2021年1月8日金曜日

“緊急事態”AI予測で14日に東京で5000人感染 死者数増も止まらず1カ月後に115人死亡も―【私の論評】日本では2016年にはインフルエンザの感染者数が1週間で200万超となったが、医療崩壊も経済の落ち込みもなかった、希望を失うな(゚д゚)!

“緊急事態”AI予測で14日に東京で5000人感染 死者数増も止まらず1カ月後に115人死亡も

緊急事態宣言から一夜明け、通勤客で混雑する品川駅=8日午前


 2度目の緊急事態宣言が発令された東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県。東京では7日の新規感染者数が2447人と過去最多を大幅に更新したが、グーグルの人工知能(AI)予測では、1週間後の14日には陽性者数4806人という数字が出ている。菅義偉首相は記者会見で「1カ月後には必ず事態を改善させる」と決意を示すが、先行きは厳しい。


 飲食店に午後8時までの営業時間短縮を要請し、応じない場合は施設名を公表できる。テレワーク推進による出勤者数の7割削減、午後8時以降の外出自粛、イベント人数制限を打ち出した。

 医療体制の拡充に向け、1都3県でコロナ患者を受け入れる医療機関には1床当たり450万円の支援金を上乗せし、重症者を受け入れるベッド1床につき最大約2000万円の支援になると説明した。

 西村康稔経済再生担当相は宣言解除の目安について、東京の新規感染者数が「1日当たり500人」としているが、現状はその5倍近い数字だ。検査数が増えているだけでなく、クリスマスや年末年始で市中感染が加速した可能性がある。

 グーグルは5日時点で、7日は1854人と予測したが、現状はこれを上ぶれしている。予測は日々変動するが、5000人を突破することも十分に考えられる。

 気になる先行きだが、14日をピークに減少に転じるものの、2月1日時点でも1089人という予測だ。宣言の期限である同7日に500人まで減らせるかは微妙だ。

 グーグル予測で深刻なのは、死者数が右肩上がりで増えていることで、2月1日には東京だけで115人が死亡するとしている。

 都は7日、これまで3500床としていた確保病床数が4000床に増えたと説明し、使用率はやや下がって8割程度になった。ただ、なお4759人が入院や療養先を調整中としている。

 小池百合子知事は7日の臨時記者会見で「状況は危機的で深刻。対策は人の流れを徹底して止めることだ。徹底するようお願いしたい」と呼び掛けたが、これまで医療崩壊を防ぐ十分な手立てを行ってきたのかも問われそうだ。

【私の論評】日本では2016年にはインフルエンザの感染者数が1週間で200万超となったが、医療崩壊も経済の落ち込みもなかった、希望を失うな(゚д゚)!

上の記事や、マスコミのコロナ報道だけをみていると、とんでもない状況になることだけが過剰に報道されています。このようなときには、ただ脅威を煽っただけでは、多くの人々が不安に陥るだけです。

多くの人が客観的に物事を認識するための一番簡単な方法は過去との比較です。では、過去にはどのようなことがあったかといえば、一番先に頭に浮かぶのは2016年インフルエンザの流行です。

この時は、どうだったかといえば、 国立感染症研究所によれば、2016年2月14日までの1週間で報告されたインフルエンザの患者数は、全国で推計約205万人でした。

200万人を突破したのは、当該シーズンで初めてのことでした。2週連続で全国的に大きな流行を示す「警報レベル」を超えていて、全国6285の学校や幼稚園などで休校や学年・学級閉鎖の報告がありました。今シーズンは流行入りが遅れたため、例年であればピークを過ぎる2月下旬でも流行が続く可能性があるとされていました。

以下に当時のインフルエンザの報道の動画を掲載します。


今年のコロナはたしかに、昨年よりは感染者が増えていはいるものの、1週間で200万と言うレベルと、比較すればかなり低いです。

2016年といえば、覚えている人も多いでしょうが、まずは緊急事態宣言など発令されていませんでした。飲食店の営業時間の時短短縮もないし、移動の自粛の要請もなされていませんでした。そのため、目立った経済の落ち込みも見られませんでした。街場にいっても、マスクをしていない人が結構いました。さらに際立つのは、医療崩壊などは起こりませんでしたし、起こりそうだという報道もなされていませんでし。

では、インフルエンザの状況は今年はどうなのかといえば、先月27日までの1週間に報告された患者の数は全国で69人で、例年より大幅に少ない状況が続いています。

厚生労働省によりますと、先月27日までの1週間に全国およそ5000か所の医療機関から報告があったインフルエンザの患者数は前の週から1人減って合わせて69人でした。

患者が報告された地域は、前の週の24の都道府県から4つ増え、28の都道府県となりました。

インフルエンザは1医療機関当たりの1週間の患者数が全国で1人を超えると「全国的な流行期」入りとされていますが、今の時点では0.01人と大きく下回っています。

国立感染症研究所などによりますと、例年、この時期には1万人から10万人程度の報告があるということです。

インフルエンザが年を越えた1月まで、全国的に流行期入りしなかったのは2015年から2016年にかけてのシーズン以来、5年ぶりだということで、今シーズンは大幅に感染者が少ない状態が続いています。

そうして、これはたまたまということではなく、南半球では一足先に冬シーズンというか、インフルエンザのシーズンに入り、もうすでにそのシーズンは終わっており、やはり非常に患者数が少ないのです。

南半球の国のひとつ「オーストラリア」の流行データを見てみます。

グラフは、WHO(世界保健機関)の「Influenza surveillance report」より取得しました。期間は、2019年の3月6日から今年の9月6日までです。昨年取得したデータです。



棒グラフが、インフルエンザ陽性となった検体数。赤の線グラフは陽性率(検体のうち、陽性になったものの割合)です。

2019年の7月ごろには大きなピークがあり、流行が起きたことが分かります。ところが今年の7月(というか4月以降)は、ほぼゼロです。

オーストラリアの他の南半球の国々のデータも見ましたが、同様のインフルエンザ「消滅状態」が起きていました。

なぜインフルエンザの報告数が減ったのでしょうか。もしかすると、新型コロナの影響で、症状があっても病院に行かないなどして把握されていない患者が存在しているのではという、疑念も湧いてきます。

ただ、オーストラリア保健省が出しているレポートを読んでみたところ、そういうわけではないようです。

検査は十分と言えるほどに多く行われているのに、ほとんどインフルエンザウイルスが検出されていませんでした。流行は本当に起きていない可能性が高いと言えそうです。

なぜ昨年の冬シーズンに、オーストラリアでインフルエンザの流行が記録的に低く抑えられたのか。先述のレポートの中で、オーストラリア保健省は次のように指摘しています。
新型コロナウイルス感染症の流行に関連して行われた公衆衛生上の対策や、メッセージを多くの人が守っていることが、インフルエンザを含む急性呼吸器感染症の感染拡大に影響を与えている可能性が高い。出典:AUSTRALIAN INFLUENZA SURVEILLANCE REPORT No. 10, 2020 より
新型コロナ対策で行われている取り組みは、考えてみれば当然ですが、インフルエンザ対策としても有効です。また、コロナ感染拡大の影響で、国を超えた移動が大幅に減ったことも感染の防止に役立っていそうです。

この冬の日本、そしていちはやく冬を迎えた南半球の国々の状況は、「社会の多くの人が同時に感染症の対策をとると、その効果は驚くほどてきめんに現れる」という可能性を示しています。

この冬「ツインデミック」、すなわち新型コロナとインフルエンザが同時流行することによって医療機関が大混乱し、失われないで済むはずの命がたくさん失われる事態が心配されてきました。

現状の日本のデータ、そして南半球の事例からは「私たち一人ひとりが、すでに行っている感染対策を着実に続けていれば、そんな不幸な事態を防げるかもしれない」という「希望」が示されたと捉えるべきです。
・適切なマスク着用

・3密(特に多人数の会食)を避ける

・帰宅時などに手を洗う
現在「第3波」と呼ばれるコロナ陽性確認者の増加が報道される中で、上記のような対策を続けて本当に意味があるのだろうかとついつい思ってしまいがちです。

ところが、間接的ではありますが、インフルエンザに関するこれまでのデータは、そういう地味ですぐには意義を実感できない対策が、ちゃんと効果をあげていることを示しつつあります。

このようなことを言うと、コロナとインフルエンザでは根本的に異なると言う人もいそうですが、インフルエンザを侮るべきではありません。

日本で確認された20歳未満の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症例では、重篤肺炎例は2例にとどまり、死亡例はなかったことが明らかになりました。皆さんの中には、昨年10代女性かコロナでなくなったと報道されていたことを覚えている方もいらっしゃるかもしれません。あれは、後に間違いであったことが報告されています。

コロナの場合は、このように若年層というか、子供が罹患しても死者はいままでは出ていません。しかし、インフルエンザの場合は、全世代に広く罹患して、子供も例外ではありません。2016年のときに、インフルエンザ脳症で多くの子供がなくなったという痛ましい事例も多くありました。

それにしても、2016年には一週間で患者が200万人を超えたのですが、医療崩壊が起きたり、起こりそうだとの報道がなかったのはなせなのでしょうか。実際2016年に医療崩壊は起きていません。

その原因は、やはりインフルエンザとコロナの感染症の分類に原因があると考えられます。

現在、新型コロナは「指定感染症」に指定されており、「2類感染症以上の取り扱い」となっています。感染症法では、感染症を危険度によって最も高い1類から相対的に低い5類まで分類し、それぞれに該当する疾病と取りうる措置が明記されています。この分類とは別に感染症法では、「指定感染症」として、政令によって時限的に1~5類に相当する対応をすることができます。


中国武漢市での感染拡大が伝えられた当初、新型コロナは「2類感染症相当」に位置付けられました。その後、1類で可能になる「無症状者への適用」が追加され、さらに、1類でも指定されていない「外出自粛要請」「建物の立入制限」なども加えられて、現在は事実上「2類感染症以上」になっています。

8月28日には、当時の安倍政権により新型コロナに「2類感染症以上の取り扱い」がふさわしいのかどうか、再検討することが表明されました。具体的な議論については、9月16日に発足した菅新政権が引き継がれたはずなのですが、なぜか今もそのままです。

新型コロナ感染症の扱いが、「2類以上」ということは、過剰な対応と言わざるを得ません。

「指定感染症」そのものを解除して、感染症としては季節性インフルエンザと同レベルの対応に変えるべきと考えべきです。その理由は以下の3点です。

第1に、足元までのデータで確認される限り、新型コロナは2類や1類に該当するほど危険性が高くなかったからです。

当初は未知のウイルスであり、中国武漢市での肺炎患者の急増などを踏まえれば、指定感染症とすることはやむをえない対応でした。しかし、その後半年以上を経て、新型コロナは「あらゆる犠牲を払ってでも回避すべき」といった脅威のウイルスではないと判断できるようになりました。

1~3類に指定されているペスト、コレラ、腸チフスなどと同等の危険性と位置付けるのは過剰対応です。季節性インフルエンザや麻疹が含まれる5類相当が妥当なところです。

第2に、医療崩壊を防ぐためです。

2類相当に指定されると、原則として感染者は指定医療機関に入院させなければならないです。ところが、新型コロナのPCR検査で陽性となった人には無症状者や軽症者が非常に多く、すべて入院させてしまうと病床があっという間に埋まってしまいます。

これに関しては、昨年中に軽症者は指定されたホテル等の宿泊施設で療養すことになりましたが、それでも感染者が増えれば当然のことながら、医療現場に負担がかかります。実際、この記事の冒頭にも掲載したように、医療崩壊の危機が叫ばれています。

ただし、以前にもこのブログでも述べたように、日本の医療は民間で成り立っているところがあるので、その民間病院がコロナ患者を受け入れると、現状では赤字になるという状況があり、医療現場の人たちの賃金も下がるという状況にあります。

政府として、この問題も解決しないと、医療崩壊の危機を防ぐことはできないでしょう。

第3に、国民の疲弊が見すごせないレベルに達しているからです。

職場では、従業員の健康状態のモニタリング、感染予防対策、感染者・濃厚接触者の調査など、多種多様な追加措置が求められています。学校でも、もともと長時間労働が常態化していた教職員が、消毒などの感染予防策を講じなければならず、業務多忙に拍車がかかっています。

また、子どもの学習の遅れや心理的ストレスも無視できないです。外出抑制による運動不足で、健康2次被害も懸念されています。これらもすべて、指定感染症によって「当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある」と位置付けられたことに起因したものです。

さらに、感染症対応という観点からだけでなく、経済のさらなる悪化を防ぐためにも指定感染症の解除が不可欠です。

コロナショックで景気後退に陥った主因は個人消費の急減でした。実際、今年4~6月期の実質GDP(国内総生産)成長率は前期比年率28.1%減という統計開始以来最大のマイナスになりましたが、この6割近くは個人消費の減少で説明できる。過去のどんな景気後退局面でも、これほど個人消費が落ち込むことはありませんでした。

そして、個人消費落ち込みの主因は、消費者の活動抑制です。これは、政府・自治体からの要請によって消費者の活動が制限されたこと、消費者が自ら活動を自粛したこと、という2つの面からもたらされました。いずれも、新型コロナが指定感染症に指定されたことが原因で生じた動きです。

であれば、政府はまずは、コロナ感染症の扱いを2類にすべきです。それに、先日もこのブログに示したように、政府の経済対策は万全です、第三次補正で様々な予算をつけたとともに、予備費5兆円も積んであります。だから、コロナに関する様々な対策ができるはずです。

政府としては、戦争でたとえると、十分な弾薬を整え、銃に弾を込めていつでも撃てる状態にあるといえます。

コロナを2類に分類して、コロナ感染症患者を受け入れる病院ならびに、その医療関係者などには、十分な給付金を付与するなどのことをすべきでしょう。それで医療崩壊は必ず防ぐことができます。

実際2016年の日本では、一週間で200万人以上のコロナ感染者を出しながらも、医療崩壊をおこさず、経済が目立って落ちるということもなかったわけですから、実行しようと思えば必ずできるはずです。

特にコロナを2類に分類するということは、なるべくはやく実行すべきです。遅くても、コロナワクチンの接種が行われるときにはそうすべきです。

それと、上の記事では、“緊急事態”AI予測などとして、仰々しく報道してぃますが、この記事を書いた人は、本質をとらえず、多くの人を不安に陥れているように思います。

このグーグルの予測は、古典的なよく知られている感染症の微分方程式を解くことによって実施されています。これは、高橋洋一氏かそう語っていました。

これは、感染者数のみで組み立てられた微分方程式であり、様々な要素を組み込むとかえって予測がしにくくなるため、その時々の感染者数の変化には、感染症の傾向やそれに対する対策や多くの人々の行動変容なども全て含まれることを前提としています。

高橋氏は昨年はこの古典的な微分方程式を実際に解いて、コロナ感染者数の予測していたのですが、GOOGLEが予測をサイトに掲載するようになってからは、同じ方式で予測していることがわかったので、GOOGLEの予測をみるようにして、現在では自分で解くようなことはしていないそうです。

私自身も、理系の端くれですから、一時予測を自分でしてみようと思ったのですが、高橋洋一氏がやっていたのを参照するようにしたことと、最近ではGOOGLEが予測を出しているので、結局一度もしたことはありません。



ただ一ついえることは、結局GOOGLEの感染者予測数は、昔から知られている古典的な感染者数の微分法的式を解いているに過ぎなく、人が計算すると時間がかかるのですが、AIにそれを実行させれば速いだけということです。本質は昔から変わりありません。

ですから、正確無比ということはありえないし、大体の傾向がつかめるくらいのものです。実際10日前のものと最新の予測とは異なっています。

実際にGOOGLEの予測をみても、一日の感染者数は日本全国で最大で9000であり、1万人にも達していません。

それでも、最悪1万人が一週間継続して、感染者になったとして7万人であり、2016年のインフルエンザ蔓延のときの1週間で200万人には到底及ばないことがわかります。それにこの予測は感染者数の変動しか、考慮にいれていないわけですから、あくまで現在のままだと、こうなり得るくらいに捉えるべきです。

一人一人の行動変容や、何らかの対策を行えば、減る可能性は十分にあります。

以上、日本ではかつてインフルエンザが猛威をふるい、一週間で200万超の感染者を出してさえ医療崩壊も経済の落ち込みもなかったこと、コロナの感染者が増えつつあるといっても、この時のインフルエンザと比較すれば、はるかに少ないこと。冬季にインフルエンザとコロナが同時に猛威を振るう可能性は低いこと、政府の経済対策は十分であること、GOOGLの感染者予測は大雑把な傾向を掴むためのものであること等を述べてきました。

コロナ感染が爆発したとしても、なんとかやりようはあるわけです。マスコミは、日々コロナの感染者数などを公表するのは良いのですが、現状のコロナの背景には上記のようなことがあることについては、ほとんど報道しません。結果として不安ばかりを煽っています。

私自身は、先にはきっと「希望」があるということを、個人的には確信しています。

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2021年1月6日水曜日

小池都知事「緊急事態宣言」を直訴…「給付金20万円」を実現するには?―【私の論評】マスコミ関係者にはキャパが狭く馬鹿のままでいてもらっては本当は困る(゚д゚)!

  小池都知事「緊急事態宣言」を直訴…「給付金20万円」を実現するには?


 
      1月2日、意見交換後に報道陣の取材に応じる小池都知事(右)
      と西村経済再生担当相 (写真・時事通信)

 「このまま感染者が減らないなら、『私から思い切って国に言います』と、小池さんは2020年12月23日・24日あたりには、腹を固めていました」 

 そう話すのは、政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏だ。  1月2日、小池百合子・東京都知事(68)は、埼玉・千葉・神奈川3県の知事とともに、西村康稔経済再生相(58)と会談。緊急事態宣言の再発令を求めた。「感染拡大に手を打てない政府を、再び小池都知事が出し抜いた」と、ある政治部記者は語る。

  だが、いま庶民が必要としているのは、緊急事態宣言よりも、休業や収入減に対する “補償” だろう。2020年春には緊急事態宣言が発令され、国民一律で “給付金10万円”(特別定額給付金)が支給された。経済アナリストの森永卓郎氏は、こう指摘する。

 「もし再び “10万円” が国民全員に支給されたら、一家4人なら40万円となり、住宅ローンや光熱費などの固定費や食費に充てても、2週間までならば、ほとんどの世帯は暮らしていけるでしょう。

  でも、2020年よりも感染者数が多い現状で、宣言を解除する時期の見極めが難しい。その期間が延びるなら、補償金の金額を増やさなければ、とても食っていけませんよ」 

 だが、政府与党は及び腰だ。 「現在閣議決定されている、2020年度第三次補正予算案の予備費は5兆円だが、“給付金10万円” の費用は、約13兆円かかった。このときの仕組みを再利用すれば、給付にかかる経費は節減できるが、予備費の5兆円から捻出するなら、給付できてもせいぜい “一律で5万円の給付” にとどまるだろう。

 前回以上の額を支給するなら、補正予算案を組み替えるか、第四次補正予算を新たに成立させるしかない」(自民党ベテラン議員) 

 さすがに5万円では、生活の維持すら無理だ。2020年11月末に、追加経済対策を提言している国民民主党の玉木雄一郎代表(51)は、現金給付の必要性を強調する。

 「現役世代への所得税還付などを通じた10万円の再給付や、ひとり親世帯など低所得者層への “現金20万円給付” を、2020年から政府に求め続けています。

  いまは財政規律にこだわるときではなく、低金利を生かした超長期の “コロナ国債” を発行して、財源に充てればいい。今後も政府に強く働きかけていきます」

  さて、今回も政府を出し抜いた小池都知事は、当代きってのポピュリスト。やはり、眉をひそめる声も聞こえる。 「自分に国民の支持が集まるなら、今後も給付金の増額など補償の拡大を求めるパフォーマンスを打つのは見え見え。2021年は都議選、衆院選もあるし、菅(義偉)総理も現金給付を諦めてはいない。

  ただ党内には、『現金給付は選挙前に、効果的に』という意見も強いうえ、小池さんや野党よりも、先に手を打たないといけない。菅総理も悩ましいところだろう」(自民党幹部)  どんなスタンドプレーでもいい。早急な「給付金20万円」の実現を――。 (週刊FLASH 2021年1月19日・26日合併号)

【私の論評】マスコミ関係者にはキャパが狭く馬鹿のままでいてもらっては本当は困る(゚д゚)!

上の記事をはじめ、最近のマスコミのコロナ報道は、何やら焦点がさだまらず、何を言いたいのかわかりません。GOTOトラベルをやめろと言ってみたり、政府がこれをやめれば、今度はGOTOトラベル中止で、困っている人たちのことを報道してみたり、結局何が言いたいのかわかりません。

GoToトラベル」事業については「継続する方がよい」は21%。「いったん中止する方がよい」
57%と「やめる方がよい」20%を合わせ、8割近くが否定的な見方を示したが・・・・・・・・・


今回の緊急事態についても、昨年のコロナも含めた全体の死者数を一昨年以前と比較すると、明らかに少なくなっていることなどから、もちろん注意は怠らないようにすべきですが、それにしてもさほど大騒ぎするレベルでもないのに連日大騒ぎで、結局テレビの視聴者や新聞の購読者を煽りまくっているいます。それどころか、いきり立っていると言っても良い状況です。

これが、昨年の4月くらいまでなら、全く新しい感染症ということもあり、いきり立つようなこともある程度仕方ないのですが、現在に至るまで、それを引きずっているような報道ぶりはいただけません。もっと冷静な報道をすべきです。

現在の混乱を極めた報道で、実体がどうなっているのか、理解できない人は以下の動画をごらんいただけれは、ご納得いただけるのではないかと思います。


上の動画の高橋氏の話を聴けば、これからコロナ対策も十分行われるでしょうし、資金的にも十分ということがわかります。

また、GOTOトラベルは日本国内の移動の1%程度しか占めていないということで、これを停止したからといって、感染率が劇的に下がるということなどないことがわかります。

そうして、政府の実施することは、結局おカネをつけるということであり、マスコミが批判したりすべきは、おカネを付け方などもっと具体的な批判をすべきなのですが、マスコミは中途半端というか、生半可な知識で、感染率などの専門分野に立ち入り、かえって視聴者、購読者を混乱させるようなことしかしていません。

この動画のタイトルは「緊急事態宣言!いきり立って騒ぐのはマスコミが○○だから」というものですが、この「○○」とははっきり言えば「バカ」ということだと思います。

どうして、「バカ」になるかといえば、高橋洋一氏のいうように、キャパがないということてしょう。

ただ、キャパがないということでは、何の解決法にもならないわけで、ここではキャパの少ないマスコミ人に、キャパの少ない人が、キャパを広げるには何が必要なのかを以下に上げたいと思います。


キャパシティの狭い人のほとんどは、常に忙しそうにしているのに評価されません。

残念ながら残業して頑張ることと、成果が比例するとは限らないのです。


キャパシティを広げる工夫をしないとずっとそのまま変わりません。

他の人に頼めることは最初に頼む
自分ができるようになった仕事は他の人にわたす
他の人にわたすには、手間がかかっても丁寧に教える
キャパシティを広げるために、これら3つのポイントを押さえるべきです。これをしっかりやれば、いかにバカなマスコミ関係者であっても、余裕ができます。しかし、余裕ができただけで、何もしなければ、何もかわらず、キャパが足りないとい状況は改善されません。今までの仕事を他の人にわたして、何か新しいことを始めなければ、時間を持て余し、新しい事柄に出逢えば、あいかわらずキャパシティが低く何もできなくなります。

私が、思うには、ここで未来に対する処し方を変えるというのが最大のポイントになると思います。

経営学の大家ドラッカーは、未来について以下のように語っています。
われわれは未来についてふたつのことしか知らない。ひとつは、未来は知りえない、もうひとつは、未来は今日存在するものとも、今日予測するものとも違うということである。(『創造する経営者』)
ありがたいことにドラッカーは、ここで終わりにしていません。続けて言っています「それでも未来を知る方法は、ふたつある」と。

一つは、自分で創ることです。成功してきた人、成功してきた企業は、すべて自らの未来を、みずから創ってきました。ドラッカー自身、マネジメントなるものが生まれることを予測する必要ありませんでした。自分で生み出しました。

もう一つは、すでに起こったことの帰結を見ることです。そして行動に結びつけることです。これを彼は、「すでに起こった未来」と名付けています。あらゆる出来事が、その発生と、インパクトの顕在化とのあいだにタイムラグを持ちます。

出生率の動きを見れば、少子高齢化の到来は誰の目にも見えたはずです。対策もとれたはずです。ところが、高齢化社会がいかなる社会となり、いかなる政治や経済を持つことになるかを初めて論じたのはドラッカーでしたた。

こうして東西冷戦の終結、転換期の到来、テロの脅威も彼は予見していました。
未来を築くためにまず初めになすべきは、明日何をなすべきかを決めることでなく、明日を創るために今日何をなすべきかを決めることである。(『創造する経営者』)
ドラッカーは、未来を語る前に、今の現実を知らなければならないとしています。なぜなら、現実からしかスタートできないからです。

まずは、自分のキャパシティを知ることです。そうすれば、自分の弱みと、強みがみえてきます。成人を過ぎた時点で、ほとんど自分の弱みを伸ばそうとしてもほとんどできません。できるのは、強みによってです。その強みを徹底的に伸ばすべきなのです。自分の弱みについては組織社会においては他の人に補って貰えば良いです。

ただし、その弱みが明らかに自分の仕事や他の人の障害になるというのなら、それに関しては障害にならない程度には是正はすべきです。ただし、間違ってもその弱みの分野を伸ばして得意分野にするという考えはしないほうが良いです。それをすれば、そのことにキャパが取られ、できる仕事もできなくなります。

このあたりがわからないで、何をしても良いかわからないまま、馬鹿でい続けるといのが、現在のマスコミの姿なのだと思います。情けなさすぎです。上から目線で、いろいろ述べてきましたが、それだけ現在のマスコミ関係者はキャパが少なく、コロナ以外にも政治経済・世界情勢の報道は危機的な状況にあるということです。

とにかく、ほとんど検証もしていないような報道で、視聴者、購読者を混乱させるのだけはやめてもらいたいです。野党の関係者の場合は、いきり立つというのではなく、「気色ばむ」とでも形容するのが良いような、批判をします。

そんなときに、礼儀正しく道理を解くなどということは、気の短い私には無理です。

マスコミや野党のこのような状況は、すぐに治るということはないでしょうから、一番良い対処方法は、テレビを視聴したり、新聞を読まないと言う事だと思います。

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2021年1月5日火曜日

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 コロナだけじゃない、中国で次々に発生する感染症に世界は耐えられるか

ブルセラ症、ハンタウイルス、新型ブニヤウイルス…

中国・瀋陽市で新年早々から行われている新型コロナウイルスの検査

2020年は中国・武漢から始まった新型コロナウイルスの感染拡大で世界が一変した。中国政府はパンデミックの責任回避に躍起だが、同国ではコロナ以外の感染症がいくつも報告されており、歴史的に見ても、中国内陸部から世界に拡散する感染症は今後ますます増える可能性があると、作家の譚璐美氏は指摘する。 

中国奥地に無数にある

新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。

 2020年12月8日、新型コロナの発生源を調査中の世界保健機関(WHO)の専門家であるピーター・ベンエンバレク氏は、NHKのインタビューに答えて、「コロナは中国雲南省の洞窟で発源した模様」という分析結果を公表した。2013年に中国雲南省のコウモリが生息する洞窟で発見されたウイルスと最も近い種類だという。

 中国政府は、新型コロナウイルスは国外から持ち込まれた可能性が高いとして、最初は「米軍が故意に持ち込んだ」、次には「輸入食品の包装が汚染されていた」などとして、「イタリア起源説」、「スペイン起源説」などを盛んに流布して、パンデミックを引き起こした責任を回避しようと躍起になっているが、そんなことを本気で信じる人はおそらく誰もいないだろう。

 中国政府がいくら「中国起源説」を否定しても、新型コロナウイルス以外の感染症がいくつも報告されているし、歴史的にも、中国奥地の、特に雲南省で発生する感染症が無数にあるからだ。

まず、現在の状況をみてみると、今夏、新型コロナ感染による都市封鎖が解除された後、急速に「手足口病」が流行しはじめた。

「手足口病」は、夏に流行するウイルス性の感染症で、通常は乳幼児がかかりやすい。高熱は出ず、口の中や手足などに水疱性発疹が出て、数日内に治癒するが、まれに髄膜炎、小脳失調症、脳炎など中枢神経系の合併症や、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺などを引き起こす。

 中国では、2018年の罹患者が237万6000人に達し、感染症の第一位だったが、2020年の夏以降、また爆発的に増えている。

 ひとりの感染者が他人に感染させる力は「基本再生産数」で示される。最も感染力が高い麻疹が12~18、百日咳が12~17、新型コロナウイルスが1.4~2.5なのに対して、手足口病は4.2~6.5と、新型コロナウイルスの3倍も高い。 

重慶市衛生健康委員会が2020年11月に発表した重慶市の例では、法定伝染病にかかった患者総数2万3104人(死者134人)のうち、約半数の1万891人(死者1人)が手足口病だという。しかも、大人がかかった後に、子供に感染するケースが増えている。

発覚までに一年かかったブルセラ症

ブルセラ症という耳慣れない感染症も発生した。 中国の独立系メディア「財新」(2020年9月16日付)によれば、中国内陸部の甘粛省蘭州市で、2019年7~8月にかけて、動物用のブルセラ症ワクチン工場から菌が漏えいし、周辺住民ら3000人以上が感染した。

工場で使用期限切れの消毒剤を使用し、滅菌が不十分だった排気が工場周辺に漏れ出たための事故だが、工場のずさんな管理体制に加えて、地方政府の隠蔽体質により、発覚するまでに一年もかかった。

ブルセラ症は、牛や豚など家畜に多い感染症だが、人にも感染し、発熱や関節痛などの症状が出て、放置すれば致死率は5%ほどとされる。 雲南省では、新型コロナウイルスとは別種の、ハンタウイルスの感染も確認されている。中国の英字新聞「グローバル・タイムズ」(4月24日付)によれば、雲南省在住の男性が死亡し、医師が検査した結果、ハンタウイルスへの感染によるものと分かった。

ハンタウイルスには様々な種類があり、主として齧歯目(げっしもく)動物であるネズミの尿や糞、唾液に触れることでヒトに感染するが、ヒトからヒトへは感染しないため、新型コロナウイルスのように拡散することはない。

だが、感染すると、約1週間から8週間の潜伏期間を経て発症し、倦怠感や発熱、太ももや腰、臀部、肩などの筋肉痛、めまい、頭痛、嘔吐、悪寒などがあり、放置すると激しい息切れと咳、呼吸困難に見舞われる。

治療法やワクチンがないため、対処療法の酸素吸入しか方法がない。野生動物が住む原生林や不潔な屋外などで感染するため、常に住環境を清潔にしておく必要があるという。

もうひとつ。新型ブニヤウイルスという感染症も報告されている。最初に流行したのは2010年で、感染報告があがったのが2011年だが、2020年春、江蘇省、山東省、浙江省の一部地域で感染が確認された後、8月からに次第に増加してきた。

 新型ブニヤウイルス感染症は、主としてマダニに噛まれることで発症し、介助者や家族が患者の体液や血液に接触することで、二次感染が起こる例が報告されている。

 国際感染症センターがまとめた資料によると、日本でも2005年に感染例があり、2013年に感染報告があがり、幅広い地域にマダニが生息していることが確認されている。

 5月から8月に感染することが多く、6日から14日間の潜伏期間を経て、38度を超える発熱のほか、嘔気、嘔吐、下痢、下血、腹痛など消化器系の症状があり、頭痛、筋肉痛、出血症状、リンパ節の腫脹などがあり、肝機能が低下する。軽症なら約2週間で自然治癒するが、重症化すると臓器不全に陥り、命の危険にかかわるが、治療薬がなく、対処療法が中心になる。

 かつて新型ブニヤウイルス感染症がまだ認知されていなかった時期には、HIV(エイズウイルス)感染に似た症状のため、俗に「陰性エイズ」とも呼ばれた。 以上、ざっと挙げただけでも、現在、中国では新型コロナウイルス以外にも、さまざまな感染症が報告されているが、歴史的に見ても、中国の内陸部では「風土病」と呼ばれる感染症のオンパレードだ。

日本陸軍も中国の感染症に戦々恐々

次の図をみていただこう。


 「雲南省東南部獣疫濃染地帯概要図」と題された、戦前の日本陸軍が作成した感染症のイラスト図である。 

「ナショナルジオグラフィック」(2016年8月4日付)に掲載された「米国で見つかった日本の軍事機密『地図』14点」のうちの1枚だが、米国の国立公文書館に所蔵されていたものが、最近になって発見された。

 図の右下、赤枠で囲まれた「備考」欄には、「本図ハ広西年鑑(民国二十二年)、畜牧月刊(民国二十四年)、統計月刊(民国二十三年)、印度ト南洋(大阪市役所産業部編)ナドニ據リ作成セルモノトス」とある。中華民国二十四年は、西暦1935年だから、少なくとも1935年か翌年に作成されたものだろう。

 右上には「附図第十五」とあり、関連する地図が複数枚あったことを意味している。 図の下半分に、「仏領印度支那」の文字があり、海岸線から西へ鉄道が長く伸びて、雲南省の「南雲」まで達している。これは「援蒋ルート」と呼ばれ、中国の蒋介石軍を援助するために米英が物資を運んだ4つの輸送ルートのひとつ、「仏印ルート」の鉄道路線である。

「仏印ルート」は、当時フランスの植民地であったフランス領インドシナ西部のハイフォンに陸揚げされた物資を、昆明まで鉄道で輸送するためのもので、1940年にフランスがドイツに敗北し、ヴィシー政権が成立すると、日本軍が仏印北部へ進駐したことで遮断された。

 翌1941年、日本軍がさらに仏印南部に進駐したことで、日米関係が決定的に決裂し、太平洋戦争が起こるのである。

さて、この図は、日本軍が「援蒋ルート」を遮断し、中国大陸の奥深くまで侵攻しようと計画した前段階の時期に、雲南省でどんな感染症が流行っているかを、町や村ごとに詳細に書き込んだものらしい。

赤い文字で書かれた感染症の名称をあげると、「豚コレラ」、「家禽コレラ」、「牛疫」、「流行性感冒」、「炭疽(たんそ)」の5つがある。

「牛疫」は、牛疫ウイルスによる感染症で、偶蹄類動物である牛、水牛、羊、山羊、豚、鹿、イノシシなどが感染し、高い致死率を示す。今日では、牛肺疫、口蹄疫、アフリカ豚熱などと共に殺処分の対象になっている。国連食糧農業機関(FAO)が撲滅キャンペーンに乗り出し、2011年6月に世界的な撲滅が宣言された。

「炭疽」は、炭疽菌による感染症で、羊や山羊などの家畜や野生動物の感染症だが、ヒトに感染する非常に危険な人獣共通感染症である。数年前に米国の国家機関に宛てて、炭疽菌が入った封筒が届けられたことがあり、テロ事件だとして大騒ぎになったことを覚えている人も少なくないだろう。

こうした感染症が雲南省の町や農村にうようよ存在しているのだから、日本軍にとっては、戦闘以前に感染症で落命してしまう危険性が非常に高く、戦々恐々としたはずだ。

もっと古いところでは、『感染症の中国史 公衆衛生と東アジア』(飯島渉著、中央公論新社、2009年)によれば、19世紀末の中国は劣悪な栄養と衛生状態にあり、海外との貿易が拡大したことにより感染症が猛威を振るい、雲南省の風土病であったペスト、コレラ、台湾の水田耕作によるマラリア、日本住血吸虫病などの感染症が、香港や満洲を経由して、世界中に広がっていったという。

 詰まるところ、中国内陸部には、細菌やウイルスをもった野生動物や村の家畜、家禽類がいて、そこへ森林開発などで人間が入りこんで接触すると、ヒト感染が起こる。さらに社会のグローバル化、水害、干害、戦争などが加わると、感染症は世界中にばらまかれるという図式である。

それは今も昔も変わらないし、気候変動も大いに関係している。2020年夏に中国を襲った長雨と集中豪雨、泥にまみれた被災地域、枯れた農作物、病害虫の入った餌を食べて病気になった家畜なども、感染症を助長させているだろう。赤痢、ジフテリア、結核も増加傾向にあり、温暖化でマラリアの流行地域が拡大して、世界的に流行する可能性も高い。 

中国で発生する感染症は、新型コロナウイルスだけでなく、今後ますます増えるのではないか。

Romi Tan

【私の論評】中国は伝染病の温床!その理由と対処法はこれだ(゚д゚)!

結核をはじめとする感染症の流行は、約1万年前までさかのぼることができます。感染症は、農業のために森林を切り開き、野生動物を家畜化するといった生態系への働きかけ(開発)によって流行し、都市化で人口が集中したことがそれを助けました。感染症に焦点を当てた「疫病史観」で過去を振り返ると、多くの人命を奪った感染症の流行が、歴史を大きく左右したことが分かります。

1492年のコロンブスの新大陸到達以降、ユーラシア大陸とアメリカ大陸の間で人やモノが行き交う「コロンブスの交換」が進み、欧州から天然痘などの病原体がアメリカ大陸に持ち込まれました。これが免疫を持たなかった多くの原住民の命を奪い、現在のペルーに栄えたインカ帝国や、メキシコのアステカ帝国が弱体化。スペインによる植民地化を容易にしました。帝国を滅亡させた陰の主人公は、病原体だったのです。

コロンブスの交換で様々な物品が交換され、人の往来も活発化した

英国が植民地化したインドの地方病だったコレラは1817年に感染爆発を起こし、世界中に広がりました。背景には、英国をはじめとする欧州諸国のアジア進出のほか、グローバルに拡大した商品貿易や移民、奴隷貿易がありました。

コレラ対策の切り札は上水道の整備で、それを目的として近代国家が生まれました。国家が大規模な水道整備に必要な多大な資金を集める役割を果たし、感染症対策への関与も大きくなっていきました。

こうした感染症ですが、最近では特に中国を発生源をした物が増えています。

中国が震源地となった最も壊滅的なパンデミックは、1346年から1353年にかけてアフリカ、アジア、欧州で猛威を振ったペスト(別名:黒死病)と考えられています。この大流行では7,500万から2億人が死亡したと、科学者等は推測しています。

実際、アイルランドに所在するコーク大学のマーク・アクトマン(Mark Achtman)博士率いる研究チームが2010年にネイチャージェネティクス誌に発表した論文では、6世紀、14世紀、19世紀に世界に大きな爪痕を残した3回のペスト大流行は中国が発生源とされています。世界保健機関(WHO)によると、ペスト菌に感染することで引き起こされるペストは、商船に侵入したネズミのノミを介して大陸間に感染が広がった可能性が高いというのが科学者等の見解です。

さまざまな専門家の見解に基づくと、過去100年ほどの間に中国を起点として発生したパンデミックとして、1957年とおそらくは1918年のインフルエンザの流行、および2002年と2019年に発生したコロナウイルスによる呼吸器疾患の流行が挙げられます。

1957年から1959年にかけて発生したインフルエンザのパンデミックは、中国が起点となったことから「アジアかぜ」と呼ばれましたが、この2年間で世界でおよそ200万人が死亡しました。独立系オンラインリソースであるMPH Onlineが伝えたところでは、A型インフルエンザウイルスのH2N2亜型によって引き起こされるアジアかぜは、1956年に中国貴州省で発生し、シンガポール、香港、米国などに広がりました。

一部の専門家の見解によると、1918年に発生したインフルエンザのパンデミックも中国から広まった可能性があります。当時は第一次世界大戦中で世界で情報が検閲されており、スペインでの流行が大きく報じられたことで、これは「スペインかぜ」という名称で呼ばれることが多いです。

世界で2,000万人から5,000万人という史上最も多くの死者を出した1918年のスペインかぜは、世紀で最も致命的なパンデミックの1つとされます。米国疾病予防管理センター(CDC)の記録では、当時の世界人口の約30%に相当する約5億人がスペインかぜに感染しています。

ニューファンドランドメモリアル大学の歴史学者であるマーク・ハンフリーズ(Mark Humphries)博士が2014年1月にウォー・イン・ヒストリー(War in History)誌に発表した論文によると、1918年に英国部隊とフランス部隊の後方支援として9万6,000人の中国人労働者が雇用されて当地に搬送されたことで、 「以前はウイルスから隔離された状態にあった集団が欧州の戦場で相互に接触したこと」が同パンデミックの要因となった可能性があります。労働者の多くはカナダ経由で欧州に移送されたのですが、少なくとも3,000人にインフルエンザのような呼吸器疾患の症状が現れていたという文書記録が残っています。

2020年3月12日、武漢市に所在する病院の集中治療室を消毒する医療従事者

現在、世界を震撼(しんかん)させている新型コロナウイルスのような新興感染症が、中国を起点に多数登場しているのはなぜでょうか。背景には、20世紀末から急速に経済成長した中国が、人類が1万年かけて経験した開発や都市化をわずか30年ほどの間で経験したことがあるとみるむきもあります。

ただ、この30年説は正しくはないかもしれません。それは、冒頭の記事で示されている日本軍の雲南省でどんな感染症が発生しているかを示した地図の存在からも明らかです。この地図は、1935年あたりに作成されたものです。

この頃は中国はまだ完全に発展途上国といって良い状況でした。となると、中国発のでん選評が多発する原因は、都市化以前に農業のために森林を切り開き、野生動物を家畜化するといった生態系への働きかけ(開発)によって流行したことが考えられます。そうして、今でもそのようなことが繰り返されている可能性があります。

ただし、今回のコロナに関しては、「世界の工場」となった中国が、国際貿易や人の移動の面でその存在感を高めていることも、新型コロナ感染症をグローバルに拡大させる要因となりました。

流行の中心地となった中国の武漢市や湖北省などでは、大規模なロックダウン(都市封鎖)が行われ、人々の活動を制限して感染症の抑え込みを行いました。流行の中心が欧州や米国に移ると、多くの国で外出制限や学校の休校措置がとられ、世界はなかば鎖国のような状態となりました。

ほぼ同時にこれほど大規模な活動の制限が求められたことは、感染症の歴史においても、経済社会の歩みの中でも初めてのことです。

「疫病史観」を紐解けば、私たちが想像している以上に、感染症が人類の歴史に大きな影響を及ぼしてきたことが理解できます。考えてみると、農業化や工業化、さらに都市化という人類史の基本的なトレンドは、人々が集まって大きく生産や消費を行うことを前提としてきました。

しかし、今回の新興感染症は、私たちがそうした行動をとることを許しません。経済社会を成り立たせている基本的な活動が、感染症流行の要因になっているのです。現在、起きていることは、経済社会のあり方が根本から変わる転換点と後に位置づけられるのかもしれないです。

ただ、現在の先進国の都市では、伝染病の発信源になることはほとんどありません。それだけ、先進国は、上下水道を整えたり、防疫・医療体制を強化してきたのです。

それよりも、同じ一つの国で、奥地では農業のために森林を切り開き、野生動物を家畜化する等といった生態系への働きかけ(開発)によって元々伝染病が流行しやすくなった中国が、20世紀末から急速に経済成長し、沿岸部では人類が1万年かけて経験した開発や都市化をわずか30年ほど成し遂げたことが流行に拍車をかけたといえるでしょう。

まさに、現在の中国は、伝染病の「ゆりかご」と言っても良い状況なのです。

これに輪をかけて、さらに中共政府が初期の段階で感染症の隠蔽をはかったことが、後にパンデミックの大きな要因となったことを考え合わせると、一つ浮かび上がってくる解決法があります。

それは、少しでも中国内で、新たな感染症の兆候があった場合、中国政府などの情報やWHOの情報などあてにせず、各々の国は自国民の命と財産と、自国経済を守るために、すぐに中国からの渡航制限をすることです。

そのためには、各国で協力のうえで、中国には公表せずに、中国内の感染症情報を得る体制を整えるべきでしょう。そうした体制を整えておき、少しでも兆候があれば、問答無用で中国からの渡航を禁じるのです。

今回のパンデミックによる、人的、経済的被害を考えれば、これくらいは当然の措置だと思います。それに、今回の犠牲者数の多さを考えれば、中国との付き合いは普段からほどほどにしておくべきです。

そうしないと、先進国がいくら国内で伝染病への対策を強化しても、パンデミックが繰り返し起こる可能性があります。


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2021年1月4日月曜日

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2021年、日本が決めるべき「コロナ対策」は、単純明快だった…!

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重苦しい一年の幕開けで…

なんとも重苦しい新年だ。大晦日、東京都では過去最高の1337人もの新規感染者を記録し、新年はじめのお参りも自粛ムードだ。

新年早々の1月2日、東京都の小池百合子知事や神奈川県の黒岩祐治知事、埼玉県の大野元裕知事、千葉県の森田健作知事の首都圏1都3県の各知事が、政府に緊急事態宣言発令の検討を要請した。西村康稔経済財政・再生相は「国として要請を受け止め、検討していく」と語った。

筆者は例年通りに元旦の早朝にお参りした。その時間は、連年でもお参りする人は少ない時間帯だ。いつも以上に少なかったが、それでもソーシャルディスタンスを保ってお参りした。今年こそはコロナが終息することをお祈りせざるを得なかった。

政府は、昨年12月14日に年末28日からのGoToトラベルの一律一時停止を発表して以来、繰り返し「静かな年末年始を」と呼びかけてきたが、相変わらず新規感染者は増加の一途だ。

国民の願いは、新型コロナの押さえ込みと政府による説明だ。GoToトラベルによる移動者は、日本全体から見ればごくわずかにすぎない。

国土交通省の鉄道輸送統計と航空輸送統計によれば、GoToトラベルの行われていた8~10月の旅客輸送数は50億人弱だ。一方、同じく国土交通省によるGoToトラベル事業における利用実績は、7/22~10/31で3976万人だ。

これは鉄道・航空輸送の1%程度しかない。このGoToトラベルを停止したところで、人の移動に対する影響はたいしたことがないのは明らかだろう。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長もエビデンスはないと公言しているほどだ。

逆の批判に…

それでも、マスコミはGoToトラベルをやり玉に挙げて政府を批判し、政府は一律一時停止を決めると、マッチポンプのように手のひらを消して、旅行飲食事業者はどうするかとの逆の批判に転じた。

こうした時には、政府による筋の通った上で、丁寧かつ責任ある説明が必要だった。GoToトラベルの一律一時停止について、筆者は「よくわからないけど、止めてみる」と考えた。政府の説明はちょっと歯切れが悪かった。

新型コロナの世界の現状を見てみよう。


これと同じ図は、昨年の11月16日付け本コラムでは以下の通りだ。


2つを比べると、各国の位置関係は驚くほど似ていて、横軸が右に伸びているのがわかる。つまり、世界各国で似たように感染拡大になっているのだ。

これらの国の対応は様々だ。新型コロナ感染拡大を抑え込むことに比較的成功している世界の国々は、水際対策の早期強化(オーストラリア)、感染初期に政府権限や罰則等のガバナンス強化(中国)を行っている。

日本の感染症対応体制は、1897年に制定された旧伝染病予防法以来120年の間、地方行政だった。1937年の旧保健所法からは、知事の下の保健所中心の法制だった。1994年には、県型保健所は、政令指定都市・特別区・中核市などの市型保健所へ移管されていった。

その上で、今の新型コロナ特別措置法は、国は緊急事態宣言発出、基本方針策定、都道府県の総合調整を行い、都道府県知事は団体・個人への協力要請、緊急事態時に外出自粛、休業の要請・指示を行うとされている。

一貫した考えとして

知事の権限は比較的強化されているが、休業要請どまりであり、財政余力がない地方自治体では休業補償しにくいので休業要請の実効性が出ない。そのうえ、国は地方にカネをださないが、口を出す。

筆者は、新型コロナ対策のようなものは「戦時体制」に準じたものと考えている。であれば、国は地方に口を出さないまでもカネは十分に出していいと思っている。これは、新型コロナが発生したときから、筆者の一貫した考え方である。

本物の「戦時」であれば、生産拠点がやられて生産力が落ちるので、国によるカネを刷って有効需要を作る財政政策と金融政策の同時発動(マネー・プリンティング政策)は悪性のインフレを発生させる可能性があるが、コロナ対策では幸いにして生産力は落ちずに需要蒸発のような状態なので、悪性インフレのおそれは少ない。実際、こうした筆者の見通しは外れていない。

新型コロナの場合、他の事例での死者数など例示しいくら致死率が低いと説明しても、ワクチンと新薬が開発されるまで人びとの不安は、そう簡単に解消するものではない。ワクチンは既に欧米では接種が開始されており、日本でも早ければ2月下旬から接種が開始される。

それまでの間、新型コロナへの不安は、一般的な各種の消費需要を減退させる。例えば飲食業の中でもデリバリーなど一部のニッチなビジネスは儲かっているが、飲食業全体としてみると消費需要は落ち込んでいるという状態だ。

しかも、ビジネスを推進しようとすると、新型コロナ防止策にマイナスの影響もあり、かえって景気回復が遅れる。その場合、ビジネスを最低限で支え、新型コロナ防止策を優先すべきだ。というわけで、筆者は休業補償について前向きなのだ。

さらに国は、財政政策と金融政策の同時発動を発動すれば、同時に通貨発行益を享受できる。これは、将来世代の負担を考慮することなく、財源が作れるので、これを交付税交付金として地方に配分し、地方は自由にそれを使えばいい。この地方政府にはない国の通貨発行益を利用すべきだ。

一貫した考えとして知事の権限は比較的強化されているが、休業要請どまりであり、財政余力がない地方自治体では休業補償しにくいので休業要請の実効性が出ない。そのうえ、国は地方にカネをださないが、口を出す。

筆者は、新型コロナ対策のようなものは「戦時体制」に準じたものと考えている。であれば、国は地方に口を出さないまでもカネは十分に出していいと思っている。これは、新型コロナが発生したときから、筆者の一貫した考え方である。

本物の「戦時」であれば、生産拠点がやられて生産力が落ちるので、国によるカネを刷って有効需要を作る財政政策と金融政策の同時発動(マネー・プリンティング政策)は悪性のインフレを発生させる可能性があるが、コロナ対策では幸いにして生産力は落ちずに需要蒸発のような状態なので、悪性インフレのおそれは少ない。実際、こうした筆者の見通しは外れていない。

新型コロナの場合、他の事例での死者数など例示しいくら致死率が低いと説明しても、ワクチンと新薬が開発されるまで人びとの不安は、そう簡単に解消するものではない。ワクチンは既に欧米では接種が開始されており、日本でも早ければ2月下旬から接種が開始される。

それまでの間、新型コロナへの不安は、一般的な各種の消費需要を減退させる。例えば飲食業の中でもデリバリーなど一部のニッチなビジネスは儲かっているが、飲食業全体としてみると消費需要は落ち込んでいるという状態だ。

しかも、ビジネスを推進しようとすると、新型コロナ防止策にマイナスの影響もあり、かえって景気回復が遅れる。その場合、ビジネスを最低限で支え、新型コロナ防止策を優先すべきだ。というわけで、筆者は休業補償について前向きなのだ。

さらに国は、財政政策と金融政策の同時発動を発動すれば、同時に通貨発行益を享受できる。これは、将来世代の負担を考慮することなく、財源が作れるので、これを交付税交付金として地方に配分し、地方は自由にそれを使えばいい。この地方政府にはない国の通貨発行益を利用すべきだ。

特措法にも規定すべきでは?

実際、新型コロナ対策の臨時交付金が1、2次補正予算で3兆円計上されているが、発行国債は日銀が買い受けるために将来世代の負担はない。3次補正や新年度予算でも予備費が10兆円計上されているが、こうした国と日銀の連合軍によって、新型コロナ対策の臨時交付金として地方自治体へ交付できるようになる。

また、地方自治体が地方債を発行し、それを日銀が買取対象にすることも考えられる。地方自治体は日銀に利払いをしなければいけないが、それは政府に対する税外収入の納付金になるので、政府はそれを臨時交付金として地方に還元するのもいい。こうした仕組みにより、地方自治体は地方債の利払い負担を考慮せずに地方債を発行できるようになる。

こうした観点から、都道府県知事の休業権限と、国から地方への休業補償のためのカネを十分に交付することを、新型コロナ特措法にも規定すべきである。

幸いにも、政府の中にも、新型コロナ対策として私権制限、行政罰の導入とともに、地方自治体の休業補償に対する国の財政支援の規定も盛り込んだ新型コロナ特措法の改正の機運が出ている。これらは、全国知事会も政府に要請していた事柄でもある。

その上、冒頭に述べたように、2日の首都圏1都3県の各知事が、政府に緊急事態宣言発令の検討の要請もある。これは、4日に霞ヶ関は仕事はじめだが、それこそ正月気分なしですぐに回答が求められている。

それは、上に述べたように、新型コロナ特措法改正を事実上先取りしていくことになるだろう。

そのために、カネのことだけは心配要らないように、3次補正と新年度予算で10兆円の予備費を積んだのだ。

1、2次補正でも10兆円の予備費を計上したが、一部野党とマスコミは予備費が大きすぎると批判した。その結果、予備費の消化が十分にできなかった。主として厚労省関係で「予算の目詰まり」があったともいわれている。

本来であれば、予備費は、医療崩壊を防ぐために使われているべきだったが、欧米と比べて日本は新型コロナ感染の程度は低いのに、医療崩壊というのは情けない。今度も、一部野党とマスコミはまた予備費が大きいという批判をするのだろうか。

いろいろなメッセージが…

ただし、今になって4、5月の1、2次補正の予備費問題をぶり返しても意味がない。今できることは、東京などで飲食店などで営業時間の短縮などを要請し、それに対する補償・協力金を支給することくらいだ。これで、新型コロナの感染拡大を抑え込むのがいい。

最後に、新型コロナ特措法の改正では、新型コロナ対策の意思決定も見直したらいい。今は、新型コロナ対応にあたる政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会(尾身茂会長)がいろいろなメッセージを出すが、政府の方針と地方自治体の対応とスムーズに連携していない。

豪州では、今年の3月から「National Cabinet」と称し、新型コロナ対策関係閣僚に8人の州知事全員を加えた新たな国家の意思決定機関を立ち上げ、コロナ対策は全てここで決定している。もちろん、そこへの専門家のアドバイスもある。政府も、その例を参考にして、新型コロナ対策の意思決定を国民に見えるようにしたほうがいいだろう。

【私の論評】政府は、交付税交付金を地方に配分し、地方は自由にそれをコロナ対策等に使えるようにすべき(゚д゚)!

コロナ禍の対処は「戦時体制」に近いかたちで対処すべきであると私も思います。昔ある自衛隊の幹部人に、たくさんの兵士を率いる将官でその有能さと無能さを分けるのは何かと聴いたことがあります。

その答えは「戦場では、後でどんなに大勝利であるとわかった戦闘においても、現場では人がなくなったり、パニックになったりで、現場で戦闘に携わっている人の報告は、かなり"悲観"なものになる。だから、現場の報告を聴いて、すぐに兵を退却させる将官は無能である。

一方、本当に悲惨な状況で戦闘に負けてしまいそうな時にも、当然のことながら、現場に携わっている人の報告は"悲観的"なものになる。これを聞かずに兵を撤収させなければ、戦闘に負けてしまう。

そのため、将官たるものは、部下の報告を聴く時には、普段から客観的な判断ができるよう、5つくらいの基準をもうけて、その基準に照らし合わせて部下の報告を的確に判断しなければならない。また、そういうことを実施する将官が有能であるといえる」というものでした。

確かに、そう思います。これができなくて、失敗した将官は古今東西にあまた存在します。そうして、これにはもう一つ条件があると思いました。それは、敵に比較して、武器弾薬が互角であることです。この条件を欠いてしまえば、前提が崩れます。

高橋洋一氏の主張する「一貫した考え」とはまさに、戦時ではこのことを言うのだと思います。戦争において武器弾薬に相当するのは、コロナ禍においては、十分なおカネです。

そうして、コロナ禍対応で必要なおカネは、高橋洋一氏が主張するように、本来は潤沢に準備できます。国は、財政政策と金融政策の同時発動を発動すれば、同時に通貨発行益を享受できます。これは、将来世代の負担を考慮することなく、財源が作れるので、これを交付税交付金として地方に配分し、地方は自由にそれを使えば良いのです。この地方政府にはない国の通貨発行益を最大限に利用すべきなのです。

さて、高橋洋一氏が上の記事で、示した2つのグラフで、日本だけが患者数が増えているわけではなく、相対的には日本は上手にコロナに対処していると考えても良いと思います。コロナの基礎データについては、昨年10月に更新されたニッセイ基礎研究所の資料が、さらに理解しやすいです。その資料を以下に掲載します。


これまで各国が実施してきた封じ込め政策を見ると、中国のように、都市封鎖(ロックダウン)や大規模な検査により、感染の抑制をしている例がある一方で、インドのように全土で都市封鎖をしても感染がピークアウトしなかった例もあります。欧州のように、都市封鎖や行動制限などによってピークアウトした後、再び感染が拡大するケースもあり、国によって成功例はあるものの、封じ込め政策の「特効薬」というべき方法は見つかっていないと言えるでしょう。

そのため多くの国ではマスクやソーシャルディスタンスの確保といった基本的な感染予防策と、感染者の早期発見・隔離といった医療体制整備をしつつ、感染拡大の状況に応じて効果的な封じ込め政策を模索する状況が続いていると言えます。不確実性は依然として高く、各国ともに油断ができない状況が続きそうです。

2 感染者数や死亡者は各国の報告数値を用いているが、国によって報告基準が異なる点に注意が必要。
3 パキスタンのGDP損失は年度単位で計測しており他国と基準が異なる点には留意が必要。ただし、経済被害が相対的に軽微である国であることは変わらない。

これは、10月に更新されたものですが、日本の感染拡大は懸念されるものの、他国も感染拡大していることを考えると、現時点でも大きく順位が大きく後退していることはなさそうです。それは、高橋洋一氏のグラフからもみてとれます。

これらの資料から、マスコミや野党のように大騒ぎするレベルではないといえます。本来なら、GOTOキャンペーンも中止する必要はなかったかもしれません。さらには、自粛要請の必要性もなかったかもしれません。経済的にも今後ひどく落ち込むこともないようです。ただし、政府が対応を間違えばどうなるかわかりません。 かといって、野党やマスコミが批判するような、酷いレベルではなく、相対的には良いほうです。

各県の知事がどうしても営業時間の短縮をしたいというのなら、別に国に頼らなくても、憲法に反さない形で法的に規制できる方法もあります。それは、風営法規制業種の営業時間を都道府県条例で厳しく制限するという方法です。

その上で風営法違反の厳格な取り締まりを都道府県警察に命じるのです。 これは議会と連携し都知事の権限を行使すれば可能です。ただし、こういうことを実施するにしても、時短営業保証などはすべきであり、そうなると高橋洋一氏が主張していた交付税交付金方式がますます重要になってきます。これは、なるべくはやく実現すべきでしょう。


安倍内閣で内閣官房参与を勤めたこともある、京都大学大学院教授の藤井聡氏によると今全国のコロナ対応病床は全病床の0.7%だそうです。残りの99.3%は概してガラガラだそうです。だから大量に余っている病床をコロナ対応病床にするだけで医療崩壊は防げるのではないでしょうか。

ただし、コロナ患者を受け入れると、病院が赤字になるそうですし、多くの医療従事者はコロナ対応にあたっても、特別手当があるどころか、賃金が下がっているという有様だそうです。このあたり、政府が地方におカネを出し、地方が改善していくべきです。賃金が下がった上、差別も受けるという状況では働きたくなくなるでしょうし、病院側もコロナ患者を受け入れたくなくなるのも道理です。これも、地方が潤沢な資金を用いて補填すべきです。

それと、外国人の全面入国禁止しなくても良いですから、ビジネスも居住者もすべて3日前までのPCR検査の陰性証明と入国後指定ホテルなどでの強制隔離14日間にすべきです。 外国人に関してはホテル代と滞在期間中の民間医療保険の加入を義務化(全額自己負担)して、 日本人でホテル代を払えない人のみ政府貸付にすべきです。

以上のようなことに対応した上で、緊急事態宣言をもう一度検討すべきですし、また最悪出すことになってもターゲットを絞りこむべきです。単純に出すのではなく、経済的対応と非経済的対応もあわせて、最善の策を目指すべきです。やれることをやってから、それでも感染が広がるなら緊急事態宣言もやむなしということで、出すべきです。

11時からの首相会見は生で見ましたが、その後のマスコミ報道が緊急事態宣言を既定路線化するようなものばかりで本当に気味が悪かったです。そうしてネットを含む世論、ワイドショー民がそれにつられているようです。今日の菅総理の記者会見もあくまで「検討」と語っていました。そうして対策のポイントを絞る方向で進むということも言っていました。その方向に進んで欲しいです。

菅総理は専門家たちの意見も聞くといいますが、専門家たちの見解は年末では、飲食店の時間短縮を要望していました。政府としては、極力宣言の回避という前提で東京都と詰めるべきです。

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2021年1月3日日曜日

報道の裏にある現実を見極める眼を 堤 未果 国際ジャーナリスト―【私の論評】日本の選挙は米国のような不正は起きにくいが、それでも選挙以前のプロパガンダに注力せよ(゚д゚)!

報道の裏にある現実を見極める眼を 堤 未果 国際ジャーナリスト

【クローズアップ:米国大統領選と情報戦争】
2020年を振り返ると、真実とそうでない情報が,世界規模で錯綜した一年だったと言えるだろう。

新型コロナウィルスに始まり、各国政府が実施したロックダウンとそれに伴う世界的な景気後退と失業率の拡大、アメリカ大統領選挙の不正疑惑まで、今まで信じてきたものがことごとく崩れてゆく中、言論の自由にまで疑問符がついた。

国際ジャーナリスト 堤未果氏

第二の南北戦争-米国史上最大の混乱

「ニュースを見ても、何が起きているかよくわからない」

日米の主要マスコミが、バイデン勝利で決着がついた前提で本質を伏せた報道を続けているアメリカ大統領選などは、その典型的なケースだろう。

1月20日の就任式まで最終結果は確定されないが、今や現地では「第二の南北戦争」と呼ばれるほど、米国は史上最大の混乱に突入している。

テレビや新聞は繰り返し、敗北を認めないトランプ大統領を「民主主義を冒涜している」と批判する。あるコメンテーターはこう言った。

「今まで散々フェイクニュースを撒き散らし、嘘をついてきたトランプが、今度も世界を騙しているのだ」と。
だが本当にそうだろうか。

壮絶なサイバー・情報戦争

日本の私たちはこの問題を、単に「トランプ対バイデン」という構図でとらえるべきではない。何故ならこれは単にアメリカ一国の問題でなく、わが国と周辺国にとって決して他人事でない、米中間で進行中の、壮絶なサイバー・情報戦争だからだ。

今回の選挙で世界が見せつけられた最大の衝撃は、グーグルやフェイスブック、ツイッターなどのソーシャルメディア企業が、いつのまにか政府や伝統的なメディアを遥かに超える力を持ってしまった現実だろう。

アメリカの上院司法委員会は11月に公聴会を開き、フェイスブックとツイッター、グーグル社のCEOを、選挙期間中の不当な検閲や特定のアカウントを理由なく凍結した行為について批判した。

ツイッターとフェイスブックは、バイデン側のスキャンダル報道を閲覧不可にする一方で、トランプ大統領と共和党支持者のアカウントを凍結し、拡散を阻止した事を追求されている。また、米国行動科学研究所がアリゾナ、フロリダ、ノースカロライナの3州で大規模な有権者調査をした結果、グーグルがバイデン側に有利になるよう検索結果の順番を操作し、民主党支持者のネット画面にのみ「投票を促す表示」を出していたことが明らかになった。

常軌を逸したテック企業の言論統制は、以前から各国で問題になっていた巨大テック企業のやりたい放題を、国家安全保障問題にまで引き上げた。

今回の不正疑惑については、国内だけでなく外国政府が関わっている証拠が当局に提出されたからだ。

12月17日。ピーターナヴァロホワイトハウス大統領補佐官が発表した、接戦6州における大統領選挙の調査報告は、民主党陣営の大規模な不正を明らかにした。50の訴訟と関係者(郵便局員や投票所職員、選挙監視スタッフ、民主党員、共和党員ら)数千人が自ら署名した宣誓供述書を元に、州の公聴会での証言や異議申し立て、実名入りの証拠映像、法律家の分析、投開票や統計データなどが詳細に検証された結果、不正が断定され、裁判所に徹底調査が要求されたのだ。

この6州は1月6日までに、選挙結果の合法性を証明するか、再集計した合法票を出さなければならない。

検証項目の中でも、全米28州で有権者の20%が利用した電子投票機に関する箇所は、安全保障問題を激しく炎上させた。部品の大半が中国製の上、当該企業が2018年に中国系企業が出資する投資会社に買収され、大統領選の1ヶ月前にも4億ドル(400億円)の融資を受けていた事で、今回の不正の数々に、外国政府が深く関わっている事が明らかになったからだ。

加速する米中戦争

世界中どこでも、外国勢力による選挙介入は国際法(不介入原則違反)で禁止されている。特に近年はデジタル技術の進化によって、候補者のイメージ作りや有権者の意思決定、投開票に至るまで、一度介入されればその影響は大規模だ。

これは日本も他人事ではない。例えば憲法改正の国民投票の際、デジタルプラットフォーム企業や外国勢力の意図的な介入を阻止できる体制が、果たして今の政府にあるだろうか?

過去何度も不正選挙が繰り返されている上に、野放しのソーシャルメディアが年々その影響力を拡大するアメリカで、2期目の選挙戦を警戒していたトランプ大統領は先手を打った。2018年に「選挙への干渉が明らかになった外国企業及び個人に制裁を課す」ための「大統領令13848」に署名しておいたのだ。

11月12日、トランプ大統領は中国による国防の脅威を理由に「国家緊急事態」を宣言、それを受けて12月3日に国務省は、最大10年だった中国共産党員とその家族の米国入国ビザを1ヶ月に短縮した。続いて18日に商務省が、米国内で中国のための軍事開発を行なう5大学(国防七子と呼ばれる)を含む、60の組織と企業を「制裁リスト」に加え、実質的な禁輸措置を開始している。

大統領選の陰に隠れた米中間戦争が加速するにつれ、自国の知見や技術が軍事利用される事への警戒が強化されているのだ。(日本にも国防七子と学術協定を結ぶ大学が45校あるが、見直しを検討しているのは16校のみと、危機感は緩い)

SNSが国家の脅威に

12月23日。トランプ大統領は通信品位法230条が、国家安全保障と選挙制度への脅威になっているとして、国防権限法に拒否権を発動した。

230条はSNS上の言論に関し、企業側には一切責任を問わないという企業保護のルールだが、これを廃止する方向で進めるという。

今までは、SNSはメディアではなくプラットフォームだからという理由で規制されずにいられたが、世論を自在に動かせるほどの存在に(ツイッター登録者数1.7億人、フェイスブック登録者数27.4億人、グーグル検索件数35億件/日)なった上、外国政府との深い繋がりが明らかになった今では、国家の脅威になるからだ。

廃止されれば書き込み内容について責任を取らされるので、今回の言論統制は「国家反逆罪」に該当する可能性が高い。反逆罪は極刑だ。そうなれば当局はSNS企業に対し、営業停止と資産凍結、財産没収を実行するだろう。この動きを警戒してか、フェイスブックのCEOマークザッカーバーグ氏は保有する2億8000万ドル分(280億円)の自社株を売却、その後も毎日1210万ドル(12億円)売り続けている。

米国の混乱は日本の近未来


日米マスコミは12月18日に全米の州が選挙人結果を政府に提出した時点で「バイデン勝利確定」を流しているが、矮小化された報道には注意が必要だろう。結果が出るのはまだ先だ。2021年1月6日の開票結果に対し上院議員1名と下院議員1名が二人で異議を申し立てると、すべての選挙結果は無効になる。その場合各州議会が1名ずつ選んだ新しい選挙人が、大統領と副大統領を選ばねばならない。例えバイデンになったとしても、トランプが「反乱法」を発動すれば舞台は軍事法廷に移るため、まだまだ混乱は続くだろう。

中国の脅威と、言論を支配するテック企業の暴走によって、アメリカが事実上のサイバー・情報戦争の真っ只中にあることは、1月20日に誰が大統領に就任しようが変わらない。そしてそれは日本を含む、多くの国の近未来になりうるだろう。

社会のデジタル化が加速するほどに、矮小化された報道の裏で起きている現実を見極める眼が、私たちに求められている。

【私の論評】日本の選挙は米国のような不正は起きにくいが、それでも選挙以前のプロパガンダに注力せよ(゚д゚)!

今回の米大統領選挙で、残念だったのは、上の記事にも掲載されている通り、フェイスブックとツイッター、グーグル社のCEOを、選挙期間中の不当な検閲や特定のアカウントを理由なく凍結したことです。

私自身は、従来からかなりの中共の批判や、米民主党やオバマ、日米マスメディアに関する批判をSNSに書き込んできましたが、だからといって検閲などされたことがないので、保守の論客が、検閲やアカウントの凍結などされているということも、他人事のように感じていました。

しかし、昨年になってからはじめて、twitterに書き込みをしていると、「問題が発生しました」(下写真参照)というメッセージがでてきて、書き込みができなくなり、tweetの内容を多少変えると、書き込みができるということが頻繁に起こりました。



しかし、検閲以前の書き込みと、これらの書き込みがいわゆる公序良俗に反するものとはとても思えず、過激であるとも思えませんでした。やはり、最近になって検閲が厳しくなっていると感じていました。

従来から、既存メディアに関しては日米ともにかなり偏向しており、問題があると思っていましたが、SNSも検閲するようになったので、これは大問題だと思いました。

今回のアメリカ大統領選で、SNS各社は事実を誤認しかねない投稿に警告ラベルを付けるなど対策に乗り出しました。しかし、何が事実であるかをSNS各社が正しく理解しているとは思えません。

ツイッターでは選挙戦の期間、およそ30万件の投稿に警告ラベルを付けたと発表しています。大統領選投票日の後に行われたトランプ氏の支持者の集会。参加者は、SNSが使えなくなったと不満を訴えまました。

インスタグラムは、地域や社会を守るためだとして暴力を助長しかねないアカウントなどを停止しました。インスタグラムだけではありません。ツイッターは、トランプ大統領の投稿に誤解を招く内容が含まれているとして警告のラベル付けを行ってきました。

SNSの影響を調査しているスタンフォード大学などの研究チームによりますと、トランプ大統領のある投稿について投稿のおよそ40分後にツイッターが投稿を隠すラベルを付けたところ、拡散のペースが鈍化したそうです。

ラベルには拡散を遅らせる効果がみられたといいます。ただ、元フェイスブックのセキュリティー部門の責任者で現在はスタンフォード大学で教授を務めるステーモス氏は警告のみのラベルでは情報の拡散は止まらずSNS各社の対応は失敗だったと指摘しています。

だからこそ、いくらSNS側が様々な警告のラベル付けなどの実質上の検閲を行っても、トランプ氏支持者の情報の拡散を防ぐことはできなかったのでしょう。

そのためか、米国でも日本でも、現段階で「米国大統領選挙」が決着したと思っていない人はかなり多いです。

今回の不正選挙疑惑に関しては郵便投票を争点としていることは言うまでもありません。米国の郵便投票について、日本では「不在者投票に近いもの」という誤解があるようです。

不在者投票は離れたところにいて現地で投票できない人たちが、自分から投票用紙を請求して近くの関係機関などで投票するというものです。それに対して、郵便投票は州政府が有権者に投票用紙を送って、それを郵便で返送してもらうというしくみになっています。

郵便投票は以前から不正投票の温床になっていると指摘されていたのですが、今回の選挙では、とくに民主党側が新型コロナウイルスを口実に郵便投票を大々的に広げようとしました。

郵便投票が不正を生みやすいのは、投票用紙が送られるのが有権者であるとは限らない点にあります。州政府がすべての住人について有権者に投票の資格があるかどうかを把握するのは、とくに大きな州では不可能であり、他州に移動したり亡くなっている人たちに送られたことも確認されています

すると、送り返された投票が本当に本人のものかどうかわかりません。さらには、認知症の年配者が多い養護施設などに送られている場合に、その施設が一括して送り返してきた投票用紙が、本当に本人の意思なのか確かめようがありません。

さらに、郵便投票で集計不正が起こると、確かめようがないという不安もあります。そのために、たとえば、民主党が行政を握る州では共和党党員が監視員をするといった措置がとられたのですが、監視がある時間帯に拒否された事例も少なからず報告されました。

ただし、郵便投票不正については、不正の温床であったことは論を待たないと思います。

今回の選挙での郵便投票 日本では特殊な場合を除いてできない

いずれにしても、民主党側が郵便投票で自分たちが有利になるということはわかっており、郵便投票を広めることがトランプ大統領の再選阻止の切り札になると考えていたことは間違いないようです。

だから、トランプ大統領としては郵便投票をできるだけ抑えて、投票所での投票を基本にすることで民主党側が不正できないようにしようとしていたのです。ところが、そのための武器であるはずのツイッターで、肝心のツイッター社が「郵便投票賛成」に回ったために、今度はツイッターによってトランプ大統領が追い込まれることになってしまったのです。

ツイッター社が民主党の手に落ちる一方で、もう一つの巨大SNSフェイスブックも同様に民主党に狙われていました。フェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグは、フェイスブックがトランプ大統領誕生の原動力になっていたことが発覚したことから、民主党やリベラル勢力からあたかも集団リンチのように激しく攻め立てられていました。

簡単に民主党に落ちたツイッター社と違い、民主党側が要求する「ファクトチェックをしろ」(これは「トランプの投稿に制限をかけろ」ということとほぼ同意)という圧力に屈せずにいました。そのため、民主党候補のひとりだった左派のエリザベス・ウォーレンは、「フェイスブック解体」を重要な公約に掲げたほどです。

ところが、そのザッカーバーグ氏も執拗な攻撃に、投票直前に“ファクトチェック”をすることを認めました。それは、リベラル派の牙城シリコンバレーの企業であるフェイスブックの社員の多くが民主党支持であり、ザッカーバーグ氏が内外から突き上げられたからでしょう。

そして、トランプ陣営の勝利の切り札となるはずだった、民主党候補ジョー・バイデンの息子ハンター・バイデンの大スキャンダルの報道が、ツイッターとフェイスブックでリンクできない状態に陥りました。これに怒った共和党は、ツイッター社のジャック・ドーシーとザッカーバーグを公聴会に召喚して締め上げました。

特に共和党の重鎮テッド・クルーズ上院議員の怒りは尋常ではなく、「選挙で選ばれてもいないおまえに、なぜ言論をゆがめる権利があるんだ!」と本気の怒りをぶつけて、ドーシー氏を震え上がらせています。ツイッターでハンター・バイデンの記事がリンクできるようになったのは、その直後のことです。

フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO(右)と妻で医師のプリシラ・チャン。

大統領選挙投票が終わり、民主党のバイデン候補が選挙人獲得では優位になっていますが、トランプ大統領はこれに真っ向から戦いを挑んでいます。トランプ大統領は民主党陣営が郵便投票で不正を仕掛けてくることをあらかじめ想定して、司法闘争に持ち込むべく最初から準備していたのです。

ところが、トランプ陣営からもたらされる不正の報告も、メディアではまったくといっていいほど報道されておらず、その点はツイッターもフェイスブックも同じです。トランプ支持者は選挙不正情報を広めるためにSNSで発信していますが、その中にはフェイク情報がかなり入り込んでいるとされSNS側から未だ検閲を受け、支持者側の発信も混乱を極めています。

しかし、トランプ大統領の狙いは単に再選することだけではありません。この選挙結果を通して、民主党の不正体質を明らかにして、民主党ごと力をそぐことにあります。その意図が成就するかどうかは、結局のところ、市民のメディアであるツイッターとフェイスブックが言論の自由を保てるかどうかにあります。いかに、SNSで言論の自由への侵害が強まろうと、既存メディアよりははるかにましな状態にあります。

そういう意味で、今回の選挙の最大の敗者は、事前の世論調査で2016年の反省もせず、またも予想を大きく外してしまった既存メディアです。

トランプ大統領が民主党に打撃を与えられるかどうかは、確実な情勢になりつつあります。そうして、既存メディアは大きなカウンターパンチを食らってノックダウンしたと見て間違いないです。ただし、日米の既存メディア側に反省の色はみじんも見られません。

上の記事で、堤未果氏は、「米国のような状況が、日本を含む、多くの国の近未来になりうるだろう」としています。

私自身は、日本の場合は現在の選挙の方式を大きく変えない限り、不正選挙自体がはびこることはないとみています。

日本の選挙の場合は、投票場が米国に比較すると数がかなり多く、統計上のサンプルも取りやすく、もしいずれかの投票場で不正選挙が行われると、数学的な分析をすると、不正選挙が行われた選挙場の数値だけが異常値を示すということになり、すぐに異常が発見されてしまうからです。

日本の場合は、選挙そのものではなく、その前段階のプロパガンダなどに注力すべきでしょう。いくら米国に比較すれば、選挙を公正を行うことができたにしても、その前段階で有権者に誤った情報が提供されていてはまともな選挙にはなりません。

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2021年1月2日土曜日

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コロナ恐怖と経済破壊で狙う“ザ・グレート・リセット”とは 巧妙な“人災”で世界を大混乱させた「新しい戦争のカタチ」 河添恵子氏

米首都ワシントンで対峙した、トランプ大統領支持者と、バイデン氏支持者

 新型コロナウイルスの感染拡大は、世界中に甚大な被害をもたらし、政治や経済、社会システムの変化が求められている。この陰で、自由や民主、人権といった価値観が危機に瀕している。浮上した「ザ・グレート・リセット」の真実とは。ノンフィクション作家、河添恵子氏が迫った。


 2020年は、コロナ禍で始まりコロナ禍で終わる未曾有の1年だった。ただ、主流メディアは、中国・武漢から発生した新型コロナウイルスの正体(=人工か天然かを含めて)をタブー視し、「隠蔽」によってパンデミック(世界的大流行)を招いた中国の習近平政権の責任論も盛り上がらなかった。

 さらには、コロナ禍に“かこつけて”新時代への大転換が始まっている。ここで、20年に浮上したキーワードを列挙する。「ロックダウン」「ステイホーム」「ソーシャルディスタンス」「テレワーク」、そして「サスティナブル(=持続可能な)」など。

 これは、「外出してお金を使わせない=経済的ダメージを与える」「(親子愛や恋愛を含め)人間関係を希薄にする」「企業内の上下関係、同僚との関係を希薄にする」などにつながる。

 日本社会の特徴に、家族や地域、会社などの「絆」が挙げられるが、前出のスローガンに従順でいれば、日本的な社会・文化は、将来的には完全に破壊されるだろう。

 汗水流して稼ぐことを「悪」とみなす風潮、中国のような共産主義・独裁国家の政治体制をほうふつとさせる「監視とチクリ社会」が広がっていく気配もある。

 師走の繁華街は、夜10時を過ぎると暗闇に変わる。

 「平常通りに営業をしたいけど、『補助金をもらいながら、あの店は儲けようとしている』と陰口をたたかれる。悪いことなどしていないのに」

 こう嘆息する店舗オーナーは、1人ではない。

 コロナ禍を最大限演出して、地球上の隅々に恐怖を植え付け、「経済を破壊」した先にあるのは、「ザ・グレート・リセット」だ。21年の世界経済フォーラム(通称・ダボス会議)のテーマにも決まっている。

 改革の三大原則は、「環境への取り組み(グレート・ニュー・ディール)」「デジタル技術改革」「貧富の格差是正(従来の資本主義・自由市場の改革)」と耳あたりはいいが、既存の株式会社の解体や再編につなげる動きでもある。

 この動きを厳重警戒する世界の保守は、「新型コロナウイルスを世界支配に利用したいのだ」「これからワクチン漬けになる」「すべてを一様に貧乏にしていく」「5Gを使った監視体制の強化で、言論の自由は無くなる」と警鐘を鳴らす。

 さて、ドナルド・トランプ米大統領とホワイトハウスが4年を費やして目指してきたのは、米中の「デカップリング」である。そして、米国の政治、経済、軍、教育などに深く入り込んだ中国共産党の“赤い毒牙”を抜いていくことだった。

 米大統領選の結果が迷走するなか、ワシントンや各地のデモに参加する米国民は、トランプ氏の支持者や共和党員だけではない。選挙が「不正だらけ」と考える市民たちが、それを封印しようとする主流メディアや司法、権力者に対して、『国民をバカにするな!』との怒りからデモに参加していると聞く。

 だが、「会場周辺で、BLM(ブラック・ライブズ・マター)のメンバーが拳銃を抱えていた。参加しないよう威嚇している」との話もある。

 ジョー・バイデン次期大統領(=ただし、1月20日の就任式までにトランプ氏が『戒厳令』を敷く可能性などがあり、何が起こるか分からない)の演説は「分断から融和」と美しい。

 しかし、主要メディアがバイデン氏の演説として報じる内容こそが、トランプ氏や支持者を批判し、「分断」を煽っている。また、選挙後になって、バイデン氏の次男、ハンター氏に関する疑惑を報じている。関係者は「次男とバイデン氏はビジネスの話をしていない」と強調するが、有権者がそれをうのみにするとは考えがたい。

 目下、「ザ・グレート・リセット」によって「国家」という枠組みを希薄にしようと狙う世界の権力者と、自由・民主という価値観が奪われかねない危機に毅然(きぜん)と立ち上がる「愛国的」な人々が、最終決戦の時を迎えている。

 元バチカン市国行政局次官で、駐米教皇大使も務めたカトリック教会の大司教は「正義と悪の戦い」と表現する。補足すると、バチカンも中共の工作で分断された。

 銃撃戦だけが戦争のカタチではない。巧妙な“人災”で世界を大混乱させた状況は、まさに戦時中であり「新しい戦争のカタチ」なのだ。

 米国の自由と民主主義がこれ以上、劣化し弱体化すれば、日本も無傷ではいられない。しかし、愚民化政策で“情報砂漠”に陥る日本において、本気で立ち上がる政治家や国民はどれほどいるのだろうか?

 ■河添恵子(かわそえ・けいこ) ノンフィクション作家。1963年、千葉県生まれ。名古屋市立女子短期大学卒業後、86年より北京外国語学院、遼寧師範大学へ留学。2020年、アパ日本再興財団が主催する、第13回「真の近現代史観」懸賞論文の最優秀藤誠志賞を受賞。著書・共著に『トランプが中国の夢を終わらせる』(ワニブックス)、『覇権・監視国家-世界は「習近平中国」の崩壊を望んでいる』(ワック)、『習近平が隠蔽したコロナの正体』(同)など多数。

【私の論評】日本では、天皇を頂点とする国体はポストコロナにも維持される(゚д゚)!

上の記事にもある「ダボス会議」で有名な世界経済フォーラム(WEF)は、新型コロナウイルスによるパンデミックを、資本主義を完全にリセットする好機と捉えているようです。

「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるロックダウンは徐々に緩和される可能性があるが、世界の社会・経済の見通しに対する不安感は高まるばかりだ。こうした不安にはもっともな理由がある。急激な景気の悪化がすでに始まっており、(世界恐慌が起きた)1930年代以降で最悪の不況に直面する可能性があるからだ。だが、このような結末を招く可能性は高そうに見えるものの、まったく避けられないわけではない」

「結末をより良いものにするために、世界は、教育から社会契約、労働条件に至るまで、我々の社会と経済のあらゆる面の改革に向けて、今こそ手を取り合い、素早く行動しなければならない。米国から中国に至るすべての国の参加と、石油やガスからテクノロジーに至るあらゆる産業の変革が必須だ」

「要するに我々は、資本主義の『グレート・リセット』を必要としているのだ」

世界経済フォーラムではその取り組みを、「グレート・リセット・イニシアティブ」として掲げています。

     昨年10月14日、菅総理は、総理大臣官邸でクラウス・シュワブ世界経済フォーラム
  (WEF)会長等とのテレビ会議を行った。

ところが、「我々の社会と経済のあらゆる側面を改革する」という表現には、不吉な響きがあります。特にそれが、世界経済フォーラムという、世界経済を回している側とされる人々からの発信となればなおさらです。

さらに言えば彼らの提言は、本音の部分では、自分たちは多少の増税等を受け入れる程度の負担増で済ませ、資本主義の連鎖の末端にいる人々に大変革の重荷を引き受けさせようというものです。

教育や社会の契約、労働条件のリセットについて議論しようと思えば、根本的な社会的課題に触れることになります。米国の社会構造には大幅な変革が必須であり、実際に今後は変革が起きるでしょう。

民主・共和という党派で分断された現在の米国の政治状況を見れば、変革の必要性は明白です。どちらの側に属するにせよ、あまりに多くの人が、現行の「社会契約」(その定義はともかく)が、自分たちにとって機能していないと感じているようです。収入および富の不平等は、現実の大問題です。

しかし世界経済フォーラム流の「グレート・リセット」が、こうした現状の解決策になるとは思えません。

幸い、世界経済フォーラムが大きな成果を挙げることはないでしょう。それはむしろ、有り余る富と権力を持つエリートたちが、大衆に救いの手を差し伸べるフリだけをして自らの後ろめたさを和らげる一方で、その過程でさらなる富と権力を手にするという、ありがちな図式の一例に過ぎないと思われるからです。

そもそも、今回のコロ禍が「グレート・リセット」のきっかけになるかどうかも定かではありません。それは、過去のパンデミックをみてみればわかります。

たとえばスペイン風邪はまさに近現代的な伝染病でした。大規模な遠隔地への高速移動が、ウイルスを瞬く間に世界中に拡散させてしまったのです。しかし、同様のパンデミックは14世紀にも起こっていました。それが大黒死病・ペストです。

1918年のスペイン風邪は最低でも5,000万人以上が亡くなったと推定されていますが、14世紀に蔓延したペストは世界全体でそれを遥かに上回る7,500万人から2億人の死者を出しています。当時8,000万人だったヨーロッパ人口のうち、実に60%が命を落としたのです。

ペストは歴史上、無数の頻発のほかに3回の大流行が起こったのですが、なかでも1347年から1352年にかけての史上最悪のペストは「黒死病」として知られています。

このペストのパンデミックは、1346年にモンゴル軍(キプチャク・ハン国)がクリミア半島のカッファ(現フェオドシア)という黒海最大の港湾都市を攻撃したことから始まりました。カッファは北イタリアのジェノバの植民都市であり、黒海のイタリア交易の中心地でした。


いざ攻めてみるとカッファの守りは固く、数週間の膠着状態が続きました。この戦いの最中に陣営内でペストが発生し、モンゴル軍は撤退を余儀なくされました。その際にペストで死んだ遺体を投石機に乗せて、遺体を城壁の中へと飛ばして退却したといわれています。ペストは感染拡大が早く、そのうえ死亡率が高いためにバイオテロに使用される危険があると現代でも各国で警戒されているほどです。

ペストは瞬く間にカッファ城塞内で感染拡大し、ジェノバ商人たちは疫病から逃れるためにイタリアへと逃げ出しました。ペスト菌とともに。

ペストを積んだ船は交易拠点であるコンスタンティノープル、シチリア、サルディニア、ジェノバ、マルセイユへと寄港しました。その港はどれも交易の中心地であったため、それら主要港湾からヨーロッパ全体にペスト菌が拡散していきました。

ヨーロッパだけではありません。コンスタンティノープルからエジプトのアレキサンドリア経由で北アフリカ、中東にまで達しました。唯一、ペストを免れることができたのは、人口が少なく往来もなかったフィンランドとアイスランドだけであったといわれています。

こうして高度に発達した交通網にのって、ペストは瞬く間に全ヨーロッパへと広がっていったのです。

このペストは人口が激減するだけでなく、ヨーロッパ世界の社会構造の変化を「加速」させることになったのです。

当時のヨーロッパでは、疫病は神が下した罰とみなされていました。神が疫病によってその人の悪を裁いたのだと考えるのが一般的であり、ペストに罹ったことは自業自得の結末、悪徳の証明でした。そのためペストは当初、「だから教会の言うことに背いてはならない」という教義的プロパガンダに利用されもしました。

神の代弁者である教皇・クレメンス6世は神に祈って赦しを乞うたのですが、それでペストが鎮まることはありませんでした。教会はさまざまな勅書を出したのですが、対処的なものに止まり、予防や拡大防止に対する実効的な施策を打ち出すことができませんでした。

クレメンス6世はついに万策尽き、ペストから逃れるために教皇庁のあったアヴィニヨン(この当時、ローマではなくフランスのアヴィニヨンに教皇庁があった)から避難してしまいました。疫病が教会の人間を避けて感染することなどという奇跡はないのです。聖職者もまた「悪徳の証明」であるはずの疫病に感染して死んでいきました。

人々が直視を避けていた教会権力の存在意義と疑念が、ペストを契機にして白日のもとに曝されてしまったのです。

一般に「ペストが封建体制を崩壊させた」と説明されることが多いですが、それは正しい言い方ではありません。なぜなら、そのころすでに、封建体制は崩壊しかけていたからです。

ペスト大流行以前、ヨーロッパ社会は限界に達していました。農奴と呼ばれる人々に対して貴族領主や教会などが土地を貸し付け、その対価として地代を納めさせる「荘園制」という経済システムの全盛期でありました。

ペスト以前の13世紀に地代は高水準に達し、農奴たちは生産効率を無視して次々に周辺の新領域へと耕作地を広げていきました。拡大した耕作地を維持するための労働力はといえば、自分の子どもたちです。多ければ多いほどに生産力は上がります。こうして数世代を経て人口は最大限まで膨張していきました。

しかし生産力の限界まで人口を伸ばしたために、少しの天候不順や不作が起これば深刻な飢饉に陥る極めて不安定な状態になってしまっていたのです。現に1315年から17年にかけて大飢饉がヨーロッパを襲っています。既存の社会システムの耐用年数が、もはや限界を迎えてしまっていたのです。

1347年、そこに大黒死病・ペストが到来しました。

ペストの大量死による人口消耗は人口復原力を上回り続けました。人口が激減したことが社会に影響を与えたのではありません。度重なるペストの波によって、それが長期化・慢性化したことが社会変化の必要を「加速」させただけなのです。

人口減少によって希少になった労働力は、当然ながら価値が高騰します。そこで領主は荘園維持の労働力確保のために、土地代や税金を免除するなどの待遇改善を図りました。しかしその一方で、1337年から英仏間で続いていた百年戦争とペストによる追い打ちで困窮しきった領主は、フランスでは農業労働力に対して領主支配力の強化を行い、イギリスでは重税を課すなどの政策を実効してしまいました。

その結果、同じような時期にフランスではジャック・リーの乱、イギリスではワット=タイラーの乱(ピーザント・リボルト)という大規模な農民反乱が勃発してしまうのです。

ふたつの反乱は鎮圧をされたのですが、このあと両国の運命はまったく違ったものになっていきます。

フランスでは、王が経済再建に行き詰まった貧困領主を支援して封建制を再建させ、弱体化した領主を取り込むことによって自らの権威を高めていきました。この王権が、フランス絶対王政へと連なっていきます。

一方、イギリスでは農民反乱を予防するために領主の農民支配は急速に弛緩します。その領主層はやがて王位継承を巡る内乱(バラ戦争)で断絶・衰退していきました。その代わりに新たなジェントリ層や商人層が政界に参入し、イギリス的な脆弱な絶対王政が確立されていくことになります。

この事例のように、ただ単純にパンデミックによってのみ社会が変化したわけではないことがわかります。社会は潜在的に構造転換を必要としていたのです。イギリス・フランスのジャック・リーの乱、ワット=タイラーの乱(ピーザント・リボルト)という大規模蜂起という民衆の積極的行動が、構造変化を加速させたのです。社会構造の変化は、パンデミックを「耐え抜いた」後に自動的にご褒美として付いてくるようなものでは決してないのです。

ペスト被害の最も深刻な地域のひとつはイタリアでした。フィレンツェ市の人口9万人のうち4万人余が、シエナ市とその周辺人口9万人のうち約80%にあたる8万人の人口がペストによって喪失しています。

ペストがルネサンスという創造的時代を形成したとする言質を多く目にしますが、そのような単純なものではありません。12世紀のイスラーム文化との接触や、14世紀初めの商業都市の繁栄、1453年に古代ギリシア・ローマ研究が発達していた東ローマ帝国の滅亡(ギリシア人の知識人が書物と知識を携えてイタリアに亡命してきた)などの諸要素が偶発的に絡み合った結果なのです。無論、ペストも不可欠な要素のひとつであるのですが、「ペストがきたからルネサンスが起こった」というわけではありません。

そもそも、ペストとルネサンスの間にはかなりのタイムラグがあります。イタリアを襲ったペスト大流行の第一波は1347年から1352年にかけてのものですが、初期ルネサンスのギベルティ(ドナテッロの師)とブルネレスキがサンタ・マリア大聖堂の洗礼堂の門扉を製作するコンクールで競い合ったのは1401年のことであるし、ダ・ヴィンチが誕生するのは1452年です。

ペストと向き合うための1世紀の歳月が、人々には必要だったのです。

ペスト以後の絵画として、聖職者や王らが踊る骸骨と一緒に描かれた『死の舞踏』というモティーフがあります。イタリア地域では『死の舞踏』よりも『死の勝利』という骸骨があらゆる階級の生者を討ち倒していくという、より陰惨で暗い絵画が多く描かれました。

これらの絵はすべて、ペストのパンデミックの最中に描かれたものではなく、いずれも1世紀以上経った15世紀以降の作品です。

すべての元凶であるペストを芸術家が絵画作品の主題とするためには、そして人々がペストを絵画として受容できるようになるまでには1世紀もの間、自省と反芻を経て内化していく消化時間が必要だったのです。

人間の物理的な死や既存社会の機能不全という「死」を凝視し、人間存在の脆さに嘆き、失った人間性に気が付くという内省の1世紀を経て、人間本来の精神を解放し、人間の在り方を再考しようとする創造的な文化運動「ルネサンス」が花開くのです。

ハンス・ホルバイン木版画死の舞踏』(1538年


そして現代、我々はいささか驕慢になっていました。特に先進国の人々は自分たちが史上最高なのだという驕りであったかもしれません。パンデミックなど過去のものであり、発展途上国は別にして、先進国では大感染はもう起こらないだろうと高をくくっていました。

しかし、そうではありませんでした。人類が押さえ込みに成功したと思っている結核ですが、2016年には「治療薬の効かない」多剤耐性結核菌で約50万人が感染しています。WHOも指摘する通り、油断ならないです。そうして、結核は未だに日本のような先進国でも存在しています。

2014年の夏には、エボラ出血熱はアフリカからイギリス、アメリカ、イタリアにまで広がりました。終息宣言を出す2016年の2年間の間に世界で2万8,616人が感染し、1万1,310人が死亡しました。そうして、今回のコロナのパンデミックです。こうした病がいつ広がるかはわからないです。

アフターコロナについて多くの人がそれぞれの意見を述べています。しかしどれもが受動的です。それは、受難した分だけ福音があるのだ、と心のどこかで期待しているようでもあります。

しかし歴史はそれでは社会は何も変わらないことを、例示をもって教えています。新型コロナによって新しく起こったこと、これから起こることなどもひとつもないのです。すべては潜在的に存在しており、それが「加速」し、「露呈」したか、これから露呈しいくに過ぎないの
です。

「ザ・グレート・リセット」、「バラダイム・シフト」などと称して、コロナ禍後に期待しても、それ以前から何かが芽吹いていないと、何も起こらないのです。

ましてや、中国の「マスク外交」や「ワクチン外交」にしても、何ら新しい動きにはつながらないでしょう。

現在の米国の大統領選挙に関しても、もう随分前から「不正」については囁かれていました。ディープステートの存在も知られていて、これと戦おうとしたのは、ケネディにつづいて、トランプ氏が二人目です。どうして、米国ではまともな選挙ができないのだろうと、多くの人が訝しんでいました。今回は、コロナ禍とともにそれが「加速」して「露呈」したとみるべきでしょう。この問題は、直近のトランプ氏の戦いで終わることなく継続されるのは間違いないです。

なお、以上では、ペストに関連して述べてきましたが、スペイン風邪についても同じことがいえると思います。中世のヨーロッパに関しては、様々な研究がすすみ、かなり客観的な分析ができますが、スペイン風邪に関しては、歴史的にいえばまだ新しいということもあり、客観的な分析がしにくい面もあり、ここでは中世のペストに関して述べました。

COVID-19とスペインかぜを比較してみると、そこには数々の相違点があります。

この2つは全く異なる病気であり、その病気の原因となっているウイルスも異なります。COVID-19の原因はコロナウイルスであり、スペインかぜやこれまで登場した他のインフルエンザパンデミックを引き起こしたインフルエンザウイルスではありません。

致死率の年齢別の分布も全く違います。1918年のスペインかぜは特に新生児や若い世代の人々にとって脅威的でした。COVID-19の原因となっているコロナウイルスは、中国での流行初期のエビデンスからもわかるように、特に高齢者にとって致命的なものだと見られています。

また、スペインかぜの大流行に関してはたくさんの国がその情報を非公開にしようとしていたのに対し、現在はデータや研究、ニュースなどが完全ではないにしろ中国を除いてシェアされていることから、過去とは状況がとても異なります。

同時に、現在ではかつてとは比較にならないないほど世界がつながっているのも事実です。1918年当時は線路や蒸気船が世界をつないでいる程度でしたが、飛行機が発達した現在では、人もウイルスもごく短時間で世界中を移動することが可能となっています。

保険医療のシステムやインフラも当時とは大きく異なっています。スペインかぜが世界を襲ったのは、抗生物質が発明される前だったことから、おそらくほとんどの死亡はインフルエンザウイルスそのものによるものではなく、細菌による二次感染だったことが考えられます。

2008年の発表で、Morensらは「スペイン風邪の死者のほとんどは上気道の細菌によって引き起こされた二次感染による細菌性肺炎が原因だった可能性がある」と述べています。

また、健康システムだけではなく、当時の世界は健康状態や生活環境が全く異なっていました。1918年に被害を受けた人たちの大部分はとても貧しい層の人たちであり、その多くの人は栄養失調状態にありました。

世界人口のほとんどが当時は劣悪な健康状態にあり、高い人口密度に加え、衛生状態も悪く、衛生基準自体が低いことが当たり前の時代でした。それに加え、世界のほとんどの地域は戦争で弱っていた時代です。公的な物資は少なく、多くの国々がその資源の多くを戦争に使い切った後だったわけです。

世界の大部分が今では豊かになり、健康状態も良好に保たれています。しかし、そんな今の世界において、やはり一番懸念されているのは、COVID-19の大流行によって一番打撃を受けるのは、貧しい層にいる人々だろうということです。

スペイン風邪の後でも、世界のグローバル化は進行し、第二次世界大戦を経て、さらにグローバル化は進展しました。パンデミックが起こっても、この流れは変わらなかったのです。世界は、グローバル化を止めるのではなくて、健康システムの改革や、富の偏在を従来よりは少なくする方向に進んだのです。

今回のコロナ禍で直接世界が変わることはないでしょう。変わるとすれば、コロナ以前から内包していた変化の動きが加速されることです。

その最たるものは、中共が米国に変わって新たに自分たちに都合の良い世界秩序に作り変えようと企図していることに、米国が気づき、その動きを止めようとしたことです。2018年には、その企図を習近平が明らかにし、米国はその頃から超党派でこれに対抗するようになりました。

その後香港の問題があった頃から、世界の先進国のほとんどが、この動きに追随するようになりました。ポストコロナではこの動きが加速化することになるでしょう。

さて、ポストコロナで、日本でも様々なことが起こると予想している人もいますが、やはり注意しなければならないのは、コロナが直接社会を変えるのではなく、すで起こりつつあることが、コロナによって顕在化したり、加速化されるということです。

世界は、ナショナリズムに回帰しつつも、真の自由貿易をこれからも続けていくでしょう。自由貿易を制限するのではなく、真の自由貿易ができるように、システムを変えていくことでしょう。

スペイン風邪で、グローバル化が止められなかったのと同じく、コロナ禍で何もかもが分断することはないということです。「ロックダウン」「ステイホーム」「ソーシャルディスタンス」「テレワーク」、そして「サスティナブル(=持続可能な)」などの言葉や、「ザ・グレート・リセット」のような仰々しい言葉は別にして、昨日の述べたように、日本では天皇を頂点とする国体はポストコロナにも維持されることでしょう。

様々な珍奇な言葉に、惑わされることなく、私達は堅実に人々の役に立つ仕事(普通の人が普通にしている仕事)をこれからもし続けて、社会を良くするための変化は受け入れつつ、日々歩み続けていくべきなのです。

そうしなければ、クレメンスⅥ世のような運命をたどることになるかもしれません。米国の大統領候補バイデンすらも、そうならないという保証はないのです。

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2021年1月1日金曜日

【全文掲載】天皇陛下 新年ビデオメッセージ―【私の論評】天皇弥栄。国民を思い祈り続けてくださる天皇陛下という存在を忘れずに、私たちも生き続けていこう(゚д゚)!

 【全文掲載】天皇陛下 新年ビデオメッセージ

2021年1月1日 5時31分 皇室



(天皇陛下)
皆さん新年おめでとうございます。

(皇后陛下)
おめでとうございます。

(天皇陛下)
今年の正月は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、残念ながら一般参賀の場で皆さんに直接お話をすることができなくなりました。そこで、今回は、ビデオで新年の御挨拶をしようと思います。

振り返りますと、昨年7月に、豪雨により多くの尊い命が失われたことは痛ましいことでした。御家族を亡くされた方々や、住む家を無くし、仮設住宅などで御苦労の多い生活をされている方々の身を案じています。

この1年、私たちは、新型コロナウイルスという、今の時代を生きる私たちのほとんどが経験したことのない規模での未知のウイルスの感染拡大による様々な困難と試練に直面してきました。世界各国で、そして日本でも多くの方が亡くなり、大切な方を失われた御家族の皆さんのお悲しみもいかばかりかと思います。

そのような中で、医師・看護師を始めとした医療に携わる皆さんが、大勢の患者さんの命を救うために、日夜献身的に医療活動に力を尽くしてこられていることに深い敬意と感謝の意を表します。同時に、感染の拡大に伴い、医療の現場がひっ迫し、医療従事者の皆さんの負担が一層厳しさを増している昨今の状況が案じられます。

また、感染拡大の防止のために尽力されている感染症対策の専門家や保健業務に携わる皆さん、様々な面で協力をされている多くの施設や、国民の皆さんの努力や御苦労も大変大きいものと思います。

この感染症により、私たちの日常は大きく変わりました。特に、感染拡大の影響を受けて、仕事や住まいを失うなど困窮し、あるいは、孤独に陥るなど、様々な理由により困難な状況に置かれている人々の身の上を案じています。感染症の感染拡大防止と社会経済活動の両立の難しさを感じます。また、感染された方や医療に従事される方、更にはその御家族に対する差別や偏見といった問題などが起きていることも案じられます。その一方で、困難に直面している人々に寄り添い、支えようと活動されている方々の御努力、献身に勇気付けられる思いがいたします。

私たち人類は、これまで幾度も恐ろしい疫病や大きな自然災害に見舞われてきました。しかし、その度に、団結力と忍耐をもって、それらの試練を乗り越えてきたものと思います。今、この難局にあって、人々が将来への確固たる希望を胸に、安心して暮らせる日が必ずや遠くない将来に来ることを信じ、皆が互いに思いやりを持って助け合い、支え合いながら、進んで行くことを心から願っています。

即位以来、私たちは、皆さんと広く接することを願ってきました。新型コロナウイルス感染症が収まり、再び皆さんと直接お会いできる日を心待ちにしています。

そして、今年が、皆さんにとって、希望を持って歩んでいくことのできる年になることを心から願います。ここに、我が国と世界の人々の安寧と幸せ、そして平和を祈ります。

(皇后陛下)
この1年、多くの方が本当に大変な思いをされてきたことと思います。今年が、皆様にとって少しでも穏やかな年となるよう心からお祈りいたします。

また、この冬は、早くから各地で厳しい寒さや大雪に見舞われています。どうぞ皆様くれぐれもお体を大切にお過ごしいただきますように。

【私の論評】天皇彌榮。国民を思い祈り続けてくださる天皇陛下という存在を忘れずに、私たちも生き続けていこう(゚д゚)!

今年は、コロナ禍もあり上の記事にもあるように、異例のビデオメッセージが発信されました。 さらに宮内庁は1日付で、新年を迎えられる天皇ご一家と上皇ご夫妻、秋篠宮ご一家の写真を公表したが、例年はご一家そろって撮影するが、新型コロナウイルスの感染防止のため集まるのを控え、昨年12月に別々に撮影されたそうです。

このコロナにおいて、ビデオメッセージが発信され、多くの国民が視聴する機会が得られたことの意義は大きいです。

新年を迎えられる天皇ご一家=2020年12月21日、東京都港区の赤坂御所(宮内庁提供)

日本は歴史がある国です。先人たちの軌跡は記録で残され、考古学でも2000年はさかのぼることができます。これは素晴らしいことです。そうして日本人が2000年以上大切にしてきたものが天皇です。その理由はもはや誰もわからずとも、そこには何か意味があるわけです。

天皇があっての日本であり、天皇はいわば日本そのものを守り続けている存在であるといえるのではないでしょうか。宮中は古いものを残すことに価値を見出してきた世界です。日本の古きよきものが、社会では失われていても、宮中で継承されています。

三種の神器 (『古事記』によれば、瓊瓊杵命(ニニギノミコト)が地上世界に降りてくる際に託され、ひ孫で初代天皇である初代神武天皇へ継承された) はその最たるものです。

三種の神器とは神代に神々の手によってつくられた剣、勾玉、鏡であり、初代天皇以来、第125代にあたる現在の天皇陛下まで継承されています。

三種の神器

いわば天皇が天皇であるための証しです。

その価値とは物質的なものではなく、そこに天照大御神 (アマテラスオオミカミ。日本神話の中の最高神。天皇の祖先であり、すべての国民の祖神(おやがみ)として伊勢の神宮(内宮)をはじめ、日本の多くの神社に祀られている) の御神霊が宿るということなのです。

そして2000年以上の長きにわたって、歴代天皇は国民一人ひとりを我が子のように愛し、その幸せを祈り続けてきました。ですから天皇とは何かと問われば、祈る存在だとお答えするのが一番正確かもしれません。

日本とはどんな国かを考えるとき、国歌である「君が代」を知ればその姿が見えてきますね。外国の国歌と比較すれば、君が代がいかに素晴らしいかがわかります。

多くの外国の国歌は、国家のために敵を打ち負かし、正義の戦いに勝ち抜いてきたという誇りを歌い上げた軍歌という性格を有しているものが多いです。

君が代はその対局にあります。もともとは、五七五七七からなる和歌であり、古今和歌集に祝いの歌として収録されていたものです。

「君」は大切な人という意味で、国歌では天皇陛下を指します。つまり天皇陛下に長生きしてもらいたいということを神に祈る歌なのです。


そもそも陛下は和歌を通じて国民の幸せを祈ってくださっています。歴代天皇がお詠みになる和歌を御製(ぎょせい)といいますが、御製とは日本国民の幸せを願う祈りそのもの。五七五七七は神に直結するリズムです。

それに対して我々が天皇陛下にできることは、君が代を歌って陛下の長寿を祈ることぐらいなのです。

君が代にさざれ石という言葉を用いたのが、なんとも日本らしいと思います。古事記では岩そのものが永遠の象徴です。さざれ石はただの石ではなく、もともと小さな石が何万年、何十万年という時間を経て岩に成長する、という悠久の時間と永遠性を秘めた存在です。しかもそこにびっしりと苔がむす、それほど君が代が続いてほしいという意味です。

日本人の豊かな精神性に改めて気づかされます。今後の儀式の中で多くの国民が万歳をすると思います。その万歳 (いつまでも生き、長く栄えること。まためでたいこと、 喜ぶべきこと) にも意味があります。日々国民の幸せを願ってくれる天皇陛下が、お元気で長く生きていただきたいというお返しなのです。

さて、天皇の“お仕事”として、最も重要な儀式とされる1月1日の「新年祝賀の儀」でどのようなことを天皇がされているのかみてみます。

午前10時、天皇、皇后両陛下は皇居・宮殿「松の間」(最も格式の高い部屋)で各皇族からの(新年の)祝賀を受けます。両陛下で正面に立ち、皇太子さま、皇太子妃雅子さま、秋篠宮さま、秋篠宮妃紀子さま、他の宮家皇族……(それぞれ男性皇族、妃殿下の順)。

11時になると、松の間の向かって右隣にある「梅の間」で首相、各大臣、官房長官・副長官、各副大臣らの夫妻から祝賀のあいさつ。続いて再び松の間に移動、衆・参両議院の議長・副議長、正月も東京に残っている国会議員らの夫妻から同様に。その後、左隣の「竹の間」に移動し、最高裁判所長官、同判事、各高等裁判所長官らの夫妻から。

11時半からは、各中央省庁の事務次官、都道府県の知事や都道府県議会議長ら(宮内庁が毎年交代で複数指名する)の夫妻から。

午後2時半になると、松の間で、各国の駐日大使夫妻から祝賀を受けるが、午前に行われた各あいさつのように代表だけが行うのではなく、約130カ国全ての夫妻が順番に両陛下の前に進み出てあいさつします。これだけで約1時間。その間、両陛下は立ちっ放しです。

儀式としての新年祝賀の儀は以上ですが、実は元日は、午前10時からのこの儀式開始前、住まいの御所(宮殿から約500メートル離れている)で、普段、両陛下の身の回りのお世話をする宮内庁侍従職の職員からの新年のあいさつも受けられています。今年は、コロナウィルスの影響もあり規模は縮小されます。

ところが、天皇の仕事はこれのみではないのです。さらにそれをさかのぼること約4時間、午前5時半に陛下は宮中三殿に付属する神嘉殿(しんかでん)の前の庭で、古式装束を身に着け、国家の安寧と豊作を四方の神々に祈る「四方拝(しほうはい)」という祭祀を行われます。この時間はまだ暗く、気温は例年は約3度です。さらに5時40分から、宮中三殿で拝礼する年始の祭祀「歳旦祭(さいたんさい)」に臨まれます。

これらのほか、天皇の公務には、社会のさまざまな功労者と面会しねぎらう「拝謁」(年約100件)、訪日した外国の要人と皇居で面会する「会見」(約50件)、既に紹介した儀式に含まれていますが、外国から日本に赴任する大使が持参の信任状(派遣する側の国の元首が、任命した大使の人格・能力を保証し、外交特権を与えてほしい旨を記した文書)を天皇が宮殿で受け取る「信任状捧呈式」が約40件。

2004年現上皇陛下が天皇であらせられたときには、年間119日の土・日曜、祝日のうち、代休が取れず、陛下が“休日出勤”された日が計30日、つまり1カ月分ありました。また、春・秋など式典が多く、叙勲シーズンとも重なれば、1日に6件の公務が入る日もあります。

こうして公務を積み重ねていくと年間約700件もの公務を行われることになります。式典は土・日曜に多く、平日も公務があるため“代休”もままならないのです。

上皇陛下から今生天皇へのご譲位の背景は、こうした実態があったことをぜひ、皆様知っておいてほしいです。

先に述べたように「万歳」が「日々国民の幸せを願ってくれる天皇陛下が、お元気で長く生きていただきたいというお返し」という意味が決して大げさなものではないことを御理解いただけるものと思います。

最後に、私たち「いやさか」(日本人が守り伝えてきた大和言葉で、本来の生命力をいきいきと発現させ、ますます栄えるという意味) という言葉を使います。これも君が代や万歳に通ずるものです。天皇陛下がお元気であられ、日本が栄え、そして私たちみんなお幸せにというイメージをもって「天皇彌榮」(すめらぎいやさか)と唱えるのです。これは言霊ですから。すると日本そのものがまた力をもち、国民も幸せで、一人ひとりは自分らしく生きていくことになるのです。

これは「八絃為宇」(はっこういちう。日本書紀に神武天皇の言葉として記されたものに基づく。私たち日本人はさかのぼれば皆親戚で、日本列島は家である。だからみんなで協力して幸せになろうと説いた) という言葉をもって日本を束ねていった神武天皇の建国の精神そのものです。

天皇陛下が4月末に譲位なさり、新天皇陛下が御即位になります。これは祭祀の継承ということで、三種の神器を受け継ぎ、現在の天皇陛下がなさっている祈りを、今度は新天皇陛下がお引き継ぎになります。

世界ではたくさんの国ができては崩壊すことを繰り返してきました。いろいろな国家統治のスタイルがあったと思います。軍事力、カリスマ性、頭脳……。

では日本の天皇はといえば、「祈り」なのです。

誰も見ていないところで、祈りを通じて国を束ね上げていらっしゃったのです。人々の心がひとつに束ねられ、国土、文化、経済などあらゆるものが強固になり、いまこうして日本という国が存在しています。これが我が国の国体なのです。

人は、決して自分一人では生きていけない、だからこそお互いを思い合い、その和の心で国家が成り立っています。国民を思って常に祈り続けてくださる天皇陛下という存在を忘れずに、私たちも生き続けていきたいです。

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