2020年8月10日月曜日

【国家の流儀】中国の“人権侵害”に加担していいのか? 政府は日本企業に注意喚起を促すべき―【私の論評】中共幹部が、米国の「関与」に甘い期待を抱いているとすれば、それは完璧な間違い(゚д゚)!

【国家の流儀】中国の“人権侵害”に加担していいのか? 政府は日本企業に注意喚起を促すべき

習主席率いる中国人民解放軍は、新疆ウイグル自治区でも軍事訓練を続けている

 国際社会では、企業の社会的責任(CSR)が叫ばれるようになって久しい。企業は自らの社会的影響力を踏まえ、法令順守、消費者保護、環境の重視、人権擁護などに取り組むべきだ-という考え方だ。

 このCSRと中国の人権問題を結び付けているのが、ドナルド・トランプ米政権だ。

 トランプ政権は5月下旬、中国に対する総合戦略をまとめた報告書「中国に対する米国の戦略的アプローチ」において、中国の人権侵害についてこう厳しく批判している。

 ◇2017年以降、中国当局は100万人以上のウイグル人やその他の少数民族・宗教団体のメンバーを再教育収容所に収容した。

 ◇キリスト教徒、チベット仏教徒、イスラム教徒、法輪功のメンバーに対する宗教的迫害は、礼拝所の破壊や冒涜(ぼうとく)、平和的な信者の逮捕、強制的な信仰の放棄などを含めて広範囲に渡って行われている。

 トランプ政権のすごいところは、こうした批判が単なる口先だけで終わらないことだ。報告書はさらに続ける。

 ◇19年9月の国連総会において、米国とパートナー国は共同声明を発表し、中国において抑圧と迫害に直面しているウイグルを始めとするトルコ系イスラム教徒、チベット仏教徒、キリスト教徒、法輪功信奉者の権利を尊重するよう中国政府に呼びかけた。

 こうやって中国の人権侵害について国際社会に訴えるとともに、その人権侵害を阻止するために民間企業がなすべきことがあるとして、次のように指摘している。

 ◇米国は、新疆(ウイグル)の人権侵害に加担した中国政府機関や監視技術企業への米国の輸出を停止した。また、新疆で強制労働を用いて生産された中国製品の輸入を阻止する行動を開始している。
◇米国やその他の外国企業は、中国の軍民融合戦略のために、知らず知らずのうちに中国の軍事研究開発に自らの技術を提供しており、国内の反対勢力を弾圧し、米国の同盟国などを脅迫する中国の強圧的な能力を強化している。

 日本を含む自由主義陣営の民間企業の皆さん、中国による人権弾圧に加担したくないのであるならば、人権弾圧に加担している中国企業への輸出の停止、製品輸入の中止、技術提携の中止に踏み切るべきではないか、とトランプ政権は訴えているのだ。

 米国政府がこうした報告書を出すと、CSRを重視する米国では当然、株主やマスコミから「御社は、中国の人権侵害に関与する企業と取引はありますか。あったとするならば今後はどうしますか」と追及されることになる。その矛先は当然、日本企業にも向けられることになる。

 日本政府も、自由と人権を尊重するつもりがあるのならば、首相・官房長官の名前で、日本企業に対してはっきりと注意喚起を促すべきだ。

 ■江崎道朗(えざき・みちお) 評論家。1962年、東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集や、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、現職。安全保障や、インテリジェンス、近現代史研究などに幅広い知見を有する。著書『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ)で2018年、アパ日本再興大賞を受賞した。自著・共著に『危うい国・日本』(ワック)、『インテリジェンスと保守自由主義-新型コロナに見る日本の動向』(青林堂)など多数。

【私の論評】中共幹部が、米国の「関与」に甘い期待を抱いているとすれば、それは完璧な間違い(゚д゚)!

日本政府もこのことをまず理解すべきです。

5月20日に発表された「中国に対する戦略的アプローチ報告書(以下、報告)」中の中国の脅威と米国の対抗策の部分の概要を以下に示します。

3つの挑戦と4つの対抗戦略

「報告」では,中国が経済,価値,安全保障の3分野で米国に挑戦し脅威となっていると述べています。

①経済
技術移転強制、米企業へのサイバー攻撃など略奪的経済慣行、模倣品による合法的なビジネスの数千億ドルの被害、一帯一路による不透明な融資と受入国の財政悪化などを指摘しています。
②価値
一党独裁制、国家主導経済、個人の権利を抑圧する中国のシステムが西側先進国のシステムに勝ると主張し,米国の価値への挑戦を中国はグローバル規模で行っていると分析している。③安全保障では,東シナ海,南シナ海,台湾海峡などでの中国の行動,軍事民間融合による最新技術を開発し獲得している民間組織への自由なアクセスなどを批判している。
中国の挑戦に対して米国は,2017年国家安全保障戦略の4つの柱で対応しています。す

①米国の国民、国土と生活様式を守る
経済スパイの摘発、外国投資リスク審査現代化法の強化、輸出管理規制の強化
②米国の繁栄の推進
強制的技術移転と知的財産侵害に対する制裁関税、第1段階の経済貿易協定合意で中国が2000億ドルの米国産品を今後2年間で輸入することなどがあげられています
③力を通じての平和の維持
三元戦略核戦力の現代化を進めること、航行の自由作戦、台湾への100億ドルを超える武器売却,
④米国の影響力の向上
宗教的自由を進める閣僚会議の開催、国際宗教自由連盟の発足、香港の高度の自治、法の支配、民主的自由の維持の要求などがあげられています。
これだけ読むと「報告」は中国を批判し、対決策を提示する文書と思われますが、「報告」の意義は米中関係を「大国間競争」と位置づけ、「長期的戦略的競争」にあると認識したことです。

中国を自由でルールに基づく国際秩序に受け入れ、自国市場を開放し企業を進出させ中国の発展を支援すれば、中国は民主化し自国市場を開放しルールを守る国になるだろうという「関与」アプローチは失敗したという過去40年の対中政策の総括に基づいた戦略の転換です。

ピルズベリーのChina 2049』(日経BP社、327頁)の言葉を借りれば、中国を生活保護受給者ではなく競争相手であると認めたのです。



大国間競争という世界認識は、2017年国家安全保障戦略(NSS)に基づきます。NSSは、「競争する世界」というタイトルで中国とロシアが米国のパワー、影響、国益に挑戦しており,自由で公正な経済に反対し、情報を管理し、社会を抑圧し、自国の影響を強めようとしていると分析しています。

競争相手を国際制度とグローバルな貿易に包含すれば、善意の信頼できるパートナーになるという前提は誤っており、そうした前提に基づく政策は再考しなければならないと論じています。

留意する必要があるのは、競争は対決や敵視だけではないことです。「報告」では、競争アプローチは対立あるいは紛争を導くものではないとし、中国の発展の封じ込めを求めないと述べています。

関与と協力も強調されている。競争は中国への関与を含み,米国の関与は選択的,結果志向であり,両国の国益を前進させると説明しています。中国への関与については、2019年10月にペンス副大統領がウイルソンセンターで「中国への建設的な関与を望んでいる」と演説しており、一貫しています。

2019年10月にウイルソンセンターで演説するペンス副大統領

従来型の関与とは当然内容は異なってきており、競争的関与あるいは競争と関与の両面政策というべきものです。意思疎通と協力も重視されており、危機を管理し、紛争へのエスカレーションの防止とともに利益が共有できる分野での協力を進めると述べています。

米国の対中戦略は対立強化と敵視という一面的な見方でなく、関与も求めているという複眼的な見方が必要です。

この「報告」の詳細については、ぜひ下のリンクから原点にあたってください。


米国の国務省も年次の「国別人権報告書」が出されていて、言論の自由、信教の自由など人権に関して多くの報告がなされています。

2018年版は、昨年3月13日に公表されており、マイク・ポンペオ国務長官は人権状況が悪化しているとして、中国、イラン、南スーダン、ニカラグアを名指しして批判した。特に中国については「人権侵害はケタ外れ」と指摘しました。

新疆ウイグル自治区では100万人以上のウイグル人が強制収容され、虐待や拷問によって「中国化への再教育」が進められているといいます。一方、中国政府の新疆ウイグル自治区をめぐる「白書」によると、ウイグル族が不当に拘束されているという外国からの指摘に対して、テロを予防するための職業訓練が目的だ、として事実上拘束を正当化しています。

香港も含め、中国では反政府的とされるジャーナリスト、弁護士、ブロガー、請願デモをした人たちに対して、超法規的な殺害、拉致、厳しい環境下への拘束、拷問が行われています。ネットの検閲やブロッキング、集会、結社の自由の侵害など枚挙にいとまがないです。

現在、中国の決済は顔認証になっていますが、そのデータは共産党政権に渡さなくてはならず、集会を開いた場合、誰がいるかということが瞬時にわかってしまいます。

また、「信教の自由」もありません。共産党という宗教を信じなさい、と言っているだけです。さらに「三権分立」も機能していません。捜査、逮捕、判決まで全部、共産党政権がコントロールしています。それが中国の現実です。

このような中国から、輸入をするということは、ブラック企業から商品を購入しているのとかわりありません。ブラック企業に関しては、景気を良くすれば、特に雇用をかなり良くすれば、誰もブラック企業に務めなくなり、勤めている人も、良い条件の企業に転職しますので、いずれ消えます。

中国ブラック企業のペナティー。湖の周辺を四つん這いで、一周させるというもの

しかし、国はそういうわけにはいきません。政府の体制が全体主義的であれば、一部の特殊な人を除いて、多くの国民は、一生国内で迫害を受け続けなければならないどころか、子孫もそのような目にあうことになるのです。

現在の中国の体制は変えなければなりません。特に中国共産党は、崩壊してもらなわなればなりません。上の「報告書」には"競争的関与あるいは競争と関与の両面政策"についても記載されていますが、ここでいう「関与」とは、中国共産党が崩壊したあとの新しい体制の中国に「関与」することを言っているのであり、現中国共産党に関与するという意味ではありません。

実際、「報告書」では、中国を(ここでは暗に、中国共産党のことと解釈すべき)自由でルールに基づく国際秩序に受け入れ、自国市場を開放し企業を進出させ中国の発展を支援すれば、中国は民主化し自国市場を開放しルールを守る国になるだろうという「関与」アプローチは失敗したと述べています。

2019年10月にペンス副大統領がウイルソンセンターで「中国への建設的な関与を望んでいる」と演説していますが、これも当然のことながら、中国というよりは、中共が崩壊した後の新体制の中国であると解釈すべきです。

中共に懲りた米国は、二度と中共に関与する政策はとらないでしょう。新しい体制ができあがっても、その体制が本質的に人が入れ替わっただけで、現体制と変わらなかったり、あるい一見変わったようにみえても、全体主義を目指すものであった場合も、関与しないでしょう。

これは様々な報告書や、トランプ政権の要人たち、米国議会、米国司法関係者などの発言や行動から明らかです。

中共の幹部たちや習近平が、米国の「関与」に甘い期待を抱いているとすれば、それは完璧な間違いです。たとえば、仮に大統領がバイデンになったとしても、これは変わりません。米国は、中国共産党が崩壊するまで、制裁を継続するでしょう。

日本政府もこのことをまず理解すべきです。

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2020年8月9日日曜日

コロナ後の景気「V字回復する」発言と、世間の肌感覚がズレるワケ— 【私の論評】日本経済V字回復のシナリオ!(◎_◎;)

コロナ後の景気「V字回復する」発言と、世間の肌感覚がズレるワケ

「日本経済は底を打った」への違和感



「形式的には正しい」のだが…

「今の日本経済は底を打った」

7月15日の金融政策決定会合後の黒田東彦日本銀行総裁の発言に、「あれっ?」と思った人は多いだろう。コロナ禍の影響が拭えぬなか、一般の人々は、なかなか景気回復の実感を得られていない。統計的な観点から見たとき、今回の発言に妥当性はあったのだろうか。

結論からいえば、この発言は「形式的には正しい」のである。だが、世間一般の感覚とは、かなりズレているだろう。

一般の人は、景気を感じるとき、統計数字ではなく、「いい時」との差を肌感覚で測る部分が大きい。ビジネスでも、好調だった時の売上高や利益額と現在のそれとを比較することが多いはずだ。ただし、「好調」というのは人それぞれの感覚で、千差万別だ。

一方、政府関係者は、常に統計数字を参照して話を進める。黒田総裁が、「底を打った」というのは、「国内総生産(GDP)で見ると、4-6月期が底であり、7-9月期はそれより伸びる見込みですよ」という意味だ。




これは、よく考えれば当たり前のことだ。4-6月期のGDPは、コロナ禍の影響で1-3月期と比較して、マイナス23%程度(年率換算)と大幅に減少すると見込まれている。

4-6月期のGDPは百数十兆円ほどになると予想されており、「戦後最悪の水準」ではない。しかし、1-3月期からの伸び率「マイナス20%程度」というのは、おそらく戦後最悪の数字になるだろう。これは、日本に限らず、世界各国とも似たような状況だ。

過去に例のないほど落ちた後は、少し上がるのが普通だ。株式相場の用語としても、英語で「デッド・キャット・バウンス」というのがある。あえて直訳すると、「死んだ猫でも地面に叩きつけられると、少しくらいは跳ねる」といったところだろうか。あまり上品な表現ではないが、言い得て妙なところがある。

問題は、この「デッド・キャット・バウンス」の後で、景気がどうなるのかだ。政府は4月ごろ、「V字回復する」と言っていた。それが正しいなら、7-9月期の前期比伸び率は大きく、10-12月期の前期比伸び率も大きくなるはずだ。

本当にそうなるのか。筆者は、かなり厳しいと考えている。コロナ禍の影響は予想以上に大きく、従来の対面重視の消費行動が、根本的に変わってしまったからだ。

となると、今の状況では、「V字回復」はちょっと期待できない。大方のエコノミストの予想は、日本のGDPは、小さな「デッド・キャット・バウンス」を経た後、横ばいに推移するというものだ。この状況は、数学のルート記号をひっくり返した形状、いわゆる「逆ルート型回復」などと呼ばれている。

この「逆ルート型回復」では、7-9月期の前期比伸び率はプラスだがそれほど大きくなく、10-12月期の前期比伸び率はほぼゼロに近いものとなるだろう。

結局、黒田総裁の「今の日本経済が底を打った」という言葉は、「デッド・キャット・バウンス」を言ったにすぎない。その後に待っているのは「逆ルート型回復」だろうから、一般人の思う「底打ち」は、当分先のことになるだろう。

【私の論評】日本経済V字回復のシナリオ!(◎_◎;)

日本経済は確かに、今のままであれば、V字回復ではなく、逆ルート型回復になりそうです。しかし、V字回復させる方法は、あります。それについては、このブログでも何度か掲載してきましたが、本日は再度コンパクトにまとめて経済します。
わが国の経済は昨年10月の消費税増税により、10~12月期のGDPは年率で7.1%のマイナスを記録しました。が、今年に入ると中国発のコロナウィルス感染拡大により、
経済活動が急速に落ち込むにいたりました。
中韓の観光客が激減しただけでなく オリンピックの延期も決ま利ました。非常事態宣言によって4~6月期もマイナス成長になることは疑いないです。GPPの減少は消費増税の悪影響で4%減、コロナで5%減、オリンピック延期で1~2%減、合わせて10%程度となることでしょう。
経済のⅤ字回復を目指す対策としては、以下のような政策が必要不可欠です。
1. 消費税全品目軽減 
全品目の消費税を5%に軽減すべきです。
2. 国民1人当たり現金10万円給付 
これはすでに実現しましたが、1回だけでなくコロナ騒ぎが終るまで必要に応じて、何度も続けるべきです。
3. マイナス金利を活用した100兆円基金
これは、高橋洋一氏が、主張してしていたものです。他の部分も、高橋氏の受け売りの部分が多いのですが、とにかくこの政策は重要です。10年国債の金利は19年10月にマイナス0.2%になりました。政府は業績の悪化した個人事業主、中小企業に対する実質的に無利子、無担保の融資制度を創設しましたが、これを拡大し、マイナス金利環境を利用して国債、財投債を発行して資金を調達し無利子、無担保で貸し出すのが有効です。100兆円基金をつくってコロナ対策に活用すべきです。
高橋洋一氏
この基金は、コロナ対策ばかりではなく、地震、台風・水害などの大規模な自然災害が起こった場合にも、適宜活用すべきです。これから日本経済が回復する道筋には何が起こるかわかりません。そのような時に、迅速に手が打てるようにするためにこそ、高橋洋一氏は、基金を創設せよと主張しているのです。
4. 日銀量的緩和再開(拡大が望ましい)
民主党時代にどん底に落ち込んだ経済が回復し、雇用がかなり改善したのはアベノミクスによる金融緩和のおかげでした。黒田日銀総裁が3回にわたっておこなった異次元の金融緩和は黒田バズーカと呼ばれました。
ところが、日銀は2016年9月に政策を変更し、量的緩和は縮小傾向です。国債購入額も年間80兆円から20~30兆円に減らしていました。これを80兆円ベースに戻すべきだ。国債を大量発行すると国内金利が割高になり自国通貨が高くなる。国債による財政出動で内需が拡大しても為替高で外需が減少し、財政出動の効果が減殺される。為替を安定させるためには、80兆円ベースへの金融緩和が必要なのです。
最近では、このブログでも掲載しているように、政府・日銀の連合軍が出来上がり、第二次補正予算で威力を発揮しました。政府が国債を発行し、日銀がそれを全額買い取るという方式です。
これは、マネー・プリンティング政策ですが、インフレ率が高くならなければ、国債の将来世代へのツケを心配する必要はありません。俗な言葉ですが、カネ刷って財源にしているわけで、国債の利払いや償還を後で税収により行うわけでないからです。

  元々デフレ傾向で、物価目標すら達成できていなった日本で、さらにコロナで消費が
  落ちているマネープリンティング政策をしても、なかなかインフレにはならない
若干専門的にいえば、日米のコロナ対策の財政支出は、通貨発行益で賄うので、将来の国民への付け回しになリマせん。コロナでは、需要喪失が大きく、インフレにはなりにくいので、こうした財政政策と金融政策の合わせ技が可能になっています。それは中央銀行の通貨発行益が自動的に国の財政収入となるからです。

以上のことを実行すれば、日本経済は、コロナ終息後に破竹の勢いで伸び、V字回復を成し遂げるでしょう。

安倍政権としては、上記のような内容を公約として、次期衆院選を戦い、実行して、日本経済V字回復の基礎を作っていただきたいものです。

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2020年8月8日土曜日

WTO提訴の韓国に米の鉄槌! 「安全保障上の利益を保護するために何が必要か判断できるのは日本だけだ」 識者「韓国に歩み寄る国はない」— 【私の論評】米国も安倍総理も韓国等眼中になく、中国との対峙の邪魔し続けるなら黙らせるだけ!(◎_◎;)

WTO提訴の韓国に米の鉄槌! 「安全保障上の利益を保護するために何が必要か判断できるのは日本だけだ」 識者「韓国に歩み寄る国はない」

スイス・ジュネーブのWTO本部

 日本政府が韓国向けの輸出管理を強化したことで世界貿易機関(WTO)に提訴した韓国に大逆風が吹いている。米国が日本の判断に理解を示し、韓国の姿勢を痛烈に批判したのだ。WTO事務局長の座も狙う文在寅(ムン・ジェイン)政権だが、もくろみは外れそうだ。

 WTOは3日、先月末に設置された紛争解決機関(DSB)のパネル(案件を審理する小委員会)での会議の要約を発表した。それによると、日本は輸出管理強化は「安全保障上の措置」だとして、韓国の提訴に深い失望を示した。

 日本以上に韓国に強く反発したのは米国だった。「安全保障上の利益を保護するために何が必要か判断できるのは日本だけだ」と見解を示し、このような訴訟はWTOに深刻なリスクをもたらし、国家安全保障問題に組織を巻き込む恐れがあると警鐘を鳴らした。

 米国から何ひとつ賛同を得られなかったことで、韓国メディアは「事実上、日本側の論理を後押しする」「日本の肩を持った米国」などと悲観的に伝えている。

 今後はパネリストの選定や意見書の提出、口頭審理などの訴訟手続きが本格的に進められ、最終判定までには、10~13カ月を要するとみられる。

 米国政治に詳しい福井県立大学の島田洋一教授は「米政府が中国に圧力をかけることを最優先に行動している中、アジアで最大の同盟国である日本の足を引っ張っているのが韓国だ。米国は韓国に警戒心を抱き、隊列を乱されていると感じているに違いない。英・仏なども脱中国の動きをみせており、韓国に歩み寄る国などほとんどないだろう」と分析する。

 日本の外務省は3日付で国際法局に経済紛争処理課を新設した。経済局にあった国際経済紛争処理室を課に格上げし、WTOの訴訟などへの対応を強化する狙いがある。昨年4月にWTO上級委員会で、韓国が福島など8県産の水産物の輸入制限措置を取っていることが妥当と判断されたことを受け、設置に至った。

 一方の韓国は、産業通商資源部の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長がWTOの次期事務局長選に立候補しており、図々しくも日本に支持を呼び掛けている。

 前出の島田氏は「ある外務省幹部は『韓国がWTOのトップを務めるのは論外で、日本をつぶすためだけに行動している』と憤っている。WTOの事務局長選は前哨戦で、経済協力開発機構(OECD)のトップを狙って動いているという見方もある。そのためには中国が鍵を握っており、米国は韓国が中国とともに動いているとみている」と指摘した。

【私の論評】米国も安倍総理も韓国等眼中になく、中国との対峙の邪魔し続けるなら黙らせるだけ!(◎_◎;)

麻生太郎副首相兼財務相が強制徴用賠償判決を受けた日本企業に対する資産現金化措置がなされる場合「韓国との貿易を見直したり、金融制裁に踏み切ったり、やり方は色々ある」と話していました。

麻生太郎
麻生副首相は昨年12月9日発売の「文藝春秋」2020年1月号で、「万が一、韓国側が徴用工判決で差押えしている民間企業の資産の現金化などを実行したら」「厳しい例をあえて言えば」と前提を付けてこのように話しました。

その上で「いずれにしても、日本より経済規模の小さい韓国が先に疲弊するのは間違いない。その上で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領がどういう判断をするのか、ということ」と話しました。

麻生副首相は「最大の懸案は韓国との関係」としながら「問題は、韓国という国家そのものよりも、国際法を蔑ろにし続ける文在寅政権の姿勢」と主張しました。続けて「1965年の日韓請求権協定で、日本は韓国に対し、無償3億ドル・有償2億ドルの経済支援を行った。結果、『漢江の奇跡』と呼ばれる韓国の経済発展に繋がったわけだ。それを今さら『なかったこと』にすると言われたら、ちょっと待ってくれと言うしかない」とも話しました。

麻生副首相は昨年3月にも強制徴用問題と関連し韓国に対する対抗措置として送金中断、ビザ発給停止などに言及したことがあります。彼の発言そのままではないですが、昨年7月に半導体材料3品目に対する輸出規制、ホワイト国排除措置などの措置を取離ました。今回も実際の措置につながる可能性はかなり高くなってきました。

麻生副首相はまた、「よく『隣国だから韓国と仲良くしよう』と言うような一部の論調があるが、世界中で隣国と仲の良い国などあるのか。そういうことを言うのは、外国に住んだことがない人」と主張しました。

その上で「隣の国とは利害がぶつかるもの。友好は単なる手段に過ぎない。友好を築いた結果、損をしたら意味がない」とも話しました。

今後、日本は韓国に対して、韓国によるWTOへの提訴並びに、日本企業に対する資産現金化措置が実行に移された場合、何らかの厳しい措置をとるのは間違いないです。

日本がなんらかの措置をすれば、韓国は、日本が戦争責任を果たしていない等と主張し始めるでしょうが。そのようなことは、気にせず、黙って『事実上の報復』をすれば良いだけです。

具体的な制裁方式としては、韓国企業に対する日本銀行の保証回収などが挙げられている。元外務副大臣の佐藤正久自民党議員は、先月ある番組に出演し、「サムスン電子の海外資金のうち、大部分は日本のメガバンクから借りたものだ。韓国企業は金融の相当部分を日本に依存している」として金融分野の制裁が最も効果的だと話しました。

 こうした中、自民党内保守系議員の集まりである「保守団結の会」は前日、会議を開き、韓国側が日本企業の資産を現金化する場合、経済制裁の発動を政府に求める方針を決めたと読売新聞がこの日、伝えました。

恒常的にドル資金不足の韓国は、ドルが枯渇するとキャッシュフローが回らず、国家破綻に陥る状況にあります。それに、ドルが枯渇すれば、国際決済もできなくなります。ドル資金に余裕のある日本の銀行は、韓国の銀行に貸し付けて運用していますが、日本の金融機関が超短期のドル資金を融通しなくなるだけで、一日にして韓国の銀行はデフォルト(債務不履行)に陥ってもおかしくありません。

韓国の銀行がデフォルトに陥れば、国家債務が返済できないとみなされ、韓国全体のデフォルト懸念も顕在化することになるでしょう。 

この措置はあくまでも日本の金融機関の与信判断によるもので、日本が制裁の形を取らないことが重要でしょう。例えば日本のメガバンクが韓国の銀行の信用状取引を停止すれば、韓国は貿易ができなくなり、大打撃です。日本政府が直接実施したということなれば、韓国にまた、上げ足を取られ、日本が国際社会で悪者にするでしょう。

そうは言いながら、実質的には韓国を制裁しなければならないです。 しかし、米国の協力が得られれば、そのようなことも気にせずに、すぐにできるでしょう。冒頭の記事のように、韓国がWTOに日本を提訴したことに対して、米国はかなり怒っています。この状況だと、日本が韓国に対して、金融制裁をしたとしても、米国はそれを支持をしたとしても、反対しないでしょう。

8月は韓国の反日を一段とエスカレートさせる日程が目白押しです。 14日には韓国政府が指定した「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」、15日には独立を記念する「光復節」、そして24日には、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の延長期限を迎えます。

韓国の光復節

世界貿易機関(WTO)の紛争処理機関(DSB)は日本の韓国に対する半導体材料の輸出管理強化がに対して韓国が求めた「一審」に相当する紛争処理小委員会(パネル)の設置を承認しました。

8月以降、パネルが設置される見通しです。 日本としては粛々とカードを切るしかなさそうです。

米政府が対中国冷戦を最優先に行動している中、アジアで最大の同盟国である日本の足を引っ張っている韓国に対して、日本がどのような制裁措置をしても米国は歓迎するだけです。

米国は、中国との対峙を最優先にしています。北朝鮮や韓国、その他の問題は、中国と対峙するにおいては、単なる制約条件に過ぎないと見ているでしょう。

上で、一つ書き忘れていたことがありますが、韓国の対日赤字の大部分は工作機械の輸入によるものです。工作機械とは、製品を製造する機械のことであり、サムスンのスマホも、現代の自動車もこれ無しでは製造できません。

この工作機械の製造技術こそが<先端技術>であり、世界市場を日本とドイツが席巻していますが、その中でも繊細・微細な製品製造のための工作機械は日本の独壇場と言ってよいです。

世界に冠たる日本の工作機械
だから韓国は日本に「工作機械を売っていただいている」立場にあります。もし、日本が工作機機械の禁輸を行ったら、韓国経済の将来は無くなります。

米国によるサムスンに対するファーウェイのような制裁と、日本からの工作機械の禁輸措置を同時に行えば非常に効果的です。

このように考えると、韓国はかなり日本に依存しているにも関わらず、態度だけは大きいです。

しかし、もう米国も、日本も、日本国民も堪忍袋の緒が切れています。米国も、安倍総理もとにかく、中国との対立を最優先に考えたいので、韓国など早く大人しくなって、何もしないで欲しい、特に中国との対峙の邪魔はしないで欲しいと思っているでしょう。

安倍総理も、トランプ大統領も、韓国が邪魔し続けるなら、かなりきつい報復も厭わないでしょう。日本や米国がその気なれば、中共崩壊の前に、文政権が崩壊することになるかもしれません。

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2020年8月7日金曜日

EUのファーウェイ排除団結のカギを握るドイツの選択―【私の論評】中共は世界中を監視し、世界秩序をつくりかえようとしている。ドイツはそれに目覚めよ(゚д゚)!

EUのファーウェイ排除団結のカギを握るドイツの選択

岡崎研究所

 7月17日付の英フィナンシャル・タイムズ紙で、米ブルッキングス研究所のシニア・フェローであるシュテルツェンミュラーが、欧州、とりわけドイツはファーウェイをめぐり大事な選択を迫られているとして、EUが対中国政策で団結することの重要性を説いている。


 シュテルツェンミュラーの論説は、ファーウェイについてEUは団結して中国に対すべきであると言っているが、それは、現在EUが団結していないことを意味する。

 実際、EUの足並みはそろっていない。論説で見る限り、ポーランドはファーウェイ排除を決めており、イタリアが発表したガイドラインは事実上ファーウェイを排除することになりそうである。フランスは、ファーウェイの機器を使用する通信企業に新たな事業許可を与えない方針で、実質2028年までに排除することを決めた。

 EUの団結のカギを握るのはドイツである。メルケル首相自身は、ファーウェイを注意深く扱うべきであるとの立場である。しかし、メルケル首相の属するキリスト教民主同盟(CDU)の多くの議員をはじめ、連立のパートナーの社民党、緑の党などは、メルケルの立場に批判的である。一方、閣内のアルトマイヤー経済大臣、ドイツテレコム、自動車産業などがファーウェイの受け入れに賛成である。これは、中国がドイツの最大の貿易相手国であることを考えれば、いわば当然とも言える。

 しかし、ファーウェイを取り巻く状況が変わってきている。それは、中国が香港の例にみられるように、最近、権威主義的な行動を強めており、論説によれば欧州に対してポピュリスト支持の情報操作や高位外交官による脅迫など、欧州の弱みを利用する強圧的な行動が目立つという。他方で、COVID-19が情報ネットワークの重要性をクローズアップした。つまり、5Gといった重要なデジタルエコシステムで中国に依存することの安全保障上のリスクが再認識されたのである。

 論説は、欧州は団結すれば真の梃子を持てると言っている。どのような団結が可能なのか。これまでのEU内の議論、そしてカギを握るドイツ内の状況を考えると、EU27か国がファーウェイの全面排除で団結することは考えられない。例えば、EU諸国のテレコム組織が新たにファーウェイを採用することは認めないといったラインで合意がなされるのではないか。これは米国のファーウェイ全面排除に比べれば弱いが、中国にとっては大きな痛手だろう。

 EUが強い姿勢でファーウェイに対処するようになるとすれば、その引き金を引いたのは中国の権威主義的行動である。中国は自らの政治、外交姿勢が経済にも影響を与えることを知らされることになる。しかし今の習近平体制は、経済的にマイナスだからと言って権威主義的、強権的姿勢を変えそうにない。その間、米中の対決の様相は一層深まっていくだろう。欧州諸国も、そして日本も、その影響を免れることはできない。情報社会の重要性を認識して、的確な政策を講じていくことが求められる。

【私の論評】中共は世界中を監視し、世界秩序をつくりかえようとしている。ドイツはそれに目覚めよ(゚д゚)!

ファーウェイは何年も前から移動通信インフラ市場を支配。安価な製品を投入して、競合する北欧のノキアやエリクソンの売り上げを切り崩してました。しかしファーウェイ製品が中国政府による情報窃取に使われ得るとの米政府の懸念が力を増しています。

英国政府とフランス政府はいずれも、自国の通信網から同社製品を排除しようとしています。他のあちこちでも同様の対応が広がれば、ファーウェイの通信機器事業には深刻な打撃になるでしょう。同事業は昨年、430億ドル(約4兆5000億円)近い売り上げを稼ぎ、会社全体の売上高の約3分の1を占めました。

しかし、アンテナや鉄塔を他社製に建て替えるというのは、問題のごく一面にすぎません。英国のボーダフォンやBTのような通信業者がたとえ既存のファーウェイ機器を全撤去した場合、控えめに見積もって20億ポンド(約2700億円)の費用がかかるとしています。

世界の通信業者は引き続き、次世代通信網を本格展開する上ではファーウェイの技術に依存することになります。ドイツの知財調査会社によると、ファーウェイは最も5G関連の特許を所有しており、そのうち15%が欠かせない特許だという。

簡単に言うとそうした特許は、世界の通信業者が異なる通信網間で相互に機能できるようにするためのいくつもの技術的仕様だ。そこで一つの統一的な基準を打ち立てることは、5Gの要になります。つまり、世界中あちこちの何十億もの機械や自動車やちょっとした機器を継ぎ目なくつなぐことを意味するからです。

ファーウェイの特許の利益の大半は移動通信基地局関連です。ノキアやエリクソンが欧州全域でファーウェイの基地局などのインフラを自社製に置き換えたとしても、両社はなおもファーウェイの特許を使い続ける必要があるのです。

今のところ知財関連の収益はファーウェイ全体にはそれほど貢献していません。同社はむしろ、ライバル社との特許のクロスライセンス契約を好んでいます。

ファーウェイは、自分が締め出された市場でクロスライセンス契約を停止することもできます。そうなれば移動通信各社は特許使用料や手数料を払う羽目になります。これはファーウェイにうまみのあるビジネスになるかもしれないです。例えば米クアルコムは重要な移動通信用半導体技術を多く所有しており、2017年以来のライセンス収入は170億ドルを超えています。

ファーウェイは既に今年、米通信ベライゾンを特許侵害で提訴し、10億ドル超の支払いを求めている。ファーウェイが持つ技術的優位も、中国政府の手によって政治的な駆け引きの材料にされるリスクがあるのです。

ただ、米司法省は2月13日、中国の通信機器メーカー、華為技術(ファーウェイ)が企業秘密を盗み当局に虚偽の説明したとして、同社を追起訴しています。

ファーウェイと孟晩舟最高財務責任者(CFO)は既に詐欺や米国の対イラン制裁法違反の罪で起訴されていました。司法省は追起訴で、従来マフィア訴追に用いられてきた「威力脅迫および腐敗組織に関する連邦法(RICO)」を基に、ファーフェイが数十年にわたり知的財産権の窃盗に関与したと主張。不当利得行為を共謀した罪も含めたことで、有罪となれば刑罰はさらに重くなる可能性があります。

司法省は声明で、ファーウェイの違法行為は「研究開発費を大幅削減し、遅れを減らすことが目的で、それにより同社は著しく不当な競争上の優位性を得た」と指摘。競争相手の機密情報を入手した従業員を報償するボーナスプログラムまで導入していたと論じました。

追起訴でファーフェイは、企業秘密を盗み米国の制裁を回避し、当局に虚偽の説明をして国際的な地位を獲得した企業として描写されました。ファーウェイが知的財産を盗んだとする相手企業名は明記されていないですが、司法省の主張の詳細には、シスコシステムズやモトローラなどの企業に合致する説明がりました。

米中の5Gに関する争いは、単なる米中の技術派遣争いとか、知的財産権の保護に関する問題などと考える人も多いようです。

中国では、米国の約10倍に当たる35万以上の5G基地局がすでに設置されています。精度が増したジオロケーション(地理位置情報)と顔認証技術を搭載した広大な監視カメラ網を組み合わせたことによって、国内に1,100万人いるイスラム教徒のウイグル族を当局は追跡管理できるようになりました。

SF映画さながらの中国の監視カメラの画像

こうした取り組みによって、中国は次世代技術を人々の監視に適用することにおいて世界の最先端の位置にいます。将来的には『人種差別の自動化』という新たな時代の到来を体現するかもしれない」と『ニューヨーク・タイムズ』は伝えています

米国はこうした段階まではまだ到達しておらず、そうなることはないのかもしれないです。しかし、5Gの商用展開は始まっています。新たなデータ通信を手に入れて利用したいという声は、個人をはじめ企業や政府のなかから大きくなる一方です。システムに安全策を組み込むことを目指すのは、当然であり必要なことでしょう。

中国のような、全体主義体制の政府に限らずどんな政府であっても、市民のなすことすべてを常時知ることができるというのは、民主主義の根幹にかかわる問題です。なぜなら、市民がどう考えてどんなふうに行動し、何をするのか、政府は必ずや規制したいと考えるようになるからです。問題なのはそのような世界がどういうものなのか、ほとんどの人が真剣に考えていないところにあります。

私自身は、5Gの問題の本質は、技術ではなく、それこそウィグル問題と密接に絡んだものだと思います。全体主義国家がかつてない高度な監視技術を持つことへの脅威こそがその本質だと思います。

ポンペオ長官の先月23日の演説には以下のようなくだりがありました。
志を同じくする国々の新たな集団、民主主義諸国の新たな同盟を構築するときだろう。自由世界が共産主義の中国を変えなければ、中国が我々を変えるだろう。
私自身は、現在の中国はすでに共産主義ではなく、経済的には国家資本主義体制でであり、統治の観点からは、完璧な全体主義だと思います。それは、それとして自由社会が中共を変えなければ、中共が我々を変えることになるのは間違いないでしょう。

この怪物中共が、高度な監視技術を持って、自国内のみならず、世界中を監視できるようしたいというのが、中共の本音であり、その後には世界中を監視し、世界の現在の秩序をすべて自分の都合の良いよいにつくりかえてしまうというのが、彼らの究極の目的です。

確かにファーウェイの5Gが世界を席巻した場合、そうなる可能性が高いです。監視社会には、犯罪を削減するという効果もありますが、どの程度の監視にするのか、人々のプライバシーをどう守るかということについては、全体主義国家が独善的に決めることではありません。

世界の多くの国々よって、社会を發展させていくという方向性で、新たな秩序を形成していくべきです。

日本では、COCAという感染確認アプリが開発され、感染者も非感染者も互いにわからない形で、接触した可能性を通知するという方式で、感染の可能性を通知しながらも、人々のプライバシーを守っています。

COCOAの説明画面

このアプリそのものについては、不具合があったり普及率が低いということで、効果が疑問視されているところもありますが、それはそれにして、人々のプライバシーを守ったうえでの監視方法ということでは、発想としては素晴らしいものだと思います。

中国にも似たようなアプリがありますが、発想は日本のものとは全く発想が異なります。利用者がスマホのアプリに身分証番号などの個人情報を登録すると、その人が感染しているリスクが緑、黄、赤の3段階で示されます。判断の基準は明確に説明されていませんが、家族関係や移動履歴などのデータから、感染者との濃厚接触の可能性や感染地域への出入などをはじき出す仕組みとみられています。


利用は強制ではないですが、登録しないと職場に復帰できなかったり、店舗に入れなかったりすることがあります。北京市でも従業員の証明を店頭に貼り出す飲食店や、客に提示を求める店舗などが増え始めています。このシステムはすでに全国の200以上の都市が採用しています。

中国と日本の感染確認アプリでは、設計思想に雲泥の差があります。中国の感染確認アプリでは、個人の意思とは関係なく、政府が感染の有無や程度まで決定します。それに対して、日本では、あくまで感染者との接触した可能性が高いことを知らせるのみです。

それを知らせて後は個人の自由意志に任せています。日本では、中国のようなアプリは絶対に許容されないでしょう。ここが、全体主義のと自由主義の差です。

これは、感染アプリの事例ですが、世界の秩序が中共の都合の良いようにつくりかえられてしまえば、自由主義の国々の社会は根底から崩れることになります。

そのようなことは、自由主義の国々の人々は到底容認できないでしょう。このようなことに気づいたからこそ米国は、中国に対峙しているのです。

社会が根底からくつがえされる可能性を考えれば、技術的な問題や、経費の問題など、とるに足りないものだと思います。自由主義諸国は、ファーウェイの5Gが使えないなら、しばらくは4Gを使用して、5Gはるかに凌駕し、4Gや5Gなどとは、一線を画した6Gを開発して、それを使えば良いのです。

英国は香港問題などで、それに目覚めたようです。ドイツもはやく目覚めてほしいものです。

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2020年8月6日木曜日

中国とのにらみ合い激化の中、トランプ政権高官が台湾訪問へ―【私の論評】米国は「台湾は全体主義への砦」と認識し行動を始めた(゚д゚)!

中国とのにらみ合い激化の中、トランプ政権高官が台湾訪問へ

<引用元:ワシントン・フリービーコン 2020.8.5

トランプ政権高官によると、中国とのにらみ合いが激化する中で政権高官が台湾への派遣団を率いることになっており、1979年以来で米国閣僚による最高レベルの訪問となる予定だ。

保健福祉省のアレックス・アザール長官は、近日中に台湾を訪問することが予定されており、中国との外交上の戦いが拡大する中、難問を抱えた島に米国が支持を示す動きとなる。中国は台湾を孤立させ、世界保健機関をはじめとする国際的に重要な会議から締め出そうとしてきたためだ。
アザール長官
アザール長官

アザール長官の訪問は、訪問の詳細について匿名を条件に説明したトランプ政権高官によれば、「包括的・戦略的二国関係の多くの面の1つである、ヘルスセキュリティにおける堅固な米台協力関係を裏付ける」ものとなる。

訪問はすでに中国からの反対にあっており、トランプ政権の共産主義政権との敵対関係をさらに悪化させる可能性がある。中国は台湾を自国の統治する領土だと主張しており、米政権は歴史的に、より緊密な経済関係を育成することを目指して北京の主張に異議を申し立てるのを避けてきた。コロナウイルスが世界中に被害をもたらし続ける中、トランプ政権はウイルス拡大に対して中国に責任を取らせようという複数の取り組みを指揮してきた。台湾訪問もまた、多くの人がロシアとの冷戦時代に結び付けているワシントンと北京の間の外交上の戦いにおけるまた1つの攻撃だ。

「台湾はCOVID-19パンデミックの中、そしてそのずっと前から世界の保健における透明性と協調とモデルとなっている。台湾の世界保健でのリーダーシップに対するトランプ大統領の支持を伝え、自由で民主的な社会が健康を保護・推進するための最高のモデルであるという我々が共有する信念を強調できることを心待ちにしてしている」と、アザールは声明の中で述べた。

アザールは、台湾との関係を強化し、コロナウイルスとの戦いで得た経験を共有するために取り組む、と政権高官はしている。アザールは、米国と台湾の間での技術共有を拡大することを目指して、台湾高官、コロナウイルス専門家、そして医療研究者と会う予定だ。また、米高官の表現を借りれば、国際的な舞台に台湾を受け入れることに対して賛成する画期的な演説も行う―中国にとっては大きな苛立ちの種となるものだ。

共産主義政権は、コロナウイルスをめぐる最近のWHO会議から台湾を除外しようと最大限の努力をしていたので、アザールの訪問もトランプ政権からの挑発的な動きだと捉えることになりそうだ。台湾はコロナウイルスの存在を初めて報告した国の1つであり、中国がその病気について世界にオープンだったと主張する中国のプロパガンダと戦う上でのカギとなっていた。

「米国は2020年5月の世界保健総会で台湾が除外されたことを非難する」と政権高官は本紙に語った。「世界がパンデミックと格闘を続ける中、我々は定められた使命を果たし、全ての加盟国の利益のために尽くす国際機関を必要としている―命が危機にさらされている時に策を弄するような機関ではなく」

2018年にトランプ政権は台湾旅行法(Taiwan Travel Act)を成立させ、同地域との関係を向上させた。米高官は台湾を、中国の地域的な警察国家体制と攻撃的な軍事態勢に対抗し得る経済的自由の源と見なしている。

「台湾は2003年のSARS危機の間に中国共産党の不正に対応した。それ以来、台湾の保健当局は保険関連の情報に関して中国政府の言葉を真に受けていない」と高官は語った。

【私の論評】米国は「台湾は全体主義への砦」と認識し行動を始めた(゚д゚)!

トランプ大統領は2018年3月16日米国と台湾の閣僚や政府高官の相互訪問の活発化を目的とした超党派の「台湾旅行法案」に署名し、同法は成立しました。
トランプ大統領
トランプ大統領

同法は、閣僚級の安全保障関連の高官や将官、行政機関職員など全ての地位の米政府当局者が台湾に渡航し、台湾側の同等の役職の者と会談することや、台湾高官が米国に入国し、国防総省や国務省を含む当局者と会談することを認めることを定めています。

また、台湾の実質的な在米大使館である台北経済文化代表処などの台湾の組織や団体に米国内での経済活動を奨励する条項も盛り込まれています。

米国は1979年の米台断交と台湾関係法の成立後、米台高官の相互訪問を自主的に制限してきました。台湾旅行法の成立で、トランプ大統領の訪台や蔡英文総統のワシントン訪問が理屈の上では可能になります。

米国務省は、台湾旅行法が米台関係の変化を意味するものではないと説明していますが、台湾を不可分の領土とみなす中国が米台の接近に危機感を抱き、「一つの中国」原則に反するとの理由で猛反発してきました。

いずれ実現すると思われるトランプ、蔡英文階段

今回の米国保健福祉省のアレックス・アザール長官の訪問は、米台が国交を断絶した以降では、最高位の高官の訪問ということになります。

トランプ政権は、なにやら詰将棋のように次々と様々手を中国にたいして、打つています。支離滅裂な習近平政権とは違います。

他の国々も米国の「台湾旅行法」と同じような法律を制定・施行して、すべてのランクの政治家や官僚などが、同国を訪問できるようにすべきです。

将来的には、G7はもとより、トランプ大統領、安倍総理、モリソン豪首相、モディ印首相、ダライ・ラマ猊下などが、一同に台湾に集まり会議を開くなどのことをすべきと思います。

台湾の初代蔣介石は「大陸反攻」と共に「反共」を国是とし、東アジアにおける「反共の砦」としての地位をに認めてもらうことで、台湾国民政府の「中国を統治する国家」としての存在を持続させようとしました。

ところが、米国は「反共の砦」としての存在の重要性を認識して軍事・経済的支援は行っていたものの、東アジアの地域情勢を混乱させる「大陸反攻」の実施には断じて反対していました。そのために、蔣介石は、「大陸反攻」を実施する好機をうかがっていたものの、国際環境の影響からそれを実施することなく1975年4月5日に死去しました。

その後台湾は李登輝総統により、民主化され今では「大陸反攻」は、実質的気に消滅しました。その後、中国も統治体制は根本的には変わらなかったものの、実質的に共産主義はやめ、国家資本主義とでも呼ぶべき体制へ移行しました。

李登輝氏(前列左)

鄧小平が改革・開放を行い、その後の中国経済発展の基礎をつくりました。この時点で米国をはじめとする多くの先進国が、中国が豊かになれば、いずれ体制も変わるものと考えていました。そうして、中国の巨大マーケットに期待をいだき、競って中国と通商関係を結ぶことに血道を上げました。

しかし、その後中国はその体制を一切かえず、全体主義的な方向にどんどん進んでいきました。そうして、トランプ政権が誕生し、従来より中国に厳しい姿勢をとるようになりました。

トランプ政権は、中国は米国に変わって、世界に新たな秩序を形成しようと疑うようになりました。習近平はそれに対する答えを2018年に、ある会議の席上で発表しました。その答えは、まさに米国が懸念するように「中国は世界に新たな秩序を形成する」というものでした。

これによって、米国の中国に対する考えは決定的になりました。米国は、中国が体制を変えることを望んでいるのです。具体的にいえば、中国共産党が崩壊して、一党独裁の全体主義体制が崩壊し、中国に新しい民主的な体制ができあがることを望んでいるのです。

ただし、中国共産党は一党独裁制を失えば、自らの統治の正当性を主張できなくなり、崩壊するしかなくなります。これは、中国にもかつてのソ連のゴルバチョフ氏のような人物がでてくれば、可能になるかもしれませんが、現在の中国では、ほぼ不可能です。

中国が体制を崩さない場合の、米国の中国への対応は、金融制裁やさまざまな財務的な措置をとりつつ、中国の経済を疲弊させ、他国に影響力をほとんど行使できなくなるどころか、国内でも影響力を維持できなくなるまで、弱体化させることです。これによって、全体主義の芽を摘むまで、米国は中国への制裁をやめません。

こうした米国の中国への厳しい態度は、トランプ政権がどうのこうのというより、米国議会や司法にまで及び、そうして米国民の多数にまで及び、いまや米国の意思となりました。そのため、次の大統領がトランプだろうとなかろうと、今後の米国の中国に対する態度は変わりません。

米国は今後「全体主義への砦」としての台湾の存在の重要性を認識して軍事・経済的支援を強力に推進することになります。その幕開けが、アザール長官の台湾訪問なのです。

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2020年8月5日水曜日

河野防衛相“ムッ”「なぜ中韓の了解がいるのか?」 ミサイル防衛で東京新聞記者の質問に不快感 「記者の質問に絶句」の声も— 【私の論評】経済に対する理解も安全保障には不可欠、それを考えると河野防衛大臣をはじめ全ポスト安倍は失格!(◎_◎;)

河野防衛相“ムッ”「なぜ中韓の了解がいるのか?」 ミサイル防衛で東京新聞記者の質問に不快感 「記者の質問に絶句」の声

さすがに怒った河野防衛相

     河野太郎防衛相が4日の記者会見で、気色ばむ一幕があった。ミサイル防衛に関する自民党提言について、東京新聞の記者から「中国や韓国の理解を得られる状況ではないのでは?」と質問され、「中国がミサイルを増強しているときに、なぜその了解がいるのか」と語気を強めたのだ。

 自民党は、中国や北朝鮮の軍事的脅威の増大を踏まえ、「専守防衛の考え方の下」で「ミサイル阻止能力」の保有を検討するよう求める提言をまとめた。

 冒頭の会見で、東京新聞の記者は「安全保障の見直しでは周辺国からの理解が重要だが、現状は理解を得られる状況ではない。防衛政策の責任者として今後、理解を得られるのに必要なこととは何か?」と質問した。

 河野氏が「周辺国とは、どこのことですか?」と聞くと、東京新聞の記者は「主に中国や韓国」と答えた。

 これを受け、河野氏は「主に中国がミサイルを増強しているときに、なぜ、その了解がいるのか」と言い切った。

 一瞬沈黙が流れたが、記者は「では、韓国に関しては?」と続けた。

 河野氏は「何で韓国の了解が必要なのか。わが国の領土を防衛するのに」と答え、着用していたマスクを外し、不快な表情をみせた。

 この動画が流れると、ネット上では「記者の質問に絶句」「中国の軍拡を、日本がいつ理解を示したのか」「自宅の鍵をかけるのに、泥棒に同意を得るのか」「内なる敵が正体を現した」などといった意見が続出した。

 夕刊フジは4日午後、東京新聞に対し、「日本の防衛を考えるのに周辺国の理解が必要とは、記者の見解か? 東京新聞の見解か?」という趣旨の質問状を送った。

 東京新聞編集局からは同日夕、「従来から個々の取材についてはお答えしていません」との回答があった。

 一連のやりとりを、どう見るか。

 東京新聞OBである、ジャーナリストの長谷川幸洋氏は「河野氏の発言こそ正論だ。中国は急速にミサイル開発・配備を進め、日本に脅威を与えている。日本の抑止力を強化するのに、中国の了解を得る必要はない。同様に韓国の了解もいらない。東京新聞などの左派メディアは、中国も韓国も『話せば分かる相手』だと思い込んでいるようだ。記者もそのロジックで質問したのだろうが、間が抜けている。河野氏はカチンときて真正面からガツンとやったのだろう。世界が話が分かる国や人ばかりなら、この世にある、さまざまな対立なんて起きはしない。左派メディアは現実を知るべきだ」と語った。
【私の論評】経済に対する理解も安全保障には不可欠、それを考えると河野防衛大臣をはじめ全ポスト安倍は失格!(◎_◎;)

河野防衛大臣は、何も突拍子もない事を言っているわけではなく、むしろ当たり前の事を言っただけです。

自国の領土防衛能力について、安保条約を結び日本国内に基地を置いている米国ならまだしも、領海侵入を繰り返す中国や、敵か味方かわからない韓国に「こんな防衛力持ってもいいでしょうか」とお伺いを立てるバカはいません。

「中国や韓国の理解が重要ではないか」というのはおそらく日本だけでしか聞かれないタイプの質問です。他の国でこんな質問したら、された方はたぶん意味がわからないでしょう。「どうして敵に聞くんですか」ということになるだけです。

ただ残念ながら日本ではこういう質問が普通に出て、政治家もそれにゆるーく答えてきたというのがメディアにおける当たり前の風景でした。だから毅然と答える政治家は「変人」と揶揄されたり、「保守強硬派」などと批判されたりしたのです。

もしかしたら日本人は他国が攻めてくるなんて考えていないのではないかという疑念を抱いたことがあるのですが、なるほどという記事を見つけました。朝日新聞のインタビューに対し岩屋毅前防衛相が以下のように答えていたのです。

岩屋毅前防衛相

記者が北朝鮮によるミサイルの飽和攻撃に言及したのに対し、岩屋氏は「そういう映画か漫画のような話をすべきでない。日米同盟に本気で挑戦するのは自殺行為だ。蓋然性は極めて低い」と答えているのだ。北の攻撃はマンガ?これが河野氏の前に防衛相だった人の認識なのです。

私は、以前町内会で「北朝鮮のミサイルの危機」について話をした時に、あるご老人から「そんなことまで心配しなければならないのか」などと反応があったのですが、岩屋氏の発言はこのご老人とレベル的に同次元です。

政治家も記者も冷戦の「平和な時代」の癖が抜けていないのでしょうが、現代の国際情勢は全くそうではないし、かなり多くの日本国民もそのことに気づいています。

河野氏は自民党総裁選への立候補に意欲を示しているが「まだ早い」との声も根強いです。確かに政治家としてもう少し幅広く経験を積んだ方がいいかもしれないですが、「平和ボケ」していない事は次の日本のリーダーとしてとても重要な資質です。

ただし、残念なこともあります。それは河野氏の経済対策観です。これは、高野氏のブログなどのサイトにも、その主張が見られますが、はっきりいわせていただくと、経済に関する理解が今一としか言えないです。そもそも、ガチガチの緊縮派です。

特に河野氏の、国債論は、酷いの一言に尽きます。進次郎氏も河野氏も、彼らのお父さん世代の財政再建主義、構造改革主義から何も進歩していません。世代を超えて財務省の洗脳が続いています。

小泉環境大臣

河野氏は、せっかく良い資質を持っているのですが、経済に関しては、どう考えてもマイナスです。実際、総理大臣になったとしたら、まともな経済政策はできないでしょう。

特に、このブログで最近よく取り上げた、財務省抜きの、政府と日銀の連合軍に関して、これが実際何を意味しているのが、どうしてそうしなければならないのか、などということに関しては、河野氏は全く疎いと思います。小泉氏とともに、国債は将来世代へのつけなどと、いいかねません。いや、言うでしょう。

私としては、このブログにも掲載したように、コロナ対策のために、政府と日銀の連合軍が出来上がったのですから、この連合軍は、これからも何か未曾有の出来事が発生して、経済が落ち込むたびに連合を組み、日本経済の低迷を救うのに役立てるべきと思っています。

政府と日銀の“対コロナ連合軍”は、政府が国債を発行し、日銀がそれを全部買い取り、政府がコロナ対策のための資金を得るという方式のことです。

5月22日の黒田東彦(はるひこ)日銀総裁と麻生財務大臣の共同談話により、合意されたものです。

       5月12日、麻生太郎財務相の記者会見で、マスコミと財務省を、
       財政崩壊をいたずらに煽る「狼少年」だと揶揄
これは、何のためかといえば、経済が落ち込んだときに、政府と日銀による、積極財政と、金融緩和を同時に実行するということです。ざっくりというと、積極財政だけを大々的に実行すると円が逼迫し、デフレ・円高傾向になり、経済に悪影響を及ぼすので、無制限の金融緩和も同時に実行すべきということです。

日本では、この両方を同時に実行するという欧米では定番となっている考え方が、ほとんど受け入れらていません。ここでは、詳細は説明しませんが、国債を大量に発行したとしても、日銀が買い取れば、何の支障もありません。ましてや、将来世代につけになどなりません。唯一の危惧は、インフレですが、現状の日本はデフレからすっかり抜けきっていないので、インフレの心配もありません。

自民党の議員でも、この両方をすべきとする人は、少なく、経済政策というと、積極財政か、金融緩和をいずれかをすると考える人がほとんどです。河野氏の頭にもこのようなことは組み込まれていないようです。

かなり経済が落ち込んだり、落ち込むことが予想される時の、経済対策の基本はこれです。無論実務的には、どのくらい、どの期間、どの方法を実行するかということでは様々な方法や組み合わせがありますが、方向性としては、これ以外にありません。

これ以外を実行すれば、失敗するだけです。実際、平成年間のほとんどの期間は失敗して、日本はデフレ状態でした。いい加減、このことに多くの国会議員が気付くべきと思うのですが、財務省の縛りが激しく、そうはなりません。

経済が落ち込み続ければ、防衛費も削減せざるを得なくなるわけですから、経済に対する理解も安全保障には不可欠です。それを考えると、河野防衛大臣は、残念ながら失格といわざるを得ないです。

ただし、それは、自民党の他の議員もほぼ右に倣えで、河野防衛大臣だけがそうというわけではありません。

私としては、安倍総理がさらに4期目も総理大臣を務めつつ、若手を育てていくか、それが叶わないなら、メンターとして、ポスト安倍を育てられる、環境とシスステムを整えるべき思います。

それが、ここ20年最も経済的にも、安全保障的にも、外交的にも、最もパフォーマンスの良かった、安倍総理ならではの、最後の最大のつとめだと思います。

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2020年8月4日火曜日

【国家の流儀】「日米豪」対「中国」の対立構図が鮮明に! トランプ政権が描く「アフター・コロナ」の世界戦略 — 【私の論評】米大統領選は、トランプ若干優勢と見ておくのが妥当!(◎_◎;)

【国家の流儀】「日米豪」対「中国」の対立構図が鮮明に! トランプ政権が描く「アフター・コロナ」の世界戦略 

左寄り、トランプ米大統領、豪モリソン首相、安倍日本首相
 11月の大統領選挙を控え、国内対立が激化している米国だが、ドナルド・トランプ政権はそんな国内問題に足を引っ張られるどころか、コロナ危機の最中も「アフター・コロナ」の国際社会を見据えた大胆な手を次々と打っている。

 トランプ政権が描く「アフター・コロナ」の世界戦略、それは自由主義に基づく国際秩序を断固として守るために、米国を経済的軍事的に強くし、日本をはじめとする同盟国との関係を強化し、中国「共産党」政権の暴走を抑止する、ということだ。

 その世界戦略をまとめた報告書「中国に対する米国の戦略的アプローチ(United States Strategic Approach to the People’S Republic of China)」が5月下旬、発表された。

 日本のマスコミの扱いは小さいが、16ページからなるこの報告書は、経済、通商、安全保障、人権、環境など多岐にわたって中国の問題点を列記し、それらの課題への対抗策を列記している。

 その冒頭にはこう記されている。

 米国は1979年の中国との国交樹立以来、懸命に経済協力を行い、民主化を促してきたが、そうした対中関与政策は中国自身によって否定された。

 特に2001年に中国がWTO(世界貿易機関)に加盟した際、加盟国は、中国が経済改革の道を歩み、市場志向の経済・貿易体制へと変貌していくことを期待していたが、こうした期待は実現されなかった。

 それどころか13年、「資本主義は必ず滅び、社会主義は必ず勝利する」と述べた習近平総書記(国家主席)のもと中国は「一帯一路」を掲げてアジア太平洋諸国を影響下に置こうとする一方で、沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海、南シナ海、台湾海峡、中印国境地域で挑発的で強圧的な軍事・準軍事活動を繰り広げている。

 よって「過去20年間の対中関与政策は『誤り(false)』」だったと、トランプ政権は総括している。

 その歴史的な総括を踏まえて、トランプ政権は、米国を含む自由主義陣営の体制を強化し、同盟国を中国から守るため、今後、「米国は、自由で開かれたルールに基づく国際秩序を弱める北京の行動には応じないし、応じるつもりもない」と明言しているのだ。

 こうしたトランプ政権の動向に対して、日本では「親中派が横行する日本は果たして米国と協調できるのか。このままだと米国に見捨てられるのではないか」という声が聞こえてくる。

 だが意外なことに、トランプ政権のこの報告書には、米国と連携して日本とオーストラリアが、中国の横暴に懸命に立ち向かっている姿が描かれている。

 日本はもっと旗幟(きし)を鮮明にしてほしいと思うが、その一方で少なくともトランプ政権は、「日米豪」対「中国」という構図で国際社会を見ていることは理解しておきたいものである。

 ■江崎道朗(えざき・みちお) 評論家。1962年、東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集や、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、現職。安全保障や、インテリジェンス、近現代史研究などに幅広い知見を有する。著書『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ)で2018年、アパ日本再興大賞を受賞した。自著・共著に『危うい国・日本』(ワック)、『インテリジェンスと保守自由主義-新型コロナに見る日本の動向』(青林堂)など多数。

【私の論評】米大統領選は、トランプ若干優勢と見ておくのが妥当!(◎_◎;)

日本の報道では、何やらトランプが大統領戦で、再選されなければ良いような報道が多いですが、上の記事を見ていると、そうではないようです。

なぜなら、「米国は、自由で開かれたルールに基づく国際秩序を弱める北京の行動には応じないし、応じるつもりもない」と明言しているからです。

現在の米国は、中国に対抗することで、政府も議会も超党派でまとまっています。次の大統領選挙で有力視させているバイデン氏もその点では、変わりないように見えます。

しかしバイデン氏は、 大統領選への出馬を表明した直後の昨年5月2日、集会で次のように発言しました。

「中国に俺たちの昼飯を食べられてしまう(やっつけられてしまう)って? 冗談じゃない!」 トランプ大統領の対中強硬姿勢に対抗する意味で発言したものでしたが、逆にバイデン氏が中国に対して「弱腰」と批判されました。

 その対中姿勢に関連して、副大統領時代の2013年に中国を公式訪問した際、二男のハンター氏を同道させ中国側の要人に紹介したのですが、帰国後ハンター氏が経営する投資会社に中国銀行から15億ドル(約1500億円)が振り込まれたという話があり、トランプ陣営は選挙戦が本格化するとこの話でバイデン氏を攻撃することが目に見えています。

さらに、オバマ政権で対中政策の采配をふるっていたスーザン・ライスが要職に付くと見られています。

「副大統領候補の内、スーザン・ライスがバイデンと最も良い関係を築けるかもしれない」(ザ・ウィーク電子版5日)

 バイデン氏の副大統領にはアフリカ系女性が有望とされる中で、ライスの下馬評が高くなってきています。オバマ政権での安全保障問題担当補佐官としてバイデン副大統領とも通ずるところが多かったライスさんは、副大統領でなくとも国務長官として外交を仕切るのではないかと噂されていますが、これは日本とっては悪夢です。

ライスは2013年に補佐官就任直後の講演で「中国とは新たな大国関係を機能させようとしている」と言って注目されまし。習近平主席の太平洋を米中で2分割しようというG2論を容認したと受け取られたからです。

 また同じ講演会で記者から尖閣列島問題を訊かれると「米国は主権の問題には立ち入らない」と従来の米国政府の立場から後退した考えを示しました。 さらにライスは補佐官当時三回中国を単独訪問して習近平主席と会談しており「ライスにとって中国問題は最も重要な個人的課題になった」(ワシントン・ポスト紙)と言われました。

大統領選は3ヶ月先のことですが、政権が交代した場合の日本への影響と対策をも考えるべきです。

ただ、実際にはバイデンが圧倒的に有利とは言えないようです。米国調査会社トラファルガー・グループ(ジョージア州)は2016年の前回大統領選で激戦州ミシガンなどの結果を言い当て、トランプ氏勝利を予測した数少ない世論調査会社です。

同グループの、ロバート・カヘリー上級調査員は取材に対し「トランプ支持でも、そうとは言いにくい空気が4年前より強い」と指摘しています。

米国調査会社トラファルガー・グループのロバート・カヘリー上級調査員
カヘリー氏によると、電話など人対人の世論調査では、社会的に望ましいとみられる回答に反する場合、対象者がうそをつくことがあります。4年前、同社は「あなたはトランプ支持か」という質問に加え、「あなたの隣人の大半はトランプ支持か」を尋ねました。後者が本心を聞き出すための質問で、より実態を捉える効果があったといいます。

1日現在、各種調査の平均でバイデン氏の支持率はトランプ氏を7ポイント上回っていますが、同社の調査では、五分かトランプ氏やや有利の展開といいます。カヘリー氏は「人々がバイデン氏の楽勝を信じ、結果が異なれば、選挙の公正さを疑われかねない」と語り、精度向上の必要性を訴えています。

隠れトランプ支持者の存在をめぐっては論争があります。4年前、激戦州の直前世論調査の平均は、実際の選挙結果と最大7ポイント違っていました。米世論調査協会は半年後の17年5月、「なぜ間違ったのか」を検証する報告書を公表しました。

態度未定の有権者の多くが最終盤でトランプ氏に流れたことなどを理由に挙げましたが、「隠れ支持者」の存在は「証拠がない」として認めませんでした。

私は、このブログで先月バイデンが圧倒的有利とは米国メディアが作り出した幻想にすぎなく、 実態は五分五分と認識すべきだと主張しました。この考えは、今でも変わりありません。そのため、ロバート・カヘリー氏の主張は、まさに我が意味を得たりという思いがしました。

米国で連日のように行われているトランプ政権に対する抗議デモや暴動は実は、選挙にはほとんど関係がありません。なぜなら、黒人の若年層は投票権がないか、投票所に行かないからです。

若年層に投票権がないのには、二つの理由があります。一つは、無論18歳未満で、そもそも選挙権がないということです。もう一つは、選挙人名簿への登録を行っていない者が多いからです。

米国には日本のような住民基本台帳が無いため、自動的に選挙人名簿に登録されることは無く、選挙人名簿(Voter registrationがこれにあたる)に自己申告で登録しなければ選挙人名簿には登録されず、投票資格が生じないのです。 なお選挙権が無いにも関わらず選挙人登録をすると刑法犯罪になります。

以上のようなことを考えると、バイデン優勢どころか、トランプがリードしている可能性すらあるのです。その理由を以下にあげます。
(1)一般的な世論調査ではバイデン候補がトランプ大統領を7ポイント程度リードしています。しかし「投票する」と答えた有権者への調査では、逆に3~5ポイント、トランプ優勢。 
(2)選挙資金の潤沢さ(トランプ2億5000万ドル、バイデン6000万ドル)。選挙戦では高額なTVスポット広告で、攻撃されたら直ちに反撃できます。この差は大きいです。 
(3)中国たたき。米国民の67%が習近平体制に反感を持ち、反中政策は人気。特に共和党びいきの93%がトランプ支持です。
トランプ政権の中国攻撃は、民主党をたたくことにつながります。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(2020年4月22日)によると、バイデンの息子が中国との間に持つ利権をトランプ陣営は調査中です。同時に、民主党幹部の中に、中国に利権を持つ人物が複数浮上しています。

バイデン氏(左)と息子
トランプ政権発足直後に、フリン大統領補佐官が辞任。その後、ロシア大使に接触したとして起訴されましたが、5月7日、司法省は起訴を取り下げました。

FBI(米連邦捜査局)がうそを強要したメモが見つかったとされ、トランプ大統領は「オバマゲート」と呼んでいます。トランプ政権にとって大勝利です。

5月12日、ワシントン連邦地裁は、起訴取り下げの承認を見送りました。今後、第三者の意見を参考に、事実関係を精査して結論を出す。2~3カ月かかるとみられていますが、トランプ側が有利な材料を手にしていることに変わりはないです。それに、もう8月です。今月にも結論が出されるかもしれません。

民主党指導部によるフリン起訴の仕掛けも、問題視されています。

2016年大統領選当時、ヒラリー・クリントン候補を勝たせるべく、国家権力を使ってトランプ陣営を妨害したとされます。しかし、トランプ当選で思惑は狂い、FBIを使ってフリン氏に罪を着せ、同時にトランプを陥れようとしたというのです。

司法省は「オバマ側がスパイ行為をしていた証拠を握っている」と発言。これも11月の大統領選の前に結論が出れば、トランプ側に有利になります。

オバマ氏
ただ、トランプ再選への大きな不安は、連邦最高裁に上がっているトランプの納税・銀行取引記録の開示問題です。

下院とニューヨーク市検察当局がトランプ取引銀行に開示を求め、大統領側は拒否しています。

米連邦最高裁は先月9日、トランプ大統領はニューヨーク州の検察当局が求めた納税申告書を含む財務記録の提出を拒否できないとの判断を示しました。一方で下院の調査委員会が求めていた開示は認めず、下級審に審理を差し戻しました。

いずれも最終決着までには時間がかかる見通しで、11月の米大統領選の前にトランプ氏の財務記録が公になる可能性は低くなりました。

以上のようなことを考えると、大統領選挙でトランプが不利で、バイデンが有利とは言えないと思います。いまだ五分五分どころか、トランプに若干有利かもしれません。

しかし、選挙は、水ものですから、蓋を開けてみるまでは、何とも言えないところがあります。そのため、バイデンが大統領、ライスが副大統領となった最悪の場合も想定しておくべきです。

そうして、それ以前に、米国は抜きにして、日本としては中国にどう対処するのか、戦略を立てておくべきです。そうすれば、大統領がトランプになろうが、バイデンになろうが、進むべき道ははっきりするはずです。

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2020年8月3日月曜日

李登輝氏、終生訴えた「自信持て、日本人」— 【私の論評】台湾民主化の道筋を見ると、大陸中国の民主化も、不可能ではない!大陸中国こそ、現在の台湾のあり方を学ぶべき!(◎_◎;)

李登輝氏、終生訴えた「自信持て、日本人」

関西空港に到着し、出迎えの人々に手を振る台湾前総統の李登輝先生=2001年4月22日

台湾の李登輝元総統が7月30日、台北市内の病院で亡くなった。97歳だった。総統任期期間には、台湾の民主化に多大な貢献を果たした。経済面でも、農業経済学者だった素養を生かし、1990年代の台湾の飛躍的な経済成長を支えた。日本統治時代の台湾で生まれ育ったことから、晩年は日台関係の強化に尽力。関係者によると、「日本人よ、自信を持て」と訴え続けていたという。

台湾民主化の父、李登輝元総統が7月30日に死去した=18年6月、沖縄(李登輝基金会のウェブサイトより)

李氏は30日午後7時24分、入院していた台北栄民総医院で、多臓器不全などのため死去した。台湾メディアによると、李氏は今年2月8日の食事中に、喉を詰まらせて入院。その後、肺や腎臓などの機能不全を併発したことで、入院は長期化。7月23日以降は昏睡状態に陥っていた。
台湾内外から哀悼の声が寄せられた。民主進歩党(民進党)の蔡英文総統は30日に李氏を追悼する声明を発表。「台湾民主化の過程で、李氏がもたらした貢献は他に取って代わることのできないもの」として、李氏の功績をたたえた。李氏が2001年まで籍を置いた中国国民党も同日、「李元総統は人々に新しい人生をもたらした」とする声明を発表した。

日本の安倍晋三首相は31日、「痛惜の念に堪えない」などとコメント。同時に「日本と台湾の親善関係に多大なご貢献をされた方」と李氏をしのんだ。

■無血の民主化推進

李氏は1971年に国民党に入党。88年に本省人(台湾出身者)として初めて総統に就任した。00年に退任するまでの約12年間で6度の憲法改正を行うなど、大々的な政治改革を推進。94年には初の旧台湾省長と直轄市長の直接選挙、96年には初の総統直接選挙(李氏自身が当選)をそれぞれ実施。就任時は中国国民党の事実上の独裁下にあった台湾を民主主義社会へと変貌させた。

李元総統の最大の功績は、血を一滴も流さず民主化を進めたこと――。そう指摘するのは、李氏が主催する李登輝基金会の早川友久顧問。当時の国民党幹部の多くは、戦後に中国から台湾に渡った外省人。早川氏によると、党内で孤立しそうな環境下にあっても、李氏は内部の保守派と対話をしつつ、政治改革に着手したという。

■1人当たりGDP約2.3倍に

李氏は政治面だけでなく、経済面でも台湾に多大な貢献を果たした。任期中の年間の経済成長率はおおむね6~9%を確保。88年に6,370米ドル(約67万円)だった1人当たり域内総生産(GDP)を00年には1万4,908米ドルまで押し上げた。

中国への投資規制を緩和し、中国経済の拡大を台湾経済の成長につなげた。一方、任期後半には中国への資金流出による台湾経済の空洞化を危惧。中国投資に制限を設ける「戒急用忍政策」を打ち出した。米中貿易摩擦を経て問題視された経済的な中国依存に、早くから警鐘を鳴らしていた人物とも言える。


早川氏は、「李氏は元々農業経済学者であり、国民党内では経済政策で結果を出すことで、地位を上げてきた部分がある」と説明。政治改革の陰に隠れがちだが、経済面でも成果を収めた政治家だった。

■「日本統治の光を見てほしい」

李氏は日本が統治していた1923年の台湾で生まれた。京都帝国大学(現在の京都大学)に進学するなど、日本語で教育を受けていることから、終生日本との関わりを重視してきた。

早川氏によると、特に晩年は日台の交流活動に心血を注いでいた。李登輝基金会は毎年2回、日本人50人前後を台湾に招き、台湾への理解を深めてもらう研修活動を開催。李氏は同研修で必ず講演を行い、日台の相互理解促進に尽力した。

中でも繰り返し口にしたのが、「日本の若者にもっと自信を持ってほしい」とのメッセージ。早川氏によると、李氏が日台交流を促進する背景には、日本人に日本統治が台湾にもたらした功績を見せ、自信を持ってもらいたいとの思いがあった。

日本の台湾統治に影がないとは言わない。ただ、より多くの光を与えてくれた――。日本語世代が減少し、日台の相互理解が希薄化することへの危機感を胸に、李氏は生前そう訴えていたという。


【私の論評】台湾民主化の道筋を見ると、大陸中国の民主化も、不可能ではない!大陸中国こそ、現在の台湾のあり方を学ぶべき!(◎_◎;)

李登輝総統が誕生する前までの台湾はどうだったのか、ということが意外と知られていないようです。上の記事にも掲載されていません。これはあまりにも当たり前なのか、それとも意図して意識して裂けたのかわかりませんが、その現実を知れば、さらに李登輝氏の偉大さがわかります。

日本時代の1919年に立てられた堅牢なレンガ造りの台湾総督府の建物(同時期に作られた東京駅にも似ている)は、国宝級古跡にまで指定され、現在は台湾総統府として大事に使われています。

こうした台湾のインフラ整備に意欲を傾けた偉人達と、台湾全土で忠実に任務にあたった警察官や学校教師達のおかげで、台湾人は次第に日本人を敬愛するようになっていきました。

しかし周知の通り、大東亜戦争は日本の敗北で幕を閉じました。台湾は領土未帰属の状態となり、とりあえずの措置として中華民国(国民党軍)がやってきて支配することになりました。台湾人は、当初は同じ漢民族である(と誤認していた)中華民国を歓迎するつもりでしたが、軍規粛正な日本軍とのあまりの落差にショックを受けることとなりました。

国民党政府は1947年から、全土に戒厳令を敷き、台湾人を白色テロにより殺害しました。 特に、元日本軍人や知識人などが狙われたため、このあと台湾は文化、経済的に大きく停滞することになりました。この虐殺による死者は3万人近いとも言われますが、正確な数字は未だに不明です。戒厳令が解除されたのは、何と1987年です。

3万人というと、現在の台湾の人口が、約2400万人ですから、当時はもっと人口が少なかったはずですし、夥しい数の人々が、虐殺されたのは間違いありません。この事実が今でも、台湾の人々に大きな影を落としています。

このような歴史を経て、日本統治時代を直接経験している世代は、流暢な日本語を話し、「自分は元日本人である」と胸を張ってくれている人が多いです。李登輝元総統や、司馬遼太郎『台湾紀行』にも出てくる蔡焜燦氏らの世代(2017年死去)です。これらの方々が徐々に亡くなられていることは、本当に寂しいです。

蔡焜燦先生
しかし、台湾の全人口が親日的なわけではありません。戦後やってきた外省人は、もちろん反日的です。外省人は少数派ですが、政権を掌握してきた彼らは中華民国の反日史観で国民を教育し、メディアを支配してきました。

これによって、本省人にも戦後世代には反日史観に影響されている人も増えてしまいました。

しかし台湾の民主化以降は言論、政治にも日本統治時代の自由な空気が戻り、1997年には日本統治時代を客観的に評価する『台湾史』の教科書が制定されました。それまでは「中華民国は大陸全土を支配している」という蒋介石の妄想に従って『中華民国史』しか教えられていなかったのですが、ようやく台湾を台湾として教えられる教育が始まったのです。

このようなことを考えると、李登輝氏がいかに偉大であったのか、良く理解できます。李登輝氏の前までが、現在の大陸中国ともあまり変わりないようにも見られる、政権が台湾を統治していたものを、そこから武力も行使せずに、民主台湾を築いたのです。

こうして、台湾民主化の道筋を見ると、大陸中国の民主化も、不可能ではないと思えてきます。大陸中国こそ、現在の台湾のあり方を学ぶべきです。

そうして、李登輝先生がおっしゃったように、日本人はもっと自信を持つべきです。

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2020年8月2日日曜日

中国、漁船群の尖閣領海侵入を予告 「日本に止める資格ない」— 【私の論評】日本の潜水艦のステルス性、哨戒・掃海能力が中国を遥かに凌駕している限り、中国の列島線等単なる妄想に過ぎない!(◎_◎;)

中国、漁船群の尖閣領海侵入を予告 「日本に止める資格ない」

    尖閣諸島周辺の接続水域を航行する中国の公船や漁船に対応する海上保安庁の
    巡視船(左端)=平成28年8月(海上保安庁提供)
中国政府が日本政府に対し、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での多数の漁船による領海侵入を予告するような主張とともに、日本側に航行制止を「要求する資格はない」と伝えてきていたことが2日、分かった。16日に尖閣周辺で中国が設定する休漁期間が終わり、漁船と公船が領海に大挙して侵入する恐れがある。日本の実効支配の切り崩しに向け、挑発をエスカレートさせる可能性もあるとみて日本政府内では危機感が高まっている。(半沢尚久)

 大挙侵入予告といえる主張を伝えてきたのは、7月2~5日に中国公船2隻が尖閣周辺の領海に侵入して操業中の日本漁船1隻に接近し、平成24年の尖閣諸島国有化以降で最長の39時間以上も領海にとどまった時期だ。

  中国政府当局は「日本の海上保安庁は(尖閣周辺で)1隻の日本漁船すら航行するのを止められなかった」と批判。「数百隻もの中国漁船の(尖閣周辺での)航行を制止するよう(日本が)要求する資格はない」と述べた。

  日本政府高官はこの主張を「意趣返しの意思表示で休漁明けの挑発を正当化する布石だ」と指摘する。 

 尖閣周辺では28年の休漁明けに4日間で延べ72隻の漁船と延べ28隻の公船が領海侵入した。30年以降は中国当局が尖閣周辺に漁船が近づかないよう指示していたとされる。

  今年は、4月に予定していた中国の習近平国家主席の来日の延期が3月に決まると、4月14日から尖閣周辺で公船が確認され続け、今月2日も接続水域を航行。111日連続の確認で、国有化以降で最長の連続日数を更新している。

  中国政府は、5月8~10日に公船が領海に侵入して日本漁船を追尾した際には「『中国の領海』で違法操業」している日本漁船を「法に基づき追尾・監視」したとの見解を示した。法執行を強調することで尖閣に対する日本の実効支配を弱め、中国の領有権主張を強める狙いがあった。

尖閣諸島周辺で外国漁船に対応する海上保安庁巡視船

  漁船の大挙侵入予告にも同じ意図がある。尖閣をめぐり日本政府が「存在しない」とする領有権問題が存在し、日中が対等な立場にあると喧伝(けんでん)するため、意趣返しとして漁民に領海侵入を促し、公船も随伴させる可能性があり、休漁明けを前に海保と国境離島警備隊を4月に新設した沖縄県警は警戒感を強めている。 

 挑発の新たな形態も懸念される。漁民らで組織される海上民兵の投入で、昨年7月にベトナムの排他的経済水域で公船とともに海上民兵船が活動した前例がある。今年6月の法改正で公船が所属する海警局と海軍が同じ指揮系統で運用可能になり、尖閣周辺で軍艦艇と公船、民兵船を試験的に一体運用する機会をうかがっているとの見方もある。

  日本政府高官は、公船の背後に控える中国海軍艦艇をマークしている海上自衛隊艦艇に加え、海自の哨戒機と空自の早期警戒機の飛行頻度を増やし、「中国側が認識できるレベルまで警戒態勢を引き上げるべきだ」と指摘している。

【私の論評】日本の潜水艦のステルス性、哨戒・掃海能力が中国を遥かに凌駕している限り、中国の列島線等単なる妄想に過ぎない!(◎_◎;)

令和2年版防衛白書は、尖閣諸島(沖縄県石垣市)やコロナ禍をめぐる中国の動向に強い危機感を示し、北朝鮮の核・ミサイル開発については「重大かつ差し迫った脅威」と指摘しました。

白書は、尖閣周辺での中国公船の領海侵入について、力を背景とした一方的な現状変更の試みを「執拗(しつよう)に」継続していると批判しはました。中国がコロナ禍を利用し、「自らに有利な国際秩序」の形成を図っているとも分析しました。

これが新型ウイルス感染症が広がるさなかの現実なのです。白書から隣人中国の振る舞いを知れば平和を保つ抑止力の充実が急務だとわかります。白書は、中国は「安全保障上の強い懸念」であり、「強い関心をもって注視していく必要がある」と位置づけました。産

この記述自体は当然のことですが、踏み込みが足りなすぎです。『安全保障上の脅威』と明記すべきでした。

白書は、北朝鮮を「脅威」とし、かつてはソ連を「潜在的脅威」と評したこともあります。今日の中国は核搭載可能なミサイルを日本に向け、台湾に軍事的圧力をかけ、南シナ海の軍事拠点化を進めています。

日本と中国の経済的関係は昔の日ソ間よりもはるかに深いですが、日本の島や海を狙っている中国に対し必要のない遠慮を政府が続け、脅威とさえ指摘できないようでは日本の防衛意志が疑われ、抑止力を弱めるばかりです。

中国は、ブログ冒頭の記事にもあるように、漁船群の尖閣領海侵入の予告さえしてきています。中国は、現状中国の公船が頻繁に出入りするのが恒常化しているように、漁船群の尖閣領域侵入を恒常化させるつもりのようです。

その次の段階では、尖閣に侵入した漁船群を守ると称して、日本の船舶等を尖閣水域から、追い出すようなことをするものと思います。

なぜこのようなことをするかといえば、軍事力では尖閣水域を自分たちのものにできないからです。このブログでは、何度か述べいるように、日本の潜水艦は、ステルス性能に優れており、中国はこれを発見することはできないからです。

その上、中国の潜水艦はステルス性能が劣るため、日本側にすぐ発見されてしまうからです。この意味するところ、日本の潜水艦は、中国の潜水艦を含む艦艇を中国側に感知されず、自由に攻撃してこれを撃沈できるのですが、中国側は手も足も出ないということです。

このような日本の優位性があるからこそ、中国は尖閣諸島を奪取できないのです。中国海軍のロードマップでは、今年は第二列島線まで確保することになっていますが、現実には尖閣諸島を含む第二列島線ですら確保出来ていないのです。

中国海警局の巡視船が尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領海に侵入する際、中国海軍のミサイル艇が巡視船に連動して台湾付近に展開していることが1日、分か利ました4月14日から今月1日まで110日連続で巡視船が尖閣周辺を航行した期間にも同様の動きがあり、中国本土ではミサイル部隊が展開していることも判明。不測の事態に備え、周辺海域を警戒する海上自衛隊の護衛艦を牽制(けんせい)する狙いがあるとみられます。




ミサイル艇が展開するようになる以前から中国軍艦艇の動きはありました。海警局の巡視船が尖閣諸島周辺を航行する際は海軍のフリゲート艦や駆逐艦が周辺海域に展開しています。  

ただ、フリゲート艦などは尖閣諸島から約90キロ北東の北緯27度線以北を航行しており、27度線を越えて南下するのは例外的な動きにとどまっています。海自護衛艦は27度線以南の海域に展開しており、日本側の動きを観察するためとみられています。これに対し、ミサイル艇は基本的に27度線以南の海域を航行しています。

ミサイル艇は27度線以南の海域を航行しているのに、なぜフリゲート艦や、駆逐艦が27度線以南の海域を航行しないかといえば、その海域には、いやそれよりももっとはるかに広範囲の水域に日本の潜水艦が潜んでいると見ているからでしょう。

日本政府としては、中国側が現在以上の威嚇をしてきた場合、どのようにするのか、撃沈などを含むブロトコルを定めでおいて、実際に中国海等がそのような行動をした場合は、実行すべきでしょう。

さらに、日本にはそのようなプロトコルがあることを中国に公表して、挑発を激化すれば、とんでもないことになることを通達すべきです。無論、プロトコルの詳細まで知らせる必要はありません。そんなことをすれば、軍事機密を漏らすようなものです。

そのような公表したとしても、反対したり憤慨するのは、中国、ロシア、北朝鮮くらいなものです。それ以外の国は、反対しないどころか、賛成する国も多いと思います。国際法上まったく何の問題もないです。

さらに、まかり間違って、中国の漁船員などが上陸した場合は、何やら色々なことを主張する人もいますが、私は、複数の潜水艦で、尖閣諸島を包囲し、水、燃料、食料などを補給できないようにすれば。すぐにお手上げになるだけだと思います。潜水艦だけでは、普段が大きければ、機雷による封鎖も考えるべきです。

海上自衛隊の掃海艇
これも、日本は掃海能力が世界一ですが、中国は格段に劣っています。中国海軍が、機雷を敷設しても日本側は、これをすぐに除去できますが、日本が機雷を敷設すれば、中国にはこれなかなか除去できません。

日本の潜水艦のステルス性、哨戒・掃海能力が中国を遥かに凌駕している限り、中国の列島線等単なる妄想に過ぎないのです。これが、ある限り、中国海軍のロードマップは、絵に描いた餅にすぎないです。

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