高橋洋一 日本の解き方
東京五輪の開会式の舞台となる国立競技場 |
まず国内の政治スケジュールでは、1月から通常国会が開かれる。召集日は1月20日を軸に検討されており、150日間で6月中旬までの会期となる。冒頭に補正予算が審議され、3月いっぱいまで来年度予算が審議される。中国の習近平国家主席の来日は、国会開会中の春に予定されている。
東京都知事選は6月18日告示、7月5日投開票だ。そして東京五輪は7月24日に開幕し、8月9日に閉幕する。そして11月上旬には大阪都構想の住民投票が行われる予定だ。
世界を見ると、1月にトランプ米大統領の弾劾裁判が上院で開かれる。2月から各州で大統領選の予備選が実施され、11月に本選が行われる。
EUでは1月31日に英国の離脱期限が到来する。昨年の英総選挙の結果を受けて、いよいよブレグジットが実現する。
その他の地域では、1月11日、台湾総統・立法委員選挙がある。3月には中国で全国人民代表大会(全人代)が開かれる。6月10~12日に先進7カ国(G7)首脳会議が米ワシントン郊外のキャンプデービッドで、G20首脳会議は11月21、22日にサウジアラビアでそれぞれ開催される。
安倍晋三首相の自民党総裁としての任期は21年9月までだ。今の衆院議員は17年10月の総選挙で選ばれたので任期はやはり21年9月までとなる。衆院解散については21年に入ると「追い込まれ解散」となって不利だとみられており、20年中の可能性が高いだろう。
通常国会で補正予算を通してから解散総選挙という選択肢も一時、話題になっていたが、実務上の制約があるうえ、秋元司衆院議員がIR(カジノを含む統合リゾート)関連で逮捕されたので、その線は薄くなった。なにしろ、現職国会議員の逮捕は、10年1月の陸山会事件における石川知裕議員以来だ。
当面、政府と与党は、補正予算と来年度予算の成立を図り、昨年10月の消費増税による景気の落ち込みを避けたいところだ。補正予算が通れば、当面の景気の下支えになる。
しかし、世界経済は不透明だ。米中貿易戦争は11月の米大統領選頃まで本格的な解決は期待できない。というのは、これが経済だけではなく安全保障や人権問題にも関わってくるので、議会は共和党も民主党も中国に対し強硬姿勢を取っているためだ。トランプ大統領は選挙対策としても安易な妥協はできない。
ブレグジットによる欧州の景気後退や不透明感も気になるところだ。
となると五輪後の20年秋に景気の落ち込みがありうるので、再び臨時国会で補正予算という議論になるだろう。そこで解散総選挙という選択肢も出てくるのではないか。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
【私の論評】安倍政権が憲法改正を推進したいなら、秋に異次元のサプライズを演出しなければならない(゚д゚)!
私も、高橋洋一氏のように、通常国会で補正予算を通してから解散総選挙と睨んでいました。それについては、以前このブログに掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】IMFの「消費税引き上げ論」と真水「10兆円」の補正予算浮上…財務省の“絶妙”な対応―【私の論評】いまのところ、1月解散,2月選挙という可能性が最も高い(゚д゚)!
消費税は時の与党に国政選挙での苦戦を強いてきました。導入直後の1989年の参院選で自民党は大敗。10%までの引き上げを決めた旧民主党は2012年の衆院選で壊滅的敗北を喫しました。その後を受けた安倍内閣が連勝したことは、2度の増税延期と無縁ではありません。
そこで有力視されるのが来年秋以降です。「増税直後の選挙は負ける」とみて、東京五輪・パラリンピックを間に挟み、増税の影響を薄める狙いがあります。年明けからは五輪準備が本格化し、物理的にも解散が難しくなります。公明党が要請した軽減税率の仕組みは複雑で、「混乱が生じれば支持者が離れる」(同党関係者)との懸念もあり、こうした見方を後押ししています。
ただし、増税の影響が表れる10~12月期の国内総生産(GDP)の速報値が発表されるのは来年の2月17日です。このため「数字が出る前に解散を打った方がいいのではないか」(自民党関係者)との声もあります。野党側は立憲民主、国民民主両党が会派合流を決めたものの、離党の動きが出るなど臨戦態勢が整わず、与党にとっては好条件です。
1月解散となると、まさに選挙戦の最中にGDPの速報値が発表されることになるわけですが、その時に何の経済対策も打っていなければ、与党が大敗北となることが予想されます。
総選挙の開票開始後間もなく、自民党大敗の趨勢が判明、当選者もまばらな
ボードをバックに質問を受ける同党の麻生太郎総裁=2009年8月31日
しかし、そのときに真水の10兆円の対策を打つことを公約とすれば、話は随分と変わってきます。特に、先日もこのブログでも説明したように、現状では国債の金利はマイナスであり、国債を大量に刷ったとしても何の問題もありません。これは、多くの人に理解しやすいです。10兆円どころか、もっと多くを刷れる可能性もあります。
この対策とともに、日銀がイールドカーブ・コントロールによる現状の引き締め気味の金融政策をやめ、従来の姿勢に戻ることになれば、このブログにも以前掲載したように、マクロ経済的には増税の悪影響を取り除くこともできます。
安倍政権がこれを公約として、丁寧に政策を説明すれば、十分勝てる可能性はあります。来年秋以降ということになると、経済がかなり悪くなっていることが予想され、自民党の勝ち目は半減する可能性が大です。秋以降でなくても、選挙が後になれば、なるほど増税の悪影響がでてきます。
そうなると、いまのところ、1月解散,2月選挙という可能性が最も高いのではないでしょうか。ただしこの見立ては、実務上の制約があるうえ、秋元司衆院議員がIR(カジノを含む統合リゾート)関連で逮捕されたので、その線は薄くなりました。
こうなると、やはり高橋洋一氏が主張するように、オリンピック終了後の秋に解散総選挙という可能性がかなり高まったと考えられます。
ただし、今回補正予算が実施されるのは、4月からということで、増税してから半年ということで、秋口にはかなり経済が悪化している可能性が大きいというより、何か特別なことがない限りかなり悪化します。そうなると、選挙では経済関連でかなりの対策を打つことを公約としなければ、自民党にはかなり不利です。
上にも述べたように、消費税導入直後の1989年の参院選で自民党は大敗。10%までの引き上げを決めた旧民主党は2012年の衆院選で壊滅的敗北を喫しました。その後を受けた安倍内閣が連勝したことは、2度の増税延期と無縁ではありません。
安倍総理は、アベノミクスで、大きな支持を得たという経緯があります。特に雇用面では若い世代などからは圧倒的な支持を受けています。多くの国民は、憲法や安保よりもまずは、自分たちの暮らし向きが大事なのです。これはどの国でも変わりません。
安倍政権が宿願である憲法改正を実現するためには、何が何でも次の選挙では、大勝し改憲勢力を2/3以上にしなければならないはずです。さらに、今後安倍政権下で、憲法改正をするつもりなら、昨年「桜を見る会問題」などで、憲法改正論議がなされなかったことから、時間の壁があり、その壁を破るためには、安倍四選が不可欠です。
そのためにも、衆院選で大勝利しなければ、四選はかなり不利です。やはり、選挙で大勝利するためには、凡庸な公約ではかなり不利になります。これを打開するためには、やはり経済面等でたとえば、異次元の金融緩和に匹敵するような目新しいサプライズでありながら、誰にでも最初から簡単に納得できるか、わかりやすく説明すれば誰もが納得できて、強く訴求できるサプライズを演出しなければなりません。
私自身は、以前考えていた1月解散、2月総選挙よりは、秋に解散総選挙のほうが、このようなサプライズが期待できると思います。
そのサプライズに関しては、このブログにいくつか掲載してきました。たとえば消費税を5%に戻すこと。国債の金利がマイナスであるため、マイナス分の金利は、発行した政府の儲けとなることから、国債を100兆円刷って、政府が金利分を設けて、その他は基金にして、国土強靭化などにも用いるとか・・・・。
さらには、日銀法を改正して、日本国の金融政策の目標は政府が定め、日銀はその目標を専門家的立場から実行する方法を選ぶことができるようにするとか・・・・。これによって、日銀の独立性は世界水準の中央銀行の独立性と同等になるわけです。
考えれば、他にもあります。たとえば、習近平を国賓としして招くことをやめるとか、防衛費のGDP1%枠を破るとか・・・・。ちなみに、防衛費を上昇させ、国内でその面に投資すれば、当然ながら景気にも良い影響を及ぼします。他にもあるかもしれませんが、まずはこれらだけでも、かなり支持率がアップすると思います。
全部とはいわなくても、このうち2つくらいでも実行すれば、大サプライズになります。これにより、次回の衆院選は自民党の大勝利となり、安倍四選も可能となり、さらには憲法改正も可能になります。
安倍政権には、秋のサプラズに期待したいです。
【私の論評】
【日本の解き方】IMFの「消費税引き上げ論」と真水「10兆円」の補正予算浮上…財務省の“絶妙”な対応―【私の論評】いまのところ、1月解散,2月選挙という可能性が最も高い(゚д゚)!