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2019年9月22日日曜日

韓国・文政権「通貨スワップ」を日本に哀願 背景にウォンの脆弱さ…専門家「日本なら締結して当然と思っているのかもしれない」―【私の論評】本当は、韓国に対して生 殺 与 奪の権を持つ日本(゚д゚)!


17年8月に「通貨スワップ」に関して発言した麻生財務大臣

戦後最悪ともいわれる日韓関係のなか、文在寅(ムン・ジェイン)政権から日本との「通貨交換(スワップ)協定」の再開を渇望する声が出ている。「反日」に走り、日本製品や日本への旅行の「ボイコット」を放置しているというのに、なぜ厚かましくも日本とのスワップ再開にこだわるのか。専門家は、通貨ウォンの脆弱(ぜいじゃく)さという切迫した事情が背景にあると指摘する。

 韓国のCBSは12日、殷成洙(ウン・ソンス)金融委員長が、日本との通貨スワップ再開を希望する意思を明らかにしたと報じた。金融危機が発生した場合に外貨の流動性が保障されるほか、国家の信頼度が向上の狙いとして、人事聴聞会で「日本と新たに締結したほうがいい」と発言したという。

 通貨スワップ協定は、貿易決済や為替介入などに必要な外貨が不足した場合、外貨と自国通貨を交換し合う仕組み。経済危機の際の外貨不足に対応できる。

 1990年代後半に韓国が国際通貨基金(IMF)に救済されるなどアジア通貨危機が起きたことから、日本は東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓が参加する「チェンマイ・イニシアチブ」を主導。2001年に韓国との通貨スワップを締結した。

 11年に700億ドル(約7兆5000億円)規模まで融通枠を拡大したが12年に李明博(イ・ミョンバク)大統領(当時)が島根県・竹島に上陸するなど日韓関係の悪化を受けて規模が縮小。朴槿恵(パク・クネ)政権当時の15年、日本側の忠告にもかかわらず韓国側が一方的に破棄した。16年にいったん協議再開が決まったが、同年末に釜山(プサン)の日本総領事館前に設置された慰安婦像を韓国が撤去できず、協議は中断した。

 その後も韓国側からは何度も“ラブコール”が送られている。韓国の経済団体「全国経済人連合会(全経連)」の代表団が18年に訪日した際、自民党の二階俊博幹事長らを表敬訪問し、通貨スワップの再開をもちかけた。延世大のキム・ジョンシク教授は、今年3月の中央日報に「日本との通貨スワップを拡大することも検討する必要がある」と述べている。

 韓国が日本との通貨スワップ再開を熱望する理由について、ジャーナリストの須田慎一郎氏は「韓国の場合、ウォン建ての国債を発行してもリスクがあるため、投資家に信用されていない。急激なウォン安に備えてドル資金を確保するためにも通貨スワップ協定を結んでおきたい」と解説する。

 韓国銀行(中央銀行)の発表によれば、8月末時点での外貨準備高は約4014億ドル(約43兆4000億円)ある。リスクに備えているようにもみえるが、須田氏は「いったんウォンの買い支えを行えば外貨準備は急激に減少し、通貨危機ともなれば“瞬間蒸発”する恐れがある」と指摘する。

 日本側にとっては、韓国を助ける要素が強い通貨スワップだが、逆ギレして協定を打ち切った韓国から、勝手に再開をもちかけられている形だ。

 麻生太郎副総理兼財務相は17年8月の時点で、韓国との通貨スワップ協定について「信頼関係で成り立ってますので、約束した話を守られないと貸した金も返ってこない可能性もある」と突き放している。

徴用工裁判の原告

 現状もいうまでもなく、いわゆる「元徴用工」訴訟で国際法を無視した異常判決や軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄など問題山積で、通貨スワップ協定を再び締結できる状態にはほど遠い。

 米国との通貨スワップ協定も終了しており、再契約の見通しは立っていない状態だ。前出の須田氏はこう語った。

 「日本なら締結して当然と厚かましく思っているのかもしれない。通貨スワップは韓国への救済に等しいが、まるで韓国は『デフォルト(債務不履行)になってもいいのか?』と自らを人質に取り、日本の道連れも辞さずと脅しているようだ」

【私の論評】本当は、韓国に対して生 殺 与 奪の権を持つ日本(゚д゚)!

韓国への対応策として、「通貨スワップ」の交渉をしないというのは、かなり効き目のある対応策です。これに限らず、金融に関しては、韓国と日本との間では、信用力に雲泥の差がありますし、日本が韓国の命運を握っているといっても過言ではありません。

上の記事で、隅田氏は「韓国の場合、ウォン建ての国債を発行してもリスクがあるため、投資家に信用されていない。急激なウォン安に備えてドル資金を確保するためにも通貨スワップ協定を結んでおきたい」と解説しています。

これは、どういうことかとえば、そもそも韓国の通貨ウォンは国際通貨(ハードカレンシー)ではないし、韓国の政府系銀行は財務状況も健全ではなく、信用度は低いということです。

ウォンはドルや円とは異なり、国際通貨ではない

そこで、日本は韓国の銀行が発行する『信用状』(=貿易用の小切手)を日本の銀行が保証する枠を与え、間接的に支援しています。もし、こうした支援を打ち切ることになれば、韓国はとんでもないことになります。

貿易をしても、その決済ができないということになります。あくまで、韓国への「優遇措置」を取り消すだけでそうなります。

韓国ウォンは国際通貨ではないので、日米などのハードカレンシー国と為替取引ができなくなれば、そもそも、貿易ができなくなります。

昨年、米国は北朝鮮絡みで韓国の銀行に警告、ドルの直接送金ができなくなりました。日本のメガバンクが金融保証をやめれば、韓国は貿易ができなくなります。

それどころか、日本の大物政治家が一言「韓国向けの債券には注視することが必要だ」と口先介入するだけでも、韓国側はドルの調達ができにくくなるでしょう。

輸出依存度(GDPの40%近くを占める)が高い国だけに、輸出も簡単ではなくなり、貿易赤字は増え、通貨ウォンは売られて、価値が下落することになります。

これが現実となれば、韓国の金融面でのリスクは高まりかねないです。1997年の「アジア通貨危機」の再現も考えられます。このときに、通貨スワップは韓国にとって、強力な助っ人となるでしょうが、日本としては、再度締結することはないでしょう。

韓国に対しては、対韓輸出管理体制の強化のようなモノよりカネのほうが韓国への打撃が大きく、日本国内関係者への誤爆が少ないです。日本政府は韓国に対して、まだ強力な金融のカードを温存していると言って良い状況です。

日韓関係は、韓国が派手大騒ぎをして、いかにも主導権を握っているように見せかけたいのでしょうが、実際には主導権は日本にあるのです。このようなことを文在寅は、知った上でもなお、日本に対していちゃもんをつけ続けているわけです。日本もなめられたものです。

文在寅

しかし、日本政府は100件余りの報復カードを準備したともいわれています。現在は、やっとその1つを、しかもかなり軽いものを出しているに過ぎません。今後、段階的なカードがまだまだ準備されているということです。

 この金融カードは、かなり強力なものですが、それ以外にも日本は韓国に対して、通商農・水産物の輸入制限(農林水産省)、戦略物資の輸出制限(防衛省)、短期就職ビザの制限(法務省)、送金制限(財務省)があります。

他にも、韓国のカントリーリスクを高めるという方法もありました。これは、以前このブログで説明したので、ここでは述べません。

韓国政府の対応によっては、日本政府は、強力な経済報復に出ることが可能です。

いつまで、韓国が反日で騒ぎ回って、何も具体的な行動をしなでいられるか、見ものです。

【関連記事】

文在寅の報復は「日本に影響ナシ」どころか「韓国に大打撃」の可能性―【私の論評】断交前に韓国のカントリーリスクを高める価値は十分ある(゚д゚)!

2019年9月18日水曜日

放置は禁物、韓国政府代表が米国の新聞で日本を攻撃―【私の論評】歴史修正をしているのは韓国である(゚д゚)!

放置は禁物、韓国政府代表が米国の新聞で日本を攻撃
事実を無視して捻じ曲げる韓国外務省報道官

米国ニューヨークの高層ビル群。米国で韓国の広報活動が活発化している

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 日韓対立が激化するのに伴い、韓国の米国に向けた広報活動が活発となってきた。

 9月上旬、韓国外務省の報道官が米国の大手新聞への寄稿で、今回の日韓の衝突は結局は日本が「朝鮮半島の違法な植民地化への責任を認めていないために」起きたと主張した。また、日韓両国対立の真の原因は「日本の歴史修正主義であり、過去を反省しないこと」だとも非難した。

 外務省報道官によるこの投稿は、米国をなんとか味方につけようとする韓国の年来の告げ口外交の典型と言えそうである。日本側としても、こうした「告げ口」を封じるための米国向けの広報活動が必要だろう。

「問題の核心は日本の歴史的な修正主義」

 韓国外務省の金仁澈(キム・インチョル)報道官は米国大手紙ウォール・ストリート・ジャーナル(9月8日付)に日本政府を非難する記事を投稿した。記事のタイトルは「日本は韓国との合意を守っていない」である。金報道官は同記事でこのところの日本と韓国の戦時労働者や慰安婦問題をめぐる対立について、以下のように主張していた。

韓国外務省の金仁澈(キム・インチョル)報道官

・韓国は1965年の日韓請求権協定を忠実に守ってきたし、それを破る意図もまったくない。韓国大法院は同協定を守りつつ、日本による違法な植民地統治と侵略戦争に直接関連づけられる強制労働の犠牲者たちが受けた損害は、同協定の対象には含まれないことを指摘した。

・日本はこの協定締結への長い交渉の過程で、朝鮮半島の植民地化への法的責任を認めることを拒否してきた。韓国側は日韓請求権協定を保持しながら大法院の判決を履行する方法を探ろうと努力してきた。だが、日本側は対話を拒み、貿易面での報復措置をとった。

・この問題の核心は日本の歴史的な修正主義であり、過去を完全に反省しない態度である。

事実を無視し、捻じ曲げる報道官

 日本の朝鮮半島統治の期間中に起きた韓国側の「被害」や「犠牲」への賠償請求は、1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決された」と規定されている。だが金報道官の主張はそれを無視する形となっていた。

 しかも、日本側が韓国大法院の判決を違法であるとして、今年(2019年)1月に日韓請求権協定に基づく韓国政府との協議を要請したにもかかわらず、韓国政府は協議の要請に応じなかった。金報道官はそのことも無視し、むしろ事実を曲げていた。

 さらに、大法院判決を受けて原告が日本企業の財産差押手続を進める中、韓国政府は何の行動もとらなかった。そのため日本政府は今年5月に日韓請求権協定第3条2に基づく仲裁付託を韓国政府に通告し、仲裁の手続を進めた。しかし韓国政府は応じなかった。そのことにも金報道官の投稿は触れていなかった。

 要するに金報道官がウォール・ストリート・ジャーナルに投稿した記事は、今回の日韓対立は日本側が朝鮮半島の植民地支配の過去を反省せず、その歴史を歪めていることから起きたのだ、とする一方的な主張だった。

「反論」になっていない牽強付会の主張

 こうした韓国側の勝手な主張が、米国で最大部数を有する主要新聞になぜ掲載されたのか。

 実は金報道官の寄稿は、同じウォール・ストリート・ジャーナルの8月23日付に載った日本外務省の大菅岳史報道官による投稿への反論の形をとっていた。

 ウォール・ストリート・ジャーナルは8月3日付社説で日韓対立問題を取り上げ、日本政府の韓国に対する貿易面での優遇措置撤回を「保護貿易主義的な外交がグローバルに広がる」として批判していた。その社説に対して大菅報道官は日本の立場を説明し、日本の対韓措置が決して「保護貿易主義的な外交」ではないことや、元戦時労働者問題での韓国側の動きに対する「報復」でもないことを主張していた。

 金外務省報道官の投稿は、その大菅報道官の投稿への反論だった。だが、問題はまったく論理的な「反論」になっていないことである。韓国側は、日本の対応が「保護貿易主義」「報復措置」かどうかという論点をあえて飛び越し、今回の日韓対立はそもそもが「日本側の違法な植民地支配」や「歴史修正主義」「過去を反省していないこと」に原因があるのだという牽強付会の主張を、米国で広げる動きに出たというわけだ。

日本に足りない広報活動

 すでにこの連載コラムで伝えたように、韓国政府は米国の首都ワシントンにある「韓国経済研究所(KEI)」などを使い、シンポジウム開催や論文発表、あるいは同研究所所属の専門家の発言などを通じて韓国側の主張を米国で広める広報活動を展開している。

 一方、日本政府はワシントンの「日本広報文化センター」やロサンゼルスの「ジャパン・ハウス」という立派な対米広報施設を持ちながら、今回の日韓対立に関してはなんの広報・宣伝活動も行っていない。

 この違いのせいか、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなど米国の大手紙では、現在の日韓対立について「そもそも日本側の苛酷な韓国統治から生じた事態」とするような記述が多い。韓国外務省の金報道官のウォール・ストリート・ジャーナルへの投稿とまったく同じ趣旨である。

 日本側としては、そうした記述を否定し、韓国側の一方的な主張の広がりを防ぐ広報活動がぜひとも必要とされるだろう。

【私の論評】歴史修正をしているのは韓国である(゚д゚)!

韓国は、日本が歴史修正主義であるかのような主張をしていますすが、これは全く出鱈目です。韓国のほうが、歴史修正主義です。

韓国はことあるごとに自国を「第2次大戦の戦勝国である」と主張し、学校の教科書でも「韓国人は連合軍の一員として日本と戦った」と教えています。しかし、そのような事実はありません。それどころか、事実は全くその逆です。

日米開戦に至るまで、朝鮮の人々は日米交渉を固唾をのんで見守り、米国の一方的要求に切歯扼腕(せっしやくわん)しました。「米英撃つべし」の声が日増しに高まり、1941年12月8日、真珠湾奇襲が報じられると、彼らは内地の日本人に勝るとも劣らぬほど熱狂し「聖戦完遂」に立ち上がりました。

同月14日には、朝鮮の人々による朝鮮臨戦報国団全鮮大会が開催され、戦後商工大臣になった詩人の朱耀翰(チュ・ヨハン)は次のように訴えました。

朱耀翰(チュ・ヨハン)氏

「正義人道の仮面を被り、搾取と陰謀をほしいままにしている世界の放火魔、世界第一の偽善君子、アメリカ合衆国大統領ルーズベルト君」「しかし、君らの悪運は最早尽きた」「一億同胞…なかんずく半島の二千四百万は渾然一体となって大東亜聖戦の勇士とならんことを誓っている」

こうして大東亜戦争が始まると、特別志願兵募集に朝鮮の若者が殺到した。42年には、採用数4077人に対し、25万4273人が応募している。適齢期の健康な男子の大半が志願したことになります。朝鮮は儒教国家であり、応募するには父母、親族の許しが必要でした。大東亜戦争へ対する朝鮮民族全体の圧倒的な支持があったことがうかがわれる数字です。

このような高倍率を突破して合格した青年たちは、当然ながら優秀であり勇敢でした。38年に志願兵第一期生として入隊した崔慶禄(チェ・ギョンロク)はニューギニア戦線で一個小隊を率いて米軍に切り込みをかけ、全身に被弾しました。


部下の出田上等兵に担がれて後退し、新兵当時から彼に目をかけていた参謀長の小野武雄大佐がこれを発見しました。「彼を死なせては陛下と朝鮮人民に申し訳がたたん」と叫んで手厚く後送し、ようやく一命を取りとめた。(=出田上等兵はその場で絶命、小野大佐も戦死しました)

崔慶禄は戦後、外交官となり駐英、駐日大使などを歴任しています。駐日大使着任時には、天皇陛下に信任状を奉呈する際、通常10分のところ、かつての大元帥陛下と切り込み隊長は40分にわたって話し込んだといいます。万感の思いがこみ上げたのではないでしょうか。

大東亜戦争で、朝鮮の人々はよく戦いました。軍人と軍属合わせて合計24万人あまりが前線に赴き、アジアの植民地を解放するために日本人と生死をともにしました。

このような詳細までは、知らなくても、前後しばらくの間は、日本人も韓国人もこのような事実の概要は知っていました。知っていたというか、自ら体験していました。それは、子供の代にも受け継がれました。

そのため、少なくとも、現在70歳以上の人たちは、このような歴史を日本人も韓個人も共有していました。だから、これらの人たちが多数行きていた戦後まもなくからしばらくまでは、韓国が歴史修正主義的なことを主張しても、それを日本でも韓国でも社会が受け入れませんでした。

ところが、1990年代から様子が変わってきました。このように歴史を正しく継承してきた人たちが大勢亡くなっため社会の中では少数派になってしまいました。

韓国の歴史修正主義が始まったのは、このあたりからです。さらに、体系的、組織的な反日教育もはじまりました。現在のものごころついた世代以上〜30歳台くらいまでの若い世代が、反日教育を受け、現在に至っています。

私は、このブロクでは、韓国は日本にとって無視すべき国としていますが、無視と放置は違います。無視とは、存在価値を認めないこと、あるいは、あるものをないがごとくみなすことをいいます。放置とは、そのままにしてほうっておくこと。所かまわず置きっぱなしにしておくことです。

韓国が日本に対して歴史修正をし続けるのであれば、このことについては、放置するわけにはいきません。韓国を無視するためにこそ、放置は禁物なのです。

【関連記事】

2019年9月13日金曜日

韓国のタリバン、文大統領を一刀両断―【私の論評】経済的に無意味になり、安全保障上では空き地になる韓国、対処法は簡単!無視(゚д゚)!

韓国のタリバン、文大統領を一刀両断

イェン・ア・ジョ氏


曺国氏を法務長官にしたいわけ

「韓国のタリバン」とまで言われている反日原理主義者、文在寅大統領が不正疑惑だらけの腹心曺国(チョ・グク)前民情首席補佐官*1を予定通り、法務長官に任命した。

*1=民情首席補佐官とは、大統領の側近中の側近が就くポスト。国内の情報・世論対策、国政全般の情報活動総括、政府高官の監督・司法警察組織の統括で大統領を直接補佐する。文在寅氏もかって廬武鉉大統領の民情首席補佐官だった。

 米国で言えば、不正疑惑の大統領首席補佐官だった人物を「司法の番人」にしたようなものだ。

 不正疑惑だらけのドナルド・トランプ大統領には慣れっこになっている米国民にとっても「文在寅とかいう容共大統領は何を考えているのか」という反応だ。

 ワシントンの「コリア・ハンド」(韓国通)はこう見ている。

 「この人事は文在寅氏にとっては最大の賭けだ。失敗すれば政権は崩壊する。政権の終わりの始まりになるかもしれない」

 なぜ、文在寅大統領が曺国氏の任命に固執したか。この韓国通は続ける。
曺国(チョゴク)氏

 「歴代大統領は、絶対的権限を持った検察を使って反対政党の前任者を刑務所に送り込んできた。汚職や収賄は韓国社会ではつきもの。誰でも叩けば埃は出る」

  「現職大統領が検察に目配りすれば、大統領経験者でも刑務所送りにできる」

 「文在寅政権の後に保守政権が出てくれば、文在寅氏も同じような目に遭うのは必至。それを防ぐには法律で絶対的権限を持つ検察当局の権限を弱める司法改革が必要になってくる」

 「司法改革を実現するキーパーソンが腹心の曺国氏。不正疑惑に遭おうが遭うまいがどうしても法務長官につかせたかったのだろう」

 「文在寅大統領は、この賭けに勝っても負けてもそう長くはなくなった」

文氏と共に一掃される「386世代」

 かってハーバード大学客員研究員だったこともある朝鮮情勢に詳しい研究者は筆者にこう指摘している。
 「文在寅政権は、左翼・反日・反米の『386世代』*2が牛耳る政権だということを忘れてはならない。彼らは青瓦台で文大統領、李洛淵・国務総理、蘆英敏・大統領秘書室長の周囲を固めている」

 「南北に分かれた民族同胞が一つになる、つまり南北朝鮮統一こそが最優先課題だと考えている」
 「北朝鮮の核廃絶には熱心ではない。文大統領が北朝鮮の非核化よりも南北の関係改善に重きを置いているのはそのためだ」

 「南北朝鮮統一が実現できるのであれば、北の核の存続も厭わない。それどころか『核つき南北統一朝鮮』をも目論んでいるかもしれない」

*2=全斗煥政権を倒す原動力となった民主化運動若年層。1960年代生まれで当時30代、80年代には大学生だった世代のこと。90年代にできた造語。当時売れていたインテルの32ビットマイクロプロセッサー「Intel 386」をもじっている。

https://www.straitstimes.com/asia/east-asia/moon-jae-in-should-listen-to-the-2030-generation-the-korea-herald-columnist

http://www.koreatimes.co.kr/www/opinion/2019/07/164_272924.html

 裏を返せば、この「386世代」が去らない限り、ここまで拗れた日韓関係の改善はあり得ないということだ。反日のみならず反米志向は今後ますます強まっていくだろう。

次期政権で美人学者が中枢を担う?

 そうした中で今米国のアジア問題専門家の間で注目されている論文がある。

 この論文を読んだ元米外交官の一人は、「彼女は文在寅が政権を去った後には韓国政府の中枢で働く存在になる」とまで褒めちぎっている。

 論文のタイトルは『Moon's Failed Balancing Act』(失敗した文在寅のバランス政策)

http://www.theasanforum.org/moons-failed-balancing-act/

 執筆者は在米のイエン・ア・ジョ氏。現在コーネル大学博士号課程にいる若手女性国際政治学者だ。

 写真をご覧になればお分かりの通り、なかなかチャーミングな女性だ。

 オランダの名門ユトレッチ大学を経て、オックスフォード大学院で国際政治学で修士号を取得、コーネル大学大学院に進んでいる。

 これまで韓国国連代表部軍縮担当顧問などを歴任。現在は峨山政策研究所*3発行の英文『峨山フォーラム』副編集長を兼務している。英語が堪能なイエン氏は編集責任を任される一方、随時健筆を振るっている。

*3=2008年に韓国の現代財閥を築いた鄭周英氏の6男で現代重工業の大株主、鄭夢準氏が設立した韓国有数の超党派シンクタンク。鄭夢準氏は元国会議員。ジョンズ・ホプキンズ大学で国際政治学博士号を取得。

 イエン氏は韓国生まれだが、韓国では高等教育を受けていないようだ。略歴には英語と朝鮮語のバイリンガル、フランス語は日常会話ができると記されている。

 この論文は6600字。公表されたのは8月28日だ。

 韓国情報と米国情報を読み解き、しかもソウルではなく、ニューヨーク・イサカ(コーネル大学所在地)で米研究者たちの助言を得て書き上げた論文は「岡目八目的」視点に満ちあふれている。

 文在寅大統領の二国間、多国間外交の現状を記述する中で、韓国が外交的チャレンジにどう対処するか――進歩派(与党)と保守派(野党)との分裂が拡大している点を強調している。

 与党と野党は、米朝関係、日韓関係、米中貿易戦争でことごとく対立している。イエン氏は、日韓関係を巡る韓国内分裂についてこう分析している。

 「今韓国内で起こっている論争は、なぜ日韓関係はここまでこじれてしまったのか、誰の責任なのか、そしていかに対処するかを巡っての論争だ。保守派の主張はこうだ」

 「日韓関係の亀裂を生じさせた責任は、状況に効果的に対処できず、日本に貿易面で攻勢を仕かける引き金を引かせた文政権にある」

 「その理由ははっきりした計略も計画もないままに、警戒すべき兆候を無視し、戦略的には何らの対処策も講じなかった」

 「一方、進歩派の主張はこうだ」

 「文政権が非論理的で非生産的だったからこうした現状を招いたという批判は全く当たらない。悪いのは日本だ」

 「韓国の最高裁判決をタテに貿易面で報復措置に出た。日本の報復措置は分別ある外交においては非民主的戦術以外の何物でもない」

 現状打開に向けて韓国はどう行動すべきか。イエン氏はここでも韓国内は分裂していると指摘している。

 「保守派は『目には目を的な報復行為は避け、米国が仲介する外交的決着を進めるべきだ』と主張している。一方、進歩派は米国の仲介には難色を示している」

 「米国の仲介は韓国にとっては好ましい結果を生みそうにないという理由からだ」

 「進歩派はこう見ている」

 「日米は今や戦略的諸問題では米韓とは比較にならないほど近い関係にある。米国が打ち出しているインド太平洋戦略構想、対北朝鮮制裁、中国大企業ファーウェイ問題でも日米は完全に一致している」

「それに比べて韓国はこの3点では米国の主張を受け入れるのには消極的だ」

脱線した「ツートラック戦略」

 イエン氏は文在寅大統領がなぜ反日スタンスをとり続けているかについてこう指摘している。

 「文在寅大統領は当初、対日政策では『ツートラック戦略』の実施を考えていた。つまり、歴史認識問題と通商・安全保障問題とを分けて行おうとした」

 「だが前政権が日本政府との間に交わした慰安婦合意を精査するよう命じたところからおかしくなってきた」

 「合意には瑕疵があると結論づけた。同合意の修正や日本との再交渉には言及しなかったが、結局同合意で設置された半官半民の『和解・いやし財団』は解散させてしまった」

 「それに加えて文在寅大統領は徴用工問題の再検討を言い出した。安倍晋三政権はすべて解決済みの問題だと反発。その結果、歴史認識問題は貿易問題と絡み合ってしまった」

 「文在寅大統領の刺々しいトリックは、植民地時代の行動を悔い改めようとしない日本の強情さに対する韓国民の反発に火をつけてしまった」

 「世論調査では韓国民の50%が日本は友好国ではないと答え、80%が安倍首相を嫌いだと言い、75%が日本人は信用できないと答えた。82%が日韓関係は悪いと答えた」

 イエン氏はこうした韓国内の状況を詳細に記述。これを受けて韓国政府がどう対応したかに触れている。

 「文在寅政権は日本の動きに対抗するため国力を総動員した。だが世界貿易機関(WTO)や東南アジア諸国連合(ASEAN)拡大首脳会議などの場で対日批判をしたが他の国々は韓国の主張を支持しなかった」

 「米国に仲介役を要請したが米国は日韓のいざこざには関心を示そうとしなかった」

米中を天秤にかけた外交

 イエン氏によれば、文在寅大統領の外交方針は、「Balanced Diplomacy」(均衡の取れた外交)だ。米国との同盟関係を堅持しつつ、中国に接近する外交である。

 「文在寅大統領は2017年にこう発言している」

 「韓国にとって中国との関係は、ただ単に経済協力面だけではなく、戦略的協力面でもより重要になってきた。北朝鮮の核を平和裏に廃棄するうえで中国との関係は重要だからだ。そのため我が政権は米中との均衡のとれた外交関係を追求するのだ」

 「ところが2019年の6月から8月にかけての2か月間は、韓国にとっては全身麻痺の混乱状態に陥った」

 「中国の習近平国家主席は北朝鮮の平壌を訪問し、金正日朝鮮労働党委員長が喉から手が出るほど欲しがっていた外交的お墨付きを与えた。文在寅大統領の再度の訪韓要請は断っているにもかかわらずだ」

 「トランプ大統領は板門店で第3回目の会談を行ったが、両首脳はそこにいた文在寅大統領を無視、その後、金正恩委員長は文大統領を公然と非難している」

 「安倍首相は大阪で開かれたG20(金融・世界経済に関する首脳会合)出席のため訪日した文大統領との首脳会談を拒否。日本は韓国の半導体製造に不可欠な3品目の対韓輸出管理体制を強化した」

 「折からの米中貿易戦争のあおりを受けて米中からの対韓プレッシャーは強まり、米中は韓国にどちらにつくかと迫ってきている」

 「まさに文在寅大統領を取り巻く国際環境は、日韓関係のみならず、米中との関係でも厳しさを増している」

 「文在寅大統領の「均衡のとれた外交」が言うは易く、行うは難しであることを実証してしまった」

 「警戒警報を見落としていた」

 だが、文在寅大統領が辞めるとすれば、この「均衡のとれた外交」が失敗したからではない。曺国人事への国民世論に火がつき、反文在寅機運が燎原の火のように韓国全土に広がった時だろう。

 それを受けて来年4月の議会選挙で与党が惨敗した時かもしれない。弾劾の動きも出てくるかもしれない。

 その時、政権の座に返り咲いた保守党は「均衡のとれた外交」に代わるどのような外交を展開するのか。

 イエン氏は新政権の出方に直接、言及してはいない。しかし、現状を保守派の政治家や識者がどう見ているかを指摘することで文在寅大統領政権に取って代わる保守党がどのような外交を展開するかを示唆している。

 「保守派もまた日本政府の対応が均衡を欠く(Disproportionate)であるとは見ている。だが保守派は、文政権は日本に貿易面で引き金を引くのを止めさせるだけの効果的措置を採るのを怠った、と指摘している」

 「対日関係の悪化状況を示す警戒警報を無視、状況が悪化し、取り返しのつかない事態になるのを放置していたわけだ」

 日韓関係を正常に戻すために保守派はどうするか。

 「保守派はいかなる形式による日韓同士の『売り言葉に買い言葉』(Tit-for-tat)には反対だ。やはり米国に仲介役を演じてもらう外交的解決しかないと見ている」

 「保守派は米国の仲介が韓国にとって都合の良いものではないかもしれない。今や日本と米国との距離は韓国とは比べ物にならないほど親密だからだ」

 「米国に(公正な)仲介役を頼むうえで韓国に必要なことは、例えば今注目を集めているホルムズ海峡を航行する船舶を守る有志連合に参加し、米国の同盟国であることを強調することだ」

 日韓関係を正常化させるにはやはり米国の仲介役、つまり助けが必要。そのためには米国との同盟国をここで明確に示せ――が保守党の外交方針というわけだ。

 つまり「均衡のとれた外交」から「米韓同盟強化」への転換ということになる。

 だが、米中を天秤にかける文在寅大統領の「均衡の取れた外交」「朝鮮民族第一主義」の熱に酔いしれてきた韓国の「衆愚」がおいそれと米韓同盟強化についていけるかどうか。米韓日三角同盟に回帰できるかどうか。

 このあたりは予見しがたい。いずれにせよ、イエン氏の論文が米国のアジア通に注目されている理由が分かるような気がする。


筆者:高濱 賛
特に、戦略的な分析という点からは、物足りない感じがしました。なぜそのように私が感じるのかといえば、世界屈指の戦略家であるルトワック氏の著書『自滅する中国』(2012年出版)を読んでいたからだと思います。

エドワード・ルトワック氏
●国家は普通は独立を尊ぶものだが、従属したがる国もある。それが韓国だ。 
●彼らは中国と中国人にたいして、文化面で深い敬意を持っている。中国の「マーケットの将来性」にもその原因がある。 
●韓国における中国と中国人への尊敬の念は明の時代にまでさかのぼることができる。その一番の担い手は、知的エリートとしての官僚である両班だ。 
●面白いことに、中国文化の影響が非難されるのは北朝鮮。北では漢字は事実上禁止され、ハングルの使用だけが許されているほど。 
●韓国では教育水準が高ければ高いほど反米の傾向が強まる。しかも最近はアメリカが衰退していると考えられているために、中国の重要性のほうが相対的に高まっている。個人で中国でビジネスを行っている人が多いという事情もある。 
●極めて奇妙なことに、韓国は大規模な北朝鮮の攻撃を抑止するのは、グローバル規模の軍事力を持つアメリカの役目だと考えられており、実際に天安沈没事件や延坪島の砲撃事件にたいしても(死者が出たにもかかわらず)ほとんど報復は行っていない。 
●つまり実際のところ、韓国政府は米国と中国に依存する従属者となってしまっている。米国には全面戦争への抑止力、そして中国には一時的な攻撃にたいする抑止力を依存しているのだ。 
●ところがこれは、米国にとって満足できる状況ではない。韓国を北朝鮮から庇護するコストとリスクを、米国は独力で背負わなければならないからだ。 
●その上、韓国への影響力は中国と折半しなければならない。中国は北朝鮮への統制を中止すると脅かすことで、常に韓国政府を締め上げることができるからだ。今のところ韓国が中国に声を上げることはない。 
●米韓同盟を形成しているものが何であれ、そこには共通の「価値観」は含まれていない。なぜなら韓国はダライラマの入国を中国に気兼ねして堂々とビザ発給を拒否しているからだ。 
●現在のような政策を保ったままの韓国は、いわゆる「小中華」の属国として、しかも米韓同盟を続けたまま、中国による「天下」体制の一員となることを模索しているのかもしれない。韓国が自国の安全保障のコストとリスクを受け入れず、かわりに従属者になろうとしているのは明らかだ。 
●このような韓国の安全保障の責任を逃れようとする姿勢は、「日本との争いを欲する熱意」という歪んだ形であらわれている。ところが日本との争いには戦略的に何の意味もないし、日本へ無理矢理懲罰を加えても、韓国側はリスクを背負わなくてすむのだ。
いかがでしょう。このルトワックの分析の要点をさらに簡潔にまとめれば、 
1.米国に従属している韓国は、同時に中国にもすり寄っていこうとしている。 
2.その大きな理由は二つ:歴史的・文化的な面での尊敬と、ビジネスのチャンスだ。 
3.安全保障面では、北のコントロールを中国に、そして全面戦争の抑止は米国に依存。 
4.その責任逃れの憂さ晴らしとして、日本にたいする情熱的な敵対心を展開。

まず、非核化した北朝鮮がアメリカの戦略的な保護の下で、経済的に発展するというシナリオ、いわゆる「ベトナム・モデル」です。この「北朝鮮のベトナム化」は、日本にとっても最善の選択肢といえます。

次の選択肢は、意外にも「現状維持」だといいます。金正恩の独裁体制が続き、もし米国による先制攻撃などによって強制的な非核化が実現しても、ダメージを受けた北朝鮮の政権が生き残る可能性はあります。それでも、第三の道、北朝鮮が非核化し、朝鮮半島が中国の支配下に入るよりは遥かにマシなのです。

北朝鮮の核兵器は、日本の安全保障にとって最大の脅威です。ところが、戦略面では日本にとってポジティブな要素なのです。なぜなら、それが北朝鮮の中国からの戦略的な独立を保障し、中国による朝鮮半島の支配を防いでいるからです。北京が平壌を制御できる状態になれば、韓国も支配下にされる可能性があります。

なぜなら韓国内には中国の冊封体制を受け入れたい勢力があるからです。換言すれば、平壌は中国から朝鮮半島の独立を実際に保障しているのですが、韓国政府、文在寅はその独立にまったく貢献していません。日本にとって核武装した北朝鮮は最悪ですが、中国に支配された朝鮮半島は、さらに最悪の安全保障上の脅威となります。

ソウルは一度敵の手に落ちたのだか、米国再三の要求にもかかわらす、未だに移転していない

ここで問題となるのは、韓国という国の戦略的な脆弱さです。ソウルは北との国境線である非武装地帯から近く、対空防衛システムや防空シェルターなども十分ではないという脆弱性を晒しており、韓国の軍隊は自国をまったく守れない状態にありました。というのが40年前の状況でしたが、実は今も全く同じなのです。

政府機能や民間企業の本社などを、ソウルから遠くに分散するなどの対策を一切実行していません。空襲に対応するシェルターも不十分です。40年前と違うのは、北朝鮮が核兵器や長距離ミサイルを開発したことだけです。もし戦争が起きれば、北朝鮮は最初の一撃で韓国の指揮所や対戦車兵器などを潰せます。

40年前にアメリカが提案した、首都機能を南に移すことや、企業の光州への移動や、軍事面での72項目にものぼる細かい変更など、ほとんどなされていません。半島有事の際に作戦を指揮する権限は、いまだに韓国軍ではなく在韓米軍司令官にあります。米国側が長年、返還を示唆しても逃げ口上を駆使して延期し続けています。さらに韓国は、北朝鮮の核開発を阻止する動きは全く見せていません。

ルトワック氏は韓国を強く批判し、次のように述べています。
韓国は北朝鮮の非核化には殆ど興味がなく、金正恩体制の崩壊は望んでいない。日米が直面しているのは「朝鮮半島問題」で、二つの国で構成されている。一つは北朝鮮であり、どんな手段でも核武装解除を進めるべき国である。そしてもう一つは、韓国という無視すべき国である。
もう、韓国の未来などはっきりしすぎています。韓国は元々の基本方針である、「小中華」の属国として、しかも米韓同盟を続けたまま、中国による「天下」体制の一員となることを模索しつづけるのでしょうが、それは大失敗に終わります。これは、文在寅の失敗というよりは、韓国の失敗とみるべきでしょう。

そうして、韓国のこの基本的なスタンスは、文在寅が大統領を辞任したとしても、ほとんど変わらないでしょう。無論、実際韓国という国は、朝鮮戦争終了時の時から何も変わっていません。その国が政権が変わったからといって突然変わるということはありません。

最悪のシナリオとしては、このブログにも過去に何度か掲載したように在韓米軍が撤退する間際に、米国とその同盟国による韓国の経済焦土化が実施され、韓国は経済的にも安全保障的にも無意味な存在となりでしょう。

そうなると、いきなり軍事バランスが崩れると考える人もいるでしょう。ただ、そうはならないでしょう。韓国は日米の信頼を失っているわけですが、それでは中国や北朝鮮の信頼を得られかといえば、そんなことはないからです。

将来の韓国は、経済的には取るに足らない国となり、安全保障的には空き地のような存在になるでしょう。北朝鮮は38度線の防備を固め、韓国人難民などが越境させないようにするでしょう。

金王朝を継続させることを最大の任務と考える、金正恩はチュチェ思想とは無縁の韓国人が北朝鮮領内に入ることは到底許容できません。彼の頭の中には、当面南北統一などの考えはないのです。

それでは、一時でも、文在寅の南北統一呼びかけに関心を示したかのように振る舞ったかといえば、まずは、米国との間をとりもってほしかったのと、継続する制裁をなんとか終わりにするか、韓国による制裁破りを期待したからです。

しかし、金正恩は自ら、米国と直接交渉できるようになったので、米国交渉して、金王朝の継続をトランプに認めさせ、そのひきかえとして、制裁をやめてもらうなどのことは自分で直接交渉できるわけで、韓国に頼る必要など全くなくなったのです。

こうなると、中国に有利で、中国はすぐに朝鮮半島一帯を傘下におさめてしまうという人もいるかもしれません。

しかし、そうはならないでしょう。なぜなら金正恩は、中国の干渉を極度に嫌っているからです。結果として、北朝鮮ならびにその核は、中国が朝鮮半島全体に浸透することを防いできましたし、韓国から在韓米軍が撤退したとしても、すぐ近くの日本で、在日米軍が目を光らせています。

さらに、金正恩は金王朝に何の敬意ももたない韓国人が北朝鮮領内に入るのを拒み続けるでしょう。この状況は変わらず、結局韓国は周辺国にとって、安全保障上の空き地のような存在になるでしょう。

最悪のシナリオになったにしても、現在の状況は変わらず、結局韓国だけが、経済的に取るに足りない国になり、安全保障的には空き地のような存在になってしまうでしょう。

だかこそ、日本にとって韓国はルトワック氏のいうように、無視すべき国なのです。

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2019年9月12日木曜日

韓国で「恐怖のスタグフレーション」進行中か 消費者物価上昇率が8カ月連続0%台、新「漢江の奇跡」に疑問―【私の論評】韓国経済の悪化の根本原因は、誤った金融政策にあり(゚д゚)!

韓国で「恐怖のスタグフレーション」進行中か 消費者物価上昇率が8カ月連続0%台、新「漢江の奇跡」に疑問

現在韓国では若者が「ヘル朝鮮」と呼ぶ状況が続いている

韓国の8月の消費者物価指数が、対前年同月比でマイナス実数値(マイナス0・04%)を記録した。1965年に統計を取り始めてから初めてのマイナスだ。8月は気候によって農水産物が変動しやすいが、2019年1月から連続して0%台なのだから、これはすごい。

 輸入依存度が高い国で、その通貨はこの1年間、対ドルでも、対円でも下落してきた。それなのに消費者物価上昇率が8カ月連続して0%台とは、新「漢江(ハンガン)の奇跡」と呼ぶべきかもしれない。

 ところが、この1年間の物価関連ニュースをチェックすると、「奇跡」への疑問は広がる一方になる。

 韓国の場合、最低賃金引き上げで、賃金は上昇しているが、税金や年金支払いの増額で、世帯当たりの可処分所得は減っている。

 さらに、生計費に占める外食費の比率がとても高い。外食費比率(17年)は日本が4・8%なのに対して、韓国は13・3%にも達する。自炊をしない単身世帯が多いことが背景にある。

 そういう構造的要因を抱えるなかで、韓国の喫茶店、ハンバーガーショップなど軽食店は今年1月、5~20%の値上げに踏み切った。法定最低賃金の大幅引き上げに伴う措置だった。が、消費者物価指数は対前年同月比0%台。

 3月には、市外バス運賃が平均11%値上げした。タクシーも27%値上げした。しかし、0%台行進は続いた。

 今年1-3月期の消費者物価動向を、中央日報(19年4月30日)が以下のように総括していた。

 「上昇率は前年同期比0・5%だが、同じ期間に必須消費品目の価格は大きく上昇した。穀物価格が急騰してコメが18・5%、玄米が23・1%、もち米が24・7%、大豆が21・4%上がり、牛肉は国産が2・2%、輸入が2・8%、鶏肉が10・9%上昇した。水産物もスルメが15・6%、タコが21・1%、練り製品が9・9%、塩辛が4・2%など大幅な上昇を示した。牛乳が5・4%、醗酵乳が4・2%上がった。ここにリンゴが6・9%、ナシが41・1%、モモが22・6%など主要果物価格も上昇した」

 それでも0%台行進の理由を、同紙はこう書いている。

 「(物価指数の計算を)構成する項目の中にはマイナス上昇率を示し価格が下がった品目もあるが、高いプラス上昇率を示したものもある。ところが価格が下がったのは、たいてい消費者が買わなかった結果の可能性が大きい。購入していない品目の低い価格は体感できない」

 おかしな日本語訳文だが、要は国民の日常生活とはほとんど関係ない物品が消費者物価指数の計算項目に入っていて、それらの物品の値下がりが、全体の指数を0%台に抑えているということだ。

 となると、韓国は何のために消費者物価統計を取っているのだろうか。

 最近は安い居酒屋も値上げしている。焼酎シェア1位の「チャミスル」の出庫価格が6・45%上がったことがきっかけだ。ソウルの冷麺は、盛岡冷麺の名店よりも高くなった。

 韓国の民間シンクタンクは9月8日、19年の予測成長率を2・1%から1・9%に引き下げた。「スタグフレーション」進行中と思われるが、韓国の国営放送は、おかしな消費者物価指数を根拠に「デフレへの憂慮が広がる」と報じている。

 ■スタグフレーション 景気後退と物価上昇が同時に発生する現象。賃金が上がらないのに物価が上昇し、資産価値が減っていく。国民生活は困窮し、「最悪の経済状態」と言われている。

 ■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。著書・共著に『悪韓論』(新潮新書)、『崩韓論』(飛鳥新社)、『韓国リスク』(産経新聞出版)など多数。

【私の論評】韓国経済の悪化の根本原因は、誤った金融政策にあり(゚д゚)!

確かに、室谷氏の語るように、価格の0%台行進についての、中央日報の記事は、何を書いているのか全く意味不明です。しかし、これについては、日本の報道機関も似たりよったりです。

このようなことは、新聞記者の経済知識があまりに乏しい(室谷氏も含めて、ただし室谷氏は、経済記者ではないので致し方ないか???)ため、「個別価格」と全体の「一般物価」がしばしば混同されていることに起因しています。つまり、雇用改善などを受けた値上げや消費の伸び悩みを受けた戦略としての値下げなど個別企業の動きと、マクロ経済を反映した物価全体の動きについて、区別されていないのです。

個別価格は、それぞれの商品に付けられている価格であり、誰でもイメージできるできるでしょう。

一般物価については、例えば消費者物価指数が典型例ですが、イメージが難しいです。それぞれの個別物価を指数化して、各商品の加重平均ウエートで平均を取るという作り方です。これは、韓国でも同じような方法で計算されています。韓国の統計がおかしいということではありません。

この手法だけを見れば、各商品の積み上げによって一般物価が算出されるので、ある商品の個別価格の上昇がそのまま一般物価に反映されると思ってしまうかもしれません。しかし、そうならないところが、マクロ経済学のポイントです。

これは、ノーベル経済学賞を受賞したミルトン・フリードマン氏が指摘した「スイッチ効果」と呼ばれます。ある財の個別価格が上昇すると他の財を節約し、その消費が減少することでその財の個別価格が低下するので、結果として一般物価には変化がないというものです。

ミルトン・フリードマン氏

もっとも、現実にはある個別価格の変化がただちに他の個別価格の変化をもたらすような価格伸縮性があるわけでありません。このため、短期的には大きな個別価格の変化があった場合、それは一般物価の変化にも影響しますが、数年単位でみれば、価格は伸縮的になるので、スイッチ効果が認められます。

いずれにしても、こうした事情を踏まえると、長期的な視点を含む政策論で考えるときには、個別価格と一般物価は区別したほうが良いです。

個別価格は各財の競争状態で決まります。つまり、ニーズが高かったり、供給が少ないと個別価格は上昇します。

一般物価はどうかといえば、スイッチ効果で説明したように、所得が一定であれば、高いものを買うときは他のものを控えるのですが、所得が大きくなれば、他の財の節約は必要なくなります。ということは、所得に応じて一般物価が決まってくるわけです。

これをマクロ経済の言葉で言えば、有効需要によって基本的には一般物価が決まります。このため、GDPギャップ(潜在GDPと実際のGDPの差)によって、インフレ率(一般物価の変化率)が決まるのです。

その際、インフレ率のみならず失業率も決まります。ここがマクロ経済学のキモです。有効需要をコントロールするために、金融政策と財政政策があるので、それらの即効性や遅効性を考慮しながら、マクロ経済管理をするわけです。
こうしてみても、個別物価の動きと中期的なインフレ目標の関連は薄いです。

韓国の場合は、2019年1月から連続して物価上昇率が0%台というのですから、これはもうすぐに量的緩和策をとるべきです。

韓国消費者物価指数の推移 2019年 1月-9月

さらに、マクロ経済的には、インフレ率のみならず失業率もきまるわけですから、失業率を減らすためにも、何をさておいてもまずは、金融緩和しなければならないはずです。

ちなみに、韓国では昨年金融緩和をせずに、最低賃金だけをあげるという、立憲民主党の枝野代表の主張する経済政策を実行して、雇用が激減しました。


韓国は7月12日、2020年の最低賃金を前年比2.9%増の8590ウォン(約790円、時給ベース)とすることを決めました。1988年の制度開始以来3番目に低い伸び率となります。文在寅(ムン・ジェイン)政権は「所得主導」の成長を掲げ、18年(16.4%)、19年(10.9%)と2桁上昇が続いたのですが、賃上げが雇用減を招いているため一転して抑制に転じことになったのです。

では、韓国銀行(韓国の中央銀行)はどのような政策を採用しようとしているのでしょうか。

韓国銀行(中央銀行)は7月18日、市場の据え置き予想に反して政策金利を1.75%から1.50%に25ベーシスポイント(bp)引き下げました。利下げは2016年6月以来、3年ぶりです。

しかし、その後の動きはありません。最低賃金の引き上げで雇用が激減、物価の上昇率がo%台の状況が1月から続いているというのですから、利下げは当然のこととして、量的緩和もすぐに実施すべきです。

なぜ実行しないのか、本当に不思議です。この状況に陥っても、なお金融緩和しないことこそ、私は"新「漢江の奇跡」"の奇跡と呼びたいです。

文在寅大統領は、金融緩和せずに最低賃金だけ上げて、雇用を激減させるという愚かな政策をしたということからも、経済、特にマクロ経済がわからないのははっきりしていますが、誰か取り巻きで理解している人はいないのでしょうか。

韓国が金融緩和するとすぐに、キャピタルフライトするなどという人もいますが、これはこのブログの過去の記事にそうでないことを示しました。韓国自体が外国から多額の借金をしていれば、その可能性はありますが、実体はそうではありません。あれから多少時がたっていますが、現状ではこれはまだあてはまると思います。

最近では、日本との関係悪化が、韓国経済を悪化させているという人も多いですが、私はそれ以前に文在寅大統領の、金融緩和をしないで、最低賃金だけあげるという、マクロ経済政策に反した政策が大失敗し雇用が悪化し、なおかつ物価上昇率が0%台であっても量的緩和をしないということが、根本の原因であると思います。

これなしに、たとえ日本との関係を良好にしたとしても、それだけで韓国経済は良くならないです。無論、日韓関係を良くすれば、経済の伸びしろを増やすことはできるでしょうが、それだけでは根本原因が除去されるわけではありません。

何があっても、量的緩和を行わない韓国銀行は、まるで白川総裁までの日銀のようです。そうして、最近の日銀は、イールドカーブコントロールを採用してから、引き締め気味です。そのため、消費税増税ともあいまつて、日本でも物価目標がなかなか達成できていまん。とはいいながら、緩和はしているので、韓国よりはましです。特に、雇用状況は良いです。

いまのままでは、韓国では雇用は改善されず、物価上昇も、賃金上昇も見込めず若者にとってはヘル朝鮮の状況はまだまだ続くことでしょう。

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2019年9月4日水曜日

驚きの事実、韓国は北朝鮮内を偵察できていなかった―【私の論評】今のままだと、韓国は周辺諸国からは安保でも経済でも「どうでも良い」国に成り下がる(゚д゚)!

想像以下だった情報収集力、GSOMIA破棄で打撃を受けるのは韓国

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

安倍総理と文在寅大統領

 韓国の日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄は日韓両国にどのような影響を与えるのか。さまざまな意見が飛び交うなか、朝鮮半島の軍事情勢に精通した米国の専門家が、同協定の破棄は韓国側にとってきわめて不利になるという見解を公表した。日本は偵察衛星を使って北朝鮮内部のミサイル発射の動向などを探知できるが、韓国にはその能力がないからだという。元米軍高官の同専門家は、今回の韓国の措置は米韓同盟を傷つけ、北朝鮮や中国を有利にするだけだとして厳しく非難している。
日本と韓国の情報収集ギャップ

 同専門家は、現在ワシントンの安全保障研究機関「民主主義防衛財団(FDD)」の上級研究員を務めるデービッド・マックスウェル氏である。マックスウェル氏は韓国のGSOMIA破棄についての見解を、防衛問題専門紙の「ディフェンス・ニュース」(8月29日号)に論文として発表した。

デービッド・マックスウェル氏

 マックスウェル氏は米国陸軍の将校として在韓米軍・参謀本部に勤務した経験を持つ。在韓米軍では特殊作戦部長を務めたほか、在日米軍や国防総省にも勤務した。陸軍大佐として2011年に退役した後は、米国防大学やジョージタウン大学で朝鮮半島の安全保障などについて教えると同時に、FDDの研究員としても調査や研究を続けてきた。

「韓国は北朝鮮とその支援国の手中に陥っている」というタイトルの同氏の論文は、韓国が日本との軍事情報を交換する協定の破棄を決めたことの誤りや危険性を強調していた。

 同論文がとくに注目されるのは、韓国には人工衛星で北朝鮮内部の軍事動向を探知する偵察能力がまったくないという指摘だった。一方、日本にはその偵察能力があるから、GSOMIAの破棄はむしろ韓国にとって不利な状況を招くという。

その点について同氏の論文は以下のように述べていた。

「韓国と日本は2016年11月に、北朝鮮の弾道ミサイル発射と通常戦力作戦に関する秘密情報を含めた軍事情報を交換する協定『GSOMIA』に調印した。だが韓国側の人工衛星による情報取得の能力は、南北軍事境界線の南側の領域対象だけに限られている。一方、日本の自衛隊は、軍事境界線の北側の北朝鮮軍の動向を偵察できる偵察衛星数機を保持している。GSOMIAはこうした両国間の情報収集ギャップを埋める協定だった」

 マックスウェル氏はこれ以上は韓国の偵察衛星の能力には触れていなかったが、韓国が現在にいたるまで北朝鮮領内を偵察できる独自の人工衛星を保有していないことは韓国側からの情報でも明らかとなっていた。

断られた偵察衛星の「レンタル」

 考えてみれば、これは驚くべき現実である。北朝鮮は長年、韓国を公然たる敵とみなし、いつでも軍事攻勢をかけられるかのような言動をとってきた。トランプ政権の圧力により最近こそ敵対的な姿勢は後退したかに見えるが、北朝鮮の韓国に対する軍事的脅威は変わってはいない。

 その韓国が、北朝鮮内部のミサイル発射や地上部隊の進撃の動きをつかむ人工衛星を保有していないというのだ。

 韓国の中央日報などの報道によると、韓国政府は2017年8月に、レーダー搭載衛星4機と赤外線センサー搭載衛星1機の計5機の偵察衛星を2021年から3年の間に打ち上げて運用するという計画を発表した。しかし、この計画が完成する2023年まで、つまり2017年から約6年間は、北のミサイル発射の兆候を探知する方法がない。そこで、韓国軍は偵察衛星の「レンタル」というアイデアを思いつき、諸外国に打診したという。

 このあたりの実情は日本でも産経新聞の岡田敏彦記者が2017年9月に詳しく報道していた。韓国政府はイスラエル、ドイツ、フランスの3国に偵察衛星の借用を求めたが、いずれも断られたというのだ。その結果、現在にいたるまで韓国は独自の北朝鮮偵察用の衛星を持っていない。この韓国の態度を、岡田記者は楽観や怠慢が原因だとして批判していた。

 一方、日本は北朝鮮のテポドン・ミサイルの脅威への自衛策として、2003年頃から北朝鮮の軍事動向を探知できる人工偵察衛星の打ち上げ計画に着手した。2013年には光通信衛星とレーダー衛星という2種類の偵察衛星を打ち上げて組み合わせることで、北朝鮮内部の動きを探知できるようになった。

 人工衛星はその後、機能強化、追加の打ち上げなどを経て、現在も光通信衛星2機、レーダー衛星5機の運用体制が保たれているという。つまり、北朝鮮内部の危険な軍事行動を察知する人工衛星の情報収集能力は、韓国よりも日本のほうがずっと高いということなのだ。
 マックスウェル氏は、だからこそ韓国が日本との軍事情報交換の協定を破棄することは賢明ではないと断じるのだ。北朝鮮の軍事動向に関する情報源は、もちろん人工衛星以外にも北朝鮮内の通信傍受やスパイや脱北者からの通報など多々あるが、偵察衛星の役割も非常に大きいといえる。
 米国の人工衛星での情報収集能力は、言うまでもなく日本よりずっと高い。韓国政府はGSOMIAがなくても、これまでと同様に米国からその情報を入手することができる。だが、それでも日本からの情報を遮断する措置は害はあっても益はない、ということだろう。

米国にとっては「裏切り行為」

 マックスウェル氏はこの論文で、韓国のGSOMIA破棄が米韓同盟に悪影響を与える点も強調していた。

 同論文によると、トランプ政権のエスパー国防長官は、8月に韓国を訪問して文在寅大統領と会談した際、GSOMIAの継続を相互に確認し合ったと解釈していた。だから、米側は文政権の今回の措置を裏切り行為に近いと捉えているという。

 また同論文は 韓国の措置が米国の政策にも害を及ぼし、逆に北朝鮮とその背後にいる中国やロシアを利することになる点を強調して、韓国政府への非難を繰り返していた。

【私の論評】今のままだと、韓国は周辺諸国からは安保でも経済でも「どうでも良い」国に成り下がる(゚д゚)!

冒頭の記事にあるような内容は、軍事専門家や評論家の間ではよく知られた事実です。このブログでも、これに近い内容は過去の記事にも掲載してきました。ただし、散発的に掲載したもので、上記のようにまとまった内容ではなかったので、本日掲載させていただくことにしました。

米国・日本・韓国の3カ国間による軍事協定が存在することの意味は、対北朝鮮・対中国という反共を目的とした軍事協定に他ならないです。その軍事協定を韓国が破棄するということは、韓国が日米との自由主義協定を捨て去ることを意味しています。

日韓におけるGSOMIA【軍事情報に関する包括的保全協定】は3年前の2016年11月23日に締結されました。協定は1年ごとに自動更新されることになっており、更新しない場合は3ヶ月前に申し出なければならないですが、奇しくも昨日8月23日はその更新を決める締め切り日に当たる日でした。

日韓GSOMIA協定は朴槿恵前大統領のときに締結された

この図ったかのようなタイミングの良さは、韓国にとっては、まさに渡りに船で、日本の輸出規制のせいでGSOMIAを破棄しなければならなくなったとうそぶくことが1つの目的なのだろうと考えられます。

もともと、文在寅氏は左翼革命家(出身は人権派弁護士)として南北朝鮮を統一するという目的を持った人物です。ところが、マクロ経済の理解が乏しいせいか、左翼的な経済政策が失敗し、米朝問題では存在感を示せずに蚊帳の外に置かれ、日韓問題でも、行き過ぎた反日政策が仇となり、もはや切り札としての「反日」というカードには使用期限が付いてしまっていました。

この八方塞がりの状況を打破しない限り、文在寅氏は、かつてのその他多くの韓国大統領達と同じような末路を辿ることが予感されていました。

そのためでしょうか、やぶれかぶれとなり、自国のゴールにオウンゴールするという奇策を講じました。一見すると、狂ったかのような行動にも見えますが、当の本人は至って、本気なのかもしれないです。

韓国が「GSOMIAを破棄したのは日本のせいだ」と米国に吹聴することで日米間の信頼に亀裂を生じせしめ、その隙に北朝鮮に擦り寄ることを計画しているのかもしれないですが、そんな子供騙しの計画は、当初から成功する可能性は限りなく0に近いものでした。そのような幼稚な策に騙されるほど世界の目は節穴ではありません。

このままいくと、近い将来、軍事的関係としては、(米国+日本+台湾)vs(中国+北朝鮮+韓国)という構図になっていくのかもしれないと思う人も多いかもしれません。

しかし、私はそうではないと思います。おそらく(米国+日本+台湾)vs(中国+北朝鮮+ロシア)という構図になっていくことでしょう。ただし、それは見かけだけのことで、各国それそれぞれが、それぞれの思惑があり、その思惑がありながらも、外見上は上記のような構図で動いていくということになるでしょう。

ただし、(米国+日本+台湾)は、各々の国の思惑があるとはいえ、それは互いにあまり離反することはなく、大きな共通の目的があり、(中国+北朝鮮+ロシア)ほど各々の思惑が離反していることはありません。

ただ、(米国+日本+台湾)(中国+北朝鮮+ロシア)これらすべて国々に共通する考えがあります。それは、南北朝鮮の統一などではなく、朝鮮半島の現状維持です。北と韓国が分離された状態が続くことを望んでいるのです。

どの国も朝鮮戦争終了後の秩序をそのまま維持することを望んでいます。この事実を文在寅は見誤ったのです。特に、北朝鮮は統一を望んでいると、錯覚したのです。

金正恩の望みは、一つであり、それは金王朝の存続です。どのような形であれ、朝鮮半島の南北を統一してしまえば、チュチェ思想を学んだこともなく、金王朝にもともと尊敬の念などない韓国人が北朝鮮にも多数入ってくることになります。

金正恩の望みは唯一、金王朝の存続

そのようなことは金正恩は到底許容できません。にもかかわらず、南北統一に関心があるように、文在寅にみせかけたのは、一重に苦しい制裁逃れをしたかったからです。しかし、文は金のその腹を読むことができず、南北統一で舞い上がってしまったのです。

この状況では、韓国は、自由主義陣営にも、共産主義陣営にも入れないでしょう。おそらく、安全保障上は空き地のような存在になるでしょう。

なぜなら、北朝鮮にとって中国は親の友人ではなく、その証左として、金正恩は、自分の叔父である張成沢氏を処刑し、自分の兄である金正男氏を暗殺しました。両名とも、かなり中国に近い存在でした。

金正恩は、中国の干渉を極度に嫌っています。そのため、北朝鮮と北朝鮮の核が中国の朝鮮半島への浸透を防いでいます。これに関しては、韓国が自由主義陣営から抜けても、同じことでしょう。

まかりまちがって、中国が韓国に軍隊を送ろうとしたり、送った場合、北朝鮮はそれを歓迎することなく、中朝国境付近と38度線の軍備を増強したり、短距離ミサイルの発射を繰り返し、中国と韓国を恫喝するでしょう。

このようなことになれば、南北統一を目指して、韓国が自由主義陣営から抜け出せば、安全保障上は空き地のような存在となり、経済的にも日米からの支援がなくなり、中国も支援することなく、かなり経済が疲弊することになります。

おそらく、韓国の経済は北朝鮮よりはましという程度のものになるでしょう。

それでも韓国は、表面上は共産主義をとりいれたようにみせかけるかもしれませんが、中国にはまともに相手にされないでしょう。無論ロシアも経済的に疲弊した韓国には何の興味ももたないでしょう。

かくして、韓国は、周辺諸国からは「どうでも良い」国になります。ただし、日米は韓国に北や中国の軍隊が入ることを許容しないでしょう。中露は、米軍が再び韓国に入ることを許容しないでしょう。

もし、そういう状況となり、韓国が安全保障上も経済的にも無意味な存在なれば、歴史的には文在寅大統領が韓国を滅ぼしたということになる可能性があります。実際今のままだと、そうなる可能性か高いです。それに、もうすでにそうなりかけています。

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2019年9月1日日曜日

米国、米韓同盟破棄を真剣に検討か―【私の論評】韓国はいまのままなら文によって、日米を蔑ろにしつつ、相手にされてもいない北や中国に秋波を送り続けることになるだけ(゚д゚)!

米国、米韓同盟破棄を真剣に検討か

韓国はもはや味方にあらず、日米豪印同盟に舵切る米政権


「韓国は米軍のリスクを増大させた」

 韓国の文在寅政権による日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄のショックが冷めやらぬ中、ドナルト・トランプ米大統領と安倍晋三首相がフランス南西部ビアリッツで会談した。

フランス南西部ビアリッツで会で会談をしたトランプ米大統領と安倍首相

 会談後の政府高官によるブリーフィングによると、両首脳は日米韓連携の重要性は確認したものの、GSOMIA破棄に関するやりとりはなかったという。

 首脳会談内容のブリーフィングではこうした「ウソ」はままある。

 筆者の日米首脳会談取材経験から照らしても、首脳会談後のブリーフィングがすべて「包み隠さぬ事実」だったためしがない。

 オフレコを条件に米政府関係者から話を聞いたという米記者の一人は筆者にこうコメントしている。

 「(文在寅大統領の決定に対する)トランプ大統領の怒りは収まりそうにない。それを安倍首相にぶつけないわけがない」

 「ただ、憤りはちょっと置いておいて、当面文在寅大統領の出方を静観することで2人は一致した。大統領は『韓国に何が起こるか見守る』とツィートしているのもそのためだ」

 だが、日米首脳会談の直後、「伏せた部分」はほぼ同時刻、モーガン・オータガス米国務省報道官が公式ツィッター上で意図的に(?)「代弁」している。

 「韓国政府のGSOMIA破棄決定に深く失望し懸念している。これは韓国を守ることをさらに複雑にし(more complicated)、米軍に対するリスク(risk)を増大させる可能性がある」

 米国務省は22日、同趣旨の報道官声明を出している。今回は韓国の決定が「米軍に対するリスクの増大の可能性」にまで言及した。ダメを押したのだ。

平気でウソをつく文在寅政権

 米国の怒りようは半端ではない。

 米政府高官たちが怒っているのは、文在寅大統領のブレーンにあれほど「破棄するな」と要求していたにもかかわらず、しらっと破棄に踏み切ったからだけではない。

 発表に際して、文在寅政権の高官でこの問題の最高責任者がぬけぬけと嘘をついたからだ。

 金鉉宗・国家安保室第2次長だ。

 タイトルから見ると偉そうに見えないが、韓国人記者によれば「ニクソン政権時代のヘンリー・キッシンジャー大統領補佐官のような存在」らしい。

 今年6月の時点からワシントンを訪問し、日韓間の確執について文大統領の言い分をトランプ政権高官に直接説明に来たのはこの人物だ。

 金鉉宗第2次長は、韓国人記者団にこうブリーフィングした。

 「米国は韓国にGSOMIA延長を希望した。米国が表明した失望感は米側の希望が実現しなかったことに伴うものだ」

 「外交的な努力にもかかわらず、日本から反応がなければGSOMIA破棄は避けられないという点を米国に持続的に説明した。私がホワイトハウスに行き相手方に会ったときにも、この点を強調した」

 「またGSOMIA破棄の決定前には米国と協議し、コミュニケーションを取った。米国に(韓国の決定についての)理解を求め、米国は理解した」

 この発言に米政府高官は直ちに反論した。

 「韓国政府は一度も米国の理解を求めたことはない」

 別の政府高官は韓国通信社ワシントン特派員に対して厳しい表現でこう述べている。

 「これはウソだ。明確に言って事実ではない。米国政府は駐米韓国大使館とソウルの韓国外務省に抗議した」

 外交儀礼として相手方の大統領府高官の発言を「ウソだ」と言うのも異例なことだ。

http://www.koreaherald.com/view.php?ud=20190823000106
https://www.asiatimes.com/2019/08/article/us-verbal-broadside-at-seoul-over-axing-of-pact/

 「文在寅は長年にわたって築いてきた米国家安全保障体制をぶち壊した」

 ワシントン駐在の外交官たち(無論その中には韓国大使館員たちも含まれる)にとっては「虎の巻」ともされている米外交政治情報を流すニューズレターがある。

 購読料が高いので一般の人の目にはとまらない(筆者は米政府関係筋から間接的に入手することができた)。

 米政権中枢の極秘情報を提供する「ネルソン・リポート」だ。

 同リポートは韓国政府の決定直後の米政府高官・元高官の露骨なコメントを記している。さすがに主要メディアはそこまでは報じない、歯に衣着せぬコメントばかりだ。

トランプ政権高官:
 「文在寅という男は本当に阿呆(Fool)。どうしようもない」

駐韓国大使館で高位の外交官だった人物:

 「文在寅は戦略的痴呆症(Strategic stupidity)と言い切っても過言ではない」

米情報機関で朝鮮半島を担当した専門家:

 「文在寅の決定は愚かで誤り導かれた決定(Foolish and misguided decision)以外のなにものでもない」

 「後世の史家は、こう述べるに違いない。『この決定は何十年にもわたって築き上げられてきた北東アジアにおける米国の安全保障の中枢構造が終焉する、その始まりを暗示するシグナルだった、と』」

別の米外交官OB:

 「文在寅という男は、韓国に対する安全保障上の脅威(Security threats)はどこから来ると思っているのか、全く分かっていない」

 「コリア第一主義(Korea First Tribalism)に凝り固まった衆愚の知恵(Wisdom of the crowd)としか言いようがない」

「日米韓三角同盟よ、さようなら」
「日米豪印同盟よ、いらっしゃい」


 GSOMIA破棄決定を受けて米国は今後どう出るのか。

 短期的には北朝鮮のミサイル情報収集としては、2014年に締結された日米韓の「軍事情報共有協定」(TISA)がある。これまでGSOMIAと並行して機能してきた。

 同協定に基づき、米国を介した日韓間の情報交換は今後も継続させるというのが米国の方針だ。

 GSOMIAもTISAも何も北朝鮮のミサイル情報だけを扱っているわけではない。むしろもっと重要なのは中国やロシアの動向をチェックすることかもしれない。

 日米軍事情報の共有は今後さらに強化されるだるう。米国は韓国から得た情報をこれまで以上に迅速に日本に流すことになるだろう。

 国防総省関係筋はこう指摘している。

 「米国は文在寅大統領は信用しない。だが、韓国軍は信用している。つき合いは文在寅大統領とのつき合いよりも何十倍も古い」

 「先の米韓共同軍事演習も文在寅大統領の反対を押し切って実施した。それを阻止できなかったから北朝鮮は文在寅大統領を口汚く罵った」

大幅な米軍駐留費分担増要求へ

 韓国政府は、GSOMIA破棄決定を踏まえて今後米韓二国間の安全保障関係を一層強化すると宣言している。

 米国にとってはいい口実ができた。直近の対韓要求は2つある。

 一つは、駐韓米軍駐留費問題(SMA)。

 米韓問題を専門とするダニエル・ピンクストン博士(トロイ州立大学国際関係論講師)は米国はこの問題で高圧的になるとみている。

 「米軍駐留費協定交渉は昨年末以降中断したまま。韓国側は年間10億ドルを分担するとしているが、トランプ政権はその5倍、50億ドルを要求してくるといわれている」

 「協定だから議会の承認が必要だ。来年4月には選挙がある。それまでに協定に合意できなければ、駐留費問題は選挙の最大のアジェンダになってしまう」

https://www.nknews.org/2019/08/what-south-koreas-termination-of-the-gsomia-means-for-north-korea-policy/

 文在寅大統領としては米韓の隔たりを埋めて、穏便に年内に決着させたかったところだが、GSOMIA破棄決定で米国の怒りを鎮めるには米側の法外な要求も受け入れざるを得なくなってきているわけだ。

 もう一つはイランによる外国籍タンカーへの威嚇行動で生じた危機管理問題だ。

 中東ホルムズ海峡を航行する船舶の安全を確保する米主導の「有志連合構想・海洋安全舗装イニシアティブ」への参加協力要請だ。

 ホルムズ海峡は日本同様、韓国にとっても中東からのシーレーン確保の要だ。

 コリア第一主義の大衆ナショナリズムは一歩間違えば、反日から反米に点火する危険性を帯びている。文在寅大統領としても何が何でも米国の言うことを聞くわけにはいかない。

 米国にとっては、長期的にみると、これから5年、10年後の韓国をどうとらえるべきか、という重要懸案がある。

 中国が推し進めている「一帯一路」路線に対抗する米国の「インド太平洋戦略」の中核となる同盟国の構成をどうするか、だ。

 米国内には「韓国は外すべきだ」という主張が台頭している。早晩、韓国は「あちら側」つまり中国サイドにつくと見ているのだ。

 トランプ政権内部ではすでに「韓国抜き」の「インド太平洋戦略」が動き出していると指摘する専門家もいる。

 日本、豪州、インドという準大国を同盟化するというのだ。

 特に経済通商上の理由から米国と中国とをある意味で天秤にかけてきたオーストラリアは、スコット・モリソン政権発足と同時に米国に超接近し、米国の考える「インド太平洋戦略」の構築に積極的になってきたからだ。

http://www.iti.or.jp/kikan114/114yamazaki.pdf

豪ダーウィン港湾に軍用施設建設へ

 その事例がすでにある。

 マイク・ポンペオ米国務長官とマーク・エスパー国防長官は8月、オーストラリアを訪問し、米豪初の国務・国防閣僚による「2プラス2」協議で同盟強化を再確認している。

https://www.theguardian.com/world/2019/aug/04/mike-pompeo-urges-australia-to-stand-up-for-itself-over-trade-with-china

 米軍の豪州駐留永久化だ。

 米国はこれまでオーストラリア北部のダーウィンに近い豪州陸軍基地に米海兵隊を乾期だけに配備してきた。

 この港湾にワスプ級揚陸艦(LHD)が着艦可能な軍用施設を建設することを決めたのだ。すでに総工費2億1150万ドルが計上されている。

 ダーウィン港湾の管理権は15年以降、中国大手「嵐橋集団」(ランドブリッジ)が99年間貸与する契約を結んでいる。当時、中豪協力のシンボルとして騒がれた。米政府は強く反発していた。

 「嵐橋集団」のトップ、葉成総裁は人民政治協商会議の代表。中国共産党とも太いパイプを持っており、ダーウィン港湾管理権貸与の背景には対米抑止力の一翼を担う狙いがあるとされている。

 同港湾に米軍が軍用施設を建設するというのは、小さな一歩かもしれないがシンボリックな意味合いを持っている。

 米国とインドとの関係も直実に同盟化のロードマップに沿って動いている。

https://www.washingtonexaminer.com/opinion/our-most-important-alliance-in-2019-will-be-with-india-but-two-other-big-foreign-policy-opportunities-await

 オバマ政権で国務省コリア部長(韓国と北朝鮮を担当)確認だったミンタロウ・オバ氏はこう指摘する。

「GSOMIA破棄決定に米政府はこれ以上ないほどのネガティブに反応している。オバマ政権が将来を考えて編み出した協定だったからだ」

「当時関係者は『これは北東アジアにおける米安全保障体制にとっての聖杯*1(Holy Grail)だ』と言っていたくらいだ」

*1=イエス・キリストがゴルゴタの丘で磔刑された際に足元から滴る血を受けた杯。「最後の晩餐」の時にキリストの食器として使われたとされる。この杯で飲むと立ちどころに病や傷が癒され、長き命と若さを与えられるとされてきた。

 「ワシントンの多くのアジア関係者は日韓関係に赤信号が灯り始めたと見ている。韓国は今後その戦術展開の幅を狭くしてしまった」

 ワシントンの外交安保専門家たちから見ると、GSOMIA破棄で完全に米国を怒らせてしまった韓国はもはや「米国の同盟国」ではなくなってしまったようだ。

【私の論評】韓国はいまのままなら文によって、日米を蔑ろにしつつ、相手にされてもいない北や中国に秋波を送り続けることになるだけ(゚д゚)!

トランプ米政権は、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が米政府の説得を振り切って日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄し、日韓の対立を安全保障分野に持ち込んだことで、文政権への怒りと不信を募らせています。

South Korea Flag Bikini 

協定の破棄で今後、ほんど日本には悪影響はないとともに、韓国のほうが悪影響があるともされていますが、それは情報のやりとりに関してのみいえることであり、信頼関係が大きく毀損されたことは間違いありません。

日米韓関係筋によると、トランプ政権は韓国が実際に協定破棄を強行するとは事前に認識していなかったとされ、完全に虚を突かれた形となりました。

米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は22日、トランプ政権高官の話として、韓国政府は米政権に対し、協定破棄の意思はないとの態度を事前に示していたと伝えました。

政権高官は「韓国のこうした行動は、文政権が米国などとの集団的安全保障に真剣に関与していく意思があるのか、根本的な疑問を生じさせるものだ」と述べ、韓国の同盟軽視の姿勢を痛烈に批判しました。

政策研究機関「戦略国際問題研究所」(CSIS)のビクター・チャ上級顧問は「協定は北朝鮮の行動に関する日米韓の情報共有を円滑化させてきた」と意義を説明。協定破棄は「米国の同盟システムと対立する北朝鮮や中国、ロシアを利するだけだ」と警告しました。

CSISのビクター・チャ上級顧問

日本にとっては協定破棄で今後、北朝鮮の弾道ミサイルに対する早期警戒能力が低下する恐れはありません。それはつい先日、北朝鮮から短距離ミサイルが発射されたとき、日本のほうがそれをいち早く発表しました。過去の韓国側からの北のミサイル発射情報においては、誤りも多々あり、日本側の公表の後に訂正ということもしばしばありました。

そもそも、韓国は人工衛星がないという点からも、日米から比較すると情報収集能力は格段に劣っています。

しかし、GSOMIA破棄に関して、最も恐れるべきは、今回の行動は明らかに北朝鮮や中国に利する行動であり、そのような行動をとった韓国は信用することなどできません。

韓国から米国への情報に意図的な偽情報が流され米国の国益が直接脅かされる事態となることも考えられます。さらに、その偽情報が米国から日本にもたらされる可能性も否定できません。今後、日米韓連携に加え米韓同盟も弱体化するなどの甚大な影響が出るのは確実です。

北朝鮮のミサイル情報をめぐっては、2014年に締結された日米韓の「情報共有に関する取り決め」(TISA)に基づき、日本と韓国が保有する情報を米国を介して共有する枠組みがあります。

しかし、明らかに北朝鮮や中国に利するような行動をした韓国に関しては、日米ともいつ寝首を搔かれることになるかわからないと考えるのは当然のことです。特に在韓米軍にはそのような危機があるということです。

だからこそ、トランプ政権も安倍政権もこの事態に激怒しているのです。問題は、韓国から情報が入らなくなるなるという程度の些細な問題ではなく、はるかに大きなものなのです。

このブログでは、過去に何度か指摘してきたように、日米、中露、北朝鮮のいずれの国も、朝鮮半島の現状を維持を望んでいます。

日米にとって朝鮮半島に起こり得る最悪の事態は、中国の影響力が朝鮮半島全体に及ぶことです。中露にとっての朝鮮半島の最悪の事態は、韓国ベースで朝鮮半島が統一されてしまうことです。

日本のメディアなどは、韓国を他国が欲しがると言う前提で論じていますが、北朝鮮ですら欲しがらないという現実があります。周辺国が皆要らないと言う視点を持って考える方が現実的です。

金正恩は、南北統一 をしたいなどと望んでいません。金正恩にとっての最優先課題は金王朝の継続なのです。それを前提に考えれば、北は南北統一を望んでいないわけです。北朝鮮は歴代の大統領の末路を良く知っています。南北統一後の朝鮮の大統領になるというのは自分の死刑執行にサインするのと同じようなものです。

それでなくても、南北を統一すれば、幼い頃からチュチェ思想を叩き込まれ、金王朝を尊敬するように仕向けられた北朝鮮人民のほかに、チュチェ思想とは無縁で、金王朝に対する尊敬心など全くない韓国人が北朝鮮領内にも大量に入ってくることになります。

そんなことは、金正恩は、許容できません。さらに、文在寅をはじめ朴槿恵等、朝鮮半島から数十年を経た韓国では、中国に従属しようという行動が目立ちました。これも金正恩には耐え難いことです。

金正恩は、中国の干渉を蛇蝎のごとく嫌っています。それは、中国に近いといわれていた金正恩の叔父であった、張 成沢(チャン・ソンテク)を処刑したことでも、はっきりしています。

さらに、中国に近いとされた、実の兄の、金正男氏を暗殺したことでも、明白です。両者の殺害、ならびにその後の北朝鮮内の中国に近い筋の幹部などの処刑は、北朝鮮内の親中派を震え上がらせたことでしょう。

このように、金正恩が中国を蛇蝎のごとくに嫌っているという事実と、北の核が結果として、中国が朝鮮半島全体に浸透することを防いでいます。

だからこそ、トランプ大統領は北が短距離ミサイルを発射してもほとんど苦言を呈することはありません。北朝鮮の短距離ミサイルは、米国にとっては脅威ではなく、北朝鮮と国境を直接接している中露にとっては脅威だからです。

にもかかわらず、金正恩が文在寅の南北統一等呼びかけに、快く応じてみせたのは、当初は米国への橋渡しを期待したのと、制裁破りや、制裁の緩和を望んでいたからでした。

しかし、鈍感な文在寅は、文在寅への呼びかけに快く応じたので、すっかり舞い上がってしまったのです。しかし、米国との応対が自らできるようになった現在では、文在寅への対応は厳しいものに変わってしまいました。

金正恩と文在寅

南北統一など文在寅の妄想に過ぎないのです。しかし、その妄想に浸りきった文在寅は、今でもその妄想から冷めることができず、北朝鮮や中国に秋波を贈り続け、挙げ句のはてに、GSOMIAを破棄してしまつたのです。

政策研究機関「新米国安全保障センター」(CNAS)のエリック・セイヤーズ非常勤上級研究員は米軍系軍事誌ディフェンス・ニューズに対し、協定は日米韓が今後、ミサイル防衛や対潜水艦作戦など幅広い分野で連携を進めていくための基盤に位置づけられていたと指摘し、韓国による破棄決定で同盟強化の取り組みは「元のもくあみとなった」と批判しています。

こうなると、韓国は文在寅を放逐するか、いまのまま文在寅によって、日米をないがしろにしつつ、北朝鮮や中国にまともに相手にされていないにも関わらす、秋波を送り続けることになるだけです。それは、韓国に何の利益ももたらしません。

そうなれば、在韓米軍の撤退ということになます。その時には、このブログでも何度か掲載したように、米国ならび日本を含む同盟国が、韓国から人や資産を引き上げたり、韓国に築いた様々なシステム(金融その他)や組織等を破壊、すなわち経済的焦土化をして韓国から引き上げることになります。米国は、習近平や金正恩の敵に塩を送るような真似はしません。

その時になっても、北朝鮮が韓国に手を差しのべることはありません。それは、中国もロシアも同じことです。この三国は、経済的にも余裕はないし、韓国に対して何の恩義も感じていません。むしろ、北朝鮮は韓国人難民が押し寄せないように38度線の守りを強化するでしょう。

中国も、ロシアも、船や航空機で押し寄せる難民を受付ないでしょう。無論日本だって受け付ける必要はないのです。ただし、領海の警備を強化することになるでしょう。日本に漂着した難民はすべて韓国に強制相関すようにすべきでしょう。

今年とはいいませんが、いよいよになれば、米国と協調しつつ、10月から12月頃に韓国の経済焦土化をするべきです。冬の日本海は一番厳しいので、1番の防護壁になります。そうして、次の年の春までに領海の警備を強化するようにすれば良いのです。

これには、在日米軍も多数の難民が日本に押し寄せれば、身動きがとれなくなるし、中には武装難民もいるかもしれないので、日本に協力することになるでしょう。

ただし、韓国が経済焦土化されず在韓米軍のほとんどが撤退するという道もあります。それは、韓国が米国中短距離核ミサイルの発射上になるという条件を飲めば、そうなります。

無論、発射を担当するのは米国です。そうなれば、朝鮮半島の軍事バランスは崩れます。北朝鮮の核の脅威は半減することになります。ただし、韓国が通常兵力で攻撃された場合は、核ミサイルではなかなか対応できず、日本からの在日米軍が日本からの許可を受けて韓国を助けることになります。そうなると、対応は後手にまわるしかありません。

これらはワーストシナリオですが、文在寅を今のまま放置しておけば、このような結果になる可能性がかなり高まります。韓国国民の賢明な判断に期待したいところです。

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