2017年8月15日火曜日

韓国の成人の半分が憤怒調節障害、どのように怒りを堪えるか―【私の論評】真の原因は深刻な社会病理か?

韓国の成人の半分が憤怒調節障害、どのように怒りを堪えるか

中央日報/中央日報日本語版

日本の植民地時代につき韓国内の一般と異なる主張をして暴力を受ける
ソウル大学経済学教授李栄薫氏、他の先進国には見られない風景?
成人の半分以上が憤怒調節障害を体験していると調査された。

大韓精神健康医学会がこのほど実施した調査の結果、韓国の成人の半分以上が憤怒調節に困難を感じており、10人に1人は治療が必要なほどの高危険群であることがわかった。

憤怒調節障害は精神的苦痛や衝撃後に、不当さ、侮蔑感、挫折感、無力感などが持続的に頻繁に現れる不適応反応の一形態だ。激憤または鬱憤という人間が持つ独特の感情のひとつだ。不当な待遇を受けたという思いに基づいた憎しみと憤怒の感情状態が長く続く障害をいう。

これは実際の犯罪につながったりもする。最近ある男性は自分の交際相手から別れ話を切り出され自動車で突進した。ささいなトラブルが殺人につながったのだ。また、スープの味付けが塩辛いという言葉から始まった言い争いの末に食堂の主人が客に凶器を振り回すかと思えば、隣人間の駐車をめぐるトラブルで30代の姉妹が殺されるなど、昨年“腹立ちまぎれ”により偶発的に起きた暴力犯罪は15万件。全体の40%に達すると調査された。

それなら憤怒を静める方法にはどのようなものがあるだろうか?

憤怒を誘発するホルモンは15秒以内にピークに達し、その後徐々に分解される。30秒だけこらえても憤怒は和らぐ。腹が立った瞬間、すぐ60秒間深呼吸をすることが役立つ。

また、憤怒が沸き上がる瞬間すぐに席を立とう。静かなところを歩き3つに集中してみる。 「なぜ腹が立つのか? 何のために怒るのか? 他の効果的な方法はないか?」という考えに集中し憤怒に対応する方法を考えてみる。

このように憤怒を静めれば、血圧が低くなり免疫力が強化される。安定と平和を与えるセロトニンが上がり、快感と楽しみを与えるドーパミンが生成され感情調節に役立つ。

【私の論評】真の原因は韓国の深刻な社会病理か?

韓国人の憤怒調節障害に関しては、前から時々そのようなことがあることは何となくはわかっていました。

しかし、成人の半分以上が、憤怒調節に困難を感じていて10人に一人は治療が必要なほどであるとは驚きました。

昨年韓国では、憤怒調節障害による事件が発生し、憤怒調節障害の症状が一般の関心を集めていました。

憤怒調節障害の症状と関連して、昨年放送されたKBS2『ビタミン』では、憤怒調節障害の症状をテストすることができる自己診断方法が紹介されました。

昨年放送されたKBS2『ビタミン』で憤怒調節障害の自己診断方法が紹介された
この日紹介された憤怒調節障害テストは9項目でした。

憤怒調節障害テスト
1. 自分の行いが認められないと腹が立つ
2. 重要なことを控えて、怒りにより失敗したことがある
3. 物事がうまく進まないと、簡単に挫折を感じる
4. 性格が急な方で、すぐに興奮する方だ
5. 自分が間違っていても他人のせいにして怒る
6. 怒り始めると、コントロールすることができない
7. 怒ると周辺のものも投げつける
8. 他人が私を無視するようだ
9. 怒ると乱暴な言葉を吐き、暴力を振るう
この9項目のうち、3項目以下が該当する場合は怒りの調節が可能な通常の段階です。4~6項目は怒りの調整能力が少し不足している段階です。7項目~9項目は怒りを簡単に調節できない段階です。

特に「怒ると乱暴な言葉を吐き、暴力を振るう」は、この1項目だけが該当しても深刻な状態です。

精神健康医学科のシン・ヨンチョル専門医は「9番目のような行動が繰り返される場合、これは自分が調整できずに行動しているものだ。これは大きな問題になる可能性があるので注意しなければならない」と述べました。

私もこのテストをやってみました。その結果は、0でした。私自身、滅多に本気で怒ったことはありません。その必要性があって、会社で部下のことを叱ることもあるのですが、それはあくまで叱るということであって、怒りで我を忘れることはありません。

部下からみれば、怒っているようにみえるかもしれませんが、実はそれはあくまで計算づくで、芝居でやっています。普通の叱り方をしたのでは、こちらの考えが伝わらないと管変えて、相手に対して「ここからはあなたが考えていることとは違うぞ」ということを理解させるため、怒って見せるのです。

これは、比較的若いときから管理職になったため、長いうちにそのように習慣がついてしまったのだと思います。一種の職業病のようなものだと思っています。

私のような人間は例外としても、皆さんの中にも、憤怒調節障害で危険水域にある人は少ないのではないかと思います。それよりも、日本人の場合だと、何でも自分のせいにして抱え込んでしまい精神的に追い詰められる人が多いのではないかと思います。

それに日本では、公衆の門前で自分の感情をはっきり表に出すことは恥とみなされることが多いです。やはり韓国人と日本人とでは、こういうところにも違いがあるのかもしれません。

ブログ冒頭の記事は、昨年のものですが、韓国・世界日報は今年6月、国内で怒りをコントロールできない人が増え、中には犯罪につながるケースもあると報じました。
ソウル江北のサムスン病院によると、「外傷後悲憤障害」ともいわれる怒りの調節障害(=憤怒調節障害=火病)は、精神的苦痛や衝撃の後に怒りや憎悪の感情状態が長く続く症状のことをいいます。自分でも知らないうちにカッとなって調節できない衝動を感じ、他人に対する攻撃的な行動として表れるものです。
韓国では、否定的な感情のコントロールができないことが原因の犯罪も増加しているといいます。
警察統計年報によると、2015年の犯罪者合計177万1390人のうち偶発的に犯罪を犯してしまった人は25万6669人(14.5%)と最も多く、特に、傷害や暴行といった暴力犯罪者の10人中4人(38.6%)が憤怒調節障害による偶発的犯罪だったといいます。
現代の韓国人の国民性をソウル大学の李符永教授は次の表とおり説明している。
憤怒調節障害に通じる国民性が横たわっているようだ。韓国の若い男性の髪型が皆一緒というのも国民性の違いでしょうか。
こうした燃えたぎらせる国民的な性格が、反日感情に大きく影響しているようです。

さて、ブログ冒頭の記事には憤怒調節障害の原因についてはでていませんが、韓国系メディア連合ニュース昨年7月以下のような報道がなされています。
衝動的な攻撃行動を爆発させる憤怒を調節障害(IED:intermittent explosive disorder)は、社会的行動に重要な機能を担当する、脳の部位の連結状態に欠陥があるためだという研究結果が出た。 
米シカゴ大学のロイス・リー精神医学-行動神経科学校数は憤怒を調節障害の患者は感覚入力、言語処理、社会的相互作用を担当する脳の部位の連結状態に欠陥があるという研究結果を発表したとメディカル・エクスプレスが6日報道した。 
憤怒を調節できない人は、正常な人または他の精神障害のある人に比べて上縦束(SLF:superior longitudinal fasciculus)と呼ばれる脳の白質(white matter)が完璧では無く、密度も落ちていることが分かったと李教授は明らかにした。
無論怒りで重大な犯罪を犯してしまうような人は、確かに脳に原因があることが多いのだと思います。

しかし、これだけでは、 韓国の成人の半分以上が憤怒調節に困難を感じており、10人に1人は治療が必要なほどの高危険群であることの説明はつかないと思います。

これは、明らかに日本人や他の先進国の人々と比較すれば、かなり率が高いです。

それを求めて、サイトをいろいろ探索してみましたが、満足な結果は得られませんでした。

そのため、私の推測を掲載します。

結論からいうと、社会病理的な原因もあるということだと思います。

社会病理とは、個人や集団や地域社会の生活機能障害にかかわる現象のことです。生活機能の障害は、生活上の欲求、必要性、目標などの充足ないし達成が阻害されることですが、実際には、犯罪、非行、売春、自殺、貧困、差別、暴動、パニックなどきわめて多様です。

一般には偏倚 (逸脱) 行動と呼ばれます。発生条件も、個人、集団、地域社会や集団環境、社会風潮、都市化、産業化という社会力、社会体制などの諸次元において生じます。

社会病理学的研究方法としては、(1) 社会生物学的、個人病理学的方法、(2) 社会病理学的方法、(3) 価値葛藤的方法、(4) 偏倚的下位文化的方法、(5) 社会的精神医学的方法、(6) 社会規定的方法、(7) 社会的相互作用過程的方法などがあります。

さて、韓国の社会病理といえば、まずは強烈な競争社会です。韓国においてはまずは、激烈な競争を経て、ソウル大学などの名門に入らないと良い企業に入るのはかなり難しいですし、良い企業に入っても出世はできません。

これは、日本でも韓国と似たようなことがいわれていますが、韓国は日本の比ではありません。本当に名門大学を卒業しない限り、将来の見込みは全くありません。

さらには、つい最近までは、一般の家庭の子弟でも、名門大学を卒業すれば、良い企業に入り、それなりに出世することもできましたが、最近ではその道も塞がれてしまいました。

雇用環境がかなり悪化しているので、今では名門大学を卒業しているだけでは、良い会社に入れません。たとえ良い大学を卒業していても、名門の子弟でないと良い会社に入ることはできません。

であれば、日本人なら、中小企業にでも入って頑張れば良いという考え方をするかもしれませんが、韓国ではそうなりません。中小企業には大卒はほとんど行きません。それは結局、中小企業のことを見下しているからです。日本や欧米でなら考えられないことです。

特に、日本だと部品産業や素材産業にも優れた企業がありますが、韓国ではそのような企業は若者に見下され、大卒の人はほとんどいきません。これでは、日本のようにこれらの産業が育つ余地もありません。だから、韓国の産業は、一般に日本や他の先進国よりは、脆弱なのです。

そうして、その結果、大卒の若者には、ほとんど就職先がなく、結局運が良ければ、チキン店のオーナーになるか、死ぬしかないとさえいわれています。

それに関しては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【究極の二択】韓国の若者、将来はチキン店を開業するか死ぬしかないと話題に―【私の論評】金融緩和に思いが至らない政府なら、日本も同じことになった(゚д゚)!
 

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の結論部分を掲載します。
アベノミクスの本質は、金融政策であり、それはつまるところ雇用政策でもあるのです。2014年4月からの消費増税は大きなミスであったが、アベノミクスの名の下、安倍政権はさまざまな金融政策を打ってきたので、少なくとも雇用は悪くなっていないどころか、かなり改善しています。 
今の韓国はまさに、金融緩和をはじめる前と同じ状況です。雇用情勢が悪化すると、一番最初に大きな影響を受けるのは、若者層です。これは、韓国に限らず、どこの国でも同じです。 
そうして、このような主張をすると、日本国内でも決まってでてくる議論は、韓国が金融緩和をするとキャピタルフライトするとか、韓国は財閥などの遅れた仕組みがあり無理などという論議がでてきます。 
しかし、昨日もこのブログに掲載したように、変動相場制の国では、金融緩和をしたとしてもキャピタルフライトが起きることは滅多にありません。起こるとすれば、かつてのアイスランドのように、政府以外の国の対外債務が天文学的なほどにかさんでいる場合です。 
韓国の対外債務は、さほどではありませんから、韓国が金融緩和をしたとしても、キャピタルフライトはしません。さらに、金融緩和をする前に、財閥解体をしたとしても、それですぐ経済が良くなることはありません。さらに混乱するだけです。 
かつての日本でも、構造改革ばかりしようとしていた頃には、一度も景気は上向きませんでしたし、雇用も良くなったことはありません。しかし、2013年から金融緩和をしてはじめて、雇用状況が良くなりました。 
私たちは韓国の今の状況をみて学ぶべきです。結局、景気対策として、景気循環的対策である、金融政策や財政政策を機動的に行うことができない政府は、結局経済を良くすることはできないということを・・・・。 
安倍政権が成立しないで、自民党であっても他の人が総理大臣になっていたり、最悪民主党政権がいまでも政権の座についていたとしたら、今頃日本の若者も韓国の若者のように大変なことになったいたことでしょう。 
若者にこのような苦しい思いをさせることは、絶対にすべきでありません。韓国は一日も早く、金融緩和をすべきですし、日本もポスト安倍には、金融政策を理解している人を総理大臣にすべきです。そうでないとまた、将来を担う若者がとんでもない苦しい思いをすることになります。
以上述べたように、韓国では雇用状況が最悪であるにもかかわらず、朴槿恵政権も、文在寅政権もなぜか構造改革にばかり目を奪われて、雇用政策の本命でもある金融緩和政策や、積極財政政策を実行しようとしません。

だからこそ、雇用弱者でもある若者をこれほどまでに痛めつけているのです。だからこそ、これも社会病理の一因となっているのです。

さらに、韓国では、これらに加えて、出身地による酷い差別があります。

韓国では、現在の慶尚道を発祥の地とする“新羅”という国が、現在の全羅道を発祥の地とする“百済”を滅ぼして以来、地域対立が断えませんでした。現在の大韓民国が成立した以降も、1961年パク・チョンヒ(慶尚道出身)によるクーデターから、1998年のキム・デジュン(全羅道出身)政権発足までの間、ずっと「慶尚道政権」が続きました。

「慶尚道政権」が続いている間は、先輩が後輩を引っ張るという形で、政府・財界の要職は慶尚道出身者で固められ、インフラ整備も慶尚道優先で行われたため、全羅道の発展は遅れました。そんな中、アメリカや日本に新天地を求めて移り住む韓国人は全羅道出身者が多かったといいます。

これ以外も地域による差別が厳然として存在します。誤解を恐れずに掲載すると、以下のような図式です。

韓国では、慶尚道>慶尚道・全羅道・済州島以外>全羅道>済州島>>>在日韓国人のような差別ヒエラルキーがあるとされています。

そうして、就職や、結婚でもこれが問題になることすらあるといいます。日本にも、被差別部落問題がありますが、韓国の差別問題はそれよりもはるかに苛烈です。

韓国人同士の会話で、日本人のことを侮蔑語の「倭奴(ウェノム)」と呼ぶのは珍しくないし、時には「チョッパリ(=ひづめが割れた奴の意味)」が使われます。

在日韓国人は「半チョッパリ」と言われます。韓国のサッカー場で「半チョッパリ」とヤジられたのを機に、日本に帰化した選手がいた程です。

韓国人同士の間にも、異様な学歴崇拝癖と、職業に対する伝統的にして病的な貴賤意識とが絡み合い、李王朝時代と同じような事実上の身分制度があります。

さしずめ財閥系大手の管理職は両班(ヤンバン=貴族)であり、町工場のブルーカラーの人々はひどく差別されています。李王朝時代の身分制度には法的根拠があったのですが、現代の両班は故なく威張りちらしています。

今日の韓国では、外国から就労目的で来た人々がひどい差別の対象になっています。

脱北者、中国の東北部に住む朝鮮族、そして外国人労働者です。彼らは、同業種の韓国人よりも、はるかに低い賃金・悪い労働条件で働いています。

韓国の大手紙は、差別による事件が発生すると「外国人労働者への差別をやめよう」といった社説を掲げるのですが、状況に目立った改善はありません。

3K業種で働く当の朝鮮族から「韓国での待遇を考えると、中国に戻って仕事をする気にはならない」といった声が出ている(朝鮮日報12年4月20日)のですから驚きです。

旧満州地域に住む朝鮮族の生活水準は、よほど酷いのでしょう。

このように、元々かなり苛烈な出身地別の差別があり、良い大学に入らないと良い会社に入れず、出世もできません。さらに、最近では良い大学を出ても、名門の子弟でないと良い会社に入れず、出世もできないというのが実情です。

このような韓国社会に関して、歴代の政府が何をやってきたかといえば、特に1990年代からは、体系的な反日教育と反日活動です。これは、日本を悪者に仕立てることにより、いっとき韓国人の憤怒のマグマの爆発を日本に向けて発散させ、いっときは韓国民を結束させる効果があったかもしれません。しかし、長続きはしません。

日本でも、失われた20年の時代には、若者にはかなり厳しい時代でした。とはいいつつも、韓国よりはまだましだったかもしれません。少なくと、あの時代でも名門大学を卒業できれば、そうして男子であれば、優良大企業に就職することができました。

ここで、皆さん良く考えてみて下さい、韓国のような状況が日本でも長く続いたとしたら、皆さんだって、八方塞がりで、日々とストレスが溜まり、その上に何か不満があれば、憤怒調節障害に陥っていたかもしれません。

この憤怒調節障害を韓国から本格的に取り除くには、やはり、社会病理を解消するしかないようです。

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2017年8月14日月曜日

韓国火の海、日本人も命がけの半島脱出…米朝開戦の最悪シナリオ ネット上にあふれる「グアム旅行キャンセル」の声―【私の論評】朝鮮半島有事は拉致被害者奪還のチャンス(゚д゚)!

韓国火の海、日本人も命がけの半島脱出…米朝開戦の最悪シナリオ ネット上にあふれる「グアム旅行キャンセル」の声

金正恩
 金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮が、弾道ミサイルによる米領グアムの「包囲射撃」計画をぶち上げ、世界に緊張が走っている。防衛省・自衛隊は12日、ミサイル通過が予想される島根、広島、愛媛、高知4県への地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の展開を完了。今後、最悪のシナリオとして米朝開戦となれば、韓国も火の海となる恐れもあり、日本人も命がけの半島脱出を余儀なくされる。

 朝鮮中央通信が、中距離弾道ミサイル「火星12」4発を同時にグアム沖30~40キロに撃ち込む計画案を伝えると、ネット上では「旅行はキャンセルかな」などの声があふれた。

軍事アナリストの黒井文太郎氏
 軍事アナリストの黒井文太郎氏は「(北朝鮮が)グアム本土を直接狙ってくる恐れは低いので、旅行を中止するほどのことはないだろう」というが、北朝鮮の計画自体については「米国の領土近くに撃ち込むというのは異例の展開だ。完全にケンカを売っていることになる」と驚く。

 「北朝鮮は何かを発表した際には、必ずアクションを起こしてきた。今回も何もしないということはないはずだ」

 計画が実行されれば、米国と上空をミサイルが通過する恐れがある日本はどう動くのか。

 黒井氏は「米国はミサイルを迎撃するだろう。日本の上空を通過する際、集団的自衛権に基づき、日本に迎撃を要請することも考えられる」と話す。

 領土付近をミサイルで脅かされたトランプ政権の対応は、迎撃だけでは収まらない。

 「平壌(ピョンヤン)の近海にミサイルを撃ち込んだり、朝鮮半島で大規模な軍事演習を行うなど、北と同じレベルの対抗措置を取るだろう。戦争が始まるのは、もっと段階を踏んでからだ」「現在の状況はすべて正恩氏1人の判断にかかっている。米国はそれに伴い、行動を起こす」と黒井氏は指摘する。

 本格的な戦争に発展する事態も想定すべきだ。その場合、まず北の標的となるのが韓国だ。

 「北朝鮮は38度線の近くで東西に掘られた塹壕(ざんごう)に、240ミリランチャーなどを数千発配備している。開戦から1~2時間のうちは、ソウルを標的に撃ちまくってくるだろう」

 外務省によると、韓国の在留邦人は昨年10月時点で3万8045人。同年、約230万人が訪韓しており、北が急に攻め込めば、日本人は帰国の手段を失う恐れがある。

 「その場合、海上自衛隊の護衛艦や空自の輸送機が救出に向かうはずだ。ただ、自衛隊が韓国内に入るには北朝鮮と交戦中の韓国政府の事前の許可が必要になる。開戦から1~2日で話をまとめて日本人を助け出すのは難しい」


 黒井氏は「最初の1~2時間」が過ぎれば、米韓両軍は圧倒的な軍事力で北朝鮮を押さえ込むと予想するが、「組織的戦闘が終わっても、数カ月はゲリラ戦が続くはずだ」「正恩氏は追い込まれて、核ミサイルを撃ってすべてを終わらせようと考えるかもしれない。指揮系統が崩れれば、正恩氏以外の誰かがボタンを押すこともあり得る」という。

 ミサイルの進路は日本はもちろん、米本土が含まれてもおかしくない。

 最悪のシナリオも絵空事ではなくなっている。

【私の論評】朝鮮半島有事は拉致被害者奪還のチャンス(゚д゚)!

朝鮮戦争は、休戦中なので、元々いつ戦争となっても少しも不思議ではありません。北朝鮮としては、ソウルを占領して、強引に南朝鮮を呑み込まないと、経済的にももたないかもしれません。

もっとも南北が合併しても力が増えるどころかマイナスになるしかない。1+1=2どころか1+1=1、下手をすると1+1=0.5になるかもしれません。とにかく、核ミサイルは金食い虫の貧乏神です。ただでさえ、貧乏な国が核ミサイル開発を行い、かなりの頻度で実際に発射しているわけですから、推して知るべしです。

アメリカのメディアは、北朝鮮がICBM=大陸間弾道ミサイルにも搭載できる小型化した核弾頭の製造に成功し、保有する核兵器の数は最大で60発に上る可能性があるとする新たな分析を国防総省がまとめたと伝えました。

アメリカの有力紙、ワシントン・ポストは8日の電子版で、複数のアメリカ政府当局者の話として、北朝鮮が小型化した核弾頭の製造に成功しているとする新たな分析を、先月、国防総省の国防情報局がまとめたと伝えました。

米国の核ミサイルミニットマンⅢに搭載されている核弾頭
それによりますと、アメリカの情報機関は、北朝鮮がICBM級の弾道ミサイルにも搭載できる核兵器を製造していると評価していて、保有する核兵器の数は最大で60発に上る可能性があると推定しているということです。

核弾頭の小型化をめぐっては、これまでは技術の獲得にはあと数年はかかるという見方が多く、核兵器の保有数の推定もはるかに少なかったということで、ワシントン・ポストは、北朝鮮の核・ミサイル開発が専門家の予測をこえて急速に進展していると指摘しています。

国防情報局は、先月、北朝鮮のICBMについて、来年にも実戦配備できるようになるとする分析もまとめたとされていて、アメリカ政府の北朝鮮への警戒感はこれまでになく強まっています。

トランプ大統領は8日、記者団に対し、「北朝鮮はこれ以上アメリカに対して脅しを見せるべきではない。さもなくば北朝鮮は世界がかつて見たことのないような炎と激しい怒りに直面することになるだろう」と述べ、核・ミサイル開発を進める北朝鮮を強い口調で非難しました。

このような状況ですから、米国としては北朝鮮が核ミサイルを実戦配備する前に、これを叩いてしまおうと考えるのは当然のことです。金正恩が、弾道ミサイルによる米領グアムの「包囲射撃」計画を実行に移すか、そ兆候をみせれば米国が何らかのの形で、北朝鮮を攻撃することは十分にあります。

日本政府は、正式に日本人の朝鮮半島への渡航を禁止し、在留邦人への半島外への移動を命じるべきです。韓国の日本人学校は無期休校として、未成年は優先的に半島外に出てもらうようにすべきです。

これらの措置の上で、日本政府は韓国政府に対して、朝鮮半島有事に関する話し合いを持つべきです。


話し合いとはいっても事実上の、最後通告です。韓国政府が在留邦人に対する保護義務を実行しない場合には、無政府状態と見なして、朝鮮半島に自衛隊を派兵すると宣言すべきです。

ただし、韓国の面子を立てて、国連軍として派遣すべきです。まず、釜山に連隊戦闘団程度を配備し、港湾、飛行場をも管理運用すべきです。そうして、ここを半島脱出の拠点とするのです。

国連軍の識別符号を付けた自衛隊機を半島に派遣して、在留邦人を積極的に救出します。必要があれば、護衛・保安要員も展開させるべきです。

韓国文在寅大統領代行は日本の自衛の受け入れを明確に拒絶するべきではない。黙認すべきです。

これを過剰反応だと韓国側が言うなら、いざというときに、韓国では反日感情が強い上に、救出のために自衛隊を派遣しようとしても韓国政府の同意を得られるか不安があるからだと説明すれば良いです。

もし、韓国政府が日本が突出した行動をとらないでくれというなら、自衛隊の派遣を受け入れることを確約させるべきです。

朝鮮半島有事は拉致被害者救出のチャンスでもあり得る
もちろん、ただちに、韓国から在韓邦人全員が引き上げる必要はないでしょう。しかし、このようなときに観光に行くべきでないし、アメリカ軍に助けてもらうにせよ、その人数はできるだけ少ない方がよいでしょう。

そうして、北朝鮮の現体制が事実上の崩壊することも念頭におき、そうなれば名称は何であれ暫定統治機構が出来上がるのは間違いありません。

そうして、政府は朝鮮半島有事発生時に北朝鮮による拉致被害者を救出するため、暫定統治機構の同意に基づき自衛隊機が輸送を担う案を検討しています。平成16(2004)年にフセイン政権崩壊後のイラクで自衛隊が邦人を輸送した先例を念頭に置いています。

ただ自衛隊の武器使用には制限があるため安全な任務遂行が難しく、米軍の協力が必要としています。

現行法では、自衛隊が拉致被害者を救出するためには「受け入れ国」である北朝鮮の同意が必要となり、実現は難しいです。しかし、朝鮮半島有事で北朝鮮の政権が崩壊すれば、国連決議に基づく暫定統治機構が設置される可能性があります。16年4月に航空自衛隊機がイラクからクウェートに邦人10人を輸送した際、暫定統治機構の同意を根拠としました。

いずれにしても、日本政府には、これを確実に実施し、一人でも多くの拉致被害者を日本に連れ帰っていただきたいです。

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2017年8月13日日曜日

自民・二階幹事長の「財政出動10兆円構想」は実現可能か?―【私の論評】自民党は「補正予算10兆円」で支持率上昇、再度安定政権を目指す(゚д゚)!

自民・二階幹事長の「財政出動10兆円構想」は実現可能か?

もちろん財務省は黙っていないが…

 財政拡張は悪手ではない
都議選の大敗や稲田朋美防衛相の辞任などでやや失速気味の自民党。そんななか、党内ではアベノミクス路線を改めて強調する動きが強まっている。

自民党の二階俊博幹事長は自身の派閥の研修会で、「現状の日本経済はいまだにデフレから脱却できていない」と強調。そのうえで「10兆円程度の大型補正予算を編成する必要がある」などと宣言し、今後もアベノミクスを続行していくべきだとの姿勢を崩さなかった。

二階幹事長
2ケタ規模の補正予算ともなると気が気でないのは財務省で、なんとか食い止めようと働きかけてくることは想像に難くない。はたして二階幹事長のプランの可能性はいかほどなのか。

実は、この時期に改めて財政拡張を行うのは決して悪手ではない。そのことを裏付ける指標がある。GDPギャップと呼ばれるものがそれだ。

GDPギャップとは、その国の経済が持っている供給力(潜在GDP)と現実の需要との間にある乖離のことだ。潜在GDPは完全雇用などの状況を前提にして推計されるもので、このギャップがプラスのときは好景気または景気過熱、マイナスのときは不況と判断される。

内閣府は、このGDPギャップについて、'17年1-3月期ではプラス0.1%としている。つまり、日本はいま好景気に差し掛かろうとしてはいるのだが、実は「もう安心」と判断するのは早合点で、経済政策の観点からはまだまだ「不十分」なのである。

 財務省はどう動くか

内閣府の過去のデータを遡ってみると、'07年あたりはGDPギャップがプラス2%と高水準にあったが、当時も物価の面からはデフレ状態にあった。実際にインフレ率が上昇したのはその後の'08年半ば過ぎのこと。

この過去データから言えることは、内閣府が発表するGDPギャップがプラス2%程度になって、ようやくインフレ率が上がり出す、つまりは本格的に景気が上向いてくるということなのである。

アベノミクスでは金融政策と財政出動を組み合わせ、インフレ率の「2%上昇」を目標にしているが、消費増税の影響などもあり数値はなかなか上向きにならず、日銀は'19年に達成時期を延期すると発表している。

つまり、現状のGDPギャップから見ても、財政出動はまだまだ実施の余地があり、二階幹事長の「10兆円程度」という財政出動は、デフレから脱却するためには妥当な規模であるといえる。

もっとも、この動きに財務省は黙っていられないはずだ。

「増税ではなく国債発行で補正予算を組むのは、支持率回復のためだ。このままでは財政再建は厳しくなる一方だ」

こうマスコミに語り、財務省の人々は自民党を牽制するだろう。

7月、安倍首相はこれまで導入に否定的だった「教育国債」について「可能性から排除しない」姿勢を示した。もちろん財務省はこれらのことを快く思っていない。彼らは、この際、安倍政権が退陣して、財政再建派で財務省の言いなりになる政権ができないかと願っている。

反安倍政権に財政再建派が多いことを考えると、秋の補正予算で二階構想が実現するかどうかは、安倍政権を倒閣する動きとも絡んでくるので見物だ。

【私の論評】自民党は「補正予算10兆円」で支持率上昇、再度安定政権を目指す(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事の、二階幹事長の「10兆円程度の大型補正予算を編成する必要がある」という発言が気になりました。

この数字には妥当性があるのかどうかというところが非常に気になりました。上の記事では、GDPギャップについても記載があり、そこから妥当な規模であるとの論評があります。

しかし、この指摘は間違いだと思います。下の図1は、2000年以降四半期ベースで見たGDPギャップとインフレ率の関係です。左軸にGDPギャップ率、右軸にインフレ率(消費者物価総合対前年比)をとっています。GDPギャップは半年後(2四半期後)のインフレ率とかなりの相関関係があります。

◆図表1:GDPギャップ率とインフレ率(半年後)
ここで、GDPギャップとインフレ率の関係から、「2%インフレ」にするために必要なGDPギャップ水準を算出してみると、+4.5%程度です。

それを埋め合わせるためには、有効需要25兆円程度が必要になります。1単位の財政出動による需要創出効果を示す財政乗数が、内閣府のいう1.2程度としても、この有効需要を作るための財政出動は20兆円程度です。

財政乗数とは、財政支出乗数のことです。これは、「財政支出を1単位増加させたとき、国民所得がどれだけ増加するか」の値す。

政府支出乗数( government expenditure multiplier)とは、限界消費性向をc,限界租税性向をtとすると,政府支出が1だけ増加するとき,総需要の増加分は,政府支出の増加分だけでなく、それに加えて政府支出の増加分が生み出す家計消費支出の増加を含むので、均衡国民所得は 1/(1-c(1-t))だけ増加します。この比率1/(1-c(1-t))が政府支出乗数、あるいは財政支出乗数といいます。

いずれにせよ、現状の日本がデフレから完璧に脱却するために必要な財政出動は、20兆円程度ということです。

10兆円は、この半分ですから、とてもじゃないですが、デフレから完璧に脱却できるような規模ではないです。

では、二階幹事長の言う「10兆円」と一体どこから出てきた数字なのか、いろいろ調べて見ましたが、いずれを調べてみても、その根拠らしいものは見つかりませんでした。

そこで、ここから私の憶測ですが、本来は20兆円であることは、二階氏も誰から経済に明るい人に聴いて十分理解しているのかもしれませんが、いきなり20兆というと、財務省はかなり難色を示すので、まずは10兆としたのだと思います。

そうして、本予算も大きめにして、実際に走ってみてみれば、10兆円規模であれば、数兆円の補正予算よりははるかにましで、デフレから完全脱却はできないものの、それなりに効果があり、その効果によってある程度税収が増えることが期待できます。

デフレ・ギャップが20兆円もあるにもかかわらず、過去には、5兆円規模の補正予算が組まれ実行されたこともありましたが、これでは焼け石に水でほとんど効果がありませんでした。

しかし、デフレ脱却には不十分といいながら、さすがに10兆円規模ともなれば、それなりに効果はあり、少なくと統計値上には何らかの効果が現れてくるはずです。

その時に統計数値を根拠にして、また追加補正をするなどのことが考えられます。

本来は8%増税をして、個人消費が低迷してしまい、未だデフレから脱却できないのですから、最も良い手は、減税して消費税を5%にすることです。

しかし、ここ日本ではそれをしたくても、財務省の力が強くなかなかできないというのが実情なのです。本来財務省など政府の下部機関であり、政府の財政目標は政府が決めて、財務省はそれに従うべきです。

なぜなら、政府は国民の選挙により信託を受けた人々によって運営され、経済運営に失敗すれば、次の選挙では、有権者が気にいらなければ当選しないかもしれません。

しかし、財務省などの官僚はそうではありません。だから、本来は財政政策の目標は政府が定めて、財務省は専門家的な立場から、それを実行するというのが正しいあり方です。

ところが、現実には日本の財務省はまるで、これが一つの政治グループであるかのように、振る舞い、様々な同調圧力を用いて、結果としてこの国を支配しています。

テレビ番組で財務省の悪事を説明する高橋洋一氏
多くの人は財務省の言いなりで、まともな経済理論からするとおかしくて噴飯物の議論が、平気で公共の電波を通じて撒き散らされています。無知な政治家ならともかく、いわゆる主流派といわれる経済学者や評論家、アナリストまでそうなのですから、財務省の「同調圧力」は凄まじいものがあります。この日本という国はどこまで「財務省支配」がいきわたっているのか、本当に末恐ろしいです。

このような財務省支配がいきわたっている日本においては、政府ですら財務省に一定の配慮をしなければならないのです。

そのため、自民党は次善の策として、10兆円の財政出動を念頭に置いているのではないかと思います。

ブログ冒頭の記事では、「反安倍政権に財政再建派が多いことを考えると、秋の補正予算で二階構想が実現するかどうかは、安倍政権を倒閣する動きとも絡んでくるので見物だ」としています。

実際、この10兆円が実現すれば、先にあげたように次の展開も考えられますが、実現しなければ、安倍政権は終焉を迎える可能性がかなり高いです。

財務省の期待される役割は調整役だか、実体は調整でなくて同調圧力になっている
しかし、総理は改憲も長期政権も諦めていません。内閣支持率の低下を受け、安倍政権があたかも「崩壊前夜」のような印象を振りまくメディアもありますが、これは政治の根本を見ない希望的観測にすぎません。

細田派、麻生派、額賀派、岸田派、二階派の主要5派閥は安倍政権を支え続けると明言しています。実際、次の総裁選で安倍総理が負けて誰であれ他の人が総理になった場合、まだ安倍総理のように安定した政権を維持できるかはかなり疑問符がつきます。

それくらいであれば、ここしばらくは安倍政権を支え、再度支持率をあげ安定政権を目指すほうが得策です。

いずれにせよ、今般の内閣改造ではっきりしたのは、当分の間、日本政治の主役は安倍総理であり続けるということです。このあたりは、三浦瑠麗氏の以下の記事を読んでいただくと、良くご理解いただけるものと思います。
内閣改造 総理は改憲も長期政権も諦めていない 三浦瑠麗氏
そうなると、たとえ財務省が自民党を内部分裂させようとして、様々な同調圧力を加えてきたにしても、それに与する派閥は存在しないでしょう。さらに、野党に対して同調圧力をかけて何かしようとしても、民進党も支持率を落とし、蓮舫代表も退いている状況であり、自民党の派閥に何か働きかけるなどいうことはできません。

日本ファーストの会も未だ実体はなく、当面国政に影響を及ぼすことなどあり得ません。

そうなると、自民党は挙党一致で、内閣支持率をあげて再度安定政権を目指し「10兆円補正予算」に突っ走ることになります。

これには、さすがに財務省も「同調圧力」だけでは、対処できないでしょう。かといって、財務省は実力行使はできません。もしそれをすれば、法律違反になります。さすがに、財務省もここまではしないでしょう。

だとすれば、「10兆円補正予算」の実行と、その後の対処もうまくいくのではないでしょうか。しかし、これはあくまで自民党が挙党一致でこれに邁進した場合の想定です。そうでなければ、安倍政権終焉という結果を招くでしょう。

自民党が派閥抗争に傾けば、そうなります。これからどうなっていくか、動静を見守り、またレポートさせていただきます。

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2017年8月12日土曜日

米朝対立が破裂寸前!北「グアムに4発同時発射」緊急声明 広島、高知通過と日本にも脅し―【私の論評】北朝鮮の軍事力を等身大に見てみよう(゚д゚)!

米朝対立が破裂寸前!北「グアムに4発同時発射」緊急声明 広島、高知通過と日本にも脅し

九州周辺の上空で米空軍機と共同訓練を行う航空
自衛隊のF2戦闘機(下)=30日午前(航空自衛隊提供)
 米国と北朝鮮の対立が破裂寸前となった。狂気の独裁者、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮が10日、国営メディアを通じ、「米グアムへの弾道ミサイル4発同時発射を検討している」と宣言したのだ。レッドラインを完全に越えて、威嚇姿勢を強める無法国家に対し、ドナルド・トランプ米大統領は核戦力行使の可能性まで口にし、一歩も引かない構えを示している。今月21日からの米韓合同軍事演習、来月9日の北朝鮮建国記念日を控え、朝鮮半島の緊張は極度に高まっている。

 「わが朝鮮人民軍戦略軍はグアムの主要軍事基地を制圧、牽制し、米国に厳重な警告信号を送るために、中・長距離戦略弾道ロケット『火星12』型の4発同時発射で行うグアム包囲射撃を慎重に検討している」

 北朝鮮の国営メディア、朝鮮中央通信は10日朝、朝鮮人民軍戦略軍司令官の発表として、こう伝えた。

 発表では、トランプ氏が8日、「炎と怒りに直面することになる」とツイッターに投稿したことを、「ゴルフ場にいた米軍統帥権者は情勢の方向を全く判断できなかったまま、『火炎と憤怒』だの、何のという妄言をまたもや並び立てて、わが火星砲兵たちの興奮した神経をいっそう鋭く刺激している」と揶揄(やゆ)した。

 米国と強固な同盟関係にある日本に対しても、火星12型ミサイルが「島根県、広島県、高知県の上空を通過する」と脅しをかけた。同通信によると、朝鮮人民軍戦略軍は8月中旬までに、4発同時発射計画を最終完成し、発射待機態勢で命令を待つという。

 これは冗談では済まされない。

 北朝鮮は1998年と2009年に、日本上空を越えて弾道ミサイルを発射している。今年3月には、同国西岸から弾道ミサイル4発を日本海に向けて発射している。

 北朝鮮がグアム攻撃の能力を持つ可能性は高いが、グアム島には、B1爆撃機などが配備されているアンダーセン空軍基地や、原子力潜水艦の基地アプラ港があり、米軍の重要戦略拠点になっている。同時発射は事実上、米国に対する「宣戦布告」といえる。

 正気を失ったかにみえる北朝鮮に対し、トランプ氏の発言も過激化している。9日のツイッターへの書き込みでは、「現在の米国の核戦力は世界最強だ。できれば使わないで済むことを願うが、われわれが世界最強の国でなくなるときは絶対に来ない!」と核戦力を誇示したのだ。

 トランプ氏だけではない。軍人出身で、開戦リスクを熟知するジェームズ・マティス国防長官も強硬姿勢に転じた。

 9日に出した声明で、「北朝鮮は孤立をやめ、核兵器追求を放棄する道を選ぶべきだ。『体制の終焉(しゅうえん)、人民の破滅』につながるいかなる行動の検討もやめる必要がある」と発表した。これまで、マティス氏は「軍事的に解決しようとすれば信じがたい規模の悲惨な事態をもたらす」と述べ、外交的解決を訴えていた。正恩体制の「終焉」にまで言及した今回の声明は、マティス氏が慎重姿勢を転じたようにも読み取れる。

 米朝の緊迫ムードが高まるなか、世界最強の米軍が誇る原子力空母「ロナルド・レーガン」が9日、母港の米海軍横須賀基地に帰港した。

 今月21日からは、韓国で定例の米韓合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」(UFG)が始まる。演習に合わせ、米原子力空母2隻が今月中旬、朝鮮半島近海に展開することが検討されており、「ロナルド・レーガン」の帰港は、それに向けた準備の可能性もある。

 さらに、北朝鮮は9月9日、建国記念日という節目を迎える。演習の始まる今月21日から9月上旬という期間は、「米朝開戦のリスク」が最も高まる時期といえるのだ。

 米朝激突となれば、日本には「戦後最大級の危機」が襲いかかることになる。安倍晋三首相は先の内閣改造で、「有事にも対応できる布陣」を敷いたとされるが、この国家的試練を乗り越えられるのか。

【私の論評】北朝鮮の軍事力を等身大に見てみよう(゚д゚)!

さて、ブログ冒頭の記事を読むと、なにやら、すぐにでも米北の戦争がおこり、とんでもないことになるような感触を受ける人も多いのではないでしょうか。

確かに北朝鮮のミサイルは年々能力を高め潜在的な脅威となっていることは確かです。しかし、日本のマスコミは北朝鮮軍の実力を報道することもなく、危機を煽るばかりです。これだけでは、正しく状況を判断できません。本日は、北朝鮮軍の実力に関して掲載します。
 
北朝鮮は2012年に人工衛星の打ち上げに成功しており、ICBMの基本的な技術は持っているはずですが、まだ実験すらしていません。つまり米国に届く長距離ミサイルが実戦配備されるには、今後数年を要するとみられます。

2012年に人工衛星の打ち上げに成功した北朝鮮
米軍基地のあるグアム島を射程に入れた中距離弾道弾ムスダンは実戦配備されているとみられますが、昨年10月に試射され失敗に終わっています。ムスダンは中国製とみられることから、発射に際しては中国の許可が必要となるはずです。

つまり、安全装置を解除するためには暗証番号を入力する必要があり、その番号はその都度、中国に聞かなければならないのです。正しい番号が入力されずに発射されれば、発射は失敗に終わる仕組みです。

昨年4月15日に北朝鮮が移動式の中距離弾道ミサイル(IRBM)「ムスダン」の発射に失敗した際、現場にいたミサイル技術者らが死亡、もしくは負傷し、移動式発射車両も破損したといいます。 

米国の保守系メディア「ワシントン・フリー・ビーコン」は20日、米軍関係者や外交消息筋の話を引用し「北朝鮮は東海岸にムスダンIRBM2基を配備し、発射試験を準備した。ところが1発目のIRBMが発射からわずか5-6秒後、90メートルほど上昇したところで爆発し、もう1基は発射もできなかった」「ムスダンの発射失敗に関する報告書の内容をよく知る外交消息筋は『ムスダンの発射失敗の原因は、燃料システムやターボポンプの問題とみられる』と語った」と伝えたとしています。

これが事実がどうかはわかりませんが、当時は米国によるサイバー攻撃ではないかという噂も流れました。

私は、これは金正恩がムスダンを打ち上げようとしても、ちゅうごくが暗証番号を教えなかったので、暗証番号を解読させて打ち上げに及んだのではないかと思います。ただし、その暗証番号は間違ったものであった可能性が高いと思います。

ムスダンの暗号は複数あって、正常に作動して打ち上げを成功させるものと、異常を起こし途中で失敗するものもあったものと思います。北朝鮮の科学者は、暗証番号を解読したつもりが、それは正常に作動させるものではなかったという可能性があります。

「米グアムへの弾道ミサイル4発同時発射を検討している」といくら、金正恩氏が力んでみても、中国の許可がなければこれは不可能です。中国がこれを許可するとはとても思えません。

当然米国もこれを承知しており、それを知った上で、トランプ氏やマティス氏は金正恩の「米グアムへの弾道ミサイル4発同時発射を検討している」という威嚇に対して、威嚇で応じたということです。

ムスダンの発射
もちろん、北朝鮮製の弾道弾もあるにはあります。例えば、3月6日に4発発射され、秋田沖に着弾した「スカッドER」は北朝鮮製です。また、日本を射程に入れる「ノドン」も北朝鮮製であり、発射に中国の許可を必要としません。5月14日に発射した中距離弾道弾「火星12号」も同様です。

しかし、これらのミサイルは旧式の液体燃料型であり、発射に際してはその都度、数時間かけて燃料注入をしなければなりません。つまり発射の予兆を探知されやすく、米軍による攻撃の格好のターゲットになります。また、壊滅しそこなったとしても日米韓の分厚いミサイル防衛システムに阻まれることは必定です。

そして、懸念が広がっている核爆弾の開発状況については、昨年9月に5回目の核実験に成功し、今後近いうちに、6回目の実験を実施するのは確実とみられています。しかし、弾道弾に搭載できるように小型化、軽量化するには、まだ数年を要するでしょう。

北朝鮮の潜水艦の中で最も大きい1,700トンロミオ級を視察した金正恩
また、北朝鮮の海軍は排水量1700トンのロメオ級潜水艦を20隻程度保有していますが、これは旧ソ連製であり実力としては第二次世界大戦当時の標準的能力しか有していないです。現在3500トン級の戦略潜水艦を建造中ですが、まだ完成にはほど遠いです。日米の対潜水艦能力は世界最高水準にあり、これに対して北朝鮮の潜水艦は全く無力です。

北朝鮮海軍の潜水艦が日本海で1週間にわたって活動していると、NHKが2014年7月23日に米国政府当局者の話として報じました。

それによると、「潜水艦はディーゼル型のロメオ級で、アメリカの監視記録では、この型の潜水艦の場合、通常、4日程度で活動を終えるが、今回はこれを超えておよそ1週間に及び、これまでで最も長い」また、「アメリカ軍はこれまでにない特異な行動だとしてその目的などについて分析を進めている」だと伝えました。

ロメオ級は北朝鮮の主力潜水艦だが、旧ソ連で1950年代に開発された旧式です。弾道ミサイルの発射機能は備えておらず、騒音の大きいディーゼルエンジンで航走し、最大潜航可能時間は約半日程度です。米軍や海上自衛隊のソナーから逃れるのは難しく、うまく水中に隠れても、空気補充のため浮上した際にレーダーで必ず探知されてしまいます。

つまり、この潜水艦自体は日米にとってまったく脅威にならないということです。

では、北朝鮮はなぜこんなことをしたのか。すぐに思い浮かぶのは、弾道ミサイル潜水艦の実戦配備に向けた訓練だろうということです。

核弾頭を搭載した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射台となる原子力弾道ミサイル潜水艦は、米国やロシアなどにおいては、核戦争勃発時の報復攻撃の柱となることを期待され運用されてきました。水中を自在に動き回る隠密性により、他の核戦力に比べ、敵からの第一撃を生き延びる可能性が高いためです。

しかし、ディーゼル推進で静寂性に欠け、長時間の潜航が出来ない北朝鮮の潜水艦に、このような役割を担うことはできません。

ということは、金正恩党委員長は恐らく、いざという時には先制攻撃に使う目的でSLBMをも開発しているものと思われます。実際、その後SLBMを発射という報道を北朝鮮はしていましたが、これは明らかにフェイクとわかる代物でした。

北朝鮮のミグ29
北朝鮮空軍、正式名称「朝鮮人民軍空軍」は、全軍の航空機運用を一手に引き受けており、数の上では1000機もの航空機を保有、うち半数の500機を戦闘機が占める世界トップクラスの兵力を誇る空軍です。
ところが500機の戦闘機のうち現代戦闘機といえる能力を持つ機種はせいぜいMiG-23とMiG-29のみであり、両機をあわせても100機に足りません。また1996(平成8)年にロシアよりMiG-29を購入し、1999(平成11)年にはカザフスタンより旧型のMiG-21bisを購入して老朽機の更新に当ててたのが最後、それ以降はまったく更新が行われていない状況です。
ミグ23は第3世代型の旧式機であり、第4世代型のFA18やわが国のF15に太刀打ちできる代物ではありません。

ミグ29は第4世代型ですが、パイロットの年間飛行時間が20時間程度と日米の150時間以上と比べて極端に少なく、格闘戦は不可能です。これに関しては、中国のパイロットですら、慢性的な部品不足などにより航空機の稼働率が低いため、年間25時間程度といわれています。最新鋭スホーイ27の部隊でもやっと年間100間程度と推測されていることから、北朝鮮のパイロットの技量は推して知るべし水準のものでしょう。

しかも、山口県の岩国の米軍基地には第5世代型のF35が配備されており、ミグ29を一瞬にして壊滅できる実力を誇っています。それに自衛隊もF35の配備をはじめました。

北朝鮮のT27戦車
北朝鮮の陸軍はT72やT62といった旧ソ連製戦車を多数保有していますが、やはり世代的に古く米国のM1戦車の敵ではありません。自走砲として注目されているのが300ミリ多連装ロケット砲ですが、制空権を維持できない状態では戦車同様、米軍の戦闘攻撃機の餌食になるしかありません。

北朝鮮の特殊部隊は10万~20万人いるとされ、北朝鮮軍の中では唯一危惧されるべき存在です。潜水艦による北朝鮮武装兵士浸透事件が起きた1996年、北朝鮮が米国のグリーンベレー、英国のSAS(特殊空挺部隊)等に比肩しうる強力な特殊戦部隊を育成していたことが判明し、米国を震撼させました。

何よりも驚くのはその数です。北の特殊部隊の兵力は当時8万から10万人と言われましたが、これは世界でも類を見ない多さです。

江陵浸透事件 手前が射殺された北朝鮮工作員
この部隊の練度の高さが証明されたのは1996年9月の江陵浸透事件です。

韓国の江原道江陵市近辺で工作員を回収する北朝鮮特殊潜水艦が座礁した時、乗組員と工作員を合わせた26名が韓国内に逃亡。軍と警察の掃討作戦は二か月を要し、韓国側は軍人12名、警察官1名、民間人4名の犠牲者を出しました(負傷者17名)。
1名の工作員を追うのに数十人規模の人員が動員される有様だったのです。

海保巡視船が北朝鮮の不審船を撃ち、沈めた時も、北朝鮮工作員は自沈を選んだことから見ても、彼らは本国への強い忠誠心を見せています。

日本人拉致事件を見れば分かるように、すでにこの工作員メンバーはスパイ天国の日本に多数、入り込んでいると見られています。

朝鮮有事勃発とあらば、彼らが日本各地で活動を開始する危険性が高まります。

金正男暗殺のような事態が日本の要人を狙って引き起こされる可能性がありますし、原発に向けてテロ部隊が夜半に上陸してくる可能性も否定できません。

ただし、これを管理している国家保衛省の上級幹部が最近多数解任されており、有事に際してどれほど動けるのかは不明です。

テレビの報道をだけをみていると、頻繁にミサイル発射の報道がなされており、北朝鮮の軍事力については報道されてはいません、これではあまりにバランスに欠けているので、本日は北朝鮮の軍事力の実体について、触れてみました。

最後に一言ですが、たとえ圧倒的に相手側が劣勢であったにしても、戦争とは個別の戦闘の集合の結果あり、いくつも戦闘から成り立っているものです。

ということは、日米韓は、北朝鮮と戦争をした場合、日米韓は必ず大勝利します。特に空海では圧倒的でしょう。ただし、個別の戦闘では負けることもあるわけで、そのときには自衛隊員や軍人も犠牲になることもありえますし、市民も犠牲になる場合もあります。

韓国や日本国内にも、北朝鮮の特殊部隊が攻撃を仕掛けるかもしれません。すでに国内に潜入している工作員がこの攻撃に加わるかも知れません。だとしても、補給路がたたれるし、そもそも北朝鮮は大人数の特殊部隊を韓国や日本に送り込むことはできません。

昼であれば、すぐに発見されてしまいます。夜陰に乗じて少数の部隊を送り込むことができるだけです。

そのため、日本国内での戦闘があったにしても、小規模で短期で終息するものと考えられます。それでも、犠牲者は出る可能性はあります。

北朝鮮有事の場合は、その覚悟はしておかなければならないということです。

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2017年8月11日金曜日

「総理のご意向」の論点ずらし 加計報道とイメージ操作―【私の論評】国民を馬鹿にして愚弄するメディア(゚д゚)!

「総理のご意向」の論点ずらし 加計報道とイメージ操作

前回の本コラムで、「加計学園問題は『絶好の教材』 問われるメディア・リテラシー」を書いたが、その最後のところで、前川喜平・前文科次官の規制改革に対する考え方として、2005年7月の規制改革会議の議事録をあげた。今日のコラムではその続編とともに、マスコミの争点ずらしを述べよう。

この議事録でわかるように、前川氏(当時は課長)は、規制の説明責任について、規制官庁にないという「暴言」を吐き、発言を打ち切られた。規制改革会議に出入り禁止になったわけだ。


規制改革会議の後日談

実は、この話には後日談がある。当時の規制改革会議には白石真澄さんが議長代理で参加していた。白石さんは現在、関西大学の教授で、2009年の千葉県知事選に立候補したこともあるが、容姿端麗な方だ。規制改革会議終了後、雑談の中で「白石さんはお美しいですね」とか、たわいもない会話があった。もちろん、これは単なるリップサービスに過ぎず、そのとき参加していた人間は誰も問題視していなかった。

白石真澄さん  確かに前川の顔を見ているよりははるかに良い
ところが、その一連の会話を録音し、誰かがメモにして雑誌社に持ち込み、発言をねつ造し、「破廉恥な会話をしているのが、規制改革会議の実態だ」と、会議から2年後の2007年5月に週刊誌記事にさせた。

今となっては笑い話で済んでいるが、その当時は、大変な騒ぎだった。「こんな日常会話をリークされ、ねつ造記事がでるのは我慢できない」と、草刈隆郎さんをはじめとして規制改革会議メンバーが当時の規制改革担当大臣のところへ抗議までした。そして、文科大臣にまで抗議している。

文科省告示が直され、申請できるように

一体、誰がこんな情報をリークしたのか。内閣府内で会議のテープを保管している人間を調べればすぐにわかることだった。調査してみたところ、文科省からの出向者でした。さらによく調べてみると、その人物は、メールでこの情報を文科省に流したことまでわかっている。文科省内の『誰か』にわたり、その『誰か』が雑誌にたれ込んだのだ。

文科省のやり方はこんな具合だったが、それにしても前川氏は最近、マスコミにもあまりでない。本コラムを読んでいれば、前川氏の「行政がゆがめられた」というのは、50年間も新設学部の申請さえされない門前払いの文科省告示が直され、申請できるようになったという話だ。門前払いがおかしく、「ゆがめられていた行政」が少し直った程度だ。なので、さすがにマスコミももう使えないのだろう。

思い返せば、発端は、5月17日付の朝日新聞記事「加計学園の新学部『総理のご意向』 文科省に記録文書」である。

ところが、「総理のご意向」という証拠はまったく出ない。筆者は、「総理のご意向」がないことは、文科省と内閣府が公表に合意した特区会議の議事録を見ればわかると言ってきた。

ところが、朝日新聞は、「総理のご意向」が証明できないので、論点をずらしている。最近の記事では、「特区会議に加計幹部 議事要旨に出席・発言の記載なし」だ。

これで、議事録はあてにならないというイメージ操作をするが、文科省メモより、「総理のご意向」があったかどうかはより的確に判断できる。

そもそも、特区で提案者は今治市であり、オブザーバーである加計学園が議事録に載らないことは当然である。もっとも、議事録のあら探しのようであるが、ますます「総理のご意向」が入る余地がないことが分かるだけになっているのを朝日新聞は気がつかないようだ。

【私の論評】国民を馬鹿にして愚弄するメディア(゚д゚)!

朝日新聞は、議事録とはどういう正確なものであるのか、全くわかっていないか、わかっていながら、倒閣にすこしでもプラスにするため、あえて知らないふりをして情報操作しているとしか思えません。

議事録とは会議や打ち合わせの内容、経過や結論などを記録し、それを伝えるための文書です。 人類の歴史をひもといても、会議は常に重要な役割を果たしており、それは現代社会においても同様です。 会社、企業間、顧客との間において会議は日常的に開催され、また企業以外の場面においても、さまざまな会議が開催されています。

ITが発展していなかったときには、議事録は会議が終わった後に会議参加者に確認をとり、間違いなどが起こらないようにしたものです。

ITが発達した現在では、会議が終わった直後に、大きなスクリーンに議事録を映し出し、参加者全員がそれを見ながら、その場で修正を入れるなどのことすることもあるくらいです。そのようなことを可能にするシステムがすでに稼働しています。

朝日新聞は議事録の取扱について、誤ったのは、こだけではありません。戦略特区に関するワーキンググループの議事録に関しては、読んだのか読んでいないのか、朝日新聞は全く報道しませんてした。これを読めば、ワーキンググループの段階で、文科省はボロ負けで、勝負はついたという状況であったことが手に取るようにわかります。

このような状況であれば、総理のご意向などなくても、加計学園の獣医学部開設は決まってしまっていて、その後に総理がわざわざご意向を振りかざすなどとということは全く考えられません。これは、たとえが悪いかもしれませんが、日米戦争で日本が負けた後で、米国大統領が日本に対して何らかの違法な工作を行ったと言っているようなものです。

こちらのほうは報道せずに、議事要旨に加計幹部の出席・発言の記載がないことを報道するのは意図的な印象操作以外の何者でもありません。もし、加計幹部の発言の内容が出ていたとしたら、そちらのほうが余程問題です。もし発言があったとすれば、朝日新聞がその内容を報道することには意味があり、新聞としての社会的使命を果たすことになります。

しかし、発言内容がないことをニュースにするとは、なんともはや、問題外の所業といえます。とにかく、倒閣のために少しでも有利な印象操作をしたとしか受け取れません。

朝日新聞などのメディアもこの有様ですが、テレビの印象操作も酷いものでした。

BPO(放送倫理・番組向上機構)が公式HPにおいてマスコミの偏向報道に関する意見を受け取ったと公表しました。ついに制裁に乗り出すのではないかと期待が集まっています。


公式HPでは「2017年7月に視聴者から寄せられた意見」にて視聴者の意見が総合され、以下のように集約されています。
・テレビは「~と思う」「~と思われても仕方ない」などという表現で主観に基いて政権批判をしており、公共の電波として不適切。 
・コメンテーターが反対意見を言おうとすると司会者が遮ることすらある。
・証拠がないまま憶測で政権批判がなされている。 
・テレビとインターネットの情報の乖離が激しい。政治の偏向報道で国民がテレビからますます離れていく。 
・中立性が全くなく、視聴者が騙されてしまうことも懸念される。
偏向報道がこれだけネット上で批判されてもマスコミは一向に理不尽な安倍政権批判をやめないので、もはや強制的にペナルティを与えるしかないのかもしれません。そしてその力をもっているのはBPOだけであり、国民の最後の頼みの綱となっています。


ジャーナリストの末延吉正氏は今の偏向報道は前例がない異常事態だと指摘しています。末延らがニュース女子という番組で語った内容を以下に掲載しておきます。

末延吉正氏
末延吉正「僕も長く政治をウォッチしメディアの中で働いてきたけど、最近の左派メディアほど酷かったものは見た事がない。つまり、国会の審議やニュースそのもの、事実を全く伝えない。自分の作文でつくったようにやる。あれほど新聞・テレビがあそこまで事実を曲げて成立するのか。総理が濡れ衣で可哀想だっていう証言もあったのに、それを一行も書かない新聞・テレビは酷すぎる。朝日とTBSは本気で反省すべき」 
須田慎一郎「原点を辿れば前川さんの嘘が発端なんじゃないかなって思う」 
末延吉正「うん、もとはね」
加戸前知事と前川喜平の証言バトルでは、歴史的経緯を丁寧に説明した加戸前知事に軍配が上がったにもかかわらず、マスコミは前川喜平の勘違いを既成事実に仕立て上げようと必死でした。

メディアの報道が不自然に偏っていることはすでに数字で実証された通りです。


これは、一般社団法人日本平和学研究所が調べたものです。無論、関係する報道すべてをビデオに録画して、そこから時間を計測したものです。

加計学園問題の報道時間8時間44分59秒のうち、前川喜平の発言は2時間33分46秒も取り上げられたのに、加戸前知事の発言は6分1秒しか取り上げられませんでした。さらに原英史氏(国家戦略特区ワーキンググループ委員)の発言は2分35秒のみで、安倍総理に有利な証言はことごとくカットされました。

上念司氏
これらの証拠が出揃う中、上念司氏は放送法4条違反を根拠にTBSひるおびをBPOに告発すると虎ノ門ニュースに予告しました。

あくまで検討中ということですが、上念司氏の行動力なら本当にやるはずだと多くの人が期待しています。ひるおびには、川井重勇都議会議長と小池都知事の握手シーンをカットすることで事件を捏造した前科もあります。

これまでの悪行について痛いしっぺ返しを受けることになるのではないでしょうか。ただし、BPOについては「委員会のメンバーが政治的に偏った思想をもっている人が多いので抗議しても無駄」という声も一方ではあります。


これが本当ならBPOをさらに監視する機関が必要なのかもしれません。果たしてBPOは視聴者からの意見を適正に処理するのかどうか、今後の動きをしっかりと見届けていきたいです。

それにしても、現在のようにネットで情報がかなり得られる時代にもかかわらず、このような印象操作をする新聞やテレビは、本当にこの程度の印象操作で国民を手玉にとれると思っているようです。本当に国民を愚弄していると思います。

一旦は、情報操作に乗った人たちも、結局問題が何かもわからないようなことに、付き合わされ飽きてしまっているのではないかと思います。

以前にもこのブログに掲載したように、私は近所のお年寄りとも付き合いがありますが、これらのお年寄りたちも、最初は関心をもって見ていたようですが、ここしばらくは、ほとんどの人が加計問題の報道は、飽きて見なくなっています。

いまでさえ、この様子ですから、半年、一年もすれば、何もでてこない報道には完璧に関心を失い、そうこうするうちに、衆院選挙が行われ、加計問題で野党の無意味な追求が仇となり、民進党などの野党は歴史的惨敗を喫し、当のメデイアも唖然とするほどの結果になるのではないかと思います。

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2017年8月10日木曜日

安倍内閣内閣が問われる「20兆円財政出動」で物価目標2%達成―【私の論評】今国債を刷らずして、一体いつ刷るというのか?

安倍内閣内閣が問われる「20兆円財政出動」で物価目標2%達成
高橋洋一:嘉悦大学教授

 秋の臨時国会では補正予算が提出される。政府が掲げる「2%物価目標」を実現するには、その規模はどの程度が適切なのだろうか。

 そのカギを握るのが、「GDPギャップ」である。それを埋めるには25兆円程度の有効需要を上乗せすればよく、いまの国債市場の玉不足を考えれば、国債増発による財政出動は正当化される。

 インフレ目標の達成に経済政策の余地はある

「GDPギャップ」は、実際のGDP(国民総生産)と潜在GDPの差の、潜在GDPに対する比率と定義されている。

 問題なのは、潜在GDPである。一般的には、経済の過去のトレンドから見て平均的な水準で、資本や労働力などの生産要素を投入した時に実現可能なGDPとされているが、GDPギャップの大きさについては、前提となるデータや推計方法によって結果が大きく異なるため、相当の幅をもって見る必要がある。

 このことはGDPを推計している内閣府や日銀でも注意事項として認識はされている。

 内閣府は最近、GDPギャップの推計方法を若干、改訂した。その値は2017年1-3月期では+0.1%としている。もっとも、この結果をもって、GDPギャップがないから既に完全雇用だ、経済対策は必要ないと早合点はできない。内閣府の潜在GDPは必ずしも完全雇用を意味していないのだ。

 その理由を簡単に言えば、まだインフレ率は上がっていない以上、まだ失業率は下がる余地があり、インフレ目標達成とさらなる失業率の低下のために、経済対策の余地はあるということだ。

 日銀の算出しているGDPギャップについても、内閣府と似た傾向になっており、注意が必要だ。いずれにしても、内閣府と日銀によるGDPギャップの絶対的な水準をそのまま鵜呑みにしないほうがいい。

 ただしGDPギャップについては、その絶対的な水準ではなく、その変化はおおいに参考になる。内閣府のデータは公表されているので、それを活用してみよう。

 2%の物価上昇には25兆円の有効需要が必要

 まず、失業率とインフレ率の関係(フィリップス曲線)を整理しておこう。

 それを子細に見ていくと、ちょっと違った姿が見える。

 失業率とインフレ率は、逆相関になっているが、実は、両者の間を、GDPギャップが介在している。

 例えば、GDPギャップがマイナスで大きいと物価が下がり、失業率が大きくなる。逆にGDPギャップがプラスで大きいと物価が上がり、失業率が小さくなる。

 下の図1は、2000年以降四半期ベースで見たGDPギャップとインフレ率の関係である。左軸にGDPギャップ率、右軸にインフレ率(消費者物価総合対前年比)をとっている。GDPギャップは半年後(2四半期後)のインフレ率とかなりの相関関係がある。

◆図表1:GDPギャップ率とインフレ率(半年後)
 ここで、GDPギャップとインフレ率の関係から、「2%インフレ」にするために必要なGDPギャップ水準を算出してみると、+4.5%程度である。

 それを埋め合わせるためには、有効需要25兆円程度が必要になる。1単位の財政出動による需要創出効果を示す財政乗数が、内閣府のいう1.2程度としても、この有効需要を作るための財政出動は20兆円程度である。

 財政出動で構造失業率2%程度まで下げられる

 また、この財政出動はGDPギャップを縮小させるので、インフレ率の上昇とともに、これ以上、下げられない「構造失業率」までは失業率の低下をもたらすはずだ、

 下の図2は、2000年以降の、四半期ベースで見たGDPギャップと失業率の関係である。左軸にGDPギャップ率、右軸に失業率をとっている。図をわかりやすくするために、左軸は反転させて表示しているが、GDPギャップはやはり半年後(2四半期後)の失業率とも、かなりの逆相関関係がある。

◆図表2:GDPギャップ率と失業率(半年後)
 GDPギャップと失業率の関係式から見た、GDPギャップ+4.5%程度に対応する失業率は2.7%程度である。

 ここで、筆者が、2016年5月19日付けの本コラム(「日銀の「失業率の下限」に対する見方は正しいか」)で書いたことを参照してもらいたい。

 その構造失業率の推計値は、同じく2.7%である。もちろん、経済学は精密科学ではないので、2.7%ピッタリということではなく、2%半ばという程度である。

 ただし、2016年5月の本コラムでは、UV分析を用いている。、構造失業率の推計方法には、UV分析とフィリップス曲線による分析(特にNAIRU[インフレを加速させない失業率]の推計)がある。

 今回のコラムは、フィリップス曲線による分析と本質的に同じだが、いずれにしても、二つの異なる分析によっても、日本の構造失業率が2%半ばと同じになっているのは興味深いことだ。

 数学の証明問題では、二つ以上の方法により証明すると、その命題はより正しいとされるが、経済学でも別の二つの方法で同じ結果であれば、よりもっともらしいといえるだろう。

 以上の分析を総合すると、構造失業率は2%半ば程度であろうとともに、それに対応するインフレ率はインフレ目標の2%である。

 であれば、有効需要25兆円、財政出動に換算して20兆円規模を求めることは、インフレ目標2%を達成し、同時にこれ以上下げられない構造失業率2%半ばを達成することになる。つまり適度なインフレの下で、回避できない失業を除いて人々に完全雇用を実現する合理的な政策である。

 国債は玉不足増発も正当化される

 ただし、財政出動しても、その効果がただちに発揮されずに、実体経済への影響が出た後、インフレ率と失業率に波及するには時間差がある。

 もっとも、インフレ率も失業率もともに、GDPギャップから半年程度のラグなので、インフレ率がまだ2%に達しないようであれば、金融緩和しても実害はあまりない。

 急激にインフレ率が高くなることを心配する向きもあるが、物価が上がるとしても1年以内にインフレ率5%ということはほとんど考えられない。5%のみならず、一桁インフレであっても、その社会的コストは大きいとはいえないので、今のような状況ではインフレを過度におそれる心配はないだろう。

 いずれにしても、内閣府や日銀が示しているGDPギャップは、完全雇用とインフレ目標達成の観点から見ると、“過大評価”の数字である。筆者の分析では、たとえGDPギャップがプラスになっても、そう簡単にはインフレ率は上昇しないし、インフレを過度に心配すべきでないことをデータが示している。

 これに対して、そうした過大な財政出動は財源の裏付けが必要であり、国債発行では財政再建に反するという、いつもの財務省の声が聞こえて来そうだ。

 だが、その心配が無用であることは、2月23日付け本コラム(「日本の財政再建は「統合政府」で見ればもう達成されている」)などで何度も繰り返して述べている。

 むしろ問題は、現在の国債市場において、国債の玉不足になっており、日本銀行の「異次元緩和」にも支障が生じている事態であることも付け加えておこう。そうした観点から、国債発行による財政出動も正当化できる。

 こうしたまともな政策を安倍政権が実施できるかどうか、内閣改造の真価が問われている。

(嘉悦大学教授 高橋洋一)

【私の論評】今国債を刷らずして、一体いつ刷るというのか? 

ブログ冒頭の記事で、高橋洋一氏は2つの計算方式で計算した結果日本の構造失業率の推計値は、同じく2.7%としています。

私は、過去の統計値からこのくらいではないかと思っています。それについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。

日銀 大規模な金融緩和策 維持を決定―【私の論評】日銀は批判を恐れずなるべくはやく追加金融緩和を実行せよ(゚д゚)!


この記事は、2016年6月16日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとしして、以下にこの記事から、構造失業率に関する部分のみを引用します。

"

構造的失業率などについて以下に簡単に解説しておきます。

総務省では、失業を発生原因によって、「需要不足失業」、「構造的失業」、「摩擦的失業」の3つに分類しています。 
  • 需要不足失業―景気後退期に労働需要(雇用の受け皿)が減少することにより生じる失業 
  • 構造的失業―企業が求める人材と求職者の持っている特性(職業能力や年齢)などが異なることにより生じる失業 
  • 摩擦的失業―企業と求職者の互いの情報が不完全であるため、両者が相手を探すのに時間がかかることによる失業(一時的に発生する失業)
日銀は、構造失業率が3%台前半で、直近の完全失業率(4月時点で3・2%)から下がらないので、これ以上金融緩和の必要がないという考えが主流のようです。

過去の失業率をみてみると、以下のような状況です。

過去20年近くは、デフレなどの影響があったので、あまり参考にならないと思ういます。それより前の過去の失業率をみると、最低では2%程度のときもありました。過去の日本では、3%を超えると失業率が高くなったとみられていました。

このことを考えると、日本の構造失業率は3%を切る2.7%程度ではないかと考えられます。

であるとすれば、現在の完全失業率3.2%ですから、まだ失業率は下げられると考えます。だとすれば、さらに金融緩和をすべきでした。

しかし、日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は、すでに実際の失業率が構造失業率に近い水準まで下がっているのに、なぜ賃金が上昇しないのか、疑問を持っていたようです。にもかかわらず、今回は追加金融緩和を見送ってしまいました。
"
この長期のグラフをみても、日本の構造的失業率はどうみても2%台であることは間違いないです。

ただこの数値自体には私自身は、それほどこだわっていません。これは、政策判断するときのひとつの目安にしかすぎないものです。ただいずれにせよ日銀の3%台との見方は高すぎです。

実際には構造的失業と思われていた部分でも循環的要因に反応するところがあります。そのため金融政策で考えたときは、やはり期待インフレ率と実際のインフレ率を目安にしなくてはいけないです。2.7%が真の構造的失業の水準か否かはそれで判断できます。

それにしても、物価目標も未だ達成できないのですから、これはどう考えてみても、未だ失業率は、構造的失業率には達していないとみるべきです。日銀は、すぐにでもさらなる量的緩和を実施すべきです。

次に、国債についてですが、日本銀行は今年の3月24日、約8年ぶりとなる国債売り現先オペを実施しました。大規模な国債買い入れを背景に深刻化している民間金融機関の国債保有不足を受けたもので、レポ市場で国債の貸し手が特に少なくなる年度末に対応した。短期国債買い入れオペも取りやめ、期末の短期金利は急上昇しましたた。

午前9時30分の金融調節で日銀は国債売り現先オペ1兆円を通知。国債を売却して一定期間後に買い戻す同オペには2兆601億円の応札があり、1兆2億円が落札された。按分レートはマイナス0.11%。応札する金融機関からの銘柄指定がない売り現先オペの実施は2008年11月28日以来となりました。今回の対象期間は年度末をまたぐ3月27日から4月3日までの1週間物でした。

日銀の大規模な国債買い入れによる金融緩和が続く中、今後は国債需要が強まる四半期末ごとにレポ市場での需給逼迫(ひっぱく)が強まる可能性があります。日銀は短国の買い入れを減らして流通量を増やしていますが、それでも国債が足りなかったのです。

このような状況では、本来は国がこの状況に対応するため、国債を刷り増すべきでした。政府(財務省)が本来すべき仕事をしなかったため、日銀はこのようなことをせざるを得なくなったのです。

まさに、高橋洋一氏が語っているように、「現在の国債市場において、国債の玉不足になっており、日本銀行の「異次元緩和」にも支障が生じている事態である」のです。

このようなときは、当然のことながら、国債を刷り増す必要があります。こんなことを言うと、自民党内部のたとえば小泉進次郎のような若手議員ですら、「国債は、将来世代へのつけ」などという、奇妙奇天烈、摩訶不思議な反論が出るかもしれません。

しかし現実に市場に流通している国債が少なくこのままでは金融緩和にも支障が出るほどなのですから、当然のことながら、国債発行による財政出動は正当化されるどころか、いままさに実行しなければならないはずのものなのです。

今国債を刷らずして、一体いつ刷るというのか? と言いたいです。

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2017年8月9日水曜日

【北ミサイル】北朝鮮が「グアム周辺に火星12を発射」と米トランプ政権に警告 小野寺防衛相名指しで「日本列島を焦土化できる」とも―【私の論評】北朝鮮の脅威が顕著になると、円高になるのはなぜ(゚д゚)!


「火星14」発射の様子
北朝鮮の朝鮮人民軍戦略軍は、北朝鮮に対するトランプ米政権の軍事的圧迫を非難し、中長距離弾道ミサイルと称する「火星12」で「グアム島周辺への包囲射撃を断行する作戦案を慎重に検討している」と警告する報道官声明を発表した。朝鮮中央通信が9日、伝えた。

 声明は、作戦案が間もなく最高司令部に報告され、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が決断を下せば「任意の時刻に同時多発的、連発的に実行されるだろう」と主張。米国に「正しい選択」をし「軍事的挑発行為を直ちにやめるべきだ」と迫った。

 トランプ政権が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を行ったり、戦略爆撃機を韓国に飛来させたりしていることに反発したもので、爆撃機の出撃基地のあるグアムをけん制して警告を送るためだとしている。火星12は、5月に試射され、グアムに届く5千キロ前後の射程があると推測されている。

 朝鮮中央通信は9日、「敵基地攻撃能力」保有の検討に言及した小野寺五典防衛相や、安倍晋三首相を名指しで非難し、「日本列島ごときは一瞬で焦土化できる能力を備えて久しい」と威嚇する記事も報じた。

【私の論評】北朝鮮の脅威が顕著になると、円高になるのはなぜ(゚д゚)!

北朝鮮で有事が発生し、日本にミサイルが飛んでくるかもしれない事態になったと普通に考えるとこれは、日本にとってはマイナスな出来事ですので、ドルが買われて、円が売られる円安になるのではと思われます。

しかし、現実にはそうではありません。本日もブログ冒頭の記事のよう似、北朝鮮の危機が有るにも関わらず、円相場は上昇しました。

東日本大震災
東日本大震災の時には、日本は大きな打撃を受けたにもかかわらず、円高になり、G7の国際協調による為替介入を招く事態になりました。

実は、日本にマイナスな東日本大震災の時にも円高になったときの理由は、以前にもこのブログに掲載したように、震災からの復興のため、復興のための資材を購入したりするため、円の需要がかなり高まったためです。

そうして、このようなことは、先進国では良くあることです。実際、東日本大震災の少し前に、オーストラリアで大水害が発生したましたが、このときもいっときオーストラリア・ドルが高騰しました。

ご存知のように、その後も円高が続きましたが、それは、円の需要が高まって円高傾向になったにもかかわらず、当時の日銀が金融緩和をせず、引き締め状況を維持したからです。2013年からは、大規模な金融緩和に踏み切ったため、それまでの超円高は是正され、円安傾向となりました。

金融緩和すれば、通貨安傾向に、金融引締めをすれば、通貨高傾向になります。為替相場は、六割がたはこれで説明がつきます。

簡単に言うと、米国が金融緩和をして、日本が金融引締めをすれば、ドル安、円高傾向になります。米国が金融引締めをして、日本が金融緩和をすれば、ドル高、円安傾向になります。

米国も、日本も金融緩和をしていれば、より量的な金融緩和の度合いが高いほうの通貨が安くなります。

そうなると、金融緩和をどんどん実施すれば、自国通貨をかなり安くできて、有利になると思われる方もいらっしゃるかもしれまんせんが、これにも限度があります。

どこまでも、金融緩和を続ければ、いずれハイパーインフレを招き、良いことはありません。だから、緩和を続けて自国通貨を安くするという、通貨戦争なる幻想はなりたちません。

日本銀行
これで、為替は6割りがたが決まってしまいます。そうして、長期的には通貨高、通貨安はこれが原因でほとんどが決まります。ただし、短期的には、様々な要素があるので、後の4割は、他の要因で決まるわけです。

しかし、今回の北朝鮮の脅威に関しては、特に日銀が北朝鮮の脅威に対応して、金融政策を実行しているわけではないにもかかわらず、北朝鮮の脅威が顕著になったときには、実際には円高傾向になっています。これは、日銀の金融政策とは関係のない動きです。ではなぜ、このようなことが起こるのでしょうか。
それは、大きく3つの理由によると考えられます。

①機関投資家や海外投資家のポジション解消のため
②株価下落による海外投資家の為替ヘッジのため
③日本企業や投資家などのリパトリのため

1つずつ解説したいと思います。

円高理由その1 機関投資家や海外投資家のポジション解消
最初の円高になる理由は、リスク高まったときにおこる機関投資家や海外投資家のポジション解消の動きです。 
大きなリスクがあるときは、相場がどちらに振れるかわからないために投資家がポジションを解消してフラットにする動きが活発になります。 
トランプ政権下で円安ドル高の傾向が高かったためにドル買いのポジション持っている人が多くいて、その投資家たちがポジション解消するとドル売り円買いになり、円高になるということです。
円高理由その2 株価下落による海外投資家の為替ヘッジ
北朝鮮で有事が起こった場合は、まず間違いなく日本株が下落することが予想できます。 
その際に日本市場特有の海外投資家の取引割合が6~7割という特殊性で海外投資家の動きがドル円為替にも波及してきます。 
海外投資家が日本株を買う場合は、自国の通貨から日本円に両替して日本株を買います。 
その際に為替変動のリスクがあるために同時に日本円の売りを行います。いわゆる為替ヘッジと呼ばれるもので、日本円に両替する=日本円を買うという行為を行う場合に反対の注文の日本円を売るという取引をすることによって、為替リスクを避けるというものです。 
株価が下落した場合は、株を売る際に日本円を売るという注文を解消し、日本円を買うことになります。 
株が下落すると日本円を買う注文が入り、円高になるのです。 
さらに海外投資家が、日本株を買う場合は、レバレッジを利かせて日本円を売る注文を出します。 
株価が下落した場合は、証拠金を積み増して、ロスカットを防ぐために円買いを積み増すことも起こります。 
このように日本の株価が下落した場合に海外投資家の為替ヘッジの動きのために円高になるのです。
円高理由その3 日本企業や投資家などのリパトリ
リパトリとは、リパトリエーションの略で企業や投資家が海外から本国に資金を引き揚げることを指します。 
東日本大震災の際にも保険金の支払いなどで保険会社が海外資産の一部を日本円に買える動きが出ています。 
日本に打撃があった場合は、日本で必要なお金を集めるために海外の資産を日本円に変える動きが出てきます。 
その場合も日本円が買われて、円高傾向になります。 
東日本大震災の時には、先に述べたように、円の需要が高まったにもかかわらず、日銀が金融引締めの姿勢を崩さなかったことが、円高の主要因であったことを述べました。 
それと同時に、このリパトリを先読みしてのヘッジファンドなどの円買いが入り、さらに円高に拍車をかけました。 
北朝鮮の脅威が高まると、円高になる理由として上記の3つの動きがあると思われます。ただし、短期(1年以内)の為替はほとんどがランダムウォークであり、予測は困難です。

北朝鮮有事が起こる確率は極めて小さいと思いますので、1994年や2003年のように米国側が攻撃をあきらめるというシナリオが一番ありえそうですが、最悪のシナリオを想定しておくのも重要なことだと思います。

最後にアナリストでも意見が分かれていますので、北朝鮮有事の際に円高になるか円安になるか予想した記事を一覧にします。

私が調べた限りですので、抜け漏れ等はありますが、参考にしてください。

○円高予想

・ロイター:コラム:北朝鮮有事の円相場シミュレーション=佐々木融氏

・日経新聞:北朝鮮有事で円高どこまで 豊島逸夫の金のつぶやき

・Newsweek 「トランプ円高」が加速 朝鮮半島リスクとドル高けん制で

・MONEY VOICE 北朝鮮の隣なのに安全通貨?「無慈悲な日本円買い」はなぜ起こるのか=久保田博幸

○円安予想

・ロイター:コラム:朝鮮半島有事の「日本売り」シナリオ=斉藤洋二氏

・SnkeiBiz:最悪なら「円安」シナリオも…迫る「Xデー」 朝鮮半島有事で日本経済どうなる

・フィスコ:【市況】【フィスコ・コラム】:円:北朝鮮リスク、円はどちらに動くのか?

アナリストの記事では、円高のほうが若干多いようです。私も、その立場をとります。なぜなら、北朝鮮有事の場合でも日本が甚大な被害を受けなければ、上記で述べたようなことが繰り返されることになるからです。

さらに、このようなことはあってはならないことですが、実際に核ミサイルが日本の都市に落とされたとして、現状の北朝鮮の核では大都市の場合は、たとえ、北朝鮮が全部の核を打ち込んでも全部を破壊することは不可能であるため、かなり大きな被害にあったとしても、日本国のインフラなどの大部分は残り、いずれ復興に入るはずです。

そうなれば、東日本大震災のときと同じく、円の需要が増し、当然のことながら、円高となります。

その時に、日銀が金融緩和をすれば、円高を防ぐことができます。東日本大震災あたりまでの、日銀はしょっちゅう金融政策を間違えていましたが、13年頃からようやくまともになりました。北の脅威が顕著になれば、円高にふれることはわかりきっているので、今後はまともな政策を実行していただきたいものです。

それにしても、国家破綻に近かった、ロシア危機や韓国通貨危機、アルゼンチンのデフォルト時には、当然のことながら超通貨安に悩まされました。

日本の場合は、国家が破綻するほどの災厄に見舞われれば別ですが、そうでなければ、円高にみまわれるということですから、いかに日本が強固な基盤の上に成り立っているのか良くわかります。

北朝鮮ウォンなど、今でも価値が低いですが、北有事ということにでもなれば、国際的には紙くず同然になるものと思います。

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