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2012年8月14日火曜日

「あえてダラダラすること」があなたの毎日に健康と創造力をもたらす―【私の論評】常に新しいものに目がいくように、組織づくりをしておくことが肝要である!!

「あえてダラダラすること」があなたの毎日に健康と創造力をもたらす:

eコマースでは、最もイノベーティブなザッポスの社内
時間を節約するためのさまざまなテクニックをすでに試していても、まだ「時間が足りない」と感じてしまうのなぜでしょう? 時間ができたらできたで、そこを新たなタスクで埋めてしまうからです。生産性を上げる究極の方法は、あなたの生活の規模を縮小することかもしれません。 「ダラダラしていいよ」なんて言われたらびっくりするかもしれませんが、少し手を抜くことは、睡眠と同じぐらい脳にとって大切なことなのです。退屈したり、先延ばしにしたり、関係ないことを考えたりすると、脳の働きがよくなり、よりよい決断ができるようになると言われています。 今回は「退屈」、「注意力散漫」、「先延ばし」が、あなたにもたらすメリットについて詳しく分析していきます。 Title image remixed from Subbotina Anna (Shutterstock).

退屈
退屈には、膨大な量の情報から本当に必要なことをふるいにかける効果があるのです。退屈することで自分をリセットできるというわけです。私たちは退屈すると「もっと意味のあることをしたいと思うようになり、結果として社会的な行動に移るのだそうです。退屈で何もする気が起きないというのは、うつ病のサインでもありますが、退屈だから何かしようという気持ちは、想像力や生産性を向上させる鍵になります。


注意力散漫
注意力散漫になることが、既成概念にとらわれない考え方を生むことがあります。注意力散漫になることは、想像力や問題解決能力をアップさせるだけでなく、集中力を上げるのにも関係しているそうで、空想することによって、脳内でより遠くの神経同士がつながるので、結果的に集中力がアップするのだそうです。要するに、気が散ってどうでもいいことを考えている状態は、長い目で見れば、良い効果があり集中力もアップする、ということです。だからといって、気持ちが乗って生産性が上がっているときに、わざわざネットサーフィンをしなさいと言っているわけではありません。関係ないことを考えている自分に気づいたときに、無理に元の作業に戻る必要はないかもしれない、という話です。



先延ばし
先延ばしは、人間にとって必要なもので、時には意思決定を助ける役割を果たしているのです。実際の行動や決断に移すまで、最大どれだけ先延ばしできるかを考える。その期限のギリギリまで待つ。



これが、より良い決断をし、ハッピーであるための2つのステップです。この考え方に違和感を覚えるとしたら、私たちにはそもそも決断力がないのだから、先延ばしすることによって十分検討する時間を持つべきだなのです。

【私の論評】常に新しいものに目がいくように、組織づくりをしておくことが肝要である!!



さて、詳細は、上の記事を読んていただくものとして、上では、個人が創造性を発揮するためのヒントをあげているわけですが、これをマネジメントの視点からみてみるとどうなるか、ドラッカーの考えを以下にあげてみます。

革新を行う能力の重要性がとみに認識され、独創性の開発とか想像力の強化とかが、しきりに叫ばれています。特に人事担当者や心理学者は、いろいろな提言を次々に繰り出しています。しかし、こうした事態に対して、ドラッカーはかねてからあまり好感を抱いませんでした。



その理由として、オリジナリティーのある企業は、否が応でも必ず新しい面に日々進んでいかなければならないものとして現実に行動しているという事実を、ドラッカーは指摘しています。

かつてデュポン社についてドラッカーは、同社のトップ・マネジメントは事業部に対して独創性が必要だとか、新製品を考えろとか、創造性をもっと発揮しろなどというお説教は絶対にしない、と語っていたことがあります。それはデュポンの事業部長は、わずかでも新しいものを常に考えて用意していかないと、自分の仕事がいずれなくなってしまうことを肝に銘じて知っているからだといいます。つまり、古い製品や考えはどんどん廃れていく現実にしっかりと目を向けているのです。

またデュポンでは、研究者は自分の時間の3分の1を、自分の担当の仕事とは一見、何ら関係のないことの研究調査に当てなければいけない。こうして常に新しいものに目が行くようなシステムづくりを行っているのです。


現にデュポン・ジャパンでも社員は、自分の専門性の練磨だけではなくて、それ以外の分野の拡大強化に励むことを大いに奨励されています。

ドラッカーは、こうした新しいものを考えるのは、「妙な言い方だが」と断った上で、ちょうど健康な子どもが食事をして排泄すれば、次に新しいものを必ず食べていかなければならないのと同じであると言っています。


実績を上げている企業や効率的な企業は、健康な子どもと同じように便通をよくしているのだと続けています。創造性の開発を、単なるお題目ではなく、日々のマネジメント活動にビルト・インさせておかないような企業は駄目な企業であり、新しい可能性を追求していて、障害に逢着しても臨機応変な措置が取れるようでなければお話にならない、と明言しているほどです。

そうできるのは、観念論者ではなく実行派の人間をこうしたことにあてること、適切な処理ができる能力を持っている優秀な人間をこれにあてるということを、第一義的な原則にしているところでなければならないと断言しています。


マネジメントが、このことを理解していなければならないということです。これを理解しているマネジメントが、否が応でも必ず新しい面に日々進んでいかなければならないものとして現実に行動しているし、行動させるような組織をつくりあげてこそ、上記の個々人の創造性を高める方法も生きてくるというわけです。

確かに、そのような体制になっていない組織の社員が、退屈したり、注意力散漫だったり、先延ばしたりばかりしていたら、恐ろしく非効率的な組織になってしまうと思います。しかし、常に新しいものに目がいくようになっているデュポンのような組織であれば、たとえば、自分に割り当てられている、時間の3分の1の中では、たまには、こうしたことをやってみる価値は十分にあると思います。それが、実際に効果があるのなら、会社側も認めてくれるでしょう。


それと、個人で知識労働をして働いている人は、このような原則すぐにも取り入れても良いと思います。個人なら、誰にも迷惑をかけることはありません。もし、これらの原則を取り入れて、失敗したとしても、その影響を被るのは、自分だけですから。

いずれにせよ、イノベーションに取り組まなければ、いずれ、個人でも、組織でも駄目になってしまうのは確かです。ドラッカーは、 「長い航海を続けてきた船は、船底に付着した貝を洗い落とす。さもなければ、スピードは落ち、機動力は失われる」と語っています。

あらゆる製品、あらゆるサービス、あらゆるプロセスが、常時、見直されなければならないのです。多少の改善ではなく、根本からの見直しが必要なのです。顧客が変わっているのに、前の顧客に提供するのと同じ商品やサービスを提供していてはいけないということです。

これはイノベーティブというより、変?
あらゆるものが、出来上がった途端に陳腐化を始めます。そして、何もしなければ明日を切り開くべき有能な人材がそこに縛り付けられてしまいます。こうした陳腐化を防ぐためには、まず古いものを廃棄しなければなりません。廃棄せずして、新しいことは始められません。

自らが陳腐化させられることを防ぐには、自らのものはすべて自らが陳腐化するしかありません。そのためには人材が必要です。その人材はどこで手に入れますか。外から探してくるのでは遅いのです。だかこそ、デュポンのように常に新しいものに目がいくように組織づくりをしておかなければならないのです。

成長の基盤は変化します。企業にとっては、自らの強みを発揮できる成長分野を探し出し、もはや成果を期待できない分野から人材を引き揚げ、機会のあるところに移すことが必要なのです。昨日を組織的に切り捨てるとともに、資源を体系的に集中することが、成長のための戦略の基本なのです。




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2012年6月23日土曜日

「いっぷく」50円の「有料喫煙所」 スモーカーの「駆け込み寺」になるか―【私の論評】認識の変化を確実に掴めば事業になり得る!!

「いっぷく」50円の「有料喫煙所」 スモーカーの「駆け込み寺」になるか:

有料喫煙所"ippku"の入り口
   不動産関連事業を手がけるゼネラルファンデックスは2012年7月2日から、東京・御茶ノ水などで「有料喫煙所」をオープンする。1回の使用料は、50円だそうだ。
続きは「J-CASTニュース」へ

ippukuの内部
【私の論評】認識の変化を確実に掴めば事業になり得る!!
詳細は、上の記事を読んでいただくものとして、最近の喫煙事情など以下にまとめておきます。喫煙所というと、私は、駅のものを思い浮かべてしまうので、駅の事情を掲載します。私の実家は、札幌なので、函館から札幌には、年数回JRで行くことがあります。そのため、何となく、函館駅と、札幌駅の喫煙事情については知っているので、これをまず掲載させていただきます。


函館駅には、まずは、駅の向かって正面左側に、小さな喫煙室があります。5~6人も入れば一杯になるようなところで、無論座ることはできません。ガラスて覆われています。函館駅では、さらに、改札口を出て、少し歩いたホームの入り口付近にもう一つ駅舎と似たような喫煙所があります。

列車に乗ると、タバコは一切吸うことができません。札幌駅につけば、まずは、各プラットフォームの、下り方向に近いほうのホームの端に、これも、ガラスで覆われた小さな喫煙室があります。これは、規模的に函館のものと同程度です。

札幌駅
そうして、喫煙所以外の喫煙できる場所としては、JRで前面禁煙になってから、最初はほとんどなかったと思います。ただし、しばらくしてから、函館駅の2階で吸える店ができたと思います。札幌では、北口の喫茶店がタバコがすえるようになりました。中が、喫煙区画と禁煙区画に分かれていて、店の奥のほうが、喫煙できます。ここでは、無線ランもできるようで、喫煙しながら、パソコンを覗いている人も複数いました。喫煙区画はいつもかなり混んでいます。非喫煙区画もそこそこ混んでいます。私は、ここには、数回行きましたが、いつ行ってもこの状況で、混みあっています。


それから、最近気がついたのですが、改札口を入り、何番ホームか忘れましたが、ホーム下に飲食店があります。ここでは、食事、お酒も飲むことができます。そうして、久しぶりにここに入りましたが、以前は確か禁煙だったのが、喫煙可能でした。ここは、喫煙と非喫煙区画も区分していませんでした。結構混みあっており、私が、座って、コーヒーを飲んでいると、左には、女性が座り、コーヒーを飲みながら、タバコを吸っていました。右側には、男性が座って、テレビを見ながら日本酒を飲んでいました。ここも、かなり混んでいて、喫煙、非喫煙の区別がないにもかかわらず、多くの人が利用していました。


さて、最近タバコの吸える飲食店や、喫茶店などたくさんあるようになりましたから、喫煙者の方もあまり不自由はしなくなったと思います。

それにしても、タバコの害、特に肺がんの危険が指摘されてきましたが、この説は、実は怪しいということをこのブログに掲載したことがあります。しかし、このような店に入っている人で、タバコを吸わない人も結構います。しかし、これらの人たち、タバコの煙などほとんど気にしていないようです。特に、情報として知らなくても、あまり害はないのだと思っているのだと思います。私も、そうです。きちんと、換気扇が回っていて、タバコの煙が充満していない限り、さほど危険だなどと思ったことはありません。


しかし、このような店に入ると、飲食したり、コーヒーを飲まないわけにはいきません。これが、その日コーヒーを飲んでいなくて、はじめて飲むというのなら良いですが、朝飲んで、昼飲んで、午後にどこかに出かけて飲んでなどの後に、飲んだり食べたりというのは、あまりできないと思います。

それに、たかだか、タバコを一二本吸うのに、コーヒーを飲んだり、飲食するとなると、本当に勿体ないです。であれば、上の記事のような、喫煙所は、便利だと思います。


タバコを吸う人は、年々減ってきてはいます。しかし、そうはいいながら、上記のようなサービスを求める人は、必ず存在します。上記のような喫煙所を利用する人は必ずいるものと思います。人通りの多い場所など選べば、これだけで十分事業になると思います。

これは、どんな小さなニーズでも、確実に掴めば事業になり得ることができるという格好の事例だと思います。私たちの身の回りを見回せばまだまだこのようなことはあると思います。


本日は、この喫煙所は、どのような機会を利用したかということを説明するために、下にドラッカーが提唱する7つのイノベーションの機会を掲載します。
(1)予期せぬことの生起。予期せぬ成功、予期せぬ失敗、予期せぬ出来事。
最もリスクが少なく、最も容易にイノベーションの機会となるものだが、往々にして無視される。IBMは当初、科学計算用にコンピュータを作ったが、企業が給与計算などの世俗的な仕事にコンピュータを使い始めた。IBMにとっては予想外の出来事で戸惑いを感じずにはいられなかったが、すぐにこのニーズに応じた。 
(2)ギャップの存在。現実にあるものと、かくあるべきものとのギャップ。
ギャップには業績ギャップ、認識ギャップ、価値観ギャップ、プロセス・ギャップの4種類がある。
a.業績ギャップ=製品やサービスに対する需要が順調に伸びているにもかかわらず業績が芳しくない場合。
b.認識ギャップ=ある産業の内部にいる人たちがものごとを見誤り、現実について誤った認識を持っている場合。
c.価値観ギャップ=生産者や供給者が提供していると思っている価値と、顧客が真に必要としている価値との間に違いが存在する場合。 
d.プロセス・ギャップ=何か1つの作業を行う一連のプロセスの中で、不安に感じたり困ったりする部分がある場合。
(3)ニーズの存在。
漠然とした一般的なニーズではなく、具体的なニーズでなければならない。
a.プロセス・ニーズ=プロセス・ギャップから生じるニーズ。
b.労働力ニーズ=労働力不足の懸念から生じるニーズ。製造業においてロボットが半熟練労働に取って代わるようになったのは、労働力ニーズの圧力があったためである。
c.知識ニーズ=新しい知識を必要とする場合。それらの新しい知識は開発研究によって生み出される。 
(4)産業構造の変化。
自動車産業がよい例である。第一の波は20世紀の初頭に訪れた。自動車はかつてのような金持ちの贅沢品ではなくなり、大衆に広まりつつあった。フォードの「Tフォード」はこの産業構造の変化を利用したものである。
第二の波は1960年代から80年代にかけてやってきた。自動車メーカーはそれまでの自国市場独占型の戦略を捨て、グローバル戦略に切り替える必要があった。この動きに真っ先に乗じたのが日本の自動車メーカーであった。GMは日本のメーカーに後れを取ったものの、グローバル企業になる決意をした。クライスラーは完全に乗り遅れた。 
(5)人口構造の変化。
人口の増減や年齢構成、雇用や教育水準、所得などの人口構造の変化は明白である。人口構造の変化は突然訪れるものであるかのように認識されている。しかし、20年後に労働力人口に加わる人々は既に生まれている。人口構造の変化が生じるまでには、予測可能なリードタイムが存在する。 
(6)認識の変化、すなわち、ものの見方、感じ方、考え方の変化。
コップに「半分入っている」と捉えるか「半分空である」と捉えるかは全く違う。従って、取るべき行動も違う。かつて食事の仕方は所得階層によって決まっていた。一般人は質素な食事をし、金持ちは豪華な食事をした。しかし現在は、一般人が質素な食事もすれば豪華な食事もする。 
(7)新しい知識の出現。
一般にイノベーションと呼ばれるものである。起業家精神のスーパースターと言える。成功すれば有名になれるし、金持ちにもなれる。しかし、最も成功が難しいのもこのイノベーションである。 
知識によるイノベーションは、実を結ぶまでのリードタイムの長さ、失敗の確率、不確実性、付随する問題が他のイノベーションとは全く異なる。知識によるイノベーションのリードタイムはおおよそ30年である。
(1)から(4)は、企業や社会的機関の組織の内部、あるいは産業や社会的部門の内部の事象であり、内部にいる人にはよく見えるものです。他方(5)から(7)は、企業や産業の外部における事象です。この7つの順番には意味があり、信頼性と確実性の大きい順に並んでいます。


上の喫煙所の例は、「(6)認識の変化、すなわち、ものの見方、感じ方、考え方の変化」をイノベーションの機会として捉えたものといえます。従来は、喫煙所がどこにでもあったものが、今では、なくなり、だからこそ、有料でも使いたいというように認識が変化していることを利用したものです。


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2012年6月7日木曜日

Facebook新機能『宣伝広告』の可能性!―【私の論評】宣伝広告機能は、社会的イノベーションを加速するか?

Facebook新機能『宣伝広告』の可能性!:

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先月末、Facebookは、企業やブランドのFacebookページからの投稿を、もっと効果的に拡散する新しい機能を発表しました。この機能は宣伝広告(promoted post)と呼ばれ、一定の料金を支払うことによって、投稿をより多くのユーザーに届けるというものです。日本語版Facebookは今のところまだこの宣伝広告に対応していませんが、英語版に続いてすぐにサービスが始まるのではと予想されます。

最近のFacebookの発表によると、ブランドによる投稿はファンの僅か12%にしか届かないとのことです。この数字はあくまで平均的なもので、もちろん投稿の内容によってユーザーへのリーチの幅は大きく変わります。投稿内容が平凡で退屈なものであれば、ファンは拡散する価値がないと判断し「いいね!」もコメントもくれませんが、一方で内容が面白く魅力的であれば喜んで「いいね!」やコメントをくれます。するとその投稿はソーシャル・メディア空間でどんどん拡散されて、より多くのユーザーの目に触れることになります。

Facebookは、しばらく前からブランドからの投稿がもっと簡単にもっと効果的にユーザーへ届くようにするにはどうすればいいかと考えてきました。それに加えて先月には株式公開があり、これからはしっかり利益を上げて、株主にそれを還元していかなければならなくなったのです。今回の新機能は、そんなFacebookの企業としての、満を持しての発表というところでしょう。

それでは宣伝広告という機能を少し詳しく見ていきましょう。

例えばあるお店が全品20%引きのセールを行うとします。このお店はFacebookで繋がっている全てのユーザーにセールのことを知ってほしいと思うのが自然です。そこでFacebookにいくらかの料金を払い、ファンの近況フィードにその情報が優先的に流れるようにしてもらうのです。

その際、投稿内容の言語を限定したり、特定の場所のユーザーだけをターゲットにしたりと、従来のターゲッティング広告と同様にキメ細かいマーケティングも可能になっています。また、その広告を何人のユーザーが目にしたのかという数字も正確にトラッキングできます。しかし注意点として、アップロードから既に3日以上経っている投稿は新たに宣伝広告として登録することはできません。

日本語版のFacebookに新機能が対応するようになったら、メイン・ページの投稿、公開ボタンに続いてFacebook広告を出すというボタンが付きます。そのボタンを押すと下にウィンドウが表示され、料金を選ぶことができるようになります。この料金によって投稿がリーチするユーザー数が変わるのです。多くのユーザーに届けたい場合はたくさんの料金を払い、少数のユーザーでよければ少しの料金を払います。宣伝広告は、ユーザーの近況フィードに「広告」というタグを付けて流れます。

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宣伝広告はFacebookでのマーケティングに新しい風を巻き起こすと言われています。中小企業や有名ブランドは、本格的なキャンペーンに今までのような労力と時間を使わなくても、素早く簡単に多くのユーザーにメッセージを届けることができるようになるからです。

新機能の発表が米国で話題を呼んでいるもう一つの理由は、今はページ・オーナーにしか許されていないこの機能が、将来的に個人アカウントでも利用可能なるかもしれないからです。その場合、どういう使い方ができるのかという質問に対してFacebook側は、「例えば新しい仕事を探していて皆に紹介口があるか教えてもらいたい場合、車を売りたいという個人がそれを多くの人に知ってもらうためになど様々な利用法があります。」と答えました。

個人ユーザーからの広告投稿が可能になったら、Facebookはただの広告掲示板になってしまうのではないかと心配する人々がいます。一方でそうなることでFacebook側が提唱する活用法のように、個人の可能性をもっと広げてくれるという前向きな意見もあります。

株式公開を果たしたFacebookが今後どのようにビジネスの幅を広げていくのか、目が離せませんね。

【私の論評】宣伝広告機能は、社会的イノベーションを加速するか?


Facebookは、最近上場しましたが、株価は下落しています。まあ、蓋を開けてみれば、やっぱりなあ、と思います。非論理的な空騒ぎのバブルを市場が嫌ったということです。これに関しては、以前も、ITを背景とした「ニューエコノミー」なるものの幻想を実体験した投資家がほとんどですから、もはや、ニューエコノミー幻想は、すっかり払拭されたということです。SNSバブルなど起こらないとみているというわけです。

当初の時価総額1040億ドルという見方が、ニューエコノミー幻想が消えた現在では、異常だったと思います。facebookは、現在これに見合う利益は今のところ全く出していません。現状のフェイスブックのままでであれば、市場の評価と実利のギャップを今の年収のペースで埋めようとしたら1世紀以上かかってしまいます。


そもそも、フェイスブックを一番良く知る大口初期投資家からしてほぼ全員(マーク・ザッカーバーグ本人も)、金曜の上場前に何千万株という株を売っています。当分は上がる見込みもないから売っているのであって、もっと上がると見込んでいたならなら誰も売らなかったはずです。

ともあれ今回の上場でフェイスブックの懐には160億ドル転がり込みました。評価を気にする投資銀行からの買い支えがとれた月曜についた株価、これが今のフェイスブックの実像です。広告主導のソーシャルメディア会社、モバイル分野などではまだ実績がないのですが、とりあえず黒字は手堅く見える。まだまだ、これからということです。

普通の株と同じように、上がったり、下がったりしながら、じょじょに独り立ちしていくということになると思います。歩き始めの一歩を飾り過ぎた、というだけのことです。

こういう背景もあることから、宣伝広告(promoted post)という機能を付け加えるということだと思います。しかし、私自身としては、この機能は、上の記事にもあるように諸刃の剣だと思います。


私自身は、「ファンの近況フィード」に優先的に流れるという仕組みに関して、多少抵抗感もあります。確かに、企業や個人が、この宣伝広告を大量に使うことになれば、facebook自体が広告宣伝版になってしまうかもしれないからです。しかし、これは、あくまで、ファンになっていなければ、関係ないことなので、あまり神経を尖らす人もいないかもしれません。そもそも、自分にとって関係のないところからは、何も流れてこないのですから、実際に、優先的に流れてきたとしても、さほど気にはならないと思います。

そうして、これは、確かに、個々のユーザーにとっては、かなり便利かもしれません。特に自分が住んでいる地域のお店や企業などによるものであり、しかも、それが自分の気に入ったものであれば、かなり有用です。特に、この"自分の気に入った"というところが、うまくかみ合えば、場合によっては、革新を巻き起こすことができるかもしれません。

この機能に関しては、たとえば、以前述べた、スペンドシフトという消費の潮流にあわせて使うことができれば、確かに革新的になりうると思います。


ちなみに、スペンドシフトに関しては、このブログにも何回か掲載したことがあります。アメリカでは、911あたりから、あらわれ、リーマンショック以降顕著になった消費動向であり、日本でも、最近顕著になりつつあり、震災以降は、かなり顕著になった傾向です。以下にその核心な部分のみコピペしておきます。
自分を飾るより ⇒ 自分を賢くするためにお金を使う。
ただ安く買うより ⇒ 地域が潤うようにお金を使う。
モノを手に入れるより ⇒ 絆を強めるためにお金を使う。
有名企業でなくても ⇒ 信頼できる企業から買う。
消費するだけでなく ⇒ 自ら創造する人になる。
Facebookに関しては、もともと、私がこのブログで主張してきたように、「身の丈にあった情報」が得られやすいということで、「自分を賢くするためにお金を使う」というこには寄与してきたと思います。:現在ある、ブランドのページなども、大企業から個人企業のものまで数多くあり、好きなページを選んで、たとえば、環境問題に力を入れている企業に対して応援するなどのこともできます。


そうして、この宣伝広告機能は、「地域で潤うようにお金を使う」「絆を強めるためにお金を使う」「信頼できる企業から買う」というというところに大きく寄与することになるかもしれません。同じお金を使うにしても、このような要求を満たすためには、既存のマス広告などは、ほとんど役にたちません。しかし、この新機能は、自分のお金をどのように使うべきかを考える人たちにとっては、多いに役に立つ可能性が大です。

それと、宣伝広告機能が、上記のように機能するようになった場合、それを頻繁に見るようになった、facebookのユーザーの中で、社会問題などに興味があり、それを何とか解消しようと真剣に考えていた場合、facebookのタイムラインなど、本当に生きた事例集になる可能性が大です。そうして、いままでは、なかなか実行に移せなかったユーザーが、自ら、何かを販売して、地域が潤うようにするとか、絆を高めるためのイベントを実施するだとか、あるいは、自分のできて他の人にはできないことにより、何らかの価値を創造して、それらを宣伝広告機能により、多くの人に知ってもらい販売し、継続できる機会を増やすなどのことによって、消費するだけではなく、自ら創造する人になるということも考えれます。


従来のような、マス宣伝広告の変形に過ぎないものに終始すれば、現状のGoogleの広告宣伝とあまり変わりないと思います。しかし、上記で私が掲載したような運用のされ方をすれば、これは、社会を変革するきっかけとなるかもしれません。皆さんは、どう思われますか?


【私の論評】

「棚が回る冷蔵庫のCM」に呆れる若者の話−【私の論評】本当の意味でのソーシャルが注目される時代






2012年5月15日火曜日

アマゾン、今度は高級ブランドのファッション業界へと殴り込み!−【私の論評】すでにアマゾンは、ファッション購入サイトとしては第一位になっている!!そのAmazonが挑戦するからには、何かすごいイノベーションが期待できる!!

アマゾン、今度は高級ブランドのファッション業界へと殴り込み!:



またもや黒船来襲!「Kindle」タブレットが絶好調で、電子書籍にて出版業界を震え上がらせたアマゾンが、とうとう今度はファッション業界へも本格進出すべく、着々と準備を整えていることが明らかになりましたよ。

えっ、もしや簡単には手が届かなかった高級ブランド物が、アマゾンならではの激安ディスカウント価格で買えちゃったりもするの?現在もアマゾンでは、アパレルからファッション小物に至るまで、豊富なセレクションで買い物ができるようになっていますけど、新たにジェフ・ベゾスCEOが狙っているのは、もっと高級なブランドショップの取り込みのようですね。

つまり、とにかく安くで服が買える...みたいなコンセプトではなく、これまで高級ブティックでしか手に入らなかったハイセンスなファッションを、まるで店を訪ねて自分の手に取って品定めするかのごとく、オンラインでも購入を進められるようにすることが目指されていますよ。

すでにアマゾンは、専属のスタイリストやデザイナー、モデルなどを雇い入れ、とかくディスカウントが強調されがちな「安物を売るアマゾン」としてのブランドイメージではなく、世界有数のファッションブランドを満足させられるような高級イメージの販売コーナーのセットアップが進んでいるようです。

「アマゾンで高級ブランド品を買おうとは思わないさ」みたいなイメージを払拭できれば、巨大なマーケットを創造してきたアマゾンだけに、これから一気にファッション分野でもブレイクする可能性だって十分にあると思うんですけど、いかがでしょうかね~[New York Times]Image by Emma Kate under Creative Commons licenseJamie Condliffe(米版/湯木進悟)

【私の論評】すでにアマゾンは、ファッション購入サイトとしては第一位になっている!!そのAmazonが挑戦するからには、何かすごいイノベーションが期待できる!!

なにやら、昨日もファッションに関する記事を掲載したばかりというのに、本日も結局ファッション関連に関して掲載することになりました。というのも、あのAmazonが本科的にファッションに進出するという上のニュースがあったからです。この、ブログては、Amazonの新しい動きなども、逐一掲載していますから。本日は、これを掲載ということです。


Amazonといえば、もうずいぶん前から、特にアメリカでは、何年も前からファッションを扱っていたはずです。実際、上の記事の冒頭に掲載した、Amazonのサイトの画像でもわかるように、すでにファッション自体は扱っています。それどころか、シューズそのた、ファッション小物も結構扱っています。アメリカのサイトで"fashion site"というキーワードで検索してみたら、上の画像のようなファション・ウエブ・サイトのトップテンが、掲載されていました。

このサイトの左の列は、"lovetolearn"となっており、これは、様々ファッションの情報を掲載しているサイトの上位トップテンを紹介するものです。

そうして、このサイトの右の列は、"lovetoshpo"は、実際に購入できるサイトの上位トップテンを紹介するものです。そうして、そのトップには、何とAmazonではありせんか。そうです。何もAmazonは、ファッション界では、すでに一定以上の定評があり、実際に多くの人が購入しているのです。

さて、この"lovetoshop"実際に見てみました。1位のAmazonは、上に掲載したので、2位から5位まで、したに掲載してみました。

第二位:PACSUN


第三位:Torid


第4位:Neiman Mercus

第五位:rusty zipper


これらをご覧になって、皆さん何かお気づきになりませんか?そうです。どちらかというと、かなりファッショナブルというよりは、低価格で、普段着的なものを販売していることがわかります。特に、第3位Toridの モデルのお姉さんは、かなり体格が良く、現代アメリカの典型的な女性です。昨日もこのブログに掲載したビクトリアズ・シークレッツのスタイルが良くてセクシーな女性とは対照的です。

第五位の"rusty zippe"に至っては、モデルのお姉さんと、お兄さんがどちらかといえば、かなりダサいという印象です。これら、アメリカで上位であるはずの、ファッションサイトの特徴は、多少の例外はあるものの、あまり高価ではない、どちらかというと普段着に属するものということができます。体格の良さとか、ダサさを前面に打ち出すということは、いわゆるファッションに対して、あまり敏感ではない普通の人をターゲットにしているということだと思います。ファッションに関しては、あまり敏感でない人だって、それなりに着るものは購入しなければならないはずです。


これらのサイトは、Amazonも含めて、ファションに敏感でない人や、敏感であっても、自宅で着用する普段着などに絞って販売しているのだと思います。このようなサイトも、それなりに顧客を獲得しているのだと思います。ちなみに、上のAmazonのサイトでは、パーティードレスが販売されています。何かパーティードレスというと、日本では高級なイメージがありますが、アメリカでは決してそうではありません。


アメリカでは、日本よりは、住宅がかなり広く、どこの家でも、10人くらい余裕で集まれるスペースがあるので、いわゆる、パーティーなどかなり頻繁に開かれています。日本のように、どこぞで、飲み食いするよりよほど安くできます。ボットラック・パーティーといって、参加者が料理を持参で集まるものもあります。だから、パーティーに参加する際に着用するパーティードレスなど、高いものは、高いですが、安いものも、日本ではかんがえられないくらい、品揃えが多いです。スーパーなどで、決算セールで、ワゴンに山積みにされて、かなり安く売っている場合もあります。だから、いわゆる、パーティードレスは、アメリカ人にとって、決して高級イメージがあるというわけではありません。


私は、Amazonでは、ファッション関係は、あまり購入したことはありません。しかし、靴であれば、何回か購入したことがあります。確か、Javariというサイトでした。これなど、時々特価で販売しているので、結構良い靴が安く購入できたりします。それに、もし靴があわなければ、返却自由ですから、安心して購入できます。ただし、いまだかつて、返却したことはありません。




しかし、その他のファッションは、そもそも、私自身ファッションに関してはあまりうるさくはないということもあり、Amazonで購入したことがありません。UNIQULOなら何回か購入したことがあります。しかし、それも、数回という程度です。他やはり、ほとんどは、実際に店舗で見て、着用してから購入します。


しかし、ファッション以外だと、Amazonでは、パソコンから、デジタルハイビジョンから、CD、書籍、DVD、カメラ、オモチャ、食べ物などありとあらゆる商品を購入しています。下は、Amazon showcaseの画面。



やはり、ファッションに関しては、ファッションサイトの歴史も短いし、実際に着用してからでないと、納得できないとか、たとえ、サイトで購入してから実際に着用してみて気に食わなければ返却できることがわかっていても、長い間の慣習を破ることができない人が多いのだと思います。



こんなことから、本格的なファッションをサイトで販売することは、思ったより易しいことではありません。あのGoogleでさえ、結局失敗していることは、このブログの過去の記事に掲載したことがあります。いろいろなサイトがfacebookと連動させたり、さらに、物理的店舗と連動させたり、様々な実験的な試みを行っています。



このような事実があることから、 Amazonがすでに、ファッションサイトでかなりの地位を築いているにもかかわらず、さらに、これから本格的なファッション・サイトに進出するということは、おそらく、かなり画期的なことを実現しようと試みているとみて間違いないないと思います。まさか、上や下の画像のような、バーチャル試着のような機能を付加するだけなどという単純なものではないと思います。



このブログでは、以前Amazonがアップルストアのような実店舗を出店することを目論んでいることを掲載したことがあります。ひよっとしたら、この実店舗とからめるようなファションサイトをたちあげるかもしれません。いずれにせよ、Amazonからは、このファションサイトがどのようなものになるかは、まだ詳細は発表されていません。おそらく、なんらかの画期的なイノベーションがなされていると思います。いずれ、発表されたら、このブログでも掲載して、論評するものとします。

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2012年4月27日金曜日

メッツコーラが発売2日で年間目標の5割突破―【私の論評】これは、前から予想されていたことだが、立派な社会変革だ!!日本の技術力の素晴らしさだ!!

メッツコーラが発売2日で年間目標の5割突破


 キリンビバレッジは、特定保健用食品史上初のコーラ「キリン メッツ コーラ」が発売後わずか2日で年間販売目標の5割を突破した、と発表した。



 同社によると、メッツコーラは24日から全国発売。2日で年間販売目標である100万ケースの5割を突破したという。



 メッツコーラは、難消化性デキストリンを配合し、食事の際に脂肪の吸収を抑える、特定保健用食品史上初のコーラ系飲料。糖類はゼロ。健康意識の高い大人層、コーラユーザーのニーズに応える商品と見込んでいる。

【私の論評】これは、前から予想されていたことだが、立派な社会変革だ!!日本の技術力の素晴らしさだ!!

さて、上の記事、脂肪の吸収を抑えるという特保のコーラの史上初ということで、かなりの売れ行きを見せています。しかし、特保というだけで、これだけ売れるとは思われません。そこで、本日は、その背景など探っていきたいと思います。そうして、本日は、コーラのCMの画像を掲載しつつ、掲載させていただきます。ただし、ほとんどがコカ・コーラです。


まずは、なぜこのようなコーラがでてきたのかを知るためには、2004年に放映された「Super Size Me」という映画を忘れるわけにはいきません。これは、当時、あのマクドナルドの食事を日々三食とも、30日間食べ続けるとどうなるのかということに、興味を持った、監督兼被験者:モーガン・スパーロックが、その疑問を疑問ではなく、実際に実行し、実行しただけではなく、その一部始終を記録映画にしてしまったという驚天動地のものです。


記録映画スーパーサイズミーのポスター
■スーパーサイズミーは、驚天動地の映画だった!
さて、私は、このDVDを持っているので、何回か見たことがありますが、まあ、2~3回もみれば、もううんざりというすごい内容でした。YouTubeをみたら、この動画が投稿されていたので、まだご覧になっていないかたは、是非ご覧になってください。上にその動画part1だけ掲載しておきました。続きは、自分で探してご覧になってください。


さて、この映画は、マックを食べ続けて健康を害したという人が、マックを訴訟して勝訴したという事実から、モーガン・スパーロックが興味を持ったことが発端です。それ以前からいわれていたのですが、この映画ができるにおよび、マックが体に悪いという認識がかなり多くの人に広まりました。


そのため、マックもいろいろい対策を打ちました。たとえば、マックを食べたからといって、すぐに体を悪くするということはないが、毎日食べるのではなく、きちんと、日々野菜などを取りなさいというキャンペーンを張っていました。また、マックには、今も、そうして、当時も、コカコーラがありました。ハンバーガーに、コークはつきものということです。そうして、この映画が放映されてから、数ヶ月して、マックは、それまで、日本のコーラのLLサイズよりもはるかに大きな、「スーパーサイズ」というサイズを中止しました。このサイズ、とても大きく、それこそ、バケツのようでした。


このバケツサイズのコーラについて、一ヶ月日々三回飲み続けると、とんでもない砂糖分になることが、この映画の中でも、紹介されていました。そりや、そうです。なにせ、バケツサイズですもの!!


そうして、これらが、きっかけとして、ハンバーガーや、コーラなどかなり体に悪いという認識をかなり多くの人が持つようになりました。当然、売れ行きも落ちました。


■日本でも、コーラーに対する体に悪いという認識は高まった
日本でも、この認識はありましたが、そもそも、スーパーサイズのコーラなど、日本ではもともと、販売されてることはなく、さほどでもなかっのですが、やはり、その後しばらくして、真夏の暑い時期に、甘味清涼飲料水を多量に飲むと、体に良くないことが認識されるようになりました。


清涼飲料水によく使われている果糖ブドウ糖液糖は、とうもろこしなどのでんぷんから作られた液状の糖分です。これは砂糖に比べると、ひじょうに純度の高い糖分で、体内での吸収がとても早いため、摂り過ぎると体にとってさまざまな影響を及ぼします。


吸収の早い糖分をたくさん摂ると急に血糖値が上がります。体は血糖値を下げようと、膵臓から大量のインスリンを分泌します。すると急激に糖分が吸収されたことでインスリンが出過ぎてしまい、今度は血糖値が下がって低血糖症になってしまうのです。


こうなると脳のエネルギーが不足し、イライラしたり、食欲がなくなったり、体がだるくなったりします。さらに低血糖症になると体は糖分を求め、もっと甘いものをほしくなるという悪循環に陥ります。甘い飲み物を飲むとさらにのどが乾くようになるのはそのためです。


一方、体は低血糖では困るので、血糖値を上げるために、アドレナリンというホルモンを分泌します。アドレナリンは攻撃ホルモンといわれ、たくさん分泌されると落ち着きがなくなったり、カッとなりやすくなります。そのため、寝る前に飲むと寝付きにくくなりやすく、不眠の原因にもなります。


こんな認識が日本でも、多くの人々にかなり広まったため、当然日本でも、甘味清涼飲料水全般、その中でも特にコーラ類の売れ行きは、落ちました。


このままにしておけば、コーラ類が売れません。それまでも、ダイエット・コークなどがありましたが、これは、女性に主に飲まれていたもので、男性向けの製品を開発する必要性がでてきたわけです。


そうして、その開発が行われ、アメリカでは、ペプシのネックス、コカコーラのゼロが開発され、2005年に発売されました。


■味が決め手
日本では、2007年に発売され大人気となりました。ネックスにいたっては、日本市場での売上げはペプシコーラそのものを上回るほどの人気でした。さて、その背景にはどのうようなものがあったかといえば、やはり、味でした。





コーラは、この以前からダイエットコーク、ダイエットペプシと、ダイエット系飲料は存在しました。しかし、これら商品はある一定の人気はあるものの、当時大人気となった、ネックスやゼロのような大人気にはなっていませんでした。では、何がこのブレークにつながったかといえば、味です。甘味料の味が当時かなり向上していたことが、まずは、決め手のようです。アメリカで、いわゆる、昔からあるコカコーラ、いまでいうところの、コカコーラ・クラシックを廃止すると発表したところ、全米で大反対運動をがおこったそうです。やはり、長年飲みなれた、味を失うことによる反発でした。しかし、ネックスやゼロでは、新しい甘味料により、味が元のものに近いにもかかわらず、糖質ゼロにすることに成功したのです。


■メタボはブームから定着へ
コーラのみならず、ダイエット系飲料、食品は以前より数多く存在していましたが、先の記録映画などの、影響があり、メタボへの関心が定着し、健康を気にする人が増えたことにより、再度ダイエット系飲料、食品への注目が高まったという構図がありました。ダイエットブームは定期的に繰り返されるものですが、当時は女性のみならず、特に男性の注意も喚起された点がそれまでのダイエットブームと異なりました。こうしたことから、ダイエット飲料、食品のターゲット顧客は拡大していたのです。


■マーケティングの上手さ
その点、当時のネックス、ゼロともに、商品のイメージカラーは黒。男性っぽいイメージを打ち出していました。実際、商品のターゲット顧客としては男性を想定しているということで、この点が既存のダイエット系飲料、食品と大きく異なりました。


また、既存のダイエットコーラをリニューアルする形にしなかったのは、既存のダイエットコーラには一定のファンがついていたのであり、それを離反させないためでした。確かにそれまでのダイエットコーラが女性の間で人気であったのであれば、当時は商品を男性向けにすることにより、商品間での顧客の食い合いも起こさず、市場の拡大につながりました。しかも、今回のカロリーゼロコーラは、男性だけでなく、結果としては女性をも取り込めていたこともあり、メーカーにとってはうれしい誤算だったようです。



■メタボ疲れの反動も
ペプシのネックスの日本での売上げは、本家のペプシコーラをも上回る勢いということで、健康志向が高まるコーラ市場にとっては大きな朗報でした。ただ、そもそも健康志向であれば、カロリーゼロでもコーラは避けて水やお茶にすべきではないか?とも思かたところですが、たまにはスカッと爽やかな飲料も飲みたいというのが人間の欲望ということでしょう。また、メタボ疲れを起こしていることも背景にありました。




それは、アメリカでも同様な傾向がありましたが、日本でも、マクドナルドが当時発売したどでかいバーガー「メガマック」が大ヒットとなったことや、アメリカからやってきたドーナツが大人気という現象からも見て取れましたが、やはりファストフードや間食系の飲食物は潜在的な人気があったということです。いくらメタボに注意と分かっていてもやめられなかったわけです。そんな中登場したネックスとゼロ。見事にそれらのニーズを汲み取っていました。実際、ネックスは日本で開発、発売された商品ということですので、より当時の日本に合った商品を投入できたことが成功の理由だったのだのです。。

■高機能化ペットフードが増加
さて、当時ダイエット飲料、食品はその後も広がることが予想されていましたが、一方で、ペットフードではもう一歩先を行った食品の高機能化がすでに進んでいました。それは、ペットフードの中で、オリゴ糖やビタミンを含むものや関節痛にきく成分の入ったものなど、高齢化したペットに対応したものが多数登場してきていたのです。


その当時から、ペットブームという言葉を聞くようになってから久しかったのですが、犬の平均寿命を考えると確かに高齢化した犬が増えていたという頃でした。


■人間の食事の将来も…
しかし、高齢化社会の本格的到来が目前となってきた当時の日本においては、このペットフードで起きている高機能化の流れが人間の食事にも登場するのではないかと予想されていました。当時はダイエットで盛り上がっていましたが、コーラの中にさまざまな栄養素が投入されて…なんて日が来るとも予想されていました。実際コーラ以外の飲料では、こうしたことが早くから実現されていました。それは、たとえば、サントリーの特保の黒烏龍茶です。これに関しては、あの中国人と思しき人たちが、脂っこい食べ物を食べるーシーンで、「黒、黒!!」と叫びながら、黒烏龍茶を飲むCMで記憶されている方も多いのではないかと思います。


そうして、その当時でも、味の素のアミノ酸、ヤクルトやカルピスの乳酸菌など、食品業界では成分の機能に対する着目が再度高まっていました。デフレ環境下では、価格のみに注目された飲料、食品業界でしたが、次はダイエット、その次は機能性が各社の業績を引っ張っていくと予想されていましたし、実際そのとおりに推移してきました。



このように、コーラそのものに、機能性を持たせるという考えは、結構前からあったのです。それは、時間の問題ともいわれていました。これを世界最初に実現したのが、なんと、キリンベバレッジのキリンメッツコーラだったということです。


■社会を変革する大イノベーションか
新たなコーラのパッケージも、黒色で、やはり、男性をターゲットとしたものなのでしょう。しかし、この開発、2007年頃からこうしたニーズがあってから、今年初めて世にでたということです。しかも、日本から出たということです。やはり、日本の技術力は、すごいですね。おそらく、これには、世界中の飲料大手メーカーがしのぎを削っていたと思います。


これも、確かに社会を変えています。いままでのコーラだと、糖分が多いか、糖分をカットしただけでした。今度の新しいコーラは、それは当たり前のことで、脂肪吸収を遅らせるという確かな効能があるというわけです。とにかく、こうした成分を入れても、味を変えないということが難しかったのではないかと思います。


しかし、世間では、iPhoneや、iPadなどばかりが、イノベーションと考える人も多いですが、これも、人の健康に直接かかわる大イノベーションだと思います。だからこそ、多くの人々が、その価値を認め、上の記事で紹介したような、信じられないような、販売数量を記録することができたのだと思います。さて、世界に先んじて、このようなコーラを販売したキリン・ベバリッジですが、うちの会社の取引先でもあります。今後、どのような製品を開発するのか、目が離せないところです。


それから、先は越されましたが、コカコーラや、ペプシ、サントリーだって、開発すると思います。今後、機能性をめぐって、さまざまな会社、さまざまな開発を行い、さまざまな製品を提供していくと思います。これも、見逃せません。今後、この方面で、また、新たな動きがあれば、このブログでも、とりあげるものとします。よろしくお願いします。



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