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2014年9月15日月曜日

消費増税スキップしても実体経済に影響なし!リスクは「増税利権に群がる人々」のみ―【私の論評】まともな企業なら日々直面するトレードオフという考え方ができない官僚の単細胞頭が国民を苦しめる(゚д゚)!

消費増税スキップしても実体経済に影響なし!リスクは「増税利権に群がる人々」のみ

自民党の谷垣禎一幹事長は13日のテレビ東京の番組で消費税率10%への引き上げについて、予定通りとして、その理由を「(税率を)上げた時のリスクは、まだいろんな手で乗り越えられるが、上げない時のリスクは打つ手が難しい」と述べた。

一方、翌14日、安倍晋三首相は、NHKの番組で「経済は生きものだからニュートラルに考える」と述べ、増税するともしないとも言っていない。

3党合意同窓会ともいうべき当時の3党首+藤井氏は、財務省に完全に洗脳された人たちだ。その財務省の考え方をよく表しているものが財務省サイトにある。「財務大臣になって財政改革を進めよう」というゲームだ(→http://www.zaisei.mof.go.jp/game/yosansinario/)。

これは、中期財政計画(平成25年8月)における政府の財政健全化目標、つまり国・地方の基礎的財政収支について、2015年度までに2010年度に比べ赤字の対GDP比を半減、2020年度までに黒字化、その後の債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指すをゲームにしている。

このゲームはホントにバカバカしい。実際にやってみれば数分で飽きるだろう。

「目標達成まであと●●兆円」と出る。そこで、目標達成のための手段としては、社会保障などの歳出の増減と税制改革という歳入の増減だけだ。歳出を減少させると基礎的財政収支はほぼその分改善する。歳出を増加させるとその逆だ。また、増税するとその分歳入が増加し、基礎的財政収支はほぼその分改善する。減税はその逆だ。

こうした単純な足し算・引き算だけでこのゲームはできている。歳出現状維持で「大増税」、すべての歳出大幅カットだと「増減税なし」となり、目標達成になる。大増税せず、一部歳出カットでは目標達成できない。要するに、何が何でも増税が必要であるというシナリオだ。

目標が達成できないと、おどろおどろしい画面が出てきて、最後に「目標を達成することが出来ませんでした。行政サービスの停滞など、将来世代にさらなる負担を残すことになりました」というナレーションが出てくる。


「財務省ゲーム」のように単細胞思考な官僚たち

実際の財務官僚も、このゲームのような単細胞思考をしばしば行っている。

しかし、実際の世界は違う。増税すれば経済が停滞することもある。その場合、課税対象が小さくなり、実際の歳入(=税率×課税対象)は少なくなることもよくある。

この考え方を生かせば、増税と歳出カット以外に、金融政策で名目成長できれば目標達成もできるのに、財務省のゲームにはそれがないので面白くない。

増税は税率の引き上げは、一般社会で言えば、製品単価の引き上げに相当する。製品単価の引き上げは、売上数の減少を招くことがあるので、売上(=製品単価×売上数)の増加に結びつかないことを誰もが知っている。しかし、財務省の予算の世界ではその常識が通用しない。

要するに、財務省のゲームは、基礎的財政収支の改善のためには増税が必要と言いたいだけなのだが、それは予算の中の机上計算だけで通用するが、実際の社会では間違いだ。

では、実際の社会では、何が基礎的財政収支を決めるのだろうか。それは、過去のデータから数字が出ていて、1年前の名目経済成長率でほぼ決まる。これは、先週の本コラムに掲載しているものだが、また掲げておこう。



増税は経済成長を阻害するので、財政再建にとっては最善手でない。むしろ経済成長を鈍化させ、財政再建を遅らせるので悪手である。だから、筆者は、上記のデータとともに、増税しないで財政再建をほぼやり遂げた小泉政権の話をする(8月4日付コラム→「増税なき財政再建」は可能だ!政府にとって「不都合な事実」となっている小泉政権の実績)。

増税が財政再建に役立たないとすると、なぜ財務省は増税を言うのだろうか。それは、増税は財務官僚の「歳出権」を増大させるから、というのが筆者の仮説である(興味のある方は『財務省の逆襲 誰のための消費税増税だったのか』を参照)。

言ってみれば、増税は財務官僚の差配する金額を増やすからだ。この仮説で面白いほどに、いろいろな現象が説明できる。

例えば、多くの政治家は消費増税に賛成であるが、それは増税による予算のおこぼれにありつけるからだ。経済界も増税に賛成する人が多いが、それは法人税減税をバーターとして財務省が差し出すからだ。

学者、エコノミストが消費増税を賛成するのは、財務省に逆らわない方が、親元の金融機関が外為資金の運用を出来るなど商売上有利になるからだ。マスコミが消費増税を推奨するのは、リークネタをもらいたいほかに、新聞の軽減税率を財務省からもらいたいためだ。

なお、脱線するが、先週の本コラムで朝日新聞から原稿を掲載拒否されたことを書いた。その理由は、朝日新聞批判ではなく、新聞業界が軽減税率を求めていて、それを「浅ましい」と書いたからだと、あるマスコミの人がこっそりと教えてくれた。新聞業界の軽減税率批判はタブーだと。

消費増税の賛同者は、その恩恵にあずかれるというのがポイントだ。

増税スキップで名目成長率は高まる

そうした消費増税論者の常套句の中で、実体経済に影響がありそうなものとして、消費増税をスキップすると財政破綻を想起し「金利が上昇する」、というものがある。

正直言って、こうした発言を政治家が口にするのを聞くと、笑いを堪えるのが大変だ。何もわからず誰かに吹き込まれているからだ。マジメに答えれば、金利上昇つまり価格下落になるなら、先物売りで儲かるから是非やればいい、となる。マーケットではこんなに簡単に儲かる話はあり得ないから、この金利上昇は確実というのはデマの類いだ。政治家も「風説の流布」ということで、金融商品取引法で御用なんていうこともあり得るので、注意したほうがいい。

ただし、この種の与太話は、有名な経済学者にもある。東大に「『財政破綻後の日本経済の姿』に関する研究会」がある(→こちら)。

さて、消費増税を先送りすると金利が本当に上昇するのだろうか。上昇すれば、どのくらいなのか。増税論者の言うように対処できない「暴騰」はあり得るだろうか。

この問題に答えるために、過去の金利データを見よう。財務省サイトに各年限の日々の時系列データという素晴らしいものがある(→こちら)。その中で10年を取り出すと以下の通りだ。


前回の消費増税の97年4月までは、金利水準も高く、比較的変動幅も大きい。97年増税後は、低金利で変動幅も少ない。

これは、1カ月内の金利変動で見ても確認できる。上のデータを分析すると、97年増税前は平均▲0.02、分散0.105、97年増税後は平均▲0.01、分散0.024。

これらを見る限り、増税しなかった時の方が金利の変動幅は少ない。ただし、これをもって増税スキップしても金利は上昇しないとはいえない。増税後はデフレで低金利だったからだ。

増税スキップした方が名目経済成長が高まり、財政再建のチャンスが大きくなり、逆に財政破綻の可能性は少なくなる。これは、小泉政権での実績等のデータを見ればわかる。

増税論者の主張する、「増税しないと財政破綻」や「財政規律の緩みから金利上昇」というロジックは、その方が破綻しているのだが、皮肉にも少しだけ正しい。

というのは、増税スキップしたら、適切な金融政策とともに、名目経済成長が高まるだろう。その一方、名目経済成長率は、名目金利と長い目で見れば同じ水準になるので、その意味で名目金利も高まるのだ。

これは、デフレ以前に、長期金利水準が高かったことに対応している。

もっとも、だからとって、長期金利が上昇して経済が苦境に陥るとはいえない。上に引用した過去の28年間程度のデータでも、上昇幅は1カ月で最大限1%程度だ。この程度の金利上昇であれば、金融機関も「想定内」なので、大きな被害は出ない。まして、一般経済にとって、名目経済成長が高いので、何も問題にはならない。

こう考えてみると、増税をスキップするリスクは、実体経済の話ではなく、増税利権に群がる人々を激怒させるという政治的なものだけになる。さあ、安倍政権はどうするのか。

この記事は要約です。詳細は、こちらから!


【私の論評】まともな社会人・企業人ならできるトレードオフという考え方ができない官僚の単細胞頭が国民を苦しめる(゚д゚)!

上の高橋洋一氏の記事、ごもっともで、ほとんど何も付け足す必要もないですが、タイトルに多難点があると思います。

個人的には、以下のようなタイトルが良かったのではないかと思います。

消費増税スキップすると実体経済に悪影響なしどころか好影響のみ!リスクは「増税利権に群がる人々」のみ

私は、ブログ記事を更新すると、その内容をすぐにツイートするのですが、ツイートするときのタイトルはこちらにしたいと思います。こちらのタイトルのほうが、高橋洋一氏の上の記事提言内容により、即していると思います。

上のタイトルのままだと、増税スキップのメリットは、実体経済に悪影響を与えないことのみであるようにも受け取られかねません。

このタイトル、高橋洋一氏がつけたものではなく、編集者がつけたものかも知れませんが、これでは誤解を招いてしまいそうてず。

結論は、まさしく「増税をスキップするリスクは、実体経済の話ではなく、増税利権に群がる人々を激怒させるという政治的なもの」ということで、私も大賛成です。本当にこのとおりです。

では、どうしてこうなってしまうのか、その背景を以下に掲載しようと思います。

結論から言ってしまうと、官僚や、政治家にトレードオフ的な考えができないということです。

それには、特に上の高橋氏の「増税は税率の引き上げは、一般社会で言えば、製品単価の引き上げに相当する。製品単価の引き上げは、売上数の減少を招くことがあるので、売上(=製品単価×売上数)の増加に結びつかないことを誰もが知っている。しかし、財務省の予算の世界ではその常識が通用しない」という文章に注目すべきです。

こんなのは一般人の常識中の常識です。儲けたいからといって、値段をあげれば、今度は商品が売れなくなる。だからといって、安くばかり売っていれば、売れるかもしれないが、今度は、ほとんど利益が出ないということてず。

この「値段」と「利益」ということは、事業をやっている人は特にですが、そうではない人もかなり理解しやすいことだと思います。言ってみれば、あたり前のど真ん中です。

この「利益」と「値段」のような関係をトレードオフといいます。トレードオフに関しては、このブログにも何度か掲載したことがありますので、その記事のURLを掲載します。
永田町に駆けめぐる首相「原発解散」の噂 自民党に警戒感―【私の論評】これで騙されれば、国民が悪い!!悪いのは菅さんではない!!
液状化被害で大きく変形した護岸を視察した当時の菅首相 

詳細は、この記事をごらんいただくものとして、以下にトレードオフに関する事柄のみ転載させていただきます。

ちなみに、 トレードオフとは、何かを達成するために別の何かを犠牲にしなければならない関係のことを言います。いわゆる「あちら立てれば、こちらが立たぬ」に相当します。 たとえば、在庫管理にはトレードオフがつきまといます。製品の在庫を減らすと、顧客の需要に答えられず、販売機会を逃します。逆に、製品在庫を増やすと、売れ残りが生じ、無駄に保管場所をとったり、余計な費用がかかります。経営者は、このトレードオフの問題を解消しなければなりません。単純にものを考えていては、会社が潰れます。
トレードオフ、特に企業におけるトレードオフは、大体三つに分類できます。

1.長期と短期のトレードオフ
これは、企業においては、現在のことばかり考えていると、会社の未来がなくなるといこともあるし、逆に未来のことばかり考えていると現在が疎かになり、すぐにも潰れてしまうかもしれないということです。
2.全体と個のトレードオフ
会社全体のことだけ考えていば、特定の部署や、個人が疎かにされるおそれがあります。逆に、個人や特定の部署のことのみ考えていれば、会社全体にとって、マイナスのこともあります
3.売上と利益のトレードオフ
 上に述べた、在庫と顧客サービスとの間のトレード・オフの関係なども典型例です。
この他にも販売促進と利益というトレードオフの関係もあります。販売促進費をかなり大きくすれば、確かに商品はこれを大きくしないようりは、売れますが、あまり大きくしすぎるとその分利益がなくなります。
これらの三つのトレードオフですが、対処方法は共通しています。要するにその時々でバランスをとるということです。

これは、やさしいようでいて、難しいです。また、この三つのトレード・オフが密接に絡む場合があります。

たとえば、販売促進費と利益は、確かにトレードオフの関係にありますが、場合によっては意図的に販促費を多くして、利益を犠牲にする場合もあります。

その例として、新規顧客をはかるために、敢えて新規顧客開拓に販促費を多大にかけて、現在は、損をしても、将来には益を出すという考え方もあります。これは、経費というよりは、投資という考え方に近いです。

この時点で、「長期と短期」と「売上と利益」のトレード・オフが絡まっています。

そうして、これに加えて、たとえば、販売促進関係部署に当面他部署を犠牲にしても、販売促進関係部署に優先的に経費を割り当たり、人材を多くしたりするなどということも考えられます。そうなると、「全体と個」のトレードオフともなります。

そうして、重要なのはこれらのバランスを常にはかり続けるということです。

そうして、これは、会社全体の情報を俯瞰できる経営者が方向性を決めることが必要不可欠になるのは、いうまでもありません。

それ以下の部署は、経営者が定めた方向性の中で、バランスをとるということになると思います。

細かなことは、担当部署や、個人が実施するとしても、大きな方向性ということでは、経営陣がこれを正しく明示せずに担当部署や個人が勝ってに動けば、バランスは崩れ会社は窮地に陥ります。

そうして、その窮地に陥っているのがまさしく現在の日本です。

その窮地の正体は何かといえば、デフレです。特に金融政策に関して、日銀が金融引締めと、金融緩和に関してトレードオフという考え方ができず、何かとをいえば、金融引締めばかり繰り返してきたこがその理由です。

そうして、政治家もこの考えができず、長年デフレが放置されてきました。しかしながら、さすがに昨年の4月から日銀の体制も変わり、こうしたトレードオフに基づく金融政策がようやっとできるようになり、実際異次元の包括的金融緩和がなされるようになりました。

しかし、残念なから昨年の10月には増税が決定れ、4月から増税され、政府は想定などと語っていますか、その実かなりの落ち込みです。

これなども、トレードオフ的な考え方ができれば、こんなことは絶対にしなかったはすですし、来年の10%増税などとんでもないということになるはすです。

では、民間企業ではトレードオフ的な考え方ができて、官僚や政治家の多くがそのような考え方ができないのはなぜかといえば、それも簡単なことです。要するに責任がないからです。責任を問われることがないからです。

民間営利企業の場合は、会社全体での利益という明確な尺度がありますから、トレードオフ的な考えができずに、失敗すれば、それはすぐに明るみに出ます。そうして、何回も失敗すれば、降格なり、減給になり、明確に責任をとらされます。

残念ながら、今の官僚は権限ばかりで、そのような責任を追求されることがありません。政治家も残念ながら、トレードオフの考えができなくても何とか、選挙で当選することができます。

増税すれば、結局のところ、デフレ脱却から遠退き、税収が減り、財務省が再配できる資金も低下し、財務省の省益も失われ、増勢派政治家の利権も大幅に減少するのですが、結局彼らは、長期と短期のトレードオフを理解でききず、目先の利益にとらわれているだけです。

これを正すには、官僚には、はっきりと仕事に責任を負わせることが肝要です。増税の例などわかりやすいです。税収が増えれば、それも裏付けのあることで、税収があがれば賞を与え、さしたる理由もないのに減れば罰するということにすれば、無責任な財務官僚はいずれ排斥されます。

政治家については、無論有権者の責任です。

となると、有権者もトレードオフ的な考えができないと、選挙のときの判断もできないということになります。

しかし、有権者の場合は、官僚や政治家と違い、デフレということで、十分罰をくらっています。

次の選挙では、間違ってもトレードオフ的な考えのできない政治家には、投票すべきではありません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年7月21日月曜日

政府月例経済報告に異議あり!消費税増税の悪影響を認めたくない政府に騙される政治家とマスコミ―【私の論評】財務省はジレンマに陥っている。安部総理と、そのブレーンは肉を切らせて骨を断つ戦略を実行している(゚д゚)!これこそが隠し球かも?

政府月例経済報告に異議あり!消費税増税の悪影響を認めたくない政府に騙される政治家とマスコミ

先週14日付の本コラムで「経済指標は軒並み「景気悪化」の兆候!」(→こちら)を書いた。民間消費に加えて、民間設備投資も悪かったからだ。

おさらいのために図だけ再掲しておく。






このように、筆者としては消費税増税の悪影響が出てきていると判断している。ところが、政府見解としては、景気は悪くなっていないと言うのだ。

政府見解は毎月の月例経済報告をみればわかる。先週17日、官邸で月例経済報告等に関する関係閣僚会議が開かれた。これは、毎月一回、経済閣僚、与党政策責任者、日銀総裁らが出席して、政府の景気判断を確定させるものだ(会議の様子は官邸ホームページ→こちら 本文は→こちら)。


では、政府はどのような理由で消費を上方修正するのであろうか。

7月月例では「需要側統計(「家計調査」等)と供給側統計(鉱工業出荷指数等)を合成した消費総合指数は、5月は前月比 1.3%増となった」と書かれている。そして、「最近の動きをみると、「家計調査」(5月)では、実質消費支出は前月比 3.1%減となり、「除く住居等ベース」では同 0.6%増となった」とも書かれている。

要するに、本コラムで指摘した家計調査の数字は悪いが、鉱工業生産指数と併せて見れば、少なくとも前月よりは上がっている、というロジックだ。

この分析は不十分だ。14日付の本コラムで指摘しているが、対前月比で見ると、あまりに近視眼になる。大きく下がった後で少しばかり上がっても、前の水準に戻っていない場合があるからだ。対前月比は、過去のデータをすぐ忘れるマスコミを騙すことはできるが、実態経済の不調は隠せない。だから対前年同月比でも見る必要がある。

政府の言う「除く住居等ベース」では前月比0.6%増だが、対前年同月比でみると、やはり悪い。


需要側(家計調査)が悪くて、供給側(鉱工業出荷等)がそれよりいいというのは、通常の経済分析では黄色信号だ。というのは、需要が弱くて、生産が伸びているというのは、意図せざる在庫が増えている可能性があるからだ。

なお、一部マスコミで、月例経済報告に懐疑的な論調もあるが、それらのマスコミはこれまでの金融政策による景気回復の時でも、金融政策は効果がないという真逆であったので、その理由はまったく信用できない。金融政策無効派の多くは、消費税増税賛成である。このため、月例経済報告に懐疑的であっても、その理由として消費税増税でなく、まったく無関係な理由を挙げ、トンチンカンになっている。

筆者がこれまで言ってきたことを繰り返しておこう。金融緩和は正しくアクセルの役目を果たし、これまでの景気回復の原動力になっていた。しかし、消費税増税はブレーキを踏むことになるので、経済政策としてはまずい。

この記事は、要約です。元記事はこちらから(゚д゚)!


【私の論評】財務省はジレンマに陥っている。安部総理と、そのブレーンは肉を切らせて骨を断つ戦略を実行している(゚д゚)!これこそが隠し球かも?

上の記事で高橋洋一氏は、「金融緩和は正しくアクセルの役目を果たし、これまでの景気回復の原動力になっていた。しかし、消費税増税はブレーキを踏むことになるので、経済政策としてはまずい」と語っています。そんなことは、増税前から多くの人々が理解していたと思います。

そうして、上の記事のタイトルの一部には「消費税増税の悪影響を認めたくない政府に騙される政治家とマスコミ」と書かれています。

確かに、政治家もマスコミも高橋洋一氏のようなことは一言もいいません。しかし、これはマスコミも、政治家もそのほとんどが財務省主導の増税キャンペーンに踊らされて、増税一色で走ってしまったため、いまさら景気が落ち込んでいるなどとは、言い出しにくい状況にあります。

それをしてしまえば、自らが、マクロ経済音痴であったことを公にするようなものです。それは、財務省も同じことでしょう。だから、マスコミ・政治家が経済がかなり落ち込むかもしれないなどと今更、大声をたてることは出来ないのだと思います。

しかし、最近私は不思議な現象を体験しています。高橋洋一氏の言うようなことは、日銀のりフレ派や、リフレの論客であるまともな評論家や、リフレ派政治家などは、すべてお見通しのはずです。しかし、彼らも口を堅く閉じて何も言いません。これは、一体どうしたことでしょうか。

私が、インターネットで検索してみた範囲では、直近で、経済がかなり悪化しそうなことを語っているのは、影響力のあるメデイアは皆無であり、個人では高橋洋一氏と、三橋貴明氏くらいなものです。

三橋貴明氏は、以下のようなコメントをしています。
三橋貴明の「新」日本経済新聞   [三橋実況中継]想定外の悪影響
ちなみに、今回の消費税増税の悪影響が過去のケースよりも酷いことは、政府は普通に把握しています。例えば、総務省は6月27日の時点で以下の資料を公表しているのです。 
過去の消費税導入時等との比較(平成2 6 年6 月2 7 日 総務省統計局)


消費支出(季節調整済実質指数)の推移を見ると、消費税導入時(89年)と一度目の増税時(97年時)は、かなり似た動きの「消費の落ち込み」となっています。それに対し、今回は4月の消費の落ち込みが89年時、97年時よりも激しく、しかも5月は更に悪化してしまっています。 
明らかに「想定外」な悪影響が出ているのですが、政府は相変わらず「想定の範囲内」を繰り返しています。消費税増税の影響よりも、むしろこの「想定の範囲内」の方がはるかに問題であり、危険だと考えるのです。何しろ、想定の範囲内である以上、補正予算等の対策は打たれません。 
何と言いますか、現在の安倍政権(官僚含む)は、猛烈な反対の中で消費税増税を断行した結果、自分の間違いを認めることができず、懸命に「大丈夫なところ」を探し求める状態、すなわち認知的不協和に陥っているように思えてならないのです。認知的不協和に陥っていた場合、 
「確かに消費や賃金の落ち込みは前と比べても酷いけど、○○は良いから・・・」
と、懸命に一部の情報をクローズアップさせ、自分を安心させようとすることになります。結果的に、問題を問題として認識することができなくなり、対策を打てなくなります。 
しかも、今回は政権がもう一度、12月に再度の増税を判断しなければならないという、極めて政治的に複雑な時期です。安倍政権が認知的不協和に陥っており、懸命に「ちょっといい数字」を探し出し、それを理由に再増税の決断をされたら目も当てられません。だからこそ、現時点で「想定外の悪影響」を政権に認めさせる必要があると思うのです。
このような事実は、経済には素人の私にでも十分理解できます。というより、多少経済の知識がある人は、誰もがこんなことは最初から予測していたと思います。

なにしろ、今回の増税は、デフレの最中での増税です。前二回の増税は、少なくとも日本経済はデフレではありませんでした。デフレではなかったので、少なくとも賃金が下がりつつある中での増税ではなかったということです。

しかし、今回は賃金が全体では下がりつつあるなかでの増税です。これは、財務省やマスコミがいくら屁理屈をつけても、かなり大きな悪影響が出ることは最初から明らかでした。

にもかかわらず、もともな経済学者や、リフレの論客たちが、沈黙を守っているというのはどういうことなのでしょうか?

この謎紐解くには、昨日のこのブログの記事が多いに参考になると思います。
天下の財務省夏の人事は「増税人事」―【私の論評】やすやすと、10%増税がなされ、日本が再度デフレスパイラルのどん底に沈み、安倍総理が辞任を余儀なくされることが、朝日新聞の描く日本の望ましい近未来だ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとしてこの記事では、結論として以下のようなことを掲載しました。
やすやすと、10%増税がなされ、日本が再度デフレスパイラルのどん底に落ち込み、無党派層が完璧に与党から離れ、またぞろ安倍おろしがはじまり、安倍総理が辞任を余儀なくされることだけは、絶対に避けなければなりません。 
これが、マスコミが狙っている近未来の日本です。安倍政権と、経済この両者が密接に結びついていることを知る人は、未だ少ないです。
デフレから脱却していないうちに、来年の4月から10%増税が決まってしまえば、またぞろ日本は、デフレ・スパイラルのどん底に落ち込むことは明らかです。

しかし、現状で強力な経済対策を打つことにでもなれば、昨年のように10月時点では、様々な景気指標が回復したり、上向き、それこそ増税派にとって増税を主張しやすい、都合の良い状況になってしまう可能性がかなり高いです。

昨年は安部総理が増税を決意する前から、マスコミは総理
が増税を、決断し終わったかのように、執拗に報道を続けた

しかし、現状では、新たな経済対策を打つ動きは全くありません。おそらく、現状では公共工事の供給制約がありますからこれは効果が薄いです。そのため、デフレの今日では、再配分的な所得税減税や給付政策を大々に実施すれば、かなり効果をあげることができます。再配分的というのは、所得の少ない人には厚く支援をするということです。

これを実施すれば、デフレの最中にある低所得層は、減税分や給付分を速やかに支出することになります。だから、その効果は金融緩和などと比較すればかなり即効性があります。

これを速やかに実行すれば、9月、10月あたりにはかなり経済が回復すると思います。

しかし、そうなるとまた昨年の財務省主導のマスコミ、政治家こぞっての大増税キャンペーンの再現ということになってしまい、直近で経済状況が良いのだから、増税は当然という主張をして、やすやすと増税が決定されてしまう恐れがかなり濃厚です。

このようなことをしては、リフレ派論客としては敵に塩をおくるようなことになってしまう可能性も大です。

安倍総理や、そのブレーンたちも、そのことは良く理解しているのだと思います。

だからこそ、小数派の安部総理やそのブレーンたちも、今のところは口をつぐんているのだと思います。政府月例報告など、所詮は役人の作文に過ぎません。黙っていれば、そのまま公にされるものです。

今後安倍政権には、二つの道があります。

一つ目の道としては、景気対策をすぐに推進することです。確かに、国民のことを考えると、景気を良くしたほうが良いに決まっています。しかし、今すぐそれを実行してしまえば、10月に増税派に格好の増税推進の大義名分を与えてしまうことにもなりかねません。

そうして、来年の4月から10%増税が、なされてしまえば、来年は今年よりもさらに景気が落ち込み、日本はとんでもないことになります。失われた20年が、40年になってしまう可能性も高いです。

第ニの道としては、直近の経済が悪くても、来年の増税を今度こそ阻止し、その後に先程述べた、再配分的な所得税減税や、給付政策を実行して、経済を上向かせるという道です。

これにより、日本経済はデフレから脱却できる可能性が高まることになります。おそらく、これを実行すれば、市場関係者も好感して、最初は株価もあがり、かなり経済指標も良くなり、丁度安倍政権が誕生したときの、衆議院議員選挙の直前のときのように安倍政権にとって追い風となることでしょう。

私としては、安倍総理および、そのブレーンたちは、第二の道を選んでいるのだと思います。

まさに、安倍総理は、「肉を切らせて骨を断つ戦略」を実行しつつあるのだと思います。だからこそ、リフレの論客たちもこのことを理解して、現状では様子見をしているのだと思います。

「肉を切らせて骨を断つ」という戦法は日本で古から知られているものである

これが、8月から9月あたりになれば、一斉に決戦の火蓋を切り、論戦を開始しはじめると思います。しかも、昨年の財務省キャンペーンには負けていますからかなり周到に準備をしていると思います。

今は、リフレの論客たちや、安部総理とそのブレーンたちは、財務省や、政治家などにこれを邪魔されたくないので、静かに動静を見守り、準備を整えているのだと思います。

増税を推進した、政治家、マスコミ、財務省は、まずは、自分たちの面子や、世間体が重要なので、経済対策をすぐにでも打つべきなどとは言えないと思います。ただし、財務省あたりは、何とか9月~10月あたりに数字が良くなるような手を打つか、手が打てないなら、増税の悪影響は軽微であるとする屁理屈を考えているのだと思います。

これには、早い時期からその動きがありました。これについては、このブログにも掲載したことが、ありますので、以下のそのURLを掲載します。
異例の予算前倒し要請、麻生財務相「景気下振れに万全期す」―【私の論評】増税の悪影響は最初から懸念されていたこと、いまさら遅い!公共工事の供給制約が明らかになった今一体何をどうするというの?
予算前倒しを養成した麻生財務大臣

これは、3月の時点の記事ですが、財務官僚などは、この前倒しで、9月、10月あたりの景気指標を良くしようとの腹だったと思います。そうして、これはうまくいくものと思い込んでいたに違いありません。なにしろ、利権に群がる官僚は、もとより政治家もかなり存在します。

だから、やすやすとこれは出来るとたかをくくっていたかもしれません。しかし、この時点では、公共工事の供給制約など、一部の識者は指摘してましたし、実際にこの時点でも、供給制約がありました。しかし、現状では供給制約ははっきりと顕在化しています。

現在全国で、公共工事の落札ができないという状況にあります。そうなると、公共工事などにより、9月、10月の経済指標を良くすることは不可能です。

だからといって、増税した直後に、所得税減税や、給付を実行するということになれば、自ら増税実施は間違いであることを認めることになってしまい、これは、様々な人達から、批判を受けることになります。

そもそも、デフレのときに増税をして、経済が良くなった事例など古今東西いずれにもありません。これは、断言できます。疑問に感じる方は、実際に検索してみてください。短期的には、そんなこともあるかもしれません。しかし、それで経済がよくなったとしても、それは、他の原因によるものです。それに、長期的にみれば、成功事例など一つもありません。

昨年の財務省主導による増税キャンヘーンは、単に「黒を白」と言っているだけのことで、最初からかなり無理があります。

黒を白というようでは、オセロゲームも成り立たない


まさに、財務省はジレンマに陥っているのです。そうして、財務省をジレンマに陥らせることこそ、安部総理の隠し球なのかもしれません。

意外と、高橋洋一氏もこのことを理解していて、ブログ冒頭の記事は、事実を述べているだけではなく、観測気球的な意味合いがあるのかもしれません。あのような記事を書いて、財務相や、政治家、マスコミなどの動静を探るという意味があるのかもしれません。三橋氏に関しては、そこまでは考えてはいないと思います。

そういう私も、何やら財務省やマスコミにヒントを与えるような記事を掲載しているわけですが、とはいいつつ、財務省や、増税推進派の政治家たちも、おそらくすぐに、彼らが9月、10月の指標を良くするために、所得税減税や、給付金政策に走ることはできないと睨んでいます。

財務省としては、まさに壁にぶち当たっているわけです。財務省の異例の夏の人事は、この壁を克服するための慣例を全く無視した、命がけの人事だったのかもしれません。

安部総理や、そのブレーンたちも、この「肉を切らせて骨を断つ戦略」を着々と実行しつつあるのかもしれません。財務省に対する懐柔政策も始まっているのかもしれません。

私自身も多くのリフレ論者たちも、何も永遠に増税すべきでないなどと思っているわけではありません。経済対策がうまくいき、その後経済が加熱し、インフレが過度に進めば、その時には増税すれば良いのです。そうすれば、過度のインフレ懸念は、払拭することができます。

永遠に増税、永遠に減税をし続けるなどということはありません。マクロ経済対策は要は、その時々でのバランスが重要なのです。

何も、いますぐ、増税してとんでもないことにしなくても、いずれ増税すべきときは必ずやってきます。その時に増税すれば、何も無理な増税キャンペーンをしなくても、楽にできるはずです。

何も、デフレ時に増税して、国民を塗炭の苦しみに追いやり、心底恨まれるよりは、すべきときに実施して、国民から信頼される道を選べば、それで良いではありませんか。

それにしても、以上のすべては、ひょっとしたら私の妄想かもしれません。しかしながら、リフレ論客たちがあまり現状の経済の落ち込みを批判しないということは、以上で述べたような論評があてはまっていないければ、なかなかすっきりと説明できるものではありません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?


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2014年5月12日月曜日

インフレで、日本の起業精神は復活する なぜ日本では、いままで起業者が減少していたのか―【私の論評】ちょっと待ってくれ、日本で最大の問題はデフレではないのかい?そう思わない、馬鹿な政治家・識者・専門家があまりにも多くないかい(゚д゚)!

インフレで、日本の起業精神は復活する なぜ日本では、いままで起業者が減少していたのか

村上 尚己 氏

4月下旬に公表された最近の中小企業白書では、2012年時点の「起業希望者」は約84万人と、1997年の約167万人から約半分にまで大きく減少した、と分析されている(下表)。「起業希望者半減」と、センセーショナルに伝えたメディアもあった。

実際に起業して成功している、あるいは将来の起業を目指している人々は、日本での起業精神の冷え込みを嘆いたり、「日本経済の停滞の象徴」と喝破している。

では、なぜ、日本人は起業しなくなったのだろうか。過去10数年余りで、日本人が臆病になったのか?日本人の意識が大きく変わったのか?日本の教育が大きく変わったのか?それとも起業を支援する制度が、かつては充実していたのか? 

いずれも筆者は違うと思う。日本で起業活動が衰え始めた時期と、物価に責任を持つ日本銀行の政策でデフレという異常な経済状況が始まった時期はほぼ同じだ。デフレが長期化して、起業というリスクをとる行動に、経済合理性を見出すことが難しかったから、と考えるのがもっとも自然である。

戦後は、正しいマクロ安定化政策が続き、このため経済が安定的に成長した。だから、既存企業が切磋琢磨し、あるいは起業による新たなプレーヤーによる技術革新が経済活動を活性化させ、日本の経済発展を支えた。

バブル崩壊後の経済安定化政策を誤り、「デフレでも仕方がない」と考える中央銀行の政策により、日本経済は常に抑制されてしまった。このため、低成長が続き、起業というリスクをとるコストが、多くの合理的な日本人にとって極めて大きくなっていたのだ。

日本で起業が停滞した理由は、「日本人は起業が苦手だから」ではなく、起業という行動の本質を、多くの日本人が良く理解しているから、というのが本当の理由である。だからこそ、実質金利が極めて高いという経済環境に直面し、起業に慎重になるという、合理的な行動が広がったということなのだ。

こうした認識が正しく、今後2%の物価安定と脱デフレが定着する経済正常化が進めば、日本における起業活動は再び正常化するだろう。

1990年代半ばのような経済状況になれば、2012年段階で落ち込んでいる「起業する人の数」は再び20%くらいは増えるだろう。そして、起業で成功する人が増え、それが魅力的な選択であると認識されれば、起業を考える人(起業希望者)も、倍増してもおかしくない。

アベノミクスがもたらすインフレ時代の到来は、日本の起業精神を復活させるのである。なお、この統計は5年に1回しか発表されないため、アベノミクス発動で景気回復が始まった2013年の起業者数の動きは残念ながら把握することができない。5年後が楽しみである。

村上 尚己 :アライアンス・バーンスタイン マーケット・ストラテジスト兼エコノミスト

上の記事は、要約です。詳細をご覧になりたい方はこちらを御覧ください(゚д゚)!

【私の論評】ちょっと待ってくれ、日本で最大の問題はデフレではないのかい?そう思わない、馬鹿な政治家・識者・専門家があまりにも多くないかい(゚д゚)!

上の、村上 尚己氏の記事、まったくこの通りです。あたり前のど真ん中です。とにかく、デフレの最中の起業は、余程のことがない限り控えるというのが、経済合理的な行動です。

しかし、日本では、なぜかこのデフレということを全く忘れたか、存在しないかのごとく、様々な経済問題や社会問題を考える人が多すぎです。特に多くの分野の専門家といわれる人々が、デフレなどなきがごとくに、様々な論議をしています。こういう人たちの頭の構造はどうなっているのか、私は理解できません。

日本は、過去15年間デフレでした。このことを忘れて、あたかもデフレがあたり前、通常の状態であるかのように、それを前提として日本の起業率が低いことを嘆いても意味がなく、まずはデフレ解消が喫緊の課題です。



デフレであることを前提として、起業率の問題を考えるのはもとより、社会福祉、医療、雇用の問題いや、もっと大きく社会問題を考えたとしても、すぐに行き詰まり、閉塞感にさいなまれるのは当然のことです。

そもそも、日本ではデフレがあまりにも長く続いたせいか、デフレを軽く考え、あたかも通常の経済循環の好景気、不景気のうちの不景気くらいに考えてものを語る頭の軽い政治家、識者、専門家といわれる人が多すぎです。

私は、デフレそのものよりも、こういう頭の軽い政治家、識者、専門家が日本にあまりにも多いということのほうが、よほど危険なことだと思います。

デフレ下では、税収の拡大は見込めない


デフレは、正常な景気循環の範疇には収まらないそこから逸脱した異常事態です。デフレは、実体経済の癌です。すぐにでも直さなけれはならないものです。

このことは、このブログでも、何回かタイトルに「ちょっと待ってくれ」というフレーズを入れた、シリーズで掲載してきました。

そのうちで、まずは起業に関係ある記事のURLを以下に掲載します。
従来の説はほとんどウソだった。日本でベンチャー企業が発達しない本当の理由。―【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは、ベンチャーの最大の敵であることを!!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、ある方が日本のベンチャー企業が発達しない本当の理由を以下のように記述していることを掲載しました。
ベンチャーと大企業との関係でいえば、手塩にかけて作り上げた技術を、ベンチャー企業が大手企業の前でプレゼンテーションするとします。その時に、いつも決まって返ってくる答は「既存技術の価格より安くしてくれないと取引できない」だったのです。大手企業は、技術の価値は認めるものの、それ以上は、踏み込めません。
日本のベンチャー企業は良いモノを作ることはできます。しかし規模が大きくはないため、「安売り競争」には耐えられません。そのために、優秀なベンチャー企業は、幾度も臍(ほぞ)をかんできたのです。
しかし、私はこれに対して、「大手企業の担当者も忸怩(じくじ)たる思いであったと思います。デフレというマクロ環境がすべての企業行動にマイナスの影響を与えていたことを指摘したいだけです」ととして、デフレの最中では、大企業の担当者だって、新たな技術を取り入れるよりは、すでに定評のあるものをより低価格でと考えるのは当然のことであり、問題は大企業のスタンスではなく、デフレであることを強調しました。

その上で、古いタイプの企業から、新興企業への労働力人口の移動の事実にもとづき以下のように掲載しました。
古い企業から新興企業への労働人口の移動があるということは、起業家予備軍も相当いるはずです。今後アベノミクスで、経済がまともになれば、ベンチャー起業も増え、ベンチャキャピタルを活用してくる人も増えてきます。 
そうして、デフレ脱却により、人々の選好がお金からモノに移行するということは、購入する時の判断のウエイトが、モノの値段からモノの機能・価値にシフトするということです。そうなれ ばベンチャー企業が持つ技術力に目が向けられるようになります。彼らは自らの得意分野で「相撲」を取ることができるようになります。 
そうして、デフレ解消は目前です。そうなれば、どんどんベンチャー起業がおこり、ベンチャーもモノの機能・価値を提供しつつ、発展していけるようになります。そんな時代はもう少しで来ます。最近中国の特許件数が伸びているかのような誤った印象操作がありますが、良く調べてみると、中国は特許の出願数が世界一なのであり、特許取得数は未だに日本が世界一です。そんな国日本で、デフレ以外にベンチャー企業が、起業できない、成長できないという理由はないと思います。
ベンチャーの起業が少ないことを大企業が新しい技術を導入しないということを原因とするのは、ミクロ的な見方であり、マクロ的にいえば、大企業がこのような購買傾向になるのは、デフレのせいです。大局的にみれば、大企業の購買傾向を責めても何の解決にもなりません。まずは、デフレを解消しなければなりません。

大企業の購買行動を責めているだけで、デフレを解消しなければ、モグラ叩きに終始するだけで、いつまでたっても、問題は解消されず、閉塞感に苛まされるだけとなります。その果てには、包括的大金融緩和の以前見られた、日本駄目論、日本人駄目論です。

日本がデフレであることを前提として、それが永遠に改善も改革もされないという考えで、物事を考えれば、結論はこうなるしかありません。しかし、それは違うでしょう! 全くの間違えでしょう!

デフレが解消されれば、日本も起業家が増える(゚д゚)!
(社)日本女性起業家支援協会 代表理事 近藤洋子さん

どこかで、水道のパイプに亀裂が入り、水が漏れだしたとして、それに対する対処として、皆で水を汲み出したとしても、根本的な解決にはなりません。まずは、どこかで元栓を止めて、亀裂の入ったバイブを取り替えるべきです。

しかし、ことデフレとなると、多くの政治家、識者、専門家などが、亀裂のはいったパイプを取り替えるのではなく、水を汲み出す方法の論議しかしません。これは、全く異常です。

このデフレ、実は日本国内で10の大きな問題があったとして、デフレを解消すれば、10のうち、6くらいは芋づる式に解消します。残りの4つも、解消飲めどが立つ可能性が高いです。しかし、デフレが解消しなければ、10の問題全部を解消できません。

上では、ベンチャー起業について取り上げましたが、 実は様々な問題の源はデフレです。

その典型的なものは、雇用の問題です。

大企業100社の内部留保99兆円に! “異次元の給与増額”は可能か―【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは、雇用・給与の最大の敵であることを!!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、デフレであれば、雇用環境が悪くなる、賃金も下がるというのはあたり前のど真ん中です。しかし、日本ではなぜか、雇用問題となると、雇用のミスマッチばかり強調され、企業側の問題点や、学生側の問題点ばかり指摘する専門家などがほとんどで、デフレのことを言う人は少ないです。

日本の以外の国では、雇用の問題となると、中央銀行の金融政策が問題という認識です。しかし、日本では、これがほとんど問題にされてきませんでした。今でも、その傾向があります。雇用というと、金融政策によって雇用枠を増やすことは論議されず、もともとある雇用枠を巡って、その中で企業側や、求職者側の問題などを指摘するにとどまる専門家があまりに多すぎます。

こういう専門家は、専門家ではなくただの馬鹿ではないかと私は思います。雇用問題の専門家と称する馬鹿の皆さんは、大反省すべきです。

デフレが解消されれば、雇用も良くなる(゚д゚)!

これは、起業とか、雇用に限らず他の問題でも同じことです。日本人は、優秀なのに、ことデフレに関しては、未だに正しい認識を持つことができない人々が多いです。この原因は、やはり、デフレを軽く認識する頭の軽い、政治家、識者、専門家が、御託を並べて論議をするというとこが間違えているのだと思います。

だから、デフレ下であるにもかかわらず、財務省主導の増税となどという馬鹿げたことが実施されてしまうのです。

私は、そう思います。皆さんはどう思われますか?

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2014年5月9日金曜日

[書評] 古谷経衡『若者は本当に右傾化しているのか』―【私の論評】ちょっと待ってくれ再分配政策は、デフレから抜け出すためにも、今こそ最も重要な政策ではないのかい?これを忘れトリクル・ダウンを信奉する政治家には、経済を語る資格はない(゚д゚)!

[書評] 古谷経衡『若者は本当に右傾化しているのか』

街頭演説する古谷経衡氏(左端)

気鋭の評論家、古谷経衡氏が本書で主に取り上げているのは、本のタイトル同様、実際に日本の若者たちは右傾化しているのかというテーマである。では、実際に、日本人、とりわけ若い世代は右傾化したのであろうか。

結論を先取りして言えば、その答えは「否」である。その論拠としては、本書の中で古谷氏が紹介している各種調査や、やや古いが辻大介氏らによる調査

http://d-tsuji.com/paper/r04/

や田辺俊介氏らによる調査

http://jww.iss.u-tokyo.ac.jp/interview/publishment/tanabe_2011_12.html

にも、近年の日本人のマジョリティの心性に右傾化の傾向がないことがはっきりと表れている。

本書によれば、古谷氏は高校時代にパニック障害を発症し、大学時代、また自営業者としてバリバリ働き、比較的稼ぎのよかったゼロ年代前半は症状が寛解していたものの、リーマン・ショック以降の日本の景気の悪化と相関するように経済状態は苦しくなり、またそれと因果関係があるのかは不明だが、持病も悪化したと語る。




こうした古谷氏の経験は、彼をして「つまり、人は後天的な努力だけで社会的成功をつかみ取るわけではないのと同じく、『後天的な自己責任』だけで、貧困や非正規雇用に零落するわけではない」という結論に至らしめる。

ここから古谷氏が危惧するのは、現在の保守論壇、及び自民党政権が再分配政策に極めて冷淡、および消極的なことである。

経済政策を考える際に、再分配政策が極めて重要であることは、このReal-Japanの執筆陣の一人でもある片岡剛士氏も常々指摘していることである。

http://synodos.jp/newbook/3504

このアベノミクスを再び軌道に乗せるためにも、政府はより積極的な再分配政策に取り組む必要があるだろう。もし、そうしないのならば、「アベノミクス」はゼロ年代前半の中途半端な金融緩和と脆弱な再分配政策という「小泉・竹中路線」となんら変わりのない経済政策となってしまうのである。

本書を読んで、古谷氏のような保守派とされる論客から、鋭い再分配政策の提言が現れてきたことに驚くと共に、日本の未来に対して、心強いものを感じた。

星飛雄馬

上の記事は、要約記事です。この記事の詳細をご覧いただきたい方は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】ちょっと待ってくれ再分配政策は、デフレから抜け出すためにも、今こそ最も重要な政策ではないのかい?これを忘れトリクル・ダウンを信奉する政治家には、経済を語る資格はない(゚д゚)!

「つまり、人は後天的な努力だけで社会的成功をつかみ取るわけではないのと同じく、『後天的な自己責任』だけで、貧困や非正規雇用に零落するわけではない」という古屋氏の結論、これはあたり前のど真ん中です。しかし、この書籍にはそれが、古屋氏の個人的実体験として赤裸々に語られていることに価値があり、多くの人々から共感を得られるのだと思います。

経済が順調なときですら古屋氏が指摘するように、後天的な自己責任だけで、貧困や非正規雇用に零落する人もいるというのに、日本が完璧にデフレに陥ってから15年もたつ現在では、この傾向は頂点に達しているとみるべきです。

異次元の包括的金融緩和が実施されて以来、雇用は多少好転しましたが、つい最近まで地域によっては、新卒の高校生の就職率が30%などという信じがたいこともありました。大学新卒の就職氷河期も記憶に新しいところです。こんなざまでは、若者が社会に出た途端、挫折してしまいます。

古屋氏が指摘するまでもなく、デフレは貧困に直結しています。デフレでも、頑張りますなどという台詞は、せいぜい数年で終わるようなデフレで成り立つ台詞であり、15年もデフレが続く日本では成り立たない台詞です。とはいいながら、小数ながらデフレでも新規事業などで頑張っている企業もあれば、個人もいます。ただし、マクロ的に見ればこのような企業や個人は例外中の例外であるということです。

まずは、何としても経済の癌である、異常なデフレから脱却しなければお話になりません。なのに、デフレから脱却もしていない今年の4月より、増税するなどとは狂気の沙汰としかいいようがありません。

こうした、狂気の沙汰を推進したり、容認したりする現在の保守論壇、及び自民党政権は、完璧なマクロ経済音痴であるとみなすべきであり、古屋氏の指摘するように、再分配政策についても消極的なのはあたり前のことと思います。

いまの状況で、増税するのもやむなしと考えてしまうような、頭の悪さでは、再分配政策にも関心が向かないのは当然のことです。

そもそも、政治家の多くはデフレから脱却できなければ、雇用状況特に若者雇用は良くならないという基本的なことを理解していないのだと思います。これについては、以前にもこのブログに掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
若者雇用戦略のウソ―【私の論評】雇用と中央銀行の金融政策の間には密接な関係があることを知らない日本人?!
若者が将来に展望を持てない日本を作ったのは誰だ(゚д゚)!

詳細はこの記事をご覧いただくものとして、金融政策と雇用とのあいだには、密接な関係があることは昔から知られている事実(フィリップス曲線などからも明らか)です。ところが、日本ではこのことが良く理解されておらず、若者雇用などというと、金融緩和などは思いもよらず、せいぜい雇用のミスマッチの是正くらいしか頭に浮かばないというが実体です。

雇用のミスマッチの是正は、結構なことですが、デフレ下では、雇用そのものが減ってしまうので、いくらミスマッチを是正しても、焼け石に水です。まずは、デフレを解消して、雇用そのものを多くする必要性があります。

そんな最中に増税するなど、狂気の沙汰です。本来ならば、減税をすべきです。

そうして、現状であれば、先日も掲載したように、公共工事の供給制約というものがありますから、公共工事を劇的に増やすといっても不可能ですらか、現下では、所得税減税、給付などが、最も効果があります。

そうして、こうした所得税減税や、給付などを行うにしても、古屋氏が語っているような、再分配政策を取り入れて行うのが非常に効果があります。

なぜなら、現金・預金やその他の資産を多く持っているお金持ちなどは、多少増税されたにしてもあまり大きな影響がないですし、減税も同じで、多少減税されたからといって、消費支出などすぐに増やしたりはしません。

デフレは若者の雇用には大敵です
しかし、古屋氏が語っているように、、貧困層や非正規雇用に零落した人々については、減税などあれば、すぐにでも必要不可欠なものにお金をを使うからです。

こうした観点から、所得税減税、給付を行うにしても、再配分的な政策を取り入れるべきです。要するに、貧困層ほど減税幅が大きく、給付金も多くなるように配布して、効果のある景気対策につなげていくべきです。

むろん、デフレから脱却し、はっきりとしたインフレになれば、こうしたことは、やめるべきです。ただし、やはりどんな時代でも、ある程度のセーフティーネットは用意しておくべきでしょう。

馬鹿な政治屋ども、こうしたこともほとんど理解できず、トリクルダウンなど信奉しているのだと思います。

以下にwikipediaから、トリクルダウンについて引用しておきます。
トリクルダウン理論(トリクルダウンりろん、trickle-down theory)とは、「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が浸透(トリクルダウン)する」とする経済理論または経済思想のことです。トリクルダウン仮説やトリクルダウン効果ともいいます。現状では、マクロレベルでのパイの拡大が、貧困層の経済状況を改善につながることを裏付ける有力な研究は存在しないとされています。 
トリクルダウン理論は、新自由主義の代表的な主張の一つであり、この学説を忠実に実行した時のアメリカ合衆国大統領ロナルド・レーガンの経済政策、いわゆるレーガノミクス(Reaganomics)について、その批判者と支持者がともに用いた言葉でもあります。
トリクルダウンについては、アメリカでも大失敗でしたが、もっとも酷い大失敗は、現在の中国です。中国では、鄧小平主導のもの「富める者から富め」というスローガンのもと、改革を推し進めましたが、その結果が現在の中国の貧富の差の拡大です。中間層が薄く、これらが経済・社会に大きく寄与するということは中国ではありませんでした。

日本がデフレから抜け出せなければ、喜ぶのは中国(゚д゚)!

デフレ下の現状でも、トリクルダウン的な考えをする政治家はただの馬鹿です。こういう馬鹿どもには、再分配政策が理解できません。これは、保守・革新など関係ありません。右・左、上・下に関係なく、現下における再分配政策の重要性に気がつかない政治家は、愚鈍であり、経済を語る資格はありません。

若者が元気になる経済政策を(゚д゚)!
こうした馬鹿な政治家どもに、絶大な影響力を及ぼしているのが、財務次官の木下氏です。増税すれば、財政再建ができるなどは、全くの出鱈目です。実際、過去の2回の増税で、税収が増税前の水準を上回ったことはありません。税収とは、国民の所得が原潜であって、国民の所得が増えない限り、税収は増えません。
結局、馬鹿な政治家どもは、現実を見ることが出来ず、財務省に振り回されいるにすぎません。

とにかく、今の日本は、本来はデフレ脱却を最優先すべきなのに、政治家どものほとんどは増税を推進して今日に至っています。


政治家の大半がこの体たらくですから、安部総理としても、長期政権を目指すためには、否応なく増税に踏み切るしかなかったのだと思います。おそらく、忸怩たる思いだったことでしょう。

それから、本来保守とは何かといえば、もともとは、こういう意見を持っている人、こういう考えをする人という、類型など存在せず、たとえば、フランス革命などの過激なやり方に対して、中庸を説く人とくらいの意味が本来の意味です。

こういう本来の意味からすれば、上記の「古谷氏のような保守派とされる論客から、鋭い再分配政策の提言が現れてきたことに驚く」という発言は、正しいものとはいえないと思います。

むしろ、保守のほうが、現下における再分配政策に対して賛同するというのが、本来であり、現下におけるこの政策に反対するとか、そもそも関心がないような連中はただの似非保守だと思います。

とにかく、今の日本の政治家は、トリクルダウンや増税による財政再建などという迷妄から脱却し、一刻も早く、再配分的な政策を取り入れた、所得税減税、給付政策を実施するべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年2月4日火曜日

米紙が相次ぎ「日本海」支持 米州の「東海」併記法案 下院委員会でも可決―【私の論評】中韓の反日を封印させるためには、まずは内なる敵を駆逐せよ(゚д゚)!

米紙が相次ぎ「日本海」支持 米州の「東海」併記法案 下院委員会でも可決

2014.2.4 08:59 [米国]

他の州ではすでに日本海(東海)併記がなされているところもある

【ワシントン=青木伸行】米バージニア州下院教育委員会は3日、「日本海」と記載されている州内の公立学校の教科書に、韓国政府が主張する「東海」を併記する法案を賛成19、反対3で可決した。こうした中、複数の米紙が社説で法案に異議を唱え、同州の地元紙は「日本海」の単独呼称に支持を表明した。

同州議会では、上下両院にそれぞれ提出された2法案が並行審議されており、3日に可決されたのは下院提出法案。6日に本会議で可決される見通しが強まっている。これとは別に先月、上院本会議で可決され下院に送付された法案は、今月中旬にも下院小委員会で採決される見通し。

こうした情勢下で米紙ワシントン・ポストは3日付の社説で「(学校で)教える歴史は、歴史家の優れた判断に準拠するべきだ」とし、議会が立法措置により、歴史認識に判断を下すことは妥当ではないとの認識を示した。

さらに、韓国系団体がロビー活動を展開し法案を推進している現状を踏まえ、「『バージニアには韓国系が多くいる。日系人はとても少ない』という考慮によるべきではない」と反対した。

また、地元紙「リッチモンド・タイムズ・ディスパッチ」(3日付)も社説で「議会と議員は、教科書の問題に関与し学校(教育)の詳細を管理すべきではない」と指摘。「州は何であれ、連邦政府が採用しているものを採用すべきだ。それは『日本海』だ」とし、連邦政府と同様、「日本海」の単独呼称を支持すると明確に主張している。

【私の論評】中韓の反日を封印させるためには、まずは内なる敵を駆逐せよ(゚д゚)!

現在の韓国は、このブログでも紹介したように、経済はどん詰まり、国際関係では、北朝鮮の脅威に輪をかけて中国の脅威もあり、とんでもない状況にあります。そんなときに、アメリカの一州の教科書の表記をどうのこうのと言っているような余裕などないはずですが、こんなことに血道を上げるのが今の韓国です。

このバージニア州では、日本海(東海)と表記すべきことが決まりそうですが、アメリカ合衆国そのものの見解は、むろん日本海単一表記が当然のことされています。それは、下の写真ご覧いただければ、おわかりになると思います。




さて、このような合衆国の見解に抗って、バージニア州は日本海(東海)併記をしようというわけです。上記のようにアメリカのマスコミは、この動きには反対しているものも多いということです。このようなことがなぜおこるかといえば、日本のマスコミにもその責任が一端があります。

下の動画では、杉田水脈議員が、放送法に罰則規定がないことを指摘しています。



現在の日本では、放送法があっても、罰則規定がありません。河野談話についても、非難しています。

慰安婦問題も、日本海(東海)併記問題も根は同じです。まずは、日本のマスコミ、政治家の嘘です。大方のマスコミと、日本の政治家が慰安婦問題に関して嘘の見解を示す限り、永遠に解消されることはないでしよう。

日本海(東海)併記に関しても、報道しない自由を発揮して、報道しないマスコミにも問題がありすぎです。この問題について、Googleで調べてみたところ、まともに報道しているのは、産経くらいなものです。本日20:20の段階でのGoogleの検索結果を以下に示しておきます。


まともに報道しているのは、産経くらいなもので、あとは朝日テレビが報道していますが、大手の新聞社などのサイトはありません。このような報道をしない、大手新聞などは、報道しない自由という権利ばかり主張していて、義務は履行していないようです。

こんなマスコミの状況を上念、倉山両氏は、動画で徹底的に揶揄しまくっています。その動画を以下に掲載します。



詳細は、この動画をご覧いただくものとして、この動画では海外では新聞社とテレビ局が同じグループであることなどあり得ないことを掲載していました。それは、当然のことです。情報があまりにも集中してしまいます。日本では、まずテレビ局と、新聞を分離する必要があると思います。

それから、各新聞・テレビのグループを徹底的に揶揄しまくっています。この動画の中から、各グループにお二方がつけた呼称を以下に掲載しておきます。
・NHK                       =上海電視台
・読売新聞、日本テレビ=日和見保守
・朝日新聞、テレビ朝日=流行通信
・毎日新聞、TBS        =第二聖教新聞
・日経新聞、テレビ東京=観測気球
・産経新聞、フジテレビ =八百長保守
徹底的な揶揄ですが、それぞれのグループの特徴を見事に言い当てています。

日本のテレビも新聞も本当にこんなものです。かなり劣化しています。このような新聞・テレビでは、まともな報道もできず、中国・韓国を利するばかりです。やはり、日本でもテレビだけではなく、新聞も、少なくとも故意であうがなかろうが、明らかな嘘を報道したときには、何か罰則を課するべきです。

中国・韓国が反日などのバカ真似をすれば、この国々に対して厳重な抗議をすることは当然のことですが、それと同時というか、それより先くらいに、内なる敵であるマスコミ、政治家を何とかしなければなりません。それをしない限りにおいては、いつまでたっても、いわれのない中韓の反日の呪縛から解き放たれることはありません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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