ドル送金ができないという報道があります。韓国企業は邦銀を含む外国銀行のソウル支店を利用して送金しています。金融庁が保証債務のリスク区分を引き上げれば、邦銀は手を引かざるを得ず、ほかの外国銀行も手を引くことになります。韓国の外貨調達コストは一気に上がることになります。

このブログにも以前掲載したことですが、韓国紙、中央日報(日本語版)は昨年11月、韓国経済新聞の記事として、米金融当局のコンプライアンス強化の要求に対応できないため、ニューヨークにある韓国系銀行の支店と現地法人が送金中継や貸付などの業務を相次ぎ中断していると伝えています。グローバル金融の中心地ニューヨークで韓国系銀行は連絡事務所に転落しています。

第二は、カントリー・リスクの引き上げは、韓国の貿易も直撃します。

国際貿易でモノを輸入する際、『信用状』というものが使われています。企業の代金決済を保証する一種の手形のようなものです。韓国の銀行の信頼は低く、簡単には受け取ってもらえません。邦銀が再保証する形で流通しています。保証をやめれば輸入が止まります。

これまで、日韓間では「政治と経済は別」という意識が強かったのですが、文政権の韓国は、国家間の約束も守らないうえ、海上自衛隊の哨戒機に危険な火器管制用レーダーを照射し、国会議長が「天皇陛下への謝罪要求」をするなど、常軌を逸しています。

日本財界も、韓国の対応を問題視しており、1969年以降、毎年開かれていた「日韓・韓日経済人会議」も、今年5月にソウルで開催予定でしたが延期となりました。

外務省の金杉憲治アジア大洋州局長は14日、ソウルの韓国外務省で開かれた金容吉(キム・ヨンギル)東北アジア局長との会談では、対立激化を回避する努力をしていくことで一致したといいますが、ボールは韓国が持っています。日本企業に実害が出る事態になれば、効果的な一打を返すしかないです。

韓国のカントリー・リスクの引き上げは、その効果的な一打になることは間違いありません。

これは、いずれ発動しなければ、韓国の外交的非はこれからも続くでしょう。元来、政権が変わったら前政権が行った政策は覆しても構わない、という発想が韓国政治の特徴です。

徴用工裁判の原告

しかし、国際社会では、前政権の外交上の約束事は次の政権も引き継がなくてはいけないのが鉄則です。日本も民主党政権時の政策の尻拭いを現政権がしています。それが国際社会における当然の姿勢です。

米国やつい最近までの英国の二大政党制においては、たとえ政権が変わったとしても、前政権の政策の6割〜7割を引き継ぐのは当然のことです。残りの4割から3割で新政権らしさを出すというのが常識です。これは、政権が変わるたびに何もかもが変わると、国民生活に重大な支障をきたすからです。

国と国の条約も同じことです。政権が変わるたびに前政権が交わした条約を反故にするというのであれば、そもそも外交は成り立ちません。政権が変わって、前政権が交わした他国と交わした条約を変えたいというのであれば、そこからが交渉です。

相手がいることですから、変えられるかどうかは定かではありません。しかし、はっきりしていることは、交渉の上で、当事者国同士が新たな条約を結ぶまでは、前の条約は生きているということで、両国とも前条約を守るというのが筋です。これは、国際社会の常識です。

日本では小村寿太郎が不平等条約を変更するどれほどの努力と年月をかけのか、知っている人はこれを当然のこととするでしょう。不平等条約ですら、勝手にすぐに破棄ということはできないのです。これが国際社会の常識です。ましてや、日韓は不平等条約を結んでいるわけではないのですから、何をか言わんやです。

小村寿太郎

これを政権交代を理由に、平気で変えられると思っているのが韓国です。日韓合意の破棄は外交的にはありえない、恥ずべき行為の極みです。そのことを韓国は知るべきなのです。

韓国にそうさせるためには、まともな手段を用いていては、できません。このブログでは、断交すべきと主張してきました。たしかに、これくらいのショックはないと韓国は態度を改めない思います。しかし、その前に、韓国のカントリーリスクを高めるという措置は実行してみる価値が十分あると思います。

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2019年8月18日日曜日

日韓対立激化、沈黙の中国はこう観察していた―【私の論評】朝鮮半島の現状を韓国一国で変えることは到底不可能(゚д゚)!


「日韓が対立しても米日韓の同盟は揺るがない」

G20大阪サミットで握手する韓国・文在寅大統領と日本の安倍晋三首相(2019年6月29日)

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 日韓対立が国際的な波紋を広げるなか中国の反応も注目されているが、このたび中国政府系の著名なアジア研究者が日韓対立の影響を考察する論文を官営メディアに発表した。

 論文によると「現在の日本と韓国との対立が、両国の米国との同盟、そして米日韓3国軍事協力を崩すことはない」という。日韓両国の対立が東アジアの安全保障面での米国の立場を大幅に弱めることはなく、中国としては重大な動きとしてはみていない、という趣旨である。

 一方で、論文の筆者は日韓対立が北東アジアの安全保障態勢の再編の始まりを示唆するとして、中国には有利となる動きだとの認識も示した。

日韓対立に対する、初めての中国側の反応

 日本と韓国との最近の対立に、米国も真剣な関心や懸念を示すようになった。

 米国は北朝鮮の非核化や中国の軍事膨張に対応するため、日韓両国との同盟に基づく3国連帯を強く必要としている。日韓両国が衝突すると、その連帯が崩れることになる。日韓両国の離反が中国を利することにつながることは米国にとって大きな懸念材料である。

 では、実際に中国は今回の日韓対立をどうみているのか。トランプ政権としては中国の反応を探りたいところだが、これまで中国側が日韓対立について、公式にも非公式にも論評することはなかった。

 そんななか、中国の官営新聞「環球時報」英語版(8月8日付)に「北東アジアは今より多くのコンセンサスをみる」というタイトルの論文が掲載された。「日韓対立に対する、初めての中国側の反応」だとして、米側の一部専門家が大きな関心を寄せている。

 同論文を執筆したのは、中国黒竜江省社会科学院「北東アジア研究所」の笪志剛所長である。笪(だ)氏は中国の社会科学院で中国とアジア諸国との関係を中心に長年、研究を重ね、中国と日本、韓国との外交関係について中国学界有数の権威とされているという。

3国の同盟関係が崩れることはない


笪志剛氏
 笪氏は論文で、日韓対立に対する中国当局の見方を紹介していた。論文の主要点は以下のとおりである。

・現在の日本と韓国との離反は、貿易、二国関係全般、両国民の感情での対立に及んでいる。日韓両国ともに相手に関する誤った判断、誤った認識を抱いたことが現在の紛争へと発展した。しかし両国とも米国との絆を減らそうとしているわけではない。

・現在の日韓紛争は、米日韓3国の同盟の本質部分に打撃を与えているわけではない。日韓の貿易紛争は3国の協力全般に少なからず影響を及ぼすかもしれない。しかし3国間の軍事同盟は安定したままだろう。

・現状では、日韓対立が、米国が日韓両国と個別に結んでいる同盟を崩壊させることはない。米国が両国に及ぼしている影響力を減らすこともないだろう。米国は、日本と対立して苦しい立場にある韓国に対して、在韓米軍の経費の大幅増額を求めている。米国が対韓同盟の保持に依然として強い自信を持っていることの表れだといえる。

・日本と韓国が結んでいる韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)は、8月24日に改定の時期を迎える。この軍事情報共有の協定がどうなるかは重要だ。もし協定が骨抜きとなったり破棄される場合は、米日韓3国の軍事同盟関係にヒビが入ることになる。だが、それでも3国の同盟関係が完全に崩れることはないだろう。

・米国は現在の日韓対立に介入していない。日本は韓国の枢要産業分野に照準を絞り、制裁を加えた。米国も制裁や関税を他国への交渉の武器として使っている。だから日本の行動を批判する資格はないということだろう。

 以上のように笪論文は、「日韓関係の悪化が、ただちに日米同盟、米韓同盟、さらには米日韓3国の安保連帯の弱体化につながることはない」とする中国側の見解を繰り返し強調していた。この見解には、米国が「日韓対立が中国を利する」と警告することへの反論や否定が含まれているという見方も成り立つ。だが、中国側が「日韓衝突がただちに米国の北東アジアでの安全保障や軍事の政策の継続に大きな支障を与えることはない」と認識していることは確かだろう。
中国が期待すること

 また、笪論文は中国やロシアの側の動向について、次のような骨子も述べていた。

・最近、中国、ロシア、北朝鮮の間で歩調を合わせて協力する動きが増えてきた。日韓が対立する間に、中国とロシアはアジア太平洋地域で合同の戦略爆撃演習を実行した。北朝鮮は短距離弾道ミサイルを何回も発射した。3国関係の改善を表している動きといえるだろう。

・こうした動きがみられるのは、各国が独自の地政学的な戦略を有しているからである。かといって中国、ロシア、北朝鮮が国家の本質的な部分で連携したり、新たな同盟を結ぶことはないだろう。ただ、日韓対立を除いて、北東アジア諸国はより多くのコンセンサスを有するようになったといえる。

・習近平主席は、今や北東アジアの平和と安定のために関係各国が一国主義や保護貿易主義を排して共通の利益を求める段階になったと改めて宣言した。北東アジアのパワーバランスは再編成されていくだろう。

 以上のように述べるこの論文は、後半で中国の戦略目標を巧みに表明しているわけだ。つまりは、米国が後退していくことへの願望をにじませつつ、中国、ロシア、北朝鮮の協力やコンセンサスの拡大に期待するということだろう。

 だがそれにしても、現在の日韓対立が米国の対日、対韓の両同盟の根幹を揺るがすことはないだろうとする中国側の観測は注視しておくべきである。

【私の論評】朝鮮半島の現状を韓国一国で変えることは到底不可能(゚д゚)!

この見方は確かに中国の見方ですが、中国共産党の見方をすべて表しているとも思えません。その背後には、さらに何かがあるはずです。まずは、中国共産党としては朝鮮半島をどのように捉えているかを認識すべきです。

それについて、参考になることは以前もこのブログに掲載しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
北朝鮮『4・15ミサイル発射』に現実味!? 「絶対に許さない」米は警告も…強行なら“戦争”リスク―【私の論評】北がミサイル発射実験を開始すれば、米・中・露に圧力をかけられ制裁がますます厳しくなるだけ(゚д゚)!
4月時点では、マスコミは北朝鮮のミサイル発射実験の可能性を指摘していた
この記事では、朝鮮半島の近隣諸国がいずれの国も現状維持(Status quo)を望んでいることを前提として論を展開しました。この記事から朝鮮半島を巡る近隣諸国等のStatus quoを説明する部分を以下に引用します。
さて、現代も現状維持勢力と打破勢力の相克で動きます。ただし、世界大戦のように劇的に動く時はめったにありません。では、東アジアにおいて、誰が今この瞬間の現状打破を望んでいるでしょうか。 
昨年の米朝会談で、北朝鮮は核兵器の全面廃棄と今後の核実験の中止を約束しました。約束を履行した場合の経済援助も含みがありました。 
北朝鮮の望みは、体制維持です。金正恩とその取り巻きの独裁体制の維持、労働党幹部が贅沢できる程度の最小限度の経済力、対外的に主体性を主張できるだけの軍事力。米国に届く核ミサイルの開発により、大統領のトランプを交渉の席に引きずり出しました。間違っても、戦争など望んでいません。
この立場は、北朝鮮の後ろ盾の中国やロシアも同じです。習近平やウラジーミル・プーチンは生意気なこと極まりない金一族など、どうでも良いのです。ただし、朝鮮半島を敵対勢力(つまり米国)に渡すことは容認できないのです。
だから、後ろ盾になっているのです。結束して米国の半島への介入を阻止し、軍事的、経済的、外交的、その他あらゆる手段を用いて北朝鮮の体制維持を支えるのです。
ただし、絶頂期を過ぎたとはいえ、米国の国力は世界最大です。ちなみに、ロシアの軍事力は現在でも侮れないですが、その経済力は、GDPでみると東京都を若干下回る程度です。
ロシアも中国も現状打破の時期とは思っていません。たとえば、在韓米軍がいる間、南進など考えるはずはないです。長期的にはともかく、こと半島問題に関しては、現状維持を望んでいるのです。少なくとも、今この瞬間はそうなのです。
では、米国のほうはどうでしょうか。韓国の文在寅政権は、すべてが信用できないです。ならば、どこを基地にして北朝鮮を攻撃するのでしょうか。さらに、北の背後には中露両国が控えています。そんな状況で朝鮮戦争の再開など考えられないです。
さて、この状況は、基本的には現在も変わっていません。しかし、変化はみられます。北朝鮮と中国は単純に同盟国とみられていますが、現在では北朝鮮は、中国の干渉を極度に嫌っています。さらに、大きな変化としては、北朝鮮が核と弾道ミサイルを開発したことです。

しかし、これは結果として中国が朝鮮半島全体に浸透することを防いでいます。この状況は米国にとって必ずしも悪い状況ではありません。最悪は、中国が朝鮮半島全体に浸透することです。

北朝鮮が中国の干渉を極度に嫌っていることもあって、北朝鮮は米国大統領を交渉の場にひき出すことに成功しました。

一方韓国は、現状維持を破る方向に動いています。まずは、在韓米軍が駐留しているという現実がありながらも、中国に従属する姿勢をみせました。さらに、文在寅政権になってからは、北と接近して、南北統一を目指すことを強く主張しはじめました。

これについては、金正恩は本当は現状維持を望んでいるのに、何とか制裁破りをしたいのと、とにかく外貨がほしいことから、文在寅に良い顔をして、いかにも南北統一を自らも目指しているような素振りをみせました。

これにすっかり舞い上がった文在寅は、南北統一をさらに大きく主張し始めたのですが、金正恩はこれをきっぱりと否定しました。

中国共産党も当然基本的に現状維持を望んていますし、上記のようなことは理解しています。しかし、文在寅は、中国に従属しようとする一方で本気で南北統一をするということで、現状打破をしようとしています。

中国側からみれば、米国としては当然のことながらこの韓国の振る舞いを絶対に許すはずがないとみたことでしょう。仮に中国の版図内でこのようなことが起これば、中国もこれを絶対に許すはずもありません。

中国としては、現在の日韓対立を在韓米軍の韓国撤退直前の経済焦土化の前触れてあると見ているでしょう。米国は、本当に韓国から在韓米軍を引きあげることになれば、日本はもちろん米国も韓国内で経済焦土化をすると知らしめているとみているのです。

韓国もそのことに気づいていることでしょう。日本としては、韓国にすぐに経済制裁をするつもりはないものの、いざとなればできるし、いざとなれば、米国もそれができるということを韓国に悟らせるために、今回の貿易管理の措置がとられたものと、中国はみているでしょう。

そうして、日本のマスコミなどは、日韓の対立が深まったことにより、習近平はほくそ笑んでいるなどと報道していますが、むしろ中共としては、米国にはすでに経済冷戦を挑まれており、韓国に対して貿易管理の動きに出た日本は、中国に対してもこれを発動する可能性もあることを危惧していることでしょう。

何しろ中国は「製造2025」を標榜していながら、中国の製造基盤はあまりにも技術水準に高低差がありすぎます。中国は、月の裏側に無人探査機「嫦娥4号(じょうが4号)を世界で初めて、着陸させた一方で、信じ難いことに航空機などに用いられる精度の高いネジを製造することできませんし、工作機械も製造できません。

日本が中国を制裁対象とすれば、中国の製造戦略は絵に描いた餅になる

無人探査機のネジなどは無論外注していることでしょう。無論工作機械もそうでしょう。これらの輸出が止められれれば、中国はもちろん無人探査機等を製造することはできません。

日本からは、中国は様々なハイテク部品、素材、様々な用途の工作機械等を輸入しています。もし日本が米国とともに、中国を経済制裁の対象とした場合「製造2025」など吹き飛びます。

このような現状を踏まえれば、韓国は到底在韓米軍の撤退など要求できないはずです。韓国が在韓米軍を撤退させ、経済焦土化されない方法が一つだけあります。それは、韓国が、米国の中短距離核ミサイルの設置場になることです。

この場合、韓国が攻撃された場合、米国はすぐにこれに対応することができず、韓国がかなりの打撃を被ることになります。であれば、韓国がわざわざ在韓米軍をみすみす撤退させるようなことはできないでしょう。中国もそのように見ているでしょう。

韓国としては、経済焦土化を極度に恐れているとともに理不尽に感じているのですが、それを米国に直接訴えることもできず、だからこそ当面は日本に対して反日によってその鬱憤を晴らすしかないのです。

せめて、韓国の経済規模が日本の半分くらいであり、さらに軍隊が日本の自衛隊を上回る能力を持っていれば話は別ですが。結局、日米、中露、北朝鮮が朝鮮半島の現状維持を望んでいる一方、韓国だけが半島の現状を打破しようとしても到底できないということです。それを金正恩は、文在寅に強烈に知らせるとともに、自らは現状維持の破壊者ではないことを周りの国々に周知しているのです。

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2019年8月17日土曜日

香港人に英国籍付与、英議員の提案は香港問題の流れをどう変えるか?―【私の論評】コモンウェルズの国々は、香港市民に国籍を付与せよ(゚д゚)!

香港人に英国籍付与、英議員の提案は香港問題の流れをどう変えるか?

立花 聡 (エリス・コンサルティング代表・法学博士)

 多発デモや混乱、情勢の混迷を深める香港(参照『香港問題の本質とは?金融センターが国際政治の「捨て駒」になる道』)。中国による武力介入が懸念されるなか、打開策として様々なシナリオが描かれている。

1997年6月30日、香港コンベンション&エキシビション・センターで行われた香港政権引き渡しの式典

香港人に英国籍を与えよ!

 300万人規模、半数近くの香港市民が一夜にしてイギリス人になった場合。――あり得ない仮説のようだが、実はあり得ない話ではないのだ――。

 「香港市民には英国籍を与えるべきだ。香港の抗議運動を支援する英国の姿勢を見せるときだ」

 英国国会議員、外交委員会委員長のトム・タジェンダット(Tom Tugendhat)氏は、1997年香港撤退(中国返還)の際に放置されてきた市民の国籍問題の解決を促し、英国籍付与の範囲を香港の中華系市民(ホンコン・チャイニーズ)にも及ぶべきだとし、英国が香港から引き上げた当時そうしなかったのは間違いであって、それを是正すべきだ(wrong that needs correcting)と主張した(8月13日付け英字紙デイリー・メール Online版)。

英国国会議員、外交委員会委員長のトム・タジェンダット(Tom Tugendhat)氏

 周知のように、香港はすでに1997年にその主権が中国に返還された。中国の一特別行政区になった香港は中国の一部であることは言うまでもない。こうして中国領土に居住する「香港人」に勝手に外国籍(英国籍)を与えることはできるのか。たとえ与えられたとしても、「君たちはもうイギリス人だから、香港から出て行け。イギリスに帰れ」と言われないのか。

 現にイギリスに移住できる香港人はわずか一部の富裕層にとどまっている。ほとんどの香港人はたとえ英国籍を取得しても、生計を立てる基盤である香港から離れ、実際にイギリスに移住することは経済的にまず不可能だ。

 一連の疑問に答えを出すには、まず「香港人」というステータスを若干説明する必要がある。

「香港人」という特別な存在

 まず、文化的ステータス。

 「Borrowed place, Borrowed time(借りた場所、借りた時間)」という言葉(中国人の父とベルギー人の母の間に生まれる女医ハン・スーイン(韓素音)の小説を映画化した『慕情』の中での名ゼリフ)ほど香港人の心境を的確に表現したものはないだろう。

 借りた場所は返さなければならないが、借りた時間は返せるだろうか。場所を返すのに1日もあれば十分。1997年7月1日という瞬間に香港が中国に返された。しかし、そこに住む一人ひとりの香港人の中にある時間(記憶)はそう簡単に抹消されることはない。50年をかけてもだ。

 「借りた場所、借りた時間」という言葉の主語。場所を借りたのはイギリスだが、時間を借りたのは誰だ。イギリス人か、香港人か、あるいは両方か。互いに借りたり貸したり、そうした関わり合いのなかに、香港人とイギリス人のいささか相思相愛ともいえる微妙かつ濃密な関係があったのだ。それは決して正議論的に植民地統治の悪という一言で片づけられるものではない。

 借りた時間の影響は一代にして終わらず、97年返還の前後に生まれた次の世代も間接的ではありながら、何らかの形でその影響を受け続けている。「時間を取り返す」という命題を掲げる中国は50年あるいはもっと長い時間をかけ、香港人の心から承認と共鳴を引き出さなければならない。それは決して容易なタスクではない。中国本土と異なった歴史的背景を無視して威嚇や武力だけで屈服させようとすると、逆効果にほかならない。

 「香港人は、中国人ではない」と訴え、自己主張する香港人の心境はどんなものだろうか。彼らは決して「チャイニーズ」というアイデンティティに抵抗しているように思えない。単純にイデオロギーや政治体制、統治手法などの面において懸命に中国本土と一線を画し、その相違を自他とも確認できるような明確な形にしようとしているだけである。そうした香港人の頑強な姿が見え隠れする。今回の「逃亡犯条例」に対する激しい反発はまさにその表れといえよう。

 国籍に関しては、チャイニーズたちの柔軟な、時には無節操とも思わせる捉え方も周知のとおりである。自由のために、生計のために、事業のために、外国籍を気軽に取得しても、アイデンティティまで変えようとするチャイニーズはわずかだ。その外国籍もまさに「借りた場所」や「借りた時間」と同じように、「借りた国籍」と考えているだろう。
香港人が持つ2種類の旅券

 次に、法的ステータス。

 香港の市民は2種類の旅券(パスポート)を保有することが出来る。1種類は中華人民共和国香港特別行政区が発行する旅券(青色)、もう1種類は英国政府が発行するBNO(British National Overseas=英国海外市民)旅券(赤色)である。

 BNO旅券の表紙には英国の国章が入っているが、イギリス人がもつ本国の旅券とは異なり、言ってみれば、海外植民地の「二等国民」がもつ旅券である。BNO旅券保有者が英国入国の際に、「British Citizen」の列に並ぶことは許されていないし、外国人同様の入国審査を受けなければならない。イギリスの入国審査当局の説明によれば、BNO旅券は英国旅券ではなく、「英国政府が発行した渡航文書(Travel document)」に過ぎないのである。

 「旅券」は国籍証明機能を有しているが、「渡航文書」は必ずしもそうではない。自国民以外の者に対しても発行可能で、通過許可を求める証明書類等は包括的に「渡航文書」とされている。「渡航文書」は「旅券」の上位概念である。BNO旅券はつまりそのような「渡航文書」であり、決して英国国民であることを認証するものではない。

 1997年の香港返還に際して、「一国二制度」の下で、香港市民は英国海外領国民ではなくなり、中国国民となる。しかしながら、英国は1987年から1997年返還までの間にBNO旅券を300万人以上の香港市民に発給した。つまり、1997年の返還前の香港に居住、申請した人は、現在でもBNO旅券を保有・更新することができる。

 在香港英国総領事館のウェブサイトによれば、2012年現在約340万人の香港市民がこのBNO旅券を所持しているという。つまり、これはとても重要なことだが、英国政府がBNO旅券保有者に英国市民権を与えると決めた場合、理論上ではあるが、総人口740万人の香港の半数近くの市民がイギリス人になることが可能となる。

 英国国籍法に基づき、他国籍を有しない英国海外市民、英国国民(海外)は帰化ではなく、「登録」により英国籍を取得することができる。法的基盤がある程度整っている以上、政治的判断があれば、実行は可能であろう。さらにBNO旅券保有者の子女(1997年7月1日以降生まれた人)にも特例的に市民権付与を認めた場合、半分以上の香港市民がイギリス人となり得る。

国籍選択、半数近くの香港人がイギリス人になった場合

 前出のトム・タジェンダット議員は、「英国は『中英連合声明』に定められた義務を負っている。1997年返還当時にやるべきだったが、やらなかったことで、この間違いを是正しなければならない。それはつまり、香港人(ホンコン・チャイニーズ)に完全なる英国市民権を付与することだ」と、政治的決断を呼びかけている。

 BNO旅券保有者の香港人が英国籍の取得にあたって、中国籍の放棄手続を行わなければならない。祖国に返還された香港で、数百万人規模の香港人が祖国の国籍を捨て、旧宗主国であるイギリスから与えられる英国籍を進んで取得する。香港市民の国籍選択、このトップニュースが世界中に発信されたとき、世界トップクラスの大国を志す中国にとっての敗北感は屈辱的であろうし、到底耐えられるものではないだろう。

 では、イギリス人となった数百万人の香港人は香港から退去しなければならないのかというと、まったくその必要はない。彼たち全員が香港永久居民(永住権保有者)でもあるからだ。

 仮に、香港デモの参加者の3人に1人がイギリス人である場合、軍や武装警察の投入どころか、催涙ガスやゴム弾も今のように使えなくなるかもしれない。同じような顔をした市民を香港人とイギリス人に区分することはそう容易ではない。イギリス人のデモ参加者に死傷者でも出た場合、英国総領事館が直ちに介入してくる。国際問題になるのがオチだ。さらに、自国民保護のため在香港英国総領事館の規模が現在の数倍や数十倍にも膨れ上がれば、香港政府と対峙する「第2の政府」、あるいは野党的な存在になり得るだろう。

 トム・タジェンダット議員の香港人への英国籍付与案は、実施可能な仮説として、対中交渉における大きなカードになるだろう。

【私の論評】コモンウェルズの国々は、香港市民に国籍を付与せよ(゚д゚)!

実は、香港人の中にはすでに、外国籍を取得している人も大勢います。香港で生まれ、その後、1997年の香港の中国返還を前にカナダ国籍を取得しながら、仕事の関係で香港に生活している香港在住者が1996年以来最高の30万人(香港人口の4%)に達しています。そうした中、直近の5年間で、約8000人のカナダ国籍の香港居住者がカナダに生活の拠点を移していることがカナダの国勢調査結果から明らかになっています。

これは2014年の民主化を要求した雨傘運動や、最近の「逃亡犯引き渡し条例」の改正案をめぐる大規模な抗議行動などで、中国の脅威が香港に直接迫っていることを危惧する動きとみられます。香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が報じています。

香港人のカナダ国籍取得者は、おもにカナダのブリティッシュ・コロンビア州のバンクーバー市やリッチモンド市に居を構えています。

ブリティシュ・コロンビア大学で香港の移民問題を研究しているダニエル・ヒルバート教授は「香港の人々のカナダ移民は1990年代に最初のピークを迎えた。その人たちは大半が40~45歳の働き盛りの年代だった。カナダは物価も安く自然も豊かで、生活そのものは穏やかだったが、仕事のチャンスには恵まれないことから、移住した人々の大半は再び香港に戻って、働くようになった」と説明しています。

ヒルバート教授によると、その人たちも今では65歳から70歳と引退の年齢に達しており、静かな環境が必要になっているそうです。

「もともと香港人は、反中国だとか中国共産党が嫌いということだけでなく、政治的な影響が自分の日常生活に入り込んでくることを嫌う傾向が強い。ここ数年の民衆の反中的な運動の盛り上がりとともに、香港から離れようとする気持ちが強くなっていったと考えられる」と分析しています。

また、香港の移民問題を研究している同大研究員のケネディ・ウォン氏も「香港の政治問題は、幽霊のように市民にまとわりついてくる。民主化や政治的自由を要求する雨傘運動や、今回の『逃亡犯引き渡し条例』改正案への反対運動には最高で200万人の市民がデモに参加するなど広範な香港住民を政治運動に巻き込んだ。多くの香港住民は、生活に余裕がある階層ほど、香港は住みにくくなったと考えているのではないか」と指摘しています。

香港が英国から中国に返還される直前には、多くの香港人が、英国やカナダ、オーストラリアや南アフリカなどに移住してそれぞれの国の「パスポート」を取得していました。英国は返還前に大盤振る舞いで香港人に上の記事にもあるとおり、BNO旅券を発行していましたが、カナダ、オーストラリア、南アフリカなど一部のコモンウェルスの国(旧英植民地)では、一定期間移住して暮らせばパスポートが発行されました。そのため、数年それらの国で暮らしてから香港に戻ってきたり、97年直前に引っ越していったりということが日常茶飯事だったのです。

香港国際空港のロビーで座り込むデモ隊=8月13日

パスポートを持っているということはイコール、その国の国籍をもっているということです。ビザなしで居住することはもちろん、投票もできますし、政治家として立候補もできます。何よりも、世界中どこに行ってもそのパスポートを発行した国が守ってくれるということがパスポート保持の最大のメリットです。

日本人が事故や犯罪などに巻き込まれたときに真っ先に安否確認をするのは各国の大使館の義務ですし、昨年のネパール地震の際にはシンガポール政府は航空機をチャーターして希望するシンガポール人を全員、帰国させました。

中国返還前の香港人が将来を不安に思い「何が起こっても自分と家族を守ってくれる国の国籍がほしい」と考え、仕事を辞めるなど相応の覚悟で移住した気持はよくわかります。実際、昨年にはスウェーデン国籍の香港書店主がタイで中国政府によって拉致され、現在も明らかに冤罪とわかる罪で拘束されていますが、スウェーデン政府は現在も粘り強く中国政府と交渉を続けています。

英国も、希望する香港人にはBNOをパスポートに変え、国籍を付与るというのは、良い考えだと思います。カナダ国籍を有する香港人が4%は存在するとはいいながら、これらは高齢の人たちが多いです。おそらく、今回の香港のデモにもあまり参加していないでしょう。

しかし、英国ならびに、カナダ、オーストラリア、南アフリカなど一部のコモンウェルスの国々(旧英植民地)が、国籍取得の条件を緩めてかなりの数の香港人を外国籍化すれば、香港の将来を左右する多くの若者が外国籍を取得することになるのではないでしょうか。

これが実現すれば、香港の問題など英国及びコモンウェルズの国々(旧英植民地)が関与しているというのが何よりも力になると思います。

何しろ英国連邦の国々は今でも、多いです。


これらの国々が、香港人に国籍を付与し、自国民である香港人に不利益が生じた場合、逐一それに関与した場合、中国はかなりやりにくくなるはずです。

英国の新首相ボリス・ジョンソン氏はどう考えるでしょうか。私としては、EUを離脱した後も英国のプレゼンスを発揮するためにも、是非これを実行してほしいと思います。

香港人への英国連邦諸国の国籍付与案は、実施可能な仮説として、英国だけの国籍付与よりも、対中交渉におけるはるかに大きなカードになるでしょう。

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2019年8月16日金曜日

北朝鮮、6度目のミサイル発射 韓国との交渉打ち切りを発表―【私の論評】韓国は今のままだと米国の短中距離ミサイルの設置場になるが、それを北・中・露は恐れている(゚д゚)! 


BBC News

金正恩

韓国の軍隊は16日、北朝鮮が東岸から日本海側に向かってミサイル2基の発射実験を行ったと発表した。北朝鮮は6日前にも日本海に向けてミサイルを発射しており、この1カ月間で6回に上っている。

また北朝鮮はこの日、韓国との交渉を今後一切打ち切ると発表。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が15日に行った演説を受けたもので、交渉の失敗は「完全に韓国の責任」だとしている。

文大統領は15日、日本統治からの解放を祝う記念日の演説で、2045年までに朝鮮半島を統一すると約束した。

「この半島や東アジア、世界に平和と繁栄をもたらす新しい朝鮮半島が待っている」と文氏は強調。その上で、朝鮮半島の非核化は統一の「正念場」になるだろうと話した。

これに対し北朝鮮は声明で、協議には意味がないと反論した。北朝鮮の国営・朝鮮中央通信(KCNA)が伝えた。

声明で北朝鮮は、「韓国は今も合同軍事演習を続けている。それなのに、平和的な経済や国家について語る権利はない」と断じた。

さらに文大統領を批判し、「北と南の『対話』に言及しながら、我が軍の大部分を90日で破壊する戦争シナリオを演習している。そんなことをする(文大統領の)思考プロセスが正常か、それさえ疑わしい」、「本当に恥知らずな男だ」と述べた。

北朝鮮はかねて、現在行われている米韓合同軍事演習への怒りをあらわにしており、「戦争のリハーサルだ」と批判している。

さらに演習は、ドナルド・トランプ米大統領や文大統領と交わした協定の内容に違反するものだと主張している。

金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は先にトランプ氏に手紙を送っている、そこでも「馬鹿げた高額な」軍事演習への苦情が書かれていたという。

KCNAによると、北朝鮮・祖国平和統一委員会の報道官も、非核化協議が滞っているのは韓国が軍事演習の実施を決めたからだと批判。「これ以上、韓国政府と交わす言葉はない」と話した。

North Korea rejects peace talks with South Korea

提供元:https://www.bbc.com/japanese/49366256

【私の論評】韓国は今のままだと米国の短中距離ミサイルの設置場になるが、それを北・中・露は恐れている(゚д゚)!

今日の韓国との交渉の打ち切りに先立ち、北朝鮮は韓国に対して生命を出しています。

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は14日、韓国が、米国の中距離ミサイルの自国配備を許せば、「自ら(米国の)弾除けになって自滅の道を歩む」ことになるとする論評を配信しました。

論評はまず、米国の高高度迎撃システム「THAAD」(サード)の韓国配備に伴って起きた混乱に言及。「『THAAD』の配置によって南朝鮮の人民が得たものは戦争に対する不安と経済的被害、肉体的苦痛だけである。生の基盤を奪われた慶尚北道星州住民の恨みの声は日増しに高まっている」と指摘しました。

THAAD

ここで「経済的被害」とあるのは、THAADの強力なレーダーが北朝鮮ではなく自国に向けたものだと反発した中国が、韓国に経済制裁を加えたことを指しています。実際、これにより韓国経済が被った「実害」は、最近の日本による輸出規制の比ではありません。

論評は、米国がTHAADに加えて地上発射型の中距離ミサイルまでを韓国に配備すれば、「地域の情勢を激化させ、極東地域で新たな冷戦と軍備競争を引き起こす」と主張しました。

また、そうなれば韓国は「米国の対朝鮮・対アジア侵略の核攻撃前哨基地に転落し、米国の軍事的制覇を絶対に許さないという周辺諸国の直接的な打撃の標的になるしかない」としながら、次のとおり中国の主張を引用しました。

「中国の『環球時報』(5日付)は論評で、中距離ミサイルは明白に攻撃用兵器だとし、日本と南朝鮮が米国の中距離ミサイル配備を受け入れれば『中国とロシアのミサイルの集中照準目標に、米国の殺気を帯びた対アジア政策の弾除けになるということをはっきり認識しなければならない』と明らかにしました。

ところで、エスパー米国防長官は今月、地上配備型の中距離ミサイルを比較的早期にアジアに配備することに前向きな姿勢を示しましたが、韓国国防省は、米国の中距離ミサイルを国内に配備する協議は行っておらず、配備を検討する計画もないと説明しています。

エスパー米国防長官

しかしこの間、韓国の文在寅政権は日本との対立解消のための仲裁をトランプ米大統領に頼むなど、米国に「おんぶにだっこ」の状態です。それでいて、米国と呼吸が合っているわけでもありません。

トランプ氏に「頼み事」をした代償は相当に高くつく可能性が高く、韓国は米国から中距離ミサイルの配備を迫られるかもしれません。北朝鮮、中露はこれを極度に恐れているのです。

韓国や日本が中距離核ミサイルを配備するということになれば、極東の軍事バランスは大幅に崩れます。

特に、北の核はその能力を半減されせらることになります。さらに、中国やロシアも極東の主要都市などは標的になります。中国は、北京も上海も標的になります。

米国にとっては、在韓米軍など大部分を撤退させ、韓国に米国の中距離短距離弾道核ミサイルを配置したほうが、経費の面でも、安全保障的観点からも良いです。

何しろ韓国ほ米国に安全保障面で頼っておきながら、中国に従属しようとし、それだけではなく、北朝鮮に接近して、南北統一を企むということを平気でする国ですから、全く当てにならないです。

それは日米にとって当にならないだけでなく、北朝鮮の金正恩にとっても同じことです。そもそも、金正恩は中国を嫌っており、結果として北朝鮮と北朝鮮の核が、中国が朝鮮半島全体に浸透することを防いでいます。

これは、米国にとっては決して悪いことではありません。最悪は、中国が朝鮮半島全体に浸透することです。

そんな当てにならない国からは、在韓米軍を撤退させ、そこに中短距離弾道核ミサイルを配置すれば、トランプ政権にとっても願ったりかなったりです。これを実行すれば、韓国は単なるミサイルの配置場になるだけです。

米国の短中距離ミサイル

おそらくトランプ氏としては、在韓米軍を引き上げるだけというのなら、このブログにも過去に何度か掲載してきたように、韓国を経済的に焦土化してから、引き上げることにしたことでしょう。

しかし、韓国が米国の短中距離ミサイルの設置場になることを認めれば、在韓米軍をひきあげても、韓国経済を焦土化することはないでしょう。

ミサイルを配置した後に、韓国が不穏な動きをすれば、米国は韓国軍を短中距離ミサイルで叩いた上で、韓国経済を焦土化し、金正恩や習近平らに、経済的にある程度発展した韓国という塩を送るということはしないでしょう。

ミサイルとはそのような兵器です。北朝鮮のミサイルは日米韓を狙っているだけではありません。これは、中国、ロシア、韓国にだって打ち込むことができるのです。

米国が韓国に中短距離ミサイルを配置したとすれば、それは北朝鮮や中国にとって脅威というだけではなく、韓国にとっても脅威なのです。

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「南北協力で日本に勝つ」文大統領の荒唐無稽な精神論に韓国紙ですら呆れ…「世界最悪の貧困国家・北朝鮮と協力して日本に追い付く?どんな魔法だ」 ―【私の論評】韓国民は、朴槿恵よりもはるかに始末におえない妄想大統領文在寅を放逐すべき(゚д゚)!

2019年8月15日木曜日

「南北協力で日本に勝つ」文大統領の荒唐無稽な精神論に韓国紙ですら呆れ…「世界最悪の貧困国家・北朝鮮と協力して日本に追い付く?どんな魔法だ」 ―【私の論評】韓国民は、朴槿恵よりもはるかに始末におえない妄想大統領文在寅を放逐すべき(゚д゚)!


妄想に取り憑かれた文在寅韓国大統領

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、「北朝鮮との経済協力で平和経済が実現すれば、一気に日本の優位に追い付くことができる」と述べた。

 この発言は、韓国大統領府での会議において、日本による輸出管理見直しを批判した際に行われた。

 南北統一や南北経済協力は、文大統領の金看板で、これまで何度も繰り返されている。国難を自分の支持率向上に結びつけようとする戦略だろう。

 しかし、その実現性やロジックは荒唐無稽である。

 すでに韓国国内でも批判されている。朝鮮日報は社説で、北朝鮮は「技術も資源も市場もない世界最悪の貧困国家」なので、「低賃金労働力の利用以外に何ができるのか。そんな国と経済協力して世界最高の技術大国(日本)に一気に追い付くとはどんな魔法か」としている。

 これが世界の常識だ。1989年のベルリンの壁崩壊で、東西ドイツが統一されたが、旧東ドイツの支援のために旧西ドイツは長年負担にあえぎ、低成長を余儀なくされた。

 この苦境を救ったのは、99年にスタートした共通通貨ユーロだ。ユーロの導入によってドイツは、ユーロ域外に対し相対的に有利な為替レートとなるとともに、域内では為替変動がないため、ドイツ経済の競争力が他の欧州諸国に対して相対的に強化されることとなった。

 当時の旧東ドイツは社会主義国の中では優等生であり、今の北朝鮮よりはるかに経済は良かった。そして、欧州では長い期間かけて共通通貨の議論がなされていたことからユーロ創設に結びついたが、今のアジア圏で共通通貨の話はまったくない。東西ドイツの統合は恵まれた環境の中で行われたが、今の朝鮮半島をめぐる環境とはあまりに違いすぎる。

 経済的に考えてもあり得ないが、政治的にもまったく勘違いだ。北朝鮮を何よりも大切にする文大統領は、北朝鮮以外、何も見えていないのかもしれない。ただ、日本は輸出管理の強化についても、国連の制裁対象である北朝鮮への横流しを懸念しているとみられる。

 そうした状況で、韓国が北朝鮮との協力で乗り越えられるとは、悪いジョークにしか思えない。

 ここまで文大統領が北朝鮮優先の考えであると、北朝鮮の非核化に本気で取り組むとは思えない。前述したように、韓国がいくら北朝鮮と協力しても、日本経済には到底太刀打ちできない。

 しかし、軍事的には、北朝鮮を非核化せずに、そのまま核開発を続ければ、南北統一の暁には、核保有国となって、日本の脅威になるだろう。その脅威を使えば、軍事的に日本に勝てると考えているのかもしれない。

 文大統領の北朝鮮推しは、もともと左派思想によるものだが、経済的でなく軍事的な意味があるとすれば、北朝鮮を非核化せずに、そのまま核保有国にすることを意味しているのではないか。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】韓国民は、朴槿恵よりもはるかに始末におえない妄想大統領文在寅を放逐すべき(゚д゚)!

朴槿恵が大統領府を追われた2017年、大統領選挙を経て文在寅が新大統領に任命された。政権交代から1年後の2018年8月29日。ソウル市龍山区に「植民地歴史博物館」という施設がオープンしている。

この新たな反日活動の牙城となっている施設について、韓国メディア配下のように報道しています。

植民地歴史博物館

「植民地歴史博物館は民族問題研究所という市民団体が中心となって設立されました。この民族問題研究所は韓国の左派政権と関係が深く、盧武鉉政権時代には多額の国費補助を受けたとされ、現在の文在寅政権と深いつながりがある。植民地歴史博物館の設立にも現政権のバックアップがあったと囁かれています」

植民地歴史博物館の紹介文にはこうあります。
日本帝国主義による侵奪の歴史と、それに加担した親日派の行為、輝かしい抗日闘争の歴史を記録し、展示する韓国初の日帝強占期専門歴史博物館です。
同館がオープンした同年8月29日は韓国では「庚戌国恥日(キョンスルククチイル)」として知られた日です。1910年に「韓国併合に関する条約」が発効した日が8月29日であり、韓国民の国辱の記憶を呼び起こす日が開館日には選ばれたのです。

民族問題研究所は、現在問題となっている徴用工裁判を支援している団体として知られ、博物館と同じビルには民族問題研究所の事務所も入居しています。

この植民地歴史博物館が現政権下でオープンしたことには深い意味がありました。

文在寅は大統領就任後、事ある毎に植民地時代の独立運動を日本が弾圧した問題を指弾しており、「親日残滓(ざんし)の清算はあまりに長く先送りされた宿題だ」との主張を繰り返しています。こうした言説が、先に紹介した植民地歴史博物館の趣旨と合致する思想であることは言うまでもありません。

館内を散策すると「親日派人名辞典」のコーナーが目に飛び込んできます。親日派人名辞典は盧武鉉政権政権時代に編纂されたもので、日本統治時代に親日活動を行った人物の名簿を発表したものです。

親日派辞典には朴正熙元韓国大統領をはじめとした多くの韓国保守派や著名人の名前が掲載されています。これは親日派のレッテルを貼り社会的に糾弾対象とする魔女狩り活動で、呆れたことに中学、高校にも広く配布されました。ソウル市で問題になっていた戦犯企業ステッカーにも繋がる“日本ヘイト”活動の原点ともなった運動でした。



ちなみに、戦犯企業ステッカーとは、韓国で、戦争犯罪を起こした日本企業の製品にステッカーを貼ろうとの動きです。条例案は、地元の小中学校や高校で使われている備品のうち、約2万円を超えるものに義務化していました。しかし、結局この条例は成立しませんでした。

盧武鉉政権が時代錯誤とも思える親日派人名辞典を重要視したのは、当時、人気を集めつつあった朴槿恵の存在があったことが理由とされています。朴槿恵の父親である朴正熙を親日派と糾弾することで政敵達の人気を削ごうと狙ったのです。つまり政権保持のための策略として、親日派人名辞典は作成されたのです。

盧武鉉とは弁護士時代の同僚で、盧武鉉政権では大統領秘書室長を務めた文在寅もその意図を受け継いでいるであろうことは容易に想像がつきます。

そうして朴槿恵の失墜後、文在寅は再び“親日派狩り”を行おうと、「親日残滓の清算はあまりに長く先送りされた宿題だ」という言説を繰り返すようになったのです。

「共に民主党は、今後100年政権を担うとの構想を口にしています。そのために“親日派狩り”を行うことで保守派の殲滅と、今も国内に残る根強い朴正熙支援者への牽制を行おうとしているのです。つまり政敵潰しでしかない。反日のスローガンは民族主義的な意味にも聞こえますが、その本音は極めて打算的な意図を持った政治運動なのです。

文政権になってから歴史問題、いわゆる慰安婦問題や徴用工問題が再燃しました。文大統領は2015年の日韓合意によって慰安婦問題を解決するために設立された「和解・癒やし財団」の解散を発表。不可逆的に解決されたはずの慰安婦問題を蒸し返しました。また、日本企業への財産差し押さえまで行われた徴用工裁判についても、文政権は「政府は関与しない」という声明を発表しています。

徴用工裁判等国民は勿論のこと、メディアの誰も関心がなかった問題でした。それが文在寅政権に交代した途端いきなり動き始めました。これは文大統領が北朝鮮と繋がっている証左であり、文大統領は本気で南北統一を目指しているとも受け取れます。

なぜかといえば、こうした一連の動きが意味することは、文政権は歴史問題を“解決させない”という明確な意志を持っているとか考えられず、それはなぜかと考えれば、自ずと理解できます。

韓国内の一部からは「38度線を対馬海峡に移動せよ」という言論が出るほど、文政権になってから反日思想は過激化しています。こうした背景には北朝鮮の存在があることは間違いないでしょう。

一昨年、11月19日にソウル市内で挺対協が北朝鮮の慰安婦問題専門家を招いてシンポジウムを開きました。そこで「南北が協力して慰安婦問題で共闘しよう」という言葉が出たといわれています。

挺対協とは韓国挺身隊問題対策協議会(現・日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯)のことで、慰安婦問題を支援する市民団体です。代表の尹美香(ユン・ミヒャン)は、和解・癒やし財団が元慰安婦に対して償い金の支給活動を始めるにあたっても、元慰安婦を集めて、「日本のお金を受け取ってはいけない」と圧力をかけたと言ったとされるほど生粋の反日活動家として知られています。

尹代表は、近親者に北朝鮮の内通者がいるという疑いもある人物だけに、彼女の「慰安婦問題で北と共闘する」という言葉に、韓国内のメディアにも危機感が広がっているようです。しかし、韓国メディアでは反日活動を批判することはタブーなのです。それだけに、批判の声は表に出づらいようです。

挺対協や民族問題研究所といった市民団体は、左派政権である文政権の支持母体でもあるのです。左派政権、反日活動、北朝鮮というキーワードから見えてくるものがある。彼らが一様に歴史問題の解決を妨げようとしているのは、北朝鮮との南北統一までの時間稼ぎをしている可能性が高いです。

現在、韓国経済は失速気味です。そうしたなかで、南北統一のコストを抱えきれるのかという不安が常に付きまといます。そうしたなかで文政権が日韓関係を犠牲にしてまで反日活動を行うのは、戦後補償問題を再び日本側に突きつけようとしている思惑があるように思えます。統一の暁には、北朝鮮は元慰安婦、徴用工の補償問題を持ち出すでしょう。

韓国政府は戦後補償の旨味を体験的に知っています。1965年、日韓基本条約で日本政府から無償3億ドル、有償2億ドルの計5億ドル(当時のレートで約1800億円)を韓国政府は得て、それを原資として“漢江の奇跡”と評された経済成長を遂げました。“頭の中の八割は北朝鮮で占められている”と評される文大統領が統一プランを練っていないはずはないです。

文政権が執拗に反日や歴史問題に拘る理由も、そこにあるのではないかという分析もあります。要は日本を金ヅルにしたい、という思惑を感じさせます。 

この戦後補償金を現在の価値に置き換える計算を以下に掲載します。
・(円換算)3億ドル×360円(当時1ドル=360円)=1080億ドル
・(物価換算)1080億円×10(当時の大卒初任給が約2万円)=1兆800億円
日本は、現在の価値で置き換えると、2兆円近くの戦後補償金を支払っているのです。これは、当時の韓国の国家予算の2倍にものぼる金額です。

韓国の全国経済人連合会(全経連)は2010年、北朝鮮との南北統一には約3500兆ウォン(約250兆円)が必要になるとの見方を示していました。

北朝鮮が戦後補償問題を持ち出してきたとき、パンドラの箱は開かれることになるかもしれません。戦後70年以上経過した現在、北朝鮮の慰安婦問題、徴用工問題、その実態を正確に語れる証言者や物証はほとんどないといわれています。つまり北朝鮮側の言い値による補償となる公算が大きいです。おそらく、200兆円はくだらないのではないかと思われます。

文政権が掲げる反日思想。その本質は自らの「権力」と「金」を得るためのための所業でしかないのです。

しかし、これは文在寅の妄想に過ぎません。そもそも、日韓基本条約が締結され、日本が韓国に多額の戦後補償金を支払ったときには、朝鮮戦争からまだあまり時を経ておらず、韓国は反共の砦として、北朝鮮に対峙していて、この状況は変わらないとみなされていました。

さらに、米国としても韓国の経済が発展すれば、米国も韓国内に兵站を展開でき軍事的に有利になると考えており、この戦後補償には肯定的だったはずです。

しかし、現在は状況が違います。南北統一があくまでも、韓国の北朝鮮併合という形ですすめられるなら、日本が統一朝鮮を支援するということ考えられますが、どうもそうはなりそうもありません。

それに、文在寅がすっかり忘れていることがあります。それは、韓国以外の国々は、日米・中露そうして、北朝鮮も朝鮮戦争後の状況の現状維持を望んているということです。

これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載しますので詳細はそちらをご覧になってください。
日・ロ・中・朝から袋叩きの韓国 米韓同盟の終焉を周辺国は見透かした―【私の論評】周辺国の本音も理解せず、舞い上がったピエロのような文在虎はこれからも叩き続けられる(゚д゚)!
最近北朝鮮から発射された短距離弾道ミサイル
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、とにかく周辺国は朝鮮半島の現状維持を望んでおり、南北を統一しようなどと本気で考えているのは文在寅だけです。

金正恩は、南北統一などすれば、チュチェ思想とは無縁で、金王朝を尊敬することのない大量の韓国人が北朝鮮にも大量に入ってくることになるので、統一など望んでいません。

ただ、制裁逃れをしたいので、文在寅に良い顔をして見せていただけです。それにすっかり、文在寅はまい上がってしまったのです。

最近の北朝鮮による短距離弾道ミサイルの発射に関して、トランプ大統領は寛容であることに多くのマスコミや識者は驚いていますが、それはこの記事にも書いたように、北朝鮮およびその核が、結果として中国の朝鮮半島への浸透を防いでいるからです。

北の核ミサイルは、日米にとってだけ脅威というわけでなく、国境を接している中国やロシアにとっても脅威なのです。特に中国にとっては脅威です。中朝国境は、中国の火薬庫になりかねないといわれるほど不安定な、東北部だからです。

中国東北部が不穏な動きを見せた場合、当然のことながら、中国政府はこの地域に軍を覇権することでしょう。その軍を北は短距離弾道弾で攻撃することができます。

この状況は米国にとっては決して悪い状況ではありません。最悪の状況は、朝鮮半島全体が中国の覇権の及ぶ地域になることです。

現状を冷静に見回してみれば、韓国が軍事的に弱くなったとしても、北朝鮮が中国の朝鮮半島全体への浸透を防いでいる状況は変わらないでしょう。さらに、北朝鮮は中国の干渉を極度に嫌っています。

この状況を理解していれば、文在寅の「南北統一」や、「南北協力で日本に勝つ」などは妄想に過ぎないことがわかります。

金正恩も南北統一により、日本から莫大な戦後補償金を得るなどということは到底不可能であると考えていることでしょう。もしそれが可能だと考えているなら、今でも文在寅に良い顔をしていたことでしょう。

妄想にとりつかれた文在寅は最悪の事態を招きかねません。それは、このブログにも最近掲載した通り、在韓米軍撤退に伴う、韓国経済の焦土化です。

韓国民は、朴槿恵よりもはるかに始末におえない妄想大統領文在寅を放逐すべきです。

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2019年8月14日水曜日

「日韓対立は韓国のせい」米国人学者が痛烈批判―【私の論評】特ア三国は、反日以外に自分たちの生きる道を見つけなければ、いずれ崩壊する(゚д゚)!


国内政治のために日韓関係を犠牲にした文在寅大統領
2019.8.14(水)古森 義久

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 日韓対立の激化に対する米国の対応が注目されるなか、韓国研究では米国でも有数の著名学者が、日韓対立の原因は韓国の文在寅大統領の過ちにあると厳しく批判する見解を発表した。

 トランプ政権をはじめ米国では最近の日韓関係の悪化への懸念が広まっているが、日韓対立の原因について官民ともに明言する関係者はほぼ皆無だった。だが同研究者は、非は文大統領にありと明確に主張した。

日韓対立の原因は文政権にある

 8月7日、ワシントンの大手シンクタンク「ヘリテージ財団」が「日韓貿易紛争」と題するシンポジウムを開催した。同シンポジウムに出席した韓国研究学者のスコット・スナイダー氏は、いまの日韓対立は、文在寅大統領が国内政治のために対外政策を政治利用し対日関係を犠牲にしたことに原因があるとの見解を語った。また同氏は、文政権の動きは1965年に成立した日韓国交正常化条約に違反するとして、「文大統領が国際条約の順守を怠ったことの責任を批判する」とも述べた。

スコット・スナイダー氏
 スナイダー氏はハーバード大学の大学院で朝鮮半島について研究した。その後、韓国に滞在し延世大学で学ぶ。1990年代からスタンフォード大学、アジア財団、米国平和研究所などに所属して、米韓関係、朝鮮半島情勢などを中心に韓国について多くの調査結果や著書、論文類を発表してきた。アジア財団のソウル駐在代表を務めた経験もあり、現在は、米国民間の超党派の外交政策機関「外交関係評議会」の上級研究員兼米韓政策研究部長を務める。米国内では韓国研究の有数の権威として知られ、日韓両国間の歴史問題などでは韓国側の主張の支持に傾くこともあった。

 そのスナイダー氏が8月7日のシンポジウムで、パネルディスカッションの一員として登壇し、現在の日韓対立の原因について「文大統領が慰安婦問題での日韓外相合意に基づく財団を解散し、さらに元徴用工問題での韓国最高裁の判決を放置したことが対日政策を誤らせた」と述べた。日韓対立の原因は文政権にあるとの見解である。一方、日本側の動きを批判することはなかった。

国内政治に犠牲にされた日韓関係

 スナイダー氏が同シンポジウムで文在寅政権について語った趣旨は、次のとおりである。

・現在の日韓対立で私が心配するのは、文在寅大統領が国内政治のために国際関係や対外政策を政治的に利用してしまったことだ。大統領就任後、最初は対日関係もうまくいっていた。だがまもなく慰安婦問題に関して日本との合意で設立された財団を解散し、元徴用工についても韓国最高裁の判決を日韓関係の前面におくことで、自分自身を箱詰めにしてしまった。

・三権分立とはいえ、行政のトップの大統領には国内政策と対外政策の適切なバランスを保つ特別な責任がある。その責任は、1965年の日韓条約を含めた国際条約を守ることも含む。対日関係にも十分な注意を払い、総合的な国益の推進を図るべきである。文大統領は国内での支持率は上がったが、その責任を果たさず、外交への十分な配慮なしに対日関係を韓国内の民族主義的感情で押し流すことを許した。

・文大統領は慰安婦と元徴用工の問題を利用して、日本側に改めて過去の(朝鮮半島併合などの)諸問題への反省や謝罪を一気に強いることを狙ったようだ。だが、この考えは明らかにミステークだった。このような方法で日本側を強制的に追い詰め、謝罪などを強いても、誠意ある反応が得られないのは明白だからだ。

・韓国最高裁は戦時の朝鮮半島出身の労働者への賠償金支払いを日本企業に命じる判決を下した。判決はそれなりに尊重されなければならないとしても、国内政治が日韓関係を犠牲にするという事態を避けるのは大統領の責任だ。韓国では一時、韓国民間あるいは日本の民間からの寄付を得て、その支払いに当てるという案が出た。私はその案に賛成する。

 さらにスナイダー氏は全体の状況について、「私は、文大統領が対日関係を守るために政治的なリーダーシップを発揮しなかったことに批判的だ」と改めて述べ、現在の日韓対立の原因が文大統領の側にあるという認識を明確に示した。

「自粛」を脱したスナイダー氏の発言
 米国では日韓対立に対しての懸念や関心が急速に高まりつつある。トランプ政権も含めて最も一般的な反応は、「米国が日本および韓国という同盟諸国と緊密に連帯して、北朝鮮の核の脅威や、中国の軍事膨張の脅威に対処しなければならないこの時期に、日韓両国が対立することは、その連帯を阻害し、米国の安全保障政策を脅かすことにもなる」という懸念であろう。トランプ政権が日韓両国の間に入って和解の調停にあたることを求める意見も多くなってきた。だがトランプ政権は当初、調停への関心を示したものの、その後は消極的なままとなっている。

 こうした現状に対して、現在の日韓両国の対立はそもそも何が原因で、どちらに責任や非があるのか、という点について、米国の官民とも明言を避ける傾向が強かった。この態度は、どちらか一方を非難したり支持することで他方からの激しい反発を買うことになる危険を避けるための、一種の自粛だったといってよい。ところが今回のスナイダー氏の発言は、この自粛を脱して、韓国側に非があることを鋭い表現で指摘した点が注視される。

【私の論評】特ア三国は、反日以外に自分たちの生きる道を見つけなければ、いずれ崩壊する(゚д゚)!

米国人にも特ア三国の正体がわかっていない人が多いです。特ア三国(特定アジア三国)とは、特に反日に対する対抗・牽制言論が国内に無い中華人民共和国、大韓民国、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の3カ国を意味する呼称とされています。こうした反日感情は、幼少期からの徹底した反日教育によるものとされます。略称として、特アや特亜も用いられます。

もともとはインターネット上での掲示板などで使用されるインターネットスラングの一つでしたが、その後、一部の学者・政治家・ジャーナリスト・書籍なども使用するようになりました。

特ア三国

BBCの国際世論調査によれば、中国および韓国(北朝鮮はこの様な調査の実施が不可能なため非調査対象国)の日本に対する評価は他国のそれに比べて突出して低いです。北朝鮮は現在も国民の支配や対外戦略として日本に対する敵視政策を採っています。

また、これらの国々では共通して反日教育を実施しています。日本の○○又は日本人の××を「アジア又はアジア諸国、地域など△△している 」などと上記の三ヵ国における主張を「アジア」「アジア諸国」、「アジアの諸国」と主語を大きくして誇張して扇動していることを皮肉る言葉です。

これらの特ア三国には、共通点があります。それは日本とは一度も戦争もしたこともないのに、いつの間にか戦争したことになり、我が国は戦争中に我が国国民を抑圧した大日本帝国と戦って勝利して独立したという作り話です。

これは、特ア三国が勝手に作った歴史ではなく、まともな歴史を調べればすぐに理解できることてず。

そもそも、現在の中共と日本は一度も戦争をしたことはありません。日本と戦争をしたのは、その後台湾に逃れた台湾にある当時の国民党軍と戦ったのであって、中共軍が戦ったのは、日本が戦争に負けて去ったあとで、国民党軍と戦って勝利して、独立したのです。

韓国・北朝鮮は元々は朝鮮という一つの国でしたが、これは日本が日清戦争で勝利して、当時の清から独立させたのですが、しかし、その後日本が朝鮮を統治することになりました。しかも、日本の朝鮮統治は合法的に始まっています。1910年の日韓併合は朝鮮側(当時は大韓帝国)の要望によって、なされたものです。

このあたりは詳細を書いていると、長くなりますので、それこそまともな歴史書をご覧ください。日本の歴史書が信じられない等という方がいらっしゃれば、英米やドイツなど他国の歴史書でも良いので、是非ご覧になってください。

その後、現在の韓国は米国の統治の後、米国から独立しました。現在の北朝鮮はソ連の統治の後にソ連から独立したものです。この両国もしくは、無論朝鮮は日本と戦争したことは一度もありません。

にもかかわらず、中国では数年前に、抗日戦争記念などとして軍事パレードを行っていました。まさに、噴飯ものという以外にありません。

日本統治下の朝鮮全土は13の道に区画され、道 - 府・郡・島 - 邑・面 - 洞・里という階層構造をとっていました。当時の朝鮮の各道議会議員は、8割以上が朝鮮人だったという記録も残っており、西欧諸国による植民地支配というには程遠いものがありました。

さらに、慰安婦問題も、強制的に連行したなどという記録は、どこを探しても残存しておらず、当時の日本では合法だった売春婦のことです。

以上のことは、おそらく現在85歳以上の人であれば、日本でも、現在の韓国や北朝鮮でも常識の範囲で知ってるでしょう。ただし、これらの年齢の方々も少なくなっていますから、この常識が常識として通用しなくなってきたのでしょう。

だから、本格的な反日教育が、組織的、体系的に本格的行われるようになったのは、特ア三国でも1990年代からのことです。それ以前だと、上記で示した常識等をわきまえたご老人が多数生存していたため、常識から外れた教育などできなかったのでしょう。実施したとしても、すぐに否定されてしまったのでしょう。

日本悪魔化は第二次世界大戦中の欧米でもみられた

特ア三国以外の国々は、こうした特ア三国の歴史修正に惑わされずに、過去の歴史を見直すべきです。

では、なぜ特ア三国では、このような反日が行われるのでしょうか。それは、特に中国や北朝鮮では、現政府に統治の正当性が極端に低いからです。

確かに、彼らが主張するように、日本帝国と戦って独立を勝ち得たというのであれば、中国人民や北朝鮮人民に統治の正当性を認められるでし、建国の英雄も存在するでしょうが、事実はそうではありません。

このような不安定な国々は、いつ崩壊するかわかりません。だかこそ、日本を悪魔化し、日本を悪者にしたてて、自分たちの失政や、経済対策の失敗などによる人民による憤怒のマグマを自分たちではなく、日本に向くように仕向けたのです。

韓国の場合は、米国から独立たということで、中国や北朝鮮とは異なり、一応民主的な形態を整えましたが、それでも80年代まで軍事政権でしたし、その後民主化されても、古い体質などが残っており、それこそ国民の憤怒のマグマはいつ大爆発してもおかしくない状況でした。

そのため、1990年代に入ってから、体系的、組織的反日教育が行われ、自分たちの失政や経済対策のまずさ、外交問題での失敗などで、たまりにたまった国民の憤怒のマグマを自分たちではなく、悪魔の日本に向けさせるようにしたのです。

それにしても、国民の憤怒のマグマを日本に向けさせる反日など、永遠に続けることなど不可能であり、その兆候はまずは中国にあらわれました。

中国では、最近では表立った反日活動は、されていません。なぜかといえば、中国では反日デモなどが行われると、いつの間にか反政府デモになってしまい、過激化して人民の憤怒のマグマが結局自分たちが直接マグマをかぶりかねない状況になってきたからです。

その兆候は、最初は反日サイトにみられました。中国では、2011年辺りまでは、反日サイトが中国各地に存在しました。しかしこの反日サイトで、いつの間にか、反政府な書き込みなどが目立って増えたので、政府がこれを閉鎖したのです。

その後反日デモも、いつの間にか反政府デモになるということで、政府は反日デモを許さなくなりました。

この状況が続くと、反日教育もやめざるを得なくなるかもしれません。なぜなら、反日教育を受けた子どもたちや若者か、家に帰って親や親戚などにその話をすれば、家庭内などで反日の話が反政府の話にすり変わるという事態も容易に想像できるからです。

中国では反日デモがみられなくなった

中国人民がいくら反日で憂さを晴らしたとしても、現実は何も変わらないからです。

北朝鮮は今でも反日をしているようですが、情報が少ないので、現状はどうなっているのかはわかりません。ただし、最近の北朝鮮はなし崩し的に資本主義化されつつあるので、これからは随分変わっていくものと思います。

さて、韓国ですが、文在寅も特ア三国の常道である、日本悪魔化によって、自らの失政や経済対策、外交の失敗を日本のせいにして、国民の憤怒のマグマを日本に向けているだけの話です。

私自身は、韓国の反日にも限界が来ると思います。スコット・スナイダー氏のような学者が出てきたのはその兆候だと思います。それに、大学を卒業しても職がない若者も、何年たっても就職口がみつからないようであれば、反日どころではなくなります。やはり、文在寅や、韓国政府そのものを責めるようになるでしょう。

特ア三国は、反日以外に自分たちの生きる道を見つけなければ、いずれ崩壊することになります。いい年の大人が、自らの困難を打開するわけでもなく、あれが悪い、これが悪い、あいつが悪い、こいつが悪いなどとばかり言っていれば、いずれ駄目になるのと同じです。

日本政府は韓国などの、脅しに屈することなく、毅然とし対応をすべきです。そうでないと、いつまでたっても、特ア三国の馬鹿げた反日は終わりません。

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2019年8月13日火曜日

空港機能停止!香港デモ、第2の天安門事件に発展か 「香港1つ片付けることができないのか…」共産党内から習氏に批判も?―【私の論評】中国共産党が最も恐れる香港市民の価値観とは?

空港機能停止!香港デモ、第2の天安門事件に発展か 「香港1つ片付けることができないのか…」共産党内から習氏に批判も?

抗議の群衆に占拠された香港国際空港=12日

 香港が騒乱状態だ。中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案を巡り、香港国際空港ロビーで12日午後、市民による大規模な抗議デモが発生。航空当局が同日夕方以降のほぼ全便を欠航とした影響で、空港では13日も欠航が相次ぎ機能不全となった。行政府への市民の怒りは収まるどころか拡大するばかり。「第2の天安門事件になりかねない」。専門家も緊張感をもって注視している。


 アジア有数のハブ(拠点)空港が機能停止に陥った。香港国際空港で12日、抗議の群衆数千人が押し寄せ、搭乗手続き業務などができなくなった。13日朝には業務が再開されたものの、香港メディアは300便以上に上る多数の欠航が決まったと伝え、同日午後1時半現在、混乱が続いている。

 全日空は同日未明の羽田発の運航を中止。格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションも関西と沖縄発の2便が欠航した。キャセイパシフィック航空など香港を拠点とする航空会社でも欠航が相次ぎ、同日は各社合計で少なくとも10便以上の日本発の便が運航できなかった。「(ホテルも含めて)全部キャンセル」「国内旅行に切り替えるしかない」など、夏休みを海外で過ごす計画だった日本人旅行客は成田などでパニックとなった。

 6月に本格化した一連の抗議活動。今月5日には呼び掛けられたゼネストに航空業界の関係者らも参加、約250便が欠航したばかり。香港政府トップの林鄭月娥行政長官は13日、記者会見し、一連の抗議活動について「自由と正義の名で、多くの違法行為が行われている」と非難。だが、香港メディアによると、会員制交流サイト(SNS)では13日以降も空港での集会が呼び掛けられている。

 12日に発生した抗議活動はSNSを通じ、シンボルの黒い服を着た市民らが集まった。抗議参加者らは、11日に九竜地区の繁華街で行われた抗議活動で、警察が発射した鎮圧用の弾を右目に受けた女性が負傷したと批判。警察が地下鉄駅構内に催涙弾を発射したことにも反発した。

「世界征服を夢見る嫌われ者国家 中国の狂気」(ビジネス社)などの著書がある評論家の石平氏は、「第2の天安門事件に向かっている。10月1日が中華人民共和国70周年にあたるため、習近平政権としては祝福ムードをつくり出したいはずだが、政権内部からも習氏に対し『香港1つ片付けることができないのか』と批判が出てきそうだ。人民解放軍を投入すると国際社会から非難される可能性もあるが、最終的には何らかの武力鎮圧に出るだろう」とみる。

 その上で、「仮に鎮圧できても、経済の中心地である香港を捨てることになり、来年1月の台湾の大統領選にも影響することが考えられ、後遺症は大きい。ただでさえ、習氏は米中貿易摩擦など中国を悪い方向に進めているとみられている。中国共産党が習氏を排除するか、さもなくば習氏と中国共産党政権が共倒れする状況もありえる」。予断は許さない。

【私の論評】中国共産党が最も恐れる香港市民の価値観とは?

今回の一連の香港でのデモ活動は、単なるデモとか、香港市民が中共に抗議をしている等という見方以上にかなり大きな中国社会の分水嶺につながる大きな変動だと思います。

この問題は本来、中国が多元社会であるにもかかわらず現在の中国共産党が「一つの中国」を国是に掲げているからにほかならないです。しかしながら、歴史を背負う中国の為政者にとって、「一つの中国」はつねに追い求めなくてはならない夢想の共同体なのです。

習近平の「中国夢」カレンダーの表紙

今日から現在に至るまで、中国を端的に表現するなら、「一つの中国」「中華民族」という国是・スローガンと、それとはまったく裏腹の、上下の乖離・多元性という社会の現実、この両者の併存です。

中国には過去において、どのような帝国がつくられようが、今日の共産中国が、チベット、ウィグルまで含めた大帝国をつく出そうと、多元社会という呪縛からは逃れられません。

それは、以前のこのブログにも述べたように、今でも厳然として宗族(そうぞく)という集団が機能しているという現実があるからです。中国の宗族については、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
まさに血で血を洗う戦い!? “独立王国化”する中国マフィア…共産党は“容赦なき”取り締まり ―【私の論評】宗廟、宗族を理解しなけば、中国社会を理解できない(゚д゚)!
中国の黒社会
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、宗族とはどのようなものなのか、説明している部分を以下に引用します。
宗族(そうぞく)とは、中国の父系の同族集団。同祖、同姓であり、祭祀を共通にし、同姓不婚の氏族外婚制をたてまえとするものです。同じく血縁でも母系は入らず、女系は排除されます。

したがっていわゆる親族のうちの一つであっても、親族そのものではありません。文献では前2世紀頃あるいは3世紀頃からみえます。同族を統率する1人の族長の支配下におかれ、族内の重要問題は,同族分派の各首長 (房長) らによる長老会議または族人による同族会議が召集され、協議決定されました。

宗族は往々集団をなして同族集落を構成し、その傾向は華中、華南に強く、1村をあげて同族であることも少くありませんでした。その場合、閉鎖的で排他性が強く、利害の衝突から集落相互間に争いを引起すこともありました。また同族結合の物的基礎として、共同の祖先を祀る宗祠設立のほか、義荘,祭田の設置、族譜 (宗譜) の編集なども行われました。

そして中国のいたるところ、宗廟があって、世界中に散った一族が集まる習慣がいまも確然として残っているのです。 
これが、宗族、日本人に分かりやすく言えば、「一族イズム」です。 
中国人にとって、今でも一族の利益、一族の繁栄はすべてであり、至高の価値なのです。それを守るためにはどんな悪事でも平気で働 くし、それを邪魔する者なら誰でも平気で殺してしまうのです。一族にとっては天下国家も公的権力もすべてが利用すべき道具であり、 社会と人民は所詮、一族の繁栄のために収奪の対象でしかないのです。 
だから「究極のエゴイズム」を追い求め、一族の誰かが権力を握れば、それに群がり、もし失脚すれば、一族全員がその道連れ となって破滅するのです。 
習近平と王岐山一族が、いま何をやっているか、なぜそうなのか。正に宗族の論理によって突き動かされ、一族だけの利権を追 求し、一族だけが繁栄を究めているのです。 
中国共産党が『宗族』を殲滅したのではなく、むしろ、宗族の行動原理は生き残った上で、党の中国共産党政権自身を支配しているのです。中国における宗族制度の原理の生命力はそれほど堅忍不抜なものであり、宗族は永遠不滅なのです。 
中国人は、現代日本人の感性や規範、道徳、しきたりとまったく異なる伝統を今でも保持しているのです。
こうした宗族に支配された社会構造が、現在の中国にも厳然として残っているのです。中国の歴史は、本質的に多元的な社会を一つの中国としてまとめようとする試みの連続でした。そうして、過去の大帝国はすべて瓦解しました。

実は多元的な社会を「一つ」にまとめようとする試みは、中国史のみならず、程度の差はありますが、アジア史・東洋史にも少なからずみられました。そのプロセスで生まれる軋轢をどう処理するかが、それぞれの歴史の要諦でした。

その手段として用いられたのが、宗教です。だいたい世界3大宗教と呼ばれるイスラーム、キリスト教、仏教は、いずれもアジア発祥です。それはおそらく、多元性をまとめるための普遍性やイデオロギー、あるいは秩序体系を提供することが、アジアの全史を貫く課題だったからでしょう。

それも一つの宗教・信仰に限定したわけではありません。1人の君主が複数の宗教を奨励、信奉し、同じ場所に暮らすそれぞれの宗教の信者をつなぎ止めて、共存させるといったこともありました。

アジア各地では宗教という普遍的なものも、多元的に存在していたのです。そうであるなら、複数の宗教・普遍性の存在を認めて重層化させることでしか、多元共存を可能とする統一的な体制は保てなかったわけです。

言い換えるなら、アジア史において政教分離は成立しにくいということです。多元性の強い社会で安定した体制を存続させるには、宗教のような普遍性を有するものがどうしても欠かせません。複数の普遍性を重層させねばならない場合は、なおさらです。

ヨーロッパで政教分離が成立したのは、そもそも社会も信仰も単一均質構造でまとまっていたからです。分離しても社会が解体、分裂しない確信が、その背後に厳存しています。仮にアジアで政教分離を実施したら、たちまち体制や秩序はバラバラになって混乱をもたらしてしまったでしょう。

中国の場合も、統合の象徴として儒教・朱子学が用意されました。ところが儒教は、漢人のイデオロギー・普遍性ですので、モンゴル・チベットと共存した清朝では、それだけでは不十分です。儒教の聖人を目指した清朝の皇帝は、同時にチベット仏教にも帰依して、普遍性の重層を図ったのですが、その体制も18世紀までしかもちませんでした。

かくて近代以降、儒教・チベット仏教もろとも、先に述べた「国民国家」や「一つの中国」が代替することになります。同時に、清代の多元共存に代わる秩序と統合のシンボルとして「五族共和」や「中華民族」のような概念がしばしば提起されました。

「中華民族」は理論上「多元一体」のはずですが、そのセオリーどおりに「一体」が実現したことはありません。チベット・新疆の民族問題や香港の一国二制度の実情・現状をみれば、一目瞭然ではないでしょうか。それに、中国には宗族が根強く残っていることを考えれば、国家の設立すら困難というのが、実情です。

こうして「中華民族の復興」を「中国の夢」とする習近平政権も、はるか古くからの中国史の1コマとして捉えることができます。リアルな中国史を振り返れば、現在香港で起こっていることの本質が理解できると思います。

香港にも宗族が、新界原居民という形で形跡は残っていますが、多くの香港市民は長い間の英国による統治により、台湾のように、宗族の良い面だけが残っているようです。

台湾の宗族については、以前もこのブログで説明したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「親中」に逆風が吹き始めた台湾総統選―【私の論評】台湾では、宗族の良い要素だけが残ったため、民主化が実現されている(゚д゚)!
台湾の蔡英文総統
現在の台湾では、宗族の伝統は残ってはいますが、中国のように「究極のエゴイズム」を追い求めるような存在ではありません。 
台湾においても、従来の宗族は儒教を通して、祖先崇拝、族長の統治、系譜の存在、一族の互助、家廟、祀堂場所の建立など、宗族の組織は非常に厳密でした。宗族員の結合は堅く、宗族の機能も広汎でした。 
しかし、古くは日本統治、最近では産業の進展にともない、宗族の構成は大きく変化しました。 
喪失して要素としては、族長権威と、共有財産です。持続されている要素としては、祭祀と墓参りです。残存要素としては、豊かな人間関係、経済の援助、系譜の尊重などです。 
台湾では、宗族の良い要素だけが残ったようです。ここが、宗族の伝統の悪い面も根強く残り、中国共産党をも支配している大陸中国とは、対照的です。
台湾では、宗族の構成が大きく変化したからこそ、まがりなりにも民主主義が根付いているということができます。
中国共産党が『宗族』を殲滅したのではなく、むしろ、宗族の行動原理は生き残った上で、当の中国共産党政権自身を支配している大陸中国と、香港は本質的に社会が違うのです。

長い英国支配により、香港では行政的に宗族は大きな意味を持たなくなったのです。これは、国家の成立にとっては避けて通ることができない道でした。国家が成立しないところに、民主主義も生まれることはないのです。政治と経済の分離、法治国家化も無理なのです。

大陸中国も本来はこの道を通るべきでしたが、結局中国共産党は「宗族」を殲滅できなかったどころか、当の中国共産党を支配しているのです。大陸中国では、結局共産主義も宗族のエゴイズムには勝てなかったのです。現在の中国の本質は、共産主義ではないし、国家資本主義でもないのです。その本質は、宗族支配の究極のエゴイズムなのです。

香港も宗族が支配する地域であれば、中国共産党もこれを比較的簡単に制御できたかもしれません。強力な宗族を懐柔できれば、香港は意外と簡単に中国の手に落ち、一国二国制度など有名無実になっていたかもしれません。

この価値観の相克が、現在の香港に色濃く反映されているのです。この問題は、かなり大きな中国社会の変動であり、これからますます大きくなっていくことでしょう。やがて、香港だけでなく、中国全土に広がっていくことでしょう。

最終的には、中国は価値観を共有できるいくつかの単位にまで、分裂することでしょう。中国共産党は、それを最も恐れているのです。おそらく、彼らにとっては米国との冷戦よりも、こちらのほうを恐れているに違いありません。だからこそ、香港の取り締まりは厳しくなる一方で、第二の天安門事件になるのではと危惧する専門家も存在するのです。

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「親中」に逆風が吹き始めた台湾総統選―【私の論評】台湾では、宗族の良い要素だけが残ったため、民主化が実現されている(゚д゚)!



2019年8月12日月曜日

トランプ氏、韓国・文政権に厳重警告! 「GSOMIA」破棄なら…日韓に対立緩和を促した“本音” ―【私の論評】信頼できない相手からの情報は、混乱と誤謬をもたらすだけ(゚д゚)!


トランプ大統領

 ドナルド・トランプ米大統領が、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権に厳重警告を発した。日本政府が、半導体素材の輸出管理を強化したことに反発して、文政権が「日韓軍事情報包括保護協定」(GSOMIA)の破棄をチラつかせているからだ。トランプ氏は表向き、日韓両国に関係改善を求めているが、対立の背景を十分理解している。文政権の「裏切り」を戒め、韓国内の保守派に奮起を促すものといえそうだ。

 「日韓は同盟国のはずなのに、米国を難しい立場に追い込んでいる」「日韓はいつもケンカしている。仲良くしなければならない」

 トランプは9日、ホワイトハウスで記者団にこう語った。

 北朝鮮の非核化問題や中国との覇権争いを抱えるなか、対立緩和を促した-と報じられるが、事態はさらに深刻だ。

エスパー長官は韓国訪問に先立って日本を訪問している

 訪韓中のマーク・エスパー米国防長官は9日、文大統領や鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相らと相次いで会談し、米国の要請で締結したGSOMIAの継続が重要だとの考えを伝えた。

 ところが、鄭氏は「有効性などを考慮し、更新するかどうか決めたい」といい、継続を明言しなかったのだ。

 実は、日米防衛当局者の間では「文政権がGSOMIAを破棄する可能性が高い」「日本に責任を押し付けて、中国や北朝鮮に接近する兆候がある」と分析している。

 このため、米シンクタンクなどを通じて、「GSOMIA破棄=米軍撤収・同盟解体」と警告してきたが、「反日・離米・従北・親中」の文政権には通じない。

 トランプ氏の発言は、韓国の保守派勢力に「自国が自由主義陣営から離脱していいのか? 目を覚ませ」とメッセージを送ったともいえそうだ。

 日米情報当局関係者は「ホワイトハウスには『北朝鮮は戦略的な敵だが、韓国の文政権はもっと問題だ』という分析がある。明確に『韓国を切るべし』という強硬意見もある。GSOMIAが破棄されれば、韓国は安全保障上も、経済的にも重大局面を迎える」と語っている。

【私の論評】信頼できない相手からの情報は、混乱と誤謬をもたらすだけ(゚д゚)!

冒頭の記事にもあるように、日韓関係が悪化の一途をたどる中、韓国政府は日本による半導体関連材料の輸出規制措置に対抗し、日韓GSOMIA(ジーソミア=軍事情報包括保護協定)の破棄をチラつかせています。韓国お得意の「手首切ってやる!」の脅しを仕掛けているわけだ。

日韓GSOMIAには様々な利点があるはずだったが・・・・

8月7日には世論調査会社のリアルメーターが、破棄の賛否を問う世論調査の結果を賛成(47.7%)、反対(39.3%)と公表しました。

訪日したエスパー米国防長官は同7日、岩屋毅防衛相、安倍晋三首相と相次いで会談し、GSOMIAが維持されることを「心の底から願う」と強調しました。そのエスパー氏は、8日からは訪韓して、鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相らと会談、同様の意向を伝えました。

日本は米英仏など7カ国、さらに北大西洋条約機構(NATO)と同協定を締結しています。日本との歴史問題を持ち出す韓国とは紆余曲折がありましたが、16年11月にようやく締結しました。

日韓GSOMIAの場合、協定の有効期間は1年で、期限の90日前に破棄を通告しない限り自動的に延長されると規定されています。これまでは毎年自動延長されてきましたが、今年は通告期限の8月24日までに韓国政府が破棄を通告するのか、注目が集まっています。そこでGSOMIAとは何か。韓国に破棄されると日本は困るのか検証してみます。

同協定は韓国からの要望で、ようやく実現にこぎ着けています。北朝鮮が発射するミサイルの着弾地点や高度、飛行距離などを分析する技術は日本の方が高いですから、韓国にとっては、自国向けに発射されるミサイルの性能分析に日本の情報が役に立ちますし、日本は北朝鮮などの潜水艦を探知する能力も韓国より高いです。

一方、日本にとっては、朝鮮半島有事の際、韓国側から戦況の情報が得られれば現地の日本人を助け出す上で役立つでしょう。それにヒューミント、人間の口からもたらされる情報も重要です。韓国は脱北者や北朝鮮内部に潜り込ませたスパイから現地の政治経済、ミサイル発射の兆候の情報を得ています。日本は韓国からこうした情報を教えてもらえるという関係です。

しかし、北とつながる韓国・文在寅政権とのGSOMIAは、ある意味で危険です。日本からの情報が北に筒抜けになるばかりか、逆にガセネタをつかまされる可能性もあります。要は韓国は、日韓GSOMIA破棄をチラつかせ米国を困らせ、日本を米国に叱ってもらいたのです。

2016年11月に締結したものですから、今年の11月で三年目ということですから、そもそもこの条約は2年と少ししか締結されてから時が経っていないということてず。その前は、韓国からの情報がなくてもやってこれたということですから、今になってそれを破棄されたらといっても、それが日本の安全保障にどれたけマイナスになるのかといえば、おそらくないでしょう。

韓国が破棄したいと言えば、日本はどうぞご自由にで良いでしょう。現状の韓国のハチャメチャ様子をみていれば、その韓国から情報がもたらされたからといって、それが信用できるかどうかは甚だ疑問です、

日本の哨戒機のレーダー照射についても未だに、何の情報の提供もありません。これでは、北朝鮮の船に対してせどりを行っていた現場の近くを日本の哨戒機が飛んだので、制裁破りを糊塗とようとして、照射をしたのではないかと疑われても仕方ないです。


日本側は、そんな相手からの情報を得たにしても、それをそのまま信じるわけにもいかず、その審議を確かめるために二度手間になるだけのことになりかねません。それであれば、米国からの情報のほうがはるかに信憑性・信頼性が高いはずです。

また韓国からの情報を鵜呑みにしてると、それこそ北朝鮮や中国に都合よく情報操作をされ、いざという時に痛い目を見ることになるかもしれません。

日本に対して韓国が不正確な情報を流せば、いざというとき大きな被害を受けることもありえます。であれば、米国の情報並びに自ら、哨戒機や潜水艦で情報を収集すれば、そちらのほうが余程信頼できます。

信頼できない筋からの情報は、混乱と誤謬をもたらすだけです。米軍ももはや北に接近し、中国に従属しようとする韓国からの情報など信頼していないでしょう。

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