森永卓郎氏 岸田首相が小学生に説いた権力論をチクリ「見栄っ張り」「プライド捨てボケろ」
まとめ
- 森永卓郎氏が岸田文雄首相に対し、内閣支持率低迷と減税策への不満を指摘し、「ボケろ」とアドバイスした。
- 岸田首相の責任転嫁姿勢を批判し、責任を取らない点を指摘。「減俸しない理由」についても皮肉を交えて述べた。
- 過去の発言にも言及し、「見栄っ張りでなく素直になるべき」と岸田首相にアドバイス。
- 森永氏は自身の逸話を交えつつ、「正直に行こうよ」という意図を明かした。
- 司会者のツッコミにも笑いながら対応し、「正直さを大切に」というメッセージを述べた。
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森永卓郎氏 |
経済評論家の森永卓郎氏が22日、ニッポン放送のラジオ番組「垣花正あなたとハッピー!」に出演し、岸田文雄首相に対して内閣支持率低迷に関連して、「ボケろ」というアドバイスを送った。岸田内閣では、9月の内閣改造後に政務三役が相次いで辞任し、岸田首相の打ち出した減税策にも批判が高まっていた。
この日の国会では、野党から岸田首相の人事に関して不適切との指摘があり、岸田首相は「人事は適材適所だが、政治は結果責任。責任を感じている」と答弁したことが取り上げられた。これに対し、森永氏は岸田首相の責任を取らない姿勢を批判し、「重く受け止めると言ってるけど、どう責任を取るかは一切言わない。減俸さえしない」と述べた。そして、「減俸しない理由はわかる。例えば1人辞めて3割減俸にしたら、今は3人辞めてるんで9割カットになっちゃう。4人目出ると、逆にその分を払わなくてはいけなくなってしまう」と皮肉を交えて指摘した。
また、森永氏は岸田首相の過去の発言にも言及し、「今年3月の福島視察時に小学生から首相を目指した理由を聞かれて『日本で一番権限が大きい人なので首相を目指した』と答えたが、見栄っ張りなのは良くない。プライドを捨てて素直になるべきだ」とアドバイスした。
司会者の垣花アナが森永氏のアドバイスをツッコむと、森永氏は「実は僕のことを〝増税くそメガネ〟って言う人がいて、それが気になって気になって…。みなさん見てください、メガネに付いた〝うんちくん〟をどうしても外したかったんで、給付金じゃなくて減税にしたかったんですよ、と言ったら伝わるじゃないですか!」と珍アドバイスを披露。垣花アナは笑いながらツッコんだが、森永氏は「言いたいのは、もっと正直に行こうよってことです」と真意を語った。
【私の論評】政治家はなぜ卑小にみえるのか?民間企業にみられるガバナンスの欠如がその真の原因
まとめ
- 安倍晋三氏は統治に重点を置き、政策展開やリーダーシップを大きな枠組みで行い、国家戦略やビジョンを重視した。
- 安倍氏の経済政策「アベノミクス」は、日本経済の活性化や国際競争力強化を俯瞰した大局的な政策であった。
- 安全保障政策や外交政策も、地域情勢や国家の安全を大きな視点から見据えた政策展開を行っていた。
- 彼の統治スタイルは、政治を身近に感じさせるユーモアを交えた演説や会見を通じても表現されていた。
- 安倍氏の統治姿勢は、細かな点よりも大局的な視野を重視し、国家全体を俯瞰して政策を推し進めることに焦点を当てていた。岸田首相はこの点を見習うべき。
私は、岸田首相に関しては、どうしても首相在任期間が歴代で最長となった安倍首相と比較されるということで、最初から負い目を背負っているところがあると思います。
安倍晋三元首相は、日本憲政史上最も長い8年8カ月にわたって首相を務めました。
安倍元首相の在任期間は次のとおりです。
第1次安倍内閣(2006年9月26日~2007年9月26日)
第2次安倍内閣(2012年12月26日~2014年9月3日)
安倍元首相は、2022年7月8日に奈良県奈良市で選挙演説中に暗殺され死亡しました。
悲劇的な最期を遂げた安倍氏です。一部の、リベラル・左翼勢力などの奇人、変人などは、別にして、多くの日本人は故人の悪し様に語るようなことはしません。良かったことを語ります。
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安倍元首相 |
20歳〜30歳台の若い世代の人にとっては、物心ついてからつい最近まで、成人してからつい最近まで、総理大臣といえば、安倍晋三氏です。
人の世の常として、安倍総理にも毀誉褒貶はありましたが、安倍総理を正統に評価する人々の心の中では悲劇的最期を迎えてしまった安倍晋三氏に関して語るとき「毀」「貶」より「誉」「褒」のほうが強くなってしまいます。
私もそうです。実は第一次安倍政権のときは、私は安倍首相をあまり評価していませんでしたが、第二次安倍政権になってから高く評価するようになりました。そうして、現在安倍晋三氏のことを語るとすれば、第二次安倍政権における安倍首相のことを語ります。
このような、安倍晋三氏と岸田氏はどうしても比較されてしまうというか、多くの人は安倍晋三氏を総理大臣のスタンダード(基準)として、岸田総理大臣を見るわけです。
そうなると、なぜか岸田首相をはじめとして多くの政治家が、卑小な存在見えてしまうのです。
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岸田首相 |
ただし、安倍晋三氏をスタンダートとすると、他の政治家が卑小に見えてしまうのには、それなりの理由があります。
ここで、安倍晋三氏がどのような人だったかを振り返っておきます。
どなたかは、忘れてしまったのですが、安倍晋三氏は細かいチマチマしたことが大嫌いで、大きく物事を考えることを好んだという人がいます。私は、これは本当だと思います。
安倍晋三氏は、政治家としてのキャリアを通じて、大きなビジョンや国家戦略を重視する姿勢を示してきました。彼がリーダーシップを取った際に焦点を当てたのは、経済政策の改革や安全保障政策の強化、外交戦略の構築など、国家全体を俯瞰した大きな枠組みでした。
例えば、安倍氏は「アベノミクス」として知られる経済政策を推進しました。これは、日本の経済を活性化するための包括的な政策であり、金融緩和、財政出動、構造改革などを含んでいました。彼の焦点は国家全体の経済の活性化であり、それによって国際競争力を高め、日本経済を持続可能なものにすることにありました。
また、安全保障政策においても、日本の国家安全保障の強化に力を注ぎました。中国や北朝鮮などの地域情勢を鑑みつつ、アメリカとの同盟関係強化や安全保障法制の整備など、大きな視点から国家の安全を図る政策を進めました。
さらに、外交政策においても、アジア太平洋地域や国際社会での日本の役割強化に重点を置きました。経済外交や国際貢献、他国との協力関係構築など、大局的な視点で日本の地位向上を目指す政策を展開していました。
これらの事実は、安倍氏が大きな枠組みや国家全体の視点で政策を展開し、細かい点よりも大局的な視野を重視していたことを裏付けるものです。
一方で、安倍晋三氏は政治家として公の場で饒舌であり、時折ジョークを交えて話すことがありました。彼の演説や会見では、政策や重要なテーマに関しては真剣に語る一方で、軽い雰囲気を作るためにジョークを交えたり、会場の雰囲気を和ませることもありました。
一例として、彼は自身の政策を説明する際に比喩やイメージを使うことがあり、その中にはジョークの要素も含まれていることがありました。一般の人々に政治を身近に感じてもらうために、ユーモアを交えたアプローチをとることがあったようです。
実際、私はそのような場面にたちあったことがあります。私は、安倍首相の講演会や選挙演説に何度か立ち会ったことがあるのですが、確かに、気さくな人柄で、饒舌で、多くの人々が度々笑っていました。
それに加えて、安倍氏の人柄や人間味あふれる一面が多くの支持を集めた一因とも言われています。高橋洋一氏は、安倍氏は饒舌であり、ジョークを交えて人々を楽しませることがあったと述懐しています。
しかし安倍晋三氏と、他の政治家との違いを際立てさせたのは、何といっても大きな枠組みで物事を考えるという姿勢です。
これこそが「政治家に欠かせない」姿勢です。なぜなら、政府の役割は、統治すること(ガバナンス)だからです。これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。
ただ事ではない財務省の惨状 同期ナンバーワン・ツー辞任 ちやほやされてねじ曲がり…―【私の論評】統治と実行は両立しない!政府は統治機能を財務省から奪取せよ(゚д゚)!
以下にこの記事から、統治に関わる部分を引用します。
"経営学の大家ドラッカー氏は政府の役割について以下のように語っています。
政府の役割は、社会のために意味ある決定と方向付けを行うことである。社会のエネルギーを結集することである。問題を浮かびあがらせることである。選択を提示することである。(ドラッカー名著集(7)『断絶の時代』)
この政府の役割をドラッカーは統治と名づけ、実行とは両立しないとしました。
統治と実行を両立させようとすれば、統治の能力が麻痺する。しかも、決定のための機関に実行させても、貧弱な実行しかできない。それらの機関は、実行に焦点を合わせていない。体制がそうなっていない。そもそも関心が薄い。 といいます。
"
ガバナンスや統治という言葉は、多くの人に曖昧な意味合いで使われていることが多いです。一昔前の、大企業は世界中でガバナンスなどあまり意識しないで、運営していましたが、多くの企業が機能不全にいたるようになりました。そのような中、一部の企業がガバナンスという考え方を導入し、組織を編成しなおすと、また急激に成長するようになりました。
世界で初めて、ガバナンスという概念を取り入れた企業は、オランダの東インド会社(Vereenigde Oost-Indische Compagnie、通称VOC)だといわれています。ご存知のように、西洋列強による植民地政策は、ほとんどが失敗し宗主国に利益をもたらすことはありませんでしたが、唯一オランダ東インド会社による植民地政策だけが例外で、宗主国オランダに利益をもたらしました。
VOCは、ガバナンスの概念をどこから導入したのかは、はっきりしていません。しかし、当時のオランダでは、共和国制が採用されており、政府の統治は、議会、行政、司法の三権分立によって行われていました。この三権分立の考え方は、VOC憲章にも取り入れられ、VOCの統治体制の根幹となりました。さらに、当時の行政府は現在と比較するとかなり規模が小さく、特に政府の規模は小さく、統治に専念していました。統治と実行は厳密に区分されていました。
また、VOCは、東インド貿易を通じて、アジア諸国の政治や経済を学ぶ機会にも恵まれました。これらの経験から、VOCは、ガバナンスの重要性を認識し、それを自社の統治体制に導入したと考えられます。
VOC憲章は、ガバナンスの概念を初めて企業に導入したものとして、世界史上重要な役割を果たしました。VOC憲章は、その後のヨーロッパの企業経営に大きな影響を与え、現代のコーポレートガバナンスの基礎を築いたのです。
イギリスのインド統治も、統治と実行の分離は劇的に功を奏しました。統治者は、インド総督とその補佐官たち(20人程度の若者たち)でした。彼らは、インドの行政、軍事、外交などの全体的な統治を担っていました。しかし、実行の細かい部分は、現地の官僚や軍人、警察官に委ねられていました。
統治と実行を分離したことで、インド総督とその補佐官たちは、インドという巨大な植民地を、わずかな人数で統治することが可能になったのです。
このことを学んだ大企業は今日世界中で、統治と実行を分離しています。多くの形式や様式がありながらも、本社(本部)と子会社(事業会社)に分離し、本部が統治をし、事業会社が実行をするのです。これを曖昧にしたまま、企業規模を大きくすると、統治も実行もその能力が麻痺してしまうのです。
一方、行政府のほうは世界中で年を追うごとに肥大化し、統治と実行の区分が曖昧になり、今日機能不全に至っています。これを是正すべきとして、「小さな政府」を望む声も上がったのですが、未だそれは実現されていません。
さて、話を元にもどさせていただきます。多くの小規模事業や、中小企業がある時点から成長しなくなるのは、統治と実行を分離しないままというのが大きな要因です。急速に成長するベンチャー企業等が、途中から駄目になってしまうのもこれを曖昧にしたままというのがほとんどです。
中小企業においても優れた経営者は、ある時期から実行部分からは手を引き、部下や親族にそれを任せて自らは統治に専念するようにします。実行部分にはほぼ口を出しませんが、ただし、統治の観点からずれた場合にだけ、それを是正させるためにだけ口を出すようにします。
そうして、名ばかりの取締役ではなく、本当の意味での統治ができる取締役を育てることができた企業だけが、さらなる成長ができるのです。
ただ、世界中の巨大化してしまった政府が、未だに統治と実行が明確に分離されていません。その中でも、日本は特に分離されていません。政府の統治部分と官公庁の実行部分が分離されておらず、両方とも統治と実行を同時に中途半端に行い、能力が麻痺しているのです。そのような観点からみると、現状の日本の政治が信じられないほど非生産的で非効率であることが良く理解できます。
その中にあって、安倍晋三氏は首相として、大きな枠組みでものごとを考え、他の政治家よりは、統治に注力できたのでしょう。
岸田首相や現状の多くの政治家に欠けるのはこの部分なのかもしれません。私は、上の記事「見栄っ張り」「プライド捨てボケろ」というアドバイスには概ね賛成なのですが、ただ、「大きな枠組み」でものを考えると言う姿勢なしに、このアドバイスに従えば、ただの「ボケ」にしかならないと思います。
現在の政治の仕組みは、残念ながら政府が統治に専念できる仕組みにも、官公庁が実行に専念できる仕組みになっていません。そのため、双方とも能力が麻痺しています。マスコミや評論家は、この麻痺状態を報道したり、仔細に分析するのみです。
ありていにいえば、政治家も、官僚も本来できもしないことを、できるという幻想に浸って、日々摩耗しているといえるのではないでしょうか。マスコミ等も出来もしないことを、できるはずだといって、本質には触れず、人の資質などに原因を求め、見当違いの批判を続けているというのが実情です。だから、それを見ている視聴者も閉塞感に苛まされることになるのです。
そこに、大きな枠組みで物事を考える、既存の政治家からみると稀有な存在である、安倍晋三氏が登場して、様々な改革を行ったのてす。
ただ、国民とすれば、稀有な存在である安倍晋三氏のような人物がでてくるのをいつまでも待つわけにはいきません。
やはり、現在大企業が行っているように、政治組織の統治と実行は分離すべきなのです。そうして、双方の麻痺を取り払い、まともに機能するようにすべきなのです。これは、旧来の枠組みから一歩もはみ出ることのできない、既存の政治家などにはできないことです。自民党内の若い世代の政治家、日本保守党などのような新たな勢力がこうしたことを推進していただきたいです。
それになし、個別で経済、安保、外交などを推進したとしても、物事はうまくは進まず、その挙げ句の果てに、政権が変わったり、状況が変わってしまえば、なし崩しになってしまいかねません。
私は、最終的には政府の下部組織である、官公庁は、何らかの形で、政府の外に出すべきと思っています。そうして、政府は統治、政府の外の官公庁は実行に専念する形を取るべきと思います。官僚組織は、そのようになってはじめて有効に機能するようになります。
しかし、ここで完璧主義の罠に嵌ることは避けるべきとは思います。完璧でなくても、少しでも改善すれば、結構な成果をあげられます。改善するたび、齟齬がないかを検証しながら実行すべきでしょう。急激な改革は、大きな歪をもたし政治的混乱をもたらす可能性もあります。
しかし、この方式の正しさは、すでに大きな枠組みで物事を考える安倍首相の登場で、それまで停滞していた、経済、安保、外交が進んだことでも証明されたと思います。大きな枠組みで考える習慣こそが、安倍晋三首相をして、他の政治家と比較すれば、統治に注力させることになったのです。
現状においては、岸田首相には、こうした安倍首相の統治に力点を置く、姿勢を見習ってほしいです。無論、大きな枠組みで考えるとはいっても、安倍晋三氏のようにはできないかもしれません。しかし、自らの得意分野だけでも、そうすれば、それだけでも、随分と変わると思います。そうして、統治と実行を分離することを目指しつつ、現状でできうる範囲内で組織改革をすべきです。そうすれば、さらに政治の世界もす少しずつでも変わっていくでしょう。
多くの政治家が政治改革にこれまでも取り組んできました。しかし、あまり成功したためしはありません。それは、おそらく、政府は統治に専念すべきという原則を忘れていたからだと思います。それなしに、政府や各官公庁がたとえどんなに素晴らしい戦略・戦術案や企画を立案し、能力が高く素晴らしい政治家が、理想に燃えて、政策提言を行ったとしても、統治も実行も麻痺している現状では、何事もうまくいきません。当然の帰結なのです。
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