2014年11月21日金曜日

クルーグマン氏が決定的役割-安倍首相の増税延期の決断で―【私の論評】ブルームバーグ日本語版記事から抜け落ちた部分の意味を理解せよ!今回の安倍総理の増税見送り、解散・総選挙は、財務省に挑戦状を叩きつけたのだ(゚д゚)!

クルーグマン氏が決定的役割-安倍首相の増税延期の決断で

ボールクルーグマン博士
11月21日(ブルームバーグ):ノーベル経済学賞受賞者、ポール・クルーグマン氏の訪日予定を耳にした際、本田悦朗内閣官房参与は、再増税をめぐる議論を慎重派に有利な方向に導く好機が到来したと思った。

安倍晋三首相にとって、消費税率を2015年10月に10%に引き上げることの是非を決断する期限が近づきつつあった。今年4月の8%への引き上げの影響で、日本の景気は四半期ベースとして世界的な金融危機以降で最も深刻 な落ち込みに見舞われ、その後の回復の足取りもおぼつかない状況だった。

安倍首相と30年来の知己である本田氏(59)は、4月の増税反対に続き、15年の増税延期を首相に助言。そこに登場することになったのが、自身のコラムで日本の増税延期が必要な理由を説いていたクルーグマン氏だった。

本田氏は20日、オフィスを構える首相官邸でインタビューに応じ、「あれが安倍総理の決断を決定づけたと思う。クルーグマンはクルーグマンでした。すごくパワフルだった。歴史的なミーティングと呼べるものだった」と、首相とクルーグマン氏の会談を振り返った。

助っ人

帝国ホテルから官邸への高級車の車内で本田氏は、安倍首相との会談がいかに重要かをクルーグマン氏(61)に説明した。増税延期で首相を説得する手助けをクルーグマン氏にしてもらえる可能性があった。  クルーグマン氏は今月6日の首相との会談について、自身が首相の決断に及ぼした役割の大きさには控えめな態度を示す。同氏は20日の電話インタビューで「首相の質問には明確に答えられたと願う。私がこれまで書いてきたようなことうまく説明できたと思うが、首相の考えにどこまで影響があったかは分からない」と話した。その上で、増税延期の決定を「歓迎する」と語った。

海外の著名経済学者の助けを借りたいと考えていた本田氏は、クルーグマン氏が東京での講演のため訪日することを偶然知った。「クルーグマンならと思っていたが、ミーティングのためにわざわざ日本に来てれくれないと思っていたら、たまたま日本に来ることを聞いてこれを使わない手はないと思った」と明かす本田氏は、首相とクルーグマン氏の20分間の会談のお膳立てに成功。会談は予定時間の倍近くに及んだ。

会談に同席した本田氏によると、クルーグマン氏は冒頭、アベノミクスを高く評価。唯一の問題は消費増税だと訴えた。会談が終わるまでには、首相は延期を決めるだろうと本田氏は確信を持ったという。

官邸での会談

やはり会談に臨んだ浜田宏一内閣官房参与は18日のインタビューで、「安倍首相はクルーグマン氏の説明をとても注意深く聞いていた」と振り返り、「恐らく首相の決断を手助けしたのではないか」との認識を示した。

安倍首相はNHKで「先般、ノーベル経済学賞受賞者のクルーグマン教授と話した」と言明。「彼の意見は、アベノミクスを支持する。しかし今度の消費税引き上げは慎重にいくべきだ。そうしなければ景気が腰折れしてしまう。となればデフレから脱却できず、経済再生、財政再建もおぼつかないという話だった。私もその通りだと思う」と述べた。

クルーグマン氏は17年4月の10%への引き上げをめぐっては、「ある時点で歳入の拡大を図る必要がある点は理解する」とした上で、「私としては『インフレ率が2%程度に達してから引き上げる』といった条件付きの延期の方が望ましいと考えるが、そうした可能性がないことも理解している」と語った。

原題:Abe Listening to Krugman After Tokyo Limo Ride on Abenomics Fate(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 藤岡 徹tfujioka1@bloomberg.net;ロンドン Simon Kennedyskennedy4@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先: Christopher Ansteycanstey@bloomberg.net Brett Miller更新日時: 2014/11/21 13:21 JST

【私の論評】ブルームバーグ日本語版記事から抜け落ちた部分の意味を理解せよ!今回の安倍総理の増税見送り、解散・総選挙は、財務省に挑戦状を叩きつけたのだ(゚д゚)!

さて、このブルームバーグの記事の英語の元文には、実は日本語版には掲載されていないことが盛り込まれていた。

それに関しては、前田敦司氏が、ツイートしていますので、そのツイートを以下に掲載します。
確かに、英語版をみると、リフレ派頭脳集団の前に、増税させじと財務省の官僚らが、たちはだかっていたことが掲載されています。

日本語版の最後に(抜粋)とことわってありますし、記者・編集者は英語版も抜粋日本語も同じ人たちによるものです。

さて、これを私達は、どのように解釈すれば良いのでしょうか。これは、昨日のこのブログをご覧いただければ、良くご理解いただけると思うので、その記事のURLを以下に掲載します。
【衆院選】首相はなぜ解散を決断したのか 幻となった4月総選挙 決断を早めたのは…―【私の論評】産経新聞ですらのってしまった昨年の総理増税決断の虚偽報道!今年は破壊的革命集団財務省が、安倍総理の解散時期をはやめた、その意味するところは?

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、昨年の増税政局においては、新聞は安倍総理が、「増税決断」を正式に発表する前から、どの新聞も例外なく各紙一斉に「安倍総理、増税決断」と報道する異様な自体が発生していました。

そうして、政治家のほとんどが増税推進派となり、識者も増税一色という異様な状況のなかで、安倍総理は増税を決断せざるをえなかったことを掲載しました。そうして、日本のほとんどの勢力が「増税一色」で固まった背景には、財務省の増税キャンペーンがあったことを掲載しました。

これを掲載した後で、この記事は、以下のように結びました。
今から、思えば、安倍総理は8%増税も本当はやりたくなかったということが良くわかります。それは、今年の動きを見れば、はっきりしています。そうして、本当は、去年の9月でも増税は阻止できたはずです。法律の条文など、一日もあればかえられます。
しかし、昨年は財務省の木下康司を筆頭にする、増税推進派の恐喝により、特に自民党の幹部をはじめとする、政治家が徹底的に「増税容認」を固めてしまいました。身動きがとれなくなってしまった安倍総理は、長期政権や、まだまだやり残したことを成就するためにも、「増税の決断」をセざるを得なかったのです。
その木下氏は、実は強大な権力を持つ、財務省の権化のような存在であり、これについては、上念司氏が、わかりやすく解説していますので、その動画を以下に掲載します。

木下氏は、財務次官だったときには、繰越予算など、憲法解釈上認められないはずなのに、つるの一声でそれを実現してしまいました。この動画でも、上念氏が述べているように、このようなことは、総理大臣でも出来ないことです。日本には、このような国民の選挙で選ばれた議員による国会や、政府の他に、財務省の一部の人間や、一部のOBなどによる大きな影の強力な権力集団があるということです。
その影の権力集団が、昨年に続き、今年も増税恐喝を続け、他省庁の官僚はもとより、政治家やマスコミを「増税容認」で固めてしまおうとしたのですが、さすがに、そうはいかなかったというのが、今年の流れです。
そもそも、世論が7割がた、増税に反対なのに、無理に増税に踏切るという事自体が、異常です。昨年は、安倍総理としては、解散総選挙というわけにもいかず、増税に踏み切らざるを得ませんでした。ゆくゆくは、20%増税も視野に入れている財務省は最早、政府の一下部機関とはいえません。破壊的革命集団とでも呼ぶのが相応しいと思います。
20%増税などしてしまえば、日本経済も国民も疲弊してどうしようもなくなることははっきりしています。しかし、そんなことはお構いなしに、財務省はいずれそれを実現しようとしています。これでは、破壊的革命集団と呼ぶ以外に適切な名称などありません。
これは、見方を変えてみれば、単なる日本経済や財政、デフレに関することだけではなく、安倍総理の第二の権力への挑戦とみてとるべきです。 
そうして、この挑戦は、すぐに結果がでるものではありません。長きにわたって、展開されることになると思います。 
さて、あなたは、どちらに与しますか。正当な手続きを踏んだ、安倍総理の側ですか、それとも影の権力ですか。 
私としては、無論のこととして、正当な手続きを踏んだ、安倍総理の側にたちます。
それにしても、安倍総理の増税見送り、解散・総選挙宣言!ようやっと、日本でも正当ではない権力に立ち向かう総理大臣がでてきたということで、この部分では財務省に一矢報いたということで、勝利と見て良いのではないでしょうか。 
ただし、これからも戦いは長く続きます。影の権力が日本よりなくならない限りこの戦いは終わりません。 
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
このように、今回の安倍総理の増税見送り、解散総選挙は、財務省に対する宣戦布告でもあったのです。それを昨日も掲載したのですが、これでは憶測にすぎなかったものです。しかし、本日の上のブルームバーグの記事、それに日本語版などで、掲載されなかった部分があるというこの事実。

なぜ、英語版では掲載して、多くの英語圏の人々に読んでもらっても良いものが、日本国内版ではカットされるのかということの裏を読んでいただければ、ご理解いただけるのではないかと思います。

なぜか日本では、財務省現役とOBの一部の人間が、全部とはいいませんか、選挙で選ばれた国会議員や、内閣よりも、多方面にわたって、強力な権力を持っています。

たとえば、上の動画でも上念氏が説明しているように、財務省は今年の春に、予算の繰越をできるようにしましたが、法解釈上これは本来なら安倍総理でも一存ではできません。しかるべき正当な手続きの後でないとできることではありません。しかし、当時の木下康司財務次官は、鶴の一声でこれをやってのけました。

日本では、まだ、こうした権力の二重構造があるのです。こうした二重構造に挑戦しようとしたのが、故中川氏でした。

中川氏は、財務省の特別予算というおそろしく複雑怪奇な仕組みに切り込み、財務省の埋蔵金ということをいいだしました。中川氏も財務省の権力に挑戦しようとしたのでしょうが、その志は誠に残念ながら中途でついえてしまいしまた。この志を引き継いでいるのが、安倍総理です。

左より、高橋はるみ北海道知事、安倍晋三氏、在りし日の中川一郎氏
安倍総理の今回の増税見送り、解散・総選挙は、こうした二重権力廃止への挑戦を宣言をしたということです。いかに財務省とはいえども、官僚が表だって、10%増税を実行することはできません。それに、選挙によって正式な手続きを経た後に、民主的な手続きよって、誕生している総理に対して、あれこれ指図もできません。

財務省の権力は、あくまでも間接的なものです。日本国の財布の紐を握っているということで、それを利用して、ありとあらゆる手段を使って、他省庁や、政治家に圧力をかけ、自分たちにとって都合のよいように政治を動かしていくというのが彼らのやり方です。

それは、増税政局もそうでした。財務省は、昨年も今年も同じく、ご説明資料を持って、政治家やマスコミを回っていました。とはいいながら、その内容は、まさに恐喝でした。増税しないと、あれはできないぞ、これもできないぞという脅しです。安倍総理が何らかの行動にも出なければ、今年も昨年と同じように、増税が決まっていたことでしょう。

でも、今年は、いろいろな人が、財務省の増税推進の間違いについて、新聞は報道しなくても、徹底的にサイトなどのメディアに掲載するなどのことで、その真相ははっりきとはわからなくても、間違いであること、自分たちにとっても、良くないことであることが、理解され、多くの人達が増税に反対でした。

ここを突いたのが、安倍総理です。解散総選挙して、圧倒的多数を勝ち得ることができば、財務省とて、これを無視するわけにはいきません。そうして、安倍総理は無論、こんなことは見通していましたし、10%増税など実行すれば、経済がかなり落ち込み、安倍政権どころか、自民党政権も危うくなるということに気づいていました。

だから、クルーグマン氏の訪問と、安倍総理に対するアドバイスは、あくまでコーチング的なものであったと思います。コンサルティングなどとは異なり、コーチングでは、コーチングを受ける側に、考えて自ら問題を解決する力をつけさせるのが最終的なゴールです。クルーグマン氏も、すでに安倍総理が持っている答えを後押ししたということです。

それに、こうしたノーベル学者のアドバイス内容を公表することにより、対外的なアピールに使うという目的もあったでしょう。そもそも、クルーグマン氏は学者です。日本の経済について、経済的な観点からアドバイスはできても、日本に政局に対するアドバイスはできません。

アメリカの政局なら、それなりに理解していて、特にブッシュ政権に対する批判は、かなり辛口で辛辣でしたが、日本の政局についてはそんなに詳しくないし、他国の財務省を手ひどく批判するわけにもいきません。それに、ここ最近の増税論議などは、経済理論や、理屈など完璧に脇においた次元であり、政局そのものでした。

ただし、今回の安倍総理の挑戦は、これから長く続くであろう、最初の一回です。しかし、安倍総理には、今回のことを忘れてほしくはありません。それは、民意が自分の側についていれば、財務省も手出しはできないし、出せば大やけどをするということです。

以上のようなことは、全く表には出ないので、多くの人が知らないですし、マスコミも報道しません。水面下での戦いです。ただし、いずれ財務省の敗北が濃厚になった場合は、報道されるようになるかもしれません。しかし、今のところは、財務省がまだまだ優勢なので、しばらくは表には出てこないでしょう。

いずれにせよ、日本のような先進国において、権力の二重構造があってはならないはずです。この二重構造を廃することが、本当の意味での政治主導です。民主党がやろうとした、政治主導など、最初から間違っていました。事業仕分けや、官僚の天下りばかり追求したとしても、元を絶たなけれは、政治主導はいつまでたっても成就しません。

このような観点や背景から、増税政局、マスコミの報道姿勢、政治家の行動をみると、様々なことが浮かび上がってきます。しかし、このような観点がなければ、日本の政治、政局は全くみえてきません。今回の選挙の大義は何かなどと、まだ馬鹿なことを言っている政治家や、マスコミ関係者が大勢いますが、かれらは政局もまともに、見ることができない大馬鹿者だと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どうおもわれますか?

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2014年11月20日木曜日

【衆院選】首相はなぜ解散を決断したのか 幻となった4月総選挙 決断を早めたのは…―【私の論評】産経新聞ですらのってしまった昨年の総理増税決断の虚偽報道!今年は破壊的革命集団財務省が、安倍総理の解散時期をはやめた、その意味するところは?


増税見送り、解散総選挙を表明する安倍総理
「民主党はそんなに解散したいのか?」

10月下旬、安倍晋三首相はこうつぶやいた。

当初、無風と思われていた秋の臨時国会は荒れに荒れた。9月に民主党幹事長に就任した枝野幸男氏が「私が首相だったら年内解散だ」と吹聴し、解散封じに向け、スキャンダル国会を仕掛けてきたからだ。

国会は空転し、10月20日には小渕優子経済産業相、松島みどり法相がダブル辞任に追い込まれた。それでも閣僚の追及は止まらない。「撃ち方やめ」を模索していた首相だが、ついに反撃に出た。

10月30日の衆院予算委員会。首相は、質問に立った枝野氏とJR総連、革マル派の関係を逆に追及した。腹の中は半ば年内解散に傾いていた。

そして外遊を目前に控えた11月7日。野党側の出席拒否により衆院厚生労働委で90分間も「待ちぼうけ」を食らった首相は一気に動いた。自民党の谷垣禎一幹事長、公明党の山口那津男代表と相次いで官邸で会い、年内解散を念頭に置いていることを伝えた。

そもそも首相は年内解散など想定していなかった。平成24年12月の就任当初は「300近い自民党の議席は大切にしないといけない」と周囲に語り、28年夏の衆参ダブル選挙を軸に政権構想を練っていた。

考えが変わったのは、昨年秋、臨時国会で特定秘密保護法の審議を通じ、野党と一部メディアの激しい批判にさらされてからだ。さらに今年の通常国会では、集団的自衛権行使の政府解釈変更で再び批判を受けた。

首相は、解釈変更に伴う安保関連法案を秋の臨時国会に提出するのを見送り、27年の通常国会への提出を決めた。

首相は周囲にこう漏らした。「やはり政権の求心力が持つのは長くて3年かな…」

ここで首相が模索したのは27年度予算案成立直後の解散、来年4月の衆院選だった。統一地方選と同時に衆院選を打つことで国と地方の両方で自民、公明両党に勝利をもたらそうと考えたのだ。

この構想を漏らしたのは菅義偉官房長官らごく少数の側近だけ。中には「秋の臨時国会には懸案がないから」と年内解散への前倒しを促す声もあったが、「任期2年で解散はできないよ」と一向に興味を示さなかった。

もう一つ、年内解散に向け、首相の背中を押した組織がある。財務省だ。首相が消費税再増税の先送りに傾きつつあるとの情報を得た財務省は組織を挙げて説得工作に乗り出し、自民党議員は次々に切り崩されていった。首相は苦々しげに周囲にこう漏らした。

「財務省はおれに政局を仕掛けているのか?」

解散風が吹き始めると財務省はさらに工作活動を活発化させ、ついに首相の後見人である森喜朗元首相にも先送りを思いとどまらせるよう泣きついた。森氏は「なんで俺のところに来るんだ。麻生太郎副総理に言えばいいじゃないか」といなしたが、外遊先でこれを聞いた首相は怒りを爆発させた。

「ぐずぐずしてたら政局になってしまう。もはや一刻の猶予もない…」(副編集長 石橋文登)

【私の論評】産経新聞ですらのってしまった昨年の総理増税決断の虚偽報道!今年は破壊的革命集団財務省が、安倍総理の解散時期をはやめた、その意味するところは?

上の記事、あまり長くもないものなので全文掲載させていただきました。この記事は、憶測記事にすぎないです。無論これから、私が掲載する内容も憶測にすぎないのですが、それでも産経新聞の憶測よりは、はるかにましです。

なぜ、そのようなことを言うかといえば、昨年の安倍総理の増税決断の公表の前に、日本のほぼすべてのメディアが、「安倍総理増税決断」という報道をしており、産経新聞もそのような報道をしていたからです。

さて、昨年の、9月を振り返ってみましよう。

主要各紙は昨年9月21日までに、安倍晋三首相が来春の消費増税を「決断」したことを1面トップで相次いで報じました。しかし、安倍首相はこの時点では、まだ一言も「増税を決断した」とは語っていなかったことが明らかになっています。安倍総理が、増税決断の表明をしたのは、昨年10月1日のことであり、それまでは、一言も「増税を決断した」などとは語っていません。

この間、菅義偉官房長官は少なくとも3度の公式会見で「安倍首相はまだ決断していない」と指摘していました。これは、このブログにも記事として掲載しました。その記事のURLを以下に掲載します。
消費税増税決定と報道したマスコミの梯子を華麗に外す菅官房長官―【私の論評】外国勢に嫌われようと、増税派に嫌われようと、安倍総理はまた優雅に梯子を外せ(゚д゚)!
昨年は、財務省とマスコミの梯子を華麗に外せなかった安倍総理だが今年は?

このように菅官房長官が「安倍総理増税決断」という報道を再三にわたって、否定したにもかかわらず、各紙は、すでに増税を既定路線とみなしていました。私自身も、この記事を掲載した時点では、まだ「増税見送り」もあり得ると考えていました。

安倍首相は最終的には、増税の決断をしそれを公表したのではありますが、この間の増税「決断」報道の経緯の異常ぶりは、歴史に残すためにも記録にとどめておく必要があります。以下に、その記録を掲載します。

まず、主要メディアの報道をざっと振り返っておきます。実際には、これ以外も、多くの報道がありましたが、代表的なもののみにとどめます。報道に間違いがなければ、安倍首相は11日から20日にかけて、少なくとも4度(11日、12日、18日、20日)にわたり「決断」を繰り返したことになります。
安倍首相は11日、消費税率を来年4月に現行の5%から8%に予定通り引き上げる意向を固めた。出典:読売新聞9月12日付朝刊1面「消費税 来年4月8% 首相、意向固める 経済対策に5兆円」
安倍晋三首相が、来年4月に消費税率を5%から8%へ予定通り引き上げる方針を固めたことが12日分かった。出典:共同通信9月12日「消費増税 来年4月8%に 首相、10月1日表明へ」
安倍晋三首相は12日、現行5%の消費税率を、消費増税関連法に沿って2014年4月に8%に引き上げる意向を固めた。出典:時事通信9月12日「消費税、来年4月に8%=経済対策5兆円で下支え=安倍首相、来月1日にも表明」
安倍晋三首相は、現行5%の消費税率を、来年4月に8%へ予定通り引き上げる方針を固めた。出典:毎日新聞9月12日付夕刊1面「消費増税 来年4月8% 安倍首相『環境整う』判断 経済対策、5兆円規模検討」
安倍晋三首相は18日、現在5%の消費税率について、来年4月に8%に引き上げることを決断した。出典:産経新聞9月19日付朝刊1面「消費税来春8%、首相決断 法人減税の具体策検討指示」
安倍晋三首相は来年4月に消費税率を8%に引き上げる方針を固めた。(…)複数の政府関係者が19日、明らかにした。出典:日本経済新聞9月19日付夕刊1面「消費税来春8% 首相決断 法人減税が決着、復興税廃止前倒し 来月1日表明」
安倍晋三首相は20日、来年4月に消費税率を現在の5%から8%に予定通り引き上げることを決断した。出典:朝日新聞9月21日付朝刊1面「首相、消費税引き上げを決断 来年4月から8%に」
安倍首相は10月1日の発表の前までは、自らの肉声で「決断」の意思を表示したわけではありません。仮に会見等の場で表明していれば「~を表明した」と報じられるし、一部の関係者に伝達していれば「決断したことを~に伝えた」と報じられるのが普通です。しかし、昨年はどのメディアも「表明」「伝達」いずれの事実も報じておらず、「意向を固めた」「決断した」といった表現で報じていました。

「意向」とか「決断」とかいう内面的事実を、メディアは一体どのように確認したというのでしょうか。さまざまな周辺情報(増税に備えた経済政策の検討を指示した等)から「決断している可能性が高い」と推測できるからといって、「決断した」と断定していいはずはなかったはずです。

もし、「決断」の裏付けを取れたなら、その根拠となる事実関係や、ソース(情報源)を読者に示してしかるべきでした。ところが、各紙の「決断」報道は、日経新聞だけが「複数の政府関係者によると」と書いたほかは、全くソースについて触れていませんでした。

単に「安倍首相は…決断した」とだけ書いて、根拠やソースは何も書かなかったのです。ソース情報は、読者に報道内容の信ぴょう性や情報源の意図を知る重要な手がかりとなるものです。それを全く示さない記事は、「メディアが書いたものだから信じなさい」と一方的に事実認識を押しつけているとみられても仕方がないです。

こうした「出所不明記事」は英字紙では記事として扱ってもらえず「ゴミ箱行き」となるそうです(『官報複合体』講談社)。仮に「政府関係者によると」と表記したとしても、あまりに漠然としすぎていてソースを示したとはいえないです。

そうして、安倍総理が「増税を決断」した後の新聞報道といえば、増税推進の印象操作の記事などが目立ちました。

日経の巧妙な「世論調査という名の世論操作」
日本経済新聞2013年8月26日付朝刊1面
日本経済新聞が、昨年9月24日付朝刊1面トップで、同紙が実施した「社長100人アンケート」の結果で、2014年4月からの消費増税を前提に1年後の国内景気を聞いたところ、現在より上向くという回答が41・4%に達したと報じました。記事は、大見出しで「景気『増税後も改善』4割」と掲げ、リード(記事冒頭の要約)で「設備投資が増え個人消費も底堅いとみており、増税前の駆け込み需要の反動による影響は限定的との見方が多い。経営者が景気先行きに気であることが浮き彫りになった」と分析していました。

実は、日経新聞はこの記事の前にも、消費増税に関する世論調査でミスリードの疑いが極めて強い記事を載せていました。

8月26日付朝刊で、自社の世論調査の結果について「消費増税 7割超が容認」との見出しをつけて1面で報道。リードも「消費増税の税率引き上げを容認する声が7割を超えた」と伝えていました。来春の消費増税が予定通り行われるかどうかが焦点となる中、この見出しやリードは「来春の消費増税」に「7割超」が容認する結果が出たとの印象を与えるものでした。

ところが、共同通信が25日発表した世論調査によると、予定通りの消費増税に賛成は22%でした。改めて日経の世論調査を確認したところ、日経が「容認」として報じた「7割超」は「引き上げるべきだが、時期や引き上げ幅は柔軟に考えるべきだ」の55%を足し合わせた数字でした。そもそも質問は「予定どおり引き上げるべきか?」であり、それに対して「引き上げるべき」の回答は17%にすぎなかったのです。記事本文をきちんと読めば書いてあるが、見出しとリードだけ読んでは分からないようになっていました。

日経は7月にも同様の世論調査を行っていましたが、このときも「予定通り引き上げるべきだ」が11%、「引き上げるべきだが、時期や引き上げ幅は柔軟に考えるべきだ」は58%。日経がいう「増税容認」は69%、ほぼ7割でした。つまり、7月の調査と8月の調査は、増税自体を容認しているかどうかいう点ではほぼ同じ結果で、それ自体既報であってニュースですらなかったのです。ニュースでないことを見出しとリードにとる代わりに、回答者の意見(7月の58%、8月の55%)は、見出しでもリードでも伝えなかったです。

この世論調査報道に対しては、元日本経済新聞編集委員の田村秀男氏(現・産経新聞編集委員兼論説委員)も、「世論調査という名の世論操作」「増税に世論を導くための典型的な印象操作」「データをねじ曲げてまで世論誘導を図る今の日経の報道姿勢」「官報以下」と古巣をこき下ろしていました。

それにしても、今年は昨年と比較すれば、総理が決断する前から、「総理増税決断」などという報道はありませんでした。

これは、どうしてなのでしょうか。私としては、やはり今年は昨年と同じ轍を踏むことを避けるため、安倍総理や、官邸サイドがかなり神経を尖らせ、財務省側を牽制していたのだと思います。

それに関しては、産経新聞の内容を読んでいても、それを感じさせる記載が見られます。

上の記事でいえば、
「財務省はおれに政局を仕掛けているのか?」 
 解散風が吹き始めると財務省はさらに工作活動を活発化させ、ついに首相の後見人である森喜朗元首相にも先送りを思いとどまらせるよう泣きついた。森氏は「なんで俺のところに来るんだ。麻生太郎副総理に言えばいいじゃないか」といなしたが、外遊先でこれを聞いた首相は怒りを爆発させた。 
 「ぐずぐずしてたら政局になってしまう。もはや一刻の猶予もない…」
という件です。
また、他の記事でもそうしたことがうかがえるものがあります。それは、先日このブログにも掲載しました。その記事のURLを以下に掲載します。
景気後退局面か GDP速報値大幅減が示唆 消費増税で深刻な経済悪化を招いた財務省の罪―【私の論評】日本人が、アルゼンチンタンゴを踊るようになる前に、破壊的革命集団財務省分割消滅こそが、日本の安定成長をもたらす(゚д゚)!
田中秀臣氏
詳細はこの記事をご覧いただくものとして。この記事には、以下の産経新聞の記事を引用しました。
消費税率再引き上げ 財務省「予定通り」に固執し、官邸激怒
この記事から一部のみ以下に引用させていただきます。
 消費税率10%への再引き上げをめぐり、財務省が来年10月から予定通りに実施するよう固執し、自民党議員に「ご説明」に回った。これに対し官邸サイドは、「増税容認」で固めてしまおうとする動きだとして激怒、安倍晋三首相が衆院解散・総選挙を決意した遠因とされている。
この産経新聞記事では、財務省が「増税容認」で固めてしまおうという動きに官邸サイドが激怒し安倍晋三首相が衆院解散・総選挙を決意した遠因としていますが、私自身は、そうではなくて、これ自体が主因であるとみています。

10月20日には小渕優子経済産業相、松島みどり法相がダブル辞任に追い込まれたことが年末解散総選挙に大きく影響したとされてはいますが、これ自体は、自民党サイドのコントロールが良かったせいか、直後には支持率はおちたものの、その後は50%近くの支持率を保っていました。

この程度のことであれば、ブログ冒頭の記事のように解散・総選挙までしなくても4月の総選挙で十分対処出来たものと思います。

しかしながら、財務省の横槍は、さすがに安倍総理も腹にすえかねたし、それに4月まで放置しておけば、またぞろ、昨年のような財務省の大増税キャンペーンによって、「増勢容認」にマスコミも、自民党内の政治家も固められて、身動きがとれなくなると判断した安倍総理がもともと、解散総選挙のシナリオもあったのですが、それを今の時期に決断する大きな判断材料になったものと推察します。

とにかく、昨年の財務省のキャンペーンは凄まじいものがありました。キャンペーンどころか、昨年も今年も、「増税しないと大変なことになるぞ」という恐喝でした。

この恐喝の首謀者は、このブログでも過去に何度か指摘してきたように、木下康司元財務次官てす。この木下康司を中心とした、!財務省「花の54年組」4人衆です。

これについては、このブログでも掲載したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
この国は俺たちのためにある そこどけ!財務省「花の54年組」4人衆のお通りだ 加藤勝信・木下康司・香川俊介・田中一穂―【私の論評】アベノミクスを完遂するために、安部総理が財務省対策の深謀遠慮を巡らしてそれを実行できなければ、この国は終わるかもしれない(゚д゚)!
財務省「花の54年組」4人衆 加藤勝信(左上) 木下康司(右上)
香川俊介(下右) 田中一穂(右下)
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では以下のように締めくくりました。
しかし、現実には、官僚、大多数の政治家、マスコミが束になって、安部総理の行方を幾重にも阻み増税路線を貫こうとしています。しかし、これらに対抗する世論が盛り上がれば、これらを阻止することも可能です。
結局のところ、財務省は昨年通り必死の増税恐喝を各方面に徹底したのですが、さすがに、国民も馬鹿ではないので、だんだんとこの財務省の恐喝に関して、マスコミはスルーしたものの、サイトなどでじんわりとではありますが、確実に広がっていったのだと思います。

そうして、いわゆる識者以外の人々も、増税は見送りするのが当然のという認識が深まっていったのだと思います。

それは、昨年の異常なまでの、増税包囲網と、今年の差をみれば良く理解できます。昨年と何も変わらなければ、今年も同じような流れになったはずです。

これを意図して、意識して広めた人々も大勢います。私も、その一人です。10%増税は何が何でも、見送りすべきとの記事は、昨年の8%増税が決まった直後から、頻繁に掲載をはじめていました。こうした努力が、少しずつ浸透し、安倍総理の財務省の意図を砕く、増税阻止のための解散・総選挙へと踏み切らせたのだと思います。

今から、思えば、安倍総理は8%増税も本当はやりたくなかったということが良くわかります。それは、今年の動きを見れば、はっきりしています。そうして、本当は、去年の9月でも増税は阻止できたはずです。法律の条文など、一日もあればかえられます。

しかし、昨年は財務省の木下康司を筆頭にする、増税推進派の恐喝により、特に自民党の幹部をはじめとする、政治家が徹底的に「増税容認」を固めてしまいました。身動きがとれなくなってしまった安倍総理は、長期政権や、まだまだやり残したことを成就するためにも、「増税の決断」をセざるを得なかったのです。

その木下氏は、実は強大な権力を持つ、財務省の権化のような存在であり、これについては、上念司氏が、わかりやすく解説していますので、その動画を以下に掲載します。



木下氏は、財務次官だったときには、繰越予算など、憲法解釈上認められないはずなのに、つるの一声でそれを実現してしまいました。この動画でも、上念氏が述べているように、このようなことは、総理大臣でも出来ないことです。日本には、このような国民の選挙で選ばれた議員による国会や、政府の他に、財務省の一部の人間や、一部のOBなどによる大きな影の強力な権力集団があるということです。

その影の権力集団が、昨年に続き、今年も増税恐喝を続け、他省庁の官僚はもとより、政治家やマスコミを「増税容認」で固めてしまおうとしたのですが、さすがに、そうはいかなかったというのが、今年の流れです。

そもそも、世論が7割がた、増税に反対なのに、無理に増税に踏切るという事自体が、異常です。昨年は、安倍総理としては、解散総選挙というわけにもいかず、増税に踏み切らざるを得ませんでした。ゆくゆくは、20%増税も視野に入れている財務省は最早、政府の一下部機関とはいえません。破壊的革命集団とでも呼ぶのが相応しいと思います。

20%増税などしてしまえば、日本経済も国民も疲弊してどうしようもなくなることははっきりしています。しかし、そんなことはお構いなしに、財務省はいずれそれを実現しようとしています。これでは、破壊的革命集団と呼ぶ以外に適切な名称などありません。

これは、見方を変えてみれば、単なる日本経済や財政、デフレに関することだけではなく、安倍総理の第二の権力への挑戦とみてとるべきです。

そうして、この挑戦は、すぐに結果がでるものではありません。長きにわたって、展開されることになると思います。

さて、あなたは、どちらに与しますか。正当な手続きを踏んだ、安倍総理の側ですか、それとも影の権力ですか。

私としては、無論のこととして、正当な手続きを踏んだ、安倍総理の側にたちます。

それにしても、安倍総理の増税見送り、解散・総選挙宣言!ようやっと、日本でも正当ではない権力に立ち向かう総理大臣がでてきたということで、この部分では財務省に一矢報いたということで、勝利と見て良いのではないでしょうか。

ただし、これからも戦いは長く続きます。影の権力が日本よりなくならない限りこの戦いは終わりません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年11月19日水曜日

財務省に敗北感濃く 財政健全化 巻き返し狙う―【私の論評】増税見送り、解散選挙だけでは財務省の勝利!その後も続々登場する隠し球が安倍総理にはある!まともな経済対策のできる国になるためにも世論を盛り上げよう(゚д゚)!

財務省に敗北感濃く 財政健全化 巻き返し狙う

増税見送り、解散総選挙を記者会見で公表した安倍総理大臣



 安倍晋三首相が消費税再増税の延期を正式に表明したことで、来年10月の消費税10%への引き上げを目指してきた財務省の“敗北”が確定した。ただ、1千兆円という世界最悪の債務残高を抱える日本が、財政健全化の手綱を緩めることは許されない状況は変わらない。財務省は平成32年度の財政健全化目標に照準を合わせ、消費税10%超への引き上げをも見据え始めた。

「完敗だ…」。今月中旬、ある財務省幹部は大きく肩を落とした。12日、産経新聞が「消費再増税1年半延期」と報じて以降、各紙も相次いで再増税延期を報道。財務省が総力戦で目指してきた再増税の可能性は大きくしぼんだ。

財務省は官邸に対し、再増税を延期すれば、安倍政権の看板政策である子育て支援策が不可能になると再三、訴えてきた。同省幹部が自民党の若手議員や大学教授はおろか、雑誌編集者など財政に“門外漢”の人にも財政健全化と消費税再増税の必要性を説いて回った結果、再増税実現に大きな手応えを感じていた。

さらに10月31日、日銀が同日追加緩和を決め、日経平均株価は大きく跳ね上がった。黒田東(はる)彦(ひこ)総裁は元財務官で、再増税による財政再建の重要性を力説してきた経緯がある。「市場は再増税を評価している。安倍首相も無視はできない」(幹部)。財務省内には楽観ムードすら漂っていた。

しかし、結論は全く逆だった。ある幹部は「戦略ミスだった」とこぼす。経済情勢次第で増税を停止できる「景気条項」の撤廃を勝ち取ったのが唯一の収穫で、敗北感は濃い。

ただ、再増税は延期されたが、財政の立て直しには消費税の再増税は避けられない。消費税率を10%に引き上げても、32年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)は11兆円の赤字が残る。この赤字を消費税で穴埋めするには、さらに4%程度の引き上げが必要になる計算だ。

財務相の諮問機関である財政制度等審議会は今年5月、来年夏までに今後5年間の財政健全化の具体的な工程を示すよう求めている。財務省幹部は「次の勝負はここだ」と話し、財政健全化目標を“錦の御旗”に、消費税再増税へのリベンジを果たそうとしている。(小川真由美)

【私の論評】増税見送り、解散選挙だけでは財務省の勝利!その後も続々登場する隠し球が安倍総理にはある!まともな経済対策のできる国になるためにも世論を盛り上げよう(゚д゚)!

ブログの冒頭の記事を読まれて、皆さんはどうお感じになりますか。財務省は、敗北したのでしょうか。私は、この記事を書いた記者は、現実を良く理解していないと思います。むしろ私は、今回の勝者は、財務省であるとさえ思っています。

まずは安倍総理の会見前から、何がどうなれば安倍総理の勝ち、どうなれば財務省の勝ちということを定めておいた上で、判定するということにすれば、この試みはうまくいったでしょうが、この記事を掲載した記者はそのようなことはしておらず、後追いで財務省の官僚などから取材して記事を書いているのでしょうが、それでは真実は見えてきません。

それどころか、財務省の敗北を強く印象付けようという財務官僚の意図に乗ってしまい、財務省のスポークスマンのような役割をしてしまっています。これでは、まともな報道とはいえません。

私が、知っている限り、会見前から勝利の基準を定めた上で、判定をしていたのは、憲政史家の倉山満氏だけだったと思います。しかも、倉山氏はそれを口で語るだけではなく、文章でそれを示していました。その上で、今回の会見において、安倍総理が勝利したのか、財務省が勝利したのか、明確に判定しています。倉山氏の写真と、その記事のURLを以下に掲載します。

倉山満氏
安倍首相記者会見を聞いて~罠にかかったのは誰か?
 安倍首相が
・増税延期
・解散総選挙
・一年半後の増税確定(景気弾力条項の削除)
を明言。
 会見が始まり円高が進み、時間外取引の株価も下がった。
安倍首相、インフレ期待の概念を理解していなかったか軽視しすぎたか。
安倍さんは2年前に市場を味方につけて政権に就いたが、今回は背を向けられた。
安倍支持者は盲目的に「大義がある」などと言わず、この意味を本気で考えろ。
 私は10月3日に書いた。
一、延期ならず、そのまま来年10%。          →大敗北
二、延期されるものの、一年半後に増税が確定。   →負け確定
三、景気条項は引き継いだまま延期の法律を通す。 →引き分け
四、10%を停止する。                   →勝利
五、8%から5%に戻す                   →大勝利
 結局、安倍首相は「二」を選んだ。
財務省は倉山兵団への戦術的敗北を、より大きな戦場を選び取り返したと言える。
さすが、見事な戦略ではある。
 しかし、日本国民に勝ったと言えるかな?
悪いが、こちらも3日の時点とは比較にならないほど戦略的優位を拡大しているのだ。
 実は「景気弾力条項撤廃」だけではなく、「半年の延期」をやってくれた方がよかったとすら思う。笑
この罠、意味が分かるかな?誰がわからせてやるか。笑
 日本を守ろうとする代議士の方々は大迷惑だが、その分、私のような選挙に関係のない人間は選挙後を見据えた動きをさせてもらう。
 あえて言おう。
 財務省よ。罠にかかったな!
 どちらが正しいか、わかるのはXか月後だ。
倉山氏が書いているように、今回の記者会見においては、安倍総理の「負け確定」ということです。しかしながら、倉山氏は財務省は国民に勝ったわけではなく、罠にかかったと語っています。私もそう思います。

さて、多くの新聞などは、こうした判定はしていないですし、大義がどうのと述べているものがほとんどで、これはこのブログ冒頭の記事のようなものであり、何ら事実を報道したことにはならず、雑音とみなして良いものです。

まずは、高橋洋一氏は以下のようにツイートしています。
このツイートの通りと思います、大義がどうのこうのというマスコミや識者は、最初から問題外です。高橋洋一氏は、今回の記者会見に関して述べているのは、これくらいです。まだまだ、この先どうなるかわからないし、まだ情報も集まってこないので、いろいろと明言することは避けているのだと思います。

田中秀臣氏は以下のようなツイートをしています。結構発言が多いです。
景気条項の件については、やはりこれは財務省側の勝利であると考えられているようです。その他、いくつかの特にリフレ派と言われる人々のツイートをみていましたが、記者会見の内容については、ほとんどツイートしていないか、事実を淡々とツイートしているというような内容でした。

これらのツイートなどをみていると、やはり今回は財務省の勝ちのようではありますが、実はまだ隠し球があるように思えます。

この隠し球については、以前にもこのブログに掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
政府月例経済報告に異議あり!消費税増税の悪影響を認めたくない政府に騙される政治家とマスコミ―【私の論評】財務省はジレンマに陥っている。安部総理と、そのブレーンは肉を切らせて骨を断つ戦略を実行している(゚д゚)!これこそが隠し球かも?
「肉を切らせて骨を断つ」という戦法は日本で古から知られているものである

詳細はこの記事をご覧いただくものとして、今回の増税見送り、解散総選挙は、大方の人にとってはサプライズなのでしょうが、この後にもいくつかサプライズがあるかもしれません。

この記事(今年7月時点)に私が掲載した、安倍政権の歩む二つの道を以下に再掲させていただきます。
 今後安倍政権には、二つの道があります。
一つ目の道としては、景気対策をすぐに推進することです。確かに、国民のことを考えると、景気を良くしたほうが良いに決まっています。しかし、今すぐそれを実行してしまえば、10月に増税派に格好の増税推進の大義名分を与えてしまうことにもなりかねません。
そうして、来年の10%増税が、なされてしまえば、来年は今年よりもさらに景気が落ち込み、日本はとんでもないことになります。失われた20年が、40年になってしまう可能性も高いです。
第ニの道としては、直近の経済が悪くても、来年の増税を今度こそ阻止し、その後に先程述べた、再配分的な所得税減税や、給付政策を実行して、経済を上向かせるという道です。
これにより、日本経済はデフレから脱却できる可能性が高まることになります。おそらく、これを実行すれば、市場関係者も好感して、最初は株価もあがり、かなり経済指標も良くなり、丁度安倍政権が誕生したときの、衆議院議員選挙の直前のときのように安倍政権にとって追い風となることでしょう。
私としては、安倍総理および、そのブレーンたちは、第二の道を選んでいるのだと思います。
まさに、安倍総理は、「肉を切らせて骨を断つ戦略」を実行しつつあるのだと思います。だからこそ、リフレの論客たちもこのことを理解して、現状では様子見をしているのだと思います。
さて、この一つ目の道は、安倍総理の解散・総選挙によって、国民の信を問うという形で完全に回避されました。これ自体も今から考えれば、隠し球だったと思います。安倍総理は、もうこの時点から、解散総選挙もありという考えだったと思います。

そうして、安倍政権は第二の道を選ぶことになると思います。現状では、8%増税の悪影響は顕著です。いくら10%増税を見送ったにしても、この悪影響からは免れません。とてつもない大きな危機から脱したというだけて、未だ危機は続いているわけです。

さて、財務省は、こうした動きに反発して、いずれ20%増税を確実なものにしようと考え画策します。財務省は、将来の20%増税を確かなものにするため、景気条項を排除させることに大成功しました。彼らにとっては、これを確かなものにするたには、現状の増税見送りなどは、さして重要なことではないのです。

財務省の高級官僚たちは、今は勝利の美酒に酔っているかもしれません。しかし、彼らは蟻の一穴という言葉を忘れています。

財務省の立場からすれば、本当は、何が何でも、今回は増税に踏み切らせるべきでした。それができなかったということは、後でボディブローのように、効いてくることになります。

今回の選挙で、議席を過半数以上(おそらく、これどころではない)とることができれば、まずは国民に安倍総理の信任は得られたということで、自民党増税派議員も、あからさまに安倍総理の行動を妨害できくなくなります。

そうなると、増税しても、それに対して経済対策をすぐに打つことができるようになります。そうして、それを実行することでしょう。そのうち、国民の大多数もこのやり方のおかしなことに気づくはずです。増税して、経済対策を打つくらいなら、最初から増税しないほうが良いということに気づくはずです。もう、半分気付きはじめています。

そうして、こうした世論を背景に、安倍総理はいずれ増税の意思決定を完全に財務省からとりあげ、独自で決められるようにすることになると思います。

そのときに、おそまきながら、日本政府は、日銀や、財務省の官僚主導による経済対策ではなく、政治主導によるまともな経済対策ができるようになります。これが、政治主導の本質です。民主党がやろうとしてた、政治主導などは単なるお遊びで、話にも何もなりませんでした。

私は、倉山氏が語っている罠とは、このことだと思っています。

いずれにせよ、今後安倍総理の繰り出すサプライズ、解散・総選挙にかぎらず、でてくるはずです。しかし、安倍総理がサプライズを次から次へと打ち出すには、圧倒的に国民から支持されている政権という立場がなければ、なかなかできるものではありません。私達が、世論を盛り上げていく必要があります。

それにしても、その動きは近いです。今のところ、私も様子見というとこですが、何か新たな動きが出てくれば、また、ブログに掲載させていただきます。

よろしくお願いします。

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2014年11月18日火曜日

景気後退局面か GDP速報値大幅減が示唆 消費増税で深刻な経済悪化を招いた財務省の罪―【私の論評】日本人が、アルゼンチンタンゴを踊るようになる前に、破壊的革命集団財務省分割消滅こそが、日本の安定成長をもたらす(゚д゚)!

景気後退局面か GDP速報値大幅減が示唆 消費増税で深刻な経済悪化を招いた財務省の罪

文=田中秀臣/上武大学ビジネス情報学部教授

田中秀臣氏

17日に発表された7~9月期の国内総生産(GDP)速報値が、事前の民間予測を大きく下回る年率換算1.6%減となり、国内のみならず海外にも衝撃が走っている。米国の著名な経済記者デイビッド・ウェッセルはツイッターで「リセッション(景気後退)!」と書いた。経済統計的にも2四半期続いての成長率の落ち込みはリセッションとなり、ショックを受けた東京株式市場でも日経平均株価の終値が前週末比517円03銭安の1万6973円80銭にまで落ち込んだ。

かねてから財務省や同省と近しい政治家、エコノミストたちは、「4月の5%から8%への消費増税による成長率反動減はせいぜい夏前までに終わり、その後日本経済は回復経路に乗る」と楽観的な見通しを示し、来年10月に予定される10%への再増税を正当化していた。しかし今回の実質GDP大幅減は、そのような楽観的な見通しがいかに間違ったものかを明らかにした。

この速報値発表を受け早くも一部メディアは、18日にも安倍晋三首相が衆議院解散と消費再増税の先送りを決断すると報じている。だが、解散については与党内でも今回の速報値が予想以上に厳しいため、見送るべきだとの声も出始めていて不確定だ。

●実質民間住宅投資の大幅な落ち込み

最大の減少要因になったのは、実質民間住宅投資の大幅な落ち込みだ。消費再増税による民間の住宅購入減少が、新規の住宅着工戸数の減少を招き、大幅な住宅投資の落ち込みをもたらした。実質民間住宅投資の落ち込み幅は▲6.7%と市場の予想外であり、従来では住宅投資が落ち込んでもその幅はマイルドなものだと考えられてきたが、1997年の前回の消費増税時の急激な減少を想起させる。

また民間在庫もマイナスだが、これは4月の消費増税以後続いた大幅な予想外の在庫積みましが解消されていることを示す。だが、増税による売れ残りが企業にとってあまりにも過大であったため、今後もこの在庫調整は続くことが予想される。

さらに注目すべきは消費の弱さだ。第2四半期ほどの落ち込みではないが、それでもわずかにプラスになっただけだ。この背景には、消費増税によって実質所得が恒常的に減少している可能性があり、多くの消費者は増税の効果が長期に続くと予想し、自らの財布のひもをきつく締め続けることを意味し、この悪影響が短期間のものではない可能性を示唆している。

●雇用面に悪影響の可能性も

純輸出も弱く、政府最終消費支出も弱い。政府の財政政策は公共事業中心だが、その効果は乏しい。むしろこの悪影響を取り除くためには、政府は実質的な減税政策(各種の所得補助金)を中心に行う必要があり、消費減税が必要な局面とさえいえる。

雇用状況は堅調なようでいても、経済指標の性格から実体経済を遅れて反映する。このようなリセッションを放置していれば、やがて確実に雇用面にも深刻な影響を生じる。

財務省が率先し、増税主義の政治家たちが便乗した今回の消費増税のツケはあまりにも大きい。もはや再増税の議論をしている暇はない。政府は経済対策を緊急に打ち出すべきだろう。しかし財務省は、1年半の再延長を認める代わりに消費増税法に含まれる景気条項を削除せよと要求しているという。景気条項とは、再増税の条件として判断時の景気を見極めることを明記するものだが、これを削除するということは1年半後がいかなる経済状況でも自動的に再増税されることを意味する。

国民経済をないがしろにし、増税に突き進もうとする財務省の罪は重い。

(文=田中秀臣/上武大学ビジネス情報学部教授)

以上は、要約です。詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】日本人が、アルゼンチンタンゴを踊るようになる前に、破壊的革命集団財務省分割消滅こそが、日本の安定成長をもたらす(゚д゚)!

上の記事、まったくそのとおりで、特に付け足すことや、説明したり、批判したりするようなことは何もありません。

ただし、上の記事はまともなエッセーですから、随分トーンを落としていますが、田中秀臣氏の財務省批判は相当なものです。しかし、私自身は妥当な批判だと思います。本日も以下のような、ツイートをされていました。
まったく、おっしゃるとおりです。こんな過激なことを繰り返す財務省は、とても日本の官庁であるとは思えません。

こんなのは、序の口でさらに辛辣なツイートもされています。それについては、以前のこのブログでも掲載しました。そのURLを以下に掲載します。
【田中秀臣氏TW】財務省は「人殺し」の機関の別称だといって差し支えない―【私の論評】政治主導を実現するため、財務省殺人マシーンは分割して破壊せよ!日銀殺人マシーンの亡霊を蘇らせないために、日銀法を改正せよ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、いかにこの記事に掲載した写真と、田中秀臣氏によるツイートのキャプチャ画像を掲載します。

未来の殺人マシーン、ターミネーター。もっとも財務官僚はこんなに格好良くはないが・・・


現状の消費税増税のように、不況をあえてもたらす政策は事実上の人殺しという観点を田中秀臣氏は肯定していると思いますが、私もそう思います。

そんなことは、少し想像力を働かせば、誰にでも理解できると思います。貧困層が多くなることと、将来に絶望する人も増え、このような人々の母集団が増えれば、確率論的に言っても自殺者が増えるのは当然のことです。

しかも、これが非常に貧乏な国であれば、経済対策を打とうにも打てないので、ある程度仕方ないとあきらめもつきますが、日本のように愚策つぐ、愚策により、15年以上もデフレが続き、その後に止め打ちをするように、増税してさらに、増税ということになれば、これはもう立派な殺人です。

さて、この記事では、このような財務省は分割したほうが良いと、私がリツイートしたところ、田中氏から以下のようなコメントがあったことも掲載しました。

以下が、その私のツイートと、田中氏によるコメントです。


田中秀臣氏は、財務省をただ分割しただけでは、植民地を拡大するので、公的金融部門を廃止して、財務省を分割して、それ他官庁の下部組織に編入するべきとしています。

この方法なら、完璧に革命集団財務省を破壊して、まともな省庁に直すことができます。この方法がベストだと私も思います。

それにしても、財務省の暗躍ははっきりしています。本日も以下のような記事がありました。
消費税率再引き上げ 財務省「予定通り」に固執し、官邸激怒
 消費税率10%への再引き上げをめぐり、財務省が来年10月から予定通りに実施するよう固執し、自民党議員に「ご説明」に回った。これに対し官邸サイドは、「増税容認」で固めてしまおうとする動きだとして激怒、安倍晋三首相が衆院解散・総選挙を決意した遠因とされている。 
 10月下旬、自民党有志でつくる「アベノミクスを成功させる会」会長の山本幸三衆院議員は、出席者が減ったことについて「財務省が根回しをしている」と同省への不満をみせた。 
 財務省はとくに、再増税に慎重な議員に集中して押しかけた。同省幹部は、ある若手議員に再増税をしきりに訴えたという。 
 「社会保障費が膨れ上がる中、消費税率がこんなに低いのは、国民を甘やかすことになる。経済が厳しくても10%に上げるべきだ」 
 若手は「景気はかなり悪い」と反論すると、財務省幹部は「景気は回復していきます」と楽観論を振りかざした。その言いぶりは、まさに「上から目線」だったという。 
 「ご説明」を受けた別の若手も「財務省は(財政の健全性を示す)プライマリーバランス(基礎的財政収支)のことしか考えていない」と憤る。
町村信孝 衆議院議員北海道5区 写真はブログ管理人挿入以下同じ
 財務省の行状を聞いた菅(すが)義偉(よしひで)官房長官は、11月に入り、関係省庁に再増税を先送りした場合の経済への影響を調べるよう指示した。すると、財務省と二人三脚で再増税を訴える党税制調査会幹部も「政策変更をしなければならない経済状態かといえば、全くそうではない」(町村信孝顧問)などと発信を強め、官邸サイドをさらに刺激させた。
 17日発表の7~9月期国内総生産(GDP込み)速報値は想定外のマイナス成長だった。それでも野田毅税調会長は記者団に「若干低い。想定の範囲内ではありますけどね」と強調した。
このような時期に、財務省が自民党の政治家などに、ご説明資料を持って訪問し、未だ「増税推進」などとふれ回っているという事態は、異様です。

それに、ほだされて、「増税推進」は本当に正しいことと信じて疑わない政治家にもかなり問題があると思います。

このような政治家達は、政局すらまともに見れないのだと思います。仮に、10%増税をしてしまえば、どうなるかなど想像もつかないのだと思います。

それは、明らかです。まずは、景気が極度に落ち込み、日本はまた、深いデフレ・スパイラルの底に沈み、安倍内閣は頓挫します。変わって登場した、内閣も短命に終わります。

ますます、景気が落ち込み、税収が落ち込み、それを補うために増税します。そうなると、もうハイパーデフレともいうような状況になり、どうしようもなくなり、何をしてもモグラたたきに終わり、国民は閉塞感にさいなまされて、自民党への不信感を露わにして、また政権交代劇になります。

無論、そのときは民主党が、政権交代をするということにはならないでしょうが、その時には、民主党ではない別の受け皿になる政党が準備されている可能性もあります。

その政党も、増税を推進して、20%増税が成就したとします。そうなると、ますますデフレは恒常化深刻化していきます。そこから、先は、日本人がアルゼンチン・タンゴを踊ることになります。

日本人はアルゼンチンタンゴを踊ることになるのか・・・・・・・

アルゼンチンというと、多くの人々は、後進国というイメージを持っていると思います。しかし、この国はかつては先進国でした。しかし、この国は先進国から、後進国へと落ちてしまいました。

この国で現在残っている、先進国の証ともいうべきものは、代表的なものではアルゼンチン・タンゴだと思います。あの官能的で雅で、芸術性の香りのする音楽やダンスは、やはりかなり裕福で、余裕のある国でないと生まれるものではありません。

南米でも、アルゼンチンからタンゴが発祥したということは、他国とは違い先進国であったということが背景にあります。それに、なんともいえない、あのメランコリーさは、先進国から後進国へと堕ちていく過程の悲しみを滲ませているように感じます。

私が、意味する「日本人がアルゼンチン・タンゴを踊る」とは、このように日本も経済的にアルゼンチンのような後進国になれば、先進国だったときのような、優雅でメランコリックな何かが残り、それを日本人が楽しむようになるという意味です。

これについては、高橋洋一氏の記事をご覧いただくとご理解いただけると思いますので、その記事のURLを以下に掲載します。
2050年、日本は先進国でなくなっている!?「経済成長不要論」の行き着く先
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事のアルゼンチンに関係する部分のみを以下に掲載します。
『母をたずねて三千里』というアニメをご存じだろう。130年前、イタリアからアルゼンチンに出稼ぎに出た母を訪れる物語だ。今ではアルゼンチンを先進国と思う人はいないだろうが、当時は出稼ぎを受け入れる立派な先進国だった。
かつて筆者がプリンストン大学で学んでいたとき、クルーグマン教授が面白い話をしてくれた。クルーグマン教授は、しばしば「研究対象としては、日本とアルゼンチンが興味深いね。日本もアルゼンチンも〝病理学的見地〟から他に類を見ない面白い例なんだ」と言っていた。 
日本がアルゼンチンとなぜ同じなのかという真意については、「(経済学者の)クズネッツが言ったが、世界には先進国・途上国・日本・アルゼンチンの4種類の国しかない。先進国と途上国も固定メンバーだ。例外として、日本は途上国から先進国に上がったが、アルゼンチンは逆に先進国から途上国に下がった。その意味で、両国ともに面白い」と。

確かに、消費税8%でもこれだけ経済が落ち込んでいるのに、消費税20%になるまで続けたら、とんでもないことになり、確かに「日本人がアルゼンチン・タンゴを踊る」ようになってしまうことでしょう。

なお、この記事高橋氏自体は、「経済成長不要論」を真っ向から否定しています。私も、そう思います。もし、「経済成長不要論」など信奉して、経済運営などすれば、本当に「日本人がアルゼンチンタンゴを踊る」ことになってしまいます。

高橋洋一氏は、この記事で、「経済成長不要論」の背景ともなっている「人口減少が経済成長を妨げている」という説は、世界を見る限りまったく説得力がないと否定しています。

私も、その通りだと思います。それにしても、こういう説を頭から信じこむのは、相当頭が悪いのだと思います。

こんなことは、小学生でもすぐに理解できることです。たとえば、現在の日本において、他には全く変わりがなく、人口だけが何らかの理由で、1/10になったとします。そうすると、経済的にはどのような問題が発生するでしょうか。

その答えは、無論ハイパーインフレです。増税推進者や、経済成長不要論者には、こういう簡単な質問にも正しい答えを出せないのだと思います。この正しい答えが、正しいと認識できない人は、本来経済や金融については語るべきではありません。

しかし、私達は圧倒的多数の、彼らの言うがままにまかせて、将来の子孫たちに「アルゼンチンタンゴを踊らせる」わけにはいきません。

増税見送りを皮切りに、増税推進派や、経済成長不要論者を切り捨て、最終的には財務省を解体し、日銀法を改正して、まともな国にしていかなければなりません。これは、非常に長い、根気のいる戦いになると思います。

しかし、この戦いには何が何でも勝たなくてはなりません。その第一歩が、安倍総理の今夜の増税見送り、解散総選挙の発表になることを願ってやみません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年11月17日月曜日

日本は現代に舞い降りた神秘の国。米国人が撮った『日本では1月』―【私の論評】長いデフレにも関わらず、この美しさと気品を保っている日本には他国にはない独自の精神世界がある。だから、日本は世界をリードしていかなければならない(゚д゚)!

日本は現代に舞い降りた神秘の国。米国人が撮った『日本では1月』


この記事は2014年3月3日公開のものを再掲載しています。

このスコット・ゴールド(Scott Gold)さんが撮った『日本では1月』、まるで夢を見てるようです。

奥さんと1月に訪れた日本の旅の記録なのですが、僕は今のめまぐるしく変わるこの世界で日本にはまだ高貴な伝統と神秘的文化が脈々と残っているんだなあ、と思いました。

相撲の取り組み、温泉、板前さん、現実とは思えない料理、猿、目も綾な建築。後ろには高層ビル、新幹線、街の灯。

なんと美しい均衡。なんと美しい地。

January in Japan from Scott Gold on Vimeo.

Casey Chan - Gizmodo SPLOID[原文
(satomi)
【私の論評】長いデフレにも関わらず、この美しさと気品を保っている日本には他国にはない独自の精神世界がある。だから、日本は世界をリードしていかなければならない(゚д゚)!
上の記事、短いものなので、すべて掲載させていただきました。それにしても、これを撮影した米国人、日本人ではないからこそ、日本人にとっては、普通のあたり前になっている日本の美しさを実感できるのだと思います。

日々の何気ない私達の身の回りの風景が、見方を変えるだけで、このように美しいのです。

私は、1月というと、寒いし草木は枯れて、風景に乏しく、なかなか良い風景にはお目にかかれないというネガティブな考えを持っていましたが、そうではないことに気付かされました。

こちらは、北海道ですが、少し前までは函館にいて、現在は札幌です。このブログの購読者の方々は、もうすでにご存じでしょうが、私はのこのブログ記事の冒頭にいつも写真を掲載しています。

函館に在住していたときは、函館とその近郊の写真、札幌に移り住んでからは、函館とその近郊の写真を掲載してきました。

これは、日本の中の自分の住んでいる地域の周辺の美しさを見出し、それを購読者の皆様に感じていただけることを目的として掲載してきたものです。

そのため、写真のロゴには、函館に在住ていたときには、"Hakodate Beauty"とし、札幌に来てからは、"Sapporo Beauty"と入れていました。

以下にそのいくつかを掲載しておきます。これらの写真は、すべてクリックすると拡大します。






以上、いずれも過去のこのブログの冒頭に掲載した写真です。ほんの一部をかいつまんで、掲載させていただきました。何しろ、ここ数年は、この写真一週間に一度取り替えていますから、膨大な数になります。

函館も、札幌も有数の観光地ということもあるのですが、それにしても、毎週とりかえてもなお掲載しきれないほどの美しさが、私の身の回りはありました。

だから、スコット・ゴールドさんの気持ちはよくわかります。ただし、私の写真は今までは、どちらかといえば、風景がほとんどでしたが、今後は人も掲載していきたいてず。

そうして、スコット・ゴールドさんの動画をみて、不思議に思ったことが一つだけあります。それは、この、国はどうしてかくまでも、余裕があり品格に満ちているかということです。

それは、私自身も、札幌や函館の写真を撮り続けていて、思ってきたことでもあります。

この国は、本当はかなり疲弊しているはずです。なぜかといえば、皆さんもご存知のように、この国はもう15年以上もデフレが続いています。デフレ傾向になってからは、20年も時を重ねています。

このような状況で、これだけ美しさと、気品を保っていられるのは、世界においては日本だけだと思います。

お隣の中国では、建国以来毎年平均で、数万件の暴動が発生していて、2010年あたりからは、10万件を超えてるといわれています。その頃から、中国政府は暴動の発生件数など公表しなくなりました。

中国の人民の憤怒のマグマは、いつどこで大噴火しても全くおかしくはない状況にあります。これは、何も中国だけではありません。あのイギリスだって、2010年に付加価値税(日本の消費税にあたる)を導入したときには、学生などの若者を中心に暴動が発生しました。

これは、付加価値税を導入して以来、イギリスの経済がかなり落ち込んだからです。それでも、イギリスはデフレにはなりませんでした。なぜなら、景気が落ち込み、特に若者の雇用が最悪になったため、イングランド銀行(日本の日銀にあたる)が、大金融緩和を実行しました。

それでも、イギリスの経済はなかなか回復せず、しばらく不況は続きましたが、最低限デフレにはなりませんでした。おそらく、付加価値税を増税してから、金融緩和をしないでそのままにしていれば、数年でデフレになったでしょう。

しかし、ここ日本では、デフレが20年近くも続いているというのに、スコット・ゴールドさんが撮影した日本には、そのようなことは微塵も感じさせません。私も、さすがに人の募集で、ハローワークに行ったときには、多くの人でごったえがえしていて、デフレを実感しました。

しかし、それ以外のところでは、ほとんどデフレの影はみたことがありません。多くの人々が、寛容であり、美しい日本の建物や、風景が維持されています。

消費税増勢の見送りを示唆し、解散総選挙が近いことを告げる新聞紙面

それにしても、最近では、このデフレを加速させるような、8%増税が行なわれ、その後に日銀による金融緩和が行なわれましたが、つい最近まで、来年の10月からの10%増税はさも既定路線のように多くの政治家、官僚、マスコミが増税しないと大変なことになと、不可思議で不可解な言説を振りまいていました。本当に最低の奴らです。

しかし、これは、ご存知のように、見送られ、国民の信を問うために、解散総選挙ということになりそうです。

このことに関しては、私は、どうしても増税推進派を許すことができず、本日は、先日もこのブログで紹介した、NewsPicsというニュースサイトに以下のようなコメントをしました。
ハーイ。私は、朝からとってもハイです。増税推進派の皆様、とうとう増税が見送られて、大変なことになりますね。でも、これは儲け時です。CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)で、大儲けしましょう。 
増税見送りで国際公約を破ったのですから、大変なことになり、円の信用が落ちるわけですから、為替でも大儲けできます。円の価値がなくなる前に、ドルを目一杯買いましょう。 
日本国債は、紙切れになりますから、今のうち目一杯売りましょう。国債が暴落しないと、信じている大馬鹿共が一杯います。そいつらに、売りさばいてしまえば良いのです。 
もう、秒読み段階です。ものすごい儲けになりますよ。こんな機会は一生に一度しかないかもしれませ。なにしろ、増税見送りで日本は財政破綻しますから。あちらのあなたも、こちらのあなたも、そこのあなたも(゚д゚)! 
増税推進派の議員さんは選挙資金の手当にも、財務官僚の皆さんには自分たちの説が正しいことを証明するためにも、識者の方々も自分たちの理論が正しいことを証明できる良い機会です。馬鹿どもに、自分の頭の良さ、理論の正しさを示す絶好の機会です。 
何を躊躇しているのですか。証券会社など、真っ先にやるべきです。なにしろ、増税推進派のアナリストの方々の意見を尊重して、すぐにも行動を起こすべきです。 
もし、何も行動を起こさないとすれば、あなた方は大嘘つきということになります。私は、あなた方を信頼しています。必ず行動を起こしてくださいね。
ハハハハハハハ。ちょっとコピーライティングの練習をしてみました。
これは、私の本当に偽らざる気持ちです。そうして、奴らは絶対に行動を起こさないでしょう。本当に無責任な連中です。

しかし、これだけ多くのの塗炭の苦しみを味わいながらも、普段は平静で、沈着冷静な多くの人々がいて、アメリカから来た、スコット・ゴールドさんに「高貴な伝統と神秘的文化が脈々と残っている」といわしめる、この日本の国は本当に凄い国だと思います。

そうして、私達の国は米国などの他国との違いを考えてみました。

日本の、政治家や、官僚、マスコミなどは、過去のデフレをみてもわかるように決して出来の良い連中ではありません。どちらかといえば、世界的にみても、大馬鹿です。

違いは何かといえば、日本には天皇陛下がおられて、一般国民がまともで優秀であるということです。

他国、20年もデフレが続けば、かなり疲弊して、ボロボロになっていると思います。国民にも余裕がなく、ギスギスして、とても他人、ましてや外国人などに「高貴な伝統と神秘的文化が脈々と残っている」と感じさせるようなことなどとてもできないことでしょう。

しかし、日本はそうではないのです。これについては、以前のこのブログにも掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
「中韓」とは異質な日本人の「精神世界」…仏作家は「21世紀は霊性の時代。日本は神話が生きる唯一の国」と予言した―【私の論評】日本は特異な国だが、その特異さが本当に世界の人々に認められ理解されたとき世界は変る。いや、変わらざるをえない(゚д゚)!
式年遷宮「遷御の儀」で現正殿から新正殿に向かう渡御行列。
伊勢神宮は日本人と心のふるさと、未来への道しるべだ
=平成25年10月2日夜、三重県伊勢市の伊勢神宮

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、日本と他国の違いは、他国においては宗教を重んじるのですが、日本においては、「霊」を重んじるという違いです。

この「霊」を重んじるという精神は、未開の民族などでは今でも継承されています。人は無論のこと、動物や物、自然にまで、霊が宿ると信じられています。しかし、いわゆる開化したとされる社会においては、この「霊」を重んじるという精神は、捨て去られ、宗教にとって変わられました。

そうして、多くの国々では、宗教は、高度であり、開化の象徴であり、「霊」を重んじることは、未開で時代遅とされるようになりました。

人類の多くが、開化するとともに、この「霊」を重んじるという気風を失い、宗教が支配する社会に住むようになり、宗教があらゆる方面で権勢を振るったのですが、さすがに近代になってからは、政治などの表舞台からは姿を消しました。しかし、この宗教は、まだまだ人々の心に残り、しばしば宗教紛争の火種を産んできました。

アメリカは未だ、キリスト教国です。人々の心の中に、今でもキリスト教は大きな位置を占めており、それが、しはしば他宗教の人々に不寛容な態度をとらせたりします。

しかし、日本は違います、人や物や、自然や、動物にまで霊がやどるとされ、その霊を重んじる精神が現代にまで継承し発展させ、現在の世界に昇華させたのです。そうして、いわゆる宗教は、こうした精神の土台があって、その上に載っているものです。

日本では、宗教は、精神の土台ではないのです。あくまで、霊性が先にあって、それが精神の土台になっているのです。だから、日本人は宗教に一見出鱈目のようにみえますが、実はかなり寛容なのです。クリスマス・パーティーや、ハロウイーンを祝って、お葬式は仏式、結婚式は神前かキリスト教などという芸当は、とても他国にはできません。霊性が支配する日本だからこそ、可能なのです。

日本人の宗教観を出鱈目だと思う、外国人は、日本の霊性を全く理解していなし、できないのだと思います。そうして、最近の多くのニッポン人(日本の伝統文化、精神文化を継承しない日本人という意味)もそれを理解できないようです。

これに関して、この記事からフランス人作家マルロー氏が語った部分のみを以下に掲載します。
「21世紀は霊性の時代となろう。霊性の根源には神話があり、それは歴史の一面を物語っている。世界の神話が現代なお生きているのが日本であり、日本とは、それ自体、そのものの国で、他国の影響を吸収し切って、連綿たる一個の超越性である。霊性の根源に万世一系の天皇制がある。これは歴代天皇の連続性であるのみならず、日本文化の継続性の保証でもあるのに、戦後日本はそのことを忘却してしまった。しかし、霊性の時代が、今や忘却の渕から日本の真髄を取り戻すことを要請している。また文化は水平的に見るのではなく、垂直的に見るべきだ」
André Malraux
マルローは、21世紀は宗教の時代ではなく、霊性の時代になると言っているです。日本は、世界で唯一の霊性を重んじる国家です。現代にあって、霊性を重んじるという日本という国は、明らかに他国とは異なるのです。

この精神が、スコット・ゴールド氏を感嘆させているのです。彼が、それをはっきり意識しているかには、関わらずそうした精神が息づいているからこそ、彼は「なんと美しい均衡。なんと美しい地」と言葉を発し、現代に舞い降りた神秘の国を愛でているのです。

私も、こうした日本のうち、特に自分の身近な地域の霊を重んじる精神を写真におさめていきたいものです。普段は、あまりにもあたり前になっていて、忘れているのですが、スコット・ゴールド氏の発言や、動画は私にそれを思いださせてくれました。

いま見られる救いようのない、デフレにより多くの国民の塗炭の苦しみに陥れた、政治家、官僚、マスコミの愚かさも、いずれ歴史の悠久の流れの中に咲いた一時の徒花に過ぎなかったことが明らになります。
過去において日本は、未曾有の災厄から何度も力強くたちあがってきました。朝廷をはじめとする私たち日本人の精神文化は、これまでも継承されてきましたが、これからも悠久の歴史の中に燦然として輝き続けるどころか、さらに輝きを増すことでしょう。
そうして、世界の中で、日本は霊を重んじる国という立ち位置をさらに強化し、世界を新しい方向に導き、争いのない平和な世界を目指すべきと思います。世界の存続は、日本の精神文化にかかっています。だから私達は、デフレなどでいつまでも、しなくても良いつまづきをしているべきではないのです。
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
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