まとめ
- 米国の輸入に占める中国の割合は、2017年の21.6%から、2023年上半期には13.3%に低下した。
- 中国の輸出額は、2023年7月時点で前年同月比14.5%減と、過去最悪の水準に落ち込んだ。
- 中国政府は、新型コロナウイルス対策による生産や出荷の中断、賃金上昇などにより、信頼できる製品調達先としての評判を落としている。
- 中国は、経済発展モデルを消費者のニーズや内需全般への依存度を高める方向に転換する必要に迫られている。
米国と中国は、近年、経済・外交・軍事など、さまざまな分野で激しい対立を繰り広げている。その中で、中国経済の米国における影響力は低下傾向にある。
米商務省の統計によると、2023年上半期の米国の輸入に占める中国の割合は13.3%と、2017年の21.6%から大幅に減少した。主要10品目全てにおいて、中国の割合が縮小している。特に、中国政府にとって重要な電子機器分野では、米国の輸入に占める中国の割合が昨年の32%から今年上半期には27.9%と、大きく減った。
この影響は、中国政府の統計にも表れている。7月の中国の輸出額は前年同月比14.5%減と、6月の12.4%減からさらに悪化した。特に米国向け輸出は23%減と、縮小幅が最も大きかった。
この影響の主な要因は、米政府の政策と中国政府の失策の両方にある。
米政府は、2018年から中国からの輸入品に関税を課すなど、中国経済を圧迫する政策を実施してきた。また、中国政府の新型コロナウイルス対応を批判し、中国製品の輸入を制限する措置も取った。
中国政府は、新型コロナウイルス対策で生産や出荷が中断されるなど、信頼できる製品調達先としての評判を落とした。また、賃金の上昇により、中国の製造コストが他の国と比べて相対的に高くなった。
中国政府は、経済発展モデルの転換を図るべきである。しかし、これまでのところ、こうした必要性に応える具体的な取り組みは見られていない。
ある国で、景気が良くなると、輸入が増えると言われています。その理由は、以下のとおりです。
景気が良くなると、政府の財政支出も増加します。そのため、公共事業やインフラ整備のために、輸入品を購入することになります。
その他にも、貿易の数字をみて、当該国の景気を知る方法はいくつかあります。
このように、貿易の数字は、当該国の景気の動向を把握する上で重要な指標となります。ただ、貿易収支や経常収支が黒だから、景気が良い、赤だから景気が悪いというような単純な見方は、間違いです。そうして、輸出入も多いから良し、少ないから悪いという機械的な見方では、できないです。ただ、長期のデータをもとにある程度(中国政府発表するGDPによる推測よりはより正しい)の推測はできると捉えるべきでしょう。
中国政府の新型コロナウイルス対策による生産や出荷の中断は、2020年以降、世界的なサプライチェーンの混乱を引き起こしました。特に、中国の製造業は、自動車、家電、電子機器、医療機器などの幅広い産業に影響を与えました。
例えば、2020年には、新型コロナウイルスの感染拡大により、中国の上海市で自動車部品の生産が中断されました。これにより、世界的な自動車メーカーの生産にも影響が及び、多くの国の自動車メーカーが生産調整を余儀なくされました。
また、2022年には、中国のゼロコロナ政策による都市封鎖により、スマートフォンの製造拠点である深圳市で生産が中断されました。これにより、スマートフォンの供給が逼迫し、価格が上昇しました。
これらの事例からも、中国政府の新型コロナウイルス対策は、世界的なサプライチェーンの混乱を引き起こし、信頼できる製品調達先としての中国の評判を落とすことにつながったと考えられます。
中国の本当のGDPは当局発表の6割しかない…人工衛星で光の量を測定してわかった中国経済の真の実力―【私の論評】あと10年で中国の弱体化は目に見えてはっきりする、その時に束の間の平和が訪れるよう日米は警戒を強めよ(゚д゚)!
米中対立 AI生成画像 |
米商務省の統計によると、2023年上半期の米国の輸入に占める中国の割合は13.3%と、2017年の21.6%から大幅に減少した。主要10品目全てにおいて、中国の割合が縮小している。特に、中国政府にとって重要な電子機器分野では、米国の輸入に占める中国の割合が昨年の32%から今年上半期には27.9%と、大きく減った。
この影響は、中国政府の統計にも表れている。7月の中国の輸出額は前年同月比14.5%減と、6月の12.4%減からさらに悪化した。特に米国向け輸出は23%減と、縮小幅が最も大きかった。
この影響の主な要因は、米政府の政策と中国政府の失策の両方にある。
米政府は、2018年から中国からの輸入品に関税を課すなど、中国経済を圧迫する政策を実施してきた。また、中国政府の新型コロナウイルス対応を批判し、中国製品の輸入を制限する措置も取った。
中国政府は、新型コロナウイルス対策で生産や出荷が中断されるなど、信頼できる製品調達先としての評判を落とした。また、賃金の上昇により、中国の製造コストが他の国と比べて相対的に高くなった。
中国政府は、経済発展モデルの転換を図るべきである。しかし、これまでのところ、こうした必要性に応える具体的な取り組みは見られていない。
Forbs Milton Ezrati
この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。
【私の論評】中国が公表するGDPをもとにして、中国経済を論じる論評は根本から間違えている(゚д゚)!
まとめ
- 中国のGDPの数字は辻褄が合わない。中国政府が数字を操作している可能性がある
- 中国の経済は減速している。
- 中国政府の新型コロナウイルス対策は、世界的なサプライチェーンの混乱を引き起こした。
- 中国の賃金の上昇による製造コストの上昇は、中国の競争力を低下させている。
- 中国のGDPをもとにして、中国の経済を論じる論評は根本から間違えている。
上のフォーブスの良い点は、GDPではなく、輸出入の数字で中国経済を語っていることです。中国のGDPの数字は辻褄があいません。まず、経済成長率の数字が何年も安定しています。急激な変化がほとんどありません。それは、特に2000年あたりから続いています。
現実の経済は時計仕掛けのようには成長しません。また、鉄道貨物量、電力使用量、工業地帯の衛星画像など、他の指標を見れば、数字が物語ることは違っています。中国経済が減速しているのは事実であり、中共がGDPの数字で何を信じさせようとしているかなど関係ありません。常識のある人なら誰でも、中共のGDPはデタラメであることを知っています。
時計仕掛けのような不思議な成長をする経済 AI生成画像 |
そのため、高橋洋一氏なども、中国のGDPは信用せず、貿易の数字等で、中国のGDPを推測しているそうです。貿易の数字などは、貿易相手があることですから、これを極端に操作することはできないからです。
- 消費者の購買力が高まる
- 企業の設備投資や生産拡大が進む
景気が良くなると、政府の財政支出も増加します。そのため、公共事業やインフラ整備のために、輸入品を購入することになります。
その他にも、貿易の数字をみて、当該国の景気を知る方法はいくつかあります。
- 輸出入の伸び率
輸出入の伸び率は、前年度比の増減率です。輸出入の伸び率が大きいほど、その国は景気が良いと判断できます。
- 輸出入の品目構成
このように、貿易の数字は、当該国の景気の動向を把握する上で重要な指標となります。ただ、貿易収支や経常収支が黒だから、景気が良い、赤だから景気が悪いというような単純な見方は、間違いです。そうして、輸出入も多いから良し、少ないから悪いという機械的な見方では、できないです。ただ、長期のデータをもとにある程度(中国政府発表するGDPによる推測よりはより正しい)の推測はできると捉えるべきでしょう。
例えば、2020年には、新型コロナウイルスの感染拡大により、中国の上海市で自動車部品の生産が中断されました。これにより、世界的な自動車メーカーの生産にも影響が及び、多くの国の自動車メーカーが生産調整を余儀なくされました。
また、2022年には、中国のゼロコロナ政策による都市封鎖により、スマートフォンの製造拠点である深圳市で生産が中断されました。これにより、スマートフォンの供給が逼迫し、価格が上昇しました。
世界的なサプライチェーンの混乱 AI生成画像 |
これらの事例からも、中国政府の新型コロナウイルス対策は、世界的なサプライチェーンの混乱を引き起こし、信頼できる製品調達先としての中国の評判を落とすことにつながったと考えられます。
中国の賃金の上昇による製造コストの上昇については、以下の証左があります。中国の平均賃金は、2010年から2022年にかけて、約3倍に増加しました。
中国の製造業における賃金は、米国や日本と比べて依然として低いものの、今後も上昇していくことが予想されています。
これらのことから、中国の製造コストは、他の国と比べて相対的に高くなりつつあると言えます。
コラム:米国が中国上回る経済成長、今年最大の「サプライズ」に―【私の論評】マスコミが報道しない、日本が米中上回る経済成長、今年最大の「驚愕の大サプライズ」か(゚д゚)!
中国の製造業における賃金は、米国や日本と比べて依然として低いものの、今後も上昇していくことが予想されています。
これらのことから、中国の製造コストは、他の国と比べて相対的に高くなりつつあると言えます。
相対的に高くなりつつある中国の製造コスト AI生成画像 |
以上の、具体的な出典としては、以下のようなものが挙げられます。
- 国際通貨基金(IMF)「世界経済見通し」(2023年4月)
- 中国国家統計局「中国統計年鑑」(2022年)
- 米国労働省「雇用情勢」(2023年7月)
一つはっきりしているのは、中国政府が公表するGDPの数字をもとにして、中国の経済を論じる論評は根本から間違えているということです。
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