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2017年12月28日木曜日

【日韓合意検証発表】交渉過程の一方的公表を韓国メディアも批判「国際社会の信頼低下」―【私の論評】北だけでなく朝鮮半島全体に新レジームが樹立されるかもしれない(゚д゚)!


韓国の尹炳世前外相
 慰安婦問題をめぐる日韓合意について、韓国外相直属の作業部会が交渉過程を一方的に公表したことに、韓国メディアからも批判が上がった。北朝鮮問題で日本との緊密な協力が求めれる中、日韓関係の冷え込みを懸念する声も強い。

 「複雑で難しい交渉過程を外交慣例を無視して一方的に公開したことは、韓国外交への国際社会の信頼を今後、低下させるだろう」

 尹炳世前外相は27日の検証結果発表後、記者団へのメールで危惧を表明した。尹氏は2015年12月に合意を発表した当事者だ。

 検証報告書は、韓国政府が非公開の合意で、日本側の要望に対して譲歩していたことを問題視した。しかし、保守系紙、中央日報は28日、社説で「われわれの希望を成し遂げるには相手の要求も聞き入れなければならない。一定部分は公開できないこともある」と非公開合意に理解を示した。

 さらに「大きな問題は、経緯調査という名目で外交上越えてはならない一線が守られなかった事実だ」と指摘。韓国で外交文書は原則、30年間非公開とされるが、わずか2年での交渉過程の公表を批判した。

 安倍晋三政権が14年に慰安婦問題をめぐる1993年の河野洋平官房長官談話の検証結果を公表した際、韓国政府は「信頼を傷つけた」と非難していた。同紙は「日本はいうまでもなく、どの国が韓国政府を信じて秘密の取引ができるだろうか」と疑問を呈した。

 検証結果を受け、元慰安婦の支援団体などが「合意の無効化」を主張する中、朝鮮日報は社説で、合意を破棄し、再交渉を求めれば、「韓日関係は破綻するだろう」と警告。「北朝鮮が核武装の完成を宣言した状況で、いつまでも過去にとらわれているわけにはいかない」とも強調した。

【私の論評】北だけでなく韓国を含めた半島全体に新レジームが樹立されるかもしれない(゚д゚)!
いま韓国は国が理性を失いつつあると感じる。(略)政治家は扇動し、大衆は集団狂気を噴出させている。理性が行方をくらまし、憤怒と感情、アブノーマルがのさばる国になった。すべてが滅びようとしているかのようだ。
短絡的かつ他人の話を聞けない方々が、「ヘイトスピーチだー」とわめき出す前に言っておきますが、これは朝鮮日報(日本語版)の今年の2月に掲載された<韓国はみんな狂っている、まともではない>というコラム記事を引用したものです。つまり韓国のメディアが、自国の現状を自虐的に嘆いて見せたのです。

確かに当時から、韓国は苦境にありました。経済は長く低迷し、政治はパク・クネ大統領がスキャンダルによって機能停止。米国と中国を二股かけたがゆえに、どちらからもキツい当たりを受けていました。そして何よりも、今まで韓国が前言撤回しようと、約束を破ろうと、国際法違反しようと、とてつもない侮辱を浴びせようと、されるがままで、あげく最後は謝ってきた日本に、手厳しい反撃を浴びるようなりました。

言うまでもなく韓国内の日本大使館や領事館前に建てられた「慰安婦像」を巡り、日本政府が取った対抗措置のことでした。なかでも10日ほどで戻されるはずと韓国も高をくくっていた駐韓大使の一時帰国が、官邸首脳によって引き延ばされたことの衝撃は大きなものでした。

さすがの韓国(メディア)も深く反省して自虐記事を記した、ということなのでしょうか。

日本の反撃にショックは受けたようですが、相手国を慮るのではなく、すべては自国中心目線に帰結させるのが韓国の本質です。韓国はいつもの反省なき韓国でした。ゆえに冷め切った日韓関係も、融和の糸口が見つからない状況にあります。

「慰安婦問題を大きくしているのは日本」

などと、河野洋平・元衆院議長は語っていましたが、慰安婦問題の捏造に大きく貢献した河野氏の言うことを、真剣に聞く人はいないでしょう。いま日本人は、日韓関係をどうしたいと思っているのでしょうか。今年の1月28、29日両日実施したFNN・産経合同世論調査によると、
<韓国を外交や経済活動の相手国として信頼できない> →77.9%
<(慰安婦問題を最終解決した)日韓合意を韓国が守らないことを懸念する> →86.4%
前述の駐韓大使一時帰国など、自民党政府の対抗措置も8割超の賛成を受けていました。政党別に見ても、すべての主要政党支持者の間で政府支持が圧倒的に上回りました。これは、当時の民進党支持者であっても、共産党支持者であってもです。

現在では、駐韓大使は、韓国に戻りましたが、それも北の脅威が高まったので、いざというときの邦人救出のためなどのための一時的な措置であると考えられます。

つまり日本国民は、当時からほぼ韓国を信用していないのです。経済的にも、日韓通貨スワップなど必要としていないとしています。間違いなく、日韓は距離を置いた方が良いのです。

そうして、現状の韓国は、文在寅が大統領になりましたが、朴槿恵時代よりも酷いことになっており、とうとうブログ冒頭にある日韓合意検証発表なることをしでかしたのです。

ただし、韓国の崩壊を最も喜ぶのは北朝鮮であり、中国共産党でもあります。そうなると、日本にとっても危険が増大することになります。韓国にはもう少しだけ理性的になってもらいたいものですが、それは無理というものでしょう。

この韓国の異常ぶりは、日米中露も十分に理解しています。このブログではそれについては何度か掲載しました。その代表的な記事を以下に掲載します。
米WSJ紙、文大統領を激烈批判「信頼できる友人ではない」 韓国メディアは狂乱状態―【私の論評】「北朝鮮版ヤルタ会談」から締め出された韓国(゚д゚)!

韓国文在寅大統領(右)との会談を終え、記者会見するトランプ米大統領
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、トランプ大統領訪韓時に韓国がおかした最大失敗について掲載しました。その部分を以下に掲載します。
 最大の失敗は、もう韓国は北朝鮮有事の後の新たな東アジアの秩序づくり、いわば「北朝鮮版ヤルタ会談」には実質的に参加できないということです。
韓国が「北朝鮮版ヤルタ会談」から締め出されたのは、日米中露ともに、韓国の異常ぶりに気づいていて、韓国をこの会談に入れれば、話が複雑化するだけであると理解しているともいえると思います。
韓国では、北崩壊後には以下のような分割統治になると予想する内容がテレビで報道されているそうです。

しかし、私自身は、これに日本や他国も加わる可能性も十分にあると思います。もしかすると、北朝鮮版ヤルタ会談から実質的に外された韓国は、北の分割統治には加われない可能性すらあると思います。

さらに私としては、「北朝鮮版ヤルタ会談」の中にはひよっとすると、韓国の将来を決めることも盛り込まれていたのではないかとも考えています。
現在の文在寅政権は、かなり親北的です。これは、日米からみると、北が米国の圧力に屈したり、武力攻撃で崩壊したしたにしても、韓国にその勢力が残存することになり、実質半島全体が北朝鮮になってしまうかもしれません。これはかなりやっかいなことになります
中露からすれば、北朝鮮が一方的になくなれば、いずれ韓国が北の領域も併合することになるかもしれないという危機感があります。そうなると、今までは日米との間に北という緩衝地帯があったにもかかわず、それがなくなることを意味します。
これは、日米中露にとっては良いことではありません。であれば、朝鮮半島全域を日米中露と他国をも含めた国連軍などで統治した後に、ここに日米寄りでも、中露寄りでもない中立的な新国家を設立するというのが最も望ましいかもしれません。
こうすることにより、半島問題はすっきりかたがつきます。現在までの「北朝鮮版ヤルタ会談」では、北の崩壊直後の話し合いはされているかもしれませんが、韓国の扱いまではされていないかもしれません。
しかし、北の後には、韓国を何とかしなければならないという機運は、日米中露の間で高まるのは間違いないものと思います。ただし、これはすぐにということではなく、北朝鮮崩壊後数年から10年後ということになるでしょう。まずは、北崩壊後の真空地帯をそのまま放置すれば無政府状態になりとんでもないことになります。
まずは、この真空地帯を埋めることになるでしょう。そのためには、ここをいくつかの国で分割統治することになると考えられます。
海外に覇権された自衛隊
ただし、日本が北崩壊後に多少の犠牲が出るのを承知で、北に自衛隊駐屯させることを拒めば、日本は米国の信頼を失い、中露からは見下されることになるでしょう。そのような場合には、日本は韓国並に扱われることになるでしょう。自国を含む、アジアの新秩序に全く関与できなくなり、それを一方的に米中露に決められることになるのです。
これによって、第二次世界大戦による「戦後レジーム」はなくなりますが、その後も新たなレジームの中になすすべもなく組み込まれることになります。
ただし、日本が北に自衛隊を駐屯させれば、米国日本に対する信頼はますます大きなものとなり、中露は日本を見直すようになり、新たなアジアの新秩序に積極的に関与できるようになり、いわゆる「戦後レジーム」から完璧に脱却できるようになるでしょう。
いずれにせよ、北対応はこれからの日本にとって正念場になるのは間違いないです。
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2017年11月17日金曜日

北朝鮮 SLBM搭載の新型潜水艦建造か―【私の論評】日本は北を先制攻撃しても世界から非難されないが国内で非難されるこの矛盾(゚д゚)!

北朝鮮 SLBM搭載の新型潜水艦建造か

潜水艦のものとみられる部品が移動、SLBM用の潜水艦の建造進展か
 アメリカの北朝鮮研究機関は16日、北朝鮮東部で、弾道ミサイルを発射できる新型の潜水艦の建造が進んでいる可能性があるとして、衛星写真を公開した。

 アメリカの北朝鮮研究機関が公開した北朝鮮・新浦にある潜水艦基地の衛星写真で、建設エリアでは継続的に部品が動かされ、中には潜水艦の船体部分の部品とみられるものがあることから、SLBM(=潜水艦発射弾道ミサイル)を搭載するための、新型潜水艦の建造が進んでいる可能性があると分析している。

 また、エンジンの噴射実験を示す動きが確認できるとして、潜水艦の建造と並行して、SLBMの開発も続いていると指摘している。

【私の論評】日本は北を先制攻撃しても世界から非難されないが国内で非難されるこの矛盾(゚д゚)!

本日写真を公開したアメリカの北朝鮮研究機関とは、38 Northのことです。この写真が掲載されている元の記事は以下のリンクからご覧になることができます。
North Korea’s Submarine Ballistic Missile Program Moves Ahead: Indications of Shipbuilding and Missile Ejection Testing
38Northは、フェイスブックページがあります。以下にそのページのリンク先と、そのページにあった写真を掲載します。
https://www.facebook.com/38NorthNK/

38ノース(38 North)は北朝鮮に関する分析を専門とするウェブサイト。ジョンズ・ホプキンズ大学ポール・H・ニッツェ高等国際関係大学院の米韓研究所(USKI)のプログラムであり、米国務省の元職員ジョエル・S・ウィットとUSKIアシスタント・ディレクターのジェニー・タウンによって管理されています。

著名な貢献者として核科学者のジークフリート・ハッカー 、元AP通信平壌支局長のジーン・H・リー 、サイバーセキュリティの専門家ジェームス・アンドリュー・ルイス及び「ノースコリア・テック」の創設者マーティン・ウィリアムズがいます。

Siegfried S. Hecker (ジークフリート S. ハッカー)
38ノースは北朝鮮の主要分野の商業衛星画像を使用し、アナリストに国内の開発に関する洞察を明らかにする機会を提供しています。たとえば、過去に以下のような発表を行っています。
2013年11月、38ノースは北朝鮮のミサイル発射地点で新たな建造物を発見したと公表し、より大型のロケットを扱えるようにアップグレードされていると述べました。
2015年12月21日の北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星1号」の「排出」実験後の2016年1月に、38ノースは新浦市南部の造船所の衛星画像分析を使用して北朝鮮のSLBMプログラムについて報告しました。ジョセフ・バミューデスは衛星画像は北朝鮮のSLBMプログラムへの能動的な探求を示していると述べ 、その予測は後に2016年の3回のSLBM実験(4月23日、7月9日、8月24日)や、2017年2月13日に北極星1号を改良し、地上発射型にした新兵器「北極星2号」の試験発射成功で裏付けられることになりました。
2016年1月下旬、38ノースは北朝鮮の東倉里ミサイル発射場での不審な活動を報告しました。ジャック・リウによる衛星画像分析で東倉里の主要施設と地点で低レベルの活動が示されました。記事が公表されてから10日後、北朝鮮は東倉里で人工衛星「光明星4号」を搭載した光明星の打ち上げを実施しました。
2016年4月、38ノースのアナリストは主要プラントを加熱するために使われた寧辺核施設の蒸気プラントから出ている排気プルーム(煙)について報告しました。これは追加プルトニウムの再処理が進行中である徴候の可能性があるとされました。4月中旬、38ノースは北朝鮮が核兵器用のプルトニウムの再処理を開始したことを示す活動を報告しましたが、国際原子力機関は約2ヶ月後の6月7日まで認めませんでした。
2016年9月、38ノースはジョセフ・バミューデスとジャック・リウによって行われた衛星画像分析に基づき豊渓里核実験場の3か所のトンネル全てで新たな活動が見られると報告したました。この活動は、メンテナンスと小規模な掘削作業が再開したことを示していました。翌日、北朝鮮は豊渓里で5回目の核実験を実施しました。
過去の実績内容からみても、38ノースはかなり確度の高い情報を提供しています。北朝鮮情勢を知るには見逃せないサイトです。

朝鮮中央テレビでは、昨年「戦略潜水艦弾道弾水中発射成功」を大々的に報道しました。その動画を以下に掲載します。



このときは、まだ半信半疑でした。今回の38ノースの発表からどの段階までいっているのかわかりませんが、SLBMとこれを発射可能な潜水艦を開発中であることは間違いないようです。いつ開発に成功し、実戦配備するのかは、まだ未知数ですが、北朝鮮の過去の核・ミサイルの開発をふりかえると、いずれ数年のうちにはブロとタイプができるとみるべきでしょう。

だからこそ、38ノースはこの動きを公表したのでしょう。日米の対潜哨戒能力などは、かなり高度であり、たとえ北朝鮮がSLBM発射可能の潜水艦を開発したとしても、それを撃沈することはできます。しかも、北朝鮮の付近の海域には、日米が追跡することが不可能なとほどの深い海域はありません。

さらに、北朝鮮の潜水艦は原潜ではないので長い期間潜水することはできません。また、原潜までいかなくとも、技術水準の高い水準の高い日本の新型潜水艦のように、実戦的には十分であると考えられる長時間潜水もできません。ちなみに原潜は理論上、無限近いほどに潜水していられますが、乗組員の飲料・食料の補給、交代があるため限界があります。

しかし、そうはいっても潜在的脅威になることは間違いないです。北朝鮮のSLBMを搭載した潜水艦がオホーツク海や、南シナ海の深海に潜伏することが可能になれば、日米もこれを発見することは難しいです。

現状では、そんなことはあり得ないと断言できますが、中国がその究極の目的である深い海域のある南シナ海を中国原潜の聖域(戦略原潜を深海に沈めて敵から発見できない場所)にすることに成功した場合、北朝鮮の潜水艦もここを聖域にすることを許容するなどということも考られます

あるいは、元々北朝鮮という国をつくったソ連の後継国であるロシアが、深い海域が存在するオホーツク海を北朝鮮の潜水艦の聖域にすることを許容するなどということも全くあり得ない話ではありません。

もし、そのようなことがおこることが事前に察知できた場合には、日本としては北朝鮮の潜水艦を撃沈することも視野にいれておかなければなりません。

イスラエルは、過去にイラクの原子力施設を破壊したことがあります。これは、イラク原子炉爆破事件として有名です。

建設中に破壊されたイラク・「オシラク原子炉」
イラク原子炉爆撃事件は、イスラエル空軍機がイラクのタムーズにあった原子力施設を、バビロン作戦(別名オペラ作戦)の作戦名で1981年6月7日に攻撃した武力行使事件です。

これはイラクが核兵器を持つ危険性があるとして、イスラエルが「先制的自衛」目的を理由にイラクに先制攻撃を行ったものです。この攻撃に対して国際連合安全保障理事会決議487(英語版)がなされ、イスラエルは非難されました。

バビロン作戦における戦闘爆撃機の飛行進路
しかし、これはイラクの原子力施設が必ずしも核兵器につながるとはいえないにも関わらず、先制攻撃したため非難されたものです。しかし、結果としてイスラエルはイラクの原子力施設を破壊して、イラクの核の脅威を葬り去ったのです。

日本の場合は、北朝鮮が日本に攻撃すると威嚇し、実際にミサイルの発射実験を行ったり、核実験を行っているし現実に北朝鮮は日本にミサイルを発射することができるわけです。北朝鮮の報道官が、今年8月9日に「日本列島を瞬時に焦土化できる」と警告する声明を発表しました。日本が北朝鮮を先制攻撃をして、核施設やミサイル施設を破壊したとしても、イスラエルのように非難されることはありません。

当の北朝鮮や、中国やロシアなどは非難するかもしれませんが、国際連合安全保障理事会決議により、非難されるということにはなりません。他の国々は最初から非難することもないでしょう。

なぜなら、国連憲章でも独立国の自衛戦争は認めらているからです。独立国であれば、自国が他国に攻撃されることがあらかじめわかっている時に自衛のために他国を攻撃することは自然権であるという認識は、世界の常識です。その常識が日本にだけ通用しません。

日本も、この自衛戦争は、憲法改正でも良いし、憲法解釈の改変でも良いのでできるようにしておくべきです。

仮に日本が北朝鮮を先制攻撃しても、世界から非難されることはないのに、日本国内で非難されるという、この奇妙な現実は変えなければなりません。

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2017年11月6日月曜日

トランプのアジア歴訪は、北朝鮮への「最後通牒」だと判断すべき理由―【私の論評】日本は北に先制攻撃を行う権利を有する(゚д゚)!

トランプのアジア歴訪は、北朝鮮への「最後通牒」だと判断すべき理由

現実を直視しなければならない

夕食会にのぞむトランプ大統領夫妻と、安倍首相夫妻


現実を直視するならば


いよいよ「北朝鮮攻撃」へのカウントダウンが始まった。今回のトランプ大統領のアジア歴訪は、北朝鮮にとって最後の猶予である。

本コラムにこれまで書いてきたように、筆者は北朝鮮が無条件に核ミサイルの開発を中止でもしない限り、近いうちにアメリカ(または国連軍か有志連合軍)を中心に北朝鮮への武力行使が始まる、と見立てている。

筆者もできれば戦争などは起きてもらいたくないし、まして日本から極めて近い朝鮮半島での戦争は真っ平だ。

しかし、それでも現実を直視しなければならない。筆者が「カウントダウンが始まった」と考える理由は単純だ。北朝鮮に対する国連安保理の制裁がすでに9回を数え、もう限界まできている、と言わざるをえないからだ。

最後の9回目の制裁が行われたのは9月11日。北朝鮮による6回目の核実験強行を受け、安保理が新たな制裁決議案を採択したものだ。常任理事国の中では北朝鮮寄りである中国もロシアも拒否権を発動せず、全会一致の決議だった。

現実的にはあと1回しか制裁のレベルを上げる余地は残されていない。北朝鮮が核開発をやめなければ、次に待っているのは、国連軍か多国籍軍による攻撃しかないのだ。

トランプ大統領のアジア歴訪は、極東アジアの安全保障から考えると極めて画期的である。その中身はおそらく、「北朝鮮が非核化に合意しない限り、軍事行動する」という考えを伝えるためのものだろう。

ここで、さらに北朝鮮に時間を与えるという選択肢はないだろう。これまで猶予を与え続けてきた結果、北朝鮮は国際社会を欺いてきたからだ。

軍事的には、北朝鮮による核ミサイルが実戦配備ギリギリのタイミングであるので、そうなる前、近い将来に武力行使した方が、しない場合よりもリスクが少なくなる。

そうであれば、武力行使を躊躇する理由はない。対北朝鮮カウントダウンが既に進行中であり、チェックメイトまでもうクビの皮一枚という状態になっているのだ。こう考えるのが国際政治の常識で、各国の指導者もまともならば、同じことを考えているはずだ。


もちろん、最後の最後まで武力行使回避の話し合いは水面下で行われるべきだし、実際にも行われているはずだ。そもそも、国連の対北朝鮮への経済制裁とは、意図的に抜け穴を作り最後通牒にならない形で圧力をかけ、その間に交渉し、武力行使に至らないようにする仕組みだ。

制裁は交渉のための圧力手段であるので、抜け穴があるのが当たり前だ(もっとも、これまで類似の制裁措置で北朝鮮に十分な時間を与えてきたが、北朝鮮はそれを無視してきたのも事実だ)。

国連が最後の経済制裁という圧力をかけ、実際に武力行使のカウントダウンが始まれば、北朝鮮が全面的に屈服する可能性もある。その際は、金書記長の亡命などが行われる可能性も残されている。この場合には、武力行使はなくなり、北朝鮮の非核化・金体制の崩壊になって、極東アジアには安定がもたらされるだろう。

逆に言えば、北朝鮮の全面的な屈服なしでは、国連の経済制裁、その後のカウントダウン、その後の国連軍(多国籍軍)による武力行使という確率が高いというのが現状である。

アメリカの本音は「一国でも攻撃できるが、しかし、国際的な正統性を得るためには国連決議を経るのががベスト」というものであろう。常任理事国の賛成を得て、北朝鮮を征伐すれば誰も文句を言えない。

これは表向きの戦略であるが、欠点もある。

国連抜きの手順も…?


一つには時間がかかりすぎ、軍事的にベストなタイミングで武力行使できない。いくら米朝で軍事格差があり米軍が圧倒的に優位であるとはいえ、被害を極小化したいアメリカには不満があるだろう。

もう一つは、国連の手続きは、北朝鮮にも筒抜けであり、北朝鮮に先制攻撃のチャンスを与えてしまうということだ。北朝鮮は国連加盟国であり、これまで国連内に独自の情報網を築いてきた。潘基文(パン・ギムン)国連事務総長時代に、北朝鮮の国連職員を多く採用したという話もある。これは軍事面から見れば手痛い点だ。

こうしたことから、アメリカは表向き国連を中心に物事を進めているようにみえても、裏では国連抜きの手順も進めているはずだ。

このような対北朝鮮への武力行使では、残念ながら日本の出番はほとんどない。実際には、このアメリカの行動について、米中ロとともに行動するしかない。これはリアルな軍事力を持っていない日本の宿命である。

ただし、経済面での貢献はできる。トランプ大統領のアジア歴訪は、日本の後に韓国、中国、そしてAPECという順序だ。APECでは、ロシアとも接触するであろう。そこでは米中ロの超大国が、北朝鮮問題を話しあう機会もあるかもしれない。

それは、北朝鮮版「ヤルタ会談」ともいうべきである。そこまでくると、北朝鮮への武力行使の後、どのように北朝鮮の統治をするのか、北朝鮮をどこ管理下にするかも話し合われるはずだ。

もちろん、日米首脳会談でも、そうした「ポスト北朝鮮問題」は話し合われるはずだ。もっとも、対外的にはそうした機微に触れる話は公表されることはない。無難に、経済問題が表に出されるのだろう。しかしその経済問題でこそ、日本の貢献が問われる。

さて、経済政策は話し合われたのか


今回のトランプ大統領の訪日では、安全保障問題で、日米の同盟関係の強固さを対外的に印象付けるのが目的であるので、経済面については日米で議論しないかもしれない。それならそれでいいが、トランプ大統領の顔を立てる必要があるのならば、アメリカが日米FTAを持ちだしたときには、それに応じてもいいし、心配なら日米韓FTAをやろうと応じてもいい。

北朝鮮や中国に対抗する概念は「自由」である。その最たるもののひとつが「自由貿易」になる。トランプ大統領は「保護主義的」と報道されているが、実は本質はビジネスマンであるので、TPPのような多国間自由貿易は否定していない。多国間、という点に不満があり、多国間となればアメリカの力が見せられないので不満という意味で、TPPを否定したのだ。

筆者は、アメリカ大使館の人とも話しているが、彼らは日米FTAを望んでいる。筆者は、日米FTAでもTPPを交渉スタートとすれば日本の国益は確保できると思うが、それでも心配なら韓国も加えて、日米韓FTAでもいいと思っている。

中国経済圏に対抗するためにも…


自由貿易園の裏側には、しばしば軍事同盟があるので、この際、北朝鮮、さらには中国とロシアへの経済的な圧力という意味もこめて、日米韓FTAはいいアイディアだろう。これは米韓FTAの後押しにもなるので、米国にとって悪い交渉ではない。

これで日米韓が結束すれば、軍事的もいいし、なにより、アメリカが中国を訪問する時に、中国を貿易問題で締め上げることができる。そうなれば、北朝鮮へ対する中国の圧力も引き出しやすくなるだろう。


この表は、今年9月までのアメリカの貿易赤字において各国が占める割合であるが、圧倒的に中国の問題であることがわかる。日本に対する貿易赤字は、中国、EU、メキシコの次いで4位でしかない。

日米韓FTAは、長期的に見ても、中国の覇権に対抗できるし、さらに、将来的にオーストラリアやさらにはインドまで視野に広げて考えることもできる。

さてその中国だが、習政権が2期目に突入した。どのように習政権と対峙すべきかは、アジア諸国の重要課題だ。先日の中国共産党大会で、党の最高規則「党規約」の改正や最高指導部メンバーなど重要事項を決めた。「習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想」を行動指針として明記することになった。「習近平思想」という簡潔な文言ではなかったものの、「習近平」という名前が入ったことで、「毛沢東」と並ぶ権威となったとみるべきだろう。

中国は共産党一党独裁であり、共産党規約は憲法の上位になっている「最高規範」である。そこに、個人思想をいれるとは驚くばかりだ。そのうち、中国へ進出している外国企業の定款に習思想を取りいれろという指導が出てきてもおかしくない。今の日本の憲法議論で、既在の自衛隊の法的位置づけを憲法に盛り込むというのとまったく次元の違う話であることがわかるだろう。

しかも、習近平氏の次の指導者は、今回の高指導部メンバーではみえなかった。つまり、習近平氏の独裁による共産党独裁が当面続くのだ。

こうしたことをやる独裁的国家に対して、日本を含めアジア諸国はどのように対峙すべきか。政治的な独裁は、自由で分権を基調とする資本主義経済とは長期的には相容れないのは、ノーベル経済学賞学者であるフリードマンが50年以上も前に喝破している。

ところが、ここ10年スパンで見れば、中国は経済成長している。もっとも筆者は、脱工業化に達する前に中国は消費経済に移行してしまったため、一人あたりの所得が低いうちには高い成長率になるものの、先進国の壁を越えられない、よく見られる開発経済の典型例に陥るだろうとにらんでいる。それが正しければ、次の10年スパンで成長が行き詰まる可能性が高い。

実は中国もこの点を認識しているようであり、中国国外に活路を見いだしている。それが、AIIB(アジアインフラ投資銀行)を梃子とする「一帯一路」構想だ。これは、中国指導による経済圏を中国国外に広めようとするものだ。この経済圏は、先進国の自由貿易圏とは違ったルールに基づくもので、日本を含む自由主義国にとっては国益にならない。

そこで、これに対抗するためには、AIIBとは別機軸の自由貿易圏が必要になってくる。自由貿易圏と中国指導貿易圏では、自由主義と規制主義でどちらかが経済パフォーマンスがいいのか。自由主義には欠陥はあるが、それを補正すれば長期的には優れている。ちょうど、資本主義体制と社会主義体制の間の体制間競争では、欠陥はあるが長期的な経済パフォーマンスは資本主義が優れていたのと同じである。

その自由貿易圏の核となるために、日米韓FTAが大きな貢献をする。このトランプ大統領訪日のタイミングで、こうしたことが話し合われたかどうかは、実に興味深いテーマだ。

【私の論評】日本は北に先制攻撃を行う権利を有する(゚д゚)!

4月のトランプ、習近平会談
トランプ大統領が習近平国家主席と4月に首脳会談を行ったことは記憶にまだ新しいです。当時は日本国内でも、「北朝鮮はすぐに核実験をするはずだ」と考えられていました。
この会談の席で、トランプ大統領は習近平に対して「もし北朝鮮が核実験をして、それでも中国が普段通りにビジネスを行うのであれば、アメリカは中国からの輸入に規制をかける」と述べていました。

このトランプの要求を受け入れた習近平は、すぐに北朝鮮に連絡をとって核実験の停止を求めており、それに従わなかった場合には中国からの北朝鮮への輸出を制限すると脅しています。

このメッセージは聞き入れられて、北朝鮮は核実験を止め、平壌の中で噂が広がって人々はガソリンスタンドに群がりました。

しかも中国政府は、北朝鮮からの輸入も止めています。ただし海産物の輸入は続いていたようで、中国国内の北朝鮮政府経営のレストランは相変わらず営業していたとされています。石炭に関しては中国が輸入をやめたので、価格が低下し、北朝鮮の人々が安く手に入れられるようになり、喜んでいることは以前このブログに掲載しました。

ただしこれがミサイル発射実験への対抗措置であったのかは不明です。

ところが北朝鮮の核実験が停止、つまり北からの声明はなかったのですが、目に見える行動がなくなった次に起こったのは、米・中・日が逆に弾道ミサイルの実験の方に関心を寄せはじめた、ということです。

7月28日の北朝鮮のミサイル発射実験に対して、国連安全保障理事会は全会一致で決議案2371号を可決しましたが、これははじめて核実験を行った2006年から6度目の制裁決議であり、その中でも最も厳しいものでした。

弾道ミサイル「火星12」の発射訓練を視察する金正恩朝鮮労働党委員長
それは北朝鮮から石炭、鉄鉱石、銅、そして海産物という、彼らが物的に輸出できる商品のすべて(衣類を除く)を禁止するものであり、労働者のさらなる受け入れも禁止(といっても現在の雇用は今後も継続)するものでした。

しかもこの時の安全保障理事会のメンバーは、5カ国の常任理事国だけでなく、「過激」なボリビア、北と伝統的に友好国であるエジプト、そして長期的に外交関係を持っているスウェーデンなどが含まれていました。

11日、ニューヨークで開かれた国連安全保障理事会で、北朝鮮制裁決議案を採択
そういう意味で、この国連の安保理決議はアメリカにとって外交的な大勝利であり、アメリカが長年中国から得ようとしていた「大きな譲歩」でした。

それほど重要ではないミサイル発射実験に対応したおかげで、中国は北朝鮮の核実験を止めるための外交的なレバレッジを使い切ってしまいました。そしてまずいことに、北はすでに核実験を再開しています。

外交カードがなくなれば、残りの手段は軍事行動しかなくなります。

ところがそれよりも最悪のシナリオは、北朝鮮を核保有国として認め、金正恩が思いついた時に、いつでも韓国と日本を脅せるようになることを受け入れることです。

さらに、北朝鮮はイランに対して行ったように、核兵器や弾道ミサイルの部品などをいつでも海外の国々に売却できるようになります。

これはいわゆる「降伏」の一つの形態です。われわれは核武装して周辺国を脅すことのできる北朝鮮を受け入れて、その脅威の下で生き延びるしかなくなります。

文在寅韓国大統領とトランプ米大統領
ところが、アメリカの統合参謀本部も、在韓米軍も、太平洋軍司令部も、軍事的なオプションを何も提示しておらず、目の前の問題とは関係のない「韓国を守る」ことしか宣言していません。

もちろんこれは、ソウル周辺が北朝鮮の(非核)ロケットや砲撃に弱いからです。この事実は韓国を麻痺させているわけなのですが、同時に米軍の指揮系統にもそれ以上の非合理的な問題をおこしています。

これに関して、以下のような三つの事実を列挙しておきます。
1.韓国政府は、1975年から78年の危機の後も、政府機能や企業のソウル以外への分散化について何も行動を起こしていない。 
2.韓国政府は、攻撃にさらされる危険が高い地域があるにもかかわらず、そこに対する防御策を講じていない。 
3.韓国政府は、技術的にも可能であった対空兵器等の購入を拒否している。
ここで指摘しておくべきなのは、北朝鮮の核施設を、イラクとシリアの施設に対して行われたように攻撃するというのであれば、そのチャンスははるか以前に過ぎさってしまっているという点です。

ただし北朝鮮は、今日においても空からの攻撃に対抗できるような、統合された防空網を持っていません。レーダーは40年以上前のものであり、それをつぶすのは簡単です。

また、北朝鮮は即時発射式の核弾頭搭載型ミサイルを持っているわけではありません。しかも核弾頭を飛行機で運搬できるわけでもないのです。

当然ながら、既知の、もしくはその疑いのある核施設に対する空からの攻撃は、拡大的な被害や核物質による汚染を引き起こすはずです。

それに対抗して、やはり北朝鮮は韓国の脆弱な地域に対して多くのロケットを発射するでしょう。

ところが「軍事行動を起こさない」ということは「何も行動しない」ということを意味します。外交的な手段は尽きてしまっているからです。


そのような中で、トランプ大統領の北朝鮮に対する政策には大きな問題があります。なぜなら、その軍事アドバイザーたちは、ほとんどがアラブやアフガニスタンのように、ろくに反撃できない相手と戦っていた経験を持つ人々だからです。

ところが北朝鮮は対抗手段をもっています。そうなると戦略のパラドックス、つまり攻撃をしかける側とそれに対抗する側との作用と反作用が起こるため、戦略の計算が非常に困難になってしまうのです。

トランプ政権の軍事アドバイザーたちは、果たしてこのようなダイナミックな関係性を考慮した上で、軍事的なオプションを本気で考えられるのでしょうか。

マティス米国防長官は9月18日、核・ミサイル開発で挑発を続ける北朝鮮への対応について、「多くの軍事的選択肢がある」と語りました。「選択肢」には、北朝鮮による報復攻撃で韓国の首都ソウルが危険にさらされない方法も含まれていることを強調しました。しかし、これは本当なのでしょうか。実際にそれは可能なのでしょうか。

もちろん彼らの考える軍事オプションはいくつも存在しますが、それらには一つの条件があります。

それは、韓国が何十年間にもわたる自分たちの無責任な態度に大きな代償を支払うことを、本当に受け入れられるかどうかです。

ところが現在の彼らのオプションは、ただ単に「金正恩に得をさせる」というものなのです。北朝鮮をめぐる情勢は、今後もしばらくは予断を許さないままでしょう。

無論、米国は近日中に軍事的行動を起こす可能性は高いですが、かといってどれほどの覚悟で実行するかは別問題です。軍事的行動を起こすとはいっても、様々なオプションがあります。たとえ、米国が軍事攻撃をしたとして、金正恩が失脚したり、亡命したとしても、北朝鮮の体制は温存される可能性もあります。

韓国ははなからあてになりませんが、米国が覚悟を決めて、北朝鮮に米軍や多国籍軍を進駐させ、50年以上にわたり、この地を監視して民主的な体制を築く覚悟がなければ、この地域は次の戦争の弾薬庫となる可能性もあります。いずれ核実験や、ミサイル発射実験をはじめるかもしれません。

護衛艦「いずも」は空母に改装できる
この予断を許さない中で、日本は何をすべきなのでしょうか。

日本に必要なのは核抑止力ではなく、役に立つ防衛力です。先制攻撃能力を持つことで抑止力が強まります。

たとえ1,000発の核兵器を持っていても実際にはなかなか使えないので、ナイフよりも無意味です。ナイフは簡単に使用できますが、核は強力すぎて使うに使えない兵器です。ただし、使えなくても保有することには一定の意味があることも確かではありますが、一足飛びに核に走るそれ以前にまずは先制攻撃能力が必要です。両方を持てば、完璧です。

北がすっかり欠いているものは、上にも述べたように防空体制です。北朝鮮のレーダーは40年以上前のものであり、それをつぶすのはいたって簡単です。なぜそうなっているかといえば、技術的な理由で、防空には莫大なカネがかかるからです。

自国民が脅威に晒されているとき、その直接の危険を除去するために先制攻撃を行う権利はあらゆる国家が持っています。日本政府がそうした意思を持つことは大きな意味があります。

そうして、日本はそれができます。日本政府は、すでに保有している航空機をそのまま使って、追加の兵装を購入するだけでそれが可能になります。核兵器を持ち、それを保守するためのような大きな予算は必要ありません。また、護衛艦「いずも」などを攻撃型空母に改装することも比較的簡単できます。

イスラエルの人々は、イラクの核開発の脅威に直面したとき、それを破壊しました。

日本ができるだけ早く行動しなければ、米国がたとえ北朝鮮に軍事攻撃を加えて、北朝鮮が一定の譲歩をしたとしても、核実験を継続し、膠着状態が続けば間違いなく2年後には核の脅しに屈する危機に直面すると断言できます。その前に、日本は先制攻撃能力を持つべきです。

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2017年10月11日水曜日

【ニュースの核心】脅威は北だけではない 小池氏は衆院選操る「暗黒政治家」 適当な人物を首相指名し自分は黒幕に―【私の論評】危機に対応する真のリーダーの姿勢とは?

【ニュースの核心】脅威は北だけではない 小池氏は衆院選操る「暗黒政治家」 適当な人物を首相指名し自分は黒幕に

金正恩
 いま日本は「戦後最大の危機」を迎えている。朝鮮半島情勢が一触即発の状態にあるからだ。そんななか、日本の将来を決める衆院選が10日公示された。私たちは何をどう判断すべきなのか。

 まず、「何を」についてだ。それは消費税の使い道とかアベノミクスではない。何より「日本の平和と安全」である。

 問題を難しく考える必要はない。国の平和と安全が守られなければ成長も繁栄もないからだ。

 日本はいま中国と北朝鮮に脅かされている。北朝鮮は言うに及ばず、中国も沖縄県・尖閣諸島周辺に公船や軍艦を派遣して、隙あらば島を奪取しようともくろんでいる。この現状認識が出発点になる。

 この危機認識を共有できず、「中国も日本と平和共存を望んでいる」などと考える能天気な人々は論外である。これだけで、怪しさを見破れる政治家や政党もあるはずだ。

 では、日本はどう中国や北朝鮮の脅威に対処するのか。

 残念ながら、単独では対抗できない。毎年の中国の軍事費は日本の4倍近くに上り、ベースになる経済力は2倍以上に達している。

 仮に、軍事衝突が起きたとしても、日本は攻撃能力を保有していない。だから攻撃力を持つ米国との同盟を基軸に対抗するしかないのが現状なのだ。ところが、野党は何を言ってきたか。

 ここから「どう判断するか」の問題になる。野党は日米同盟を強化する安全保障関連法に反対し、自衛隊明文化という最小限の憲法改正にも反対してきた。

 本当を言えば、立憲民主党を結成した枝野幸男代表や、民進党を壊した前原誠司代表は月刊誌への寄稿や自分のブログで、実は改憲に賛成していた。

 希望の党に駆け込んだ民進党出身の前議員たちに至っては、「安保関連法反対、改憲反対」を絶叫していたのに、議員バッジ欲しさに一夜にして寝返って支持者を裏切った。

 こうした野党議員は「確固たる信念を持った政治家かどうか」という基準に照らせば、容易に判断できる。

写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 希望の党の小池百合子代表(都知事)は立候補を否定した。選挙後の首相指名で「誰に投票するか」については明言を避け、「選挙後に決める」と言っている。

 これが何を意味するか。

 もしも希望の党が過半数をとったら、誰を首相にするか「一切、私に任せてくれ」と言っている。つまり小池氏は適当な人を首相に仕立て上げ、自分は「舞台裏の黒幕」として国を仕切るつもりなのだ。

 国会議員でないから、国会で説明責任も求められない。彼女が言う「情報公開」とか「透明性強化」など、とんだお笑い草である。

 こんな人物が代表を務める希望の党が権力を握ったら、日本はとんでもない「ブラックボックス政治」「暗黒政治」になってしまうに違いない。

 日本を脅かしているのは、北朝鮮の「核・ミサイル」だけではない。ポピュリストの仮面をかぶった「暗黒政治家」にも脅かされているのだ。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。東京新聞論説委員。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革推進会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『ケント&幸洋の大放言!』(ビジネス社)がある。

長谷川博之氏

【私の論評】危機に対応する真のリーダーの姿勢とは?

ブログ冒頭の長谷川幸洋氏の記事のように、いま日本は「戦後最大の危機」を迎えています。このような危機にある日本は、今真の意味でのリーダーが必要不可欠です。

優れたリーダーについて、経営学の大家ドラッカー氏は以下のように述べています。
優れたリーダーは、“私”とは言わない。意識して言わないのではない。“私”を考えないのである。いつも、“われわれ”を考える。チームを考える。彼らは、自分の仕事がチームを機能させることだということを知っている。責任を引き受け、逃げることをしない。成果は“われわれ”のものとする。考えることは、なされるべきことと、チームのことだけである。そこから信頼が生まれ、なされるべきことがなされる。(ドラッカー名著集(4)『非営利組織の経営』)
これを今の日本即して言い換えると、以下のようになると思います。

優れたリーダーは、"私"とはいわないのです。意識して言わないのではありません。"私"を考えないのです。いつも"日本"を考えるのです。政府のことを考えるのです。優れたリーダーは、自分の仕事が政府を機能させることだということを知っているのです。責任を引受け、逃げることをしない。成果は"日本国"のものとするのです。考えることは、なされるべきことと、日本のことだけです。そこから信頼が生まれ、なされるべきことがなされるのです。

ドラッカーは、リーダー用の資質などというものはないと言います。リーダーにはいろいろなタイプがあります。しかし、リーダーたるために必要とされる姿勢は、いくつかあります。

 第1が、人に聞くことである。聞くことは、スキルではなく姿勢です。

 第2が、自らの考えを理解してもらう意欲です。そのためには何度も言い、身をもって示すことです。

 第3が、言い訳やごまかしをしないことです。何事にも本気であることです。

 第4が、仕事の重要性に比べれば、自分など取るに足りない存在であるとの認識です。仕事と自らを一体化しないことです。仕事とは、リーダーよりも重要であって、リーダーとは別個の存在です。

リーダーの姿勢として、現在の日本で一番重要なのは、特に第4の姿勢だと思います。北朝鮮に対応することの重要性に比べれば、自分など取るに足りない存在であるとの認識です。仕事と自らを一体化しないことです。北朝鮮への対応は、リーダーよりも重要であって、リーダーとは別個の存在です。

ドラッカーは、真のリーダーについて、こう言っています。「私の知っているほとんどのリーダーが、生まれつきのリーダーでも、育てられたリーダーでもなかった。自らをリーダーとして作り上げた人たちだった」。

ソ連封じ込めに尽力したハリー・トルーマン
トルーマン大統領は、ルーズベルト大統領の突然の死によって大統領になったとき、今米国のリーダーとしてなすべき最も重要な仕事は何かを考え、急きょ、不得意だった国際問題に取り組み、旧ソ連の封じ込めに成功しました。

マッカーサー元帥は、自分よりも頭のよい者はいないはずと自負しながらも、部下の言に耳を傾けて最強のチームをつくり上げました。気性には合わなかったのですが、それがリーダーの役割だということを知っていました。
リーダーたるものは、献身しつつも個たりえなければならない。そのとき仕事もうまくいく。自らを仕事の外に置かなければならない。(『非営利組織の経営』)
北朝鮮の危機の前に、安倍総理に衆院を解散し、衆院選に突入したことによって多くのことが明るみにでました。

現状の衆院選の様子をみると、多くの政治家がとにかく北朝鮮の脅威などは二の次にして、選挙において何とか生き残るとか、選挙において少しでも有利に戦い、自らの権力を拡大することにばかりに汲々としているようにしかみえません。

特に「安倍一強を倒す」という野党のリーダーたちのスローガンはお粗末です。確かに日本人は強力なリーダーシップを嫌う傾向にあるので、なんとなく強い人物を倒すというと、情緒的には訴えるものがあるのかもしれません。

しかし、一強のどこが悪いのでしょうか。どのような組織でも、先見性のあるリーダーが強力な力を持つことがプラスに作用することのほうが多いです。安倍政権を倒した後に、どうするのかも言わずに、政治家が務まれば、本当に気楽なものです。

これでは、とてもリーダーにふさわしいとはいえません。小池東京知事に至っては、自らが女性初の総理大臣になることを目指しているためか、北朝鮮の危機などおかまいなしに、自らの権謀術数をはりめぐらして、少しでも有利に動こうとしているようにしかみえません。やり方が、姑息で意地汚いです。

とても、北朝鮮に対応することの重要性に比べれば、自分など取るに足りない存在であるとの認識があるようにはみえません。

安倍総理としては、様々な情報源から、北朝鮮の脅威は年内には顕在化せず、来年あたりに顕在化するものとみて、その時に選挙をするよりは、今のうちにやっておいたほうが、対応しやすいということで、今回解散選挙に踏み切ったのでしょう。

だから、今回の選挙で本来もっとも問われなければならないのは安全保障政策であるのは、あまりにもはっきりしすぎています。他の問題は、無視しても良いくらいです。特に「森友問題・加計問題」などは本当にどうでも良い問題であり、今となってはそもそも何が問題なのかもわかりません。

森友に関しては、すでに篭池氏が逮捕されており、国会など関与しなくても、司法がこれを明らかにしつつあります。

加計問題も、そもそも公開されている戦略特区ワーキング・グルーブの議事録を読んだり、加戸氏の証言により、獣医学部設立にどう考えても安倍総理がかかわっている明白な証拠などあり得ないことも明らかになっています。にもかかわらず、小池知事も他の野党の代表などもこれを追求し続けるといいます。

そもそも、これで安倍総理や政権を追求したとしても、無意味であり、これをやり続けることは時間の無駄です。こうした無駄時間を費やしたことが、民進党崩壊の大きな要因の一つになっていることは明らかです。

平成27年に成立した安保関連法に対する各党の姿勢はさまざまで、仮にリベラル派勢力が議席を伸ばすようなことになれば、自衛隊の活動が制限され、北朝鮮のミサイルを日米が連携して迎撃する態勢が揺るぎかねないです。

憲法改正で自衛隊を明記するかどうかも含め、各党は国民の生命をどう守るのか、具体的な政策を訴えるべきです。それが、現状のそれぞれの党のリーダー役割です。それを国民もしっかりと見極め、投票すべきです。

そうして、今本当に必要なリーダーを定めるべきです。選挙が終わったら、野党のリーダーは、こと北朝鮮対応に関しては、党派を超えて政府に協力する旨を申し出るべきです。そのようなことをするリーダーこそ、仕事の重要性に比べれば、自分など取るに足りない存在であるとの認識する真のリーダーです。

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2017年10月6日金曜日

衆院選前に把握しておきたい、北朝鮮への武力行使の現実度 米中軸に北の軍事拠点攻撃も―【私の論評】戦後処理に北に自衛隊が進駐することもあり得る(゚д゚)!


金正恩 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
10月10日に衆院選が公示される。選挙戦を前に、北朝鮮をめぐる各国の動向や武力行使の可能性、日本が被害を受けるリスクなど、有権者として把握しておきたい北朝鮮の状況をまとめておこう。

 北朝鮮には、米国、中国、ロシアの超大国がメーンとして絡んでいる。日本と韓国も関係国として加わっているが、軍事オプションの主導は超大国しかできない。それが現実だ。

 北朝鮮は貿易の大半が対中国であり、軍事同盟も中国と結んでいるので、中国が一番影響力があるとみられている。このため、両国は一枚岩のようだが、内情は違ってきている。実際に両国の関係はかなりギクシャクしてきた。

 2012年に習近平氏が中国共産党総書記に就任した際、北朝鮮に特使を派遣したが、金正恩(キム・ジョンウン)氏はそれを追い返した。13年には中国との太いパイプを持っていた張成沢(チャン・ソンテク)氏を中国への事前連絡なしに処刑し、習氏の面子(メンツ)を潰した。

 15年に中国で開かれた抗日戦争70周年軍事パレードに正恩氏は出席せず、今年2月には中国の緩い保護下にあったとされる正恩氏の異母兄、正男(ジョンナム)氏が、マレーシアの国際空港で殺害された。

 こうした事件はいずれも習氏が正恩氏をコントロールできていないことを示している。なにしろ、祖父の金日成(キム・イルソン)氏や父の金正日(キム・ジョンイル)氏という過去の指導者とは異なり、正恩氏は一回も中国を訪問していない。

 父の正日氏は、中国だけには礼を失するなと遺言しなかったのか。北朝鮮と中国は軍事同盟国だが、正恩氏はそれを無視するかのような行動ばかりとってきた。

 そうした経緯もあり、今の中国が北朝鮮を抑えることはできないだろう。両国首脳が一回も面会したことがなければ、やりたくてもできない相談だ。

 中国は、最後の最後に北朝鮮を見捨てて、中国の国益になる南シナ海問題で、米国とバーター取引する可能性すらある。

 ロシアは米中の交渉を見守っている。そしてロシアの存在感を高めるように、北朝鮮と交渉しているのだろう。正恩氏の亡命先をロシアが保証するという噂も出ているほどだ。

 米国は国連などでの対話を続けつつ、既にカウントダウンに入っているだろう。これは本コラムでも書いているとおりだ。

 以上の状況を総合すると、対話の余地がありうるのは、11月の米中首脳会談までだ。それまでに北朝鮮が折れないと、軍事オプションが浮上する。国連軍または多国籍軍となるが、事実上、米中が中心だろう。

 軍事オプションは短期間で終わる可能性が高いが、想定外の事態はいつもつきものだ。米軍は北朝鮮の軍事拠点のほとんどを一撃で壊滅できるが、それでも韓国や日本に一定のリスクはある。日本は憲法の制約があるので、軍事では部外者に近い。米国との良い関係から情報が早く入ることだけが救いだ。事実として現状はここまできていることを認識したほうがいい。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】戦後処理に北に自衛隊が進駐することもあり得る(゚д゚)!

以下に、最近の北朝鮮情勢について簡単にまとめておきます。

(1)9月末、平壌(ピョンヤン)近郊の兵器工場から、複数のミサイルが次々と運び出された。韓国メディアは同月30日、「中距離弾道ミサイル『火星12』か、ICBM(大陸間弾道ミサイル)『火星14』の可能性が高く、10月10日の朝鮮労働党創建記念日などに合わせて発射する危険がある」と報じました。

(2)9月28日、米軍の最新鋭ミサイル追跡艦「ハワード・O・ローレンツェン」が、米軍佐世保基地(長崎県)を出港しました。北朝鮮のミサイル発射情報をつかんでいます。

ミサイル追跡感「ハワード・O・ローレンツェン」
(3)北朝鮮の朝鮮アジア太平洋平和委員会は9月30日付の報道官談話で、米国の独自制裁や、戦略爆撃機B1-Bの北朝鮮東方への飛行を激しく罵倒。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が同月22日に出した警告「史上最高の超強硬措置」は、「最後通告であり、米国の狂った老いぼれ(=トランプ大統領)を必ず火で鎮(しず)める」と宣言しました。

(4)さらに、米原子力空母「ロナルド・レーガン」率いる空母打撃群が今月中旬、朝鮮半島近海に展開するといいます。聯合ニュースが1日報じました。

ロナルド・レーガン
上記では、米中が北朝鮮を攻撃することを想定していて、ロシアを除外しています。これは、今月4日のプーチン氏の発言からもその妥当性がうかがわれます。

ロシアのプーチン大統領は4日、北朝鮮には秘密の軍事施設が存在する可能性があり、核やミサイル計画への軍事攻撃は成功しないかもしれないと述べました。モスクワで開催されたエネルギーフォーラムで発言しました。

ロシアは、トランプ米大統領が以前示唆したような軍事攻撃に強く反対しており、外交および経済的交渉を組み合わせて使うことを希望しています。

ただプーチン大統領は4日、この議題について、他の政治的・道徳的懸念と同様に、軍事攻撃の有効性について深刻な懸念を持っていると表明。「北朝鮮に対し、武装を解除させるため、世界から攻撃が可能だろうか。可能だろう。では、目的を果たせるだろうか。それは分からない。彼らが何を持っていて、それがどこにあるのかは誰にも分からない。(北朝鮮は)閉鎖された国であり、誰にも完全には分からない」と述べました。

プーチン大統領は、ロシアには北朝鮮のミサイル計画を他国の大半より強く懸念する理由があると話し、北朝鮮の核実験場はロシアとの国境から200キロメートルしか離れていないと指摘しました。

大統領は外交による解決を改めて主張し、各方面に対し、好戦的な発言を控えるよう求めました。さらに、制裁強化は無意味だと述べ、現在4万人程度の北朝鮮国民がロシアで働いていると話しました。

プーチン大統領
ただし、プーチン大統領は、金正恩の亡命先を確保しているともいわれています。このようなことをして、ロシアは北朝鮮崩壊の後も、半島に関与するつもりだと考えられます。そもそも、ロシアにはもともと北朝鮮は自分たちが作った国であるという考えがあります。

一方中国は、北朝鮮を攻撃する可能性が十分ありますし、ブログ冒頭の記事を書いた高橋洋一氏はそのような考え方をしています。他にも、そのような見方をする人も多いです。そのような人たちは以下のような見方をしているようです。

先月訪中したティラーソン米国務長官は習近平と「極めて友好的な」会談を行ないました。ティラーソン米国務長官が訪中したのは、トランプ大統領訪中の下準備のためです。今年4月に習近平国家主席が訪米した際にも、ティラーソンは事前(3月18日)に訪中して習近平と会っています。

この2回の訪中に共通しているのは、「この上ない友好的ムードの中で互いを礼賛し合うこと」ですが、今回の「友好さ」には何かが隠れているとみるべきです。2回とも北朝鮮問題に対する話し合いが含まれているとされながら、その具体的内容に関しては公表されていません。

それでも3月のときは中国外交部が「双暫停」(米朝双方とも暫時、軍事行動を停止すべき)と発表するなどの意思表示がありましたが、今回は何もありませんでした。

北朝鮮は習近平にとって国際的な晴れ舞台となる大行事があるたびに、その開幕式の日にミサイル発射などの挑発的行動に出て、習近平の顔に思い切り泥を塗り続けてきましたた。

今回も10月18日に開幕する第19回党大会のその開幕式の日に合わせて、ミサイルを発射するだろうと推測されています。

習近平は、国際的大行事の開幕式があるたびに顔に泥を塗られることに激怒しているでしょうが、それ以上に中華人民共和国の根幹を成す中国共産党の全国代表大会の日に合わせて北朝鮮がミサイルを発射すれば、その忍耐はレッドラインを越えることになるでしょう。

そうなると、米国の攻撃開始の直後に中国も攻撃をする可能性があります。かつて中国は、米軍が38度線を超えた場合、アメリカに攻撃するといってきましたが、今回はそうではなくて、あくまで米国と共同の上で、最初からどこを攻撃し、どこを占領するかを互いに了承しつつ北朝鮮を攻撃することになるでしょう。

ティラーソン国務長官は、こうしたことを話し合うために習近平を訪問したとみて良いでしょう。

会談するティラーソン国務長官と習近平
ただし、党大会が終わるまでは中国は絶対に動かないでしょう。場合によっては来年3月の全人代閉幕直後辺りまで延ばす可能性もあります。

ただし、米国としては戦争が終わった後のことも十分に考えておかなければなりません。戦後処理を疎かにし、国連などか中途半端な介入を行えば、それこそ朝鮮半島が、現状の中東のように騒乱の耐えない地域になってしまいます。

新たな自由主義的な民主主義体制を根付けるには、50年くらいは、軍隊を進駐させる覚悟が必要です。中途半端をすれば、新たな危険地帯を生み出すことになるだけです。これは、シリアなどで実証ずみです。

ただし、そこに中国が関与するということになれば、元々民主化も、政治と経済の分離も、法治国家化もされていない中国が、北朝鮮の一部を占領することになれば、今日のようチベット自治区、ウイグル自治区などのようにまた緊張が耐えない地域になる事が考えられます。

中国によるウイグル自治区での住民弾圧
中国の植民地政策は、どうみても、下手であり混乱を招くことは必定です。さらに、中国は半島を占領することで、大国意識をつのらせ、増長し南シナ海への進出をさらに拡大させる危険性もあります。

このようなことから、米国は朝鮮半島における中国の影響を極力排除したいと考えていることでしょう。米国北朝鮮を攻撃するときには、中国はあくまで、北朝鮮に対する軍事上の脅威になれば良いと考えるでしょう。

北朝鮮側の兵力が南の米韓軍だけでなく、北の中国にも備えなければならなくなり、兵力が分散されるようにもっていければ、十分であると考えるでしょう。そうして、できれば、中国は直接半島に関与しないほうが望ましいと考えることでしょう。

そこに日本が果たす役割が見えてきます。日本は、米国が北朝鮮を攻撃するときには、安保条約にもとづき兵站の役割を担うことになります。兵站の役割を果たすということは、実際に戦闘に参加しなかったとしても、世界中から戦争に参加したものとみなされます。

そうして、以前このブログにも示したように、日本は米国と異なり、中国やロシアのように国境は接してはいないものの、半島のすぐそばに位置し、半島情勢に関与しやすいです。

朝鮮半島から、核と核ミサイルが排除されれば、国境を接した中国や、ロシアはそれを理由に、半島情勢にかかわるのは、容易です。しかし、半島から遠く離れた米国は根拠を失うことになります。

日本は地政学的な位置を利用して、韓国がいやがるにしても、半島情勢には関わりを持つのは、自然なことです。日本が、半島情勢に強く関与すれば、同盟国の米国も半島問題に関わりを持つことができます。

また、日本はインド、ASEAN諸国、オーストラリアなどの周辺国などとも友好的です。

これら友好国の力も加勢して、日本は北朝鮮崩壊後の半島情勢に深く関わっていくことができるようになるかもしれません。そうなれば、場合によっては、北朝鮮崩壊後の北朝鮮に自衛隊を送り込み、治安の維持をしつつ、復興事業も行い拉致被害者を捜索することも可能になるかもしれません。

南スーダンでの自衛隊PKO部隊
このようなことを安倍総理は視野に入れていることでしょう。それしても、日本が半島有事に対して煮え切らない態度をとれば、それこそ米国は中国の北朝鮮攻撃を許してしまうかもしれません。

そうなれば、日本にとっては最悪の事態を招くことになるでしょう。

来る衆院選では、有権者は、このようなことも頭の隅においておくべきでしょう。野党再編など、このようなことから比較すれば、ほんのささいなどうでも良いゴミのようなことにすぎません。

やはり、本命は、北朝鮮情勢なのです。

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2017年9月21日木曜日

安倍首相『解散』の真相 北“異次元の危機”前に…関係者「山尾氏の不倫疑惑など眼中にない」―【私の論評】誰が正しいかばかり考え、正しい妥協ができない野党に明日はない(゚д゚)!

安倍首相『解散』の真相 北“異次元の危機”前に…関係者「山尾氏の不倫疑惑など眼中にない」


安倍晋三首相が28日召集の臨時国会冒頭で、衆院を解散する方針を固めた。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮の「核・ミサイル開発」が、日本や世界の深刻な脅威になるなか、「異次元の危機」もあり得る年末前に、自国の外交・安全保障政策や憲法改正、経済・社会保障政策などについて、国民の信を問う。実は、安倍首相は内閣支持率が下落していた「8月中旬」には覚悟を決めていたという。安倍首相の「解散の大義」と「覚悟の背景」とは。

 安倍首相は18日午後(日本時間19日未明)、国連総会に出席するため、米ニューヨークのケネディ国際空港に到着した。一般討論演説や首脳会談を通じて、北朝鮮の「核・ミサイル開発」を放棄させるため、国際社会の連携を訴える。帰国後の25日、解散について事前表明するという。

 「北朝鮮情勢が緊迫するなか、憲法を含めて『日本はこのままでいいのか』『国民や国家をどう守るのか』『自衛隊をどうするのか』と国民に呼びかけ、信を問う選挙だ。いわゆる政局優先ではない。王道の解散だ」

 官邸に近い関係者はこう語った。

 夕刊フジはいち早く、13日発行号で「9・25解散強まる」、14日発行号で「9月解散 議席予測 自公300超」と連日報道し、永田町で注目された。召集日は当初予定の25日から28日に変更されたが、解散風はもう止まらない。


 先週末の解散報道を受け、左派政党やメディアは「『森友・加計問題』の追及から逃げる自己保身解散だ」(民進党の前原誠司代表)、「年内解散検討 透ける疑惑隠しの思惑」(朝日新聞18日社説)と批判。他のメディアも「内閣支持率が回復したから」「民進党の体たらくを見て」などと背景を解説している。

 だが、安倍首相が解散の検討をひそかに始めたのは内閣改造(8月3日)前後で、民進党代表選(9月1日)前の「8月中旬」には覚悟を固めたという。官邸関係者は次のように語った。

 「日本人を多数拉致し、日本上空に無断で弾道ミサイルを通過させる無法国家が『核・ミサイル』完成の一歩手前まできている。国際社会は圧力を強めているが、正恩氏は無視して暴走している。日本の安全保障の根幹が揺らぎつつある」

 「安倍首相としては、国民に安全保障の現状を伝えて、『国民や国家を守る態勢を整える』『自衛隊を憲法に書き込む』と問うべきだと考えた。朝鮮半島の緊張状態は数年続く。その間、解散できないとなれば、事実上、正恩氏に解散権を握られる。これはダメだ」

 ニューヨーク訪問中の河野太郎外相も18日夕(日本時間19日未明)、「北朝鮮が何かやっているから、日本が手足を縛られることは一切ない。そういうことがあってはならない」と述べた。

 最高度の情報を分析するなかで、官邸は突発的な武力衝突は別にして、10月下旬の中国共産党大会や、11月上旬のドナルド・トランプ米大統領の来日までは、大規模な軍事衝突の可能性は低い-と判断したという。

 つまり、年末以降は「異次元の危機」が、あり得るということだ。

 官邸関係者は「内閣支持率が下落していた8月時点で、安倍首相は『日本のため、このタイミングしかない』と覚悟を決めたようだ。民進党新代表が、前原氏でも、枝野幸男氏でも関係ない。山尾志桜里・元政調会長のW不倫疑惑など眼中にない。安倍首相や麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房長官らは、もっと先を見ていた。消費税などの政策では衝突する麻生氏と菅氏も、今回はほぼ一致していた」という。

 左派政党やメディアの「疑惑隠し」といった攻撃にも、真正面から反論する構えだ。

 官邸関係者は続けた。

 「官邸は、突発的な事態にも対処できる万全の態勢をとる。今回の解散総選挙には『日本の命運』がかかっている。安倍首相の解散の記者会見は、極めて引き締まったものになるはずだ」

【私の論評】誰が正しいかばかり考え、正しい妥協ができない野党に明日はない(゚д゚)!

マネジメントの観点からみても、安倍総理はすでに選挙で大勝するのは目に見えています。本日はなぜ、そうなってしまうのかを解説します。

そもそも意思決定には原則があり、安倍総理は意思決定の原則にのっとって行動していますが、野党はそうではありません、これでは最初から勝負が決まってしまいます。

禅画を好み、また自らを「明治人」と呼んだドラッカー氏
経営学の大家ドラッカー氏は、意思決定について以下のように述べています。
決定においては何が正しいかを考えなければならない。やがては妥協が必要になるからこそ、最初から誰が正しいか、何が受け入れられやすいかという観点からスタートしてはならない。(『経営者の条件』)
決定においては何が正しいかを考えなければならないというのは、別な方面からると、誰が正しいか、誰が間違いであるかを考えてはならないということです。

これは、一見誰にとっても当たり前のことのようにみえます。しかし、本当に当たり前でしょうか。多くの皆さんは、当たり前でない人たちを日々ご覧になっているはずです。

そうです。国会での野党の有様です。彼らの多くは、「何が正しいか」=「国会での政策論争」ではなく、「誰が正しいか」=「安倍総理が間違い、与党が間違い」という基本理念にのっとって行動しています。

典型的なのは、過去数ヶ月にわたる、森友問題、加計問題での安倍総理の追求です。

ここしばくらく、国会での野党の行動といえば、とにかく「安倍が悪い」「与党が悪い」一辺倒で、彼らは、国会で何を実施しようと考えて意思決定する際にも、とくかく「安倍憎し」で、国民に「安倍は待がつている」という観点から決定しています。

これでは、まともな意思決定などできるはずはありません。

ドラッカーは次のようにも述べています。
頭のよい人、しかも責任感のある人は、せっかくの意思決定も実行されなければ意味がないと思う。そのため、最初から落としどころとしての妥協を考える。(『経営者の条件』)
GMのCEOアルフレッド・スローンは、当時無名の政治学者だったドラッカーに対し、GM研究の報告書には何を書いてもよい、ただし妥協は書いてほしくないと釘を刺しました。(『経営者の条件』はドラッカーがアルフレッド・スローンに提出した報告書がもとになっている)

安倍総理は、意思決定においては、最初から落とし所の妥協を考えているわけではありません。無論全く考えないということもないでしょうが、少なくとも、野党と比較すると、その度合いはかなり少ないです。

だからこそ、内閣支持率が下落していた8月時点で、安倍首相は『日本のため、解散はこのタイミングしかない』と意思決定をすることができたのです。

最初から、妥協して落としどころを考えるなら、憲法改正や、敵基地攻撃能力の保有などの課題を持ち出さないはです。しかし、野党のほうはといえば、最初から落とし所を考えた妥協を考えたような政策論争ばかりのようです。特に、財務省の意向には逆らわないような、妥協の産物のような、経済対策しか出しません。

ドラッカーは、妥協について以下のように述べています。
妥協には2つの種類がある。1つは古い諺の「半切れのパンでも、ないよりはまし」、1つはソロモンの裁きの「半分の赤ん坊は、いないより悪い」との認識に基づく。前者では半分は必要条件を満足させる。パンの目的は食用であり、半切れのパンは食用となる。半分の赤ん坊では妥協にもならない。(『経営者の条件』)
ギュスターブ・ドレ〈知者ソロモン王の裁き〉
実際、民進党をはじめ、野党の多くは、財務省の意向に逆らわないような経済対策を考えるため、全く何も役にたたないどころか、かえって日本経済をさらに悪くするような経済対策しか打ち出すことができません。

一方安倍総理のほうは、「財務省が正しい、間違い」などという考えではなく、「何が正しいか=日本の経済にとって何が正しいのか」を考えて意思決定をしたため、まともな意思決定ができました。

そうして、金融政策では成功して、大きな成果を収めています。ただし、8%増税の日本経済への影響は軽微という財務省の見解にもとづき増税の意思決定をしたのですが、これは大失敗でした。

しかし野党の提案する経済対策では、財務省に妥協するにしても、半分の赤ん坊を目指すような妥協しかできません。そのため、彼らは、まさに半分の赤ん坊である、何の役にもたたない死に体の経済対策しか提案することができません。

ドラッカーは、何が受け入れられやすいか、何が反対を招くから触れるべきでないかを心配することは無益であって、時間の無駄だと言います。心配したことは起こらず、予想しなかった困難や反対が突然ほとんど対処しがたい障害となって現れると語っています。

まさに、現在野党はこのような状況に陥っているのです。しかし、野党の多くは、このように自分で招いた結果を、また「安倍のせい」にしようとしています。

このように、ものの見方がいつも、「誰が正しいか」という観点=「安倍のいうとはすべからく間違いで、財務省の経済の見方は完全無列でいつも正しい」という見方であるため、現状のように身動きできないような状況に至っているのです。

ドラッカーは、次のようにも語っています。
何が受け入れられやすいかからスタートしても得るところはない。それどころか、妥協の過程において大切なことを犠牲にし、正しい答えはもちろん、成果に結びつく可能性のある答を得る望みさえ失う。(『経営者の条件』)
これが、まさに現在の野党の状況なのです。そのことにはやく気づき、何が正しいかを考え、正しい妥協ができるようにならなければ、野党の再生はあり得ないのです。 そもそも、政治的意思決定のほとんどが、妥協の産物であることがほとんどです。

ドラッカー氏はマネジメントはあらゆる組織に共通であるとしています。企業組織であろと、政党であろうと、病院であろうと、組織のマネジメントの原則は同じなのです。以上に述べたようなマネジメントの原則に反する行動ばかりする野党はますます衰退するばかりです。もう安倍憎しという考えはやめて、まともな政策論争をして少しでも多くの「半分のパン」を得る行動をすべきです。

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2017年9月3日日曜日

米国で沸き起こる強硬論「平壌上空にトマホーク」 北の相次ぐミサイル発射に米有力紙「日本の核武装」容認も ―【私の論評】北朝鮮が暴れまくるほど日本核武装論は実現に一歩近づく(゚д゚)!

米国で沸き起こる強硬論「平壌上空にトマホーク」 北の相次ぐミサイル発射に米有力紙「日本の核武装」容認も 

B-1戦略爆撃機「ランサー」 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 「核・ミサイル」で暴走を続ける北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権に対し、米国の一部で強硬論が沸き起こっている。シンクタンクの研究員は、北朝鮮の首都・平壌(ピョンヤン)上空に巡航ミサイルを飛来させるべきだと提案。米有力紙は、北朝鮮の相次ぐミサイル発射が「日本の核武装」を認めることにつながると指摘した。日米韓の軍事的連携が再確認されるなか、米国内で強硬世論が高まれば、ドナルド・トランプ政権が軍事オプションを選択する可能性もありそうだ。 

 「(日米が緊密に連携して)目に見える形で圧力をさらに強める」

 小野寺五典防衛相は8月31日午前、ジェームズ・マティス米国防長官と電話で会談し、北朝鮮が日本列島を越える弾道ミサイルを発射したことを受け、このような方針で一致した。

 同日午後、航空自衛隊のF-15戦闘機2機と、米国領グアムを発進した米空軍のB-1戦略爆撃機「ランサー」2機、米軍岩国基地(山口県岩国市)のF-35最新鋭ステルス戦闘機4機とともに、九州周辺空域で共同訓練を実施した。

F-35最新鋭ステルス戦闘機
 米軍機はその後、朝鮮半島上空に展開。韓国軍のF-15戦闘機4機とともに北東部江原(カンウォン)道の訓練場で、北朝鮮の重要施設の破壊を想定した攻撃訓練を行った。朝鮮半島上空への米軍のB-1、F-35の同時展開は初めて。

 B-1は、敵地に超音速(マッハ1・2)で侵入し、精密誘導爆弾「スマートボム」や、地中貫徹爆弾「バンカーバスター」などで、地上や地下の主要軍事施設をピンポイントで破壊できる。「死の白鳥」とも呼ばれ、「北朝鮮にとって、これ以上ない恐怖」(軍事専門家)といわれる。

 F-35は、高いステルス性と高度なレーダーなどを兼ね備えた第5世代型の戦闘攻撃機。北朝鮮のミグ29戦闘機(第4世代型)を一瞬にして壊滅でき、移動式のミサイル発射車両を一気に攻撃できる実力を持つ。

 米国内では、さらなる強硬論を説く声もある。

 朝鮮日報(日本語版)は30日、《「平壌上空を通るミサイルを放つべき」米の一部に強硬論》というタイトルの衝撃的な記事を掲載した。

 記事によると、米シンクタンクの専門家から「軍事的攻撃ではなく『軍事的行動』が必要。米国には日本海の公海上から巡航ミサイル『トマホーク』を発射し、平壌上空を経て黄海の公海上に落下させるという方法がある」との指摘が出ているというのだ。

 トマホークは、核弾頭が搭載可能で、潜水艦や艦艇から発射できる。命中精度の高さと、射程(約2500キロ)の長さが際立っている。

トマホーク
 トランプ氏は今年4月、中国の習近平国家主席をフロリダ州パームビーチの別荘「マール・ア・ラーゴ」に招いた際、夕食会のデザートを食べながら「たった今、シリアに59発のミサイルを撃ち込んだ」と伝え、習氏を絶句させている。

 トマホークの平壌襲来は、暴挙を繰り返す正恩氏を正気に戻させる一案かもしれない。ただ、日本海から北朝鮮・平壌を通過して黄海にミサイルを落下させれば、その背後にある中国を刺激することは確実である。

 米国では「日本核武装論」も指摘され始めた。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(日本語版)は8月31日、《日本の核武装に道開く北朝鮮の核容認》との社説を掲載した。

 社説は、北朝鮮の弾道ミサイルに触れ、次のように記した。

 「この中距離ミサイル発射実験は、北東アジアの安全保障をめぐる政治を一段と混乱させるだろう。そして、日本に自前の核抑止力を持つことをあらためて促すものだ」

 「東アジアが中東に続いて核拡散の新時代を迎えれば、世界の秩序に深刻なリスクをもたらす。それもあって、核ミサイルを持つ北朝鮮を黙認することはあまりに危険なのだ」

日本のロケットはすぐにでもICBMに転用できる
 確かに、米国の一部には「日本の核武装」を奨励する声もある。トランプ氏自身、昨年3月、米紙ニューヨーク・タイムズのインタビューに、「日本と韓国の核兵器保有容認」を語っていた。

 ただ、日本は唯一の戦争被爆国であり、国民の間には強い核アレルギーが存在している。世界有数の高い原子力・ロケット技術を持っているが、核拡散防止条約(NPT)に加盟しており、「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」という非核三原則もある。

 このため、日本は米国の「核の傘」に頼ってきた。

 米国内には当然、「日本の核武装」に猛烈に反対する声も多い。そう簡単に実現するとは思えないが、米国内で容認論が再浮上するほど、正恩氏の暴走は突出しており、北朝鮮情勢は緊迫しているともいえる。

 北朝鮮は核兵器完成間近で、日本のほぼ全土を射程内に入れる弾道ミサイル「ノドン」を数百発も配備している。「東京を火の海にする」などと公言し、日本の了解も得ずにミサイルを5回も上空に飛来させている。日本を取り巻く安全保障環境は激変している。

 米国と北朝鮮は「水面下接触」も指摘されているが、双方とも相手を信用できず、軍事衝突に発展する可能性もある。

 ともかく、左派メディアや左派政党の「平和ボケ」した議論ではなく、国民の生命と財産を守るための現実的な議論が必要だ。

【私の論評】北朝鮮が暴れまくるほど日本核武装論は実現に一歩近づく(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事には、米紙ウォールストリート・ジャーナル(日本語版)は8月31日、《日本の核武装に道開く北朝鮮の核容認》との社説が掲載されていたことを掲載していました。

この内容に近い内容のものをこのブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【北ミサイル発射】日本列島通過 北海道襟裳岬沖の東1200キロに落下 「これまでにない深刻かつ重大な脅威」 安倍晋三首相 日米電話首脳会談開催 国連安保理に緊急会合を要請―【私の論評】北朝鮮を放置すれば中国、ロシアのアジアでの覇権を強めることに(゚д゚)!

この記事は、先月29日午前、北朝鮮が同日午前5時58分ごろ、北朝鮮西岸から弾道ミサイル1発を北東方向に向けて発射し、北海道・襟裳岬上空を通過した後、6時12分ごろ、襟裳岬東方約1180キロメートルの太平洋上に落下した日に掲載したものです。

この記事では、日本が核武装をする前提条件として、米国が北朝鮮の核ミサイルを放置し、結局北朝鮮を核保有国として認めてしまった場合を想定しました。

もしそうなれば、日本は核武装せざるを得なくなります。その理由に関する部分のみをこの記事から引用します。
もし、このままアメリカが北の核・ミサイル開発を無視し続け、オバマ政権の時のように、威勢よく非難はするものの、その他に何もしないとしたら何が起こるのでしょう。そうして、北朝鮮に対する軍事行動を永遠にためらい続け、ついに北がワシントンに届くICBMを完成させ、実戦配備したらどうなるのでしょうか。 
それは2年以内になるといわれていますが、本当にそうなったときは、完全に手遅れです。北がいくらSLBMと戦略爆撃機を持っていないないとしても、ある程度の「相互確証破壊」は成立してしまうことになります。 
ちなみに「相互確証破壊」とは、核戦略に関する概念・理論・戦略のことです。 核兵器を保有して対立する2か国のどちらか一方が、相手に対し核兵器を使用した場合、もう一方の国が先制核攻撃を受けても核戦力を生残させ核攻撃による報復を行うことです。 
そうなると、その先は、何が起ころうとアメリカは北と戦争がかなりしにくくなります。 
そうなれば、アメリカの権威は完全に失墜します。アメリカの世界覇権に穴が空き、パックスアメリカーナは消滅。世界中の反米国国はもとより普通の国家まで、北朝鮮がやったことを「学習」することになります。 
多くの国が、「この世界は結局力だ。核を持った者が勝つ」と認識することになります。こうして、現在でも有名無実になっているNPT(核兵器の不拡散に関する条約)体制は完全崩壊します。 
そうなってしまえば、世界は、まさに弱肉強食の世界になってしまいます。 核保有国の天下となり、世界から「公正」「正義」「自由」「人権」などという価値観はなくなり、「法と秩序」は消滅します。 
トランプ大統領には、こうしたことに対する自覚や、これを本気で防ごうという責任感は、あるのでしょうか。 
北朝鮮とアメリカに相互確証破壊が成立すると、アメリカは北の核を事実上容認してしまうことになり、日本に対するアメリカの核の傘は自動的に消滅することになります。なにしろ北が核で日本を脅かしても、アメリカはいままで以上に手出しができなくなります。日米同盟は無力化する可能性もあります。 
そうなれば、金正恩のやりたい放題です。日本は北朝鮮に土下座外交をするしかなくなります。経済制裁などとんでもないことになります。脅かされてもバックにアメリカがいないのですから、従うしかなくなります。韓国も同じです。 
そうなると、中国も北朝鮮と同じ態度をとることになります。尖閣など、あっと言う間に中国領になるでしょう。日本は、尖閣どころか、沖縄本島さらには西日本まで、中国の脅威にさらされることになります。 
沖縄本島を中国が手にしてしまえば、さっそく弾圧が始まります。とくに、沖縄基地運動に反対してきた連中は、権力に反逆するものとして、真っ先に弾圧され、拘束されることになります。そうして、沖縄では永遠に反基地運動などやりたくてもできなくなります。沖縄地方二紙もあっという間に廃刊です。 
金正恩と習近平は、韓国からのアメリカ軍の撤退を要求することになるでしょう。韓国は、北の支配下に入ると見て間違いないです。そうして、次の段階では、北と中国が、日本から米軍が撤退することを要求することになります。 
北と中国の覇権がアジアに全域に及ぶ状況が予想されることになれば、ロシアも黙ってはいないでしょう。ロシアも何らかの形で、アジアに進出してくる可能性もあります。朝鮮半島は、中国、ロシア、北朝鮮によって分割統治されることになるでしょう。日本は北方領土どころか、ロシアに道東を実効支配されることになるかもしれません。
このようなシナリオは十分に考えられます。 一度米国が北朝鮮を核保有国として認めてしまえば、様々な紆余曲折があったにしても、最終的にはこのシナリオどおりになることでしょう。

このようになることを防ぐためには、日本は核武装するしかなくなります。日本が核武装したとすると、アジアの安全保障状況は随分と変わります。アジアは日米の軍事力によって、新たな秩序ができあがり、北の核ミサイルは無効化され、中国は今以上に南シナ海や東シナ海に進出することを諦めるでしょう。ロシアも、アジアへの介入などは考えなくなります。新たに北方領土返却の話が進展するかもしれません。

このような筋書きは私のような素人でも考えるし、米国のWSJ紙でもそのような社説を掲載するのは当然のことと思います。本気で日本の安全保障の問題を考えれば、このような考えが出るのは当然のことです。WSJ紙も日本でこのような声が出ることは当然と考えて、今回の社説を出したのだと思います。

本日は、さらに北朝鮮が核実験を行っています。金正恩が「アメリカの行動を見守る」と発言すると、日本のメディアや識者の中には「トランプ大統領が北朝鮮を煽っている」とか「安倍首相は圧力だけでなく対話をするべき」と日米首脳を批判していましたが、今回6回目の核実験を強行した事を見ても、北朝鮮が対話に応じる気がない事は明らかです。

そう考えると今後、選択肢は2つです。米国が何らかの軍事行動を起こすか、さもなくば日本や韓国が核武装するかです。

もし、北朝鮮の核開発を米国がなんとしてでも止めようという行動を起こさない限り、現状ではたとえ不可能と見えても、日本は核武装の道を歩むことになるでしょう。

安倍晋三氏は2002年に早稲田大学で行われた講演会で「戦術核の保有や使用は違憲ではない」とぶち上げ、それを『サンデー毎日』に報じられて批判を浴びたことがあります。


そうして、ノーベル平和賞を受賞した安倍首相の大叔父である佐藤栄作もまた、核武装論者でした。1964年の東京オリンピックのさなかだった10月18日、中国が核実験に成功し、首相就任を翌月に控えていた佐藤は、ますます日本も核武装する必要がある、と強く確信するようになりました。そして、65年1月の首相としての初訪米を前にした64年12月29日のライシャワー駐日大使との下打ち合わせで、核武装論を語ったといわれています。

しかし、広島と長崎に原爆を落とされ、大きな被害を受けた日本国民は、佐藤が首相だった頃から核武装反対の世論が強かったし、米国も日本の核武装を好みませんでした。

しかし、これからは日本は変わって行く可能性が大です。そもそも、米国から日本核武装論が出るようになりました。北朝鮮が暴れまくるほど日本核武装論は現実味を増し、実現に一歩近づくことでしょう。

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