2016年9月27日火曜日

【朝日新聞研究】参院選「18歳選挙権」 朝日新聞の姿勢がよく表れたシールズ「解散報道」―【私の論評】情報操作がひときわ目立つ朝日、今のままではいずれ存続困難に(゚д゚)!

【朝日新聞研究】参院選「18歳選挙権」 朝日新聞の姿勢がよく表れたシールズ「解散報道」

「18歳選挙権」や「SEALDs」に関する朝日新聞の記事
写真はブログ管理人挿入。以下同じ。
昨年秋に安全保障関連法制が成立した。劣勢を挽回しようとした野党陣営にとって、今年7月の参院選が重要な目標になった。朝日新聞も一貫して安保法制には反対してきた。そこで注目したのが、今回の参院選から始まった「18歳選挙権」だったのだろう。

 朝日新聞は昨年12月22日から今年6月19日まで、断続的に「私たちも投票します・18」という大型企画を掲載した。第1部から第4部まで、実に計14回。新たに選挙権を得る若者の代表としてアイドルグループ「AKB48」の3人が登場し、憲法学者の木村草太氏と、ジャーナリストの津田大介氏と対話しながら、政治や選挙について学ぶものだ。

 18歳選挙権について、朝日新聞はこれ以外にも多くの記事を掲載し、若者にアピールしていた。中でも、学生グループ「SEALDs(シールズ)」については、細かくていねいに報道していた。

 ところで、参院選の結果はどうだったのか。

 朝日新聞の頑張りにもかかわらず、野党に投票した若者は少なかった。

 共同通信の出口調査で、18、19歳の比例代表の投票先は、自民党が40%で、公明党が10・6%と、与党だけで半数を超えた。野党支持者は高年齢層に多かった。朝日新聞のキャンペーンは失敗したようだ。

 シールズは予告通り、その後解散したが、朝日新聞による大々的な「解散報道」には、同紙の姿勢がよく表れている。

 まず、8月14日に「あす解散」という予告記事を打ち、16日夕刊で当日行われた記者会見を報じた。17日には「市民が争点作る 種まいた」という大型記事と社説を載せ、18日から27日まで「街頭政治 SEALDsが残したもの」という9回もの連載を掲載した。まさに洪水のような報道ぶりだった。

 その中身は、終始シールズ称賛に感じた。今回の野党共闘が実現したのは、シールズのおかげであるかのような論調だった。薩長同盟の坂本龍馬のごとき持ち上げ方である。記事を読む限り、朝日新聞とシールズの関係は、取材者と取材対象というより、一心同体のように思えた。

 参院選の1人区で一定の当選者を出したことを、大きな成功と捉え、次への夢をつないだと評価するわけである。ただし野党共闘は7月末の東京都知事選でも実施され、シールズも支援していた。この都知事選の大敗北については、この大量な記事では言及されていない。

 連載の9回目で、シールズの活動を当初から見ていたという、作家で明治学院大学教授の高橋源一郎氏が「彼らを『若者の代表』に祭り上げたのはマスコミだと思います」と語っていた。語るに落ちるとは、このことではないか。

 酒井信彦(さかい・のぶひこ)

酒井信彦氏

【私の論評】情報操作がひときわ目立つ朝日、今のままではいずれ存続困難に(゚д゚)!

今年の参院選から始まった18歳参政権
朝日新聞の語るに落ちる紙面については、他の方も批判しています。その記事を以下に引用します。

それは、門田隆将氏の記事です。以下にリンクを掲載します。
【門田隆将の新聞に喝!】“ご注進”を続け自国を不利にする新聞…有様を教えてくれる真夏の紙面
2016.8.29 03:00

国会前でリズムに乗って安保関連法案への反対運動を
繰り広げたシールズのメンバーら=2015年9月
 毎年8月の紙面は、各紙の特徴が出るので興味が尽きない。今年は17日付紙面に目が留まった。仕事柄、毎日、全紙に目を通している私も、朝日の報道に驚きを禁じ得なかった。 
 1面の題字下の目次欄に〈SEALDsが残したもの〉という見出しのもとに〈街頭デモから新しい政治のあり方を模索してきた学生団体「SEALDs(シールズ)」が解散した。彼らが残したものを追った〉という紹介文があったので、朝日がずっと支援してきたあの学生たちの組織が解散したことを知った。ページを繰(く)ってみると、2面に、これでもかというほどの礼讃(らいさん)記事が並んでいた。 
 〈市民が争点作る 種まいた〉〈国会デモ・野党共闘…シールズ解散〉〈東アジアで先行 若者連携〉といった見出しが躍り、さらに、10面の社説では、〈個人の連帯これからも〉と銘打って、その意義を謳(うた)い、解散を惜しんだ。朝日がシールズ解散を報じた行数は、社説も含め、実に総計285行に及んだのだ。

 私には、特に台湾のひまわり学生運動や香港の雨傘運動の若者たちと同列視し、記事をシールズの奥田愛基氏の〈「香港だって台湾だって、実際に政治を動かすまで数年かかっている。日本の動きは始まったばかりだ」〉とのコメントで締めていたのには、二の句が継げなかった。 
 目前に迫った中国による人権抑圧と必死に闘う台湾と香港の学生たちの運動と、逆に、1992年に定めた「領海法」によって日本領の尖閣(中国名・釣魚島)を「自国の領土」とし、紛争を前提に挑発を繰り返す中国の側を喜ばす主張を展開するシールズを「同列に位置づける」神経に言葉を失ったのだ。 
 尖閣を守るため、つまり、「戦争を防ぐ」ためには、当該海域での日米の連携を強化し、中国に「手を出させない」体制を構築することは急務だ。そのために18年ぶりに改定された日米ガイドライン協議があり、安全保障法制があった。だが、シールズには、そんな安全保障上の危機感もなければ、昔ながらの左翼陣営の主張に丸乗りした現実無視の「観念論」しかなかった。
彼らの主張は若者にさえ受け入れられず、逆に参院選では、20代の若者の43%が、比例投票先が自民党となる結果を生んだのではなかったのか。 
 一方、同じ日の産経紙面には、尖閣に押し寄せた400隻もの中国漁船に、100人以上の中国民兵が乗り込み、漁船には、貢献の度合いに応じて数万から十数万元の手当が出ていることがすっぱ抜かれていた。 
 新聞には、世の中の出来事を正確に伝え、警鐘を鳴らす役割がある。しかし、日本には悲しむべきことに、相手国に“ご注進”を続けて外交カードを与え、自国を決定的に不利な立場に追い込む新聞が存在する。8月は、そんな日本の新聞の有様(ありさま)を国民に示してくれる貴重な時期である。今年も、そのことをじっくり考えさせられた夏となった。 
                  ◇ 
【プロフィル】門田隆将 かどた・りゅうしょう
門田隆将氏
SEALDsに関して、経済史の田中秀臣氏も、批判しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
田中秀臣の超経済学連載  まさに不勉強の産物! SEALDsは「貧困プロパガンダ」で自滅した
これも、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、以下に一部だけ引用させていただきます。

アベノミクスが格差拡大や貧困を加速したという証拠は、2015年当時も現在も代表的なデータは事実上ない。つまりSEALDsの勝手な思い込みにすぎないのだ。例えば、貧困率は2012年までしか利用できず、ジニ係数の推移は2010年までしか利用できない。 
経済格差は高齢化とともに拡大する傾向にあるが、現段階の雇用状況の大幅改善、雇用者報酬の増加、さらには最近の実質賃金の増加傾向も含めると、安倍政権の政策の結果で貧困や格差が増加しているようには思われない。 
もちろんさらに経済状況を改善する余地があるとか、または現状の消費低迷からくる経済低迷(停滞ではない!)を改善するという主張なら賛成である。しかしSEALDsはまずアベノミクス全否定ありきなのだ。こんな事実に支持されず、また若い世代の実感にも乏しいオピニオンが支持されるわけがないだろう。
上武大学ビジネス情報学部教授田中秀臣氏
朝日新聞が、SEALDsがあたかも、若者の代表による政治運動をする団体であるかのように印象操作したのは、確かなようです。

この印象操作は、今のところ全く成功していないようです。これは、昨日のこのブログに掲載した記事のテレビのキャプチャー画像をご覧になれば、一目瞭然です。その画像を以下に掲載します。


何と、最近のFNNの世論調査では、10代・20代に限ってみると、安倍内閣支持率は団゛位で72.7%、女性では64.7%です。

そうして、これは多いに納得できる統計値です。この年代だと、高校・大学ということになると思いますが、安倍内閣になってから、高卒・大卒の就職率は数十年ぶりの良さです。

わずか数年前まで、最悪であったことを考えると、隔世の感があります。やはり、この年代では、就職が大きな関心事だと思います。この年代では、劇的に雇用が改善されたことを実感していると思います。そうして、これは安倍政権になってからの、金融緩和による成果です。

事実、就職担当の高校の先生や、大学の教授などは口を揃えて就職率が良くなったと言います。これに対して、これ以外の年齢層ではまだ、あまり賃金などの雇用情勢が良くはなっていないので、安倍内閣の経済政策の恩恵を受けていないのでしょう。それにしても、安倍内閣支持率56.6%に上昇しています。

いずれにしても、10代・20代がこれだけ安倍内閣を支持しているということは、SEALDsが若者の中でも少数派であることを裏付けているものと思います。

朝日新聞というと、最近でも情報操作をうかがわせるような記事を掲載していました。それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
朝日新聞が戸惑う「改憲賛成」圧倒多数―【私の論評】どうして朝日新聞独自の調査では全く逆の結果がでるのか?

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、朝日新聞が9月7日朝刊で報じた朝日新聞と東大谷口研究室共同調査との合同世論調査において、で憲法改正の賛成が反対の2倍近く、つまり圧倒的に上回るという結果が出たことを掲載しました。

しかし、朝日新聞はこの結果をどう報じたのかといえば、以下がその記事の見出しは、≪7月参院選の投票先 憲法重視層は民進 経済分野自民強み≫というものであり、これはどう考えても情報操作としか思えないことを掲載しました。
さらに、この共同調査は、朝日新聞が憲法記念日を前に実施した世論調査、さらにその前の世論調査〈3・4月実施〉とも真逆の結果になっていることを掲載しました。

そうして、どうして真逆になるかの私なりの分析として、アンケートの質問方式に原因があるように思えることを掲載しまた。この記事、まだご覧になっていないかたは、是非ご覧になって下さい。

このような朝日新聞の情報操作は、新聞としては、決して許されないものです。

さて新聞購読者数の推移はどうなっているのか、朝日新聞も含めた全国紙の推移を以下に掲載します。

元々各紙とも販売部数が大きいため、その変移だけでは動向が把握しにくいのも否めません。そこで切り口を変え、その流れを確認していくことにします。まずは前半年期比。単半年期のグラフは半年ごとの定点観測記事で掲載しているのですが、その値をつなぎ合わせたものですが、産経新聞がイレギュラー的な値を示しており、やや見難いものとなったため、産経新聞をのぞいた版も併記します。

↑ 主要全国紙の朝刊販売数変移(前半年期比)
↑ 主要全国紙の朝刊販売数変移(前半年期比)

↑ 主要全国紙の朝刊販売数変移(前半年期比)(除く産経)
↑ 主要全国紙の朝刊販売数変移(前半年期比)(除く産経)

要は前回(半年前)販売数と比べてどれだけの割合で増えたか、減ったかを示すものですが、基準となるゼロ%より下の領域で多くの線が行き来していることから分かる通り、新聞の販売部数は総じて減少傾向にありま。また個別の新聞における傾向を見ると、以下の様になります。
・読売新聞…健闘はしていたが1000万部割れの2011年前半期以降失速へ。特に2年前に生じた下落ぶりが著しい。 
・朝日新聞…2010年から下落加速化。2014年後期から2015年前期は前例のない下げ幅で、ようやく直近では加速感が収まった。ただしマイナス1%台の高い下げ率は維持。 
・毎日新聞…2008年以降は下落。2010年前半期の下げが一つのピーク。最近は下げ幅縮小だったが。前半期で再び加速化、直近半期で前回ピークを上回る下げ幅を見せる。
・日経新聞…2011年前半期に一時持ち直すも再びマイナス圏に。2013年が下げ幅ピークで最近は持ち直しを見せる。 
・産経新聞…押し紙制度廃止の影響(?)が極めて大きい。その後は復調・横ばい。ここ1、2年は部数上乗せの機会も
産経新聞は、2009年に押し紙を廃止しています。朝日新聞を含め、他の新聞は今でも押し紙をしています。
朝日新聞今後も上記で指摘したような、報道続けていくようであれば、将来も存続し続けることは難しいでしょう。無論、他の新聞も似たり寄ったりのところはありますが、朝日新聞が印象操作で導こうする朝日新聞の理想像と、現実が乖離しており、この乖離が誰の目にも明らかになるときは必ず、来ます。それでも報道姿勢を改めない時は、購読者数が激減して、維持できなくなることでしょう。

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2016年9月26日月曜日

安倍首相「1月解散」は意外と本気 維新150周年に意欲―【私の論評】年末・年始選挙になれば、安倍超長期政権が誕生が確実に(゚д゚)!

安倍首相「1月解散」は意外と本気 維新150周年に意欲

安倍総理の地元山口県では「山口観光振興条例」を
制定し明治維新150年を盛大にアピールしようとしている
 相次ぐ台風で日本各地に大きな被害が出る中、臨時国会が始まったばかりの永田町では突風のような「解散風」が吹き始めた。きっかけは日経新聞の〈来年1月解散説 永田町に浮上〉(9月17日付朝刊)記事だった。

 麻生太郎・副総理が派内に「理論上は1月解散はありうる。しっかり準備しておけ」と指示を出しており、安倍首相は12月の日ロ首脳会談で〈北方領土問題を前進させる政治決断を下し、その信を国民に問う--との観測だ〉という内容だ。

 とはいえ、首相は7月の衆参ダブル選挙を断念したばかりだ。自民党内では「高齢で強面、決して世論受けがいいとは思えない二階俊博氏が幹事長に起用されたことで総選挙は遠のいた」との見方が強まっていただけに、解散説は寝耳に水。

 選対のベテラン幹部は「複数の新聞記者から1月解散の問い合わせがあったが、ありえないと答えた。官邸から選挙準備の指示は何も出ていない。新聞社がネタがないときによくやる観測記事の類だろう」と一笑に付している。

 しかし、火のないところに煙は立たない。官邸筋は「解散はある」とこういう。

 「官邸の有力なスタッフが総理に1月解散を進言し、総理も本気で解散を視野に入れている。総選挙に勝って国政選挙5連勝となれば、自民党総裁任期を延長して安倍総理が東京五輪を迎えることに党内の誰も文句を言えなくなる」

 実際、自民党の総裁直属機関、政治制度改革実行本部では党内の反対を押しつぶすような強引なやり方で任期延長の党則改正手続きが進んでいる。

 本部長の高村正彦・副総裁は同本部の初会合(9月20日)でいきなり現在2期6年の総裁任期を「3期9年」に延長する私案を提出し、安倍首相から直接、「総裁任期の延長を検討してほしい」と本部長就任を要請された内幕を明らかにした。

 いくら安倍首相が「任期延長は全く考えていない」と否定しても、首相の特命なのはバレバレなのだ。

 首相自身、この夏、地元・山口での講演で任期延長への意欲をにじませた。明治維新から50年後に山口県出身の寺内正毅、100年後に大叔父の佐藤栄作が首相を務めていたことに触れ、こう語った。

 「私は山口出身の8人目の首相。何とか頑張って平成30年(2018年)までいけば、(明治維新150周年も)山口県出身の安倍晋三が首相ということになる」

 明治維新150周年は2018年10月だが、安倍首相の総裁任期はその前の同年9月に切れる。首相として山口で予定されている「明治維新150周年事業」のイベントに出席し、故郷に錦を飾るには任期延長が不可欠なのだ。

 官邸は解散・総選挙をにらんだ政治日程を組んでいる。例年1月の通常国会召集前に開催する自民党大会を来年は3月に延期することを検討していることだ。

 「総裁任期を延長する党則改正は党大会の承認が必要だが、年末にかけて臨時国会、予算編成と日程が立て込んでいる。党大会を1月に開くと意見集約が間に合わない恐れがある」

 自民党幹部はそう解説するが、理由はそれだけではない。

 安倍首相が「消費税増税見送り」を掲げて解散した前回総選挙(2014年12月)の後も、翌年1月の党大会を3月に延期した。今回、執行部が強引に突破すれば1月党大会での党則改正は十分可能なはずだが、あえて党大会日程の延期を検討しているのは、あらかじめ選挙日程を空けておくためとみれば合点がいく。

 ※週刊ポスト2016年10月7日号

【私の論評】年末・年始選挙になれば、安倍超長期政権が誕生することに(゚д゚)!

上の記事のように、新年明けそうそうの解散総選挙について別のソースの報道がありました。それは産経新聞によるものです。

以下にその記事を引用します。
政府・与党に「1月解散」風じわり 日露首脳会談、自民党大会、都議選、新「区割り」、総裁任期、そして弱い野党…にわかに浮上
キューバの首都ハバナで行われた署名式でラウル・カストロ
国家評議会議長(中央右)と拍手する安倍首相(同左)=22日
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部だけ引用させていただきます。
 政府・与党内に「早期解散」風がじわりと吹き始めた。安倍晋三首相は12月にロシアのプーチン大統領を地元・山口県に招いて首脳会談を行うが、北方領土返還交渉の「成果」を手に、来年1月の通常国会冒頭で衆院解散・総選挙に踏み切るとの見方だ。新体制に移行した民進党は勢いを欠き、野党共闘の態勢が整っていないことも早期解散説に拍車をかけている。
そうして、来年の年明け選挙の根拠として、その信ぴょう性を裏付けるデータとして、安倍政権の支持率が最近60%台を回復したということもあります。以下に日経新聞のグラフを掲載します。


いくら、解散総選挙の条件が整ったにしても、支持率が低下していれば、総選挙などなかなかできるものではありませんが、支持率が回復基調です十分解散総選挙を視野に入れることができます。

支持率に関しては、FNNの調査では驚くべき者がありました。


FNNの世論調査によれば、3カ月連続の上昇傾向となりました。
FNNが、18日までの2日間に行った世論調査で、安倍内閣を「支持する」と答えた人は、8月より1.2ポイント増えて、56.6%、「支持しない」人は、0.2ポイント増えて、33.3%でした。

「10代・20代」に限ると、男性の7割以上(72.2%)、女性の6割台半ば(64.7%)が、安倍内閣を「支持する」と答え、内閣支持率を押し上げています。

安倍首相は今年の参議院選挙前に衆議院を解散して衆参同時選挙を行うつもりであったであろうことは、このブログでも何度か掲載しました。安倍内閣支持率は当時高く、伊勢志摩サミットの直後となれば、さらに支持がアップすることが期待できました。

ところが、熊本地震が4月に発生し、大きな被害をもたらしました。しかも、その後も余震が頻発し、状況が定まりませんでした。結局衆議院解散に踏み込むことはできませんでした。また舛添東京都知事(当時)の一連の問題も騒がれました。自民党が舛添氏を擁立した経緯もあり、安倍自民には決して順風ばかりではなくなってしまいました。

イギリスのEU離脱決定で、世界経済への不安も生じました。仮に衆参同時選挙となっていたら、自民党が衆議院で大勝していたかは分からないです。ぎりぎりの勝利で改憲派で3分の2は難しかったかもしれないです。

これで近々の衆議院解散はなくなったと見えました。安倍氏の自民党総裁としての任期は2018年9月まです。消費税増税は2019年10月まで引き延ばし、影響が当分ない状態にしました。

そうして、2018年夏まで解散せずに、それまでの間に憲法改正まで一気に持ていきたいというのが新たなシナリオになったと見えました。早期の解散をすると、民進党の代表選で決まる「新しい顔」で民進党が善戦したら全てのシナリオが狂うというリスクもありました。

しかし、政治の世界は一寸先が闇と言われますが、状況が一気に変わりました。民進党の新しい顔に蓮舫氏が選出されたのですが、この選挙戦の最中に蓮舫氏の二重国籍問題が浮上しました。

民進党は「つまらない男」から「ユニークな女」への交代で一気に再生を目指す目論みであったのでしょうが、このシナリオは大きく壊れました。代表辞任や議員辞職を求める声さえあります。

代表戦で民進党の代表は蓮舫氏に決まったが・・・・・
今後、手ぐすねひいて国会で徹底追求をしようとする議員が結構存在するものと思います。今までのところ、この二重国籍問題あまりネガティブ・イメージはないようにもみえますが、国会で徹底追求ということにでもなれば、かなり民進党のイメージは悪くなるのは必定です。

民進党は、幹部の中にもこの問題を軽く考える人も大勢いるようですが、決してそうではありません。このブログでも掲載したように、台湾と日本は明らかに利益が相反するところがあります。利益が相反する国の国籍を持った蓮舫氏が国会議員であったこと自体も大問題です。蓮舫氏は代表選を辞退すべきでした。国会で、この問題を複数の保守系議員が徹底追求するのは目に見えています。

はっきり言ってしまうと、民進党も蓮舫代表も自ら茨の道を選んでしまったと言っても過言ではありません。

蓮舫代表と民進党を待ち受ける茨の道?
民主党政権が崩壊してから4年近くが経ち、厳しかった批判もやや和らぎ始めていたのですが、これでまた波に乗るのは難しくなりました。蓮舫氏はこれまでもスキャンダル報道で苦しんできたのですが、民進党代表となるとさらに注目を浴びます。この二重国籍問題だけでもダメージは大きいですが、舛添氏のように次々と批判報道が続く可能性もあります。

現在、自民党総裁の再選を3期、あるいはそれ以上に延ばすルール改定が議論されています。早々の衆議院解散総選挙でまた自民党が大勝するなら、総裁の任期のルール改定も賛同が得られやすくなります。今、解散しておけば、次の解散総選挙は東京オリンピック前か直後でも構わないです。オリンピックの高揚したムードの中で総選挙ということになります。憲法改正までの時間も十分取れるます。

年末・年始の総選挙となれば、野党は準備不足です。この年末には、安倍首相はプーチン大統領との日露首脳会談を山口で持つことが予定されています。北方領土問題での進展もあるかも知れないです。

オバマ大統領が広島を訪問したことに対して、今年は安倍首相がパール・ハーバーを訪れることも提案されています。オバマ大統領との最後のツーショットやもし可能なら、新大統領予定者との対談などができれば、日米間の関係強化をアピールできるでしょう。そうした余韻のもとに年末・年始のいきなりの衆議院解散総選挙は「ありうるシナリオ」です。

安倍政権は超長期政権となる可能性が高まってきたようです。

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2016年9月25日日曜日

【コラム】ナチスを震え上がらせたスイスの「精神防衛」に学べ―【私の論評】『頭の中のお花畑』から『精神防衛』への転換が重要な課題(゚д゚)!

【コラム】ナチスを震え上がらせたスイスの「精神防衛」に学べ


先月、訓練中のスイス空軍の戦闘機がアルプスで消息を絶った。「アルプス山脈のどこかに墜落したものとみられる」というニュースを読んだが、戦闘機が飛び回る「アルプスの国」を思い浮かべるのはおかしな気分だった。スイスは平和な永世中立国ではないか。しかし、それはイメージだけだ。安全保障の観点から見ると、意外に堅固な国だということが分かる。

スイスは、ドイツ・イタリア・フランス・オーストリアなど大国に囲まれた、巡り合わせの悪い国だ。第2次世界大戦時、ナチス・ドイツはスイス侵攻説を流し続けて政治的・経済的・軍事的に脅しをかけることで、スイスを心理的に圧迫した。しかし、スイスを攻撃することはついにできなかった。スイスの断固たる対応が、ドイツの侵攻の意思をくじいたからだ。

帝国議会でナチス式敬礼を受けるヒトラー(白い演壇の一つ下、黒い演壇で敬礼に
応えている)、ベルリン、1941年。写真はブログ管理人挿入以下同じ。
 豊かな国になった現在も、それは変わらない。スイスの情報機関「連邦情報部」(NDB)は、今年の年次報告書で「スイス国内でますます大きくなる中国の経済的、イデオロギー的影響力に警戒すべき」と警告した。そして、ジュネーブやバーゼルにある中国の「孔子学院」を要注意リストに載せた。NDBのマルクス・ザイラー長官は「中国への経済的依存度が高まる状況はスイスにとって脅威になっており、孔子学院は影響力拡大を狙った中国の戦略の一つ」と分析し「世界2大国へと浮上する中国の外交的・安全保障的影響力は南シナ海を超え、いずれ全地球的なレベルで影響を及ぼすだろう」という見方を示した。

ザイラー長官の警告は、ちょうどスイスにチャイナ・マネーが流れ込みつつある時点でなされた。このところ、スイスは中国との自由貿易協定(FTA)締結で貿易額が激増し、観光客も流れ込んでいる。中国からほぼ8000キロ離れたスイスの対応は、安全保障とは銃剣だけでやるものではない、ということを教えている。中国とは地球の反対側にある国ですらその脅威を警戒する姿は、韓国人に真剣な問いを投げ掛ける。韓国はこれまで中国の急成長がもたらす利益に酔い、政府・企業・国民問わず、国を挙げて自ら弱点をつくり上げてきたのではないかと。

杭州の主要20カ国・地域(G20)サミットで習近平国家主席は、韓国と米国に向けて、高高度防衛ミサイル(THAAD)配備に反対する意向を明らかにした。中国のTHAAD攻勢は、どのような形にせよ、再開されるだろう。あちこちの集会で司会者として登場するある芸能人は、THAAD反対の集会で「なぜ安全保障問題の代案を国民に要求するのか。それをやらせるために、大統領と国会議員を選んだのではないか?」と主張した。国民の決意に満ちた態勢こそ安全保障の核心と考えるスイス人がこの言葉を聞いたら、何と言うだろう。

人口も軍事力も貧弱なスイスが見せつけたのは、「精神防衛」という価値の下、がっちり一団になった国民の気勢だった。「国民全てが軍人であり、自分が立っている場所が要塞(ようさい)」「侵攻するならしてみるがいい。スイスは、勝つことはできないだろうが、お前たちも壊滅に近い損害を被るだろう」というメッセージを投げ掛けた。ドイツは、その覚悟が口先だけの脅迫と考えることはできなかった。貧しい祖国を食べさせていくため、他国の雇い兵として馳(は)せるときにスイス人が見せる勇猛さを、よく知っていたからだ。はっきり目に見える「戦略的損失」を前に、ドイツは野望を引っ込めることしかできなかった。「ハリネズミ戦略」とも呼ばれるスイスの防衛態勢は、「自分たちのほかは誰も信用できない」という安全保障面での覚醒があったから可能だった。

李吉星(イ・ギルソン)北京特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

【私の論評】『頭の中のお花畑』から『精神防衛』への転換が重要な課題(゚д゚)!

日本では、スイスは永世中立国で、専守防衛の国だとして、リベラルの方々が褒めそやすくにですが、実像は上の記事をみてもわかるように全く違います。


スイスは、日本のように「軍事力の放棄」することなく、「軍事力を保つ」ことによってその独立と平和を守っています。しかもそれだけではありません。常に独立と平和を守れるように、「民間防衛」というマニュアルを、スイス政府自らが編集し、全スイス国民に配布しています。

この本の範囲は、戦時中の避難方法から、占領された後のレジスタンス活動方法まで非常に多岐に渡ります。その中でも、「戦争のもう一つの様相(P225~P272)」は、現在の日本に非常に参考になります。

なぜなら、最近の日本と周辺国(中国、韓国、北朝鮮)の状況が、この本に記述されている「敵に武力以外による攻撃を受け、破滅へと導かれる状態」と非常に良く似ているためです。以下に『民間防衛』というスイス政府が編纂した書籍の日本語訳の書籍の表紙の写真を掲載します。

民間防衛―あらゆる危険から身をまもる

日本が、集団的自衛権をやめて、専守防衛をするというのなら、スイスのようにならなければ、とても日本を守り切ることなどできません。

『民間防衛』に関しては、その内容を簡潔にまとめているサイトが存在しました。そのサイトから以下にリンクを掲載します。

■メインコンテンツ
「民間防衛」からの引用とその解説です。時間がなければ「重要」の部分だけでも目をとおしてください。 
・はじめに・敵は同調者を求めている1 / 眼を開いて真実を見よう・敵は同調者を求めている2 / 社会進歩党は国を裏切るだろうか・外国の宣伝の力 / 不意を打たれぬようにしよう重要敵はわれわれの抵抗意志を挫こうとする / 警戒しよう・敵は意外なやり方で攻めてくる / 自由と責任・敵はわれわれを眠らそうとする / われわれは眠ってはいない・スポーツも宣伝の道具 / 真のスポーツ精神を守ろう・われわれは威嚇される / 小鳥を捕らえる罠・経済的戦争 / 経済も武器である重要革命闘争の組織図・中まとめ・敵はわれわれの弱点をつく / スイスは、威嚇されるままにはならない・混乱のメモ / 健全な労働者階級はだまされない重要危機に瀕しているスイスに、人を惑わす女神の甘い誘いの声が届く/ 心理戦に対する抵抗重要政府の権威を失墜させようとする策謀1 / 政府と国民は一致団結している重要政府の権威を失墜させようとする策謀2 / それにもかかわらず、国民と政府は一致団結している重要政府の権威を失墜させるための策謀 / 国民と政府は動揺しない・内部分裂への道 / 自らを守る決意をもっていれば重要滅亡への道……… / 法と秩序が保たれれば・スイスが分裂していたら / スイスが団結していたら
・首に縄をつけられるか / われわれは他国に追随しない・終局 / スイスにはまだ自由がある・おわりに
さて、このようなマニュアルを配布し、国民皆兵制のスイスでは日本では決してお目に書かれない、非日常的な風景が普通にみられます。その写真を以下に掲載します。

自宅に対空機関砲を備える人。いざとなったら、これで
迎え撃つ。機関砲を構えてご満悦。替え銃身も揃えていそう。
それと以下にネットで拾った、スイスのスーパーマーケットの写真を掲載します。

スイスでは、日常風景のこの写真。写真の方は、予備役の軍人だそうですが、銃を持った軍人がスーパーで普通に買い物している国がスイスです。

一方韓国への高高度防衛ミサイル(THAAD)配備は、韓国にとって北朝鮮からの攻撃に対する韓国防衛の要になるはずです。むろん、これは中国に対する牽制にもなるのは明らかです。

韓国は、もともと輸出がGDPの40%程度を占めるとか、その中で対中国輸出が一番大きいということで、中国依存の国です。

しかし、経済と安全保障は切り分けて考えるべきですし、それに将来のことを考えれば、はやめに内需を拡大して、輸出にたよる経済運営はやめるべきです。日本は、輸出がGDPに占める割合は、十数%に過ぎず、アメリカに至っては数%に過ぎません。

輸出がGDPに占める割合が高いことは、少し前までは、国際競争力があるなどとして良いことのように受け止められていましが、今やその認識は改めるべきです。ここ数年では、国際貿易そのものの伸びがかなり鈍化しています。さらには、輸出が大きいということは、反対のほうからみれば、外国の情勢に左右されやすいということです。

日米は元々内需が大きいことから、韓国のように経済が外国の情勢に左右される割合は少ないです。日本をはじめとする先進国は、個人消費がGDPに占める割合は60%以上です。米国に至っては、70%です。韓国は、安保的な観点からも、早急に個人消費を高める政策をとるべきです。それに関しては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事をご覧いただくものとして、ここでは解説しません。

しかし、経済の面では、安全保障の観点からみれば、韓国よりははるかに良い状態の日本なのですが、他方「精神防衛」という観点からみれば、韓国と同等かそれ以下です。

頭の中のお花畑
そもそも、スイスでは自宅に機関砲を備えたり、スーパーに自動小銃を携えて買い物に行く予備役がいるというのは、さすがに世界的にもあまり見ない風景ですが、軍服を着た軍人が町を歩いていたり、移動していたりするのは、普通の風景です。

しかし、日本ではそのような風景ですら滅多に見ません。集団的自衛権を行使することを標榜する日本では、さすがに集団的自衛権を行使せず、専守防衛の方針を貫き、民間防衛で国を守ろうとするスイスのようにする必要はないです。

しかし、昨年の集団的自衛権の行使をめぐる安保法制の審議過程における、あの騒動を考えると、では安保法制反対の方々は、専守防衛をするということは、スイスのようになることであることを理解しているのかと問いたくなります。


集団的自衛権を行使するにしても、専守防衛にしてもやはり「精神防衛」がなっていない、ようするに「頭の中がお花畑」ではまともな安全保障論議はできません。

安全保障論議をするなら、少なくとも頭の中の「お花畑」を葬り去らなければなりません。過去の日本は集団的自衛権の行使によって、米軍に基地を提供する一方で、アメリカの核の傘の下に入り、防衛に関してあまり考える必要はありません。しかし、世界の警察官をやめた米国は今後も日本の防衛を今までどおり守ってくれるかどうかなど定かではありません。

今こそ『頭の中のお花畑』から『精神防衛』に転換すべき時です。

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2016年9月24日土曜日

中国は、2011年に打ち上げた宇宙ステーション(軌道上実験モジュール)「天宮1号」が制御不能になったことを正式に発表した。―【私の論評】宇宙開発、軍拡は中国を滅ぼす(゚д゚)!


組立中の天空1号 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

   来年後半には地球に落下

本来、「天宮1号」は軌道上をいつまでも回り続け、機械に寿命が来た後は、地球からの遠隔操作によって無人の海洋に落下させるか、大気圏中で燃え尽きさせるはずだった。

ところが、制御不能となったため、軌道上にとどまることさえ出来なくなってしまった。

中国政府は、「来年の後半には天宮1号が地球に落下するだろう」と発表した。
落下地点の予測は立たず

制御不能となった天宮1号が、いつ落下し始めるか、そしてどこに落下するかは誰にも分からない。

著名な宇宙物理学者であるハーバード大学のジョナサン・マクダウェル教授はこう言う。

「それ(天宮1号)がいつ大気圏に突入するかは、数日前になっても予測できないだろう。6〜7時間前になってやっと分かるのがいいところだ」

「また、大気圏突入がいつか分からないということは、落下地点の予測もできない」

最悪の場合、空中で爆発し、多くの残骸を地上に降らせるということにもなりかねない。

組立中の天空2号
   「ほとんどが燃えて無くなる」と中国

中国当局の担当者は、「我々の調査と計算によれば、天宮1号のほとんどの部分が、大気中で燃えて無くなるはずだ」と言い、地上に被害をもたらさないと強調している。

だが、前出のマクダウェル教授によれば、天宮1号のエンジンは大きく、大気圏で完全に燃え尽きることはないとのこと。

現在も中国は、天宮1号の制御回復に努めている。成功を祈りたい。
出典元:China's Tiangong-1 space station to crash into Earth in 2017 - UPI(9.21)
出典元:China's space station is 'out of control' and will crash into Earth - but no one knows where the debris will land - MailOnline(9.21)

【私の論評】宇宙開発、軍拡は中国を滅ぼす(゚д゚)!

日本では、宇宙ステーションと報道されていたので、もっと大きなものを想像する人も多いでしょうが、写真でみてもおわかりのように、実際は既存の宇宙船よりも少し大きいという印象です。

今月9月15日、中国は天宮2号を打ち上げたばかりです。以下にその打ち上げの動画を掲載します。


この発射は、日本でも華々しく報道されましたが、天宮1号の制御不能の報道はされませんでした。しばらくしてから、報道されました。おそらく、天空1号は前々から制御不能になっていたのでしょうが、中国当局はそれを公表しなかったのでしょう。

天空2号は、制御できなくなった天空1号の代替として打ち上げたのではないかと思います。本来だと、2号は、1号と機能の異なるものを打ち上げ、1号と2号をドッキングして宇宙ステーションの一部にする予定だったのでしょう。

このようにいくつかのモジュールを打ち上げドッキングして、ある程度大きなステーションをつくり、その後は宇宙船で物資を打ち上げ、宇宙で大きな宇宙ステーションを組み立てるという予定だったのだと思います。おそらく、天空1号の制御不能で、中国の宇宙ステーション計画にはかなり遅れが出たのだと思います。しかし、中国は無論のこと、日本のマスコミもそのようなことは一切報道しません。

それにしても、宇宙ステーション開発は、残念ながら米国においても、あまり良い成果をあげていません。それについては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
成果はわずか!? 国際宇宙ステーションの困難な将来―【私の論評】宇宙でも共産主義はうまくいかない?中国の宇宙開発も結局この二の舞になる!!
この記事は、2012年8月24のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に元記事から一部を引用します。

 NASAが国際宇宙ステーションを未来の実験室として紹介してから14年が過ぎた。野心的でヴィジョンにあふれるプロジェクトによって、世界中の研究者が地球近くの低軌道上にて、時速約2万7,000kmの速度で実験を行うことができるようになるはずだった。

しかし、いままでのところ研究のための宝箱である以上に、国際宇宙ステーションは金食い虫の化け物だった。運用終了までに施設のために投じられる総額は約1,500億ドル。1kgあたり30万ドル以上だ。 
成果はわずかだ。1998年以来、衛星軌道上で行われた実験は3,100の研究を生み出しただけだった。比較してみるだけでも、ハッブル宇宙望遠鏡の11,300に対してごくわずかだ。

しかしいま、事態は変わるかもしれない。企業であるSpace Xのカプセル、Dragonの到来によって、宇宙探検における民間投資の時代が公式に始まった。さらにNASAは、莫大な投資に対するわずかなリターンを心配したアメリカ合衆国議会の示唆にしたがって、実験室とその設備の管理をNGOの宇宙科学進歩センター(CASIS: Center for the Advancement of Science in Space)に委ねたのだ。

1年の契約は1,500万ドルであり、CASISは国際宇宙ステーションの未来を見直す任務を引き受ける。基礎研究と応用研究のバランスを取り、ステーションに公的資金と民間資金双方を用いる。 
他方で、衛星軌道を回る実験室は、研究のために唯一無二の条件を提供する。火星への旅のような、長い宇宙旅行に取り組む宇宙飛行士たちが直面する状況の検証を考えられる唯一の場所である。 
・・・・・・・・・・・・・・・〈中略〉・・・・・・・・・・・・・・・ 
要するに、国際宇宙ステーションが科学のために有している莫大な潜在能力を使い尽くすためには、宇宙旅行の熱狂に乗ることが最後のチャンスであるように思われるのだ。
結局のところ、アメリカの宇宙ステーションのプロジェクトは、あまりの成果のなさのわりにはかなりの割高であり、その管理はNASAの手を離れて、NGOのCASISに委ねられたのです。以下に、CASISの動画を掲載します。


なぜこのようになったかといえば、NASA等の官僚主義によるものです。NASAが管理していたときには、ステーションでのひとつの実験に許可を与えるまでに、数カ月が経過したそうです。これはあんまりです。

これほどまでに、官僚主義は宇宙ステーシヲンの運営を困難にしていたのです。

さて、中国が宇宙テーションの管理をすることになれば、さらに酷いことになるものと思います。なぜなら、中国もご多分にもれず、官僚国家だからです。現在の中国は、最早共産主義ではありません。しかしながら、国家資本主義というのがふさわしい体制です。

結局中国共産党一党独裁で、建国以来選挙もなく、主席や幹部なども全人代で指名されます。これは地方政府も同じで、中国には本来の意味での政治家は存在しません。存在するのは、官僚だけです。

政治家不在の官僚だけの中国で、宇宙ステーションを運用するということにでもなれば、米国のNASAが運営するよりもまだ、官僚主義的な手続きが横行して、非効率この上ないことになり、NASAが運営していたころより、さらに成果をあげられないことでしょう。

さらに、ブログ冒頭の記事に掲載されているように、モジュールの制御すらできなくなるほどの技術力の低さです。低技術のため、このような状況を頻繁に招いてしまうことになれば、官僚主義+低技術で、費用ばかり天文学的にかかるのにほとんど成果があげられないということになり、とんでもない状況になることでしょう。

現在の中国は、軍拡でも同じような状況に追い込まれています。
旧ソ連と同じ罠にはまった中国、米国の仕掛けた軍拡競争で体力消耗―露メディア―【私の論評】ロシアの弱体化を吐露する記事、中国を封じ込めることと引き換えにロシアとの領土交渉を!!
ミサイル防衛システムの概念図
この記事は、2012年7月28日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、これも元記事を引用します。
2012年7月22日、ロシア・テレビ局「ロシア・トゥデイ」は記事「米国のミサイル防衛システムが中国という経済の虎を封じ込める」を掲載した。 
今年3月、米国防総省はアジア及び中東におけるミサイル防衛システムの構成について公開した。中国を包囲するミサイル防衛システムに対抗するため、中国は自らの核兵器システムの近代化を迫られている。中国の軍事関係者も「近代化しなければ、核の抑止力を保つことができない」と認めている。 
旧ソ連はその末期に米国に対抗するため多額の予算を軍事費に注ぎ込んだ。今の中国も同様の状況にある。中国経済は今、繁栄しているかに見えるが、しかし格差は広がり、いまだ2億5000万人が貧困層として残っている。こうした問題を解決できないまま、中国政府は巨額の資金を軍事費に注ぎ込むことを余儀なくされている。 
冷戦を想起させる展開となっているが、中国は果たして政治と社会の安定を損なうことなく、軍事力を強化できるのか。その将来に注目が集まっている。
この記事は、露メディアのものですから、ある程度割り引いて受け取るべきではありますが、それにしても、軍拡にはかなり経費がかかるのは事実です。

そうして、中国の軍拡が始末におえないのが、軍事技術の低さです。旧ソ連の場合は、第二次世界大戦後に旧ドイツより、多くの技術者や機器などをソ連に持ち帰り、そこから開発を始めたので、当初は技術水準が高かったですが、時を経るにつれて、共産主義や官僚主義の弊害がでて、技術水準は落ちていきました。

現在の中国は、もともとかなり低いのですが、金を用いたり、スパイの活用でいろいろと技術を盗んできては、開発したのですが、それにも限界があります。

そのため、たとえば、空母一つつくるにも、かなりの資金と労力と時間を費やしても、まともなものはできません。潜水艦でも、同じことで、いまだに日本よりはるかに下回っています。

結局、先進国以上に大枚を叩いても、先進国よりも技術の低いものしか製造できないのです。それでも、何とか追いつこうと金をかけて、結局は短期間て使い物にならなくる、ガラクタを貯めこむだけになります。

宇宙開発の場合は、兵器よりはましですが、それにしても、先ほど述べたように恐ろしく、非効率な中国の体制のもとでは、せっかく大枚をはたいて、巨大な宇宙ステーションを建造したにしても、稼働率が低くなり、成果をあげられず、無用の長物になってしまう可能性が大です。

中国の稼働率の低さというと、このブログでも以前中国の戦闘機の稼働率の低さを掲載したことがあります。その記事のリンク以下に掲載します。


【緊迫・南シナ海】ベトナムが中国・人工島射程にスプラトリー諸島でロケット弾を配備 インドからミサイル購入も―【私の論評】日本の備えはベトナムよりはるかに強固、戦えば中国海軍は崩壊(゚д゚)!
中国空軍の大部分を占めるJ-7戦闘機
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に簡単に、戦闘機の稼働率に関して掲載します。

中国では戦闘機の旧式の戦闘機が多いのと、メンテナンスの技術も低く稼働率が異常に低いので、戦闘機の数は多いものの、日本の戦闘機と互角に実際に常時戦える戦闘機数は50機に過ぎないと推定できます。

日本の航空自衛隊の航空機は、旧式のものがほとんどないことと、稼働率は90%ですので、実際に常時戦える戦闘機は、315機です。

さすがに、50機と315機では、勝負になりません。

こう考えると、中国の宇宙ステーションも稼働率はかなり低くなることが予想されます。戦闘機の稼働率が異常に低いのに、宇宙ステーションだけが、稼働率が高くなるということは考えられません。

そうなると、中国の宇宙ステーションは、たとえ完成したとしても、NASAの宇宙ステーション管理による非効率よりもはるかに低い効率で、さらに低い稼働率で、巨大な金食い虫と成り果てることは、必定です。

宇宙開発と軍拡は中国を滅ぼすだけです。

中国が本当に実行すべきは、まずは中国共産党一党独裁体制を捨て去り、民主化、経済と政治の分離、法治国家化をすすめることです。そうしないと、中国はこのまま、中所得国の罠にはまり、図体が大きいだけの、アジアの凡庸な独裁国家に成り果てるだけです。

しかし、中国共産党はこのことには全く気づいていないようです。

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2016年9月23日金曜日

民進党が生き残っているのは国民の責任 注目の新書著者・赤尾敏氏の姪に聞いた―【私の論評】民進党崩壊カウントダウン!最早乾いた笑いしか出てこない(゚д゚)!


赤尾由美氏 
 『民進党(笑)。』(ワニブックスPLUS新書)という本が売れている。タイトルの奇抜さに加え、著者の赤尾由美氏が、銀座数寄屋橋での街頭演説で名高かった保守政治家、赤尾敏(びん)大日本愛国党初代総裁の姪(=弟の娘)ということも話題になっている。民進党は21日午後、両院議員総会を開き、蓮舫執行部が正式発足する。「二重国籍」問題で国民にウソをついた蓮舫代表の誕生も含めて、赤尾氏に聞いた。

「私は民進党が存在すべき理由が分かりません。自民党は需要があるでしょうが、民進党を必要とする人はいるのでしょうか? そう考えると怒りを通り越して笑うしかありません。ただ、こんな政党が生き残っているのは、私たち国民の責任なんですよね。それを伝えたくて書きました」

赤尾氏はこう語った。

注目の新書は、国民の期待を裏切り続けるツッコミどころ満載の民進党を一刀両断している。そして、民進党のだらしなさによってもたらされた「自民党1強」体制にも物申す、痛快な1冊だ。

赤尾氏は、亡父の跡を継いで31歳でアカオアルミ株式会社の社長に就任した経営者だが、ジャーナリストの河添恵子氏らとの共著『国防女子が行く』(ビジネス社)でも注目された。

蓮舫氏について、赤尾氏は厳しい眼を向ける。

「蓮舫氏は『総理を目指したい』と明言したそうですが、あきれてものが言えません。国籍以前に(これまでの言動を聞く限り)日台、日中の問題が深刻化した際、日本の側に立って行動できるのか、心配です。蓮舫氏は7月の参院選(東京選挙区)で112万票も獲得し、トップで当選しました。日本人はどうしてしまったのでしょうか」

 現代日本には「たかりの構造」が蔓延(まんえん)しているともいう。

 「例えば、待機児童問題です。民進党の山尾志桜里政調会長は『保育園落ちた日本死ね!!!』というブログを国会で取り上げて政府を批判していましたが、子供を預けることは本来セーフティーネットの問題です。それを権利にすり替えれば、親が『教育の義務』を放棄することにつながりかねない。幼いときから親子が離れる仕組みを作って、どうするんでしょうか。その果ては、家庭崩壊しかありません」

 最後に、伯父の赤尾敏氏が存命なら、日本の現状をどう思うか聞いた。

 「非常に嘆くでしょうね。一見こわもてに見える伯父が根強い支持を得ていたのは、お金に汚くなかったこと。そして、戦争中に衆院議員として東條英機首相に文句を言ったことでしょう。歴史の重みを背負い、命を捨てる覚悟で筋を通したことが、人々の共感を呼んだのです。その姿は、巨大な敵と戦ったドン・キホーテのようでした」 

【私の論評】民進党崩壊カウントダウン!最早乾いた笑いしか出てこない(゚д゚)!


赤尾敏先生が亡くなられてから、随分と時がたってしまっので現在では知らない方々も多いと思います。以下に簡単に略歴を掲載します。

赤尾 敏(あかお びん、1899年(明治32年)1月15日 - 1990年(平成2年)2月6日)は、日本の保守政治家、右翼活動家、衆議院議員、大日本愛国党初代総裁。

当初は社会主義者であったが、社会主義者として活動した後、1926年(昭和元年)に「天皇制社会主義」を理想として民族主義者に転向。1942年(昭和17年)には衆議院議員に当選しました。1945年(昭和20年)の敗戦後、政治活動と講演活動を行い、1951年(昭和26年)大日本愛国党を創党しました。特に銀座数寄屋橋などでの辻説法による過激な街頭演説で有名でした。

以下に、赤尾敏先生の写真を掲載します。

赤尾敏氏
写真だけだと、語り口などわからないので、以下に赤尾敏先生の、動画を掲載します。



『民進党(笑)。』の表紙の写真と、書評を以下に掲載します。

民進党(笑)。 - さようなら、日本を守る気がない反日政党 - (ワニブックスPLUS新書)

この本を読めば、日本政治の最大の悲劇が「いつでも政権交代可能な野党がいない」ことだとわかります。 
与党が大きな不祥事を連発したとしても、それに変わる国政を安心して任せられる野党が存在しないのです。その野党の最たるものが民進党(旧民主党)です。
筆者は、本書で、ただ単に民進党(旧民主党)をこき下ろしているのではなく、遠回しに自民党批判もしています。 
もし、民進党がいつでも自分たちにとって代わるぐらいの強力な政党なら、自民党の増長もなかったでしょう。 
タイトルが挑発的なので、勘違いされてしまうかもしれないのですが、偏りのない視点で書かれている書籍です。 
その偏りのない視点で見ても、やはり、日本の民進党は異常であると言わざるをえません。民進党(旧民主党)とはどんな党なのか、再確認すると共に、日本の政治についても考えさせられる内容です。 
先頃、二重国籍問題を問われている蓮舫議員が、二重国籍問題を解決しないまま民進党代表の座につきました。 
これから解決するのでしょうが、社会常識的にいえばこれを解決してから代表選挙に出馬すべきものと思います。 しかし、これに対する民進党の対応は、なんというか怒りをはるかに超えて、笑うしかありません。この書籍の著者の民主党に対する気持ちが良く理解できます。
自分の国籍問題すら、長年に渡ってうやむやにしてきた人が、日本の最大野党の舵取りをするとは・・・。絶句です。最大野党の党首になるという事は、確率的にはかなり低いといわざるをえないでずか、日本の代表である総理大臣になかねない立場です。そんな立場にある人が、国籍問題を抱えていることに、大きな疑問など飛び越して、戸惑いを感じます。 
一国の代表とは、その国の国益のために身を粉にして尽くす立場です。その候補の一人となる人物が、二重国籍問題を抱えているなど、もはや、乾いた笑いしか出てきません。 
新しい船出からしてこの有様では、ますます先が思いやられます。党名や代表を変えても、過去にやってきた行為に対する反省や清算がなければ、何も変わらないでしょう。 
もし、まかり間違って再び旧民主党(民進党)が政権をとる事にでもなれば、その時こそ赤尾敏先生が心配していた日本に大きな悲劇が起きそうな気がしてなりません。
それにしても、本日は、ブログ冒頭の記事の他にも、民進党に関する記事が多い日でした。やはり、多くの人が、民進党の体たらくには、幻滅するとともに、まともな野党が機能せず、実質上日本には存在しないことに危機感を抱いているのでしょう。偶然なのでしょうが、それにしても、かなり本日は集中しています。それらを以下に掲載します。
民進党は左派政党に値しない 自民党と差別化する政策はあるのか
高橋洋一 

民進党新代表に選出され、代表選を戦った前原誠司氏(左端)と
玉木雄一郎氏(中央右)らと「がんばろう三唱」をする蓮舫氏(中央左)
=15日、東京都港区のホテル
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事の結論部分のみを掲載します。
経済問題では保守もリベラルも大差がなく、成長重視が望ましい。その上で、リベラル政党が規制緩和やエネルギー政策、安全保障などで見解の相違をぶつけるようになれば、国民に対立軸が提供され、いいライバル関係になるだろう。これが日本で支持されるリベラル政党に求められることだ。 
高橋氏が述べるように、民進党の経済政策は左派政党に値するものではありません。今回の代表選では、3人が3人とも増税賛成で、財務省のパンフレット以下の内容の財政政策を語っているだけです。

さらに、問題なのは、世界の左派政党のスタンダードといってもよい、「労働者の雇用を良くするための、金融政策」に対する理解が全くないということです。これでは、左派政党の何値しません。
高須院長「民進党はゾンビ。死んでるのに気づいていない?」
高須クリニック院長
この記事は、夕刊フジによる高須院長へのインタビューてす。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、 一部のみ以下に掲載します。
 --院長的には、蓮舫さんの代表就任はナシ、だということですか? 
 高須:アリとかナシとかいう以前に、「おかしなことをやってる人たちだなあ」って。なんというか、ちょっとキツイことを言ってしまえば、民進党は完全に死んでいるんだよ。いまもしも総選挙をやったら、政権を奪取するどころか、壊滅してしまうはず。 
 ちょっと前にこの連載でも民進党の幹部たちを「ゾンビの集まりみたいだ」って言ったけど、蓮舫さんが代表になったところで、何も変わらないね。ゾンビのままだよ。それなのに、蓮舫さんは「民進党を政権交代できる政党にしたい」って話してるんでしょ。もしかしたら、すでに死んでいることに気づいてないんじゃないのかな? それじゃあ、本当にゾンビだよ(笑い)。
確かに、民進党はもう死に体です。何かを根本的に変えなければ、旧社会党のようにいずれ消滅することになるでしょう。
維新・馬場幹事長「説明が二転三転した蓮舫氏…先が思いやられる」 「二重国籍」禁止法案提出へ
場伸幸幹事長
これも、日本維新の会の馬場伸幸幹事長が、夕刊フジの単独インタビューに応じた内容です。この記事も詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部分のみ引用します。
 日本維新の会の馬場伸幸幹事長が、夕刊フジの単独インタビューに応じ、国会議員や国家公務員の「二重国籍」禁止法案を、26日召集の臨時国会に提出することを明らかにした。民進党の蓮舫代表は国民にウソをつき、「二重国籍」のまま野党第1党の党首に就任した。馬場氏に一連の蓮舫問題と、法案の論点などを聞いた。

具体的には、公職選挙法と国家公務員法に、二重国籍を禁止する条文を追加する。罰則規定も検討しているという。 
 馬場氏は「現状は『国籍は抜いてね』という努力目標だ。法律の不備を早急に正していくのは国会議員の責務だ」と強調し、早期成立に向けた意欲を示した。 
 法案成立には与野党の協力が不可欠だが、各党のスタンスはどうか。
馬場氏は「これから各党に協力を呼びかけるが、仮に、法案に協力できないとなれば、その政党は『二重国籍のまま、閣僚になっても問題はない』と判断したことになる。われわれは、各党の姿勢も国民に明らかにしていきたい」と語った。 
 日本維新の会は26日、記者会見を開き、法案の全容を発表する。蓮舫氏率いる民進党は、どう対応するのか。
以上、民進党関係の記事が、夕刊フジの記事だけて冒頭の記事も含めて四本です。それだけ、民進党に対する失望感が大きいのだと思います。

私自身は、自民党を支持しているのですが、経済対策など他党と比較するとまともなので、不満なところもあるのですが、微温支持というのが実体です。特に、民進党の経済対策など実行したら、それこそ、とんでもないことになります。せっかくの、雇用の改善された部分もぶち壊しになるでしょう。

私は、野党の役割は積極的に認めています。まともに議会制民主主義が機能するためには、健全な野党の役割は大きいです。政治においては、「敵を作るより味方をつくれ」というのが、原則だと思います。

しかし、今の民進党がそのまま変わらないというのなら、今の民進党では仲間にはできないし、こちらから仲間になることもできません。

民進党では、これからも野党共闘を継続するつもりなのでしょうが、それも束の間なのではないでしょうか。民進党はこのままであれば、いずれ近いうちに、党勢が衰えて、消滅直前の社会党のようになることが十分に予想できます。そうなれば、共産党などの他の野党のほうから、民進党との共闘は、民進党にばかりメリットがあり自分たちには何もないということになって、断られるようになると思います。

そのようなことが、目前に近づいているにもかかわらず、民進党の議員、特に幹部にはそれが全く見えいません。危機感を感じていないようです。本当に、もはや民主党に対しては、乾いた笑いしか出てきません。

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2016年9月22日木曜日

実は意外とまとも!? 「トランプ大統領」の経済政策構想をよむ―【私の論評】米メデイアの超偏向ぶりと、公約の完全実行はあり得ない事を知らないと趨勢を見誤る(゚д゚)!

実は意外とまとも!? 「トランプ大統領」の経済政策構想をよむ

いまさら言わずもがなではあるが、今年は米国の大統領選挙の年である。そしてその大統領選もまもなく終盤戦を迎える。

世論調査では、与党である民主党のクリントン候補の支持が、共和党のトランプ候補の支持を上回っているようだが、クリントン候補の健康問題が浮上してきており、両者の差は縮小している。

トランプ候補は、その問題発言等から大統領の資質を欠いているとの批判が多いが、一方でそのダイレクトな物言いから人気も高く、当初の泡沫候補という評判を覆して、正式に共和党の大統領候補となった。

これまではトランプ候補の過激な発言ばかりがクローズアップされ、経済政策についてマスメディアが報道する機会が少なかった印象が強い。そこで今回は、これまであまり取り上げられることのなかったトランプ候補の経済政策について考えてみたい。

  レーガン大統領との共通点

トランプ候補は9月15日、ニューヨークのエコノミッククラブの講演会で、自身の経済政策の構想を明らかにした。

米共和党全国大会で大統領指名受諾演説をするドナルド・トランプ氏
この講演によると、トランプ候補は、レーガン以来の大型減税と各種規制緩和、および貿易政策をテコに、10年間で2500万人の雇用を創出し、年平均で実質3.5%成長を実現させる政策を実施すると言及した。

このうち、大型減税のメニューとしては、以下の3点を挙げている。

①法人税の大幅減税(最高税率を現行の35%から15%へ)
②所得税の税率適用区分の簡素化(現行の7段階から3段階へ)と税率の大幅引き下げ(12%、25%、33%の3段階へ)、および各種控除の拡充(子育て費用)
③相続税の廃止

一方、規制緩和に関しては、現在、オバマ大統領が推進している「パリ条約」にともなう環境政策の停止(クリーンパワープランを廃止し、石油、天然ガス、石炭の生産増をはかる)がその中心となっている。

さらには、ニューヨークでの講演では言及しなかったものの、従来から老朽化が指摘されてきたインフラ(道路、橋、鉄道、港湾など)の整備拡充や防衛関連支出の増大も公約に掲げている。

また、貿易政策では、TPPからの撤退と中国に対する圧力(中国を為替操作国に認定するともに、知的財産侵害や輸出補助金の廃止を中国政府に強く求める)を通じて、米国製造業の輸出を拡大させる政策を提案している。

トランプ候補の台頭は、1980年の大統領選でのレーガン候補の台頭(最終的には大統領選に勝利)と比較されることが多いが、経済政策構想(レーガノミクス)においてもよく似ている部分が多い。

その理由は明らかである。

レーガン氏が台頭してきた1980年は、米国経済がスタグフレーションに苦しんでいた時期であった。その中で、新政権に求められた経済政策は、著しく低下した生産性、および潜在成長率を押し上げることであった。

スローガンもレーガン大統領にそっくり
そしてレーガン大統領が推し進めた経済政策である「レーガノミクス」も、減税と規制緩和を通じて、主に製造業の生産性を上昇させ、米国経済の潜在成長率を押し上げるものであった。

また、当時は、米国の貿易収支、及び経常収支の赤字が急激に拡大し始めた局面であり、保護貿易的な貿易政策もやや強まった(自動車産業などで日米貿易摩擦が強まったのもこのころである)。

  極めて強力な「ケインズ効果」

今回の大統領選でも、リーマンショック後、「長期停滞」に入ったようにみえる米国経済の低成長が問題視されている。

1980年の大統領選当時と同様、米国経済はリーマンショックという未曾有の金融危機を3度にわたるFRBの量的緩和(QE)政策によって克服したものの、その後の成長率はリーマンショック以前に比べ低い状況が続いている。

例えば、リーマンショック後の2010年から2015年にかけての実質GDP成長率の平均は約2.2%で、2000年から2007年までの平均である2.7%から0.5%程度低下している(リーマンショック前までの米国の潜在成長率は約2.8%というのがコンセンサスであった)。

リーマンショック後の米国経済の長期停滞を打破するために、「パパブッシュ」以降の大統領にない強いリーダーシップを求める米国民が数多く存在するというのが現在の米国の実態であり、これがレーガン大統領誕生前の状況と似ていなくもないということなのだろう。

また、レーガン大統領の就任期間には、旧ソ連との緊張が高まり、防衛関連支出の急増から米国の財政赤字は拡大したものの、それがケインズ効果をもたらし、米国経済は回復した。

さらにいえば、当時の防衛関連の投資拡大が、旧ソ連崩壊にともなう民間部門へのスピンオフによって、90年代後半の「IT革命」の素地を作ることにもなった。

CRFB(Committee for a Responsible Federal Budget、米政府の財政政策をモニターするNPO法人)の試算によれば、もし、トランプ候補が大統領に選出され、彼の構想どおりの経済政策が実施された場合、10年後に歳出は、対GDP比で22%まで拡大する。

その一方で、歳入は対GDP比で13%にまで縮小し、結果、財政赤字の対GDP比は9%に拡大すると予想されている(ちなみに2015年度はそれぞれ、20.5%、18%で財政赤字の対GDP比は2.5%)。

すなわち、このことは、トランプ候補が大統領選に勝利し、以上のような経済政策が実施された場合、従来の経済政策の枠組みが大きく転換することを意味する。

各種メディアの報道によれば、このようなトランプ候補の経済政策によって、トランプ氏が主張する「実質3.5%成長」を実現させるのは難しいと考えるエコノミストが少なからず存在するようだ。

だが、インフラ整備や防衛関連を中心とした歳出増と、法人税、所得税の減税の組み合わせが、極めて強力な「ケインズ効果」をもたらすことは間違いないのではなかろうか。

さらに、日本では、様々な困難を乗り越えてようやく交渉妥結にまで持ち込んだTPPをトランプ候補が反故にしようとしていることから「保護貿易主義者」というレッテルを貼っているようだが、これは正確ではない。

トランプ候補は、地域間の貿易協定としてはNAFTA(北米自由貿易協定)を重視し、世界貿易ではWTOの枠組みを利用して自由貿易を維持するとしている。貿易に対する過度な悲観論は不要と考える。要は米国(特に製造業)が不利になるような貿易交渉は反故にするということなのだろう。

  トランプ氏の主張がメインストリームに

ところで、興味深いことに、このようなトランプ候補の経済政策は、最近のマクロ経済学の流れとほぼ軌を一にする点に注意する必要がある。

最近のマクロ経済学では、「長期停滞」を脱する経済政策として、金融緩和よりも財政拡大を重視する動きが強まってきている(これは、金融緩和が必要ではないという意味ではない)。

その意味で、インフラ投資の拡大を掲げるトランプ候補の主張は、「長期停滞」に対する処方箋として有効となる可能性がある(クリントン候補もインフラ整備のための公共投資拡大を政策の一つとしているため、来年以降の米国では、財政支出拡大による景気浮揚が実現する可能性が高まっている)。

さらに、世界的な長期金利低下の一因として、緊縮財政路線による国債発行量の減少にともなう「安全資産」の相対的な不足を指摘する研究も出てきている(いわゆる「Safety Trap」の議論)。

前述のように、トランプ候補は思い切った減税を実施する意向でもあるので、税収も大きく減少する見込みだ。そのため、インフラ整備等の公共投資拡大は国債発行増によって賄われる可能性が高い。

トランプ氏の提唱する財政拡大政策によって米国経済の長期停滞を克服することができれば、米国債は世界随一の安全資産として世界中の投資家に選好されることにもなるだろう。

その一方で、富裕層に有利なように見える所得税改革やオバマケア廃止の方針など、所得格差是正のための所得再分配政策にはいまひとつ消極的な印象がある(貧困家庭に対する救済援助も廃止の方針だと伝えられている)。

トランプ氏はビジネスマンとして、自ら大成功を切り開き、また、数回にわたるビジネス的な試練も自助努力で切り抜けてきた人物だけに、労働のインセンティブにネガティブな影響をもたらしかねない所得再分配には、それほど賛意を持っていないのかもしれない。所得再分配政策の是非が、今後の大統領選の大きな争点になっていく可能性もある。

いずれにせよ、トランプ候補は、その過激な言動ばかりが注目されているが、仮に彼が勝利するようなことがあれば、彼の経済政策が、今後のメインストリームになるという可能性を秘めているので、注意が必要である。

【私の論評】米メデイアの超偏向ぶりと、公約の完全実行はあり得ない事を知らないと趨勢を見誤る(゚д゚)!

トランプ氏の経済政策は、上記で示したように、意外とまともといえばまともです。経済政策について、簡単にいってしまえば、減税を手段とした積極財政を行なうということです。

米国に関しては、リーマン・ショックから金融緩和政策を実施し、それが継続されてきました。しかし最近では利上げのタイミングを見ているという状況です。さらなる追求緩和策をとることはありえないです。

だからこそ、今後積極財政をするというのは、理にかなったまともな政策です。過去の日本のように、緊縮財政、金融引き締めを継続してデフレを長年放置したというのとは大違いです。

日本ではさらに、せっかく2013年から異次元の包括的金融緩和に踏み切ったにもかかわらず、14年から8%増税を実施し、せっかくの金融緩和の腰を折り、GDPも伸びないというのとは大違いです。

8%増税に両手をあげて、大賛成した日本の多くの政治家、マスコミ、識者らには、トランプ氏の経済政策を批判する資格は全くありません。

米オハイオ州クリーブランドのクイッケンローンズ・アリーナで開かれた米共和党大会で、
スピーチを終えた娘のイヴァンカさん(右)から、指名受諾演説のためステージに迎えられる
ドナルド・トランプ氏
以下に、トランプ氏の7月21日、共和党の大統領指名受諾演説から抜粋します。
私の誓いの言葉はこうだ。『私は君達アメリカ人とともにある』。私は君達の声だ。子供達に夢を託すすべての親達、そして、未来を夢見るすべての子供達のために、今夜、私は言いたい。『私は君達とともにある。そして、私は君達のために戦い、君達のために勝利する』」 
「私は約束する。我々はアメリカを再び強くする。我々はアメリカを再び誇らしくする。 我々はアメリカを再び安全にする。そして、我々はアメリカを再び偉大にする。 
~ドナルド・トランプ 7月21日、共和党の大統領指名受諾演説から抜粋
当初、泡沫候補だと思われていたトランプが共和党大統領候補の座を射止めるまでに大躍進を遂げたことは驚きですが、大躍進の背景には、アメリカ人が求めてきたリーダー像がそこにあるのも事実です。

これまでも実業家出身の大統領はいました。代表的な例は第29代ウォレン・ハーディング(任期:1921〜1923 年)と、第31代ハーバート・フーヴァー(1929〜1933 年)、それにジョージ・ブッシュ親(1989~1993年)・子(2001~2009年)の4人です。

ウォレン・ハーディング
その中でも、ハーディングはトランプとの共通項が多いです。1920 年の大統領選挙でハーディングは共和党候補として当選しました。ハーディングの勝利の要因は、時代の要請を敏感に嗅ぎ取ったことにありました。多くの国民は、当時ウィルソン政権が第一次世界大戦で外国の厄介事に巻き込まれたことに飽き飽きしていました。「アメリカを第一に(America First)」と「常態への復帰 (Back to Normalcy)」というハーディングの唱えたスローガンは有権者の心を掴みました。

「アメリカを第一に」は共和党の中で、その後も脈々と受け継がれる伝統になりました。1992 年の共和党の予備選挙でも、パット・ブキャナン候補が「アメリカを第一に」を唱えて現職のブッシュ大統領に挑戦しました。ブキャナンは、自由貿易の推進がアメリカの製造業に深刻な打撃を与え、不法移民がアメリカ人から職を奪っていると主張しました。

今、トランプはまさに同じような主張をしています。そして指名受諾演説で「アメリカを第一に」というスローガンを前面に押し出しており、「我々の目標と我々の対抗者の目標の最も重要な違いは、我々の目標がアメリカを第一に置くことにある。グローバル主義ではないアメリカ主義が我々の信条だ」と、トランプは主張しているのです。

「アメリカを第一に」と「常態への復帰」を目標に据えたハーディング政権は、外国に対する関与をできる限り控え、国内問題に専念する孤立主義への扉を開きました。そうした傾向はアメリカが第二次世界大戦に参戦するまで20年近くにわたって続きました。

トランプが使っている「アメリカを第一に」というスローガンはまさに孤立主義を体現す る言葉です。そして、トランプはハーディングと同じように時代の要請を敏感に嗅ぎ取っています。それは外国よりも国内に目を向けるべきではないかという国民の声です。

さて、トランプの大統領候補指名受諾演説を聞いた人々はどう思うでしょうか。例えば、製鉄所が閉鎖され街に活気がなくなったことを嘆く者は、「TPP は我が国の製造業を破壊するだけではなく、 アメリカを外国政府の支配に屈服させることになる」という言葉に喝采を送ることでしょう。

また不法移民によって麻薬や犯罪が蔓延していると危機感を抱く者は、「我々は不法移民を止め、ギャングと暴力を止め、そして、我々の社会に麻薬が流入するのを止めるために国境に長城を築く」という宣言を支持します。7月7日に起きたダラス警官銃撃事件を知って社会に混乱が広まっていると不安を感じる者は、「俺は法と秩序の候補だ」という台詞に期待を寄せるでしょう。

すべての課題を一挙に解決できる万能の処方箋など存在するはずはありません。しかし、トランプの主張 が正しいか否かは問題ではありません。政治は理性だけでは動きません。感情にかなり左右されます。今、危機に直面している人々からすれば、自分達にも理解できる解決方法を提示してくれるトランプは魅力的に映ります。それに政界の完全なアウトサイダーであることも好ましく思えます。なぜなら彼らは、様々な既得権益にがんじがらめにされた政治家が自分達を救ってくれるはずがないと思っているからです。

民主党候補指名で勝利宣言をしたクリントン氏
クリントン氏は6月2日の外交・安保政策演説で、次期大統領の重要指針として、緊密な同盟関係維持を挙げました。その代表例として、北朝鮮のミサイルの脅威に対抗する日韓とのミサイル防衛協力について説明し、「これこそ同盟の力だ」と訴えました。

さらに、「外交は多くの場合、紛争を避ける唯一の道だ」と強調。オバマ政権が主導してまとめたイランの核兵器開発阻止を目指す合意を取り上げ、「世界や米国が合意の前より安全なのは疑問の余地がない」と力説しました。

内政ではオバマ政権の目玉政策である医療保険制度改革(オバマケア)の継承を打ち出しているほか、銃規制強化や同性愛者の権利保護でも軌を一にします。

目立った政策で一部違いもあります。環太平洋連携協定(TPP)について、雇用創出などの面で効果が不十分だと反対しています。「核兵器なき世界」の実現を掲げるオバマ大統領は広島も訪れましたが、クリントン氏は「大統領ほどには、この問題を大事だとは思っていない」という専門家の指摘もあります。

現政権を継承する外交・内政の諸政策は、共和党からことごとく攻撃されてきました。トランプ氏も「外交政策の経歴で彼女はあまりに多くの過ちを犯してきた」と批判。各種世論調査のオバマ大統領の支持・不支持率はどちらも40~50%台とほぼ同水準で、クリントン氏はオバマ氏の負の半面も背負って戦うことになります。

さて、日本では大統領選はクリントン氏が優勢との報道ばかりです。これは実は日本では、米国メディアがかなり偏っていて、90%はリベラルであり、保守は10%に過ぎないということが理解されおらず、米国メディアからの情報は米国の半分しか実体を表しておらず、多くの人はアメリカの半分しかみていないという現実が大きく左右しているように思います。わかりやすく言うと、米国のメデイアはリベラルが優勢で、日本にたとえると産経新聞すら存在していないというような感覚です。

これについては、以前このブログにも掲載したことがあり、記事中に動画を掲載したので、その動画を掲載します。


米国のメディアの報道は、かなり偏向しているとみて間違いありません。しかし、日本のメディアは米国のメディアをそこまで偏向していないという前提で、受け取りそれを報道しています。

さらに、日本ではトランプ氏の暴言をかなり問題にする人が結構多いです。これに関しては、アメリカ人では額面通りに受け取る人は少ないです。そのことは日本ではほとんど報道されません。

トランプの発言を額面通りに受け取るべきでない理由は以下の3点によります。

第1に、トランプが今のような極端な政策や発言を続けてていては、大統領本選に残った現在、勝利する可能性は少ないです。

第2に、米国の大統領が議会や社会の合意なしにできることは限られています。日本でも、多くの人が誤解していますが、米国の大統領は、平時においては世界最弱といってもいいくらい権限がありません。しかし、多くの人が米国の大統領にはかなり権限が集中していると思い込んでいます。

それは、おそらく戦時のアメリカ大統領を思い浮かべるからでしょう。第二次世界大戦のときも、ベトナム戦争のときにも、その後のイラク戦争などにおいても、議会が戦争することを承認すると、途端に戦争を遂行するために多くの権限が大統領に集中するようになっています。平時とは全く異なります。

第3に、政治家の選挙での発言がそのまま政策になることは、どのような民主主義国にもない。ましてや1年以上も選挙運動が継続する米国では、大統領候補の選挙戦での公約が守られなかった歴史のオンパレードである。極端なことをいうと、米国では大統領の就任演説時は別にして、その前の選挙運動中の公約など半分以上は履行されないのが普通です。

多くの日本人は、アメリカのメディアはかなり偏向しているという事実と、大統領候補の選挙運動中の公約はあまり守られていないという事実を知らない人が多いです。だから、トランプ報道でもかなり幻惑されている可能性が高いです。

そのため、私は、日本のメディアが報道する内容は、米国のメデイアの内容を偏向がないものとして報道しているものと認識し、米国の報道でも小さなものも見落とさないようにしようと努めています。そうして、大統領選に関してそのような報道内容を見つけました。以下にその内容を掲載します。
トランプ氏がクリントン氏を追い上げ-的中率の高い世論調査で
米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏が支持率を上げつつあるのは、有権者の投票意図を調べる伝統的な世論調査だけではない。 
選挙研究を専門とする学者らによると、誰に投票するつもりかではなく、誰が当選すると思うかと質問する調査の方が的中しやすいことが示されている。 
ただ、この調査で示唆されたクリントン氏勝利の確率低下は、これまでの世論調査の集計が示す状況に比べればはるかに緩やかだ。以下のチャートを見ると、トランプ氏はまだ劣勢だが、全国調査で着実に勢いづいていることが分かる。 
消費者を対象とした8月のミシガン大学調査でこの質問をしたところ、民主党候補ヒラリー・クリントン氏がトランプ氏に大差を付けていたが、9月の暫定集計は差が縮まりつつあることを示した。それによると、クリントン氏のリードを示す数値は8月の43ポイントから37ポイントに縮小した。
 
381世帯を対象としたミシガン大学の調査が行われた8月下旬から9月半ばにかけてはクリントン氏の健康問題が浮上したほか、トランプ氏支持者の半数は「嘆かわしい人々」だとのクリントン氏発言が批判を招いた時期と重なった。 
一方、同調査期間の直後には、トランプ氏がオバマ大統領について米国生まれだと認める短い声明を出したことが大きく報じられた。
原題:Donald Trump Is Gaining Ground on Hillary Clinton in a Crucial Polling Question(抜粋)
このような報道日本では全くされません。まだまだ、トランプ氏の勝利の可能性は捨て切れません。

私としては、ヒラリー氏はオバマ氏の路線を受け継ぐということに危惧の念を抱いています。特に、対中国に関しては、現在はオバマ大統領は、レームダック化しているので、軍のほうも中国に対して厳しい措置をとれるのですが、これがヒラリー大統領が誕生すると、オバマ政権の外交政策などを引き継ぎ、対中国に対しても、オバマ並に及び腰になる可能性があります。

しかし、トランプ氏が大統領になれば、日本対する暴言に関してはもとより、他国に対する暴言も、それを実際に行動に移すことなどほとんどないと思います。

おそらく、リアリストとしての実業家の面が多いに発揮され、現実的な政策をとるようになると考えます。

それに比較すると、ヒラリーの場合は、オバマとあまり変わりないし、クリントン財団が、中国人から多額の寄付を受けているなどの、きな臭い情報もあります。日本にとっては全く良いことはありません。

これから、挽回して是非ともトランプ氏に大統領になって頂きたいです。

それよりも何よりも大統領選挙なども、米偏向メディアに操られたり、大統領選挙活動中の公約はあまり実行されないということを認識して、冷静に大統領選の推移を見守ろうと思います。

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