2017年10月29日日曜日

自民党支持の東大生「愛国心には右も左もないのに国が好きと言った瞬間に右翼だと言われてしまう」―【私の論評】年長者も次世代のため正統保守の考え方を身につけよ(゚д゚)!

自民党支持の東大生「愛国心には右も左もないのに国が好きと言った瞬間に右翼だと言われてしまう」

腹BLACK 2017年10月29日

テレビや新聞で受動的に情報を受け止める時代が終わり、インターネットで能動的に情報を取りに行く時代になった。そんな中においてやはり現代の若者は政治を冷静に観察している。

東大生の本質を突いた意見。

吉木誉絵「東大生にアンケートをとった、けっこう有名でインターネットでも出回っているものがある。東大生に『なんで自民党を支持するのですか?』とアンケートをとったところ『国が好きということに右も左もないのに、好きって言った瞬間に右翼だと言われてしまうこの風潮が馬鹿らしい』だとか、あと『安全保障はリアリズムに基づいていかないといけないのに非現実的な議論が国会で多すぎる』と。そういったところに飽き飽きしている若い人たちはどうしても多くなっているということを私も感じます」

この声に大いに賛同する日本国民は多いだろう。日本という世界でも有数の平和で恵まれた国に生まれ、帰属意識や感謝の気持ちを育んできた人は自然と愛国心を持つようになり、国を大事に思う精神が育つはずだ。しかし、現代においてはなぜか愛国心に基いて意見を表明するとすぐに「右翼」だとか「ネトウヨ」という野次が飛ぶ。自分を育ててくれた国に感謝するという自然なことがなぜ誹謗中傷の対象になるのか。

安全保障についても東大生は現実的な政策を求めており驚くほど冷静だ。新聞とテレビの偏向報道に全く騙されていない。

2017年3月に実施された東大新聞のアンケート。「あなたの支持政党はどこ?」



出典:http://www.todaishimbun.org/survey20170422/

圧倒的に支持されているのは自民党で、民進党の支持率はなんとわずか3%。立憲民主党、希望の党に分裂した今も同程度の結果であることは想像に難くない。

新聞を購読せず、家にテレビがないことも珍しくない若者たち。情報収集は基本的にスマホで、中高年とは全く違うライフスタイルを持つ新人類だと言っても過言ではない。その若い世代が政治について現実的な考えをしているというのは大変喜ばしいことだ。

メディアはなぜかSEALDsのような連中を若者代表のような雰囲気で取り上げる。しかしSEALDsはごく一部の例外であり、同じ若者世代から白い目で見られているということを指摘しておきたい。

【私の論評】年長者も次世代のため正統保守の考え方を身につけよ(゚д゚)!

最近東大生に限らず、若者の自民党の支持率が高いことをもって、若者が保守化しているという論評が多いです。AmebaTVの「みのもんたのよるバズ」でもその話題が話されていました。以下にその動画を掲載します。
この動画では、江田憲司氏は「若者は安定志向で保守化してるのと、戦争から遠いから。その辺が影響してる」という分析をしているのに対し、吉木誉絵さんは、「民主党政権時代の就職率の悪さのインパクトが凄く残ってるのと、テレビを余り見ず、ネットでも情報を得てるから」と分析しています。

この分析は、おそらく吉木誉絵さんの分析のほうが正しいと思います。結論から言うと、若者は、現状の就職率の良さに着目しているのだと思います。

ツイッターでは以下のような動画が流されていまし。この動画では、立憲民主党から立候補し落選した元朝日記者、現実を知る「(選挙運動中)若者に『何党?』と聞かれ、立憲民主と答えたら『あんたらが一番ウザイ』『アベノミクスを止めると困る』と言われたと語っています。

この動画では、若者はやはり「就職率の良さ」に着目していることが良くわかります。

これについては、このブログでも最近説明したことがあります。
若者は保守化しているのか 雇用改善で政権支持の実態、左翼色強い報道にも縁遠く―【私の論評】まもなく実質賃金も上昇しはじめ、吠え面をかく反安倍派?

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、高橋洋一氏はこの記事の論評元記事で、若者の中国に対する態度から、今の若者は決して保守化しているわけではないことを示した上で、結論を以下のように締めくくっています。
 大学教員をしている筆者には切実な問題だが、大学生にとっての最大の関心事は就職である。初めての就職がうまくいくかどうかが、その後の人生を決めるともいえる。 
 民主党政権時、残念ながら就職率は低く、就職できない学生が多かった。ところが、安倍政権になってから就職率は高まり、今では就職に苦労していない。正直なところ学生のレベルが以前と変わっているわけではなく、政策によってこれほどの差があるとは驚きだ。
 しかも、今の学生の情報入手はネットが中心で、左翼色が強く政権批判が多いテレビをあまり見ない傾向がある。そうした意味で老齢世代と若い世代は正反対だ。
 安倍政権の金融緩和と表裏一体の雇用重視は本来、左派政策なので、「保守化」していない若者にも受けるのだろう。
このことを多く江田憲司氏のような政治家や、 山田厚史(元朝日新聞)は気づいていないようです。

このように、若者が保守化したなどという一方的な見方をしかできないようでは、国民、その中でも将来を担う若者たちに訴求できるような政策提言など永遠にできないでしょう。

日本を根本から立て直すためには、自ら能動的に考える、現代の若者のような態度が必要です。現在、旧来的な『保守』と『革新』といった対立はもはや存在していません。

右派と左派という二区分では説明がつかず、少なくとも四区分は必要になっています。まず一つ目は、本物の左派、つまりは共産主義者です。日本という国が嫌いで、日本政府も大嫌いな人たち。彼らはソ連が滅んでからはさすがに少数派になりました。

二番目は、日本という国は大嫌いにもかかわらず、日本政府は大好きという困った人たちです。戦後日本では最大派閥でしょう。たとえば、東大憲法学、官僚ら組織の利益を国益だと言い張り、権威、権力、栄誉、勲章の類いに目がありません。

古くは、東京大学で教鞭を執っていた横田喜三郎という人がこの類型です。彼は『天皇制(ブログ管理人注:共産党用語)は廃止すべきだ』という本を書いていたにもかかわらず、勲章をもらえるとわかった途端、古本屋も含めてその書籍を回収してまわったというエピソードを持つ人物です。彼の小型版は現在でも大勢います。

これらの二つの勢力の特徴は敗戦の影響を過大に受けていることでしょうか。その一方で戦後教育を中心とした価値観に違和感を覚える人たちも増えてきています。

次は、日本という国が好きで、日本政府を簡単に正当化してしまう人たちです。たとえば、ネットウヨと呼ばれる人たちは自らの頭で考えず、何でも素直に受け入れてしまいます。

重要な点は、『国家と政府は違う』という当たり前の事実に気づいているかどうかです。自称・保守という人に限って、『財務省や日銀は頭のいい人たちが集まっているのだから、批判している人こそ考えが足りないのだ』『財務省が増税を推進し、日銀が頑なにお札を刷らなかったのには、きっと理由があるはずだ』と考えてしまいます。しかし、実際は何もなかった。要するに、思考が停止しているのです。

そうして、最後は正統保守とも言うべき人々です。これらは、自ら能動的に考える人々です。

この正統保守については、昨日もこのブログに掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】5年たってもアベノミクスをまともに分析できない人たち、マクロ経済知らずけなすだけ ―【私の論評】首相は正統保守的立場から金融政策を手持ちの道具にした(゚д゚)!
アベノミクスによる異次元緩和は、まだ5年もたっていない  写真はブログ管理人挿入 
それは、第1に、過去のためのものではない。正統保守主義とは、「明日のため」のものである。あくまでも未来志向のものである。 
正統保守主義とは、第2に、なんらかの青写真に沿って社会を形成しようとするものではない。なんらかの万能薬を服さしめようとするものでもない。 
それは、ケース・バイ・ケースで問題を解いていこうとするものである。医学にしても、万能薬を求めているあいだは進歩しなかった。風邪には風邪、腹痛には腹痛の治療を求めてから急速な進歩が見られた。したがって、それは、「具体的な問題を解決していくものである」。 
正統保守主義とは、第3に、手持ちの道具、役に立つことが実証ずみの道具を使って問題を解こうとするものである。理想的な道具を新たに発明しようとしても無理である。「それは、既に存在するものを基盤とし、既に知られているものを使うものである」。 
かくしてドラッカーは、改革のための原理は、保守主義たるべしとする。 
「第一に、過去は復活しえないことを認識することが必要である。第二に、青写真と万能薬をあきらめ、目前の問題に対する有効な解決策をみつけるという、控え目で地味な仕事に満足することを知ることが必要である。第三に、使えるものは既に手にしているものだけであることを知ることが必要である」(『産業人の未来』)
私は、日本のように数千万以上の人口を有する国単位で何か改革をするといった場合には、正統保守主義的な立場から改革をすべきであると考えています。それは、なぜかといえば、以下のような観点からです。
保守主義とは、明日のために、すでに存在するものを基盤とし、すでに知られている方法を使い、自由で機能する社会をもつための必要条件に反しないかたちで具体的な問題を解決していくという原理である。これ以外の原理では、すべて目を覆う結果をもたらすこと必定である。(ドラッカー名著集(10)『産業人の未来』)
過去において、保守主義の原理での改革以外の改革は、すべて目を覆う結果をもたらすことは必定であるからです。共産主義の失敗その典型例です。

現在の若者のように情報入手はネットが中心で、左翼色が強く政権批判が多いテレビをあまり見ない傾向にあります。こうした若者は、正統保守主義の考え方も理解しやすいでしょう。

私は、現在の若者がすべて正統派保守主義になるべきであるとは思っていませせん。それは若者自身が選ぶべきです。

左翼、左派、リベラル(新左翼ではなく真の意味でのリベラル)、正統保守、保守など様々な考え方があっても良いと思います。

ただし、日本という国単位での改革という場合は、正統保守主義的な立場の改革を重視するようになっていただきたいです。

そうして、今の若者はそれ以外の年代層よりも、そのような考え方を容易に受け入れらそうであるという点で、かなり期待できると思っています。

これから、改憲や安全保障の問題を考えるときにも、正統保守的な考え方が重要です。今の若者なら、そのような考え方ができると思います。ただし、現在現役の政治家やマスコミも次世代にまともな日本を残すという意味で、正統保守的な見方を身につけなければならないです。

左右、上下にかかわらずある程度年齢のいったまともな大人で、企業などの組織(マスコミや正統組織も例外ではない)などで、管理職的立場にたち、改革の先頭にたったことのある人なら、変わりゆく社会に対応するために、組織で本気で改革に取り組むなら、この正統保守的な考え方に立脚しないと不可能であるということは気づいていると思います。珍奇な考え方を振り回しても、改革はおぼつきません。やはり、正統保守的な考え方でなければ、まともに管理職は勤まりません。

そうして、真の変革とは何らかの形で社会に変革をもたらすものであるということを理解していると思います。変革のゴールは、組織内部ではなく、組織の外である社会を変えることであることを知っているはずです。

国の改革を考えるときも、同じことです。国の改革だけが、そうではないという考えかたは成り立ちません。50歳も超えると、なかなかそうした考えた馴染めない人もいるかもしれません。しかし、そうしなければ、世の中から取り残され若者からウザい存在になるだけです。

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2017年10月28日土曜日

【日本の解き方】5年たってもアベノミクスをまともに分析できない人たち、マクロ経済知らずけなすだけ ―【私の論評】首相は正統保守的立場から金融政策を手持ちの道具にした(゚д゚)!


アベノミクスによる異次元緩和は、まだ5年もたっていない  写真はブログ管理人挿入
衆院選後の各メディアのアベノミクスに関する報道では、「金融緩和の出口や財政再建が課題」「景気の実感が薄い」「雇用の劣化が進んでいる」といったものがみられた。安倍晋三政権発足から5年が近づくが、いまだにアベノミクスをまともに分析できているとは思えない。

 今や海外の経済ニュースが、そのまま衛星放送などで見られる時代だ。日本の総選挙での安倍政権の勝利も報道されていたが、その理由として「金融緩和が継続された結果」と分析されていた。

 筆者の米国滞在経験では、金融政策が雇用政策であるという認識は、マスコミだけでなく一般人にもあった。米連邦準備制度理事会(FRB)が「物価安定」と「雇用確保」の2つを目標としているからだ。

 マスコミも「雇用を良くするために金融を緩和し、物価を過度に上げないために金融を引き締める」という認識で報道していた。金融緩和は実質金利を下げるので、民間需要が増えるとともに、人への投資増、つまり雇用が増えるという経済理論の裏付けがあるものだ。

 しかし、これを日本でわかっている政治家、学者、マスコミはごく少なく、特に日本の左派・リベラルでは皆無に近い。

 米国では、2008年のリーマン・ショック直後から量的緩和政策が行われており、既に9年が経過した。失業率は4・2%まで改善しており、これ以上の低下は期待できず、インフレ率が上がろうとしている。そこで、量的緩和の「出口」に向かっている。

 日本では、アベノミクスによる異次元緩和は、まだ5年もたっていない。今の段階で「出口」を主張するのは、よほど経済が分かっていない人か、量的緩和に反対してきて、バツが悪く居場所のない人だろう。

 「金融緩和の出口」は、マクロ経済政策としては緊縮であるが、「財政再建が課題」というのも同種の緊縮策だ。今の段階でこれを叫ぶ人は、マクロ経済オンチをさらけ出している。

 「景気回復の実感がわかない」というのもマスコミでしばしば聞かれるが、1980年代後半のバブル景気でも同じような声がよく聞かれた。そこで、どうなると景気の実感がわくのか、と質問すると、「自分の給料が倍になったら」という答えが多い。そういう意味では、多くの人が「景気の実感がわく」というのはあり得ないので、この種の報道は今の景気をけなす意味しかない。

 「雇用の劣化」という言い方は、2、3年前までは、「有効求人倍率が改善していても、非正規雇用が多い」と批判する意味合いで使われていた。ところが、正規雇用の有効求人倍率も1倍を超えてしまったので、この論法は使えなくなった。

 今では、賃金が上がらないことを「雇用の劣化」と表現しているのだが、賃金が上がらないのは、失業していた人が職に就くときには低い賃金になり、平均値を押し下げるためだ。

 失業率がこれ以上下げられない構造失業率に近づき、人手不足が本格化すると賃金は上がり出す。残念ながら、こうしたメカニズムを把握した報道にお目にかかることはめったにない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】首相は正統保守的立場から金融政策を手持ちの道具にした(゚д゚)!

日本では5年たっても、アベノミクスをまともに分析できる人が少ない一方、CNBCのシーマ・モーディという女性レポーターが、日本の総選挙の与党の大勝について「安倍首相が勝利したのは金融緩和が続いた結果です」と解説しています。ブログ金融緩和が雇用政策であるのは欧米では常識です。日本の新聞やテレビはあまりにもポンコツすぎて、こうい分析が全くできないようです。

冒頭の記事で、高橋洋一氏は「日本では、アベノミクスによる異次元緩和は、まだ5年もたっていない。今の段階で「出口」を主張するのは、よほど経済が分かっていない人か、量的緩和に反対してきて、バツが悪く居場所のない人だろう」と語っています。

この主張は正しいと思いますが、もっと詳細に言ってしまえば、元々経済がよくわかっておらず、「 政権や権力と戦うのが自分たちの使命」と思いこんでしまった、左派やリベラル(新左翼)のメディアや政治家が、とにかく「安倍には反対」という姿勢に凝り固まり、金融緩和にまで反対してしまったというのが真相だと思います。

一方保守と見られている、安倍総理はどうして欧米では左派がとる政策である金融緩和政策をとったのでしょうか。

それは、保守の本来の意味を認識していないと理解できないかもしれません。保守とは本来「安全保証では、○○」、「経済では、△△」という立場を取っているから保守などというものではありません。それについては、以前このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
ドラッカーの言う「改革の原理としての保守主義」とは何か ―【私の論評】 保守主義の本質は 左右、新旧とは関係ない。自由で機能する社会を前提として、その都度具体的な問題を解決していくという原理だ!!
若い頃のドラッカー氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に保守に関する部分のみを引用します。
それは、第1に、過去のためのものではない。正統保守主義とは、「明日のため」のものである。あくまでも未来志向のものである。 
正統保守主義とは、第2に、なんらかの青写真に沿って社会を形成しようとするものではない。なんらかの万能薬を服さしめようとするものでもない。 
それは、ケース・バイ・ケースで問題を解いていこうとするものである。医学にしても、万能薬を求めているあいだは進歩しなかった。風邪には風邪、腹痛には腹痛の治療を求めてから急速な進歩が見られた。したがって、それは、「具体的な問題を解決していくものである」。 
正統保守主義とは、第3に、手持ちの道具、役に立つことが実証ずみの道具を使って問題を解こうとするものである。理想的な道具を新たに発明しようとしても無理である。「それは、既に存在するものを基盤とし、既に知られているものを使うものである」。 
かくしてドラッカーは、改革のための原理は、保守主義たるべしとする。 
「第一に、過去は復活しえないことを認識することが必要である。第二に、青写真と万能薬をあきらめ、目前の問題に対する有効な解決策をみつけるという、控え目で地味な仕事に満足することを知ることが必要である。第三に、使えるものは既に手にしているものだけであることを知ることが必要である」(『産業人の未来』)
古今東西で、景気が悪い時、雇用情勢が悪い時には、金融緩和を実行すると良いということがすでに幾多の例で実証されています。欧米でも、過去の歴史をたどるとそれが良い結果をもたしたことが知られています。

日本でも、過去の歴史を調べると、景気の悪いときに、通貨の量を増やす今でいうと金融緩和策を実行した場合には、良い結果を招いたことが記録されています。

反対に、景気の悪い時に、通貨の量を増やすこともせず、質素倹約例などを出すとかえって景気がさらに落ち込んだことが、歴史に記録されています。

日本では、最も良い事例は、高橋是清による、いまでいうところの金融緩和策、積極財政策です。世界恐慌のときには、日本も昭和恐慌と呼ばれる大恐慌に見舞われましたが、日本は高橋是清のこれらの政策によって、世界で一番はやく恐慌から脱出することができました。

高橋是清
歴史上では、不況時には金融緩和策、積極財政の試みがされて成功していましたが、それを最初に理論的にまとめたのはケインズです。

ケインズは、有効需要に基いてケインズサーカスを率いてマクロ経済学を確立させました。日本では、過去においては、なぜかケインズは財政政策についてのみ語っているような認識のされかたがしていましたが、それは間違いです。金融政策が大事であることも語っています。

ケインズによりマクロ経済学の基本が設立され、その上にさらなる様々な学者の努力が積み重ねられたものが、現代のマクロ経済学です。


現在では、労働者の雇用を良くするということから、世界では左派系の人々がこの政策を推進すべきであると唱えていることが多いので、これは左派系の政策であると見られることもありますが、これはの歴史をたどっていけばいくほど、ドラッカーのいうとろの「手持ちの道具、役に立つことが実証ずみの道具」であることが理解できます。

安倍総理は、デフレ脱却のための実証済みの道具である金融緩和政策を用いて、成功を収めたのです。これは、正統保守主義者の立場からすれば、当然といえば当然です。一方、安倍総理は、デフレ脱却のためには、悪手とされた道具である増税をして大失敗をしました。そのため、その後増税は延期しています。

一方、いわゆる日本の左派・リベラル(新左翼)は、これら歴史的に実証されている方法は否定し、枝野氏のように「金利をあげる」とか、構造改革を主張するなど実証済みでない道具に固執し、まともに実効性のある政策提案ができません。

最近では、日本以外の国々のリベラル・左派が主張し、正統保守主義者である安倍総理が手持ちの道具とした、デフレのときの金融緩和策という道具は、日本のマスコミや多くの政治家にはなかなか理解できないようです。

ドラッカーは、保守主義について以下のようにも語っています。
保守主義とは、明日のために、すでに存在するものを基盤とし、すでに知られている方法を使い、自由で機能する社会をもつための必要条件に反しないかたちで具体的な問題を解決していくという原理である。これ以外の原理では、すべて目を覆う結果をもたらすこと必定である。(ドラッカー名著集(10)『産業人の未来』)
「すべてめを覆う結果」については、私達は痛いほど経験しています。そうです。失われた20年です。後から考えると、これはデフレであるにも関わらず、日銀は金融引締めを行い、政府は緊縮財政を実行し続けたからです。本来ならば、この時期には、すでに知られている方法である金融緩和政策と、積極財政を実行すべきだったのです。

現在リベラル・左派の主張する経済政策を実行すれば、「すべて目を覆う結果」になることは必定です。

政治改革には、明日のために、すでに存在するものを基盤とし、すでに知られている方法を使い、自由で機能する社会をもつための必要条件に反しないかたちで具体的な問題を解決していく姿勢を貫くべきなのです。これをマスコミと政治家も理解すべきです。

【日本の選択】今の日本に必要な「ガラパゴス左翼」との決別 本来の「リベラル」とかけ離れた思想は国民にとって不幸―【私の論評】意味が理解出来ない言葉を平気つかう人はまともな社会人にさえなれない(゚д゚)!


「ポスト安倍」も問題だらけだ! 財務省や日銀の言い分信じて財政や雇用理論を間違える人―【私の論評】今のままでは再びデフレスパイラルの無間地獄にまっしぐら(゚д゚)!

2017年10月27日金曜日

【習独裁の幕開け】「ポスト習近平」は習氏…抱く“世界の覇者”への野望 次世代のホープはチャイナセブン“選外”―【私の論評】習近平による新冷戦が始まった(゚д゚)!

【習独裁の幕開け】「ポスト習近平」は習氏…抱く“世界の覇者”への野望 次世代のホープはチャイナセブン“選外”

習近平総書記(中央)ら新しい政治局常務委員(チャイナセブン)=25日、北京の人民大会堂
 第19回中国共産党大会は、「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想」という表現で、党規約に指導思想が明記されることが決議され、24日に閉幕した。

 この表現をより具体化すると、「習近平新時代=脱江沢民の新時代」「中国の(習独裁を軸とする)特色ある社会主義=縁故資本主義体制」が船出することになる。

 そして、中国共産党は25日午前、党大会最終日に選出された第19期中央委員会による第1回総会(1中総会)を開き、新たな指導部が発足した。

 中央政治局常務委員(通称、チャイナセブン)の布陣は、留任の習氏(64)と李克強首相(62)以外に、栗戦書・党中央弁公庁主任(67)、汪洋・副首相(62)、王滬寧・党中央政策研究室主任(62)、趙楽際・党中央組織部長(60)、韓正・上海市党委員会書記(63)の7人となった。

 栗氏はこの数年、習氏の特使として、ロシアのプーチン大統領と度々、面会をしてきた人物で、中露関係のキーパーソンになりそうだ。汪氏は、4月の訪米では、レックス・ティラーソン国務長官の対面に座り、米国との関係も深い。王氏は、江沢民時代、胡錦涛前国家主席、習一次政権まで3代のトップに仕えてきた人物である。

 世界のチャイナウオッチャーにとって意外だったのは、胡前主席が目をかけ、次世代のホープの1人とされてきた胡春華・広東省党委書記(54)が選から漏れたことだ。そして、もう1人も漏れた。

 この数カ月、にわかに注目度をあげ、2段階のロケット出世の噂も噴出していた陳敏爾・重慶市党委書記(57)である。

 出世街道を驀進(ばくしん)する、習氏の地方指導者時代の部下たちについて、一部からは「鶏犬昇天」(=出世した人のおこぼれで、親族や取り巻きなど周りまでが出世する、の意味)と揶揄(やゆ)されていたが、その筆頭格でもあった。

 ただ、歴代の最高指導部はさまざまな地方で経験を積み、外遊もし、海外人脈も構築していくなかで、北京へ上がっていく。ところが、50歳過ぎまで故郷、浙江省内に留まっていた陳氏は超ドメスティック(内向き)な人材だ。学歴についても見劣りする。習氏の“腰巾着”にすぎない、とみなされたのか。

 序列8位から25位までの中央政治局委員にも、習氏が福建、浙江両省での22年間の在任中に培った人材が続々と昇格した。共産主義青年団出身(=最近は『胡錦涛派』とも呼ぶ)もいるが、習独裁体制といえる。

 つまり、「ポスト習近平」も習氏なのだ。2000年にロシア大統領に就任して以来、長期にわたり世界でも影響力を発揮し続けるプーチン氏に憧れる習氏。毛沢東主席を凌駕する“中国の皇帝”を目指すのみならず、“世界の覇者”となる野望を抱いているはずだ。

 ■河添恵子(かわそえ・けいこ) ノンフィクション作家。1963年、千葉県生まれ。名古屋市立女子短期大学卒業後、86年より北京外国語学院、遼寧師範大学へ留学。著書・共著に『豹変した中国人がアメリカをボロボロにした』(産経新聞出版)、『「歴史戦」はオンナの闘い』(PHP研究所)、『トランプが中国の夢を終わらせる』(ワニブックス)、『中国・中国人の品性』(ワック)など。

【私の論評】習近平による新冷戦が始まった(゚д゚)!

第19回党大会にて政治報告をする習近平総書記=
18日午前9時6分、北京の人民大会堂、
日本国内では、最近選挙があったので、第19回中国共産党大会についてはその本質が十分に報道されていません。結論からいうと、今回習近平が演説で語ったことは、「新たな冷戦」宣言です。

通常、中国の国家主席の任期は2期10年であるため、2期目に入ると後継者を抜擢するのが普通です。しかし、ブログ冒頭の記事にもあるように、今回の人事では、政権3期を狙うとされる習近平の続投の意志が表れる人事となりました。

全体会議に先立ち、24日の中国共産党大会では、習氏が3時間20分も演説も行い、各紙に大きく取り上げられました。( http://news.livedoor.com/article/detail/13791532/)

この演説はあまりに冗長で、空疎な内容も多く要旨を読むだけでも大変なので、、このブログではその中でも習氏の「野望」が強く表れている発言のみをピックアップすることにします。そのほうが、今回の習の演説の本質が十分に理解できると思います。

習は、いわゆる「中国の夢」について、「新時代の中国の特色ある社会主義の偉大なる勝利」と「中華民族の偉大なる復興」だとし、自身の功績を称えた上で、次のように述べました。


「中国の特色ある社会主義は新時代に入った。(中略)科学的な社会主義は21世紀の中国の強大な活力を生み、中国の特色ある社会主義の偉大な御旗を世界に高く掲げたのだ。人類の問題を解決するため、中国の知恵と中国の方針で貢献したのだ。この新時代は、中国の特色ある社会主義の偉大な勝利の時代である。全国の各民族人民が団結して、中華民族の偉大なる復興という中国の夢の実現に向けて奮闘するのだ。わが国は、日に日に世界の舞台の中央に近付いている」

習氏は、演説を通して139回にわたり「社会主義」という言葉を使用し、中国が資本主義体制の西側諸国と一線を画していることを強調しています。また、「中国の特色ある社会主義は新時代に入った」という発言からは、中国がかつてのソ連を超えた「社会主義国」であるという主張がうかがえます。

「今世紀中ごろまでに人民の軍隊を世界一流の軍隊にする」

こうした「中国の夢」を現実のものとするのが、習氏の具体的な目標設定です。

これまで中国共産党が掲げていた目標は、2021年までに国内総生産と個人所得を安定させ(小康社会)、2049年までに豊かな社会主義国家を建設するというものでした。これに対して習氏は、2021年までの目標だった「小康社会」は達成したとして、さらに中長期ビジョンを打ち出しています。

「20~35年」と「35年~今世紀半ば」の二段階に目標を細分化。35年までに、経済力、科学技術力を大幅に向上させ、「社会主義近代化の実現」を果たした後、今世紀半ばまでに、総合的な国力と国際的影響力でトップクラスの国家になると目標を定めました。

人民解放軍が昨年新たに創設した「火箭軍(ロケット軍)」
「トップクラス」を目指す習近平の野望は、軍事面でも明確に現れています。習氏は、軍事戦略についてこのように明言しました。

「2020年までに軍の機械化を基本的に実現し、情報化建設で重大な進展を得て、戦略能力を大幅にアップさせる。そして2035年までに、国防と軍隊の現代化を基本的に実現し、今世紀中ごろまでに人民の軍隊を世界一流の軍隊にする」「軍隊というものは、常に戦争を準備しておくものだ。すべての活動は、必ず戦闘力のレベルを堅持することに充て、戦争ができて戦争に勝てることに照準を定めねばならない」

世界一流の軍隊を有し、いつでも戦争に勝てる状態にしておくという発言は、自由主義に基づく軍事大国・アメリカへの宣戦布告とも言えるものです。

さらに習氏は、「人類運命共同体」という言葉を用い、「責任ある大国としての役割を発揮」すると述べていますが、党規約に現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の推進が盛り込まれていることを考えますと、発展途上国を支援するという名目で、中国社会主義圏に取り組むという方針でしょう。

一方習は、「中国の発展は、いかなる国の脅威にもならない。中国の発展がどこまで進もうが、永遠に覇権を唱えず、永遠に拡張を求めない」としていますが、南シナ海に軍事基地を造り、日本を含むアジア諸国の領海を脅かしている中国の行動を見れば、空虚なお題目にすぎないことが分かります。

習氏の演説が描くのは、ソ連に成り代わった中国が、再び自由主義諸国に冷戦を仕掛ける未来そのものです。

習氏が2026年まで3期続行し、独裁政権の強い指導力の下、着実に強国化を進めれば、2050年時点で中国が西洋諸国を凌ぐことは十分考えられます。その時には、現在強いリーダーシップをとっているドナルド・トランプ米大統領の任期も終了しています。

現在、日本では北朝鮮問題ばかりがクローズアップされますが、確かに北の脅威は大きなものではありますが、これから顕在化する中国による新たな冷戦のほうが、はるかに深刻な問題です。

中国の新冷戦は、冷戦でソ連が敗北し米国の勝利に終わったように、いずれ中国の敗北により終焉すると私は見ています。中国の夢の実現は、かなりの無理があります。かつてのソ連のように中国も軍拡で、経済がズタズタになり冷戦体制を維持することは困難になるでしょう。しかし、終焉するまでの間に及ぼす悪影響がどの程度の水準になるのか、計り知れないところがあります。

北朝鮮問題は、大きな枠組みからみれば、新冷戦への前哨戦になることでしょう。いずれ近いうちに、北朝鮮の体制は崩れます。それを念頭におき、その後の北朝鮮をどうするかという、話し合いがAPECなどで行われるでしょう。

これらの会談は、いわば北朝鮮版「ヤルタ会談」のようなものです。この会談にて、日米が、いかに中国の要求を押さえ込めるかが、新冷戦の趨勢をうかがう試金石になると思います。

アジアにおけるアメリカの影響力が低下する可能性を視野に入れて、日本は「自分の国を自分で守る国」に舵を切らなければならないです。そうして、自国のみのことを考えるだけではなく、世界の安全と平和に寄与すべきです。

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2017年10月26日木曜日

選挙戦術で失敗した希望・小池代表、左派マスコミも批判 知事の実績積めばまだ好機も―【私の論評】小池氏は次のチャンスを目指せ(゚д゚)!


パリで続投宣言をした小池百合子希望の党代表
 希望の党は衆院解散当時の勢いから失速した。その理由は何か。党代表の小池百合子都知事に政治家として次の一手はあるのか。

 小池氏が結党を表明したのは、安倍晋三首相が解散表明をした9月25日だ。それも安倍首相の会見の直前に行い、「全てをリセットする」と宣言してそれを上回る脚光を浴び、さすが、小池氏はプロの政治家だとうならせた。その際、「寛容な保守」という表現で、すべての勢力をのみ込むというしたたかな戦略だった。

 筆者は、各種の世論調査から、衆院選での獲得議席の予測をしているが、9月末時点で希望の党は150議席近くと予測できた。その勢いを維持していれば、どえらいことになると予想した人もいる。

 全ての勢力をのみ込むということを野合というのは政治評論家であり、「数こそ政治」という基本からすると、この戦略は正しい。実際、自民党も、政策としては、共産・社会主義を除き、保守からリベラルまでカバーしており、数を基本としているから強いわけだ。

 それなのに、何を勘違いしたのか、小池氏はリベラルを「排除」すると言い出した。

 この発言で、リベラルを目指すグループは、希望の党から排除されることになって、本来は丸のみされるはずだった民進党は、希望の党への移籍、無所属、立憲民主党に分裂した。

 小池氏の排除発言以降、排除された側の枝野幸男氏が結成した立憲民主党は、勢いが出てきて、その半面、希望の党は勢いを失った。これは、判官びいきのため、立憲民主党を応援したくなった人が増えていったことに加え、反安倍政権の受け皿になることを期待していた左派系マスコミが一斉に小池批判に転じたことも影響しているのだろう。

 ハッキリ言えば、枝野氏は筋を通したわけでなく、希望の党に入るつもりが排除されただけであり、本当に筋を通したいのであれば、もっと早く無所属での出馬を表明していたはずだ。

 なぜ、小池氏が早い段階で排除発言したのか不思議だ。せめて、立憲民主党が結党できないようなタイミングまで、選挙戦術としては発言すべきではなかった。

 排除発言以降、希望の党では悪循環が始まった。もともと政策というより、ムードや勢いといった空中戦を得意とする小池氏であったが、政策で「12のゼロ」や内部留保課税、ベーシックインカムなどを言い始めた。12のゼロは昨年の都知事選の劣化コピーであり、都知事としての実績がなかったと指摘されかねないものだった。

 内部留保課税は事実上、法人税増税であり、その効果も怪しいものだ。ベーシックインカムは学者の議論としては面白いが、事例もなく選挙戦では使いにくい。これらの政策は素人談義になりやすく、案の定、叩かれている。こうなってくると、弱り目にたたり目だ。

 今後の希望の党は分裂含みで、他党の草刈り場にもなりうるが、まずはそれを抑える必要がある。その上で、小池氏は都知事としての実績を重ねておけば、まだチャンスはあるのではないか。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】小池氏は次のチャンスを目指せ(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事で、高橋洋一氏は、小池氏は都知事としての実績を重ねておけば、まだチヤンスがあるのではないかと述べています。これについては、根拠があります。

それは、得票数からみても判断できます。2017年希望の党得票数は、「小選挙区1,144万票 比例得票数967万票」でした。


これを2014年衆院選民主党得票数「小選挙区1,191万票 比例得票数977万票」と比較するとほとんど変わりません。あれだけの、逆風がありながら、この数字です。これでは、小池百合子氏に責任転嫁し、辞任まで求める元民進党系議員たちの主張は全く筋が通りません。

希望の党の看板がなければ民進党系の議員のほとんどは落選していたことでしょう。 小池氏を批判できるのは、我々有権者であって、彼らではないはずです。マスコミはあたかも、「排除」という1つの発言で希望の党の票が伸びなかったと報道していますが、そういうことの以前に民進党などから集まった寄せ集めが多いのでこのような結果になったことを理解していません。


彼らは、民進党のままでは死滅すると考えて、小池氏を頼ったはずです。一度頼ったなら失敗しても支えるのが当たり前だと思います。当選したら手の平返しをするとは、とても二大政党制の一翼など担えないでしょう。

それにしても、もし希望の党を含めた野党が共闘していれば、多数派にはなれないにしても、自民党から40~60議席は奪える可能性がありました。もしそうなっていれば、安倍晋三首相は辞任を余儀なくされたかもしれません。ところが、このチャンスを小池氏は自ら不意にしてしまいました。

しかし、私は今回は、これはこれで良かったと思います。もし、希望の党が民進党の議員を全員受け入れていたとすれば、確かに大きな勢力にはなっかもしれませんが、今になってわかるように、これだけわがままで非常識な議員を大勢含む民進党議員を受け入れれば、それは希望の党ではなく最早第2民進党です。

執行部もできていなかった、希望の党は、民進党の執行部に頼ることになったことでしょう。そうなると、やはり寛容な保守政党というよりは、いわゆるリベラル政党の道を選ばざるを得なくなってしまったでしょう。

結果として、結局55年体制は維持されることになったでしょう。それに先程の述べたように、安倍総理は辞任に追い込まれたかもしれません。金融緩和による雇用の改善、北朝鮮問題が深刻になりつつある現在それだけは、避けるべきでした。

社会党の統一を見て、日本民主党 と 自由党 も、それまでのわだかまりを
捨て1955年11月15日、保守両党が合同し、自由民主党 が誕生した
ちなみに、55年体制とは、1955年(昭和30)秋に、左右両派社会党の統一によって再発足した日本社会党と、日本民主党と自由党の保守合同によって結成された自由民主党の2党を軸として成立した政党制をいいます。

1951年にサンフランシスコ講和条約と日米安全保障条約の締結への賛否をめぐって左右両派の対立が激化、分裂してから4年ぶりに統一した社会党と、戦後の保守勢力の離合集散に終止符を打って誕生した自民党によって、政治勢力が2極的に配置される形となり、この体制は、二大政党制の幕開けとして広く歓迎されました。

ただし、その後二大政党制になることなく、国会の勢力は、憲法改正に必要な3分の2議席を自民党が占めるのを社会党などがかろうじて阻止する事態が続きました。自民党と社会党は「1と2分の1」体制とも呼ばれました。この55年体制は、93年7月の総選挙で自民党が下野したことによって、38年間で崩壊したとされます。

ただし、その後自民党が再度与党となり、その後の野党は万年野党にすぎず、旧社会党のように単なる反対勢力となり、私自身は、55年体制は未だに続いていると認識しています。

希望の党が躍進していれば、この55年体制は本格的に終焉を迎えたはずだ主張する人もいますが、たとえ希望党が今回、旧民進党全員を受け入れて、選挙に臨んだとしても、結局は第2民進党ととなり、旧民進党と同じく万年野党の単なる反対勢力となり果て、55年体制が続き、安倍総理は辞任ということになるか、ならないまでも、かなり力が減衰され、虻蜂取らずの状況になったと思います。

そのため、希望の党が現時点では、失速したのは良かったと思います。

一方、枝野氏の立憲民主党が、権力を握ることになれば、日米関係には危機が訪れることなるでしょう。しかし、立憲民主党がすでに成立した安保法制撤回にこだわり、集団的自衛権を拒否している限り、自民党に太刀打ちできる政党にはなることはないでしょう。ましてや、55年体制を終わらせる、政権交代可能な野党になることなど到底不可能です。

枝野氏は10月23日夜の記者会見で「永田町の権力ゲーム、数合わせに巻き込まれてはいけない」と述べ、選挙期間中の演説でも「永田町のゲームに参加するつもりはない」などと発言していました。

しかし、この発言は、聞こえは良いですが完全に無意味です。現実的でなく自滅行為に過ぎません。数を増やす以外に、勝ち目はないのです。「永田町のパワーゲーム」に勝つことこそが、政治の世界でリーダーシップを握るということです。

そうして、小池氏には間違いなく今回の衆院選で間違いなくそのチャンスがありました。しかし、そのチャンスを活かしていたとして、今回政権交代するまでにはいかなくとも、自民党から40~60議席を奪うまでになったとしても、希望の党に、安保法制撤回にこだわり、集団的自衛権を拒否する勢力が残り、希望の党の中で大きな勢力を占め、これを懐柔することは、困難を極めたことでしょう。というより、数の論理で圧倒され、懐柔など不可能だったでしょう。

結論からいうと今回はあまりにも準備期間が短すぎたのです。執行部もないまま、選挙戦に臨まざるをえなかったことがそれを如実に物語っています。このような状況で国政に挑戦するのは無謀といわざるをえません。

希望の党の公約を発表する小池百合子氏
希望の党の公約をみていると、その場しのぎで作成したことがありありと分かる内容です。あれでは、たとえ政権を担ったり、そこまでいかなくても、キャスティングボードを握ることができるようになったとしても、いずれの党が与党になったにしても、旧民主党のように短期政権で終わり、希望の党はその後は万年野党の道を歩むことになり、結局55年体制を崩し、政権交代できるような党になることはなかったでしょう。

安倍総理は、第一次安倍内閣が崩壊した後、真摯に過去を反省して、まともな安全保障政策、外交政策、経済政策をじっくり考え、来るべき時期を目指しました。

小池氏は、今後まずは都知事としての成果を残すようにした上で、しっかりと準備をととえて、わかり易い言葉で有権者に話しかけるようにし、安倍総理のように不死鳥のように蘇り、また国政に果敢に挑戦していただきたいものです。

安倍総理のように真摯に考え、まともな安全保障政策、外交政策、経済政策ができるような体制を整えたのなら、今度は私は、小池氏を応援することもやぶさかではありません。

この日本に、自民党だけではなく、他にも政権を任せられ得る政党ができれば、これは日本にとって良いことです。小池氏に限らず、志ある政治家の多くが、それを目指して頑張って頂きたいものです。

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2017年10月25日水曜日

絶望的な立憲民主党の政策 経済でリベラルのお株奪われ「反安倍」しかない情けなさ―【私の論評】国会対策は「モリカケ」だけ!次の選挙では姿を消す(゚д゚)!



衆院選で公示前から大きく議席を伸ばした立憲民主党だが、今後、政権交代にも耐えうる提言型の新しい野党になれるのか。それとも旧態依然とした左派政党に過ぎないのだろうか。

 最近、左派系の新聞では立憲民主党と共産党を含めて「左派・リベラル」と称している。

 だが、「リベラル」は、もともと「自由主義」からきている言葉であり、右の保守、左の共産主義・社会主義の中間・中道の政治スタンスを指す。経済政策でみると、雇用重視、市場重視、社会福祉に力点を置いている。人権重視で非宗教でもある。

 ソ連の崩壊後、左の共産主義・社会主義は中国を残して世界中でほぼ消えかかっている。そこで、そうした勢力の逃げ場として「リベラル」が台頭してきた。これは日本も同じで、いまや世界的にも珍しい名称である「共産党」は、政権批判で何とか生き延びているが、「社会党」の名称は消えた。左派系新聞も居場所がなくなりつつあるなか、「左派・リベラル」という言葉で、なんとか「左」を残したいのだろう。

 立憲民主党は「リベラル」を標榜(ひょうぼう)しており、絶滅種である左の共産主義・社会主義を目指しているわけではないだろう。ただし、問題は立憲民主党の主張する政策が、世界基準の「リベラル」に値するかどうかだ。

 まず、外交・安全保障で集団的自衛権を否定するのでは絶望的だ。そもそも世界的には集団的自衛権は当たり前のことなので、左でも右でも主張する。これを否定すると、どこか別世界の人とみられてしまう。

内政では、人権擁護、身分差別反対、環境重視ではそれなりの特色を出せるだろう。しかし、経済政策において、社会福祉はまだいいとしても、雇用重視、市場重視になると心許ない。さらに憲法改正では対案が出せないのは情けない。

 日本では、安倍晋三政権が、経済政策や憲法改正で「リベラル」のお株を完全に奪っている。本コラムで繰り返して述べてきたが、金融緩和政策を使って雇用を伸ばすのは、世界的にはリベラルの政策である。安倍政権は、日本の政治では初めてそれを使って目覚ましい成果を出してしまった。その勢いで、市場重視、社会福祉でも矢継ぎ早に政策を出しており、立憲民主党(や民進党)は後れをとってしまった。

 アベノミクスを超える金融緩和を訴えるなどして対抗すればいいものを、「反アベノミクス」と言ってしまったので、立憲民主党は経済政策でリベラル色を出せなくなっている。

 憲法改正でも、今回の第9条に第3項を加えて自衛隊を合憲化するというのは、本来のリベラル、立憲主義の立場から出るべき意見だ。実際、枝野幸男代表や民進党の前原誠司代表はそうした主張をしたこともある。それも、安倍政権に先んじられてしまった。今では、「安倍政権での憲法改正に反対」と、ここでも「反安倍」しか言えない情けなさだ。

 経済政策論争ができないので、「モリカケ」に走らざるをえないのが、立憲民主党だろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】国会対策は「モリカケ」だけ!次の選挙では姿を消す(゚д゚)!

上記の高橋洋一の主張は概ね賛成です。今回、希望の党、無所属、立憲民主党と3つの形で、立候補した旧民進党議員のうち、希望の党から奈良一区から立候補した馬渕澄夫氏は今回落選しました。

ブログ冒頭の高橋洋一氏が「アベノミクスを超える金融緩和を訴えるなどして対抗すればいいものを」としているのですが、旧民主党の衆議院議員の中で、これができるのはおそらく馬淵澄夫議員だけだったと考えられます。

敗戦の弁を述べる希望の党の馬淵澄夫氏 =23日午前
他にも、金融政策を理解している衆議院議員もいるようではありますが、アベノミクスを超える金融緩和を訴えることができるのは、馬淵氏以外には存在しないでしょう。

実は、旧民進党には参議院にも馬渕氏に匹敵するような議員が存在していました。金子洋一氏です。しかし、彼も昨年の参院選で落選しています。

金子洋一氏
金子洋一氏は、今回の衆院選の直前に自身のブロクで「私が野党の党首ならこんな経済政策を掲げます」という記事を掲載していました。

この内容は、ここでは詳細は説明しませんが、かなりまともな内容であり、確かにこの政策を掲げれば、経済対策としては十分に与党に対抗できるものですし、実際このような政策が運用されれば、日本経済もかなり良くなるであろうと思える内容です。

このブログで、金子氏は、「マクロ経済政策に関心がある政党がありましたら、いくらでも政策作りのお手伝いをいたします。どうぞご連絡ください。公認をよこせなどとは絶対に申しません(笑)」と述べています。

馬淵氏と金子氏に共通するのは、マクロ経済の理解です。政府・日銀が行う経済対策は、マクロ経済的な政策です。政府・日銀の行う経済対策は、家計や企業の実施するような経済対策とは当然違います。これをしっかり、理解して政策提言にまでまとめられるのは、旧民進党の中ではこの二人しか存在しないです。

昨年から、今年にかけて旧民進党勢は、この二人の貴重な人材を活用しなかったばかりか、結局議員ですらなくしてしまっているわけですから、この二人のことを人材としても認識していなかったのでしょう。

民進党の議員のほとんどは、幹部を含めて本当にマクロ経済音痴です。枝野氏など金利をあげると経済が良くなるなどという奇妙奇天烈、摩訶不思議な理論を信奉しています。

2008年の朝まで生テレビで、高橋洋一氏が当時のデフレ対策に関連して「財政政策による景気刺激は1回限りで借金が残るだけであり金融政策を優先した方が良い」という趣旨の発言をしたところ、枝野氏は「財政政策に効果がないのは同意だが、金融緩和はバブルを生むだけだ。それより、銀行の預金金利を上げるべき」と発言しました。

高橋洋一氏も呆れて「今、テレビで流れちゃったけど、見た人はかなりびっくりしてると思う。預金金利を上げて景気回復するなんてことはありえない。こういう発言が出るようじゃ民主党はまだまだだ」と語っていました。

朝まで生テレビで「量的緩和」効果を理解せず、「利上げで景気回復」という珍説を披露する枝野氏
この枝野氏の奇妙奇天烈な理論の源流を正すと、仙谷由人氏のようです。そうして、千谷氏の経済ブレーンは、エコノミストの中前忠氏とコンサルタントの篠原令氏の2人でした。誰が、枝野氏に利上げが景気回復につながると教えたのか知りませんが、いずにせよ、教えた人はかなりのマクロ経済音痴です。

前原氏も枝野氏に負けず劣らず、マクロ経済音痴です。2013年1月13日の報道2001で「デフレ原因は人口減、円高原因は震災によるサプライチェーンの寸断」だと発言していました。

デフレ人口減説は、一時かなり流行りましたが、その後まともな識者が、それを完全否定したたため、最近では影を潜めました。震災直後の円高の要因は、震災により復興などで、円の需要が高まっているにもかかわらず、当時の日銀が金融緩和をしなかったためです。

枝野、前原氏に限らず、旧民進党の議員はほとんどがマクロ経済音痴で、まともな経済対策を提言することはできません。

となると、これから野党の再編がおこり、希望の党に合流して当選した議員が立憲民進党に合流したり、旧民進党の無所属で出馬し当選した議員が、立憲民主党に合流したりしても、誰もまともな経済政策を提言できませんから、立憲民主党がまともな経済対策を提言することは不可能ということです。

それでも、本来ならば、馬淵氏と金子氏を経済ブレーンとみて、その提言を聴くなり、参考にするなどということはできるはずですが、枝野氏はそれもしないでしょう。

それどころか、枝野氏は純化路線に走り、立憲民主党以外の旧民主党の議員を全く受け入れないか、受け入れるにしても自分の考えに近い人たちしか受け入れないと考えられます。

日本維新の会の遠藤敬国対委員長は25日、立憲民主党が同日に開催を呼びかけた野党国対委員長会談に招かれなかったとして「『排除の論理』だ。野党筆頭としてどうなのか」と述べ、立憲民主党の対応に強い不快感を示しています。希望の党も呼ばれていません。


希望の党の小池百合子代表(東京都知事)の「排除の論理」に反発して結成された立憲民主党は、衆院選でも「分断と排除の政治が行われ、立憲主義が壊されている」(枝野幸男代表)と訴えていました。

遠藤氏は「(小池氏と)同じことをしているのではないか。『自分たちと同じ考え方でなければだめだ』というのは、ちょっと違う」と語りました。

京都のお蕎麦屋さんのメニューから
いずれにしても、まともな経済対策も語れず、安全保障も外交も与党に及ばず、結局高橋洋一氏がブログ冒頭の記事で語ったように、「モリカケ」に走らざるを得なくなるでしょう。そればかりでは、飽きられるのでまたスキャンダルを追いかけることになります。しかし、そのような話と、何でも反対という姿勢を続ければ、立憲民主党は弱体化します。そうなると、立憲民主党も旧民進党のように崩壊するしかなくなります。

次の選挙の頃には、姿を消しているか、有名無実になるしかないです。

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2017年10月24日火曜日

北朝鮮危機「アメリカには安倍晋三が必要だ」―【私の論評】北朝鮮版「ヤルタ会談」のキーマンは安倍総理(゚д゚)!

北朝鮮危機「アメリカには安倍晋三が必要だ」

ジェフリー・ホーナング(米ランド研究所、政治学)

ジェフリー・ホーナング氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
<衆院解散前、束の間「希望の党」が躍進しそうに見えた刹那、アメリカにとっていかに安倍晋三が貴重か気づいた、と筆者は書く>

10月22日の日本の総選挙は、アメリカ人があまり意識したことのない真実をあぶり出した。アメリカとドナルド・トランプ米大統領が北朝鮮や中国に対抗するためには、日本の安倍晋三首相が必要だ、ということだ。

カリスマ性のある東京都知事・小池百合子が「打倒・安倍政権」をキャッチフレーズに「希望の党」を立ち上げた後、束の間とはいえ安倍の自由民主党が不利に思えた時期があった。日本が、過去数十年で最も有能な首相を失いそうに見えたのだ。さらに悪いことに、小池は総理の座を目指さないと明言し、万一安倍が敗れたら、誰が次期首相になるのかさえわからない状態だった。

重大な事実が明らかになったのはその時だ。アメリカは、北朝鮮の核・ミサイル問題や中国の拡張主義はもちろん、テロや自然災害まで、東アジアの安全保障上の脅威に対処する上で、安倍という強力なパートナーに頼ることにいつの間にか慣れ切っていたのだ。

これらの大きな脅威に、アメリカは一国で立ち向かうことはできない。勝利のためには、前進基地を作り同盟国からの支援を受けることが不可欠だ。日本はその両方をしている。日本には世界中のどの地域よりも多い5万人近い米兵が駐留しているのだ。

在日米軍には、米第七艦隊、その空母打撃群、海兵隊第3遠征軍、そして戦闘航空団を含む相当規模の空軍が含まれる。日本政府は、これだけの部隊を維持するための「在日米軍駐留経費」も年間約20億ドル負担している。

|過去にない緊密さ

安倍がアメリカの戦略目標の強い支持者で、常に日本の経済的・外交的な影響力を割いて協力してくれることも重要だ。日本の自衛隊と米軍との相互運用もうまくいっている。

日米同盟に反対する声はいずれの国にも少ないが、安倍はそのつながりを前例がないレベルまで強化した。新たな法律や政治の枠組みを作ることで、安全保障で日本がより積極的な役割を担えるようにした。

2012年に首相に就任して以降のわずか5年で国家安全保障戦略を作り、武器輸出3原則を緩和し、10年間減り続けていた防衛予算を増やした。海洋における国際法遵守を積極的に訴え、オーストラリア、インド、ベトナム、フィリピンなどと安全保障協力の関係を築いた。日米同盟の関係において、自衛隊の役割と機能も拡大した。

さらに、日本国憲法の解釈を変更して自衛隊が集団的自衛権を行使できるようにした。これによって日本は、地域覇権を狙う中国を牽制する位置づけになり、有事の際には重要な役割を果たすことができるようになった。また安倍は前任者たちと違い、沖縄県の米軍普天間飛行場の移設先を県外や国外にするのではなく、同じ沖縄県の名護市辺野古に新基地を建設することを強く支持してきた。

安倍の政権基盤が強力であることは、アメリカにとって重要だ。東アジアの安全保障上の脅威はなくならない。対抗するには、アメリカと共に積極的な役割を果たすことのできる指導力が必要だ。今現在、それは日本だけだ。

アメリカが日本やその他の国にとってどれほど重要かという話はよく聞くが、日本がアメリカにとってどれほど重要かという話はほとんど聞かない。東アジアの安全保障問題に関して言えば、アメリカの政策は日米同盟に始まり日米同盟に終わるということを肝に銘じるべきだろう。

【私の論評】北朝鮮版「ヤルタ会談」のキーマンは安倍総理(゚д゚)!

この記事、できれば選挙前に出していただきたかったものです。日本のマスコミはこのような米国の視点など流しません。

本来北朝鮮の危機が迫っているという状況での選挙であれば、このような視点は欠かすことができないはずですが、日本のほとんどのマスコミはこのような視点は完璧に無視して、単なる政党間の政治的かけひきばかり報道しました。

それも、「打倒・安倍政権」という立場からの報道が多く、今やフェイクと断定されたと言っても良い低次元の「もりかけ」問題を含む悪意に満ちたものが多かったです。

ジェフリー・ホーナング氏はランド研究所の 政治学者です。アジア太平洋地域における日本の安全保障と外交政策、東アジアの安全保障問題、海上安全保障、米国の外交・防衛政策を専門としています。

1991年の湾岸戦争と2003年のイラク戦争で自衛隊のイラク派遣に関する日本の意思決定に関する論文により、ジョージ・ワシントン大学で政治学の学位を取得しました。 2005年から2006年にかけては、東京大学にフルブライトフェロー留学しとして研究を行いました。

さて、このブログ冒頭の記事を理解するためには、若干の背景を理解していることが必要だと思われます。それについては、以前このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
麻生副総理の「武装難民」発言を裏付ける防衛省極秘文書の中味―【私の論評】衆院選後は、戦後最大の日本の危機に立ち向かえ(゚д゚)!
麻生副総理
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します
半島有事の際の日本のリーダーは誰でしょうか。それは、小池百合子氏でないことだけは確かです。やはり、安倍晋三氏をおいて他にはいないでしょう。 
安倍首相のリーダーシップに関しては、日本ではマスコが全く報道しないため、ほとんど知られていません。 これに関する動画を以下に掲載します。

この動画をみると、安倍総理はインドでは8キロものパレードで大歓迎うけたことと、トランプ大統領には外交でかなりあてにされていることがわかります。 
なぜそのようことになったかといえば、安倍総理の外交努力によって安倍総理は、ASEANやインドと関係が深いため、これらの諸国とトランプ氏と仲介役をしたところ、米国とこれらの国々の関係が飛躍的に良くなったという経緯があるからです。 
このような実績持つ人は今の日本では、安倍総理をおいて他にありません。
これを考えると、半島有事の際の日本のリーダーは安倍総理が最適であると考えます。

ASEAN諸国や、インドも、反米勢力が多いです。フィリピンなどはその典型例です。フィリピンのドゥテルテ大統領は特に、イスラム教徒のモロを何百人も殺した大虐殺事件について激怒しています。1906年にホロ島に上陸した米軍によって女や子供も含めて虐殺したという事件が発生しています。

他の国々のいずれも反米勢力は無視できないほど多いです。そのため、この地域で米国がイニシアチブを発揮しようとすると必ず反発されます。

日本のマスコミはほとんど報道しませんが、安倍総理は就任以来これらの国々を歴訪し、かなり良い関係を構築しました。そうして、安倍総理はこれらの諸国とトランプ氏と仲介役をしたところ、米国とこれらの国々の関係が飛躍的に良くなりました。

そのため、米国では安倍総理抜きでは、米国はこれらの地域でイニシアチブをとるどころか、良い関係を構築することもできないといわれているのです。

このようなことから、安倍総理はトランプ氏から絶大な信頼を得ているのです。何も、二人で仲良くゴルフをしたから絶大な信頼を得たというわけではないのです。

さらに、トランプ大統領は大統領就任前は、当然外交の経験はありません。ビジネスの世界と、外交の世界とは根本的に異なることも多いです。それに比較すると、安倍総理は外交の経験も豊富です。だからこそ、トランプ大統領は安倍総理に全幅の信頼をおいているのです。

当然のことながら、トランプ氏は北朝鮮対応においても、安倍総理をあてにしていることでしょう。

北朝鮮問題に関しては、今年の末から、来年の前半あたりには必ず何らかの動きがあります。最悪の場合は、米国による爆撃などの武力行使があることでしょう。この場合、中国の参戦もあるかもしれません。あるいは、制裁に北朝鮮が折れて何らかの進展があるかもしれません。

いずれになるにしても、間違いなく、来年前半あたりには必ず動きがあります。

安倍総理とトランプ大統領
その前に、11月に日米首脳会談、米中首脳会談があります。また、APECでの各国首脳会談には、ロシアも出てくるでしょう。それらの国際会議では、北朝鮮問題が話し合われるのは間違いありません。これらは、北朝鮮版「ヤルタ会談」ともいうべきものです。

「ヤルタ会談」とは無論のこと、第二次世界大戦終了直前の当時のアメリカ合衆国イギリスソビエト連邦による首脳会談です。ソ連対日参戦国際連合の設立について協議されたほか、ドイツおよび中部・東部ヨーロッパならびに極東における米ソの利害を調整することで、大戦後の国際レジームを規定したものです。これが、後に東西冷戦の端緒ともなりました。

こうした北朝鮮版ヤルタ会談ともいえる、会議において、安倍首相は大きな役割を果たす可能性が高まってきました。これらの会議では、北朝鮮が最終的に戦争に突入した場合と、制裁に屈した場合の両方について、協議が行われることでしょう。

いずれにしても、この重要な会議において、再び極東のレジームが定められることは間違いありません。そうして、この新たなレジームを定めるにあたり、経験の浅く、本土が北朝鮮からかなり離れている米国のトランプ大統領だけが、北朝鮮に国境を接している中国・ロシア首脳と会談をすすめるということになれば、米国にとっては不利な状況になります。

しかし、日米同盟の同盟国でもある、半島情勢に大きく左右される日本がこの会議に参加し大きな役割を果たせば、米国も中国やロシアと対等に話ができます。

そうして、この会議で最も重要なのは、「ヤルタ会談」のように、大戦後の国際レジームを規定が齟齬をきたして、後の東西冷戦を招いたようなことにならないようにすることです。

北朝鮮が戦争するか、しないで制裁に屈服した場合のいずれの場合でも、その後に再度北朝鮮が核武装をしたり、米中露による新たな冷戦が起きないようしなければならないのです。

そのためには、やはり日本がリーダーシップを発揮しなければ、とんでもないことになってしまいます。

まさしく、北朝鮮版「ヤルタ会談」においては、安倍総理はキーマンなのです。そうして、ヤルタ会談では日本を含む極東レジームも定められましたが、北朝鮮版「ヤルタ会談」では新しい極東レジームが定められることになります。

とすれば、極東レジームの日本の戦後レジームも崩壊することになります。これは、まさに安倍総理が取り組んできたことです。

もし、今回の選挙で、最悪自民党が敗北して、安倍総理が辞任した場合、一体誰がこの大事な会議でイニシアチブを発揮することができるでしょうか。

希望の党が勝ったとすれば、誰が総理大臣になるかもわからない状況でした。希望の党ははやい段階で、勢力を失ったのですが、それにしても、小池百合子氏が、民進党の全員を無条件で受け入れていれば、大勝利していた可能性も否定できません。

そうなると、その時の力の均衡で、左派系の親中・親露的な人間が日本の総理大臣となっていたとしたら、北朝鮮版「ヤルタ会談」では、日米はかなり不利な状況になったことが予想できます。そうなると、新たな戦争の種を生むことが必定になったかもしれません。

そうなれば、日本はとんでもない窮地に追い込まれることになります。しかし、今回与党が大勝し、てその危機は去りました。

パリでケネディ前駐日大使との対談でコメントする小池百合子氏
私を含めた一部の保守層の人々が、小池百合子を氏を徹底的に糾弾して、希望の党が失速したことをもって「55年体制」が維持されたと批判する倉山満氏のような人もいます。それはそれで理にかなってはいると思いますが、もし上記で述べたような最悪の事態になったとすれば、「55年体制」より酷い状況に見舞われました。

私を含めた保守層の人々が、小池氏を徹底的に糾弾したのは、上記のような理由からであるということを理解していただきたいです。

結局日本の有権者は正しい選択をしたと思います。小池百合子氏や、枝野氏などもとより、日本のマスコミのほとんどはこのようなことは全く考えも及んでいなかったでしょう。だからこそ、これらの勢力は結局「平和ボケ」といわざるをえないのです。

小池百合子氏は保守中の保守という人もいるかもしれませんが、私はそうではないと思います。そもそも、保守本流の人間ならば、北朝鮮情勢が緊迫している中であのような愚挙をするはずがありません。

【私の論評】

大勝をおさめた安倍政権が「まずやるべき」経済政策はコレだ―【私の論評】戦後最低議席数の野党第一党立憲民主党誕生(゚д゚)!


2017年10月23日月曜日

大勝をおさめた安倍政権が「まずやるべき」経済政策はコレだ―【私の論評】戦後最低議席数の野党第一党立憲民主党誕生(゚д゚)!

大勝をおさめた安倍政権が「まずやるべき」経済政策はコレだ
選挙後の課題は積みだから 

高橋洋一

    リベラルは弱体化したのか

 22日投開票の衆院選。台風の直撃を受けて投票率は散々であったが、結果は予想通り、与党の勝利であった。前回筆者が示した予想と比べると、希望の党がさらに失速して、その代わりに立憲民主党が躍進したが、与党勝利には変わりがなかった。

(投開票前に新聞各社が大量の人員と多額の予算をつぎ込んで選挙予測をしているが、筆者は公開資料を加工するだけでほとんど人員もコストをかけていないにもかかわらず、新聞各紙の予測精度と遜色がなかった。)

 さて、選挙を振り返ろう。希望の党の失速の原因は、先週の本コラムで書いたように、9月末に小池代表の口からでた「排除」発言である。

 希望の党としては、風を起こすことができない残念な結果であったが、憲法の改正に曖昧な態度であった民進党が分裂して、改憲に前向きと後ろ向きな党にしっかり分かれたのは、国民にとって今後の議論を分かりやすくするだろう。もちろん、改憲は今後の国会で行われる議論次第であるし、最終的に改正するかどうかは国民投票によるのだが。

 今回の選挙では、「リベラル」という言葉がマスコミを中心によく使われたのも象徴的だ。小池氏も結党時の会見で「リベラルを排除する」と言っていた。

 『広辞苑』によると、「リベラル」とは、「個人の自由、個性を重んずるさま。自由主義的」とのことであるが、この定義なら、日本のほとんどの政党はまず否定しないだろう。

 ただ、政治で使うときには、右の「保守主義」と左の「社会・共産主義」の中間、中道を指す言葉である。英国では自由党がこれにあたり、市場経済重視、身分差別反対、非宗教的などを基調としている。アメリカなら民主党が代表例で、社会福祉、人権、宗教平等などの推進・充実を特徴としている。

 左派系政党の掲げる重要な政策として、雇用重視がある。これまで何度も述べてきたが、雇用を改善するための標準的な政策は、金融政策である。が、これを主張する左派政党はすくない。一方、リベラルは左と右の中道なので、「金融政策で雇用を作る」という政策も主張する。

 アメリカでは右系の共和党から、FRBの廃止、または金本位制の復活など、現在の金融政策を否定するドラスティックな政策が出てくることもある。もちろん、今の時代では金本位制が採用されることはないが、大統領予備選では共和党候補の誰かから必ず提案される定番のアイデアだ。

  オズの魔法使いと金融政策と

 ちょっと脱線するが、現実の大統領選挙で、金融政策を巡って、金融緊縮気味になる「金本位制」で行うか、金融緩和気味になる「金銀複本位制」で行うかが争われた歴史もある。

 時は1896年、当時の米国はデフレの真っ最中で、東部の産業資本からの借金で未開の地を開拓していた西部の農民は、デフレによる債務の実質的増加に苦しんでいた。そのため大統領選の大きな争点としてデフレ対策が浮上し、民主党候補のブライアンは金本位制から金銀複本位制への移行による通貨の増大を主張していた。

 「人々を金の十字架にはりつけてはならない」というブライアンの演説は、アメリカ政治史上でも有名である。一方、共和党候補マッキンリーは、あくまでも金本位制にとどまることを主張した。保守の共和党より、リベラルの民主党の方が金融緩和政策を好んだのだ。

 実は、この政治論争がベースになって、かの有名な『オズの魔法使い』が書かれたことをご存じだろうか。オズ=OZは金オンスの略号、主人公ドロシーは伝統的なアメリカ人の価値観を表しており、脳のない案山子は農民、心のないブリキ人形は産業資本、そして勇気のないライオンはブライアン候補のメタファーだとされる。黄色い煉瓦道は金本位制だ。共和党候補のマッキンリーは西の悪い魔女として登場している。

 帰り道を探すドロシーは、黄色い煉瓦道を単純に辿るのではダメだと知る。そして、魔法使いオズが役に立たず、その代わり自分の「銀の靴」に魔力があることに気づく。要するに作者のボームは、共和党が主張する金本位制よりも、民主党の金銀本位制を支持していたという解釈だ。

 ちなみに、実際の大統領選では共和党候補が勝利。金本位制は維持されたものの、1898年にアラスカで金鉱が発見され、さらに南アフリカからも金が流入した結果、デフレは解消された。

  自民党は一番リベラル…?

 「リベラル」に話を戻すと、日本のマスコミでは、「左派・リベラル」と一緒に書くことがしばしばだ。はっきりいえば世界を見渡してみると、左の社会・共産主義は、お隣の中国・北朝鮮以外は、ソ連崩壊以降はあまり見られない絶滅種である。

 ここで、左は「絶滅危惧種化」を避けるために、「リベラル」にならざるを得なかったのだ。もっとも、日本のマスコミの中にも、もともと左系志向で、表向きは転向を余儀なくされたが、実質的には左を捨てきれずに偽装している者も少なくない。そのような気持ちが、「左派・リベラル」という標記に現れているのだろう。世界ではほぼ、左派は消え去っているにもかかわらずだ。

 そこで、本稿では、「リベラルか保守か」という対立軸と、「既得権か非既得権か」というもう一つの対立軸によって、自民、立憲民主、希望の政治的スタンスを見てみよう。


 この図を見て、「自民はリベラルではないだろう」という人もいるかもしれない。そうした人は、日本的な「リベラル」の特殊性が頭の中に張り付いているのだろう。

 日本的「リベラル」とは、つまるところリベラル=護憲、というイメージのことだ。本来であれば、憲法改正は左か右かに無関係である。

 たとえば中国は、共産党の下に憲法もあるが、5年ごとに開催される中国共産党全国代表大会に対応して、ほぼ5~6年ごとに改正されている。つまり、左派=護憲は中国でも成立していない。日本に特有のものだ。

 憲法改正自体、ほとんどの国で改正されており、筆者の知る限り、戦後一回も改正されていない日本だけが特殊であるのだ。これは、日本国憲法が世界で一番改正しにくいように作られているからだ(2015年5月4日「憲法改正へ、自民党が国民の支持を得るためのベスト戦略とは何か?」 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43221)。

では、自民党がリベラルかどうか。

  立憲民主党、これから大変だよ

 「リベラル」という言葉を、護憲ではなく、欧米のリベラル系政党が標準的に掲げる、「金融政策による雇用重視」「社会福祉」「市場経済重視」「身分差別反対」「非宗教的」等の政策基準でみてみると、いまの安倍政権は(欧米基準でみれば)かなり「リベラル」な政策を採っている。ひょっとして、今日本で一番「リベラル」なのは、安倍首相かもしれない。

 立憲民主の枝野代表は、かつて筆者とテレ朝の「朝生」で議論したことがあるが、金利引き上げによって経済成長を目指すんだという「トンでも政策」を主張して、頑として譲らなかったのを覚えている。

 金利引き上げは、雇用を最も作れない政策であることは明らかで、それを主張することは、(雇用重視」という点では)とても欧米基準では「リベラル」といえない。

 立憲民主は、希望の党の失速もあって躍進したが、やはり雇用=金融政策であることを理解しないと、雇用の実績を作れないので、安倍政権にはかなわないだろう。なにより、リベラルを名乗れないだろう。

 金融政策は雇用を作るとともに、株価を押し上げる。雇用と株価の二つをとっても安倍政権の実績はいいので、立憲民主がこれを凌駕するには、よほどの努力が必要だろう。



さて衆院選の結果を受けて、安倍政権は外交、内政、経済でどのような課題に直面するだろうか。

  北朝鮮との対話の可能性も…?

   今回の総選挙は、北朝鮮対応をどうするか、といういわば「有事解散」であった。これは安全保障を問う解散だったと言い換えてもいい。先日ある情報番組に出演して、外国人コメンテーターから、日本では「戦争」について語ることがタブー化されている、という発言を聞いた。まさにそのとおりだ。

   筆者は昔からそのことを痛感していたので、米プリンストン大に留学する機会をもらった時、平和論・国際関係論を勉強した。これは、過去に本コラムでも紹介したが、戦争の発生条件を冷静に、数量的に分析して、どのようにしたら戦争になる確率を減少させるかを研究するものだ。

    日本の左派論者は、「集団的自衛権をもつと、日本は戦争をする国になる」という主張をするが、実は過去の戦争データを分析すれば、集団的自衛権を認めることは、戦争になる確率を減少させる方策であるのだ。
    こうした視点に立てば、同盟関係で圧力をかけるのは、戦争確率を減少させる効果的な手段だ(圧力は対話を引き出すためのものであることを忘れてはいけない)。

    小泉政権の時に、小泉首相が北朝鮮訪問し、拉致問題を北朝鮮が認めて謝罪した。これがうまく行えたのは、ブッシュ政権が北朝鮮に圧力をかけていたなかで、北朝鮮がその圧力を軽減するために、日本の拉致問題を持ち出したからだ。

   今の北朝鮮問題にあてはめれば、11月に日米首脳会談、米中首脳会談がある。また、APECでの各国首脳会談には、ロシアも出てくるだろう。それらの国際会議では、北朝鮮問題が話し合われる。これらは、北朝鮮版「ヤルタ会談」ともいうべきものだが、そうした国際的な圧力が高まる裏で、日本と北朝鮮との和解交渉が行われる可能性がないわけではない。

    ところで最近、北朝鮮がおとなしい。先日まで中国で共産党全国代表大会があったため、北朝鮮も自重していたのだろうが。ここに来て、ようやく北朝鮮が自国のおかれた立場を理解してきたのかもしれない。

    これまでの中国に対する度重なる非礼を許してもらい、挑発行動をとらずに、制裁に耐える道を選んだのかしれない。そうであれば、年内ともいわれていた国連軍あるいは多国籍軍による対北朝鮮の軍事オプションも遠のく可能性はある。

    いずれにしても、トランプ米大統領、習中国国家主席、プーチン露大統領など互角に渡り合えるために、どのような準備を日本のリーダーがすべきか。まさに日本の国家としての命運がかかっている。

  こうした外交・安全保障に気を払いながら、内政を同時並行的にやることが求められる。


     経済としては、デフレを完全に脱却する必要がある。そして、早く完全雇用の状態を作らなければならない。本コラムで書いたように、インフレ目標2%、失業率2%台半ばを達成するためには、有効需要であと25兆円ほど必要である。そのために、来年の通常国会の冒頭での大型補正が必要である。

    そのときには、ひょっとして朝鮮半島が有事になっている可能性もある。そうなれば経済に大きなショックを与えることが予想されるので、そうした事態を見越して、年初の大型補正の準備は直ちに取りかかるべきだろう。

    ところで、安倍首相が「リーマンショック級のことが起これば、消費増税はしない」と発言し、各方面で話題になっているが、安全保障の環境や経済状況を考えないで経済政策があるはずなく、常識的な意見であるということを、最後に付け加えておきたい。

【私の論評】戦後最低議席数の野党第一党立憲民主党誕生(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事て、高橋洋一氏は、日本の“リベラル”は、世界標準の“リベラリズム”とは別モノであるとしています。

4年ほど前、特定秘密保護法が話題だった頃に「香山リカ」が「私たちリベラル派は嫌われている」と発言して話題になったことがありました。

香山リカは、リベラル派の人物が反対を唱えるだけで「あいつらが反対してるならいい法律なんだろう」と判断されるレベルでリベラルが嫌われている、という告発をしていたのです。その後「香山リカ」を名乗る人物はどうやらそのことを「リベラルじゃダメですか?」本にしていました。

香山リカ
これだけ嫌われてるリベラルとは一体何なのでしょうか。

自由と平等を掲げるのは近代国家としては普通のことであり、我が国も自由主義国家の一つです。厳密には議論があるでしょうが、日本の憲法は自由と平等、そして自由主義の根幹でもある個人の国家や宗教からの自由、つまりは基本的人権を掲げている点で自由主義国家です。

社会自由主義とも言われるいわゆる中道左派は、近代国家の目指すところとしては実にありきたりなものです。

もちろんこの中道左派には反対する人たちも多いのですが、自由主義国家が現代においてある程度利害調整をしてまともな経済政策をとっていくと、結局は中道左派路線になってしまうものではないでしょうか。どう考えてもリベラルではない日本の自民党も、結局のところブログ冒頭の高橋洋一氏の記事でも指摘されているように、中道左派的経済政策を実行しています。

では日本における「リベラル」とは一体何なのでしょうか。

おそらく現代日本において「リベラル派」とされてる人たちのことは本当は、「新左翼」「ニューレフト」と呼ぶべきなのです。従来の意味での新左翼は学生運動や成田闘争といったものに代表されるように、暴力的革命運動をする人々でした。

「言葉の暴力」という概念を持ち込むと、現代日本において「リベラル派」と呼ばれる人たちを新左翼と呼ぶのに値することに気づきます。

彼らのネットの活動を見ていると「あべしね」というワードがちらほら出てきます。今の総理大臣安倍晋三氏に対して「死ね」という言葉を投げつけているのです。それに衆院選では、「安倍政治を許さない」「お前が国難」というプカードを掲げていました。これは、言葉の暴言です。


この他、デモ活動における暴力的な言語表現などなどを見るに、「火炎瓶やゲバ棒を言葉の暴力に持ち替えた新左翼」と呼んで差し支えないのではないでしょうか。

この新左翼らは、従来は単なる暴力を、現在では言葉の暴力で何ら生産的な活動をしていないようにみえます。

しかし、左翼の源流をたどれば、それが事実がどうかは別にして、本来の「左翼」は搾取され虐げられた民衆のためにある勢力であることを標榜していました。

緊縮政策に苦しめられてきた民衆が望んでいるのは、政府が民衆のために潤沢におカネを使い、まともに雇用をつくりだすことです。その資金は、おカネのあるところから取ればいいし、それでも足りなければ無からつくれば良いのです。それが今、左翼の世界標準として熱狂的に支持されている政策です。

そう考えれば、立憲民主党などの、野党側が掲げるべき政策は明らかです。日銀がお金をどんどん出して、それを政府が民衆のために使うことです。

それをまさに、安倍政権が実行しています。いわゆる「アベノミクス」の「第一の矢」と「第二の矢」です。しかし、これらは「そんなことしたらハイパーインフレになる」「財政破綻する」「庶民の生活はよくならない」などと言われた、日本の左派・リベラル派の間では印象が悪い政策です。

しかし、世界の大物左派・リベラル派論客らが、「アベノミクス」を高く評価する発言をしていました。アメリカのリベラル派ノーベル賞経済学者のポール・クルーグマン氏やジョセフ・スティグリッツ氏、インド出身のノーベル賞経済学者アマルティア・セン氏、フランスの人口学者エマニュエル・トッド氏。『21世紀の資本』(みすず書房、2014年)がベストセラーになったトマ・ピケティ氏も、「安倍政権と日銀が物価上昇を起こそうという姿勢は正しい」と言っています。

ノーベル賞経済学者のポール・クルーグマン氏(左)とジョセフ・スティグリッツ氏(右)
ただし、これらの論客の誰も、「第三の矢」の規制緩和路線や、消費税増税を評価しているわけではありません。「第二の矢」の財政政策も評価していません。これらの論客が支持しているのは、金融緩和政策と、金融政策と政府支出の組み合わせという枠組みについて評価しています。

アベノミクスは、それなりの評価を受けていますが、まだまだ改善の余地があります。そこに、リベラル派が付け入る隙は十分にあります。

しかし、そもそも金融政策などを評価しない、現状の日本の「リベラル」はリベラルなどとはとても呼べる代物ではないのです。

経済に関する考え方を変え、安全保障や憲法についても、ただ反対するだけではなく、代案を出すべきです。そうでなければ、日本のリベラル≒新左翼は、これからどんどん衰退するばかりです。

今回の衆院選で、立憲民主党は躍進して野党第一党とマスコミは報道していますが、これは戦後最低議席数の野党第一党誕生という事実が見逃されているようです。

当選確実を示す印がない候補者ボードの前で頭を下げる野田佳彦首相=2012年12月
16日午後11時20分 この衆院選挙では民主党獲得議席は57、自公は325議席だった
議席数54は、2012年の民主党大惨敗時総選挙の議席数57を下回りました。今後、希望の党や、無所属で立候補して当選した人たちの立憲民主党への合流も考えられますが、それにしても、この規模では大きな勢力にはなり得ません。

以下に過去の衆院選での議席数と今回の結果を掲載します。







今回の衆院選の結果
これは、本当に象徴的な出来事でした。「かけもり問題」のフェイクニュースの嵐の中という、あれだけの逆風の中で、自公が圧勝です。日本のいわゆるリベラルそのものも、衰退一途をたどっているのでしょう。この傾向はますます、加速されることでしょう。民進党崩壊の次は、立憲民主党崩壊です。

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2017年10月22日日曜日

【北朝鮮情勢】「韓国から個人資産の移動勧める」 非公式警告したトランプ政権高官は「申し分のない立場の人物」―【私の論評】北朝鮮情勢はますます緊迫!速やかに対処せよ(゚д゚)!


ソウル空港上空を飛ぶ米軍のB-1爆撃機と護衛のF-15戦闘機
 東アジアを専門とする有力ニュースレター「ネルソン・レポート」は21日、複数のトランプ政権高官が非公式の見解として、核・弾道ミサイル開発を続ける北朝鮮に対する米軍の先制攻撃などの軍事作戦が実行される可能性を真剣に受け止めるべきだと警告したと伝えた。高官らはその上で、「韓国から個人資産を移動させることを勧める」と指摘したという。

 米政府系放送VOAのワシントン支局長がツイッターでレポートの内容を転載したところでは、同様の勧告は北朝鮮国内で活動する複数の非政府組織(NGO)に対しても非公式に伝えられた。高官らは、朝鮮半島有事の際は北朝鮮で外国人が人質として拘束される恐れがあるとしている。

 レポートは、これらの高官が「申し分のない立場」にある人物だと指摘しつつ、一連の勧告は「あくまで非公式だ」と強調。高官らはトランプ大統領が北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)の獲得を阻止するため軍事行動に踏み切る覚悟を決めたわけではないと語ったとしている。

 ただ、高官らは、日中韓政府に対し、米政権が単に仮定の有事に備えているのではなく、軍事作戦に向けた一連の準備行動を真剣にとらえるべきだと訴えたという。

【私の論評】状況はますます緊迫!速やかに対処せよ(゚д゚)!

上の記事でもわかるように、北朝鮮情勢はますます緊迫化しています。70年あまりの間、一部拉致問題などがありながらも、基本的には平和を享受してきた日本人に、未曽有の危機が迫っています。今回の衆院選での政府与党の大勝利は、有権者がこの危機を理解し、与党にこの危機への対処を付託したものと言って良いでしょう。

複数の政府筋はすでに、「年明け早々にも米軍が北朝鮮に軍事行動を起こす可能性がある」と明かしています。

安倍晋三首相が衆院解散を決断したのは、北朝鮮有事を想定したからでした。機密情報に触れる立場だけに、あいまいな表現に終始したあげく、消費税問題などを持ち出したために一部混乱を招きましたが、「国難突破解散」と名付けたことからもその真意は読み取れます。
もともと首相は来年12月の衆院任期満了前に、衆院選と憲法改正の国民投票のダブル選挙を行う腹づもりだったようです。野党の執拗な「もりかけ」での追求やマスコミのフェイクニュースにより、支持率は一時さがり、当初は今回解散すれば自民、公明両党で3分の2超の議席を失う公算が大きいと予想されていました。

しかし、悲願である憲法改正を半ば諦めてまで解散に踏み切ったのは、北朝鮮情勢が「小康状態」にある今秋しか政治空白を作るチャンスはないと考えたからです。

米軍の軍事行動は予断を許さない状況にあります。米側は北朝鮮に反撃の隙を与えず、核・ミサイルを無力化できるという自信を示してはいますが、撃ち損じたミサイルが日本に飛んでくる可能性はゼロではありません。

総攻撃が短期間で終わっても、そこで事態が収拾するわけではありません。日本海側に大量の難民が小舟で押し寄せる可能性もあります。日本国内にも多数存在するとされる、北朝鮮の工作員によるテロの危険もあります。一方、北朝鮮体制の崩壊がおきれば、それに乗じて拉致被害者は救出できる可能性もあります。

北朝鮮が崩壊すれば、占領統治や復興支援はどうなのか。これら様々な問題に、日本政府は長期にわたり、あらゆる対応を迫られることになります。

野党やメディアは「首相は北朝鮮危機を煽(あお)っている」と批判していましたが、これは全くの世迷い言としか言いようがありません。国際情勢を冷静に分析すれば、憂うべき現状は分かるはずだ。彼らは、それを分かった上で国民の目を背けました。

そんな中、希望の党を率いる小池百合子東京都知事が民進党の合流に際し、安全保障関連法の「踏み絵」を迫ったのは今から考えると大英断でした。

小池知事としては、「反安倍」「反安保法」で野党共闘を呼びかけた方が選挙戦を有利に運べたに違いないです。あえてそうしなかったのは、今から振り返ると、北朝鮮有事を前に日米同盟が揺るげば、民主党の鳩山由紀夫政権や菅直人政権以上の混乱を招くと考えたからでしょう。

22日、パリのホテルで記者会見する小池東京都知事
今回の衆院選の本当の争点は、消費増税でも「もり・かけ」問題でもありませんでした。北朝鮮有事に備えて何ができるか。何をすべきか。与野党問わず候補者たちは、国民とひざ詰めで真剣に語り合うべきだったのです。

しかし、野党もマスコミもそうではありませんでした。それは、野党一党が立憲民主党になったことでもわかります。

今衆院選後の国会論戦はいまのままでは、従来と同じく、そもそも何が問題であるかもわからないような「もりかけ」のようなスキャンダル追求や国難を防ぐための真摯な議論をいたずらさけ、時間を浪費する場ともなりかねません。特に、立憲民主党はこのような立場を崩すことはないでしょう。

民進党の幼稚な国会運営で、北朝鮮対応の議論が十分になされていない。これが国会?馬鹿か?
しかし、昨日も掲載したように、自民と希望の党の保守派・良識派、維新の党議員を加えると、自公よりも多くなることが予想されます。これらが協調すれば、北朝鮮対応に関して現実的・具体的議論ができる可能性があります。

今後の国会では、ぜひともそのような関係を構築して、年末から来年にかけて日本を襲う戦後最大の国難に備えていただきたいものです。

企業や個人単位でも、できることは今からやっておくべきです。不要不急の訪韓はしないこと、社員・家族を引きあげさせること、資産を日本などにひきあげること、その他諸々できることはしておくべきです。

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