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2026年6月3日水曜日

メディアは辺野古転覆事故をなぜ大きく報じなかったのか――高校生死亡、文科省判断で露わになった「平和教育」の闇

まとめ

  • 高校生と船長が亡くなった辺野古転覆事故は、単なる海難事故ではない。学校行事として行われた「平和学習」の安全管理、政治的中立性、保護者への説明、そして教育内容の偏りが問われる重大事件である。
  • 産経新聞は事故直後から報じ続けた一方、他社の多くは文科省判断後にようやく本格的に報じ始めた。なぜ重大事故が当初大きく扱われなかったのか。そこには「平和教育」をめぐる報道の歪みが見える。
  • 子供は日本の未来であり、国の宝である。平和を語る教育が子供の命と安全を守れないなら、その理念は根本から狂っている。辺野古事故は、左翼・左派リベラルの理念先行教育の危うさを浮き彫りにした。

高校生が亡くなった。船長も亡くなった。学校行事中の事故である。普通なら、連日大きく報じられて当然の重大事故だ。

ところが、この事故は当初、その重大性に比べて報道の扱いがあまりにも小さかった。なぜか。場所が辺野古だったからではないのか。活動の名が「平和学習」だったからではないのか。批判すれば、基地反対運動や平和教育への攻撃と見なされる空気があったからではないのか。

ただし、すべてのメディアが沈黙していたわけではない。産経新聞は事故直後からこの問題を継続して報じてきた。だから本稿で問うべきは「全メディアが隠した」という雑な話ではない。問題は、産経が追い続けていた論点を、なぜ他社の多くが大きく扱わず、文科省が動いてからようやく報じ始めたのか、という点である。

文科省は5月22日、同志社国際高校の研修旅行について、安全管理と教育内容の両面から問題を指摘し、辺野古での学習については教育基本法14条2項に反するとの見解を示した(出典:文部科学省「同志社国際高等学校の研修旅行等について」)。これを受け、各社はようやく、学校教育、政治的中立性、文科省判断の是非を報じ始めた。

だが、ここで忘れてはならない。最初に問うべきは「平和教育が萎縮するか」ではない。「なぜ生徒が命を落としたのか」である。

1️⃣命より「物語」が優先されたのではないか

この写真はAI生成画像です。以下同じ。

この事故で最初に問われるべきは、なぜ生徒を危険な海上活動に参加させたのかという一点である。事前の安全確認は十分だったのか。船の運航体制は適切だったのか。教員の同行や監督はどうだったのか。保護者への説明は十分だったのか。

文科省資料は、研修旅行の経緯、安全管理、保護者への説明、教育内容の政治的中立性などを検証対象としている。また、事故後に文科省が京都府と連携して現地調査を行ったことも示している(出典:文部科学省資料)。これは単なる一過性の海難事故ではない。学校教育の設計そのものが問われる問題である。

さらに国土交通省は、事故船舶「不屈」の船長について、本来必要な海上運送法上の事業登録を受けずに運送を行った事実を確認し、海上保安庁への告発を実施すると発表した(出典:国土交通省「辺野古における船舶転覆事故に係る海上運送法違反について」)。また、運輸安全委員会は3月16日に調査官を指名し、翌17日には船舶事故調査官を派遣して調査を進めている(出典:運輸安全委員会・委員長記者会見要旨)。

ここまで来れば、もはや「不幸な事故」で済ませられる話ではない。船舶の運航、学校側の安全管理、教育内容、保護者への説明、政治運動との距離。その全てが問われている。

ところが、辺野古という場所が絡むと、話は一気に政治化する。基地反対運動、平和学習、沖縄問題。こうした言葉が前面に出ると、本来なら最優先されるべき安全管理の問題が後景に退きやすい。

学校教育に政治的テーマを持ち込むこと自体が、直ちに悪いわけではない。現実の社会問題を学ぶことは必要である。しかし、学校が特定の政治的運動に生徒を近づけ、安全確認を曖昧にし、保護者への説明も不十分なまま現場に連れていくなら、それは教育ではない。未成年を大人の運動に巻き込む行為である。

「国際」「平和」「人権」という言葉は美しい。しかし、美しい言葉ほど検証が必要である。そこに国家観と安全保障観が欠け、現場の危険を軽く見る空気が入り込めば、教育は容易に左翼・左派リベラルの理念実験へと変質する。辺野古事故で問われているのは、まさにその危うさである。

さらに問うべきは、いわゆる平和教育の偏りである。本来の平和教育とは、特定の政治的立場を子供に刷り込むことではない。戦争の悲惨さを教えるだけでも足りない。なぜ基地が存在するのか。なぜ抑止力が必要とされているのか。米軍はどのような役割を果たしているのか。地元住民の中にも、基地に反対する人、容認する人、基地経済に関わる人、安全保障上の必要性を認める人がいることを、丁寧に学ばせなければならない。

平和教育というなら、米軍側の見解、防衛省・防衛局側の説明、地元自治体や住民の複数の意見、基地反対派だけでなく基地容認派の声にも触れさせるべきである。さらに、左翼・左派リベラルの理念だけでなく、改革の原理としての保守主義の見解にも接する機会を与えるべきだ。安全保障とは何か。国家はなぜ存在するのか。平和は願うだけで守れるのか。理念を現場に落とす時、どのような手順と責任が必要なのか。こうした問いを避け、基地反対の物語だけを与えるなら、それは教育ではない。政治的誘導である。

沖縄を学ぶなら、沖縄を一枚岩の被害者として描くだけでは不十分だ。辺野古移設に反対する人もいれば、普天間飛行場の危険性除去を重視する人もいる。基地負担を問題視しながらも、東アジアの安全保障環境を考えれば米軍の存在を無視できないと考える人もいる。そうした複雑な現実を学ばせることこそ、本来の教育である。

平和教育が本当に教育であるなら、子供に結論を押し付けてはならない。複数の立場、複数の証言、複数のリスクを示し、最後は生徒自身に考えさせるべきである。ところが、左翼・左派リベラルの理念だけを正義として示し、国家観、安全保障観、保守主義の視点を欠いたまま現場に連れていくなら、その教育は最初から偏っている。

「平和教育」という言葉は美しい。しかし、美しい言葉ほど危うい。そこに安全軽視、思想の一方通行、政治運動との接近が入り込めば、子供たちは教育の名を借りた政治的道具にされる。教育活動である以上、思想より先に安全がある。理念より先に命がある。

子供とは、ただ守られるべき存在ではない。日本の未来を実現していく人であり、国の宝である。子供の安全を後回しにしてまで語られる平和教育など、本当の平和教育ではない。

子供を亡くならせる結果を招くこと、しかも平和教育の名の下にそのような事態を生むことは、どう考えても許されるべきものではない。それは1人の命を失わせるだけではない。我が国の未来を摘む行為でもある。子供は、大人の思想を飾る道具ではない。政治運動のための教材でもない。日本の未来を担う、かけがえのない存在である。

2️⃣子供は「すでに起こった未来」である――改革の原理としての保守主義


ドラッカーは「すでに起こった未来」という考え方を示した。これは、未来を占うという話ではない。すでに現実の中に現れている変化を見抜き、それをどう育てるかを見る考え方である(参考:ダイヤモンド社・ドラッカー著作紹介『すでに起こった未来』)。

その意味で、子供はまさに「すでに起こった未来」である。今そこにいる子供たちは、まだ完成していない未来ではない。すでに始まっている日本の未来そのものだ。彼らが学び、成長し、働き、家庭を持ち、地域を支え、国を担っていく。その連続の中に、我が国の未来はある。

だからこそ、子供を大事にできない理念など信用してはならない。平和を語る。人権を語る。民主主義を語る。多様性を語る。それ自体はよい。しかし、その理念のために子供の安全が後回しにされるなら、その理念はすでに歪んでいる。子供を大切にできない平和教育など、本当の平和教育ではない。

ここで必要なのが、私がかねてから主張してきた「改革の原理としての保守主義」である。

保守主義とは、古いものをただ守る思想ではない。社会を良くするためにこそ必要な、現実的な改革の作法である。人間は過ちを犯す。集団は熱狂する。理念はしばしば現場を見失う。だからこそ、社会を変える時には、制度、慣習、手順、安全確認、責任の所在、反対意見への配慮を重視しなければならない。

保守主義が大切にするのは、単なる伝統礼賛ではない。長い時間をかけて積み上げられてきた制度や慣習には、机上の理屈だけでは見えない知恵が含まれているという感覚である。人間社会は、設計図通りには動かない。善意の改革であっても、現場に落とせなければ混乱を生む。理想が正しく見えても、手順を誤れば人を傷つける。だから保守主義は、理念そのものよりも、理念を現実に移す過程を重く見る。

この原理を無視した社会変革は、しばしば悪しき社会工学実験になる。その典型が、20世紀の共産主義である。共産主義は、階級のない平等な社会という美しい理念を掲げた。しかし、現実の人間、家族、信仰、地域、慣習、市場を、設計図通りに作り替えようとした。理念を絶対化し、反対意見を敵視し、人間を制度の部品のように扱った。その結果、各地で自由が奪われ、生活が壊され、多くの悲劇が生まれた。

これは遠い過去の話だけではない。理念を先に置き、現場を後回しにする発想は、形を変えて今も現れる。教育でも、福祉でも、環境政策でも、ジェンダー政策でも、平和教育でも同じである。正しい理念を掲げているからといって、現場の安全、責任、手順、慎重さを省いてよいことにはならない。

辺野古の事例は、まさにその象徴ではないか。

「平和を学ぶ」「沖縄の現実を知る」という理念は、一見美しい。しかし、その理念を学校教育に落とすなら、まず考えるべきは安全である。未成年をどこに連れていくのか。誰に接触させるのか。海上活動に危険はないのか。教員は同行していたのか。保護者に十分説明したのか。政治運動との距離はどう保ったのか。これらを曖昧にしたままなら、それは教育ではない。

それは、生徒を素材にした社会工学実験である。

保守主義は、平和教育を否定しない。沖縄を学ぶことも否定しない。むしろ、現実を学ぶ教育は必要である。しかし、現実を学ぶというなら、なおさら現実の危険を軽視してはならない。理念の正しさを信じるあまり、現場の安全、保護者への説明、教育の中立性、責任の所在を軽く見るなら、その教育はすでに教育ではなくなっている。

今回問われているのは、平和教育か否かではない。理念を現場に落とす能力があったのかである。

子供を守ることは、過去にしがみつくことではない。日本の未来を守ることである。未成年を政治的理念の現場に連れていくなら、大人はまず安全を確保し、責任を明確にし、保護者に説明し、政治運動との距離を保たなければならない。それができない理念は、改革ではない。未来を育てるふりをしながら、未来を傷つける社会工学実験である。

辺野古事故は、左翼・左派リベラルの平和教育が抱える根本的な弱点を浮き彫りにした。理念はある。しかし、現場への配慮が薄い。正義は語る。しかし、責任は曖昧である。平和を叫ぶ。しかし、目の前の子供の安全を守り切れなかった。

これこそ、改革の原理としての保守主義を欠いた時に起こる悲劇である。

3️⃣なぜ各社は今になって報じ始めたのか


最近になって各社が報じ始めた主な論点は、3つある。

第1に、文科省が同志社国際高校の安全管理を問題視したこと。第2に、辺野古での学習が、政治的活動を禁じる教育基本法14条2項に反するとの見解を示したこと。第3に、この判断に対して「平和教育が萎縮する」とする反論が出ていることである。実際、FNNは6月1日、文科省判断を受けて現役教師らが「平和教育の萎縮」を懸念した会見を開いたと報じている(出典:FNN「現役教師が平和教育『萎縮を懸念』」)。

つまり報道の焦点は、事故の原因と安全管理から、文科省判断の是非や平和教育の萎縮論へと広がっている。しかし、本来ならこれらは事故直後から問われるべき論点だった。高校生が亡くなった。船長も亡くなった。学校行事として行われた。しかも場所は、政治運動と深く結び付く辺野古沖である。これだけの条件がそろっていながら、なぜ多くの報道機関は、最初から大きく掘り下げなかったのか。

もしこれが、保守系団体や自衛隊関連行事で起きた事故であれば、報道は同じように抑制的だっただろうか。おそらく違うだろう。学校の安全管理、政治的利用、責任者の説明、制度上の問題まで、連日大きく報じられていた可能性が高い。

だからこそ問うべきなのだ。報道機関は、事故を見ていたのか。それとも、事故の背後にある政治的文脈を見て、扱いを変えていたのか。

産経新聞が事故直後から追い続けた問題を、なぜ他社の多くは当初大きく扱わなかったのか。なぜ、行政が動いてから各社が一斉に報じ始めたのか。なぜ、亡くなった生徒の命よりも、辺野古という政治的文脈の扱いに慎重だったのか。

事故を隠したのか。見ないふりをしたのか。それとも、報じると都合の悪い物語があったのか。ここに、我が国のメディアの歪みがある。

さらに問題なのは、最近の報道の中で「平和教育が萎縮する」という論点が前面に出始めていることである。もちろん、学校が現実の政治問題を一切扱わなくなることは望ましくない。しかし、ここで論点を取り違えてはならない。問われているのは、平和教育を行うか否かではない。子供の命と安全を守る体制があったのか。教育の名の下に政治運動へ接近しすぎていなかったのか。保護者への説明と責任の所在は明確だったのか。そこなのである。

「平和教育が萎縮する」と言う前に、なぜ子供の安全を守れなかったのかを問うべきである。子供を大事にできない理念に、教育を語る資格はない。

だからこそ、この事故は「不幸な事故だった」で終わらせてはならない。海上保安庁、警察、文部科学省、国土交通省、そして運輸安全委員会は、それぞれの権限に基づき、政治的な反発や「平和教育が萎縮する」といった声に臆することなく、徹底的に調査を進めるべきである。

船舶の運航、安全管理、教員の監督体制、保護者への説明、政治運動との距離、教育内容の中立性、事故後の学校側の対応まで、曖昧にしてよい論点は1つもない。平和教育を守りたいと言うなら、なおさら真相を明らかにすべきである。子供の命を軽く扱ったまま守られる理念など、もはや理念ではない。それは大人の自己正当化である。

結語

辺野古事故は、単なる海難事故ではない。

子供の命より理念を優先した教育の問題であり、理念のために現実を軽視した平和教育の問題であり、それを十分に報じなかったメディアの問題でもある。

平和教育そのものを否定する必要はない。しかし、平和教育を名乗るなら、まず子供の命を守らなければならない。理念は現場で試される。現場に落とせない理念は、改革ではない。独善であり、時に悪しき社会工学実験である。

20世紀の共産主義が示したのは、理念が美しければ美しいほど、それを現実の人間に押し付ける時には慎重でなければならないという教訓である。人間社会は実験室ではない。子供は思想の教材ではない。学校は政治運動の訓練場ではない。

保守主義とは、変化を拒む思想ではない。人間の弱さと現実の危険を直視しながら、制度を整え、手順を踏み、安全を守り、改革を進める思想である。

辺野古事故が示したのは、その原理を失った社会変革が、時として子供たちを巻き込む危険な社会工学実験へと変質するという厳しい現実である。

子供は、ただの子供ではない。日本の未来を実現していく人であり、国の宝である。ドラッカー流に言えば、子供たちの中に、我が国の「すでに起こった未来」がある。

その未来を守れない理念に、未来を語る資格はない。

子供を大事にできない平和教育など、本当の平和教育ではない。子供を危険にさらし、命を失わせる結果を招きながら、それでもなお「平和教育が萎縮する」と先に言うなら、そこには何か決定的な狂いがある。まず問うべきは理念の存続ではない。子供の命である。国の宝を守れなかった責任である。

我が国に必要なのは、理念に酔う教育ではない。現実を見て、危険を減らし、制度を整え、人を守る教育である。平和教育を行うなら、基地反対の物語だけではなく、米軍、防衛省、地元住民、保守主義の見解にも触れさせるべきである。

海上保安庁、警察、文部科学省、国土交通省は、政治的圧力や世論の空気に左右されることなく、徹底的に事実を明らかにすべきである。

子供を守ることは、日本の未来を守ることである。それこそが、改革の原理としての保守主義である。

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2026年5月3日日曜日

日本は米国に金を払わされたのか――対米22億ドル融資が示す「エネルギー覇権への入場料」

 まとめ

  • 日本の対米22億ドル融資は、単なる「対米貢納」ではない。JBIC、民間銀行、NEXIを組み合わせ、米国のエネルギー・産業インフラに日本の座席を取りに行く官民協調の国家戦略である。
  • 米国が受け入れるのは、金だけではない。中国、ロシア、北朝鮮が入り込めない戦略インフラに、日本は同盟国としての信用、金融力、原子力・精密技術で食い込める数少ない国である。
  • 本丸は、石油・天然ガスだけではなく、電力そのものを握ることだ。その延長線上にSMRがある。平時は産業とデータセンターを支え、有事には病院、港湾、自衛隊施設、半導体工場を止めない国家防衛の電源になり得る。
日本が、米国向けの第1弾プロジェクトに22億ドル、円換算で約3450億円を融資する。本稿では読者が規模感をつかみやすいよう、1ドル=約157円で概算する。為替は日々動くため、円表示はあくまで目安である。

この数字だけを見れば、多くの人は「また日本が米国に金を出すのか」「対米貢納ではないのか」と思うだろう。そう見えるのも無理はない。ロイターによれば、日本は5500億ドル、約86兆円規模の対米投資誓約の第1弾として、22億ドル、約3450億円の融資契約を結んだ。対象は、テキサスの石油輸出施設、ジョージアの工業用ダイヤモンド施設、オハイオの天然ガス火力発電所で、3案件の総額は360億ドル、約5.7兆円規模とされる。収益配分も、一定額に達するまでは日米で折半、その後は90%が米国側に流れる仕組みだという。これだけを読めば、腹を立てる人が出るのも当然である。(Reuters)

だが、ここで立ち止まるべきだ。これは本当に「米国に金を払わされた話」だけなのか。それとも、世界最大級のエネルギー大国となった米国のインフラに、日本が金融、保証、企業技術で食い込む話なのか。私は後者の視点を持つべきだと考える。

もちろん、日本が不利な条件を飲まされている面はある。そこを美談にしてはならない。だが、この案件には、石油、天然ガス、電力、工業素材、そして小型モジュール炉、つまりSMRにつながる重要な意味がある。これは単なる融資ではない。これからの世界を動かすエネルギー覇権への入場料である。

1️⃣22億ドルは「政府が全額出す金」ではない――官民協調融資で米国のエネルギー動脈に座席を取る

まず、誤解を解く必要がある。「日本が22億ドル、約3450億円を出す」と聞けば、政府が全額を税金で米国に差し出すように受け取る人もいるだろう。だが、今回の融資はそういう単純な構図ではない。22億ドルのうち、政府系金融機関であるJBIC、つまり国際協力銀行が約3分の1を担い、残りは三菱UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクなど民間商業銀行が担う。民間銀行分には、NEXI、つまり日本貿易保険が保証を付ける。(Reuters)

区分 比率 概算額
JBIC 約3分の1 約7.3億ドル、約1150億円
民間商業銀行 約3分の2 約14.7億ドル、約2310億円
NEXI 融資ではなく保険・保証 民間銀行分のリスクを補完

つまり、これは政府が全額を税金で出す話ではない。政府系金融、民間銀行、政府系保険を組み合わせた官民協調融資である。ただし、国家リスクがないわけでもない。NEXIは2017年4月に政府100%出資の株式会社となっており、政府との一体性を保ちながら貿易保険を担う機関である。民間だけでは引き受けにくい海外取引リスクを補う以上、国家が信用補完していることは事実である。(NEXI)

したがって、「政府が全額を税金で米国に渡した」という見方は誤りであり、「民間銀行の融資だから国家と無関係だ」という見方も誤りである。正しくは、国家の信用力で民間金融を動かし、米国のエネルギー・産業インフラに日本の座席を取りに行く構図である。

ここで見落としてはならないのは、米国にこれほど大きな投資をできる国は、世界でも限られているという事実である。日本だけが米国に投資を求められているわけではない。韓国は3500億ドル、約55兆円規模の対米投資を管理する法案を成立させ、そのうち2000億ドルは米国の戦略産業、1500億ドルは造船協力に向けられる。EUも、欧州企業が2028年までに米国の戦略分野へ追加で6000億ドル、約94兆円を投資する見込みだとしている。(Reuters)

米国は、同盟国、友好国、産油国、巨大な民間資本を持つ国の資金を使い、自国の製造業、エネルギー、造船、原子力、データセンター基盤を再建しようとしているのである。だが、誰の金でもよいわけではない。中国には資金力がある。しかし米国は2025年の「America First Investment Policy」で、中国を含む「外国の敵対者」による米国企業・資産への投資を、先端技術、知的財産、戦略産業への影響力を得る手段として警戒し、同盟国・パートナー国からの投資には迅速な受け入れ枠を設ける方針を示している。(The White House)

ロシアは制裁と政治的対立の中にあり、北朝鮮に至っては通常の投資関係の土台を欠く。米国が欲しがっているのは、単なる金ではない。米国が政治的に受け入れられる国の金、信用、技術、企業である。この意味で、日本の立場は特殊である。日本には、米国が拒みにくい同盟国としての信用がある。3メガバンクの金融力がある。JBICとNEXIの信用補完がある。さらに、原子力、重電、精密部材、制御機器、素材、保守技術を持つ企業群がある。日本は「金を出さされる国」であると同時に、「米国の戦略インフラに入る資格を持つ数少ない国」でもある。


今回の第1弾が、石油輸出、工業用ダイヤモンド、天然ガス火力発電であることは偶然ではない。石油輸出施設はエネルギーの出口であり、天然ガス火力発電は電力の土台であり、工業用ダイヤモンドは半導体、精密加工、防衛、先端製造にも関係する素材である。これは観光施設や娯楽施設への投資ではない。国家の血管に関わる投資である。

我が国は「資源のない国」と言われてきた。たしかに地下から石油は出ない。天然ガスも十分には出ない。だが、資源のない国が何もできないわけではない。金融、保証、商社、重電、部材、制御機器、精密製造を通じて、資源国のインフラに入り込むことはできる。これからのエネルギー安全保障は、資源を買うだけでは守れない。どこで作られ、どこから出荷され、どの船で運ばれ、どの保険がつき、どの銀行が支えるか。そこまで握って初めて、安全保障である。

ホルムズ海峡が不安定になれば、日本のエネルギー調達は一気に緊張する。中東依存が高い日本にとって、ホルムズは遠い海峡ではない。ガソリン価格、電気料金、物流費、製造コスト、家計負担に直結する海峡である。そのとき、米国産エネルギーは単なる代替輸入先ではなく、保険になる。米国だけに依存すればよいという話ではない。だが、中東、豪州、東南アジア、米国、そして原油、LNG、天然ガス火力、原子力、備蓄を組み合わせることには大きな意味がある。

平時には、エネルギーは市場で買えばよい。しかし有事には、市場に出る量が減り、輸送が詰まり、保険料が跳ね上がり、決済が止まり、政治判断が優先される。そのとき、ただの買い手は弱い。供給網の中に座席を持つ国が強い。問うべきは、金を出したかどうかではない。その金と信用補完で、我が国が何を得るのかである。

2️⃣「税金の無駄遣い」という怒りは緊縮の罠に落ちる――問うべきは国家資産を残すかどうかである

今回のような話が出ると、必ず「俺たちの税金が米国に使われるのか」「そんな金があるなら国内に使え」「政府は無駄遣いをやめろ」という反応が出る。その怒りは分かる。国民の金を粗末に扱うなという感覚は当然である。しかし、この怒りには落とし穴がある。

第1に、今回の22億ドル、約3450億円は政府が全額を直接支出する話ではない。約3分の2、つまり約14.7億ドル、約2310億円は民間商業銀行が担う融資であり、NEXIがそのリスクを補完する。第2に、怒りの方向を誤ると、財務省的な緊縮を支援してしまう。本来、問うべきは「金を使うな」ではない。「その金で国家資産を残すのか」である。

道路、港湾、発電所、防衛装備、送電網、SMR、データセンター基盤、造船、弾薬・補給能力。これらは今年だけで消える消費ではない。今後数十年にわたり、国民生活、産業、防衛、災害対応を支える国家資産である。ならば本筋は、単年度の税収で細々とやりくりすることではない。超長期国債や建設国債を活用し、将来世代も便益を受ける国家資産として整備することである。財務省も、建設国債は財政法第4条第1項ただし書に基づき、公共事業費、出資金、貸付金の財源を調達するために発行されると説明している。(財務省)


ここを間違えると、すぐに緊縮の土俵に引きずり込まれる。「税金の無駄遣いをやめろ」という言葉は一見正しい。だが、その先が「だから道路も港湾も発電所も防衛装備も削れ」になれば、国家の骨格を削る自傷行為になる。将来に何も残らないバラマキなら批判されて当然だ。しかし、道路、港湾、電力、防衛、原子力、供給網のように、国家の生存条件を太くする投資まで削れば、それは健全財政ではない。国家の衰弱である。

今回の対米融資やSMR投資も同じである。怒るべきは、金を出したことそのものではない。その金が我が国のエネルギー主権、原子力産業、重要インフラ、供給網の発言権につながらない場合である。税金を使うな、ではない。超長期国債で国家資産を作れ。ただし、その資産が我が国の生存条件を太くするかを厳しく見よ。ここが、今回の記事の中心である。

家庭なら、収入の範囲で支出を抑えるのは自然である。だが国家は家庭ではない。国家は通貨を持ち、国債を発行し、インフラを作り、数十年単位で供給力を整える主体である。もちろん、何でも国債でやればよいという話ではない。将来に何も残らない支出を国債で膨らませれば、国家は弱る。だが、発電所、港湾、送電網、防衛装備、SMR、データセンター基盤、重要鉱物供給網は、単なる消費ではない。国家資産である。

国家資産を作るための長期債は、将来世代へのツケではない。将来世代に資産を渡す仕組みである。問題は、資産を残さない支出を膨らませ、資産を残す投資を削ることだ。財務省的緊縮の危険はここにある。目の前の支出だけを見て、将来の供給力を見ない。単年度の帳尻だけを見て、国家の生存条件を見ない。「無駄遣いをやめろ」という国民の怒りを利用し、必要な投資まで削る。これを許してはならない。

3️⃣SMRは民間電源にとどまらない――原潜・原子力空母の原型から電力防衛へ

今回の22億ドル、約3450億円の融資だけを見ると、SMRは表に出てこない。だが、日米戦略投資の全体像を見ると、SMRはむしろ核心に近い。ロイターによれば、日米はGE Vernova Hitachiによるテネシー州とアラバマ州でのSMR建設計画を発表しており、推定費用は最大400億ドル、約6.3兆円とされる。さらに、ペンシルベニア州とテキサス州の天然ガス発電施設も対象となり、それぞれ最大170億ドル、約2.7兆円、最大160億ドル、約2.5兆円規模とされる。これらは、米国の電力価格安定やデータセンターへの電力供給にも関係する。(Reuters)

SMRとは、単に「小さな原発」ではない。国家機能を分散して守るための電力装置である。IAEAはSMRを、1基あたり最大300MW級の先進的な小型原子炉として説明しており、工場製造とモジュール化によって需要に応じた導入が可能になると整理している。(国際原子力機関)

大型原発は大電力を安定供給できるが、立地、建設期間、政治的反発、送電網への依存が大きい。一方、SMRはまだ課題を抱えながらも、標準化、量産、分散配置、有事の重要拠点への電力供給という面で、従来の大型電源とは違う可能性を持つ。平時にはSMRを量産し、技術、人材、部材、運用ノウハウを蓄積する。有事には、病院、港湾、通信、データセンター、自衛隊施設、政府中枢、半導体工場など、国家機能に不可欠な拠点へ電力を優先配分する。エネルギーを輸入に頼る我が国ほど、この発想を持つべきである。

再生可能エネルギーだけでは、国家の背骨は支えられない。天候に左右される電源は補助にはなっても、有事の基幹電源にはなりにくい。天然ガス火力も必要だが、燃料輸入が止まれば弱い。だからこそ原子力であり、次の焦点がSMRなのである。もちろん、SMRは魔法の杖ではない。コスト、規制、燃料供給、廃棄物、安全審査、住民理解、実証実績という課題がある。だが、課題があるからやらないという姿勢では、我が国は何も持てなくなる。


SMR投資は、米国の発電所を作るだけの話ではない。日本の原子力部材、制御機器、重電、精密加工、バルブ、計測、保守技術を世界市場に戻す話である。我が国の原子力産業は、国内だけでは細る。国内で止め、輸出もできず、人材も育たず、部材企業も撤退する。その先にあるのは、安全な脱原発ではない。原子力を扱う能力そのものの喪失である。だから、米国のSMR市場に日本企業が入り込む意味は大きい。これは米国のためだけではない。将来、我が国自身がSMRをエネルギー防衛の柱にするための、技術と量産基盤の確保でもある。

ここで忘れてはならないのは、SMRが完全な夢物語ではないということだ。商用SMRは民間用電源として開発されている。だが、「小型で、長期間動き、高い信頼性を持つ原子炉」という発想そのものには、すでに原型がある。原子力潜水艦と原子力空母である。世界原子力協会によれば、世界では160隻超の船舶が200基超の小型原子炉で動いており、その多くは潜水艦だが、砕氷船や空母にも使われている。原子力は、長期間の航行や強力な潜水艦推進に適している。(ワールド・ニュークリア・アソシエーション)

もちろん、民間SMRと軍艦用原子炉は同じものではない。規制も、設計思想も、運用環境も違う。ここを混同してはならない。だが、国家戦略として見るなら、ここには無視できない含意がある。米国では、原子力推進の技術、人材、運用基盤が、原子力潜水艦や原子力空母を支えてきた。米エネルギー省傘下のNNSAも、海軍原子力推進プログラムが、米海軍の原子力艦の設計、建造、運用、保守、管理を担う仕組みだと説明している。(The Department of Energy's Energy.gov)

つまり、原子力技術は民間電力だけの話ではない。国家の行動範囲を広げる技術でもある。米国は、軍事用原子力推進の実績から民間SMRへと技術と人材の厚みを広げている。日本は逆に、民間SMRから出発し、将来の安全保障技術へ選択肢を広げる可能性がある。これは核兵器の話ではない。国家機能を止めず、有事にも我が国を動かし続ける電力の話である。

病院を止めない。通信を止めない。港湾を止めない。半導体工場を止めない。データセンターを止めない。自衛隊の重要施設を止めない。離島や前線に近い地域の電力を途切れさせない。

この発想で見れば、SMRは単なる発電所ではない。有事に国家を動かし続けるための基幹装置である。もちろん、現在の日本でSMRをそのまま軍事利用するという話ではない。法制度、世論、技術、運用体制の壁は大きい。だが、民間SMRによって原子力の小型化、標準化、量産、運用、保守、人材育成を続けることは、将来の安全保障上の選択肢を増やす。国家が本当に恐れるべきなのは、議論することではない。技術も人材も産業基盤も失い、いざ必要になったときに何も選べないことである。

結語 問われているのは、対米追随ではない。座席をどう使い切るかである

日本は米国に金を払わされたのか。そういう面はある。そこを美談にしてはならない。だが、それだけで終わるなら、我々は表面しか見ていない。今回の22億ドル、約3450億円の融資は、政府が全額を税金で差し出す話ではない。JBIC、民間銀行、NEXIを組み合わせた官民協調融資であり、国家の信用力で民間金融を動かし、米国のエネルギー・産業インフラに座席を取る仕組みである。

しかも、日本だけが米国に投資しているわけではない。韓国、EU、湾岸諸国も、米国への巨額投資を進めている。だが、中国、ロシア、北朝鮮のような国は、米国の戦略インフラに深く入ることが難しい。米国が受け入れるのは、金だけではない。信用であり、技術であり、政治的に受け入れられる国の企業である。日本は、その条件を満たす数少ない国の1つである。

問題は、その座席を使い切れるかどうかである。今回の対米融資と投資構想の奥には、石油、天然ガス、電力、データセンター、SMR、重要鉱物、原子力サプライチェーンがある。これは、世界の産業と安全保障の中枢に関わる領域である。我が国は資源のない国である。だからこそ、ただ買う側にいてはならない。資源を掘れないなら、資源の流れに関与する。燃料を持てないなら、発電技術を持つ。巨大市場を支配できないなら、不可欠な部材と金融と保証で入り込む。そして有事に弱いなら、平時から分散型電源と国家機能維持の仕組みを作る。

SMRは、その発想の中心に置くべきだ。平時には量産と標準化を進める。有事には、国家機能を守る電力を優先配分する。病院、通信、港湾、政府中枢、自衛隊施設、半導体工場、データセンターを止めない。さらに長期的には、原子力の小型化、標準化、運用、保守、人材育成が、安全保障上の選択肢を広げる。米国は、原子力潜水艦と原子力空母で蓄積した原子力推進の基盤を、民間SMRへ広げようとしている。日本は逆に、民間SMRから出発し、将来の安全保障技術へ選択肢を広げる可能性がある。これは核兵器の話ではない。国家機能を止めない電力の話である。

そして、この話を「税金の無駄遣い」だけで切ってはならない。道路、港湾、発電所、防衛装備、送電網、SMRは、今年だけで消える消費ではない。数十年にわたり国民と企業と自衛隊と将来世代を支える国家資産である。ならば、単年度の税収で萎縮するのではなく、超長期国債を用いて国家資産として整備する。これが本筋である。問うべきは、「金を出すな」ではない。「その金で何を残すのか」である。

日本は、米国に金を取られるだけの国で終わるのか。それとも、米国の巨大インフラを足場にして、我が国のエネルギー主権、原子力産業、電力防衛、供給網の発言権を太くするのか。

問われているのは、投資額ではない。その座席を、我が国のエネルギー主権、原子力産業、電力防衛に変える覚悟である。
 
【関連記事】

中国を睨む日米会談に突きつけられたホルムズ危機――高市・トランプ会談は日米同盟の踏み絵である 2026年3月19日
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ホルムズ封鎖で本当に詰むのは中国である ― マラッカ・ジレンマとアンダマン海が暴く地政学の真実 2026年3月8日
ホルムズ危機で日本だけが苦しくなるという見方を退け、中国のエネルギー輸送路の脆弱性をあぶり出す。米国の戦略インフラに入れる国と、入りにくい国の差を考えるうえでも読ませたい一本である。

2025年11月24日月曜日

米軍空母打撃群を派遣──ベネズエラ沖に現れた中国包囲の最初の発火点


まとめ
  • 米軍が空母打撃群をベネズエラ沖に派遣したのは、麻薬ネットワークと独裁政権、そして中国・ロシア・イランの影響力を一気に断つためであり、これはインド太平地域の“外側の環”の形成を意味する。
  • ベネズエラの崩壊と700万人超の移民流出は、中国が独裁と腐敗を支えた結果であり、米国の国境危機とも直結する“拡散型の危機”となっている。
  • ナイトストーカーズの展開は、単なる威嚇ではなく“限定的介入能力”の実動化であり、米国の外側の防衛線が実際に動き始めた証拠である。
  • 冷戦期の“多層封じ込め”が中国を相手に再現されつつあり、その思想的背景にはロング・テレグラムやNSC-68がある。大戦略が歴史的な循環として蘇っている。
  • 日本は専守防衛の名の下で“何もしない国”ではなく、安保法制後は海外任務も制度化され、インド太平洋で“内側の環”を担う実質的プレイヤーになった。だからこそ、ベネズエラ沖の動きは日本の未来に直結する。
米国がベネズエラ沖に空母を送り込んだ。

一見、極東の我が国とは無関係に見える出来事だが、これは中国の世界戦略と、日本の安全保障の「これから」を映す鏡そのものだ。

1️⃣ベネズエラ沖に現れた空母打撃群──麻薬、独裁、中国

ベネズエラ沖に現れた米空母打撃群


2025年11月16日、米海軍の最新鋭空母「USS Gerald R. Ford」がカリブ海に入った。
(出典:U.S. Department of Defense系サイト DVIDS “Gera

これは単なる力の誇示ではない。
米国は同じタイミングで、ベネズエラ軍や治安機関の一部と結びついているとされる「太陽のカルテル」を外国テロ組織に指定する方針を打ち出し、関係者を法律の網で追い詰めようとしている。米連邦航空局は周辺空域の危険性を警告し、いくつもの航空会社がベネズエラ便を止めた。

狙いははっきりしている。
麻薬ルートを断ち、独裁政権を締め上げ、その背後にいる中国やロシア、イランの影響力を押し返すことだ。

ベネズエラは長年、コカインなどの中継拠点になり、軍や情報機関までこのビジネスに深く入り込んできたとされる。米国から見れば、もはや「遠い国の不正」ではない。自国社会を毒する源そのものだ。

そこへ中国が入り込む。
巨額の融資、石油の先買い契約、通信インフラと監視システムの提供。こうした支援によって、崩壊しかけたマドゥロ政権は延命してきた。経済はボロボロなのに、権力だけはしぶとく残る。ここに中国の「支え」がある。

私は過去のブログで、この構図を何度か指摘してきた。
「【日本の解き方】ベネズエラめぐり米中が分断…冷戦構造を想起させる構図に 『2人の大統領』で混迷深まる―【私の論評】社会主義の実験はまた大失敗した(゚д゚)!」 (2019年2月9日)
「ラテンアメリカの動向で注視すべき中国の存在―【私の論評】日本も本格的に、対中国制裁に踏み切れる機運が高まってきた(゚д゚)!」 (2021年10月6日)
ラテンアメリカでは、社会主義の失敗 → 経済崩壊 → 中国が支援と引き換えに入り込む → 独裁の固定化、という流れが繰り返されてきた。
ベネズエラは、その最悪の見本だと言ってよい。

国家は壊れ、治安は崩れ、麻薬と汚職が地を這う。
そして、そのツケは「移民」と「治安悪化」という形で、周辺国と米国に押しつけられている。
 
2️⃣700万人が国を出た現実──移民危機とナイトストーカーズ

米軍特殊部隊 ナイトストーカーズ

ベネズエラから国を出た人は、すでに700万人規模とされる。
コロンビアやペルー、ブラジルなど周辺諸国は社会保障と治安の負担にあえぎ、米国もメキシコ国境で移民問題に揺さぶられ続けている。

米国の政治にとって、移民は「票」に直結する。
トランプ政権が強硬姿勢を取る以上、麻薬と移民の“元栓”であるベネズエラを締め上げるのは当然の流れである。

この文脈の中で、米軍特殊作戦部隊「ナイトストーカーズ(160th Special Operations Aviation Regiment)」の動きが浮かび上がる。夜間ヘリによる急襲や特殊部隊の侵入を専門とする精鋭中の精鋭だ。この部隊の展開が報じられているということは、空母打撃群という「表の力」だけでなく、必要とあらば政権中枢を一気に叩く「裏の牙」も用意しているという意味である。

私はこの点について、次のブログで論じた。
「米軍『ナイトストーカーズ』展開が示す米軍の防衛線──ベネズエラ沖から始まる日米“環の戦略”の時代」 (2025年10月24日)
そこで提示したのが、「日米二つの環」という見方だ。

米国は、中南米とカリブ海で、中国やロシアの浸透を押し返す“外側の環”をつくる。
日本と米国は、第一列島線からインド太平洋で、中国海軍の外洋進出を抑える“内側の環”をつくる。

この二つの環が噛み合ったとき、初めて中国の動きを内と外から締め上げることができる。
この構想は、私自身が整理した見方だが、冷戦期に欧州とその他地域を二重の輪で抑え込もうとした「封じ込め」の発想、例えば

 “ブルッキングス研究所(Brookings Institution)に掲載の “Avoiding war: Containment, competition, and cooperation in U.S.–China relations”(2017年11月1日)などは、封じ込め戦略の歴史と現代的意味を議論するものとして通じる。ただ、公開情報の範囲では「日米二つの環」という名前で同じ構図を明確に打ち出している著名な理論や組織は見当たらない。

いずれにせよ、ベネズエラ沖に空母と特殊部隊が並ぶ光景は、この「外側の環」が現実の姿をとり始めたということを示している。

3️⃣日本にとっての意味──これは「他人ごと」ではない

では、日本はこの動きをどう見るべきか。

まず、「専守防衛だから日本は軍事介入しない」という言い方は、正確ではない。
防衛省の説明でも、専守防衛とは「相手から武力攻撃を受けたときに必要最小限の力を行使する」という考え方であり、武力行使そのものを否定してはいない。

2015年の安保法制改定によって、我が国は「存立危機事態」に該当する場合、海外でも限定的な集団的自衛権を行使できるようになった。ソマリア沖の海賊対処、各地でのPKO活動、米軍への後方支援など、海外任務で武器使用を伴う行動はすでに現実のものとなっている。

つまり日本は、憲法と法律の枠内で、国際安全保障に関与しうる国家へとすでに変わっているのだ。


この現実を踏まえると、ベネズエラ沖の緊張は、インド太平洋の安全保障と一本の線でつながっていると見るべきである。

中国がベネズエラのような社会主義国家を支え、監視技術と資金を与え、国家を弱らせ、国民を国外に押し出す構図は、東シナ海・台湾海峡で我々が直面している現実と同じ根を持つ。

社会主義の破綻と中国の浸透。
国家の弱体化と移民の爆発。
地域の治安悪化と大国の介入。

私は、これをずっと私のブログでラテンアメリカ関係の記事として掲載してきた。だが、これは南米の話だけではない。中国が手を伸ばす地域で、同じことが繰り返される「型」のようなものだと考えるべきである。

だからこそ、「日米二つの環」が必要になる。

米国は中南米で“外側の環”を張り、日本はインド太平洋で“内側の環”を引き締める。
この二つの環が閉じたとき、中国の影響圏拡大は大きく抑えられる。

ベネズエラ沖の空母、カリブ海上空のナイトストーカーズ。
それは、地球の裏側で始まった「外側の環」の姿であり、同時に、我が国が担うべき「内側の環」とつながっている。

ベネズエラで動く力学は、決して例外ではない。
中国が関わる地域では、ほぼ同じ順番で危機が広がる。
その波が、いずれ日本の周りにも到達する。

ベネズエラをめぐる米中のせめぎ合いは、
我が国がこれから直面する世界の予告編なのである。

【関連記事】

「米軍『ナイトストーカーズ』展開が示す米軍の防衛線──ベネズエラ沖から始まる日米“環の戦略”の時代」 2025年10月24日
ベネズエラ沖に展開した米軍特殊部隊ナイトストーカーズを起点に、カリブ海からインド太平洋へ伸びる「外側の環」構造を読み解き、日本が担う“内側の防衛圏”の重要性を指摘した記事。

「コロンビア、送還を一転受け入れ 関税で『脅す』トランプ流に妥協―【私の論評】トランプ外交の鍵『公平』の概念が国際関係を変える、コロンビア大統領への塩対応と穏やかな英首相との会談の違い」 2025年1月27日
中南米の移民問題と、トランプ流“公平”外交の本質を鋭く読み解き、コロンビアへの圧力と中国浸透の関係にも触れた一文。今回のベネズエラ情勢と密接に連動する分析。

「ラテンアメリカの動向で注視すべき中国の存在―【私の論評】日本も本格的に、対中国制裁に踏み切れる機運が高まってきた(゚д゚)!」 2021年10月6日
中国がラテンアメリカで進める政治工作・資源浸透・経済囲い込みの実態を整理し、その危険性をいち早く指摘した分析。今回のベネズエラ問題の“隠れた背景”を予見している。

「【日本の解き方】ベネズエラめぐり米中が分断…冷戦構造を想起させる構図に 『2人の大統領』で混迷深まる―【私の論評】社会主義の実験はまた大失敗した(゚д゚)!」 2019年2月9日
マドゥロ政権とグアイド暫定政権の対立を通じ、米中対立がラテンアメリカで“新冷戦”化していく様を描く。今回の空母派遣の背景を理解する上で不可欠な基礎記事。

「日米比越4カ国で中国を威嚇 海自護衛艦の“歴史的”寄港で南シナ海『対中包囲網』―【私の論評】マスコミが絶対に国民に知られたくない安全保障のダイヤモンドの完成(゚д゚)!」2016年4月7日
 海上自衛隊の歴史的寄港を「安全保障のダイヤモンド」構想の具現化として位置づけ、日米比越の連携が中国封じ込めの海洋包囲網になりつつあることを早期に指摘した記事。

2025年10月6日月曜日

高市早苗の登場は国民覚醒の第一歩──常若(とこわか)の国・日本を守る改革が始まった

まとめ

  • 高市早苗総裁の誕生は、国民の危機感が形をとったものであり、国家再生を求める静かな革命である。物価高や外国人問題、自然破壊、外交の軟弱化など、国民の誇りを脅かす現実に対し、「守るために変える」政治が求められた。
  • 「改革としての保守主義」は、理想や感情に流される破壊的改革ではなく、現実を基盤とした責任ある改革の思想である。ドラッカーやバークの言葉が示すように、既存の制度と文化を生かしながら明日のために問題を解決することが真の改革である。
  • 戦後日本の高度経済成長期は、「社会を壊さない改革」を体現した時代であった。吉田茂や池田勇人らは、経済成長より社会の安定を重視し、行政指導や労使協調によって均衡を保った。その姿勢をドラッカーも高く評価した。
  • 「霊性の文化」は、日本の社会秩序と国家の持続を支えた精神的基盤である。寺社の祈りや共同体の慎みといった文化が、制度の背後にある目に見えぬ秩序を形づくり、社会の安定を保ってきた。
  • 「国民覚醒の環」は、思想や党派を超えて祈りと誇りで日本を支え直す運動である。高市政権の使命は、祈りの政治を現代に蘇らせ、国民が再び「自分の国を信じる」力を取り戻すことにある。
1️⃣危機の中で蘇る「改革の原理としての保守主義」
 
今の日本は危機的状況にある

いま、日本は静かに沸騰している。政治不信、物価高、防衛不安、そして文化の断絶が同時に進行し、多くの国民が「このままでは日本が持たない」と感じている。だが、こうした危機を直視し、明確な言葉で語る政治家はほとんどいなかった。政府は現実を前にしてなお、「緩やかな回復」や「一時的な要因」といった空虚な言葉で取り繕い、国民の生活の痛みに背を向けてきた。

物価の高騰は、もはや日常の中にまで浸透している。卵一パックが三百円、ガソリンが二百円を超え、電気料金も上昇を続ける。国民は努力しても報われない社会に疲弊し、政治への不信は限界に達している。

地方では、再生可能エネルギー政策の名のもとにメガソーラーによる自然破壊が進む。山は削られ、川は濁り、田畑は荒廃し、神社の森さえ失われた。環境を守るはずの政策が、補助金を巡るビジネスに変質し、むしろ自然を破壊しているという倒錯が起きている。

都市部では、外国人労働者や観光客の急増により、社会秩序が揺らいでいる。深夜のトラブルや住宅地での騒音、教育現場での摩擦が日常化しても、政府は「多文化共生」という美名のもとに現実を覆い隠し、国民の不安を「差別」と決めつけて黙らせてきた。

外交においても、日本の主体性は薄れた。中国への過剰な配慮は、国家の矜持を損ね、主権国家としての自覚を鈍らせている。尖閣諸島や台湾をめぐる情勢に対しても、政府は「懸念」を表明するだけで、毅然とした姿勢を示せない。これは悪しきグローバリズムの帰結であり、「誰のための国家か」を忘れた政治の末路である。

この閉塞の中で、高市早苗の名が浮かび上がったのは必然だった。彼女の総裁就任は派閥政治の産物ではなく、国民の危機感が形をとった“意思”である。国民は単なる政権交代ではなく、国家の再生を求めたのだ。高市総裁の誕生は、「日本を守るための変革」を託した国民の覚醒であり、「改革としての保守」が再び息を吹き返した瞬間である。

保守とは過去にしがみつくことではない。壊さずに次の時代へ橋を架ける知恵であり、国家の形を守るためにこそ変えるという行動の哲学である。高市早苗に託されたのは、国家の根幹を取り戻す“静かな革命”なのだ。
 
2️⃣ドラッカーが見た日本──社会を壊さない改革の力
 
経営学の大家ドラッカー

保守とは、過去を絶対視する思想ではない。変化を前提に、何を守り、何を改めるかを冷静に見極める知恵である。人間にも制度にも限界があるという現実を踏まえ、社会を持続可能な秩序として運営する――それが真の保守主義だ。

18世紀の思想家エドマンド・バークは「社会とは、過去・現在・未来の世代が結ぶ契約である」と説いた。この契約を断ち切ることは傲慢であり、文明の崩壊にほかならない。保守とは、過去を生かして未来を築く思想である。

経営学者ピーター・ドラッカーも『産業人の未来』(ダイヤモンド社)でこう述べている。
「保守主義とは、明日のために、すでに存在するものを基盤とし、すでに知られている方法を使い、自由で機能する社会をもつための必要条件に反しないかたちで具体的な問題を解決していくという原理である。これ以外の原理では、すべて目を覆う結果をもたらすこと必定である。」
ドラッカーのいう保守主義とは、理想論ではなく現実に立脚した問題解決の原理である。万能薬を求めるのではなく、一つひとつの課題を具体的に処方していく。これこそ「正統保守主義」の核心だ。

そして彼はこう続けている。
「過去は復活しえない。青写真や万能薬を捨て、目の前の問題に地道に取り組むこと。そして、使えるものはすでに手にしていると知ることが必要である。」
理想主義は耳あたりがよいが、現実を破壊する危険をはらむ。改革とは夢想ではなく責任だ。政治家に問われるのは「何を壊すか」ではなく「何を残すか」である。
 
3️⃣戦後日本に見る“改革としての保守主義”の実践

この理念は、戦後日本の高度経済成長期にこそ体現されていた。吉田茂は安全保障を米国に依存しつつも、経済再建を最優先に据えた。池田勇人は「所得倍増計画」を掲げて成長を進めながらも、社会不安を防ぐために雇用安定策や中小企業支援を打ち出した。政治家たちは主義主張よりも「社会を壊さないこと」を最優先にしたのだ。

高度経済成長期の日本が薔薇色だったとは言わないが今より安定していたのは間違いない

ドラッカーは当時の日本を「経済よりも社会を優先した政治」と評した。経済政策の成否よりも、社会秩序を守ることに重きを置く日本的政治感覚を高く評価したのである。過熱する経済の中でも、行き過ぎればブレーキをかけ、行政指導や労使協調を通じて均衡を保った。

事実、1960年代の日本は失業率2%台、犯罪発生率は戦後最低水準を維持した。所得格差を示すジニ係数も0.3前後と、欧米諸国より低かった。社会が安定していたからこそ、経済成長は持続できた。高度成長の裏には「社会を壊さない政治」があり、それを支えたのは日本人の霊性の文化だった。

岸信介、佐藤栄作、田中角栄――その手法は違えども、社会秩序を守るという一点で一致していた。ドラッカーが評価したのは、この「社会を優先する政治の成熟」であり、アメリカ型の理念偏重政治とは異なる、日本的中庸の知恵であった。

現在よりは相対的にでもはるかに社会が分断されず信頼が維持されたからこそ、国民は安心して働き、企業は未来に投資できた。そうでなければ、経済発展も見られなかったろう。これはまさにドラッカーの言う「改革としての保守主義」の実践であり、日本人の精神に根ざした秩序の成果であった。

高市早苗の政治姿勢には、この“ドラッカー的保守主義”が息づいている。理想に流されず現実を見据え、既存の制度と文化を基盤に改革を進める。その姿勢こそ、国家再生の現実的な道である。
 
3️⃣国民覚醒の環──霊性の回復と未来への道
 
いま、日本人の胸の奥に静かな不安が広がっている。それは経済や外交を超えた、「国家の根が揺らいでいる」という直感だ。教育現場では郷土への誇りが薄れ、道徳は形骸化した。家庭では、親子の絆よりも利便性が優先され、スマートフォンが子育ての代わりになっている。政治は理念よりも派閥に支配され、社会は責任よりも権利を叫ぶ風潮に覆われた。

この国の根を支えてきた「祈り」や「慎み」の文化が失われつつある。寺や神社は本来、人々が己を省み、地域が心を合わせる場であった。だが今では観光資源と化し、精神の支柱を失っている。霊性を欠いた社会は、どれほど豊かでも脆い。

人々が本当に恐れているのは「国が貧しくなること」ではなく「心が貧しくなること」である。国民が求めているのは、破壊的な変革ではない。家族、地域、国家を再び結び直す“静かな改革”だ。


高市早苗の掲げる「自立」「誇り」「信頼」という言葉が多くの国民に響いたのはそのためである。彼女の政治は、霊性の回復に通じている。制度の修復ではなく魂の再生――それこそが国民の願いであり、高市政権に託された使命である。

高市は信念の人である。迎合せず、忖度せず、孤独を恐れない。その政治哲学は「守るために変える」。防衛では戦いを望むのではなく、戦いを防ぐための抑止力を説く。経済では、補助金で人気を取るのではなく、国民が誇りをもって立てる国家を目指す。

我が国日本はまだ終わっていない。むしろ、いま始まったのだ。祈りを忘れず、誇りを胸に、我々は歩み出す。改革とは国を壊すことではない。未来の日本を、再び我々自身の手で築くことである。

日本には、古来より「常若(とこわか)」という思想がある。朽ちゆくものをただ修理するのではなく、形を保ちながら魂を新たにするという再生の知恵だ。伊勢神宮の式年遷宮に象徴されるように、古きを捨てず、新しきを取り込むことで永遠を保つ。それは「守ること」と「変えること」を矛盾させない、日本人の霊性に根ざした哲学である。

いま我々が取り戻そうとしているのも、この常若の精神にほかならない。伝統を受け継ぎながら刷新し、秩序を守りつつ進化する。高市政権の使命は、この常若の政治を現代に蘇らせることだ。祈りの力を失わず、時代の荒波に耐えながら、日本は何度でも立ち上がる。常若の国――それが、我々の日本である。

【関連記事】

高市早苗総裁誕生──メディアに抗う盾、保守派と国民が築く「国民覚醒の環」 2025年10月5日
メディアの偏向報道を越えて、草の根の覚醒が動いた。保守派と国民が築いた「国民覚醒の環」の実像を描く。

霊性を忘れた政治の末路──小泉進次郎ステマ疑惑が示す保守再生の道 2025年10月1日
政治の表層を覆うイメージ操作の背後で、日本が失った「祈りと倫理」を問う。高市政権の理念的基盤とも重なる、保守再生の原理を論じる。

奈良の鹿騒動──高市早苗氏発言切り取り報道と拡散、日本の霊性を無視した攻撃が招く必然の国民の反発 2025年9月29日
メディアによる「切り取り報道」がいかにして世論を歪めるか。高市氏への攻撃を通して、日本人の霊性意識と報道倫理の崩壊を照らし出す。

世界が霊性を取り戻し始めた──日本こそ千年の祈りを継ぐ国だ 2025年9月30日
国際社会で再び「精神」「祈り」が注目される時代に、日本こそが霊性の復権を導く国であると論証。高市政権の文化的使命を考える上で重要な視点。

アンパンマンが映す日本の本質──天皇の祈りと霊性文化の継承 2025年10月3日
国民的アニメ『アンパンマン』に潜む霊性構造を読み解き、天皇の祈りと庶民の祈りの連続性を考察。日本文化の精神的土台を掘り下げる。

2025年8月22日金曜日

安倍のインド太平洋戦略と石破の『インド洋–アフリカ経済圏』構想 ― 我が国外交の戦略的優先順位


まとめ

  • 安倍のインド太平洋戦略は米・豪・印との協力で中国抑止を現実化し、米国に採用された国際秩序の柱となった。
  • 石破の「インド洋–アフリカ経済圏」構想は戦略的裏付けを欠き、外交資源を分散させインド太平洋戦略を弱めかねない。
  • 安倍は「安全保障のダイヤモンド」でQuadを実現したが、石破には国際的な知的発信の実績がない。
  • 外交には優先順位が不可欠であり、課題を並列処理すれば「モグラ叩き」に終わる。
  • 日本にとって最優先は中国抑止であり、インド太平洋戦略に注力すれば他の課題も整理される。
我が国の外交において、いま改めて問われるべきは「何を優先すべきか」という戦略的視点である。安倍晋三元首相が提唱した「自由で開かれたインド太平洋戦略(FOIP)」は、国際社会において高い評価を受け、米国をはじめ主要国の政策にも取り込まれた。対して、石破首相が打ち出した「インド洋–アフリカ経済圏」構想は、一見すると壮大に聞こえるが、現実的な安全保障の裏付けを欠き、外交の優先順位を見失わせかねない。いま必要なのは、新しいスローガンではなく、安倍路線を冷静に再評価し、我が国外交の戦略的集中を見極めることである。
 
🔳石破政権の「インド洋–アフリカ経済圏」構想の危うさ
 

石破首相が打ち出した「インド洋–アフリカ経済圏」構想は、一見すれば新たな国際ビジョンのように映る。しかし実態は戦略的裏付けを欠いた空虚なスローガンにすぎない。むしろアフリカに重点を移すことで外交資源を分散させ、インド太平洋戦略の比重を意図的に薄めようとしている可能性すらある。

現実には、アフリカはすでに中国の「一帯一路」に深く浸透されている。日本が後追いで経済圏を打ち出しても大勢を覆すことは困難だ。結果として、東アジアでの抑止力を弱め、米国・インド・豪州との連携を緩める危険すらある。
 
🔳安倍晋三氏「安全保障のダイヤモンド」との比較
 
project Sydicateでは安倍氏のインド太平洋戦略に関する功績を解説している

決定的な差は、戦略の知的基盤にある。安倍晋三氏は2012年、国際論壇「Project Syndicate」に寄稿した論文「Asia’s Democratic Security Diamond(安全保障のダイヤモンド)」で、日本・米国・インド・オーストラリアの連携こそが海洋の自由と安定を守る要であると訴えた。

この論文はやがてクアッド(Quad)の枠組みへと結実し、米国が採用するインド太平洋戦略の布石となった。世界の世論を動かす力を持ち、自由主義陣営の安全保障の礎を築いたといえる。

石破氏にはこうした知的発信の実績が見られない。彼が「Project Syndicate」や国際論壇に寄稿し、世界の知識層を動かした事実は確認されていない。理念を掲げても国際的裏付けを欠けば、それは単なる看板倒れに終わる。安倍と石破の差はここに尽きる。
 
🔳安全保障上のリスクと優先順位の原則


外交・安全保障政策において最も恐ろしいのは、課題を無秩序に並べ、同時に処理しようとする姿勢だ。それはモグラ叩きに似ており、結局どの課題も解決しない。

最優先課題に集中し、これを突破すれば、二番目・三番目の課題も自動的に片付くことが多い。現状を見れば、日本にとって最優先すべきはインド太平洋戦略であり、中国の拡張を抑えることである。ここに全力を注げば、他の地域での問題も自然と整理されていく。

インド洋やアフリカへの関与を否定するものではない。実際インド太平洋戦略においても、アフリカを無視しているわけではない。それは、上のイメージでも明らかである。しかし、それは中国抑止の次に来るべき課題である。そのことを安倍ははっきりと示した。優先順位を誤れば、資源は浪費され、抑止力は失われ、同盟国の信頼も揺らぐだろう。外交の道は、スローガンを競うことではなく、現実の優先順位を見極め、そこに国家資源を集中させることに尽きる。

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2024年7月9日火曜日

<主張>日比2プラス2 新協定で対中抑止強化を―【私の論評】日比円滑化協定(RAA)の画期的意義:安倍外交の遺産と日本の新たな安全保障戦略

<主張>日比2プラス2 新協定で対中抑止強化を

まとめ
  • 日本とフィリピンが外務・防衛閣僚協議(2プラス2)を開催し、「円滑化協定(RAA)」を締結。これにより両国の防衛協力が強化され、自衛隊とフィリピン軍の相互運用性が向上。
  • 両国は中国の南シナ海での行動に懸念を表明し、力による現状変更に反対。台湾海峡の平和と安定の重要性も確認され、地理的に重要な位置にある両国の安全保障協力の意義を強調。
  • この協力強化は、中国に対する抑止力を高め、自由で開かれたインド太平洋の実現を目指すもの。日本にとってはフィリピンとの準同盟関係構築や重要な海上交通路の確保という国益にも合致。
(左から)木原稔防衛相、上川陽子外相、フィリピンのエンリケ・マナロ外相、ジルベルト・テオドロ・ジュニア国防長官

 上川陽子外相と木原稔防衛相がマニラを訪問し、2プラス2を開催しました[。この会議で、両国は自衛隊とフィリピン軍の相互運用性促進など、防衛・安全保障協力の強化で合意しました。

 重要な成果として、自衛隊とフィリピン軍の相互往来を容易にする「円滑化協定(RAA)」が署名されました。これにより、両国軍の共同演習や災害救助活動がスムーズに実施できるようになります。

 会議では、中国を念頭に置いた議論も行われ、南シナ海のアユンギン礁周辺での中国の行動に深刻な懸念が表明されました。両国は力による一方的な現状変更の試みに強く反対する立場を示しました。

 さらに、台湾海峡の平和と安定の重要性が確認され、日本とフィリピンの地理的重要性が強調されました。両国は第一列島線を構成し、台湾を挟む位置にあることから、安全保障上の協力が重要視されています。

 この協力強化は、中国に対する抑止力を高め、自由で開かれたインド太平洋の実現を目指すものとされています[4]。日本にとっては、フィリピンとの準同盟関係の構築や、重要な海上交通路の確保という国益にもつながります。

 この文章は、元記事の要約です。詳細は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】日比円滑化協定(RAA)の画期的意義:安倍外交の遺産と日本の新たな安全保障戦略

まとめ
  • 円滑化協定(RAA)は日本とフィリピンの戦略的パートナーシップを強化し、両国軍の相互訪問手続きを簡略化する画期的な協定である。
  • RAAは日本にとって3カ国目の締結国となり、フィリピンとの関係を「準同盟」級へ格上げする重要なステップである。
  • この協定は中国の海洋進出に対抗し、日米比の安全保障面での連携強化を可能にする。
  • 安倍元首相の「地球儀を俯瞰する外交」や「インド太平洋戦略」の継続性を示し、彼の外交ビジョンが日本の外交政策に深く根付いていることを表している。
  • RAAは安倍外交の遺産を体現し、日本の国益を守りつつ地域の平和と安定に貢献する理念を実践するものである。
木原防衛大臣

木原防衛大臣が円滑化協定(RAA)を「画期的」と評価していました。その理由は、この協定が日本とフィリピンの戦略的パートナーシップを大幅に強化するからです。

RAAにより、自衛隊とフィリピン軍が共同訓練などで相互に訪問する際の手続きが簡略化され、入国のためのビザ取得や武器弾薬の持ち込み手続きが容易になります。さらに、この協定は日本がフィリピンとの関係を「準同盟」級へと格上げする重要なステップとなり、日本にとってオーストラリア、イギリスに続く3カ国目のRAA締結国となります。

また、東シナ海や南シナ海で海洋進出を強める中国に対抗するため、日本は米国とともにフィリピンとの安全保障面での連携を強化できます。

加えて、RAAを基盤として、日本とフィリピンの二国間だけでなく、米国や豪州を交えた重層的な協力関係の構築が可能になります。これらの要因により、木原防衛大臣はRAAを日比関係の新たな段階を象徴する重要な協定として位置づけ、「画期的」と評価したのです。

故安倍晋三元首相の三回忌に日本とフィリピンの間で円滑化協定(RAA)が締結されたことは、安倍氏の先見性と外交政策の継続性を示す極めて意義深い出来事です。


安倍元首相は「地球儀を俯瞰する外交」「自由で開かれたインド太平洋」構想、そして「安全保障のダイヤモンド」構想を通じて、日本の国際的地位向上と地域の安定に大きく貢献しました。これらの戦略は、世界秩序と日本国内の政治的風景を根本的に変革しました。

特筆すべきは、安倍元首相の外交ビジョンが、自民党内の親中派やリベラル派の存在にもかかわらず、中国共産党に対峙する姿勢を日本の外交政策の主流に据えたことです。この転換は、もはや後戻りが困難なほど日本の外交・安全保障政策に深く根付いています。

今回の円滑化協定は、このような安倍外交の遺産が現在も生き続けていることを如実に示しています。協定は、インド太平洋地域の安定と平和への貢献、中国の海洋進出に対する抑止力の強化、同盟国・友好国とのネットワーク拡大という安倍外交の核心的要素を全て包含しています。

自衛隊とフィリピン軍の相互運用性の向上や共同訓練の拡充は、安倍元首相が推進してきた積極的平和主義の実践そのものであり、「インド太平洋戦略」の具現化と言えます。

安倍元首相の三回忌にこの協定が締結されたことは、彼の外交ビジョンの先見性と重要性を改めて世界に示す機会となりました。安倍氏が築いた外交の基盤が、彼の退任後も、さらには彼の死後も日本の外交政策の指針として機能し続けていることは、極めて称賛に値します。

長門市油谷新別名の安倍家菩提(ぼだい)寺の長安寺で行われた安倍晋三元首相三回忌の法要

この協定は、安倍元首相の遺志を継ぎ、日本の国益を守りつつ地域の平和と安定に貢献するという彼の理念を体現するものです。安倍氏の先見性と努力なくしては、今日の日本の外交的地位と影響力、そして中国に対する明確な対峙姿勢は存在し得なかったでしょう。

故安倍元首相の俯瞰外交の理念と方針は、この円滑化協定を通じて今なお実現され続けており、彼の政治的遺産は日本の外交政策に深く根付いていると評価できます。安倍外交が築いた新たな日本の立ち位置は、今や日本の外交・安全保障政策の不可逆的な基盤となっているのです。

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2024年6月22日土曜日

南鳥島沖レアメタル鉱物密集―【私の論評】日本の海洋資源戦略:マンガンノジュールからインド太平洋戦略まで

南鳥島沖レアメタル鉱物密集


まとめ
  • 東京大学と日本財団の調査で、南鳥島沖の海底にレアメタルを豊富に含むマンガンノジュールが約2億3000万トン確認され、日本が資源大国になる可能性が示唆された。
  • 確認された鉱物には、国内消費分の約75年分のコバルトと約11年分のニッケルが含まれていると推計されている。
  • 来年から実証試験を開始し、2026年以降の商用化を検討している。


日本の鉱物資源の活用が前進する可能性があります。電気自動車の電池などに使われるレアメタルを豊富に含む鉱物が小笠原諸島の南鳥島沖に密集していることが東京大学などの調査でわかりました。

日本財団 笹川陽平 会長
「資源大国になれる可能性がある」

東京大学と日本財団によりますと、日本の排他的経済水域内にある南鳥島沖の海底を調査したところ、レアメタルを豊富に含むマンガンノジュールと呼ばれる鉱物がおよそ2億3000万トン確認されたということです。

鉱物には、▼コバルトが国内消費分のおよそ75年分、▼ニッケルがおよそ11年分、含まれていると推計されています。

来年から実証試験を始め、2026年以降、商用化を検討するとしています。

レアメタルはEV=電気自動車の電池に使われるなど世界的に需要が高まっていて、“資源小国”の日本が今後、海底資源を活用できるかが焦点となります。

【私の論評】日本の海洋資源戦略:マンガンノジュールからインド太平洋戦略まで

まとめ
  • マンガンノジュールには、マンガン、コバルト、ニッケル、銅などの重要金属が含まれており、これらは電池、鉄鋼製造、ハイテク機器など現代技術に不可欠です。
  • 日本は広大な排他的経済水域(EEZ)を有し、海底熱水鉱床、レアアース泥などの資源開発を進めることで、資源自給率向上と将来的な輸出国化の可能性があります。
  • 南鳥島沖でのレアアース試掘計画やマンガンノジュールの発見は、日本の海底資源開発における重要な取り組みであり、資源安全保障強化に貢献します。
  • 安倍首相の「自由で開かれたインド太平洋」戦略は、資源安全保障を含む包括的なアプローチで、シーレーンの安全確保、資源供給源の多様化、国際協力の促進を目指しています。
  • 日本の海洋資源開発は、単なる経済的利益追求ではなく、国際協調と平和構築のビジョンを示し、新たな国際秩序の構築を目指すものです。

マンガンノジュールには以下の金属が含まれています。
  • マンガン:鉄鋼の製造において、酸素と硫黄を還元する試薬として使用され、特殊鋼やアルミニウム、銅の合金化剤としても利用されます。また、乾電池の電極や化学工業の酸化剤としても重要です
  • コバルト:電気自動車(EV)の電池やハイテク機器に使用されます。
  • ニッケル:ステンレス鋼や電池の製造に使用されます。
  • :電気配線や電子機器に使用されます。
これらの金属の用途は以下です。
  • スマホ、電気自動車等の電池:コバルトとニッケルはリチウムイオン電池の主要な成分であり、電気自動車の性能と寿命を向上させるために不可欠です。
  • 鉄鋼の製造:マンガンは鉄鋼の強度、硬度、耐食性を向上させるために使用され、特にステンレス鋼や特殊鋼の製造において重要です。
  • ハイテク機器:コバルトはスマートフォンやノートパソコンなどの電子機器の製造にも使用されます。
  • ステンレス鋼:ニッケルはステンレス鋼の製造に不可欠であり、耐食性や強度を高めます。
  • 電気配線:銅は優れた導電性を持ち、電気配線や電子機器の主要な材料として使用されます。
これらの金属資源は、現代のテクノロジーやグリーンテクノロジーにおいて欠かせないものす。

日本が資源自給率を高めるだけでなく、輸出国になる可能性もあります。日本は既にメタンハイドレートやシェールガスの試掘に成功しており、これらの資源の商業化が進めば、エネルギー自給率の向上が期待されます。

また、世界的に資源ナショナリズムが進行している中で、日本が自国の資源開発を進めることで、国内での資源供給が安定し、余剰分を輸出することが可能になるかもしれません。これらの要素を考慮すると、日本が資源自給率を高めるだけでなく、将来的には資源輸出国になる可能性も十分に考えられます。

南鳥島近辺はこれ以外にも、レアアース試掘計画がすすめられています。

政府が進める日本最東端の南鳥島沖でのレアアース試掘計画が、当初の予定から約1年遅れ、令和7年度以降に開始されることが昨年明らかになりました。遅延の主な原因は、海底から泥を吸い上げるための「揚泥管」の調達の遅れです。ウクライナ戦争の影響で、英国の製造企業が軍事部門に注力したため、揚泥管の製造に遅れが生じています。

南鳥島沖の水深約6千メートルの海底には、世界需要の数百年分相当のレアアースを含む泥が確認されています。政府の計画では、地球深部探査船「ちきゅう」から揚泥管を伸ばし、1日当たり約70トンの泥を吸い上げる予定です。

地球深部探査船「ちきゅう」

南鳥島沖のレアアース試掘計画とマンガンノジュールの発見は、直接的な関係はありませんが、どちらも日本の海底資源開発における重要な取り組みです。

レアアース試掘計画は政府が進める海底泥からのレアアース採掘を目指すもので、一方のマンガンノジュールの発見は東京大学と日本財団による調査結果です。両者は同じ南鳥島沖の海域で行われていますが、対象資源が異なります。

これらの取り組みは、日本が海底資源開発を通じて資源自給率を高め、中国などへの依存度を下げることを目指す国家戦略の一環として位置づけられています。両プロジェクトは日本の海洋資源開発の可能性を示す重要な成果であり、将来的な資源安全保障に貢献する可能性があります。

日本の領海と排他的経済水域(EEZ)を合わせた面積は約447万km²に及び、これは世界第6位の広さです。この面積は日本の陸地面積(約37.8万km²)の約12倍に相当し、多くの離島を含むため広大です。

日本の海域には、海底熱水鉱床、コバルト・リッチ・クラスト、マンガン団塊、メタンハイドレート、海底石油・天然ガス、レアアース泥などの資源が存在する可能性が指摘されています。これらの資源は、日本の資源自給率を高めるだけでなく、将来的には輸出国になる可能性も秘めており、政府は資源安全保障の強化を目指しています。

将来的には、日本が豊富な海洋資源を背景に、国際的な平和と繁栄に貢献すべきです。世界的に需要が高まるレアメタルやエネルギー資源を安定的に供給し、国際市場の安定化に寄与し、これを通じた外交関係の強化や、資源開発技術の共有を通じて、他国との協力関係を深めることによって世界に平和と安定をもたらすべきです。



安倍総理の「自由で開かれたインド太平洋」戦略は、世界に新たな秩序をもたらし、現在でも日本の国家安全保障の中核を成すものであり、資源安全保障と密接に関連しています。この戦略は、重要なシーレーンの安全確保を通じて日本のエネルギー資源の安定供給を保証し、同時に資源供給源の多様化を推進しています。また、国際法に基づく秩序維持により、南シナ海や東シナ海における日本の海洋資源権益も守ろうとしています。

さらに、この戦略は地域諸国とのエネルギー協力促進や、インフラ投資を通じた新たな資源開発機会の創出も目指しています。技術協力による資源利用効率化や循環型経済の推進、経済連携協定の締結による安定的な資源取引環境の整備も、戦略の重要な側面です。加えて、新エネルギー技術の開発・普及を通じて、長期的な資源安全保障の強化も図っています。

このように、安倍首相のインド太平洋戦略は、地政学的な構想を超えて、日本の経済安全保障、特に資源安全保障を多面的に強化する包括的なアプローチとなっており、変化する国際環境の中で日本のエネルギーと資源の安定確保を目指す長期的なビジョンを示しているのです。

日本の海洋資源を活用した国際貢献は、安倍首相のインド太平洋戦略の重要な一面を形成しています。それは単なる経済的利益の追求ではなく、資源を通じた国際協調と平和構築の ビション を示すものです。この アプローチは、資源をめぐる紛争を防ぎ、共存共栄の理念に基づいた新たな国際秩序の構築を目指すものであり、安倍首相の外交ビジョン の本質的な部分を体現しするものでもあるのです。

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2024年4月26日金曜日

南シナ海、米比合同演習の周囲を埋め尽くす中国船が見えた―【私の論評】鈍い中国の対応、日米比の大演習に対抗する演習をしない中国の背後に何が?

南シナ海、米比合同演習の周囲を埋め尽くす中国船が見えた

まとめ
  • 南シナ海の係争海域に多数の中国船舶(海警局艦船と武装した漁船)が集結している。これは米比合同演習への対抗と見られる。
  • 中国船舶は特にフィリピンのEEZ内の環礁周辺に集中しており、中国はこの海域への実効支配を強化しようとしている。
  • 米比は中国の挑発に対し、合同演習の規模を過去最大に拡大し、日本などの参加も得て対応を強化した。
  • バイデン大統領は米比相互防衛条約が南シナ海防衛にも適用されると明言し、日本とも連携を確認した。
  • 中国は表向きは「友好的協議」で解決を目指すと主張しつつも、実効支配の強化と威嚇姿勢も併せ持っている。

 南シナ海の係争海域において、中国船舶の大規模な集結が確認されている。これは、同海域でアメリカとフィリピンが行っている年次合同軍事演習「バリカタン」への対抗措置とみられており、中国政府が自国の海軍力を誇示する意図がある。

 集結船舶には、中国海警局の公船に加え、武装した中国漁船の「海上民兵」も多数含まれていることが確認された。特に船舶の集中が著しいのは、国際的にフィリピンの排他的経済水域(EEZ)と認められている南沙諸島の環礁周辺である。中国はこれらの環礁を不法に占拠・軍事基地化しており、セカンド・トーマス礁やミスチーフ礁周辺では、フィリピン船の航行妨害を繰り返してきた経緯がある。今回の船舶集結は、こうした中国の実効支配強化の動きの一環とみられている。

 こうした中国の挑発的な行動に対し、今年のバリカタン合同演習では過去最大規模の1万7000人近い部隊が投入されている。参加国はアメリカとフィリピンが主体だが、日本やオーストラリア、フランスなども加わり、14カ国がオブザーバー参加している。先月にはバイデン米大統領が、マルコス・フィリピン大統領、岸田日本首相と会談し、南シナ海防衛での連携強化を確認した。バイデン大統領はマルコス大統領に対し、米比相互防衛条約が南シナ海の防衛にも適用されることを保証した。

 一方の中国側は、表向きは「海洋紛争は直接関係国と友好的な協議を通じて解決する」と主張している。しかし、南シナ海での権益侵害を許さないとも強く警告しており、協議による解決と実効支配の強化を並行して行う姿勢をみせている。また、バリカタン演習開始の前日には西太平洋海軍シンポジウムが中国で開催され、この場でも中国制服組トップの張又侠・中央軍事委員会副主席が「自国の信義誠実につけ込む悪辣な行為は断じて許さない」と釘を刺した。

 こうした緊張が高まる中、専門家は中国が近年、フィリピンの進める南シナ海での水路測量プロジェクトにも高い警戒感を示していると指摘する。南シナ海をめぐる対立は一層深刻化しており、米比日が軍事的対応を強化する中で、中国も実効支配の強化と威嚇姿勢を併せ持っている状況にある。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】鈍い中国の対応、日米比の大演習に対抗する演習をしない中国の背後に何が?

まとめ
  • 米軍がフィリピンにMRC(中距離ミサイル発射装置)を配備し、中国への牽制を図っている。
  • MRCの射程は南シナ海や台湾海峡周辺に及び、軍事的抑止力の向上が目的。
  • フィリピンへのMRC配備により、米国の軍事的プレゼンスが強化される見通し。
  • 米軍の演習に日本の自衛隊も参加し、日米比3か国の連携を強化する。
  • 中国は南シナ海での米比日本等の演習に対抗しつつも、大規模演習は行わず経済的制約や緊張緩和の観点から控えめにしている可能性が高い。
地上配備型の中距離ミサイル発射装置「MRC」

米軍は25日「バリカタン演習」の一環として、フィリピンに地上配備型の中距離ミサイル発射装置「MRC」を配備しています。これは、主に中国への牽制を狙ったものと見られます。MRCの射程圏内には南シナ海の中国拠点や中国南部沿岸部、台湾海峡沿いが含まれることから、これらの地域への軍事的抑止力の向上が目的とみられています。

近年、米中間では南シナ海を巡る対立が深刻化しており、中国は同海域での実効支配強化を進めてきました。一方で、同地域での中国のミサイル戦力の優位性が指摘されていました。今回のMRC配備は、こうした中国の軍事的影響力の拡大に対する、米国からの意思表示の一環とみられます。

MRCからは射程約1600kmの巡航ミサイル「トマホーク」などの発射が可能で、南シナ海や台湾海峡周辺に対する米軍の射程を大幅に延長することになります。中国はフィリピンへのMRC配備に反発していますが、米国は同地域における軍事的プレゼンスの強化を志向していると見られます。

軍事専門家らは、米軍のフィリピンへのMRC配備は恒久的な措置ではなく、一時的な配備と見なしています。この配備により、危機発生時に即応できる能力が高まり、危機を乗り切る可能性が強まるとの指摘があります。

また、中国側のミサイル戦略において、情報収集や標的特定の能力など、比較的新しい分野に対して試練を与えるものと分析されている。つまり、米軍のMRC配備は、中国の新しいミサイル戦略の実効性を試す側面もあると専門家は読み解いています。

今年の演習では、日本の自衛隊がバリカタン演習に本格的に参加する方向で調整されています。これにより、日米比3か国の連携を強化し、中国の威圧的な行動に対抗する意図があります。

また、今回の演習では対潜水艦戦訓練にも焦点を当てています。具体的には、ソナー訓練、対潜哨戒機の運用、対潜兵器の運用、情報共有と連携などが行われます。これにより、潜水艦を探知し、追跡し、攻撃する能力を向上させることを目指しています。

哨戒ヘリを用いた一般的な対潜戦訓練の模式図

2020年中国人民解放軍は、南シナ海と東シナ海、黄海、渤海の4海域で軍事演習などを同時実施していました。これは、主に台湾に向けたものと考えられます。

今回、中国が南シナ海での米比日本などの動きに危機を感じているのなら、南シナ海の係争海域に多数の中国船舶(海警局艦船と武装した漁船)が集結させるだけではなく、「バリカタン演習」に匹敵するか、それを上回るような演習を「バリカタん演習」の前後にするはずですが、それに関する発表はいまのところ、中国側からありません。

中国が今回、南シナ海での米比合同演習に対抗する形で、同規模の大がかりな軍事演習を行っていない背景には、以下のような要因が考えられます。

1. 軍事的緊張のコントロールと実効支配の手段の選好

過度の軍事演習は緊張を高め、思わぬ軍事衝突のリスクもあります。そのため、威嚇的な船舶の集結などのグレーゾーン活動を通じて実効支配を強化する方が望ましいと判断している可能性がある。

2. 主張の正当性の確保

環礁でのミサイル基地建設を進めつつ、大規模演習を行えば、その正当性が損なわれるリスクがある。

3. 軍事的能力の限界

長距離への投射能力などで米軍に及ばず、さらには兵站能力でも米軍等には及ばず、大規模演習の実効性に中国側の疑問がある可能性があります。

4. 経済的負担の観点

大規模な実戦的な軍事演習を行うには、実戦と同様の多額の弾薬、燃料、食料など物資の手配が必要となる。現在の経済情勢の中で、そうしたコストを負担するのは困難と判断している可能性がある。

特に経済面での制約は大きいと考えられます。実戦と同様に、膨大な量の弾薬、燃料、さらには1人一日当たり3000キロカロリー相当の食料を演習現場に投入する必要があります。こうした巨額の経費をかけての大規模演習は、中国の現在の経済状況では負担が大きすぎるのかもしれません。

軍事的、政治的配慮に加え、経済的な制約から、中国は威嚇的な活動に重きを置きつつも、実際の大規模演習は控えめにしている可能性が高いと言えます。

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2024年4月14日日曜日

G7の「CO2ゼロ」は不可能、日本も「エネルギー・ドミナンス」で敵対国に対峙せよ 「トランプ大統領」復活なら米はパリ協定離脱― 【私の論評】エネルギー共生圏 - 現実的な世界秩序の再編成への道

 杉山大志 直言!エネルギー基本計画

G7の「CO2ゼロ」は不可能、日本も「エネルギー・ドミナンス」で敵対国に対峙せよ 「トランプ大統領」復活なら米はパリ協定離脱 

まとめ
  • 日本のエネルギー供給の8割は化石燃料に依存しており、その安定的な調達が重要
  • しかし第6次エネルギー基本計画では、無理難題とも言える46%のCO2削減目標が設定され、化石燃料の利用制限につながっている
  • その結果、燃料調達や関連事業への参入が困難になり、供給不足や火力発電所の休廃止といった問題が懸念される
  • 一方で、気候変動の悪影響を示すデータや予測モデルの信頼性には疑問があり、CO2ゼロ目標の実効性も極めて低い
  • したがって、「エネルギー・ドミナンス」戦略に立ち返り、安定供給を確保する政策を検討すべきであり、パリ協定からの離脱も検討の余地がある
阿蘇外輪山の元牧野に建設されたメガソーラー

 日本のエネルギー供給の8割は依然として石油、石炭、天然ガスといった化石燃料に依存している。これらの化石燃料を安定的に調達し活用することは、日本のエネルギー政策の最も重要な柱のはずだ。

 しかし、現行の「第6次エネルギー基本計画」では、2030年までにCO2排出量を2013年比で46%も削減するという非現実的な数値目標が設定され、化石燃料の利用量も極端に低く設定されている。その結果、企業は長期的な燃料調達契約の締結が困難となり、油田やガス田への事業参入も阻害されている。

 こうした事態が進めば、有事の際に法外な価格でしか化石燃料が調達できなくなったり、最悪の場合は全く調達できなくなる可能性がある。また、火力発電所の休廃止も余儀なくされ、定期的に「節電のお願い」が発出されることにもなりかねない。

 一方で、メディアでは気候変動の悪影響が強調されているが、統計データではそのような事態は確認されていない。さらに、気候変動リスクを示すシミュレーションモデルさえ、過去の再現すら十分にできていないと指摘されており、その将来予測を政策決定に活用するのは適切ではない。

 したがって、「2050年にCO2排出ゼロ」という極端な目標を掲げ、日本のエネルギー政策と経済活動を大きく制限することは不適切であると考えられる。そうではなく、安定したエネルギー供給を確保し、経済発展を支えていく「エネルギー・ドミナンス」戦略に立ち返るべきであり、グローバルサウスの支持も得つつ、パリ協定からの離脱も検討する必要がある。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】エネルギー共生圏 - 現実的な世界秩序の再編成への道

まとめ
  • 「エネルギー・ドミナンス」はトランプ政権下の米共和党で使われてきた概念で、安定かつ安価なエネルギー供給を通じた経済発展や民主主義の保護を目指すものです。
  • 第6次エネルギー基本計画は「脱炭素」を重視しつつ、再生可能エネルギー以外のエネルギー源の活用も検討されました。
  • この計画は「S+3E」の視点から、安全性、エネルギーの安定供給、経済効率性、環境適合性を重視しています。しかし、現実には脱炭素、再エネばかりが強調されています。
  • 安倍晋三氏が存命であれば、「エネルギー共生圏(Energy Symbiosis Sphere)」のような新たな概念を提唱し、地球規模でのエネルギー協力体制を構築していた可能性があります。
  • 「エネルギー・ドミナンス」の代わりに「エネルギー共生圏」のような概念を打ち出すことで、より多くの国々の参加を促し、現実的な世界秩序の再編成を目指すべきです。

「エネルギー・ドミナンス」という用語は、米国共和党で使用されてきた概念です。これは豊富で、安定し、安価なエネルギーを供給することを指し、経済発展や防衛力の向上、自由や民主主義などの普遍的価値の保護と発展を可能にするとされています。具体的にこの言葉を最初に使った個人についての情報は見つかりませんでしたが、この概念はドナルド・トランプ大統領の下での米国のエネルギー政策に関連してよく言及されています。

「第6次エネルギー基本計画」は安倍政権下で検討されたものではありますが、安倍総理は、2020年9月16日に辞任しており、閣議決定されたのは、2021年10月の菅政権のときでした。

第6次エネルギー基本計画で目指す総発電量に占める電源別の割合

この基本計画が検討された時期においては、「脱炭素」が世界の趨勢となっており、このエネルギー基本計画は、「脱炭素」にも重点を置き、極端な目標が掲げられている一方、再生可能エネルギー以外のエネルギー源についても詳細に述べられています。

この計画は、本来は、エネルギー政策の基本的な方向性を示すものであり、安全性(Safety)、エネルギーの安定供給(Energy Security)、経済効率性の向上(Economic Efficiency)、環境への適合(Environment)という「S+3E」の視点を重視しています。

具体的には、以下のようなポイントが含まれています。

安全性(Safety):あらゆるエネルギー関連設備の安全性を最優先し、特に原子力に関しては、国民の懸念の解消に全力を挙げることが強調されています。

エネルギーの安定供給(Energy Security):日本のエネルギー自給率が低いため、エネルギー供給の安定性を確保することが重要視されており、レジリエンス(強靭性)を高めることが求められています。

環境への適合(Environment):カーボンニュートラルを目指し、エネルギー分野の脱炭素化に取り組むことが強調されています。これには、再生可能エネルギーの導入拡大や、CO2排出削減技術の開発が含まれます2。

経済効率性(Economic Efficiency):低コストでのエネルギー供給とエネルギーの安定供給、環境負荷の低減を同時に実現することが、日本の経済成長にとって重要であるとされています。

安倍政権が継続されていた場合、あるいは政権が続いていなくても、安倍晋三氏が存命だった場合、経済効率性やエネルギーの安定供給の観点がもっと強調されていた可能性があります。

しかし、菅政権から、岸田政権にかけて、エネルギー政策というと、カーボンニュートラルや再エネ等が大きく注目されるようになりました。そうして、現状では阿蘇山にはメガソーラ発電省が設置され、釧路湿原国立公園内に、6.6haの太陽光発電施設が設置されるという危機的状況になっています。


このままだと、日本はエネルギー政策で失敗して衰退しかねません。だからこそ、エネルギー問題のまともな専門家たちは、危機を感じているのです。

そうして、上の記事の杉山氏の元記事ように
米国とともにアジア太平洋におけるエネルギー・ドミナンスを達成することはできる。それは、ポンペオ氏が指摘しているように、天然ガス、石炭火力、原子力などを国内で最大限活用すること、そして、友好国の資源開発および発電事業に協力することだ。

いま日米が「エネルギー・ドミナンス」にかじを切らなければ、中国に打倒されるだろう。
と警鐘を鳴らしているです。

これは、重要であり、中国やロシアがエネルギー・ドミナンスで優勢になれば、日本を含む西側諸国やその同盟国は安全保証上の脅威にもさらされることを意味しています。

そうして、安倍晋三氏がご存命であれば、この危機にいち早く気づいて、新たな概念を生み出しい、「安全保障のダイヤモンド」のような論文をブロジェクト・シンジケートに投稿していたかもしれません。ちなみに、この論文は、後の「インド太平洋戦略」に結びつき、中国の覇権主義に対抗する上で重要な概念となっています。

エネルギー・ドミナンスの危機に関して、安倍晋三氏がご存命であれば、やはり新たな概念を生み出したかもしれません。

たとえば、「エネルギー共生圏(Energy Symbiosis Sphere)」という概念を生み出していたかもしれません。

これは、意味するところは、以下です。
  • 「共生」の文字から、各国や多様なステークホルダーが互いに協力し合い、共に発展していくエネルギーシステムの構築を表現
  • 「圏」の字は、地球規模での包括的なエネルギー協力体制を示唆しています
  • 化石燃料の利用や、原子力エネルギー等、現実的なエネルギー利用の安定供給を目指すとともに、小型原子炉や核融合炉などの将来のエネルギーの開発等も含めた、エネルギーミックスを構築する
  • 先進国と途上国、エネルギー生産国と消費国が対話を重ね、共生的なエネルギーアーキテクチャを構築することを表す
英語での意味は以下のようなものです。
  • "Energy" - エネルギーという分野を表しています。
  • "Symbiosis" - 共生、相互依存的な関係性を意味します。
  • "Sphere" - 地球規模、あるいは包括的な領域を表す言葉です。圏というと、大東亜共栄圏などを思い起こさせる言葉ですが、Sphereは違います。
つまり、「Energy Symbiosis Sphere」は、各国や様々な利害関係者が協力し合って、現実的なエネルギーシステムを地球規模で構築していくという戦略概念を表しています。

この英語表現も、安倍晋三氏の思想を反映した戦略的なイニシアチブを感じさせる言葉だと思います。

「安全保障のダイヤモンド」は、端的に言ってしまうと、「中国封じ込め政策」なのですが、安倍晋三氏は、そうではなくもっと大きな上位の概念からこの言葉を使っています。これによって、より多くの国々が、この言葉に賛同し参加できるような素地をつくりだし、後にさらに「インド太平洋戦略」という言葉を生み出し、インドや太平洋の平和と安定の重要性も強調しました。これによって、安倍晋三氏は世界の秩序を変えたといえます。

そうして、それが世界だけでなく、日本国内にも大きな影響を及ぼしています。

エネルギー・ドミナンスは日本語訳にすると「エネルギー支配」とも訳すことができ、これではエネルギーに関する覇権争いとも受け取られかねません。これでは、日米のエネルギー・ドミナンスの確立に参加を表明したくてもできない国々が出てくる可能性もあります。

Energy Symbiosis Sphere AI生成画像

しかし、安倍晋三氏が生み出したような「インド太平洋戦略」という中露との対立という概念より、上位の概念は、この地域の平和と安定を目指すものであり、この地域や、他地域の多くの国々の賛同を得ることができ、これに真っ向から反対するのは、一部の権威主義的、全体主義的な国々だけです。

日本国内でも、どなたか有力な方が「エネルギー共生圏(Energy Symbiosis Sphere)」のような言葉を作り出し、安倍晋三氏が、政権発足直前に「ブロジェクト・シンジケート」で公表したように、新たな概念を公表すべきと思います。

これによって、エネルギーを基軸とした、世界秩序の再編成を目指すべきです。

それにしても、それを実現できる人は、なかなか見当たりません。改めて、わたしたちは偉大な人物を亡くしてしまったことが残念でなりません。

このようなことを実現し、それだけでなく、それを目指して行動する人こそ、安倍氏の真の後継者なのかもしれません。

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