各社は家庭や企業に対して、節電の準備を進めるよう求めています。
東京電力 29日 午後4時半から午後5時 最も需給厳しく
関東地方では29日も厳しい暑さが続き冷房の使用などで電力需要が増えることが見込まれています。
このため東京電力の管内では29日も電力供給の余力を示す「予備率」が5%を下回る可能性があるということです。
具体的には午後4時半から午後5時が最も需給が厳しくなるということです。
このため、東京電力は「電力需給ひっ迫準備情報」を出しました。
準備情報はことし5月に新たに設けられた制度で、これが初めての発表になります。
会社は、家庭や企業に対して、節電の準備を進めるよう求めています。
東北電力も初の「電力需給ひっ迫準備情報」 29日
全国的に厳しい暑さが続いていて冷房の使用などで電力需要が増えることが見込まれています。
東北電力によりますと、29日東北6県と新潟県で電力供給の余力を示す「予備率」が5%を下回る可能性があるということです。
このため、東北電力は「電力需給ひっ迫準備情報」を出しました。
東北電力の準備情報の発令も、これが初めてです。
東北電力によりますと、使用率のピークは夕方の時間帯とみられていて、あさって午後4時半から午後5時までの予備率は4.1%と、電力の安定供給に最低限必要とされる予備率3%をやや上回るだけの水準となっています。
東北電力は、家庭や企業に対して、節電の準備を進めるよう求めています。
ただ、猛暑によって熱中症の危険性が高まっているとして、冷房は適切に使用しながら、使わない部屋の電気や空調は切るなど、日常生活に支障がない範囲での節電を求めています。
北海道電力でも初の「電力需給ひっ迫準備情報」
電力需給がひっ迫している本州方面に融通する影響で、北海道電力の管内では29日、電力供給の余力を示す「予備率」が5%を下回る可能性があるとして、北海道電力ネットワークは新たに設けた「電力需給ひっ迫準備情報」を初めて出しました。
【私の論評】GDPギャップを埋めない限り、電力等の物価上昇にみあった賃金上昇は見込めない(゚д゚)!
エネルギーや食料価格の高騰が続くなか、政府は「物価・賃金・生活総合対策本部」の初会合を開き、岸田総理は農産品の価格上昇の抑制や実質的な電気代の負担軽減に向けた対策を行う方針を示しました。
小麦などの食品の原材料や肥料、飼料なども高騰しており、それに対しても対応策を出すとのことです。
個別価格の上昇への対応は、減税でやるか、補助金でやるかということになります。経済学の原理からいくと、見えやすくてわかりやすい減税で行うのが普通です。しかし、なぜか自民党は補助金で対応するということです。
電力ひっ迫や電気料金の高騰を緩和するために、一般家庭の節電に応じてポイントを付与する仕組みをつくるということですが、これは最初は冗談なのかとも思ったのですが、そうではないようです。
これでどのくらい節電できるのかと言うと、年間1000円~2000円の間、1500円程度です。これに対するポイントということは、それより小さいはずなので、「一体何なのか」という感じです。家庭での節電は1世帯で1ヵ月100円程度にしかならないです。これでは全く大した額ではありませんね。
節電効果が大きいのならわかりますが、大したことはありません。そのぐらいの節電でしたら、既存住宅を断熱改修した方が効果があると思います。補助金を付ければ簡単にできてしまうので、ますます不思議で仕方ありません。
「家庭の節電でポイント付与」ということをマスコミは報道しますが、これで「いくらなのか」という報道は、しません。普通に考えれば1年間1000~2000円ぐらいなので、1ヵ月100円程度のレベルです。
これでは、ポイントを付けてもたかが知れているのです。節電効果と同じポイントを付けたとしても、月に100円くらいのレベルなので、1日数円程度で何とかし
ようというのは、間違っているとしか言いようがありません。
企業向けには一定の割合で電力会社が買い取る仕組みの導入を検討するということですが、どこまでできるのか不透明です。
1000億円くらいにでもなれば大きな金額ですが、それでも予算としては小さいです。マスコミは、誰かに調べてもらって「予算規模はいくらですか?」と質問し、その額を報道するべきだと思います。先ほどの節電効果からすれば、それほど大きな予算を付けられるはずがないのです。
省エネ等、それこそ日本はオイルショックのときからやり続けていることでもありますし、断熱改修などをやらないとなると、できることは限られてきます。
断熱改修は各国で行われていて、政府も実施するとは言っているのですが、新築のものに対して実施ということです。しかし、既存のものに対してやらなければあまり意味はないです。
新築に対して、「断熱効果を高めることを義務付ける」という法律は、本国会でも通っています。
それもいいのですが、既存のものは補助金で対応すべきです。
法律のなかでは、既存のものについては「低利で融資する」と書かれています。
ポイントなどもどのくらいできるかということは、最終的には予算規模の問題です。
環境省は、すでに省エネ家電購入などでポイントを付与する事業を行っています。
現金で実施するようにして、そのまま減税するのが最も簡単でいいポイントてず。その方が直接お財布にお金が残ります。
ポイントと言われると規模感がよくわかりません。ポイントであれば、このような話はごまかせるからでしょうか?
「この事業にいくら予算が付くのか」と、予算については必ず聞くべきです。この質問に答えられないようならおかしいです。マスコミの方にはそういうことを聞いたらいたいです。
今回、環境に配慮した行動に対しポイントを付与する事業には、26団体が参加するのだそうです。多くが参加すると、期限がいつなのかがわからないまま終わってしまうことが、ポイント関連ではよくあります。
結局使えないポイントも多いのではないでしょうか。現金は使わなくても残すことができますが、ポイントには期限があります。
物価高に関して、今回の参院選の争点だとするマスコミも多いです。各党、様々な対策を打ち出してはいますが、どんな処方箋が良いのかという話になります。
逆説的なのですが、現在の物価高は海外要因なので、それを誰が吸収するかという議論なのです。そのようなときには、最終需要を増やすという吸収の手段が最も好ましいのです。ある程度、物価は高くなりますが、「高くなっても補助金が入って懐が痛まない」というのが政策としては最も良いのです。しかし、上がったところでダメという議論になると、最終需要を増やすという政策がやりにくくなります。。
補助金などの対策をしないとなると、転嫁できない可能性が高くなって、のちのち大きく影響することになります。転嫁できないとなると、最終的に雇用に跳ね返ってしまいます。経済政策としてGDPギャップをまず埋めて、簡単に転嫁できるようにすべきです。転嫁はできるけれども、最終的には財政支出ですべて受けてしまうということが筋なのですが、いまの議論ではなかなかそこまではいかないです。
マクロ経済のGDPギャップを意識した政策ができていないと、最終需要者に転嫁できないとなると、輸入業者や企業等が吸収する形になりますが、風上から風下にかけて、どこかで吸収できなくなります。吸収できなくなると、そこで失業率が高まります。失業率は典型的な遅行指標なので、これは半年くらい先の話になるでしょう。
失業率が高いままでは賃金は上がらないです。米国などでは、内需が回っています。そのため雇用など悪化することもありません。それでも米国人は、ガソリン価格が上がっただけでも文句を言うのですが、日本はまだインフレになっていないという状態です。インフレになっている方が雇用が安定するから、まだいいのです。
インフレに対しては、かつてのオイルショックなどに対するイメージの問題だと思うのですが、「即座に対峙するべきだ」というような考え方があります。
数字で捉えると、現在の日本は全体の総合物価指標でせいぜい2%ぐらいです。米国などは8%ぐらいまでいっています。全然違います。日本は生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)で0.8%程度の上昇ということは、ほとんど上がっていないと言えます。
そのため、本来様々な政策を打つ余地はかなりあります。財政出動と金融緩和の両方でとにかくGDPギャップを埋めるべきなのです。そうすることで賃金が上がっていきます。賃金の議論をしているのですが、議論としては全然そこまでいきません。やっている手段が違いかますから、当分の間、賃金の話には波及しないという状況です。
ちなみに、GDPギャップはどの程度なのかというのを示したのが下表です。
内閣府は少し低めに見積もる傾向があると髙橋洋一氏などは指摘していますが、それにして27兆円くらいのギャップがあると内閣府が指摘しているわけですから、岸田政権はすくなくも27 兆円程度の補正予算を組み、経済対策を実行すべきなのです。しかし、今回の補正予算は、2兆7009億円のでした、これでは桁違いです。
企業に賃上げ要請を行うということも、最近ずっと続けてきましたが。これは前政権のときには、失業率を下げてから実施しています。失業率を下げると賃上げができます。
失業率がどのくらいになると、このぐらい賃上げができるということは計算できます。賃上げのためにはまずは、失業率を下げるべきなのです。現在の状況だと、最低賃金は1%も上がれば良いくらいです。失業率をもっと下げなければいけないです。現状では雇用調整助成金で抑えているので、見かけ上は失業率が低いのですが、それがなくなると失業率は高くなります。そう考えると最低賃金はあまり上がりません。
結局現在の物価高に見合った賃金の上昇は期待できないということです。
電力需要のひっぱくには原発の稼働などて対応するとともに、物価上昇には利下げなどの筋悪な対処ではなく、需給ギャップを早急に埋める対策が必要です。
岸田政権は参院選後には、これにすみやかに対処しなければ、半年後くらいから失業率が上昇しはじめ本格的に支持率が低迷することになります。失業率の上昇はさすがに、多くの国民も許容することはなく、これに対処しなければ、三年後の衆院選では自民党が負ける可能性もでてきます。
【関連記事】
日銀の金融緩和策、「現状において変えるべきでない」-岸田首相―【私の論評】現在日銀が利上げすべきと主張する人は、金融政策の本質を何もわかっていない(゚д゚)!