検索キーワード「NPO」に一致する投稿を日付順に表示しています。 関連性の高い順 すべての投稿を表示
検索キーワード「NPO」に一致する投稿を日付順に表示しています。 関連性の高い順 すべての投稿を表示

2017年3月12日日曜日

大人気の「ふるさと納税」、激化する競争に官僚が猛反対するワケ―【私の論評】悪しき「似非財政民主主義」の罠を断て!「ふるさと納税」はその端緒(゚д゚)!


総務省 ふるさと納税 ポータルサイトに掲載されている写真 写真はブログ管理人挿入以下同じ

     官僚が猛反対するワケ
簡単な手続きで豪華な特産品がもらえることから、平成27年度には約130万人が利用した「ふるさと納税」だが、ここへきて人気の過熱に否定的な声が上がっている。

まず指摘されているのは、ふるさと納税の納税額が増えるにともなって、東京都をはじめ都市部の自治体の税収が減っていることだ。また、返礼品の競争が過剰になっている点についても是正が必要だと批判されているのだが、果たしてこれらの議論は妥当なのか。

そもそも、ふるさと納税が創設されたのは、'07年、第一次安倍政権のときで、菅義偉総務大臣(当時)の発案によるものである。自分で選んだ自治体に「寄付」すると、その額に応じて一定の住民税が控除される仕組みだ。

この制度の画期的なメリットは、税額控除の仕組みに寄付金の制度がともなっていることにある。つまり、税の使い方を国民みずからが事実上選ぶことができる。それは言うまでもなく、これまでの「官僚の理屈」から考えればあり得ないこと。

彼らは自分で税を徴収し、配分するのが「公正」であると考えてきた。実際、ふるさと納税が創設されるとき、官僚は猛反対していたほどである。

実は当初の制度では、納税額に対して返礼品を送る制度はなく、むしろあまり話題に上がらないようなシステムだった。ところが、返礼品を導入する自治体が増えるにつれ、徐々に人気と競争が過熱していったという経緯がある。

日本の税政上、都市部に集中した税収を地方に再分配するのは至難の業だ。だから国民による自主的な配分を促すことができるふるさと納税は、地方自治体の活発な運営にうってつけの制度である。

実際、都市部の自治体の税収が減っているのは、主導した菅氏の目論見どおりで、多数の政治家や官僚のエゴにとらわれずに再分配を進めることができたといえる。

    「足による投票」

問題となっている返礼品であるが、上限を設けるべきかどうかは慎重に検討すべきだ。たしかに自治体が赤字を出してまで、高額な返礼品を用意する必要はない。

だが、全体を見たときに「過剰」な競争かといえば、そうとも言い切れない。自治体間の競争を促す立場に立てば、過剰な「規制」もまた悪になるからだ。返礼品競争を悪と見る官僚が多いのも事実だが、それも結局、官僚による配分のほうが絶対に正しいという前提が彼らのハラの中にはある。

実際には、官僚による配分には「不正」があることを考えれば、官僚主導による規制よりも自治体間の競争のほうがまだマシ、という理屈が立つ。

社会学ではチャールズ・チボーの「足による投票」という言葉がある。好ましい行政サービスを提供する自治体に住民が移動すれば、自治体の財政収入が上がり、必然的にそうした自治体が生き残るという考え方である。

ふるさと納税においては、実際に移転しなくても財政の移動を促進し、好ましい行政サービスを実施する自治体を応援することができる。いうなれば、自治体の競争を実質的な住民移動で促せるのだ。

ふるさと納税のような「足による投票」は、住民に望ましい首長を選挙で選ぶ「手による投票」とともに、よりよい自治体運営を目指すためには不可欠な考え方なのだ。

『週刊現代』2017年3月18日号より

【私の論評】悪しき「似非財政民主主義」の罠を断て!「ふるさと納税」はその端緒(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事で、役人に関して"彼らは自分で税を徴収し、配分するのが「公正」であると考えてきた。実際、ふるさと納税が創設されるとき、官僚は猛反対していたほどである"と掲載されています。

この役人の考えの根拠となっているものに財政民主主義があります。

かつては、強制的に徴収された税は王室の私的目的に利用されていたが、そのことへの民衆の反発が革命をもたらし、課税権ならびに支出の決定権が国王から議会へと移されることとなりました。

このような歴史的な経緯から、財政民主主義とは、いかなる社会的ニーズをどのような財源で充足するかという問題に対して、国民ないしその代表である議会が主体となって決定をおこなうとする原則です。

「財政にこそ民主主義があらわれる」といわれるのもこのような理由からです。この原則は憲法において明文化されており、国民の代表が議会で内閣の提出する予算案を審議、承認し、歳出と歳入の内容を監視するという建て前になっています。

しかしながら、わが国の場合、議会ではなく財務省による財政統制が強い影響力を持っており、国民の意見がどのように財政運営に反映されているか、国民がどの程度予算の内容を監視できるかという観点から、財政民主主義の形骸化がたびたび指摘されています。

以下に、日本国憲法において財政民主主義がどのように規定されているか、掲載します。

国家が運営されていくには、膨大な資金が必要であることは言うまでもありません。

その膨大な資金を、どのように集め、どのように管理し、どのように使っていくのか、そのあたりの国の運営資金の規定が、日本国憲法の第7章の「財政」、83条から91条までに定められています。

ここの財政の章で規定されていることでまず抑えておかなければならないのは、
財政民主主義(83条)という概念です。

これが日本の国家財政を語る上での大原則になってきます。
そして、この財政民主主義の考え方を、
歳入面では租税法律主義(84条)、歳出面では国費支出議決主義(85条)と定めています。

日本国憲法は、国家財政において、この3つを基本原則として規定しています。

財政民主主義(83条)

「財政」とは、国家が使う費用について、その資金を徴収し予算を組んで配分し、
実際に支出するまでの一連の流れのことをいいます。

これらの資金は、国民から徴収し、直接的にも間接的にも国家国民のために支出するわけです。国民からしたら、どのように徴収され、どのように予算として組まれ、ちゃんと支出されたのかは重要な関心事となるわけです。

そこで憲法は、この財政に関して、国民の民主的コントロールが直接及ぶ議会にて決めさせる規定を置きました。

実際に予算を執行していくのは行政(内閣)ですが、国家機関のうち、民主主義機関といえる国会に財政を委ねるというのは、国民主権における民主主義の観点からも当然の帰結といえるでしょう。

これを「財政民主主義(83条)」といいます。

83条
国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。
しかし、日本におけるこの財政民主主義は、議会ではなく財務省による財政統制が強い影響力を持っており、国民の意見がどのように財政運営に反映されているか、国民がどの程度予算の内容を監視できるかという観点からは形骸化しています。

私は、このブログでは過去において、財務省などの官僚が財政民主主義的立場から、寄付金制度に対して積極的ではないことに対して批判をしてきました。最近では、あまり掲載しなくなりましたが、いっときはかなり頻繁に掲載していたことがあります。

その典型的な記事のリンクを以下に掲載します。
「国民全体の問題」=「赤ちゃんポスト」検証会議座長が会見-熊本・・・・・赤ちゃんポストの問題は実は財務省・事業仕分けにまでつながる!?
2009年にも話題となっていた熊本の赤ちゃんポスト
この記事は、2009年11月26日のものです。当時はブログをはじめてあまり月日がたっていなかったので、記事にまとまりがなく、長文になっています。この記事は、当時国内で問題になっていた赤ちゃんポストに関してのべ、私の論評として、このような問題には、本来NPOが本格的に取り組むべきであるのに、日本では寄付金文化が定着しておらず、それがこの種の社会事業の限界となっていることに対する批判を掲載しました。

以下に一部分を引用します。
■NPO(非営利企業)が活動できる土壌を醸成する必要がある  
こういった、大きな社会問題、日本の場合は、ここで行き止まりになってしまいます。八方塞になってしまいます。そのために、多くの人々が閉塞感にさいなまされています。こういった、大きいな社会問題に対処するには、やはり、それを解決することを人生の目標、目的とする社会問題の専門家が必要です。専門家といっても、学者が必要といっているのではありません。

たとえば、社会学者などの学者は、社会問題を的確に捉えることには、役に立ちます。それは、それで立派なことです。十分学者としての使命を果たしていると思います。しかし、それを具体的に解決することは無理です。せいぜいできることは提言です。上の記事にで掲載してあるような人々は、結局、集会や会議を開いて、この問題の重要性を訴えたり、何とかしようと呼びかけたりするだけです。結局善意だけでは何もできないのです、無論それだけでも意義のあることですが、これだけだと具体的な解決に至る可能性はかなり低くなります。

であれば、この問題は永遠に解決できないのでしょうか?そんなことは、ないと思います。欧米などでは、核家族制度の歴史が古いです。そのため、社会の中にこれらに対応するシステムが構築されています。それは、主に、NPOという組織であり、少数の有給の正規職員と、多数のボランティアで運営されています。結婚前のお付き合いの仕方から、結婚から出産まで、その後の夫婦生活から、倫理観まで懇切丁寧にアドバイスなどしてくれたり、場合によっては、雇用なども絡む多数のプログラムの中からいろいろな問題を解決する糸口を提供してもらえたり、場合によっては資金も提供してもらえます。それも、地域に密着したNPOが多いため、地域性についてもかなり柔軟に対応しています。

こうした問題の解消も、欧米ではNPOが解決に取り組む、社会事業(ビジネス)という位置づけです。欧米では、このような社会事業に取り組むことも、ビジネスと呼び、営利事業をするのと何も変わらず、真摯な態度で、シビアにことを進めます。間違っても、善意だけでことを運ぼうとはしません。日本と違い、資金も、人手も多数使います。善意だけでは何もできないし、何も変わりません。違うのは、営利事業では成果の尺度が、経済的なものですが、非営利事業では社会的使命を遂行することということだけです。

日本にも、最近ようやっと、社会事業の芽が生えてきたところです。社会事業家、社会起業家が社会問題に熱心に取り組み、社会問題の解決の糸口をつかんだり、実際に解決したりしています。この社会事業家が事業をするためには、日本でもNPO(非営利企業)という組織を設立して実施するのが普通です。そうすることによって、社会的にも認知され、国からも補助金を受けられます。しかし、彼らが行っているのは、まだまだ小さなことばかりです。無論小さなことを解決するにも意義があり、それだけでも大変なことです。しかし、小さなことばかりしているのは、日本の社会事業家がやる気がないとか、能力がないということではありません。実は、日本には、彼らが自由に活発に動き回れるようにな土壌が醸成されていないのです。

なぜ醸成されていなかについては、このブログでも何回も述べてきていますが、その第一は、まずは政府から補助金がスズメの涙であるということです。そのため、多くのNPOは、ギリギリの予算でようやっと成り立っているというのが実情です。今年の1月に、NPO法人彩経会(高桑五郎理事長)では、多くの行き場のないご老人が火災のためになくなってしまいました。しかし、このNPO法人その後も存続しています。明らかに必要な施設でもあるにも関わらず、結局は資金不足でこのような結果を招いてしまったようです。このようなNPOを運営するためには、ある程度の資金が必要です。しかし、政府の補助金だけではなかなか成り立たないというのも真実です。

さらに、悪いことには、日本には、海外ではNPOの活動資金の源泉ともなっている寄付の文化がありません。なぜ寄付の文化が根付いていないかというと、何も、寄付金の文化が根付いてる、アメリカやイギリスのお金持ちが善意に満ち溢れていて、日本のお金持ちがケチで血も涙もないというわけではなく、日本では、NPOに寄付したからといって税制上の優遇措置を受けられないという重大な問題があるからです。アメリカやイギリスなどでは、普通になっている税制上の優遇措置が日本では税制化されていないのです。アメリカでは、NPOに税制上の優遇措置があるとか、政府から補助金が大きいなどで、アメリカ全国のNPOの年間の歳入は、なんと、アメリカの国家予算に匹敵するほどの額になっています。

なぜ日本だけが、そのようになっていないかというと、その根本原因は、実は財務省にまでさかのぼります。これは、以前のブログにも掲載しましたので、詳しくは、そちらを見ていただくとして、かいつまんで述べます。実は、財務省にはいわゆる「財政民主主義」という考えがあって、NPOなどにたくさんの資金が集まることは、「財政民主主義」趣旨からするとよろしくないことだそうです。しかし、寄付金が多く集まるということは、当該NPOが民意を反映したことをしていることを意味しているのではないかと思います。そんなことをいいながら、財務省は、資金配分をして多くの要りもしない、独立法人や、天下り官僚に資金配分をしているではありませんか。多くの埋蔵金を生み出しているではありませんか!!これは、正しい意味での「財政民主主義」ではなく、一部の財務高級官僚がつくりだしてる「似非財政民主主義」ではありませんか?
上記でも述べているように、日本では、寄付金文化が根付かない根本的な原因は、財務官僚などによる「似非財政民主主義」によるものです。この「似非財政民主主義」が日本では寄付金文化の定着を阻害し、そうして官僚が「ふるさと納税」に猛反対する理由です。

ちなみに、ふるさと納税の法源は地方税法第37条の2にあります。これは2008年4月30日に公布された「地方税法等の一部を改正する法律」(平成20年法律第21号)によります。第37条の3中「前2条」を「前3条」に改め、同条を第37条の4とし、第37条の2中「前条」を「前2条」に改め、同条を第37条の3とし、第37条の次に次の1条を加える、と定め、従前の地方税法に「(寄附金税額控除)」、第37条の2を挿入しました。第37条の2はその後平成23年法律第83号により改正され現在に至っています。

「ふるさと納税」は、国会で正式に審議されて、制定されたものであり、まさに国民の代表である議会が主体となって決定をおこなったものであり、これこそ財政民主主義的手続きを経て実行されているものです。

北海道妹背牛(もせうち)町の「ふるさと納税」返礼品
これに対して、国民の代表でもない官僚が猛反対するのは、全くの筋違いであり、国民から反対の声が大きくあがっているというのならともかく、大人気なのに、これに大反対するというのであれば、これは明らかに財政民主主義に対する挑戦です。

官僚は国民から信託を受けているわけではないのです。本来国民の信託を受けた政府の下請け的な存在でしかないのです。であれば、ふるさと納税に猛反対するということは、分不相応な思い上がり以外の何ものでもありません。

この思い上がりは、2014年春からの消費税増税を決定する際にも遺憾なく発揮されました。大規模な財務省による増税キャンペーンにより、マスコミ、政治家、識者などのほとんどがこれに賛同し、増税による日本経済への悪影響は警備などというまやかしに乗って、結局増税が実施されたため、日本経済はいまだ十分に回復していません。

この記事を書いたときは、2009年であり、デフレの真っ只中の時代でした。こういう時には、本来なら大規模な金融緩和と大規模な積極財政を実行して、デフレから速やかに脱出すべきでした。

当時、あまりマクロ経済に詳しくなかった私は、とにかく財政にばかり目が向いていて、大規模な金融緩和に踏み切るべきという考えには至ってはいませんでしたが、増税には大反対でした。

そうして、デフレの真っ只中であるにもかかわらず、増税するなどという愚かなことをするのは、絶対に間違いであり、なぜ官僚がそのようなことを主張するのかといえば、その根底には「ふるさと納税」の税控除の基礎ともなっている寄付や「NPO」に対する寄付などは、財政民主主義の立場から間違いであるという考えが根底にあるためであったのだと思います。

とにかく、自分たちの手を経ないで、寄付をされるということに官僚は反対なのです。これこそ、本来の財政民主主義に対する傲慢な挑戦以外のなにものでもありません。

歴史的にいえば、強制的に徴収された税は王室の私的目的に利用されていたが、そのことへの民衆の反発が革命をもたらし、課税権ならびに支出の決定権が国王から議会へと移されることとなったわけなのですが、官僚の寄付金への反発は、「税を王室の指摘目的」に使うというこの「王室」の立場を自分たちが担いたいという主張をしているに過ぎません。

さて、今の日本では「ふるさと納税」という形で、自治体への寄付金が国民の代表である議会が主体となって決定され行われ、それが現在定着しているわけです。もうそろそろ、国民が主体となって実施するNPOへの寄付が本来の財政民主主義の手続きへて、欧米なみに実施できるる素地をつくる段階に来ていると思います。

たとえば、「保育園」などの運用も、入札制度によりシンクタンクなどのNPO(もしくはNGO)が制度設計をしたうえで、適当な地域に区切った地域のNPOが実行計画を立案して、運用していくようにしたほうが、行政が直接実行よりもはるかに良い成果を出すことができます。

実際、米国などでは、たとえば地域のNPOが貧困層住宅を提供するだけではなく、サブプライムローンで、投資銀行が大失敗していたような時期においても、職業訓練をも含む包括的なブログラムを提供して大成功をおさめていました。無論米国には、このようなことを実施してさえ、貧困問題を解消できなかったのですが、もしこのようなことが実施されてなかったとしたら、事態はさらに深刻なものになっていたことでしょう。

米国では、地域の銀行や建設会社がNPOに属していて、他の様々な専門家と、NPOの職員が協力して、貧困対策として、住宅の提供、職業訓練、就職活動を含む包括的なプログラムを実行したりして、大規模な社会事業が根付いています。

日本のように、社会事業やNPOといういうと、奇特な人たちが手弁当で行う事業というような認識しかないようですが、これも寄付金文化が根付いていないが故の認識だと思います。

しかし、本来は日本にだって、まともなNPOや社会事業が必要なのです。少し前に話題となった、「保育園」などの運用は、一般の人が思っているよりははるかに難しいです。しかも、地域に応じて様々なパターンがあり、それこそ、役人では運用計画を立案するのは帯に短し襷に長しで非常に無理があります。こういう仕事こそ、地域のNPOに実行させるべきです。

「保育園」の運用に限らず、このような様々な社会事業を適切に遂行するには、行政だけでは困難なのです。本来は、民進党などの野党がこのようなことを考え、国会で提案すべきなのですが、彼らはそのようなことに興味がなく、安倍政権を糾弾することのみに、集中しています。

このような状況では、せっかく金融緩和策等で経済が良くなったにしても、地域における社会問題は放置されることになってしまいかねません。つい最近までは、とにかくデフレを脱却しなければ、NPOどころではないということで、このブログでもNPOに関する話題はほとんど掲載しなくなりましたが、経済が良くなればまた掲載していこうと思います。

このブログでは、過去にNPOに寄付金を欧米並みにできるようにすべきことを主張していました。そうして、私自身過去には、自分の会社でNPOを設立して社会事業に本格的に挑戦しようと本気で考えたこともあるのですが、それと同時期にデフレがかなり進行したので不可能であると考えて断念したという経緯もあります。

しかし、官僚はこのような考え方に対してはあくまで彼らの「似非財政民主主義の立場」から絶対に反対しつづけるでしょう。しかし、いずれ悪しき「似非財政民主主義」の軛は完璧に絶たれるべきなのです。そうして、「ふるさと納税」はその端緒となっているのです。

【関連記事】





2017年3月2日木曜日

【阿比留瑠比の極言御免】民進党が旧民主党時代から投げ続けてやまない「ブーメラン現象」の研究―【私の論評】脱力感炸裂の今の民進党の救世主は馬淵氏だけ(゚д゚)!


参院予算委員会で民進党の小川敏夫氏(右)の質問に答弁する安倍晋三首相
=2月28日午後、参院第1委員会質
住んでいる自治体の運動公園の行事で、子供と一緒にブーメラン競技の体験教室に参加したことがある。かなたへと投じたブーメランが、きれいな弧を描いて自分の元に返ってくるのは確かに気持ちがよいものだった。民進党は、まるでこの快感のとりことなっているかのようである。

 2月27日の衆院予算委員会では大西健介氏が、28日の参院予算委では小川敏夫氏がそれぞれ、独特な保守色が注目されている学校法人「森友学園」をめぐり、安倍晋三政権との密接な関係を印象付けようと追及した。ところが、ともに民主党(現民進党)時代にも同様の関わりがあったことを指摘されて自爆した。

 これらは、本紙既報のため詳述は避けるが、いずれもお手本にしたいような正確なブーメランだった。相手への攻撃が寸分違わず自分に跳ね返る姿には、一種の様式美すら感じた。

 今や民進党といえば、ブーメラン現象を思い浮かべる人も少なくないことだろう。それにしても、事前に少しでも調べていれば誰でも分かることなのに、どうしてわざわざブーメランを投げようとするのか。何かやむにやまれぬ動機や理由はあるのだろうか-。

日本維新の会の足立康史衆院議員 写真はブログ管理人挿入以下同じ
 この点について、日本維新の会の足立康史衆院議員が以前、自身のブログで整理していたので紹介したい。足立氏によると、民進党議員のブーメランには、(1)反射型(2)指令型(3)信念型-の3つの類型がある。

 (1)は当人が深く考えずにその場の都合で反射的に口にするもので、(2)は当人の意向にかかわらず上からの指令でやっているもの、(3)は当人の思想・信条、強固な思い込みや勘違いなどによるものだろう。足立氏は、ほとんど無意味な(1)や(2)に比べ(3)は「反面教師くらいにはなりそう」と皮肉っている。

 また、ジャーナリストの山村明義氏は新著『日本をダメにするリベラルの正体』の中で、足立氏の言う「反射型ブーメラン」についてこう分析している。

 「リベラルな議員特有のもので、その特徴は、『過去をいつの間にか忘れる』というもの」

 「リベラル主義者は、その理念として常に『進歩主義』でなければならず、自分の歴史や過去を振り返ってはいけない、という先入観があるよう」

 確かに、民進党議員の国会質問を見ていると、3年3カ月にわたる民主党政権の失政への反省はほとんどみられない。国会では、政府側が「その政策判断は民主党政権時代のものだ」と指摘すると、堂々と「(今は)民進党だ」と反論する議員も見受けるほどだ。

 こういう議員らには、相手は「悪」「邪」だが、自分たちは「正義」「善」だという根拠のない決め付けがあるように思える。正義はわれにあるのだから、何を言っても許されるとばかりに相手のすべてを否定しようとするから、自分自身の過去の言動と矛盾してしまうのではないか。

 筆者が初めて署名記事で民主党に関しブーメランという言葉を用いたのは平成22年5月、当時の鳩山由紀夫首相に対してだった。

 「何か本質的な間違いというか、本質的な考え方がどうも違う。それが結果として表面的な失言につながっているのではないか」

 鳩山氏が20年11月に、麻生太郎首相(当時)に浴びせたこんな言葉を引いて、「見事なブーメランとなって跳ね返っている」と書いたのだった。あの時からもう7年近くたつが、この党は変わらない。

(論説委員兼政治部編集委員)

【私の論評】脱力感炸裂の今の民進党の救世主は馬淵氏だけ(゚д゚)!

何やら、最近の民進党はさらにグタグタぶりが、さらに加速したようです。これについては、前から一度このブログにも掲載しようとも思ったのですが、あまりのグタグタぶりに、なんというかゲンナリして、疲れてしまい、掲載しませんでした。

本日のブログ冒頭の記事、かなりよくまとまっていて、グタグタぶりがわかりやすく整理されていたので、本日はやっと掲載するつもりになることができました。

上の阿比留瑠比氏の指摘以外にも、最近の酷い民進党のグタグタぶりの事例があります。以下三つほどその事例をあげておきましょう。

まず第一は、大阪府が私学設置基準を緩和したときは、安倍政権の時ではなく、民主党の野田政権のときです。だから、民進党は、本当に基本的な事実の確認もできないで、とりあえず安倍政権を批判したいのです。


さて、上の写真はある方のブログから転用したものです。おそらく、最近の新聞のものだと思われますが、この記事には"しかし、12年4月、松井知事は突然「借り入れありの幼稚園」にも小学校参入の目とを開く・・・・"という下りがあります。

12年4月というと、確かに民主党野田政権時です。このまま追求を続けていくと、民進党は当時総理だった野田幹事長を追求しなければならなくなるかもしれません。まさに、大ブーメランです。

最初からこのようなことは分かつていますから、だから森友学園問題は、民進党議員が問題にしても、マスコミが問題にしても、いっこうにつまらなく、聞いていると、脱力感を感じるだけです。

次に、二つ目。衆院予算委員会の野党筆頭理事を務める民進党の長妻昭元厚生労働相が、ツイッターで「国会で追及してほしいことをお寄せください」と呼びかけました。ところが、ネットユーザーからは、民進党のあんな疑惑やこんな不祥事の“追及”を求める声が相次いで寄せられたのです。

衆院予算委員会で質問する民進党の長妻昭理事
1日のツイッターでの呼びかけに対しては、蓮舫代表の「二重国籍」問題や、“ガソリーヌ”こと山尾志桜里前政調会長の政治資金問題、後藤祐一衆院議員の防衛省職員への暴言問題など民進党議員の疑惑や不祥事を追及のテーマに据えるよう求める意見がまたたく間に集まりました。

女性をラブホテルに強引に連れ込もうとしたと「週刊新潮」に報じられ党青年局長を辞任した初鹿明博衆院議員や、旧民主党時代、国会の審議時間中に自民党の女性議員を投げ飛ばした津田弥太郎参院議員(すでに政界引退)の名も挙がりました。

当然のことながら、ツイッターなどのSNSは、不特定多数の人々が見ているものです。こういう結果になることを長妻氏は予測できなかったのでしょうか。できなかったとすれば、あまりにお粗末です。

蓮舫氏
最後は、連邦代表の動向です。参院予算委員会は2日、平成29年度予算案に関する3日間の基本的質疑を終える。野党第一党・民進党の質問時間は1日で全て終わったのですが、参院きっての論客であるはずの蓮舫代表がバッターとして立つことはありませんでした。

予算委で論戦が交わされた1日午後、蓮舫氏の姿は国会近くの民進党本部にありました。

「官では届かないサポートが必要な方々がいる」

NPO法人関係者と意見交換し、共生社会実現への意気込みを語った蓮舫氏ですが、国会論戦の主要テーマへの言及はありませんでした。

1月末の参院予算委で行われた28年度第3次補正予算案に関する質疑では、蓮舫氏は民進党のトップバッターを務め、稲田朋美防衛相らに舌鋒鋭く厳しい質問を浴びせて存在感をアピールしました。にもかかわらず、本予算案の論戦に姿を見せないことは非常に不自然です。

この1カ月間で蓮舫氏は党内での求心力を低下させました。次期衆院選公約の目玉にしようとした「2030年原発ゼロ」方針に支持団体の連合が猛反発。連合傘下の電力総連からは、党公認候補の推薦見送りまでちらつかされ、3月12日の党大会で表明する構想は断念に追い込まれました。


調整力不足が白日の下にさらされ、持ち味であるはずの「発信力」も空回りするばかりでした。原発政策に関する議論が行われた2月22日の党会合では、党側が報道陣に「蓮舫氏の写真撮影“NG”」を言い渡す場面もありました。表舞台で華やかに舌鋒鋭く対外発信を続けるより、まず地道に党内や支持団体の基盤固めをすべきでした。

私は、現在の民進党は大嫌いですが、それでも野党第一党としての本来の役割を果たすべきと思っています。

今の民進党は、まともな経済論議も、安全保障論議も、技術に関する論議もできません。さらには、党内や支持団体とまともにコミュニケーションをとることすらできません。

こんなことでは、野党第一党としての本来の役割を果たすことはできません。それでは、与党である自公に奢りや高ぶりがでてくるようになるかもしれません。

現在驕り高ぶっているのは、他ならぬ民進党です。自分たちは「正義」「善」だという根拠のない決め付けをして、与党は「不義」「悪」と決めつけ、上から目線でものいい、自らを一切反省しないから、グタクタになってしまうのだと思います。

この民進党をまともにするには、まずは民進党自体の日本経済に関する見方を根本的に変える必要があります。なぜなら、やはり多くの国民にとっての最大の政治課題は日本経済が良くなることです。

安倍政権がまがりなりにも、支持率が高いのは、8%増税によってGDPの伸びは低くとどまったものの、金融緩和策によって雇用情勢が劇的に回復したためです。安全保障などの問題も重要なのですが、やはり景気が良くなることが一番です。

そうなると、まともに経済論議のできない今の民進党では、どうにもならないわけです。民進党で経済に関してまともな感覚を持ち合わせているのは、現在では馬淵澄夫議員だけです。金子洋一氏もまともなのですが、残念ながら、昨年の参院選で落ちています。

民進党は、蓮舫氏に代表を退かせて馬淵澄夫議員が同党代表にならないかぎり、政策的な面で自公政権との対抗軸は打ち出せません。

馬淵澄夫議員
馬渕氏は過去には、金融引締め一辺倒の日銀相手にしっかりとしたインフレターゲット論を主張するなど、かなり勉強しているようです。国会会議録検索システムで、発言者=馬淵澄夫、会議指定=財務金融委員会で検索して、平成16年3月23日の議事録を見ると、馬淵議員と福井日銀総裁のやりとりを読むことが出来ます。

馬渕氏が代表になれば、国会でまともな経済論議ができるようになるかもしれません。今の民進党は破茶目茶な経済論議しかできません。代表選の時の候補者の三人の全員が増税すべきという持論を展開していました。全く話にも何にもなりません。彼らは、まとに経済統計を見ているのでしょうか。いや、目が悪いのではないでしょうか。

とにかく、今の民進党の救世主は蓮舫でもなく、山尾志桜里でもなく、その他有象無象のどうでも良い議員などではありません。馬渕氏です。

私は、無論民進党支持者ではなく安倍政権を微温支持しています。他に、支持できる政党や、政治家がいないので、支持しているのです。安倍総理がいなくなれば、自民党を支持しないかもしれません。しかし、そうなっても、今のままの民進党なら支持できません。

自民党から民主党への政権交代のときも、「一度はやらせてみせるべき」などとは思いませんでした。最初から経済がさらに落ち込み大変なことになると思いました。そうしてそれは的中しました。

それにしても今の民進党は以前にも増して酷すぎます。国会での民進党議員の著しくレベルの低い国会論戦などもう見たくも聴きたくもありません。あれを見ていると、最近は本当に脱力感ほ感じるようになったので、もっとまともになってほしいです。

そうして、本来のや第一党の役割を果たすべきです。今のままの民進党なら、はやく消えたほうが良いです。

いっそ、ガラガラポンをして、民進党を消滅させ、馬渕氏を党首とした新党をたちあげるべきなのかもしれないと思ってしまいます。

【関連記事】


蓮舫氏「トランプ氏に失礼」でまたもブーメラン 本来の立場忘れ、本末転倒の攻撃材料に―【私の論評】TPPは頓挫していない!政治家、マスコミ、官僚も米大統領選のように判断を誤る可能性が(゚д゚)!



2016年10月21日金曜日

【痛快!テキサス親父】日本は予算不足の国連に「アメとムチ」で対応せよ―【私の論評】腐れ組織国連抜本的組織改革をしなければ何も成果をあげられない(゚д゚)!


国連は、一般企業なら破綻必至だぜ
 ハ~イ! みなさん。

 先週に続き、俺が「無用の長物」と言い続けている国連について書くぜ。

 国連の2016年の通常予算は25億4900万ドル(約2640億円)なんだが、このうち11億8900万ドル(約1230億円)の分担金が加盟国から支払われていないという。率にして約47%にもなるんだ。

 加盟国193カ国中、2月の期日までに全額支払った国は27カ国しかなく、10月半ばまでに、やっと104カ国が払ったっていうんだから、「システム自体がまともに機能していない」と言えるよな。今年の不足分は、昨年に比べて1億3600万ドル(約141億円)も増加しているという。

 一般企業ならリストラに取り組むだろうが、国連は米ニューヨークと、スイス・ジュネーブ、オーストリア・ウィーン、ケニア・ナイロビなどに事務所を持ち、職員数は約4万4000人のままだ。慢性的な資金不足(=太り過ぎ)なのに、官僚体質のせいかダイエットする気もない。経営破綻、必至かもな。

 国連の分担金だが、国民総所得(GNI)の世界合計に対する比率を基準として、3年ごとに見直される。日本の負担率は16~18年、10%を切って9・68%となったが、依然として、米国(22%)に次ぐ2位だ。日米両国だけで31・68%、8億3100万ドル(約860億円)も支払っている。

 日本はこのほか、PKOやWHO(世界保健機関)、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)などに、毎年、1000億円程度を支出している。国連常任理事国の中国やロシア、フランスよりも、世界のために多額の資金を出している。

 それなのに、日本を対象にした国連憲章の「敵国条項」は削除されていない。朝日新聞が慰安婦問題の大誤報を認めたが「慰安婦=性奴隷」との認識を決定づけた国連のクマラスワミ報告書(1996年)は撤回されていない。米国人の俺でも「ふざけるな!」と思うぜ。

 日本政府が先日、ユネスコへの分担金など計約44億円の支払いを留保していることを明らかにした。ユネスコが昨年10月、「南京事件」関連資料を世界記憶遺産に登録したことに対抗したようだ。よくやった! 日本はもっと、「アメとムチ」で対応すべきだぜ。

 さて、俺の新著『テキサス親父の大予言 日本は、世界の悪を撃退できる』(産経新聞出版)が20日出版されたぜ。日本国が素晴らしい文化や伝統を守るために、周囲の野蛮な国にどう対処すべきかをまとめてある。ぜひ、読んでほしい。

 親愛なるみなさんと、日本と米国に神のご加護がありますように。

 では、また会おう!

 トニー・マラーノ 

【私の論評】腐れ組織国連抜本的組織改革をしなければ何も成果をあげられない(゚д゚)!

トニー・マラーノ氏

冒頭の記事、トニー・マラーノ氏のは、本当にもっともなことで、そもそも国連は何の成果もあげていないということがいえます。

さて、国連も公的機関であることには変わらず、やはりいずれの国の官僚組織にみられるように、機能不全に至っています。

さて、この国連を含めた公的機関について、ドラッカー氏が興味深いことを語っています。
公的機関が成果をあげるようにすることは容易でない。しかし、公的機関が成果をあげないようにすることは簡単である。6つの罪のうちどの2つを犯しても、成果は立ちどころにあがらなくなる。今日、公的機関の多くが6つの罪のすべてを犯しているが、その必要はない。2つで十分である。(『日本 成功の代償』)
 これは、1980年、ドラッカーが「パブリック・アドミニストレーション・レヴュー」誌に寄稿した論文の一文です。『日本 成功の代償』に収載されているのですが、日本の公的機関についてだけ書いたものではありません。世界中の公的機関が抱える問題を論じていくます。その中には当然のことながら、国連などの国際機関も含んでいます。

ドラッカーは、公的機関が成果を上げないようにするための第1の方法は、目的として、「保健」や「身体障害者福祉」などのあいまいなスローガンを掲げることであるとしています。
この種のスローガンは、設立趣意書に書かれるだけの値打のものであり、いかなる趣旨のもとに設立したかは明らかにしても、いかなる成果をあげるべきかは明らかにしないからである。
確かに、国連も設立の趣旨は明らかにしても、いかなる成果をあげるべきか明らかにしていません。今後10年以内に何をどの水準にするとか、何をどの程度なくすなどの具体的な目標を聴いたことがありません。

第2の方法は、複数の事業に同時に取り組むことです。優先順位を決め、それに従うことを拒否することです。優先順位がなければ、努力は分散するだけとなります。

国連は、まさにいくつもの委員会があり、複数の事業に同時に取り組んでいます。巨大な組織ですから、いたしかたないところもありますが、それにしてもあまりにも多くの委員会や部会や、組織まであり、何かはやっているようであるのですが、では具体的に何をどうしたのか、あるいはこれからどうするのか全く見えない組織です。

第3の方法は、「肥満が美しい」とすることです。ドラッカー氏は痛烈です。
金で問題の解決を図ることは間違いだと言われる。だが頻繁に目にするのは、人手で解決を図ることである。人員過剰は資金過剰よりも始末に負えない。
これも、国連にぴったりとあてはまります。上の記事でトニー・マラーノ氏は、「国連は米ニューヨークと、スイス・ジュネーブ、オーストリア・ウィーン、ケニア・ナイロビなどに事務所を持ち、職員数は約4万4000人のままだ。慢性的な資金不足(=太り過ぎ)なのに、官僚体質のせいかダイエットする気もない」と述べています。

第4の方法は、実験抜きに信念に基づいて活動することです。ドラッカーは、これについて以下のように語っています。
初めから大規模にやれ、改善はそれからだといのが今日の公的機関に一般的に見られる態度だ。
これもまさに、国連に当てはまります。本来は、どこかの国の何かを改善することに狙いを定めて、いくつか優先的な施策を実行し、それが成功すれば、それを手本として、様々な国々の事情にあわせて適用するというような方策をとれば良いものを、初めから大規模に実行して、何やら成功しているようなしていないような、成果の見えない状況に至っています。

第5の方法は、経験から学ぼうとしないことです。
何を期待するかを事前に検討することなく、したがって、「結果」を「期待」にフィードバックさせないことである。
これも国連によく当てはまります。そのため、まともなフィードバックもありません。

第6の方法は、何ものも廃棄しないことです。もちろん、この方法によれば、ほとんどただちに成果を上げなくなることができなくなります。
政府機関であれ民間機関であれ、公的機関はすべて不滅の存在と前提している。馬鹿げた前提である。そのような前提が、公的機関をして成果をあげなくさせている。
廃棄とは、もはや必要でなくなった事業やシステムなどをやめることです。ドラッカー氏は真にイノベーティブな企業は、これを定期的・体系的に行っていると語っています。確かに、いつまでも古いものにしがみついている組織は、成果をあげることはできません。しかし、国連ではそのようなことは滅多に行われません。

ドラッカー氏
こんな腐れ組織は、廃棄すべきときであると思います。なぜなら、国連は最早役にたたないだけではなく、悪を成す組織に堕ちたからです。たとえば、上の記事にもあったように、ユネスコが昨年10月、「南京事件」関連資料を世界記憶遺産に登録していますがこれは、中国が申請したものであり「南京大虐殺文書」登録がされています。

そもそも、中国の主張する数十万にも及ぶ「大虐殺」など、単なるフィクションに過ぎません。中国や台湾などの日本や他の先進国のように正規軍を数十万人以上投入した、会戦など経験をしたことがないので、正規軍が数十万人虐殺するということはどういうことなのかをまともに想像することすらできず、ファンタジーでこのな虚構をつくりあげ信じ込んでいるとしか思えません。このくらいの規模以上になれば、まともに考えれば、ナチスドイツの行ったような方法でなければ、到底不可能です。

それに、このブログでも以前述べたように、南京における蒋介石らの責任はいまだにそのまま放置されています。これは、どう考えても理不尽としか言いようがありません。

これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「尖閣は台湾のもの?」“二重国籍”蓮舫新代表が知っておくべき日本と台湾の対立点―【私の論評】南京・尖閣問題で台湾は決して親日ではない(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に南京事件に関する部分を引用します。



日本軍の南京入場
『南京事件』は当時の新聞に、国民党軍(現在の台湾軍)が南京を去るとき8万人の市民を犠牲にした、と記載しています。南京虐殺の真実は、南京では通常の戦闘ではなく、異常な戦闘が行われたということです。 
なぜ、異常な戦闘になったかといえば、国民党政府軍軍事委員長・蒋介石が戦いの途中で麾下の数万の兵士を置き去りにして高級将校とともに南京から逃げたからです。この時蒋は督戦隊を残して逃亡しています。 
督戦隊とは、逃げる兵士を撃ち殺す部隊のことです。そのため、南京市内の国民党軍兵士は逃げるに逃げられなかったのです。 
1937年(昭和12年)12月13日に日本軍は南京城に入城しました。当時毛沢東の共産党軍は南京にはおらず、大陸中国の奥地を逃げまわっていました。日本軍は開城を勧告したが応じなかったというか、司令官も存在せず督戦隊が存在したので、国民党軍兵士は降伏することができませんせんでしたので攻城戦となりました。 
そうして、日本軍に包囲され、指揮官を失い、逃げ道を失った彼らは、投降するより軍服を脱ぎ捨てて便衣を着て民間人になりすましたのです。南京入した日本軍は、脱ぎ捨てられたおびたたしい数の国民党軍の軍服を発見しました。
日本軍は当惑しました。南京市内には一般市民がいる。彼らと便衣を着て、一般市民になりすましている便衣兵とを見分けるのは難しいです。 
結局当時の中支那方面軍司令官の松井石根大将は、便衣兵の掃蕩作戦を行わざるを得ませんでした。そうして、掃蕩した便衣兵の中には、一般中国人が含まれていた可能性は否定できません。ただし、この人数が20万人〜30万人というのは、虚構にすぎません。 
松井石根大将は、この事件のため戦後に極東軍事裁判において死刑になっています。しかし、この事件の大元の責任者である、蒋介石と高級将校たちには、いっさい何の罪にも問われていません。 
南京に蒋介石が残っていたら、あるい蒋介石ではなくとも、高級将校が一人でも残っていて、日本軍に降伏していたら、あるいは南京の国民党軍がはやめに全員が南京から逃れていたら事態は混乱せず、日本軍が便衣兵を処刑する必要もなかったはずです。 
この所業は、どこの国においても、とんでもない敵前逃亡です。国民党としては、この事実を隠蔽したかったのでしょう。すべての責任を日本軍押し付け「日本軍による市民大量虐殺」という虚構を作り出し、今に至っています。 
蒋介石らの責任を問うこともなく、日本が南京市民を数十万人も虐殺したという途方もないデマにすぎない「南京大虐殺文書」を世界記憶遺産に登録したのが、ユネスコです。このような事を平気でするのが、ユネスコです。日本に対して、このようなことをする組織ですから、他でもどのような悪さをしているかわかったものではありません。

南京事件の最大の責任者である蒋介石
このような悪に染まった組織は、廃棄すべきです。国連をまともにするには、まずは、この国連という組織そのものを解体すべきです。そうして、現在よりもはるかに小さな組織(現在の1/100以下の組織)として、この組織は新しい国連があげるべき成果を徹底的に検証し、その成果に沿った、目的・目標・アクションプランを明確にして、実際のアクションは自分たちがするのではなく、公募制にすべきです。

世界各地のNGOやNPOが新しい国連の公募に応じることができるようにして、実績のある組織を優先して、新しい国連はこれらを慎重に選ぶようにすべきです。そうして、実行させてみて、期限内になかなか成果を挙げられないようなNGOやNPOは容赦なく切り捨てるような方式で、新しい国連の事業を運営すべきです。

このようにしたほうが、はるかに大きな成果をあげられる可能性が高まります。とにかく、今のままの腐れ組織では結局何も成果をあげられません。

【関連記事】

「尖閣は台湾のもの?」“二重国籍”蓮舫新代表が知っておくべき日本と台湾の対立点―【私の論評】南京・尖閣問題で台湾は決して親日ではない(゚д゚)!


【痛快!テキサス親父】日韓合意した慰安婦問題、再び持ち出した韓国に呆れたぜ!―【私の論評】自らの立場を顧みない韓国の将来は、アジアの凡庸な貧乏国になるだけ(゚д゚)!





2016年9月22日木曜日

実は意外とまとも!? 「トランプ大統領」の経済政策構想をよむ―【私の論評】米メデイアの超偏向ぶりと、公約の完全実行はあり得ない事を知らないと趨勢を見誤る(゚д゚)!

実は意外とまとも!? 「トランプ大統領」の経済政策構想をよむ

いまさら言わずもがなではあるが、今年は米国の大統領選挙の年である。そしてその大統領選もまもなく終盤戦を迎える。

世論調査では、与党である民主党のクリントン候補の支持が、共和党のトランプ候補の支持を上回っているようだが、クリントン候補の健康問題が浮上してきており、両者の差は縮小している。

トランプ候補は、その問題発言等から大統領の資質を欠いているとの批判が多いが、一方でそのダイレクトな物言いから人気も高く、当初の泡沫候補という評判を覆して、正式に共和党の大統領候補となった。

これまではトランプ候補の過激な発言ばかりがクローズアップされ、経済政策についてマスメディアが報道する機会が少なかった印象が強い。そこで今回は、これまであまり取り上げられることのなかったトランプ候補の経済政策について考えてみたい。

  レーガン大統領との共通点

トランプ候補は9月15日、ニューヨークのエコノミッククラブの講演会で、自身の経済政策の構想を明らかにした。

米共和党全国大会で大統領指名受諾演説をするドナルド・トランプ氏
この講演によると、トランプ候補は、レーガン以来の大型減税と各種規制緩和、および貿易政策をテコに、10年間で2500万人の雇用を創出し、年平均で実質3.5%成長を実現させる政策を実施すると言及した。

このうち、大型減税のメニューとしては、以下の3点を挙げている。

①法人税の大幅減税(最高税率を現行の35%から15%へ)
②所得税の税率適用区分の簡素化(現行の7段階から3段階へ)と税率の大幅引き下げ(12%、25%、33%の3段階へ)、および各種控除の拡充(子育て費用)
③相続税の廃止

一方、規制緩和に関しては、現在、オバマ大統領が推進している「パリ条約」にともなう環境政策の停止(クリーンパワープランを廃止し、石油、天然ガス、石炭の生産増をはかる)がその中心となっている。

さらには、ニューヨークでの講演では言及しなかったものの、従来から老朽化が指摘されてきたインフラ(道路、橋、鉄道、港湾など)の整備拡充や防衛関連支出の増大も公約に掲げている。

また、貿易政策では、TPPからの撤退と中国に対する圧力(中国を為替操作国に認定するともに、知的財産侵害や輸出補助金の廃止を中国政府に強く求める)を通じて、米国製造業の輸出を拡大させる政策を提案している。

トランプ候補の台頭は、1980年の大統領選でのレーガン候補の台頭(最終的には大統領選に勝利)と比較されることが多いが、経済政策構想(レーガノミクス)においてもよく似ている部分が多い。

その理由は明らかである。

レーガン氏が台頭してきた1980年は、米国経済がスタグフレーションに苦しんでいた時期であった。その中で、新政権に求められた経済政策は、著しく低下した生産性、および潜在成長率を押し上げることであった。

スローガンもレーガン大統領にそっくり
そしてレーガン大統領が推し進めた経済政策である「レーガノミクス」も、減税と規制緩和を通じて、主に製造業の生産性を上昇させ、米国経済の潜在成長率を押し上げるものであった。

また、当時は、米国の貿易収支、及び経常収支の赤字が急激に拡大し始めた局面であり、保護貿易的な貿易政策もやや強まった(自動車産業などで日米貿易摩擦が強まったのもこのころである)。

  極めて強力な「ケインズ効果」

今回の大統領選でも、リーマンショック後、「長期停滞」に入ったようにみえる米国経済の低成長が問題視されている。

1980年の大統領選当時と同様、米国経済はリーマンショックという未曾有の金融危機を3度にわたるFRBの量的緩和(QE)政策によって克服したものの、その後の成長率はリーマンショック以前に比べ低い状況が続いている。

例えば、リーマンショック後の2010年から2015年にかけての実質GDP成長率の平均は約2.2%で、2000年から2007年までの平均である2.7%から0.5%程度低下している(リーマンショック前までの米国の潜在成長率は約2.8%というのがコンセンサスであった)。

リーマンショック後の米国経済の長期停滞を打破するために、「パパブッシュ」以降の大統領にない強いリーダーシップを求める米国民が数多く存在するというのが現在の米国の実態であり、これがレーガン大統領誕生前の状況と似ていなくもないということなのだろう。

また、レーガン大統領の就任期間には、旧ソ連との緊張が高まり、防衛関連支出の急増から米国の財政赤字は拡大したものの、それがケインズ効果をもたらし、米国経済は回復した。

さらにいえば、当時の防衛関連の投資拡大が、旧ソ連崩壊にともなう民間部門へのスピンオフによって、90年代後半の「IT革命」の素地を作ることにもなった。

CRFB(Committee for a Responsible Federal Budget、米政府の財政政策をモニターするNPO法人)の試算によれば、もし、トランプ候補が大統領に選出され、彼の構想どおりの経済政策が実施された場合、10年後に歳出は、対GDP比で22%まで拡大する。

その一方で、歳入は対GDP比で13%にまで縮小し、結果、財政赤字の対GDP比は9%に拡大すると予想されている(ちなみに2015年度はそれぞれ、20.5%、18%で財政赤字の対GDP比は2.5%)。

すなわち、このことは、トランプ候補が大統領選に勝利し、以上のような経済政策が実施された場合、従来の経済政策の枠組みが大きく転換することを意味する。

各種メディアの報道によれば、このようなトランプ候補の経済政策によって、トランプ氏が主張する「実質3.5%成長」を実現させるのは難しいと考えるエコノミストが少なからず存在するようだ。

だが、インフラ整備や防衛関連を中心とした歳出増と、法人税、所得税の減税の組み合わせが、極めて強力な「ケインズ効果」をもたらすことは間違いないのではなかろうか。

さらに、日本では、様々な困難を乗り越えてようやく交渉妥結にまで持ち込んだTPPをトランプ候補が反故にしようとしていることから「保護貿易主義者」というレッテルを貼っているようだが、これは正確ではない。

トランプ候補は、地域間の貿易協定としてはNAFTA(北米自由貿易協定)を重視し、世界貿易ではWTOの枠組みを利用して自由貿易を維持するとしている。貿易に対する過度な悲観論は不要と考える。要は米国(特に製造業)が不利になるような貿易交渉は反故にするということなのだろう。

  トランプ氏の主張がメインストリームに

ところで、興味深いことに、このようなトランプ候補の経済政策は、最近のマクロ経済学の流れとほぼ軌を一にする点に注意する必要がある。

最近のマクロ経済学では、「長期停滞」を脱する経済政策として、金融緩和よりも財政拡大を重視する動きが強まってきている(これは、金融緩和が必要ではないという意味ではない)。

その意味で、インフラ投資の拡大を掲げるトランプ候補の主張は、「長期停滞」に対する処方箋として有効となる可能性がある(クリントン候補もインフラ整備のための公共投資拡大を政策の一つとしているため、来年以降の米国では、財政支出拡大による景気浮揚が実現する可能性が高まっている)。

さらに、世界的な長期金利低下の一因として、緊縮財政路線による国債発行量の減少にともなう「安全資産」の相対的な不足を指摘する研究も出てきている(いわゆる「Safety Trap」の議論)。

前述のように、トランプ候補は思い切った減税を実施する意向でもあるので、税収も大きく減少する見込みだ。そのため、インフラ整備等の公共投資拡大は国債発行増によって賄われる可能性が高い。

トランプ氏の提唱する財政拡大政策によって米国経済の長期停滞を克服することができれば、米国債は世界随一の安全資産として世界中の投資家に選好されることにもなるだろう。

その一方で、富裕層に有利なように見える所得税改革やオバマケア廃止の方針など、所得格差是正のための所得再分配政策にはいまひとつ消極的な印象がある(貧困家庭に対する救済援助も廃止の方針だと伝えられている)。

トランプ氏はビジネスマンとして、自ら大成功を切り開き、また、数回にわたるビジネス的な試練も自助努力で切り抜けてきた人物だけに、労働のインセンティブにネガティブな影響をもたらしかねない所得再分配には、それほど賛意を持っていないのかもしれない。所得再分配政策の是非が、今後の大統領選の大きな争点になっていく可能性もある。

いずれにせよ、トランプ候補は、その過激な言動ばかりが注目されているが、仮に彼が勝利するようなことがあれば、彼の経済政策が、今後のメインストリームになるという可能性を秘めているので、注意が必要である。

【私の論評】米メデイアの超偏向ぶりと、公約の完全実行はあり得ない事を知らないと趨勢を見誤る(゚д゚)!

トランプ氏の経済政策は、上記で示したように、意外とまともといえばまともです。経済政策について、簡単にいってしまえば、減税を手段とした積極財政を行なうということです。

米国に関しては、リーマン・ショックから金融緩和政策を実施し、それが継続されてきました。しかし最近では利上げのタイミングを見ているという状況です。さらなる追求緩和策をとることはありえないです。

だからこそ、今後積極財政をするというのは、理にかなったまともな政策です。過去の日本のように、緊縮財政、金融引き締めを継続してデフレを長年放置したというのとは大違いです。

日本ではさらに、せっかく2013年から異次元の包括的金融緩和に踏み切ったにもかかわらず、14年から8%増税を実施し、せっかくの金融緩和の腰を折り、GDPも伸びないというのとは大違いです。

8%増税に両手をあげて、大賛成した日本の多くの政治家、マスコミ、識者らには、トランプ氏の経済政策を批判する資格は全くありません。

米オハイオ州クリーブランドのクイッケンローンズ・アリーナで開かれた米共和党大会で、
スピーチを終えた娘のイヴァンカさん(右)から、指名受諾演説のためステージに迎えられる
ドナルド・トランプ氏
以下に、トランプ氏の7月21日、共和党の大統領指名受諾演説から抜粋します。
私の誓いの言葉はこうだ。『私は君達アメリカ人とともにある』。私は君達の声だ。子供達に夢を託すすべての親達、そして、未来を夢見るすべての子供達のために、今夜、私は言いたい。『私は君達とともにある。そして、私は君達のために戦い、君達のために勝利する』」 
「私は約束する。我々はアメリカを再び強くする。我々はアメリカを再び誇らしくする。 我々はアメリカを再び安全にする。そして、我々はアメリカを再び偉大にする。 
~ドナルド・トランプ 7月21日、共和党の大統領指名受諾演説から抜粋
当初、泡沫候補だと思われていたトランプが共和党大統領候補の座を射止めるまでに大躍進を遂げたことは驚きですが、大躍進の背景には、アメリカ人が求めてきたリーダー像がそこにあるのも事実です。

これまでも実業家出身の大統領はいました。代表的な例は第29代ウォレン・ハーディング(任期:1921〜1923 年)と、第31代ハーバート・フーヴァー(1929〜1933 年)、それにジョージ・ブッシュ親(1989~1993年)・子(2001~2009年)の4人です。

ウォレン・ハーディング
その中でも、ハーディングはトランプとの共通項が多いです。1920 年の大統領選挙でハーディングは共和党候補として当選しました。ハーディングの勝利の要因は、時代の要請を敏感に嗅ぎ取ったことにありました。多くの国民は、当時ウィルソン政権が第一次世界大戦で外国の厄介事に巻き込まれたことに飽き飽きしていました。「アメリカを第一に(America First)」と「常態への復帰 (Back to Normalcy)」というハーディングの唱えたスローガンは有権者の心を掴みました。

「アメリカを第一に」は共和党の中で、その後も脈々と受け継がれる伝統になりました。1992 年の共和党の予備選挙でも、パット・ブキャナン候補が「アメリカを第一に」を唱えて現職のブッシュ大統領に挑戦しました。ブキャナンは、自由貿易の推進がアメリカの製造業に深刻な打撃を与え、不法移民がアメリカ人から職を奪っていると主張しました。

今、トランプはまさに同じような主張をしています。そして指名受諾演説で「アメリカを第一に」というスローガンを前面に押し出しており、「我々の目標と我々の対抗者の目標の最も重要な違いは、我々の目標がアメリカを第一に置くことにある。グローバル主義ではないアメリカ主義が我々の信条だ」と、トランプは主張しているのです。

「アメリカを第一に」と「常態への復帰」を目標に据えたハーディング政権は、外国に対する関与をできる限り控え、国内問題に専念する孤立主義への扉を開きました。そうした傾向はアメリカが第二次世界大戦に参戦するまで20年近くにわたって続きました。

トランプが使っている「アメリカを第一に」というスローガンはまさに孤立主義を体現す る言葉です。そして、トランプはハーディングと同じように時代の要請を敏感に嗅ぎ取っています。それは外国よりも国内に目を向けるべきではないかという国民の声です。

さて、トランプの大統領候補指名受諾演説を聞いた人々はどう思うでしょうか。例えば、製鉄所が閉鎖され街に活気がなくなったことを嘆く者は、「TPP は我が国の製造業を破壊するだけではなく、 アメリカを外国政府の支配に屈服させることになる」という言葉に喝采を送ることでしょう。

また不法移民によって麻薬や犯罪が蔓延していると危機感を抱く者は、「我々は不法移民を止め、ギャングと暴力を止め、そして、我々の社会に麻薬が流入するのを止めるために国境に長城を築く」という宣言を支持します。7月7日に起きたダラス警官銃撃事件を知って社会に混乱が広まっていると不安を感じる者は、「俺は法と秩序の候補だ」という台詞に期待を寄せるでしょう。

すべての課題を一挙に解決できる万能の処方箋など存在するはずはありません。しかし、トランプの主張 が正しいか否かは問題ではありません。政治は理性だけでは動きません。感情にかなり左右されます。今、危機に直面している人々からすれば、自分達にも理解できる解決方法を提示してくれるトランプは魅力的に映ります。それに政界の完全なアウトサイダーであることも好ましく思えます。なぜなら彼らは、様々な既得権益にがんじがらめにされた政治家が自分達を救ってくれるはずがないと思っているからです。

民主党候補指名で勝利宣言をしたクリントン氏
クリントン氏は6月2日の外交・安保政策演説で、次期大統領の重要指針として、緊密な同盟関係維持を挙げました。その代表例として、北朝鮮のミサイルの脅威に対抗する日韓とのミサイル防衛協力について説明し、「これこそ同盟の力だ」と訴えました。

さらに、「外交は多くの場合、紛争を避ける唯一の道だ」と強調。オバマ政権が主導してまとめたイランの核兵器開発阻止を目指す合意を取り上げ、「世界や米国が合意の前より安全なのは疑問の余地がない」と力説しました。

内政ではオバマ政権の目玉政策である医療保険制度改革(オバマケア)の継承を打ち出しているほか、銃規制強化や同性愛者の権利保護でも軌を一にします。

目立った政策で一部違いもあります。環太平洋連携協定(TPP)について、雇用創出などの面で効果が不十分だと反対しています。「核兵器なき世界」の実現を掲げるオバマ大統領は広島も訪れましたが、クリントン氏は「大統領ほどには、この問題を大事だとは思っていない」という専門家の指摘もあります。

現政権を継承する外交・内政の諸政策は、共和党からことごとく攻撃されてきました。トランプ氏も「外交政策の経歴で彼女はあまりに多くの過ちを犯してきた」と批判。各種世論調査のオバマ大統領の支持・不支持率はどちらも40~50%台とほぼ同水準で、クリントン氏はオバマ氏の負の半面も背負って戦うことになります。

さて、日本では大統領選はクリントン氏が優勢との報道ばかりです。これは実は日本では、米国メディアがかなり偏っていて、90%はリベラルであり、保守は10%に過ぎないということが理解されおらず、米国メディアからの情報は米国の半分しか実体を表しておらず、多くの人はアメリカの半分しかみていないという現実が大きく左右しているように思います。わかりやすく言うと、米国のメデイアはリベラルが優勢で、日本にたとえると産経新聞すら存在していないというような感覚です。

これについては、以前このブログにも掲載したことがあり、記事中に動画を掲載したので、その動画を掲載します。


米国のメディアの報道は、かなり偏向しているとみて間違いありません。しかし、日本のメディアは米国のメディアをそこまで偏向していないという前提で、受け取りそれを報道しています。

さらに、日本ではトランプ氏の暴言をかなり問題にする人が結構多いです。これに関しては、アメリカ人では額面通りに受け取る人は少ないです。そのことは日本ではほとんど報道されません。

トランプの発言を額面通りに受け取るべきでない理由は以下の3点によります。

第1に、トランプが今のような極端な政策や発言を続けてていては、大統領本選に残った現在、勝利する可能性は少ないです。

第2に、米国の大統領が議会や社会の合意なしにできることは限られています。日本でも、多くの人が誤解していますが、米国の大統領は、平時においては世界最弱といってもいいくらい権限がありません。しかし、多くの人が米国の大統領にはかなり権限が集中していると思い込んでいます。

それは、おそらく戦時のアメリカ大統領を思い浮かべるからでしょう。第二次世界大戦のときも、ベトナム戦争のときにも、その後のイラク戦争などにおいても、議会が戦争することを承認すると、途端に戦争を遂行するために多くの権限が大統領に集中するようになっています。平時とは全く異なります。

第3に、政治家の選挙での発言がそのまま政策になることは、どのような民主主義国にもない。ましてや1年以上も選挙運動が継続する米国では、大統領候補の選挙戦での公約が守られなかった歴史のオンパレードである。極端なことをいうと、米国では大統領の就任演説時は別にして、その前の選挙運動中の公約など半分以上は履行されないのが普通です。

多くの日本人は、アメリカのメディアはかなり偏向しているという事実と、大統領候補の選挙運動中の公約はあまり守られていないという事実を知らない人が多いです。だから、トランプ報道でもかなり幻惑されている可能性が高いです。

そのため、私は、日本のメディアが報道する内容は、米国のメデイアの内容を偏向がないものとして報道しているものと認識し、米国の報道でも小さなものも見落とさないようにしようと努めています。そうして、大統領選に関してそのような報道内容を見つけました。以下にその内容を掲載します。
トランプ氏がクリントン氏を追い上げ-的中率の高い世論調査で
米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏が支持率を上げつつあるのは、有権者の投票意図を調べる伝統的な世論調査だけではない。 
選挙研究を専門とする学者らによると、誰に投票するつもりかではなく、誰が当選すると思うかと質問する調査の方が的中しやすいことが示されている。 
ただ、この調査で示唆されたクリントン氏勝利の確率低下は、これまでの世論調査の集計が示す状況に比べればはるかに緩やかだ。以下のチャートを見ると、トランプ氏はまだ劣勢だが、全国調査で着実に勢いづいていることが分かる。 
消費者を対象とした8月のミシガン大学調査でこの質問をしたところ、民主党候補ヒラリー・クリントン氏がトランプ氏に大差を付けていたが、9月の暫定集計は差が縮まりつつあることを示した。それによると、クリントン氏のリードを示す数値は8月の43ポイントから37ポイントに縮小した。
 
381世帯を対象としたミシガン大学の調査が行われた8月下旬から9月半ばにかけてはクリントン氏の健康問題が浮上したほか、トランプ氏支持者の半数は「嘆かわしい人々」だとのクリントン氏発言が批判を招いた時期と重なった。 
一方、同調査期間の直後には、トランプ氏がオバマ大統領について米国生まれだと認める短い声明を出したことが大きく報じられた。
原題:Donald Trump Is Gaining Ground on Hillary Clinton in a Crucial Polling Question(抜粋)
このような報道日本では全くされません。まだまだ、トランプ氏の勝利の可能性は捨て切れません。

私としては、ヒラリー氏はオバマ氏の路線を受け継ぐということに危惧の念を抱いています。特に、対中国に関しては、現在はオバマ大統領は、レームダック化しているので、軍のほうも中国に対して厳しい措置をとれるのですが、これがヒラリー大統領が誕生すると、オバマ政権の外交政策などを引き継ぎ、対中国に対しても、オバマ並に及び腰になる可能性があります。

しかし、トランプ氏が大統領になれば、日本対する暴言に関してはもとより、他国に対する暴言も、それを実際に行動に移すことなどほとんどないと思います。

おそらく、リアリストとしての実業家の面が多いに発揮され、現実的な政策をとるようになると考えます。

それに比較すると、ヒラリーの場合は、オバマとあまり変わりないし、クリントン財団が、中国人から多額の寄付を受けているなどの、きな臭い情報もあります。日本にとっては全く良いことはありません。

これから、挽回して是非ともトランプ氏に大統領になって頂きたいです。

それよりも何よりも大統領選挙なども、米偏向メディアに操られたり、大統領選挙活動中の公約はあまり実行されないということを認識して、冷静に大統領選の推移を見守ろうと思います。

【関連記事】



【関連図書】


トランプ
トランプ
posted with amazlet at 16.09.22
ワシントン・ポスト取材班 マイケル・クラニッシュ マーク・フィッシャー
文藝春秋
売り上げランキング: 58,608

ドナルド・トランプ、大いに語る (講談社+α新書)

講談社
売り上げランキング: 74,571


コミンテルンとルーズヴェルトの時限爆弾―迫り来る反日包囲網の正体を暴く

2016年6月6日月曜日

南シナ海、フランス主導でEUに海軍艦艇派遣案 暴走中国に対抗へ―【私の論評】国際法無視で、いずれ一敗地に塗れる中国(゚д゚)!

南シナ海、フランス主導でEUに海軍艦艇派遣案 暴走中国に対抗へ

手を携える日米韓の防衛相
中国人民解放軍の幹部が国際会議で激高した。南シナ海で軍事的覇権を強める同国に対し、米国の国防長官や日本の防衛相が警告を発したところ、「南シナ海は中国のもの」「中国は黙っていない」などと恫喝(どうかつ)してきたのだ。常設仲裁裁判所の判決も拒絶するような無法ぶりに、ついにフランスの主導で欧州連合(EU)各国の海軍艦艇による派遣案が急浮上した。

中国の孫建国連合参謀部副参謀長が5日、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議で行った演説や質疑応答は突出していた。

カーター米国防長官や中谷元(げん)防衛相は前日の会議で、中国による南シナ海での人工島の軍事基地化について、「自らを孤立させる万里の長城(を築く結果になる)」「原則に基づく海洋秩序を著しく逸脱している」と警告したが、これに猛反発したのだ。

孫氏は南シナ海情勢について、「南シナ海は昔から中国のものだ」と自説を繰り返し、「一部の国が問題を過熱させている」「ある国は『航行の自由』を都合良く解釈して武力をひけらかし、徒党を組んで中国に対抗している」と、強い調子で米国などを牽制(けんせい)した。


さらに、南シナ海の全域を中国の管轄下とする主張は不当だとして、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所に提訴したフィリピンも批判し、近く示される判断も「受け入れない」とした。

中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)は5日、孫氏が三村亨防衛審議官との会談(4日)で、以下のように発言したと報じた。

「日米両国が南シナ海でパトロール航行などを合同で実施すれば、中国側は黙っていない」「改善しつつある中日関係に多くの不確定要素を生むだけでなく、大きな損害をもたらす」

唯我独尊、国際秩序を無視して、他国を軍事力で脅す姿勢といえる。これには地理的に南シナ海に関心の薄かったEU諸国も立ち上がった。

共同電によると、フランスのルドリアン国防相は5日、EU各国に対し、南シナ海の公海に海軍艦艇を派遣し、定期的に航行するよう近く呼び掛ける考えを同会議で明らかにした。ルドリアン氏は、EUは「航行の自由」によって経済的利益を得ているとし、南シナ海情勢を懸念していると主張した。中国は、孤立への道から引き返せるのか。

【私の論評】国際法無視で、いずれ一敗地に塗れる中国(゚д゚)!

フランスがなぜ、この南シナ海に艦艇を派遣するのか、不思議に思われている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これは突飛でも何でもないです。

フランスは南シナ海に近い、南太平洋に未だに領地を持っています。そうです、フランス領ポリネシアです。

地図で位置の確認をします。以下の世界地図をご覧ください。


赤い印のあるあたりです。このあたりを拡大したのが、以下の地図です。


上の地図で、フランス領ポリネシアとして赤い線で囲まれている地域のすべての島が、フランス領です。

そうして、フランス領ということから、当然のことながらフランス軍が駐留しています。

その規模など以下に掲載します。

ポリネシア駐屯フランス軍は高等司令官の責任下に置かれ、高等司令官はフランス統合参謀総長の直轄下にあります。高等司令官は地域を担当する高等弁務官に対し軍事的助言を行う軍事顧問として機能し、さらに海軍太平洋管区司令官(ALPACI)および太平洋実験センター長(COMCEP)を指揮下に置きます。駐屯部隊は異なる軍種の混成(陸軍、海軍、空軍、国家憲兵隊、適応軍役制度)で構成されています。三軍将兵は約1,500人から成り、主にタヒチ島パペーテに配置されています。

陸軍部隊
陸軍は1個部隊が駐屯している。連隊は本部をタヒチ島に置くが、2個中隊は4ヶ月毎の輪番勤務で常設中隊については4個中隊はマルキーズ諸島、トゥブアイ諸島、トゥアモトゥ諸島に分屯しています。このほかにファーウン(fr:Faaone)に演習場が、パペリ(fr:Papeari)には弾薬庫があります。
太平洋ポリネシア海兵歩兵連隊 在タヒチ島、パペーテ
海軍部隊
海軍はパペーテに基地を置き、約600人が配置されています。
フロレアル級フリゲート × 1隻
P400級哨戒艇 × 2隻
シャンプラン級戦車揚陸艦 × 1隻
給油曳船 × 1隻
沿岸港内曳船 × 2隻
フュージリア海兵作戦コマンド分遣隊
海上憲兵隊の巡視艇 × 1隻
第25F海軍航空隊
仏領タヒチに駐屯する、フロレアル級フリゲート艦艇
「プレリアル」2014年6月9日晴海に寄稿したときの写真

空軍部隊
空軍は第190タヒチ=フアア空軍基地(パペーテ・タヒチ国際空港)が配置されています。
CASA CN-235戦術輸送機 × 2機
ユーロコプター フェネック汎用ヘリコプターとAS 332シュペルプーマ汎用ヘリコプター 
国家憲兵隊部隊
フランス領ポリネシアには約760人の憲兵を展開させ、機動憲兵隊が4個中隊と2機のヘリコプターを配備しています。
適応軍役制度兵
適応軍役制度に基づきフランス領ポリネシアには陸軍所属として太平洋適応軍役群(GSMA-Pf)が編成され、1989年にはマルキーズ諸島にも配置されています。これは現地出身である若者の統合を目的としてます。
任務
領土・領域については主権と安全保障の維持、国益のためにフランス領ニューカレドニア駐屯部隊司令官と連携して太平洋地域ダイアローグへの参加や、フランス本土から約18,000km離れたポリネシアの5諸島、118に及ぶ島を含む南北2,200km、東西2,100km、排他的経済水域500万平方メートルを範囲とする恒久責任地帯(la zone de responsabilité permanente:ZRP)内での介入能力の維持、災害救助や人道支援など緊急時の貢献、海上ではZRP内での違法漁業の取締り、海難救助のほかフランス=オセアニア・サミットでの申し合わせに基づき各種取締りの強化がなされています。航空分野については住民援助が主たる任務となっています。
さて、以上で仏領ポリネシアのフランス軍の規模はおわかりになったものと思います。おそらく、フランスが南シナ海に艦艇を派遣するというのなら、わざわフランス本土から派遣するのではなく、当然仏領ポリネシアの艦船を用いるものと思います。おそらく、フリゲート艦の「プレリアル」を派遣することになるでしょう。

そうして、この話降って湧いたように思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。中国囲い込みにフランスも加勢してもらうという構想は前からありました。

そうです。安倍総理の構想した安全保障のダイヤモンドには、もともとフランスも数のうちに入れてありました。

それについては、このブログにも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
安倍首相の「安保ダイヤモンド構想」、対中抑止へ完成間近-【私の論評】鳩山の構想は報道しても、安部総理の構想は一切報道しない日本のマスコミの存在意義を問う(゚д゚)!
安倍晋三首相とインドのモディ首相
この記事は、2014年9月2日のものです。この記事では、安倍晋三首相とインドのモディ首相との会談により、安倍首相の構想である、安全保障のダイヤモンドが完成に近づきつつあることを掲載しまた。

安全保障のダイヤモンドについては、なぜかほとんどのマスコミが現在でも報道しないため、知らない方もいらしゃるかもしれません。簡単にいえば、南シナ海の近隣諸国などが結束して、力による海洋進出を続行する、中国を封じ込めようというものです。

これについては、詳細についてもこの記事に掲載していますので、ご存知のない方は、この記事の詳細を是非ご覧になってください。

安全保証のダイヤモンド構想は、もともとプラハに本拠を置く国際NPO団体「プロジェクトシンジケート」のウェブサイトに、2012年12月27日付けで安倍晋三首相の英語論文が掲載されたものです。

さて、この論文の中にすでに、フランスのことが記載されています。その部分のみを以下に引用させていただきます。(赤字はブログ管理人が施したもの)
 私はアジアのセキュリティを強化するため、イギリスやフランスにもまた舞台にカムバックするよう招待したい。海洋民主国家たる日本の世界における役割は、英仏の新たなプレゼンスとともにあることが賢明である。英国は今でもマレーシア、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドとの五カ国防衛取極めに価値を見いだしている。私は日本をこのグループに参加させ、毎年そのメンバーと会談し、小規模な軍事演習にも加わらせたい。タヒチのフランス太平洋海軍は極めて少ない予算で動いているが、いずれ重要性を大いに増してくるであろう。
安倍総理の頭の中には、南シナ海の東隣りに位置する南太平洋のフランス領タヒチや、そこに駐屯するフランス軍のことが頭にあったのです。フランスがここに艦艇を派遣するとなると、イギリスも派遣することになるかもしれません。

それにしても、安倍総理は着々と、安全保障のダイヤモンドの構築を進めています。この構想は、すでに何ヵ国も歴訪して、多くの国々から賛同を得ています。そうして、とうとうEUからの艦艇派遣というところまでこぎつけたということです。

いまのところ、中国は南シナ海で手一杯というところですが、これもそのうち一段落すれば、さらに東を目指すかもしれません。

そうして、東の南太平洋には仏領タヒチがあります。この地域は、下の地図をご覧いただいてもおわかりになるように、レアアースの産地であります。他にも有用な地下資源も見込まれ、当然のことながら、中国もこれに大きな関心を示しています。


それに、フランス領タヒチは、無論のこと観光地でもあります。以下にフランス領タヒチの海の写真を掲載します。



このような美しい海が、中国によって南シナ海のように埋め立てられたりするのは、何が何でも防がなければなりません。

現在の中国の力ずくの海洋進出をそのまま放置すれば、いずれ太平洋のあらゆる方向に進出してくることは明らかです。

この上は、中国に対する最後通告として、南シナ海の中国の埋立地のすぐそばで、ASEAN諸国全部と、オーストラリアその他日米仏英も含めたような、大演習をすべきです。

この大演習の後、中国が環礁の実行支配をやめないというのなら、各国の艦艇で、島を包囲して、補給を断つと良いと思います。この包囲を破ろうとする中国艦艇はすべて撃沈、航空機はすべて撃墜すれば良いと思います。こんなことできないと思ったら大間違いです。

中国は南シナ海の全域を中国の管轄下とする主張は不当だとして、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所に提訴したフィリピンも批判し、近く示される判断も「受け入れない」としています。

仲裁裁判所の裁定は、無論のこと、国際法の原則にもとづいて行われることになります。そうしてその原則として、当事国の一方がそれを破れば他方は守る義務がないことになります。

国際法には「法」という字がついていますが、日常生活で「法律」という言葉からイメージするものとは大きな違いがあります。

民事や刑事の訴訟などで使われる法律は国内法です。国内法は主権を持った統一政府によって強制される法なので、「強制法」といいます。国内では、警察などの法執行機関が法律を破った人を取り締まるわけです。

一方、国際社会には警察のような強制力を持った組織はありません。国際法はあくまで主権国家同士の合意によって成り立っているものなので、「合意法」といいます。当事国のどれか一国が仲裁裁判所の裁定を破った場合は、その他の国は守る義務はありません。

これを前提として考えると、仲裁裁判所の裁定は、中国にとってかなり厳しいものとなることが予想できます。そうして、中国は最初から守る気がないことを表明しています。そうなると、中国画一方的に裁定守らないわけですから、他国が中国にこの裁定を力ずくで守らせるため、原状回復を図ったとしても国際法違反にはならないことになります。

そうなると、先ほど掲載した事例も十分成り立つわけです。中国は、もともと他国はおかまいなしに、国内の都合で動く国です。それでも、中国が大陸内で動いているうちは、国際法などとは全く関係なく動くことができました。

しかし、海洋は違います。さすがの中国もいずれ必ず、国際法を無視して動けば大変なことになることに気付かされると思います。それも、一敗地に塗れる屈辱的な方法によって、はじめて気付くことになると思います。

今回のフランスを中心とするEUによる南シナ海への艦艇の派遣案ですが、案に終わらせず必ず実行していただきたいものです。

【関連記事】


【関連図書】


中国GDPの大嘘
中国GDPの大嘘
posted with amazlet at 16.06.06
高橋 洋一
講談社
売り上げランキング: 5,556

中国4.0 暴発する中華帝国 (文春新書)
エドワード ルトワック
文藝春秋
売り上げランキング: 1,446

パックス・チャイナ 中華帝国の野望 (講談社現代新書)
近藤 大介
講談社
売り上げランキング: 3,018

2016年4月28日木曜日

都知事「豪華海外出張」問題の本質 舛添氏の「反論」への疑問点とは―【私の論評】都知事には戦時米国大統領並の強力な権限があることを認識せよ(゚д゚)!


  舛添都知事が最近批判されている。週刊文春で、舛添都知事は、2015年度の1年間ほどで、神奈川県湯河原町にある別荘兼事務所に公用車で、ほぼ毎週、49回も都庁との間などを往復していたと報じられた。

  今(16)年3月には、都有地を韓国人学校のために貸し出すことも批判された。その当時、保育所問題がさかんに議論されている折、東京都は保育所より韓国を優先するのかという批判だった。その背景にあったのが、舛添知事は、海外出張が多く、そのための経費が石原前都知事に比べて多いというものだ。


スイートルームは必須か

  各種報道によると、石原前知事は11年間で28回の海外出張、総額経費は4億6000万円、1回平均1600万円だったが、舛添知事は2年間で8回の海外出張、総額経費は2億1000万円、1回平均2600万だという。

  その理由の一つが、滞在先ホテルでのスイートルーム、空港での貴賓室使用などという。筆者は、官僚時代に大臣の海外出張も経験したことがあるが、スイートルーム使用の目的が『要人の急な面会にも礼を失しないため』という舛添知事の説明には、首をかしげざるを得ない。基本的に相手先へ訪問するので、滞在ホテルのスイートルームは必須ではない。筆者の経験で大臣がスイートルームに宿泊することもあるが、それは警護上の理由か別ルームがとれない場合だった。

  また、空港での貴賓室は、ぎりぎりの時間日程を組むために、使う必要がないはずだ。はっきり言えば、海外出張といっても、訪問して直ぐ帰国するだけなので、空港でのんびりする余裕はないはずだ。

  滞在先ホテルでのスイートルーム、空港での貴賓室使用をせざるを得なかったのは、おそらく都知事の海外出張でうまくスケジュールが組めなかったからだろう。実際、海外要人のアポイントメントを事前にうまくやっておけば、『要人の急な面会』(これは実際にはなかったようだ!)のためにスイートルームなんて不要だし、空港での貴賓室使用もありえない。

「都市外交」がどこまで成り立ちうるか

  実は、うまく事前にスケジュールを組めないという点にこそ、本質的な問題が隠されていると筆者は考える。つまり、舛添知事のいう「都市外交」がどこまで成り立ちうるかということだ。舛添都知事は、地方自治体であっても「外交」すべきという持論をもっている。自らの語学力を生かしたいという気持ちもあるだろうし、これまで学者生活や国政で、舛添氏の売りは「外交」であった。猪瀬直樹・前都知事のあと急遽、舛添氏は都知事になったわけだが、筆者は一種の場違いなものを感じた。

  いうまでもなく、外交は国レベルで行うもので、地方自治体はそもそも「外交」を行う主体でない。いくらこちらが叫んだとしても、相手国でも地方自治体に「外交」を認めるわけもなく、せいぜい「友好都市」レベルの話である。

  であると、海外訪問するといっても、相手国の都市も最優先事項ではなく(相手の事情でアポイントメントはキャンセルされる)、スケジュールは組みにくい。このため、必要以上の経費がかかっているのだろう。

  舛添知事の「都市外交」は、やりたくても、実行するための基盤ができていないのだ。「都市外交」そのものについて意見はいろいろあるだろうが、筆者としては理念が素晴らしくても、それが実行できなければ意味は乏しいと思う。特に、相手の事情を考えると、訪問されるのは悪い気はしないが、「外交」しようといわれると気が引けるだろう。

  庶民感情から、海外出張費が高いという背景には、地方自治体で行うべき優先事項に外交が入るか、という根本論がある。

++ 高橋洋一

【私の論評】都知事には戦時米国大統領並の強力な権限があることを認識せよ(゚д゚)!

上の高橋洋一氏の記事にも掲載されていますが、地方自治体の外交なんてせいぜい「国際親善」の枠を出るものではなく、とても外交などといえるものではないです。

都市外交は国際親善に過ぎない?
いくら、こちら側が都市外交などと考えて、勇んで海外に赴いたところで、相手側はそうは思わないです。私自身、過去にある地方自治体の都市外交に関わりを持ったことがありますが、やはり所詮国際親善に過ぎないものであり、地方の役人には、そもそも本気でやる気などないというか、やり方もわからないようだし、成果を上げることもありませんでした。

やはり、都市外交など所詮、地方自治体が行うべきこととしては、優先順位はかなり低いと言わざるを得ません。はっきり言えば、物見遊山プラスアルファの域を出ないものに過ぎません。

舛添氏の別荘
ほぼ毎週別荘に、公用車で通うというのも、常識的には考えられないことです。

舛添知事は、災害が起きても副知事が代理を務めるから問題ない、どこにいようがそこから指揮すればよいと発言しました。しかし、知事が「問題ない」と思っていることこそが大問題です。知事が、別荘に行くのは結構ですが「毎週」は常識の範囲を超えています。なおかつ、公用車で行くというのも不適切です。

知事は、災害時は代理がいるといいますが、それなら知事などいなくて良いです。正気の沙汰とは思えません。道が寸断され都庁に入れなくなり、電話や無線が繋がらない状況で膨大な情報をどうやって受け取るというのでしょうか。情報なくして指揮などできる訳がありません。

知事はルールに従っているといいますが、それはルールを悪用しているだけです。確かに送り元か送り先のいずれかが公務であれば公用車は使える規則ですが、2時間近く離れた他県の別荘となれば話は別です。これは「権利の濫用」といわざるを得ません。ルールに反しなれけば何をしても良いというのはまるで、厨二病の論理です。

それにしても、どうして舛添知事がここまで増長してしまったのでしょうか。こうなる前に、マスコミも、自民公明党ももっと厳しいく舛添に接するべきだったでしょう。いままで、甘やかしてきたので、増長したという面は否めません。

しかし、甘やかされたことだけが、増長の原因ではないようです。敗戦後の米国統治下で、国からの任官であった知事職を公選制にした事が問題の根底にあります。そして、首長と議会の間で首長の権限が強すぎるのがもっと大きな問題です。 今の議会は首長のチェック機関に過ぎません。


実際、特に都知事は強力な権限を持っています。その権限はどこから出てくるのか以下にまとめます。

(1)1000万人の有権者から直接選ばれる。

(2)都の予算規模は韓国の国家予算なみ、職員数は17万人。さらに都知事の裁量権も大きい

(3)大統領制の都知事は身分が安定し4年間全力投球できる(首相のようにすぐに変わらない)

(4)合議制内閣の首相より、一人で意思決定できる独任制の都知事のほうが、強いリーダーシップを発揮できる

上記の(3)で大統領制と書きましたが、これは少し誤解を招くかもしれません。大統領制というと、アメリカの大統領制を思い浮かべる人がいるかもしれません。そうして、多くの人はアメリカ大統領というと、強力な権限を背景に強烈なリーダーシップを発揮できると考えている人も多いです。

しかし、これは大きな間違いです。アメリカの大統領は、平時においては世界のリーダーの中でも、最弱と言っても良いくらい、権限がありません。このことをトランプ氏もあまり理解していないかもしれません。極端なことを言うと、議会の承認がないと何もできないと言って良いくらい、大統領の権限は弱いです。

ただし、米国が戦争に突入すると、これが一変します。議会が戦争することを承認すると、途端に多くの権限が大統領に集中し、大統領が戦争に勝つために強大なリーダーシップを発揮できるようになります。

だから上記の(3)は正確には、"アメリカの戦時の大統領に近い強力な権限を持つ都知事"としたほうが良いかもしれません。無論、その権限の範囲は東京都内のみであり、自衛隊など国の機関や組織には及びませんが、それでも人口はニュージーランドや、スウェーデンなどよりもはるかに多い1000万人もいて、韓国並のGDPがあります。

しかし、都知事の権利は、これだけではありません。都知事というポストが持つ実権としての権力よりも、潜在的な権力が都知事をさらに大きく見せているのです。

例えば国際社会においても、東京はあまりにも強大な影響力を持っています。金融市場はニューヨーク、ロンドン、そして東京の動きが大きく影響を与えます。また、国内においても国内総生産(GDP)の約2割、国税収入の約4割を東京が占有しています。主要テレビのキー局が全て東京にあり、情報発信力の高さも見逃せません。

これだけ強力な権限があるわけですから、舛添氏にとっては、まさに東京都知事という役職は鬼に金棒です。だからこそ、最近はマスコミなどから批判されても、全く屁の河童なのです。

今後もあまりにも目に余るあることがあれば、リコールということも考えられますが、前回の都知事選、舛添氏は当然のトップで当選ですが、2位が共産系の宇都宮氏、3位が細川氏でした。しかも2位3位を合わせると舛添氏の得票を超えます。 

そうなると、リコールもなんというか、恐ろしいことになりそうです。以下に、2014年の都知事選の結果を掲載します。


以下に、2014年東京都知事選候補者の主な政策と選挙結果を掲載します。



選挙結果
候補者名得票数
<当選>ますぞえ要一2,112,979(市区町村別)
宇都宮けんじ982,594(市区町村別)
細川護熙956,063(市区町村別)
田母神としお610,865(市区町村別)

これ以下の、候補は得票数が桁違いに低く、泡沫候補に過ぎないので掲載しません。そうなのです。何と、第4位には、最近逮捕された田母神氏がいました。

もし、まかり間違って田母神氏が東京都知事になっていたとしたら、政治資金であのような問題を起こしているのですから、ひよっとすると舛添氏よりも酷いことになっていたかもしれません。

消去法でいけば、やはりあの時は、舛添氏に投票したのは仕方なかったのかもしれません。その意味では東京都民は、まともな選択をしたといえます。

やはり、都民としては、舛添氏に対してこれからも、非常識なことは徹底的に批判し、舛添氏に改めるようにもっていくべきです。マスコミ、自民・公明ももっと、厳しく対応すべきです。

そうして、最後の結論ですが、ひよっとすると、泡沫候補の中にも、上位5人よりもまともな候補者がいたかもしれません。今後の選挙においては、東京都知事とは、上記で述べたように、かなり強力な権限があることを念頭において、まともな人物を選ぶことが非常に重要であることを認識して投票すべきです。

都民にとっては、都知事選挙のほうが、自分たちに直接関わるということと、東京都知事は強力な権限を持っていることから、国政選挙よりもはるかに重要であると認識すべきです。

【関連記事】


タマキ フジエが東京都観光ボランティアのユニフォームをデザイン―【私の論評】未来の日本人のライフ・スタイルを予感させ、海外からも賞賛され、共感を得られる野心的なものにして欲しい(゚д゚)!



【関連図書】

都知事―権力と都政 (中公新書)
佐々木 信夫
中央公論新社
売り上げランキング: 92,193

東京人 2016年 05 月号 [雑誌]

都市出版 (2016-04-02)

東京都謎解き散歩 23区編 (新人物往来社文庫)

新人物往来社
売り上げランキング: 360,319

「リパトリ減税」効果は期待薄 円安対策として注目も…「30万円還元」や「消費税ゼロ」など本格対策からの目くらましだ―【私の論評】リパトリ減税は円高是正に効果なし!為替レートの中長期動向と適切な政策は?

高橋洋一「日本の解き方」 ■ 「リパトリ減税」効果は期待薄 円安対策として注目も…「30万円還元」や「消費税ゼロ」など本格対策からの目くらましだ ■ 高橋洋一 まとめ リパトリ減税の効果は限定的で、法人税減収額はせいぜい数千億円程度にとどまる可能性がある。 本格的な円安対策として...