2025年4月27日日曜日

中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も—【私の論評】中国の教育崩壊:1222万人の若者が絶望に沈む共産党の失策

中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も

まとめ
  • 中国の若者の間で、過酷な労働環境や経済的圧力から逃れるため、努力を拒み引きこもる「ネズミ人間」が増加。これは「寝そべり族」の進化形で、1日中ネットサーフィンし、デリバリーで食事を済ませる生活が特徴。
  • 背景には、2010年代の中国経済の急成長と「996勤務」による競争激化、賃金停滞、生活費上昇、若年失業率16.5%(2025年3月)があり、若者は「高圧環境」への反抗として社会から離脱。
  • 共産党は「ネズミ人間」が主流化すれば脅威となると警戒し、ワークライフバランス促進や雇用対策を打ち出すが、2025年に過去最高の1222万人の卒業生が見込まれる中、効果は不透明。
ネズミ人間 AI生成画像

中国で、過酷な労働環境や経済的逆風から逃れるため、若者の間で「ネズミ人間」という新たなトレンドがSNSを中心に広がっている。これは、2021年頃に流行した最低限の生活しかしない「寝そべり族」の進化形で、努力や社会参加を拒み、引きこもって1日中ベッドでネットサーフィンし、デリバリーで食事を済ませるライフスタイルを自嘲的に指す。

背景には、2010年代のITブームや「996」(午前9時~午後9時、週6日労働)といった過酷な働き方による競争激化、賃金停滞、生活費高騰、2025年3月の若者(16~24歳)の失業率16.5%(学生除く)など、不安定な社会状況がある。ロンドン大学のスティーブ・ツァン氏は、これを「高圧環境」への若者の反抗と分析。

一部の若者は、親世代の経済成長による貯蓄に支えられ、仕事を完全に放棄する者もいる。中国政府は3月にワークライフバランス促進やインターンシップ拡大、雇用奨励金など経済活性化策を発表したが、2025年に過去最高の1222万人の大学・大学院卒業生が見込まれる中、効果は不透明。ツァン氏は、習近平国家主席の技術大国目標には若者の労働意欲が不可欠だが、「ネズミ人間」が少数派にとどまらず主流化すれば、中国共産党にとって深刻な問題になり得ると警告する。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】中国の教育崩壊:1222万人の若者が絶望に沈む共産党の失策

まとめ
  • 中国の高等教育投資は、若者の夢と経済成長を支えるはずだったが、2025年の1222万人の卒業生に対し、若年失業率17.6%(2024年9月)による「過教育失業」が深刻化し、失敗に終わる。
  • 地方大学の質の低さや暗記偏重の教育が、卒業生の創造性や労働市場ニーズとのミスマッチを招き、米国、EU、日本の成功例(高収入、低失業率、産学連携)に遠く及ばない。
  • 共産党の統制が大学の自由を奪い、人的資本投資の不足や都市・農村の教育格差が問題を悪化させ、「ネズミ人間」のような社会離脱者を生む。
  • 教育の質向上、産学連携、大学自治、公平な機会が必要だが、共産党の独裁下では民主化や法治国家化がなく、政治と経済が不可分に結びついていて改革は不可能。
  • 共産党は若者を切り捨てAIに依存するだろうが、この矛盾は社会の不満と経済停滞を加速させ、党自身の崩壊を招く暗黒の未来へ向かう。
中国伝播大学2024年卒業式

中国の高等教育投資は、若者の夢を花開かせ、経済を世界の頂点に押し上げるはずだった。だが、現実は無残だ。2025年に1222万人の大学・大学院卒業生が世に送り出されるが、2024年9月の若年失業率は17.6%に急騰し、過剰な供給が「過教育失業」の泥沼を広げている。

清華大学や北京大学は世界に名を轟かせるが、地方の新設大学は資金も教員の質も底をついている。卒業生はIT企業や成長産業の要求に追いつけず、サービス業に沈む。河南省の大学を出た若者が都市で低賃金の雑用に追われる姿は、教育の崩壊を突きつける。

教育は暗記に偏り、創造性や問題解決力は育たない。米国の学生に遠く及ばないのだ。「十三五計画」(13次五カ年計画)で金を注ぎ込んだが、人的資本への投資はGDPの3.3%にすぎず、物理的資本の45%に押し潰される。経済的リターンは微々たるものだ。文化大革命で中断された高考(大学入学試験)が1977年に復活した後も、雇用の改善はわずかで、高給の仕事にありつくのは束の間の夢にすぎない。

対して、米国、EU、日本は高等教育投資で輝く成功を収めている。米国では、スタンフォードやMITの卒業生がシリコンバレーで起業し、GoogleやAppleで世界を変える。連邦準備制度の報告によれば、大学卒業生の生涯収入は高校卒の2倍だ。

EUでは、ハイデルベルク大学やエコール・ポリテクニークが産学連携で革新を生み、SAPやシーメンスがAIやIoTで世界を牽引する。欧州委員会のデータでは、大学卒の失業率は非卒の半分以下で、賃金は30~40%高い。

日本では、東京大学や京都大学が半導体やロボティクスで世界をリードし、トヨタのハイブリッド技術を支える。文部科学省の統計によれば、大学卒の年収は高校卒より30~50%高い。これらの国では、労働市場に合った教育、質の高い学び、投資のバランス、大学の自由、公平な機会が富を築く。

中国の大学入学試験(高考)

中国の惨状は、こうした条件が欠けているからだ。数を増やすことに狂奔し、地方大学の質は地に落ちた。経済成長の鈍化と産業の変化が卒業生の需要を減らし、雇用のミスマッチを悪化させた。人的資本への投資は貧弱で、都市と農村の教育格差は広がる。農村の学生は知力も健康も不利だ。

共産党の鉄の統制は大学の自由を絞め殺し、カリキュラムは党の命令に縛られる。創造性は潰され、革新は生まれない。「996勤務」の過酷さと競争の重圧は、若者の心を粉々にし、「ネズミ人間」という逃げ場に追いやる。SNSには、デリバリーで飯を済ませ、引きこもる姿を自嘲する投稿が溢れる。教育が成功への道を開かず、絶望が若者を飲み込むのだ。

この破滅を覆すには、教育の質を高め、産学連携を強め、大学の自由を広げ、公平な機会を確保するしかない。だが、共産党の独裁下では、それは空しい夢だ。一党支配は学問の自由を踏みにじり、経済と政治の癒着は資源を食い潰す。法治国家の不在は公平性を葬る。

民主化、経済と政治の分離、法治国家化がなければ、大学は革新の場にならず、労働市場との調和も教育の質も上がらない。だが、共産党はそんな変革を絶対に許さない。権力の座を死守するため、改革の芽を摘み取る。


現状、共産党は若者を切り捨て、AIや技術開発に突き進むだろう。だが、これは本末転倒だ。教育投資は社会を豊かにするためにある。共産党は自己保身と党の利益のためだけに動く。この矛盾は日々膨らみ、若者の絶望と社会の不満を爆発寸前まで高める。

行き着く先は、経済の停滞と社会の分断だ。「ネズミ人間」の増殖は、希望を捨てた若者が社会から逃げる姿そのものだ。共産党の支配が続く限り、この負の連鎖は止まらない。中国は技術大国への道を閉ざし、閉塞感に沈む。

共産党が若者を切り捨て、AIにすがる愚策は、党自身の首を絞める毒となる。若者の未来を潰し、社会を腐敗させる暗黒の未来が待つだけだ。教育で未来を切り開くはずの若者が、引きこもりに逃げる現実を変えるには、共産党の体制をひっくり返すしかない。だが、それは夢のまた夢だ。共産党の鉄の意志は、変革を殺し、国を内側から蝕む。

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2025年4月26日土曜日

英紙の視点「トランプ関税によって日本が持つ圧倒的な“生存本能”が試されている」—【私の論評】トランプ関税に挑む日本の魂:フィナンシャル・タイムズの浅薄な幻想

英紙の視点「トランプ関税によって日本が持つ圧倒的な“生存本能”が試されている」

まとめ
  • グローバル化の危機: トランプ2期目の保護主義政策(関税重視、移民批判)やHSBC会長の「グローバル化終焉」発言により、世界経済を支えたグローバル化が揺らぎ、歴史的転換期を迎えている。
  • 日本のグローバル化による成長: 日本は戦後約80年間、グローバル化の恩恵で経済大国に躍進(1960年代後半に世界2位)、海外展開で企業収益を拡大し、世界経済と連動した成長を遂げた。
  • 平和と貿易の戦略: 資源不足を貿易で克服し、米軍の保護下で平和主義的な起業家精神を発揮、「沈まない空母」として地政学的地位を確立し、文化大国としての富を築いた。
  • トランプ政権の影響: 関税政策や日米安保への疑念が日本に経済的・地政学的打撃を与える可能性が高く、関税免除失敗などで国内の不安が増大している。
  • 日本の生存本能: 明治維新や戦後復興で示した適応力とプラグマティズム(イデオロギーを捨て生存優先)を発揮し、過去の迅速な戦略(例:天安門事件後の中国進出)を活かして危機を乗り越える可能性がある。

トランプ2期目の発足により、世界経済を支えてきたグローバル化が深刻な危機に瀕している。英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」は、明治維新と戦後復興という二つの歴史的転換期を乗り越えた日本の「生存本能」に注目し、この激動の時代を生き抜くヒントがあると論じる。グローバル化は長年、政治指導者や企業経営者、歴史家に支持され、世界に安定と繁栄をもたらしてきたが、トランプ大統領の関税重視政策や副大統領J・D・バンスの移民批判、さらにはHSBC会長の「グローバル化終焉」発言により、その基盤が揺らいでいる。

日本は戦後約80年間、グローバル化の恩恵を最大限に受け、1960年代後半には世界第2位の経済大国に躍進。バブル崩壊で中国に抜かれた後も、企業の海外展開を加速させ、売上高は1991年比で約3倍に成長した。CLSA証券のストラテジストは、日本企業の収益が世界経済の動向と密接に連動していると指摘。平和主義的な起業家精神と貿易で天然資源不足を克服し、米軍の保護下で「沈まない空母」として地政学的地位を確立、文化大国としての富と国際的影響力を築いた。

しかし、トランプ政権の保護主義や日米安保への疑念は、日本に経済的・社会的な打撃を与える可能性が高い。2月の石破茂首相の訪米は成功とされたが、関税免除の約束を取り付けられなかったことで国内の不安が高まる。それでも日本は、過去の適応力とプラグマティズムで知られ、1989年の天安門事件後の中国進出のような迅速な戦略でグローバル化を活用してきた。明治維新や戦後復興期に示した「イデオロギーを捨て生存を優先する」姿勢は、少子高齢化や人口減少に直面する現代でも有効だ。日本の比類なき生存本能が、トランプ政権下の新時代でどのように発揮され、危機を乗り越えるのか、その展開が大いに注目される。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】トランプ関税に挑む日本の魂:フィナンシャル・タイムズの浅薄な幻想

まとめ
  • 天皇を中心とする霊性の文化の重要性:日本の真の力は、天皇を頂点とする霊性の文化に根ざし、これは日本人の魂の基盤であり、捨てれば日本のアイデンティティが失われる。
  • フィナンシャル・タイムズの誤った分析:記事は明治維新や戦後復興の適応力を称えるが、霊性の文化を無視し、グローバル化の終焉やトランプの脅威を誇張、プラグマティズムを過剰に礼賛する。
  • 明治維新の成功とドラッカーの洞察:ドラッカーは、明治維新が「和魂洋才」で天皇の文化を守りつつ西洋技術を融合させたため成功したと評価、世界が日本に学ぶべきだと説く。
  • 中国国交回復の誤り:1972年の中国との国交回復は、霊性の文化を軽視した近視眼的判断であり、中国の台頭とサプライチェーンの脆弱性を招いた失敗。
  • 現代日本の試練と使命:少子高齢化や技術遅れに直面する日本は、天皇の霊性の文化を保持しつつ、新たな戦略で人口減少や技術の壁を克服する必要がある。
 関税男(tarrif man)を自認するトランプ大統領

トランプの関税が世界を揺らし、日本の真価が試されている。英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」は、明治維新や戦後復興の適応力を称えるが、その目は曇っている。日本を動かすのは、天皇を頂点とする霊性の文化だ。これは単なる観念ではない。日本人の魂の根底に流れる、生きる力そのものだ。これを捨てれば、日本は消える。ピーター・ドラッカーは、明治維新の奇跡をこの文化の力に帰し、世界が日本に学ぶべきだと断言する。フィナンシャル・タイムズは、この真実を見ず、浅薄な危機論と空疎な楽観論に溺れる。その誤りを、暴く。

グローバル化の終焉? 日本の不屈の力

フィナンシャル・タイムズは、トランプの保護主義やHSBC会長の言葉を振りかざし、「グローバル化の終焉」を騒ぐ。だが、これは誇張だ。世界貿易機関(WTO)の2024年データでは、世界貿易量は3.2%増と堅調だ(WTO推計)。日本企業の海外売上高は1991年比3倍に跳ね上がり、グローバル化の力を証明する(JETROデータ)。トランプの関税は自動車産業を苦しめるが、ASEANへのサプライチェーン移行やデジタル経済が新たな道を切り開く。記事は、この現実を無視し、終焉の幻想に囚われる。

日本の戦後成長をグローバル化と米国の庇護だけに帰するのも的外れだ。1960年代の高度成長は、内需とインフラ投資が牽引し、輸出はGDPの10%未満だった(経済企画庁データ)。土地改革、財閥解体、教育投資、通産省の産業政策が経済を鍛えた。ソニーやトヨタの技術、アニメやJ-POPの文化が世界を魅了した。日本の強さは、天皇を中心とする霊性の文化に根ざす。記事は、この魂の力を軽んじ、表層的な物語に逃げる。

トランプの影と日本の底力

下関戦争の写真

記事は、トランプの関税や日米安保への疑念が日本を「経済的・地政学的に叩きのめす」と煽る。笑止千万だ。日本の経済は多角化し、2024年の輸出先は米国(18%)、中国(17%)、ASEAN(15%)が拮抗する(JETROデータ)。関税の衝撃は限られ、円安(2025年4月時点で1ドル=150円)が輸出を後押しする。観光業や半導体の内需も盾となる。日米安保への疑念はトランプの虚勢に過ぎず、米国のアジア戦略における日本の価値は不動だ。記事は、日本の底力を侮る。

「圧倒的なプラグマティズム」を礼賛するが、その中身は空疎だ。幕末の尊皇攘夷は、単なる打算ではない。天皇を頂点とする霊性の文化が、外国への抵抗(長州藩の攘夷決行)や国家観を燃やした。薩摩や長州が開国に転じたのは、武士の内紛や欧米の軍事力(1863年の薩英戦争)との対峙が生んだ苦渋の選択だ。明治維新を打算の勝利と飾る記事は、尊皇攘夷の魂を見ない。ドラッカーは、明治維新の成功を、天皇中心の文化を守ったことに帰す。日本の適応力は、霊性と現実の融合にある。記事はこの真実を踏みにじる。

霊性の魂と未来への挑戦


記事が掲げる「イデオロギーを捨てろ」は、日本の魂を切り裂く暴論だ。天皇を頂点とする霊性の文化は、神道や仏教に根ざし、日本人の心を結ぶ。これは観念ではない。生きる力の源だ。尊皇攘夷、明治維新の神道復興(1868年の神仏分離令)、 当時世界的に見ても先進的だった大日本帝国憲法、伝統文化(茶道、能)の保護は、この霊性が導いた。

ドラッカーは、明治維新が「和魂洋才」で西洋技術を日本の魂に溶かし込んだからこそ、非西欧で唯一の成功例となったと喝破する。インドやペルシャが西洋化で躓いた時、日本は天皇の文化を守った。ドラッカーは、グローバル化と文化の衝突を乗り越えるには、「変わるもの」(技術革新)と「変わらないもの」(天皇の霊性の文化)の調和が必要だと説く。天皇は、この「変わらないもの」の守護者として、戦乱やコロナ禍でも日本を支えた。記事は、この魂を無視し、打算に話をすり替える。

この打算の過信は、1972年の中国との国交回復にも表れる。これは明らかに間違いだった。日本の指導者は、経済的利益と国際的調和を期待し、中国共産党との関係を急いだが、これは日本の霊性の文化を軽視した近視眼的判断だ。中国は、その後の経済的台頭(2024年GDPは米国に次ぐ2位)と軍事的膨張(南シナ海の領有権主張)で、アジアの安定を脅かす。

日本企業は中国市場に依存し、サプライチェーンの脆弱性を露呈した(2024年、半導体供給網の混乱)。国交回復は、短期的な利益を追い、天皇中心の価値観や地政学的慎重さを蔑ろにした失敗だ。記事が称える「プラグマティズム」は、こうした歴史的誤りを正当化する危険な幻想である。

現代日本の試練は重い。少子高齢化(2025年で人口の29%が65歳以上)、労働力不足、官僚の硬直性が足枷だ。1989年の中国進出は輝いたが、米中対立と中国の減速(2024年GDP成長率4.5%)下では危険だ。エネルギー高騰やサプライチェーンの混乱も重荷だ。記事はこれを軽視し、「生存本能」と曖昧に逃げる。明治維新や戦後復興は、伊藤博文や吉田茂の外交手腕、若年人口の活力と国際環境に恵まれたが、今は違う。原発再稼働の遅れやデジタル化の停滞が、打算の限界を晒す。トランプ関税への具体策(FTA拡大、産業再編)も示さず、記事は空虚だ。

結論

フィナンシャル・タイムズは、トランプ関税が日本の力を試すと見抜くが、肝心な点で躓く。「圧倒的なプラグマティズム」は中身がなく、尊皇攘夷の魂、天皇を頂点とする霊性の文化を見ず。この文化は観念ではなく、日本人の魂の基盤だ。これを捨てれば、日本は消える。1972年の中国国交回復は、打算の過信が招いた誤りだ。

ドラッカーは、明治維新の奇跡を天皇の文化の力に帰し、世界が学ぶべきだと叫ぶ。記事は、グローバル化の終焉やトランプの脅威を誇張し、高齢化や技術の遅れの試練を軽んじる。その分析は、薄っぺらい危機論と楽観論の寄せ集めだ。日本の使命は、天皇の霊性の文化を守り、人口減少や技術の壁を打ち破る新たな道を切り開くことだ。トランプの嵐など、日本の魂の前では、ただの風だ。

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2025年4月25日金曜日

【コラム】トランプ氏が取り組む6つの戦争、全て敗色濃厚-ブランズ—【私の論評】西側の未来を切り開く中国覇権を粉砕するトランプ6つの戦い!

 【コラム】トランプ氏が取り組む6つの戦争、全て敗色濃厚-ブランズ

まとめ

  • トランプの対立と試練:トランプ大統領は「平和の使者」を自称したが、ウクライナ戦争、中東紛争、イラン核問題、中国との冷戦、台湾問題、貿易戦争の6つの対立に直面し、世界の平和、経済、民主主義に影響を及ぼす分岐点に立つ。
  • 自ら招いた障壁:経済弱体化(株価暴落、リセッション懸念)、同盟国の困惑、戦略的信頼低下、国防総省や国家安全保障会議の混乱がトランプ氏の危機管理を困難にしている。
  • 迅速な対応の必要性:トランプ氏の決断力と効果的な対応が欠如すれば、米国と世界は高い代償を払うリスクがある。

トランプ米大統領は2期目の就任演説で「平和の使者」と自称したが、3カ月後、以下の6つの対立(「戦争」と表現)に直面し、世界の平和、経済、民主主義に影響を及ぼす重要な局面を迎えている。
  1. ウクライナ戦争:ロシアの侵攻による進行中の戦争。トランプ氏は制裁で和平を目指したが、プーチン大統領の強硬姿勢で難航。ロシアへの圧力強化(制裁やウクライナ支援)か、戦争の放棄かを選ぶ必要があり、欧州やNATOの安全保障に影響。
  2. 中東の戦争(イエメン):イエメンの親イラン武装組織フーシ派への米国の攻撃。抑止に失敗し、紛争が激化中。
  3. 中東の戦争(イスラエル・ハマス):イスラエルがハマス壊滅を目指す戦闘。イエメン紛争と並行し、中東の緊張を高める。
  4. イランの核開発を巡る潜在的な戦争:イランの核兵器開発が大規模戦争の引き金となるリスク。トランプ氏は穏健な交渉(最小限の抑止)か、強硬な要求(核プログラム根絶)を迫られ、夏までに合意がない場合、米国やイスラエルによる軍事行動の決断が必要。
  5. 中国との新たな冷戦:米中間の対立が激化。台湾問題では、中国の軍事的圧力に対し、商業紛争の後退(弱さの露呈)か、全面対立の覚悟かを選ぶ必要がある。
  6. 貿易戦争:トランプ氏が導入した高関税による世界各国との商業対立。中国を除く国への関税は90日間猶予されたが、長期的な通商合意か、対中競争での同盟強化が急務。
これらの課題に対し、トランプ氏は自ら招いた経済弱体化(株価暴落、資本流出、リセッション懸念)、同盟国の困惑、戦略的信頼低下、国防総省や国家安全保障会議の混乱といった障壁に直面。迅速かつ効果的な対応がなければ、米国と世界に深刻な代償が伴う。
ブルームバーグ

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】西側の未来を切り開く中国覇権を粉砕するトランプ6つの戦い!

まとめ
  • 中国の覇権への対抗戦略:トランプは、経済支配、軍事拡張、技術覇権、一帯一路による中国の脅威を最大の危機と見なし、6つの対立(ウクライナ戦争、中東紛争、イラン核問題、中国との冷戦、台湾問題、貿易戦争)を意図的に仕掛ける。目的は中国の全体主義体制を民主化や法治国家化に変えることだ。
  • 元の記事の甘い認識:元の記事はトランプの行動を「混乱」や「失策」と批判するが、中国の覇権がもたらす経済奴隷化、軍事抑圧、監視社会の恐怖を軽視する傍観者的視点であり、危機の深刻さを見誤っている。
  • ディカップリングと西側結束:トランプは関税や技術的ディカップリングで中国を孤立化させ、ウクライナや中東の紛争を活用してNATO、アジア、イスラエルを対中国の戦線に引き込む。西側の再編は中国の分断戦略を打ち破る。
  • 経済自立とエネルギー革命:株価暴落やリセッションを中国依存解消の代償と割り切り、シェールガスや石油の生産拡大でエネルギー革命を推進。2030年までにエネルギー自給率90%を目指し、西側の経済と安全保障を強化する。
  • 長期的な成否の評価:トランプの戦略の成否は数年後の未来で決まる。経済混乱や同盟国の離反は試練だが、対中貿易赤字の縮小や西側の結束が鍵となり、勝利はトランプの手にかかっている。
トランプ米大統領が繰り出す6つの対立は、中国という米国と西側諸国にとっての最大の脅威に挑むための果敢な戦略だ。上の記事は、トランプの行動を傍観者的に眺め、「混乱」や「失策」と決めつける。しかし、これは中国の覇権が世界を覆う恐怖—経済の奴隷化、軍事による抑圧、監視社会の到来—をあまりにも軽んじた甘い認識だ。

中国の経済支配、軍事拡張、技術覇権、国際的影響力は、自由と繁栄を根こそぎ奪う。好むと好まざるに関わらず、西側は中国と立ち向かわねばならない。しかし、対立とはいっても、何も中国を滅ぼすわけではない、目指しているのは、どんな形であれ現在の中国の全体主義体制から、民主化、政治と経済の分離、法治国家化された体制に変わることだ。その先頭に立つのがトランプだ。

中国の脅威を打ち砕く戦いの火蓋
中国の脅威は絵空事ではない

中国は西側にとって最大の敵だ。サプライチェーンを牛耳り(レアアースの9割を支配)、南シナ海や台湾で軍事力を振りかざし、ファーウェイの5GやAIで技術の頂点を狙い、一帯一路で途上国を手中に収める。もし中国の覇権が世界を覆えば、経済は中国の奴隷と化し、軍事力で自由が踏みにじられ、監視技術で個人の尊厳が消える。

上の記事は、この危機を軽視し、トランプの6つの対立を「混乱」と誤解する。トランプは真実を見抜いている。中国を経済的・外交的に孤立させ、米中「ディカップリング」を加速させるため、対立を意図的に仕掛けるのだ。関税政策は、中国を除く国に90日間の猶予を与え、中国への圧力を絞り込み、西側との協調を固める巧妙な一手だ。

2025年3月のウォール・ストリート・ジャーナルでは、ベセント財務長官が「中国はトランプの罠に落ちた」と発言。中国の過剰反応が国際社会での孤立を招いた。ウクライナ戦争や中東紛争も、中国の同盟国(ロシア、イラン)を牽制し、西側を対中国戦線に引き込む。

トランプのウクライナ支援継続は「中国への警告」であり、2025年1月のポリティコでは、トランプが「中国のAIが民主主義を脅かす」と警告し、技術的ディカップリングを加速する方針を打ち出したことを報道した。中国の脅威を打ち砕く戦いは、火蓋を切ったばかりだ。

西側を一つに束ねる同盟の再編

中国の覇権は、西側を分断し、経済で縛り、軍事で脅し、技術で監視する。元の記事は、トランプの同盟国との摩擦を「失敗」と決めつけるが、これは中国の脅威に対する西側の覚醒を促す戦略の一環ととらえるべきだ。

トランプはウクライナや中東の紛争を巧みに操り、欧州(NATO)、アジア(日本、韓国、オーストラリア)、イスラエルを対中国の鉄壁の戦線に引き込む。一時的な困惑は、大きな目的の前では小さな代償だ。トランプの強硬姿勢は、西側を新たな秩序に導く戦略だ。ウクライナでのロシア制裁やイラン核問題の強硬策は、中国の同盟国を弱らせ、西側に共同の戦いを迫るものだ。

2025年1月のフィナンシャル・タイムズは、トランプがNATOに「防衛費増額と対中連携」を突きつけた事実を報じる。関税政策は「西側結束の起爆剤」と評価できる。2025年3月の豪州ABCニュースでは、トランプがAUKUSを強化し、「中国の南シナ海進出を抑止」と表明したことが報道された。トランプの戦いは、西側を一つに束ね、中国の脅威に立ち向かう壮大な再編劇でもある。

経済の自立とエネルギー革命の切り札

Drill Baby Drill(掘って掘って掘りまくれ)


中国の経済支配—サプライチェーンやレアアースの独占—を打ち破るには、米国の自立が不可欠だ。元の記事は、トランプの経済混乱を「弱点」と批判するが、中国の覇権が広がれば、西側経済は中国の足元にひれ伏す。トランプは株価暴落やリセッション懸念を、中国依存を断つ「必要コスト」と割り切っているのだろう。

そうして、エネルギー革命は、トランプの最大の切り札だ。脱炭素・再生可能エネルギーからの脱却、シェールガスや石油の生産拡大、小型モジュール炉の実用化、核融合炉の開発は、中国の資源支配を打ち破るだろう。トランプの1期目(2017-2021年)では、米国が2020年に世界最大の石油・ガス生産国となった(米国エネルギー情報局)。

2025年2月のロイターは、トランプがサウジアラビアと組み、「中国のエネルギー依存を減らす」と報じた。2025年3月のブルームバーグは、「2030年までにエネルギー自給率90%」の目標を掲げたことを報じた。エネルギー革命は、経済を鍛え直し、西側のエネルギー安全保障を固める。

結論

トランプは、中国の脅威—経済の奴隷化、軍事の抑圧、監視社会—に立ち向かう西側の旗手だ。元の記事は、トランプの戦いを冷ややかに眺め、中国の覇権がもたらす恐怖を軽んじる。6つの対立は、中国を孤立させ、西側秩序を守るための罠だ。エネルギー革命は、経済を鍛え、西側の自由を支える。

経済混乱や同盟国の離反、エネルギー政策の不確実性は試練だが、トランプの戦いは数年後の未来で評価される。そうして、この戦いは、既存の経済合理性や軍事合理性には当てはまらない戦いになる。中国の闇に立ち向かうトランプの戦いは、西側の命運を握る。勝利は、トランプの手にかかっている。

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2025年4月24日木曜日

「前例ない干渉」と政権非難 大学学長らが共同声明―米—【私の論評】腐敗まみれで奈落の底に落ちた米大学:ルーズベルト神格化と倫理崩壊でトランプの介入を招く

 「前例ない干渉」と政権非難 大学学長らが共同声明―米

まとめ

  • トランプ政権の圧力: 政権は大学にDEI見直しや反ユダヤ主義取り締まりを要求し、従わない場合は補助金打ち切りで圧力。
  • 大学の反発: ハーバード大など250人以上が介入を非難する声明を発表し、自由な学問を強調。ハーバード大は提訴。
ハーバード大学の教授陣 記事の内容とは直接関係はありません

米国の大学学長や学術団体代表ら250人以上が、トランプ政権の高等教育への過剰な介入と政治的干渉を非難する共同声明を発表。政権は「多様性、公平性、包括性(DEI)」推進の見直しや反ユダヤ主義取り締まり強化を大学に求め、従わない場合は補助金打ち切りで圧力をかけている。

声明は不当な介入を認めず、自由な大学運営を重視し、建設的な関与を要求。ハーバード大は補助金凍結の無効を求めて政権を提訴した。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】腐敗まみれで奈落の底に落ちた米大学:ルーズベルト神格化と倫理崩壊でトランプの介入を招く

まとめ

外国資金の汚染: 中国の「千人計画」で研究流出、150人以上関与、MD Andersonで解雇(NIH, 2020)。ハーバードのリーバー教授が関与隠しで逮捕(DOJ, 2020)。MITの伊藤穰一がエプスタインから52万5,000ドルを受け、匿名化で隠蔽(New Yorker, 2019)。
リベラル偏向と神格化: DEIで保守派を排除、共和党支持者の信頼31%に急落(Gallup, 2023)。歴史研究がルーズベルトのニューディールを神格化、日本への戦争責任検証を避ける(Eric Fonerの教科書)。モーガン、慰安婦研究で排除され日本移住(JAPAN Forward, 2024)。
学術的自由の崩壊: スタンフォードやワシントン大学の誤情報研究が保守派の訴訟で中止(Chronicle, 2025)。フロリダ州がDEI禁止、カリキュラム制限(Inside Higher Ed, 2023)。
社会の信頼喪失: トランプが大学を「左翼の洗脳機関」と攻撃、資金削減を脅迫(Truth Social, 2025)。伊藤の隠蔽でXにマネーロンダリング疑惑。モーガンが「チャイナマネー腐敗」を非難(Okinawa Speech, 2018)。
トランプの介入: 170以上の大学がDEI禁止と補助金打ち切りを非難、ハーバードが提訴(Harvard Crimson, 2025)。モーガンは「腐敗是正」と支持、伊藤の事件は倫理監視強化の口実(X, 2024)を与えた。

米国の大学は、かつて学術の自由を誇る聖域だった

米国の大学は、かつて学術の自由を誇る聖域だった。しかし、今、倫理の崩壊、リベラルなイデオロギーの暴走、民主党の価値観への盲従が、大学を腐敗まみれの奈落の底に突き落としている。外国からの汚れた資金、保守派への弾圧、倫理を無視したスキャンダル、そして歴史研究がフランクリン・ルーズベルトへの過剰な礼賛に染まる惨状が、トランプ政権の介入を招いている。大学は自らの手で信頼を破壊し、危機に沈む。この実態を、目を背けられない事実とともに暴く。

外国政府の暗い影が、大学の信頼を食い潰している。中国の「千人計画」は、米国の科学者を誘惑し、研究成果を中国に流出させる罠だ。2018年以降、NIHは150人以上の科学者が関与し、87の機関で違反を確認。MD Anderson Cancer CenterやMoffitt Cancer Centerでは、関与者が解雇された(NIH, 2020)。ハーバード大学のチャールズ・リーバー教授は、千人計画を隠し、2020年に逮捕された(DOJ, 2020)。

さらに、MITメディアラボの元所長・伊藤穰一(現千葉工業大学学長)は、性犯罪者ジェフリー・エプスタインから52万5,000ドルの寄付を受け取り、匿名化して隠蔽した。エプスタインを「ヴォルデモート」と呼び、ビル・ゲイツらからの750万ドル以上の寄付を仲介。伊藤はエプスタインの邸宅を訪れ、若い女性を連れた彼をラボに招くなど、倫理をかなぐり捨てた。2019年に辞任したが、MITの調査は「集団的判断ミス」と断じた(MIT Report, 2020)。これが、米国の大学の倫理の底だ。

性犯罪者ジェフリー・エプスタイン

リベラルなイデオロギーの暴走が、腐敗を加速させる。DEI(多様性、公平性、包括性)は、リベラルな価値観を押し付け、保守派を締め出す。2023年のギャラップ調査では、共和党支持者の大学への信頼は31%に急落(Gallup, 2023)。歴史研究は、民主党の理念に縛られ、フランクリン・ルーズベルトのニューディールや戦争指導を神聖視する「神格化」に陥っている。

ルーズベルトの経済政策は大成功と持ち上げられ、日本への戦争責任やヤルタ協定の検証は避けられる(例:Eric Fonerの教科書)。この偏向は、東京裁判史観やWGIP(戦争責任情報プログラム)を固守し、客観性を葬る。米国出身の歴史学者ジェイソン・モーガンは、ウィスコンシン大学で慰安婦問題の保守的研究を「歴史修正」と非難され、指導教員に排除された。

米国での未来を絶たれ、日本の麗澤大学に移住。「米国の大学はポリティカル・コレクトネスとルーズベルト神格化で腐り、研究は日本でしかできない」と訴える(JAPAN Forward, 2024)。ハーバードのJ・マーク・ラムザイヤーも、慰安婦「契約説」で「否定論」と攻撃された(2021)。伊藤のエプスタイン事件は、リベラルな「倫理」を掲げるMITが、金銭を優先した偽善を暴いた。

J・マーク・ラムザイヤー氏の動画のキャプチャー画像

学術の自由は、息絶えつつある。スタンフォードやワシントン大学の誤情報研究は、保守派の訴訟で潰された(Chronicle, 2025)。フロリダ州はDEIを禁止し、大学のカリキュラムを縛った(Inside Higher Ed, 2023)。モーガンは、米国の歴史研究が民主党の枠に縛られ、広島・長崎原爆投下の正当化や日本の戦争責任の過剰な強調を押し付けると糾弾。伊藤のスキャンダルは、倫理の基盤が崩れた大学の姿をさらけ出した。

社会の信頼は、地に落ちた。トランプは大学を「左翼の洗脳機関」と切り捨て、連邦資金削減を突きつける(Truth Social, 2025)。エプスタイン事件で伊藤の隠蔽が明るみに出て、Xではマネーロンダリング疑惑が飛び交う。モーガンは「米国はチャイナマネーで腐敗」と保守派の怒りを煽った(Okinawa Speech, 2018)。これらの声が、大学への攻撃を後押しする。

トランプ政権の介入は、この危機への答えだ。2025年4月22日、170以上の大学がDEI禁止や補助金打ち切りを非難した(Harvard Crimson, 2025)。ハーバードは補助金凍結で提訴(Reuters, 2025)。モーガンは介入を支持し、「リベラルな腐敗とルーズベルト神格化を正す」と断言(X, 2024)。伊藤のスキャンダルは、倫理監視強化の口実を政府に与えた。

米国の大学は、外国資金の汚染(千人計画、エプスタイン)、リベラル偏向(DEI、ルーズベルト神格化)、倫理の崩壊、信頼の喪失で、腐敗まみれの奈落の底に落ちた。モーガンの排除と伊藤のスキャンダルは、介入を招く危機の象徴だ。学術の自由は死に、大学は自ら招いた代償を払う。倫理とバランスを取り戻さなければ、大学の未来は闇に閉ざされる。

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2025年4月23日水曜日

中国「開放的で安全な国だ」日本外務省の修学旅行注意喚起に“強烈な不満”—【私の論評】中国危険レベル0に批判殺到!外務省の邦人保護放棄を糾弾

中国「開放的で安全な国だ」日本外務省の修学旅行注意喚起に“強烈な不満”

まとめ
  • 日本外務省の中国修学旅行安全注意喚起に対し、中国外務省が「リスク誇張」と批判、不満表明。
  • 中国は「安全な国」と主張、日本に注意喚起の是正と交流雰囲気改善を要求。
  • 在日中国大使館が日本での事件を理由に安全対策呼びかけ、中国政府の責任と主張。

日本外務省が中国での刃物による襲撃事件などを理由に、修学旅行を検討する学校関係者に対し安全情報の確認と渡航判断の注意喚起をウェブサイトで開始した。

これに対し、中国外務省の郭嘉昆報道官は22日の記者会見で、「中国は開放的で安全な国」と強調し、日本側の注意喚起は安全リスクを悪意で誇張し政治的意図があると批判。「強烈な不満」と「断固たる反対」を表明し、厳正な申し入れを行ったと明らかにした。

また、日本に誤った措置の即時是正と中日間の人的交流の良好な雰囲気作りを求めた。一方、在日中国大使館は17日、日本での無差別殺人や食中毒事件を挙げ、中国人旅行者に安全対策強化を呼びかけ。郭報道官は日本に安全リスク報道が多いとし、中国政府の注意喚起は責任と義務だと主張した。

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【私の論評】中国危険レベル0に批判殺到!外務省の邦人保護放棄を糾弾

まとめ
  • 外務省危険レベルの誤判断:事件多発でも中国を「レベル0」にし、危険軽視が批判される。
  • 邦人保護の放棄:安全策ゼロで責任丸投げ、無責任と非難される。
  • 対中忖度:他国が危険度を上げてもレベル0維持、外交優先と糾弾される。
  • 危機管理の欠如:対応遅れと基準不明で「危機管理ゼロ」と酷評される。
  • 信頼喪失:抗議続出で「子どもの命を危険に」と信頼を失う。
中国の傍若無人ぶりは今更批判する必要がないくらいに、多くの国民に知れ渡った事実である。しかし、日本の外務省はどうなのか。外務省のサイトを閲覧すると、確かに以下のURLで、修学旅行に対する注意喚起されていることが話わかる。

中国を渡航先とする修学旅行等を検討される学校関係者の皆様へ

ただ、危険情報の地図では、中国西部は危険レベル1 になっているが、それ以外は何の指定もされていない。

中国本土の危険レベル0維持は、外務省の甘い治安評価と日中関係への過剰な忖度が生んだ愚策だ。2024年6月の蘇州での日本人母子襲撃事件、9月の深圳での日本人児童刺殺事件は、反日感情が絡んだ凶悪事件だったが、外務省は「局所的」と切り捨て、危険レベルの引き上げを拒否した(毎日新聞、2024年9月)。


新疆ウイグル自治区の2009年ウルムチ暴動やテロリスク、チベット自治区の2010年代デモ暴徒化と当局の監視がレベル1の理由だが、中国本土の他の地域はまるで安全地帯のように扱われている(外務省海外安全ホームページ、2025年2月25日更新)。

外務省が「中国を渡航先とする修学旅行等を検討される学校関係者の皆様へ」(www.anzen.mofa.go.jp)で修学旅行の注意喚起を出したのは、一部の高校が中国への修学旅行を計画し、国内で安全懸念が爆発したからだ。だが、この対応はXで「無責任」「学校に丸投げ」と叩かれ、保護者や議員から「子どもの命を軽視する」と非難の嵐が吹き荒れた(X投稿、2024年9月~10月)。

注意喚起は専用ページやスポット情報に留まり、危険レベルは動かず、「中途半端」の烙印を押された。米国は不当拘束や出国禁止リスクでレベル3を設定(2024年10月更新)、オーストラリアや韓国も高い危険度を維持するが、日本はレベル0に固執。他国との落差は滑稽を通り越し、怒りを呼ぶ(産経ニュース、2024年10月)。2023年8月のALPS処理水放出後の中国での抗議行動や邦人監視強化も、共同通信が報じた国家安全部門の動向とともに危険レベルに反映されず、対応の遅さが白日の下に晒された(共同通信、2023年9月)。

外務省の煮え切らない態度は、邦人保護を投げ出した無責任の極みだ。蘇州・深圳の事件で邦人の命が脅かされたのに、危険レベル0を維持し、曖昧な注意喚起でごまかすのは危機管理の放棄である。Xでは「外務省は無能」「子どもの命を危険に晒すな」と怒りが爆発した(X投稿、2024年9月~2025年1月)。2023年5月と2024年5月の外務委員会で、自民党の西田昌司参議院議員が中国全域のレベル1指定を求めたが、林芳正外務大臣は「適時見直し」と繰り返し、進展はゼロだ(衆議院会議録、2023年5月、2024年5月)。

西田参議院議員(中央)

2024年12月、外務省高官が日中対話で修学旅行受け入れ促進を約束すると、立憲民主党の岡田克也議員が「安全を誰が担保するのか」と追及したが、外務省は「中国側と協議」と逃げた(朝日新聞、2024年12月)。2024年10月、東京都内の高校が中国修学旅行を計画した際、保護者の「外務省の注意喚起は役に立たない」との抗議が殺到し、計画は白紙に戻された(東京新聞、2024年10月)。

外務省は学校に旅行届を求めるだけで、警備は中国側に丸投げし、具体的な安全策は皆無だ。産経ニュースは、日本が環太平洋先進国で唯一中国をレベル0とする点を批判し、米国のレベル3との落差を問題視した(産経ニュース、2024年9月24日)。共同通信は、中国の国家安全部門が処理水問題で邦人監視を強め、拘束も検討と報じ、危険性の高まりを浮き彫りにした(共同通信、2023年9月)。

外務省の弱腰は過去にも繰り返された。2019年、香港の反政府デモが激化した際、香港をレベル1に設定したが、中国本土への波及リスクは無視し、批判を浴びた(読売新聞、2019年8月)。2022年、中国で日本人ビジネスマンが拘束された事件でも、危険レベル見直しはなく、企業から「邦人保護が不十分」との声が上がった(日経新聞、2022年6月)。

2023年9月、ALPS処理水放出後、中国で日本人学校への嫌がらせが増え、山東省の日本人学校が一時閉鎖されたが、外務省は「過剰反応を避けろ」と呼びかけただけで危険レベルは動かなかった(NHK、2023年9月)。

2024年11月、関西の私立高校の中国修学旅行計画に対し、保護者の反対署名が数百人分集まり、計画は中止に追い込まれた(読売新聞、2024年11月)。2024年8月、福岡の教育委員会が外務省に安全性を問い合わせたが、「学校の判断」と突き放され、委員会内で怒りが爆発した(西日本新聞、2024年8月)。2025年4月、西田昌司議員が「南京大虐殺記念館などを理由に修学旅行生は行かせられない」と発言し、外務省の修学旅行促進策に異議を唱えたが、外務省は明確な反論を示さなかった(政治知新、2025年4月20日)。

この外務省の怠慢は、対中関係を優先し、国民の命を軽視する裏切りだ。危険情報基準は非公開で、事件の評価は曖昧。国民の安全が脅かされているのに、明確な渡航制限や学校向けガイドラインは作らない。Xでは「腰抜け外交」「外務省は現実を見ろ」との声が響き、信頼は地に落ちた(X投稿、2024年9月~2025年1月)。この無責任な姿勢は許されない。危険情報基準の透明化、具体的な安全策の提示、邦人保護の覚悟を今すぐ示せ。外務省の怠慢は、国民の命を危険に晒す罪だ。

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2025年4月22日火曜日

「日本は、アメリカか中国か選ぶことになる」トランプ大統領「41歳のブレーン」が衝撃発言⋯ブチ切れたアメリカ庶民が「日米同盟を破壊する日」—【私の論評】リフォーモコンが築くアメリカの魂:労働者の誇りと霊性文化の創造

「日本は、アメリカか中国か選ぶことになる」トランプ大統領「41歳のブレーン」が衝撃発言⋯ブチ切れたアメリカ庶民が「日米同盟を破壊する日」

まとめ

  • アメリカはトランプ政権下でグローバル化や同盟ネットワークから孤立主義に回帰し、戦後80年の方針を転換する。
  • リフォーモコン(改革保守)は、グローバル資本主義が中間・貧困層を貧しくしたと批判し、関税引き上げや同盟国への防衛負担増を主張。
  • オレン・キャス氏は、国際秩序のリセットと日本の中米選択の必要性を警告し、トランプ政権の政策を理論的に支える。
  • グローバル化による格差拡大や戦争の犠牲がアメリカ庶民の怒りを生み、トランプ政権の支持基盤となる。
  • 日米安保条約の見直しや日本への駐留経費全額負担要求が本格化し、国際関係の構造変化が予想される。
アメリカが「世界のお節介焼き」としての役割を終え、孤立主義に回帰しつつある。トランプ大統領は、戦後80年にわたり米国が推進してきたグローバル化やリベラルな同盟ネットワークを転換し、初代大統領ジョージ・ワシントンの「他国と距離を置く」理念を復活させようとしている。戦後の日本にとって米国は精神的・物質的な「地盤」である一方、干渉的な「上司」でもあったが、この関係は大きく変わる可能性がある。


背景には、グローバル資本主義がエリート層を富ませ、中間・貧困層を貧しくしたとの不満がある。保守系シンクタンク「アメリカン・コンパス」を主宰するオレン・キャス氏(41歳)は、トランプ政権を支える「リフォーモコン」(改革保守)の代表的知識人として、自由貿易や同盟関係のコストが利益を上回ると主張。関税の大幅引き上げや、日本など同盟国への防衛負担増を求め、1980年代に日本が米国の圧力で現地自動車生産を増やした例を挙げる。

アメリカでは過去30年で不法移民が1000万人を超え、株価は5倍に上昇した一方、中間層の所得は停滞。富裕層と下位層の資産格差が拡大し、イラクやアフガン戦争で若者が犠牲になり、帰還兵の心身の傷や薬物問題が深刻化。「他国のためにアメリカ人が傷つく必要はない」との怒りが広がる。トランプ政権はこうした「傷ついた庶民」の声に応え、「リフォーモコン」の理念に基づき、日米安保条約の見直しや日本への駐留経費全額負担要求を本格化させる可能性がある。

キャス氏は「国際秩序はリセットされつつあり、日本は米国か中国かを選ぶ必要が出てくる」と警告。自由貿易や同盟関係の見直しは、トランプ支持者だけでなく、グローバル化に取り残された多くのアメリカ人の不満を反映している。「リフォーモコン」の思想に支えられたこの動きは一過性のものではなく、国際社会の構造を根本的に変えるかもしれない。
(「週刊現代」2025年4月28日号より)

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧ください。

【私の論評】リフォーモコンが築くアメリカの魂:労働者の誇りと霊性文化の創造

まとめ
  • リフォーモコンは、グローバル資本主義の害を正し、労働者階級の誇りを復活させる運動であり、政治、外交だけではなく、米国独自の霊性文化を構築することを使命とすべき。
  • その精神性—労働者の尊厳、ナショナリズム、反エリート主義、現実主義—は、バークの保守主義(伝統、道徳的秩序、コミュニティ、現実主義)と共鳴し、グローバル化の断絶を癒す。
  • 日本の霊性の文化に学び、ピューリタニズム、フロンティア精神、地域信仰を基盤に、労働者の誇りと国家の誇りを結ぶ霊性を築くべきである。
  • 地域伝統の支援、愛国教育、自然保護を通じて、グローバル化の無機質な文化に対抗し、国民の霊的結束を強化する。
  • 若手保守派団体ターニング・ポイント・USAと直接の連携は薄いが、トランプ支持層や若者層への訴求で間接的に響き合い、霊性文化を若い世代に広める力となるだろう。
上の記事にも出てくる、リフォーモコンは、グローバル資本主義の毒を洗い流し、労働者階級の誇りを蘇らせる運動だ。関税を上げ、同盟を問い直し、アメリカを再び強くする。しかし、その戦いは経済や外交だけで終わるものではない。アメリカの魂、つまり米国独自の霊性を呼び起こす文化を築くことこそ、真の使命としてほしい。

「鹿の国」公式ガイドブック

先日このブログにも掲載した、日本のドキュメンタリー映画「鹿の国」は、日本の霊性の文化を呼び起こさせ物質に溺れた現代人に土着の信仰と自然の神聖さを突きつけ、魂の渇きを癒した。リフォーモコンも同じだ。ピューリタンの信念、フロンティアの魂、地域の信仰を掘り起こし、労働者の尊厳と国家の誇りを結びつける霊性を打ち立てるべきだ。

この霊性は、エドマンド・バークの保守主義—伝統と秩序への敬意、コミュニティの絆—と、リフォーモコンの精神—労働者の誇り、ナショナリズム、反エリート主義、現実主義—を一つに熔かし、グローバル化の荒波でバラバラになったアメリカを再び結びつける。アメリカの若手保守派団体ターニング・ポイント・USA(TPUSA)の若者たちとのつながりは、この霊性を若い世代に根付かせる推進力となる。アメリカの再興は、魂の復活にかかっている。
グローバル化の傷とリフォーモコンの魂
グローバル化はアメリカの心を蝕んだ。エリートは富を独占し、労働者階級は貧困と絶望に沈んだ。不法移民は1000万人を超え、株価は5倍に跳ね上がっても、中間層の所得は動かない。イラクやアフガンの戦場で若い命が散り、帰還兵は傷と薬物に苦しむ。こんな現実を前に、誰が黙っていられるのか。リフォーモコンの精神は、この怒りに火をつける。

ウォール街でデモをした帰還兵たち

労働者の尊厳は、ピューリタンが神に捧げた労働の誇り、フロンティア開拓者が荒野で築いた自立の魂と響き合う。ナショナリズムは、「神の下の国家」を信じる不屈の愛国心だ。反エリート主義は、労働者を「能力不足」と切り捨てるエリートへの民衆の正義の刃である。現実主義は、他国のためにアメリカが血を流す愚を拒む覚悟だ。

バークの保守主義は、この精神に深い知恵を与える。バークは伝統を「先祖が残した宝」と呼び、急激な変革を退けた。社会は過去と未来をつなぐ「永遠の契約」であり、家族、教会、地域といった「小さな集団」がその絆を守る。リフォーモコンの労働者コミュニティへのこだわりは、この精神そのものだ。

だが、リフォーモコンはバークの慎重さを超える。関税の壁を築き、日米安保を揺さぶる大胆さ、トランプのポピュリズムに支えられた勢いは、現代の断絶に応じた新しい炎だ。それでも、労働者の誇りと国家の再興を求める心は、バークの伝統と秩序への信仰と共鳴する。
「鹿の国」に学ぶ霊性の復活
日本の「鹿の国」は、霊性の復活が持つ力を教えてくれる。諏訪の信仰を背景に、鹿と自然の神聖さを描いたこの映画は、監督の4年にわたる執念が生んだ。グローバル化の無味乾燥な世界に疲れた日本人が、土地と命のつながりに涙した。

アメリカも同じだ。リフォーモコンの支持層—白人労働者階級、ラテン系、若者—は、2024年のトランプ勝利(得票率約50%)で声を轟かせた。彼らは金だけでなく、コミュニティと伝統を失った痛みに喘ぐ。グローバル化は魂を奪う。リフォーモコンは、ピューリタンの信仰、アパラチアの福音派、ミッドウェストの農村の祈り、南部のバプテストの讃美を呼び戻し、米国独自の霊性を築かねばならない。

この霊性は、具体的な行動で形になる。第一に、地域の伝統を守る。教会や農場を支え、福音派の集会や地域の祭りを盛り上げる政策が、魂の絆を強める。第二に、教育とメディアでアメリカの物語を語る。建国神話やフロンティアの英雄を子供たちに教え、労働者の誇りを讃える映画を広める。第三に、自然との絆を取り戻す。「鹿の国」が自然の神聖さを示したように、国立公園や農村の美しさを守る運動が、土地への愛を深める。これらは、グローバル化の冷酷な波に立ち向かう魂の砦だ。
若者と築くアメリカの未来
若手保守派団体「ターニング・ポイント・USA」の創始者チャーリー・カーク氏

若手保守派団体ターニング・ポイント・USA(TPUSA)は、リフォーモコンの霊性を若者に広める鍵だ。TPUSAは大学キャンパスで保守主義を掲げ、愛国心を訴える。リフォーモコンと直接のつながりは薄いが、トランプの「アメリカ・ファースト」を共有し、反エリートや労働者優先のメッセージで響き合う。TPUSAのチャーリー・カークは、関税や製造業復興を支持し、リフォーモコンのオレン・キャスの論調と重なる。

TPUSAの自由市場重視はリフォーモコンの保護主義と異なるが、若者への動員力は霊性を広める力になる。2024年選挙で若者がトランプに流れた背景には、TPUSAの活動とリフォーモコンの訴えが共鳴した可能性がある。TPUSAのネットワークは、愛国心とコミュニティの霊性を若い心に刻む。

霊性文化の構築は、リフォーモコンの戦いを完成させる。バークが世代の絆を「永遠の契約」と呼んだように、霊性はアメリカ人を過去と未来で結ぶ。グローバル化の分断を癒し、エリートへの怒りを希望に変えるには、金や政策だけでは足りない。魂の基盤が必要だ。リフォーモコンの精神は、バークの伝統と秩序への信仰と一つになる。TPUSAの若者たちにこの霊性を広めれば、アメリカの再興は揺るぎない。

リフォーモコンは、米国独自の霊性文化を築く使命を担うべき。「鹿の国」が日本の魂を呼び戻したように、ピューリタニズム、フロンティア精神、地域信仰を基盤に、労働者の尊厳と国家の誇りを結ぶ霊性を打ち立てる。地域の伝統を守り、教育で物語を伝え、自然の美しさを愛する。それが、グローバル化の闇を吹き飛ばす光だ。TPUSAと手を携え、バークの保守主義とリフォーモコンの炎を融合させる。この霊性が、アメリカの魂を蘇らせ、国民を一つにする。

政治、経済だけでは、国民が一つにまとまるのは難しい。やはり固有の霊性の文化は欠かせない、日本は誇るべき霊性の文化があるのに、忘れてしまっている。日本は、これを思い出すべきだろう。そうなれば、日米ともに国民はまとまり、他の国々との無用な対決も避けることができるだろう。さらに、他の国の固有の霊性文化を尊重するようになるだろう。

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