2023年6月20日火曜日

スウェーデンNATO加盟を無理筋に拒み続けるトルコ―【私の論評】トルコは反対を取り下げ、スウェーデンのNATO加盟を認めるべき(゚д゚)!

スウェーデンNATO加盟を無理筋に拒み続けるトルコ

岡崎研究所

スウェーデン女性とエルドアン大統領(左) AI生成画像

 エスパー元国防長官とファーカス元国防次官補は、トルコとハンガリーがスウェーデンのNATO加盟申請に賛同するべきだと主張している。スウェーデンは、ロシアの脅威に対抗する有利な地理状況、情報識見、強い防衛産業、称賛に値する海洋能力などから、NATO加盟に値する。

 ビリニュス首脳会談を超えて加盟を遅延させることはロシアを元気づけ、NATOを掘り崩す。米国を始めNATO加盟国は、トルコとハンガリーにスウェーデンの加盟を直ちに認めるように圧力をかけなければならない。スウェーデンはエルドアンの要求を満たすためにやれることは全てやった。彼にはさらなる口実はない。

 フィンランド政府高官は、スウェーデンがNATO同盟国でない場合、フィンランドの安全保障は最大にならないと述べた。NATOがすべきでないことはプーチンに立場を強める機会を与えることである。ウクライナ人はあまりに多くの犠牲を払った。

 エスパー元国防長官は米国のシンクタンクであるアリゾナ州立大学マケイン研究所の理事で、ファーカス元国防次官補はマケイン研究所の事務局長をしているが、この論説は、7月のビリニュスNATO首脳会議前にスウェーデン加盟を認めるべきであるとの主張をしている。ジョン・マケイン上院議員が主張したような主張である。

 6月1日にスウェーデンが反テロ法を施行したことを受け、トルコのエルドアン大統領もスウェーデンのNATO加盟反対を取り下げるべきであると思われる。

 そもそもエルドアンがスウェーデンのNATO加盟問題とPKK(クルド労働者党)メンバーのスウェーデン滞在の問題を結び付け、後者の問題の解決がなければ、前者の問題の解決はないとしたのは無理筋のやり方であると考えられる。それにもかかわらず、スウェーデンは憲法の改正や反テロ法の立法にまで踏み込んで、エルドアンの要求に歩み寄ったのである。もはやエルドアンもそれなりの対応をすべきであろう。

 もし、エルドアンがさらに反テロ法の執行状況を見て判断したいというような姿勢を見せるならば、この論説が言うように、エルドアンはNATO首脳会議で歓迎されないと明確にし、NATOとトルコの関係を再検討するということも一つの対応であろう。

 トルコはソ連が南に出ていく際の抑えという地理的重要性を持っていたが、ウクライナ戦争がどう終わるにせよ、ウクライが地上から消えることにはならないので、ロシアの南下を抑える役割の多くはウクライナに期待できるようになると思われる。ウクライナ戦争後のロシアは弱体化が進むと思われるので、なおさらである。

 米国を引き込み、ロシアを排除し、ドイツを抑えるとのNATOの当初の目的に鑑みれば、スウェーデンとフィンランドの加盟はトルコの加盟以上に今は重要であると言ってよいと思われる。

 今後の進展を注視すべき問題である。

 これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】トルコは反対を取り下げ、スウェーデンのNATO加盟を認めるべき(゚д゚)!

エルドアンはなぜ、PKK問題にこだわるのでしょうか。PKKとトルコの関係は、対立の関係にあります。PKK(クルド労働者党)は、トルコ、イラク、イラン、シリアの一部に位置するクルド地域の独立を求めて戦ってきたクルド人過激派組織です。トルコはPKKをテロ組織として指定し、数十年にわたり戦闘を続けています。

PKKの女性民兵

PKKとトルコの間の紛争は、血なまぐさい犠牲を払ってきました。何千人もの人々が双方で殺されてきました。また、紛争はトルコの経済や社会にも悪影響を及ぼしてきました。

近年、紛争の平和的解決に向けた取り組みが行われています。しかし、これらの努力は今のところ成功していません。PKKは独立のために戦い続けており、トルコはこれをテロ組織として指定し続けています。

PKKとトルコの間の紛争は複雑です。紛争を引き起こした要因は多く、簡単な解決策はないです。しかし、平和的な解決に向けて努力を続けることが重要です。

ここでは、PKKとトルコの関係について補足説明します。

PKKは1978年にアブドゥラ・オカランによって設立されました。その目的は、トルコ南東部にクルド人の独立国家を建設することです。

PKKは1984年以来、トルコ政府と戦ってきました。彼らは、自爆テロや暗殺を含むテロリズムの行使で非難されており、トルコ、米国、欧州連合からテロ組織に指定されています。

PKKとトルコの間の紛争は、何千人もの死者を出し、何百万人もの人々を避難せざるをえないような状況に追い込みました。紛争を平和的に解決するための努力も行われているが、これまでのところ、これらの努力は成功していません。


一方、PKKとスウェーデンの関係を以下に述べます。

PKKとスウェーデンの関係は複雑で、時代とともに変化してきました。過去にスウェーデンは、トルコと米国によってテロ組織とみなされているPKKに支援を提供していると非難されたことがあります。しかし、スウェーデンはこれらの疑惑を否定し、いかなるテロ組織も支援していないとしています。

近年、スウェーデンはPKKと距離を置くための措置をとっています。2016年、スウェーデンはPKKとその関連団体に制裁を課しました。2019年、スウェーデンはPKKのメンバーをトルコに引き渡した。そして2022年、スウェーデンは憲法を改正し、テロ組織を支援することを犯罪としました。

こうした措置にもかかわらず、トルコはスウェーデンとPKKの関係について懸念を表明し続けてきました。2022年、トルコはスウェーデンのPKK支援への懸念を理由に、スウェーデンのNATOへの加盟申請を阻止しました。

PKKとスウェーデンの関係の将来は不透明です。スウェーデンがトルコをなだめ、NATOへの加盟を確保するために、PKKから距離を置く措置を取り続ける可能性はあります。しかし、PKKがスウェーデンに圧力をかけ続け、その結果、両国の間にさらなる緊張が生じる可能性もあります。

リトアニア首都ビリニュス

トルコが今年7月にリトアニアのビリニュスで開催されるNATO首脳会議後もスウェーデンのNATO加盟を拒否し続けるのは全く合理的ではありません。

第一に、先に述べたように、スウェーデンは、トルコがテロ組織とみなすクルド労働者党(PKK)への支援疑惑に対するトルコの懸念に対処するため、重要な措置を講じている。特に、スウェーデンはPKKのメンバー数名をトルコに送還し、トルコへの武器禁輸を解除し、国境内のPKK活動を取り締まってきました。

第二に、スウェーデンのNATO加盟は、同盟の集団防衛を強化し、ロシアからの侵略を抑止することになります。ロシアは近年、攻撃的な姿勢を強めており、ウクライナへの侵攻によって、目的の達成のためには軍事力を行使することも辞さない姿勢を示しています。スウェーデンのNATO加盟は、同盟に新たな安全保障層を追加し、ロシアが加盟国を脅かすことをより困難にするものです。

第三に、スウェーデンのNATO加盟は、トルコの安全保障上の利益を損なわないということです。トルコは、スウェーデンのNATO加盟により、PKKがスウェーデンを拠点として活動することが可能になると主張してきました。しかし、この主張を支持する証拠はないです。実際、スウェーデンはテロとの闘いにおいて強力な実績があり、NATOへの加盟は同盟の能力を強化することになります。

結論として、トルコがスウェーデンのNATO加盟を拒否し続けることは不合理であり、両国にとって有害です。スウェーデンはトルコの懸念に対処するために重要なステップを踏んでおり、NATOへの加盟は同盟を強化し、ロシアからの侵略を抑止することになるでしょう。トルコは反対を取り下げ、スウェーデンのNATO加盟を認めるべきです。

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2023年6月19日月曜日

ウクライナ戦争で中国への不信感を強める欧州―【私の論評】日米欧は、中国の都合よく規定路線化する姿勢には疑いの目で迅速に対処すべき(゚д゚)!

ウクライナ戦争で中国への不信感を強める欧州

岡崎研究所


 中国は、ウクライナ戦争の停戦を促すため、ウクライナ、ロシア、欧州諸国に働きかけている。しかし、中国の和平計画は、ロシアがウクライナ領土の20%近くを占領している現状をそのままにしたままで、まず停戦をしてはどうかというものであり、ウクライナにもウクライナ支援をしている欧州諸国にも到底受け入れられる提案ではない。

 中国はこういう提案をすることで、ロシアの侵略とその成果を認める姿勢を示したが、これで仲介できると考えるのは中国の情勢判断能力に疑問を抱かせるものであると言わざるを得ない。さらに、今はウクライナが反転攻勢を加えようとしている時期であり、ピントの外れた仲介であると言わざるを得ない。

 欧州側が李特使の考え方に強く反発したのは当然であり納得できるが、ウクライナ戦争とそれへの対応を見て、欧州の対中不信や姿勢はより厳しくなると思われる。そのこと自体は歓迎できることであろう。

 フランスは、今なお中国のウクライナでの永続する平和への役割がありうるとしているが、何を念頭においているのか、理解しがたい。マクロン大統領の訪中の際の共同声明、その後のマクロンの対露、対米姿勢、特に北大西洋条約機構(NATO)や台湾問題に関する発言等には、要注意である。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事を御覧ください。

【私の論評】日米欧は、中国の都合よく規定路線化する姿勢には疑いの目で迅速に対処すべき(゚д゚)!

元記事では、「最近、中国は状況対応型で原理原則のない国になり、信用できない国であると思わざるを得ないことが多くなった。北方領土問題についても、1964年、毛沢東が日本の立場への支持を打ち出したが、最近それを取り下げ、日本の立場を支持することはやめると言った。立場を平気でころころと変えるような国、首尾一貫しない国を信用するのは大きな間違いにつながる。中国を不信の目で見ることが必要と思われる」としています。

これについては、以前からこのブログでも主張してきたことです。その記事のリンクを以下に掲載します。
習近平の反資本主義が引き起こす大きな矛盾―【私の論評】習近平の行動は、さらに独裁体制を強め、制度疲労を起こした中共を生きながらえさせる弥縫策(゚д゚)!

AI生成画像

 これは、2021年7月の記事です。この記事の結論部分を以下に引用します。

中国の路線変更は大きな問題であり、「毛沢東主義への回帰」とか「鄧小平路線の変更」というよりも、もっと細かく見ていく必要があります。ただ、習近平の今のやり方は中国経済にとってはよい結果をもたらさないということと、中国はますます独裁的な国になることは確かです。共産党と独裁には元々強い親和性があります。

しかし、国民の不満は爆発寸前です。私自身は、習近平の一連の行動は、結局のところさらに独裁体制を強め、国民の不満を弾圧して、制度疲労を起こした中国共産党を生きながらえさせるための弥縫策と見るのが正しい見方だと思います。実際は本当は、単純なことなのでしょうが、それを見透かされないように、習近平があがいているだけだと思います。

習近平に戦略や、主義主張、思想などがあり、それに基づいて動いていると思うから、矛盾に満ちていると思えるのですが、習近平が弥縫策を繰り返していると捉えれば単純です。2〜3年前までくらいは、戦略などもあったのでしょうが、現在は弥縫策とみるべきと思います。

無論、多くの国の指導者が、国際関係や国内の問題に関して、思いがけないことは頻繁に起こります。そのため、思いがけないことに関しては、弥縫策を取るのは普通のことだと思います。それにしても、長期の戦略がありながらも、当面弥縫策をとるのならわかりますが、習近平の行動は、単なる弥縫策と見るべきかもしれません。

特に経済面では、それは顕著です。過去に何度か述べたように、中国は国際金融のトリレンマにより、独立した金融政策ができない状況に陥っています。独立し金融政策ができないことは、中国経済に深刻な打撃を与えつつあります。

対処法は、いたって簡単で、人民元を固定相場制から変動相場制に移行させることです。あるいは、資本の自由な移動をさせないようにするかです。ただ、こちらのほうはできないでしょう。

だとすれば、変動相場制に移行するしかないのです。ただ、習近平はこれは実行せず、経済面においては弥縫策を繰り返すのみです。構造要因を取り除かない限り、中国経済が成長軌道に乗ることはありません。中国経済に関しては、様々な論評がなされていますが、それは現象面を語っているだけであって、中国経済が悪化し回復しないのは、独立した金融政策ができないことが根本原因です。

そうして、習近平は対外関係、国内でも弥縫策を繰り返しています。ただ、習近平の弥縫策は、様々な事柄を既成事実化するという手法で実行されていることが、より他国から信頼されないのと、危険な兆候を生み出しています。

習近平の政策を既成事実化する形で弥縫策を実施した例としては、以下のようなものがあります。

国家主席の任期制限の廃止。これは2018年の憲法改正によって行われ、習近平は無期限で政権を維持できるようになりました。これは、多くの人が習近平による権力奪取と見なし、物議を醸した。

反対意見の取り締まり。 習近平は、中国における反対意見を取り締まり、活動家、ジャーナリスト、弁護士を逮捕・投獄してきました。これは、「国家安全保障」を理由に人々を拘束する広範な権限を政府に与える国家安全法の拡大を含む、多くの手段によって行われてきました。

中国の軍隊の拡大。習近平は、新しい兵器システムの開発や南シナ海における中国の海軍プレゼンス拡大を含む、中国軍の大幅な拡張を監督してきました。これは、中国が世界の舞台で自己主張を強めていることの表れであるとの見方もあります。

一帯一路構想。一帯一路構想は、中国が世界の発展途上国に数十億ドルを投資する大規模なインフラプロジェクトです。この構想は、経済成長を促進し、貧困を削減する可能性があると一部で評価されていますが、中国の債務負担を増大させる可能性や地政学的野心から批判されることもあります。

これらは、習近平の弥縫策を既成事実化する形で実施されたほんの一例に過ぎないです。

習近平の弥縫策は、最近の琉球列島に関する発言にもみられます。

2023年3月8日に中国中央テレビ(CCTV)で放送されたテレビ番組「中国文化の生命力」。番組では、琉球諸島に関する習近平主席のコメントや、中国の主張を支持する学者たちの解説が紹介されました。

AIによる生成イメージ

習近平はコメントの中で、琉球諸島(現代の沖縄諸島)は "中国領土の不可分の一部 "であると述べました。また、中国は "琉球諸島を支配してきた長く継続的な歴史がある "とも述べています。

番組に出演した学者たちも、習近平の発言に共鳴していました。彼らは、琉球諸島は常に中国の一部であり、日本が同諸島を領有することは違法であると述べました。

中国メディアのキャンペーンは、琉球諸島の主権を主張する中国によるより大きな努力の一部です。中国はまた、この地域での軍事的プレゼンスを高めており、ロシアとの合同軍事演習を実施しています。

日本政府は、中国のメディアキャンペーンに懸念を持って反応しています。日本政府は、琉球諸島の領有権を放棄することはないと述べています。

そもそも琉球王国は中国の朝貢国ではありましたが、中国に支配されたことはありませんでした。

17世紀に書かれた琉球王国の歴史書『琉球国記』には、14世紀以降、中国の朝貢国であったと記されています。

また、清朝時代に編纂された法律書『清法』では、琉球王国は中国の朝貢国であったとされています。

琉球王国公文書館に保存されている琉球王国の外交記録には、中国との交流の記録が数多く残されています。これらの記録は、琉球王国が中国に定期的に朝貢団を送ったこと、中国皇帝が琉球王に "琉球王 "という称号を与えたことを示しています。

しかし、琉球王国は決して中国に支配されたわけではありません。王国には独自の政府があり、独自の法律があり、独自の軍隊がありました。琉球王は王国の最高統治者であり、中国皇帝に服従することはありませんでした。

琉球王国の中国への朝貢は500年以上続きました。1879年、琉球王国は日本に併合され、その歴史は終わったのです。

琉球諸島は "中国領土の不可分の一部 "であるという習近平の発言は間違いです。

琉球諸島を巡って中国と日本の間には何の問題もないのですが、習近平は軍事的にも経済的にも行き詰まってるため、弥縫策で両国には長い対立の歴史があり、琉球諸島の問題は敏感なものであると、発言し、国内の注意をそちらに向けていると考えられます。普通の国のトップなら、恥ずかしくてできないことです。事態がどのように進展するかは不明ですが、注視すべき弥縫策といえるかもしれません。

以下、中国メディアのキャンペーンについて補足します。

このキャンペーンは、少なくとも2020年から実施されています。新聞、雑誌、テレビ番組、ソーシャルメディアなど、さまざまなメディアで実施されてきました。

特に若い人たちに焦点を当てたキャンペーンです。中国人に琉球への郷愁を抱かせるように設計されています。

また、中国の琉球諸島に対する主張について、特に若い人たちを印象操作しようとするものです。この中国メディアのキャンペーンは、さまざまな反響を呼んでいます。一部の人々は、琉球諸島と中国の主張に対する認識を高めたと賞賛しています。また、ジンゴイズム的である、歴史を歪曲しているという批判もあります。

中国のメディアキャンペーンが長期的にどのような影響を及ぼすかについては、時期尚早と言わざるを得ません。しかし、このキャンペーンが、琉球諸島に対する主権を主張する中国によるより大きな努力の一部であることは明らかです。

テレビ番組「中国文化の生命力」のほか、中国メディアは、琉球諸島に対する中国の主張を宣伝する記事やソーシャルメディアへの投稿を数多く流しています。これらの記事や投稿は、中国の主張を支持するために歴史的・文化的な論拠を用いることが多い。また、日本が琉球諸島を支配していることを批判することもしばしばあります。

中国はまた、沖縄付近での中国とロシアとの航空機による合同飛行を行うなどの異常な行動をとっています。

中国中央電視台の建物

対外関係においても、弥縫策を繰り返す習近平ですが、その弥縫策がうまくいきそうであれば、長い年月をかけてでも、南シナ海を実効支配したように、規定化路線を取るのが中国のやりかたです。弥縫策がうまくいくと、不合理な理由であろうと何であろうと、屁理屈ともいえるような幼稚な理論で、規制路線化を押し通し、うまくいかないと、コロコロを態度を変えるので、信頼されなくなるのです。

日米欧は、中国の弥縫策による規制化路線に関しては、最初から猜疑心を持って見て、放置せずすぐに何らかの反応をすべきと思います。南シナ海においても、1980年代に中国が環礁に粗末な掘っ立て小屋を建てた時期に、米国が場合によっては、戦争も厭わない強い姿勢で臨めば、今日のようなことにはならなかったと考えられます。

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2023年6月18日日曜日

西側の対トルコ関係改善か―【私の論評】西側諸国との関係が改善すれば、トルコはウクライナ停戦で大きな役割を果せる(゚д゚)!

西側の対トルコ関係改善か


 トルコの大統領選挙でエルドアン氏が勝利し、彼の政権はNATOへの忠誠とロシアへの経済的依存のバランスを取る課題に直面している。

 西側ではエルドアン政権に反発してきたが、関係改善の期待もある。ただし、EU加盟問題では進展は見込めず、トルコは欧州連合との関係を築くことは難しい。

 一方、エルドアン政権の継続は恩恵をもたらす可能性もあるとの見方もある。米議会ではエルドアン政権に対する反発が強く、ロシアとの関係やクルド人への弾圧に対する懸念がある。

 トルコはNATOに属しているが、同時にロシアとの関係も持っており、ウクライナ戦争で重要な役割を果たす可能性がある。

 EU加盟国はNATOとの関係に注目しており、EU加盟交渉はエルドアン政権の再選で進展しない見通し。

 EUとトルコは難民・移民問題などで協力しているが、加盟交渉は凍結状態にある。

 エルドアン政権の継続は国内で保守化の傾向を強め、対外政策では民族主義的な姿勢を取りながらも、国益を追求しようとするだろう。ウクライナ戦争の中で、トルコと西側の関係の動向が注目される。

これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】西側諸国との関係が大きく改善すれば、トルコはウクライナ停戦で大きな役割を果せる(゚д゚)!

ロシア軍のs-400防空システム

欧米諸国とトルコの関係悪化の背景には、以下のような要因があります。

  • トルコがロシアのS-400防空システムを購入したこと: 2019年、トルコは、米国や他のNATO同盟国から、そうすることでトルコの同盟加盟が危うくなるという警告を受けたにもかかわらず、ロシアのS-400防空システムを購入しました。S-400の購入は、トルコのNATO同盟国による大きな裏切り行為とみなされ、米国による制裁の発動につながりました。
  • シリア内戦におけるトルコの役割:トルコはシリア内戦の主要なプレーヤーであり、バッシャール・アル・アサド政権と戦うシリアの反政府勢力に軍事的・財政的支援を提供してきました。トルコのシリア内戦への関与は、シリア政府の主要な同盟国であるロシアと対立することになりました。
  • トルコの人権状況の悪化: トルコの人権状況は近年悪化しており、政府は反対意見を取り締まり、ジャーナリストや反対派の人物を逮捕しています。トルコの人権状況の悪化は、トルコをイスラム世界における民主主義の模範と見なしてきた欧米諸国との関係を緊張させています。
  • トルコの経済問題 :トルコ経済は数年前から危機的状況にあり、高水準のインフレと失業に直面しています。経済危機は多くのトルコ人の生活水準の低下を招き、トルコに資金援助をしてきた欧米諸国との関係もぎくしゃくしています。
  • トルコの過激派組織への支援 :トルコは、イラク・シリアのイスラム国(ISIS)などの過激派を支援していると非難されています。トルコは、これを否定していますが、2019年、国連の報告書は、トルコがISISへの外国人テロリスト戦闘員の流入を「防ぐための適切な措置を講じていない」と指摘しました。報告書はまた、トルコが "テロ活動の資金調達を防ぐために必要なすべての措置を講じていない "ことを明らかにしました。このため、欧米諸国は、トルコのテロとの戦いに対するコミットメントを懸念しています。
  • 東地中海におけるトルコの役割:トルコは、東地中海のエネルギー開発をめぐり、ギリシャやキプロスとの紛争に巻き込まれています。この紛争は、トルコとNATO同盟国との関係を緊張させています。
トルコと欧米の関係悪化は複雑な問題であり、簡単な解決策はないです。関係改善のためには、双方が譲歩する姿勢が必要です。

最終的には、トルコと欧米が、テロ対策や安全保障、経済発展など、互いに関心のある問題で協力する方法を見つけることが目標になるはずです。トルコと欧米が協力することで、世界をより安全で豊かな場所にすることができるのです。そうしてその最大のものが、トルコが将来的にウクライナ戦争停戦交渉の重要なプレーヤーになりうるという可能性です。

その論拠をいくつか以下にあげてみます。

第一に、トルコはヨーロッパとアジアの交差点に位置し、ウクライナを含む、旧ソ連邦諸国と国境を接しています。そのためトルコは従来からユニークな視点を持ち、地域情勢における重要なプレーヤーとなっています。

次に、トルコはロシアとウクライナの両方と経済的、政治的に密接な関係があります。このため、トルコは両国の利害を独自に理解しており、両国の溝を埋めるために貢献することができます。

ウクライナ戦争で大活躍した、トルコ製ドローン、バイラクタルTB2

第三に、トルコには、他国間の紛争を調停してきた歴史があります。例えば、2020年にナゴルノ・カラバフの停戦合意に至った交渉では、トルコが重要な役割を果たしました。

第四に、 トルコは主要なエネルギー通過国であり、エネルギー供給をロシアやイラン、アゼルバイジャンからの輸入に頼っています。トルコは、2020年、黒海で埋蔵量3200億立方メートルに上る同国史上最大規模の天然ガス田を発見したと公表していますが、このガス田がトルコで利用できるようになるのは、まだ随分先のことになります。

そのため、停戦は、トルコを経由するエネルギーの継続的な流れを確保することにつながり、トルコの経済的利益となります。

最後に、トルコには強力な軍事力があり、自国の利益を守るために軍事力を行使してきた歴史があることも注目に値します。トルコの国防費は、サウジアラビアとイスラエルに次ぐ中東で3番目の大きさであり、2019年の支出は20,448百万米ドルでした。 その軍事費は、2012年の115.6億米ドルから、2012年から2018年の期間に79.96%増加しました。

トルコ軍

このことは、トルコがロシアとウクライナの双方を交渉のテーブルに着かせるために必要な影響力を与える可能性があります。

全体として、トルコは将来的に停戦交渉の重要なプレーヤーとなり得る要素を数多く持っています。戦略的な立地、ロシアとウクライナの双方との密接な関係、調停の歴史、停戦への既得権益など、トルコは近隣の紛争において独自の役割を担っているといえます。

西側諸国との関係が大きく改善すれば、トルコはウクライナ停戦で大きな役割を果たす可能性は高いと考えられます。

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2023年6月17日土曜日

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プーチン大統領の「ソ連回帰」が周辺国に警戒されているのか


 ウクライナ侵略をきっかけに、旧ソ連諸国の中で「プーチン離れ」が進んでいる。

 ロシア指導部への支持率が急落し、ウクライナやモルドバを含む他の旧構成国でもロシアとの関係に疑問符がつくようになっている。

 ロシアのウクライナ侵略に対して批判的な態度を示してきたカザフスタンのトカエフ大統領は、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムでの会議を欠席し、ロシアとの一線を画した態度を明確にした。

 一方、ウクライナのゼレンスキー大統領はモルドバで開催された首脳会合に出席し、欧州との結束を確認した。

 ロシアの支持率の急落は、モルドバ、アルメニア、カザフスタン、アゼルバイジャンなどの旧ソ連諸国で顕著であり、プーチン大統領の「ソ連回帰」の試みに対しては懐疑的な声も上がっている。

 中村逸郎名誉教授は、ロシアが埋没していることを嫌い、プーチン大統領が「ロシアの栄光」を復活させようとしていると指摘し、旧構成国間で「反露・反プーチン連合」が形成される可能性もあると述べている。

 これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は是非元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】ウクライナ戦争が旧ソ連地域におけるロシアの立場を弱め、その影響力を維持することをより困難にした(゚д゚)!

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、長い間、ソビエト連邦を復活させようとしていると非難されてきました。彼はソビエト時代を懐かしむように語り、ロシアのメディアや経済に対する権力と支配力を強化するための措置をとってきました。また、異論や反対意見を取り締まり、クリミアを併合し、ウクライナ東部の分離独立派を支援してきました。

ソビエト連邦の復活を目論むプーチンだが・・・・・

プーチンのウクライナでの行動は、東ヨーロッパにおけるソビエト連邦の勢力圏を再現しようとする試みであると多くの人が見ています。ウクライナはかつてソビエト連邦の一部であり、ロシア語を話す人口も多いです。プーチンは、ウクライナへの侵攻を「非武装化・非ナチス化」のために必要だと主張し、正当化しています。しかし、プーチンの真の狙いは、ウクライナのNATO加盟を阻止し、ロシアの勢力圏に留めることにあるとする見方が多いです。

プーチンの思いとは裏腹に、ウクライナ戦争は、プーチンのソビエト連邦復活の野望を大きく後退させるものになりました。ウクライナ国民は独立のために戦う意思を示し、ロシア軍に多大な犠牲をもたらしましたた。

また、この戦争は、ロシアの経済と世界舞台での評判にダメージを与えました。プーチンがソビエト連邦の復活という目標を達成できる可能性は低いですが、今後も旧ソ連共和国に対する支配力を行使し、東ヨーロッパにおけるロシアの影響圏を拡大しようとしていた可能性は高いです。

プーチンのウクライナでの行動が、ソ連復活の試みとどのように関連しているのか、具体的な例をいくつか挙げます。

クリミアの併合 2014年、ロシアはウクライナからクリミア半島を併合しました。これは明らかな国際法違反であり、プーチンがソビエト連邦の国境を復活させようとしている兆候であると多くの人が見なしました。

 ロシアは2014年以降、ウクライナ東部の分離主義者を支援してきました。これらの分離主義者はウクライナ政府と戦っており、多大な死と破壊を引き起こしています。ロシアの分離主義者への支援は、ウクライナを不安定化させ、NATOへの加盟を阻止するための試みであると多くの人が見ています。

さらに、プーチンは2000年に政権に就いて以来、ロシアにおける反対意見を取り締まってきました。野党指導者を投獄し、言論の自由を制限し、メディアを統制してきました。このような反対意見の取り締まりは、ソビエト連邦に似た全体主義国家を作ろうとしていると多くの人が見ています。

ただ、プーチンは、ソビエト連邦を復活させようとしていると明言したことはないことに注意する必要があります。しかし、ウクライナなどにおける彼の行動は、それが彼の目標であることを示唆しています。ウクライナ戦争はプーチンにとって大きな後退だが、プーチンがその野望をあきらめることはないでしょう。

ただ、この考えは、一種妄想に近いともいえると思います。そもそも、ロシアがウクライナに侵攻し、キエフを占領し、ゼレンスキー政権を追放し、傀儡政権を作ることは、最初から不可能だったと考えられます。ウクライナ侵攻直前でさえ、ロシアのGDPは韓国をわずかに下回る程度であり、軍事力もNATOの連合軍ほど強力ではありません。

軍事費も一般に思わているほど大きくはありません。日本が軍事費を倍にすると、ロシアの軍事費をかなり上回ることになります。それでも、なぜロシアが軍事大国と思われてきたかといえば、旧ソ連の核兵器と、軍事技術を継承した国がロシアだからです。

無論、これを侮ることはできませんが、自ずと限界はあります。できることは限られています。ウクライナ侵攻は当初から絶望的に困難なことだったといえます。
IMFデータをもとにした世界の名目GDP国別ランキング

ロシアのウクライナ侵攻が成功しなかった理由をいくつか挙げてみます。

まず、ウクライナ国民は自国のために戦う意志を持っていることです。ウクライナ国民は国のために戦う意思を示し、ロシア軍に多くの犠牲者を出している。そのため、ロシアは目的を達成することが難しくなりました。

国際社会はロシアに厳しい制裁を課しています。米国とその同盟国は、ロシアがウクライナに侵攻したことを受けて、ロシアに厳しい制裁を課しています。これらの制裁はロシア経済を麻痺させ、ロシアが軍事活動を維持することを困難にしています。

ロシアは多くの戦略的誤りを犯してきたことです。ロシアはウクライナ侵攻において、多くの戦略的誤りを犯しました。ウクライナの抵抗力を過小評価したこと、ウクライナ上空の制空権を確保できなかったこと、目的を迅速に達成できなかったことなどです。

ウクライナ戦争が長期的にどのような結果をもたらすかについては、まだ時期尚早です。しかし、ロシアが大きな後退を喫し、世界におけるロシアの地位が弱体化したことは確かです。また、この戦争は、ウクライナの人々が自国を守る決意を固め、戦わずしてあきらめないということを示しました。

キエフ郊外のアントノフ空港で、ウクライナの女性兵士とともにたたずむオレナ・ゼレンスカ(青色のコートの女性)。

ウクライナ侵攻をきっかけに、旧ソ連諸国の間でプーチンからの「離反」が進んでいることは、上の記事に示されていますが、これには、以下のような要因があります。

まず、ウクライナ戦争は、ロシアが信頼できるパートナーでないことを示したことです。ウクライナへの侵攻は明らかな国際法違反であり、多くの死者と破壊をもたらしました。このため、多くの旧ソ連諸国は、ロシアが約束を守ってくれるかどうかを疑問視するようになりました。

ウクライナでの戦争は、ロシアの経済にダメージを与えました。米国とその同盟国が課した制裁は、ロシア経済に大きな影響を与えました。そのため、ロシア国内の生活水準が低下し、旧ソ連諸国への経済支援も難しくなっています。

ウクライナ戦争は、プーチンに対する信頼の失墜を招きました。ウクライナへの侵攻は、プーチンが自分の目的を達成するために軍事力を行使することを厭わないことを示しました。このため、多くの旧ソ連諸国は、プーチンが自分たちの最善の利益のために行動することを信頼できるかどうかに疑問を持つようになりました。

こうした要因の結果、多くの旧ソ連諸国がロシアから距離を置くための措置をとっています。例えば、グルジアとモルドバはNATOへの加盟を申請し、アルメニアは集団安全保障条約機構(CSTO)への加盟を停止しています。これらの国々は欧米との緊密な関係を求めており、安全保障や経済的支援をNATOや欧州連合に求めている。

旧ソ連諸国の間でプーチンからの「離反」が進んでいることは、ロシアにとって大きな後退です。この地域におけるロシアの影響力が衰えていることを示すものであり、プーチンが目指すソビエト連邦の復活への挑戦でもあります。ロシアがこの課題にどう対応するかは不明ですが、ロシアはこの地域での影響力を維持する方法を模索する可能性があります。

たとえば、ロシアはその経済力を利用して、旧ソ連諸国に圧力をかけ、自国に従わせることができます。例えば、貿易や投資を遮断したり、エネルギー輸出の価格を引き上げたりすることが考えられます。

ロシアは、旧ソ連諸国が西側諸国と協調することを阻止するために、軍事力を行使することができます。例えば、旧ソ連諸国との国境付近で軍事演習を行ったり、旧ソ連諸国のうちロシアと同盟を結んでいる国に軍隊を派遣したりすることです。

さらに、ロシアは、偽情報やプロパガンダを用いて、旧ソ連諸国の住民の間に不和や不信感を植え付けることができます。これにより、旧ソ連諸国がロシアに対して団結することをより困難にすることができます。

そうして、ロシアは、旧ソ連諸国において自国の価値や利益を促進するために、文化的影響力を行使することができる。これは、ロシアのメディア、教育、スポーツを利用することで可能です。

重要なのは、ロシアがこれらの方法を一度にすべて使う可能性はないということです。むしろ、国や地域によって、いくつかの方法を組み合わせて使う可能性が高いです。

ロシアが旧ソ連地域で影響力を維持しようとする努力が成功するかどうかは、以下のような多くの要因に左右されます。

①旧ソ連諸国の経済力と軍事力、②欧米との関係強化に対する国民の支持の程度、③欧米の対ロシア制裁の有効性等です。

ウクライナ戦争が旧ソ連地域におけるロシアの影響力に長期的にどのような影響を与えるかについて結論を出すのは時期尚早です。しかし、この戦争がこの地域におけるロシアの立場を弱め、ロシアがその影響力を維持することをより困難にしたことは明らかです。

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2023年6月16日金曜日

社会に禍根残すLGBT法案 公約にないのに成立急いだ背景、米国や公明党への配慮か 女性用浴場に女装した男が侵入する事件も―【私の論評】米国でも、評価の定まっていない法律を導入してしまった日本では必ず一波乱ある(゚д゚)!

高橋洋一「日本の解き方」

LGBT法案成立を日本に求めているエマニュエル駐日米大使

 LGBTなど性的少数者への理解増進を目的とした法案が16日にも成立する見通しだ。

 LGBT法案は、自民党の公約の変遷から見ると、2016年参院選から21年衆院選まで公約に含まれていたが、最近の公約ではその記述がなく、政策集でも記述がトーンダウンしていた。しかし、今年2月に岸田首相が国会提出に向けた準備を指示し、法案が急速に進展した。

 法案成立を急いだ理由としては、岸田首相が取り組みたい政策であり、元首相秘書官の差別的な発言を奇貨として利用したと考えられている。法案成立には米国や公明党への配慮も影響していると言われている。

 法案成立によって社会には様々な影響が生じるだろう。例えば、性的少数者の権利や差別の防止が強化されることで、社会全体の理解と受容が進む可能性がある。しかし、賛否は価値観に依存し、保守層からは反発も予想される。また、逮捕された女性用浴場への男性の侵入事件など、法案成立後の具体的な事例によって、議論が起こるだろう。

 LGBT法案は解散風を後押しし、左派の立憲民主党や共産党なども反対している。これにより内閣不信任案が提起される可能性もあり、解散に繋がるかもしれない。ただし、解散は国民にとって良いこととは限らないとの意見もある。

これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】米国でも、評価の定まっていない法律を導入してしまった日本では必ず一波乱ある(゚д゚)!

現在米国を含めて世界で巻き起こっているLGBT運動は、左翼運動の一環でもあることは否めないです。

まず、米国においては、LGBTの人々は、保守的または右翼よりもリベラルまたは左翼であると認識する傾向があります。2017年のピュー・リサーチ・センターの調査によると、米国のLGBT成人の72%がリベラルまたは左寄りと認識しているのに対し、保守的または右寄りと認識しているのは24%でした。

LGBTの権利は、しばしば左派の問題とみなされます。左派は一般的に、性的指向や性自認にかかわらず、すべての人々の社会正義と平等を支持する傾向が強いからです。

多くの左翼団体が、LGBTの権利のための戦いの最前線に立ってきました。例えば、全米のLGBT擁護団体であるヒューマン・ライツ・キャンペーン(HRC)は、民主党の候補者や活動に対する主要な寄付者です。

LGBT運動は、左派系政府の支援からも恩恵を受けています。例えば、オバマ政権は、ゲイやレズビアンを公言する人の兵役を禁止していた「Don't Ask, Don't Tell」政策を撤廃しました。

注意すべきは、すべてのLGBTが左翼であるわけではなく、すべての左翼がLGBTの権利を支持しているわけでもないことです。しかし、LGBTのアイデンティティと左翼的な政治的見解には強い相関があります。これは、一般的に左派が社会正義やすべての人の平等を支持する傾向が強いためと思われます。

米国のLGBT運動

ただ、社会正義や万人の平等への支持が極端になれば、かえって社会正義を破壊し、人々を分裂させる可能性があります。

自分のアイデンティティが攻撃されていると感じると、人は防衛的になり、変化に対して抵抗するようになります。これは、二極化と分裂の激化につながります。

人々は、自分が不当に扱われていると感じると、暴言を吐いたり、有害な行動をとったりしやすくなります。これは、紛争や暴力の増加につながる可能性があります。

人々は、自分が排除されている、あるいは疎外されていると感じると、孤立や孤独を感じやすくなります。これは、うつ病や不安症などの精神衛生上の問題を引き起こす可能性があります。

これらは、社会正義と平等を極端に支持することで起こりうるマイナスの結果の一部に過ぎないということに注意することが重要です。社会問題に対する意識の向上、差別の減少、社会的結束の向上など、ポジティブな結果も多くあります。しかし、過激主義の潜在的な危険性を認識し、それを回避するための努力をすることは重要です。

これらの主張を裏付ける資料をいくつか紹介します。

"The Psychology of Social Justice and Intergroup Relations." By John T. Jost and Mahzarin R. Banaji.
"The Social Psychology of Inclusion and Exclusion." By Rupert Brown.
"The Handbook of Social Justice." Edited by Ilja J.M. van den Bos and Tom R. Tyler.

これらの情報源は、社会正義と過激主義というテーマで行われた研究のほんの一例に過ぎないということに注意することが重要です。引用できる研究はもっとたくさんありますが、これらの資料は、社会正義への極端な支持がもたらす潜在的な悪影響について、わかりやすく概要を提供しています。

さて、下の写真は6月14日ホワイトハウスのLGBTプライドイベントでのものです。左が女性、右が男性で、左の傷跡を見てください。これが本当に、LGBT運動全体が望み、祝福するものなのでしょうか?これが本当に子供たちの模範となるべき人たちなのでしょうか?

米ホワイトハウスは13日、LGBTなど性的少数者の権利擁護を呼びかける「プライド月間」のイベントで活動家が上半身裸の動画(下写真)を撮影し、公開したのは不適切だとして、この人物を今後は招待しないと明らかにしています。

活動家はローズ・モントーヤら。ホワイトハウスが10日開いたイベントで上半身裸になって両胸を手で包んで揺らす動画をソーシャルメディア上で公開しました。バイデン大統領夫妻と会話する姿も投稿していました。

モントーヤはツイッターで「わいせつなことをする意図は全くなかった」とし、性的少数者の権利擁護を祝う「喜び」を表現しようとしただけだと弁明しました。


さて、米国では、連邦政府レベルでは日本の「LGBT理解増進法」に相当する法律はありません。州レベルでは、LGBT法を定めてい州もあれば、反LGBT法を定めている州もあります。

ここでは、米国でLGBT関連の州レベルでの法律をあげます。

LGBTに配慮した法律
  • 差別禁止法: 住宅、雇用、公共施設などにおいて、性的指向や性自認に基づく差別を禁止する法律です。2023年3月現在、29の州とコロンビア特別区が性的指向と性自認を含む差別禁止法を制定しています。
  • 同性婚の実現 2015年、米連邦最高裁は「オベルゲフェル対ホッジス裁判」において、米国憲法修正第14条のデュープロセス条項および平等保護条項により、同性カップルに結婚する基本的権利が保証されるとの判決を下した。2023年3月現在、50州すべてで同性婚が合法化されています。
  • 養子縁組: 全50州で同性カップルの養子縁組が認められています。
  • 健康管理: 50州すべてで、同性カップルがパートナーのために医療上の決定を下すことが認められています。
反LGBT法
  • 信教の自由に関する法律: 企業や個人が宗教上の信念に基づいてLGBTの人々へのサービスを拒否することを認める法律です。2023年3月現在、19の州で宗教の自由に関する法律が制定されており、LGBTの人々への差別に利用される可能性もあると指摘されています。
信教の自由に関する法律の成立には、賛否両論があります。宗教者の権利を守るために必要だと考える人もいます。また、LGBTやその他の少数派を差別するための手段であると考える人もいます。信教の自由に関する法律をめぐる議論は、今後もずっと続くと思われます。

米国憲法修正第1条は、信教の自由の権利を保証しています。この権利は、政府からの干渉を受けずに、自由に宗教を実践する権利を含むと、裁判所によって解釈されてきました。

20世紀初頭、最高裁判所は、宗教の自由には、自分の宗教的信念に反する政府主催の活動への参加を拒否する権利も含まれるとの判決を下しました。この判決は、宗教家が兵役や納税を拒否し、特定の政府プログラムに参加する権利を正当化するために使われたこともありました。
  • コンバージョンセラピー(転換療法): これは、人の性的指向や性自認を変えようとする有害な行為です。2023年3月現在、20の州とコロンビア特別区が未成年者への転換療法を禁止しています。
http://en.wikipedia.org/wiki/2004_Kentucky_Amendment_1

反LGBT法に関しては、日本ではあまり紹介されないので、その他具体的な事例をあげます。

2022年3月、フロリダ州で「Don't Say Gay」法案とも呼ばれるHB1557が可決されました。この法案は、幼稚園から3年生までの性的指向と性自認に関する指導を禁止しています。また、自分の子どもが法律に違反してこれらのテーマについて教えられていると考える場合、保護者が学区を訴えることもできるようになります。

この法案は、LGBTQの擁護者や教育関係者から、LGBTQの生徒や家族に害を及ぼすと批判されています。彼らは、この法案が学校内に恐怖と不安の風潮を作り出し、LGBTQの生徒が必要なサポートを受けることをより困難にすると主張しています。

法案の支持者は、幼い頃に性的なコンテンツにさらされることから子どもたちを守るために必要なことだと述べています。このような話題について、いつ、どのように子どもに話すかを決めるのは親であるべきだと主張しています。

この法案は現在、法廷で争われています。

その他、米国における反LGBT法の例をいくつか紹介します。

テネシー州のHB 1184は、トランスジェンダーの選手が、自分の性自認に沿ったチームで競技することを禁止するものです。

アイダホ州のSB1309は、医師が宗教的または道徳的な異議に基づき、LGBTQ患者への治療を拒否することを可能にするものです。

アーカンソー州のHB 1570は、トランスジェンダーの青少年に対するジェンダーアファメーションケアを禁止するものです。

これらの法律は、近年米国で提案または可決された多くの反LGBT法のほんの一例にすぎません。これらの法律が作られた理由はさまざまです。LGBTの人々の権利を守りたいという動機のものもあれば、過激なLGBT運動を避ける動機のものもあります。

ここで、誤解を避けるために、一つ付け加えておきます。LGBTの人々にも当然人権はあります。しかし、私はそれは一般的に人権ということで捉えられるものであるべきと考えます。それには、日本をはじめ米国でも、EU諸国も、憲法や法律に定めがあります。

LGBTの人々に特定して、法律を定めることは、そうではない人を差別することにつながりかねません。それがひいては、LGBTの人たちを差別することにもつながりかねません。

人権侵害を防ぐために、法律を定めるなら、特定の人や集団を対象にしたものではなく、当該国の国民全体を対象にすべきです。それは、男に関する法律、女に関する法律を定めてしまえば、ことさら男女差別を助長することになりかねないのと同じです。これは、中国における、人民と国民の違いをみてもわかることです。

周恩来首相はよりは、「人民と国民には区別がある。人民は労働者階級、農民階級、反動階級から目覚めた一部の愛国民主分子である」としています。そして、人民に含まれない人たちについては「中国の一国民ではあるので当面、彼らには人民の権利を享受させないが、国民の義務は遵守させなければならない」と説明しています。

国民の権利を守ることは当然のことであり、その対象は男限定でも、女限定でもなく、LGBT限定であってはならないと思います。全国民を対象であるべきなのです。そのため私は、LGBTの権利を守ることと、いわゆるLGBT運動とを混同すべきではないと考えています。ただ、Tについては医学的にも証明されていないので、なんともいえません。

ただ、そのような人が存在するとすれば、犯罪者で無い限りは、その人の人権も認めるべきでしょう。無論T特有の人権を認めるというのではなく、国民として、多くの人が守られている権利を認め、人権を尊重するという意味におて、認めるのは当然のことと思います。そうして、権利が認められるなら、義務も応分に果たさなければならないことは、いうまでもありません。

米国の反LGBT運動

さて、2024年の大統領選挙の結果が、米国におけるLGBT運動の未来に大きな影響を与える可能性が高いです。民主党は長い間、LGBTの権利を支持してきた歴史がありますが、共和党はもっと複雑な記録を持っています。近年、共和党はLGBT運動に対する危機感を強めており、共和党が支配する州議会ではLGBT運動を否定する法律が可決されることもあります。

近年、反LGBTの法律を可決する州が増えているのは事実です。LGBTの権利を擁護する全米の団体「ヒューマン・ライツ・キャンペーン」によると、2022年に州議会に提出された反LGBTの法案は245件にのぼります。このうち、75の法案が法制化されました。これは、ヒューマン・ライツ・キャンペーンが2010年にこのデータの追跡を開始して以来、単年度に提出・成立した反LGBT法案の数としては最多となります。

しかし、反LGBT法に対する反対運動も活発化しています。近年、反LGBT法を支持する企業や個人に対する抗議やボイコット運動が行われています。また、これらの法律に対する法的な異議申し立てが行われています。

最終的に裁判所がこれらの法律のいくつかを打ち消す可能性もあります。しかし、共和党が議会を支配する州では、これらの法律が引き続き新たなに制定される可能性もあります。

米国におけるLGBT運動の将来は不確実です。2024年の大統領選挙の結果や、LGBTの人々やそのアライの継続的な活動によってかなり左右されるでしょう。

米国においては、LGBT運動の将来は不確実であるにもかかわらず、日本では、慎重な議論もされないまま、国レベルでの「LGBT理解増進法」が制定されてしまったのです。

米国では、評価の定まっていない法律を導入してしまったのですから、これは日本でも一波乱ありそうです。

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2023年6月15日木曜日

産総研の中国籍研究員を逮捕 中国企業への技術漏洩容疑―【私の論評】LGBT理解増進法よりも、スパイ防止法を早急に成立させるべき(゚д゚)!

産総研の中国籍研究員を逮捕 中国企業への技術漏洩容疑

産総研

 国立研究開発法人「産業技術総合研究所」(茨城県つくば市)の中国籍の主任研究員の男(59)が、フッ素化合物に関連する技術を中国企業に漏洩(ろうえい)したとして、警視庁公安部は15日、不正競争防止法違反(営業秘密の開示)容疑で逮捕した。捜査関係者への取材で分かった。公安部は流出の経緯や男と中国企業の関係について調べを進める。

 捜査関係者によると、男は平成30年4月、自身が研究に関わっているフッ素化合物の合成技術情報について、中国の企業にメールで送信し、産総研の営業秘密を漏洩した疑いがもたれている。

 男は平成14年4月から産総研の研究員として勤務。同時に北京理工大学の教授を務めていた時期もあった。

 経済安全保障の重要性が高まる中で、警視庁は、最先端技術の流出防止のため、企業に呼び掛けるなど対策を強化している。

【私の論評】LGBT理解増進法よりも、スパイ防止法を早急に成立させるべき(゚д゚)!


この研究員の名前は権恒道といい、2022年上の記事にもあるように、技術に関する機密情報を含む電子メールを中国企業に送信したとされています。情報には、化合物の製造工程の詳細や、その応用の可能性などが含まれていました。

この中国企業は産総研の競合企業であり、流出した技術は貴重な知的財産とされます。権研究者の行為は、中国企業に市場での大きなアドバンテージを与える可能性がありました。


権研究者は保釈を拒否され、現在勾留されています。有罪判決を受けた場合、最高で5年の懲役刑に処されます。

産総研の研究者の逮捕は深刻な問題であり、企業が知的財産を保護するための措置を講じる必要性を浮き彫りにしています。企業は、機密情報の不正な開示を防止するための方針と手順を確立する必要があります。また、企業秘密を保護することの重要性について従業員を教育する必要があります。

産総研の研究者の逮捕は、中国からの経済スパイの脅威が高まっていることを思い起こさせるものでもあります。中国は、世界中の企業から知的財産を盗むために、さまざまな活動を行っていると非難されています。これらの活動には、ハッキング、贈収賄、スパイの利用などが含まれます。

中国と取引する企業は、経済スパイのリスクを認識する必要があります。知的財産を保護するための対策を講じるとともに、疑わしい活動があれば当局に報告する態勢を整える必要があります。

ただ、企業努力だけでは限界があることも事実です。日本にはスパイ防止法がないため、スパイを摘発しても起訴することが難しいです。そのため、外国が日本をスパイしやすく、また、日本が自国の機密を守ることも難しくなっています。

今回は、中国人が不正競争防止法違反の容疑で逮捕されましたが、これれだけでは十分ではありません。日本はスパイをより効果的に訴追できるよう、スパイ防止法を成立させる必要があります。それを示す過去の事例をあげます。

国内電子機器メーカーに勤務していた中国人男性技術者が昨年、スマート農業の情報を日本から不正に持ち出したとして、警察当局が不正競争防止法違反容疑で捜査していたことが報じられました。
スマート農業の技術も中国スパイの標的に・・・・

報道によれば、同中国人男性は、中国共産党員かつ中国人民解放軍と接点があり、SNSを通じて、中国にある企業の知人2人に情報を送信していたといいます。

この男性は別の事件で浮上し、捜査側から国内電子機器メーカーに連絡が入り発覚。その中で事情聴取などするなどの捜査を進めていたそうです。

この中国人男性は既に出国済みであり、今後の捜査は極めて難しく、中国に渡った技術はもう日本に戻ってきません。捜査機関も当然尽力したと思われ、極めて無念の思いでしょう。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)などの約200の団体・組織が2016年6月から大規模なサイバー攻撃を受け、その一連のサイバー攻撃に使用された日本国内のレンタルサーバーを偽名で契約・使用していたとして、2021年12月、捜査機関が2人の中国人を私電磁的記録不正作出・同供用容疑で書類送検しました。

この書類送検された中国人の一人は中国人の元留学生「王建彬」容疑者であり、彼はレンタルサーバーの契約を人民解放軍のサイバー攻撃部隊「61419部隊(第3部技術偵察第4局)」所属の軍人の女から頼まれたといいます。

なんと、王容疑者が以前勤めていた中国国営企業の元上司が王容疑者とその女をつないだといいます。

この事件の恐ろしいところは、善意の中国人男性が、中国共産党に利用されたということです。中国国内の日本企業と中国企業の合弁企業でも、日本企業の情報が危機にさらされています。

中国企業との合弁では、日本企業が最新の技術は合弁先に共有しないという立場を取る場合が多いです。

しかし、日本企業のガバナンスが弱いため、現地への技術指導を目的に日本人社員が機微情報(図面等)を持ち出してしまい、その結果、現地に技術情報が共有されてしまい、合弁解消後も技術情報は現地に残ったままという事例もあります。

これらの事例は、日本の現在の法律がスパイ行為から日本を守るのに十分でないことを示しています。日本はスパイをより効果的に訴追できるよう、スパイ防止法を成立させる必要があります。

スパイ防止法を制定することの利点は以下の通りです。

外国が日本をスパイすることを抑止することができます。スパイを摘発した場合、日本が訴追することが容易になります。日本の機密を保護するのに役立ちます。

私は、日本がスパイ防止法を早く成立させることを望んでいます。日本をスパイ行為から守るのに役立つ重要なステップだからです。

LGBT理解増進法等より、スパイ防止法を成立させるべきだと思います。こちらのほうが、余程緊急を要します。

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2023年6月14日水曜日

ウクライナ、反攻で「破滅的」損失 プーチン氏―【私の論評】今回の反転攻勢が成功すると、2~3年以内に占領された土地を奪還できるかも!戦争はまだ続く(゚д゚)!

 ウクライナ、反攻で「破滅的」損失 プーチン氏


 ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は13日、同国の侵攻を受けるウクライナが開始した反転攻勢について、ウクライナ側は多大な損失を強いられており、死傷者数はロシア側の10倍に上るとの見方を示した。 

 首都モスクワの大統領府で、ウクライナ侵攻について報じている記者やブロガーと懇談したプーチン氏は、「彼ら(ウクライナ)の損耗人員は破滅的と形容できる水準に近づいている」と主張。「われわれの損耗はウクライナ軍の10分の1だ」と述べた。 

 プーチン氏の発言が事実かどうかは検証できていない。

【私の論評】今回の反転攻勢が成功すると、2~3年以内に占領された土地を奪還できるかも!戦争はまだ続く(゚д゚)!

ウクライナでは、ダム決壊から1週間が経過しました 。 「 反転攻勢が本格化か 」 などと言われていますし 、 ありとあらゆる情報が 、 「 始まっている 」 ことを指し示しています 。 相当激しい戦いが展開している模様です 。

ダムの破壊は 、 第二次世界大戦のときも似たような出来事があり 、 旧ソ連がダム破壊を実行しました 。 このようなことは、戦争の際にはよく起きることですが、 無論明確な国際法違反です。

当時もソ連は 「 ナチスの進軍を止めるため 」 に行いました 。 今ロシアはウクライナをナチスに見立てています 。 さもありなんという感じがします 。

いまのところ 、 どちらが実行したのか明確な証拠はありませんが 、 ノルウェーの地震計でも大規模な爆発が検出されていますし 、 米軍の早期警戒衛星も赤外線で爆発を捉えています 。

状況証拠を見て 「 どちらが得したか 」 を考えると 、 「 ロシアなのでは ? 」 とは考えるほうが妥当であると考えられます 。

ダムなどの大きな構造物を破壊するためには、かなり大きな爆発を起こす必要があり 、 多数の爆薬を仕掛ける必要があります 。 多数の爆薬を仕掛けられるのはダムを管理している方ですから 、 いまとなっては 、 やはりロシアが仕掛けたと考えるのが妥当です 。

ダム決壊で発生した水害

ドニエプル川の下流では浸水被害が広がっています 。 ダム破壊による反転攻勢への影響はどの程度のものなのでしょうか 。 まず 、 ウクライナ軍がドニエプル川を渡れなくなったことがポイントです 。 ウクライナ軍が川を渡る作戦を準備したとすれば 、 それができなくなっているので 、 大きな影響があるかもしれません 。

ただし 、 準備をしていなければ 、 実はウクライナ側にとってはさほど大きな変化はないでしょう 。

ロシア側からすれば 、 ウクライナ軍が川を渡る可能性を考えないわけにはいかないです 。 この洪水によって可能性がなくなれば 、 「 洪水の間は攻めてこられない 」 と考えられ 、 ロシア側の作戦が単純になるというメリットがあります 。

しかし 、 洪水はもう引き始めています 。 決壊から約2週間後の6月21日ぐらいになれば 、 川は渡れるようになります 。 もしウクライナ軍が川を渡る作戦をあらかじめ準備していたのであれば 、 その時期には作戦を実行できるでしょう 。 そのためダムの決壊による戦況に及ぼす影響は 、 いずれにせよ一時的なものにすぎません 。

日本の新聞各社は 、 ウクライナ軍が 「 上流域を渡る形で攻めていこうとしている 」 という報道しています 。 現在の戦いは 、 お互いがお互いを攻め合っているのではなく 、 ロシア側は陣地をつくって待ち受け 、 ウクライナ側がそこに向かって攻め込んでいるような形式になっています 。最前線の陣地では 、 激しい戦いになっていることでしょう 。

無論いまのところ 、 最初の陣地だけですが 、 一部ではウクライナが突破しつつあり 、 一部ではロシア側が意図的に撤退したという形なので 、 まだ今後の戦況がどうなるかはわかりません。

地図によれは、 東部ドンバスから南部クリミアまで 、 三日月状にロシアが支配している状況です 。 ウクライナ軍としては、その真ん中ぐらいで支配地域を断ち切ってしまいたいのです 。 ある程度の幅を持って断ち切ることで 、 ロシアを東部と南部に分断するのがウクライナ軍の狙いであると考えられます 。

ウクライナには 、 ここまで半年ぐらい 、 西側から戦車などさまざまな兵器の支援がありました 。 ウクライナ軍は 、ロシア軍が待ち受けている陣地から、攻撃を受けながら戦車で突破しようと試みているとみられます。

おそらくロシア軍の陣地の前には地雷があるので 、地雷を避けて通れる道を確保しようとしているのでしょう。 そうなると 、 道は当然細くなります 。 その細い道を突破しようとして 、 何両かの戦車が撃破されているのがテレビ映像に映し出されていました( 写真下) 。


損害としては大きいと思いますが 、 戦えば損害は出るものです 。 通常 、 日本海海戦のような完璧一方的な大勝利はありません 。 損害が出るのはやむを得ないところがあります。 

ウクライナの反転攻勢は最低で1ヵ月 、夏まで続く可能性もあります 。 フランスの 「 マクロン大統領が長期化を示唆 」 していますが、おそらくその通りになるでしょう。

陸上戦闘においては 、 最後は人間である歩兵が地面を歩くので 、 例えば戦場の奥行きが100キロあると 、 2日 ~ 3日で終わることはありません 。 目安としては最低1ヵ月です 。 もしかすると夏ぐらいまでは続く可能性があります 。

ウクライナ経済に関しては 、 洪水が起きたことで穀倉地帯に影響があり 、 灌漑施設が破壊されたといううわさもあり、 穀物価格にも影響がでそうです 。

そもそも 、 水がなければ 、灌漑ができないです 。 ダムがあったから灌漑できるわけで 、 ダムがなくなってしまったのですから 、水が全部流れてしまい灌漑ができません 。

小麦価格の先物は既に上がっています 。 戦争開始の直後は急激に上がりましたが 、その後ウクラライナが輸出できるように取り決めができて 、 徐々に下がってきたのですが 、「 また前の状態に戻ってしまった 」 という見方により、値上がりしています 。

これには 、 トルコの仲介で 、黒海を通してウクライナ産の穀物輸出が一部できるように 「 なる 、ならない 」 という話もありました 。 こういうことに小麦相場は 、 過敏に反応します 。

市場が 「 灌漑用水がうまくいかない 」 と判断してしまうと 、 先物相場などはすぐに上がってしまいます 。

さて 、 ダム破壊の戦争犯罪に関して言うと 、 国際刑事裁判所の代表者らが水浸しになった地域に入りました 。 ロシアは 「 安全を保証しない 」 と言っていますが 、 こうした捜査の積み重ねは重要です。

これまでもロシア軍の100件以上 の 戦争犯罪が立件されていますが 、誰を訴追するのかというと 、国際刑事裁判所は 、 国ではなく個々人を訴追します 。 プーチン大統領は、子どもの連れ去りで訴追されていますが 、今回のダム破壊に関して、個人レベルまで落とせる証拠が集まるかどうかは別の問題です 。

誰が命令したかなどが重要になります 。 ただ 、 ダム結界被害については 、まず事実を確認するという方向なのでしょう 。 別の証拠により 、誰が命令の責任者なのかがわかれば訴追できるでしょう 。

ウクライナ戦争では 、 様々な情報が乱れ飛んでおり 、「 ロシア国内で仲間割れが起こっているのではないか 」 というようなニュースが流れ 、 フェイクではないかと言う専門家もいます。 「 ワグネルの要員を殺す命令を出した 」 というような情報も出ていますが 、 これはフェイクニュースだと思います 。

たとえば 、5月上旬にワグネルのプリゴジン氏がバフムトから撤退すると言いましたが 、 結局、 そのときは撤退していませんでした 。

今回のケースで言うと 、ロシアとしては 、 ワグネルを強制的に連邦軍に編入させたいのでしょうが 、これはプリゴジン氏が反対しています 。 そんなことから  「 そんなことをしたら射殺するぞ 」 というようなフェイクニュースにつながったのだと思います 。

全般的にワグネルと軍の勢力争いのような状況なので 、 それはそれとして織り込み済みではありませんが 、 以前からずっと起こっていることではあります 。

一方 、 先月 ( 5月 ) にあったモスクワへのドローン攻撃の影響が出ています 。 実はドローンがエリート層のマンションに着弾しているのです 。

ドローンを飛ばすウクライナ兵

それによって 、 これまで漠然とプーチン氏を支持し 、 戦争など他人事だと思っていた層のなかに 、「 この戦争は本当に大丈夫なのか ? 」 という考えが広がってきたという報道が出ています 。

報道などを見ると 、 ロシア国民は戦争そのものよりも 、「 自分も動員されるのではないか 」 ということを恐れているということもあるようです 。

自分が動員されない限り 、 基本的には戦争は他人事なのです 。 それが自分ごとになりそうになったのが 、 去年 ( 2022年 ) 9月の動員令がだされたときです 。 このとき多くの国民が動揺したのと 、 動員したとしても武器弾薬が不足しているとみられ 、 プーチン大統領としては 、 少なくとも来年 ( 2024年 ) の選挙までは追加動員できないと考えられます 。

多くのロシア国民も 、 当事者意識 、「 戦争の近さ 」 を感じるようになると 、 動揺するのではないでしょうか 。

他方 、 国際社会は経済制裁を行っているわけですが 、 制裁逃れ 、 あるいは裏で原油の取引を行っているという話も出ています 。

ロシアへの制裁は 、 何もしないよりは効いているのは確かです 。 どのような制裁も 、 そうですが 、 100%完璧に効く制裁はありません 。 さらに 、 制裁に参加している国は 、 主に西側の先進国です 。 制裁に参加しない国もあります 。

だから 、 ロシアが西側諸国の制裁を迂回することは可能です 。 ただし 、「 普通とは違う 」 という意味で 、 制裁は効いているのです 。 実際に西側先進国とロシアの取引は完全に遮断されています 。

実際 、ルーブルの取引はほとんどできないわけです 。 そういう意味では 、 誰も宣言しないから破綻には見えませんが 、 相当ダメージがあり 、 実際には破綻していると言っても良い状況です 。

今後の見通しとしては 、 今回の反転攻勢によりロシアの占領地の分断に成功すれば 、かなり有利になります 。

ただ 、分断すると 、今度は突破した部分が挟み撃ちに遭うので 、逆にウクライナ側は挟み撃ちから守りきる陣地をつくらなければなりません 。

これを秋冬の地面がぬかるむ時期にまでに できれば 、 分断されたロシア軍の弱い方を来年 ( 2024年 ) 攻めることになるでしょう 。 つまり 、 ドンバス地方かクリミアのどちらか弱い方を攻めて 、 再来年にもう片方残った方を攻める形になるでしょう 。

今回の反転攻勢が成功すると 、 2 ~ 3年以内には占領された土地を奪還できるかも知れないです 。 無論奪還しても戦争が終わるとは限りませんが 、 少なくとも見通しは立ちます 。

一方で反転攻勢に失敗し 、 投入された12旅団が磨り潰されるようなことになると 、 組織的な反転攻勢は今後 、 難しくなります 。 そうなると5年以上 、 下手をすると10年ぐらい膠着状態が続くかもしれません。いずれにせよ、現在の反転攻勢が成功したとしても、すぐに戦争が終わるとはみるべきではないです。

ウクライナ軍は、これまでは主に防衛行動をしてきたわけですが、今回からははじめの大反攻であり、攻撃を仕掛ける側に回ったので、当初は失敗することともあるでしょう。それでもロシア軍よりは、その失敗を糧に、スムーズに攻撃できるようになるでしょう。

なぜなら、ロシア軍と、ウクライナ軍には根本的な違いがあるからです。ロシア軍は政治的目的や目標を達成するために動員されたが、ウクライナ軍は純粋に軍事目的を達成するために動員されています。

軍事行動において、軍事目標よりも政治目標が優先されると、軍事的には不利なことや不可解なことが、頻繁に起こってしまいます。

そもそも、プーチンのウクライナ侵攻は、ゼレンスキーを追い出し、ロシアに傀儡政権をつくだすことが目標であったとみられます。

この政治目標を実行するために、ウクライナの東では陽動作戦を行い、キーウに侵攻してこれを攻め落とす構えを見せれば、ゼレンスキーは海外逃亡をするだろうから、ゼレンスキーが逃亡した後に、ロシア軍はキーウに入り、無血占領できるとプーチンは目論んでいたのでしょう。

この政治目標を達成するには、数週間ですむとプーチンは考えたのでしょう。

しかし、軍事的に判断すれば、戦争には常に予想できないことが起きるのが普通であるどころか、それが常態であるので、このべストシナリオがうまくいかない場合にも備えて、A案だけではなく、B案、C案も備えるのが普通です。

しかし、プーチンはそれを用意していないようでした。ロシア軍は、それに備えたかったのだとは思いますが、プーチンの政治目標は絶対だったので、従うしかなかったのでしょう。

B案、C案まで備える(形はどうであれ、もっと長期戦になるという複数案)ということになれば、弾薬などをはじめとする兵站が続かなくなるのは、目に見えていたでしょう。結論は、はっきりしていたのです。政治目標を達成するか、否かしかなかったのでしょう。

妥当な案としては、ロシアがウクライナに侵攻するのではなく、侵攻の構えをみせつつ、貿易や投資を遮断したり、エネルギー輸出の価格を引き上げたり、偽情報やプロパガンダを用いて、ウクライナの住民の間に不和や不信感を植え付ける等の措置を取るなどのことが考えられます。

これに加えて、ロシアのメディア、教育、スポーツを利用を利用して文化的影響力を行使することもできます。

これらの手段を手を変え品を変え、実行し、軍事的には東側だけに限定し、それもロシアに親和的な勢力を利用しつつ、ゆっくりと支配地域を増やすなどを実行し、ゼレンスキーを弱体化させて、ウクライナに親露派を増やしていき、最後の詰めの段階で、たとえばゼレンスキーを捉える等のときに軍事力を限定的に行使するなどのやりかたが、ロシアが本来実施すべきことだったと思います。

実際、ロシアはこれに近いことをウクライナ対して長年行ってきました。これをさらに継続し、さらに精緻化させるべきでした。

このようなことは、あと付けてでは何とでもいえると思われるかもしれませんが、ロシアの経済力(開戦前でもインドや人口がロシアの1/3の韓国より下)を考えれば、軍事力を行使しウクライナに侵攻したのは、身の丈知らずの無謀な試みであったと言わざるを得ません。

ウクライナ軍は、ロシア軍のように政治的目的を実行する責務を負っているわけではないので、軍事的に正しい行動を取れます。反攻においても、軍事的に妥当な行動がとれるので、当初はある程度犠牲を出しつつも有利に戦いをすすめやすいのは間違いないです。

無論ウクライナにも政治目標はあるでしょう。しかし、軍事作戦においては、政治目標より軍事目標が優先されているようです。すくなくとも、ロシアよりは、軍事目標が優先されているとはいえるると思います。

ただ、先に述べたように、今回の反転攻勢が成功したとしても、すぐに戦争が終わるわけではありません。 2 ~ 3年以内には占領された土地を奪還できるかも知れないくらいのことはいえますか、 無論奪還しても戦争が終わるとは限りません。

気の短い人は、この現状にいらつくかもしれませんが、しかし、そんなことでは何も成就できません。目の前に、それで大失敗した人がいるではありませんか。それが、他ならぬプーチンその人です。

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2023年6月13日火曜日

LGBTの野党〝丸飲み〟法案を拙速可決へ 13日に衆院通過 読売新聞、名指しで岸田首相を批判 島田洋一氏、修正案は「改悪だ」―【私の論評】LGBT法案の成立には、バイデン政権の積極的な働きかけがあった(゚д゚)!

LGBTの野党〝丸飲み〟法案を拙速可決へ 13日に衆院通過 読売新聞、名指しで岸田首相を批判 島田洋一氏、修正案は「改悪だ」


LGBT法案の成立を急ぐ岸田首相

 自民党などの与党は、LGBTなど性的少数者への理解増進を目的とした法案の修正案を可決し、衆議院を通過させました。

保守派や女性団体、LGBT当事者団体などは法案の拙速な法制化に反対しています。

 読売新聞は社説で、法案の内容が女性の安全を守れるのか、教育現場は混乱しないのかという懸念を残し、拙速に法整備を図ることは許されないと批判しました。

 与党修正案は参議院でも審議・採決が行われ、成立する見通しです。修正案には賛否があり、自民党内でも雰囲気は重苦しいです。

 自民党議員は修正案の受けが悪くなっているとし、慎重な審議を約束したにもかかわらず、日程ありきの強行採決は大打撃と述べています。また、修正案自体にも問題点があり、一部の専門家は改悪と指摘しています。

これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は是非元記事をご覧になってください。

【私の論評】LGBT法案の成立には、バイデン政権の積極的な働きかけがあった(゚д゚)!

今回の日本でのLGBT法案の成立しそうな状況は、以前から予想されていたことです。それについしては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
LGBT外交の復活、異質な価値観を押し付け―【私の論評】LGBT外交で中国を利するバイデンは、国内で足元をすくわれる(゚д゚)!

この記事は、2021年3月19日のものです。この記事の元記事より、以下に一部を引用します。

 バイデン米大統領は2月4日に国務省で行った就任後初の外交政策演説で高らかに訴えた。

 「米国が戻って来たと世界に伝えたい」

 トランプ前大統領が掲げた「米国第一」から多国間主義に回帰し、国際問題に積極的に関与していく決意を示したものだ。だが、途上国、特にアフリカ諸国では、別の意味で米国が戻って来たと受け止めた人も多いに違いない。

 別の意味とは何か。オバマ元政権が推し進めたLGBT(性的少数者)の国際的な権利向上、いわゆる「LGBT外交」の復活である。外交演説は中国やロシアに関する発言に注目が集まったため、大手メディアはほとんど報じなかったが、バイデン氏は次のように宣言している。 トランプ前大統領が掲げた「米国第一」から多国間主義に回帰し、国際問題に積極的に関与していく決意を示したものだ。だが、途上国、特にアフリカ諸国では、別の意味で米国が戻って来たと受け止めた人も多いに違いない。

さらに以下にこの記事の結論部分から引用します。

中国政府のLGBTに対する態度は「合理的」です。ゲイは社会の安定や経済発展のために「使える」ので支持し、レズビアンなどは放置されるか、意見の違いを公にすれば弾圧されます。多様な個人が集合体として社会をつくるという考えはなく、権力者がつくりたい社会の部品として有用かどうかという、いわば自分の都合で峻別しているにすぎないです。

セクシュアリティーだけではありません。現在の中国社会は合理性や生産性のみを優先して設計され、その枠に当てはまらない少数民族、宗教者、障がい者などのマイノリティーに対しては一貫して冷たい態度を取っています。これをやめない限り中国はまともにならないでしょう。

ただ、現状においては、LGBT外交で、結果として中国を利するバイデンは、国内で足元をすくわれることになりかねません。実際、そのようになりつつあります。日本でも自民党が、これを推進すれば、そうなりかねません。

今日この予測が見事にあたったと思います。 当の米国では、民主党が包括的なLGBT差別禁止法案(名称は平等法)を提出したものの、共和党が一致して反対する姿勢を崩しておらず、予見しうる将来、成立の見込みはありません。

無論、州レベルでは包括的なLGBT差別禁止法案を定めているところもありますが、反LGBT法案を定めている州も増えてきています。

それにしても、バイデン政権がLGBT法案の成立に熱心だったことは間違いありません。

バイデン大統領は就任初日に、国務省にLGBTの権利に関する特使を設置するよう指示する大統領令に署名しました。

また、政権は、世界中のLGBTの権利団体を支援する「グローバル・イコリティ・ファンド」の資金を回復させました。

2021年6月には、政権の主催で、LGBTの権利に焦点を当てた初の「米国・ASEAN人権サミット」を開催しました。

また、政権は世界各国で反LGBTの法律や差別に対して発言しています。

これらは、バイデン政権がLGBTの権利と外交を推進するための取り組みのほんの一例にすぎません。政権は、性的指向や性自認にかかわらず、すべての人が尊厳と尊敬をもって扱われるよう取り組むことを明確にしています。

以下、それぞれの取り組みについて、さらに詳しくご紹介します。

LGBTの権利のための特使: LGBTの権利のための特使は、世界中のLGBTの人々の人権を促進し保護する責任を負う国務省の高官です。特使は、外国政府、市民社会組織、その他の関係者と協力し、LGBTの権利問題に関する認識を高め、変化を提唱しています。

エマニュエル大使とジェシカ・スターンLGBTQI+特使は、2月8日に公明党の山口那津男氏と会談

グローバル・イコリティー・ファンド (Global Equality Fund):これは、世界中のLGBTの権利団体を支援する数百万ドルの基金です。基金は、アドボカシー活動、法的活動、サービス提供など、LGBTの人々の平等を促進するために活動している団体に助成金を提供しています。

人権に関する米国・ASEANサミット: 米国・ASEAN人権サミットは、米国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の政府高官による会議でした。このサミットでは、LGBTの権利に焦点が当てられ、参加者はASEAN地域におけるLGBTの人々の平等を促進する方法について議論しました。

反LGBTの法律や差別への反対: バイデン政権は、世界各国の反LGBT法や差別に反対を表明しています。また、LGBTの人たちの人権を侵害する国に対して制裁を課してきました。

バイデン政権のLGBTの権利向上と外交への取り組みは、オバマ政権のLGBTの権利に関する取り組みの多くを後退させたトランプ政権とは大きく異なるものです。

バイデン政権による日本のLGBT法案への支援は、世界中でLGBTの権利を促進するためのより広範な取り組みの一部でした。2021年、バイデン政権は、トランスジェンダーを軍務から排除するトランプ政権の方針を撤回すると発表しました。バイデン政権はまた、初のオープンリー・ゲイ(社会に対して自身が同性愛者であることをカムアウトしている男性を指す言葉)の駐ドイツ米国大使を任命しました。

バイデン政権そのものが、LGBT法案に関して積極的なのですから、エマニュエル駐日大使も積極的になるのは、当然といえば当然のことです。

エマニュエル駐日米国大使が日本のLGBT法案の成立にかなり積極的だったという点を裏付ける事実があり、それがバイデン政権の方針に基づくものであると考えられるので紹介します。

2023年2月、エマニュエル大使は岸田文雄首相と会談し、同性婚を合法化する法案を可決するよう促しました。

2023年3月、エマニュエル大使は、日本におけるLGBTの権利に関するフォーラムで講演し、日本がまだ同性婚を合法化していないことにバイデン政権は「深く失望している」と述べました。

2023年5月、エマニュエル大使は日本の国会議員に会い、雇用や住宅などにおけるLGBTへの差別を禁止する法律の成立を促しました。

こうしたエマニュエル大使の行動から、日本のLGBTの権利に強い姿勢で臨んでいることがうかがえます。これは、LGBTの権利を最優先事項としているバイデン政権の方針と合致していると思われます。

エマニュエル大使の行動以外にも、バイデン政権は日本におけるLGBTの権利を促進するための措置を講じています。例えば、同政権はLGBTの権利に関する特使を任命し、外国政府と協力してLGBTの平等を推進する責任を負っています。

バイデン政権がLGBTの権利に重点を置いていることは、オバマ政権時代のLGBTに対する多くの保護を後退させたトランプ政権とは大きく異なる点です。バイデン政権の行動は、米国が世界中でLGBTの平等を推進することにコミットしていることを示すものです。

現在、日本でLGBT法案が成立しそうなことの背景には、バイデン政権による積極的な働きかけがあったことは、忘れるべきではありません。さらに自民党内のLGBT利権に群がる政治家の存在もこれを後押したことを忘れるべきではありません。

米国の民主党政権の積極的な働きかけに関しては、米国内でも評価が定まっていない事柄に関する、日本への押しつけであり、内政干渉であると考えられます。このようなことを日本以外の国々でも行えば、反発必至です。

米国における反LGBT法案の最新状況は、過去最高を記録しているとのことです。ヒューマン・ライツ・キャンペーンによると、今年に入ってから全国の州議会で145以上の反LGBTQ+法案が提出されています。そのうち、24件が法律として成立しています。

これらの法案の大半は、トランスジェンダーの若者をターゲットにしており、特にジェンダーを確認するための医療へのアクセスを対象にしています。また、LGBTQ+の人々が養子を迎える権利、軍務に就く権利、性自認に沿った公衆トイレを利用する権利を制限する法案もあります。

これらの法案は、近年、全米を席巻している反LGBTQ+の大きなトレンドの一部です。2021年には、州議会に240以上の反LGBTQ+法案が提出され、100以上が法律として制定されました。

このような揺り返しが米国でもあるのです。日本でも、LGBT法案が成立してしまえば、必ず揺り返しがきます。この揺り返しが、LGBTの人々に対するさらなる差別につながらないように祈るばかりです。

私自身は、LGBの人たちを差別するつもりなど全くありません。こういうひとた人たちが、差別されることがあってはならないのです。ただ、Tに関しては正直わかりません。実際医学的にも明らかにはされていません。わからないものに関しては、わからないというしかありません。

ただ、トランスジェンダーの女性とされる人(実際にはそうではなくて、単なる犯罪者)が、女性への脅威となることだけは避けていただきたいです。LGBT法案推進派、様々な屁理屈でそのようなことはないと主張しますが、とてもそのようなことは信じることはできません。

たとえ、LGBT理解増進法が、理念上は犯罪を犯罪でなくする法律ではないとしても、そんなことは犯罪者に関係ありません。公衆浴場などに入り込み、つかまったら「私は女だ」と主張されたらどうするのでしょう。
それと、利権の源である、学校での外部講師を依頼しての教育活動には反対です。特に、低学年の児童にはそのようなことはしてもらいたくありません。そのような教育はもっと大人になってから、しかも、それを自発的に求める人に限って行うべきであり、多くの人に施す筋合いのものではないと思います。間違っても、利権などにすべきではありません。

私は、多くの人はそう思っているか、LGBT法案について様々なことを知ることによって、そのように思うようになるのではないかと思います。

LGBT法案は16日にも成立しそうですが、成立したとしても、これから懸念は他の法律や、都道府県など条例などでも払拭できると思います。

ただ、心配なのは、LGBT法が成立したことを機に、条例などで、さらにこれを拡張しようとする勢力がいることも忘れるべきではないです。あるいは、これを利用しようとする犯罪者の存在を忘れるべきではありません。多数派である普通の女性や男性の権利が侵害されることがないように、私達が監視を続けていくべきと思います。

米国では、来年大統領選挙があります。日本のマスコミでは、トランプ氏優勢が伝えられてはいませんが、トランプ氏圧勝と予測する人もいます。仮にトランプ氏が大統領にならなくても、共和党政権になる確率は高そうです。

そうなれば、LGBT法案をなし崩しにできるかもしれません。その日に備えて準備しておきたいものです。特に地方自治体レベルでは、それは私達の責任で、LGBT法案が拡張されることがないように監視を続けるべきと思います。

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2023年6月12日月曜日

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「16日解散説」急浮上 岸田自民党は〝大惨敗〟か 小林吉弥氏「過半数割れ危機も」 有馬晴海氏「今しか勝てるタイミングない」


 岸田首相は、6月21日までの国会会期末を前に、衆院解散を検討している。立憲民主党は、首相不信任案を提出する構えで、与野党間で駆け引きが続いている。

 岸田首相は、防衛力強化や少子化対策などの重要課題に取り組んでいるが、財務省の影響が色濃い安易な増税路線には批判が根強い。さらに、党内外に批判が噴出したLGBT法案や、自衛隊機への韓国軍艦船のレーダー照射事件を棚上げした日韓防衛協力など、国益を逸脱するような外交・内政に世論の不信感が増している。

 政治評論家の伊藤達美氏は「自民党は議席を減らす。単独過半数を確保するかが焦点だ。立憲民主党は、それ以上に議席を減らすだろう。馬場伸幸代表の日本維新の会は伸ばすだろうが、急速な勢力拡大で〝飽和状態〟だ。そもそも、統一地方選の年は、地方議員は動かない。自民党には公明党との連携の課題があり、明確な争点もない。理想的な選挙時期は9月あたりではないか」と語った。

 政治評論家の小林吉弥氏も「自民党の『惨敗』『過半数割れ危機』もあり得る。現状では、岸田自民党には『消極的な支持』しかない。東京選挙区での公明党との選挙協力の調整がつかず、全国に波及して、公明支持者の間で『自主投票』になるリスクもある。最悪の場合、大物数名を含む50~60人が危機に立つ」と指摘した。

 ある自民党議員も「G7広島サミットで上昇した支持率は、首相の長男、翔太郎元秘書官の不適切行動や、LGBT法案をめぐる右往左往で霧散した。予想外の惨敗になりかねない」と語る。

 少し違う見方もある。

 政治評論家の有馬晴海氏は「今しか、岸田自民党が勝てるタイミングはない。岸田首相は前回衆院選で勝利した経験からも前倒しで、16日に『奇襲作戦』に出るかもしれない。自民党は現有の議席から若干落とすだろう。立憲民主党は伸びない。日本維新の会や参政党などの躍進も考えられる」と分析する。

 さまざまな情勢分析があるなか、岸田首相は決断するのか。小林氏は「焦って解散を打ち、敗北すれば、党内で『岸田降ろし』が加速する可能性もある。岸田首相は慎重だろう。『秋口の臨時国会冒頭解散』の方が、公明党との調整期間もあり、増税や、財源の議論が本格化していないため、惨敗は免れる」と語っているが…。

これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】LGBT法案成立で、百田保守新党ができあがる(゚д゚)!

LGBT法案成立が16日らしいとされていることと、天皇、皇后両陛下が17〜23日にインドネシアを訪問されるので、6月16日解散がうわさされているようです。


陛下が外国訪問中、国事行為である解散を臨時で代行することは可能ですが、現行憲法下で天皇陛下の外国訪問の間に解散された例はないです。先例で今国会中に解散するなら16日という見方があるようです。

私自身は、上の誰の発言かは知りませんが、「G7広島サミットで上昇した支持率は、首相の長男、翔太郎元秘書官の不適切行動や、LGBT法案をめぐる右往左往で霧散した。予想外の惨敗になりかねない」という意見に賛成です。

さてこうした中、面白い動きがでてきました。ベストセラー作家で保守論客としても知られる百田尚樹氏(67)が、LGBTなど性的少数者への理解増進法案が成立すれば、「保守政党を新たに立ち上げる」と宣言したのです。

自身のユーチューブチャンネルで10日、明らかにしました。LGBT法案が成立すれば社会の根幹をなす家庭や、皇室制度が崩壊し、日本が徹底的に破壊される恐れがあると指摘し。同法案を推進する岸田文雄首相(総裁)率いる自民党はもはや支持できないと訴えました。


百田尚樹氏が保守政党の立ち上げを宣言することで、政治にいくつかの影響が生じる可能性があります。以下にいくつかの推論を示します。

1. 政治的対立の深化: 百田氏が新たな保守政党を立ち上げる場合、これは既存の政党との競争関係を生み出すことになるでしょう。保守派の有権者の中には、百田氏のように性的少数者への理解増進法案に反対する人々もいるかもしれません。その結果、既存の保守政党と新党の間で政治的対立が深まる可能性があります。

2. 保守政治の意識形態の変化: 百田氏が新たな政党を立ち上げることで、保守派の意識形態に変化が生じる可能性もあります。現代の政治環境では、LGBTなどの性的少数者の権利や社会的包摂がますます重要視されてきたものの、それに反対する勢力もあります。

特に、性自認に関しては、科学的に明らかにされておらず、本人がその時々で、「自分は女」「自分は男」とする場合もあり、これが社会に大混乱をもたらす可能性もあります。実際に、海外では、そのような事例があります。LGBに関しては、許容できても、これだけは許容できない保守層も大勢います。以下にこの危険性について、わかりやすいツイートがあるので、以下に掲載します。

また、LGBT法案にそのような危険が潜んでいることを理解していない人も、選挙などでこれらが明らかになれば、これを忌避する人が増える可能性もあります。

もし保守政党がこの問題に対して進歩的であるとして、これを許容するようなスタンスを取るようになれば、保守派のイメージや政策立案に変化が生じる可能性があります。これだけは、絶対に許容できないという保守派も多いです。これらの人々が、百田新党を待望する可能性もあります。

3. 保守勢力の分裂: 百田氏が保守政党を立ち上げると、既存の保守政党の支持者の中には、彼に賛同する人々が新党に移る可能性があります。これによって既存の保守政党の支持基盤が分断され、保守勢力が分裂する可能性があります。この場合、保守派の票が分散されることで、他の政治勢力の有利に働く可能性もあります。

確かにそういう危険性はありますが、自民党にせよ、立憲民主党にせよ、政治信条が異なる者同士が、選挙のためだけに、政党を選挙互助会のように使い、政治信条は二の次という現状はいずれ打破しなければならないでしょう。

4. 政治的競争の激化: 新たな保守政党の出現は、政治的競争を激化させるでしょう。これにより、選挙において保守派の票が分散され、与党や他の野党勢力との争いが激しくなる可能性があります。また、保守派内の競争も激化し、政策や選挙戦略の違いが浮き彫りになるでしょう。

ただ、そうなれば、自民党などをはじめ、多くの政党で、保守並びそれ以外の勢力との違いがはっきりし、離散集合が始まることが期待できます。中短期的には、混乱するかもしれませんが、離散集合により、まともな政党政治が始まるかもしれません。

ただ、政治的には多少混乱しても、政治の継続性の観点から、どの政党が政権につこうとも、重要な政策に関しては、継続する姿勢を貫いていただきたいです。

そうして、安定した政権ができあがれば、独自色を出せば良いと思います。特に、外交関係においては、岸田政権のように安倍路線を継承すべきです。外交関係をコロコロ変えれば、せっかくこれまで築いてきた、日本の国際的な存在感が毀損されかねません。

これらの影響は、百田氏が本当に新たな保守政党を立ち上げるかどうかや、その党がどれだけの支持を獲得するかによって異なるでしょう。また、政治の動向は予測困難なものであり、様々な要因や出来事が絡み合って結果が生まれるため、具体的な影響は予測するのが難しいです。

この件に関して、百田尚樹氏と、そのお仲間の有森香氏は、以下のようなツイートをしています。

新党をつくるにしても、彼らは慎重にすすめるでしょう。今回の解散総選挙がどうのこうのというより、息の長い活動を想定し、日本の政治を変えていくことを目指しているでしょう。

 私としては、大歓迎です。いつも選挙のとき、投票したい候補者がいない場合も多く、迷いながらも自民党の議員に票を投じてきましたが、今後そのようなことはなくなるかもしれません。本当にそうなれば、良いと思います。

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