2021年8月28日土曜日

バイデンのアフガン危機は「米国の歴史上で最もばかな行動」とトランプ―【私の論評】表面を取り繕うだけの、バイデンの中東外交は破綻した(゚д゚)!

バイデンのアフガン危機は「米国の歴史上で最もばかな行動」とトランプ

<引用元:FOXニュース 2021.8.27

フォックスニュースのショーン・ハニティ氏

ドナルド・トランプ前大統領は26日の「ハニティ」(ブログ管理人注:フォックスニュースのショーン・ハニティのこと)の独占インタビューで、ジョー・バイデン大統領がアフガニスタンの危機を増大させたのは、「おそらく米国の歴史上でなされた最もばかな行動」の結果だと述べた。また、デラウェア州民主党の大統領は、優先順位を国家安全保障からリベラル政治に転換させた「ウォークな(社会的不公正や人種差別に対して敏感な)将軍」に囲まれていると続けた。

トランプは司会のショーン・ハニティに、バイデンの「ウォークさ」とマーク・ミリー統合参謀本部議長のような将軍のそれが、一般軍人の力と傾向を間違って解釈し、優先順位をごちゃ混ぜにしていると警告した。

「バイデンとウォークな将軍たちは全くのウォークだ。私は在任期間の終わりに言っていたのだが、平等やこうした別の事柄についての手紙が送られてくるのを見ていた――兵士たち、彼らは戦いたいと思っており、戦う覚悟を持ちたいと思っており、兵士でありたいと思っているのだが、ウォークな将軍たちが、もう誰も信じられないようなレベルにまで状況が変わってしまっていた」とトランプは述べた。

アフガニスタンにおいて、バイデンと司令官たちは自分と同じように撤退しようとしていたが、それを全く逆の順序で行ったとトランプは述べた。「彼らは1つ忘れていた。彼らは人々を一緒に連れて行くのを忘れていた。品物を一緒に伴うのも。つまり世界で最高の軍事装備を持っていくのを忘れたということだ。そしてそれは信じ難いことだ。なぜなら子供でも分かることだったからだ。軍隊は最後に撤退させるものだ。子供でも分かることだった。どうして彼らはこのことを我が国に対して行ったのだろうか?」

その行動が米国の歴史上で現職の大統領による最悪の決定の1つとなり、13人の軍人が今回死亡し、カブールの混乱状態が継続しているとトランプは述べた。

「非常に残念だ。おそらく軍事戦術の観点からもそうだし、全く恥ずべきことであり、米国に起こったことの中で最も恥ずべきことだ。我々は世界中から見てばかのように見え、弱く、悲惨であり、自分で何をやっているか見当もつかない人々がリーダーとなっている」とトランプは語った。

「軍隊を撤退させて、これから人々を脱出させると言い、それで突然、タリバンが入ってきている―我々はタリバンを完全に支配下に置いていたので、我々の許可なしには行動しなかった。我々は信じられないほど素晴らしい合意を結んだ。我々の兵士を殺してはいなかった」

トランプは、バイデンが遠回しにその件についての自分の成功に言及したと述べ、大統領が発言の中で、2020年に結んだ合意のためにタリバンは18カ月間米軍兵士を1人も殺していなかったことを認めたことを指摘した。

「私が話したいことは、我々の兵士たちは、市民もだが、とてつもない危険に瀕していると思う。空港を出入りする飛行機はとてつもない危機に瀕していると思う。(タリバンは)最高の装備、最高のロケット、最高の戦車とヘリコプター、アパッチ・ヘリコプターを持っている。数多くあり、非常に価値のある物だ――ところでロシアはそれらを欲しがっている。調査のためであり、我々がはるかに優れた技術を持っているからだ。また中国も欲しがっている」とトランプは警告した。

「これはもっともばかなことだ――おそらく米国の歴史上でなされた最もばかな行動だったと思う。これが起こるのを許したのであり、軍隊を引き揚げてから『ああ、人々を脱出させたいと思います』と言っている」

トランプは、米国中央軍司令官のケネス・「フランク」・マッケンジー・ジュニア将軍が、米国は8月31日までに完全撤退することについて、タリバンと「共通の目的を共有」していると述べたことを批判した。

「その共通の目的を生かし続ける限り、彼ら有益な協力相手だった。彼らは我々の安全上の懸念の一部を縮小させ、協力していくのに有益だった」と司令官は述べた。

「マッケンジー将軍がタリバンが我々を守ると言うのを聞いたが、タリバンは敵だ。私はタリバンの指導者と取引した。この人物はあまり単純な男ではないし、ボーイスカウトではない」とトランプは怒りをあらわにした。

トランプはその後司会のショーン・ハニティに、自身がタリバン指導者のアブドゥル・バラダルと直接会談と交渉を行った際に、不当な行為があれば米軍による10倍の報復を受けることになるとその武闘派に対して明言したと述べた―その姿勢をバイデンの敬意を持った立場と対比させた。

「我々は彼らを完全に支配下に置いていた。動きを見た時はいつも、F-18で攻撃し、その動きは止まった」とトランプは述べた。

「だが我々はアブドゥルのためにそうしたことはほとんどなかった。我々が話した人物だが・・・アブドゥルは誰にも何もさせなかった」

(以下略)

【私の論評】表面を取り繕うだけの、バイデンの中東外交は破綻した(゚д゚)!

ウォークカルチャーのウォークは"Woke"で、もともとは「目覚める」という意味の動詞"wake(ウェイク)"の過去分詞ですが、そこから転じて「社会的正義や人種差別などに敏感なこと」を意味し、「あの映画はwokeだった」「あの人はwokeだ」のように使います。

ウォークカルチャーを標榜する人たちのデモ

wokeであること自体は、一見素晴らしいことかもしれません。しかし、一部ではそれが暴走して「絶対的な正義」を掲げ、自分と違う意見や大らかな意見、あるいは何も気にしない人々を強く非難するような人も出てきています。最近米国でしばしば話題となる「キャンセルカルチャー」もその流れでしょう。

キャンセルカルチャーとは、著名人やインフルエンサーの過去の発言などを掘り出し、前後の文脈や時代背景を無視して徹底的に糾弾するという潮流です。キャンセルとは「いらない/受け入れられない」を意味し、SNS上でさまざまな著名人が「おまえなんかキャンセルしてやる」とばかり吊るし上げられています。

例えば、2019年2月のアカデミー賞授賞式で司会を務めるはずだった黒人コメディアンのケヴィン・ハートは、約10年前の同性愛嫌悪的な発言がwokeな人たちの目に留まり大炎上。大役を辞退するに至りました。

私が個人的にも驚いたのは、アンダーグラウンド・コミックス運動の中心人物である作家のロバート・クラムまでもが"キャンセル対象"となったことです。

社会秩序を守るためにコミックスの表現が厳しく規制されていた1960年代、クラムはメインストリームでは決して描けない過激な性的表現、暴力、ドラッグ、差別......など社会の病んだ部分をテーマに、グロテスクな画風でアンダーグラウンドシーンを牽引(けんいん)しました。

彼の作品はたびたび摘発対象となり、販売した書店の店主が逮捕されるなど、麻薬と同じような扱いを受けた時期もありました。

そんな困難を乗り越え、アーティストとして評価されるに至ったクラムは、がんじがらめのメインストリームとは違う場所で独自に自由な表現を勝ち取ったパイオニアといっていいでしょう。彼の挑戦が、コミックスの表現そのものの広がりに寄与したことも紛れもない事実です。

ロバート・クラム

しかし、今や一部の"woke系"の人々にとっては、クラムの作品は「差別的でおぞましいもの」のようです。2018年マサチューセッツ州で開かれたインディ系コミックスの博覧会ではクラムの名前が削除され、先日もメリーランド州での出版系エキスポで、黒人女性漫画家ベン・バスモアがクラムをくさす発言をすると大きな拍手が起きたそうです。

ポップカルチャーを代表する作家で偉大なイノベーターでもあるクラムが、同業者から「表現が不快」との理由でキャンセルされるとは、思ってもみないことでした。

こうした状況を受け、オバマ前大統領は2019年にシカゴで開催されたあるイベントに登壇した際、こう述べました。

「こんなやり方で世の中を変えることなどできない。そうやって気に入らないものに石を投げつけているだけなら、成功には程遠い」

"正義の押しつけ"はリベラルを衰退させるだけという、オバマの忠告は、米国にだけ当てはまるものではないと感じるのは私だけでしょうか。リベラルの動きなど、日本でも少し遅れて、やってくることが多いです。日本もこのようなことにならないことを祈りたいです。

このような風潮を理解していなければ、上のトランプ氏の発言は理解できないでしょう。現在、バイデン政権を巡って信じがたいことが行われています。

たとえば、米軍がアフガニスタンからの退避作戦を円滑に進めるため、退避を希望する米国人やアフガン人の名簿をイスラム主義組織タリバン(Taliban)に提供していたと、米政治専門メディア「ポリティコ(Politico)」が26日に報じました。

この内容は、米当局者はタリバンに米国民、グリーンカード保有者、アフガン人協力者のリストを提供したというスクープです。

退避できなかったアフガン人協力者の命が危ぶまれます。タリバンはすでに外国への協力者をブラックリスト化し、家を訪問して探し回っています。米当局の極めて危険で短絡的で奇怪な行動です。

ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は報道を完全に否定せず、共和党は騒然となりました。 記者団の質問攻めに遭ったバイデン氏は、タリバンに名簿が渡った可能性を排除せず、「実際に名簿があったとは断言できない」と述べました。

「あったかもしれないが、そのような状況は把握していない」 

さらに、「『これが12人の名前で、彼らが来るから通してほしい』といったようなことはなかった。そういうことも十分あり得た」と述べました。

バイデン氏の発言に、共和党は騒然となりました。ケビン・マッカーシー(Kevin McCarthy)共和党下院院内総務は、「政府が国民の名簿をタリバンに渡すだなんて、この国の歴史の中で考えられなかったことだ」と指摘。

「なぜ安全に移動できる状況をつくらなかったのか」 

米国防総省は、大規模な退避を調整するためにタリバンと連絡を取っていたことを認めています。

国務省関係者は、ナンバープレートや空港への到着時刻など、車両に関する情報が共有されることがあるとした上で、退避を円滑に進めるために退避希望者の名前が伝えられることがあった可能性も否定できないと述べました。

確かにこのようなことは、米国のリベラルのスラング的にいえば、ウォークでないとできないかもしれません。このブログにも最近も掲載しましたが、タリバンは、テロリストであり、過去の行状からして、彼らは信用できず、そのようなテロリストに名簿を渡すなどありえないことです。

ただ、ウォークの立場にたてば、タリバンも差別してはならないということで、タリバンに米国民、グリーンカード保有者、アフガン人協力者のリストを提供することも奇怪なことではないのかもしれません。

まだ、このことがなければ、トランプ元大統領もアフガンからの撤退を決めていたため、バイデンは運が悪かったともいえたかもしれませんが、これでは、誰もバイデンを擁護できないでしょう。

春頃に、バイデンの外交に関して、「さすがバイデンは玄人外交。トランプと違って安心して見ていられる」というような趣旨の事を言っていた日本人識者がいました。そうしてその「玄人外交」の結果がカブールでのテロです。一体何が玄人なのか困惑せざるを得ません。

私が見ている限りでも、ツイッターでよく発言をしている「国際政治学者」だけでも、「さすがバイデンは玄人外交。外交音痴のトランプとは違う。これでアメリカは普通に戻った、よかったよかった」と言ってた識者を五人くらいはいたと思います。

カーブル空港の自爆テロでは米兵も多く亡くなりました。数週間の任務の予定でアフガン入りし、二度と国に戻れず家族にも会えなくなってしまった人たち。以下はその人達の写真です。家族が彼らの笑顔を見ることはもうありません。「イスラム国は日本が好きだ」などとイスラム国擁護をしていた某研究者に改めて怒りが沸いてきます。


米軍はアフガニスタン東部でイスラム国に対する空爆を実施したと発表。さらに、本日は、アフガニスタン国内の過激派勢力「イスラム国(IS)」系組織「IS-K」の「計画者」をドローンで攻撃し、標的1人を殺害したと発表しました。

こんなことをしてもイスラム国を壊滅させることはもちろんできないです。先日のテロに報復した雰囲気を出すための演出でしかありません。表面を取り繕えばいいというバイデン政権の中東外交は完全に破綻したようです。

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2021年8月27日金曜日

札幌で抗体カクテル療法開始 臨時診療所も1日から投薬 感染妊婦8カ所で入院可―【私の論評】抗体カクテル療法の先にあるのは、コロナに負けない強靭な社会を構築すること(゚д゚)!

札幌で抗体カクテル療法開始 臨時診療所も1日から投薬 感染妊婦8カ所で入院可

 札幌市は26日の市新型コロナウイルス感染症対策本部会議で、患者の重症化を防ぐ効果があるとされる「抗体カクテル療法」を市内17医療機関で始めたことを明らかにした。患者を一時的に受け入れる臨時診療所「入院待機ステーション」でも、9月1日から薬剤投与を開始する。感染した妊婦が入院できる8医療機関も確保したという。

 抗体カクテル療法で薬剤が投与されたのは8月24日時点で80人。これとは別に、5医療機関が同23日から糖尿病や肥満など重症化リスクが高い入院患者に投与しているという。入院待機ステーション2カ所のうち、患者数の減少で休止中の中央区のステーションを9月1日に再開し、1日10人程度に投与する。

【私の論評】抗体カクテル療法の先にあるのは、コロナに負けない強靭な社会を構築すること(゚д゚)!

8月13日、「抗体カクテル療法」として中外製薬の「ロナプリーブ」が承認されました。軽症から中等症に対して治療効果が期待でき、その効果は「入院または死亡リスクを約70%減少する」「重症化の抑制と症状消失までの期間を短縮する」として注目されています。

抗体カクテルとは、2つの抗体蛋白を混ぜて投与するものです。その2つの抗体蛋白は「カシリビマブ」と「イムデビマブ」です。

新型コロナウイルスは表面に「スパイク蛋白」という鍵のようなものを持ち、その鍵が細胞に結合してウイルスが細胞内に侵入、増殖していきます。抗体蛋白は、スパイク蛋白に結合し、ウイルスの侵入、増殖を阻止します。

新型コロナウイルスの構造

2種類の抗体を混ぜるのは、変異ウイルスへの効果を担保するためであす。現在、猛威を振るうデルタ株への効果も期待できるといわれています。すでに実際に抗体カクテルを使用している医療機関もあり、その効果についは良好であることが報告されています。

各地で感染爆発が起こり、各自治体は頭を悩ませていますが、そのなかでも大阪の感染者増加は顕著です。

こういった現状を受けてか大阪府の吉村洋文知事が8月20日抗体カクテルについて、以下のようにツイートしました。

<本日から「短期入院で抗体カクテル療法からのホテル療養」を始めました。なんで完治してないのに、ホテルやねん!最後まで入院させろ!と思われる方もいらっしゃると思いますが、より多くの人が治療を受ける為に必要です。重症化から一人でも多くの人を守る為にご協力下さい>

大阪府の吉村洋文知事

この発言には驚かれた方もいらつしゃるでしょうが、私としては賛同したい内容です。吉村知事や秋元札幌市長のの思いが国を動かし、抗体カクテル療法が標準治療となることを望みますが、現状ではそのハードルは高いようです。

抗体カクテル療法は、発症から7日以内で酸素を必要としない患者に有効性が期待できるとされとています。現状では、自宅待機等で急激な悪化が起きることも珍しくなく、抗体カクテル療法を受けるタイミングを判断する難しさがあります。

また、現状では、抗体カクテル療法を受けることができる患者は、重症化リスクがある場合とされます。厚生労働省が示す重症化リスクは、以下の通りです。
65歳以上高齢者
悪性腫瘍
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
心血管疾患
慢性腎臓病
高血圧
糖尿病 肥満(BMI値30以上)
喫煙
妊娠後期
重症化リスクを十分に考慮した判断が必要となり、今後の医療構築が課題となるでしょう。

また、国の調達予定は20万回分ほどで、そのうち7万回分程度をすでに確保したことを明らかにしていますが、新型コロナウイルスの終息までは、さらなる確保が必要となります。連日、自宅療養するなかでの死亡例も報道され、少しの猶予もありません。

そうして、この先には何があるかといえば、コロナ感染者が多少増えても、重症者、死者を増やさず、自粛によって社会経済活動が阻害されない、強靭な社会です。

そのためには、有効な治療法を確立することが前提です。つまり、ワクチンはすでに製造され、接種が進んでいる状況ですが、その他に抗ウイルス薬が完成することです。「ロナプリーブ」はそうなる可能性が高いです。

そして最後に、おそらくこれが最も重要なのですが、多くの人が免疫を獲得することです。

抗体カクテル療法が、効果をあらわし、重症化リスクのある患者以外にも普通に投与されるようになり効果があれば、そうなる可能性は高いです。

話は変わりますが、インフルエンザは、恐ろしい病気です。2016年には全国で1週間で、200万人もの感染者が発生し、インフルエンザは年齢層を問わず感染するので、小学生がインフルエンザ脳炎でなくなったという痛ましい事例もありました。しかし、それでも医療崩壊の危機に見舞われたり、緊急事態宣言が出されたりして、社会経済活動が阻害されるようなことはありませんでした。

なぜそうだったかといえば、インフルエンザウイルスには以前から、ワクチンはありましたし、それに加えて抗ウイルス薬もあったからです。飲み薬はシンメトレル、タミフル・ゾフル、吸入薬はリレンザ・イナビル、点滴はラピアクタという薬です。

 これらは、体内でインフルエンザウイルスが増殖するのを抑える作用があります。これらによって、感染者が増えても、死者、重傷者はあまり増えない状況になっていたからです。

抗インフルエンザ薬の用法・用量

さらにこのブログで以前から述べてきたように、インフルエンザは我が国の感染症分類では、5類に分類されていて、重症な風邪と同じような扱いができましたので、医療崩壊の恐れもなく、緊急事態宣言を発することをせずに、通常社会経済活動を維持できたのです。新型コロナウイルスによる感染症も現在は2類の扱いですが、いずれ5類にできるでしょう。

「ロナプリーブ」以外にも様々な有効な抗ウイルス薬が開発され、医師の判断によって普通に使用されるようになれば、コロナウイルス感染症も、いずれインフルエンザと同じ扱いになるでしょう。そうして、その日は目前です。

そうなれば、コロナウィルスを撲滅することには長い時間がかかるかもしれないですし、場合によっては、永遠に撲滅はできないかもしれませんが、それでも感染症で多くの人が重症化し亡くなることの無い、社会経済活動を制限しなくてもすむ強靭な社会を構築できるようになります。

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2021年8月26日木曜日

【日本の解き方】コロナが左右した横浜市長選 保守は分裂でまともに戦えず、今後の政局化は避けられない―【私の論評】数の力の意味を知る自民党は、何があっても総裁選を経て衆院選までには、「菅内閣」で一致団結する(゚д゚)!

【日本の解き方】コロナが左右した横浜市長選 保守は分裂でまともに戦えず、今後の政局化は避けられない

山中竹春氏

 22日に投開票された横浜市長選は、立憲民主党推薦の山中竹春氏が制した。

 横浜市を地元とする菅義偉首相は、今回の市長選に全力を投入した。

 元々菅首相は、カジノを含む統合型リゾート(IR)の推進派だった。これに対し、「ハマのドン」との異名を取る藤木幸夫・横浜港ハーバーリゾート協会会長は、山下埠頭(ふとう)へのカジノ整備に猛反対だった。藤木氏は次点となった小此木八郎氏の名付け親として知られているが、小此木氏は藤木氏の意向をくみ、菅政権の国家公安委員長の職をなげうち、IR反対を打ち出して立候補した。

 菅首相は、小此木氏の父、三郎氏の秘書を務めていたので、これまでも小此木氏を自民党総裁選の選挙対策本部長に起用するなど厚遇してきた。IR反対を表明した小此木氏を支持したのも義理人情に厚い菅首相らしい政治判断だ。

 横浜市は、これまでIR推進で動いてきた。現職の林文子市長は当初は勇退するつもりだったが、急遽(きゅうきょ)IR賛成の立場で出馬することとなり、完全に保守分裂となった。しかも、IRについて賛否が分かれるのでは、まともに戦えるはずがない。

 選挙戦の主な争点は、IR誘致と新型コロナ対策だった。

 山中氏の当選は、政府の新型コロナ対策への不満が追い風になった。山中氏は、候補者のうち「唯一のコロナ専門家」を名乗ったことで、差別化が功を奏したようだ。

 もっとも、客観的には、政府の新型コロナ対策には致命的なミスはない。世界と比べると、パフォーマンスは悪くないといえる。

 累積での人口当たりの感染者数、死亡者数、ワクチン接種回収について、20カ国・地域(G20)諸国中でみると、菅政権が発足した昨年9月16日以降、感染者数で4位、死亡者数で4位、ワクチン接種回数で10位となっている。しかし、選挙は結果が全てだ。

 来月の自民党総裁選については、無投票という案はもはやなく、若手も出てきて喧々囂々(けんけんごうごう)となるだろう。その方が、自民党のためにもなる。それは、10、11月にも予定されている衆院選のためでもある。

 政府分科会は、1年半前から、感染者数抑制を中心にしてきたが、同時に医療体制の強化もやるべきだった。最近、政府分科会の尾身茂会長は、「臨時のプレハブ施設でもいい」と言っている。1年以上前に、そのための補正予算を約1兆5000億円も組んでいるが、それらはあまり使われなかった。

 さらに、新型コロナ病床確保のための補助金を受けながら患者受け入れに消極的な実態も一部に浮上してきた。世界トップレベルの病床を持つ日本でも医療崩壊といわれる背景に、補助金を受け取らなかったり、受け取っても患者を受け入れないというのでは、医療側の責任も小さくないのではないか。このあたりも検証すべきだ。

 いずれにしても、市長選の結果により、政局の始まりだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】数の力の意味を知る自民党は、何があっても総裁選を経て衆院選までには、「菅内閣」で一致団結する(゚д゚)!

数の力の意味を知る自民党は、何があっても最終的にはまとまる文化があります。そこが野党との違いです。ただ、それは国政レベルの話であって、地方の選挙では分裂選挙も珍しくはなく、実際分裂した選挙においては今回のように良い結果とはならないことのほうが多いようです。



報道などから自民党総裁選の状況を以下でまとめます。まず、2020年に自民党総裁選挙を経て菅首相が誕生した経緯を踏まえると、菅首相を支える安倍派と麻生派、ニ階派に属する重鎮政治家などが、菅首相の代わりとなる「選挙の顔」を求めるかどうかが焦点になります。今回の総裁選挙は、昨年のように国会議員による票取りだけではなく、自民党の党員による投票が加わるとみられます。

情勢はなお流動的ですが、菅首相は総裁選挙への出馬を明言しています。重鎮政治家は菅首相を支持する姿勢を示しています。菅首相に加えて、8月23日時点で総裁選挙に出馬する意向を示しているのは、下村博文政調会長、高市早苗元総務相です。

自民党の岸田文雄前政調会長は本日26日、国会内で記者会見し9月末の任期満了に伴う党総裁選に出馬すると正式に表明しました。「このたびの自民党総裁選に立候補すると決意した」と述べました。

岸田氏は「国民政党であったはずの自民党に声が届いていないと国民が感じている」と強調した。「自民党が国民の声を聞き、幅広い選択肢を示すことができると示し、日本の民主主義を守るために立候補する」と語った。

国民の信頼を回復するために「党のガバナンス改革をしっかりと進めていく」と訴えました。党役員への中堅・若手の大胆な登用や衆院選の比例代表候補に適用する「73歳定年制」の堅持などを主張しました。

「政治とカネ」問題は「国民に丁寧に説明し、透明性を高める」とも言明しました。総裁以外の党役員の任期を「1期1年」で連続3期までとし「権力の集中と惰性を防いでいきたい」と話しました。

新型コロナウイルス対策については「危機管理の要諦は最悪の事態の想定だ。『たぶんよくなるだろう』ではコロナに打ち勝つことはできない」と指摘しました。人流抑制や病床確保、ワクチン接種の推進などとあわせて、早期に「経済対策をとりまとめる」と説明しました。

経済政策を巡り「成長と分配の好循環による日本型の資本主義を構築すべきだ」と唱えました。中間層の拡大に向けて「『令和版所得倍増』を目指す」と力説しました。子育て世代への住居費の支援拡充などを掲げました。

岸田氏は、経済政策においては、「インフレ2%目標が最優先とされ、経済成長を押し上げる拡張的な財政政策」については触れていません。金融緩和と積極財政がなされないままでは、経済成長は不可能です。その状態で分配に力を入れるとなると、過去の民主党政権時代や最近の韓国文政権の経済政策と同じで、雇用が激減します。

岸田氏

この発言からも 岸田氏の経済政策は、経済成長を重視していた安部前首相の路線を引き継ぐとした菅政権とは、異なる経済政策運営を行う可能性が高いです。

元々岸田ファミリーは財務省で固められていますので、彼が総理になれば、消費減税どころか消費増税の可能性が高くなります。また、世界遺産登録で外務大臣当時、いわゆる徴用工の記述を「forced to work」との表現で、韓国と妥協した方なので、彼は外交面でも問題視されています。

具体的に、2023年に任期を迎える日銀執行部人事には、今後の官邸の経済政策の姿勢が大きく影響するでしょう。岸田氏による政策転換によって、2%インフレ目標に対するコミットを弱め、そして、1990年代半ば以降デフレ克服に十分な対応を繰り出さなかった官僚組織の意向に沿った金融政策に変わると予想されます。

財政政策に関しては、現状、新型コロナという非常事態において、財政健全化を最優先とする政治家などからの声は目立っていません。ただ、大きく拡大した財政赤字を前に、早期増税を狙う政治勢力は根強いと見られます。新型コロナ問題が落ち着いた時点で早々に、岸田氏は、所得再分配に政策の主軸が移ることを契機として、増税を伴う緊縮的な財政政策に転じる可能性が高いです。

一方、下村、高市両氏に関しては、総裁選挙出馬に必要な推薦人を集められるのか、現状では不明です。また、彼らが出馬するとしても、次次回以降の選挙を睨んで首相候補として知名度を高める意味合いが大きいと考えられます。

こうした中で、総裁選出馬の立場を表明する高市氏は、先日もこのブログで示したように、マクロ経済政策に対する考えを明確に打ち出していました。最近の文藝春秋のインタビュー記事などからピックアップすると、高市氏は、菅総理を応援しているとする一方で「小出しで複雑な支援策に終始している」とコロナ対応のための菅政権の財政政策をやや批判的に評しています。

そうして、「インフレ率2%に達成するまでは、時限的にプライマリーバランス規律を凍結して、戦略的な投資に関わる財政出動を優先する」と述べています。

インフレ2%目標が最優先とされ、経済成長を押し上げる拡張的な財政政策が実現したのは、第2次安倍政権発足直後の2013年の短期間でした。この時期のみが、金融財政政策が一体となったマクロ安定化政策の徹底された期間でした。この時の政策を続けることが、2%インフレと完全雇用実現という経済正常化に必要と高市氏は主張しています。

高市氏は、債務残高の制約によらずに長期間財政赤字を継続させている米国の財政政策運営など、幅広い知見を複数のブレーンなどから得たことで、この財政政策に対する考え方を理解さしたのでしょう。

自民党の有力政治家からこうした財政政策に対する考えが打ち出されたことは、大きな変化です。今後の自民党政治家の中で経済政策の議論の質が高まり、マクロ安定化政策が更に改善することを期待させる動きと評価できますし、今後の菅政権の経済政策運営に影響する可能性があります。

これまで菅政権を支えてきた重鎮政治家の意向は変わらず、菅政権の継続をのぞんでいるようでし、安倍氏前総理も菅政権の存続を望んでいます。これを考えると、総裁選においては、菅首相が消去法的に自民党総裁として選ばれるなるのではないでしょうか。

ただ、政治は流動的であり、一瞬先は闇ともいわています。

それにしても、新型コロナの混沌を経て、高市氏のような世界標準の経済政策を標榜する自民党の政治家が現れました。また、8月22日に日本維新の会の馬場幹事長は、総選挙の結果によっては、自民・公明両党と、政策ごとの部分的な連携がありうる、との考えを示しました。

日本維新の会は、経済成長を重視する政策を掲げています。菅政権の支持率低下が続き、政局に対する不透明感は高まっていますが、将来を期待できる動きが永田町でみられることは、日本株市場の一筋の光明と言えるでしょう。

衆院選は、最大に延長すると11月にできますし、その可能性が高くなっているともいわれています。それ以前に総裁選が開催されることになります。

総裁選においては、候補者らの政策の博覧会のようになります。様々な論議がなされて、良い方向に向かうことが考えられます。

新総裁、おそらくは菅総裁のもとに自民党は結束を固めることができるのではないでしょうか。ここで、新たな感染対策や、経済対策を打つべきです。

特に感染対策に関しては、このブログでも過去に主張してきたように、いままでのように、感染者数を減らすことだけに注力するのでなく、多少感染者が増えたにしても、重症者、死者を増やすことなく、自粛をしなくてもすむような強靭な社会を目指すようにすべきです。

経済対策に関しては、高市早苗氏のものが最もまともで、世界標準の政策であるので、これを参照しつつ、安倍政権を継承することを旨とする菅政権において、アベノミックスをさらに拡張するような政策を打ち出すべきです。特に、物価目標2%を達成するまでは、財政均衡ではなく、積極財政を実施するという点は譲れません。

先に述べたように、数の力の意味を知る自民党は、何があっても最終的にはまとまる文化があります。総裁選を経て、新たな政策を打ち出せば、11月にはその成果がはっきりするまではいかないまでにしても、コロナ感染でも、経済も好転するという予兆が多くの国民に認識される可能性があります。

国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在している野口聡一飛行士(56)が4月20日、菅義偉首相とオンラインで交信

そうなれば、11月にはコロナ感染症が収束する可能性が大きく、さらに以前このブログに述べたように、コロナ感染者数と、菅政権の支持率にはかなり強い負の相関関係があることから、菅政権の支持率も上がり、衆院選挙に勝つ可能性もでてきます。

以前にも述べたように、私自身は熱烈な菅首相ファンというわけではないのですが、コロナ感染のような未曾有の危機のときには、政権交代などがあれば、大胆な政策をできなくなる可能性が高いので、できれば菅政権を継続すべきと思っているので、菅政権には衆院選にも勝利していただきたいと思っています。

政局や政策も含めた大胆な改革などは、今ではなく、コロナ禍が収束し経済も回復した後でやるべきと思います。

先に述べたように、二階幹事長をはじめ菅政権を支えてきた重鎮政治家の意向は変わらず、菅政権の継続を望んでいるようですが、これは本当にまともな判断だと思います。二階氏に関しては、親中的な部分では、まったく賛同できないのですが、ぶれずに菅内閣の継続を望んでいることでは、高く評価したいです。

マスコミや評論家の中には、菅政権はおしまいというような論調のものも多いですが、自民党の重鎮政治家は、この点ではまともな判断をするということで、さすがは、数の力の意味を知る自民党であり、何があっても衆院選を目指してまとまることでしょう。


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2021年8月25日水曜日

【日本の解き方】漫然と延長された緊急事態宣言 保健所が介在する仕組みに限界、現場の医師の判断優先すべきだ―【私の論評】保健所を単なる情報の結節点にすべきではない(゚д゚)!

【日本の解き方】漫然と延長された緊急事態宣言 保健所が介在する仕組みに限界、現場の医師の判断優先すべきだ

札幌市保健所

 新型コロナウイルス緊急事態宣言の対象が13都府県に拡大され、9月12日まで延長された。

 先日、筆者の知人から興味深い話を聞いた。知人はワクチン職域接種の待機中に新型コロナに感染してしまったという。幸いなことに、症状は重症まで至らなかったが中程度にまでなり、自宅療養を経て今では回復している。感染経路は不明だが、どうも家庭内のようだ。

 症状が出始めたとき、かかりつけ医のところで適切なアドバイスが得られたことが不幸中の幸いだった。

 新型コロナは感染症法上、「新型インフルエンザ等」に位置付けられているが、自治体や医療機関は、結核などの2類相当あるいはそれ以上の厳格な対応をしている。

 感染者と現場の医師だけで、治療などが完結せず、ほぼ全ての場合に保健所が感染者と医師の間に介在しなければならない。筆者の知人の場合、間に入る保健所の職員が気の毒になったという。医師であれば、薬の処方などさまざまな対処方法を相談できるが、保健所の職員はほぼマニュアル対応だけなので、感染者の聞きたいことに答えられないからだ。

 筆者の知人は入院相当になったが、入院先を決めるのは保健所である。しかし、結果として、保健所から入院先がいっぱいで入院できないという連絡しかこなかったようだ。

 この事例は特殊ではなく、筆者がいろいろなところで聞いている典型例だ。要するに、保健所を介在させるので、感染者側にも現場の医療側にも不満が出るのだ。結果として、日本で豊富とされる医療資源を有効に活用できなくなっている。

 これは、一般的な経済理論であるが、間に介在する主体はないほうがいい。介在する主体が正当化できるのはその方が需給のミスマッチを解消できる場合のみだ。

 保健所を介在させるのは感染法上の措置であるが、保健所の能力などから正当化するのは難しい。役所組織が介在すると不効率ばかりが起こるのが常で、まさに筆者の知人の話を聞いていて、よくある話だと思った。

 新型コロナの感染症表の位置付けは、安倍晋三政権当時の1年前から議論があり、5類への変更も議論された。筆者は、情報を一番持っているのは現場だから、現場の医師の判断を優先するシステムを主張してきたが、それも実現せず、ここにきて限界が明らかになっている。

 こうした本質的な問題点を改善せずに、緊急事態宣言が漫然と延長された。

 政府の分科会は、相変わらず、医療体制の強化や活用を考えるのではなく、感染者の抑制ばかりを議論している。それは、新型コロナ問題の抜本的な解決にはつながらず、経済を弱めるばかりで結果として逆効果にもなりかねない。最近は政府の行うことに不信感も強まっている。

 あるテレビドラマで有名になった、今の状況を適切に語る言葉がある。「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!」 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】保健所を単なる情報の結節点にすべきではない(゚д゚)!

保健所とというと、私自身はあまり良いイメージがありません。悪いイメージというわけではないのですが、極度に遅れているというイメージか頭にこびりついています。

今から10数年前、おそらくは2005年くらいのことだったと思います。20年はたっていないと思います。私はある地方都市(札幌市ではない)の保健所のパンフレットを読んでいて驚いたことがあります。

何に驚いたかというと、それはその保健所の使用しているコンピュータ・システムに関するものでした。細かいことは忘れましたが、何とその保健所ではその当時にはオフコンなるものが使わていたのです。今では、オフコンなる言葉もほとんど死語になっていますから、知らない人も多いと思います。

そうして、記憶補助媒体は何と8インチフロッピーでした。システムの概念図を見ると、ハードディスクもあるようですが、その容量はたかだか数十メガバイトでした。

8インチフロッピを用いた当時のオフコン

そうして、当時はネットワーク化もされていなかったと思います。少なくとも、概念図には外部のネットワークについては記載されていませんでした。内部のネットワーク化もされていなかったと思います。

もし、ネットワークの必要性を感じるようなことがあった場合は、オフコンから資料をプリントアウトし、それをファクスで送信したのだと思います。

1990年代には、私は会社のIT部門に在籍していて、当時パソコンを用いて、40箇所をネットワークで結ぶという仕事をしたばかりでした。当時から、私は次世代はパソコン・ネットワークの時代になると確信していたので、多くの業者がオフコンも提案してきたのですが、結局パソコンを用いたネットワークを構築しました。

当時では、パソコンを用いると後で様々な変更などができること、オープンな環境が構築できることが魅力でした。パソコンはいくつか種類がありましたが、当時のNECのPC9800シリーズを用いました。OSはマイクロソフトのMS-DOSでした。当初は、通信機能を含んでいないOSだったので、通信部分は当時のノベル社製のソフトウェアであるネットウェアを用いました。このネットウェアというソフトは、その後マイクロソフトのwindowsosに通信機能がバンドルされるようになって、衰退しました。

いまではみられななくなったフロッピーディスクで供給さていたPC98用のNetWare

ただ、当時のMS-DOSには通信機能がバンドルされていなかったので、ネットウェイを用いたのです。

以上は、まだ現在のような、商用インターネットが普及していませんでした。当時は、学術用に用いられ、大学の研究室等からのみアクセスできました。それにしても、ケミカル・アブストラクトなどにアクセスして、その便利さには驚嘆しました。

当時はネットウェアの導入実績が少なかったので、業者の方々と互いに勉強をしながら、構築していきました。そうした経験があった私からみると、当時の保険所のシステムには驚愕しました。

そうして、保健所のシステムの実体を知って、いかに地方の保健所などでは、業務のほとんどがルーチン業務で占められているのか、理解できました。

おそらくこのシステム数十年前に、優れたSEが開発したのでしょう。そうして、数十年たっても、保健所の業務はほとんど同じなので、そのまま継承され使われてきたのでしょう。だからこそ、生き残ったのだと思います。

これは、当該地方都市に限らず、全国の他の保健所でも同じようなものだったのだと思いスマ。そのような組織が、いきなりコロナ感染症で、主役に躍り出たというのが現実なのだと思います。あまり備えがなされていないうちに、コロナ感染症情報の最前線の役を担うことになったというのが実態なのでしょう。

テレビをつければ昨年から「今日新たに確認された感染者数は○人でした」とニュースが告げる光景がすっかり日常になった令和ニッポンです。繰り返しますが、令和です。

ご存じでしょうか。新型コロナウイルスと最前線で対峙する医療関係者が、いまなお「昭和」の世界を強いられていることを。キーワードは「紙に手書き」「ファクス」。どういうことかでしょうか?

きっかけは、ある公立病院に勤務する医師だという人がツイッター上に投稿したツイートでした。「もう止めようよ…。手書きの発生届…(中略)コロナも手書きでFAX…。もう止めようよ…。手書きの発生届…。こんなん昭和ですよ…(後略)」

感染症法では、医師は新型コロナなどの患者を確認した場合、すぐに地域の保健所(各都道府県)に「発生届」を出して報告することになっています。問題は、これがお役所が定めた書式の用紙に、医師らが手書きし、保健所などにファクスしなければならない、ということなのです。

このツイートが投稿されるやいなや、1万回以上リツイートされ、「医療崩壊寸前の戦場のような中でこれを書く側の手間(中略)何という無駄」など、医療関係者にとどまらず共感が広がり、IT政策を担当する内閣府の平将明副内閣相も「対処します」と乗り出す事態になったのでした。

このツイートが投稿されるやいなや、1万回以上リツイートされ、「医療崩壊寸前の戦場のような中でこれを書く側の手間(中略)何という無駄」など、医療関係者にとどまらず共感が広がり、IT政策を担当する内閣府の平将明副内閣相も「対処します」と乗り出す事態になったのです。

感染症法を所管する厚生労働省のホームページでは、医師が書き込む「発生届」がアップされ、自由にプリントアウトできるようになっています。各都道府県も厚労省のものを参考に書式を作っており、各地の医師はこれに従い、保健所に届け出る、というわけです。

読者もご覧いただきたいものです。感染者の名前や住所、職業、症状、初診の年月日、診断方法など計19項目を記入するようになっています。よほど字を小さくしないと手書きの記入が難しいのです。日々の診療に加え、コロナ対応で疲弊しきった医師らに細々書かせるのは無駄というほかないです。

しかし、私自身は正直なところ、上で述べた経験があったので、さほど驚きませんでした。

政府が5月に運用を始めた新型コロナウイルス感染症の情報把握システム「HER-SYS」(ハーシス)の普及が遅れている。国、自治体、医療機関が感染者らの情報を共有できるようになるシステムだですが、保健所が設置されている155自治体のうち、昨年7月14日時点で4分の1の39自治体が利用を始めていません。

独自システムを使う東京都、神奈川県、大阪府で切り替えに時間がかかっているためだといわれていました。国内初の感染者が確認された1月16日から半年たっても、全国的な情報集約システムが確立していないというのが実情でした。

上の高橋洋一氏の記事では、「保健所を介在させるので、感染者側にも現場の医療側にも不満が出るのだ。結果として、日本で豊富とされる医療資源を有効に活用できなくなっている」としていますが、まさにそのような状況が発生しているのだと思います。

ドラッカー氏は現在の組織について以下のように語っています。
知識労働のための組織は、今後ますます専門家によって構成されることになる。彼ら専門家は、自らの専門領域については、組織内の誰よりも詳しくなければならない。(『ポスト資本主義社会』)

いまや先進国では、あらゆる組織が、専門家によって構成される知識組織です。

そのため昔と違って、ほとんどの上司が、自分の部下の仕事を知らない。そもそも今日の上司には、部下と同じ仕事をした経験がない。彼らが若かった頃には、なかったような仕事ばかりである。したがって彼らのうち、部下たる専門家の貢献を評価できるだけの知識を持つ者もいない。

 いかなる知識といえども、他の知識よりも上位にあるということはないのです。知識の位置づけは、それぞれの知識に特有の優位性ではなく、共通の任務に対する貢献度によって規定されるのです。

かくして現代の組織は、知識の専門家によるフラットな組織である。じつにそれは、同等の者、同僚、僚友による組織である。

 そしてそのフラットな組織において、彼らの全員が、まさに日常の仕事として、生産手段としての自らの頭脳を用い、組織の命運にかかわる判断と決定を連日行なうのです。

つまり、全員が責任ある意思決定者なのです。

もっともドラッカーは、自分よりも詳しい者が同じ組織にいるようでは、専門家とはいえないと言っています。

「現代の組織は、ボスと部下の組織ではない。僚友によるチームである」(『ポスト資本主義社会』)

専門家によるフラットな組織には、いつでも専門家が最新の情報が得られるようにシステムを構築しなければなりません。このあたりのことを、官僚などは未だに理解していないのでしょう。 

そもそも、保健所がコロナ情報の中心になるという考え方自体が時代遅れです。本来このような情報は、クラウド上に蓄積できるようにし、医師もしくはその代理人がこのクラウドにアクセスして、コロナ患者のデータを入力できるようにすべきでした。

保健所や、コロナ関連の官僚は、情報の結節点そのものになるのではなく、このクラウドにアクセスして、その時々で分析を行い、様々な政策を立案するという方式にすべきでした。その仲でも、特に各地に位置する保健所は、その地域に即したきめ細かい提言などができるはずです。

このようなシステムは、現在ではさほど資金を投下しなくてもできますし、素早く構築できます。

それにしても、末端の保健所の職員は大変です。未だにファクスや電話を用いて、患者に連絡したり、病院の状況を把握したりするのですから、いくら人手があっても足りないと思います。

まさに、上の高橋洋一氏の記事の結論部分にもあるように、「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!」 のです。

テレビドラマ「踊る走査線」名セリフ「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!」

無論、保健所が全く関与するなととまではいいませんが、少なくともコロナ感染情報の単なる結節点になるのではなく、情報を分析して、はやめに各方面に実施すべきことを伝えるなどの行動をメインとすべきです。

そうしてこそ、様々な資源の配分が効率よくできるようになるはすです。保健所の所員たちの、能力が活かされることになります。さらに、現場の医師の判断を優先するシステムにすれば、医師の能力もさらに生かされます。そのためにも、コロナ感染情報のクラウドによる一元管理をすすめるべきです。

それに、コロナ感染者数減だけを目指す感染対策はもうやめにすべきです。コロナ感染症を撲滅するにはこれから長い時間がかかります。であれば、感染者数が多少増えたにしても、重傷者、死者を増やさず、社会の機能を損なうことない強靭な社会を目指すべきです。

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2021年8月24日火曜日

中国への脅威となれる日米豪印「クワッド」―【私の論評】対潜哨戒能力も同盟関係も貧弱な中国にとって、日米豪印「クワッド」はすでに脅威(゚д゚)!

中国への脅威となれる日米豪印「クワッド」

岡崎研究所


 元豪州首相のケヴィン・ラッドが、8月6日付のForeign Affairsで、クワッド(日米豪印の4か国協力)の成功は中国の野望達成にとり主要な脅威になるなどの理由で中国を警戒させていると述べている。

 ラッドがクワッドにつき何を言うのか、興味があったが、表立ってクワッドを批判することにはなっていない。安倍晋三元総理のイニシアティヴにも触れながらクワッド成立の経緯を説明し、中国の対応は当初は無視し、その後は参加国分断や猛烈な非難攻撃をやるが、それでもクワッドの進展は止められなかった、今やクワッドが世界的な反中連合になることを強く警戒しているとする。それは、世界一の経済、技術、軍事大国になるという中国の野望達成の脅威になっていると言う。このようなラッドの分析は、恐らく正しいであろう。

 中国が強く警戒する理由として、ラッドは、①クワッドが世界的な反中連合の土台になり中国の野望達成の障害になる、②台湾海峡や南シナ海などでの軍事シナリオを複雑化するということを挙げる。そして、中国の対応としては、①ASEAN諸国との関係強化、②ロシアとの関係強化、③米国が動けない自由貿易の枠組の推進、④軍事支出のさらなる拡大を挙げる。

 ラッドは「これまでのところ、中国はクワッドに効果的な対応を取れないでいる」というが、それも正しいと思う。中国は、クワッド対応に失敗しただけでなく、抑々自己主張を強める政策や振る舞いがそれを引き起こしたことを忘れてはならない。

 当初慎重だったインドも中印衝突を経てクワッド参加を鮮明にした。対中経済関係を重視してきた豪州は、中国の標的にされた。豪州によるWTO提訴は当然である。Covid-19の起源の客観的調査を求めると豪州が発言したのみで、中国は、豪州からの貿易品目に不当な関税を課す等したのだから。

 中国がクワッドを警戒していることは、対中抑止力が効いていることでもある。クワッドを注意深く進展させていくことが重要である。クワッド首脳は本年末までに対面会合開催を予定している。

 日本はクワッド協力を提唱し、推進してきた。ラッドもそれを理解の上書いている。日本の大きな貢献である。「インド太平洋」地域の概念は定着した。日本はこれらの努力を継続するとともに、中国やロシアとの関与にも努めていかねばならない。

 ASEAN諸国は特に重要である。ASEAN地域は中国との競争の主要な地域になる。日米がコロナ・ワクチンの配布に力を入れていることは良いことだ。バイデン政権の国務長官や国防長官が先頭に立った関係強化の努力が目立ってきている。米・インドネシア対話も始まる。

 欧州が漸くアジア太平洋への関与を強めていることは、良いことである。英、仏、独がインド太平洋に艦船を派遣し、我が国とも演習をするようになっている。目下英国の空母と、ドイツのフリゲート艦が東アジアに向かっている。なお今月上旬インドは今年の4か国のマラバール合同演習を西太平洋で行うことを発表した。

【私の論評】対潜哨戒能力も同盟関係も貧弱な中国にとって、日米豪印「クワッド」はすでに脅威(゚д゚)!

現在、世界各国が持っている海軍の船は、実は2種類しかありません。1つは空母などの水上艦艇、もう1つが潜水艦です。水上艦艇はすべて、いざ戦争が起こったら、ターゲットでしかありません。

船が浮かんでいる時点で、レーダーなどで、どこで動いているのか存在がわかってしまいます。そこを対艦ミサイルなどで撃たれてしまったら、空母だろうと何であろうと1発で撃沈です。しかし、潜水艦はなかなか見つからないので、その意味では現代の海戦においては潜水艦が本当の戦力なのです。

現代の海戦においては潜水艦が本当の戦力

そういう観点から見ると、中国はたくさんの水上艦艇を所有していますが、潜水艦そのもや対潜戦闘などの能力、水面より下の戦力は弱いです。一方日米は、水面より下の戦力においては圧倒的に強いです。

サイズ的には中国海軍は、数も多いし脅威ではありますが、実際の戦闘態勢になったら、水中の戦力は日米のほうが圧倒的です。海戦ということになると、中国は日本単独と戦っても負け戦になってしまいます。

特に、日米が協同した場合、海戦においては世界最強です。日本の通常型潜水艦は、静寂性(ステルス性)に優れており、中国にはこれを発見することはできません。一方米国の原潜(米国製通常型潜水艦は製造されていない)は、攻撃型も戦略型も攻撃力は世界一です。

日米潜水艦隊が協同して、日本の潜水艦隊が情報収集にあたり、米原潜が攻撃をするなど双方の長所を生かした役割分担をした場合、これに勝てる海軍はありません。ロシアは無論のこと中国でも海戦では全く歯がたちません。

かつて、中国の潜水艦というと、ドラを打ち鳴らすように音を出しながら水中を進むと形容されたように、場所がすぐにわかってしまったと言われた時代がありました。最近は静粛性が上がっているものの、それでも日米の世界最強の対潜哨戒能力からすれば、中国の潜水艦は簡単に中国に発見されてしまいます。


最近では、米国の対潜水艦装備を用いている英空母打撃群が追尾する中国の潜水艦をすぐに発見してしまったという報道がなされています。英軍にも発見できるわけですから、世界最高の哨戒力のある日米にはすぐに発見されてしまいます。これでは、そもそも勝負になりません。日米と中国の海戦は、目の見えない中国と目がよく見える日米との戦いと言っても過言ではありません。

さらに、中国が日米などと比較して、徹底的に劣っていることに中国に仲間がいないということがあります。中国には同盟国がないということです。

過去の戦争を見ると、勝った国は、最新テクノロジーを持っていたとか、物量的に優位だったとの分析がなされていますが、同盟が強かった国が勝って来たということができます。

 その典型は英国です。英国は、ロシアが強大になるとフランスと同盟を組み、ドイツが強大になるとらロシアと同盟を組み対処してきました。 英国は、仲間づくりがうまいのです。

 日本も歴史を振り返ると、日露戦争のときは英米を含めてうまく仲間を使っています。ロシアがバルチック艦隊でアフリカの方を回って来てもスエズ運河に入らせないとか、途中でどこかの港に入ったら邪魔するということをやってくれましたし、横須賀には英国が売ってくれた「戦艦三笠」がありました。 

英国は、物資も戦費も調達してくれ、英国かなりお世話になったのです。日本も勝てた戦争を冷静に見て行くと、良い国と同盟を結んでいたから勝てたということができます。 

ところが第二次世界大戦では、ABCD包囲網で、周りが敵だらけになり、外交的に負けている状況で戦争をやろうとしていました。これでは勝てるわけがなかったのです。

Aが米国、Bが英国、Cは中国、Dはオランダです。日本には当時まともな同盟相手がいませんでした。一応、ドイツは同盟国だつたですが、たまにBMWの試作エンジンを送ってくれるとか、金塊を潜水艦で送ってくれましたが、それ以外はほとんど役に立たなかったのです。

第2次世界大戦中は、結局日独伊が組んだ大規模な作戦など一度も実施されませんでした。物資や経済的な交流もほとんどなく、独伊は同盟国としてある程度機能していましたが、日独伊三国同盟はほとんど機能していませんでした。

日独伊三国同盟の祝賀会の写真をカラー化(渡邉英徳教授のTwitterより)

そうして、いまの中国を見てください。いざというときに頼りになる仲間はいません。経済力は強いのですが、同盟システムを彼らは持っていません。

仲が良いのは、北朝鮮やラオス、カンボジアくらいです。ロシアとは表面上は仲が良いようにしていますが、その実氷の微笑ともいえるような冷たい関係です。

米国は世界に四十数ヵ国の同盟関係を持っています。これらの同盟国の基地も使えますし、軍隊も派遣できます。 人間もそうなのですが、国も仲間は大切です。いざというときに助けてくれる仲間が必要です。

中国はそういう意味で、仲間を得られない国なのです。元々システム的に弱さを持っているのです。
 
日本も同盟の大切さを常に意識しなければいけません。 中国に対抗するという意味では、オーストラリアが重要です。今回のオリンピックでも、オーストラリアの選手が日本に感謝してくれていました。

オーストラリアはこれからも日本にとって大事な国になって来ます。また、インドもクアッドという仕組みに入っています。日本が自発的に仲間になろうと、みんなとうまくできる状況をつくることが必要です。そうして、将来的にはこれらの国と同盟国になることが、中国と対抗していく上で重要になってきます。

対潜哨戒能力も同盟関係も貧弱な中国にとって日米豪印「クワッド」はすでに脅威です。さらに、クワッドが欧州などとも同盟関係を強めれば、中国が一国でこれに対処するのは不可能です。


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2021年8月23日月曜日

自衛隊機、アフガンに出発 邦人・現地スタッフ退避へ 外国人輸送は初―【私の論評】困難を伴う任務の成功とみなさんの無事の退避を心から願う(゚д゚)!

自衛隊機、アフガンに出発 邦人・現地スタッフ退避へ 外国人輸送は初



アフガニスタンに向けて出発する航空自衛隊機=23日午後、埼玉県の航空自衛隊入間基地


 政府は23日、イスラム主義組織タリバンが実権を掌握したアフガニスタンに残る邦人や大使館などの現地スタッフを国外退避させるため、自衛隊の輸送機を派遣した。

  自衛隊法に基づく措置で、外国人の輸送は初めてとなる。

  政府は同日午前、首相官邸で国家安全保障会議(NSC)を開き、自衛隊機を派遣する方針を確認。この後、岸信夫防衛相が自衛隊に派遣を命じた。 

 第1陣となる航空自衛隊のC2輸送機1機は同日夕、派遣先のカブール国際空港に向けて入間基地(埼玉県狭山市など)を出発。24日にはC130輸送機2機が出発する方向で調整している。隊員計数百人も現地入り。準備が整い次第、輸送活動を開始する。

  輸送対象は、国際機関の日本人職員に加え、日本大使館や国際協力機構(JICA)のアフガニスタン人などの現地スタッフで、家族も含め数百人規模になる見通し。カブール国際空港から周辺国に向かう。 

【私の論評】困難を伴う任務の成功とみなさんの無事の退避を心から願う(゚д゚)!

昨日のこのブログで、今回の自衛隊の作戦は、現地アフガニスタン人スタッフやその家族の保護も含むだろうと予測しました。その予測はあたりました。本当に良かったです。

せめて、現地アフガニスタン人スタッフやその家族を中継地まで送り届けるべきとも主張しましたが、その通りになったようです。

国産のC2輸送機

この作戦、C2輸送機C130輸送機2機が参加するとのことですが、これは結構規模の大きいものといえると思います。なにしろこれらの航空機かなり巨大です。下の写真はC2輸送機の内部です。

C2輸送機の内部

昨日は、タリバンの残虐さと平気で嘘をつくことを述べました。この作戦には、もちろん危険もともなうかもしれません。

アフガンでは、まだ戦闘が続いています。タリバンの報道官は「敵はパンジシールで包囲されている。我々は平和的解決を望んでいる」と主張しています。パンジシールのアフマド・マスウードの方も話し合いを求めているので、どちらも真実なら戦闘は発生しないことになる。戦闘が発生すれば、どちらかがウソをついていたことになります。

タリバンはガニ大統領と政府高官に対する恩赦を発表していますが、これを信じて戻ったら大変なことになるでしょう。タリバンは政府関係者や外国への協力者をブラックリスト化し、一軒一軒探し回っていると多くのメディアが伝えています。すでに殺害・処刑された人もいます。

今回の輸送の前提となる「安全」について、政府は米軍が首都カブールの空港を掌握しており確保されていると説明しています。ただ、輸送対象の邦人や大使館などの現地職員らは自力で空港までたどり着かなければならず、危機下の邦人保護の難しさも浮き彫りになっています。

岸信夫防衛相は23日、防衛省で記者団に「各国は自らの軍用機で自国民や現地職員を退避させている。人道的な観点から、自衛隊がこうした方々を退避させることは重要な責務だ」と強調しました。

防衛省は今回の輸送にあたり、カブール空港に現地調整所を設置します。空港は米軍の管理下にあり、輸送対象の邦人らは米軍のセキュリティーゲートを通過し、外務省職員による本人確認などの検査を受けることになります。自衛隊はそうした手続きのサポートに加え、輸送機までの誘導などを担いますが、その活動範囲は空港内にとどまるのが現実です。

日本政府は平成28年に施行した安全保障法制で、自衛隊法を改正し在外邦人の保護措置に関する規定を整備しました。同法84条の3「在外邦人等の保護措置」に基づけば武器使用範囲が広がり、任務遂行を妨害する相手に対しても武器使用が可能となります。ただ、権限がより強くなる分、前提条件も今回適用する84条の4「在外邦人等の輸送」よりも厳格で、「当該外国の同意」が必要となります。

日本政府は、タリバンが樹立を目指す新政権を承認するかどうか慎重に見極める構えです。混乱が続くカブール空港外で、自衛隊による「在外邦人等の保護措置」を実施するのは困難です。

また、空港から国外へ退避させたアフガニスタン人の現地スタッフとその家族らをどう処遇するかも課題の一つとなっています。安全な場所にいったん、退避させた後、本人の希望を踏まえて日本に入国させることや、第三国に移動させることなども検討します。

アフガンに赴くためC2輸送機に乗り込む自衛隊員ら

今回の作戦における最大の懸念は、故障あるいはミサイル攻撃等でカブールにおいて修理が必要になった場合、国産のC-2では米軍の支援を受けることを期待できず、最悪の場合、カブールで放棄しなければならなくなる可能性もあるということです。一方のC-130は、世界中で使われている航空機です。こうした点では安心です。

C-2を使う場合は、カブールには直接飛ばさず、ディエゴガルシア(インド洋にある環礁。アメリカ軍とイギリス軍の基地がある)と在日米軍基地間など、幹線空輸用に使用することが望ましいのでそのようにするかもしれません。

もし自衛隊機がタリバンの携帯式SAMで攻撃され、フレアなどでミサイルを回避できなかった場合、大変な悲劇になることを懸念している方がいると思います。 

戦闘機と違い大型の輸送機は、機動するといってもそれほど派手な機動はできません。懸念は、もっともかもしれません。 

しかし、大丈夫です。携帯式SAMでは、よほど運が悪くなければ、ミサイルが命中しても大型機が墜落することはありません。 

イラク派遣の直前には、かなりの輸送機が、バグダッド国際空港の周辺で携帯式SAMによる攻撃を受け、一部にはミサイルが命中しています。 

軍の輸送機についてはニュースになっていませんが、国際宅配便の独DHLの航空機が被弾し緊急着陸したことは報じられています。この時は、運悪く主翼内の燃料が燃えたため、かなりのダメージとなりましたが、人的被害はありませんでした。 

携帯式SAMは、多くのものが赤外線誘導で、熱源であるエンジンに命中します。当然、そのエンジンは故障しますが、携帯式SAMの弾頭は手榴弾程度の破壊力しかないので、早い話、命中したエンジンしか壊せないのです。むしろ、エンジンから飛び散ったブレードの方が怖いくらいです。 

そうして、旅客機でも同じですが、大型機は、エンジン1基が故障しても、飛行を続けられるように作られています。また、当然ながら軍用機は民間機よりも頑丈です。 

C-130にせよ、C-2にせよ、たとえ攻撃を受けても、DHL機のようにカブールに緊急着陸しなければならなくなる可能性はありますが、撃墜される可能性はきわめて低いと言えるでしょう。

ただ、現地では何が起こるかはわかりません。カーブル空港北門付近で銃撃戦が発生し、米軍や独軍も巻き込まれアフガン治安部隊メンバーが死亡したという報道もあります。困難を伴う任務の成功とみなさんの無事の退避を心から願います。

米、アフガン「敗走」色濃く バイデン政権の見通しの甘さ露呈―【私の論評】今後、米国にかわるような存在がアフガニスタンに進駐することはない(゚д゚)!

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2021年8月22日日曜日

<独自>アフガンに自衛隊機 邦人保護へ23日にも―【私の論評】今回の自衛隊機派遣は、日本大使館、JICA等の現地アフガニスタン人スタッフとその家族の保護も含んでいる(゚д゚)!

<独自>アフガンに自衛隊機 邦人保護へ23日にも

21日、アフガニスタンの首都カブールの空港の外で、警備するタリバン兵ら

 政府がイスラム原理主義勢力タリバンが政権を掌握したアフガニスタンに残る邦人の国外退避に向け、自衛隊機を現地に派遣する方針を固めたことが22日、分かった。23日に国家安全保障会議(NSC)を開いて正式決定し、同日夜にも自衛隊輸送機を派遣する。複数の政府関係者が明らかにした。

 関係者によると、自衛隊機で国外退避するのは国際機関に勤める邦人のほか、在アフガン日本大使館や国際協力機構(JICA)で働いていた現地スタッフとその家族ら。スタッフは大使館、JICAともそれぞれ数十人程度が現地に残っており、本人の希望を踏まえ対応する。退避先は中東のカタールとする方向で検討しており、政府は職員を派遣し、調整に当たる。

 日本大使館の邦人職員12人は第三国の軍用機でアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに退避した。大使館は15日に一時閉館し、トルコのイスタンブールに臨時事務所を設置している。

 加藤勝信官房長官は18日の記者会見で「政府としては、現地に在留する全ての邦人と連絡をとり、帰国支援を含め必要な支援を今後とも行っていきたい」と説明していた。

【私の論評】今回の自衛隊機派遣は、日本大使館、JICA等の現地アフガニスタン人スタッフとその家族の保護も含んでいる(゚д゚)!

岸信夫防衛相は20日の記者会見では、アフガニスタンの日本大使館職員の退避に自衛隊機の派遣を検討していたと明らかにしました。派遣に至らなかった理由について「現地の治安情勢が急激に悪化した。関係国の軍用機で退避するのが最も迅速な手段だということを踏まえた」と説明しました。

大使館職員12人はイスラム主義組織のタリバンによるアフガン制圧を受け、17日にドバイに退避しました。

佐藤正久氏

外務省は19日の自民党外交部会で、イスラム原理主義勢力タリバンが政権を掌握したアフガニスタンをめぐり、日本大使館や国際協力機構(JICA)で働いていた現地スタッフとその家族について、国外退避などの対応策を検討していることを明らかにしました。本人の希望などを考慮し、第三国や日本への出国を調整します。佐藤正久部会長が部会終了後、記者団に説明しました。

外務省側は部会で、大使館とJICAの現地スタッフはそれぞれ数十人程度で、本人たちの希望を踏まえ、第三国や日本に出国するか、国内に残るかを安全確保を含めて考えていくと説明しました。

佐藤氏は「(現地スタッフへの)日本の対応が冷たいと今後の支援にも影響が出かねない」と述べました。欧米各国は首都カブールの空港に航空機を派遣し、自国民に加えアフガン人協力者や家族の出国を進めています。
部会では、出席議員から、大使館員ら邦人の退避で自衛隊機を派遣しなかった理由を尋ねる意見も出ました。これに対し、外務省は各国の派遣した軍用機を利用した方が安全かつ迅速に退避できると判断し、防衛省に要請しなかったと説明しました。

自衛隊機による邦人退避は2016年に南スーダンで大使館職員を輸送した事例などがあります。自衛隊法は外国で騒乱が発生した際、外相からの依頼で邦人を保護・輸送できると規定しています。

外相からの依頼がなければ、邦人を保護・輸送できないということです。外務省はこれに反対していたのではないかと思います。それだけではなく、大使館とJICAの現地スタッフに関しても、輸送するつもりはなかったのではないかと思います。

恐らく岸防衛大臣が中心となって菅総理を説得したのでしょう。 今後の台湾有事の際のモデルケースも踏まえた上での派遣かもしれないです。

それに、大使館やJICAの現地アフガニスタン人現地スタッフの方々のうち日本に来たいと考えられる方々も日本まで輸送していただきたいです。日本に来ることを希望しない方であって、アフガンから脱出したい方については、せめい中継地まで送って上げてほしいです。

タリバンは1996年にカーブルを制圧した際にも恩赦を与えると言ったのですが、アフガニスタンのナジブラ元大統領は、去勢され、射殺され、弟と一緒に、街灯柱に吊るして公開の絞首刑にされました。

下の写真はその時のものです。このような残酷な写真は本当は掲載したくないですが、多くの人に現実を知っていただくため、敢えて掲載します。タリバンが嘘つきなのは、今に始まったことではありません。


アフガニスタンのメディアによると、タリバンはガニ政権の高官一人を処刑したとされています。タリバンは変わった、結構良い人たちだと主張している朝日、NHK、中東イスラム研究者や、リベラル派の人たちは、タリバンの現実をよく見るべきです。タリバンは嘘つきです。恩赦を与えると言いつつ処刑するのがタリバンなのです。

おそらく、タリバンは大使館やJICAのアフガニスタン人現地スタッフたちやその家族に対して現地に残ったとしても、危害を加えないと約束するでしょう。そうして、外務省の官僚はそれを真に受けるかもしれません。しかし、岸防衛大臣や佐藤正久氏などの自民党議員の中にもそれを信じることができない人達もいたのでしょう。何よりも、茂木外務大臣や菅総理自身がそれに対する危惧の念を抱いたのでしょう。

岸防衛大臣

なにしろイランに2回も日本のタンカーを攻撃され、死者まで出ているにもかかわらず、「イランは伝統的親日国」と言い続けているのが、我が国の外務省です。政府や自民党の議員などから要請があったからこそ、現地スタッフとその家族について、国外退避などの対応策を検討し始めたのだと思います。

タリバンのいうことを真に受けて、現地アフガニスタン人スタッフやその家族が殺害されることにでもなれば、国際的にも大問題になることが予想されます。そうなれば、日本の信用も地に落ちることになります。それだけは、絶対に避けるべきと考えるのは当然であり、私は今回の自衛隊機派遣は、現地人アフガニスタン人スタッフとその家族の救出も含むものと考えています。

そうでないと、わずか2日前に「関係国の軍用機で輸送」と言っていたものを、本日になって急に自衛隊機を派遣することにしたことの説明がつきません。無論、現地に残る日本人に対して日本政府自身が手を差し伸べるという意味合いもあると思います。

これを「関係国の軍用機で輸送」ということになれば、これも非難されることになるでしょう。これは、野党・マスコミだけではなく、政権内部や自民党内や保守系の人々がも非難されることになるでしょう。

いずれにしても、今回の判断は正しい判断だと思います。無論、現地アフガニスタン人スタッフやその家族の保護も含んでいたとすればの話ですが・・・・・。何もしなかったら、あまりにお粗末です。

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2021年8月21日土曜日

次の自民党総裁にふさわしいのは誰? 高市前総務相が衝撃の「81%」 菅首相の11・9%を7倍近く引き離す 夕刊フジ・zakzak緊急アンケート―【私の論評】総裁選が行われるとすれば、菅、高市、下村の戦いになる(゚д゚)!

次の自民党総裁にふさわしいのは誰? 高市前総務相が衝撃の「81%」 菅首相の11・9%を7倍近く引き離す 夕刊フジ・zakzak緊急アンケート


 菅義偉首相の自民党総裁任期満了(9月30日)に伴う総裁選が注目されている。新型コロナウイルス対策への不満・不安などから、一部の世論調査で菅内閣の支持率が30%を下回る「危険水域」に突入したためだ。すでに下村博文政調会長と高市早苗前総務相が出馬の意欲を表明し、岸田文雄前政調会長を推す声もある。夕刊フジでは公式サイトzakzakで、この4人から選ぶなら誰がふさわしいか緊急アンケートを行ったところ、衝撃の結果が出た。

 「総裁として(自分が)出馬するのは、時期が来れば当然のことだ」

 菅首相は17日の記者会見でこう語った。

 一方、下村氏と高市氏は19日、二階俊博幹事長にそれぞれ出馬の決意を伝えた。岸田氏は同日、自ら率いる派閥の会合後、記者団に「総裁選は自民党が幅広い選択肢を示す大切な時だ」と意欲を見せた。

 夕刊フジのアンケートは20日午前8時半過ぎから実施した。同日午後7時までに2625人が回答した結果は別表の通り。

 何と、高市氏が81%もの支持を集め、菅首相の11・9%を7倍近く引き離しているのだ。

 高市氏は10日発売の「文藝春秋」9月号に「総裁選出馬宣言」という論文を寄稿し、菅内閣を支持するとしつつも、複数候補による政策論争を希望した。国民の生命と財産、領土・領海・領空を守り抜く決意とともに、政権構想の一部である「日本経済強靭化計画」が記されていた。

 アンケートの回答者からは、《これが普通の調査結果でしょう》《自民党のイメージを変えるには、女性で爽やかにいった方がいい》《現実は菅総理の再選だが、理想は高市さん。政策も国家観も申し分なし》などと、高市氏に期待する声が上がった。一方、《二階幹事長がいなければ誰でもいい》《全員不適合》との意見や、4人以外に、安倍晋三前首相や河野太郎ワクチン担当相、岸信夫防衛相の名前も挙がった。

 今回の結果をどうみるか。

 ジャーナリストの有本香氏は「自民党支持の保守層は、菅政権を全否定はしないが、国が目指すべき方向性を明瞭な言葉で語る高市氏を求めているようだ。(無派閥である)高市氏が、総裁選出馬に必要な推薦人20人を確保するハードルは低くはない。ただ、党員投票も含めた形になれば有利ではないか。『日本初の女性首相』が誕生するかは世論次第だ」と語っている。

【私の論評】総裁選が行われるとすれば、菅、高市、下村の戦いになる(゚д゚)!

内閣支持率が低迷する中、新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が延長されたことで、衆院解散・総選挙より先に総裁選が規定通り行われるとの見方が広がっており、「ポスト菅」をにらんだ動きがにわかに活発化してきました。


現在のところ、次の総裁候補者として名乗りを上げるとみられるのは菅総理、高市早苗氏、下村博文氏、岸田文雄氏の四人です。もちろん、その他にも候補になる人も出るかもしれませんが、今のところ意思を示していて、実際に出馬できそうなのはこの四人です。

現時点では、どうなるのかはまだはっきりしませんし、自民党の総裁は国民が選ぶわけではないのですから、ZAKZAKのアンケートでは、高市氏が高く評価されたからといっても、必ずしも総裁選に勝利するとはいえません。しかし、それにしてもこれは、かなりインパクトがあります。

やはり、高市氏のまともな経済対策や国家観が、高く評価されたのでしょう。特に経済対策においては、このブログでも高く評価したように、特に財政政策においては、物価目標2%を達成するまでは、財政赤字よりも財政出動を優先すると、はっきり述べているのは、高市氏のみです。

これは、マクロ経済学的には、全く正しい主張なのですが、ここまではっきり打ち出したのは高市氏だけです。

一方、石破氏・元自民党幹事長は、はやばやと総裁選に出馬しないことを表明しています。石破氏は20日、自身のブログで、9月末の任期満了に伴う党総裁選について、「(新型コロナウイルスの)感染急拡大の最中に、名乗りをあげると表明することには個人的に違和感を覚える」と記し、出馬を見送る意向を強くにじませました。

石破氏

石破氏は20日のBSフジの番組でも現在は新型コロナ対策に注力すべきだとしたうえで、「菅首相では選挙を戦えないので顔を替えるということが国民に理解されるのか、国民にどう映るのか、我々は恐れを持って考えなければならない」と指摘しました。

ただ、石破氏には昨年の総裁選が影を落としているのも事実です。党内各派が「菅支持」で雪崩を打つ中、石破氏は派内の慎重論を押し切って立候補したのですが、岸田文雄前政調会長にも敗れ最下位となりました。派閥会長の辞任を余儀なくされ、側近だった山本有二元農林水産相ら3人が休会、退会。現在の所属議員は17人で、総裁選出馬に必要な「推薦人20人」に届きません。

今月には派閥の代表世話人を務める鴨下一郎元環境相も引退を表明しており、とても派閥として総裁選に動ける状況ではありません。

最大派閥・細田派出身の安倍晋三前首相、第2派閥・麻生派会長の麻生太郎副総理兼財務相との関係もネックです。石破氏は両氏の首相在任中、その政権運営を厳しく批判した経緯があり、今もしこりが残っています。2人とも石破氏を絶対に許さないのではないでしょうか。国会議員の支持拡大という積年の課題は解消されないままです。

それに何よりも、このブログでも何回か述べたように、石破氏の経済観や国家観には、疑問符がつきます。少なくとも高市氏のように、期待感をいだかせるようなものはありません。

野田聖子氏は本人の意向は別にして、今回も総裁選に出られない可能性が大きいです。そもそも、推薦人を20人集められる可能性が低いです。それに現職は幹事長代行であり、首相を支える立場です。それに、経済政策は不得意ですし、国家観にも疑問がつきます。特に、外交音痴ぶりには、定評があります。

野田聖子

自民党の岸田文雄前政調会長は19日、東京都内で開かれた岸田派の会合であいさつし、菅義偉首相の任期満了に伴う党総裁選について「自民党は幅広い選択肢を持つ政党だと示す貴重な場だ。しっかりとした選挙をやらなければならない」と述べました。首相の無投票再選に異論を唱え、自身の出馬に意欲をにじませた発言です。岸田派内では、岸田氏以外に首相の対抗馬が出れば、立候補すべきだとの声が出ています。

自民党岸田派の名誉会長を務めていた古賀誠元幹事長は19日、TBSのCS番組収録で、同派会長の岸田文雄前政調会長の党総裁選への対応について「利口な岸田会長だから、こういう状況で出馬まで踏み切る決断には至らないのではないか」と述べ、自制を促しました。

古賀氏のこの発言は、今回岸田氏が総裁選に立候補して、落選した場合、修復が不可能な位の大きな傷がつくことを恐れた、親心によるものとみられます。確かに、その可能性は否定できないです。

下村博文政調会長が、菅義偉首相の9月末の任期満了に伴う党総裁選に出馬を目指す意向を複数の党関係者に伝えたことが18日、分かりました。

下村氏は党三役の一人です。本来首相を支える立場にある党執行部から出馬の動きが出てきたことは、再選を目指す首相にとって誤算と言えそうです。

総裁選には、今のところ菅総理は無論のこと、下村政調会長と高市早苗・前総務相が出馬に意欲を示しています。

高市氏は、安倍総理に総裁選に出馬することを懇願したそうですが、断られて出馬を決めたそうです。それについては、以下の記事に詳細が示されています。
【独自】高市早苗氏 総裁選出馬決意の裏側…安倍前首相に打診も「出るわけない」
菅総理は別にして、高市氏や下村氏は、この時期に総裁選に出馬するということは、敢えて火中の栗を拾う面があるのは確かです。

それを乗り越えて、出馬しようとしている、高市氏と下村氏を高く評価したいです。

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2021年8月20日金曜日

中国による台湾侵攻を抑止しうる米国の法案―【私の論評】日米台は様々な法律や条約を多数積み上げることにより、事実上の同盟関係を構築し、中国に対峙すべき(゚д゚)!

中国による台湾侵攻を抑止しうる米国の法案

岡崎研究所


 現在、米議会の上下両院に「台湾パートナーシップ法」と呼ばれる新たな台湾支援法案が、民主・共和両党の超党派議員により提出されている。この法案は、米国の州兵と台湾軍との協力拡大を研究するようペンタゴンに求めている。具体的には、米州兵が台湾の予備役を訓練することができるようにする、との内容である。

 ウォールストリート・ジャーナル紙は7月22日付の社説‘Strengthening Taiwan’s Resistance’は、米国上下両院における新しい法案制定は、北京に対する台湾の抵抗力を格段に強めるだろう、と述べている。

 台湾の予備役は、台湾の海軍、ミサイル防衛部隊のような前線の正規の部隊ではない。しかし、もし台湾島の人々が戦闘に巻き込まれることがあれば、動員可能な兵力として出動されることとなる。台湾の20万人に近い現役軍隊の規模の10倍に近い規模の予備役が動員可能になれば、全島でいわばゲリラ戦を行うことが出来るような戦闘能力をもつこととなろう。

 上記社説は、「人民解放軍の水陸両用部隊や空挺部隊が台湾に上陸したとしても、組織的で装備の整った予備役部隊があれば、台湾をコントロールすることはより困難になるだろう。広範囲にわたる抵抗は、小さな国がより大きな敵に対抗する助けになり、米軍などの部隊が到着するまでの時間を稼げる。例えば、リトアニアはロシアの攻撃への備えを予備役の動員に頼っている」と、法案の意義を説明する。

 この「台湾パートナーシップ法」が実際に米国両院において近く可決されるか否かについては、その詳細はまだよく分からないが、社説も指摘するとおり、中国による台湾に対する軍事的侵攻を未然に阻止する最善の方策は、北京が台湾を侵攻する場合に支払うべきコストを引き上げることである。

 中国の台湾への軍事的侵攻については、米国軍指導部内においても見解が分かれている。6年以内にも侵攻がありうるとの見方、人々が想像するより侵攻の時期は差し迫っているとの見方、さらには、まだ台湾を侵攻できるだけの能力を中国は有していない、との見方などである。

 習近平指導部は台湾問題が中国にとっての「核心的利益」であるとの考え方を変えておらず、先般の共産党創立100周年の際にも「台湾独立を徹底的に粉砕する」ことが歴史的任務である、と述べた。そして、人民解放軍に対し、「戦闘準備を怠るな」との指示を数多く出している。中国の台湾に対する威嚇・脅迫の度は最近ますます強まっているように見える。

 台湾における世論調査を見れば、仮に中国が台湾侵攻のための軍事行動を起こすと仮定した場合、台湾の多くの人々は「台湾関係法」という国内法をもち、台湾の防衛にコミットしている米国が、台湾防衛のために駆けつけてくるまでの時間稼ぎのためにも、台湾としての独自の防衛をしなければならない、との考え方を持っていることがわかる。「台湾パートナーシップ法」が勧奨する予備役を訓練することで動員可能にし、有事の際の動員力を現役のみの場合の10倍の規模に拡大するというやり方は、こうした考えにも合致する。

 台湾の人々は、特に最近の香港の事情をつぶさに観察している。国家安全法という法律を持ち、警察国家として人権を蹂躙する香港での動きは台湾の人々にとって中国に対する警戒心を強めこそすれ、弱めることはあり得ない。米国の「台湾パートナーシップ法」が米議会を通過し、米国軍と台湾の予備役の関係が一層緊密になれば、台湾と中国の距離はさらに遠ざかることとなろう。

【私の論評】日米台は様々な法律や条約を多数積み上げることにより、事実上の同盟関係を構築し、中国に対峙すべき(゚д゚)!

民主党のタミー・ダックワース上院議員

米民主党のタミー・ダックワース上院議員は10日、シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)のオンラインイベントで、台湾を米国の州兵・国家パートナーシップ計画(SPP)に加えるよう働き掛けていると述べました。

同計画により台湾の軍の準備体制を即応レベルにまで高めるとともに、常態的な関係を築くことで有事の際に米国が即座に対応できるようにしたいと語りました。 同氏を含む超党派の上院議員13人は7月、州兵と台湾によるパートナーシップ計画の立ち上げを呼び掛ける「台湾パートナーシップ関連法案」を議会に提出しました。

法案には、米台双方の防衛担当高官同士の交流を促す内容も盛り込まれました。同氏は、不測の事態の発生で米国が支援に向かわなければならない場合、台湾の防衛部隊と州兵の関係を常態化していれば、米国はゼロから始めなくてもよくなると言及し、パートナーシップの重要性を訴えました。 SPPの公式サイトによると、同計画は各州の州兵と他国・地域の軍事部隊をつなぎ、協力と互恵関係の構築を支援するものだとしています。これまでに全世界で82のパートナーシップが結ばれているといいいます。

ちなみにダミー・ダックスワース上院議員は、現職米上院議員として初めて出産し2018年4月には、生後10日の次女を連れて議場入りし、大きな話題となりました。イラク戦争で両足を失うという逆境を乗り越えて政治家になり、50歳で次女を出産した「働くママ」の姿が、多くの人々を勇気づけました。

ダックワース氏は陸軍の元兵士で、イラク戦争にヘリコプターのパイロットとして従軍した時に、撃墜されて重傷を負い、両足を失っていました。

ダックワース氏は次女の出産前に、これまでの半生を振り返る文書を発表しました。その中で、今の自分があるのは、能力が優れていたり、人並み以上の強さがあったからではなく、「困難に直面した時にどう対応してきたか」によると強調しました。

ダックワース氏は父親が米国人、母親がタイ人。米ジョージ・ワシントン大学で国際関係学の修士号を取得後、父と同じ軍隊の道に進んだ。人生は充実し、明るい未来を描いていたのですが、イラク戦争で重傷を負うことで一変しました。負傷によって激しい体の痛みのほか、怒りや不安も感じる苦しい日々を送ることになりました。

一方で、イラクの戦場で危険を顧みず助けてくれた仲間たちによって「第二の人生」を与えられたと感謝。「いかに周りの人に支えられているか気付き、彼らを決して失望させず、毎日彼らに報いるために生きよう」と決意したといいます。

2006年に初めて出馬した下院選で落選しましたが、諦めれば「イラクの戦場で救ってくれた人たちを裏切ることになる」と再起。12年の下院選に勝利し、タイ系女性で初の下院議員となりました。16年には上院選で当選しました。

高齢での妊娠・出産は、容易でなかったようです。シカゴ・サンタイムズ紙によると、ダックワース氏は夫と共に、さまざまな受精方法を試みる中、14年に第1子は体外受精で出産。その後、16年の上院選の期間中には流産を経験したましたが、2人目の子供を授かりました。

 「第二の人生で最高の出来事は、ずっと待ち望んできた家族を築けたことだ」。ダックワース氏は、こう述べていました。

2021年8月13日、中国紙・環球時報は、6月に訪問先の韓国から台湾に赴いたダックスワース米上院議員が「当時、韓国側には内緒にしていた」と明かしたことを報じていました。

記事は、台湾・中国時報電子版の12日付報道を引用。タミー・ダックワース米上院議員が10日に米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)のシンポジウムで6月の台湾訪問時のエピソードを語ったと紹介。当時、韓国を訪れていた同議員一行は台湾へ行けるかわからない状況にあり、最終的に「米政府から軍機派遣の同意を受け、韓国の軍事基地から軍機に乗って台湾に赴いた」と明かしたことを伝えました。

そして「韓国が中国との間で非常に難しい立場に置かれる可能性があった」ため、韓国側には台湾に行くことを伝えていなかったと述べたことを紹介しました。

また、台湾を訪問した6月6日、台湾に新型コロナワクチン75万回分の提供を発表したことについて同議員が「ワクチン計画で中国は台湾によるワクチン調達を阻害し、ワクチンが欲しいなら自分たちのワクチンを買えと求めてきた。そして、他国に対しても台湾にワクチンを供給するなら貿易をやめると言ってきた」と語ったことを伝えました。

その上で、米国が同19日に約束の75万回分を含む計250万回分を台湾に輸送したことに言及し、民進党の関係者が「中国の脅威によってわれわれがワクチンで不公平な待遇を受ける中、自由主義陣営のリーダーである米国としては手を差し伸べないわけにはいかない。だからこそ75万回分が250万回分にまで増えたのだ」と述べたとしました。

記事は一方で、同議員の台湾訪問後に中国政府が反発を示し、中国国務院台湾弁公室の馬暁光(マー・シアオグアン)報道官が「形式を問わず、米台間の政府関係者が付き合うことに反対する」と述べ、中国外交部の王文斌(ワン・ウエンビン)報道官も「断固として反対する」として、米国に抗議を行ったことを明かしたと伝えています。


2021年8月13日、中国紙・環球時報は、6月に訪問先の韓国から台湾に赴いた米上院議員が「当時、韓国側には内緒にしていた」と明かしたことを報じた。

記事は、台湾・中国時報電子版の12日付報道を引用。タミー・ダックワース米上院議員が10日に米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)のシンポジウムで6月の台湾訪問時のエピソードを語ったと紹介。当時、韓国を訪れていた同議員一行は台湾へ行けるかわからない状況にあり、最終的に「米政府から軍機派遣の同意を受け、韓国の軍事基地から軍機に乗って台湾に赴いた」と明かしたことを伝えた。

そして「韓国が中国との間で非常に難しい立場に置かれる可能性があった」ため、韓国側には台湾に行くことを伝えていなかったと述べたことを紹介している。

また、台湾を訪問した6月6日、台湾に新型コロナワクチン75万回分の提供を発表したことについて同議員が「ワクチン計画で中国は台湾によるワクチン調達を阻害し、ワクチンが欲しいなら自分たちのワクチンを買えと求めてきた。そして、他国に対しても台湾にワクチンを供給するなら貿易をやめると言ってきた」と語ったことを伝えた。

その上で、米国が同19日に約束の75万回分を含む計250万回分を台湾に輸送したことに言及し、民進党の関係者が「中国の脅威によってわれわれがワクチンで不公平な待遇を受ける中、自由主義陣営のリーダーである米国としては手を差し伸べないわけにはいかない。だからこそ75万回分が250万回分にまで増えたのだ」と述べたとした。

記事は一方で、同議員の台湾訪問後に中国政府が反発を示し、中国国務院台湾弁公室の馬暁光(マー・シアオグアン)報道官が「形式を問わず、米台間の政府関係者が付き合うことに反対する」と述べ、中国外交部の王文斌(ワン・ウエンビン)報道官も「断固として反対する」として、米国に抗議を行ったことを明かしたと伝えている。(翻訳・編集/川尻)

中国外交部の王文斌(ワン・ウエンビン)報道官

台湾を訪問した、米上院議員が、「台湾パートナーシップ法」と呼ばれる新たな台湾支援法案に関わっていたということですから、中国側としては心穏やかではないでしょう。

中ソ対立の真っ只中に、そして改革開放の開始時、1979年1月1日、ソ連からの政治的影響と軍事的脅威に対抗するため、米国は戦略的に中華民国から中華人民共和国に外交承認を切り替えました。台北の米国大使館は閉鎖され、新たに北京に在中国米国大使館が開設され、米国内の中華民国大使館は閉鎖されました。

1979年4月10日、米国のジミー・カーター大統領は、台湾との非公式な関係を維持するための国内の法的権限を創設した台湾関係法に署名しました。米国の商業的、文化的、およびその他の台湾の人々との交流は、民間の非営利団体である研究所である「米国在台湾協会」を通じて促進されています。

米国在台湾協会

研究所はワシントンD.C.に本部を置き、台北と高雄に事務所を置いています。ビザの発行、パスポート申請の受理、台湾の米国市民への支援を行うことが許可されており、事実上の米国大使館として機能しています。

対する台湾側の民間団体である駐米台北経済文化代表処が台湾によって設立されました。本部は台北にあり、ワシントンD.C.に駐在員事務所があり、米国本土とグアムには他に11の支部があります。台湾関係法は、米国と台湾の間の非公式な関係の法的根拠を維持し続けており、台湾が防衛能力を米国が支援すると明記しています。

このように、米国は正式には台湾との国交を断った後にも、非公式に台湾との関係を継続してきましました。

ただ、中国と米国との関係がある以上、米国は台湾と正式に同盟関係になることはできません。しかし、しかし今回の台湾パートナーシップ法」などのよう様々な法律や条約を多数積み上げることにより、事実上同盟国であるような関係を構築することはできます。

最初から同盟を結んで、その方向で同盟を維持するために、法律や条約を積み重ねていくという方向とは逆になりますが、正式に同盟関係を結んでいなくても、様々な法律や

日本も、台湾をTPPに加入してもらったり、様々な法律や条約を多数積み上げることによって、台湾と実質上の同盟関係に近い関係を構築することができます。

最近のワクチン外交により、日本は台湾に長年の恩に報いることができました。しかし、これで終わらせることなく、日米台は様々な法律や条約を多数積み上げることにより、事実上の同盟関係を構築し、中国に対峙すべきです。

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2021年8月19日木曜日

【日本の解き方】ワクチン接種回数が1億回突破した日本 スピードは先進国トップレベル、40~50代も焦らず接種優先で―【私の論評】コロナ言説に惑わされて、煽られることないよう普段から出所が明らかにされている資料にあたる習慣をつけよう(゚д゚)!

【日本の解き方】ワクチン接種回数が1億回突破した日本 スピードは先進国トップレベル、40~50代も焦らず接種優先で


 新型コロナワクチン接種が進んだ65歳以上の重症化や死亡は抑えられている。一方で20~30代の感染や40~50代の重症が多いというが、接種のスピードや進捗(しんちょく)は各国と比べてどうなっているのか。

 ワクチン接種状況は、累積で100人当たり何回打ったかという数字をみるといい。日本は4月中旬時点で2回だったが、5月中旬で6回、6月中旬で25回、7月中旬で55回、8月中旬で85回程度まで増えてきた。

 たしかに日本は接種開始で出遅れたが、現在の1日の接種スピードは先進国のトップレベルになっている。累積での接種回数も1億回を越えた。官邸ホームページで6月中旬以降の接種回数が出ているが、1日平均の接種回数は単純計算で200万回を超えている。

 かつて、テレビなどで「1日100万回」という政府の目標について、積算根拠がなく、計画から逆算した「いい加減な数字」と発言した人もいたが、現状をどう説明するのだろうか。

 筆者は当時、ワクチン接種予算で1400億円程度計上されたが、その積算根拠は1万個のワクチン貯蔵用冷凍庫だといい、1箇所当たり1時間で30人は可能なので、輸入量さえ確保できれば1日100万人は達成できる数字と反論していた。

 日本としばしば比較される英国の同じ時期でみると、100人当たりの累積接種回数は4月に60回、5月に85回、6月に105回、7月に120回、8月に130回程度だ。

 英国で直近の新型コロナ感染の波が来たのは4月中旬である。そのときの接種率は60回程度だった。その波では、100万人当たりの死者数は20人程度だったのが、現状は2人程度以下と一桁も低くなっている。ここから考えると、60回程度を超えると、死者数を減らすなど一定の抑制効果があるのだろう。

 日本の現状の感染の波がスタートしたのは6月下旬だ。その時点のワクチン接種は100人当たり40回程度で、英国と同じ60回程度になったのは7月中旬だ。この差がどうなるのか。筆者の直感としては、日本は高齢者接種を重点的に実施したので死亡率はそれほど高くならないが、感染率は高くなりそうだ。

 いずれにしても、ワクチン接種を進めたほうがいい。

 先進7カ国(G7)の動きをみると、カナダ、イタリア、フランス、ドイツは順調に進んでいる。先ほどの数字をいえば、4月に25回程度、5月に45回程度、6月に70~75回程度、7月に95~115回程度、8月に115~135回程度だ。

 米国は進捗スピードが遅くなり、4月に60回、5月に80回、6月に95回、7月に100回、8月に105回程度と伸び悩んでいる。日本はあと1カ月少しすると米国に追いつき、追い越しそうだ。

 筆者としては、今の日本のペースで全体としては問題ないと考えている。40~50代の人の出遅れ感はあるが、焦ることはない。個人としての心構えとして、仕事優先ではなく、ワクチン優先でスケジュールを考えたほうがいい。その方が結果として、個人の仕事も健康もうまくいくだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】コロナ言説に惑わされて、煽られることないよう普段から出所が明らかにされている資料にあたる習慣をつけよう(゚д゚)!

東京では、感染者数がかなり増えたとマスコミは大騒ぎですが、では死者はどうなのだろうと、調べてみたところ、以下の通りでした。


これは、おそらくワクチン効果で死者は半年前の20分の1なったのだとみられます。その事を指摘せず陽性者“数”絶対主義でマスコミは未だに恐怖を煽り続けています。人災はいつまで続くのでしょうか。

大阪府が3月以降の新規感染者計約8万4千人のうち、ワクチンを接種した人は全体の2.5%の2118人だったとの分析結果を公表しました。2回目のワクチン接種後、2週間以上が経過して発症した人は317人で0.4%で、重症者や死亡者はいませんでした。


ワクチンを2回接種して14日間経過した方の感染者数は僅か317人。重症者数・死者共に0人。ワクチン接種が進めば医療提供サービスが崩壊することはないといえるでしょう。稀なブレーク・スルー感染に焦点を当てるより、こうした明らかなワクチン効果、マスコミは、明確なエビデンスを積極的に報道すべきです。

新型コロナウイルスに感染した札幌市内の人工透析患者について、4~6月は5割強が命を落としたのですが、5月末からワクチンを優先接種した結果、今月16日までの2カ月間で死者はゼロとなりましたた。市保健所のまとめで分かりました。

市保健所によると、石狩管内の透析患者数は約6600人。4~6月に市内の医療機関18カ所に入院、通院していた透析患者の感染者は計118人。このうち53・4%に当たる63人が死亡しました。

年代別の感染者数に対する死者数は90代以上が6人中5人、80代が28人中21人、70代が30人中17人、60代は24人中13人、40~50代は30人中7人。60代以上の死者が56人と9割近くを占めました。

新型コロナウイルスの変異株「デルタ型」は、従来型のウイルス株より高い確率でワクチンの防御を突破しているとみられますが、ワクチン接種完了者の感染は全体のごく一部にとどまり、症状も軽い傾向にあります。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の分析で明らかになっています。

日本はワクチンの進展状況(一日平均130万接種)から推測すると、一月後には米国と並ぶ人口比接種率に到達し、さらに一月経過すると速度を弱めながら欧州諸国(独、英など)と並ぶ。そこから各国同様に拡大に苦しむはず。マスコミや考えの浅い人たちの言う「遅れ」ではなく、拡大しきれないが真の論点です。

ワクチンを打った人の割合 クリックすると拡大します

分科会が人流5割削減を求めました。しかしこれは、経済悪化による自殺者を増やすことになりかねません。感染が増えてもワクチン効果で死者は増えていません。病床を増やすことこそ重要です。厚労大臣は3月に病床を2倍にするよう述べたのですが、実際には1.2倍程度。分科会は本来の役割を果たしていません。人流削減の提言は、事態をさらに悪くするだけです。

上に、様々なエビデンスを掲載しましたが、これらはネット、特にツイッターなどのSNSには頻繁に掲載されているものです。SNSでは、コロナに関するデマも多いですが、このように出所が明らかにされているデータは、出所のデータをそのまま引用しており、信用できるものが多いです。

テレビの報道や、一部野党の言説に惑わされて、煽られることなく、疑問を感じた場合はSNSなどの出所が明らかにされている資料にあたり、できれば出所そのものにもあたってみるべきです。

また、冒頭の高橋洋一氏の記事のように、明確なエビデンスをもって論じるような人の記事なども参照すべきでしょう。エビデンスなしに語る人の言説は信用すべきではありません。

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