2024年1月7日日曜日

「軍事ケインズ主義」進めるプーチン 2024年のロシア経済―【私の論評】ウクライナ侵攻で揺れるロシア経済 物価高騰、財政赤字、軍事費増大の3つのリスク

「軍事ケインズ主義」進めるプーチン 2024年のロシア経済

服部倫卓 (北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター教授)

まとめ
  • ウクライナ侵攻と国際的な制裁にもかかわらず、ロシア経済は2023年もプラス成長を記録した。
  • 軍事費の大幅増を背景に、軍需産業は好調で、GDPの3分の2を占めるまでになった。
  • 一方、物価高騰やガソリン不足などの問題も顕在化し、国民生活への影響も出始めている。
  • プーチン大統領は2024年3月の大統領選への再選を目指しており、国民の支持率を維持するために、公共料金の値上げを抑制するなど、配慮を欠かさない。
  • 住宅市場では、優遇ローンによる融資拡大を背景に、バブル的な過熱が進んでいる。この状況が今後、金融市場の混乱や経済の停滞につながるリスクがある。
ロシア軍女性兵士

2023年のロシア経済は、ウクライナ侵攻や国際的な制裁にもかかわらず、予想以上に持ちこたえた。GDPは3%前後の成長を記録し、失業率は記録的に低い水準にとどまった。

ロシア経済の成長率が予想以上に堅調となった要因は、以下の3つが挙げられる。

石油・ガスなどの資源価格の高騰
ウクライナ侵攻の影響で、国際的なエネルギー価格が高騰した。
ロシアは石油・ガスの輸出大国であり、この恩恵を受けた。
2023年の原油価格は、前年比で約60%上昇し、天然ガス価格は約100%上昇した。これにより、ロシアの貿易収入は大幅に増加した。
軍事ケインズ主義
ロシアは、ウクライナ侵攻に伴い、軍事費を大幅に増大させた。2024年の国防費はGDPの6%に達する見通しであり、これは、2022年までの3%から倍増する。

軍事費の増大は、財政赤字の拡大とインフレの進行をもたらす。しかし、短期的には、GDPを押し上げる効果もある。
西側諸国からの制裁に耐えられる経済基盤
ロシアは、石油・ガスなどの資源に依存した経済構造を有している。そのため、西側諸国からの制裁の影響は限定的であった。

また、ロシア政府は、制裁への対応として、輸入代替や国内消費の拡大を推進した。
軍事ケインズ主義とは、戦争や軍事支出を景気対策として活用する経済政策である。ロシアは、ウクライナ侵攻を契機に、軍事費を大幅に増大させ、これを経済成長のエンジンと位置づけている。

軍事ケインズ主義は、短期的には経済成長を促す効果がある。しかし、財政赤字やインフレの拡大などのリスクも伴う。

ロシア経済は、今後も軍事ケインズ主義を継続すると予想される。そのため、財政赤字とインフレは、今後もロシア経済の課題となると考えられる。

なお、ロシア経済の成長には、以下の課題もある。

物価高騰
ロシアでは、ウクライナ侵攻や制裁の影響で、物価高騰が進んでいる。特に、卵は59%値上がりした。

物価高騰は、国民生活の重圧となり、社会不安の要因となる可能性がある。
輸出入の減少
ロシアの輸出入は、制裁の影響で減少している。特に、西側諸国への輸出が大幅に減少した。

輸出入の減少は、経済の成長にマイナスの影響を与える。また、ガソリン不足や為替安定の対策に追われるなど、さまざまな問題も発生している。
住宅市場の過熱
ロシアの住宅市場は、優遇ローンの利用条件が段階的に厳格化される見通しとなり、ルーブル下落が進み、市場金利が急上昇したため、急速に過熱している。

優遇ローンの利用条件が厳格化されたため、新築住宅の購入を希望する層は、頭金を消費者金融で借りるなどして、無理な借金を重ねるケースも出てきている。

住宅バブルが崩壊すれば、金融システムの混乱や経済の停滞につながる恐れがある。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。 

【私の論評】ウクライナ侵攻で揺れるロシア経済 物価高騰、財政赤字、軍事費増大の3つのリスク

まとめ
  • 2023年のロシア経済は、ウクライナ侵攻や国際的な制裁にもかかわらず、GDPは前年比でマイナス4.2%と、予想以上に持ちこたえた。
  • ロシアの物価上昇率は、2023年に前年比17.0%と、1998年の金融危機以来の高水準となった。
  • 戦争中、軍事費の増大は、経済に短期的な刺激を与え、景気回復につながる可能性がある。ドラッカー氏は、数字だけを見れば、第二次世界大戦は、単なる好景気だったように見えるだろうと語る。
  • 軍事費の増大は、財政赤字やインフレなどの問題を引き起こす可能性があり、長期的には経済の持続的な成長を阻害する可能性がある。
  • ウクライナ侵攻が長期化する中で、ロシアと西側諸国との軍事衝突が拡大する可能性があり、ロシアが崩壊する可能性も否定できない。
上の記事の冒頭で、「2023年のロシア経済は、ウクライナ侵攻や国際的な制裁にもかかわらず、予想以上に持ちこたえた」というのは、予め予想できたことです。これについては、以前もこのブログに述べたことがありますが、戦時経済は通常の経済とは全く異なるからです。

戦争、特に総力戦等の大きな戦争が始まる前と、戦中、戦後の復興にかけて、GDPはかなり上がることになります。戦前は、戦争に備えるため、武器・弾薬等を大量に備えることと戦時経済を想定して様々な物品の備蓄をします。戦中も戦争を継続するため、同様に大量に製造し続けます。さらに、戦後は復興のために、壊れたインフラを整備しなおすためなどでGDP自体はあがることになります。

そのため、私は以前のブログで、ロシアの経済の現状を見るには、GDPではなく物価を見るべきではないかと以前のブログで主張しました。以下に直近の、ロシアの物価上昇率と今年の見通しの表を挿入します。
消費者物価上昇率(前年比)
2022年12.5%
2023年17.0%
2024年(見通し)15.0%
物価上昇率は、今年も比較的高い水準で推移しそうです。2023年の消費者物価上昇率は、前年比で約17%と、1998年の金融危機以来の高水準となりました。これは、ウクライナ侵攻に伴う国際的な制裁の影響、ルーブル安、軍事費の増大などが主な要因と考えられます。

2024年の消費者物価上昇率は、ウクライナ情勢の長期化や、西側諸国からのさらなる制裁が物価に与える影響次第では、さらに高騰する可能性もあります。

このようなことから、総力戦や現在のロシアのように大掛かりな戦争をする国々では、戦争前、戦中は軍事ケインズ主義を意図して意識して実行するというよりは、そうなるざるを得ないのです。現在のロシアも例外ではありません。

そうして、わたしたちが注目しなくてはならないのは、多くの専門家が、数字をみただけでは、後の歴史家は、第二次世界大戦が起こったことを認識できないかもしれないと語っていることとです。現在戦争中のロシア経済についても同様のことがいえるかもしれません。

たとえば、経営学の大家ドラッカー氏は、第二次世界大戦中の経済について、以下の発言をしています。
数字だけを見れば、第二次世界大戦は、単なる好景気だったように見えるだろう。
これは、第二次世界大戦中、多くの国が軍事費を増大させたことで、経済成長を遂げたという事実に基づいています。例えば、米国では、第二次世界大戦中のGNPは、戦前の約2倍にまで増加しました。これは、軍需産業の急速な発展によるものです。

第二次世界大戦中、日本も、軍事費を大幅に増大させ、軍需産業の急速な発展を促しました。その結果、日本の経済は、戦前の約2倍にまで成長しました。

1930年代から1940年代にかけて、日本は戦争に伴う軍事費の増大や、戦時体制の導入により、経済成長を遂げました。また、国民生活の面でも、食糧や衣料などの物資の配給が徹底され、国民の生活水準は維持されていました。

本当に窮乏化したのは、1944年以降であり、連合国軍の空襲が本格化し、米軍による通商破壊がすすみ、日本各地で大きな被害が発生し、国民生活は困窮化しました。

日本の戦時中のポスター

しかし、これはあくまでも表面的な現象であり、戦争の悲惨さを覆い隠すことはできません。
ドラッカー氏は、この事実を踏まえて、経済の数字だけを見て、第二次世界大戦を理解しようとすると、誤った結論に至る可能性があると警告しています。第二次世界大戦は、単なる好景気ではなく、人類史上最も悲惨な戦争の一つでした。

その本質を理解するためには、経済の数字だけでなく、戦争の背景や、戦争によって引き起こされた人々の苦難など、さまざまな要素を考慮する必要があります。

なお、ドラッカー氏は、この発言を、1950年に出版された著書『「経済人」の終わり──全体主義はなぜ生まれたか』の中でしています。この著書の中で、ドラッカー氏は、第二次世界大戦の原因を、経済主義の行き過ぎにあると分析しています。

つまり、経済の数字だけを追い求め、人間の尊厳や社会の調和を無視するような経済主義が、全体主義の台頭を招いたというのです。

ドラッカー氏の発言は、第二次世界大戦の歴史を理解する上で、重要な示唆を与えるものと言えるでしょう。

ドラッカー氏

プーチンが推進する軍事ケインズ主義の末路は、以下の3つの可能性があると考えられるでしょう。

1. 短期的な景気回復と軍事力の増強に成功する

プーチンは、ウクライナ侵攻によって、軍事費を大幅に増大させています。この軍事費の増大は、ロシアの経済に短期的な刺激を与え、景気回復につながる可能性があります。また、軍事技術の開発や軍事力の強化によって、ロシアの安全保障が向上する可能性があります。

この場合、プーチンの軍事ケインズ主義は、ある程度の成功を収めると言えるでしょう。しかし、軍事費の増大は、財政赤字やインフレなどの問題を引き起こす可能性があり、長期的には経済の持続的な成長を阻害する可能性があります。

2. 長期的な経済停滞と軍事力の衰退に陥る

軍事費の増大が続けば、財政赤字が拡大し、インフレ率が上昇する可能性があります。また、軍需産業への依存度が高まるため、民間部門の活力が低下し、経済成長が鈍化する可能性があります。

この場合、プーチンの軍事ケインズ主義は、失敗に終わると言えるでしょう。ロシアは、経済的にも軍事的にも衰退していく可能性があります。

3. 軍事衝突の拡大によって、ロシアの崩壊につながる

ウクライナ侵攻が長期化する中で、ロシアと西側諸国との軍事衝突が拡大する可能性があります。この場合、ロシアは、経済制裁や軍事攻撃によって、深刻な打撃を受ける可能性があります。

この場合、プーチンの軍事ケインズ主義は、ロシアの崩壊につながる可能性があります。ロシアは、国家として存続できなくなる可能性があります。

現時点では、プーチンの軍事ケインズ主義の末路は、まだ不透明です。しかし、長期的な経済停滞や軍事力の衰退、軍事衝突の拡大によって、ロシアが崩壊する可能性も否定できません。

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2024年1月6日土曜日

インド、23年度GDP予想7.3%増 選挙に向けモディ首相に追い風―【私の論評】インド経済の堅調な成長、中国経済は体制が変わらなければ今後数十年低迷

 インド、23年度GDP予想7.3%増 選挙に向けモディ首相に追い風

まとめ

インドの経済成長率は2023年度も堅調に推移すると予想されている。これは、モディ政権にとって追い風となり、選挙での勝利につながる可能性があると見られる。


インド統計局は2023年度のインド国内総生産(GDP)が前年度比7.3%増になるとの予想を発表。これは主要経済大国の中で最も高い成長率となり、今年5月までに見込まれている選挙を控えてモディ首相にとって追い風となる。

統計局は、この予想は2023年度の早期見通しであり、経済指標の精度向上や実際の税収、補助金の支出などが今後の改定に影響を与える可能性があると説明している。

インド準備銀行(RBI)は昨年12月に2023年度のGDPが7%増になると予想し、従来見通しの6.5%から引き上げている。

インドの経済成長率は2022年度が7.2%、2021年度は8.7%だった。

2023年7-9月期は前年同期比で7.6%増、4-6月期は7.8%増えていた。

【私の論評】インド経済の堅調な成長、中国経済は体制が変わらなければ今後数十年低迷

中国の成長率は2024年も4.5%を超える可能性はあるでしょう。しかし、それ以降の成長は、中国政府の大規模な市場改革の成否にかかっているといえます。ただ、中国のGDPはこのブログでも述べてきたようにほとんどあてになりません。

ただ、出鱈目であったにしても、ある程度整合性をもった数値を出さなければならないので、実数値は全く信用できないにしても、推移はある程度みることはできるでしょう。


まとめ
インド経済は、モディ政権による経済改革や人口増加の恩恵を受け、堅調な成長を続けている。一方、中国経済は、ゼロ・コロナ政策の転換や中所得国の罠への陥落、国際金融のトリレンマなどにより、今後数十年低迷し続ける可能性が高まっている。
以下にインドの経済成長の推移の表を掲載します。

2020-21年度は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、経済成長率が大きく落ち込みました。しかし、その後は回復基調にあり、2022-23年度は7.2%と、主要経済大国の中で最も高い成長率となりました。2023-24年度も、7.3%の成長率が見込まれており、インド経済の堅調な成長が続くと予想されています。

なお、インドの経済成長率は、2021-22年度から2023-24年度にかけて、大きく上昇しています。これは、モディ政権による経済改革や、人口増加による労働力供給の増加などが要因と考えられます。

モディ首相と安倍首相

モディ政権の経済政策には、貧困対策やデジタル・インディアを含めて、前UPA政権が手掛けた政策を引き継ぎ、その焼き直しを図ったものが多く含まれています。倒産破産法(IBC)の成立、さらには憲法改正を伴う物品・サービス税(GST)の導入に漕ぎつけたことは、インドの経済政策に新たな一頁を付け加えたものとして評価されています。また、モディ政権は、製造業や雇用のさらなる拡大を目指しています。

モディ政権は、製造業や雇用の拡大を目指して、多数の政策を実施しています。例えば、第1次モディ政権下で発表された「Make in India」政策は、製造業の割合を2022年までに25%に引き上げ、5年間で1億人の新規雇用を創出することを目標としています。

また、第2次モディ政権では、法人税の約10%の引き下げを発表するなど、事業環境の整備を進めると同時に、重点分野を絞った税制優遇、人材育成等の実施を計画しています. さらに、第2次モディ政権は、エレクトロニクスやEV・電池製造分野でも段階的製造プログラム(PMP)を導入し、国内製造を促す見込みです。

一方中国経済は、ひどい状況に陥っています。中国経済にとっての2024年の課題は、GDPの成長率ではなく、その先の成長の持続性であるといえます。

中国の成長率は2024年も4.5%を超える可能性はあるでしょう。しかし、それ以降の成長は、中国政府の大規模な市場改革の成否にかかっているといえます。ただ、中国のGDPはこのブログでも述べてきたようにほとんどあてになりません。

ただ、出鱈目であったにしても、ある程度整合性をもった数値を出さなければならないので、実数値は全く信用できないにしても、推移はある程度みることはできるでしょう。

このブログでも何度か指摘してきたように、中国は経済発展により1人当たりのGDPが中程度の水準(中所得:約1万ドル)に達したましたが、その発展パターンや戦略を転換できず、成長率が低下、あるいは長期にわたって低迷する「中所得国の罠」に陥る可能性があります。

中所得国の罠に関しては、産油国などの特殊事情があるいくつかの例外はあるものの、ほぼ例がなく多くの国々がこの罠にはまっており、中国だけが例外になることはあり得ません。

特に、中国においては、再び経済成長するためには、民主化、政治と経済の分離、法治国家化が必要不可欠なのですが、現在の中国共産党の体制ではほぼ不可能です。

中国は、1978年の改革開放以来、数十年間、世界で最も急成長を遂げた主要経済国の一つとなりました。1991年から2011年の間、毎年10.5%の成長を続け、その後も2021年まで10年間の平均は6.7%でした。ただし、これも実数は出鱈目の可能性がありますが、推移に関してはある程度信用しても良いとは思います。

しかし、2022年の暮れ、中国政府の厳格な「ゼロ・コロナ」政策が転換され、2023年に期待された経済回復は強い逆風にさらされました。

ロイター通信によると、コロナ後の中国経済は、消費者の消費回復、海外投資の再開、製造業の再稼働、住宅販売の安定など、さまざまな好材料が期待されていました。しかし、実際には、中国人消費者は不況に備えて貯蓄を増やし、外国企業は資金撤退を加速、製造業は西側諸国からの需要減退に直面、地方政府の財政は不安定になり、大手不動産会社は相次いで債務不履行に陥りました。

こうした状況を受け、一部の経済学者は、日本がバブル崩壊後に経験した「失われた数十年」との類似点を指摘しています。ただ、日本の場合は、このブログでも指摘してきたように、バブル崩壊そのものが、日銀官僚や財務官僚の誤謬によるものであり、正しいマクロ経済運営をしていれば、そもそも崩壊はなかっといえますが、現状の中国は違います。

また、中国政府が10年前に不動産開発主導の発展から内需主導型の成長に経済を移行すべきだったが、それを怠ったと批判する声もありますが、これもかなり難しかったと考えられます。

なぜなら、従来から指摘してきたように、中国は国際金融のトリレンマにもはまっており、これを現在の中国共産党による体制では、変えることは難しいからです。これにより、中国人民銀行は、独立した金融政策が行えない状況に陥っています。

中国政府は、こうした課題を克服するため、消費を拡大し、経済の不動産依存を減らすと宣言。金融機関に対し、不動産開発からハイテク業界への融資に転換するよう指導しています。

しかし、中国政府がこれらの課題を解決するには、より大胆な構造改革が必要です。具体的には、固定相場制から変動相場制への移行、金融システムの改革、民間企業の権利の拡大、市場競争の促進などが必要不可欠です。

中国政府がこれらの改革に成功すれば、中国経済は新たな成長軌道に乗ることができるでしょう。しかし、失敗すれば、中国は「中所得国の罠」に陥り、世界経済の成長を牽引する役割を失うでしょう。現在の中国の体制では、これはできないでしょう。

そうなると、今の体制である限り、今後中国経済は数十年にわたって低迷し続けるでしょう。いつか中国経済が米国経済を超すといわれていましたが、現状ではそのようなことは全く考えられません。

インド経済は、これからも飛躍的に伸び、米国や日本、EU経済もこれからもある程度は伸び続け、その他の国々も、中所得国の罠や国際金融のトリレンマにはまっていない国々や、これからそれにはまることを防ぐ国は成長を続けるでしょうが、そうではない国々は中国を含めて低迷し続けることになるでしょう。

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2024年1月5日金曜日

2024年は世界的な「選挙イヤー」 各国で大型選挙が目白押し―【私の論評】世界各地で保守派の台頭が進む!日本でも「保守派の反乱」で高市自民総裁誕生か?

2024年は世界的な「選挙イヤー」 各国で大型選挙が目白押し

まとめ
  • 界最大規模の選挙イヤーとなる。
  • 世界情勢に大きな影響を与える可能性がある。
  • バングラデシュ、台湾、インドネシア、パキスタン、南アフリカ、インド、メキシコ、米国で選挙が予定されている。
  • 米国大統領選挙はバイデン対トランプ再選戦の可能性が高い。
  • 欧州議会選挙では右派政党の復活が懸念される。


2024年の世界の選挙は、史上最大規模で、世界情勢に大きな影響を与える可能性がある。

今年は、世界50カ国以上で国政選挙や地方選挙が予定されている。これらの国の人口を合計すると42億人に上り、特に世界で最も人口の多い10カ国のうち7カ国が選挙を行う。

今年最初の大規模な選挙は、バングラデシュの総選挙だ。最大野党のボイコットにより、現職のシェイク・ハシナ首相の5期目の続投がほぼ確実となっている。

中国からの脅威に直面している台湾でも、総統選挙が実施される。親米派の頼清徳副総統が世論調査でリードしている。

世界第4位の人口を誇るインドネシアでは、大統領選挙が実施される。現職のジョコ・ウィドド大統領には3期目の立候補資格がないため、新たな指導者が求められている。

世界第5位の人口を擁するパキスタンでも、総選挙が実施される。同国は憲法危機からの脱却を目指す。

アフリカ最大の経済大国である南アフリカでは、選挙が実施される予定だ。与党アフリカ民族会議(ANC)は、政権の維持を望んでいる。

世界最大の人口を擁するインドでは、総選挙が実施される。与党インド人民党(BJP)は3期目の政権確保を目指す。

メキシコでは、大統領選が実施される。現職のアンドレス・マヌエル・ロペスオブラドール大統領の側近であるクラウディア・シェインバウムが同国初の女性大統領に選出されることがほぼ確実とみられている。

米国では、大統領選挙と下院選挙が実施される。現職のジョー・バイデン大統領がドナルド・トランプ前大統領と直接対決することになれば、2020年の大統領選の再来となる可能性がある。

また、欧州連合(EU)では、欧州議会選挙が実施される。右派政党の復活が懸念されており、EUの対ウクライナ支援に大きな影響を与える可能性がある。

ロシアとイランも今年、それぞれ大統領選と議会選が予定されているが、権威主義的な政権が続いているため、自由で公正な選挙にはならないとみられている。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】世界各地で保守派の台頭が進む!日本でも「保守派の反乱」で高市自民総裁誕生か?

まとめ
  • 世界各地で保守派の台頭が進んでいる。
  • その背景には、リベラル政権のLGBT、移民、グリーン政策に対する保守派の不満がある。
  • 日本でも、高市早苗氏の次期自民党総裁選出馬など、保守派の台頭が顕著となっている。
  • 岸田政権の支持率低下や、自民党内保守派の台頭が、高市氏の総裁就任の可能性を高めている。
  • 高市氏の総裁就任は、日本の政治に大きな変化をもたらす可能性がある。

上の記事、重要なことを見逃していると思います。それは、昨年から今年にかけて、「保守派の反乱」とも呼べるような事柄が連続して起きていることです。これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
LGBTや移民をめぐって世界中で保守の反乱が起きているが日本は大丈夫か―【私の論評】世界のリーダー達が注目すべき動向と共鳴する保守の反乱の本質

詳細は、この記事をご覧いただくもとして、以下に元の要約記事より引用します。

 世界各地で「保守の反乱」と形容される政治的な変遷が広がっている。

 例えば、オランダの下院選挙では、ヘルト・ウィルダース率いる極右政党が第1党となり、連立政権の樹立を目指している。同様に、アルゼンチンの大統領選挙でも極右のハビエル・ミレイが勝利し、「アルゼンチンのトランプ」と呼ばれている。
 更に、実際のトランプ氏も来年の米国大統領選挙で再び勝利する可能性があるとの見方もある。これらの動向について、予測不可能なトランプ氏の政治的な影響が、国際的な関係や安定性にどのような影響を及ぼすかが焦点とされている。

 また、イタリアでも昨年、極右政党が第1党となり、ジョルジャ・メローニが首相に就任した。こうした政治的なシフトには、欧米諸国でリベラル政権の取り組むLGBT、移民、グリーン政策に対する保守派の不満が影響している。これらの政策に対する保守層の反発や、岩盤保守層の政党支持の変化が、極右政治家の台頭を助長している。

さてこの記事に対する【私の論評】の結論部分を以下に引用します。

保守派は、安全な国境、安全な地域社会、言論の自由、豊かな経済を望んでいます。「極右」のレッテルを貼られた指導者たちは、サイレント・マジョリティの声を返しているだけなのです。

メディアが彼らを中傷し、理性的な保守派を黙らせようとする一方で、私たちは保守派は、もう黙ってはいません。多くの人々は、法、秩序、伝統、愛国心の尊重と生存のバランスを取りながら生活しています。そうして、このバランスを崩す急激な改革は、社会を壊すと多くの人達が再認識するようになったのです。最近設立されたばかりの日本保守党の支持者の急速な拡大も、それを示しています。
壊れた社会 AI生成画像
日本はもとより、他の国々の指導者も、この傾向に耳を傾けるべきです。人々はいつまでも過激な行き過ぎを容認することはないでしょう。指導者は、騒々しい過激派グループのためだけでなく、国民全体のために政治を行わなければならないのです。

リベラル・左派的な社会工学による改革よりも、国益を優先させる賢明な改革が答えです。未来は、常識のために立ち上がり、自国の文化を守り、ポリティカル・コレクトネスやキャンセル・カルチャーの狂気に対して果敢に「もういい」と言う勇気ある政治家たちのものです。結局のところ、それこそがこの新しい保守の反乱の本質なのです。 

 このような「保守の反乱」が昨年に引き続き、来年もますます顕著になって行くことが予想されます。それが上の記事には欠けていると思います。

上の元記事は、米国の雑誌フォーブスによるものですが、世界政治についてかなりナイーブで楽観的な見方をしているようです。西側諸国では明らかに保守的なポピュリストの反乱が起きています。

伝統的な価値観やナショナリズム的な政策が復活し、急進的な左派の政策は音を立てて崩壊しつつあります。これらの選挙の多くで保守派の指導者たちが強い票を獲得することは十分にありえることです。

インドのモディ首相、ブラジルのボルソナロ大統領、そしてもちろん米国のトランプ大統領は再選を果たすでしょう。サイレント・マジョリティは、ポリティカル・コレクトネス、国境開放、信仰と家族への攻撃にうんざりしています。

EUでは、肥大化した官僚機構を弱体化させるために、反グローバリズムの欧州議会議員が急増するでしょう。イタリアのサルビーニやフランスのルペンなどの指導者が影響力を増すでしょう。

EUの悲惨な政策は、眠れる巨人を目覚めさせたのです。このフォーブスのライターは、単一世界のリベラリズムというユートピア的なビジョンを支持して、こうした巨大な底流を無視しているとしか思えません。

しかし、多くの国々で国民は声を上げており、保守主義は躍進しています。伝統的価値観、安全な国境、民族の誇りが世界的に復活しつつあります。世界的にみれば、保守派の未来は明るいです。

この新世代の強力なリーダーたちは、自由市場、エネルギーの独立、法と秩序を擁護することによって、自国を繁栄へと導くでしょう。

急進左派は今年衝撃に備えなければならなくなるでしょう。国境開放、社会主義、ポリティカル・コレクトスといった彼らのビジョンは、世界中の自由で公正な選挙で根底から否定されることになるでしょう。ポピュリズムと保守主義の新時代が幕を開けるのです。サイレント・マジョリティはもう沈黙しないのです。

日本では、秋には自民党総裁選がありますが、ここでも「保守の反乱」は起こるかもしれません。

自民党の総裁選は、実質上の総理大臣選びです。自民党の総裁は、国民が選ぶのではなく、自民党議員と、自民党員が選びます。保守派の青山繁晴参議院議員が出馬を表明しています。その他、内閣府特命担当大臣(経済安全保障担当)高市早苗氏も有力な候補者です。

二人共保守派です。他の候補者はリベラルかリベラル色の強い人ばかりです。私は、この二人が協調し、いずれか一人が総裁選に立候補するのが保守派にとっては、最上の策だと思います。


そうして、高市氏が立候補し、総裁となれば、これはかなりインパクトがあると思います。高市氏は、典型的な保守派であり、無派閥で、世襲議員でもありません。しかも、総理大臣になれば、日本初の女性総理大臣です。

これは、現政権がかなり支持率が低下して、さらに現裏金疑惑で揺れている自民党にとって、救いの神になるのではないかと思います。

高市早苗氏が次期自民党総裁になる可能性は十分にあります。高市氏は、2021年9月の総裁選で、国会議員票で岸田文雄首相に次ぐ2位を獲得しており、党内でも一定の支持を得ています。また、高市氏は、自民党内でも保守派のリーダーとして知られており、安倍晋三元首相の支持層も取り込むことができる可能性があります。

岸田文雄首相(自民党総裁)は4日、首相官邸で開いた記者会見で、自民派閥の政治資金パーティーを巡る問題を受け、党総裁直属の「政治刷新本部」(仮称)を来週発足させると表明しました。

「1月中に中間とりまとめを行い、必要があれば関連法案を提出する」と述べました。また、首相は「外部有識者の参加も得て、透明性の高い形で検討を進める」と述べました。

これがうまく行けば良いかもしれませんが、私自身はとてもそうは思えません。

秋までには、まだ時間があります。岸田首相は、未だ辞任するつもりは全くないようです。日米両政府は、岸田総理大臣の国賓としての米国訪問について、2024年3月上旬とする方向で調整に入りました。

識者の中には、これを花道として、岸田首相は辞任するのではないかという人もいます。そうなると、高市氏が総裁になる可能性は、低いと思います。

ただ、何をもってしても、任期中の総理大臣をやめさせることはできません。辞めるのは、自分自身の意思しかありません。岸田首相は任期が終了するまで辞めないどころか、次期総裁選にも出馬する可能性すらあります。

茂木幹事長は、岸田総理大臣が総裁再選を目指して立候補した場合、みずからは立候補しない考えを示しました。全く可能性がないことを、茂木氏が語るとは思えません。

そうなると、自民党、岸田政権の支持率はさらに下がり続けて、秋頃には目も当てられない水準に落ち込むことになるでしょう。特に、自民党の岩盤支持層であった保守層が完全に離れ、サイレント・マジョリティーと呼ばれていた、日本の保守派の人たちも黙ってはいられなくなり、大きな声をあげるようになるでしょう。日本保守党の動きは、それを代表するものです。

世界の多くの国々の「保守派の反乱」はこれを後押しするでしょう。もう、リベラルの衰退は止めることはできません。その声が日本でも大きくなるでしょう。

自民党内の保守派も声をあげ、それに追随する議員も大勢でてくることになるでしょう。そうして、彼らは「無派閥、無世襲、保守派の高市氏でないと次の選挙で勝てない」と声をあげることになるでしょう。こうしたことが起きれば、高市総裁の可能性はかなり、高まることになるでしょう。

このような日本の「保守の反乱」が起こる可能性は十分にあると私は思います。

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2024年1月4日木曜日

インフレリスク減退、過度に制約的な政策に懸念=FOMC議事要旨―【私の論評】利上げを急ぐとデフレに逆戻り! 日本はコアコアCPI4%を超えるまで金融緩和を続けるべき

インフレリスク減退、過度に制約的な政策に懸念=FOMC議事要旨

まとめ
  • FRB当局者は、インフレ「上振れリスク」が減退したという見解を確認した。
  • 「過度に制約的な」金融政策が経済に与える影響への懸念も示した。
  • 「ほぼ全ての参加者が、2024年末までにフェデラルファンド(FF)金利の目標レンジ引き下げが適切であるとの見解を示した」とした。
  • 参加者は「インフレ率が委員会の目標に向けて持続的に低下することが明らかになるまで、しばらくは政策を制約的なスタンスにとどめることが適切だ」と強調した。
連邦公開市場委員会(FOMC)

 米連邦準備理事会(FRB)が公表した2023年12月12-13日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、当局者はインフレ「上振れリスク」が減退したという見解を確認した。

 また、「過度に制約的な」金融政策が経済に与える影響への懸念も示した。議事要旨によると「ほぼ全ての参加者が、2024年末までにフェデラルファンド(FF)金利の目標レンジ引き下げが適切であるとの見解を示した」とした。

 一方、インフレ率が引き続き鈍化する中、いかにして経済を守るかに関して議論されたことも示された。参加者は「インフレ率が委員会の目標に向けて持続的に低下することが明らかになるまで、しばらくは政策を制約的なスタンスにとどめることが適切だ」と強調した。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧ください。

【私の論評】利上げを急ぐとデフレに逆戻り! 日本はコアコアCPI4%を超えるまで金融緩和を続けるべき

まとめ
  • 米国やEUは、一昨年コアコアCPIが6%や5%と高水準にあったため、利上げを行った。
  • 日本は、一昨年ですらコアコアCPIが2.7%にとどまっており、利上げの必要はない。
  • 利上げをすると、景気が悪化し、デフレに陥る可能性がある。
  • インフレ率が4%を超えるような状況になれば、欧米のように金融引き締めを検討すべきである。
  • 金融緩和解除が早すぎると、低い失業率を確保できず、賃上げにつながらなくなってしまう。
上の記事の内容煎じ詰めると「FRBは、物価の上昇を抑制することに成功していますが、経済への影響を慎重に判断しながら、利上げのペースを調整していく」ということです。

こういう記事をみて、日本は利上げすらしていないし、ゼロ金利政策をやめてすらいない、すぐにするべきだと思いますか。マスコミにはそのようなことを平気で言う人もいます。しかし、これは正しいでしょうか。そうして、正しい、正しくないの判断をするにはどうすれば、良いでしょうか。

そのための判断材料を以下に掲載します。以下の表をご覧いただければ、一目瞭然です。これは、コアコアCPIの推移の国際比較です。 
日本米国EU
2022年2.70%6.10%5.30%
2023年2.30%4.10%4.30%
2024年(予測)2.00%3.00%3.70%

この表は以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。

マイナス金利は早期解除へ 欧米と異なる「金融正常化」 政治情勢ガタガタ〝火事場泥棒〟避けた? 来年1月にも決断する公算―【私の論評】金融引き締めでデフレ再来?日本はマイナス金利解除に慎重に

日銀植田総裁 

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの表に関連した部分のみを以下に引用します。
来年は、エネルギー・資源価格の価格高騰が、沈静化し下がる傾向にあります。これは、常識的に考えても理解できます。エネルギーや資源は、多くの国々が生産しているので、資源価格が上がれは、増産するなどのことをします。そうなると、価格が安定し、落ち着くのが普通です。資源価格も同じことがいえます。

無論、中東情勢の悪化などもあり、依然として上がる要素はありますが、それでも大勢としては、下がる傾向にあります。

そのようなときに、利上げをすれば、景気が落ち込むのは明らかです。特に、長い間デフレが続いてきた日本は、元々デフレではなかった米国やEUに比較すれば、物価の上昇はさほどでもありません。以下に、日本、米国、EUのコアコアCPI(食料及びエネルギーを除いた物価指数)の推移の比較の表を掲載します。(ブログ管理人 作成)

日本米国EU
2022年2.70%6.10%5.30%
2023年2.30%4.10%4.30%
2024年(予測)2.00%3.00%3.70%
                       注)先の表と同じ内容
この表をご覧いただければ、髙橋洋一氏の主張はもっともであるとご理解いただけるものと思います。米国やEUは、コアコアCPI6%、5%で利上げをしています。この水準でようやっと、利上げをしたのは、やはり経済の悪化をおもんばかったからでしょう。正しい判断です。

日本は、2022年には、2.7%に過ぎません。来年は、2.0%になることが予想されています。無論、この予想は、日銀の金融政策が現状のままだと想定したものです。このようなときには、推移を見守り、金融政策は変えるべきではありません。

1月にマイナス金利の解除をしてしまえば、さらに物価が下がり、デフレ傾向になるでしょう。そのようなことをする必要性は全くありません。早急にゼロ金利政策を排除し、利上げすべきなどと言う人は、こうした数字をみていないのではいなかと思います。

ただし、予想できない何かが起こる可能性は否定できません。しかし、その時にも、すぐにゼロ金利解除とか、利上げなどに走るべきではありません。あくまで、コアコアCPIが4%を超えるなどの事態でも無い限り、ゼロ金利解除や、利上げなどするべきでありません。

こうしたことを無視して、日銀が来年早々にゼロ金利を解除し、利上げして、金融引き締めに走ってしまえば、また日本は、デフレにまい戻り、雇用がかなり悪化し、賃金も上がらすーず、それに政府が増税などの緊縮路線に走れば、日本は再びデフレの底に沈み、日本人の賃金は上がることなく、また失われた30年を繰り返すことになるでしょう。そうなれば、日本の実体経済は、現状のドイツのように酷いものになるかもしれません。
コアコアCPIを見ている限りでは、日本では、一昨年、昨年、今年ともに、日銀が金融政策を変える必要性など全くありません。今年日銀が、ゼロ金利政策をやめれば、物価は2.0%よりもさらに下がり、デフレ傾向になってしまいます。

利上げをすれば、完璧にデフレになります。正しい日銀の金融政策は、金融緩和をしつつ、資源・エネルギー価格による悪影響を受けている中小企業や個人に対して支援策をすることです。ゼロ金利政策をやめたり、利上げをすることではありません。

確かに日本でも、エネルギー価格や、資源価格などは上がっていますが、これはほとんど外国から輸入しているエネルギー価格が上昇しているからです。エネルギー価格が上昇すれば、これもほとんど輸入している、小麦などの値段が上に、日本国内で生産加工している食料品を生産したり、輸送したりする費用が上昇し、食料品も値上がりします。ガソリンや電気代などが値上がりし、それが資源価格にも影響を及ぼしているのです。


原油価格の推移

確かに日本でも、エネルギー価格や、資源価格などは上がっていますが、これはほとんど外国から輸入しているエネルギー価格が上昇しているからです。エネルギー価格が上昇すれば、これもほとんど輸入している、小麦などの値段が上に、日本国内で生産加工している食料品を生産したり、輸送したりする費用が上昇し、食料品も値上がりします。ガソリンや電気代などが値上がりし、それが資源価格にも影響を及ぼしているのです。

これらの値上がりは、外国から輸入しているエネルギーや資源価格が変わらない限り、日銀がどのような金融政策をしても変わりません。

このようなときに、日銀が利上げなどしてしまえば、日本は再びデフレの底に沈んでしまいます。無論、賃金もあがりません。無理に賃金をあげると、雇用を悪化させ、失業率をあげることになります。これは、韓国が在文寅政権だったときに、金融緩和せずに、機械的に賃金をあげたがために、雇用がかなり悪化したことでも、証明ずみの事実です。

文在寅

インフレ目標政策では、目標の数値プラスマイナス1ポイントは許容範囲です。その上で金融引き締めは遅れてやるべきなのです。

その理由は、インフレ率(物価上昇率)が2%でも4%でも社会的コストはあまり違わないですが、金融引き締めを急いだ場合、景気への悪影響、とりわけ失業率上昇の社会的コストが大きいからです。

こうした金融政策の運営は、「ビハインド・ザ・カーブ」と呼ばれていますが、欧米での最近の金融引き締め局面でも実際に行われ、インフレ率が現実に4%程度より高くなるまで金融引き締めは基本的に実施しませんでした。米英は物価上昇率が4%を超えた時点の米国は6.10%、EUは5.30%の時点で、はじめて利上げをしたのです。

インフレ目標が2%なら、現状では日銀は、ゼロ金利政策をやめたり、利上げなどする必要性はないのです。ただしインフレ率が4%を超えるような状況になれば、欧米のように金融引き締めを検討すべきなのです。ただ、金融引き締めをやりすぎてしまえば、今度は悪影響がでてくるので、それを防ぐためにこそ、インフレ目標2%があるのです。これを下回れば、デフレになります。

そうして、金融緩和解除が早すぎれば、低い失業率を確保できず、結果として賃上げにつながらなくなってしまうのです。

今年の日銀の金融政策決定会合の予定は、1月22、23日、3月18、19日、4月25、26日です。このうち「経済・物価情勢の展望(基本的見解)」は、1月23日、4月26日に公表されることになっています。

政策変更には「基本的見解」があったほうがよく、3月は国会予算審議があり、4月は遅すぎることを考えると、今年の1月に日銀はゼロ金利解除を公表し、その後年内に利上げを公表することになるかもしれません。

そうなると、とんでもないことになります。今後、財務省はさらに緊縮財政に走り、日銀も金融引き締めに走ることになれば、失われた30年の再来は確実です。

安倍政権のときには、結果として二度の消費税増税に踏み切らざるを得ませんでしたが、それでも、安倍菅両政権計で、100兆円の補正予算を組み、コロナ対策を実施し、日銀は金融緩和政策を続けていたため、失業率を低く抑え、岸田政権になってからも、景気の良い状態が続いたのですが、今年日銀が金融引き締めに転ずれば、日本は失われた30年を繰り返すことになるでしょう。

私達にできることは、緊縮財政と金融引き締めに反対する世論を形成するしかありません。こうした世論が強ければ、日銀は金融引き締めに消極的になる可能性もあります。また、引き締めを実行して失敗したときも、構造改革などの的外れな議論をせずに、金融緩和政策に戻すという道を選ぶ可能性が高まります。


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2024年1月3日水曜日

米英メディア、乗客全員の脱出「奇跡」 航空機衝突事故で―【私の論評】羽田空港 衝突事故 乗客全員脱出 訓練・規律・準備が功を奏す 今後の安全対策に課題も

米英メディア、乗客全員の脱出「奇跡」 航空機衝突事故で

まとめ
  • 2024年1月2日、羽田空港で日航機と海上保安庁の航空機が衝突、炎上した。
  • 日航機の乗客367人全員が脱出した。
  • 米英主要メディアは、このことを「奇跡」と称賛した。
  • 乗員らの迅速かつ的確な避難誘導が、乗客の全員脱出に大きく貢献したことが評価された。
  • この事故は、日本の航空安全の水準の高さを示すものとして、世界中から注目を集めた。

乗客が撮影した脱出直後の写真

 羽田空港での航空事故で、日航機の乗客367人全員が脱出したことは、米英主要メディアからも「奇跡」と驚きを持って伝えられた。乗員らの迅速かつ的確な避難誘導が、乗客の全員脱出に大きく貢献したことが評価された。

 具体的には、米ニューヨーク・タイムズ紙は、航空専門家の話として、「乗員が乗客全員を脱出させたのはまさに奇跡だ」と指摘。乗客と乗員の協力が成功の要因だとした。米CNNテレビは、衝突時や、煙に包まれる日航機内の様子を繰り返し放送。女性キャスターは、乗客に犠牲者がいなかったことについて「驚くべきことだ」と伝えた。専門家は、乗客が荷物を持たずに脱出シューターから機外に出ていたことなどを挙げ、「お手本のような対応」だったと語った。

 英BBC放送でも、キャスターや有識者が乗客の全員脱出は「奇跡的」と表現。避難誘導した乗員を「極めて効率的だった」「素晴らしい仕事をした」と褒めたたえた。

 この事故は、日本の航空安全の水準の高さを示すものとして、世界中から注目を集めた。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧ください。

【私の論評】羽田空港 衝突事故 乗客全員脱出 訓練・規律・準備が功を奏す 今後の安全対策に課題も

まとめ

  • 2024年1月2日、羽田空港でJAL機と海上保安庁機が滑走路上で衝突した。
  • 乗客367人全員と乗務員12人が脱出したが、海上保安庁機の乗員5人が死亡した。
  • 海外メディアは「奇跡」と称賛したが、これは「訓練と規律の勝利」といえよう。
  • 日本の文化には、緊急事態における迅速かつ協調した行動の重要性が深く根付いている。
  • 今後も、このような悲劇が繰り返されないよう、さらなる安全対策の強化が求められる。

今回の事故と似たような空港の滑走路内の衝突事故には以下のような事例があります。

テネリフェ空港ジャンボ機衝突事故 横たわるKLM機

このような事例があるからこそ、米英主要メディアは、今回の事故で死者がいなかったことを「奇跡」と称賛したのでしょう。

英米以外の報道は以下のようなものです。

中国国営新華社通信
日航機の乗客367人全員が脱出したことは、航空安全の面で大きな成果であり、日本の航空安全の水準の高さを示すものである。

この報道は、日航機の乗客全員が脱出したことを「航空安全の面で大きな成果」と評価し、日本の航空安全の水準の高さを示しているとしています。
インドのテレビ局「NDTV」
日本の航空安全の水準の高さを示す、驚くべき出来事である。

この報道は、日航機の乗客全員が脱出したことを「日本の航空安全の水準の高さを示す、驚くべき出来事」と評価しています。
フランスのテレビ局「TF1」
乗客全員が脱出したことは、奇跡に近い。日本の航空安全の水準の高さが、この事故を未然に防いだと言えるだろう。

この報道は、日航機の乗客全員が脱出したことを「奇跡に近い」と評価し、日本の航空安全の水準の高さが、この事故を未然に防いだと述べています。
なお、他にも、ドイツのメディア「デア・シュピーゲル」や韓国のメディア「中央日報」なども、乗客全員の脱出を「奇跡」と称賛する報道をしています。

あの出来事は、不幸中の幸いであったことは間違いないです。しかし、私自身はこれを「奇跡」と単純に片付けるのには躊躇します。

むしろ、私は、訓練、規律、準備への揺るぎない決意が、日本の文化に深く根付いていることの証だと信じます。私自身、大きな被災の経験はないのですが、2018年6月6日の北海道胆振東部地震のときには、北海道ほぼ全域が停電になったときには、札幌におり、そのときに近所のコンビニに行ったのですが、そのコンビニの前では、行列ができており、多くの人達が店に入る順番を待っていました。下の写真がそのときの写真です。

2018年9月6日北海道胆振東部地震で停電になった直後、札幌のコンビニの前で行列をつくり並ぶ人々(筆者撮影)


コンビ二では、お客が一度に入れる数を制限していました。しかし全員が、慌てることもなく、落ち着いて順番を待っていました。東日本大震災においては、やはり行列ができていたという話を聞いていたので、これは札幌でもそうなのだと、思い感心しました。

他国だとこういうときには、我先に店に入ろうとしたり、挙句の果てに略奪に走るものもいると聴きますが、そのようなことは一切ありませんでした。

今回の事故でも、航空機の脱出はこのように沈着冷静に行われたのだと思います。他国だと、我先に出ようとしたり、荷物を持って出ようとする人もいるのかもしれません。

日航の脱出訓練

乗務員の明らかに効果的な避難手順と、乗客の緊急事態手順の遵守こそが、この出来事の本当の主人公なのだと思います。この両方がなければ、今回も犠牲者が出ていた可能性が高いと思います。

自然災害の多い日本列島に住むことは、間違いなく、緊急事態における迅速かつ協調した行動の重要性を、日本人に深く認識させていえると思います。

したがって、この出来事は、神の介入による「奇跡」というよりは、綿密な準備と集団責任の勝利の輝かしい例といえると思います。

おそらく、これらの重要な側面に焦点を当てることで、奇跡のような説明を求めるのではなく、将来、このような肯定的な結果を理解し、再現するのに役立つことでしょう。

一方、海上保安庁の方々は機長一人だけが生存しつつも重症で、他の五人は亡くなったいうこ大変残念な結果となりました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りさせていただくとともに、機長の早期の回復を願いたいものです。

この出来事は、日本の航空業界や社会全体にとって、貴重な教訓となりました。今後も、このような悲劇が繰り返されないよう、さらなる安全対策の強化が求められるでしょう。

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〝世襲政治〟が日本をダメに 日本保守党・百田尚樹氏、有本香氏 無税で相続できる「政治資金管理団体」の世襲の見直しにも言及―【私の論評】日本保守党の理念と日本政治改革:統治と実行の分離がもたらす可能性と挑戦

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2024年1月2日火曜日

〝世襲政治〟が日本をダメに 日本保守党・百田尚樹氏、有本香氏 無税で相続できる「政治資金管理団体」の世襲の見直しにも言及―【私の論評】日本保守党の理念と日本政治改革:統治と実行の分離がもたらす可能性と挑戦

〝世襲政治〟が日本をダメに 日本保守党・百田尚樹氏、有本香氏 無税で相続できる「政治資金管理団体」の世襲の見直しにも言及

まとめ
  • 自民党派閥の収入不記載事件に対する怒りと新党結成の動機
  • 日本政治の凋落と「家業政治」への批判
  • 岸田文雄首相への違和感と日本保守党の新たな挑戦
  • 政治家の世襲化や金権政治への反対とその是正方法についての提案
  • 日本保守党の活動方針や公募に関する展望

 百田尚樹氏が率いる日本保守党は、2023年10月に結成されたばかりの政党である。同党は、自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件や、LGBT法の成立をきっかけに結成された。

 百田氏は、自民党の腐敗と世襲政治に強い怒りを抱いており、日本保守党を「世襲・金権政治」を打倒するための新たな選択肢として位置づけている。

 百田氏は、自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件について、「国民を馬鹿にしている」「腐っている」「笑えた」と厳しく批判した。同氏は、この事件を「政治の裏金問題」と位置づけ、徹底的な捜査と処罰が必要であると訴えている。

 また、百田氏は、LGBT法の成立について、「日本社会の伝統や文化を否定するものだ」と批判した。同氏は、LGBT法は「同性婚を推進するためのもの」であり、「日本を同性愛国家にしようとするもの」であると主張している。

 日本保守党は、これまで名古屋、東京、大阪などで街頭演説を行い、一般市民からの支持を集めている。同党の街頭演説では、「世襲政治を打倒する」「日本を守る」といったスローガンが唱えられ、聴衆からは大きな拍手が送られている。

 百田氏は、岸田文雄首相の鈍感力や、内閣支持率の低下にも疑問を呈している。同氏は、岸田首相が「国民の声に耳を傾けず、日本を衰退させている」と批判した。

 日本保守党は、今後も街頭演説や集会などを通じて、世論を喚起して、政治を国民の手に取り戻すことを目指していく。同党が、自民党の牙城を崩すことができるのか、注目が集まっている。

この記事は、元記事の要約です。詳細は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】日本保守党の理念と日本政治改革:統治と実行の分離がもたらす可能性と挑戦

まとめ
  • 日本保守党の理念は、国民の利益を守り、日本を豊かに強くすることである。
  • そのためには、政府は統治に専念し、実行は民間企業や地方自治体に委ねるべきである。
  • 政府は、社会の方向性を定め、実行の邪魔にならないようにすべきである。
  • 政府は、民間組織、地域コミュニティ、個人に力を与えることで、社会と経済を活性化することができる。


日本保守党の理念は、(党規約と綱領)に以下のように掲載されています。
結党宣言(別紙)に基づき、日本の国民と、領土・領海、国体を守る。日本を豊かに、強くすることにより、国民福祉の向上と世界平和への貢献を企図する。

私は、この理念には大賛成であり、日本保守党には多いに期待しています。本当に頑張っていただきたいです。百田氏の指摘は正しく、これを是正すれば、日本はかなり良くなることでしょう。

ただ、このブログにも書いたように、チマチマしたことが嫌いで、大きな括りで、物事を考えるのが好きだった故安倍晋三氏に倣って考えてみると、「日本を豊か、強く」するために、特に政治の世界では絶対に実行しなければならないことがあります。

それは、このブログでも過去に何度か掲載してきたこともある、政府は統治(ガバナンス)に集中し、その他は政府の外に出してしまうということです。これなしに、たとえ「世襲・金権政治」を打破したとしても、現在の政治体制のままでは、また「世襲・金権政治」が復活するか、あるいは特定の集団の特定の利益を生み出そうとする集団が、新たなスキームを作り出し、同じようなことを繰り返すことになりかねません。

無論、日本保守党にはそのようなことも視野に入れているとは、思います。ただ物事には順番があって、最初に統治(ガパナンス)などということを言い出すと、日本ではこれが良く理解されていないため、混乱を招くためと、現在はわかりやすく「世襲・金権政治」打破ということを主張しているだけなのかもしれません。

政府を統治にのみに集中させる体制を築けば、世論・金権政治のようなことはなくなります。そうして、これはすでに民間企業では実施されています。いくつかの仕組みはありますが、本社と事業会社を分離して、本社は統治に専念するという方式です。このような大企業においては、世襲や金でものごとが決まるということは、ほとんどありません。

このような方式にすると、たとえば決算は、事業会社単体のものと同時に連結決算を行うことになり、不正はおこりにくくなります。また、本社が統治を行うことにより、資源を有効に使えるというメリットもあります。余剰人員を他の事業会社に回すということが簡単にできるからです。

このようなことを言うと多くの人は「小さな政府」という言葉を思い出すかもしれません「小さな政府」とは、日本では主に以下のように定義されています。

政府による経済活動への介入を可能なかぎり減らし、市場原理による自由な競争を促すことで経済成長を図る思想・政策。 具体的には公務員、政府組織、政府予算の規模を縮小し、規制を緩和して民間企業にできることは民間企業へ移管する。 税などの国民負担は少なくてすむが、公的サービスの水準も低くなる(低福祉低負担)。

しかし、政府を統治のみに集中させるということは、決してこの「小さな政府」だけを意味するものではありません。

そもそも統治(ガバナンス)という言葉は、かなり曖昧に使われています。様々なガバナンスに関連する文書を読むと、色々と書かれていますが、結局何なのかが理解しにくいものがほとんどです。その定義を以下に掲載します。これは経営学の大家ドラッカー氏による定義です。

晩年のドラッカー氏

経営学の大家ドラッカー氏は政府の役割について以下のように語っています。
政府の役割は、社会のために意味ある決定と方向付けを行うことである。社会のエネルギーを結集することである。問題を浮かびあがらせることである。選択を提示することである。(ドラッカー名著集(7)『断絶の時代』)
この政府の役割をドラッカーは統治と名づけ、実行とは両立しないとしました。
統治と実行を両立させようとすれば、統治の能力が麻痺する。しかも、決定のための機関に実行させても、貧弱な実行しかできない。それらの機関は、実行に焦点を合わせていない。体制がそうなっていない。そもそも関心が薄い。

 といいます。

昔の政府は、「小さな政府」であり、小さいが故に、統治に専念せざるを得ませんでした。リンカーン政権は、閣僚と通信士をあわせて7人だったと言われています。この小さな政府で、リンカーンは統治に専念し、実行は他の組織にまかせて、多くのことをやと遂げたのです。

これだけ政府が小さいと、不正が割り込む隙はかなり小さいことが理解できるというものです。

このように、一昔前の政府は小さく、それが理由で統治に専念していました。それで多くのこと成し遂げることができのです。そうした政府の効率の良さを民間企業も取り入れはじめました。最初に取り入れたのは、オランダの東インド株式会社でした。

多くの国々で、植民地経営は失敗しましたが、オランダだけは例外でした。ただ、後にオランダも東インド株式会社を政府に取り込んでしまい、オランダの植民地経営も失敗することになりました。

ただ、その後も民間巨大企業は、本社・本部などの統治機構を作り出すことにより、成功しています。

ただ、その後政府は肥大化していって今日のような姿になっています。今日、政府のほうが、民間会社を見習い、政府は統治に専念する体制を作り出すべきなのです。

ドラッカーの語るように、現在の政府は、統治と実行を両立させようとして、統治の能力が麻痺しているのです。しかも、各省庁などの決定のための機関に、実行をさせているが故に、貧弱な実行しかできないのです。各省庁などの機関は、実行に焦点を合わせていないのです。体制がそうなっていないのです。そもそも関心が薄いのです。

であれば、各省庁の統治をする部分のみを政府に含め、政府にある実行の部分を各省庁に振り分け、さらにこれら各省庁を政府の下部機関とするのではなく、外に出すべきなのです。そうして、民営化すべきなのです。そうして、これは突飛な考えとは言えないと思います。

明治政府の人員は、政権が固まった1871年(明治4年)には、約2,000人程度と推定されています。

当時の日本の人口は約3,500万人とすると、人員対人口の比率は約0.055となります。

現在の日本の中央政府の人員は、約25万人です。現在の日本の人口は約1億2,700万人とすると、人員対人口の比率は約0.02%となります。

このように、明治政府の人員対人口の比率は、現在の政府の人員対人口の比率と比べると、約40倍も高いことがわかります。

ただ、人口比だけで比較するとそうはなりますが、それにしても、当時はコンピュータもなく、通信も発達しておらず、機械化も進んでおらず、ITもAIもない状況を考えると、わずか2000人で日本全土を統治していたのは驚きです。

『憲法発布式之図』

明治政府の役割は主に政治や軍事、行政の整備に限られており、また、民間企業や地方自治体に多くの業務を委任していました。明治政府は、統治に専念していたといえます。

単純比較はできませんが、明治維新の最中にあった当時は現在よりもはるかに、多くの決定事項があったと思います。しかし、政府は統治に専念していたのでしょう。だからこそ、現在よりは統治と実行もうまくいっていたと言えると思います。そもそも、明治政府はどの政府よも、改革を成し遂げたといえます。

現在の政府の縮小と分散化により、 民間組織、地域コミュニティ、個人に力を与えることで、社会と経済が活性化します。 政府は方向性を定め、実行の邪魔にならないようにすべきなのです。 その役割は、制御したり細かく管理したりすることではなく、日本を豊かにし、強くすることを促進することなのです。

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2024年1月1日月曜日

石川で震度7 津波警報が山形~兵庫北部に発表 安全な場所へ―【私の論評】石川県能登地方を震源とする地震、南海トラフ巨大地震の前兆か?

石川で震度7 津波警報が山形~兵庫北部に発表 安全な場所へ

2024年1月1日 20時41分 令和6年能登半島地震

まとめ
  • 石川県能登地方で震度7、七尾市、輪島市、珠洲市、穴水町、中能登町、能登町、新潟県長岡市で震度6強から6弱、日本海側の広い地域で震度4から1の揺れを観測。
  • 石川県能登地方で多くの建物が倒壊、道路や鉄道などのライフラインにも大きな被害。
  • 沿岸部では津波警報が発表され、津波により家屋や車が流されるなどの被害が発生。
  • 政府は被災地への救援活動を進め、今後の被害拡大を防ぐため、地震や津波への備えを呼びかけ。

2024年1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とするマグニチュード7.6の地震が発生しました。この地震は、日本海溝のプレート境界で発生したと考えられています。

この地震で、石川県能登地方の志賀町で震度7の激しい揺れを観測しました。また、石川県の七尾市、輪島市、珠洲市、穴水町、中能登町、能登町、新潟県長岡市で震度6強から6弱、新潟県、富山県、福井県、長野県、岐阜県で震度5強から5弱、北海道から九州までの広い範囲で震度4から1の揺れを観測しました。

石川県能登地方では、多くの建物が倒壊し、道路や鉄道などのライフラインにも大きな被害が出ました。また、津波警報が発表され、沿岸部では津波により家屋や車が流されるなどの被害が発生しました。

この地震は、日本海側の広い地域に大きな被害をもたらしました。特に、石川県能登地方では、震度7の激しい揺れにより、多くの建物が倒壊し、多くの人が被災しました。また、津波警報が発表され、沿岸部では津波による被害も大きく、多くの人が避難を余儀なくされました。

この地震を受けて、政府は、被災地への救援活動を進めています。また、今後の被害拡大を防ぐため、地震や津波への備えを呼びかけています。

【私の論評】石川県能登地方を震源とする地震、南海トラフ巨大地震の前兆か?

まとめ
  • 2022年6月19日、石川県能登半島でマグニチュード5.4の地震が発生。
  • 2020年12月から2023年12月にかけて、能登地方で震度1以上の地震が506回発生。
  • 能登地方で群発地震が活発化しており、大きな地震が発生する可能性がある。
  • 南海トラフ巨大地震の前兆である可能性も指摘されている。
  • 日頃から地震への備えをしておくことが重要。
この地震により、多くの方が被災されたことと思います。被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。

また、この地震は、日本海側の広い地域に大きな被害をもたらしました。特に、沿岸部にお住まいの方は、津波による二次災害に十分注意が必要です。

津波は、予想の高さを超えることがあります。斜面を駆け上がり、内陸深くまで流れ込みます。何度も押し寄せ、急に高くなります。

津波警報や注意報が出ている地域にお住まいの方は、ただちに安全な場所へ避難してください。高台やビルの上、海岸から遠い場所へ避難しましょう。

また、避難する際には、以下の点に注意してください。
  • ラジオやテレビで最新情報を確認する。
  • 家族や周囲の人と連絡を取り合い、避難場所を決める。
  • 必要な持ち物を用意する。
地震や津波は、いつどこで発生するかわかりません。日頃から、地震や津波への備えをしておくことが大切です。

2022年6月19日15時08分に石川県能登半島の北東部でマグニチュード5.4の地震が発生しました。この地震の最大震度は6弱でした。

石川県能登地方では2020年12月から2023年12月にかけて、震度1以上の地震が506回観測されるなど、地震活動が活発になっていました。2023年5月5日にもマグニチュード6.5の地震が発生しており、最大震度は6強でした。この地震は石川県が「令和5年奥能登地震」と命名しています。(写真下)

以上は、能登地方の日本海側で、地殻変動が活発に起こっていることを示しています。群発地震は、地殻変動によって引き起こされると考えられています。このことから、能登地方の日本海側で、また大きな地震が発生する可能性があると考えられています。これらの地震は、いずれも能登地方の日本海側を震源としており、地震学者の間では、南海トラフ巨大地震の前兆である可能性があるとの指摘があります。

南海トラフ巨大地震は、日本海側の鳥取から紀伊半島にかけての太平洋側で発生する可能性がある巨大地震です。過去には、1944年に昭和東南海地震、1946年に昭和南海地震が発生しており、いずれもマグニチュード8クラスの巨大地震でした。
南海トラフ巨大地震の発生間隔は、約100年から150年程度と推定されています。現在、南海トラフの断層は、1944年の昭和東南海地震以降、約80年が経過しており、再び大きな地震が発生する可能性があると考えられています。


能登地方の群発地震と南海トラフ巨大地震の関連性を示す具体的な事例としては、以下のようなものが挙げられます。1943年、日本海側の鳥取平野を震源とするマグニチュード7.2の直下型地震「鳥取地震」が発生しました。この地震の翌年と翌々年に、太平洋側でマグニチュード7.9の東南海地震、マグニチュード8.0の南海地震が発生しました。

1964年、北海道南西沖を震源とするマグニチュード9.5の巨大地震が発生しました。この地震の約2年前に、北海道の日本海側を震源とするマグニチュード6.9の羅臼群発地震が発生していました。

これらの事例から、日本海側の群発地震が、太平洋側の巨大地震の前兆となる可能性があると考えられています。

ただし、地震はいつどこで発生するかわからない自然現象であり、必ずしも前兆地震が発生するとは限らないです。また、前兆地震が発生した場合でも、その規模や発生時期などは予測できません

そのため、南海トラフ巨大地震の発生に備えて、日頃から地震への備えをしておくことが重要です。


具体的な備えとしては、以下のようなものが挙げられます。
  • 地震の際に避難する場所を決める。
  • 非常食や飲料水、懐中電灯などの備蓄をする。
  • 避難時に必要なものをまとめておけるリュックサックやバックパックを用意しておく。
  • 地震の避難場所や避難方法を家族で話し合っておく。
  • 地震保険に加入しておく。
地震は、いつどこで発生するかわからない自然災害です。日頃から地震への備えをしておくことにより、被害を最小限に抑えることができます。そうして、政府は日頃から減災のために、できることをすべきです。財源ないからできない、などと言う言い訳は通用しません。現在の日本は、増税しなくても減災のために潤沢な資金を得ることは簡単です。

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