2012年5月21日月曜日

世界のエネルギー革命を成し遂げるのは日本か―ロシアの声 −【私の論評】日本のメディアがほとんど伝えないこの事実!!ロシアがみる極東の軍事バランス!!

世界のエネルギー革命を成し遂げるのは日本か―ロシアの声

原発反対運動で揺れる日本だが実は・・・・・・・・
―世界のエネルギー市場では近いうちに革命が起こり、それは日本によって成し遂げられる可能性がある―

メタンハイドレートは、メタンガスと水が結合したもの。雪あるいは融けかかった氷をおもわせるメタンハイドレートは、世界的に分布している。だがメタンハイドレートの開発は課題が多く、今までは採算が取れないと考えられていた。だが現在、日本の専門家らは採算が取れる技術をみつけたと主張している。

JOGMECの本社で新技術を視察した「ルスエネルジー」社のアナリスト、クルチヒン氏は、次のように語っている。

「メタンハイドレートには将来性があるため、探査の価値があると考えている。日本ではこのプログラムに3億6000万ドルが拠出された。

日本近海にはメタンハイドレートが7兆立方メートル(天然ガスで1148兆立方メートル)

埋蔵されていると試算された。

1立方メートルのメタンハイドレートは天然ガスの164立方メートル分に相当する。」

※天然ガス1立方メートルあたりの国際取引価格は29円

(ロシアの)専門家らは、北極圏には化石燃料の埋蔵量と同等のメタンハイドレートが埋蔵されていると試算している。メタンハイドレートは将来、天然ガスに代わる可能性があると考えられている。

そのような時代が訪れるのはいつになるのだろか?それについては日本が示してくれることを期待する。


The Voice of Russia 12.05.2012, 16:53

http://japanese.ruvr.ru/2012_05_12/nihon-enerugi-kakumei/

http://ecodb.net/pcp/


【私の論評】日本のメディアがほとんど伝えないこの事実!!ロシアがみる極東の軍事バランス!!
さて、このニュース日本などから発信されたものではなく、ロシアからであることが注目されます。本日は、これが何を意味するのか読み解いてみたいと思います。まず、第一にロシアのメディアは、どんなものであれ、日本の反日マスコミとは異なり、ロシアの国益のために報道します。たとえ、政府への批判を掲載したにせよ、それは、ロシアの国益という視点から掲載しているのであり、日本のマスコミのように、日本国弱体化を意図するものではありません。特に、プーチンがまた、大統領になってからその傾向が強いです。


そんなロシアの「ロシアの声」というサイトが、上記のような報道をしています。これは、無論、日本のためにされているということではありません。ロシアにとって、有益な内容であることはいうまでもありません。

では、なぜ、この内容がロシアにとって、有益なのかといえば、まずは、これを見た日本人には、好印象を与えることはいうまでもありません。それから、諸外国にも、日本の良い部分を強調するロシアの報道により、何らかの影響を与えようと目論んでいるのは間違いありません。これらの背景には、最近とみに軍事的に成長を遂げる中国への備えという意図がみてとれます。中国が一方的に強くなれば、ロシアとしても都合が悪いわけで、極東における、日露中印のパワーオブバランスを考慮して、その中で最も有利に動けるように画策しています。その一環における、ロシアの声とみるべきです。台頭する中国に対して、日本が近い将来新エネルギーで、台頭することを印象付けロシアに対する脅威をかわすという意図が感じ取れます。

この文脈を読み解くには、さらに、最近のプーチン大統領の発言も見逃せません。プーチン氏が大統領になるのが確実視されていた、本年3月1日夜(日本時間2日未明)、モスクワ郊外の首相公邸で朝日新聞の若宮啓文主筆ら日欧などの主要紙編集トップと会見しました。日ロの懸案である北方領土問題について、柔道家として「引き分け」という日本語を使い、相互に受け入れ可能な妥協点を探り、「最終決着させたい」と表明しました。

旧ソ連によって、不法に掠め取られた北方領土

プーチン氏が日本について本格的に語るのは、2009年5月に首相として訪日した時以来となる。大統領1期目の00年9月には、ロシアの最高指導者として初めて、歯舞・色丹の2島引き渡しに言及した1956年の日ソ共同宣言の有効性を認めています。

プーチン氏は、この日も56年宣言に言及し、「我々はゴルバチョフ・ソ連大統領が遂行を拒否した56年宣言に戻る用意をしたが、日本側が『四島』を言い出して全てが最初の地点に戻った」と指摘。その上で、「我々が前進できるような接点が見つかることを期待する」と述べました。

さらに、「日本との領土問題を最終決着させたいと強く望む」とも主張。解決策は、貿易や投資といった経済分野などの相互協力を拡大する中で見つかるとし、領土問題が後ろに引っ込むような状況が必要だと強調しました。

ロシアといえば、ソ連時代から、領土問題に関しては、譲歩するということを知りませんでした。それを今頃、向こう側から、蒸しだすということには、何か意図して意識した魂胆があることは明々白々です。日本対して、メディアなどの報道で親日的な態度を見せつつ、北方領土もちらつかせ、日本の関心をひき、極東でのロシアのパワーオブバランスの地位を少しでも高めるために利用しようとしているということです。

ミグ29
さて、さらに、意図を読み解くためには、インドの存在も見逃せません。3月13日付ロスアンジェルス・タイムズ紙は「インド、ロシアの武器を採用:ニューデリは戦闘機、空母、原発を買うための5つの取引に署名」との見出しで、この訪問の結果を報じています。その概要、次の通り。
3月12日、インドはロシアから空母、ミグ29戦闘機、防衛宇宙技術、少なくとも12の原発を含む70億ドル以上の装置や技術を買う5つの取引に調印した。
さらに、ロシアと中国との関係でも気になる動きがあります。

中国とロシアの久しぶりの、合同軍事演習が4月27日、6日間の日程を終えています。これは、両海軍にとって初めての大規模で実戦的な海上訓練で、その「蜜月関係」をアピールしました。ともに演習の先に見据えるのが、アジア太平洋シフトを進める米国の動きです。

海上協力2012と命名された、中ロ共同軍事演習

ロシアは今回の中国海軍との合同演習に、アジア太平洋国家としての存在感を誇示する狙いを込めています。米オバマ政権が中国の台頭を意識したアジア太平洋重視の新国防戦略を打ち出したのに伴い、中国との良好な関係を再確認しておきたいところなのだと思います。

ただ、急速に国力を高める中国はロシアにとっての潜在的脅威でもあります。中国の「弟分」として埋没せず、他のアジア太平洋諸国とも関係を拡大したいのが現在のロシアの本音です。

ロシア国営天然ガス企業は今月、ベトナム国営石油とベトナム沖大陸棚の2鉱区を共同開発することで合意。これに対し、南シナ海・南沙(英語名スプラトリー)諸島の領有権をベトナムと争う中国が強い警戒感を示し、事業中止を求めていることにも中露の「隙間風」がうかがえます。

軍事面でも中国の技術力向上に伴い、ロシア製武器の中国への大型売却契約は2000年代半ばに途絶えたとされます。ロシアの軍需産業はベトナムやインドといった国々への輸出増大に活路を見いださねばならない状況です。

南シナ海をめぐる中国と近隣国の関係が不安定な中で行われる今回の中露演習について、一部有力紙は「ロシアが中国側についている」との印象を与えることへの懸念も伝えました。ロシアは今夏、米海軍が主催する環太平洋合同演習(リムパック)に初参加する方針も示しており、米中両にらみで自らの立場を固めようとしています。

こうした、ロシアの現状は、以前このブログにも掲載した、ロシアの人口その他を考慮すると、ロシアのあせりが感じられます。その部分を以下にコピペしておきます。
日本は多民族国家ではなくいわゆる、国民国家であり、ほぼ単一の文化と、人種の国としては、世界最大といっても良いかもしれません。何とあの広大な面積を持つロシアも、日本よりわずか2000万人人口が多いくらいのものです。こうしてみると、海まで含めた国土の領域といい、人口といい、日本は大国です。中国、インド、アメリカなどは、多民族国家であることはいうまでもないですし、それに、比較的新しく人為的にまとまった国です。どの国も、省とか、州があり、それらがかなり独立した行政単位となっており、日本などのような国とはまったく成り立ちが違います。国民国家の中でも、もっともそれらしい日本とこれらの複合新興国家(これらの中で比較的歴史の長いアメリカですか、200年くらいの歴史しかない)を国と呼んでいるからといって、単純に比較するのはかなり無理があります。
ロシアの女の子
ロシアは、現在も複数民族からなる国であり、昔から現在に至るまで、いわゆる、支配階層は、すべて、数としては圧倒的に多数のロシア人でした。それに、現在のロシアの版図にある人口でも、中国には、遠く及ばず、日本と同程度に過ぎません。一昔前までは、強大な軍事力で、版図を拡大してきましたが、ご存知のように、ソ連崩壊とともにかなりを失いました。

1866年のロシア帝国の最大版図

現状のロシアをみてみると、人口でも、実質上日本に負けているといわざるをえません。日本の場合は、人口がロシアと横並びであるとはいいながら、日本は、単一民族であるという強みがあります。

中央アジア系の女の子
経済的にも、今では、日本は、もとより、中国以下です。とは、いいながら、核保有国であることや、過去の強大な軍事遺産、軍事技術があります。だから、過去においては、日本に対しても、一方的に圧力をかけ、思いどおりにしてきました。

中国に対しても、一方的に強力な圧力をかけて、打ち負かしてきました。

たとえば、1999年末、中共とロシアは「中ロ境界調査協定」を締結し、それによって、清朝がロシアとの間で結んだ一連の不平等条約を承認し、台湾の数十倍にも相当する100万k㎡あまりの国土を売り渡しました。また、2004年の「中ロ東部国境補充協定」によって、黒龍江省黒瞎子島の半分の主権を失っいました。特に、2004年の中国側のロシアに対する一方的な譲歩は、中国国内では、ほとんど報道されず、この事実は、中国国内ではほとんど知られていません。

黒龍江省黒瞎子島
新しいところでは、2009年2月13日にロシア沿岸警備隊が中国貨物船を銃撃し、船員8人が死亡しました。密輸を疑われて出航許可を得られなかったにも係わらず、強引に出航しようとしたため、ロシア側は貨物船に対し機関銃を500発以上を発砲しましたここれは、中国側にとって「惨事」であるにも係わらず、中国当局は事件から6日経ったのち、ロシア側に対して事件の徹底調査を求めました。

中国の軟弱な姿勢の裏には、事件直後の17日にロシアと石油開発条約の締結が控えていたことが関係しています。「政権維持の安定に必要な石油のため、中国当局は8人の人命を軽んじた」と中国問題評論家の李天笑氏が批判しました。当時の中国国内メディアは、「貨物船が発砲された」という事実を伝えず、「貨物船が遭難した」と表現をごまかし、国民に真実を伝えることはありませんでした。

ソ連時代はおろか、帝政ロシア時代から、ロシアは、このように中国に対して、絶対に譲歩することなく、徹底的に一方的に押しまくってきたということです。尖閣問題で見せた、日本の中国に対する対応ぶりをみていて、プーチンは、せせら笑っていたことでしょう。

しかし、状況はかわりつつあります。ここしばらく、中国に対する強硬な態度を崩すことはないと思います。しかし、10年後、20年後まで、このような姿勢を保っていられるでしょうか?ロシアは、中国と陸続きです。しかも、この陸続きの多くに住んでいるのは、被支配層の、中央アジア系の民族が大多数です。しかも、ソ連崩壊後領土をかなり失ったとはいえ、いまだに広大で守備範囲がかなり広いです。

グルジアに侵攻したロシア軍
であれば、台頭してきた中国に対抗するためは、ロシア一国だけではなく、これも急速に発展しつある、インドや、日本などとも共同であたったほうが良いのはいうまでもありません。ただし、そんなことはおくびにもださず、強面ロシアの姿勢は崩さず、中国、日本、インドのパワーオフバランスを操り、自らに最も良い状況を生み出すべく、前準備をしているということです。

さて、日本としては、こうした背景を知りつつ、ロシアが報道するように、日本は新たなエネルギー大国になる可能性が大きいことも視野にいれながら、このようなロシアと付き合っていく必要があります。また、直近ですぐに、日本のメタンハイドレートが使えるわけではありません。ロシアとしては、天然ガスや、電力を日本に売りたいという意向もあります。ですから、上のメタンハイドレートなどの報道は、日本の原発再稼動の反対や、原発全廃の世論を誘導して、一時日本のエネルギー源を断ち、ロシアが日本に対してエネルギーを輸出しやすくするという意味もあります。

ロシアは、さきほど言ったように、多民族国家であり、外見はまるで日本人という人も大勢います。日本は、スパイ防止法のないスパイ天国であるため、外見は全く日本人であるロシア人を日本に潜伏させ、このような世論を誘導しているという可能性も十分あります。また、こうしたことに、すぐに、扇動される、人も大勢います。


日本として、このようなロシアを等身大に捉えて、要求すべきところは、要求し、最終的には、日本固有領土を全部取り返すべきです。

いずれにせよ、こうした、世界情勢をみていれば、今のままの日本では、どうしょうもありません。まずは、憲法は必ず改正すべきです。そうして、核武装もすべきです。日本国憲法と、ロシアの関係としては、以下のようなとんでもない事実もあります。

GHQ
戦後、日本に入ってきた、GHQには、かなりの部署にいわゆるコミンテルンの手先(ソ連のスパイ)がいたことが明らかになっています。さらに、コミンテルン以外のものは、相当できの悪い連中で、いわば、GHQは、馬鹿とスパイの集まりであったことが、明らかになっています。こんな、GHQが作成した日本国憲法など、内容も粗悪な占領地法に過ぎません。このようなものを大切におしいただいて、金科玉条のように守っているなど異常です。

今のままでは、ロシアのプーチンの思い通りに、ことが運ばれてしまう可能性が大です。このようなことは、絶対に避けるべきです。世界は、日本の国内事情だけで動いているわけではないという当たり前の事実を認識すべきです。しかし、上の内容から、ロシア側は、かなりこれからの舵取りに、苦慮していることがうかがわれます。こうした、ロシアの弱体化兆候の機会に乗じて、日本は、活路を見出すべきです。さらに、アメリカも世界の警察官を自認することもかなわなくなりつつあることを考慮にいれるべきです。




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2012年5月20日日曜日

創業150年以上の老舗企業は中国にわずか5社、日本に大きな後れ―中国メディア―【私の論評】日本に多くの老舗企業が存在するのは、「信頼」「規範」「ネットワーク」という社会の基盤からあるからである!!

創業150年以上の老舗企業は中国にわずか5社、日本に大きな後れ―中国メディア

 2012年5月18日、中国メディア・網易は日本に多く存在する老舗企業について分析した。中国には創業150年を超える企業はわずか5社しかなく、日本に大きな後れを取っている。

中国最古の企業、漬物店の「六必居」
韓国銀行が発表した報告書「日本企業の長寿の秘密と啓示」によると、日本には創業200年を超える企業が3146社あり、世界最多となっている。7社は1000年以上の歴史を持つ。世界最古の企業トップ3はすべて日本企業だ。東京商工研究機構のデータでも、創業100年以上の日本企業は2万1666社に上り、1975年以降に創業した会社はわずか620社しかない。創業100年以上の日本企業の89.4%は従業員300人未満の中小企業であり、多くが家族経営で、大部分は食品製造、酒蔵、薬品、伝統文化関連の経営である。

200年を超える歴史を持つ企業はヨーロッパにも多く、ドイツには837社、オランダには222社、フランスには196社存在する。しかし中国は、最古の企業は1538年創業の漬物店「六必居」、続いて1663年創業のハサミメーカー「張小泉」、漢方薬局「陳李済」と「同仁堂」、飲料「王老吉」と、150年以上の歴史を持つ老舗企業はわずか5社。中国中小企業の平均寿命はわずか2年半、グループ企業であっても7~8年と、欧米企業の平均寿命40年に遠く及ばない。

日本の家族経営企業の多くは「終身雇用制」と「年功序列制」といった特徴を持ち、血縁を超えて継承者を選定する。家族経営企業は往々にして婿を取り、養子とすることで財産が分散しないようにし、血縁関係がなくても後を継げるようになっている。また、目先の利益を追わずに細く長く経営するという理念を持っているため、日本の家族経営企業には多角経営が少ない。さらに、100年という歳月をかけて特定の領域に注力し信頼を勝ち取っているため、この信頼を最も貴重な財産として、企業リスクに対抗できる力を高めている。誠実な経営に加え、徹底した職人気質、さらに保守的な企業経営などが日本企業の長寿の秘訣となっている。対して、脚光を浴びつつある中国の家族企業は、均等分割制の継承方法、会長や社長が一手に握る人事システム、社員の極めて低い忠誠度が相対的に見劣りしてしまう。

なぜ中国には長寿企業が存在しないのか?一企業として、創業者が苦労して立ち上げ、困難を克服してきたところに大きな差はない。いかに次世代に引き継ぎ発展させるかがが最大の挑戦なのである。

【私の論評】日本に多くの老舗企業が存在するのは、「信頼」「規範」「ネットワーク」という社会の基盤からあるからである!!

日本最古の企業金剛社の本社
上の記事を読んでいて、まずは、中国には、創業150年以上の会社が、わずか5社しかないことに驚愕するとともに、納得しました。また、「会社の寿命は何で決まるのか?潰れない会社の持続力の源を探る」をテーマに、世界的に珍しいという老舗企業大国ニッポンの実体をレポートした新書本があったことを思い出しました。数年ほど前に読んで印象に残っていたのですが、あらためて拾い読みしてみました。

昭和初期の金剛社

その書籍は、『千年働いてきました~老舗企業大国ニッポン』(野村進著、角川書店 2006年11月)という本です。東京商工リサーチのデータベースによれば、当時創業100年以上の企業は、全150万社中1万5,207社(2002年現在)、個人商店や小規模企業を加えると10万以上と推定されるということでした。

日本最古の宮大工《金剛組》にて修理がおこなわれた太田地車


歴史の古いヨーロッパや中国でも創業100年以上の企業は稀だということです。これだけ老舗企業の数が多いのは、日本だけです。

その中に調査結果の分析から得られた「老舗製造業五つの共通項」が、なぜ、日本にこれほどまでに、老舗企業が多いのか非常に参考になります。以下にその部分を掲載しておきます。
1.同族企業は多いものの、血族に固執せず、企業存続のためなら、よそから優れた人材を取り入れるのを躊躇しないこと。 
2.時代の変化にしなやかに対応してきたこと。 
3.時代に対応した製品を生み出しつつも、創業以来の家業の部分は、頑固に守り抜いていること。 
4.それぞれの"分"をわきまえていること。 
5.哲学者で鳥取環境大学学長の加藤尚武氏が言う「町人の正義」を実践してきたこと。
1,2,3の各項は企業の継続性を考えれば、当然の意義があるものでしょう。しかし日本が世界に稀な長寿企業大国であることを納得させられる鍵は、4と5の中に隠されています。


分とは何かを語る、老舗企業の経営者の言葉が記録されています。
西川会長
「僕らは株なんかも一切やってません。本業で社会に貢献する。それに反するものをやったら、長続きしないという理念があるんです。」(ふとんの西川産業、1566年創業、西川甚五郎会長) 
「儲かればいいと思って、本道からはずれたらあかん。どんな商売でも、なぜそういう商売をするのかという説明がつかんといかんわね。説明のつかん商売をしたら絶対潰れますわ。」(金箔製造から転写箔メーカーになったカタニ産業、1899年創業、蚊谷八郎社長)
平成バブルの崩壊を記憶に留めている私たちにとっては、この単純明解なことが巨大企業にも通用する真理であることが理解できると思います。

では5の「町人の正義」とは何でしょうか。前述の加藤尚武氏によれば、「売り手と買い手とが、公正と信頼を取引の基盤に据えてきた」ということです。考えてみれば、江戸時代の我が国は封建的な社会でありながら当時の世界でも珍しいほど高度に近代化した全国規模での物流と金流の経済システムを完成させていました。

江戸時代のジオラマ

法律の整備も曖昧な社会で公正と信頼を基盤にしなければ経済は成り立たなかったわけですし、これを破る者に対する社会的な制裁もたいへん厳しいものでした。しかし大切なことはこの町人の正義、お天道様に顔向けができないことはしない、という考え方が法律的な規制によるからというのではなく、自発的な経営規範として老舗と呼ばれる企業経営者たちには代々受け継がれてきたということです。

江戸時代の町人の服装


著者は「よく人間は遺伝子の"乗り物"にたとえられるが、人間は文化の"乗り物"でもある。老舗企業を語る際にも『企業のDNA』といった表現がしばしば使われるけれど、この『DNA』とは『文化』と同義語ではあるまいか。」と、老舗企業の永続性の秘密を解いています。

こうした、「町人の正義」何か、最近の社会学における、最新のテーマでもある、ソーシャル・キャピタルという概念を思い起こさせます。ソーシャル・キャピタルとは、日本語に直訳すると、「社会資本」となりますが、日本語で、単に、「社会資本」というと、いわゆる、道路、空港、港湾、鉄道、電気、水道などのインフラを指すことが多いので、これと区別するために、ソーシャル・キャピタルと言われることが多いです。



では、ソーシャル・キャピタルとは、どのうよなものかといえば、詳細は、wikipediaなどで検索して調べていたたくものとして、このブログで以前とりあげたことがありますので、そこから以下にコピペさせていただきます。

ある大学の社会学部の紹介をするサイトの扉の画像
民間非営利企業とは、平たくいえば、市民団体など、市民参加の自発的な組織であることが多いです。こうした組織が多くできるようになっていろいろと様変わりしているところがあります。たとえば、イタリアでは、閉鎖的な家族主義社会ということがいわれていましたが、最近は随分様変わりしています。特に、北イタリアでは、昔からの市民活動の動きがあり、南と北では随分と違いがあります。南と北では、料理にも違いがありますが、それ以上に州政府の成果に大きな違いがあるのです。アメリカのパットナムの長年の研究によれば、北のほうが州政府の統治による成果がはるかに高く、この主要な原因として、北のほうが、いわゆるソーシャル・キャピタル(社会関係資本)が充実しているそうです。 
ソーシャル・キャピタルとはアメリカの政治学者のパットナムの定義によれば、「人々の協調行動を活発にすることによって社会の効率性を高めることのできる、「信頼」「規範」「ネットワーク」といった社会組織の特徴」ということです。ソーシャル・キャピタルを高めるためには、やはり、ありとあらゆる種類のNPO、それも、市民が自発的に参加するものが設立されている必要があります。この、ソーシャル・キャピタルが充実している地方ほど、健康的で、犯罪も少なく、経済的にも恵まれる傾向があるという統計資料もOECD、世界銀行から出されています。 
だからこそ、先進国ではNPOがかなり多く設立されて、実質的に政府がやっていた社会福祉など、いわゆる社会問題の分野に積極的に介入できるような仕組みを構築しているのだと思います。
この記事を書いていた当時、私は、現在のように、政府が、増税するなどということなど思いもよらず、その当時もデフレで、生かさず殺さずという状況にあった、日本の社会をさらに、増税などで、半殺しにすることなどなど思いもよらず、これ以上経済が悪くなることなど、全く想定していませんでした。これから、良くなることは、あっても悪くなるとは想定していませんでした。もともと、民主党は、野党時代に増税に大反対していたはずです。そのため、社会を良くするための方法をいろいろ考えていました。その一環で、日本では、弱小なものしかない、西欧型NPOが日本でも有効であると考えこれに関する記事を良く書いていたものです。



最近は、増税などで、社会が半殺しにされることを懸念しているので、増税反対に関する記事や、増税の根拠となっている、日本国財政破綻の虚偽に関する記事を掲載するようになっています。しかし、私自身としては、あの当時から経済より社会を優先するという考え方は今でも変わっていません。今は、デフレの真っ只中にあり、増税すれば、税収はさらに減り、社会が疲弊することが目に見えているため、増税に反対にする内容うの記事が多くなっているだけです。日本社会のためにも、増税は避けるべきです。

さて、話を本筋に戻すと、日本国では、諸外国と比較すると、このソーシャル・キャピタルが著しく発達していたということです。まさに、日本の社会では、「信頼」「規範」「ネットワーク」が、昔から「町人の正義」などといわれ、尊ばれ、発展してきたということです。「信頼」「規範」については、上記でも説明されていましたが、「ネットワーク」についても、日本では、昔からかなり充実していました。昔から日本全国で、北は、サハリンから、南は沖縄や台湾まで、随分昔からネットワークが張り巡らされていました。また、通信手段も昔から発展していて、のろしなどを使って、江戸と大阪などの遠隔地同士でも、数時間で情報のやりとりをしていました。

遺跡などから、推定された、縄文ネットワーク


そうして、これを模範的に、具体的に具現化してきたのが、創業150年を超える、老舗企業だということです。上の記事では、どちらかというと、企業のDNAとして、老舗企業の側から、説明していましたが、それだけではなく、日本国の社会のDNAとして、多くの人々に受け継がれ、発展してきたからこそ、今日その証として、多くの老舗企業が存続しているのだと思います。

また、先の書籍には日本の老舗企業の特徴として、「職人」の技術に対する最大限の敬意があげられています。講談や落語の世界に江戸時代の名工、名人噺がたくさん残され今なお語り継がれているように、職人の技術に対する信仰にも近い思いが底流となって、我が国の近代化と戦後復興が達成され、世界第二位の経済大国へと発展したことだけは確かです。

漆塗りの職人
それがバブル経済が生み出した拝金主義、単なる交換価値でしかない金が金を生み出すという神話を今も捨てきれないところに、現在の企業不祥事の根本原因があり、また同時にこれが日本人が営々と築いてきた莫大な資産を米国に掠め取られている原因であると考えざるを得ません。また、現在の韓国は、掠め取られるどころか、実質上のアメリカの経済植民地になっていることは、このブログにも以前掲載したことがあります。

この辺りは、NYB嘆きの世直しブラザース長兄平川克美さんの著書『株式会社という病』(NTT出版)に明らかにされていますので、ご一読をお薦めします。また、日本国民の資産が必然的合法的に米国に掠め取られるしくみについては『人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか』(水野和夫著 日本経済新聞出版社刊)に明らかにされていますのでご興味のある方はどうぞ。

この書籍の根本となっている、アメリカのいわゆる社会ではなく、経済至上主義、自由主義の名のもとに、日本をはじめとする多くの国から、富を簒奪する仕組みは、アジア通貨危機の頃から、アメリカのワシントンを根拠地とする、IMFや、世界銀行、ならびに他の金融機関などの間の合意事項であるワシントン・コンセンサスによってかたちづくられていきました。このコンセンサスは、もともとは、金融界出身の人々の自分たちにとって、都合の良い仕組みの構築という意味合いが強いです。これに、関しては、本日は本題ではないので、また、日を改めて掲載します。


日本国は、他国と比較すると、昔から、社会の効率性を高めることのできる、「信頼」「規範」「ネットワーク」といった社会組織の特徴をもっていたということです。いわゆる、文明国などでは、日本ほどではありませんが、これらが、ある程度以上根付いています。日本人は、これが当たり前だと思っているので、しばしば海外では、カルチャー・ショックを受けることがあります。たとえば、中国、韓国などでも、「信頼」「規範」「ネットワーク」意識がない人や、あっても、かなり低い人に遭遇して、驚く人も大勢います。しかし、それは、海外の人が悪いとか、野蛮というのではなくて、日本が特殊であると見るべきです。無論特殊だからといって、日本が遅れているなどと一部の愚かもが主張するようなことはいいません。日本国や、日本人が、高い次元にあると認識すべきです。

そのため、日本では、昔から商売がやりやすいです。特に、明治維新や、戦後の復興などでみせた、日本の急激な成長は、こうした、基盤がなければ、成し遂げられなかったことでしょう。特に、日本の高度経済成長は、そのほとんどが内需拡大によって支えられていたことは、特筆に価します。多くの人は、日本は、貿易大国であるかの幻想をいだいていますが、現在でも、日本においては、GDPにしめる輸出の割合は、16%に過ぎません。10年以上前までは、わずか8%にしか過ぎませんでした。

日本の高度経済成長の象徴でもある新幹線
こうした内需拡大の推進力となったのは、経済の専門家などは、中間層の拡大と指摘しています。その、とおりだと思います。そうして、その根底にあったのは、やはり、「人々の協調行動を活発にすることによって社会の効率性を高めることのできる、高度な日本独自の、ソーシャル・キャピタルが大昔から形成されていたことだと思います。

そうして、どうして、このようなソーシャル・キャピタルが日本にだけ高度に昔から発展していたのかといえば、それは、日本独自の国柄があると思います。

他国には、ない国柄といえば、日本には、古くから朝廷が存在していて、天皇陛下が存在していて、そのどきどきでの為政者とは、別の権威が存在しており、日ノ本の民に徳を説き、民の安寧を願い祈り続けてきたという古い歴史があるからです。


無論、長い歴史の中では、朝廷の政治利用などということもあり、世の中が乱れたこともありましたが、そうした乱世の中にあっても、多くの人が、徳であるとか、安寧という理想の原型が失われたことはなく、今まで連綿と受け継がれてきました。

カトリックでは、神の偶像が存在します。カトリックに限らず、宗教では、偶像がつきものです。宗教全体からみれば、キリスト教の他の宗派などは、例外的といえるかもしれません。それらだって、十字架というものはあります。人間は、何かはっきりと目に見えるものや、何とかして見ようとすれば、見られるなり、接触することができるものがなければ、そのようなものの存在や価値をなかなか信じることはできません。日本では、まさしく、朝廷や、天皇がそのような役割果たしてきたということです。しかも、それが、2670年以上も続いてきたということです。

上の記事や、上の私が読んだ書籍などでは、日本に老舗企業があることをさまざまな方向から分析していますが、どれも、表層的なことにすぎないと思います。私たちの日本は、このような国柄であるということをもう一度再認識すべきです。


そうして、ワシントン・コンセンサスや、新自由主義などという、歴史の浅い浅薄な考え方に惑わされることなく、日本の国柄を守って、長い間存続してきた、老舗企業のように「信頼」「規範」「ネットワーク」という、すでに日本大昔からある、すぐれた、ソーシャル・キャピタルをますます高度化していくべきと思います。

こうした、私たちの日本の国柄がある限り、たとえ、昨年のように千年に一度ともいわれる、大震災にみまわれようと、今の為政者の誤った政治によって、一時間違った方向に行ったとしても、私たち日本の心は、うちひしがれることなく、日本にあまたある老舗企業のように、これからも悠久の歴史の中に燦然として輝き続けるどころか、さらに輝きを増すことでしょう。




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2012年5月19日土曜日

女性による女性のための“チーズとよく合う日本酒”―【私の論評】本命は、女子会ではなくて、若い男性か?

女性による女性のための“チーズとよく合う日本酒”


そんなに詳しいわけではないのだけど、ワインにはチョコや生ハムが合う気がするし、焼酎には肉料理や炒め物が合う気がする。あくまで、個人的な意見ですよ?

そして日本酒には……。やっぱり梅干しとか和食なんじゃないかと思っていたが、どうやらこんな日本酒もあるようだ。兵庫県の「小西酒造」が開発したのは、その名も『チーズとよく合うお酒』。
狙いとコンセプトがそのまま商品名に反映されたこのお酒は、同社の女性スタッフのみで製作されたそうだ。

「当社内には、女性スタッフのみで構成された『酒ガール☆PJ(シュガールプロジェクト)』なるプロジェクトがあります。彼女らがマーケティング部の女性をはじめ、社内の女性の意見を聞きながら開発を担当いたしました」(同社・担当者)

酒ガール☆PJのfacebookカバー写真
「社内での聞き込みの結果、女性向けのお酒はどうも甘過ぎたり、本当に女性が手に取りたいものと違うのではないかという疑問が露わとなりました。このような状況から『自分達が手に取りたいものを開発したい!』と考えるようになったんです」(担当者)




では、何がどうなって「チーズとよく合う」なのか?
「日本酒とチーズは共に発酵食品であり、元から味の相乗効果を生み出す組み合わせではありました。当社独自の工夫としましては、2種類のこうじを組み合わせて酸味に特徴を出し、日本酒に含まれるアミノ酸の生成を抑えたことで、“チーズに合う飲み口の良さ”や“喉越しのさわやかさ”、“キレのある甘い味わい”を生み出すことに成功しております」(担当者)

なるほど。そしてもう一つ、肝心なことを聞きたい。結局、この『チーズとよく合うお酒』はどんな味がするのだろう?

「キレのある甘口です。白ワインは酸味が始めに広がりますが、このお酒は甘味が口に広がり、最後に酸味がきりりと引き締めます。その酸味もクエン酸が多く、爽やかな酸味です(グレープフルーツなど柑橘系の酸味)」(担当者)



こうして、「チーズとよく合う」は形となった。また、チーズ以外にもサーモンマリネなどのフレンチイタリアンや生姜醤油、わさびを効かせた和食とも相性が良いそうだ。

そんな、この『チーズとよく合うお酒』が発売されたのは2月24日。発売から約3カ月となっているが、その人気ぶりは予想をはるかに上回っている。



「最初は『1ヶ月で1000本ぐらい売れれば……』と3500本を製造したのですが、反響は予想以上でした。現在は仕込みを3倍に増やし対応しておりますが、まだ品薄の状態です』(担当者)
そしてやはり、女性を中心に人気を博しているとのこと。具体的には「飲みやすい」、「チーズと合わせると味が変わる」、「これ日本酒? ワインみたい!」といった声が寄せられている模様。

現在は同社が運営する「長寿蔵オンラインショップ」等で、この『チーズとよく合うお酒』は販売されている。価格は、税込み498円(ワンコイン!)。



確かに「チーズを摘まみながらお酒をグイッとやって、DVDを観ながら眠りにつく」というシチュエーションは至福である。それも、日本酒で。

女性じゃないけど、私も個人的に入手していいですか?

この記事の詳細はこちから!!

【私の論評】本命は、女子会ではなくて、若い男性か?

清酒そのものの売り上げは、どう推移してきたかというと、売上数量では、以下の画像の通りです。昭和中期(30年代)が一番売れていて、そのご若干の上下はあるもののどんどん下がっています。昭和20年代に戻っています。


では、他の種類の売上数量は、どうかといえば、まずはワインは以下のようになります。2010年には、日本初のソムリエも登場したためか、ワインブームがおこっています。ワインブームが去ってから、数量は、減っていますが、それでもある程度は、従来よりは、維持しています。


では、ビールの売上数量はどうかといえば、以下のようになっています。ビールは、平成6年を頂点にどんどん減っています。


他のウィスキーなどの酒類もありますが、それも加えた、酒類全部の売上数量はどのような推移をたどっているかといえば、以下のようになっています。


酒類全体でも、平成11年あたりをピークとして下がっていることがわかります。

このような、酒類の売れ行きをみると、何か変化を起こさなければ、酒造メーカとして、先行き不安ということで、最近いろいろな製品が開発されているのだと思います。特に、清酒は落ち込みが激しく、売れる清酒をつくりだすことは、酒造メーカーの至上命題なのだと思います。

その、一環として、上の記事の商品も開発されたのだと思います。ただし、上の記事をみていて、非常に気になったことがあります。それは、開発担当者による「最初は『1ヶ月で1000本ぐらい売れれば……』と3500本を製造したのですが、反響は予想以上でした。現在は仕込みを3倍に増やし対応しておりますが、まだ品薄の状態です」という言葉です。


3倍に増やしたとはいっても、約1万本程度に過ぎません。ということは、年間でも、12万本強くらいということです。これって、何か、普通の新製品の売れるものという感じてはないでしょうか。私自身は、酒類に関しては詳しくはないですが、たとえば、このブログにも掲載した、キリンメッツなどと比較はできないのかもしれませんが、それにしても、多少売れ行きが良いという程度で、ヒットとまではいえないのではないかと思います。このあたりの事情に詳しいかたがいらっしゃれば、是非コメントをお寄せください。

そういわれてみれば、清酒に関しては、ここ最近、いわゆる女性向けが開発されているという話は、良く聴きます。というより、開発といえば、女性向けばかりが目立ちます。そうして、そうした製品は、売れるには売れていますが、いわゆるヒット商品とまで言われるようなものは聴いたことがありません。

女性向けということでは、最近では、菊水酒造のスパークリング清酒「きららきくすい」が記憶に新しいです。


この開発に関しては、菊水酒造のブログに以下のような内容が記載されていました。
日本酒の海外輸出が年々増加傾向にある中で、「スパークリング清酒 きららきくすい」は、当社が今後海外に向けて販路を拡大するための戦略商品として開発したものです。 
当社では昨年来、外国人によるモニター座談会などを実施し、日本酒についての感想や意見を求めてきました。 
その中で「味が強すぎる」「単調な味」「刺激が少ない」などの否定的な意見が集まり、既存の当社の日本酒をそのまま輸出しても受け入れられにくいと判断。
風味やまろやかさなど日本酒の良さは残しつつ、欧米人の嗜好に合う味を求めて、アメリカ人女性社員を中心として、新しい発想の日本酒の開発に取り組むことになりました。

企画・開発チームが今年2月から5ヶ月以上にわたって試作・試飲を繰り返し、ベースとなる日本酒に欧米人が好む炭酸を注入することで、さっぱりとした口当たりと爽やかな甘さをほのかに感じるお酒が完成しました。 
はじける泡の中にもしっかりと日本酒の味と香りを残した、シャンパンのような発泡清酒です。キラキラ輝く金箔を入れることで、豪華さを演出しています。

清酒、梅酒共に金箔入りです。 梅酒はコラーゲンも入ってます! 上記商品は、菊水ショップ(http://kikusuishop.jp/)でも発売中。ぜひ、お試しください☆

上の記事で、アメリカ人女性とはデーナ・ベルテさん(アメリカ・マサチューセッツ州出身)のことです。彼女は大学時代に日本に留学し、卒業後は青森県つがる市役所に国際交流員として勤務。青森で日本酒の魅力を知り、日本で酒造りの仕事がしたいと2010年8月同社に入社しました。

さて、他にも女性向けの製品の開発は良く聴きます。しかし、これは、私の勉強不足のせいでしょうか、特に男性向けそれも、若い男性向けのものの開発という話は聴いたことがありません。


これは、清酒は、もともとは、男が飲むもの、その中でも、若い男性がたくさん飲むものという固定観念があるのかもしれません。その当の若い男性が飲まなくなっているのだから、もともと、あまり清酒を飲まない女性向けを開発するというのは、成り行き上そうするのは、良く理解できます。

しかし、これだけ、女性向け開発が話題になるなか、若い男性向けの、製品開発など聴いたことがありません。

そうして、これは、お酒ではないのですが、飲料で、気になる製品があります。若い男性向けに開発された、エナジー系飲料の、バーンやレッドブルです。


これらは、発売直後どちらも、予定の倍以上の売上でその後順調に推移しています。これらについては、他のサイトでも詳しく解説されていますので、詳細をお知りになりたいかたは、そちらをあたってください。それから、きわめつけは、あのメッツコーラです。これも、もともと、は男性向けです。これらについては、このブログにも掲載したことがあります。これは、発売後わずか2日で年間販売目標の5割を突破したこれら、若い男性向けの飲料が売れていることを考えると、アルコール飲料だって、開発してみれば、かなり売れることも考えられると思います。



このコーラが売れた背景は、やはり、コーラでハンバーガーなどの高カロリーな食べ物を食べたいという欲求があったのでしょうが、カロリーゼロの製品は、あったものの、それ以外は存在しなかったところに、男性向けに、脂肪吸収を抑える特保製品として、開発して販売したら、とてつもないヒットになったというものです。

こんなことを考えると、清酒を飲まなくなった人で、最も多いタイプは人数でいえば、若い男性も女性と変わらないくらいどころか、潜在的には、飲んでもおかしくない人が女性よりもかなり多くいるということだと思います。であれば、男性向けに何か新しい製品を開発すれば、かなりヒットになる可能性もあるのではないかと思います。


メッツコーラは、男性向けに開発しましたが、実際には、女性もかなりの割合で購入しており、こうしたことからも、ヒット商品となりました。日本酒だって、そのような製品を開発すれば、女性も取り込み、ヒット商品になる可能性もあると思います。

上の記事の、以下のような執筆者の感想は、その可能性を示唆しているように思えてなりません。
確かに「チーズを摘まみながらお酒をグイッとやって、DVDを観ながら眠りにつく」というシチュエーションは至福である。それも、日本酒で。
女性じゃないけど、私も個人的に入手していいですか?

皆さんは、どう思われますか?
パッケージをみると、黒が基調で、これなら、そのまま男性向けとしても売れるような気がします。コンセプト的には、このままとして、ただし、男性向けとして、味など一工夫すれば、もっとヒットしたかもしれません。とにかく、チーズと合うという機能性を持たせたのですから、メッツコーラが、機能性を持たせたということにも相通じるところがあります。チーズにもいろいろありますが、無論、ナチュラルチーズで、男性好みのものとあわせると良いかもしれません。

チーズとワインのマリアージュに関しては、このブログにも掲載したことがあります。マリアージュとはフランス語で、結婚の意味です。ワインとチーズは、両方とも、発酵食品なので、昔から相性が良いという意味でつかわれている言葉です。これらを一緒にいただくと、本当にワインの味がまろやかで、フルーティーになります。これを音楽でも聴きながらいただくのは、本当に私にとって至福のひと時です。私ももし、このマリアージュを日本酒でも味わえるなら、是非いただいてみたいものです。

本格的ヒットを狙うなら、本命は、女子会で飲まれるようなお酒でははなくて、外でも、内でも、普段飲まれる、若い男性向けなのかもしれません。皆さんは、どう思われますか?



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2012年5月18日金曜日

【お金は知っている】“国の借金”とは財務官僚の詐欺論法!―【私の論評】全くこの通り、まさに我が意を得たりという心地がする!!ただし、もっとわかりやすくすれば、結局こういうことだ!!

【お金は知っている】“国の借金”とは財務官僚の詐欺論法!:




最近でも、財務省による「1000兆円借金」論が以下のように報じられる。

--財務省は10日、国債など「国の借金」が平成23年度末時点で過去最大の959兆9503億円になったと発表した。24年度末時点の借金は1085兆5072億円と1000兆円を突破する--

「国の借金」とは財務官僚の詐欺論法である。

官僚は「政府」とは「国」のことだと勝手に解釈し、御用メディアを通じて「政府=国=国民」だと読者の頭に刷り込んでしまう。ところが、英語では国と国民はいずれもnationなのだが、政府はgovernmentであり、はっきりと国と政府を区別している。政府の借金とは政府の借金以外、何でもない。米国で「国民の借金」だと政府が公言すれば、「何を言っているか、責任を有権者に押し付けるつもりか」とたちまち世論の袋だたきにあうだろう。

ともあれ、日本の財務官僚はこの錯覚を利用して、そのホームページなどで、「国の借金」を家計や国民一人当たりの借金に置き換えて、記者に劣らず経済音痴の官邸の主や議員を増税また増税に駆り立てる。

財務官僚やメディアの言う「国の借金」とは、「政府の国民からの借金」であり、国民にとってみれば資産である。国民は政府にきちんと元利返済させる権利を持つ。ところが、国民に増税を認めよ、そしたら返すというのが財務官僚と野田政権のロジックである。とんでもない、ならず者の論理ではないか(詳しくは拙近著「財務省『オオカミ少年』論」参照)。

そもそも、お金ですべてが動く近現代社会では、借金があってこそ世が栄える。従って、政府も民間も借金すること自体は「よいこと」なのである。

グラフは米国の政府と民間の借金合計額の国内総生産(GDP)比とインフレ率の推移を追っている。借金超大国でもある米国は借金すればするほど、物価が安定し、経済成長してきた。借金が膨張したからといって、悪性インフレになるどころではない。逆である。物価は安定度を高めていることが読みとれる。

政府の義務は国民から借金し、その資金で国民に安全と雇用機会や所得増をもたらす政策の実行で成果を挙げることだ。

日本の場合、政府が政策で大失敗し、デフレ不況と失業、窮乏化、大災害に無防備、という最悪の結果を招いている。この責任を政府や官僚がとるどころではない。だれも知らぬふり、揚げ句の果てに、政府はこの借金は国すなわち国民の借金だから、さっさと増税を受け入れろ、と迫る。

野党の自公両党も政権時代に大失敗を重ねてきたのに頬被りし、増税で帳尻合わせしようとした。その点、民主党と大差ない。政局の表舞台では小競り合いの演技、裏舞台では消費増税で事実上の大談合、大連立だ。

誤った国の定義をただすのが民主主義国家の野党の役割だというのに情けない。(産経新聞特別記者・田村秀男)

【私の論評】全くこの通り、まさに我が意を得たりという心地がする!!ただし、もっとわかりやすくすれば、結局こういうことだ!!

さて、田村氏、産経新聞のなかでも、ほとんど勉強もしない、理屈もわかっていない、新聞記者が、特にマクロ経済に関して、わけのわからない記事を掲載したりして、げんなりすることもあります。その中にあって、長年経済記者をやってきた田村氏は、きちんと、マクロ経済のことを理解して経済記事を書きます。安心して読むことができます。

産経新聞にも、勉強不足の記者がいますが、他の日経新聞を含む大手新聞などは、ここ10年くらい、特にマクロ経済に関する記事がかなり劣化しており、マクロ経済の専門家などにいわせると、その95%くらいが真偽のほどがはっきりしないものだといわれるほど、酷いことになっています。そんな、中で、田村氏の記事は、しっかりとしたマクロ経済の背景から語る記事であり、情報源として優れています。

田村秀男
上の田村秀男氏の文章なかなか、わかりやすく、ずばり政治家や官僚の無能を指摘しており、まさに、我が意を得たりという感じがして素晴らしいいと思うのですが、この方の話を多くの日本国民に理解していただくためには、上の文書や、資料ではものたりないと思いますので本日は、上記記事の補足をさせていただきます。

まずは、上の記事の以下の部分を実際にグラフでそれに相当する部分をみてみましょう。

まずは、"財務官僚やメディアの言う「国の借金」とは、「政府の国民からの借金」であり、国民にとってみれば資産である。国民は政府にきちんと元利返済させる権利を持つ。ところが、国民に増税を認めよ、そしたら返すというのが財務官僚と野田政権のロジックである。とんでもない、ならず者の論理ではないか(詳しくは拙近著「財務省『オオカミ少年』論」参照)。"の意味するところを紐解いていきましょう。

まずは、下のグラフ(日本国の金融資産をグラフ化したもの)をみれば、政府の借金は、確かに、1000兆円くらいありますが、同時に政府が500兆円近い資産を所有していることがわかります。政府や、官僚は、まずはこのことは絶対にいいません。政府の借金だけ語ります。これは、一般民間企業でいえば、自分の企業に関して、負債ばかり話して、資産について語らないと同じことです。そうして、この金融資産他国の政府の比較すると、トップレベルにあります。アメリカよりも多いです。そうして、この金融資産の多くは、特別会計に含まれているものなどです。


 それから、上のグラフで、合計がありますが、資産のほうが負債よりも大きいです。これは、何を意味するかといえば、日本国のすべての金融資産が日本国内だけにあれば、合計の資産と負債は同額になるはずです。実は、この差額、海外に貸し付けている金融資産です。これは、約260兆円あります。もし、政府がいうように、国単位で借金をしているというのなら、この合計で、では、負債のほうが資産よりも大きいはずです。

実際、アメリカは、ドル建てで、海外から借金をしています。アメリカの場合、この合計のグラフ、負債のほうが、資産よりも300兆円も多いということになります。そういうと、アメリカは借金まみれで、いつ破綻するかわからないのではないかと心配する人もいるかもしれませんが、アメリカの場合、すべて機軸通貨であるアメリカドル建てで借金をしているため、そのような心配はありません。

日本国は、借金どころか、海外に260兆円も貸し付けているということです。これが政府のように借金をしているというのなら、これは、負債のほうが多くなるはずです。日本国は、正真正銘借金などないのです。これが、ギリシャのような国の場合海外から借金をしており、これと同様なグラフを描けば、負債のほうが多くなっています。しかも、ギリシャのような本当に財政破綻しそうな国では、この借金アメリカと異なり、外貨によるものです。この場合を正真正銘の負債であり、国の借金といいます。

グラフでみると、家計という項目がありますが、これが、いわゆる国民の資産ということになります。資産が、1500兆円くらいあることがわかります。借金もありますが、それは、数百兆円に過ぎず、圧倒的に資産が多いことがわかります。これをみただけで、国民は借金をしていないということがよくわかります。ですから、政府や官僚がいう、国民の借金などという表現は、本当に頓珍漢といわざるをえません。政府や官僚の言うことは、無借金で生活している人に、「てめーら、オレからの借金を返しやがれ!!」といって、罵倒しているのと何らかわりありません。

それから、最近では、政府による借金のほとんどが、国債によるものですが、その国債の保有割合を示したのが、下の円グラブです。


右の保有割合の、上の郵貯~個人投資家にいたるまで、すべてが、日本国内ということです。海外投資家というところだけが、海外からの購入であり、その割合は、6.4%に過ぎません。それに、郵貯、カンポ、一般銀行、一般保険・年金、公的年金とは、結局国民の資産です。直接的に国債を購入している国民は、個人投資家という項目で、それは、5.3%に過ぎませんが。他のほとんどは、金融機関などが、国民から預かったお金で、国債を購入して運用しているということです。結局国民が、間接的に購入しているということです。これは、要するに国民が間接あるいは、直接政府に国債を通じて、お金を貸し付けているということです。

ここでもし、海外投資家の項目がかなり、大きければ、それは、外国から国債を通じて、借金をしているということになりますが、この割合はかなり少ないです。要するに、外国からほとんど借金をしていないということです。これが、かなり、海外投資家の割合が多かったとすれば、海外からの借金が、かなりあるとを示しています。日本国は、これだけ、この割合が少ないため、海外に貸しつけている、金融資産が、海外から借りている資産をはるかに上回り、結果として、先ほども掲載したように、差し引き260兆円もの金融純資産を海外に持っているというか、貸し付けていることになります。

それから、上の記事で、"そもそも、お金ですべてが動く近現代社会では、借金があってこそ世が栄える。従って、政府も民間も借金すること自体は「よいこと」なのである。"とありますが、金融機関は、資産と負債がイーブンです。企業は、負債のほうが多いです。政府も負債のほうが多いです。

特に、企業が負債が多いということは、何を示しているかといえば、それは、お金を借りて、設備投資や、人材育成をしているということを示しており、これが、全く借りていなければ、それらに何もしていないということになります。だから、上の筆者は、「借金=悪」という考え方は間違いということをいいたいのです。

これは、リチャード・クー氏が、日本のバブルが崩壊して、しばらくしてからも、景気がなかなか浮揚しないという現実をみて、「バランス・シート」不況と語っていたことを考えてみればわかることです。

2005年当時、リチャード・クー氏がこのバランス・シート不況のことについて語っていたことがあります。それについて、詳細は、以下のURLをご覧いただくものとして、以下のその要約をコピペしておきます。



リチャード・クー氏
一国の経済というのは、家計が貯金して、それを企業が借りて使うということで円滑に回るわけです。その真ん中に証券会社とか銀行があって、仲介業務をするんですね。企業が一斉に借金返済にまわったら、家計の預・貯金はまったく使われない訳です。
そうすると企業の借金返済と家計の貯蓄を合わせた額が銀行に入ってきて、二度と出ていかないということになります。 
これがデフレギャップです。少なく見積もっても35兆円から40兆円あります(当時)>
ということは、誰かがこれを使わないと経済はどんどんシュリンクしちゃうわけで、それを私はバランスシート不況と呼んだわけです。 
今の日本企業は、すでに十数年間借金返済を続けて、かなり有利子負債残高が落ちています。 
ただ、資産価値の下落があまりにも大きかったので、もう少し借金返済をしないと安心できないというのが今の状況だと思います。 
ともかく「合成の誤謬」の中で、政府は民間に対して借金返済をやめろとは言えないわけです。 
でもほっておいたら、それこそ大恐慌になってしまう。 
こういう時には政府は民間と逆の行動をとらないといけないわけで、35兆円から40兆円(当時、現在なら100兆円くらいは必要です)を政府が借りて使う、そうすると全てが回るわけです。 
これを私はずっと言い続けてきた訳で、このバランスシート不況に限って、財政出動は不可欠であるというのがこの理論です。 
今後の景気見通しという点でいえば、まだ企業の借金返済はGDPの6%、30兆円規模で続いていますから、しばらくは財政支出を続けなくてはいけない。 
しかし、もう1~2年もすれば、多くの企業が借金返済を終えるでしょう。一部の企業では、もう去年の4月から終わっているんです。 
企業が再びお金を借りるようになれば、また金融政策が効き始めます。

要するに、多くの企業が、借金を返済することばかりに気を使い、新たにお金を借りることをしなければ、経済は不況に陥るということです。それは、そうですね。多くの企業は、何か新しいことをはじめるには、株式を新たに発行したり、金融機関からお金を借りてはじめるのがほとんどです。それが、借金を全くしないというのであれば、何もしないということです。何もしなければ、企業は業績を伸ばすことはできないということです。

それは、政府だって、同じことです。政府が借金がまるでなく、極端なことをいえば、資産のほうがはるかに多かった場合、この政府は、何も新しいことを実施しないということです。これが、良いことであるはずがありません。政府は、今のところ、借金のほうがはるかに多く、資産は少ないです。では、政府は、良い仕事をしているのでしょうか?そんなことはありません。

日本政府や官僚は、仕事をしない飲んだくれ父さんのようなもの
上の記事にもあるように、「政府の義務は国民から借金し、その資金で国民に安全と雇用機会や所得増をもたらす政策の実行で成果を挙げることだ。」ということなのですが、結局政府は、これをないがしろにしてきました。なんだかんだといって、歴代の政府は、緊縮財政ばかりやってきました。

国民は、政府や役人の無能にも気づかず、大人しく働くラブラドールのよう
「日本の場合、政府が政策で大失敗し、デフレ不況と失業、窮乏化、大災害に無防備、という最悪の結果を招いている。この責任を政府や官僚がとるどころではない。だれも知らぬふり、揚げ句の果てに、政府はこの借金は国すなわち国民の借金だから、さっさと増税を受け入れろ、と迫る。」という具合です。この20年というもの、政府は、本来リチャード・クー氏も言っているように積極財政をすべきだったのですが、結局緊縮財政ばかりして、さらには、増税でその緊縮を加速してきたというのが真相です。そうして、日銀は、金融引き締めを行い続け政府の緊縮を後押ししてきました。

その結果が、現在の経済の癌ともいえるデフレです。デフレは、異常な状況です。デフレ下で増税して、税収が増えたなどということは、日本でも他国でもありません。逆です。減ります。

結局、政府の借金が増えてはいますが、その借金が有効なことにつかわれおらず、先の展望も見えないということです、それを、国民のせいにして、今のデフレの時期に増税するというような馬鹿なをことを言っても、マスコミも、多くの国民も、その不当な要求を退けるどころか、迎合しつつあるというのが、今の状況です。だから、上の記事の筆者は、それに警鐘を鳴らすために、上のような記事を書いたということです。そうして、政府がさらなる借金をして、まともに仕事をするようにしたとすると、ハイパーインフレになるなどという輩がいるので、借金をしても物価が安定するというアメリカの例をグラブで示したということです。

さて、今の段階で政府がさらに借金をして、経済対策を行うとなると、それを国債で賄うということになれば、国債の金利が上昇し、誰も買わなくなるなどとする輩もいます。しかし、現実には、国債の長期金利は低いままで推移しています。さらに、最近では以下のような事態も生じています。
日本銀行が16日に行った資産買い入れ基金を通じた長期国債の買い入れオペで、応札額が取得予定額に届かない札割れとなった。
 金融緩和のため2010年10月に導入した基金での国債の札割れは初めて。
 満期までの期間が「1年以上2年以下」の国債で、6000億円の取得予定額に対し、応札額が4805億円にとどまった。新発2年物国債の流通利回りが一時、オペ対象の利回りの下限である0・1%を割り込むなど、ギリシャの政局不安を背景に投資家の国債への需要が高まったためとみられる。「日銀の相次ぐ金融緩和による国債購入で、市場に出回る2年以下の国債が少なくなっていた」(SMBC日興証券の野地慎氏)との指摘もある。
要するに、日銀が金融緩和措置の一環で、民間銀行から長期国債を買い入れようとしたら、予定額より下回ってしまったということです。それだけ、日本の国債は、現状では、人気があるということです。信用もあるということです。であれば、国債で借金をして、実施すべき震災復興や、それ以外のやるべき公共工事など実施して、 デフレ不況と失業対策、窮乏化対策、大災害に無防備状況の解消を行い、 景気を上向かせ、国民の所得水準向上させ、増収をはかるというのが、政府のやるべきことです。日銀は、本格的に金融緩和をして、政府を下支えすべきです。そうして、景気が過熱してインフレになれば、増税すれば良いということです。

企業や、一般家庭では、一端お金を支出すれば、それは消えてしまうと考えます。しかし、国の場合違います。一端政府が借金をして、支出したとします。それは、国から消えてなくなるわけではありません。それは、何らかの形で、企業や、家計に移転することになります。そうして、企業や個々人が稼いで、収入が増え、景気も上向き、そうなれば、税収も増えるということになります。

ご理解いただけたでしょうか?本来自分たちの無能を国民に押し付けようとする政府や官僚は、袋叩きにされるべき筋のものです。この論考について、反論のある方は、あるいは、賛成の方、是非コメントを残していっていただければ、幸いです。


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