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2014年10月18日土曜日

【田中秀臣氏TW】財務省は「人殺し」の機関の別称だといって差し支えない―【私の論評】政治主導を実現するため、財務省殺人マシーンは分割して破壊せよ!日銀殺人マシーンの亡霊を蘇らせないために、日銀法を改正せよ(゚д゚)!

【田中秀臣氏TW】財務省は「人殺し」の機関の別称だといって差し支えない

未来の殺人マシーン、ターミネーター。もっとも財務官僚はこんなに格好良くはないが・・・
【私の論評】政治主導を実現するため、財務省殺人マシーンは分割して破壊せよ!日銀殺人マシーンの亡霊を蘇らせないために、日銀法を改正せよ(゚д゚)!

上のツイート、多くの人々にとっては衝撃的だと思います。しかし、田中秀臣氏はこのくらいショッキングな警鐘を鳴らさない限り、消費税増税は既定路線のごとく実行されてしまうし、増税された後で、自殺者が増えたとしても、責任の所在が明らかにならないと考え、意図して意識してこれらのツイートしたのだと思います。勇気ある発言と思います。多くの人は、心の中でそうは思っても、なかなか口に出して言ったり、ましてやツイートなどできません。

そうして、これは正しいです。このブログでも以前、自殺者の増加について掲載したことが何度かあります。その記事のURLを以下に掲載します。
若年者死因トップは自殺 先進7か国で日本のみ―【私の論評】若者の死因の第一位が自殺になったのは、デフレ退治をしなかったことによる大きな罪ということを理解しない人が多いためますます、悲劇が続く?
自殺者数は、1998年に日本がデフレに突入した途端に、それまで2万人台であったのに、3万人台に増えました。それが、2011年から2万人台に戻っています。この理由は、わかりません。おそらく、あの悲惨な東日本大震災が起きた直後ですから、命の大切さが見直されたり、復興のために公共工事などが増えたことなどが影響しているのかもしれません。

その後2万人台をキープはしていますが、中身をみてみると、かなり悲惨です。その部分とグラフなどこの記事から以下に転載します。
26年版自殺対策白書が3日の閣議で報告された。25年の自殺者は2万7283人。前年の2万6433人より850人増えた。40歳代から60歳代男性が自殺者全体の4割近くを占めたことも家庭の中心的役割を担う年代だけに影響の深刻さがうかがえるものになった。 
また15歳から39歳の各年代の死因のトップをみると、いずれも「自殺」で、白書は「こうした状況は国際的にみても深刻で、15~34歳の若い世代で死因の第1位が自殺となっているのは先進7カ国では日本のみ」とした。また日本では15歳から39歳までの死因トップが自殺になっていた。 
40歳から49歳でも死因トップは悪性新生物によるものではあったが、自殺が2位になっており、50歳から54歳でも自殺が3位に入るなど、自殺対策推進が今後も必要なことが浮き彫りになった。 
自殺者を職業別にみると無職が1万6465人と最も多く、被雇用者・勤め人が7272人、自営業者・家族従事者が2129人、学生や生徒らが918人などになっていた。

昨年は自殺者数は2万人台だったが、97年以前の水準には戻っていない

自殺とデフレ、あるいはデフレ下の増税の相関関係や因果関係が、良く理解できない人もいるようです。実際、この話をある人にすると、「そんなこと絶対に信じません」などという人もいて、驚いたことがあります。

こういう人は、想像力に欠けるのではないかと思います。デフレなどで経済苦が増えれば、当然自殺者が増えるであろうことは、少し考えてみれば、想像に固くありません。

それに、 今こそ橋本龍太郎の謝罪の意味を理解しなければいけないときだと思います。実際に間違ったタイミングと条件で3%から5%への消費税増税をした事により、日銀の金融政策の不味さも手伝って98年からは、自殺者数が増加しました。

日銀は、昨年の4月より、金融緩和に転じましたが、それ以前は、金融引締めを継続し、日本をデフレ・円高不況に陥れました。まさに「この人殺しどもめ」です。しかし、橋本龍太郎氏は後にこの事を悔み自らの失政に謝罪しました。しかし、もう一方の殺人マシーンであったときの、日銀の過去の総裁は誰も謝罪をしていません。そういわれてみれば、当時の大蔵省の官僚も誰も謝罪していません。
故橋本龍太郎氏
しかし、現状では自殺者数が減ったといっても、15~34歳の若い世代で死因の第1位が自殺となっているのは先進7カ国では日本のみであり、深刻さに変わりはありません。しかも、日本はアベノミクスにより経済が回復基調になりましたが、4月からの増税から、消費の落ち込みなどにより、景気が悪化し、また元の振り出しに戻ってしまいました。

にもかかわらず、「殺人マシーン」どもは、さらに再増税しようとしています。財務省の官僚も、増税して景気が悪くなっても、かつての日銀のように、謝罪もしないのでしょう。これを狂気の沙汰と呼ばずして、何をそう呼べば良いというのでしょうか。

財務省の官僚だって、そんなことは重々承知だと思います。しかし、自分たちの都合で増税路線にひた走るのですから、厳密な意味で「殺人マシーン」と言われても致し方ないと思います。

その「殺人マシーン」はさまざまな詭弁を弄して再増税を正当化し諜略しようとしています。以下には、それを論破する内容などを掲載します。なお、ここでは、拙い私の説明を掲載するよりも、他の経済に精通している方の記事を掲載させていただきます。

まずは、経済評論家の上念司氏の記事を掲載させていただきます。
財務省の「ご説明」資料は穴だらけ 国会議員の皆さんお気を付けください!
上念司氏

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、要点のみ掲載させていただきます。
財務省の職員が以下のような資料を携えて、国会議員に「ご説明」して回っているそうです。
大部分は公開資料ですが、とても偏った内容になっています。しかも、以下3つの重要な論点をわざと隠し、誤った情報、現状認識を拡散しています。 
1)国民の大部分が反対している東京新聞:消費税再増税反対72% 「12月の判断先送りを」:経済(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014100502000126.html 
2)アメリカが消費税再増税に反対しているルー米財務長官 消費増税に重大警告 景気低迷に懸念
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20141014/plt1410141531002-n1.htm 
3)8%への増税が想定外の景気の悪化をもたらしている焦点:予想裏切る生産悪化、景気後退リスクで増税シナリオに影
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0HP0G720140930 
さらに、財務省職員は口頭で、「消費税増税を見送ると、金利が1%上昇して利払い負担が年間10兆円も増える」などと恫喝まがいの発言をしているそうです。この発言は明らかにウソです。 
なぜなら、国債残高1000兆円のうち、市場金利の影響を受けるものは新たに発行される借換および新発国債の国債のみです。それ以外の国債についてはすでに売却時の金利で固定されているため、国の利払いは増えません。今年発行された国債は約186兆円なので、仮に来年も同額を発行し1%金利が上がるとしても、その負担は1.86兆円しか増えない計算になります。実に5倍以上水増ししたウソ数字ということになります。 
そもそも、消費税の増税を断念した瞬間に1%金利が絶対に上がるなどと断言すること自体が間抜けです。内閣参与の本田悦朗氏が9月下旬に欧米70社の機関投資家と議論しましたが、日本国債の信任に疑いをかける投資家は皆無であったと証言しています。そもそも、自国通貨建ての公的債務は論理的にデフォルトできません。詳しくは拙書『「アベノミクス亡国論」のウソ(イーストプレス)』 をお読みください。
8%増税の直後から今に至るまで、景気が悪化しており、国民の大部分が反対し、アメリカの財務長官も反対する再増税に、殺人マシーンは邁進しています。

こうした殺人マシーンに対して、学者の中に、これを支援する人間もいるというのですから、驚きです。それに関しては、以下に田村秀男氏の記事を掲載します。
[田村秀男]<御用学者の罪>今年4月から消費税増税でも経済は大丈夫と主張し、財務官僚のお先棒を担ぎ続ける面々
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に田村氏が御用学者の罪について、糾弾している部分を中心にコピペさせていただきます。

産経新聞社特別記者・編集委員兼論説委員 田村秀男氏
当時(昨年8月末に、「有識者」たちによる消費税増税の是非を問う政府の「集中点検会合」が開かれた時)の報道によると、浜田宏一・エール大学名誉教授、本田悦郎・静岡県立大学教授、宍戸駿太郎・筑波大学名誉教授、片岡剛士・三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員が、景気への悪影響やデフレ圧力の高まりを懸念して増税に慎重、または反対論を唱えた。 
ロイター通信によれば、これに対し、伊藤隆敏・東京大学教授は消費増税に伴う景気の落ち込みは「軽微」とし、「増税とデフレ脱却は両立する」と反論。「消費増税に伴う景気後退リスクと、見送りによって財政の信認を損なうリスクを天秤にかければ、後者が重い」(武田洋子・三菱総合研究所チーフエコノミスト)、「政府は少しでも先送りしていると思われることをすべきでない」(吉川洋・東京大学教授)などと、景気よりも「市場の信認」を優先して予定通りの増税を主張した。増税=税の増収=財政再建という論理である。 
本田悦朗教授は財政再建や市場の信認のためには「消費増税よりも、名目国内総生産(GDP)を上げることが重要だ」と正論を述べた。税収が経済成長率の3、4倍で伸びる「弾性値」を重視したわけだが、土居丈朗・慶大教授が弾性値は1.1%程度という財務官僚の側に立って反論した。実際の弾性値は2007年当時の内閣府の試算でも4%以上という分析があるし、2013年度までの数年間の実績値も3〜4%と出ている。
では、増税に伴う景気への影響はどうか。グラフにある通り、4月以降の勤労者の家計の消費支出は前年同期に比べて5月まで激減、6月に少し持ち直したかのように見えるが、実収入は大幅に減ったままだし、7月以降もマイナスの水準が続くのは確実だ。増税後の落ち込みは「想定内」で、夏場以降に消費は持ち直すという御用学者や日経新聞の楽観論が実現するのはもはや奇跡に近い。
クリックすると拡大します
先行きに強気だった企業の在庫はすでに増え始めている。生産は今後減り、雇用にも悪影響が出てこよう。景気の悪化は消費税以外の所得税や法人税などの税収を大きく減らすので、消費税の増収分は帳消しになるどころか、財政収支悪化につながるという、1997年度増税後の二の舞いになりかねない。
アベノミクスが効力を失ったとなれば、市場の信頼どころではなくなる。御用学者たちよ、いやしくも政府予算を通じて納税者から研究資金の提供を受けている研究者として、少しは恥を知ったらどうかね。
多くの政治家が、殺人マシーンに諜略されています。財界人もしかりです。経団連会長が、10パーセント増税やむなしと発表したのには驚愕しました。

どう考えても、増税は財界にとっても良いことはないはずなのに、この有り様です。彼らも大部分が、殺人マシーンに諜略されているのです。

これに関しては、象徴的な出来事があります。その記事のURLを以下に掲載します。
トヨタが東大で力説、「僕らを助けて下さい」 | 自動車 | 東洋経済オンライン
詳細は、この記事をご覧下いただくものとして、以下に要点のみ掲載させていただきます。

トヨタ自動車のレクサスインターナショルプレジデントが東大で講義を行った
今に始まったことではないが、自動車メーカーは若者のクルマ離れに対して年々危機感を強めている。業界団体の日本自動車工業会の調査でも、大学生の興味や関心の順位は、音楽やアニメ、ゲームなど個人で楽しむコンテンツが上位に来ており、自動車の順位は年々下がっている。調査は2008年のものだが、スマートフォンが人気を集める昨今、この傾向はさらに強まっていると見られる。 
2014年4月、国内乗用車メーカー8社と一般財団法人自動車研究所は、共同でエンジンの基礎研究に取り組む組織(AICE)を立ち上げた。本田技術研究所の常務執行役員でAICEの理事長を務める大津啓司氏は、「大学を中心とする基礎研究の立ち後れや、若手人材の不足が深刻になっており、日本ではエンジン開発の基盤が弱体化している」と危機感を述べている(関連記事「今やらないと、日本のクルマは負ける」)。乗り手としての若者のクルマ離れだけでなく、研究者の人材不足という問題も業界には横たわる。 
こうした中、日本自動車工業会では昨年から「大学キャンパス出張授業」を始めている。各メーカーのトップマネジメントが大学を訪れ、学生にクルマやモノ作りの魅力を伝えるのがその目的だ。今年もトヨタがトップバッターとなり、10月9日に東京大学で授業を行った。
こんなことを実施しても何にもならないです。車が以前よりも売れず、若者が車を買わなくなった真の原因はデフレだからです。一体日本の自動車業界は何を考えているのでしょうか。理解できません。

このニュースは、NewsPicsというサイトに掲載されていました。このサイトでは、記事にコメントができるようになっていて、コメントは、twitterやfacebookに配信されるようになっています。だから、このサイトには時々コメントするのですが、私は上の記事に対して、以下のようなコメントをしました。
若者が車を買わなくなったのは、長期にわたるデフレのためであることは、はっきりしています。緩やかなインフレに転じて、数年たてば若者も車を購入するようになります。東大は国立大学ですが、学費は昔と比較するとかなり高くなりました。大学・大学院まで行くと、数百万円もの奨学金による借金を抱えている若者もいます。 
この状況では、車は売れません。アメリカのビッグスリーなら、もしデフレ状況に陥れば、デフレを回避せよと大合唱になると思います。ビッグスリーなど、自分の車が売れなくなると、すぐに政府に対して非難を開始します。時々、自分の車を売るために、そこまでエゲツなくやるのかというくらいまで、彼らは政府にイチャモンをつけます。 
振り返ってみると、日本では、経団連の会長が、10パーセント増税やむなしなどと発表したりします。一体どうなっているのかと思います。 
日本の大企業も、自分たちのために、ビッグスリーの半分でも良いので、政府に対して、要求をつきつけるようなことをしては、いかがでしょうか。
以上のようなことをみてもわかるとおり、財界もかなり殺人マシーンに諜略(相手を味方、あるいは中立者にするための働きかけ)されているのです。

殺人マシーンは、官僚、学会、財界、マスコミもかなり諜略しています。このままでは、財務省は完璧に殺人マシーンとして稼動して経済がかなり落ち込んでも責任が問われることすらなくなります。

日銀も今のままでは、いつ殺人マシーンに返り咲くかわかりません。

増税阻止できれば、一番良いですが、仮に増税してしまった場合でも、殺人マシーンの責任の所在は明らかにすべきです。

私は、殺人マシーン財務省の息の根を止めるためには、財務省を分割すべきと思います。大企業では、経理と財務が分割されているように、予算案を作成したり、帳票を作成する経理部門と、財務を実行し、証憑を作成する財務部門のように2つに分けてしまうです。

そうでないと、財務経理が一部署であれば、内部牽制ができなくなるように、今の財務省は内部牽制ができな上に、殺人マシーンと化してしまっているのです。

日銀も過去においては、殺人マシーンでした。なぜ、殺人マシーンに変身したかといえば、日銀法の改正によって、誤った認識に基づいた、日銀の独立性が確保されてしまったからです。

世界基準のごくあたり前のど真ん中の、中央銀行の独立性とは、国の金融政策の方針は、あくまで国が定めて、その方針に従って、中央銀行はそれを実行する際の手法を他に干渉されることなく、自由に選択できるというものです。

しかし、日本では、日銀法の改悪によって、日本国の金融政策を日銀が定めることになっています。もっと厳密にいうと、日銀の政策決定委員会によって定められるようになっています。

これは、本当に本末転倒です。日本政府の下部機関のそのまた、委員会が日本国の金融政策そのものを決定してしまうというのは、異常です。やはり、国民の信託を受けた政治家が中心となった、政府によって行うべきものです。

だから、日銀法は改正し、世界標準の独立性に戻すべきです。

いずれにしても、財務省殺人マシーンは、いずれ分割して破壊すべきですし。日銀殺人マシーンの亡霊が蘇らないように、日銀法を改正すべきです。

そうしてこれが、政治主導の本筋だと思います。民主党が実施していたような、官僚に頼らないなどというのは、政治主導ではありません。これは、政治家が官僚の仕事を取り上げて、自分でしてるようなもので、会社にたとえば、役員が社員の仕事をとりあげて、仕事をして、役員の本筋の仕事を全くやらず、会社を危機に陥れているのと同じでした。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【追記】

このブログに掲載したように、財務省は分割したほうが良いとツイートしたところ、田中秀臣氏から以下のようなコメントがあったので、追記させていただきます。
なるほど、さすがに財務省官僚は頭が良いですから、単なる分割は植民地拡大に帰するだけになってしまうとういことです。同じ分割するにしても、ここまで徹底すれば、殺人マシーンを徹底的に破壊できるということです。

全く、殺人マシーンには油断なりません。


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第2章の最後の方で、相関関係に留まらず因果関係「失業が自殺を生みだした」の分析がなされています。


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2013年10月2日水曜日

【日本の解き方】景気悪化なら政権運営に打撃 政治判断となった消費税増税―【私の論評】景気が悪ければ、積極財政と金融緩和をすべきという、当たり前の「べき論」が通る世の中にするためには、まずは安倍長期政権による政治主導を勝ち取るしかない!

【日本の解き方】景気悪化なら政権運営に打撃 政治判断となった消費税増税

October 1, 2013

高橋洋一氏

 消費税増税については以前の本コラムで、「最終的には政局にするかどうかという政治判断だ」と書いた。事ここに至ると、経済分析をして「べき論」を唱えるよりも、それを政治的に実行できるかどうかの方が重要なのだ。

 消費税増税を止めるためには、増税凍結法案などを国会で成立させなければいけない。今はねじれがないので、法案を成立させるためには、自民党内の多数をとる必要がある。その確証なしで政局にするのは、政権の自殺行為になる。下手に仕掛けると、場合によっては「安倍降ろし」の動きも出てくる。

 消費税増税の見返りにバラマキ経済対策を行うという話になった。野党時代に干上がっていた自民党の議員は水を求める動物の群れのようなもので、もはやその動きは止まらない。

 筆者は「べき論」からは消費税増税に反対する立場は変わらないが、「だろう論」として第3者の目から見れば消費税増税の勢いを止めるのは難しいと思っている。

 増税すると経済悪化になるのは、緊縮財政になるからだ。マクロ的にみれば、民間から吸い上げた税収分をそのまま政府支出に回せば、需給ギャップの悪化は最小限度に抑えられ、景気への悪影響は短期的には避けられる。この意味で、先日のコラムに書いたように、今検討されている5兆円の景気対策では全く不十分である。

 また、この景気対策では、即効性を求めて財政政策だけが議論されているが、景気の悪化を防ぐという意味では金融政策の拡充も考えていい。ただ、金融政策の効果は2年程度たたないと発揮されないことを考えると、少なくとも来年度は財政でも下支えが必要である。

政治家が景気を落ち込ませないためにやるべきことは多くある。

 それでも景気が落ち込んだら、政治家はどのように責任をとるかというと、最終的には選挙である。景気が悪くなると、それまで表面化しなかった諸々の問題が顕在化して、政権運営には大きなダメージになる。

 景気がよければ、多少の政治家のスキャンダルも国民の批判を浴びないが、 歴代の首相経験者は、経済がよければ政権運営は難しくないが、悪くなると大変だと述懐している。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

以上要約です。この記事の詳細はこちらから!

【私の論評】景気が悪ければ、積極財政と金融緩和をすべきという、当たり前の「べき論」が通る世の中にするためには、まずは安倍長期政権による政治主導を勝ち取るしかない!

上の記事昨日のものなのですが、増税の背景を皆さまに知っていただくという意味合いで、掲載しました。さすが、高橋洋一氏です、良くまとまっています。

この記事をご覧いただければ、安倍総理の増税への苦渋の決断を理解していただけるものと思います。増税は、結局経済問題ではなく、政局の問題になっていたのです。そうして、経済分析をして「べき論」を唱えることよりも、それを政治的に実行できるかどうかの方が重要になっていたのです。



消費税増税見送りを決めるためには、自民党内が見送り派が大多数になっている必要があったのです。私も、高橋洋一氏と同じく、「べき論」からは消費税増税に反対する立場は変わりませんが、「だろう論」として第3者の目から見れば消費税増税の勢いを止めるのは難しかったと考えます。

昨日のブログにも掲載したように、日本の政治風土は、まだまだ政治主導ではなく官僚主導であることと、多くの政治家が、全世界的な緊縮レジームの罠と、日本の官僚主導の罠に嵌って、増税やむなしとしてしまっていました。しかも、安部総理の膝下の自民党のほんど全員がそうでした。

これを無理やり増税見送りということにすれば、確かに増税するしないは総理の胸先三寸で、決定できるのですが、その後の党運営を考えた場合、非常に難しいし、それに安部長期政権は難しいとの判断だったと思います。

だから、ここは、一つ一歩後退でも、将来のことを考えてやむなく、増税に踏み切ったと考えます。結局、消費税増税を見送れば、多くの国民からの圧倒的支持は増えるものの、残念ながら、党内では離反者が増えることになるため、これを両天秤にかけ、特に直近の政局を考えた場合、増税の判断となったものと思います。私としても、理想はともかく、実情を考えると、やむなしということだったと思います。

まだまだ、安倍総理は、自民党を完璧には掌握しきれていないのです。しかし、これも、いずれ掌握でき、長期政権になったとき、財政政策、金融政策ともに、「べき論」による理想の政策ができる時代がやってくると信じたいです。


おそらく、安倍総理以外の人ではこれは全く無理だと思います。今回の増税論議を見ていて、これは本当に良くわかりました。自民党の多くは、完璧なマクロ経済音痴です。これは、民主党もひどかったですが、自民党も変わらないといことが良くわかりました。

これをまともにするには、何が何でも安倍政権を長期政権にして、実際にまともなマクロ経済対策をやってみせて、日本がとてつもない経済大国に返り咲くところを見せつけないと、いつまでもまともにはならないです。

増税反対派だって、そのほとんどが、永遠に増税するなといっていたわけではありません。増税反対派ても、かつての何が何でも増税そのものには反対というわけのわからない反対派ではなく、まともな反対派であれば、不景気、デフレであれば、積極財政と、金融緩和を、かなりの好景気、たちの悪いインフレの場合は、緊縮財政と、金融引締めを実施するという、ごく当たり前の政策ができる日本になってほしいと考えているだけです。

この当たり前のことを実現できるような人が、安倍総理をおいて他にいるかと見回してみれば、現在では、自民党内の人間も、それ以外の人間でも全く無理です。たとえば、橋下大阪市長などマクロ経済音痴の度合いが酷すぎて、永遠に無理だと思います。

マクロ経済的見方というのは、やはりセンスなのでしょうか?私は、正直に言わせていただくと、安倍総理も第一次安部内閣のときには、あまりわかっていなかったように思います。しかし、一次内閣が崩壊した後、徹底的に内省されて、何が間違いであったのか、特に経済対策では何が間違いであったのかを真摯に学ばれたのだと思います。その結果として、マクロ経済的見方やセンスを養われたのだと思います。それから、無論のこと、日本の安全保障についても考えられたと思います。

やはり、現状では、安倍政権を長期政権として、その長期政権の中で、日本をまともにしていく他ないと思います。まともになれば、現状のようなデフレ下で増税するなどというとんでもないことしないようになり、増税どころか、減税をするようになると思います。その時には、無論官僚主導が終焉して、当たり前の政治主導が日本にも根付いてなければなりません。

ここは、日本の将来のことを考えた場合、いっときは後退したように見えても、安倍総理が増税を決めたとしても、将来日本がまともになるための一時の後退と考えようではありませんか?増税したらから、安部は駄目などとすぐに諦めるような人は、結局他力本願であり、「べき論」の呪縛から永遠に決別できないと思います。私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年9月18日水曜日

消費増税は財務官僚の安倍おろしの陰謀だ!―【私の論評】増税戦争は官僚主導から政治主導への聖戦の最大の戦いだ、総員命がけで闘え!

消費増税は財務官僚の安倍おろしの陰謀だ!



チャンネル桜 主催:緊急国民行動 ― 消費増税反対!TPP反対!
衆議院第二議員会館前よりhttp://www.ch-sakura.jp/events.html


【私の論評】増税戦争は官僚主導から政治主導への聖戦の最大の戦いだ、反増税派は、総員命がけで闘え(゚д゚)!

ミス富士山に囲まれてにこやかな表情の安倍総理
最近マスコミや、増税派政治家および識者といわれる人々の憶測が酷すぎです。まるで、安部総理が「増税する決心をした」かのような、発言が目立ちます。しかし、安部総理自身はいままで、「増税」発言ををしたことはありません。ただ、「10月に私の判断で決める」と発言しているだけで、増税とも増税見送りとも全く発言していません。

本日は、闘いがテーマなので、セクシーな剣闘士の写真とともに掲載させていただきます。


これに対して、反増税派は、「安部総理が増税見送りを決定した」などという発言は誰もしていません。本来は、こちらの姿勢が正しいはずです。

なのに、増税派は増税が既定路線であるかのような発言を繰り返しています。しかし、これは全くの誤りです。民自公の増税三党合意でも、あくまで、今年秋の時点での政権が来年4月からの増税を決定してから増税するとしています。

増税派は、国語力が弱いのか、この決定の意味を正確に受け取れていないようです。増税派であろうが、反増税派であろうが、安部総理が意思決定すべき事柄につき、参考意見などを言うのはかまいませんが、あたかも安部総理自身が「意思決定」したかのような発言をしたり、論評するのは非常に問題です。

そうして、これは経済や政治の問題というより、道徳の問題、常識の問題です。企業で、社長が意思決定すべき事柄について、本社の社長以外の取締役やスタッフなどが外部に向かって「社長はこのように意思決定した」などと言えば、とんでもないことになります。ましてや、マスコミが「○○会社の社長はこのように意思決定した」などと報道すれば、これもとんでもないことになります。

そのようなことをした会社の人間は、解任・解雇されても仕方ないですし、そのようなことをしたマスコミは名誉毀損で訴えられ負けるのが必定です。

このこと、一つとっても、そもそも増税派にはかなり問題があることが理解できます。自分がそうなって欲しいからといって、他の人があたかも自分の意に沿った考えをしているかのような発言をするというのは、本当に初歩的な嘘です。そんなことは、すぐバレバレになるので、まともな大人なら誰もしません。子供なら、それが判った段階で、親や学校の先生に激しく叱責されることになります。

しかし、こんな初歩的なことを政治家や、いわゆる識者といわれる人々、マスコミだってわからないはずはありません。

ではなぜこのようなことが横行するのでしょうか。それは、上の動画で語っているように、裏に財務官僚の陰謀それも財務官僚の陰謀があるからです。そうして、もう一つ付け加えると、今の日本は政治主導ではなく、官僚主導であるからです。

敵は財務省にあり(゚д゚)! 木下財務次官を打て(゚д゚)!
本来日本の重要な針路に関しては、政治主導によって実行していくべきものを、現実には官僚主導になっているからです。本来、重要な進路は、選挙で選ばれた政治家が実行すべきところ、様々な手法を駆使して、かなりの部分を官僚が決定しているからです。その中でも、お金に関する部分が最も影響力が強いです。政治家が何を決定しようとも、結局先立つものである予算がなければ、何もできません。

だから、お金の部分を握っている財務省が官僚の中でも実質上の日本の官僚機構のトップのようなもので、この財務省が現在のところ増税を推進する立場を貫いてるため、官僚主導の日本においては、安倍総理や安倍派の政治家など抜きにして、官僚やそれに追随する政治家やマスコミなど大規模な増税推進キャンペーンができるという構図になっているのです。全くおかしなことです。

上の動画では、倉山氏はこれを財務省の陰謀だと語っていましたが、確かにそうなのですが、これは構造的なものです。この構造を崩さなければ、政治主導は永遠に成就しません。そうして、今までたとえば、民主党なども政治主導をキャッチコピーとして、事業仕分けなどをしましたが、結局何の効力もなく、そのため帰って、官僚どもを増長させしまったのです。

戦士たちよ聖戦に集え(゚д゚)!


そうして、安倍総理は四面楚歌の中、この官僚主導と真正面から戦いを挑んでいるのです。そうして、この戦いは政治主導を勝ち取るという聖戦でもあります。良く「戦争は、どちらが勝って良いも悪いもない。両方が悪いのだ。だから聖戦などあり得ない」ということが言われます。しかし、政治とは、選挙によって本来国民の信託を受けた政治家が中心となって行うものであり、官僚主導などあり得ません。官僚はあくまで、政治家を補佐すべきものです。だからこそ、これは聖戦なのです。

会社で、財務や経理のスタッフが取締役よりも権限が強いなどということはあり得ません。しかし、日本のこと政治でそれが当たり前のようになっています。この異常状態に真正面から取り組んでいるが安倍総理です。


今回の戦いは、増税見送りとなれば、安倍首相の勝ちであり、政治主導への一里塚となります。増税決まりということになれば、安倍首相の負けであり、政治主導は進まず、官僚主導が現状のまま温存されることになります。ただし、後退ということにはなりません。

実は、官僚側は、すでに負けています。それは、日銀人事です。官僚側は、ありとあらゆる手を駆使したのですが、結局白川総裁は、任期が来る前に辞めました。そうして、黒田日銀体制ができあがりました。これは、明らかに日銀官僚の大敗北です。



これで、増税見送りということにでもなれば、官僚側は完璧に安倍総理に屈服したことになり、官僚主導はかなり後退することなります。だからこそ、今回は負けじと総力を結集して、ありとあらゆる手を使って増税推進キャンペーンを大々的に行っているわけです。

だから、いかに安倍総理とはいえ、官僚の厚い壁によって、この戦に負けることもあり得るわけです。しかし、負けたからといって、安倍総理を非難するようなことをすれば、それは、官僚側の思う壺です。

現状で、官僚の陰謀を阻み、日本で本当の意味で政治主導を勝ち取ることができるのは、今や日本では、安倍総理のみです。たとえ、増税になっても、安倍内閣を破綻させることなどあってはなりません。安倍内閣が破綻すれば、日本で政治主導が実現する見込みは、かなり後退します。

増税になっても、それは一時安倍総理側が負けたというだけのことです。その後、安倍政権が長期政権になれば、いくらでも巻き返しは可能です。


現在のイギリスのように付加価値税を大幅増税して、その後若者雇用が悪化したため、イギリスの中央銀行であるイングランド銀行が大規模な金融緩和をしましたが、未だ景気は良くなっておらず税収は減り、本来赤字財政をなくすために実施した付加価値税の増税は、大失敗だったことが明らかになっています。

そうして、無論のことですが、日本が増税すれば、現在のイギリスと同じょうな状況になります。増税すれば、またぞろ景気は後退します。そうして、多くの国民を塗炭の苦しみに追いやることなります。

そんなときに、安倍総理は、大幅減税を錦の御旗にたてて、総選挙に挑むなどということも考えられます。そうして、大勝すれば、官僚は完璧に敗北です。

それにしても、今回増税すれば、一時景気が落ち込むのは、目に見えています。そんな馬鹿な真似はまったくする必要がありません。そもそも、増税すると景気が落ち込むので、追加経済対策をするなどということが言われていますが、そんなことなどもともと、増税しなければする必要もないわけです。

これは、車の運転を考えてみても理解できることです。一方で、ブレーキを踏み速度を落とし、もう一方では速度が落ちたので、アクセルを踏み込むというのでは、まったくちぐはぐでおかしいです。普通に運転すれば良いことです。

それにしても、安倍総理は、増税推進の大キャンペーンの中、最後の最後まで、増税見送りの策を実施しつつ、懸命に戦っておられるのだと思います。


増税戦争は官僚主導から政治主導への聖戦の最大の戦いです。今回は、増税を見送ったほうが良いに決まっています。反増税派は、持てる力をすべて発揮して、総員命がけで闘う時だと思います。できることは全部するべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年9月5日木曜日

消費税増税に7割が賛成 結論見え見えの有識者会議の意味 - 高橋洋一の俗論を撃つ!―【私の論評】確かに、これだけ増税賛成派ばかりだと作為的である。最終的には安倍総理はこれを吹き飛ばし、官僚を震撼させ覚醒のための大ショックを与え政治主導を勝ち取る腹か?

消費税増税に7割が賛成 結論見え見えの有識者会議の意味 - 高橋洋一の俗論を撃つ!


以下に、要約を掲載します。

消費税増税に関し、8月26日から31日まで60人の有識者から「集中点検会合」として政府は意見を聞いた。7割超は消費税増税に賛成・積極的であった。一方、各種の世論調査では、消費税増税に反対・消極的な人が半数を超えている。

本来であれば、消費税増税は総選挙のテーマとして国民の信を問わなければいけないテーマである。その代わりに有識者会議を設けて議論するというのだから、世論を代表する形で禍根を残さないようにしっかりした透明性の高い議論が必要だ。

有識者のメンバーでやや疑問であった人も含まれていた。浜田宏一・エール大学名誉教授と本田悦郎・静岡県立大学教授の内閣参与がメンバーであったことだ。彼らは経済政策の専門家として首相が判断する時にアドバイスをするのが仕事だ。彼らはアベノミクスを推進する立場から、消費税増税に消極的な立場である。その意見はすでに政府に届いているはずだが、それを一人の有識者の立場にして、再び政府が聞くというのは理解できない。

こうした結論が見えるメンバーにして意見を聞いて増税やむなしという決定をするとすれば、まさしく官僚主導そのものになる。政治主導という安倍政権の手法として、あまりに事務方のお膳立ては度が過ぎた。7割超の増税賛成・積極派の意見に従って、安倍首相がすぐに「増税やむなし」と言ったら、民主党の野田首相のように、官僚のいいなりといわれてしまう。事務方の過度のお膳立ては、最終決断を下す政治家にとっては面白くないはずだ。

税を経済政策として使う鉄則は、景気の悪い時には減税、景気が過熱しているときには冷や水をかけるように増税、それ以外であれば、何もしないというものだ。

8月12日に発表された2013年4~6月期GDPの一次速報は実質GDP成長率(年率換算)で2.6%とまずまずだったが、雇用、生産は順調、デフレ脱却は今一歩となっている。これらをみれば、景気はよくなりつつあるが、過熱という状況ではない。したがって、増税をスキップというのが正しい。

有識者会議で出ていた「増税すると景気が心配」という意見は、財務省にとって思う壺である。というのは、すでに税収の上振れが数兆円単位であることがわかっているので、それを財源として補正予算の話も出ている。さらに、今回の消費税増税法でも、附則18条2項では、「成長戦略並びに事前防災及び減災等」にカネを回せる。この条項は、自民党が修正させたものだ。これらをみれば、今回の消費税増税分は、すべてバラマキのために使って、景気の落ち込みを防ぐというのは、政府の既定路線である。

しかし、マクロでは税金を集めて政府がすべて配れば景気の影響はなくなるはずだが、政府がカネを民間から吸い上げて政府が配るという「まともでない」方法だ。具体的にいえば、消費税増税を負担する一般庶民が泣いて、減税や公共支出で潤う既得権者が得をするという、アンフェアなものだ。こうしたことをやると、結局、経済成長はできなくなる。

有識者会議では、増税以外の代替案がほとんど出なかったのは情けない。筆者は、歳入庁創設によって、税・社会保険料の徴収漏れ10兆円の増収、消費税インボイス導入(筆者注:脱税がしにくい仕組み)で3兆円の増収が可能だと、これまで再三述べてきた(2012年6月14日付け本コラム参照)。このコラムはアベノミクスの登場以前に書かれたが、ほとんどの部分は今でも妥当する。

こうした措置は、世界標準の社会保障政策や税制変更するための社会インフラというべきものだ。世界ではどのような立場に立っても合理的なので、ほとんど先進国で導入されている。これらを導入すれば、消費税増税が不要になるばかりか、社会的な不公平をなくすこともできる。

今回の有識者会議では、1%ずつ消費税税率を上げて景気に配慮するという案もあった。1%の引き上げというのは、欧州で行われているが、それが可能なのは、欧州ではインボイスが導入されていて、税転嫁が容易だからだ。だから、1%ずつの引き上げの前に、インボイスの導入をいわなければいけなかった。なお、世界の消費税でインボイスが導入されていないのは日本だけである。

このような有識者会議の結論なら、安倍首相が蹴散らしてもいいだろう。そのほうが、官僚主導で騙されたフリをして、最後でどんでん返しをするので、安倍首相らしい政治主導を演出できるというものだ。

この記事の詳細は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】確かにこれだけ増税賛成派ばかりだと作為的である。最終的には安倍総理はこれを吹き飛ばし、官僚を震撼させ覚醒のための大ショックを与え政治主導を勝ち取る腹か?

上の高橋洋一氏の記事、全くまともであり、非の付け所がありません。いつもながらの、まともな論考です。

そうして、一番気になったところは、最後の結論です。
このような有識者会議の結論なら、安倍首相が蹴散らしてもいいだろう。そのほうが、官僚主導で騙されたフリをして、最後でどんでん返しをするので、安倍首相らしい政治主導を演出できるというものだ。
私も、この結論は多いにありそうだと思っています。まずは、有識者会議のヒアリングやマスコミの論調に関しては、このブログでもいくつか紹介したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
日経世論調査 消費増税「7割容認」本当なの? 複数の質問で独特の計算法 ―【私の論評】とにかく酷い増税推進派のズタボロ論拠!ポエムは、無視すべし!これでガス抜き完了後は安倍総理は増税延期まっしぐら(゚д゚)!
この記事では、日経新聞の消費税容認派が7割という、とんでもな世論誘導に関して掲載しました。良く見ると、日経新聞の調査では、増税容認派は少数派です。何をもって、増税容認派を定義するかで、随分印象が変わります。私は、デフレの時期に増税するのは、絶対に反対ですが、デフレから脱却して、インフレが亢進したときには、逆に増税すべきと思っています。

ただし、来年の4月時点ではどう考えてみても、デフレから回復していないだろうし、ましてやインフレが亢進しているということも考えにくいので、絶対反対という立場です。しかし、この記事で掲載した日経新聞のアンケートの取り方だと、へたをすると私ですら増税容認派になってしまいます。とんでもないです。

それから、経済評論家の上念司氏のツイートを掲載して、実は有識者の増税に関する、ヒアリングの資料に関して、ほとんどエビデンスとかまともな論考に欠けているので、ほとんどポエムだと揶揄しました。

それから、他の記事では、最近のテレヒなども、理詰めではなく、情感に打ったえるポエムのようになってきていることを掲載しました。その記事のURLを以下に掲載します。
消費税増税反対の浜田参与 財務省の説得工作の前に完オチか―【私の論評】増税派の焦りがでてきた!まともな論理なし、論理を展開すれば負けることが明らかに!残された手段はポエムと色仕掛けしかない(゚д゚)!
この記事では、増税推進派は、旗色が悪いとみえて、ごく最近では、ジャーナリストの須田慎一郎氏まで動員していますが、須田氏の論考は、伝聞と憶測のみであり、これもポエムの領域を超えていないことを掲載し、とにかく増税推進派は、まともな論考では、木っ端微塵に粉砕されしまうので、情感に訴える戦略に出ていることを掲載しました。

最近のテレビではほとんどが、まるで増税推進派が優勢であるかのような扱いですが、テレビタックルでは、見ている限りでは、推進派と反対派が拮抗しているようにみえました。テレビではこんなものですが、ネットの世界では、圧倒的に増税反対派が優勢です。

増税推進派が何かコメントするにしても、理詰めでたとえば、ついこの間まで増税しないと「ハイパーインフレ」になるという論は、さすがに影を潜めましたが、増税は国際公約とか、増税しない国債が暴落するなどの論も、これをコメとしたりツイートしても、増税反対派から理詰めでコテンパンにやつけられるという状況になっています。

だからこそ、最近の増税推進派は、論理ではなく、ポエムで情感に訴えるようになってきています。

このような状況、Facebookや、Twitterを活用している安倍総理大臣が知らないはずはありません。しかし、有識者会議の内容などに対して、何のコメントもなく、ひたすら、10月の最新指標を見てから決めるということを繰り返しています。

もう、安倍総理としては、財務省や、裏切り者の内閣府のいうことなど聴いてまともに論議しても仕方ないということで、言いたいことを言わせて、その直後にこれらをすべて吹き飛ばし、官僚どもの震撼させて、増税推進派どもに、覚醒の大ショックを与え、大混乱させ、これから先はまともな政治主導で政治が進むことを強烈に知らしめることを目論でいると結論づけても良いのではないかと思います。

増税推進派の官僚どもは、今までも官僚主導でやってきたので、これからもそうできるものとをたかをくくっていナます。こういう連中と、コミュニケーションを交わすには、ありきたりの方法では無理です。相当なことをしないと無理です。

ノミニケーションだけがコミュニケーションではない
これは、ドラッカーのコミュニケーションに関する、有名な論考を考えても良く理解できることです。
「上司の言動、些細な言葉じり、癖や習慣までが、計算され意図されたものと受け取られる」(『エッセンシャル・マネジメント』)  
階層ごとに、ものの見方があって当然である。さもなければ仕事は行なわれない。だが、階層ごとにものの見方があまりに違うため、同じことを話していても気づかないことや、逆に反対のことを話していながら、同じことを話していると錯覚することがあまりに多い。  
コミュニケーションを成立させるのは受け手である。コミュニケーションの内容を発する者ではない。彼は発するだけである。聞く者がいなければコミュニケーションは成立しない。  
ドラッカーは「大工と話すときは、大工の言葉を使え」とのソクラテスの言葉を引用する。コミュニケーションは受け手の言葉を使わなければ成立しない。受け手の経験に基づいた言葉を使わなければならない。  
コミュニケーションを成立させるには受け手が何を見ているかを知らなければならない。その原因を知らなければならない。  
人の心は期待していないものを知覚することに抵抗し、期待しているものを知覚できないことに抵抗する。コミュニケーションの発する側が、何かを話したとしても、受け取る側は、自ら既知の枠組みの中に、あてはめて受取り、既知のものとして受け取ってしまう。  
 「受け手が期待しているものを知ることなく、コミュニケーションを行うことはできない。期待を知って初めてその期待を利用できる。あるいはまた、受け手の期待を破壊し、予期せぬことが起こりつつあることを認めさせるための覚醒のための大ショックの必要を知る」(『エッセンシャル・マネジメント』)
安倍総理の言動・行動は、官僚にとっては、些細な言葉じり、癖や習慣までが、計算され意図されたものと受け取られるわけです。安倍総理と、官僚とでは、同じことを話していても気づかないことや、逆に反対のことを話していながら、同じことを話していると錯覚するのです。だから、安倍総理は、官僚の期待を知るために、有識者会議を開催し、増税に関する役人の期待を隅々まで知ろうとしたのです。これによって、安倍総理は役人が期待していることを知り、その期待を利用しようとしているのだと思います。そうして、最終的には、官僚の期待を破壊は、予期せぬこが起こりつつあることを認めさせるだめの覚醒の大ショック必要をみとめ、それを実行しようとしているだと思いす。

本当の意味でのコミュニケーショは本当難しい
安倍総理、とにかく官僚は一筋縄ではいかないので、そうした配慮をし、いずれ増税延期で、官僚に覚醒のための大ショックを与え、以後の政治主導をやりやすいように、準備しているのだと思いす。

そうして、ドラッカーはコミニケーションの大原則に関して、最後に以下のようなことを語っています。

コミュニケーションとは、私たちの中の一人から、私たちのもう一方に伝わるものであって、私から、あなたへ、あなたから私へと一方的に伝わるものではありません。このためには、コミュニケーションを交わさなければならない人々と、普段から「私たち」という関係を構築しておかなければならないということです。覚醒のためのショックを与えたとしても、それだけでは、コミュニケーションはなりたちまぜん。普段から「私たち」という関係を築いておかなければならないのです。

安倍総理は、第一次安倍内閣の失敗を踏まえ、コミュニケーションの徹底を図っています。それは、たとえば、日銀人事や、内閣法制局の人事などで実証できていると思います。

お母様の誕生日を祝う安倍総理 コミュニケーションは重要だ(゚д゚)!
そうして、「私たち」という関係を構築するには、「経験の共有」が不可欠であり、そのためには、企業内では、「目標管理」が重要であるとドラッカーは説いています。経験の共有は、その他いろいろあります。長時間による話し合いとか、場合によっては、一緒に食事をするとか、いろいろです。政府の組織も同じことであり、目標管理および、ふだんから様々な安倍総理と、官僚の経験の共有が必要不可欠なのです。

コミュニケーションを成立させるためには、普段から経験の共有が重要
対立軸だけを鮮明にするだけでは、何もできません。官僚を納得させ、安倍総理と一つの目的に向かて、進むには、嫌でもコミニュケーションを蜜にしなければならないのです。それが、今後の戦後体制から脱却にも欠かせないのです。日本の政治には官僚の力は必要不可欠です。民主党のように、いたずらに政治主導と称して、役人の力を活用しないで実施することは困難です。

いずれにせよ、今までの政治主導はことごとく失敗しています。これを勝ち取るためには、安倍総理と官僚とのコミュニケーションは、必要不可欠です。嫌な相手ほど、コミュニケーションを蜜にしないと何事もうまくはいきません。官僚の期待を打ち砕く覚醒のためのショックを与えて、官僚の本来の存在価値、理由を自覚させ、「経験の共有」も含めて、安倍総理は、現在増税をめぐって、政治主導を確立すべく、様々な対応策を練っているのだと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【私の論評】

日経世論調査 消費増税「7割容認」本当なの? 複数の質問で独特の計算法 ―【私の論評】とにかく酷い増税推進派のズタボロ論拠!ポエムは、無視すべし!これでガス抜き完了後は安倍総理は増税延期まっしぐら(゚д゚)!

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日本で生まれ、東南アジアに広がる「マック難民」―中国メディア―【私の論評】マック難民の原因はデフレ!増税すれば、またぞろマック難民を増やすだけ、皆さんマック難民になりたいですか?身の回りの人をそうさせたいですか?

話題沸騰! あの『デフレの正体』の著者・藻谷浩介「里山資本主義」で日本は復活する―【私の論評】藻谷ファンタジー炸裂!増税推進派を含むアベノミクス反対派の思想的背景は結局空想的社会主義によるファンタジーか?そんなことでは、何も解決できない(゚д゚)!

話題を呼ぶ「ナベツネ書簡」消費税増税は政局化する―【私の論評】国売より、増税阻止のほうが自らの保身につながる!なら、特別な事情がない限り中国を裏切るべき!まともになるべき(゚д゚)!

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2013年8月21日水曜日

内閣法制局、驚愕の過去 他省庁担当者を怒鳴り上げ、法案審査は高級仏料理店で―【私の論評】政治主導は最大のコントロール手段である人事から!日銀と内閣法制局をとった安倍総理は着々と政治主導をすすめている(゚д゚)!


首相公邸より豪華といわれた内閣法制局長官の旧公邸=東京・東五反田
安倍晋三首相が、新長官に集団的自衛権の行使容認派を起用して注目されている内閣法制局は、財務省や外務省と同じ政府の一組織だ。一般にはあまり知られていないが、霞が関で知らない者はいない。各省庁がまとめた法案を国会に提出できるかどうかは法制局の判断次第で、「官庁の中の官庁」と恐れられてきた。過去、他省庁担当者を怒鳴り上げたり、高級フランス料理をたかるなど、やりたい放題のわがままも通ってきたという。

「(政府解釈の見直しで集団的自衛権の行使を認めることは)非常に難しいと思う」「完全な集団的自衛権を実現するためには、憲法改正をした方が適切だ」

内閣法制局長官から最高裁判事に任命された山本庸幸(つねゆき)氏は20日、最高裁で会見し、こう語った。最高裁判事として政治課題に言及するのは異例といえるが、こんな山本氏がトップを務めた内閣法制局とは、一体どんな組織なのか。

法制局は定員77人の小所帯で、幹部はすべて各省庁からの出向者で占められる。憲法解釈など法律問題について首相らにアドバイスするとともに、各省庁が起草した法案を一字一句までチェックする。

各省庁の担当者と直接向き合うのが、法制局で課長級の参事官だ。

法案審査では「省庁担当者に『こんな法律、出せるわけないだろ!』と怒鳴り上げることもある」(政府関係者)という。某省庁の中堅幹部は「金曜日の夜から土曜日の夜まで、延々と法案審査に付き合わされたこともある」と語る。

参事官の機嫌をいかに取るかについては、各省庁ごとにマニュアルが存在するという。「資料のとじ方や、座る位置が細かく書いてある」(外務省幹部)ぐらいならまだいいが、驚きの内容が盛り込まれている省庁もあったという。

【私の論評】政治主導は最大のコントロール手段である人事から!日銀と内閣法制局をとった安倍総理は着々と政治主導をすすめている(゚д゚)!

民主党の政治主導は絵に描いた餅でした。彼らの政治主導とは、役人がやっていることを自分たちもやろうとして頓挫してしまいました。本当に馬鹿でした。民主党のやったことは、会社でいえば、事務部門のスタッフの仕事も役員が自らやろうというような、馬鹿げたものでした。役員は事務をするのではなく、意思決定をすべき存在です。

民主党の事業仕分けは、政治主導にみせかけるたのパフォーマンスに過ぎなかった

それは、政治家の世界でも同じことであり、官僚はそもそも、国家の膨大な事務を司るのが本来の役割です。意思決定のための資料は作成するが、意思決定には参加しないというのが本分です。意思決定を行うのは、政治家の領分であり、その中でも、時の政府が重要な意思決定をするが本来の姿です。

ところが、こうした意思決定も形骸化して、役人が決めたものを追認するというようなことが行なわれてきて、これではいかんということで、政治主導という言葉がでてきたはずです。

しかし、民主党は勘違いして、役人の事務仕事までやろうとして、役人からかなり仕事をとりあげ、自分たちでやろうとして役人にそっぽを向かれ、それでは結局何もできず、何も決められないまま、右往左往して漂流していたというのが実体です。鳩山さんが、官邸にはいるときに、いつも資料の入った大きな袋を持っていたことがそれを如実に示しています。本来資料が重要なのではなく、資料に基づいた判断、意思決定が重要なはずが、いつの間にか資料そのものが重要と勘違いしていたのかもしれません。

何も決められず流れに身をませて漂流していた民主党

そもそも、一般の企業で、本社のスタッフが言うことをきかないからといって、役員が、本部スタッフの事務仕事をやりはじめたら、うまくいかないのが当たり前です。そんなことをしては、本部スタッフをただ遊ばせるだけになります。こんなことをやったからといって、役員主導になるはずがありません。ますます、本部スタッフはつけあがるだけになります。

しかし、現実には政治の世界はそうなっていますが、企業ではさすがにそのようなことはありません。この違いどこからでてくるのでしょう。それは、良く考えれば、わかることです。そうです。人事です。本部スタッフで役員の言うことをきかない連中がでてくれば、それは、人事異動で左遷するか、酷い場合は解雇です。だからこそ、本部スタッフは役員のいうことをきき、会社は正常に運営されます。

これに関しては、あの経営学のドラッカーも語っています。以下にドラッカーの著書より、企業の精神は何によって決まるのかコピペさせていただきます。
「貢献させたいのならば、貢献する人たちに報いなければならない。つまるところ、企業の精神は、どのような人たちを昇進させるかによって決まる」(『創造する経営者』) 
ドラッカーは、組織において真に力のあるコントロール手段は、人事の意思決定、特に昇進の決定だという。 
 それは組織が信じているもの、望んでいるもの、大事にしているものを明らかにする。 
 人事は、いかなる言葉よりも雄弁に語り、いかなる数字よりも明確に真意を明らかにする。 
 組織内の全員が、息を潜めて人事を見ている。小さな人事の意味まで理解している。意味のないものにまで意味を付ける。この組織では、気に入られることが大事なのか。 
 “業績への貢献”を企業の精神とするためには、誤ると致命的になりかねない“重要な昇進”の決定において、真摯さとともに、経済的な業績を上げる能力を重視しなければならない。 
 致命的になりかねない“重要な昇進”とは、明日のトップマネジメントが選び出される母集団への昇進のことである。それは、組織のピラミッドが急激に狭くなる段階への昇進の決定である。 
 そこから先の人事は状況が決定していく。しかし、そこへの人事は、もっぱら組織としての価値観に基づいて行なわれる。 
 「重要な地位を補充するにあたっては、目標と成果に対する貢献の実績、証明済みの能力、全体のために働く意欲を重視し、報いなければならない」(『創造する経営者』)

企業でも、政治の世界でも、様々なコントロールの手段があります。しかし、その中でも、何をさておいても、人事が最も重要であり、最大のコントロール手段です。その他のコントロール手段はこれには及びません。

業績、株価、その他の企業情報をいろいろ見ても、なかなかわからないことがあります。しかし、ある特定の企業について長年人事の内容をみていると、その企業の実体が本当に良く理解できます。特に重要な人事は、その企業の意思决定の内容がもろに反映されています。

本来、政治の世界でも同じことです。政治主導にするためには、ますは、人事を掌握して、役人の人事を適正に行う必要があります。民主党は、このあたりが全くお粗末でした。

しかし、安倍総理は、前の民主党政権とは全く異なります。政治主導などという言葉は遣いませんが、人事で政治主導の体制を固めています。その手腕は、まずは日銀人事における、白川討伐とその後の総裁、副総裁人事にものの見事に現れています。

そうして、上の記事にもあるように、内閣法制局のトップ人事です。上の記事でもみられるように、他役人に恐れられる内閣法制局の人事は政治主導としては、最高のコントロール手段です。

内閣法制局長官の辞令を受け、首相官邸を出る小松一郎氏

これに関しては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
【スクープ最前線】安倍政権転覆を画策か 中国の大物工作員が東京で暗躍―【私の論評】安倍潰しに最も有効なのは増税?増税すればアベノミクスは頓挫するが、果たして現在の安倍総理にその手は通じるのかは、はなはだ疑問(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、この人事を軽くみるべきではないことを強調しました。財務省よりも強い法制局が安倍首相に屈伏したということです。これは、意外といえば、意外かもしれませんが、財務省を屈服させるよりも、意表をつくということて、かなりやりやすいかもしれません。やりやすいとは、無論役人のコントロールという意味です。

役人にも恐れられる組織のトップをすげ替えたということは、少なからず、多くの役人に絶大な影響を与えると思います。心理的な圧迫感がかなりあります。なにせ、役人がいくら法案を作成して、大臣を説得したとしても、法制局が首を縦に振らなければ、それはただの作文になってしまいます。

それにしても、安倍総裁、したたかです。安倍首相は、外交といい、人事といい、見事な仕事をしています。これなら、増税に関して安倍総理が結局見送りの判断をしたとしても、財務省もなかなかたてをつくことはできません。たてをつけば、次の法案などを通すときに内閣法制局とどうなるかという心配は拭えないことになります。もう、軽々しいことは一切できなくなりました。少なくとも、これからは、あの勝栄二郎のような財務次官が誕生する余地はなくなりました。

私は、そう思います。皆さんはどう思われますか?

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2013年8月2日金曜日

黒田氏を日銀総裁に決めたように 安倍総理が消費税増税延期を決断する日―【私の論評】冷静に考えれば、もともと増税など単なる悪夢でしかないことを安部総理は、誰よりも良く知っている!だから、増税などできない!(◎_◎;)そんなことより保守派にとっては、もっと大事なことがある(゚д゚)!

黒田氏を日銀総裁に決めたように 安倍総理が消費税増税延期を決断する日

そもそも、自民党総裁選から奇跡は続いている

消費税引き上げをめぐって、政府与党内の議論が激しくなってきた。安倍晋三首相や菅義偉官房長官は慎重に判断する姿勢を変えていないが、麻生太郎副総理兼財務相、甘利明経財財政担当相、高村正彦自民党副総裁らは増税に傾斜した発言を続けている。

安倍総理は消費増増税を延期するだろう

そこで、安倍がどうするかが唯一最大の焦点である。

安倍は今回の消費税引き上げ問題でも、黒田日銀の指名に始まる第1の矢と同じ発想で対処する、と考えるのが自然である。黒田日銀の誕生と金融緩和、物価安定目標こそが「安倍政権の原点」であるからだ。

日銀人事は、政治主導どころか安倍総理が主導した
麻生副総理は武藤敏郎元財務事務次官を日銀総裁に推していたが財務省の意を汲んで武藤総裁実現に汗をかいたのは麻生である。

財務省は安倍対策に麻生を押し立てる一方、主な新聞やテレビ局には幹部が絨毯爆撃して「武藤がいかに日銀総裁にふさわしいか」を力説して歩いた。その結果、NHKはじめ主な新聞、テレビは決定ぎりぎりまで「武藤最有力」と報じ続けた。財務省得意の外堀を埋める作戦である。

麻生は武藤を推していたものの、最後は「これは総理のご判断。総理が決めれば、私は全面的にそれを支える」と言って、総理の決断に委ねた。麻生は立派だった、と思う。さすがに内閣総理大臣経験者である。

今回の安倍以前の政権では、自民党でも民主党でも経済政策を作ってきたのは事実上、霞が関だった。そして金融政策は日銀まかせだった。内閣総理大臣が自前の、いわば手作りの経済政策で勝負したのは、実に今回の安倍政権が初めてなのだ。そういう意味で、アベノミクス第1の矢はまさしく「政治主導」の政策である。

アベノミクスの第1の矢は民主党の口先だけの政治主導とは異なる

矢を放つ実務を委ねたのも、財務省や日銀ではなくて安倍自身が選んだ黒田だった。つまり、政策の立案から実行まで完全に安倍主導なのだ。

これがいかに画期的か。民主党政権が政治主導を掲げながら、結局は財務省のはがい絞めに遭って、消費税引き上げを決めた経過と比べれば、おのずと分かるだろう。

民主党政権は口先だけの政治主導だったが、アベノミクスの第1の矢は本物の政治主導である。ここは、だれにも否定できない。霞が関や日銀に「いや、大胆な金融緩和と物価安定目標を安倍に提案したのは、実はオレなんだ」などとホラを吹く人間は1人もいないのが証拠である。そんな官僚がいたら、それこそお笑いだ。

政治主導で始まったアベノミクスの原則的立場で考えれば、今回の消費税引き上げもおのずと答えが見えてくる。安倍はけっして財務省の言いなりにはならない。それが答えだ。今回の消費税引き上げは、そもそも財務省の言いなりだった野田佳彦政権が始めた政策である。そんな政策に安倍がそのまま乗るだろうか。ありえない、と私は思う。

安倍総理は官僚が作ったシナリオには丸乗りしない

だからといって、安倍は絶対に消費税を引き上げないかといえば、そこはなんとも言えない。政治主導の原則を守りつつ「引き上げる」という選択だって不可能ではないからだ。

ラジオドラマのシナリオ。役人のシナリオはこれ以下?

もしも引き上げるとしたら、それは安倍自身が考えた結果だろう。官僚が作ったシナリオに丸乗りした形にはならないはずだ。

それは、どんな結論なのか。私は多くの記者が夢中になるように、安倍が引き上げるのか上げないのか、結論を言い当てることにたいして関心はない。ただ「政治主導の形を見せてほしい」と思うし、そうなるだろうと思う。それが新しい政治の可能性を開くのだ。

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