まとめ
- 米国内で活動するロシアのスパイの人数は、依然として多すぎる。
- ロシアは、伝統的な情報機関要員だけでなく、外国人を支援者として取り込む「連絡要員」も動かしている。
- 米政府は、プーチン大統領率いるロシアを敵対国として位置づけており、この伝統的な防諜上の懸念が再び強まっている。
米連邦捜査局(FBI)のレイ長官は、米国内で活動するロシアのスパイの人数は、摘発する努力を重ねているものの、依然として「多すぎる」と危機感を示した。
FBIのレイ長官 |
レイ長官は、ロシアの伝統的な防諜上の脅威は大きくなっており、米国は可能な限りの手段で阻止や封じ込めを試みていると述べた。
米国は、2018年に情報機関要員と割り出したロシア人外交官60人を追放し、シアトルにある領事館の閉鎖も求めた。
ロシアが動かすスパイは、伝統的な情報機関要員だけでなく、外国人を支援者として取り込む「連絡要員」も含まれる。
米国は、ロシア諜報機関を支援した疑いでメキシコ人を逮捕したほか、オランダの情報機関は、ジョンズ・ホプキンス大高等国際関係大学院で学んでいたロシア軍の諜報要員の身元を公に暴露した。
米国内に潜むロシア人のスパイの脅威は、冷戦時代から存在していたが、米政府はプーチン大統領率いるロシアを敵対国として位置づける姿勢を強めており、この伝統的な防諜上の懸念が再び米指導部内に強まっている。
【私の論評】ロシアに対抗するためにも、スパイ防止法を制定すべき(゚д゚)!
まとめ
- 日本に約120人のロシアのスパイが潜伏しているとみられている。
- ロシアのスパイは、ハイテク企業の社員を標的にしている。
- ロシアのスパイは、道を尋ねるふりをして話しかけ、飲み友達になるなどして信頼を得た後、社外秘の資料や情報を持ち出そうとする。
- 警視庁は、ロシアのスパイの手口に注意喚起し、対策を講じるよう呼びかけている。
- 日本政府は、ロシアのウクライナ侵攻に対応して、在日ロシア大使館の外交官8人を国外追放したが、ロシアはこれに報復措置をとった。
- 日本は、ロシアのスパイ活動に対抗するために、スパイ防止法を制定し、情報機関の監視・モニタリングの権限を拡大するなどの対策を講じる必要がある。
ロシアのスパイは、日本各地で約120人が暗躍していると言われています。彼らは、太平洋戦争直前まで日本を舞台に活躍したソ連の伝説的スパイ、リヒャルト・ゾルゲの後輩たちです。
ロシアのスパイは、飲み屋街や展示会などの出会いの場で連絡先を交換し、協力者にふさわしい人物を抽出します。協力者にすべき人物が決まったら、信用させ、術中にはめていく「デベロッピング(開発)」へ移行するのが定石です。
警視庁は、ロシアのスパイがハイテク企業の社員に接触していることを注意喚起しています。彼らの手口を知ることが身を守る第一歩です。
具体的には、以下のような点に注意することが大切です。
日本政府は、ロシアのウクライナ侵攻に対応して、2022年4月20日午在日ロシア大使館の外交官8人を国外追放しました。一部の外交官は諜報機関に所属していた可能性が指摘され、日本におけるスパイ活動の規制が不十分であることが問題視されています。
ロシアのスパイは、飲み屋街や展示会などの出会いの場で連絡先を交換し、協力者にふさわしい人物を抽出します。協力者にすべき人物が決まったら、信用させ、術中にはめていく「デベロッピング(開発)」へ移行するのが定石です。
警視庁は、ロシアのスパイがハイテク企業の社員に接触していることを注意喚起しています。彼らの手口を知ることが身を守る第一歩です。
警視庁 |
警視庁は、ロシアのスパイがハイテク企業の社員に接触して、企業の技術情報を盗もうとしているとして注意喚起しています。
警視庁によると、ロシアのスパイは、以下のような手口で接触してきます。- 道を尋ねるふりをして、社員に話しかける
- 飲み友達になるなどして、社員を手なずける
- 社員の信頼を得た後、社外秘の資料や情報を持ち出させる
具体的には、以下のような点に注意することが大切です。
- 道を尋ねるふりをして話しかけてくる人には、用心する
- 知らない人から飲み会に誘われたら、断る
- 仕事以外のことで、社外秘の資料や情報を持ち出すことはしない
- 情報セキュリティ対策を徹底する
- 社員への教育を徹底する
ロシアのスパイというと、ロシア人を思い浮かべてしまう人も多いですが、日本国内で工作員を雇っている可能性もありますし、さらにロシア連邦は広大であり、特に極東などでは、中央アジア系の人も多く、見かけは日本人のような人もいます。自分は、ロシア人とは関わりがないから大丈夫と考えるべきではありません。
警視庁の注意喚起は、ハイテク企業の社員だけでなく、すべての国民にとって重要な情報です。ロシアのスパイの存在を認識し、対策を講じることで、情報漏洩を防ぎ、国家安全保障を守ることにつながります。
警視庁の注意喚起は、ハイテク企業の社員だけでなく、すべての国民にとって重要な情報です。ロシアのスパイの存在を認識し、対策を講じることで、情報漏洩を防ぎ、国家安全保障を守ることにつながります。
ロシア大使館 |
国際情勢の不安定化とともに、日本の国家機密や同盟国の情報保護が焦点となり、政府に法整備と諜報・防諜体制の強化が求められています。
ロシア外務省は、4月21日、日本政府の外交官追放に報復措置として、日本大使館の外交官8人を国外追放すると発表しました。また、ロシアは、5月4日、岸田文雄首相や林芳正外相ら日本人63人を無期限で入国禁止とする制裁措置を発表しました。
一部専門家は、ロシアの外交官が日本で反米感情を高め、日本政府との対立を助長するための工作活動に関与していた可能性を指摘し、日本にとってはロシアの対抗措置によるリスクが限定的であると述べています。
一部専門家は、ロシアの外交官が日本で反米感情を高め、日本政府との対立を助長するための工作活動に関与していた可能性を指摘し、日本にとってはロシアの対抗措置によるリスクが限定的であると述べています。
戦後から日本での対日工作が何度も発覚しており、機密情報の窃取だけでなく、ロシアに有利な主張をする人物やメディアも問題とされています。そのため、日本は国家の諜報活動に対する意識を高め、ロシアの情報機関の活動を詳細に監視し、適切な法律や措置を検討すべきとの意見が示されています。
日本でも、国内に潜むロシア人のスパイの脅威は、冷戦時代から存在していましたが、日本政府はプーチン大統領率いるロシアに対峙する姿勢を強めており、この伝統的な防諜上の懸念が日本でも強まりつつあるとみられます。
以下にロシア関係の主なスパイ事件とみられるものをあげます。
1997年 翻訳業の男性が、ロシア対外諜報庁(SVR)機関員と接触し、未公開のパソコン関連機器のマニュアルを渡し、書類送検された。
2000年 防衛庁(当時)防衛研究所勤務の海上自衛隊三佐が、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)所属の大使館付武官に防衛庁の戦術概説など秘密資料を渡したとして逮捕された。
2002年 GRU所属の在日ロシア通商代表部元部員が、元航空自衛隊准尉の防衛装備品会社社長に対して、米国製戦闘機用ミサイルの資料を要求していた。元部員が書類送検された。
2008年 内閣情報調査室職員が、GRU所属とみられる在日ロシア大使館2等書記官に内政情報を漏らし、職員と書記官が書類送検された。
2020年 ソフトバンク元社員が、在日ロシア通商代表部元職員の工作を受けて機密情報を不正取得し、逮捕された。元職員も書類送検された。
1997年 翻訳業の男性が、ロシア対外諜報庁(SVR)機関員と接触し、未公開のパソコン関連機器のマニュアルを渡し、書類送検された。
2000年 防衛庁(当時)防衛研究所勤務の海上自衛隊三佐が、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)所属の大使館付武官に防衛庁の戦術概説など秘密資料を渡したとして逮捕された。
2002年 GRU所属の在日ロシア通商代表部元部員が、元航空自衛隊准尉の防衛装備品会社社長に対して、米国製戦闘機用ミサイルの資料を要求していた。元部員が書類送検された。
2008年 内閣情報調査室職員が、GRU所属とみられる在日ロシア大使館2等書記官に内政情報を漏らし、職員と書記官が書類送検された。
2020年 ソフトバンク元社員が、在日ロシア通商代表部元職員の工作を受けて機密情報を不正取得し、逮捕された。元職員も書類送検された。
ロシアのスパイ活動のような外国情報機関の脅威に対抗するために、日本は包括的なスパイ防止法を優先的に成立させるべきです。既存の法律や執行メカニズムを強化することで、ある程度の効果は得られるかもしれないですが、この種の秘密工作と適切に戦うためには、専用の反スパイ法が必要です。
ロシアの女性スパイ アンナ・チャップマン |
反スパイ法に含まれるべき重要な条項には、以下のようなものがあります。機密情報の窃盗や送信、機密サイトの監視、政府機関に潜入するための偽装工作など、スパイ行為を明確に犯罪化すること。これにより、日本の当局は外国人スパイを訴追する手段を得ることになります。
- スパイ行為で有罪判決を受けた者には、長期の実刑判決や多額の罰金を含む厳しい刑事罰を与えるべきです。強い刑罰は最高の抑止力です。
- 日本の政治や世論を操作することを目的とした外国のプロパガンダ、偽情報、影響力キャンペーンを禁止すべきです。ロシアはこのような手口を使っているため、非合法化することでその影響を抑えることができます。
- スパイ活動を発見するために、日本の情報機関に監視・モニタリングの権限を拡大することを認めるべきです。慎重に規制されれば、これらの新しい権限は情報機関に必要な手段を与えることになります。
- 外国のスパイを特定し、監視し、逮捕するために、情報機関と法執行機関との間の緊密な協力を促進すべきです。官僚主義的な障壁を取り払い、情報共有を促進することが重要です。
- スパイの疑いを通報した内部告発者を報復から守るべきです。彼らの勇気は罰せられるのではなく、奨励されるべきです。法律で彼らを保護すべきです。
- 新たな権限や権限の乱用を防ぐため、適切な監督と説明責任を確保すべきです。頻繁な監査と透明性が重要です。
反スパイ法は、慎重に考案され実施されれば、ロシアの諜報活動の脅威に対抗するための実質的な新しい手段を日本の当局に与えるはずです。
資源の拡大、厳しい制裁、サイバー防衛といった他の措置と組み合わせれば、日本におけるロシアのスパイ活動を大幅に妨げることができるでしょう。
そうして、これは、ロシアに対してだけではなく、他国のスパイについても同様のことがいえます。
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