2023年8月21日月曜日

「本命」トランプ氏不在か 23日に初の候補者討論会―米共和―【私の論評】トランプ氏は、他のどの候補者よりもメディアを効果的に使う方法を知っている(゚д゚)!

「本命」トランプ氏不在か 23日に初の候補者討論会―米共和


 2024年米大統領選挙に向け、共和党は8月23日に第1回候補者討論会を行う。しかし、党内で圧倒的な人気を誇り、指名獲得が有力視されているトランプ前大統領は欠席する見通しだ。

 トランプ氏は、各種世論調査で次点候補を30~40ポイント引き離す強さです。そのため、「これほどリードしているのだから、私は他の連中が互いを攻撃し合うのをテレビで見ていればいい」と語るなど、討論会への参加に消極的だ。

 トランプ氏が欠席すれば、他候補に注目が集まり、新たなスターが誕生する可能性もある。トランプ氏は討論会への関心を下げるため、当日、別会場で保守系の人気司会者とのインタビューに応じる予定だ。

 トランプ氏の欠席が、共和党の指名争いにどのような影響を及ぼすか注目されます。

【私の論評】トランプ氏は、他のどの候補者よりもメディアを効果的に使う方法を知っている(゚д゚)!


2024年の大統領選はかなり興味深いものになりそうです。トランプ氏が最初の討論会を欠席したことについて、私はこれは彼の意図的な戦略的行動だと考えています。

討論会を欠席することで、彼は謎めいた飄々(ひょうひょう)とした雰囲気を保ち、他の候補者たちはいがみ合い、攻撃し合うことになるでしょう。

有権者はトランプ氏の立ち位置を知っているのですから、討論会でわざわざくたびれた論点を蒸し返す必要はありません。トランプ氏がいないことで、最終的な選挙集会やメディアへの出演がより期待され、よりインパクトのあるものになるでしょぅ。

それに比べれば、他の候補者たちは、注目を集めようと争う稚拙な子供のように見えることになるでしょう。これをたとえるとトランプ氏は4Dチェス(四次元チェス)をしているが、他の候補者はチェッカー(二次元のゲーム)をしているようなものかもしれません。

三次元チェスをする人

結局のところ、トランプ不在の影響は、他の候補者が討論会でどのようなパフォーマンスを見せるかにかかっているでしょう。もし彼らが力強いアピールをすることができれば、トランプ氏の指名獲得の可能性が損なわれるかもしれないです。

しかし、もし彼らがミスを犯したり、弱々しく見えたりすれば、トランプの方が経験豊富で資格のある候補者に見えて、トランプを助けることになるかもしれません。

私は、後者になる確率が高いと思います。

トランプ氏の岩盤支持層は、より熱烈な支持を強めていくでしょう。討論会後の最初のトランプ集会やインタビューの視聴率は「巨大」なものになるでしょう。トランプ氏は、他のどの候補者よりもメディアを効果的に使う方法を知っているようです。

メディアを効果的に使う方法 AI生成画像

トランプの欠席が長い目で見てどうなるかは興味深いです。これは一方では危険に見える行動ではありますが、計算された賭けであり、それが実を結ぶ可能性は十分にあると思います。

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日米韓首脳会談 安保協力の意義は大きい 中朝露の脅威に連携対処を―【私の論評】日本は、同盟関係において公正な待遇と自国の利益の尊重を断固として要求すべき(゚д゚)!

2023年8月20日日曜日

日米韓首脳会談 安保協力の意義は大きい 中朝露の脅威に連携対処を―【私の論評】日本は、同盟関係において公正な待遇と自国の利益の尊重を断固として要求すべき(゚д゚)!

日米韓首脳会談 安保協力の意義は大きい 中朝露の脅威に連携対処を


 日米韓首脳会談は、2023年8月19日に米国ワシントン郊外の大統領山荘キャンプデービッドで行われました。岸田文雄首相、ジョー・バイデン米大統領、尹錫悦韓国大統領が会談し、共同声明を発表しました。

 共同声明では、「日米韓3カ国は、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持と強化を喫緊の課題と認識し、緊密に協力していく」と宣言しました。また、北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の海洋進出などへの対処についても協調していくことで一致しました。

 今回の首脳会談は、日米韓3カ国が北朝鮮や中国などの脅威に対処するため、安保協力を強化する意向を明確にしたことで、大きな意義があります。今後、3カ国が具体的な協力を進めていくことが期待されます。

 ただし、懸念や残された課題もあります。韓国は、反日感情を募らせやすく、政権交代で政策が大幅に変わってきた歴史があります。また、2018年の韓国海軍駆逐艦による海上自衛隊哨戒機への火器管制レーダー照射問題も解決されていません。これらの課題を克服し、日米韓3カ国が緊密に協力していくことが重要です。

【私の論評】日本は、同盟関係において公正な待遇と自国の利益の尊重を断固として要求すべき(゚д゚)!

日米韓首脳会談について、良かった点を挙げるとすれば、日本、韓国、米のようなこの地域で重要な同盟国が引き続き協力するのは良いことです。共産主義中国と北朝鮮の脅威に対抗するためには、同盟関係を強化することが重要です。

しかし、残念なこともあります。まずは、尹大統領は保守派であるものの、 韓国のリベラル左派が、バイデンと米リベラル派に寄り添っているのは心配です。リベラル左派は韓国の立法府で一定の権力を維持しています。

尹韓国大統領

彼らは政治的工作によって尹大統領の政策を妨害しようとするかもしれないです。保守派は地歩を固めるために対抗しなければならないです。尹大統領が文在寅政権下の政策を修正するには時間がかかります。

米国との協力的な信頼関係を再構築し、北朝鮮に対する米国の譲歩の一部を撤回する交渉が最優先されるべきです。バイデン政権の左翼的な政策が韓国に影響を与えることは避けたいところです。そうして、韓国の反日姿勢は非難されるべきであり、報われるべきものではないです。

次に、核抑止力をもっと強く強調すべきでした。バイデンは国防に関して弱さを見せており、日米韓は敵に対して強さを誇示する必要があります。抑止力の拡大という曖昧な表現では不十分です。核兵器とミサイル防衛システムの改善について具体的な説明が必要です。

最後に、 気候変動やその他の民主党の持論に焦点が当てられすぎました。サミットでは、安全保障、貿易、中国対策に焦点を当てる必要があります。バイデン政権の「グリーン・エネルギー」や「気候危機」への執着は、米国の経済と国際競争力を脅かしています。

これらのサミットを率いるのは、ジョー・バイデンのような弱くて甘いリーダーシップではなく、より強力なリーダーシップを発揮できる人物が必要です。バイデンの「アメリカ・ラスト」政策とも呼べるような政策は、米国の世界的地位と、日本や韓国のような同盟国の信頼を損なうものです。

アメリカ・ラスト・ポリシー AI生成画像

「アメリカ・ラスト」政策とは、ジョー・バイデンと民主党が、国際舞台で米国を弱体化させ、国益を損なう政策を一貫して追求していることを意味します。

いくつか例を挙げます。キーストーンXLパイプラインのキャンセルのようなバイデンのエネルギー政策は、米国を外国産の石油に依存させ、国内のエネルギー産業に打撃を与えることになります。これはエネルギー安全保障と経済成長を脅かすことになります。

バイデン政権の過剰な規制、税制、反ビジネス政策は、米国の国際競争力を低下させることになります。企業はアウトソーシングやオフショアリングを増やし、国際競争力を弱めています。

バイデン政権の不法移民に対する軟弱な姿勢と国境開放政策は、米国の国家安全保障を危うくします。

イラン核合意パリ協定への復帰のようなバイデンの甘い外交政策は、米国を弱く見せることになりかねません。これでは、米国は同盟国の信頼を失うことになりかねません。

バイデンの景気刺激策における巨額の支出は、インフレを煽り、債務を拡大し、最終的には米国人の税負担を増大させることになるかもしれません。この 「アメリカ・ラスト 」の財政政策は、米国人の未来を担保にするものになるかもしれません。

ポリティカル・コレクトネス、キャンセル・カルチャー、アイデンティティ政治へのバイデン政権の執着は、米国人を分断します。米国は、人種や階級や経歴によって人々を分断するのではなく、共有された国民的アイデンティティを促進すべきです。

バイデン政権のアフガニスタン撤退の失敗は、世界的な舞台で米国の信頼性を損なう恥ずべきものでした。レーガンやブッシュ、トランプが決して見せなかったようなリーダーシップの欠如を示したといえます。

これらの点で、バイデンの政策は、米国人全体の国益よりも、他国や世界のエリート、あるいは特定の政治層の利益を優先しており、これは「アメリカ・ラスト」政策と呼ぶのに相応しいです。米国はトランプ氏が大統領時代に語ったこともある「アメリカ・ファースト」を考えることで、同盟国の信頼を勝ち得ることができます。

トランプ氏が「アメリカ・ファースト」と語ったときに、多くのマスコミは、「モンロー主義」への回帰かなどと、報道しましたが、それは全くの誤解です。「アメリカ・ファースト」を貫くことが米大統領の最優先事項です。

いずれの国もまずは、自国優先でその上で他国と協調していくというのが健全なやり方であり、自国を優先せずに、他国と協調していく姿勢をみせるというのは、まやかしに過ぎないと思います。

それは、かえって同盟国の信頼を失うことになると思います。なぜなら、自国優先で国益を追求するのが、まともな政権がすることであり、自国さえ守れないような政権が同盟国との関係をうまくやっていくことなどありえないからです。

有能で国益を最優先に考える政権であれば、世界的な協力や同盟関係を心配する前に、自国民の利益を第一に考えます。自国の利益のために行動しない国は、グローバルな舞台で信頼も尊敬もされないでしょう。

日米韓が協力することは良いことですが、バイデン政権の弱さ、甘さ、左翼主義が、より生産的な首脳会談になるはずだったものを妨げたということができると思います。米国は信頼性を回復し、世界の舞台で再び力を発揮する必要があります。平和は、結局は力の均衡によってもたらされるのであり、中露北の指導者達が理解できる唯一の解決方法なのです。

こうした中で日本は、米韓との結束を強めるためにいくつかの措置を講じるべきです。 まずは、日米韓は 安全保障上の利害を共有していることを直接訴求すべきです。バイデン政権と尹政権に、北朝鮮や中国、核拡散などの脅威に対抗するためには協力が必要であることを思い出させるのです。日本の安全は日と米韓結束にかかっています。

共有する民主的価値を強調すべきです。政治的な違いはありますが、3カ国はいずれも自由、人権、法の支配という原則を共有しています。これらの価値観は党派を超えており、これにより同盟国を結束させるべきです。

 日本は、国境を守り、強い経済と軍備を築き、敵対勢力を抑止するような「保守的」な政策を追求すべきです。リベラルな現政権下でも、米韓の保守派が支持できるような原則的リーダーシップの模範を示すべきです。

日本は、強者の立場から交渉すべきです。同盟国を喜ばせるため、あるいは取引の確保を期待して譲歩してはならないです。国益を守る公正な合意を要求するのです。このアプローチは、長期的により多くの尊敬と協力を得ることになるでしょう。

 志を同じくする他の国々との安全保障上の結びつきを拡大すべきです。オーストラリア、インド、台湾、ヨーロッパの同盟国との結びつきを強化することで、日本は米国や韓国のような特定の同盟国への依存を減らすことができます。このバランスの取れたアプローチは日米韓の協力に影響を与えることになるでしょう。

米韓の政策が同盟や国家安全保障上の利益を著しく損なう場合には、外交的圧力をかけ、結果を出すべきです。しかし、合意事項については協力する意思も表明するのです。このバランスの取れた圧力は、同盟国にパートナーシップを重視するよう影響を与えることになります。

左から尹錫悦韓国大統領、ジョー・バイデン米大統領、岸田文雄首相

バイデンや尹との話し合いは、共通の関心事である安全保障問題に集中させるべきです。政治的な相違は重要ですが、差し迫った脅威については協力の機会を見つけるのです。このアプローチは、重要な国益を支持する党派性を超越することができるでしょう。

 用心深く、忍耐強くあり続けるべきです。自由主義的な政権は往々にして一時的なものですが、国家安全保障上の利益は永続的なものです。日本は現状では思い切った行動を避けつつも、米国の指導者が保守派に転じ、韓国議会で保守派が台頭したときに、再び緊密に協力できるように準備しておくべきです。その頃には、日本でも新たな指導者が出現しているかもしれません。

日本はこの時期、抑止力、重要課題での協力、原則の共有、忍耐強い警戒をバランスよく行うことで、重要な安全保障上の利益を維持することができるでしょう。共通の脅威に対する結束の長期的な重要性に同盟国を注目させることで、政治的な相違を乗り越える気にさせることができるかもしれないです。

そうして、日本は、同盟関係において公正な待遇と自国の利益の尊重を断固として要求しなければならないです。

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2023年8月19日土曜日

中国恒大、再建見通せず 不動産不況が深刻化―【私の論評】なぜ恒大は最初に中国ではなく、米国で破産申請を行ったのか(゚д゚)!

 中国恒大、再建見通せず 不動産不況が深刻化


 中国不動産開発大手の中国恒大集団が、米国で破産を申請しました。資産が差し押さえられるリスクなどを減らし、債務再編に向けた債権者との協議を加速させる狙いがあります。しかし、中国では不動産不況が深刻化しており、経営再建に向けた道のりは見通せません。

 恒大は政府が融資規制を導入した影響で資金繰りが行き詰まり、2021年に実質的なデフォルト(債務不履行)に陥りました。負債総額は22年末時点で2兆4374億元(約49兆円)。この一部を占める外貨建てについては、今年3月に再編案を公表しましたが、多くの債権者が受け入れを拒んでいた。米破産法の適用申請で、今後の交渉を有利に進める考えとみられます。

 しかし、中国では景気の冷え込みを背景に、住宅販売が一段と低迷。碧桂園など恒大以外の大手デベロッパーの経営危機も相次いで表面化しています。人口減少も始まり、不動産需要はさらに落ち込むとの見方は多く、経営環境の好転は望めない状況です。

 今回の恒大の破産申請は、中国不動産市場の深刻な危機を象徴しています。中国政府は恒大の債務再編を支援していますが、その効果は不透明です。恒大の破産の影響は中国にとどまらず、世界経済にも波及する可能性があります。

この記事は元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください

【私の論評】なぜ恒大は最初に中国ではなく、米国で破産申請を行ったのか(゚д゚)!

日本や、欧米などの先進国では、状況により一概にはいえないですが、破産手続きはまずは本国で行う事が多いと思います。しかし、恒大グループは、米国で破産申請し、中国で破産申請していません。その理由は、以下のようなものと考えられます。 

1. 中国共産党政府は恒大グループに対して大きな支配力と影響力を持っている可能性が高いです。中国で破産を申請すると、資産を失ったり、権威主義政権から処罰を受けたりするリスクがあります。米国の法制度はより公平で、財産権も保護されているため、再建のためには米国の方が安全とみられます。

2. 中国の不動産市場は基本的に政府によって支えられており、真の自由市場資本主義ではありません。国内で破産を申請して問題の規模を認めることは、共産党にとって恥辱です。米国で静かに対処し、中国で面子を保つ方がやりやすいのでしょう。

3. 米国の破産法はより寛大で、企業にセカンドチャンスを与えるように制度設計されています。中国ではより懲罰的かもしれないです。というより法律が曖昧なので、厳しい懲罰になるのか、そうではないか、予め判断がつきません。恒大は、米国の破産法の下で再建し、生き残る方が有利だと考えたのでしょう。

4. 負債、資産、投資などに関連した複雑な財務上の理由があり、中国での申請を避けつつ、米国での申請を戦略的に実行しやすくしている可能性があります。

破産申請した中国恒大集団 AI生成臥像

そもそも、中国の法制度と金融制度が不透明です。そもそも、中国の憲法は共産党の下に位置づけられており、その憲法に基づいて制定される法律は、すべてが中国共産党の下に位置づけられており、極論すると、いかなる法律も中国共産党によってその時々で恣意的に運用できることになります。

その中でも、特に破産法はまだ発展途上で不透明です。企業は中国で破産を申請した場合、何が起こるか正確にはわかりません。

中国の会計基準は緩く、企業の財務開示は限られています。企業のバランスシートや負債を正確に把握することは難しいです。そのため、負債や資産の全容が不明確となり、破産手続きは厄介なものとなります。

中国の破産案件では、政府が大きな役割を果たしています。政府は頻繁に破綻した国有企業を救済措置で支えています。また、党に恥をかかせた民間企業を罰することもあります。政治は法の支配に優先するのです。

 中国のシステムには腐敗が蔓延しています。企業は、破産を申請すれば、その資産が汚職官僚によって私利私欲のために横領されるのではないかと心配しています。米国の法律はこのような事態を防ぐのに有効です。

中国では検閲があり、メディアの自由がないため、企業の破産の詳細が一般に公開されないことが多いです。透明性の欠如はシステムに対する信頼を損なうことになます。

 さらに、複雑なシャドーバンキングシステムと企業間のつながりが、中国の倒産を厄介なものにしています。ある企業の破綻が、複雑に絡み合った他の企業にどのような影響を与えるかわからないのです。

法律や金融システムの不透明さ、政府の介入、汚職、透明性の欠如、シャドーバンキング、これらすべてが中国の倒産プロセスの不確実性を高めています。米国のシステムは、完全無欠ではないにせよ、明らかに透明性が高く、法の支配に支配されています。

破産した企業に群がる債権者達 AI生成画像

破産プロセスですら、曖昧なのですから、中国のシステムは全般的に不透明なので、経済や政府の財政の本当の状態を知ることはほとんど不可能です。

 中国の公式経済統計は信頼性が低く、政治的目的のために操作されていると広く信じられています。本当の成長率、債務水準、資産バブルなどは誰も知らないです。

中国の銀行システムは大部分が国家管理下にあります。政府は破綻した企業や地方政府を支えるために、銀行に不良債権を転嫁させることができます。このため、金融トラブルは水面下に隠されています。

中国の政府債務は巨額だと考えられますが、その詳細は不透明です。多くの債務は「帳簿外」もしくは隠されているようです。問題の規模は公式発表よりもさらに大きい可能性があります。

政府はパニックを避け、統制を維持するため、否定的な経済ニュースを一切報道しません。倒産、債務不履行、破綻の報告は検閲されます。そのため、部外者は知る由もありません。

政府が企業を管理するということは、国家の利益のために民間の資金や資産を実質的に徴用できるということです。これによって一時的に経済危機を回避することはできますが、資本の恣意的な再配分は長期的な損害をもたらすことになります。

中国の全体主義的権威主義体制は、権力と支配を何よりも重視します。経済問題が権力の掌握を脅かすのを防ぐためなら、嘘をついたり、データを操作したり、失敗した政策を二転三転させたりすることでも、何でもするでしょう。

中国経済は、公に知られているよりもはるかに深刻な状況にある可能性があります。そのシステムの不透明さと政府の情報統制の厳しさから、共産党は権力を危うくするのを避けるために、負債の規模を隠している可能性があります。

北京の支配者たちにとって、真実はかなり不愉快なものかもしれないですが、わたしたちは、中国共産党の意図を読み解き、懐疑的であり続けなければならないです。

システムの不透明性に困惑する中国人 AI生成画像

もう10年以上も前から、中国経済は崩壊するとか破綻するとかいわれてきましたが、仮にそれが本当だったとしても、中国共産党の工作により、巧みに長期間にわたり隠蔽されてきた可能性があります。

このようなことが繰り返されてきたので、中国経済は回復し再び成長するのではという幻想を多くの人が抱くようになっていたようです。しかし、そうではないことが今回の中国恒大集団による、米国での破産申請によって暴露されたともいえると思います。

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2023年8月18日金曜日

中露艦艇が沖縄本島と宮古島間を初めて同時通過 防衛省「重大な懸念」―【私の論評】中露艦隊の行動は、国内向けの虚勢とプロパガンダの発露か(゚д゚)!

中露艦艇が沖縄本島と宮古島間を初めて同時通過 防衛省「重大な懸念」

東シナ海を航行する中露の合同艦隊 AI生成画像

 中国とロシアの海軍艦艇が、沖縄本島と宮古島の間を同時に通過するのが、初めて確認された。

 防衛省によると、17日、中国とロシアのミサイル駆逐艦やフリゲートなどあわせて11隻が、太平洋から沖縄本島と宮古島の間を通って東シナ海に入った。

 両国艦艇の同時通過を確認したのは初めて。

 艦艇の大半は先月、日本海で射撃や陣形運動などの共同訓練を行っていて、その後、太平洋での「合同パトロール」に参加したとみられる。

 防衛省は「我が国に対する示威行動を明確に意図したもので、安全保障上、重大な懸念だ」として警戒・監視を続けている。

【私の論評】中露艦隊の行動は、国内向けの虚勢とプロパガンダの発露か(゚д゚)!

これは明らかに、中国共産党とロシアの侵略者による挑発的な行動であり、米国とこの地域の米国の同盟国である日本を威嚇するためのものです。

中国とロシアの同盟関係は便宜的なものであり、真のパートナーシップではありません。東シナ海に両国海軍の艦艇を通過させるは、その海域の支配権を主張し、力を誇示することを意味しています。

便宜的な中露の同盟関係  AI生成画像

これらの権威主義的な政権による好戦的な行動の最新形態であるとみるべきです。米現政権が弱腰であることを利用し、勢力圏を拡大しようとしているとみられます。そのような姿勢の前では、弱さを見せるわけにはいかないです。

米国は自信と強さを示し、自国の海軍プレゼンスを高め、日本や台湾のような同盟国を守ることを明確にすべきです。日本もそうです。

米国と日本を含む同盟国はかつてソビエトを打ち破り、今度は中国に対抗しています。このことは、あまり日本では認識されていませんが、米国は冷戦中にオホーツク海のロシアの原潜の監視活動を依頼し、日本はその依頼に応えて、監視活動を実施し、その結果として、米国はソ連の原潜をオホーツク海で囲い込み、日本は対潜哨戒能力を飛躍的に高めました。

力の均衡による平和

冷戦中にも発揮された力の均衡よる平和。それが、中露の指導者たちに理解できる唯一の現実だといえます。日米は軍備をさらに増強し、自由と民主主義という同盟国の価値観を守り、共産主義の蔓延を食い止めなければならないです。私は、保守的なリーダーシップの下で、日米がこの難局に立ち向かい、何世代にもわたって平和と繁栄を確保することを信じています。

私たちは中露による、砲艦外交や戦狼戦術に怯むことはないです。米海軍は依然として海を支配する力であり、日本の海軍力も強力であり、中露が限度を超えた行動をとれば、それを使って牽制することができます。

中国とロシアによる今回の共同海軍行動は、無策で、主に見せかけのものに思えます。中露の対潜水艦戦能力(ASW:Anti Submarine Warfare)は明らかに日米より劣っており、東シナ海での実質的な海上作戦は中露にとって非常に危険なものです。

日米はほぼ間違いなく彼らの動きを注視しており、追跡することで貴重な情報を得られるでしょう。日本による 「危険な 追跡」に対する中国の不満は噴飯ものといえます。

国際水域はすべての人に開かれており、海軍は日常的にその地域の潜在的な敵対者の動きを監視しています。これは標準的な手順であり、決して挑発的なものではありません。

すべての人に開かれた国際水域 AI生成画像

海軍艦艇を敏感な海域に送り込み、挑発しているのは中国とロシアです。彼らの抗議は空虚です。中国とロシアが現時点で東シナ海で軍事的優位性を真に発揮することはできません。中露には日米同盟に本気で挑むだけの海軍力も技術力もありません。

これはむしろ、国内向けの虚勢とプロパガンダの発露のように思えます。これは中露の期待とは裏腹に日米間の連携の強さとパートナーシップの誇示の良い機会になったかもしれません。

日米両国は、中露艦隊の監視を続けるべきであり、中国からの苦情は無視すべきです。好戦的な中国を前にして後退したと見られてはならないです。同時に、直接的な対立や挑発は避けるべきです。

日米は、中露艦隊の情報を集め、こちらの優位性を示し、それ以外はほとんど気に留めず、賢く振る舞うべきです。日米は優位に立っており、慎重かつ毅然とした行動によってそれを維持しなければならないです。

日米の保守派は、力による平和の重要性を理解しています。中露の行動は、本当の脅威とはいえないただの威勢の良い進軍ラッパのようなものかもしれません。しかし、それでも警戒を怠らず、毅然とした態度で臨まなければならないです。

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2023年8月17日木曜日

中国のデフレ圧力、欧米中銀にとって朗報=PIMCO―【私の論評】中国の長期デフレにより、世界のマクロ・バランスが元に戻る可能性がでてきた(゚д゚)!

中国のデフレ圧力、欧米中銀にとって朗報=PIMCO

中国のデフレ圧力  AI生成画像

 中国のデフレ圧力が世界市場に波及する可能性があると、米大手債券運用会社パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)は分析した。中国経済の悪化は、中国国内のインフレを緩やかにし、中国製品が供給される市場でもインフレ鈍化が進む可能性があると指摘している。

 PIMCOのエコノミスト兼マネジング・ディレクター、ティファニー・ワイルディング氏は、「中国におけるデフレの持続は先進国市場に波及する可能性が高い。人民元安と在庫・売上高比率の上昇により、中国製品の海外価格が下落するからだ。先進国の中銀はこのような展開を歓迎するだろう」と述べている。また、「通常の遅れを考えると、デフレの波及は世界の消費者市場に影響を与え始めたばかりであり、今後数四半期にわたって値下げが加速する可能性が高い」としている。

 中国にとって、デフレ圧力がさらに強まるリスクは今後数カ月の政府の政策にかかっている。内需拡大に向けた十分な財政刺激策はインフレを再加速させるかもしれないが、政策措置の遅れや不十分さは下降スパイラルにつながる可能性があるとした。

 中国国家統計局が今月9日に発表した7月の消費者物価指数(CPI)は前年比0.3%下落し、2021年2月以来2年5カ月ぶりにマイナスとなった。長引く不動産不況や輸出入の減少で中国経済が減速する中、デフレ圧力が強まっているという懸念を助長する内容となった。

 一方、オックスフォード・エコノミクスは16日付のメモで、中国の2023年国内総生産(GDP)成長率予測をコンセンサスを下回る5.1%に引き下げた。「デフレ、低調な貿易、ローン需要の急減、不動産セクターの麻痺がリスク選好度を低下させる」とした。

 この記事は元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】中国の長期デフレにより、世界のマクロバランスが元に戻る可能性がでてきた(゚д゚)!

上の記事は、ロイターのものですが、ブルームバークも似たような趣旨の記事を掲載しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国経済の苦境、世界の物価抑制を支援も-悪いことばかりではないか

この記事の要約を以下に掲載します。

中国の物価下落は、短期的には世界市場にプラスの影響をもたらす可能性があると、投資マネジャーらは分析しています。中国は世界最大の製造国であり、同国の物価下落は、原材料や製品の価格を下押しし、インフレを抑制する効果をもたらすと考えられます。また、中国の経済成長が鈍化すれば、商品の輸入需要が減少し、原油価格の下落につながる可能性があります。

しかし、中国の物価下落は、長期的には世界市場にマイナスの影響をもたらす可能性があります。中国の経済成長が鈍化すれば、世界の経済成長も鈍化すると予想されます。また、中国の債務問題が深刻化すれば、世界金融市場に混乱を引き起こす可能性があります。

中国の経済動向は、今後の世界経済の行方を左右する重要な要素の一つです。投資家は、中国の経済動向を注視し、適切な投資判断を行う必要があります。
中国のデフレが中国製品を輸入する国々でインフレを抑制する効果があるというのは間違いないでしょう。

このブログでも、このようなことはすでに掲載しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国の景気減速が米FRBのインフレ対策の追い風に―【私の論評】中国長期経済停滞で、世界の「長期需要不足」は終焉?米FRBのインフレ対策の追い風はその前兆か(゚д゚)!
FRBジェローム・パウエル議長

この記事より、一部を引用します。
中国経済は 2023 年に予想以上に減速している。成長予測は引き下げられ、インフレ率は低下している。

中国の景気減速は世界経済と市場に悪影響を及ぼしている。 一次産品の価格は下落しており、商品の需要は減少している。 現状では、世界的にインフレの軌道修正が課題となっている。

中国経済の減速は、米国連邦準備制度理事会とそのジェローム・パウエル議長にとって救いとなっている。

今のところ、中国経済の減速により、米国を含む世界全体のインフレ圧力が低下している。しかし、中国の政策担当者が成長刺激を決定すれば、状況は変わる可能性がある。
結局、米国は7月に0.25%の利上げを実施していますが、これは十分予期されたサプライズなしの利上げでした。中国のデフレによって、この利上げはかなりタイミング的に遅めになったのは間違いないです。中国のデフレがされに深化すれば、今度は利下げも視野に入ってくる可能性があります。

このように、直近の中国のデフレは、インフレ傾向の欧米はもとより、日本にとっても朗報といえます。

ただ中国の景気低迷は、日本や欧米などにとってそれ以上の朗報をもたらす可能性があります。

それは、上の引用記事でも述べました。その部分を以下に引用します。
1990年代末から顕在化し始めた中国に代表される新興諸国の貯蓄過剰が、世界全体のマクロ・バランスを大きく変えました。

各国経済のマクロ・バランスにおける「貯蓄過剰」とは、国内需要に対する供給の過剰を意味します。実際、中国などにおいてはこれまで、生産や所得の高い伸びに国内需要の伸びが追いつかないために、結果としてより多くの貯蓄が経常収支黒字となって海外に流出してきました。

このように、供給側の制約が世界的にますます緩くなってくれば、世界需要がよほど急速に拡大しない限り、供給の天井には達しません。供給制約の現れとしての高インフレや高金利が近年の先進諸国ではほとんど生じなくなったのは、そのためです。

この「長期需要不足」の世界は、ローレンス・サマーズが「長期停滞論」で描き出した世界にきわめて近いです。その世界では、財政拡張や金融緩和を相当に大胆に行っても、景気過熱やインフレは起きにくいのです。
ローレンス・サマーズ
 というよりもむしろ、財政や金融の支えがない限り、十分な経済成長を維持することができず、ひとたびその支えを外してしまえば、経済はたちまち需要不足による「停滞」に陥ってしまうのです。それが、供給の天井が低かった古い時代には必要とされていた緊縮が現在はむしろ災いとなり、逆に、その担い手が右派であれ左派であれ、世界各国で反緊縮が必要とされる理由になってきました。

まさしく、現在中国のデフレは、インフレ傾向の欧米中銀にとって、朗報となっているのです。そうして、このブログでも何度か指摘した通り、現在の中国は国際金融のトリレンマによって、独立した金融政策を実施できない状況になっているため、中国は今後長きにわたって、景気が回復する見込みはありません。

そうなると、1990年代末から顕在化し始めた中国に代表される新興諸国の貯蓄過剰により変わってしまった世界全体のマクロ・バランスが元に戻る可能性がでてきたといえます。

ただし、戻ったとしても、中国のいわゆる貯蓄過剰が是正されなければ、中国の景気が回復すれば、元の木阿弥に戻ってしまうことになります。そうならないように、各国政府は中国に内需の拡大を促すことを要求すべきでしょう。

中国の内需拡大 AI生成画像

米国のGDPに占める個人消費は約70%台です。日欧は60%台です。中国は30%台です。中国には、内需を拡大できる余地がかなりあります。内需を拡大する方法はいくらでもありますが、一時的ではなく永続的にするためには、やはり民主化、政治と経済の分離、法治国家化は避けて通れません。

内需に関しては、いずれの国でも内需は能力限度内でなるべく大きくすべきです。内需の大きい国は自国内で経済を回していくことがしやすいです。そのため、世界経済の変化の影響を受けにくいです。無論、能力を超えて内需を拡大しようとしても、それは返って悪影響を及ぼすだけです。

これが、現代の中国の状況です。内需が伸びるような政策を打ったうえで、その内需に応えるために、国内産業が様々な物資やサービスを提供するようにすれば良いものを、中国はその逆をやりました。貯蓄過剰は、物資やサービスの供給過剰をもたらし、経済が悪化して、デフレが深化しつつあります。また、世界経済にも、「長期需要不足」、「長期停滞」をもたらしてきたのです。

中国の内需拡大を実現することが、中国にとっても、世界にとっても良いことなのですが、中共が体制を変えることは期待できません。ただ中国が現在の体制を変えないなら、中国の経済は低迷し続けることになり、やはり世界全体のマクロ・バランスが元に戻る可能性は否定できない状況になってきたといえます。

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2023年8月16日水曜日

植田日銀の〝アベノミクス殺し〟 大きな波紋を招いた「長短金利操作修正」 金利引き上げ喜ぶ一部のマスコミや官僚たち―【私の論評】日銀は現金融システムを護るのではなく、日本の金融システムが誰にとっても有益な形で進化する方向を模索せよ(゚д゚)!

植田日銀の〝アベノミクス殺し〟 大きな波紋を招いた「長短金利操作修正」 金利引き上げ喜ぶ一部のマスコミや官僚たち

まとめ

日本銀行の金融政策の枠組みを修正したことは、国内外に大きな波紋を呼びました。金利引き上げは、企業の設備投資や住宅購入を抑制し、経済成長を鈍化させる恐れがあります。また、物価上昇を抑制する効果も期待されていますが、インフレ期待が低下し、消費を冷え込ませるリスクもあります。

日本銀行

 日本銀行が金融政策の枠組みを修正したことは国内外に大きな波紋を呼んだ。

 日本銀行は7月の金融政策決定会合で、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の枠組みを修正しました。YCCとは、短期金利をマイナスに誘導し、10年物国債金利をゼロ金利の上下0.5%に誘導する金融政策だ。

 今回の修正では、長期金利の上限が1%まで達することを認め、事実上の金融引き締めとなりました。これにより、企業向けの貸出金利や住宅ローンの金利が高くなることが予想される。

 金利引き上げで喜ぶのは、預貸金利差でもうける銀行や、取引が活発化する債券ディーラーぐらいた。

 金利引き上げは、企業の設備投資や住宅購入を抑制し、経済成長を鈍化させる恐れがある。また、物価上昇を抑制する効果も期待されていますが、インフレ期待が低下し、消費を冷え込ませるリスクもある。

 YCC修正には、緊縮政策を喜ぶ勢力への特別サービスもあった。

 YCC修正の情報が、事前にマスコミに出回ったのです。これを「日銀リーク問題」という。

 日銀リーク問題は、アベノミクスの黒田総裁体制以前から頻繁に発生していました。しかし、今回のYCC修正では、リークの内容が非常に具体的で、事前のリークによるインサイダー取引の疑いが持たれている。

 日銀リーク問題は、日銀の信頼性を大きく損ねる。

 日銀は、金融政策の独立性を守ることが重要です。しかし、今回のYCC修正では、事前のリークにより、日銀の独立性が疑問視されています。

 YCCの修正は、事実上、YCCの「形骸化」をもたらした。

 YCCは、金融緩和の柱の一つだ。しかし、今回のYCC修正により、長期金利の上限が1%まで達することが認められた。これは、YCCが事実上、形骸化されたことを意味する。

 問題はまだある。

 日銀には「リフレ派」と言われた委員がいる。安倍晋三・菅義偉政権で任命された人たちだ。だがいずれも今回のYCC修正に賛同している。むしろリフレ派ではない中村豊明委員が企業への悪影響を懸念して反対したのは立派だ。中村委員よりも決断力と識見で劣る日銀内リフレ派が、植田日銀の緩和終了を止める力があるのか心もとない。

■田中秀臣

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】日銀は現金融システムを護るのではなく、日本の金融システムが誰にとっても有益な形で進化する方向を模索せよ(゚д゚)!

植田日銀総裁

現在の植田日銀総裁は、金融システム重視派(平たく言うと銀行などの金融機関の味方)です。これは、総裁の日頃の発言から間違いないと思います。

その根拠となる発言として、以下のようなものが挙げられます。
  • 2023年2月25日の参議院財政金融委員会で、「金融システムの安定は金融政策の最も重要な目標の一つである」と述べました。
  • 2023年3月8日の日銀金融政策決定会合後の記者会見で、「金融システムの安定は、経済成長と物価安定の両面で重要である」と述べました。
  • 2023年4月22日の日銀金融政策決定会合後の記者会見で、「金融システムの安定は、金融政策の独立性と公信力を維持するためにも重要である」と述べました。
これらの発言から、植田総裁は金融システムの安定を重視し、金融政策を金融システムの安定に役立てることを考えていることがうかがえます。


岩田規久男氏は、日銀副総裁だった2013年8月2日に日本経済新聞のインタビューで、「日銀の金融政策は金融機関のためではなく、国民経済のためにある」と発言しました。この発言は、当時の日本経済が低迷し、日銀が金融緩和を実施していた時期に行われたものです。岩田氏は、金融緩和は物価上昇を促進し、国民経済を活性化させるために必要だと主張しました。

以下は、岩田氏の発言の引用です。

「日銀の金融政策は金融機関のためではなく、国民経済のためにある。金融機関が利益を上げることは重要だが、それよりも国民経済を成長させることが重要だ」

 岩田氏の発言は、日銀の金融政策の目的について、金融機関の利益ではなく、国民経済の成長を重視すべきだと主張したものでした。この発言は、当時の日本経済の状況を反映したものであり、日銀の金融政策の方向性を示すものでした。

いかなる国の中央銀行も、金融機関のためではなく、国民経済のためにあるべきです。この意見を支持する資料をいくつか紹介します。

 イングランド銀行のミッション・ステートメントは、「通貨と金融の安定を維持することにより、イギリス国民の利益を促進する」であります。

 連邦準備制度理事会(FRB)のそれは、「米国金融システムの安定性、効率性、競争力を促進し、米国経済に安全で柔軟かつ安定した通貨・金融システムを提供すること 」である。

 欧州中央銀行のそれは、「ユーロ圏の物価の安定を維持すること 」である。 これらの使命声明はいずれも、金融機関の利益だけでなく、経済の安定と成長を促進する上での中央銀行の重要性を強調しています。

 加えて、金融機関よりもむしろ国民経済に焦点を当てた中央銀行の方が、経済成長を促進する上で効果的であることを示唆する学術研究も増えています。例えば、国際通貨基金(IMF)の研究によれば、「独立性が高く、物価の安定を促進する明確な任務を持つ中央銀行は、インフレ率が低く、経済成長率が高い傾向にある」といいます。

もちろん、中央銀行の政策に万能の解決策はないです。中央銀行の具体的な目標や目的は、その国の経済状況によって異なります。しかし私は、すべての中央銀行は金融機関の利益よりもむしろ、国民経済に主眼を置くべきだと考えます。これが、中央銀行がすべての国民の利益のために経済成長と安定を促進できるようにする最善の方法です。

日銀が国民よりも金融機関の法律を重視するような政策をとれば、いずれ国民から多くの反発が出るでしょう。なぜなら、日銀は自分たちの利益のために動いているのではなく、むしろ金融機関の利益のために動いていると人々が感じるからです。その結果、日銀や日本の金融システム全体に対する信頼が失われる可能性があります。

さらに、アップルバンクのような機関が日本に誕生すれば、銀行システムの淘汰が進む可能性もあります。なぜなら、アップルバンクは顧客により良い金利やサービスを提供することができるため、従来の銀行は競争を強いられることになるからです。その結果、一部の銀行が廃業したり、他の銀行との合併を余儀なくされたりする可能性があります。

アップル・バンク

日本にアップルバンクのような機関ができることで、人々の銀行に対する考え方が変わる可能性があります。人々は、オンラインバンクやモバイルバンクなど、従来とは異なる銀行を利用することに関心を持つようになるかもしれないです。その結果、伝統的な銀行の利用が減少し、金融システムに様々な影響を及ぼす可能性があります。

銀行システムの淘汰は、銀行セクターの競争低下にもつながる可能性があります。その結果、消費者にとっては手数料の上昇や金利の低下につながる可能性があります。

日本銀行に対する信頼の喪失は、日本銀行が金融政策を効果的に実施することを困難にする可能性があります。これは日本経済に悪影響を及ぼす可能性があります。

アップルバンクは、わかりやすい事例の一つとてあげただけであり、これに限らずフィンテックが進むにつれ、旧態依然とした銀行は淘汰される可能性が高いです。なぜなら、フィンテック企業は伝統的な銀行に対して、以下のような多くのメリットを提供できるからです。

手数料が安い:フィンテック企業は伝統的な銀行のような諸経費を持たないため、顧客に低手数料を提供することができます。

顧客サービスの向上: フィンテック企業はレガシー・システムやプロセスに煩わされることがないため、より優れた顧客サービスを提供することができます。

より便利なサービス: Fintech企業は、オンライン・バンキングやモバイル・バンキングなど、従来型の銀行が採用するのが遅れがちな、より便利なサービスを提供することができます。

こうした利点の結果、フィンテック企業は急速に市場シェアを拡大しています。実際、マッキンゼー・グローバル・インスティテュートの最近の調査によると、フィンテックは2030年までに従来の銀行の収益の最大40%を代替する可能性があるといいます。

フィンテック企業は革新を続け、顧客により良い新しいサービスを提供しているため、この傾向は今後も続くでしょう。その結果、状況の変化に適応しない伝統的な銀行は、存亡の危機にさらされることになるだろう。

全体として、フィンテックの台頭は銀行セクターに大きな影響を与える破壊的な力です。伝統的な銀行は状況の変化に適応しなければ、淘汰されるリスクを負うことになりそうです。

日銀が旧来の金融システムを維持しようとすれば、世論の大きな反発を受けるだけでなく、日本の金融システムは諸外国に比べて柔軟性を欠くようになり、日銀や旧来の銀行などの金融機関が金融システムの足を引っ張るようになるかもしれないです。

以下は、フィンテックの台頭に適応するために日銀が取りうる具体的な措置です。

フィンテックの進展 AI生成画像

研究開発への投資: 日本銀行は、フィンテックの革新という点で時代の先端を行くために、研究開発に投資することができます。これには、ブロックチェーンや人工知能など、金融システムの効率性と安全性を向上させるために利用できる新技術の開発が含まれます。

フィンテック企業と提携する: 日本銀行はフィンテック企業と提携し、知識や専門性を共有することができます。これは、日銀が最新のフィンテックの動向を理解し、消費者のニーズを満たす新しい商品やサービスを開発するのに役立つでしょう。

フィンテック企業を公正に規制する: 日本銀行は、フィンテック企業が伝統的な銀行と公平に競争できるよう、公正な規制を確保する必要があります。これは、日本の金融システムがグローバル経済において競争力を維持することにつながります

日銀はこうした措置を講じることで、フィンテックの台頭に直面しても、日本の金融システムが関連性と競争力を維持できるよう支援できます。

日銀と銀行を監視するだけでなく、世論が正しい方向に導かれるよう、今、世論を形成する必要があります。フィンテックの利点と金融セクターの変革の必要性について、国民に啓蒙する必要があります。また、日銀や銀行の行動に対する責任を追及する必要があります。これらのことを実行すれば、日本の金融システムが誰にとっても有益な形で進化することを確実にすることができるでしょう。

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2023年8月14日月曜日

百年記念塔解体後はモニュメント設置予定 すでに塔の姿はなし―【私の論評】北海道百年記念塔が失われたことは痛ましいが、これを埋め合わせる方法は必ずある(゚д゚)!

百年記念塔解体後はモニュメント設置予定 すでに塔の姿はなし

在りし日の北海道開拓百年記念塔

 野幌森林公園に建っていた「北海道百年記念塔」は、老朽化のため2022年10月から解体されました。解体は、塔の維持費が50年で30億円かかるという北海道の試算の元、安全確保や将来世代への負担軽減の観点から決定されました。解体に反対する市民団体も多数おり、クラウドファンディング等で保存を求め解体さし止めの訴訟を提訴しましたが、2023年2月、札幌地裁は解体差し止めを却下しました。

 解体された百年記念塔は、北海道開拓100年を記念して1970年に建設されました。高さ100メートルの塔は、北海道を築いてきた人たちへの感謝とこれからの未来発展への願いが込められたシンボルタワーでした。塔は、老朽化により2014年には立ち入り禁止になっていましたが、2018年には部材が落下し、解体が決定されました。

 解体された百年記念塔の跡地には、新たなモニュメントが設置される予定です。モニュメントのデザインは、百年記念塔の建設時の考えや塔に親しみを抱いてくれた方々の思いを引き継ぎ、互いの多様性を認め合う共生を表現しているものとし募集しています。モニュメントの設置は、2023年秋を予定しています。

 百年記念塔は、北海道を代表するシンボルタワーでした。解体には多くの人が惜しむ声を上げました。解体された百年記念塔の跡地には、新たなモニュメントが設置され、今後も多くの人々に愛され続けることでしょう。

【私の論評】北海道百年記念塔が失われたことは痛ましいが、これを埋め合わせる方法は必ずある(゚д゚)!

これは、非常に残念なことです。保守派として、私たちは歴史と文化遺産を守らなければならないと信じています。百年記念塔のような象徴的なモニュメントを取り壊すのは茶番です。北海道知事らは、「安全」と「経費削減」のためだと主張していますが、彼らの本当の動機は、私たちの誇り高き歴史を消し去ることとしか思えません。

鈴木北海道知事

米国の大統領ロナルド・レーガン氏はかつて、"自由は一世代で消滅することはない "と語りました。私たちは、私たちの存在証明の象徴を取り壊すのではなく、本来後世に伝えていかなければならないはずです。

百年記念塔は、北海道の近代史をゼロから築き上げた開拓者精神の証として建てられたものです。その喪失は、伝統を重んじるすべての保守派にとっての損失です。新しいモニュメントは、意味も心もないモダニズムの抽象的なナンセンスなものになる可能性があります。

それは、あの壮大な古い塔のような継続性を象徴するものとはなり得ないでしょう。これはいわゆるポリティカル・コレクトネスの暴走であり、あの記念碑を守るために法廷で戦ったすべての善良な市民に、たとえ最終的に無駄に終わったとしても、素晴らしいものだと思います。

私たちは、歴史を消し去り忘れ去ろうとする勢力から歴史を守るために闘い続けなければならないです。もし私たちが百年記念塔の記憶を奮い立たせ、北海道を偉大なものにした伝統と価値を守ろうとするならば、百年記念塔が失われたことは決して無駄にはならないでしょう。

米国にはの北海道百年記念等と同じく象徴的なモニュメントやランドマークがいくつもあります。

ラシュモア山-サウスダコタ州のブラックヒルズに彫られた、ワシントン、ジェファーソン、リンカーン、ルーズベルトの顔をかたどった巨大な記念碑(写真下)。これは米国建国の理念と精神を象徴しています。


自由の鐘 。 米国独立と自由の追求を象徴する鐘。専制政治からの独立を目指す米国の戦いの神聖な遺物です。

アーリントン国立墓地 。 アメリカの自由を守るために命を捧げた人々を祀る、尊敬を集める軍人墓地。神聖な地であり、愛国者の犠牲を悼む厳かな記念碑でもあります。

アラモ 。テキサス州サンアントニオにある有名な砦で、デイヴィ・クロケットとテキサスの守備隊がメキシコからの自由のために死闘を繰り広げた場所です。圧倒的な逆境に立ち向かう勇気の象徴となっています。

真珠湾攻撃記念碑 。 沈没したUSSアリゾナの上にある記念碑です。1941年の攻撃で死亡した2,403人のアメリカ人を称えたものです。米国を第二次世界大戦で戦った「グレイテスト・ジェネレーション」の回復力と勇気を記念しています。

またハワイには、World War the Second Valor in the Pacific National Monumentという。真珠湾の戦いの記念館があります。

World War the Second Valor in the Pacific National Monument

ここには、当時の海軍力において日本が最先端で、米国より上で、特に、大きな軍艦ではなくて、飛行機こそ、大事だということを教えてくれたと書いてあります。教えられたのが真珠湾攻撃であって、真珠湾で徹底的にやられたので、米国は日本の方が正しいと反省をして、そして航空戦力を強くして、翌年の1942年6月のミッドウェー海戦でやり返して祖国を守ったと書いてあります、非常にフェアな、展示がしてあります。日本を貶めることが目的の、中国や韓国などの記念館とは明らかに異なります。

自由の女神 。 ニューヨーク港に立つフランスからの象徴的な贈り物。自由の女神は何百万人もの移民を迎え入れ、何世代にもわたって希望、自由、アメリカンドリームを象徴してきました。

これらのどれもが、取り壊しや閉鎖の危機にさらされれば、保守派から同様の落胆を呼び起こすでしょう。これらは、愛国心の強い米国人を結びつけ、過去の世代の犠牲と彼らを結びつける生きた歴史を象徴しています。

北海道にとって百年記念塔が失われたように、これらを失うことは米国にとって悲劇的でしょう。米国の保守派は、米国を特別なものにしている価値観、精神、共有されたアイデンティティを思い出させるものとして、これらのシンボルを保存し、その意味を子孫に伝えることを目指しています。

北海道開拓100年記念塔の解体に変わるような比較的低予算でできることはあります。たとえば、北海道庁所在地の札幌市民の憩いの場でもある大通り公園を「北海道開拓記念公園」と名称を変え、開拓のモニュメント等を公園内にいくつか設置することです。

これは北海道の開拓者を称え、市民や観光客の間でこの重要な歴史に対する認識を高めることにもつながるでしょう。米国には、ロナルド・レーガン・ナショナル空港やジョージ・ブッシュ・インターコンチネンタル空港のように、歴史上の人物を記念して名付けられた場所は多いです。

また、ボストン・コモン(マサチューセッツ州ボストン市中心部にある公園)のボストン大虐殺記念碑のように、重要な出来事の記念碑がある公園もあります。

特に適切な例としては、ニュージャージー州のリバティ・パークがあります。以前はコミュニポー・セントラル鉄道ターミナル公園と呼ばれていたのですが、1950年代に、何百万人もの移民が初めてアメリカに足を踏み入れた、近くのコミュニポー・ターミナルでの歴史的な出来事に敬意を表して改名されました。

現在、公園には有名な移民や自由の象徴を称えるモニュメントがあります。公園を改名し、これらの記念碑を追加することで、自由とアメリカンドリームへの重要な玄関口であるこの公園に対する認識を高めることができました。

同様に、大通公園を改名し、その中に記念碑を設置することは、北海道の歴史に敬意を表し、市民を啓蒙し、百年記念塔の喪失を埋め合わせる理想的な方法です。後世の道民は、北海道を発展させた先人たちの犠牲について学びながら、公園を楽しむことができます。

単なる記念碑ではなく、生きた記念碑となるのです。このような草の根的な解決策は、まさに保守派が支持するタイプの行動です。政府だけに頼るのではなく、個々の市民や地域団体が率先して歴史を認識し、保存していくべきだという市民的責任を多くの人達と共有できます。

このアイデアを提案し推進することで、国民的アイデンティティを築き、文化的基盤を強化するような市民精神を示すことができます。これは、北海道内外の保守派の人々にとって大きな誇りになるでしょう。

北海道は、米国と似て近代化の歴史が新しく、歴史が新しいからこそ、歴史を重んじ、伝統を継承しようとする気風があります。無論、先住民が存在した米国と、そうではない北海道とてでは、異なる面があるものの(いわゆるアイヌ人は先住民とはいえない)、近代化が比較的新しいというその意味で、米国には参考なる事例が豊富です。北海道百年記念塔が失われたことは痛ましいことですが、これを埋め合わせる方法は必ずあると信じます。

先住民については、ここで述べると長くなるので、また別の機会で述べようと思います。

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「バービー」公式アカウント問題 きのこ雲の下で起きたことを想像できないのか ケント・ギルバート―【私の論評】原爆の犠牲者の尊厳を踏みにじるような行為だけは、いかなる理由があろうともやめていただきたい(゚д゚)!

2023年8月13日日曜日

「バービー」公式アカウント問題 きのこ雲の下で起きたことを想像できないのか ケント・ギルバート―【私の論評】原爆の犠牲者の尊厳を踏みにじるような行為だけは、いかなる理由があろうともやめていただきたい(゚д゚)!

ニッポンの新常識

問題になった合成画像

 終戦の日が近づく中、原爆をめぐって許しがたい行動が続いている。

 広島市では、原爆の日に合わせ、反戦・反核を掲げる左派団体がデモ行進を行いました。デモ行進では、太鼓を打ち鳴らされ、岸田文雄首相を批判するシュプレヒコールが上がりました。また、ヘルメットにマスク姿の集団もいたようだ。

 心静かに原爆死没者の霊を慰める式典会場近くで、騒がしくデモ行進することは、犠牲になった方々への侮辱に等しいものだ。一部のイデオロギーに固執する活動家らが主導している可能性もある。

 また、米国では、バービー人形を題材にした実写映画「バービー」と、原爆開発者のロバート・オッペンハイマーを描いた映画「オッペンハイマー」が公開された。ファンらは2つの映画の合成画像をSNSに投稿して盛り上がった。バービー役の女優の髪形をきのこ雲に置換えた画像もあったそうだ。

 こうしたなか、バービーの公式アカウントが、炎に包まれたビーチで、オッペンハイマーの肩にバービーが乗る画像に、「忘れられない夏になりそうだ」という文章を、ハートの絵文字付きで返信して問題となった。日本から批判の声が殺到したそうだ。

 合成画像で盛り上がっていた人々は、78年前、きのこ雲の下で何が起きていたのか想像できないのか。日本語版も公開されるのに、公式アカウントは問題になると思わなかったのか。疑問に思うし、腹立たしいものだ。

 バービー人形は長年、世界中の女の子たちに愛されてきた。米国の文化を象徴するキャラクターといえる。

 米国では、映画に限らず、話題を集めるために、商業広告に政治問題を取り入れるケースがある。今回の騒動は、日本に対する侮辱だけでなく、米国の文化に対する侮辱だと感じている人が多い。

 米国の若者の間では最近、広島や長崎への原爆投下に「罪」を感じる向きが多い。多くの米国人が、軽々しく論じられる問題ではないと理解しています。原爆は面白おかしく利用するものではない。

 原爆投下に関する私の見解は拙著『日米開戦「最後」の真実』(宝島社)第4章に約30ページにわたり書いた。ぜひ読んでほしい。

 「核反対」の意見を否定するつもりはない。「核なき世界」が実現できればいいと、誰もが思っているはずです。ただ、これまで第三次世界大戦が起きなかったのは「核抑止」があったからで、容易に片付けられる話ではない。

 ウクライナ侵攻に絡んで、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が「核恫喝」に出たことで、世界のバランスが崩れようとしています。核問題はシビアだ。

 今こそ、国際社会が結束して、プーチン氏に核使用の「NO」を突き付けるべきタイミングだ。別の目的のために、原爆を軽々しく見る向きがあることは憂慮すべきだと考えている。

 ケント・ギルバート

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】原爆の犠牲者の尊厳を踏みにじるような行為だけは、いかなる理由があろうともやめていただきたい(゚д゚)!

広島と長崎の甚大な悲劇を軽んじることは、極めて悪趣味だといえます。原爆投下は甚大な犠牲と苦しみをもたらしたのであり、それを矮小化したり、安っぽいジョークやマーケティングに利用すべきではないです。

広島平和記念博物館に展示されている原爆投下直後に機能を停止した時計の写真

バービーのメーカーは、ここで驚くべき判断力の欠如を示したといえます。日本の人々、特に保守的な人々が、このことを深く不快に思うのは十分理解できます。日本の保守層は、私を含め、名誉、尊厳、尊敬といった価値観を最も大事にします。これは、米国の保守層も同じでしょう。

大量破壊兵器についての冗談は、これらの原則のすべてに反するものです。バービーのソーシャルメディア・チームは、直ちに誠意ある謝罪を表明すべきです。個人的には、このレベルにまで自らのブランドを貶める彼らに対しては、軽蔑の念しか感じません。

彼らはモラルと基本的な人間としての良識に著しく欠けています。多くの人が憤慨するのはもっともであり、私もこの無味乾燥な行為は断じて許しがたいです。この件に限らず売名行為や利益やプロパガンダのために、原爆の犠牲者の尊厳を踏みにじるような行為だけは、いかなる理由があろうともやめていただきたいです。

平和のシンボルでもあり続けるべきバービー人形

歴史のこの瞬間に核兵器を矮小化することは、とりわけ危険で無責任だといえます。ロシアとウクライナのような国家間の緊張が高まっている今、世界は原爆や核兵器の使用は容認できないと声をそろえるべきです。

このバービーに関するような行動は、こうした壊滅的な兵器を常態化させ、それが象徴する恐怖を薄めることにしかならないです。

ウラジーミル・プーチンはすでに、国際法や規範に違反するような発言を繰り返しています。プーチンが核兵器を配備するということは、恐ろしいことではありますが、現実に配備しているわけであり、プーチンが核兵器の使用をすることを思いとどまらせるために、あらゆる努力を払うべきです。

広島と長崎を軽視することは、そのメッセージを著しく損なうことになります。保守派として、私たちは力による平和を信じています。それは、侵略を阻止するために強力な核兵器を維持する一方で、安定と道徳的行動規範の遵守を促進することを意味します。安倍元総理が、核共有を主張したのもそういう意味だと思います。

ソーシャルメディア上でキノコ雲について冗談を言うことは、逆にならず者たちを増長させ、核兵器の使用に対するタブーを弱めることになります。核戦争の脅威に対しても世界は団結すべきです。しかし、行動は言葉よりも雄弁です。バービーのように著名な企業がこのような無神経な行動をとれば、プーチンのような危険な指導者たちに、誰も本気で核兵器使用を非難していないと認識させることになるでしょう。

バービー人形のマーケティング・スタッフ AI生成画像

これは、潜在的に広範囲に及ぶ結果をもたらす無責任な大失態でした。国際社会はこの問題について、道徳的なあいまいさではなく、道徳的な明確さをもっと対処すべきです。かつて米大統領レーガンが言ったように、「平和とは争いがないことではなく、争いを平和的手段で処理する能力である」。

私は、この出来事が、私たちを平和からさらに遠ざけるのではないかと憂慮しています。たとえ他の人々がそうでなくても、日本と米国の保守層はそうだと思います。日米の保守派は、これからもさらにビジョンを共有すべきです。

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2023年8月12日土曜日

日米捕鯨問題でインド太平洋貿易協定が脅かされる―【私の論評】中国への対抗軸を形成するのに残されている時間は少ない!日米が捕鯨で争っている時ではない(゚д゚)!

日米捕鯨問題でインド太平洋貿易協定が脅かされる

日本の商業捕鯨

米国と日本が捕鯨をめぐって対立

ジョー・バイデン大統領が歴史的な三国首脳会談に日本と韓国の首脳を迎える準備を進めている中、米国はアジアにおける重要な貿易事業を脅かす日本との捕鯨戦争に巻き込まれている。

米国通商代表部(USTR)は日本に対し、アジアで経済的に中国に対抗するため昨年東京で発足した14カ国による貿易協定「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」に反捕鯨の文言を採用するよう求めている。しかし、日本政府は「捕鯨は日本の伝統であり文化であり、科学的根拠に基づいたものである」と反論しており、IPEFへの署名を拒否する可能性がある。

この問題は、米国と日本が長年対立してきた捕鯨問題の再燃であり、バイデン政権のアジア政策に大きな影響を与える可能性がある。

捕鯨問題の背景

国際捕鯨は1986年に国際捕鯨委員会(IWC)によって禁止された。しかし、日本は「科学研究の目的で」クジラの殺処分を認める条項を付けた「例外」を適用し、捕鯨を継続してきた。このため、日本は国際社会から批判を受けている。

日本は2019年にIWCを脱退し、排他的経済水域(EEZ)内での捕鯨のみを認めている。しかし、国民の好みも変化する中、日本国内の捕鯨産業は苦境に立たされている。

捕鯨問題とIPEF

IPEFは、米国が中国に対抗するために立ち上げた経済連携協定である。IPEFは、貿易、投資、サプライチェーン、脱炭素、税制、人権など、幅広い分野で協力を強化することを目的としている。

USTRは、IPEFに反捕鯨の文言を盛り込むことで、日本政府に圧力をかけて捕鯨を中止させることを狙っている。しかし、日本政府は「捕鯨は日本の伝統であり文化であり、科学的根拠に基づいたものである」と反論しており、IPEFへの署名を拒否する可能性がある。

捕鯨問題は、米国と日本が長年対立してきた問題であり、バイデン政権のアジア政策に大きな影響を与える可能性がある。バイデン政権は、日本政府と捕鯨問題について協議し、IPEFへの署名を促していく必要がある。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください

【私の論評】中国への対抗軸を形成するのに残されている時間は少ない!日米が捕鯨で争っている時ではない(゚д゚)!

これは、重要な戦略的パートナーシップを脅かす、残念で不必要な事態であるといえます。

米国は、捕鯨という些細な問題で、IPEFに関する協力のような、より広範な地政学的・経済的利益を頓挫させるべきではありません。捕鯨は一部の人々にとっては感情的な問題ではありますが、中国の影響力に対抗し、この地域での自由貿易を推進することに比べれば微々たるものに過ぎません。米国は優先順位を明確にすべきです。

Top Priority(最優先)


日本は、科学的なガイドラインに基づき、節度を持って捕鯨を認めるべき合理的な主張をしています。すべての国は、自国の文化的伝統や天然資源について自主性を持つべきであり、捕鯨の全面禁止は行き過ぎです。米国は日本の立場をもっと尊重すべきです。

しかし、米国の立場たてば、米国には環境保護や動物福祉に関する倫理的な懸念を考慮する義務もあります。クジラの個体数は保全されなければならないです。持続可能性を確保しつつ、限定的で規制された捕鯨を可能にする妥協案は、すべての人の利益になるでしょう。双方に柔軟性と理解が必要です。

この一件でIPEFを頓挫させると脅すのは近視眼的としか言いようがありません。同様に、日本が反捕鯨の文言に反抗してIPEFへの署名を全面的に拒否するのも、極端な反応に見えます。静かで誠意ある交渉の方が解決の可能性は高いです。

今回の日米韓の首脳会談は、対立ではなく建設的な対話の機会です。日米韓は多くの共通の利益、価値観、戦略的目標を共有しています。政治的な点数稼ぎではなく、信頼と協力の構築に焦点を当てるべきです。

捕鯨と貿易に関する妥協とコンセンサスは、冷静な判断が勝てば達成可能です。

この捕鯨問題を巡る対立は、インド太平洋における協力という広範な地政学的プロジェクトを損なう危険性があります。しかし、オープンなコミュニケーションと他の観点を理解する意欲があれば、合理的な解決策を見出すことは可能です。妥協に向けた米国のリーダーシップは大歓迎です。

元記事には、以下のようなことも掲載されていました。
日本や他の国々がこの構想を支持しているのは、この構想が米国の環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進協定への参加につながることを期待しているからだ。この協定は、当時のドナルド・トランプ大統領が前協定から離脱した後、日本が復活させた主要な貿易協定である。

協議に詳しい関係者によると、USTRは当初、捕鯨を完全に禁止する文言を求めていたという。 その後態度を軟化させたが、日本はいかなる制限も含む合意を支持しないと断固としていた。
IPEF構想が成功裏に進めば、米国が最終的にTPPまたは同様の包括的貿易協定に復帰する可能性はあるでしょう。これに影響を与える可能性のある主な要因をいくつか挙げてみます。

バイデン政権は、トランプ政権よりも大規模な多国間貿易協定に寛容な姿勢を示しています。IPEFと日米関係がうまく進めば、TPP再締結の機運と信頼が高まるかもしれないです。

日本や他のTPP参加国は、IPEFを米国の完全復帰への足がかりとみなすでしょう。TPP産カ国は、は最終的にTPPに戻るか、より広範な協定を求めるでしょう。IPEFがサプライチェーンの弾力性のような重要な問題で勝利を収めれば、TPPはより魅力的なものになるかもしれません。

TPPは本来米国オバマ政権が提唱したものだった

中国の影響力の増大は、米国が独自の地域貿易リーダーシップで対抗することに拍車をかけるかもしれないです。TPPは、アジアにおける米国の経済的リーダーシップを確立し、中国に対抗するための最も現実的な選択肢です。IPEFだけでは中国の野心にはかなわないでしょう。

貿易をめぐる米国の国内政治はより有利になっています。アジア貿易統合の戦略的・経済的必要性に対する認識が高まっています。米国のTPP離脱の代償がより明白になっています。これは議論を変えるかもしれないです。

しかし、障害もあります。 捕鯨問題は、現在進行中の相違点を反映しており、より大きな協定を結ぶ際にも、その相違点が残る可能性があります。TPPの進展のためには妥協点を見つけなければならないでしょう。

バイデンは、トランプ時代に離脱した協定に再び参加することに反対するでしょう。捕鯨が解決したとしても、TPPの「再合意」を批判する人もいるでしょう。新たな包括的協定が必要かもしれないです。

米国の 選挙サイクルや党派性は不確実性をもたらすかもしれません。将来の共和党政権が再び離脱するかもしれないです。この不安定さがTPP参加国を米国の再参加に慎重にさせているところがあります。

中国は米国の貿易の野心に対抗するために攻撃的な行動をとり、TPP参加国を分裂させるかもしれなです。これはパートナーシップを弱め、多国間協定への復帰を複雑にする可能性があります。

その可能性は否定できないものの、米国のTPP復帰は困難で不確実なままです。しかし、もしIPEFが加盟国同士の結びつきを強化し、重要な問題での協力につながり、中国の影響力に対抗するのであれば、その確率は時間とともに向上するでしょう。

戦略的忍耐と長期にわたるインド太平洋地域の安定を考えれば、米国と同地域の諸国は、より広範で互恵的な経済関係に向けて政治的ハードルを乗り越えることができるかもしれないです。しかし保証はありません。緊密なコミュニケーションと着実な進展が鍵といえるでしょう。

しかし、どのような形であれ、日米ならびインド太平洋地域の国々は、中国に対する対抗軸を築き、一致協力していくべきことにはか変わりありません。

インド太平洋地域

日米、そして他のインド太平洋民主主義諸国がより緊密な協力関係を築くことは、戦略的に極めて重要です。

なぜなら、 中国が経済的、軍事的、技術的に台頭を続ける中、地域の小国は単独で自国の利益を守るのに苦労することになるでしょう。安定したパワーバランスを実現するには、集団的協力が唯一の方法です。同盟政治は中国に対抗する鍵です。

米国と日本のような同盟国は、政治的、経済的、安全保障上の深い価値観と利益を共有し、両者を結びつけています。「自由で開かれたインド太平洋戦略」を推進することは、中国が支配する地域よりも日米のすべての利益に資することになります。日米の未来は単独で存在するのではなく互いに絡み合っているといえます。

米国を含め、どの国も単独では、この地域における中国の野心と投資に匹敵することはできません。しかし、米国、日本、インド、オーストラリア、その他の国々が力を合わせれば、中国の構想に代わる規模の資源を提供できます。パートナーシップこそ、鍵です。

中国は、最大限の影響力を享受できる近隣諸国と中国と当該国の二国間で関係を強化することで、優位性を発揮してきました。多国間協力は中国のこの優位性を否定し、パートナーに地域問題や国際機関に対するより大きな影響力を与えることになります。結束は力です。

健全な同盟関係は、世界の貿易、金融、ガバナンスに利益をもたらす安定性を提供することになります。中国は同盟関係を自国の利益に "反する "ものとみなすかもしれないですが、実際には中国経済が依存する国際システムの安全確保に同盟関係は役立っています。相互依存は協力を要求します。

より緊密な同盟政治と多国間協力は、今後数十年にわたって中国とバランスを取り、関わっていくために不可欠なものです。TPP、IPEF、あるいは他の構造など、どのような形であれ、重要なのは日米と同盟国が協調して取り組むことです。

経済的、軍事的、外交的な力を結集することで、中国に変わる選択を提供し、すべての人に利益をもたらす地域秩序を築くことができます。しかしそのためには、ビジョン、共有利益へのコミットメント、そして多くの障害を乗り越え着実な協力が求められます。

民主的なパートナー同士による対抗軸は、まさに唯一の実行可能な戦略ですが、その成功は、巧みな外交、約束の実行、信頼を築くための頻繁な協議にかかっています。時間と一貫性さえあれば、このような同盟はダイナミックな地域の安定をもたらす柱となり得ます。しかし、それは今始めなければならないです。残されている時間は少ないです。まさに、日米が捕鯨を巡って争っている場合ではないのです。

妥協、信頼、そして長期的なビジョンの共有が不可欠です。捕鯨自体は些細なことですが、失敗した場合の影響は深刻で広範囲に及ぶでしょう。しかし、政治的な意志と知恵があれば、これはチャンスにもなります。

意見の相違を速やかに解決すれば、日米のリーダーシップと同盟の連帯に対する信頼が高まります。中国に同盟の連帯に対する楔を与えず、共有する民主的価値を再確認することができます。そして、地域の秩序を形成するために必要な政治、経済、軍事のあらゆる分野における協力の基調を整えることになります。

日米両国は戦略的利益を最優先し、可能な限り歩み寄り、捕鯨を前向きにとらえなければならないです。妥協すれば、この争いは危険ではなく、同盟の結集点になり得ます。しかし、世界は注目しており、時間はないです。断固としたリーダーシップが必要です。

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2023年8月11日金曜日

「爆買い」復活か、2000億円押し上げ効果も 中国の訪日団体旅行解禁で―【私の論評】中国のインバウンド消費に過度に依存することは、日本にリスクをもたらす(゚д゚)!

「爆買い」復活か、2000億円押し上げ効果も 中国の訪日団体旅行解禁で

銀座で爆買いする中国人観光客 AI生成画像

 中国からの団体旅行が10日に再開され、新型コロナ前の訪日客に占める中国人の割合は約30%で、その復活により訪日客の消費額が増加し、関連業界は「爆買い」現象の復活に期待している。

 政府観光局の推計によると、中国からの訪日客はまだコロナ前の2割に過ぎず、訪日客全体の回復は70%弱。しかし、訪日客の消費額は元年同期の約90%に回復しており、円安も購買力を増している要因。

 今回の解禁で年間消費額は最大で4.1兆円に達し、政府目標の5兆円に向けた動きも見られる。

 訪日客を受け入れる業界も前向きで、航空会社や宿泊業などが需要に合わせて対応し、受け入れ態勢の整備を進める必要があるとされている。関連株も市場で上昇した。

【私の論評】中国のインバウンド消費に過度に依存することは、日本にリスクをもたらす(゚д゚)!

中国人は確かに外国訪問中にお金を使うのが好きですが、ゼロコロナ政策の失敗や経済政策が有効ではなかったようで、最近中国経済はかなりの打撃を受けています。

中国への海外からの直接投資は緩やかに減っていましたが、今年第2・四半期にそのペースが急速に加速、25年前の統計開始以来の水準に落ち込みました。長年の基調が変化しつつあるとの観測が広がっています。中国の観光業がすぐにパンデミック以前のレベルに戻るかどうかは疑問です。

中産階級は圧迫され、多くの人が職を失っているため、たとえ旅行制限が解除されたとしても、日本のような場所への贅沢な休暇は望めないかもしれないです。中国人の爆買い現象は、中国人が可処分所得を豊富に持ち、新たに得た富を誇示したいという欲求があるかどうかに依存します。

中国の富豪 AI生成画像

現在の中国経済の混乱を考えると、その可能性は低いと思われます。日本は、観光産業を活性化させるために、自由に消費する中国人観光客の大量流入に頼りすぎない方が賢明でしょう。

中国人が爆買い現象のような目立ちたがりやの消費ができるようになるまでには、まだ時間がかかるかもしれません。中国の観光産業が一部の人々が期待しているほど大きな景気浮揚効果をもたらすかどうかについては、懐疑的になるざるを得ません。

中国の共産党はコロナ政策や不景気に対する政策を誤り国の経済に大きな打撃を与えました。たとえ規制が解除されたとしても、中国国民は特定の産業が期待しているほど旅行や買い物をする手段も意欲もないかもしれなです。

しかし、時間が解決してくれるかもしれないです。もしかしたら、中国の回復への道のりは予想よりも早いかもしれないです。ただ、私自身は未だ懐疑的にならざるを得ないです。

どの国にとっても、他国、特に中国のような国に経済的に過度に依存するのは賢明ではないです。中国政府は信頼できないパートナーであることが証明されており、経済はより不安定になりやすいです。

もし日本が自国経済を押し上げるために、中国の観光や消費に頼っているとしたら、中国経済が失速したり、両国間の関係が悪化したりしたときに、自分たちがトラブルに巻き込まれる可能性があります。

実際、日本やEUなどの国々では、GDPの実に60%が個人消費によるものであり、さらに米国では70%が個人消費によるものであり、観光に関しても、国内の旅行者の消費のほうが中国人によるインバウンド消費よりもはるかに大きいです。この点を忘れるべきではありません。

それでも外国人のインバウンド消費に期待するというのなら、日本は、より多様な観光資源を開発し、特定の国に過度に依存しない方が良いです。リスクを軽減するために、様々な国からの観光客を誘致すべきです。

また、国内の観光と消費の活性化にも力を入れるべきです。外国人観光客に過度に依存する経済は、自らの運命を完全にコントロールできていない経済です。日本には、文化、料理、自然の美しさなど、観光地として提供できるものがたくさんあります。

文化、料理、自然の美しさなど、観光地として提供できるリソースが豊富な日本 AI生成画

近年、中国人観光客がその魅力を高く評価していますが、日本はアジアや欧米諸国にとって最高の旅行スポットとして売り込むことを優先すべきです。

観光の基盤を多様化することで、より安定し、コントロールしやすくなります。中国への過度の依存は、中国経済が今後数年で苦戦したり、地政学的な問題が生じて中国人の旅行意欲が抑制されたり、中共により遮断された場合に、かえって大きな危機をまねくことになります。

日本は中国人観光客を受け入れるのはやぶさかではありませんが、より広範で多様な観光戦略を犠牲すべきではありません。"Don't put all your eggs in one basket."(一つのカゴに多くの卵を入れるのは愚の骨頂)という諺が欧米にありますが、まさにその通りです。一つのカゴを落としてしまえば、全部の卵が割れてしまいます、いくつかのカゴに卵を分散して入れておけば、カゴを一つ落としても全部の卵を失うことはありません。


中国のインバウンド消費に過度に依存することは、日本にとってリスクをもたらしますが、それはより幅広い国籍の観光客を開拓し、国内の観光基盤を強化することで軽減できます。

どこかの国に依存しすぎた経済(この場合は日本経済の一部の観光産業など)は、安定性も自立性もないです。中庸とバランスが目標であるべきです。

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