2022年7月23日土曜日

防衛費増額と財務省の思惑 増税阻止した安倍氏の戦略 問われるトップの政治判断―【私の論評】原発稼働のまやかしをする岸田総理は全く「覚醒」しておらず、適切な政治判断は望み薄か(゚д゚)!

日本の解き方


高橋洋一

5月23日来日したバイデン大統領と会談し岸田首相は防衛費の増額を確約したが・・・・

 防衛費の増額をめぐって、岸田文雄首相は「内容と予算と財源で考えないといけない」と述べている。今後、増税が視野に入っているとの懸念もある。

 財務省の増税ロジックは単純だ。国債残高があると将来世代には償還・利払い負担が生じる。将来世代の負担をなくすために、現役世代で負担すべきだ―というものだ。

 そこで、新型コロナ対策では、安倍晋三元首相の言う「政府と日銀との連合軍」となった。つまり、政府は国債を市中金融機関向けに発行するが、最終的には日銀が買いオペで買い受ける。結果として、コロナ対策で発行された国債は日銀が保有する。日銀が保有する国債について、現行制度では償還・利払い負担は発生しない。これが、安倍氏の「日銀は政府子会社」発言の趣旨だ。

 財務省は、この発言に反応し、鈴木俊一財務相に「日銀は商法での子会社でない」と発言させ、マスコミは「安倍元首相の発言を否定」と報じた。

 安倍氏は、日銀保有国債について償還・利払い負担がないことの比喩として「子会社」と発言しただけだ。鈴木財務相は意味のないことを言っただけで、マスコミが意図的に曲解し報道した。あの騒ぎの時に安倍氏から電話があったが、このあたりの事情もよく理解していた。

 いずれにしても、「政府と日銀の連合軍」は財務省にとって難攻不落だ。

 安倍氏が、防衛費について「防衛国債」に言及したことは、財務省にとって悪夢だっただろう。また、コロナ対策と同様な手法が使われる可能性があるからだ。

 コロナ対策では100兆円だったが、その金額は、当時の予想国内総生産(GDP)を考慮し、過度なインフレ率にならないように設定された。

 防衛国債は数兆円と少額なので、インフレはそれほど心配ない。むしろ経済成長に見合った通貨増の範囲内にできるだろう。

 ただし、財務省が簡単に引き下がるとも思えない。各省の会計課長はその省の予算を握るので、エース級のプロパー職員が普通だ。だが、これまで防衛省の会計課長は財務省からの出向者だ。防衛省は財務省の「植民地」ともいわれるゆえんだ。財務省は出向者を送って防衛費の伸びを抑えてきたので、今回もさまざまな手を考えるだろう。

 とりあえず国防のあり方は国民的に重要なので、特別会計の設置などを言い出すかもしれない。これには国内左派勢力が賛同するはずだ。その中で、つなぎ国債を発行し、その償還には「増税」がふさわしいとか言いかねない。

 国防費は、他国との関係が重要なので、国際関係の中で判断するしかない。この意味で財務大臣の出番ではなく、トップの政治判断がキモだ。特に、今のような「有事」に準じる事態ではそうだ。

 有事では財務大臣を外して政治判断する国も少なくない。果たして岸田政権で、有事の対応なのか平時の対応なのか、安倍氏が望んだような適切な政治判断ができるかどうか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】原発稼働のまやかしをする岸田総理は全く「覚醒」しておらず、適切な政治判断は望み薄か(゚д゚)!

上の記事にもある通り、安倍政権においてコロナ感染が顕著になり、二次わたって補正予算を組み、R菅政権においても、補正予算を組みました。これらを合計した予算が、真水の100兆円だったのです。

そうして、当時の安倍総理が補正予算の調達に用いたのが、安倍氏の言葉でいうところの「日銀政府」連合軍というわけです。政府が国債を発行して、日銀がそれを買い取るという方式です。

防衛費の増額など、数兆円にすぎないわけですから、髙橋洋一氏が上の記事でも語っているように、「日銀政府」連合軍による調達をしても、何も問題がないどころか、まだデフレ気味の日本ではそうしたほうが良いのです。

日本では、需給ギャプが30兆円程度もあるため、防衛費もあわせて30兆円ほどの補正予算を組むべきです。そうして、防衛費は自衛隊そのものや、装備品の調達先などの多くは、日本国内の企業にすべきでしょう。

最近、原発の稼働を決め、安倍元総理の国葬も決めたとして、岸田総理は「覚醒」したという論調があります。しかし、これは本当でしょうか。


国葬についてとやかくはいいずらいところがありますが、駐日米大使が安倍家に弔問に訪れるとか、わざわざ自民党本部にまで訪れたとか、ブリンケン国務大臣が技わさ弔問のために日本を訪れるなどのこともあり、これは米国が日本に対して安倍路線を踏襲してほしいと考えていることのあらわれであると解釈すべきと思います。

さらには、各国のプーチン、習近平までを含む首脳が弔意を示したりで、これは国葬にしなけば、日本の世界における存在感がなくなるでしょうから、国葬をせざるを得ないと判断したのでしょう。これは岸田氏以外の誰が総理になっていたとしても、そうしたことでしょう。

もし、国葬にしないという決定をした場合、国内の保守派からはかなり批判され、海外の首脳達からは奇異の目でみられたことでしよう。

そうして、岸田総理は原発再稼働を決めてなどいません。ただ、既存スケジュールを読みあげただけです。ただし、国葬とこのことを一緒に発表したので、このことは多くの人にとって、なかなか指摘しずらかったようです。それについては、以下の動画で高橋洋一氏が語っています。


髙橋洋一が指摘しにくかったであろうことを、私が下に指摘しておきます。

岸田首相の14日の会見では、原発再稼働が強調されました。これは、制度上では首相にも経産大臣にもできない原子力規制政策への政治的介入により再稼働をさせるということではありません。

事前に想定される可能な原発9基の再稼働を急ぐという意味です。「経済産業大臣に再稼働を指示する」という言葉で、勘違いが広がってしまったのです。つまり首相は嘘をついていないのですが、「ごまかし」と批判されかねない広報をしているのです。

首相の秘書官には、元経済産業省事務次官の嶋田隆氏が就任しています。嶋田氏は「策士」と評される人です。増税派であり、政権の墓掘り人という異名を持った与謝野馨氏に見いだされ、以降長い「秘書官人生」を送ってきた嶋田氏には、経産省主導で再建が進められた東京電力改革など“失策”と呼ぶべきものも少なくないです。政務と官僚の危うい関係に注目が集まっています。

嶋田氏は、首相に原子力再稼働の権限がないことは十分承知しているはずで、このずるい発表の「振り付け」をした可能性があります。本来はこれを野党やメディアが批判をするべきですが、「安倍国葬」に関心が向くというか、国葬と原発稼働を一緒に公表してしまったせいか、現在に至るまであまり批判は少ないです。

嶋田隆氏

ただ、マスコミや野党、識者は平然と「国葬」に反対することまで語っているわけですから、原発稼働のまやかしについて批判しないのはおかしいと思います。

電力需給ひっ迫問題に岸田首相が政治課題として真面目に向き合おうとしているのは事実でしょうが、言葉でごまかすかのような態度は批判されてしかるべきでしょう。言葉を操っても、現実の問題として、電力の供給は増えません。

それよりも、非合理な原子力規制政策の見直し、本当に原子力を活用し電力危機を回避する実際に効果のある政策を求めたいです。言葉遊びをする政府に、重要なエネルギー問題を任せて大丈夫でしょうか。

このようなことをする岸田総理です。とても「覚醒」したとは思えず、防衛費についても、安倍氏が望んだような適切な政治判断ができるかどうかは、本当に疑わしいです。

岸田総理には、安倍路線を継承しないことによって、みずから墓穴を掘らないようにしていただきたいものです。安倍路線を継承しなければ、経済面で雇用が劇的に悪化し、日本はまたデフレ・スパイラルの底に沈みこむことなります。

外交面では、せっかく安倍元総理が築き上げてきた世界での日本の大きな影響力を失うことになります。安保面では、世界から見放されることになります。親中路線を貫けば、いずれ中国を頼らないと何もできなくなり、下手をすると中国の実質的な属国になりかねません。ただ、日本人はそれほど馬鹿ではないので、こうした前兆が見えた時点で、岸田政権は崩壊します。

岸田政権は長期安定政権を目指すなら、安倍路線を継承すべきです。まずは、それで走ってみて、数年してからでも岸田カラーを出しても遅くはないと思います。そもそも、政治の継続性という観点からも、現状では安倍路線を引き継ぐべきです。

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2022年7月22日金曜日

黒海に面したルーマニアが潜水艦部隊を再建、フランスから潜水艦を調達か―【私の論評】ロシア軍がウクライナ南部で優位性を発揮できるのは潜水艦によるものか(゚д゚)!

黒海に面したルーマニアが潜水艦部隊を再建、フランスから潜水艦を調達か

黒海に面したルーマニアが潜水艦部隊の再建に動き出しており、スコルペヌ型潜水艦を調達するためフランスに接触していると報じられている。

参考:Romania’s Submarine Ambitions: Which Impact For The Black Sea Region?

ロシアが聖域と考えている黒海はNATO加盟国やウクライナの潜水艦が跋扈する海域になるのだろう

黒海に面したルーマニア海軍は1985年に導入したキロ級潜水艦「デルフィヌル」を現在も保持しているが、資金不足のため1995年以降は運用を停止して保管状態にあり、30年以上も港で係留されているデルフィヌルを再び動かすことも潜水艦を運用する人員も失われてしまった。

出典:Romanian Ministery of Defence/CC BY-SA 3.0 ルーマニア海軍の潜水艦デルフィヌル

しかしルーマニアのドゥンク国防相は現地メディアの取材を受けた際「軍の調達計画にはフランスのスコルペヌ型潜水艦やヘリコプターが含まれており、この調達に関してフランスの国防相と基本合意書(LOI)を交わした。我々は計画の実現に向けて国内手続きを開始している」と明かし、黒海にNATO加盟国の潜水艦が増える可能性に注目が集まっている。

因みに黒海に面したブルガリアもクリミア併合やウクライナ東部紛争を受けて潜水艦部隊の再建を決意、2021年に中古潜水艦を2隻手に入れるため交渉が開始されたと報じられていたが、ウクライナ侵攻リスクの高まりを受けて調達交渉がスピードアップしているらしい。

交渉相手は恐らくドイツで10年前に退役した206型潜水艦(稼働可能なものが残っているのか不明だが次期潜水艦/212CDは2032年頃に引き渡し予定なので212A型潜水艦は当面退役する予定がない)を引っ張ってくることをブルガリア海軍は考えている可能性が高く、ウクライナも今回の戦いが終結した先を見越してドイツと潜水艦導入に関する話し合いをスタートさせており、ロシアが聖域と考えている黒海はNATO加盟国やウクライナの潜水艦が跋扈する海域になる可能性がある。

【私の論評】ロシア軍がウクライナ南部で優位性を発揮できるのは潜水艦によるものか(゚д゚)!

なぜルーマニアが潜水艦を再配備しようとしているのか、以下の地図を見れば一目瞭然です。黒海にはルーマニアが接しているとともに、ロシアも接しているのです。

ですから、陸や空からの攻撃だけではなく、海からの攻撃に備える必要があるのです。それは、ルーマニアだけではなく、周辺諸国のブルガリア、モルドバ、トルコ、ウクライナも同じことです。


さて、ウクライナ関係ではほとんど報道されないロシア黒海艦隊の潜水艦ですが、実は、ウクライナ沿岸の対地攻撃と海上封鎖の主役を担っている可能性があります。

2022年2月下旬のロシア侵攻以来、ウクライナ軍は対艦巡航ミサイル「ネプチューン」や攻撃型ドローンで、ロシア黒海艦隊の艦艇に相当な被害を与えてきました。それでも、ロシアによる海上封鎖は解けず、大半を海運に頼るウクライナの穀物輸出の停滞は世界に影響を与えています。

もちろん、黒海艦隊の水上艦艇は対艦ミサイルの射程内まで近づけません。しかしロシア側には、対艦ミサイルでは撃退できない「改キロ級潜水艦」という切り札があります。

報道によると黒海における戦闘は、ミサイル巡洋艦「モスクワ」や、大型揚陸艦「オルスク」の沈没などが大きく取り上げられたこともあり、ニュースなどからはウクライナ軍が戦果を挙げているように見えます。しかし、潜水艦についてはあまりクローズアップされていません。

ロシア黒海艦隊にはキロ級1隻と改キロ級6隻、計7隻の潜水艦が配備されています。キロ級はNATO(北大西洋条約機構)の呼称で、旧ソ連時代の1980(昭和55)年から連邦解体後の1999(平成11)年まで建造された「プロジェクト877」の通常動力(ディーゼル電気推進)型潜水艦のことです。

キロ級潜水艦は、全長約74m、水中排水量は約3100トンあり、海上自衛隊のおやしお型潜水艦よりも一回り小型です。武装は艦首に備えた6門の魚雷発射管で、ここからは魚雷のほかに対地、対艦、対潜水艦の各種ミサイルを放つことができ、発射管射出型の機雷も使用が可能です。2000年(平成12)までに43隻が就役していますが、そのうち19隻がポーランド、インド、アルジェリア、ミャンマー、イランに輸出されて現役で、インドネシアも保有が疑われています。

対して、改キロ級はロシアでは「プロジェクト636」と呼ばれるアップデート型で、1996(平成8)年に建造が始まり、2019年までに20隻が就役しています。ただし、この20隻は輸出用で、中国に10隻、ベトナムに6隻、アルジェリアに4隻引き渡されており、これらは全て現役です。

この改キロ級のなかでも、ロシア黒海艦隊で運用されているのは、2010(平成22)年から建造が始まった「プロジェクト636.3」と呼ばれるモデルです。こちらは現在までに9隻が就役しており、前出の通り黒海艦隊には6隻配備、さらに2隻が建造中で1隻が発注済みです。

これらキロ級および改キロ級は、比較的水深の浅い沿岸警備用の攻撃型潜水艦です。潜水艦にとって必須の静粛性に優れており、さらに改キロ級はエンジン出力の向上やスクリューの改良など近代化改良が施されていることから、実質的に最新鋭の潜水艦といえます。

黒海艦隊にはフリゲートやコルベット、巡洋艦、潜水艦からなる第5作戦戦隊があり、2013(平成25)年のシリア内戦で軍事介入しています。この第5作戦戦隊の戦力を確保するためとして、改キロ級2隻がウクライナ侵攻後の5月に地中海へ配備されています。

2022年7月現在、黒海と地中海を結ぶボスポラス海峡とダーダネルス海峡は、トルコが軍艦の通航を表向きは制限しています。トルコが海峡の通航制限を行うのは、1936(昭和11)年に発効したモントルー条約が根拠になっています。ただしトルコ政府は黒海沿岸諸国の船舶が母港に帰港する場合は例外としています。そこでロシア側は、地中海に出るロシアの改キロ級を、最終的にバルト艦隊の基地で整備される名目で、海峡の通過を正当化しました。

先に述べたようにロシア黒海艦隊には、キロ級1隻と改キロ級6隻がおり、そのうち後者の2隻が地中海へ派遣されています。そして黒海に残った改キロ級のうち1隻は母港のセヴァストポリで整備中のため、いま黒海で行動しているのは、キロ級1隻と改キロ級3隻ということになります。

改キロ級潜水艦

ウクライナ軍は6月10日、ロシア軍が黒海艦隊に潜水艦1隻を新たに配備し、巡航ミサイル40発が発射できる状態にあるとSNSで明らかにしました。

潜水艦ならではの隠密性もあって、今般のウクライナ紛争における潜水艦の作戦行動について情報はほとんど出てきませんが、ムィコラーイウやオデーサ(ロシア名オデッサ)に対するミサイル攻撃は、水上艦艇だけでなく潜水艦から発射された可能性があります。

ウクライナは、「ネプチューン」や西側から供与された「ハープーン」といった対艦ミサイルでは潜水艦を掃討できないため、対潜哨戒機や対潜ヘリが必要になります。しかし、西側諸国は155mm榴弾砲や対戦車ミサイル、地対空ミサイルと違って、航空機の供与はより直接的な軍事介入になるとして及び腰です。

また、戦闘機ならウクライナ空軍のパイロットは使いこなせますが、対潜哨戒機となるとそうはいきません。一応、ウクライナ海軍には航空旅団があるものの、戦闘機や汎用ヘリコプター、無人機(UAV)の飛行隊に限られており、対潜哨戒用としてはMi-14PLヘリコプターが3機あるだけです。固定翼の対潜哨戒機は運用実績すらないので、機体だけでなく搭乗員も供与しないと使い物にならないといえるでしょう。

加えて、たとえ対潜哨戒の態勢がとれたとしても航空優勢を確保する必要があります。ただし、開戦初期にウクライナ軍の対空ミサイルで多くのロシア軍機を撃墜したとはいえ、ウクライナもロシアも航空優勢を確保できていない現状では、ウクライナ側もおいそれと対潜哨戒機を黒海周辺で使うわけにはいきません。したがって現在、ウクライナ軍には、改キロ級への対抗手段がない状況なのです。

今後も黒海艦隊の水上艦艇は対艦ミサイルに狙われ続けるでしょう。しかし、潜水艦ならウクライナが使用するミサイルの射程内まで近づけます。ウクライナ側が潜水艦に対処できない限り、ロシアによる対地攻撃と海上封鎖は終わらないといえるでしょう。

ウクライナに米軍もしくは日本並のASW(Anti Submarine Wafare:対潜水艦戦闘力)があれば、ロシアの潜水艦などほとんど問題にもならないでしょうが、残念ながらウクライナのASWは無いに等しいです。

これでは、いつまでもウクライナはロシアの海からの脅威に対処できません。2014年のクリミア危機のときにも、潜水艦のことは報道されませんでしたが、私はこの時にもロシアの潜水艦が活躍したと思います。ただ、潜水艦の行動は隠密にされるのが、普通ですから、他の報道にまぎれてほとんど報道されなかったのだと思います。

クリミア半島は半島とはいいながら島に近いですから、これを1〜2隻の潜水艦で交代制で24時間包囲してしまえば、これはロシア軍にとってかなり有利です。まずは、近くの海域にロシアの潜水艦がいるというだけで、ウクライナの艦艇などクリミアに接近することはできなくなります。

クリミアに常駐していた軍も、潜水艦で包囲され、陸路も絶たれてしまえば、艦艇を近づけようとしても撃沈されてしまうことになり、補給ができず、食料・水、弾薬などが尽きてお手上げになってしまいます。クリミア危機においては、ロシアの潜水艦はこのような動きをしていたと思います。

報道ではハイブリット戦などが強調されていましたが、クリミアが安々とロシアに併合されてしまった背景には、潜水艦の何らかの動きがあったのはほぼ間違いないと思います。

ちなみに、クリミア危機のときには、ウクライナは潜水艦「ザポリージャ」1隻だけを所有していたのですが、ロシア軍に接収されています。

最近、ウクライナ軍はクリミア大橋を破壊するという計画もあるといわれています。

ウクライナへの侵攻が始まったあと、この橋がロシア軍の物資の輸送に使われているので破壊すべきだという意見が、ウクライナ側から出ていました。クリミア大橋を破壊すれば、ロシアの黒海艦隊が母港としているセヴァストポリへの陸からの補給路を断つことができるからです。

クリミア大橋は、2014年にクリミア半島を併合したあと、ロシアが造りました。ロシアのクラスノダール地方にあるタマン半島とクリミア半島東端のケルチという町の間に架かっています。

全長およそ19キロメートルに及ぶ、鉄道と道路の併用橋です。2015年5月に工事が始まり、道路は18年5月に、鉄道は19年12月に完成しました。これによって、ロシア本土とクリミア半島が陸路でつながりました。

工費は37億ドルといわれます。 開通の式典には、プーチン大統領も出席。大型トラックのハンドルを自ら握って車列を先導し、ロシア側からクリミア半島へ渡るパフォーマンスを演じました。 

クリミア大橋の開通式でトラックを運転したプーチン

ただ、クリミア大橋を破壊することはでき、それによってロシア軍の兵站には支障がでることにはなりますが、それにしても黒海にロシアの潜水艦隊が存在するので、ロシア海軍の優位性は崩れることはなく、橋が破壊されれば、船や遠回りになるものの、他の陸のルートで物資を運ぶことになると思います。

ロシア海軍の優位性がある限りにおいては、ウクライナが南部を奪還したり、ましてやクリミアを奪還するのはかなり難しいでしょう。クリミア大橋を破壊したとしても、それで圧倒的にウクライナ側が有利になるというわけではないと思います。

このような背景があるからこそ、ルーマニアやウクライナもいずれ潜水艦を手に入れようとしているのでしょう。日米並の高い能力を持つ対潜哨戒機なども手に入れれば、ロシア海軍に対峙できます。

トルコ海軍は14隻の潜水艦を持っていますし、黒海はNATO加盟国やウクライナの潜水艦が跋扈する海域になる可能性があるのは間違いないようです。そうなれば、ロシア海軍の優位戦もゆらぐことになるでしょう。

おしむらくは、ウクライナが現在潜水艦もまともな対潜哨戒機もないことです。これらをウクライナが有していれば、戦況特に南部での戦況が変わった可能性は十分にあったと思います。

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2022年7月21日木曜日

安倍氏たたえる決議採択 米上院で全会一致―【私の論評】バイデン政権も米国議会も日本が安倍路線を継承することを強く望んでいる(゚д゚)!

安倍氏たたえる決議採択 米上院で全会一致

米連邦議会議事堂=ワシントン

 米上院は20日、銃撃されて死去した安倍晋三元首相をたたえる決議案を全会一致で採択した。安倍氏を「一流の政治家で民主主義の価値の擁護者」と評価し、「日本の政治、経済、社会、そして世界の繁栄と安全保障に消し去ることのできない足跡を残した」とした。

 決議は前駐日大使のハガティ上院議員ら70人近い議員が13日に共同提出。安倍氏が「自由で開かれたインド太平洋」の考え方を広めたことに触れた上で、現在の日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」の基礎となる構想を推進したと強調した。米大統領とともに日米同盟を強化し、北朝鮮の非核化や日本人拉致問題の解決にも精力的に取り組んだと指摘した。

 「米国は偉大な友人を失った」としながらも「そのリーダーシップにより、日米が世界中で自由、繁栄、安全を促進し、専制主義や独裁政治に対抗するため今後数十年にわたって協力する基盤が築かれた」と締めくくった。

【私の論評】バイデン政権も米国議会も日本が安倍路線を継承することを強く望んでいる(゚д゚)!

何故、このようなことが米国に先を越されるのか残念でなりません。米国で安倍氏たたえる決議が全会一致で採択されている中、日本では野党が国葬反対、マスコミは死を喜ぶ川柳や「安倍は統一教会」「犯人にも一理ある」のような報道が目立ちます。

このような決議は、過去にはサッチャー元英首相や南アフリカのマンデラ氏に対してもなされたことがあります。ということは、米国議会は安倍晋三氏をこれらの人物に並ぶ人物であると認識しているということです。

この決議案は、米国の前の駐日大使を務めた共和党のハガティ上院議員が呼びかけ、議会上院の7割近くにおよぶ超党派の68人の議員が共同提案者となったものです。何とあの政治信条が真逆だろう社会主義者のサンダース議員まで賛成しました。

ウィリアム・フランシス・"ビル"・ハガティ四世(英:William Francis "Bill" Hagerty IV、1959年8月14日- )

それにしても全会一致はすごいことだと思います。国葬に反対するマスコミや野党は、国民の多数派だけでなく国際社会からもずれているということがはっきりしました。

そうして、忘れてならないことは、なぜこのようなことがなされたのか、その背後には何があるかということです。

米議会では夏休みが迫って日程タイトな中で、提出から1週間で本会議採決まで行ったところに米議会の意思が明確に読み取れます。善意だけであれば、日本で国葬が始まる9月27日位までに決めても良いはずです。

にもかかわらず、これだけ急ぐというその理由は、米国議会は超党派で、日本は安倍路線をしっかり引き継いでくれという強いメッセージであるということにつきます。

このブログでは以前バイデン政権も日本は安倍路線を継承することを望んでいることを掲載したことがあります。その記事のリンクを掲載します。
「安倍路線」継承期待か 際立つ駐日米大使の最大級弔意 私邸や自民党本部、通夜に参列…ツイッター発信も―【私の論評】岸田政権には、米国の強力な報復に抗って親中派路線を貫く意思も胆力も覚悟もない(゚д゚)!
記帳するエマニュエル駐日大使

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、一部を以下に引用します。
中国は、以前は日本を見下していました。実際に、1994 年中国の当時の李鵬首相が、オーストラリアを訪問した時に、当時の オーストラリアのジョン・ハワード首相に向かって 「い まの日本の繁栄は一時的なものであだ花です。 その繁栄を創ってきた世代の日本人がもう すぐこの世からいなくなりますから、20 年もしたら国として存在していないのではないで しょうか。 中国か韓国、 あるいは朝鮮の属国にでもなっているかもしれません」 という 発言をしました。
李鵬首相のオーストラリアでの発言
自民党がその頃のままであれば、本当にそうなったかもしれません。ところが安倍政権が誕生して以降、気がつけば日本が中国包囲網の中心になっていたのです。 安倍総理大臣が「自由で開かれたインド太平洋戦略」を2016年8月の第6回アフリカ開発会議(TICADVI)の場で提唱してから5年以上が経過し、アジア太平洋からインド洋を経て中東・アフリカに至るインド太平洋地域において、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序を実現することの重要性が、国際社会で広く共有されてきています。

トランプ大統領の任期は2017年から始まっています。トランプ大統領は選挙選の最中から中国に対峙すべきことを主張してきましたが、安倍総理と会ってからは、中国の卑劣な行いが、「地経学的戦争」だとはっきりと認識したとみられます。

日本では安倍・トランプというとゴルフぎかりが強調されるが、それだけではなかった・・・・
当時の安倍首相がこの構想(注:安全保障のダイヤモンド構想、後にインド太平洋戦略)を出したとき、中国はほとんど気にしていませんでした。しかし、その枠組みが目の前にでき上がってしまったということが、彼らの誤算でした。しかも「AUKUS(オーカス)」、「ファイブ・アイズ」という2つ枠組みがあり、アジアのなかでは日本だけが枠組みの一部に入るような事態も招いたともいえます。

安倍元総理は、いわば今日の対中国の世界の枠組みを構築したのであり、現在の日米英印豪、EUもその枠組の中で対中国戦略を考え実行しているのであり、その本家本元の日本が親中に傾けば、世界の枠組みが毀損されかねないわけです。それは、米国としてはとても許容できないのです。

バイデン政権としては、日本政府が現在の世界の枠組みを毀損することは容認できないですし、米国議会が 安倍氏たたえる決議採択をしたのも、これを容認できないことを全会一致で表明したのです。なぜかといえば、この枠組を毀損してしまえば、米国の国益にはならないと、米政府も議会も認識しているということです。

そのことを日本自身が認識すべきです。それを認識していないからこそ、半旗の掲揚の徹底が米国より遅れたり、安倍氏たたえる決議採択を米国議会に先をこされるという自体に陥ったりするのです。

岸田政権は、外交や安全保障面で安倍政権を継承しなければ、米国政府と議会から激しい抵抗にあうことを覚悟すべきです。

私は、経済面でも、あまりひどい政策をとってしまえば、日本経済を毀損し、これも世界の枠組みを毀損しかねないので、米政権は圧力をかけてくる可能性があると思います。無論、派手にやれば、内政干渉であると避難されるので、そうとはわからない形で圧力をかけることでしょう。

もし、岸田政権が、財務省のいいなりになったりせず、日銀の次の人事でまともな人事を行えば、日本国内の保守派議員の努力もあるでしょうが、米国の圧力もある可能性もあります。

米国の圧力が全くないなら、岸田政権や宏池会は、保守派議員の圧力を跳ね除けてでも、より中国寄りの政策を実施し、経済も財務・日銀官僚のいいなりで、日本経済を毀損して、失われ三十年を繰り返し、中国に頼らざるを得ないようにし、より中国との関係を深める方向に動くでしょう。

それで、中国は現在の経済の低迷を持ち直すことができ、一息つくことができます。それは、ロシアも利することになります。そうして、日本は世界の中で安倍晋三氏が築いた、強い影響力を失うことになるでしょう。日本の保守派の人々、日本の保守派の議員は米国の保守派との連携を強めるべきです。

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2022年7月20日水曜日

アベノミクス認めなければ…立憲民主党は決して立て直せない 金融政策を中心に「雇用確保」が左派の生きる道―【私の論評】「雇用≒日銀」を理解しないから、立憲民主党はまともな雇用論議ができない(゚д゚)!

日本の解き方

TIME誌の表紙に掲載された安倍晋三氏

 野党第1党の立憲民主党は参院選で改選前から議席を減らした。次の参院選や衆院選に向けて党勢を回復させるには何が必要なのか。

 第2次安倍晋三政権での国政選挙は政権奪還時を含めて6回あった。いずれも安倍政権が勝利した最大の要因について、筆者は雇用の確保が功を奏したからだと思う。

 雇用の確保は、失業率の低下と就業者数の増加で見ることができる。戦後の統計でみると、歴代政権の中で、安倍政権は失業率の低下1・5%で第1位、就業者数の増加400万人で第2位と、トップの実績だ。

 生前の安倍さんに筆者が話すと喜んだのは、学生の就職率が安倍政権になってから良くなったことだ。一流大学では、景気動向にかかわらず就職率は高いが、下位大学では、民主党政権時代の就職率は60%台のところもあった。それが安倍政権になると100%近くにまでなった。

 これが安倍政権のおかげであることを学生自身がよく分かっていた。というのは、その間、学生の学力が向上したわけでもなく、ただ政権が変わったことだけが違ったからだ。

 雇用市場では、既に就職している人が影響を受けることはよほどのことであるが、新卒者の就職市場は外部環境にかなり敏感に反応する。

 では、雇用を確保するための国際標準政策は何かといえば金融政策だ。金融政策は、インフレ率の管理を目的とするが、インフレ率と失業率は逆相関の関係なので、失業率を管理するともいえる。インフレ目標は、失業率を下げたいが、あまり過度なインフレになるのを防止する仕組みだ。

 要するに、金融政策は雇用政策なのである。安倍さんは、この金融政策にいち早く着目した政治家だった。そこで、アベノミクスの第1に金融政策を据え、実際に雇用の確保の実績を示した。

 立民は参院選の中でも、「円安是正のために利上げせよ」とか、政策の方向性が全く間違っていた。左派系マスコミでは、いまだにアベノミクスを「負の遺産」というところもある。要するに、本来雇用を守るべき左派の立民や左派系マスコミが、真逆な政策を主張しているのが日本の現状だ。

 世界的にみると、金融政策は雇用政策なので、まず左派政党がそれを主張し、正しい政策なので保守政党がそれに追随する。なので、筆者が保守政治家の安倍さんに金融政策を説明するのは少し躊躇(ちゅうちょ)があった。しかし、リアリストでもある安倍さんからは「気にする必要はない」と言われた。

 左派の立民が、アベノミクス批判を展開し、雇用を守らない政策を今でも公言している以上、党勢を回復するのは不可能であろう。少なくとも、アベノミクスを認めて、金融政策を中心として雇用の確保に努める覚悟を示さないとダメだ。

 雇用を守るという点について、もっと真剣に考えないと、誰も立民に政権を任せられないだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】「雇用≒日銀」を理解しないから、立憲民主党はまともな雇用論議ができない(゚д゚)!

私は、安倍政権によって雇用が改善したことを実体験で経験したことを一昨日に述べたばかりです。
日本の左派やリベラルが、安倍元首相に完全に敗北したワケ―【私の論評】しっかりと実体験できた、安倍総理の功績、雇用の劇的改善(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものして、この記事では書いていなかったことを以下に掲載します。

私は、民主党政権の時に会社で人事を担当していましたので、民主党政権時に雇用がかなり悪いことを実感しました。これは、当時大学側であろうが、企業側であろうが、採用に関わった人なら誰でも知っていることでしよう。

そうして、 就職をする学生たち本人が一番みにつまされて骨の髄まで染み込むように理解したことでしょう。

しかし、安倍政権になってから、みるみる状況が変わっていきました。その当時には、私は人事は担当してはいませんでしたが、採用された新人とも話す機会はありましたので、かなり良くなっていることを実感できました。

そもそも、民主党政権のときには、いわゆる一流大学の学生も結構採用できたのですが、安倍政権になってからは、一流大学の学生はあまり採用できず、他の大学からの採用が増えました。

これは、上の高橋洋一氏の記事の「下位大学では、民主党政権時代の就職率は60%台のところもあった。それが安倍政権になると100%近くにまでなった」というところと符号します。

そうして、採用ということになると、思い出すのが、会社の近くにあるハローワークの所長の話でした。

採用ということになると、新人ばかりではなく、再雇用の場合も結構あります。特に現場は、再雇用の人も多数雇用していました。

ある日サイトで、あるハローワークの所長のことが掲載されていました。これはそのハローワークの女性職員の方のツイートが元になっていましたが、「うちの所長は、実は自分、雇用というものが全くわからない」と呟いていたのを聴いて「びっくりした」というのです。これは、当時結構話題になりました。

その話を会社の近くのハローワークの所長に何かの機会してみたのですが、その所長自身も「私も同じだ、雇用については良くわからない」と語っていました。

日本では、雇用というと厚生労働省の管轄であると思われているようです。しかし、それは大きな間違いてす。厚生労働省は雇用に関する統計を記録したり、それを配布したりする官庁ではありますが、雇用そのものに直接関わる官庁ではないのです。無論、雇用関係や労働環境に関しては関与していますが、いわゆる雇用が良いとか悪いということには直接関係がありません。

では、マクロ経済上の雇用はどこの官庁が直接関わっているかということになれば、それは上の記事にあるように「日銀」です。しかし、日本ではそのことが良く認識されていないようです。雇用というと多くの人が思い浮かべるのが、厚生労働省のようです。

それは、おそらく職業を紹介するハローワークが傘下にあり、しかも厚生労働省は雇用統計を扱っているのでそう思われてしまうのでしょう。

ハローワーク

しかし、厚生労働省が雇用に関わるのは、統計とすでに存在している仕事を仕事を探す人に斡旋すことです。そのほかできることといえば、雇用のミスマッチを是正することくらいです。

雇用そのものを増やすことができるのは、日銀です。日銀が金融緩和をすれば、雇用が増えます。日銀がインフレ率を2〜3%あげれば、 他に何もしなくても、自動的に一夜にして数百万の雇用がたちどころに生まれます。これはマクロ経済学上の常識です。

これを否定する人は、エビデンスをあげた上で論文を書くべきです。本当に否定できたら、ノーベル経済学賞を受賞できると思います。

そうして、これは世界の常識です。私は、このことを先の会社の近くのハローワークの所長にしました。

「金融緩和≒雇用]というと、所長は驚いていました。雇用の主管官庁はいずれの国でも中央銀行(日本では日銀)であり、それは世界の常識であり、日本以外の国では、雇用が悪くなると真っ先に批判されのは中央銀行であり、雇用が良ければ、まともに働いていると評価されるのが、中央銀行なのだという話をするとますます驚いていました。

私は、ハローワークの所長が、「自分は雇用というものがわからない」というのは正直な感想だと思います。実際ハローワークは雇用そのものに関わっているわけでないのですから。

そうして良くわからないのが当然のハローワークや、厚生労働省が雇用の責任を担う官庁であると考えるのは全くの間違いです。

私自身は、雇用≒日銀ということを前から知っていましたが、それは知識として知っていたというだけで、実際に自分が採用にかかわり、安倍総理の登場によって、雇用が劇的に良くなったことを直接体験したことにより、この知識が本当に身についたと感じました。

残念ながら、立憲民主党の幹部などは、雇用≒日銀ということを理解していないのでしょう。こうしたことが理解できなければ、雇用に関しては全く何も理解できないのではないかと思います。

ところで立憲民主党で雇用というと「立憲民主党は、雇用、仕事、職場、労働におけるジェンダー平等をすすめ、男女ともワーク・ライフ・バランスの実現が可能な職場・地域・社会の環境整備を目指します」などと主張し、雇用そのものについて語ることはありません。

立憲民主党の「ニュース」より

無論これらのことも大事でしょうが、まずは働きたい人が働ける世の中をつくって、その後にこのようなことに取り組むというのなら理解できますが、これではコアな支持者以外は誰も振り向かないでしょう。

立憲民主党はいい加減「雇用≒日銀」ということを認識すべきです。そうしない限り、立民は閉塞感に苛まされるだけで、今後もどんどう党勢を弱めていくだけになるでしょう。

それから、一般の人も、諸外国のように「雇用≒日銀」という世界標準の社会常識を常識として認識すべきでしょう。そうでないと、雇用が極端に悪化した場合でも、日銀を批判することもなく、見当違いの批判をすることになります。

やれ、企業が「内部留保」をため過ぎだからとか、日本企業の生産性が落ちているからとか、見当違いの論議になります。こんなことを論議していても、雇用は良くなりません。

そうして、マクロ経済政策では、雇用が最も重要であり、統計指標の中で雇用が良ければ、経済政策は合格であること、雇用が悪ければ、他の指標が良くても落第であることを認識すべきです。その観点からも日銀の金融政策は非常に重要なのです。それも自らの生活に直接関わっているのです。

しかし、日本では多くの人が日銀というと、金融だけであり、雇用と結びつかないのが実情です。

立憲民主党など野党は、これを理解していないため、日銀が金融緩和をして、雇用がよくなり始めると、まずは賃金が比較的低い若年層から良くなり始めるので、賃金は下がる傾向にありますが、それは当然なのですが、わけもわからず「賃金がー」と叫んでいました。

このような間違った言説に騙されないためにも、多くの人が「雇用≒日銀」を理解すべきです。

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2022年7月19日火曜日

巨額貸し倒れリスクに怯える中国、これが「第二のスリランカ候補国リスト」だ―【私の論評】中国は民主化しなければ、閉塞感に苛まされるだけになる(゚д゚)!

巨額貸し倒れリスクに怯える中国、これが「第二のスリランカ候補国リスト」だ

スリランカ大統領を辞したゴダバヤ・ラジャパクサ氏(右)。すでに妻のアヨマ氏(左)とボディガードを連れてモルディブに脱出している(写真は2019年11月撮影のもの)

 先週7月13日未明に、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領がモルディブに脱出し、大統領職を辞すという驚愕の展開を見せたスリランカ。日本では、「中国が借金漬けにした結果、『債務の罠』にハマって国家破綻した」という「中国悪者論」が主流になっている。

 だが、スリランカのケースを、銀行と企業の例に当てはめるとどうなるか。企業が銀行から多額の借金をしたが、経営破綻した。その企業はお気の毒だが、多額の資金を貸し付けた銀行の側も、借金を踏み倒されることで蒼くなるだろう。

 同様に、中国も蒼ざめているのである。4月にスリランカ危機が顕在化して以降、中国は5億元(約103億円)もの緊急援助を行って、何とかラジャパクサ政権を支えようとしてきた。内訳は、米2000t、51万回分のナトリウム注射液などだ。

 威振宏(い・しんこう)駐スリランカ中国大使は、6月29日にペライラ投資促進大臣と、翌30日にはペリス外相と、立て続けに会っている。ラジャパクサ政権が中国と一蓮托生であることが窺い知れる。
 
「第二、第三のスリランカ」が現れれば中国経済も甚大なダメージが

 7月14日には、威振宏大使が主催して、オンラインで「在スリランカ中国系企業安全活動会議」を開いた。参加したのは、スリランカ中国企業商会会長の江厚亮(こう・こうりょう)中国港湾スリランカ地域社長、中国が99年間の租借権を得たハンバントタ港を管理する劉恩懐(りゅう・おんかい)招商局集団駐スリランカ首席代表兼ハンバントタ港口集団CEOら、70数社の現地代表らである。

 会議の詳細は伝わってこないが、ラジャパクサ政権崩壊後のスリランカ情勢の分析や、今後どうやって中国の権益を保持していくかについて、意見交換したに違いない。こうしたスリランカ在住の官民の動きを見ても、「銀行役」の中国が、大いに悩んでいることが窺い知れるのである。今後、8大臣を独占していたラジャパクサ一族が、こぞってアメリカに亡命でもしたら、中国は万事休すだ。

そのようなスリランカの状況を見ていると、今後「第二、第三のスリランカ」が出現することが考えられる。3年目に入ったコロナ禍や、今年2月からのロシアによるウクライナ侵攻で、発展途上国はどこも経済危機に陥っているからだ。

途上国への投資をストップできない中国の立場

 それでも中国は、広域経済圏「一帯一路」を掲げている手前、投資をストップするわけにいかない。実際、今年1月から5月までに、前年同期比9.4%増の527億元(約1兆800億円)も、「一帯一路」沿線国に投資しているのだ。

 だがそうなると、「世界の銀行」と化している中国の「貸し倒れリスク」も、自ずと増していくことになる――。

 昨年9月29日、米ウィリアム・アンド・メアリー大学のエイドデータ研究所が、中国の投資の実態をまとめた報告書を公表した。そこでは、中国が2000年から2017年までに世界145カ国で投資した計1万3427件のプロジェクトについて、166ページにわたって詳細に分析している。

 その報告書によれば、中国からスリランカへの投資総額は107億6800万ドル(約1兆4900億円)で、これは2017年のスリランカのGDPの12.1%にあたる。つまり、GDPの10%強の投資でも、国家破綻を起こしてしまったのである。

中国による投資額がGDPの10%超となる国が47カ国も

 そこで、この報告書を改めて読み込んで、中国の投資総額がその国のGDPの10%を超えるケースを洗い直してみた。すると、計47カ国もあることが判明した。

 それを「ハイリスク順」に並べ、中国の投資総額を示すと、以下の通りだ。

              (GDP比)(投資総額/単位・億ドル)
1.ラオス          64.8%  122
2.コンゴ          53.4%  62
3.ギニア          49.7%  52
4.アンゴラ         49.5%  523
5.ジプチ          48.5%  15
6.モルディブ        40.3%  15
7.トンガ          35.4%  1.6
8.スリナム         34.0%  9
9.ザンビア         32.5%  79
10.キルギス         31.6%  23
11.モザンビーク       31.5%  41
12.サモア          29.9%  2.5
13.スーダン         28.3%  118
14.タジキスタン       27.0%  23
15.トルクメニスタン     24.7%  89
16.バヌアツ         22.5%  1.9
17.ベネズエラ        21.5%  910
18.ジンバブエ        21.0%  30
19.アンティグア・バーブーダ 19.7%  68
19.カンボジア        19.7%  48
19.シエラレオネ       19.7%  7.7
22.モンテネグロ       18.7%  10
23.モンゴル         17.9%  21
24.カザフスタン       17.5%  304
25.コンゴ民主共和国     17.4%  46
26.パプアニューギニア    17.2%  39
27.エリトリア        16.9%  9
28.エチオピア        15.5%  154
29.エクアドル        15.4%  150
30.ベラルーシ        14.6%  79
30.南スーダン        14.6%  21
32.ナミビア         14.5%  17
33.ガボン          14.4%  23
34.カメルーン        13.9%  54
35.ドミニカ         13.7%  0.6
36.ブルネイ         13.5%  17
36.イラン          13.5%  134
38.トーゴ          13.2%  9.8
39.ミャンマー        12.1%  81
39.スリランカ        12.1%  107
41.ウズベキスタン      11.6%  75
42.ジャマイカ        11.2%  15
42.ニジェール        11.2%  14
44.モーリタニア       11.0%  7.5
45.ケニア          10.7%  93
46.カーボベルデ       10.3%  1.7
47.セネガル         10.2%  24

 以上である。47カ国で計3747.3億ドルにも上る。邦貨にして、約51兆9000億円! 

 特に、中国と国境を接するラオスは、昨年12月3日、雲南省昆明-ビエンチャン間に高速鉄道を開通させたばかりであり、「第二のスリランカ候補」筆頭と言えるだろう。

 重ねて言うが、コロナ禍とロシアによるウクライナ侵攻の影響で、発展途上国は軒並み、経済危機に瀕している。だが同時に、「一帯一路」の大風呂敷を掲げている中国も、貸し倒れのリスクに、戦々恐々としているはずなのである。

【私の論評】中国は民主化しなければ、閉塞感に苛まされるだけになる(゚д゚)!

さらに、中国の貸し倒れリスクは上の記事の結論部分にもあるようにロシアとウクライナの戦争により深刻な障害にぶつかることがすでに予想されています。

それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
スリランカが「破産」宣言“燃料輸入”プーチン氏に支援要請―【私の論評】スリランカ危機の背景にある、一帯一路の終焉が世界にもたらす危機(゚д゚)!

この記事より、少し長いですが、一部を引用します。
セバスチャン・ホーン、カーメン・ラインハート、クリストフ・トレベシュは、Centre for Economic Policy Researchのオピニオンサイト、VoxEU.orgに寄稿した論考で、一帯一路に代表される中国の海外投資ブームが、ロシアとウクライナの戦争により深刻な障害にぶつかるだろうと述べています。

その根拠となるのは、中国の政府系金融機関がロシアとウクライナ、およびベラルーシに対して行っている融資額の大きさです。ホーンらによれば、中国の国有銀行は2000年以降、ロシアに対しエネルギー関連の国有企業を中心に累積1250億ドル以上、融資してきました。

中国はまた、ウクライナに対しても主に農業とインフラストラクチャー分野のプロジェクトを中心に70億ドル程度、さらに、ベラルーシに対しても80億ドル程度、融資してきました。この3カ国を合わせると、過去20年間の中国の海外向け融資の20%近くを占めるといいます。

もともと、近年急激に増加しつつある中国の対新興国への資金貸付は、どのような基準に基づいて行われているのかが明確ではなく、債務不履行などのリスクを生じやすいものであることが指摘されてきました。スリランカはまさにその一つの例です。ホーンらは、中国の対外貸付のうち、債務危機にある借入国に対する比率は10年の約5%から現在では60%にまで増加したと指摘しています。

世界銀行のデータによれば、中国から新興国の政府部門への資金の純移転は、16年をピークに減少し、19年と20年にはマイナスに転じています。ホーンらはこのデータをもって、中国の国有銀行はすでに成長のための資金提供者から債務の回収者へと転じている可能性があるとしています。ウクライナ危機およびその後の経済制裁によってロシアおよびその同盟国の経済が直面することになったリスクは、その傾向をさらに増幅させることになるでしょう。

中国の政府系金融機関は、今後ロシアなどに対する融資が不良債権化するリスクを、よりリスクの高い債務国への新規融資の停止あるいは債権回収によって埋め合わせるかもしれないです。このことが持つインパクトは、おそらくこれまで西側諸国によって喧伝されてきた「一帯一路が『債務の罠』をもたらす」という問題よりもはるかに大きなものになると考えられます。
ウクライナのような国であれば、国土面積も広く、人口も比較的大きく、ある程度産業基盤が整っているため、ロシアとの戦争が終了すれば、西欧諸国から支援を受けて経済発展する可能性が高いです。しかもEU加入を目指しているので、民主化しなければならず、民主化できれば、かなり発展する可能性があります。

ここで、キーワードは民主化です。民主化しない国は経済発展しません。などとというと、中国はどうなんだという疑問を投げかける人もいるでしょうし民主化しなくても金儲けはできるのではないかと考える人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。実際中国は経済大国ではありません。

中国の一人あたりのGDPは未だに10000ドルを若干超えた程度にすぎません。これは、ロシアとさほど変わりません。ただ、中国が経済大国といわれるのは、人口が14億人もいるからに過ぎません。中国のGDPはロシアの10倍ですが、ロシアの人口は1億4千万人に過ぎず、人口が1/10なので、GDPも国単位では中国の1/10なのです。

バルト三国や、スウェーデン、フィンランド、台湾や、韓国よりも、中露の一人あたりのGDPは、はるかに低いのです。一人あたりのGDPは一人あたりの年収に近似できます。10000ドルというと、日本円に換算すると、ざっくりと100万円です。これでは、日本では生活できません。

これが中国人や、ロシア人の平均年収なのです。日本は貧乏になったなどといわれることもありますが、中露よりははるかに裕福です。

中露には富裕層もいますが、一般国民が貧乏であり、貧富の差が激しいです。

民主化しない国は、経済発展しても一人あたりGDPが10000ドル前後を上限として、そこから伸びないということが経験的に知られており、これを中進国の罠と呼ばれています。

クリックすると拡大します 内閣府資料より

民主化するつもりのない中露はこれから、経済発展する見込みはありません。そうして、今一度中国の投資先をご覧になってください。スリランカをはじめ、どうみてもこれから民主化して、経済発展するような国はありません。


この中で一応民主化したといわれているのは、インドネシアではありますが、近年はそれが後退しているともいわれています。ガーナは、民主化していて、世界の政治民主化度をみてみると
74位です。ただ、経済的には未だ恵まていません。それ以外の国は全部100位以下です。

ちなみにウクライナは101位ですが、EUに加入するためには、様々な改革が迫られることになるでしょう。

こうしてみると中国自身もこれから経済発展する見込みはなく、中国による諸外国への投資も、うまく行きそうにはありません。

中国の最近の経済発展は、民主化により、国民一人ひとりがが豊かになった結果によるものではなく、政府が国内に大規模なインフラ投資をすることによってもたらされてきました。ただし、インフラ投資にも限界があり、中国国内では投資が一巡してしまい、大規模は投資案件がなくなってしまいました。

中国は過去の栄光を再現するために、「一帯一路」などのスローガンを掲げ、海外投資に踏み切ったのでしょうが、海外投資のノウハウに乏しい中国は、まともな海外投資もできず、結局その多くが貸し倒れで終わることになるでしょう。

日米欧などが、このような投資をしないというか、できないのは、結果がこうなることが予め予想できるからしないのです。

中国はいい加減気づくべきです。すぐに欧米レベルとまではいかなくても、ある程度の民主化を進めるべきなのです。そうしなけば、何をしても八方塞がりとなり、閉塞感に苛まされるだけになります。

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2022年7月18日月曜日

日本の左派やリベラルが、安倍元首相に完全に敗北したワケ―【私の論評】しっかりと実体験できた、安倍総理の功績、雇用の劇的改善(゚д゚)!

日本の左派やリベラルが、安倍元首相に完全に敗北したワケ

安倍元総理

左派を震撼させたその実績を検証すると

 7月14日、岸田首相は、暗殺された安倍元首相について今年秋に国葬を行う方針を明らかにした。これに対し、公明はコメントせず、共産、れいわ、社民は反対した。

 安倍元首相の功績については世界的には称賛されているが、国内の左派やリベラルを中心に「アベ政治を許さない」と露骨に嫌う人も目立った。安倍氏に反発するメディアも少なくなかったが、安倍氏はそうした人たちのどこを刺激したのだろうか。

 本コラムで何度も紹介したが、安倍元首相は、経済政策で雇用の確保の実績はピカイチだった。安全保障では、西側政治家の中で誰よりも早く専制国家中国の脅威に気づき、民主主義のクワッド(日米豪印)に動き、同盟(集団的自衛権)の重要性から安保法制を作った。

 これらの経済政策や外交安全保障政策は、世界標準の政策であり、世界からの評価を得るのも当然だった。経済政策は、複数のノーベル賞受賞者や世界的に著名な経済学者から評価されたし、外交安全保障も各国首脳からも支持を受けている。

 だが、それらの実績は左派を震撼させた。雇用の確保は左派の根幹思想であるが、保守の安倍元首相はその「お株」を奪った。雇用確保ができたのは左派政権ではなかったことで、左派を圧倒した。

 実際、雇用の確保について、民主党政権と安倍政権をみると、比較にならないほどに安倍政権の方が優れた業績を示している。

 外交安全保障でも、安倍元首相は第1次政権の2000年中頃、西側民主主義国のリーダーがまだ気付かない時期に、中国の野望を分かりやすく世界に暴いていた。

 その頃から、対中包囲網であるTPP(環太平洋パートナーシップ)や今でのクワッド(日米豪印)の構想に向けて動いていた。中国は左派の「心の拠りどころ」ともいえるから、左派は必死になって安倍元首相を攻撃した。

 さらに、安倍元首相は、左派の「お花畑論」も安保法制で崩し、今回のウクライナ危機ではその「お花畑論」の欺瞞が皆に知れてしまった。

 要するに、安倍元首相は、左派が信じて築き上げた戦後の虚像を、実績により見事に打ち砕いたのだ。

 左派は安倍元首相に、経済でも安全保障でも完膚なきまで打ちのめされた。左派がいくら言い訳しても、安倍政権下での左派の国政選挙6連敗は否定できない。国民は左派より安倍元首相を選んだ。雇用を守るのも国を守るのも左派でなく、安倍元首相だったのだ。

国葬は「弔問外交」の舞台になる

 雇用と外交安全保障という政策で完敗した左派は、「モリカケサクラ」というスキャンダルで安倍元首相を攻めるしかなかった。しかし、その結果は左派にとって無残だ。

 モリカケでは安倍元首相への嫌疑はまったく出なかった。財務省による公文書改竄があったが、元財務官僚の佐川氏が自らの国会答弁ミスを糊塗する保身によって生じたものであり、安倍元首相には無関係だ。

 サクラでは、安倍元首相の秘書に対する政治資金規正法不記載のみで安倍元首相は不起訴に終わった。これらがモリカケサクラの司法による結果のすべてである。

 安倍元首相については、国内では、左派メディアの影響でモリカケサクラのマイナスイメージが強かったが、海外では経済・外交安全保障での成果により高い評価を得ている。今回、この好対照が露わになった。

 これは、安倍元首相を嫌った人がどういう方々であったのかも、明らかにしてしまった。これまで、ネットを中心としたいわゆる「ネトウヨ」が安倍元首相を支持しているとされてきたが、銃殺事件の後の事件現場や増上寺、自民党への献花の状況を見ると、国内でも安倍元首相を慕う人は多い。一部左派メディアの報道に影響を受けなかった人が少なくなかったことは明白だ。

 その上、海外からの弔問も凄い。エリザベス女王、ローマ法王をはじめ、トランプ前大統領、バイデン大統領、そしてプーチン大統領と世界各国の要人から追悼の言葉が寄せられた。さらにブリンケン国務長官や台湾の頼清徳副総統が来日し、弔問に訪れた。弔意の数は、259ヵ国・地域や機関などから計1700以上にのぼっている。オーストラリアでは各都市の建物をライトアップし、インドは全土で喪に服した。米上院では安倍元首相の功績をたたえる決議案が提出された。

 これだけ内外から慕われたのだから、安倍元首相の国葬は当然だろう。

 国葬では費用を全額国が負担するので、これが問題とも言われる。2020年の中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬では約2億円かかったといわれる。今回の国葬ではその倍としても4億円。官房・外務機密費の1割程度なので、大きな支出とは言えない。

 国葬となれば、各国要人の出席にもなるだろうから、日本が「弔問外交」の舞台になることもあり得る。葬儀は故人を偲ぶものであるが、安倍元首相なら世界平和のきっかけになると許してくれるだろう。日本が外交舞台になる恰好の機会と考えれば、国葬は決して意味のないことではない。むしろ、国際的に名が知れた安倍元首相の葬儀としてふさわしいものになるだろう。

 なお、石平氏が「安倍元首相の国葬に一番困っているのは中国の習近平」という興味深いツイートをしていた。これに対して、筆者は「習氏の困ることを反対するのは当然のことか。わかりやすい」とツイートした。

 石平氏の見立ては、国葬に反対している国内勢力の立ち位置をわかりやすく解説している。

髙橋 洋一(経済学者)

【私の論評】しっかりと実体験できた、安倍総理の功績、雇用の劇的改善(゚д゚)!

安倍元首相は、経済政策で雇用の確保の実績はピカイチだったこと、これは数字でも確かめられますし、私には実体験もあります。

数字といえば、以下のグラフをご覧いただくと一目瞭然です。これは、高橋洋一氏の作成したグラブなのですが、これを民主党の議員にみせたところ「グラフが違う」と言われたそうです。しかし、労働力調査をみれば、このグラフが正しいことを確認できます。


民主党政権の頃には、私は人事を担当していました。採用の仕事もしていましたが、まずは民主党政権のときには、採用がかなりやりやすくなったことを覚えています。企業によっては、採用を手控えるところも結構あり、あまり苦労することもなく、思い通りに新卒を採用できたのを覚えています。

そうして、衝撃的だったのは、このブログも過去に掲載したように、当時の新人たちの悲惨な学生生活でした。自分たちの頃とは随分異なると思いました。

まずは、大学も大学院も一流の国立大学を卒業した新卒の女性ですが、なんと教育ローン(名前は、奨学金だが実体はローン)の返済を100万円以上も抱えているというのです。大学でも院でも、バイトはしていたそうなのですが、理系で時間の都合がつかず、十分にバイトができず、結局教育ローンに頼らざるを得なかったそうです。

国立大学といえば、学費が比較的安いというイメージが多いようですが、最近では国立大学もかなり学費があがっています。私立程ではないのですが、それにしても驚くほど高いです。国立大学でも、学部でも大学院でも年間で50万以上というのが普通です。もっと高いところもあります。


これは、大変だと思いました。さらに、バイトの実体も聞いたのですが、一流大学の学生でも、飲食店でバイトしたという人も多く、なぜそのように割の良くないバイトをするのだと聞いてみたところ、割の良いバイトはすぐに埋まってなかなか回って来ないのが実情だったようです。

自分が大学生だった頃には、家庭教師や塾講師などいくつか掛け持ちして、さらにシンクタンクで、ブログラミングなどすると、月の収入が多い時には、三十万を超えることもありました。自分の少し前の世代だと、大手熟で夏期講習をすると、夏期講習終了時には、熟全員で「ハワイ旅行」などという景気の良い話を聞いたことがあるくらいです。そのため、遊びに金がなくて不自由することはありませんでした。

そのようなこともあり、自分の若い頃とは明らかに当時の若者が置かれている状況は異なることが認識できました。

ちょうどこの頃でしょうか、早稲田大学出身の老人が、「自分は学生だった頃は、学費など全部自分で稼いだ、大学なんてなんとでもなるはずだ。今の学生は根性がない」等という話を新聞でしていて、かなり批判を浴びいたことを思い出しました。このような老人は、残念ながら、その当時日本がデフレスパイラルのどん底に沈んでいたことを理解しておらず、自分の若い頃と環境は変わっていないと考えていたのでしょう。

さらに、私学出身の私立大学の男性の新卒ですが、何と大学時代には、一度も外で飲んだことはないというのです。飲む時は全部うち飲みだというのです。この学生札幌出身ですが、一度もすすき野に行ったことがないと語っていました。

その新人は学生時代にはバイトもしていたのですが、何とそれで遊ぶということもなく、車は持たず、贅沢もせず、卒業まで数百万円貯金したと語っていました。彼の家は比較的裕福なので、学費には困らなかったようでずが、比較的裕福な家の子息がこの有様です。

ある大学の先生は、このような状況を懸念しておられて「優秀な学生に対しても、大学院に進学しろなどと、安易にすすめることができなくなった」と嘆いておられました。

このような話は他の新卒でも多く聴かれました。明らかに、世の中はデフレであり、特に若者は悲惨で、希望の持てない世の中になったのだと認識することができました。

そうして、このブログに過去にも掲載したことがあるのですが、デフレで不景気なると、企業の採用基準で「コミュニケーション能力」が重視される傾向にあるようです。それは以下のグラフをみてもわかります。


採用基準としてのコミュニケーション能力は2001年には、チャレンジ精神より低かったものが、2011年には、断トツの80%台になりました。これについて、どうしてなのかと思い、当時面接会場において、他者の採用担当者と話をする機会もあったので、いくつかの会社の採用担当者に「御社は採用において、コミュニケーション能力を重視するとされていますが、具体的にはどういうことなのですか」と質問してみたことがあります。

私としては、このブログも時々掲載するドラッカーの「コミュニケーションの原則」などことや、あるいは各社独自の何かがあるのかと期待したのですが、そのような答えはありませんでした。各社とも「コミュニケーション」という言葉の意味を深くは考えてはいないようで、いわゆる「コミュ障」でない人くらいの感じでした。

結局デフレ不況で、チャレンジ精神に溢れた人に入社されても困るというのが実情だったのでしょう。どうも話を聴いていると、調整能力に長けていることと、和を重視する人ということに思えました。

私は、これは世の中をみるときの目印にもなるように思います。多くの企業が採用基準で「コミュニケーション能力重視」ということを言い出すと、世の中かなり不況であるか、企業が先行きに不安を感じるているという目印になるのではないかと思います。そうして、現在でも「コミュニケーション能力重視」としている、企業がまだ結構多いのが気になります。

そうして、その頃から高橋洋一氏や他のまともなエコノミストらの、財政・金融政策の記事を読み、雇用=金融政策であることを知っていた私は、若者の惨状から救うためにも、財政・金融政策の本質を理解する政治家がでてきて活躍してもらいたいと願うようになりました。

そこに颯爽と登場してきたのが安倍総理であり、その安倍総理が上の髙橋洋一氏の記事にもあるように、優れた雇用政策を実行して、雇用が劇的に良くなりました。

その頃には、私はすでに人事を担当していませんでしたが、それでも劇的に変わったことを感じました。まずは、採用が従来よりは難しくなったことです。

そうして、人事を仕事を引き継ぐときに、新たな人事担当者と一緒に、大学や高校をまわったときに、大きな変化に気づきました。

無論、大卒も高卒もかなり就職率が劇的に高くなりました。それは、各学校の就職担当の先生方が口を揃えて語っておられました。

ただ、ある先生は「確かに良くなっている。卒業生の98%が就職している。ただ、学生にはこの状況はいつまで続くかわからないので、選り好みをせず、年内中に決めてしまいなさい」と指導していると語っていました。やはり、ひどい時代のことが脳裏に焼き付いているのでしょう。

若者自身を含め、就職に企業側であれ、学校側であれ、関わった人ならば、この劇的変化は誰もが認めるところだと思います。

そうして、最後に安保について述べますが、上の記事の通り安保でも安倍総理はかなり大きな貢献をしました。

これは、上の記事と同じことを書いてもつまらないので、別のことを書きます。

海上自衛隊の新型潜水艦「たいげい」が今年3月9日、就役しました。中国の海洋進出を念頭にした防衛力強化のため、政府が目標として掲げてきた潜水艦を16隻から22隻に増強する計画が完了しました。これは計画よりもはやく達成されています。

海自によると、たいげいは基準排水量3千トンで全長84メートル、全幅9.1メートル。乗員は約70人。建造費は約800億円。「大きな鯨」が名称の由来となっています。

この22隻体制の意味をあまりマスコミは報道しませんが、これによって日本の専守防衛は完成の域にたっしたといえます。

この体制だと、日本の近海を交代制で24時間日本近海を監視することができ、中国やロシアあるいは、北朝鮮などの艦艇や潜水艦などが日本に侵攻しようとした場合、これを防ぐことができます。

中露北よりは、日本は対潜哨戒能力が凌駕している上に、日本の潜水艦の静寂性(ステルス性)に優れており、中露北にはこれを発見することはかなり難しいです。

いずれの国の潜水艦も動力源をとめて、海に潜っていれば、発見するのは難しいのですが、魚雷やミサイルを発射すると、それはすぐに発見され、そこから離脱しようとして、動力源を入れて動けば、その音で敵に発見されてしまうのですが、日本の潜水艦はステル性に優れているため、動いていても発見するのは難しいです。

この22隻の潜水艦隊により、日本の専守防衛の体制はかなりの水準まて達成されたといえるでしよう。日本を侵略しようとして、艦艇や吸収揚陸艦を派遣したとしても、そのほとんどが日本に辿り着く前に撃沈されることになります。とても恐ろしくて、日本を武力で直接侵略する国などないと思います。そうして、それは無論憲法9条があるからではなく、日本は無音の潜水艦隊があるからです。

この計画も安倍総理在任中にたてられたものであり、この功績も大きいです。これによって日本の独立は保たれることになります。ただ、日本の通常型潜水艦による防衛では、専守防衛には十分ですが、それだけでは敵にミサイルを打ち込まれたりすれば、国民の生命財産を守ることはできません。それが今後の課題となりますが、それにしても専守防衛に一区切りつけた安倍総理の功績は大きいです。

安保に関しては、実体験ではないですが、雇用面においては実体験ではっきりと、安倍総理の功績を捉えることができました。このようにはっきりと実体験できた、総理大臣は安倍総理以外にいません。

私も実体験できているわけですが、他にもそのような人は大勢いると思います。そういう人にとって、野党やマスコミの垂れ流す「安倍批判」は、全く何も意味を持たないと思います。


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2022年7月17日日曜日

安倍元首相「国葬」が前代未聞の弔問外交に プーチン氏やバイデン氏、トランプ氏も参列!?「ロシアとウクライナの停戦、きっかけ担える可能性」―【私の論評】国葬は当然!国会中央広間の例の空いている台座に安倍晋三氏の銅像を設置すべき(゚д゚)!

安倍元首相「国葬」が前代未聞の弔問外交に プーチン氏やバイデン氏、トランプ氏も参列!?「ロシアとウクライナの停戦、きっかけ担える可能性」

安倍晋三氏

 参院選の街頭演説中に凶弾に倒れた安倍晋三元首相の政府主導による葬儀について、岸田文雄首相は秋に日本武道館で「国葬」(国葬儀)として実施すると明らかにした。国葬は各国から特使が送られることで外交の舞台にもなる。専門家は「海外での影響力が非常に強い安倍氏の国葬は、過去最大級の弔問外交の舞台となる可能性もある」と語る。

 首相経験者の国葬は1967年の吉田茂元首相以来2回目。吉田氏の国葬を手掛けた帝都典礼のホームページによると、日本武道館で実施され、推定3万5000人が参列した。費用は当時の金額で約1800万円だが、2020年の中曽根康弘元首相の内閣・自民党の合同葬では約2億円の費用が計上された。安倍氏の国葬も同程度の費用が予想される。

 海外でも首脳経験者が国葬で見送られるケースは多い。米国では辞退したニクソン元大統領らを除き、大統領経験者には基本的に国葬が実施される。英国の国葬は王室関係者が対象だが、チャーチル元首相ら特段の功労者には例外的に執り行われてきた。

 国葬には諸外国から要人が弔問に訪れる。今年5月には、亡くなったアラブ首長国連邦(UAE)のハリファ前大統領に弔意を示すため、ジョンソン英首相やフランスのマクロン大統領、ハリス米副大統領らが駆けつけた。長期にわたり外交分野で存在感を見せてきた安倍氏には、すでに世界中の要人から弔問を希望する連絡が寄せられ外務省が対応に追われている。

 世界中から要人が集結すれば、日本は大規模な弔問外交の舞台になる。国際政治に詳しい福井県立大学の島田洋一氏は「岸田首相はG7(先進7カ国)首脳会議に続き、NATO(北大西洋条約機構)首脳会議にも参加した。自由主義圏という輪のもとで欧米諸国とアジア諸国が軍事的にも連携を強めており、その舞台が日本での弔問外交となるという見方もできる」と解説する。

 ウクライナへの侵攻を続けるロシアのプーチン大統領も安倍氏との親交が知られる。プーチン氏は安倍氏が死去した8日のうちに弔電を送っている。島田氏は「一部では安倍氏の国葬を機にロシアとウクライナの停戦を日本が仲介できるという予想もあるが、戦況次第だろう。両国にとって停戦に移ってもいいタイミングであれば1つのきっかけを担える可能性はある」とみる。

 米国からはバイデン大統領の弔問が予想されるほか、海外メディアによると安倍氏と関係が深いトランプ前大統領も葬儀への参列を検討しているという。

 島田氏は「安倍氏はオバマ政権、トランプ政権と長期にわたり首相として関係を持ち、超党派で人脈を築き上げた。バイデン氏とトランプ氏がそろって弔問する可能性は十分あるが、両者への待遇に差がつけば関係に亀裂が生じかねない。難しい判断が求められる」との見方を示した。

【私の論評】国葬は当然!国会中央広間の例の空いている台座に安倍晋三氏の銅像を設置すべき(゚д゚)!

 安倍晋三氏の国葬が決められたのは、安倍晋三氏が 歴代最長となる8年8ヶ月に渡り総理を務め、200以上の国と地域から国家元首や元国家元首などの弔問希望があり、数多の国民から国葬を希望する声があったからです。

これで国葬にしなかった場合、日本の国益というか、国内で政府の存在感が、世界では日本国の存在感が薄れるどころか、毀損されることになりかねません。

現在安倍元首相の国葬に一番困っているのは中国の習近平氏かもしれません。なぜかといえば、自由世界の各国首脳が集まる国葬の場は、安倍首相が提唱し尽力した中国包囲網を構築した国々の世界的な再結集大会になるからです。

このことからも、日本国内の一部政治家や新聞が国葬に反対する本当の思惑が分かります。

国葬に反対する自由もありますが、特に国会議員は国葬に反対するなら、反対する野党で国会の4分の1以上で国会を召集、議員の過半数を固め内閣不信任を成立させ、解散に追い込み、政権交代を果たして、中止の閣議決定をすればできます。どこまでも反対するというのなら、それなりの行動をしてください。ネットで騒いでも意味はありません。

韓国では、安倍元首相の国葬が決まり、日本で賛否あることを韓国紙が取り上げ「国葬には法的根拠がない」と批判を正当化しました。しかし岸田首相は会見で「内閣府設置法」を法的根拠と説明しました。

安倍晋三元首相の死去を1面トップで大々的に報じる9日付の韓国主要紙

岸田首相は7月14日の記者会見で、内閣府設置法において、内閣府の所掌事務として定められている「国の儀式」として、閣議決定をすれば実施可能との見解を示しました。法的根拠については、事前に内閣法制局と検討したことも強調しました。

たしかに、内閣府設置法には、所掌事務を定めた第4条第3項第33号に「国の儀式並びに内閣の行う儀式及び行事に関する事務に関すること(他省の所掌に属するものを除く。)」との規定があります。

賛否は尊重しますが、虚偽の流布はいけないです。特に安倍晋三氏国葬は、韓国には関係ないことです。

そうして、岸田政権にはこの機会に国葬の基準も決めていただきたいものです。そうすれば安倍晋三支持者が感情的に国葬を希望しているというだけではないことが、はっきりしますし、安倍晋三氏の偉業を多くの国民にも知ってもらえることになると思います。

国会議事堂中央広間にある、左から順に板垣退助、大隈重信、伊藤博文の銅像

さらに、国会議事堂内の四隅のうちの一つの空いてる例の台座の上に安倍晋三氏の銅像を建てるべきと思います。氏の功績を鑑みれば伊藤博文、大隈重信、板垣退助三傑に決して引けを取らない、と思いますので、是非内閣府には検討していただきたいです。

一つ空いている台座

これらは、1938年(明治13年)に、大日本帝国憲法発布50年を記念して設置されたものです。

しかしながら、何故か4つ目の台座には銅像が置かれていません。これは、何故なのでしょうか?

その理由については、実はよく分かっていません。4人目を人選(じんせん)できず将来に持ち越されたとも、「政治に完成はない、未完の象徴」という意味が込められているともいわれます。

また、将来この台座に収められるのにふさわしい人物が出たときのために開けてあるともいわれます。

ただ、これらの説はいずれもそれを裏付ける資料が存在しないのです。ここには、安倍晋三氏の銅像が設置されるべきものと思います。もちろん、今すぐとは、いいませんが、憲法改正がされるときがきたら、新憲法発布の日を記念して、ここに安倍晋三氏の銅像をたてていただきたいものです。

今思うと、安倍総理の銅像は、最初からここに立つ運命だったのかもしれません。

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2022年7月16日土曜日

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記帳するエマニュエル駐日大使

 安倍晋三元首相を悼む動きが広がるなか、ラーム・エマニュエル駐日米国大使の姿勢が際立っている。弔意を示すため、安倍氏の私邸や自民党本部を訪れたうえ、東京・芝公園の増上寺で行われた通夜にも参列し、ツイッターでの発信も繰り返している。日米同盟を基軸に国際社会の安定を目指した「安倍路線」を評価し、岸田文雄政権にも継承を求めているのか。

 《日本を率いる卓越した政治家、世界的なリーダー、そして米国の友人。安倍氏が語る明解な見解は、永遠に惜しまれることでしょう》《日米が共有する理念の強力な擁護者を失ってしまいました。さようなら、友よ。寂しい思いで胸がいっぱいです》

 エマニュエル氏は、安倍氏が凶弾に倒れた8日、ツイッターでこう発信した。

 10日には、都内の安倍邸を訪れ、昭恵夫人らにお悔やみの言葉を伝えた。11日には、日米財務相会談のため来日したジャネット・イエレン財務長官と増上寺での通夜に参列した。14日は自民党本部を訪れて記帳し、記者団に「見識と実行力があるリーダーだった。悲しい」と思いを語った。

 連日のように続く、弔意表明をどう見るか。

 米国政治に詳しい福井県立大学の島田洋一教授は「米国はアントニー・ブリンケン国務長官も急遽(きゅうきょ)訪日させるなど、最大級の弔意を示した。安倍氏は、共和党と民主党、それぞれの米政権を経験した。特に安全保障法制の整備で日米連携を強め、地域の安定に貢献したとして、米国内の超党派が極めて高く評価している。岸田首相にも安全保障面で、安倍氏の築いた礎を継承、発展させることが求められるのではないか」と語った。

【私の論評】岸田政権には、米国の強力な報復に抗って親中派路線を貫く意思も胆力も覚悟もない(゚д゚)!

ラーム・エマニュエル駐日大使が弔意を示すため、安倍氏の私邸や自民党本部を訪れたうえ、東京・芝公園の増上寺で行われた通夜にも参列という行動も際立っていますしアントニー・ブリンケン国務長官の急遽訪日も際立っています。


これらの行動を、安倍総理が偉大だったとか、善意によるものだけと考えることは、私にはできません。無論そういう側面はあります。しかし、元総理大臣の暗殺に対してここまでするにはそれなりの理由があると思います。

それはやはり、上の記事にもある通り、安倍元総理大臣の対米外交姿勢や、安全保障面など、安倍元総理の姿勢を継承してもらいたいという強い意思を示すためでしょう。

米国は岸田総理が所属する宏池会が、親中的であることを当然のことながら知っているでしょう。だから、日本が親中的にならないように牽制したという面は否めないでしょう。米国国務長官がわざわざ来日するということはそういうことです。そうでなければ、代理の人を派遣したと思います。

こうしたことからも、すでに昨日のブログで、「岸田家の台湾との古くからの関係や、外交では米英豪印やEU等相手があることから、いくら出身派閥に親中派が多いからといって岸田政権が大きく親中にふれることはないでしょう」と述べたように、岸田政権が極端に中国側に振れる心配はないといえるでしゃう。

そのような行動をさせないためにこそ、エマニュエル大使やブリンケン国務長官が先に述べたような行動をしたのです。

このブログではしばしば述べているように、米国と中国の真の戦場は、軍事力ではなく、経済とテクノロジーの領域であり地政学的な戦いになるのです。

地経学的な戦いとは、兵士によって他国を侵略する代わりに、投資を通じて相手国の産業を征服するというものです。経済を武器として使用するやり方は、過去においてもしばしば行われてきました。

ところが中国が特殊なのはそれを公式に宣言していることです。その典型が「中国製造2025」です。これは単なる産業育成ではなく、たとえばAIの分野に国家が莫大な投資を行うことで、他国の企業を打倒すること、そして、それによって中国政府の影響力を強めることが真の狙いなのです。

その意味で、中国は国営企業、民間企業を問わず、「地経学的戦争における国家の尖兵(せんぺい)」なのです。たとえばイギリスがアジアを侵略する際の東インド会社のような存在なのです。

中国企業がスパイ行為などにより技術の窃盗を繰り返したり、貿易のルールを平然と破ったりするのは、それがビジネスであると同時に、国家による戦争だからです。

トランプ政権になって、米国がそうした行為を厳しく咎(とが)め、制裁を行うようになったのも、それを正しく「地経学的戦争」だと認識したからであり、だからこそ政権が交代しても、対中政策は変わらなかったのです。

そうして、トランプ氏にそれをしっかりと認識させたのは安倍元総理なのです。

中国は、以前は日本を見下していました。実際に、1994 年中国の当時の李鵬首相が、オーストラリアを訪問した時に、当時の オーストラリアのジョン・ハワード首相に向かって 「い まの日本の繁栄は一時的なものであだ花です。 その繁栄を創ってきた世代の日本人がもう すぐこの世からいなくなりますから、20 年もしたら国として存在していないのではないで しょうか。 中国か韓国、 あるいは朝鮮の属国にでもなっているかもしれません」 という 発言をしました。

李鵬首相のオーストラリアでの発言

自民党がその頃のままであれば、本当にそうなったかもしれません。ところが安倍政権が誕生して以降、気がつけば日本が中国包囲網の中心になっていたのです。 安倍総理大臣が「自由で開かれたインド太平洋戦略」を2016年8月の第6回アフリカ開発会議(TICADVI)の場で提唱してから5年以上が経過し、アジア太平洋からインド洋を経て中東・アフリカに至るインド太平洋地域において、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序を実現することの重要性が、国際社会で広く共有されてきています。

トランプ大統領の任期は2017年から始まっています。トランプ大統領は選挙選の最中から中国に対峙すべきことを主張してきましたが、安倍総理と会ってからは、中国の卑劣な行いが、「地経学的戦争」だとはっきりと認識したとみられます。

日本では安倍・トランプというとゴルフぎかりが強調されるが、それだけではなかった・・・・

当時の安倍首相がこの構想を出したとき、中国はほとんど気にしていませんでした。しかし、その枠組みが目の前にでき上がってしまったということが、彼らの誤算でした。しかも「AUKUS(オーカス)」、「ファイブ・アイズ」という2つ枠組みがあり、アジアのなかでは日本だけが枠組みの一部に入るような事態も招いたともいえます。

安倍元総理は、いわば今日の対中国の世界の枠組みを構築したのであり、現在の日米英印豪、EUもその枠組の中で対中国戦略を考え実行しているのであり、その本家本元の日本が親中に傾けば、世界の枠組みが毀損されかねないわけです。それは、米国としてはとても許容できないのです。

今後も、バイデン政権は、岸田政権に対して親中に振れないように、牽制してくるでしょう。また、日本の国民も、自民党内の多くの政治家も、牽制することでしょう。こうした牽制に抗い、親中派路線を貫く意思も胆力も覚悟も、岸田政権にはありません。林外務大臣にもないでしょう。

そもそも、なぜ親中派なのかと問われても、安倍元総理のようなビジョンがあるわけでもなく、ただ宏池会の先輩がそうだったからとか、財界からの要望があるからくらいしか答えようがないし、自分が儲かるからなどとは口が裂けても言えないというのが実情だと思います。

もし、宏池会の方々に親中派としてのビジョンがあるなら公表すべきです。ただ、岸田総理が現在の世界の枠組みを崩そうとすれば、米国の強力な報復にあうことになることを肝に銘じるべきです。

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安倍晋三元首相

 安倍晋三元首相の大きな功績の一つがアベノミクスだ。

 (1)金融政策(2)財政政策(3)成長戦略という構成で、(1)と(2)がマクロ経済政策、(3)はミクロ経済政策といずれも世界標準である。特に、(1)を筆頭に掲げたのは日本史上初めてで、世界からも認知された。日本のマスコミではあまり報じられなかったが、ノーベル経済学賞受賞のポール・クルーグマン氏らも高く評価していた。

 その実績も、国民にとって最も重要な雇用の確保において、歴代政権の中でも断トツの成績だ。マクロ経済は雇用の確保のためにあると言ってもいい。

 雇用の確保は、失業率の低下と就業者数の増加で見ることができる。戦後の統計でみると、歴代政権の中で、安倍政権は失業率の低下が1・5%で第1位、就業者数の増加が400万人で第2位の実績だ。

 雇用については就業者数、正規・非正規雇用の増加、名目賃金で、民主党政権とは段違いに実績がいい。実質賃金では多少見劣りがするが、これは雇用回復期に見られる現象であり、もう少し時間があれば、雇用回復のペースから考えてもいい成績になっただろう。政策の方向性は正しかったと評価できる。

 外交・安全保障でも安倍政策は傑出していた。1次政権のころから温めていた日本、米国、オーストラリア、インドの4カ国による戦略的枠組み「クアッド」や「自由で開かれたインド太平洋」という言葉は、これからも国際政治で色あせることはないだろう。

 筆者は、財務省が財政データに基づかずに財政危機をあおってきたことを長年主張してきたが、最近これに賛同する政治家が増えつつある。いつかは、安倍元首相のように財務省をも説得できる政治家が出てくることを期待したい。

 現下の経済情勢で、円安是正のために金融引き締めすべきだとの意見も出始めている。出所の多くは市場変動でひと山当てたい市場関係者で、日本経済を考えたものとはいえない。

 もし金融引き締めすれば、たしかに円高になるだろう。しかし、円安で日本の国内総生産(GDP)が増大するというメリットが失われる。それは、GDPを減少させ、いま30兆円程度あるGDPギャップ(総需要と総供給の差)をさらに拡大させ、雇用を失わせるだろう。いまデフレから脱却しつつあるが、再びデフレに逆戻りしかねない。

 さらに、財務省がひそかにたくらむ「コロナ増税」もGDP減少要因となる。コロナ対策は、安倍元首相のいう「政府・日銀の連合軍」で実行された。発行された100兆円は最終的には日銀が保有しているので、償還負担も利払い負担もない。これを安倍元首相は、「日銀は子会社のようなもの」と比喩したが、その部分だけがマスコミで批判され、安倍元首相が言いたかった肝心要の「債務負担も利払い負担もない」はすり替えられた。安倍元首相の発言を否定したのは財務省であり、コロナ増税の思惑が見え隠れしている。

 1990年代以降、日本のGDP(および給料)が増えなかったのは、日本全体のマネー不足だ。これは、世界の中でも日本のマネー伸び率は極端に低いためで、マネー伸び率と経済成長率との間に一定の相関があることからもわかる。

 その原因は、日銀の金融引き締めすぎと財務省の財政引き締めすぎである。アベノミクスを継承しないと、金融と財政の引き締めが復活して、日本は新たに失われた時代になるだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】真の安倍晋三の後継者が成し遂げるべき困難な仕事とは(゚д゚)!

上の髙橋洋一氏のアベノミックスは、(1)金融政策(2)財政政策(3)成長戦略という構成で、(1)と(2)がマクロ経済政策、(3)はミクロ経済政策といずれも世界標準であるという指摘は全く正しいです。

そうして経済対策としては、景気が悪ければ、金融緩和と積極財政を行い、景気が加熱すれば、金融引締と、緊縮財政を行うというのは世界標準である上に、すでに原理原則と言って良いです。これ以外のことを実行して成功した国は古今東西にありません。高校の政治経済の教科書にもこの原理原則は述べらています。

また、世界中の標準的なマクロ経済の教科書にも、私が知る限りではそう書かれています。そうではない教科書があるのをご存知の方は是非教えて下さい。

それについては、以前このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
金融緩和への奇妙な反対論 マスコミではいまだ「日銀理論」の信奉者、デフレの責任回避の背景も―【私の論評】財政・金融政策は意見ではなく、原理原則を実体経済に適用することで実行されるべきもの(゚д゚)!

日銀

原理原則とは誰もが単純に理解できるものでなければ、原理原則になり得ません。ただし、原理原則が成立するまでには、科学的検証はもとより、様々な経験や失敗があり、その上に原理原則が成立し、高校や大学の教科書などにも記載されているのです。

そうして、財政政策の原理原則も簡単です。景気が悪ければ、積極財政と金融緩和を、景気が良ければ、緊縮財政と金融引締をするというものです。

そうして、景気の状況を見分ける原理原則も簡単です。一番重要なのは、失業率です。たとえば、景気が悪い時には失業率があがります。そうなれば、積極財政や金融緩和を行います。それで失業率が下がり始めますが、ある時点になれば、積極財政や金融緩和をしても、物価は上がるものの、失業率は下がらなくなります。その時点になったことが、はっきりすれば、積極財政や金融緩和をやめれば良いのです。

反対に景気が過熱してはっきりとしたインフレ状況の場合は、緊縮財政、金融引締を行います。そうすると、物価が下がり始めます、しかしこれも継続していると、やかで物価は下がらず、失業率が上がっていく状況になります。そうなれば、緊縮財政、金融引締をやめます。
現在では、これは誰にでも理解できると思います。 ただ世界恐慌(1929年に始まり、1930年代後半まで)の時にはこれが理解されていなかったようです。1990年代の研究で、世界恐慌の原因はデフレであったことが明らかになっています。

その後世界では、ケインズをはじめ様々な経済学者により、先程述べたような経済対策の原理原則を樹立して今日に至っています。

その意味では、アベノミックスは原理原則に基づいた経済政策であり、何も新しいことはありません。ただし、失われた30年のさなかにあった日本でそれを実行したことが素晴らしいと評価されているのです。


そうして、安倍元総理があげた(2)財政政策は、当然のことなが積極財政を貫くつもりであったでしょう。しかし、実際には総理在籍中に2度の消費税増税見送りはしたものの、結局2度も消費税増税をして、現在消費税率は10%です。これは、計算が楽で、計算が得意な日本人なら、100円のものを買うなら消費税は10円であるとすぐに計算できてしまいます。

このような消費増税を安倍元総理は決してしたくはなかったでしょう。1回目の消費増税のときも、大勢のエコノミストと呼ばれるような人たちは「増税しても大丈夫だ、影響は軽微だ」と言っていました。

上の記事を書いた高橋洋一氏が、当時の安倍総理に「あれは嘘だったでしょう」と言ったら、「そうだったね」と語っていたそうです。それでも2回目の消費税増税を実施したわけですが。「三党合意があってどうしようもないのだ」ということを言っていたそうです。それと、「自民党のなかには増税派がたくさんいるので大変なのだ」ということも言っていたそうです。

この2回の増税は、安倍総理の最大の心残りだったと思います。

岸田首相

岸田首相は(自民党総裁)は10日夜の報道番組で以下のような発言をしています。

 安倍元首相に改めて哀悼の誠をささげたい。民主主義の基盤である選挙の有りようが問われている。多くの皆さんに協力をいただき、選挙を完結できたことは、大きな意味がある。民主主義を守るためにも引き続き努力を続けていきたい。

 新型コロナウイルス、価格高騰対策など大きな課題に取り組んだ上で、経済再生に向けて努力をしていく。

 新規感染者の数は増えているが、病床使用率は低水準で推移している。医療提供体制は維持したまま、一歩一歩、経済・社会活動を動かしていく。平時への移行を進めていく。新たな行動制限は今、考えていない。

 多くの国民が物価高騰に大きな関心を持っている。政府が責任を持って、エネルギー価格と食料価格の高騰に対してピンポイントで政策を用意する。賃金の引き上げも進めていく。この二つをセットで行う。

 憲法改正について、自民党が提案するたたき台素案は、現代的な喫緊の課題だ。国民の理解を得るため、国会で議論を深め、発議できる案をまとめる努力に集中したい。(憲法改正の国会発議に必要な)3分の2を集約できるよう努力したい。

 防衛費に関しては、対GDP(国内総生産)比2%という数字を念頭に置きながら、5年間で充実していく。まずは国民の命や暮らしを守るために何が必要なのかを明らかにし、積み上げていく。年末にかけて必要な予算を確保する。
岸田首相は14日の記者会見で、原発の再稼働について、萩生田光一経済産業相に対し、最大9基の稼働を進め、国内の電力消費量の約1割に相当する分を確保するよう指示したことを明らかにした。また、今夏の節電については「全国で10以上の火力発電所の運転が次々と再開し、電力の安定供給を確保する見通しが立った。熱中症も懸念されるこの夏は、無理な節電をせず、クーラーを上手に使いながら、乗り越えていただきたい」と呼びかけました。

演説中に銃で撃たれて亡くなった安倍元総理大臣について、岸田総理大臣は、歴代最長の期間、総理大臣の重責を担い、内政・外交で大きな実績を残したなどとして、ことしの秋に国葬を行う方針を表明しました。

さらに、外交や安全保障については、宏池会が親中派が多いということで、心配する方も多いですが、台湾の地元メディア「聯合新聞網」によると、岸田氏の曽祖父・岸田幾太郎氏は1895年から1899年にかけて基隆市を開発。「信二路義二路口で『岸田呉服店』と『岸田喫茶部』を経営し、ビクトリア調の優雅な外観が幸いにも保存され、基隆の発展の一端を担った」といいます。また当時の地図には「岸田呉服店」「岸田喫茶部」と掲載されていました。

このような岸田家と台湾の関係や、外交では米英豪印やEU等相手があることから、いくら出身派閥に親中派が多いからといって岸田政権が大きく親中にふれることはないでしょう。

ただ、岸田家は財務省との関係も深いです。

検討使と揶揄されていた、岸田首相なのですが、覚醒しつつあるのでしょうか。岸田総理も安倍総理のように財務省の意向を跳ね返すことは難しいでしょう。

安倍元総理の最大の心残りを解消するためには、財務省と対峙するだけではなく、財務省の力を削ぐしかありません。それには妙案があります。それは以前このブログにも掲載したことがあります。これは髙橋洋一氏が提唱していた方式です。それを以下に再掲します。
海外には政府の各省庁の分掌を設置法で決めているところはなく、概ね束ね政令方式が普通です。財務省(官僚全般)の大弱点は、いまやってる仕事をほかの役所に割り振られることです。そうなると、省益の追求はかなりしにくくなります。

たとえば税部門の仕事を歳入庁をつくって、歳入庁は内閣府の下にするとか。主計局の仕事でも、それを内閣府の下にするという方式です。

ただ、それで固定するというのではなく、その時々で、政令でそれを実行する方式です。

これは、非常に良い考え方だと思います。ただ、財務省はこれに当然反対し、恐ろしい勢いで、政治家を殺す(もちろん本当に殺すわけではなく実質的に政治生命を絶つなどのこと)勢いで挑んでくるのは間違いないので、すぐにできることではないですが、髙橋洋一氏は、今ではないもののいずれ政治家が挑んでも良いのではないかと語っています。
これに誰か挑戦していただきたいものです。そうして、それが本当の安倍氏への弔い合戦になると思います。参院選を安倍氏の弔い合戦とした人たちもいますが、これは弔い合戦とはいえないと思います。

故人がなそうとしてもできなかったことを実施することこそが、本当の弔い合戦になると思います。

そうして、これは壮絶な戦いになるはずです。財務省はありとあらゆるやり方で、妨害してくるでしょう。これをやりはじめた政治家の政治生命を絶つように動くでしょう。あの前川喜平が文部次官だったときの抵抗よりも、100倍、1000倍の抵抗にあうでしょう。多くの自民党の政治家も、マスコミも、識者をも敵にまわすことになるかもしれません。防衛費を、対GDP(国内総生産)比2%にすることがその前哨戦になるかもしれません。

私は、この最も難しい仕事にチャレンジし、やり遂げる人こそ、真の安倍晋三の後継者になるだろうと思います。ただ、これをいずれ誰かがやり遂げなければ、いずれ日本経済はかなり低迷し、日本人の賃金はいずれ名目賃金でも韓国・台湾以下になり、安全保障、外交どころではなくなりますし、憲法を改正したとしても無意味になると思います。

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