2023年9月2日土曜日

在日クルド人のトラブル続出…「素性」わからぬ不安 警察介入も難しく―【私の論評】難民認定申請をしている間は、外国人が合法的に日本に在住できることが問題の根底に(゚д゚)!

「移民」と日本人

まとめ
  • 川口市ではクルド人と住民の間で問題が相次ぎ、市長が法務大臣に要望書を提出。
  •  特にクルド人家族のアパート入居が近隣住民に騒音やトラブルを引き起こし、解決に進展がない。
  •  難民認定申請中の外国人が多く住むため、彼らの実態を把握するのが難しく、法的措置も効果が限定的。
埼玉県川口市 市長 奥ノ木信夫市長

 埼玉県川口市の市長が法務大臣に要望書を提出した背景には、市内でクルド人と住民の間で問題が相次いでいることがあります。クルド人の一部は難民認定申請中で、住民登録もない「不法滞在」の状態が続いており、トラブルを解決することが難しい状況です。警察の介入も難しく、住民が苦しむ事例が増えています。

 特に川口市北部のアパートでは、クルド人家族が入居し、近隣住民が騒音やトラブルに悩まされています。解決のめどは立っておらず、問題は続いています。不動産業者によれば、正規の在留許可を持つ外国人の名義で借りた物件でも、実際の入居者が異なることが多いと言います。

 川口市は外国人が多く住む地域で、難民認定申請中の人が多いため、行政側が彼らの実態を把握するのが難しい状況です。申請中は在留資格が認められる場合もありますが、氏名や住所が報告されないことが多く、住民は相手の素性が分からない不安を感じています。

 トラブルに対する法的措置も効果がないことがあり、市民は困難な状況に直面しています。この問題は言葉の壁だけでなく、相手の姿すら見えなくなることで解決が難しい状況です。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】難民認定申請中の外国人は一般的に日本に合法的に滞在可能なことが問題の根底に(゚д゚)!

まとめ
  • 埼玉県川口市の奥ノ木信夫市長が1日、法務省を訪れ、不法行為を行う外国人について厳格に強制送還することなどを求める要望書を斎藤健法相に手渡した
  • 市内に約500人の仮放免者がおり、トルコ国籍のクルド人が中心。
  • 難民認定申請中の外国人は一般的に日本に合法的に滞在可能。
  • 米国の難民申請制度は相対的に厳格で、滞在を厳密に管理。
  • 日本政府が外国人受け入れに対する戦略を検討中。
  • 生産人口の減少に対処するためAIやロボット導入をすべき。
  • 多数の外国人受け入れには慎重なアプローチが必要。

元記事は、「埼玉県川口市長が法相に要望書を提出した背景には、同市内で一部クルド人と住民のトラブルが相次いでいることがある」と要望書のことを既知のものとして文章が始まっています。これを知らない方には、唐突な始まり方だと思います。

まずは、この要望書について解説します。実は、要望書は2020年と、今月1日の2回提出されています。

一回目は、2020年12月23日川口市の奥ノ木信夫市長は、当時の上川陽子法相に要望書を提出しています。

埼玉県川口市の奥ノ木信夫市長は同年同月、上川陽子法相と法務省で面会し、同市で暮らす多数のクルド人が国の入国管理制度によって収容施設から「仮放免」という立場に置かれ、就労が認められず困窮しているとして、仮放免者の就労を可能にする制度の創設を求める要望書を提出しました。上川氏は「深刻に受け止めている」と応じました。

市によると、当時市内にはトルコ国籍のクルド人を中心に約500人の仮放免者が生活を送っており、全国最多の規模とされていました。

要望書は、仮放免者について「就労できない状態で拘束を解かれ、不安定な生活を余儀なくされている」と指摘した上で、最低限の生活維持ができるよう就労を認める制度を構築するよう求めました。健康保険などの行政サービスについても、仮放免者に提供することの可否を国の責任で判断することを要望しました。

提出後、奥ノ木市長は記者団に「国の支援があって初めて市としても対応できる。市内で生活を送っている(難民申請が通らなくても、強制送還されない)仮放免者が多くいるので、何とかすることが必要だ」と語りました。

当時多くのマスコミがこのような報道ぶりでした。このような報道だと、多くの人にとっては、川口市長が法相に、就労できない可哀想なクルド人を何とかしてくれと、嘆願しているようにしか受け取れません。

しかし、この要望書の背景には、上の記事にもある通り、市内でクルド人と住民の間で問題が相次いでいたことがあることと、クルド人の一部は難民認定申請中で、住民登録もない「不法滞在」の状態が続いていたという背景があったということです。

2回目は、埼玉県川口市の奥ノ木信夫市長が、今月1日、法務省を訪れ、不法行為を行う外国人について厳格に強制送還することなどを求める要望書を斎藤健法相に手渡したことがわかっています。

奥ノ木信夫市長としては、前回の要望書のときには、マスコミの報道の悪さもあって、市長の真意が多くの川口市民や、日本国民にも伝わっていなかったとの思いもあったかもしれません。今回は、不法行為を行う外国人について厳格に強制送還することなどを求めることを全面に打ち出したようです。

要望書ではトルコの少数民族クルド人の現状などを説明。難民認定申請中で、入管施設への収容を一時的に解かれた「仮放免」のクルド人が市内に相当数いるとして、行政サービスの提供を国の責任で判断することも求めました。

現在、川口市には2000人以上のクルド人が住んでいるとされます。統計がないので正確な人口はわからないのですが、一般にはクルド人の人口は、3千万から3500万人ぐらいだとされています。国を持たない最大の民族ともされています。


トルコ政府は過去、クルド人の独立運動を取り締まる過程でクルド人を弾圧。それにより世界中にクルド難民が散らばり、1990年代以降に日本でも難民申請するクルド人が現れるようになりました。

日本には、難民認定制度があり、迫害を受ける恐れのある外国人は、難民申請をすることができます。クルド人は、トルコやシリアなどの国々で迫害を受けていることが多いため、多くのクルド人が日本に難民申請しています。

ただし、現状ではクルド人の難民申請はほとんど認められていません。出入国在留管理庁によると、昨年の難民申請者数は3772人で、認定されたのは202人。一方、クルド人も含まれるトルコ国籍の難民申請者は445人でしたが、認定されたのは1人だけでした。

ただ、多くのクルド人は難民認定を受けていないものの、難民申請中であるため、違法に滞在しているとはいえません。

難民申請中の外国人が日本に住むことは、一般的には法的に許可されています。日本の法律では、難民申請中に滞在し、一定の権利を行使することが認められています。具体的なポイントは以下の通りです。詳細は、出入国管理庁のサイトをご覧ください。
1. 在留資格:難民申請中の外国人は、その期間中に特別な在留資格(難民認定申請者の在留資格)を取得します。この資格により、彼らは日本に滞在し、労働することも可能です。

2. 定住権:難民申請中の外国人は、日本での生活を維持できるために、住居を借りたり、子供を学校に通わせたりする権利を持っています。

3. 医療・教育の利用:難民申請者は、日本の医療施設を利用し、子供は日本の学校に通うことができます。
要するに、難民申請中の外国人は合法的に日本に滞在(仮滞在期間は、原則として六ヶ月間)できます。

結局のところ川口市の問題は、「難民申請中の外国人が日本に住むことは、一般的には法的に許可されている」ということに問題が集約しているように考えられます。無論、六ヶ月という上限はあるのですが、再度難民申請をすれば、さらに六ヶ月在住できることになります。

難民申請をして、一度在住してしまえば、何か問題が起こったときに、再度難民申請をすれば、六ヶ月間は合法的に住むことができます。

何度も難民申請を繰り返せば、いつまでも日本に在住できることになります。

現在の制度では、不法滞在者として収容された場合でも、難民認定申請をしている間は、強制送還はされないことになっています。 その制度を利用して、申請が却下されても何度も難民申請をすることで、自国へ帰ることを拒否し滞在し続ける滞在者もいることが問題なのです。

これには解決法もあります。たとえば、米国の難民申請が参考になります。
1) 難民申請者は訪問者として米国に入国し、その後難民認定を申請して滞在を延長することはできません。入国前に米国難民認定プログラムを通じて申請しなければならないです。
2)米国への永住のために受け入れられる難民の数は、年間割り当て数によって制限されています。最も困窮している難民が優先されます。
3) 米国に入国した難民は、1年後に合法的な永住権(グリーンカード)を申請することができます。グリーンカードの取得には通常さらに時間がかかります。難民が自動的にグリーンカードや市民権を得るわけではないです。
4) 再定住が承認された難民は、限られた期間、公的扶助のような難民給付を受けることができるが、自給自足が期待されています。給付は無期限ではありません。
5) 旅行者として米国に入国した後、滞在を延長するために難民認定を再申請することはできません。申請には制限があり、滞在する法的根拠がない場合は強制送還されます。この制度は濫用を避けることを目的としています。
6) 米国は、国連や他国とのパートナーシップにより、難民の大量移動を促す世界的危機を緩和しようと試みています。その目的は、可能な限り海外で人道的援助と解決策を提供することです。

合法的な永住権を持つ外国人に与えられる米国のグリーンカード

米国は世界で最も脆弱な難民の一部を受け入れることで思慮深さ示すことを目的としていますが、この制度には不法な長期滞在による搾取を防ぐためのチェックと制限があります。難民は、最終的に永続的な法的地位を得ることなく、自動的に長期滞在を許可されるわけではありません。

最終的な目標は、彼らの安全な本国への送還や統合であり、無期限の福祉ではありません。

私は、米国の難民申請制度は、日本のものよりは、相対的に優れていると思います。少なくとも、日本では難民認定申請をしている間は、強制送還はされないという制度は改めるべきです。これは明らかに制度の欠陥です。

ただし、米国にも難民・移民問題が多く発生しているのは事実であり、結局は政府がどのような政策をとるかでかなり変わってくるものと思います。

日本では、岸田文雄首相は「外国人と共生する社会を考えていかなければならない」と述べ、政府が「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」をまとめていることが話題になっています。首相は人口減少への対策として少子化対策とデジタル化を両輪で対応し、外国人受け入れも大きな課題として認識しているようです。

岸田首相

日本の外国人受け入れ率はまだ低いですが、外国人の受け入れは社会に痛みを伴うため、多数の外国人受け入れで、明らかに失敗した欧米の国々に追随する必要はないです。

生産人口の減少は、このブログでも過去に述べているようにAIやロボットを導入することで解消できると考えられます。

川口市ひとつとっても、問題は複雑です。一つ間違えれば、日本全体が川口市のようなことになりかねません。この複雑さを無視して、安易に多数の外国人を受け入れるのは危険です。

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