2017年4月13日木曜日

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ「森友」問題で露呈した 「官僚の裁量で文書管理」の罠―【私の論評】最初からバレバレの財務省キャリア官僚の嘘八百はこれだけではない(゚д゚)!

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ「森友」問題で露呈した 「官僚の裁量で文書管理」の罠

森友学園問題は終わりつつあるが、そこで仰天発言がでてきた。筆者は、本コラムにおいて財務省官僚に裁量を与えすぎて入札にしなかったり、文書の保存をしなかったりしたのが問題の本質といってきた(2017年2月23日配信3月7日配信3月23日配信)。最後になって、財務省がついに馬脚を現した。

財務省の佐川宣寿・理財局長は、4月3日の衆院決算行政監視委員会で、「パソコン上のデータもですね、短期間で自動的に消去されて復元できないようなシステムになってございますので、そういう意味では、パソコン上にも残っていないということでございます」と答弁した。

財務省の佐川宣寿・理財局長 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 どこに発注したのか

この非常識発言に対して、ネット上では直ちに「ありえない」という反論がでてきた。少しでもシステムを経験した人であれば、このようなシステムは運用コストの割が合わないことを知っているだろう。HDD(ハードディスク)の容量に制限があれば、いっぱいになった段階で古いものに上書きしていくだけだ。これは、HDDへのテレビ録画を見れば素人でもわかる話だ。

HDD上で自動的に消去するシステムを作ることはできるが、そんな間抜けなシステムを設計する気になれないのはすぐ分かる。そこで、財務官僚が自らプログラムすることはできないので、誰かに発注したはずであるので、どこに発注したのかを聞けばいいと、筆者はツイートした。

そうこうしているうちに、4月10日になって、ようやくそうしたシステムが存在しないことを財務省の情報管理室が認めた、と朝日新聞が報じた(データは上書きされるが、上書きされてもデータはシステム上に残り、「復元できる可能性を否定できないという」)。だとすれば、国会で虚偽の答弁をしていたわけだ。

それにしても、財務省の文系官僚の無能さがはっきりと出てしまった。筆者は大学で数学専攻であり、若いときにはプログラム経験もある。官僚時代に、幹部がパソコン操作を人には表だって聞けず、筆者はしばしば幹部室に呼ばれて内々に聞かれた。そのとき「ウィンドウズをひらいて下さい」と言ったら、本当に窓を開けられたのには驚いた、など冗談のような話は尽きない。

 なかったはずの文書が「いろいろと出てくるはずだ」

前の本コラムでも指摘したが、そんな官僚に文書保存規則を任せている。そこがおかしいのだ。

この文書保存には、いろいろな経緯がある。筆者が第1次安倍政権の時、国家公務員改革が企画されている。そのときの基本法では、文書保存義務が書かれている。しかし、その基本法を骨抜きにしたい官僚たちは、福田政権になると、基本法の代わりに文書管理法を制定した。文書管理法では、法令上は文書保管義務が書かれていたが、その実施は官僚の裁量で決められる政令や各省規則に委ねて、骨抜きにした。

民主党への政権交代後、官僚たちは政権運営に不得手な民主党下で、文書管理法の政令や各省規則を作った。そこで、今回のように文書を廃棄したとしても、「法令に基づき、適切に処理」となるわけだ。

もっとも、これからは、なかったはずの文書がいろいろと出てくるはずだ。森友学園問題は、いろいろな刑事事件(告発を受理)、民事事件になっている。そこで、財務省も関係者になってくるが、そのとき資料がないでは済まないのだ。今の役所の文書は電子化され、職員のPCやサーバー上で記録されており、各種のメールも含め、いろいろなところにある。職員は仕事上、紙のファイルも持っている。裁判ともなれば、必死にかき集めてくるので、なかったはずのファイルが出てくる。財務省の嘘が後でバレてくるだろう。

++ 高橋洋一

【私の論評】最初からバレバレの財務省キャリア官僚の嘘八百はこれだけではない(゚д゚)!

ブログ冒頭の高橋洋一氏記事でも指摘しているように、「パソコン上のデータもですね、短期間で自動的に消去されて復元できないようなシステムになってございますので、そういう意味では、パソコン上にも残っていないということでございます」という発言は、私も当初からかなり胡散臭いと思っていました。というより、普段事務などでパソコンを扱い慣れている方は、ほとんどの人がそう思ったに違いありません。

何しろ最近のコンピュータのハードディスクの記憶容量は、テラバイトというものも珍しくないほど、大容量化しています。これだと、音楽や、動画を保存するというのであれば、容量不足になってしまうということも考えられますが、文書や画像程度のものであれば、かなりのものが保存できます。

それに最近では、クラウドという手法もあります。このような時代に、10年以内の文書が自動的に消えるなどということはありえないです。一昔前のように、メモリも記憶容量も極度に少なかった場合にはあり得なくもないとは思いますが、この発言は時代錯誤と言っても良いものだったと思います。

時代錯誤といえば、私はある地方都市の保健所のパンフレットを読んでいて驚いたことがあります。結構前のことでしたが、それでも確実に10年以内のことです。あまりのことに驚いたの良く覚えています。おそらくは、10年くらい前(ひよっとすると10年を切っていたかもしれません)だったと思います。それはその保健所の使用しているシステムに関するものでした。細かいことは忘れましたが、何とその保健所では未だにオフコンなるものが使わていたのです。

そうして、記憶媒体は何と8インチフロッピーでした。システムの概念図を見ると、ハードディスクもあるようですが、その容量はたかだか数十メガバイトでした。フロッピーディスクは補助記憶装置として使われていました。

そうして、この実体を知って、いかに地方の保健所などでは、業務のほとんどがルーチン業務で占められているのか、理解できました。おそらくこのシステム数十年前に、優れたSEが開発したのでしょう。そうして、数十年たっても、保健所の業務はほとんど同じなので、そのまま継承され使われてきたのでしょう。だからこそ、生き残ったのだと思います。

そうして、思い立ったのが、この補助記憶装置と言う存在です。仮に財務省が古いパソコンを用いていたとしても、このような補助記憶装置を用いれば、文書などいくらでも保存できるはずです。さらに、補助記憶装置を使わなったにしても、プリントはできたはずです。

財務省でもこのような古いコンピュータを使っているとは思えません。しかし、世界には古いシステムを未だに使い続けているところもあります。

それは、たとえば米軍です。米国防総省によると初期のフロッピーディスク規格となる8インチフロッピーディスクが未だに現役なのは、大陸間弾道ミサイル、戦略爆撃機、空中給油・支援機など一連の核兵器を運用、調整する指揮統制系統だとしており、現場では今から40年前に発売された1976年「IBMシリーズ/1」や当時普及し始めていた8インチフロッピーディスクが運用に用いられているといいます。

弾道ミサイル発射管制センターで撮影された写真。8インチフロッピーディスクが使用されている
その理由について米国防総省報道官は「簡単に言えば現在も機能しているため」とし、「老朽化が懸念されていることから2017年末までにフロッピーディスク・ドライブをSDカードリーダーに置き換える予定だ」と説明しているそうです。

さすがに財務省では、ここまで古いコンピュータを使うということはありえないでしょう。それに財務省がこのような古いシステムを使ってはいないというれっきとした証拠もあります。それに関する記事のリンクを以下に掲載します。
女性官僚、働き方に物申す 財務省でも改革始動
自宅から職場のパソコンにアクセスして仕事する財務省の中西佳子さん(東京都内)
この記事は、2014年7月5日のものです。以下に一部を引用します。
 男職場の印象の強い財務省でも、女性たちの声を受けて働き方改善が始まっている。 
 午前2時。財務省関税局業務課の中西佳子課長補佐(36)は夜泣きする長女(2)をあやした後、パソコンを開いてメールを確認する。セキュリティーを保つ機器を使って自宅から省内ネットワークに接続する在宅業務を育休から職場復帰した昨年秋から取り入れている。「翌朝、前日の流れを理解した上で業務を始められるのは大きい」 
 「夫は単身赴任中。平日はお互いの母が長女の面倒をみてくれるが、土日は娘と2人のことも。「週末に登庁しなくて済む。娘の顔をゆっくり見られるのもうれしい」

 女性官僚の要望に応え、木下康司前事務次官(7月4日付で退任)の声かけで昨年9月、在宅業務のための機器を希望者全員に配布。全職員の4割、課長以上の7割弱が活用している。
 このようなシステムを全職員の4割に、課長以上の7割が利用しているというのですから、どう考えてみても、最初から財務省が古いシステムを用いているというわけもなく、佐川宣寿・理財局長のあの発言は最初から嘘であることがバレバレだったわけです。

ひよっとすると、佐川氏ほとんど日常はパソコンなど用いないIT音痴なのかもしれません。別に官僚でも地位の上の人は、日々パソコンを直接使う必要はありません。パソコンは事務職員に操作させ、自らはパソコンから出てくる資料をみて、判断すれば良いわけです。むしろ、ある一定以上の職位の人は、パソコンを日々いじくるのは仕事ではありません。

しかし、社会一般常識としてのコンピュータ・サイエンスの基礎ぐらいは知ってはおくべきです。それを知らなかったからこそ、この件の発言をしてしまったのでしょう。

そうして、なぜこのようなことを長々と書いてきたかといえば、衆院決算行政監視委員会においてこんな単純に見え透いた嘘をつく財務省なのですから、当然のことながら、他にも嘘があるとみなすのが当然のことであるということです。

そうして、エリートといわれる財務省の高級官僚が、現在では社会一般常識となっているコンピュータ・サイエンスの基礎を知らないということは、他の社会常識にも欠けている可能性が十分にあるということです。

そうして、それは可能性どころか、"国の借金1000兆円であり、増税しなければ社会保障費などが増大して大変ことになるという大嘘"を平気で、政治家、他省庁の官僚、マスコミなどに言い触れ回っていることからみて、それは事実であるとみるべきです。

そもそも、デフレの真っ最中や、デフレから脱却しきっていないうちに増税するというのは、経済政策としては悪手の悪手であるということは、疑いのない事実であり、マクロ経済の標準的な教科書にはそのようなことは絶対に書かれていません。8%増税も大失敗であったことが今では明らかになっています。

それに、財務省の官僚は、一般には東大卒で高学歴とみなされていますが、実はそうではありません。彼らの多くは東大卒ですが、経済学部出身者はほとんどいません、法学部出身者が多いです。さらには、大学院卒もあまりいません。大学院で経済学を専門に学んできたものはほとんどいません。

言い方が悪いですが、世界の他の国の財務省の高級官僚などと比較すると、低学歴なのです。そうして、残念ながら社会常識にかけています。だからこそ、性懲りもなくいつまでも増税キャンペーンをやり続けるのです。彼らの頭にあるのは、国民生活は二の次で、省益最優先で、出世の階段を上り詰めて、その後はどこかに天下り、贅沢三昧のハッピーライフ送ることなのです。

ただし無論これは、高級官僚に関してです。財務省には無論、そうではない人も大勢働いています。私は、これらの人々を批判する気は毛頭ないです。批判しているのはいわゆるキャリア官僚です。それも、将来事務次官になる可能性のあるキャリア官僚です。

ブログ冒頭の記事で、高橋洋一氏はなかったはずの文書が出て来る可能性を指摘しています。今回の森友問題に限らず、政治家たるものは、財務省の過去の文書を検索して、分析し、財務省の旧悪を露見させるべきです。私は、これこそ、政治家が挑戦すべき事柄であると思います。

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2017年4月12日水曜日

アベノミクス景気長期化でも回復の恩恵乏しいという論調 雇用重視するなら実感可能だ―【私の論評】景気が良くなれば給料二倍的感覚はただの情弱(゚д゚)!

アベノミクス景気長期化でも回復の恩恵乏しいという論調 雇用重視するなら実感可能だ


アベノミクスによる景気回復が52カ月と戦後3番目の長さになったと報じられた。一方で景気回復の実感が乏しい理由として、「潜在成長率の低下」が挙げられているが、こうした分析は妥当だろうか。

景気の動向については、内閣府が作成する景気動向指数の一致系列指数が改善しているのか悪化しているのかにより、回復期か後退期かを判定することができる。

景気動向指数の一致系列は、生産指数(鉱工業)、鉱工業用生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、所定外労働時間指数(調査産業計)、投資財出荷指数(輸送機械を除く)、商業販売額(小売業、前年同月比)、商業販売額(卸売業、前年同月比)、営業利益(全産業)、有効求人倍率(新規学卒者を除く)である。

これをみてもわかるように、幅広い経済部門から経済指標が選ばれているが、特に一致系列では、生産面に重点が置かれている。

筆者が経済状況を見るとき、「1に雇用、2に所得」である。つまり、雇用が確保されていれば、経済政策は及第点といえ、その上で所得が高ければさらに上出来で、満点に近くなる。

それ以外の、たとえば輸出や個別の産業がどうかという話や、所得の不平等のように各人の価値判断が入る分野は、評価の対象外にしている。

このように経済をシンプルに考えているので、必須な経済指標としては、失業率(または有効求人倍率、就業者数)と国内総生産(GDP)統計で、だいたいの用は足りる。

筆者の立場から見ると、景気動向指数の一致系列は、生産面の指標が重複し、雇用統計が足りないと思えてしまう。逆にいえば、このような雇用を重視しない指標を見ていれば、雇用政策たる金融政策への言及が少なくなってしまうのは仕方ないだろう。

雇用を経済政策のミニマムラインとする筆者から見れば、アベノミクス景気は実感できる。筆者の勤務する大学はいわゆる一流校というわけではなく、ときどきの「景気」によって就職率が大きく変化する。

4、5年前には就職率が芳しくなく、学生を就職させるのに四苦八苦だった。ところが、今や卒業者の就職で苦労することはかなり少なくなった。この間、必ずしも学生の質が向上したとはいえないにも関わらずだ。これは、アベノミクスの金融緩和によって失業率が低下したことの恩恵である。

「潜在成長率の低下」という説明も怪しい。本コラムの読者であれば、「構造失業率」が通説より低かったことを知っているだろう。この「構造失業率」は「潜在成長率」と表裏一体の関係にあり、構造失業率が低いなら、潜在成長率は高くなる。つまり、報道は、構造失業率は高いままという誤ったことを主張しているに等しい。こうした報道を読むときは、よく注意したほうがいい。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】景気が良くなれば給料二倍的感覚はただの情弱(゚д゚)!

上の記事で、高橋洋一氏が主張しているように、「景気動向指数の一致系列は、生産面の指標が重複し、雇用統計が足りないと思えてしまう。逆にいえば、このような雇用を重視しない指標を見ていれば、雇用政策たる金融政策への言及が少なくなってしまうのは仕方ないだろう」というのは事実だと思います。

企業で働く人のうちでも、人事に関係ある分野で働いている人や経営層ならば、現状の人材獲得は非常に困難を極めはじめていることから、景気が良くなっていることは十分実感できると思います。

一般サラリーマンでも、人事に直接かかわる仕事をしていれば、これは強烈に感じます。特に、日本がデフレスパイラルのどん底に沈んでいたときにのリーマン・ショックの前後など、人の採用にかかわった人は、二度とあの時代のようなことを繰り返すべきではないということを実感したと思います。

あの頃には、人を採用するのはかなりやりやすかったと思います。そうして、このブログにも当時のことを書いていますが、実際に雇用した若者たちの話を聴くと本当に悲惨というか、夢も希望もない若者たちの実体が手に取るようにわかりました。

たとえば、国立大学を卒業し、その後私と同じ国立大学の大学院を卒業した女子学生が自分の会社に入社したのですが、入社後に話をしてみると、なかなか就職先がなくて本当に困った話や、卒業と同時に数百万円の奨学金による借金をかかえてしまった話などを聞き本当に当時は若者にとっては、生活すること自体が大変であることを実感しました。

また、ある男子学生は、札幌で4年間を過ごしたのに、何とすすき野に一度も行ったことがないとか、飲むとすれば、ほとんど家飲みしかしたことがないとか、車などそもそも買うつもりにもなれなかったなどとか、バイトをしてもさほど稼げないことなどを聞きました。

そうして、実はその学生が特に厳しいというわけでもなく、良く話を聴くと、結構裕福な家庭の出身であることを聴いて、驚いてしまいました。ちょうどその頃、統計などをみると日本の若者の自殺率は世界で突出して高いことなどを知り、さらに憤りを感じたものです。

自分たちの学生の時と比較して、何と今の若者は悲惨な境遇に置かれているのかと思い、忸怩たる思いがしました。

そうして、数年たったときに、あのリーマン・ショックなるものは、英語ではなく単なる和製英語であることを知りました。日本以外の国では、景気が落ち込んだときに、中央銀行が大規模な金融緩和をはじめたにもかかわらず、日銀は実行しなかったために、震源地である米国や、英国などがいち早く不景気から抜け出したにもかかわらず、日本だけが一人負けの状態となり、超円高とさらなるデフレスパイラルのどん底に沈み込んでしまいました。

この状態が長く続いたので、日本ではこの時期の不況をリーマン・ショックと呼んだのです。そのため、このブログではリーマン・ショックではなく、「日銀ショック」と呼称したほどです。

それについては、以下のグラフをご覧いただければ、よくおわかりになると思います。

このグラフは2008年を100として、各国の中央銀行がどの程度金融緩和をしたのかを示すものです。米国が最大で300を超えるほどの大規模な金融緩和を行ったにもかかわらず、日銀は150にも満たないほどの緩和しかしませんでした。

これが、日本では不景気が長引き、リーマン・ショックなる和製英語ができた所以でもあります。

日本でいうリーマン・ショック時の若者の状況や経済の状況を考えれば、現在はかなり景気が回復しているのは間違いないです。この状況を絶対に後戻りさせるわけにはいきません。

それにしても、現状は、過去のデフレの悪影響は未だ残ってはいるものの、上で述べたようにそもそも、学生を雇用するのが大変になりましたし、最近の若者は、さすがにリーマン・ショックの時のようなひどい状況と比較すれば、随分良くなりました。この状況を理解できず、景気の回復を実感できないという人たちは、かなり情報感度が低いのではないかと思います。

これに関して、経済学者の田中秀臣氏が以下のようなツイートをしていました。
数年で給料二倍でないと、景気がよくなったという実感がないという平気で言う人は、情弱のそしりを免れないと思います。

年率数%の緩やかなインフレが続いた場合、給料などどうなるのかというか、感覚的にどのような感じになるか、私は長年米国で暮らしているご婦人から、それに関して聴いたことがありますので、その話の内容を以下に掲載します。

米国では、その時々で凸凹はあるものの、長期的にみれば3%くらいのゆるやかなインフレが続いてきました。その中で実際に暮らすと、以下のような感じだそうです。
「1、2年だと、給料が上がったにしても、誤差くらいにしか感じられないのですが、20年経つといつの間にか給料が倍になっているという感じです」
感覚としてはこのようなものなのでしょう。実際、働き始めてから20年〜30年たつと、給料が徐々にあがるし、経済成長しているわけですから、それなりに仕事に慣れたり、地位が向上した分も含めると2倍になったという感覚なのでしょう。

無論、地位が向上しないで、そのまま同じ地位で同じところに勤めていたにしても、経済成長をしているわけですから、インフレ分を差し引いても給料は20年前の1.5倍くらいにはなっているのでしょう。

いくら緩やかなインフレであったにしても、終戦直後の日本のような場合は、別にして、給料が倍というのは20年くらいはかかるものとみて間違いないです。

以下に、このご婦人と似たような境遇にいて、米国で長い間居住された方の、2012年時点での、米国のインフレと、日本のデフレを比較した記事のリンクを掲載しておきます。
インフレのある暮らし – 15年ぶりの1ドル80円時代に思うこと
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの方の物価に関する米国に在住していての感覚などを掲載しておきます。
さて、アメリカの方のインフレも年間3%くらいでしかないのだが、それでも15年たつとモノの値段が5割高になる。これはつまり、去年と今年の値段の差は誤差の範囲だが、10年、20年たつと目に見えて高くなる、というレベル。
やはり、物価のほうからみても、10年、20年たって目に見えて高くなるという感覚のようです。

このようなことでは、景気回復を実感できないというのは、全くの見当ハズレです。緩やかなインフレでは、物価も給料も去年と今年の差異ということになれば、誤差のようにしか感じられないのですが、10年、20年たつと目に見えて高くなるというレベルです。

これが、常識的な感じかたでしょう。しかし、これでは意味がないとお考えでしょうか。私は、決してそうは思いません。

緩やかなインフレだと、雇用状況も良いですから、まずは就職ということについてあまり心配しなくても良くなります。それに、就職してからでも、誰もが20年たてば、給料は現状の1.5倍から2倍は見込めるとなれば人生に対する考えたかも変わってきます。

これから、給料が下がることはあっても上がることはなかなかないと考えているのと、とにかく20年もたてば倍になると考えられるのでは雲泥の差です。

それに、緩やかなインフレが続いていれば、たとえば会社で正社員と、パートやアルバイトなどの臨時雇用の人とが、全く同じ仕事を同じ時間だけした場合、臨時雇用の人のほうがその仕事に関しては賃金が多くなります。これは、デフレ時代しか経験したことのない人にはなかなか理解できないかもしれません。しかし、これは緩やかなインフレが続いている経済下では当然のことです。過去の日本もそうでした。

結局、雇用情勢が良ければ、人手不足でそうせざるを得ないからそうすることになるだけのことなのです。臨時雇用であっても、賃金が低けれ誰も仕事をしなくなります。しかも臨時の仕事ですから、仕事が終われば即解雇と同じですから、ある程度割が良くなければ、その仕事をす人を集められなくなるのです。

こうして、学生のバイトもデフレの時から比較すれば、緩やかなインフレの時のほうが実入りがよくなります。

それと、若者というと、車という時代もありました。大学生で車を持つ人も結構いましたし、高校卒業したばかりで勤めはじめたばかりの若者が、かなりの高級車を所有するというのも当たり前の時代がありました。

その当時は、若くても将来は給料があがっていくという見込みがあったので、車のディーラーも競って若者に車を売ることができました。それに高級車であれば、再販して、若者にさらに上の車を比較的安く売るということもできました。

人々のインフレ期待は、このように経済を活性化していくのです。これからも、デフレが続くと頑なに思い続けるのは間違いですし、緩やかなインフレになれば、給料がすぐ倍になると考えるのも間違いです。

これから、社会がどう変わっていくのか、これからの社会に必要とされるものは何なのか、それを示す兆候は、現在の社会をみれば、いたるところに見られます。

景気が良くなれば、すぐに給料が倍になるなどと思い込むような人は、そのような目にあうことは滅多にないでしょうが、現在ある小さな変化で、今後大きくなるであろう変化を見極めることができる人にはビジネスチャンスが舞い込んできて、2倍どころか、20年後には、10倍、100倍にもなっているかもしれません。

それが、緩やかなインフレの時代の常識です。

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2017年4月11日火曜日

米トランプ政権が中国企業“制裁強化” 北の核兵器開発への関与、「単独行動」で資産凍結なども―【私の論評】これは、その後続く一連の中国制裁の序盤に過ぎない(゚д゚)!

米トランプ政権が中国企業“制裁強化” 北の核兵器開発への関与、「単独行動」で資産凍結なども

シリア攻撃の後、演壇に立つトランプ米大統領=6日、米フロリダ州パームビーチ
 米政府が日本政府に対し、北朝鮮の核兵器開発に関与する中国企業への制裁強化を検討していることを伝えていたことが10日、分かった。複数の日米外交筋が明らかにした。トランプ米政権は、北朝鮮に影響力がある中国に圧力を強めるよう求めており、中国が具体的な行動に出なければ「単独行動」として米国内の中国企業資産凍結などを行う意志を示したという。

 日米両首脳は2月に安倍晋三首相が訪米して以降、3回にわたり電話会談を実施。トランプ氏は対北朝鮮政策の見直しについても説明しており、中国企業を対象とした独自制裁の事前通告も、対北圧力を強める上で日米間の連携を確認する狙いがあるとみられる。

 日米外交筋によると、米側は対中国企業制裁について、北朝鮮と取引する第三国の企業などを制裁対象とする「セカンダリー・サンクション(二次的制裁)」の一環として説明。具体的な企業名は伝えなかったが、すでに実施している資産凍結などの対象企業を拡大する形で検討している。対象となるのは、核兵器開発関連物資の輸出元や、金融取引の相手企業などとなる見通し。

 トランプ氏は6、7両日に米南部フロリダ州パームビーチで中国の習近平国家主席と会談した際、北朝鮮の核開発阻止への取り組みを強化し、国連安全保障理事会決議の完全な履行を確認した。だが、2日付の英紙とのインタビューでは、中国が役割を果たさない場合は単独での対処行動に出る考えを表明している。

 米政府は昨年2月、北朝鮮の核・ミサイル開発や拡散などに関わった第三国を含む個人や団体に制裁を科す米独自の制裁強化法を制定。同年9月には米財務省が中国・遼寧省の貿易会社と個人4人を制裁対象に加え、米司法省は初めて経済制裁違反などで同社などを刑事訴追した。

 中国企業は北朝鮮の貿易総額の9割を占めているとされる。国連安保理・北朝鮮制裁委員会の専門家パネルは、北朝鮮の銀行が中国の大連、丹東、瀋陽で営業を継続していたケースなどを指摘している。

【私の論評】これは、その後続く一連の中国制裁の序盤に過ぎない(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事の一番最後の部分が、非常に重要です。

中国企業は北朝鮮の貿易総額の9割を占めている。これらの企業は輸出入にかかわっている企業であり、当然のことながら、米国とも取引をしている可能性も高いわけです。であれば、これらの企業の資産凍結をすれば、北朝鮮への制裁ということにもなり、さらには北朝鮮への制裁という大義名分で中国に対しても制裁をはじめるということで、中国に対しても制裁になります。

さらに、中国に対しては、北朝鮮に限らず、南シナ海やその他のことでも、米国の言い分を聞かなければさらなる中国に対する制裁も辞さないという、トランプ氏の硬い決意をみせつけることになります。

これは中国にとってはかなり、効き目があるものと思います。これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【スクープ最前線】トランプ氏「中国敵対」決断 台湾に急接近、習近平氏は大恥かかされ…―【私の論評】トランプ新大統領が中国を屈服させるのはこんなに簡単(゚д゚)!
台湾の蔡英文総統との電話会談で中国を牽制したトランプ次期米大統領
写真はブログ管理人挿入 以下同じ
現在の米国は、軍事的にはオバマ政権時代に軍事予算を大幅に減らしたので、従来よりはその力は低下しています。これをトランプ氏は補おうとはしていますが、さりとてすぐにそれが成就するわけではありません。人員を増やすにしても、訓練をしなくてはなりません。軍艦や航空機を増加させるにしても、今すぐにつくってそれを現場に投入するとうわけにもいかず、実際に軍備を増強するまでには時間がかかります。

しかし、アメリカには他にも大きな強みが2つあります。それは、金融と食料です。この記事より、これに関する部分を以下に引用します。
超大国といわれるアメリカの一番の強さは、軍事力でもなく、イノベーション力でもありません。それは、米国による世界の金融支配にあります。現在の世界の金融体制は、ブレトン・ウッズ体制に端を発しています。これは、第二次世界大戦末期の1944年にアメリカのブレトン・ウッズで連合国通貨金融会議が開かれ、国際通貨基金(IMF)や国際復興開発銀行(IBRD)の設立が決定されたものです。 
当時、世界の金の80%近くがアメリカに集中しており、アメリカは膨大な金保有国でした。その金と交換できるドルを基軸通貨とし、他国の通貨価値をドルと連動させるという仕組みで、金・ドル本位制ともいわれます。
さらに、現在の中国の食料自給率が85%以下という状況もあります。
世界各国、特に先進国の中で、食料や資源を100%自給できている国は少ないです。中国の食料自給率は85%以下といわれており、アメリカから穀物を買えない事態になれば、13億の人民は飢餓に苦しむことになります。

これに関しては、一昔前にある中国の高官が穀物の需要が増えたり、減ったりする中国の状況を「中国人の胃はゴムボールのようである」と語っていたことがあります。要するに、穀物需要がかなり減ったり、増えたりしても、中国は何とかなることを強調したかったのでしょう。

現実には、そんな馬鹿な話があるはずもなく、貧困層は穀物が手に入らず飢え死にしていたというのが実情でしょう。しかし、それは今から数十年も前のことで、今ではそのようなことはあり得ないでしょう。現状では、中国の貧困層でも何とか食欲を満たす穀物は手に入れられる状態になっていることでしょう。
実際最近では中国が突如、近年世界の穀物輸入国上位に躍り出てきました。2013年~14年期、中国の穀物輸入量は2,200万トンという膨大な量になりました。2006年の時点では、ま中国では穀物が余り、1,000万トンが輸出されていたというのに、何がこの激変をもたらしたのでしょうか?

2006年以来、中国の穀物消費量は年間1,700万トンの勢いで増大し続けている年間1,700万トンというと、大局的に見れば、オーストラリアの小麦年間収穫量2,400万トンに匹敵します。 
人口増加は鈍化しているにもかかわらず、穀物の消費量がこれほど増加しているのは、主に、膨大な数の中国人の食生活レベルが向上し、より多くの穀物が飼料として必要な肉や牛乳、卵を消費しているからです。

2013年、世界全体で推定1億700万トンの豚肉が消費されました。そのうちの半分を消費したのが中国でした。人口14億人の中国は現在、米国全体で消費される豚肉の6倍を消費しています。 
とはいえ、中国で近年、豚肉消費量が急増しているものの、中国人一人当たりの食肉全体の消費量は年間合計54キロ程度で、米国の約107キロの半分にすぎません。しかしながら、中国人も世界中の多くの人々と同じように、米国人のようなライフスタイルに憧れています。

中国人が米国人と同量の肉を消費するには、食肉の供給量を年間約8,000万トンから1億6,000万トンへとほぼ倍増させる必要があります。1キロの豚肉を作るにはその3倍から4倍の穀物が必要なので、豚肉をさらに8,000万トン供給するとなると、少なくとも2億4,000万トンの飼料用穀物が必要になります。 
それだけの穀物がどこから来るのでしょうか。中国では、帯水層が枯渇するにつれて、農業用の灌漑用水が失われつつあります。たとえば、中国の小麦生産量の半分とトウモロコシ生産量の1/3を産出する華北平原では、地下水の水位が急激に低下しており、年間約3メートル低下する地域もあるほどです。 
その一方で水は農業以外の目的に利用されるようになり、農耕地は減少して住宅用地や工業用地に姿を変えています。穀物生産高はすでに世界有数レベルに達しており、中国が国内生産高をこれ以上増やす潜在能力は限られています。
2013年に中国のコングロマリットが世界最大の養豚・豚肉加工企業、米国のスミスフィールド・フーズ社を買収したのは、まさに豚肉を確保する手段の一つでした。 
また、中国政府がトウモロコシと引き換えに30億ドル(約3,090億円)の融資契約をウクライナ政府と結んだのも、ウクライナ企業と土地利用の交渉を行ったのも、その一環です。こうした中国の動きは、私たち人類すべてに影響を与える食糧不足がもたらした新たな地政学を実証したものです。 
このようなときに、米国に金融制裁を実施されたら、食料事情は逼迫するでしょうし、食料以外にも様々な物資の供給に支障をきたすことになります。
そもそも、中国の人民元の信用は、中国がドルをかなり保有しているということで、保たれてきたものです。しかし、中国からは大量のドルが国外逃避 していましたし、これからもさらに逃避をすることになります。そうなると、元の信用は落ちます。

そのような中で、トランプ大統領により米国内の中国企業や中国企業の出先機関などに対して、金融制裁を課せられると、中国はとんでもない状況に陥ります。

それと、この記事では掲載しなかったのですが、何と中国の最大の農産物の輸入先は、米国であるという現実もあります。それは、以下のグラフをご覧いただければ、ご理解いただけるものと思います。

中国の食料品輸入先のシェア

米国は中国最大の農産物輸入先  中国の農産物(食料品)輸入額は1992年の 41.3億ドルから2001年の97.6億ドルへと倍 近く拡大しました。拡大した輸入食料品のうち では、大豆、植物油、トウモロコシ(94~95 年)など土地集約的なものが多いです。

こうした 食料品は米国が比較優位を 持つこともあり、中国の対 米輸入依存は高まってき ました。中国の対米食料品の輸 入額は97年の15.1億ド ルか ら2001年の22.9億ド ルへ、 全食料品輸入額に占める割 合は同20.2%から23.4%へ とトップシェアを占めています。

中国がまともに北朝鮮に対する制裁をしなければ、早急に北朝鮮と交易などをしている中国企業に対して資産凍結などの制裁措置を課すことでしょう。

それでも、中国がまともに動かなければ、次の段階では北朝鮮に対して軍事行動を起こすでしょう。具体的には、核施設の破壊ならびに金正恩斬首作戦です。

その後あるいは同時に、中国が南シナ海を中国戦略原潜の聖域にするという試みをやめなければ、中国企業に対して金融制裁を課すことになります。

制裁を課しても中国が南シナ海での活動をやめなければ、今度は米国は、中国に対する食料輸出をやめることになるでしょう。これに対してはすぐに実施すれば、トランプ大統領支持の保守派も多い米国の農家からの反発もまねく恐れもあるので、輸出代替地を探してそちらへの輸出を増やすか、あるいは政府が買い上げて、発展途上国への食料援助にまわすということも考えられます。この過程で、他国も中国に食料品を輸出することをとりやめるように協力を要請するかもしれません。

金融と、食料品で徹底的に制裁を課せられた、中国はかなり疲弊することになります。この時点で、習近平体制は完全に崩れるでしょう。ひよっとすると、それだけでは済まなくなるかもしれません。場合によっては、中国の現体制そのものが瓦解するかもしれません。

習近平体制は崩壊する?
それにしても、米軍によるシリア攻撃も、中国に対する牽制となったと思いますが、トランプ氏には、その後もこれだけ、打てる手があります。

これに対して、中国も決して手をこまねいて米国のなすがままにさせまいとは思うでしょうが、中国が米国に対してできることはかなり限られています。まずは、中国内の米国企業などに対して金融制裁を課することになるでしょう。

しかし、それは米国の中国に対する金融制裁と比較すれば、比較にならないほど、微々たるものでしょう。確かに、それで制裁を受ける米国企業にとっては、大変なことでしょうが、さりとてそれが、米国の経済においてどれほどの部分を占めるかといえば、微々たるものです。

さらに、中国は当然、米国に対して輸出入規制もするかもしれません。そうなれば、米国も多少は痛手を被るかもしれません。しかし、もともと米国のGDPに占める輸入も輸出も微々たるものです。そもそも、米国のGDPに占める輸出の割合は7%程度であり、その中に占める中国の割合はさらに低いです。

中国からの輸入がストップしたとしても、米国で困るようなことは一切ありません。自国で製造するか、他国から輸入すればそれですみます。

要するに、米国が中国に対して金融制裁や、輸出入規制をすれば、中国にとっては大打撃ですが、中国が米国に対してそれと同じ措置をとったにしても、米国にとっては全く打撃はないとはいえないものの、微々たるものです。

それでも、中国が南シナ海での活動をとりやめなければ、最終的に軍事的な手段を講じるかもしれません。しかし、その頃には、中国はかなり疲弊していて、米国と事を構えるななどできないかもしれません。それでも、事を構えるということになれば、米国は徹底的にこれを粉砕することになります。

要するに、中国には全く最初から勝ち目はないわけです。今回の米中首脳会談中での、米軍によるシリア攻撃は、その後に続くトランプ大統領の制裁の幕開けです。

トランプ大統領は、当然このような行動をとることでしょう。しかし、本来はこれはオバマ政権のときにでも実行すべきだったのです。そうすれば、北朝鮮や中国が今日のように身の程知らずに増長することはなかったはずです。

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2017年4月10日月曜日

民進「離党ドミノ」加速 長島昭久氏まで“離脱”も…ベテラン議員「蓮舫氏は負けても辞めない」―【私の論評】狂った民進党は破棄するしかない(゚д゚)!

民進「離党ドミノ」加速 長島昭久氏まで“離脱”も…ベテラン議員「蓮舫氏は負けても辞めない」

離党表明をした長島昭久氏
 民進党の長島昭久元防衛副大臣(衆院比例東京)が10日、離党届を提出し、国会内で記者会見をした。蓮舫代表が「二重国籍」問題などを抱えて党勢拡大が進まないなか、同党では東京都議選(7月2日投開票)を見据えて、都議や公認内定者の「離党ドミノ」が相次いでいる。ついに、現職国会議員として初めての離党となるが、蓮舫氏周辺には危機感が足りないという。

 「共産党との選挙共闘は譲れない一線だと思ってきたが、(党執行部は)それを越えてしまった。熟慮の末、離党する決断をした」

 長島氏は産経新聞の取材に、こう言い切った。

 共産党は綱領に「日米安保条約を廃棄」「自衛隊解消」を掲げている。安全保障政策に精通した保守派論客である長島氏としては、選挙目当てで「民共連携」に傾く、蓮舫執行部に完全に愛想を尽かしたようだ。

 関係者によると、長島氏は当面は無所属で活動する。小池百合子都知事が事実上率いる地域政党「都民ファーストの会」との連携も模索する。

 各党は、都議選を準国政選挙に位置づけている。結果が、次の国政選挙に影響するからだ。民主党は2009年7月の都議選で54議席を獲得して第1党となり、翌月の衆院選でも勝利し、政権交代を果たしている。

 ところが、民進党は、都議選の公認予定者36人のうち7人が離党を表明するなど、蓮舫氏のおひざ元で求心力を失っている。このままでは都議選での惨敗必至で、通常なら「代表の責任問題」に発展しかねないが、蓮舫執行部には焦りは感じられないという。

 民進党のベテラン議員は「仮に、都議選でゼロ議席でも、蓮舫氏は代表を辞めないし、辞める気もないようだ。都議選を『地方選の1つ』としか思っていないのだろう」と嘆いた。

 民進党を離党した元都議も「代表が『二重国籍』問題を抱え、戸籍謄本を公開しないような政党では勝てない。支持率も低迷し、逆風しか吹いていない。国会で批判ばかりしていることも響いている」とあきれた。

 離党ドミノに危機感を募らせた支持団体の「連合東京」までが、小池新党と政策合意を結んだ。

 前出のベテラン議員は「蓮舫氏と周辺は『都議選で負けても、次期衆院選で勝てばいい』と踏んでいるようだが、この考えは間違っている。地方議員を増やす地道な活動以外に、民進党の再生はあり得ないのに」と語っている。

【私の論評】狂った民進党は破棄するしかない(゚д゚)!

民進党に離党届を提出し、記者会見する長島昭久氏=10日午前、国会
長島昭久氏、民進党離党会見の詳報に関しては以下の記事をご覧担ってください。この記事では改めて詳細を解説するようなことはしません。
【長島昭久氏、民進離党会見詳報(1)】「『アベ政治を許さない!』と叫ぶことを求められた。熟議も提案もない」と痛烈批判 
【長島昭久氏、民進離党会見詳報(2)】蓮舫代表の対共産党戦略「理解できない」と批判

【長島昭久氏、民進離党会見詳報(3完)】民共共闘「ずっと違和感持っていた」 テロ等準備罪への党対応に「国民はそんなバカじゃない」
長島昭久氏の離党した要因は、あまりにも明らかです。誰でも、長島氏と同じような考えを持ち、民進党に所属していれば、最終的にはこのような結論を出すことになるでしょう。

そもそも、「アベ政治を許さない」という民進党のキャッチフレーズは本当にいただけません。何というか、国民を小馬鹿にしています。私は、このフレーズを聴くたびに馬鹿にされているようでむかつきます。

昨日は、このブログで今回のトランプ大統領のシリアのミサイル攻撃に対して、共和党はもとより、民主党の議員の多くも、その中でもあのヒラリー・クリントン氏も、そうしてトランプ大統領の誕生にはどこまでも大反対してきたメディアですら、大賛成していることを掲載しました。

このようなことは、日本の政治風景を見慣れたものには、異様にうつるのかもしれませんが、本来は当然のことだと思います。どんな国でも、安全保障や経済などの基本的な政策では、たとえ党派が異なっても、基本的なコアな部分では、似たようなものになるはずです。どの党派でも、現実的に問題に対処すれば、根本的なところでは似たようなものになるはずです。

現在の民進党のように、とにかく安倍政権の実施することは何から何まで反対であり、中には民主党政権時代の政策とほぼ同じようなものにさえ反対し、批判することすらあり、多くの国民からブーメランと揶揄されたりしている有様です。

これに関しては、このブログで私の結論を掲載したことがあります。それを簡単にまとめると以下のようなものです。
現在の日本のいわゆるリベラル左派は、民進党やメディアや知識人も含め、自分たちは日本という国や社会をどうしたいのかという理想も持たずに、単に「政権や権力と戦うのが自分たちの使命」であると思い込み続けてきたため、まともにものが考えられなくなり、「政権や権力」と戦うこと自体が目的、目標になってしまい、無間地獄に陥って堕落しているのだと思います。 
そもそも、自分たち国や社会をどうしたいのかという理想がなければ、目的も定まらず、したがって目標も定められず、目標に沿った行動もできずに、ただただ日々を無為に過ごしているだけということに彼らは気づいていないのです。
無間地獄に陥った民進党
 そうして、民共共闘のキャッチフレーズは「新安保法の廃止」でしたが、共産党の自衛隊観は「自衛隊は違憲だが自衛戦争はする」というものです。こんないい加減な政党があるでしょうか。共産党は、自衛隊と憲法について悩んだことはまったくないのです。

一方の民進党は民主党時代から安保政策に悩み抜き、党内で大喧嘩もやってきました。こういう場合、悩みがなく、教養のない側が強いです。社会主義インターが民社党はOKだが、社会党はダメと峻拒してきた理由も、共産党と結ぶ社会党は共産陣営に属すると分類、断定してきたからです。

蓮舫代表は民共共存を続けても共産は政権党にはなれず、いずれは共産は民進の肥やしになると思っているのでしょう。これに対して保守派は、共産と縁を切ったほうがまとまりのよい政党になり、いずれ政権を展望することになると一段、先を見ているようです。長島昭久も無論このような見方をしていたと思います。

国民の政治常識からすれば、当然共産党は無害などと信じるような人はほとんど存在しないでしょう。共産党には国際共産主義の歴史があり、現共産党においては社会の基本である自衛隊の格付けが不明だからです。憲法改正時、全き非武装論を説く吉田茂首相に対して野坂参三氏(共産党議長)は「国防軍のない国家などありえない」と食い下がりました。

これが政治の常識であって、現実には日本も実質上の国防軍である自衛隊をもつに至ったのです。ところが現共産党は「違憲の自衛隊」と片付けて、一方で新安保関連法廃止で野党を結集しようとしました。

共産党に担がれた現在の民進党が政権党に成長するとはとうてい考えられません。かといって、この民共路線で民進党が衆参両院の選挙区で共産党から229万の票をもらうのが常習となれば、当選第一主義に陥ることでしょう。かつての社共共闘はいつの間にか共産党のみが生き残りました。

民共共闘が定着すれば民進党の消滅ということになるのは必至です。当初、岡田元代表は疑うことなく共産党の支持申し入れを喜んでいました。党内の反発に驚いていた様子でした。岡田氏にも、蓮舫氏にも共産党恐怖症がないようです。このような状況に長島氏が絶望感を抱くのも無理はないです。

民共共闘をきめた岡田氏には共産党恐怖症がない・・・・・・?
最後に、テロ等準備罪への党対応に「国民はそんなバカじゃない」と長島氏が言うのも当然といえば、当然です。これに関しては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを掲載します。
【テロ等準備罪】カレー作ったら毒殺準備?…民進が「追及リスト」でイメージ戦略―【私の論評】民進党ブーメラン発売開始しました(笑)!
「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案の審議を控え、国対委員長会談に
臨む自民党の竹下亘氏(中央右)、民進党の山井和則氏(同左)ら=31日午後、国会内
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、共謀罪の構成要件を厳格化した「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案の審議入りを控え、民進党が追及姿勢を際立たせ始め、金田勝年法相らが国会答弁で明言を避けたとする内容をまとめた40項目の「追及リスト」を作成し、国会論戦で問いただす姿勢をアピールしたことを掲載しました。

そうして、その「追求リスト」の一部が以下です。


このバカバカしいリストを見れば、長島氏がうんざりしたであろうことは想像に固くありません。連坊代表をはじめ、民進党の幹部や議員が、国会で舌鋒するどいものの、中身のまったく薄い内容で、金切り声をあげながら、与党を追求する姿が今から目に浮かぶようです。

このブログでも何度が掲載してきたように、現在北朝鮮というか、最悪朝鮮半島有事が十分に想定されるような状況です。最悪、北朝鮮から核ミサイルが日本に打ち込まれるかもしれないですし、すでに日本国内に潜伏している北朝鮮の工作員が各地でテロ活動を行う可能性も十分にあります。

そのような緊迫した状況の中で、このような幼稚な議論をやってしまえば、まさに本当に国民を馬鹿にしているとしか思えません。

しかし、国レベルではどうでも良いような森友問題で民進党はあのように時間をかけて、安倍総理をはじめ政治家の関与をうかがわせるようなものは、結局何も出てこなかったという醜態を演じています。

森友問題といえば、この問題を最初に『朝日新聞』が疑惑として報じたのが2月9日でした。それ以降、マスコミも国会もこの問題ばかり取り上げています。しかし、この間、日本周辺でどういうことが起きていたか、彼らはわかっているのでしょうか。無論北朝鮮の問題もありますが、それだけではありません。

2月9日以降をざっと見ても、2月14日~19日と6日間連続で中国海警局の船が尖閣諸島周辺の領海付近を航行しています。うち、1日は領海侵入までしています。こうした船の中には、機関砲のようなものを搭載していることも確認されている。

3月は1日、4、5日、9、10日、17日~19日、22、23日、28日~30日と同様の動きが確認されています。ちなみに、本日午前にも、沖縄県の尖閣諸島の沖合で、中国海警局の船4隻が日本の領海に相次いで侵入し、海上保安本部が直ちに領海から出るよう警告を続けていました。

そんなの毎度のことじゃないか。ニュースにしたって仕方がないし、騒いでも仕方がないなどと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、それこそが支那の思うツボです。彼らからすれば、これが『日常的な光景』になるのが都合がいいのです。

メディアもさることながら、腹立たしいのは国会議員です。北朝鮮は2月12日にムスダンと見られるミサイルを発射し、さらに3月6日には4発弾道ミサイルを発射。日本の排他的経済水域に3発が着弾しています。彼らは日本の米軍基地を攻撃対象として想定していると言っています。

その後もミサイル発射実験を行い、核実験の動きを見せ、さらに米韓への先制攻撃まで口にしています。

この大変な時期、こともあろうに国会の『外務委員会』で民進党が何をやっていたのでしょうか。森友学園の理事長夫人と安倍昭恵さんのメールのやりとりの“追及”です。

自分の兄への『殺害指令』を出したとも見られる人物が最高指導者にいる国が、日本への敵対心を隠そうともせず、ミサイルを乱射しています。そんな時に『このメールはどういうことですか!』って、何を考えているんでしょうか。

この間、森友学園の次にニュースになっていたのは、築地市場の問題でした。市場の『安全』よりも大事な『安全保証』の問題があるのがマスコミや、民進党にはわからないのでしょうか。

このような現実を党内部にいてつきつけられては、さすがに中島氏も耐えきれなり、離党の決意を固めたのでしょう。

現在の民進党は、今のまま自己変革ができないというのなら破棄すべきです。これについては、経営学の大家ドラッカー氏の言葉を思い出します。

以下にドラッカー氏の『乱気流時代の経営』からの言葉などを掲載します。
長い航海を続けてきた船は、船底に付着した貝を洗い落とす。さもなければ、スピードは落ち、機動力は失われる。(『乱気流時代の経営』
 企業経営においてはあらゆる製品、あらゆるサービス、あらゆるプロセスが、常時、見直されなければなりません。多少の改善ではなく、根本からの見直しが必要です。

なぜなら、あらゆるものが、出来上がった途端に陳腐化を始めているからです。そして、明日を切り開くべき有能な人材がそこに縛り付けられるからです。ドラッカーは、こうした陳腐化を防ぐためには、まず廃棄せよと言います。廃棄せずして、新しいことは始められないのです。

ところが、あまりにわずかの企業しか、昨日を切り捨てていません。そのため、あまりにわずかの企業しか、明日のために必要な人材を手にしていません。

自らが陳腐化させられることを防ぐには、自らのものはすべて自らが陳腐化するしかないのです。そのためには人材がいります。その人材はどこで手に入れるのでしょうか。外から探してくるのでは遅いです。

成長の基盤は変化します。企業にとっては、自らの強みを発揮できる成長分野を探し出し、もはや成果を期待できない分野から人材を引き揚げ、機会のあるところに移すことが必要となります。
乱気流の時代においては、陳腐化が急速に進行する。したがって昨日を組織的に切り捨てるとともに、資源を体系的に集中することが、成長のための戦略の基本となる。(『乱気流時代の経営』)
これは、無論政治や政党の話ではなく、企業経営に関わるものです。しかし、組織ということでは原則は同じです。

政党組織でも、陳腐化してしまったものは破棄しなければならなのです。民進党もこの原則を貫くべきです。民進党にもそうしたことができる人材もいないことはありません。

長島氏や馬淵氏などその筆頭です。しかし、今回は長島氏が離党ということで、民進党は有為な人材を失ってしまいました。

今のままの民進党がこれからも続くというのであれば、国会でも、森友問題など、 もはや成果を期待できない分野に拘泥し、多くの議員が無駄などうでも良い仕事に拘泥するというようなことがこれからも繰り返されます。

そんなことを防ぐためにも、民進党は変わらなければなりません。しかし、それができないというのなら、今の狂った民進党そのものを破棄するしかありません。そうして、それは有権者が判断して実行すべきものです。私には、もはや自己変革のできない民進党には、有権者が引導を渡すべきと思います。

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2017年4月9日日曜日

トランプ大統領のシリア攻撃をクリントン氏も支持―【私の論評】米民主党・メディアがトランプ大統領の政策をなぜ支持したのか理解不能の民進党(゚д゚)!

トランプ大統領のシリア攻撃をクリントン氏も支持
共和党も民主党も幅広く賛同の意を表明

米駆逐艦ポーターが地中海から行ったシリアへのミサイル攻撃。米海軍提供(4月7日撮影・公開)
「ドナルド・トランプ氏は初めて米国大統領になった」――トランプ大統領が実行したシリアの空軍基地攻撃に対して、民主党系の評論家がこんな賞賛の言葉を送った。

 共和党も民主党も支持
 4月4日、トランプ大統領がシリア政府軍の化学兵器使用への制裁として、59発のトマホーク巡航ミサイルによるシリアのシャイラト空軍基地への攻撃を断行した。

 この攻撃は米国内で共和、民主の両党側から幅広く支持されている。トランプ氏の施策が両党側からこれだけ支持されるのは、1月に大統領に就任して以来初めてである。この展開を機に、トランプ政権に対する一般の評価にも変化が起きるかもしれない。

 CNNテレビの国際問題評論家ファリード・ザカリア氏は4月7日の番組で、トランプ政権が実施したシリア攻撃について、「ドナルド・トランプ氏は就任以来78日目にして初めてアメリカ合衆国大統領となった」「トランプ氏は国際的な基準やルールを明確に述べ、世界の中で正義を行使する米国の役割を語った」と述べ、攻撃に賛成した。

ファリード・ザカリア氏 写真はブログ管理人挿入以下同じ
 ザカリア氏は民主党系リベラル派のベテラン記者である。これまではトランプ氏の言動や政策を選挙期間から厳しく批判してきた。だが今回は、国際法規に違反する化学兵器を使用したシリアへの武力行使を、「米国の大統領らしい行い」だと称讃した。

 「この攻撃は必要だった」とルビオ議員

 今回の米軍によるシリアの基地攻撃は、国際的には賛否が交錯している。自由民主主義陣営の各国は一様に同意を表明した。だが、シリアのアサド政権を支持するロシアは激しく反発し、米ロ両大国の対決という状況を生み出しつつある。当のアサド政権は化学兵器の使用を否定しており、米国の攻撃は国際法違反の侵略だと非難する。

 だが米国の国政レベルでは圧倒的に賛成の意見が多い。

 共和党側では、昨年の大統領選の共和党予備選でトランプ氏と激しく争ったマルコ・ルビオ上院議員が、「この攻撃はアサド政権軍の化学兵器の戦力を抑える重要な一歩であり、必要だった」と言明した。

マルコ・ルビオ上院議員
 同じ共和党のべテラン上院議員、ジョン・マケイン氏とリンゼイ・グラハム氏も、「トランプ大統領がオバマ前政権とは異なり、アサド政権の無法に対して断固たる軍事行動をとったことは賞賛されるべきである。米国民一般からも支持されるべきだ」と連名で声明を発表した。

 下院議長のポール・ライアン議員(共和党)もトランプ大統領の今回の実力行使を「適切であり、正統な行動だ」と評価した。

 クリントン氏も賛意を表明
 意外なことに、これまでトランプ氏の諸政策を徹底して非難してきた議会の民主党議員たちからも今回のシリア攻撃は支持されている。

 たとえば上院の民主党院内総務のチャック・シューマー議員は、「アサド大統領が憎むべき残虐行為を働いたことに代償を払わせるという意味で、今回の攻撃は正しい」と述べた。また、下院の民主党院内総務のナンシー・ペロシ議員は「この攻撃はアサド政権の化学兵器使用に対する順当な対応だ」とする声明を発表した。

 さらにトランプ氏と大統領の座を争ったヒラリー・クリントン氏も「アサド大統領の長年の残虐行為に対して、もっと早くこの種の軍事行動をとるべきだった」と述べた。

ヒラリー・クリントン氏
 CNNテレビのインタビューに応じたクリントン氏はシリア攻撃への賛意を表明しただけでなく、この種の武力行使を今後もアサド政権に対して続けていくべきだと語った。「容易な決断ではなかっただろう」として、トランプ氏への理解も示している。

 もちろん全員が賛同しているわけではなく、民主党議員のなかには、トランプ大統領の今回の措置が議会の承認を得なかったことや、国際法との整合性を明確にしていないことなどを批判する動きもある。

 だが全体としては、民主、共和両党からの圧倒的な支持が目立つ。就任以来、トランプ大統領が実施したさまざまな政策や措置の中で、今回のシリア空軍基地攻撃は最も多くの支持を集める結果となったようだ。

【私の論評】米民主党・メディアがトランプ大統領の政策をなぜ支持したのか理解不能の民進党(゚д゚)!

このブログには、以前から米国のメディアはリベラル・左派が90%を占めており、保守派は10%しかありません。

それは事実です。米国の場合は、特に新聞はひどく、大手新聞は100%がリベラル・左派が占めているという具合です。

そのため、保守派の声はかき消されてまるでなきがごとくであるということを掲載してきました。

しかし、それは日本も同じような状況にあります。日本の場合、産経新聞が保守派であるというのが、唯一米国よりは多少ましかもしれないという程度です。

しかし、今回のブログ冒頭の記事をみると、リベラル・左派が90%占める、メディアも今回のシリア攻撃を支持していますし、ヒラリー・クリントンをはじめとする民主党の議員も多くがこれを支持しています。

この有様は、日本とは大違いです。日本の場合は、野党は安倍政権のやることには何でも反対します。

この違いはいったい、どこから来るのでしょうか。それはやはり、米国と日本の政治体制の違いからくるものだと思います。

米国では、日本とは異なり二大政党制が根付いています。そうして、長年二大政党制が続いたことから、政治の継続性の原則も貫かれているようです。


政治の継続性の原則とは、たとえ政権交代があったにしても、旧政権の政策が60〜70%が引き継がれ、新政権は残り30%〜40%で新政権らしさを出すということで、政治的混乱を防ぐというものです。

これは、当然といえば当然のことです。米国のように共和党と民主党の二大政党制だと、政権交代することも頻繁にあります。その場合、政権交代するたびに180度、政策が異なるようなことがあれば、それによる混乱はとてつもないことになります。

また、二大政党制によって政権交代をすることが普通にある米国においては、政権交代された側の政権の閣僚や主要な地位についていた議員などは、その政党の考え方に近いシンクタンクに入ります。そこでシンクタンクの研究員などともに政策の研究を行い、シャドーキャビネットを築きます。

そうして、自分たちは米国という国や社会をどうしたいのかという理想をみつめつつ、具体的な政策の立案を行い目的・目標を定めて、政権に返り咲く時を待ちます。

日本のように、野党に下野すると、単なる議員で、党組織に属しているだけということではありません。そうして、下野していてもいずれ時が来て、また政権与党になったときも、シンクタンクが政権与党の政策立案などをサポートします。これは、実際に重責を担う人たちと一緒研究をした研究員などが、与党の政策立案などをサポートすることになるので、政策運営もかなり実行しやすいです。

このように政治的混乱をさけるため、政治の継続性の原則が貫かれているのです。無論、これは不文律のようなもので、法的な裏付けなどがあるわけではありません。

そうして、米国には強固な三権分立制が敷かれています。これと、政治の継続性の原則があいまって、政権交代がなされたとしても、新大統領がそれまでの政策と180度転換するような政策を行うとしても、それはなかなか容易なことではありません。


だからこそ、トランプ大統領はオバマケアの改廃を目指す立法の議会への提出を断念したのです。やはり、オバマケアの抜本的な改変は、オバマ大統領の時代の政策を180度転換するようなもので、民主党はもとより、共和党の中にも反対する議員が大勢でて、断念せざるを得なかったのです。

しかし、一方今回のトランプ大統領のシリア攻撃に関しては、野党である民主党やメデイアも支持しています。これは、民主党が政権与党だったとしてもシリア攻撃を実行したであろうという意思表示であります。これによって、米国民も共和党政権であろうと、民主党政権であろと、今回のシリア攻撃は実行したであろうことを知り、これが米国のコアな政策なのだと理解することになります。

しかし、日本の場合現在の安倍自民党政権の政策には、野党は何から何まで反対です。もともと、どう頑張っても政権与党にはなり得ない共産党が、何から何まで反対するというのはわかりますが、かつて民主党として政権与党だった現在の民進党がとにかく何から何まで反対というのは全く理解に苦しみます。

国会で、何から何まで反対する野党の姿勢に批判をした安倍総理大臣
私は、現在の日本のいわゆるリベラル左派は、民進党やメディアや知識人も含め、自分たちは日本という国や社会をどうしたいのかという理想も持たずに、単に「政権や権力と戦うのが自分たちの使命」であると思い込み続けてきたため、まともにものが考えられなくなり、「政権や権力」と戦うこと自体が目的、目標になってしまい、無限地獄に陥って堕落しているのだと思います。

そもそも、自分たち国や社会をどうしたいのかという理想がなければ、目的も定まらず、したがって目標も定められず、目標に沿った行動もできずに、ただただ日々を無為に過ごしているだけということに彼らは気づいていないのです。

このようなリベラル・左派のどん詰まり状況に閉塞感を感じ、リベラル・左派から離れる人も結構います。最近では、民進党の長島昭久元防衛副大臣が7日、離党する意向を固めたことがわかっています。「党執行部が進める共産党との共闘路線は容認できず、国民の理解も得られない」として、10日に離党届けを党本部に提出して記者会見する予定です。当面無所属で活動する予定だといいます。

現在の民進党であれば、このように将来に絶望する人たちもこれから出てくると思います。民進党はこのままだと限界的な存在から脱却することができず、ますます劣勢になるだけです。

民進党は、今回のトランプ大統領のシリア攻撃に対して、なぜ民主党やメディアが支持したのか真剣にその背景を学び、今後の国会での自らのありかたを真摯に考えるべきです。

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平和ボケに染まりたくないあなたへ… 韓国は崩壊への道まっしぐらか? 『さらば、自壊する韓国よ!』呉善花著―【私の論評】今日の有様をリー・クアンユーは予言していた(゚д゚)!



韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は逮捕され、1カ月後に後継者が選ばれることになりました。そんな激動する朝鮮半島情勢をいち早く分析したのが本書です。

ソウル拘置所に向かう韓国の前大統領、朴槿恵容疑者=31日未明
 呉善花氏は韓国から留学生として30年余前に来日。そのあと日本に帰化しています。それ故に透徹した眼で「母国」を観察しています。今回の一連のスキャンダルのキーパーソンである崔順実(チェ・スンシル)らと朴氏との長年の癒着や、朴親子(朴正煕(チョンヒ)・槿恵)の確執、韓国容共リベラル派の潮流(金大中(キム・デジュン)・盧武鉉(ノ・ムヒョン))などを総ざらい。
崔順実被告
 さらに慰安婦問題の嘘、金正男暗殺事件、次期大統領選挙の予測など盛りだくさんです。これ一冊で、朝鮮半島をめぐる日本、韓国、北朝鮮、中国など各国間の厳しい国際情勢の動きが手にとるように理解できると思います。

 呉氏は、大統領選挙では容共リベラル派の候補者が一歩リードし「従北政権」誕生の可能性が高く、万が一、保守派の大統領が逆転勝利しても、日韓関係は今より冷え込み、韓国が北朝鮮にすり寄っていくのは必至とみています。

 それを阻止する道は、軍による「戒厳令」しかないだろうと……。かたや、日本海に向けてミサイルをぶっ放すしかノウのない北朝鮮。その北朝鮮と所詮は「五十歩百歩」の独裁国家中国。こんな厳しい国際情勢が目の前にあるのに、日本の国会は能天気に何を議論しているのやらと不安になります。

 そんな「平和ボケ」に染まらないためにもこの一冊をお手元へ。(ワック・920円+税)

 ワック株式会社「書籍部・歴史通」編集長 仙頭寿顕

【私の論評】今日の有様をリー・クアンユーは予言していた(゚д゚)!

北朝鮮には核・ミサイル問題について、中国の仲介を受け入れるつもりはなさそうです。だとすれば、昨日もこのブログに掲載したように、米国単独で北朝鮮に対して軍事行動に踏み切る可能性が出てきました。追い詰められた北朝鮮が最初に矛先を向けるのは、超大国の米中ではなく、むしろ日本と韓国です。

金正恩(キム・ジョンウン)・朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(ジョンナム)氏殺害には、毒ガスのVXが使われていました。金正恩氏は体制維持のためならば、同胞に対しても核や化学兵器の使用をためらいません。ご存じのように、北朝鮮はつい先日の5日にもミサイルを発射したばかりですし、6日には米軍がシリアに向けてミサイル攻撃をしました。

これで、いやがおうでも、韓国内にもかなり緊張が走るのではと思っていたのですが、ところが、まったく不思議なことにその韓国が、日本以上に「平和ボケ」の症状を呈しています。

来月に投開票される大統領選で最有力候補とされるのが、最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)氏(64)です。文氏は自分が大統領になれば、北朝鮮への経済援助を再開すると明言しています。在韓米軍に配備された迎撃ミサイルシステムには否定的です。日本には、慰安婦合意の再交渉を求めています。文氏には日韓両国で北朝鮮に立ち向かおうなどという考えがまったくありません。文氏を支持する人たちは、本気で現体制の北朝鮮との融和を望んでいるのでしょうか。

北欧のスウェーデンから先月、7年前に廃止した徴兵制を復活するとのニュースがありました。バルト海で軍事的圧力を強めるロシアの脅威に対抗するためだといいます。日本では安保法制をめぐって、徴兵制復活につながるとの批判がありました。ハイテク兵器を扱う現代の軍隊に、素人は不要である。ナンセンスな議論だった。スウェーデンも、国民の危機感を高めるのが目的でしょう。国民皆兵制により国民全員で国防を担おうという国家の姿勢を指す、イスラエルスイスの姿勢を見習ったのかもしれません。

徴兵制があり緊張が続いていたはずの韓国で、一体何が起きているのでしょうか?この疑問に、呉善花さんの書籍は応えてくれそうです。

さてこの韓国の現状を前から的確に予言をしていた人がいます。それは、シンガポールの前首相のリー・クアン・ユー氏です。それについては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【野口裕之の軍事情勢】中国の代弁者に堕ちたシンガポール ―【私の論評】リー・クアンユー氏が語ったよように「日本はゆっくりと凡庸になる」ことはやめ、アジアで独裁は当たり前という概念を根底から覆すべき(゚д゚)!
リー・クアンユー氏
この記事は、2015年6月28日のものです。リー・クアンユー氏は、2015年3月23日に亡くなっています。

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事よりリー・クアン・ユー氏のアジアでは独裁は当たり前という考かにかかわる部分のみを引用します。
リー・クアンユー氏の「遺言」である、「日本はゆっくりと凡庸になっていく」という予言はある意味では正しかったのかもしれません。特に日本の過去においては・・・・。

それはさておき、シンガポール共和国の建国の父であり、同国首相を長く務めたリー・クアンユー。死後、その功績に対して多方面から賞賛の声が寄せられています。

リーの影響力は実際の政治権力が及ぶ範囲を大幅に超えて作用していました。その政治権力は、シンガポールがマレーシアから1965年に分離独立して以降、東南アジアの小さな都市国家の境界を越えて広がることはありませんでした。しかしその影響力は、急成長する企業経済と一党独裁の共産主義政府とが併存する、毛沢東以後の中国へと大きく波及しました。
繁栄する都市国家シンガポール 
リーは資本主義と強権政治とを結び付けた政治家の嚆矢でした。彼の人民行動党は、中国共産党に比べればまったくもって暴力的ではないとはいえ、事実上の独裁政党として国を統治してきました。

シンガポールの活発な経済、物質的豊かさ、効率のよさという面に目を向けると、独裁主義は資本主義よりもうまく機能する、世界にはそうした地域が存在するのだ、という多くの人の考えを裏打ちするかのように見えます。

しかしリー政権は、民主主義を形だけ維持するために選挙を実施しておきながら、反体制派については脅しや財政的な破綻で対処する選択をしました。リーに立ち向かった勇気ある男女は、膨大な額の賠償を請求されて破産に追い込まれました。

しかし、リーは決して、西洋の自由民主主義が誤りだとは主張しませんでした。ただ「アジア人」には向いていないとは述べていました。アジア人は、個人の利益よりも集団の利益を上に置く考え方に慣れていると主張しました。生来、権力者に対して従順で、こうした傾向はアジアの歴史に深く根差す「アジア的価値観」なのだと主張していました。

しかし、シンガポールが民主化を進めていたら、今よりも効率を欠き、繁栄を欠き、平和でもない社会となっていたでしょうか。韓国と台湾は1980年代に不十分とはいいなが民主化され、それぞれの独裁的資本主義に終止符を打ちました。それ以降、両国は非常に繁栄しています。ご承知のように、民主主義が日本経済に悪影響を及ぼしたということも全くありません。

リーは終始一貫して、シンガポールのような多民族社会では、高い能力を持つ官僚が上から調和を押し付けることを前提としなければならないと述べていました。エリートを厚遇することで、汚職がはびこる余地を最小限まで狭めました。 
しかしそれには副作用もありました。シンガポールは効率的で汚職も比較的少ないかもしれないのですが、一方で不毛な土地となってしまいました。知的な業績や芸術的な成果が生まれにくい国となってしまいました。 
わずか人口540万人の小規模な都市国家で、ある一時期有効であったにすぎない政策が、より大きく、より複雑な社会にとって有益なモデルとなるとは到底考えられません。 
資本主義と強権政治を組み合わせた国家資本主義を目指した中国の試みは、大規模な富の偏りを伴う腐敗の巨大システムを生み出しました。またプーチンは、自らの政策の社会的失敗、経済的失敗を覆い隠すため、極めて好戦的な国家主義に頼らざるをえなくなりました。

それを思うと、シンガポールの滑らかに流れるハイウェー、摩天楼が林立するオフィス街、磨き上げられたショッピングモールを賞賛せずにはいられません。しかしリーの遺産を評価する際は、金大中・元韓国大統領がリーに向けて書いた言葉に注意を払う必要があります。 
「最大の障壁は文化的な性向ではなく、独裁的指導者やその擁護者が示す抵抗だ」。
金大中氏
さて、長期の独裁政権を率いてきたリー・クァンユーからみれば、確かに過去の日本は自ら円高・デフレ政策をとり、日銀は金融引き締めを、政府は緊縮財政政策を取り続け、それこそ日本国民を塗炭の苦しみに追いやりつつ、中国の経済発展に力強く寄与してきたと当然看破していたと思います。全く、日本の政治家や官僚は無能と映っていたことでしょう。

また、軍事的に見ても、憲法典にある9条にもとづき、どんな場合にも戦力を行使すべきでないという愚かな言説がまかり通っており、これはあたかも、国連憲章でも認められ、西欧では人権と同じく自然権される集団的自衛権をなきものにするごときものであり、確かに生前のリー・クアンユー氏からみれば、日本はいずれ経済的にも、軍事的にも、凡庸な国になるのは必定と見えたと思います。

アジアのそれぞれの国の典型的な顔立ち

そうして、晩年のリー・クアンユーからみれば、デフレであるにもかかわらず、金融緩和の効果がまだ十分に出ないうちに、8%増税を決めざるを得なかった安倍政権、中国の脅威がはっきりしているにもかかわらず、安保法制の改定に拒絶反応を示す日本の野党や左翼の有様をみて、やはり西洋の自由民主主義は「アジア人」には向いていないとの確信を深めたことでしよう。 
日本政権与党が独裁政権であれば、自国経済が疲弊するデフレ・円高政策などそもそも最初から絶対に実行させず、誰が反対しようが鶴の一声で金融緩和、積極財政を行い、無用なデフレ・円高など発生させなかったと考えたことでしょう。にもかかわらず、平成14年には、8%増税をして、さらに 10%増税をするのが当然とする日本の識者や、マスコミの有様をみて、その馬鹿さ加減呆れはてたと思います。 
そうして、シンガポールは無論のこと、国連憲章でも認められ、西欧の自由主義的価値観からも、人権と同じように、自由権として、認められてるいる集団的自衛権など、最初から何の躊躇もなく行使する道を選ぶのが当たり前と考えたことでしょう。それすら、すぐに実行できない日本の状況にも呆れ果てたことでしょう。 
リー・クアンユーからすれば、アジアにおいは、人権は制限するのは当たり前としても、集団的自衛権を自由に行使することを制限するのが当然とする、日本の野党や左翼の存在や与党の中にもそのような者が存在する日本の状況をみて、やはり、アジア人である日本人にも西洋の自由主義など全く理解できず、土台無理であるとさらに自信を深めたことでしょう。 
ところで、リー・クアンユー氏は、今年の3月23日に亡くなっています。安部総理は、昨年の12月に10%増税を阻止することを公約の大きな柱として、衆院を解散して、選挙をすることを決定し、それを実行して、選挙で大勝利をしています。 
これは、戦後初で総理大臣が財務省(旧大蔵省)に真正面から挑み、勝利したということで、一部の識者からは高く評価されいます。そうして、安部総理はこの選挙のときにも、集団的自衛権行使を含む、安保法制の改正を公約に盛り込んでいました。 
この有様を見て、リー・クアンユー氏はひょっとすると、日本は独裁政権でなくとも、まともな国に変わるかもしれないと思ったかもしれません。しかし、これは何とも言えません。なにしろ、亡くなったのが、3月ですから、この状況を把握していなかったかもしれません。 
もし、リー・クアンユー氏があと1、2年長生きをしていたら、日本の今の有様を見て、同じアジアにおいても、ひよっとすると日本においては、西欧型の自由主義は成り立つかもしれないので、しばらく様子を見てみようと考えを変えたかもしれません。
リー・クアンユー氏は、 西洋の自由民主主義は、「アジア人」には向いていないとは述べていました。アジア人は、個人の利益よりも集団の利益を上に置く考え方に慣れていると主張しました。生来、権力者に対して従順で、こうした傾向はアジアの歴史に深く根差す「アジア的価値観」なのだと主張していました。

これは、今日の韓国をみているとよくわかるような気がします。韓国で独裁制が終焉し、民主化がなされてから、最初のうちはまだ良かったのですが、最近ではどんどん北朝鮮に浸食されて、今まさに韓国に親北政権が生まれようとしています。

金大中氏は2009年に亡くなっています。もし、あの世というものがあったとして、後から来たリー・クアンユー氏と会話ができたとすれば、今頃金大中氏は、以下のようリー・クアンユー氏に語るかもしれません。

「やはり、リー氏の言ったことが正しかったようです。韓国人にも西洋の自由民主主義はむいていないようです、結局のところ韓国の今の動きを止めるには、現状では軍による戒厳令の発動しかありません。

しかし、それは一時的なものにすぎません、結局韓国に再度独裁軍事政権を成立させなければ、結局北朝鮮に飲み込まれてしまうだけです」

まさに今の韓国はこのような有様であり、リー・クアンユー氏の予言があたったような形です。中国、北朝鮮、韓国も自由民主主義は成り立たないのかもしれません。

そうして、日本でも呉善花氏が「こんな厳しい国際情勢が目の前にあるのに、日本の国会は能天気に何を議論しているのやらと不安になります」と指摘しているように、森友問題で無駄な時間を費やし、目前に迫っているかもしれない北朝鮮工作員の日本国内でのテロの脅威など全く目に入らないかのように野党はテロ等対策法には真向から反対しています。

そうして、昨日も以下のような報道がありました。
【テロ等準備罪】テロ準備罪めぐり誤認・扇動…野党が空騒ぎ 草野球チームも対象に…死んでいない限り共謀など
SEALDsの元メンバーらが結成した新団体「未来のための公共」の初集会=3月17日夜、国会前
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部引用します。
 共謀罪の構成要件を厳格化した「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案をめぐり、民進党や共産党など野党4党が事実に基づかない曲解や意図的な扇動で批判を強めている。改正案の問題点を突くのが野党の役割とはいえ、ミサイル発射を強行する北朝鮮情勢などが緊迫する中で、国会議員として無頓着な“空騒ぎ”に映る。(田中一世、酒井充) 
 7日夜、国会前で改正案に反対する集会が開かれた。主催は、安全保障関連法に反対し、昨年解散したグループ「SEALDs(シールズ)」の元メンバーの大学生らによる「未来のための公共」。ラップ調で「共謀罪は絶対反対!」などの絶叫が響く中、民進党の江崎孝参院議員がマイクを握り、こう訴えた。 
 「共謀罪を許してしまえば、この国の自由を奪うに違いない」 
 「皆さん方一人一人がもう監視の対象になっている」 
 既に国民全員が監視対象になっているという驚くべき発言に、異を唱える人はいなかった。むしろ「そうだ!」との声が上がり、江崎氏は「共謀罪廃案」に向け「命がけで戦う」と宣言した。社民党の福島瑞穂副党首が続いて発言した。 
 「人と相談し、社会をなんとか変えようとすることが、なんで犯罪になるのか」 
 相談だけで犯罪になることはあり得ず、改正案の趣旨をねじ曲げた解釈だ。共産党の岩渕友参院議員も「犯罪行為がなくても、相談しただけで処罰される恐れがある」と断定した上で次のように強調した。
このような、人たちは集団的自衛権の行使を含む安保法制のときも大反対しました。北朝鮮の暴発があったときには、この安保法制が効力を発揮することでしょう。北朝鮮工作員はによるテロの脅威や、東京オリンピックのときにもテロ対策は完璧にしなければなりません。

今回のテロ等準備罪にあたるような法律は、世界中の他の国々にも存在します。日本だけが存在しません。このようなことでは、テロの脅威に十分対応できません。

まさに、これらの人たち行動は、まるで今の韓国の有様のようです。これらの人々は、リー・クアンユー氏の言うように、まさに西欧的な自由民主主義は無理なのだと思います。

しかし、リー・クアンユー氏の予測は外れている側面もあります。それは、これらの頭がお花畑状態にある人々は、ごく少数であるということです。過去には、テレビなどが頻繁に報道したので、さも多く存在するように見えただけです。

特に、若い世代は安倍政権に賛成する人が多いです、一方頭がお花畑状態の人たちが支援する民進党政権などの野党支持者などはシルバー世代が多いです。特に、民進党はシルバー世代の支持者が多いです。

このまま、時がすぎれば、シルバー世代とともに、野党は消え去るか、お花畑をやめるしかないです。

日本は、歴史的にみても、他のアジアの国々とは違い西欧列強に植民地にされたことはありません。戦争に負けても、驚異的に発展して、先進国に仲間入りしました。

世界でもこのような事例はありません。発展途上国から先進国になった事例は、日本だけです。中国は未だ発展途上国です。一方、アルゼンチンは、日本とは逆に先進国から発展途上国になったただ一つの事例です。

このような歴史を持つ日本は、やはり韓国とは違います。いずれ、リー・クアンユー氏の予測とは異なり、「日本はゆっくりと凡庸になっていく」ことはないでしょう。

韓国は、急速に凡庸なアジアの一独裁国家の北朝鮮に飲み込まれることになるでしょう。中国も、図体が大きいだけのアジアの凡庸な一独裁国家に成り果てることでしょう。

そうして、両国とも先進国になることなく、中進国の罠にどっぷりとはまり、先進国になるそこねた国々として、後世の歴史にしるされることになるでしょう。

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2017年4月7日金曜日

米中会談、習氏土下座懇願 権力闘争も臨戦態勢 河添恵子氏緊急リポート―【私の論評】米による北の外科手術と正恩斬首を黙認する習近平?

米中会談、習氏土下座懇願 権力闘争も臨戦態勢 河添恵子氏緊急リポート

習近平
 ドナルド・トランプ大統領と、中国の習近平国家主席による米中首脳会談が6、7日、米フロリダ州パームビーチで開かれる。最大の焦点は、弾道ミサイルの発射に続き、「6回目の核実験」をチラつかせる、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮への対応だ。中国の動向が注目されるが、何と、正恩氏の強硬姿勢の裏には、中国共産党最高指導部の暗闘が潜んでいるという。「北朝鮮崩壊」を見据えた、安倍晋三首相とトランプ氏の日米首脳電話会談。習氏は、トランプ氏の「斬首作戦」「限定空爆」を黙認することで、「命乞い」するのか。ノンフィクション作家、河添恵子氏による衝撃の緊急リポート。

 結論から言えば、習氏には、正恩氏の軍事的暴発を阻止する力はない。

 なぜなら、金王朝(北朝鮮)との関係は、現在の「チャイナセブン」(=中国共産党最高指導部、中央政治局常務委員7人)の序列3位で、「朝鮮エキスパート」である張徳江・全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員長ら、江沢民派が掌握しているからだ。

張徳江・全国人民代表大会常務委員長
 江沢民派は別名「上海閥」と呼ばれる。だが、中華人民共和国の建国(1949年)から間もないころの江氏のキャリアは、北朝鮮に隣接する中国北東部・吉林省(省都・長春市)にある。

 江氏は50年代、長春第一汽車製造廠(自動車製造工場)に勤務し、モスクワのスターリン自動車工場で研修を受けた。江氏は昇格していく段階で、前出の張氏をドンとする「吉林バン」(ジーリンバン)を形成する。吉林省の幹部を、次々と高級幹部候補に抜擢(ばってき)していったのだ。

 張氏は中国・延辺大学朝鮮語学部で学び、北朝鮮・金日成総合大学経済学部に留学しており、朝鮮語が巧みだ。

 そして、江氏が国家主席就任翌年の1990年3月、初の外遊先は「兄弟国」の北朝鮮だった。金正日(キム・ジョンイル)総書記と会談した際に、張氏が通訳を務めた。正日氏が2006年1月に中国・広東州大学街を視察した際も、当時、広東省委員会書記だった張氏が随行し、江氏は同伴している。

 中朝友好協力相互援助条約の締結50周年を記念して、11年7月、中国から中朝友好協会や中国人民対外友好協会などが訪朝し、正日氏と後継者の正恩氏と面会した。このときも、親善代表団を引率したのは副首相だった張氏である。

江沢民(左)と金正日(右)
 金王朝との2代にわたる緊密な関係を築き、「金(正日)の中国の代理人」の異名まで持っていた張氏は、現政権で序列3位にまで昇格した。

 習政権は「(南北)朝鮮半島の植民地化」を目指して船出した。ただ、習氏は相性が悪い北朝鮮との関係を半ば放棄するかたちで、朴槿恵(パク・クネ)大統領(当時、現容疑者)率いる韓国の属国化に動いた。2015年9月、北京の天安門広場で行われた「抗日戦勝70年」の記念式典と軍事パレードで、朴氏は“異例の厚遇”を受けた。しかし、朴氏は昨年7月、米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備を決めた。つまり、習氏が主導した朝鮮半島工作は失敗したのだ。

 それだけではない。張氏は一昨年6月、韓国大統領選(5月9日投開票)の世論調査でトップを走る、最大野党「共に民主党」の公認候補、文在寅(ムン・ジェイン)前代表とも面談している。文氏は「親北・反日」で知られる人物だ。

 もう1つ注目すべきは、中国人民解放軍の再編である。

 中国は昨年2月、7大軍区から5大戦区に再編された。だが、習氏の「5大戦区すべてを北京で管轄したい」という思惑はかなわなかった。

 逆に、正日氏が生前、何度も訪れている張氏のテリトリー、中国北東部を管轄する旧瀋陽軍区は「北部戦区」となって拡大増強したのだ。

 中国国内外の軍事専門家の間では「瀋陽軍区が正恩体制を支援している」「中国の核開発拠点は成都軍区だが、瀋陽軍区が北朝鮮とともに核開発を進めていた」「食糧もエネルギーも瀋陽軍区や遼寧省の国境町、丹東市周辺の軍産企業から北朝鮮へ流れている」というのが一致した見解だ。

 習一派はここ数年、李克強首相ら共産主義青年団派(共青団派)とも結託しながら、朝鮮半島につながる江沢民派の企業摘発と責任者逮捕、東北3省の幹部の首のすげ替えなどに邁進(まいしん)してきた。その結果、中国は現在、想像を絶する事態に直面している。

 北朝鮮の弾道ミサイルは、米国や日本だけでなく、習氏がいる北京も射程に入れている。中南海(=中国政府や中国共産党の本部がある北京の中心部)への核・ミサイル攻撃や、金正男(キム・ジョンナム)氏暗殺事件と同じ、猛毒の神経ガスVXなどの生物化学兵器攻撃の危険性が高まっているのだ。

 中国一党独裁政権-。この表看板はメッキのごとく剥げ落ちた。北朝鮮の強硬姿勢の「核・ミサイル恫喝」の陰で、「習一派と江沢民派との権力闘争」は、朝鮮半島の38度線にも匹敵する臨戦態勢といえる。

とすれば、習氏は米国へ密かに「命乞い」するしかない。

河添恵子(かわそえ・けいこ)

【私の論評】米による北の外科手術と正恩斬首を黙認する習近平?

北朝鮮が今月5日強行した弾道ミサイルの発射の内容

北朝鮮が5日強行した弾道ミサイルの発射は、米中首脳会談に衝撃を与えました。北朝鮮「単独解決」に傾いている米国と、中国のメンツを省みない北朝鮮の強硬姿勢の間で、習近平国家主席は窮地に立たされ会談に臨みました。

両者は約1時間、双方の夫人と通訳のみで会談した後、夕食会を開きましたた。米政府関係者によると、会談でトランプ氏は習氏に対し、北朝鮮の対外貿易の約9割を占める中国に対し、圧力を強めるよう要求。中国が協力しない場合は、米政府が独自に北朝鮮と取引がある中国企業を制裁対象に加える新たな政策を検討していることを伝えたといいます。

トランプ氏は夕食会の冒頭、習氏のそばで「我々はすでに長く話し合ってきているが、私はまだ何も得ていない。全く何もだ」と強調。トランプ氏の要請に対し、習氏が同調しなかったことにいらだちを見せました。

そうして、米軍のシリアへのミサイル攻撃が、米中首脳の夕食会とほぼ同時に行われたことで、習近平国家主席は、トランプ大統領との会談議題である北朝鮮の核・ミサイル開発阻止をめぐっても、同様の結末が中朝国境を流れる鴨緑江の対岸で現実に起き得ることを認識せざるを得なくなりました。

米軍によるシリアへのミサイル攻撃
一方、中国国営新華社通信によると、習氏はこうした双方の意見が異なる敏感な問題について「適切に処理し、建設的に管理しなければならない」とかわしました。さらに米側が批判を強めている対中貿易赤字を意識し、「両国間で貿易や投資をさらに進め、インフラやエネルギー分野での協力を推進する」と訴えました。トランプ氏に年内の訪中を提案し、快諾を得たといいます。

また、新華社によると、習氏は「良好な中米関係は両国民だけでなく、世界に利益となる。関係を良くするには千の理由があるが、悪くする理由は一つもない」と述べ、まずは両国の関係改善という大きな方向性で一致を目指していく方針を強調しました。

一方トランプ米大統領は6日米中首脳会談に先立ち、米中会談のため滞在先の南部フロリダ州パームビーチで記者団に対し、アサド政権軍の飛行場への軍事攻撃を命じたと述べた上で、「化学兵器の拡散と使用を阻止し抑止することは、米国の安全保障にとり死活的に重要だ」と強調しました。

トランプ氏はまた、「アサド大統領の態度を変えさせようとする過去の試みは全て失敗し、そのせいで地域の不安定化が進んだ」と指摘。その上で国際社会に対し、「シリアでの流血を終わらせ、あらゆる形のテロを終結に導こう」と呼びかけました。

NBCテレビによると、米軍の攻撃では、シリア中部ホムスにある空軍基地が標的となりました。この基地は、化学兵器による空爆で使われたとみられています。


米国はシリアでイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)掃討作戦を展開しているが、アサド政権を対象にした直接攻撃は初めてです。

トランプ氏は6日、ティラーソン国務長官、マティス国防長官らと対抗措置を協議。米艦船から巡航ミサイルを発射し、レーダー施設などアサド政権軍の防空システムを破壊する案が検討されていたといいます。

米軍の攻撃に先立ち、ティラーソン氏は6日、ロシアに対してアサド政権への支援を見直すよう要求し、トランプ政権として対抗措置の検討に入ったと明らかにしていました。CNNテレビによると、米政府はロシア側に攻撃を事前に通告していたそうです。

それにしても、和やかな宴席が衝撃の舞台に急転した例は、中国の史書に多く登場しています。明の永楽帝が帝位を奪取したクーデターも朝廷の役人と宴会中に突然、役人を斬殺したことが始まりでした。

米中首脳の夕食会は予定通り終了したのですが、習氏の心中はどうだったのでしょうか。北朝鮮の弾道ミサイルが北京なども射程に収め、朝鮮労働党指導部が中国に反感を抱く現状は、中国の安全保障を脅かすレベルです。

会談を前に、中国の対米安保専門家の間では、米国の「外科手術」との言葉が頻繁(ひんぱん)に交わされ始めていました。中朝国境付近に多い北朝鮮の核・ミサイル関連施設に対して、米軍が精密誘導兵器によるピンポイント爆撃を加える可能性が「現実味を帯びた」との認識です。

中国は「朝鮮半島の非核化」を掲げつつも、緩衝地帯として北朝鮮を存続させる必要から、労働党政権を追い詰めきませんでした。

米中間では、2013年6月に行われた習氏とオバマ前大統領の初会談でも北の核開発阻止を「米中の共通目標」と表明していました。今まさに4年後の現実が習氏の眼前に突きつけられています。

ところが、王毅・中国外相は、北の大量破壊兵器開発と米韓軍事演習を同列において「同時停止」を提案するなど、なおも“内科治療”での対話解決をめざしています。

中国側は「核問題の主要当事者は米朝だ」(王氏)という逃げ腰で首脳会談に臨みましたが、逆に米朝の強硬姿勢の板挟みで会談を迎える事態となりました。

王毅・中国外相
そうして、北朝鮮による会談直前を狙ったミサイル発射で、米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備をめぐる中国の反発は、さらに説得力を失った形になりました。

外交筋は「この状況認識が準備不足の中で対米会談に応じた主な理由だ」と指摘しています。ただ、中国が北朝鮮への米軍攻撃を認めれば、同国を緩衝地帯としてきた朝鮮戦争以来の安保指針が揺らぐことになります。

訪米に先立ち、習氏は「主権や領土、核心的利益の相互尊重」を表明。訪米を前に強硬手段への難色を米側に示唆した形となっていました。北朝鮮問題で、会談では米の強硬策と中国の実効的な制裁をめぐる米中の駆け引きが見込まれます。

米のシリア攻撃という「宴席の衝撃」は、さらに習近平を追い詰めた可能性があります。習近平は、北朝鮮問題で米国と一定の合意が形成されたとしても、張徳江のような強いパイプを持っているわけではないので、北朝鮮の暴走を止めることはできません。

その状況で、江沢民派との権力闘争を勝利に導かなければなりません。中国共産党大会を控え、習氏は米への弱腰を国内には見せられません。もともと強硬論の強い軍部も対米硬化を深めることは確実であり、中国の軍拡はさらに強まることも懸念されます。

そうして、ブログ冒頭の中国通の河添恵子氏の記事に"北朝鮮の強硬姿勢の「核・ミサイル恫喝」の陰で、「習一派と江沢民派との権力闘争」は、朝鮮半島の38度線にも匹敵する臨戦態勢といえる。とすれば、習氏は米国へ密かに「命乞い」するしかない"とあります。

これだけ、権力闘争が激烈になれば、習近平としては、北朝鮮という江沢民派と強く結びついた、不安要素を一つでも減らしたいと望んでいるかもしれません。

それに関するヒントになるような記事を昨年台湾メディアが報じています。台湾中国時報は昨年9月18日、外交関係者と学者の言葉を引用し、「すでに中国政府は北朝鮮が崩壊しないという前提のもと『金正恩(キム・ジョンウン)除去』策略を完成し、該当計画には米国が北朝鮮の核兵器施設に対する『外科手術式』打撃と金正恩委員長を除去する『斬首作戦』を黙認するという内容も含まれている」と報じました。

中国外交消息筋は「米国のオバマ政権は今年初めに北朝鮮核施設打撃計画を出したが、中国の反対で確定できなかった」とし「しかし北朝鮮が9日、豊渓里(プンゲリ)核実験場で5回目の核実験を敢行し、実戦配備を控えて中国の立場が変わった」と説明しました。

今回の会談では、この中国政府=習近平の米国による外科手術と、斬首作戦の黙認が、習近平に確認されることになるかもしれません。ただし、これは、直接表に出ることはないかもしれません。

これによって、北朝鮮には江沢民派に近い、金正恩に変わって、習近平に近い指導者が生まれるかもしれません。そうなると、習近平が北朝鮮を御しやすくなります。そうなると、権力闘争で習近平に有利な状況が展開されることも予想されます。

米国による外科手術と斬首作戦は、トランプ大統領と習近平の双方にとって、利益をもたらすことになりそうです。

トランプ大統領にとっても、まずは北朝鮮問題を解決して、今度は南シナ海問題を解消しようとしていると考えられます。

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