2016年3月14日月曜日

増税勢力はこうして東日本大震災を「利用」した~あの非情なやり方を忘れてはいけない―【私の論評】財務省、政治家、メディアの総力を結集した悪辣ショック・ドクトリンに幻惑されるな(゚д゚)!

増税勢力はこうして東日本大震災を「利用」した~あの非情なやり方を忘れてはいけない
増税勢力は、震災後すぐ稼働した

東日本大震災から5年がたった。3月11日のテレビではこれまでの5年を振り返った放送が多かった。

大震災の状況は大いに気になったが、その過程で、当時の菅政権が野党の自民党・谷垣禎一総裁と組んで「復興増税を企んでいる」という情報が入ってきた。

これは経済学を学んだ人なら、すぐ間違いとわかる政策だ。課税の平準化理論というものがあり、例えば百年の一度の災害であれば、100年債を発行して、毎年100分の一ずつ負担するのが正しい政策である。その当時、大震災という重大事に何を考えているのかと大いに憤った記憶がある。

そこで大震災直後、2011年3月14日付けの本コラムで「「震災増税」ではなく、「寄付金税額控除」、「復興国債の日銀直接引受」で本当の被災地復興支援を 菅・谷垣『臨時増税』検討に異議あり」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2254)を書いた。

このときの増税勢力は勢いがよかった。大震災で、多くの人が被災者を助けたいという「善意」を悪用して、復興増税は結果として行われた。

経済学者も情けなかった。そのとき、経済セオリーを主張する者はほとんどおらず、逆にセオリー無視の復興増税を推進した人たちのリスト http://www3.grips.ac.jp/~t-ito/j_fukkou2011_list.htm)は以下の通りだ。

「震災復興にむけて」
共同提言者・賛同者(2011年6月15日10:00現在)(敬称略)

伊藤 隆敏 (東京大学)
伊藤 元重 (東京大学)
浦田 秀次郎 (早稲田大学)
大竹 文雄 (大阪大学) 
齊藤 誠 (一橋大学)
塩路 悦朗 (一橋大学) コメント土居 丈朗 (慶応義塾大学)
樋口 美雄 (慶応義塾大学)
深尾 光洋 (慶応義塾大学)
八代 尚宏 (国際基督教大学)
吉川 洋 (東京大学)

(★印のついた方は「第3提言の賛成は留保」)
青木 浩介 (東京大学)
青木 玲子 (一橋大学)★ コメント赤林 英夫 (慶應義塾大学)
安藤 光代 (慶應義塾大学)
井伊 雅子 (一橋大学)
飯塚 敏晃 (東京大学)
池尾 和人 (慶應義塾大学)
生藤 昌子 (大阪大学) コメント石川 城太 (一橋大学)
市村 英彦 (東京大学)★ コメント伊藤 恵子 (専修大学)
岩井 克人 (国際基督教大学)
祝迫 得夫 (一橋大学)
岩壷 健太郎 (神戸大学)
宇南山 卓 (神戸大学)
大来 洋一 (政策研究大学院大学) コメント大野 泉 (政策研究大学院大学) コメント大橋 和彦 (一橋大学) コメント大橋 弘 (東京大学) コメント岡崎 哲二 (東京大学) コメント小川 英治 (一橋大学)
小川 一夫 (大阪大学)
小川 直宏 (日本大学)
翁 邦雄 (京都大学)★ コメント翁 百合 (日本総合研究所)
奥平 寛子 (岡山大学)
奥野 正寛 (流通経済大学)
小塩 隆士 (一橋大学)
小幡 績 (慶應義塾大学)
嘉治 佐保子 (慶應義塾大学) コメント勝 悦子 (明治大学) コメント金本 良嗣 (政策研究大学院大学)
川口 大司 (一橋大学) コメント川﨑 健太郎 (東洋大学) コメント川西 諭 (上智大学) コメント北村 行伸 (一橋大学)
木村 福成 (慶應義塾大学)
清田 耕造 (横浜国立大学)
清滝 信宏 (プリンストン大学)
國枝 繁樹 (一橋大学)
久原 正治 (九州大学)
グレーヴァ 香子 (慶應義塾大学) コメント黒崎 卓 (一橋大学)
黒田 祥子 (早稲田大学)
玄田 有史 (東京大学)
鯉渕 賢 (中央大学)
小林 慶一郎 (一橋大学) コメント小峰 隆夫 (法政大学)
近藤 春生 (西南学院大学)
西條 辰義 (大阪大学) コメント櫻川 幸恵 (跡見学園女子大学)
櫻川 昌哉 (慶應義塾大学) コメント佐々木 百合 (明治学院大学) コメント佐藤 清隆 (横浜国立大学)
佐藤 泰裕 (大阪大学)
澤田 康幸 (東京大学)
清水 順子 (専修大学) コメント新海 尚子 (名古屋大学) コメント鈴村 興太郎 (早稲田大学 / ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジ) コメント清家 篤 (慶應義塾大学)
瀬古 美喜 (慶應義塾大学)
高木 信二 (大阪大学)
高山 憲之 (一橋大学)
武田 史子 (東京大学)
田近 栄治 (一橋大学) コメント田渕 隆俊 (東京大学)
田村 晶子 (法政大学)
田谷 禎三 (立教大学)
中条 潮 (慶應義塾大学) コメント筒井 義郎 (大阪大学)
常木 淳 (大阪大学)
釣 雅雄 (岡山大学)
中田 大悟 (経済産業研究所)
中村 洋 (慶應義塾大学) コメント長倉 大輔 (慶應義塾大学)
畠田 敬 神戸大学
林 文夫 (一橋大学)
原田 喜美枝 (中央大学)
深川 由起子 (早稲田大学) コメント福田 慎一 (東京大学)★
藤井 眞理子 (東京大学)
藤田 昌久 (経済産業研究所)
星 岳雄 (UCSD)
細田 衛士 (慶應義塾大学)
細野 薫 (学習院大学) コメント堀 宣昭 (九州大学)
本多 佑三 (関西大学) コメント本間 正義 (東京大学)
前原 康宏 (一橋大学)
松井 彰彦 (東京大学)★
三浦 功 (九州大学)
三重野 文晴 (神戸大学)
三野 和雄 (京都大学)
森棟 公夫 (椙山女学園)★ コメント柳川 範之 (東京大学)
藪 友良 (慶應義塾大学)
山上 秀文 (近畿大学) コメント家森 信善 (名古屋大学)
吉野 直行 (慶應義塾大学)
若杉 隆平 (京都大学)
和田 賢治 (慶應義塾大学)
渡辺 智之 (一橋大学)

以 上
増税派の責任は重い

大震災直後の増税勢力は、1ヶ月後の4月14日、復興会議の五百旗頭真(いおきべまこと)議長の挨拶のなかに「増税」を盛り込ませている(2011年4月18日付け本コラム「あらためていう。「震災増税」で日本は二度死ぬ 本当の国民負担は増税ではない」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2463)。

5年たった現在、そのことがどう評価されているのか。今年3月12日に放映されたNHKスペシャル『“26兆円” 復興はどこまで進んだか』は興味深かった(http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20160312)。インタビューに応じた五百旗頭氏が、開口一番「復興増税がよかった」といったのだ。これにはかなり驚いた。

政府としては復興予算を確保すればいいので、その財源を一時的な税にするか国債発行で長期的な税にするかは、財務省が気にする話でしかない。一時的な税で賄おうとすれば、当面の復興予算が少なくなる可能性がある。復興会議は人々の不安をぬぐうような復興予算を確保するのが仕事なのに、財務省の走狗のような増税に荷担した責任は重い。

こうした「常識」は、数少ない識者の間では共有されていた。特に、筆者の近くにいた故・加藤寛先生は明確に意識していた。加藤先生は実は岩手県出身である。その関係で、大震災後、復興構想会議のメンバーになってほしい、という打診があったという。しかし会議の目的が「増税のため」と知った加藤先生は、「復興のための増税など絶対に賛成できない」と断った、と筆者に語ってくれた。

この復興増税は、震災復興をホップとして、次の消費増税をステップ、さらなる消費増税をジャンプとして、大増税を画策していた。これについては、2011年6月20日付け本コラム「「復興」「社会保障」「財政再建」の三段階増税を許すな 新聞が報じない増税反対に集まった 超党派議員211人」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/9228)を参照してもらいたい。

このとき、この増税に反対した211人の中で、自民党で「増税によらない復興財源を求める会」会長をしていたのが、今の安倍首相である。先の8%から10%への消費増税を見送った背景には、こうした野党時代の活動もあるわけだ。

増税勢力は、今のところホップは成し遂げたが、ステップの途中段階で止まっている。もし民主党政権が続いていたら、今頃ステップ段階に突入し、日本経済は大変なことになっただろう。

復興が進まない理由

先のNHKスペシャル『“26兆円” 復興はどこまで進んだか』を見て、興味深かったのは、いろいろな地域でそれぞれ工夫をして復興を進めているが、そのやり方の差が大きいことだった。例えば、高台移転を進めるにしても、大規模増税で大型予算を組んで進めるよりも、土地利用をうまくやって、安く早くできた地域もあった。

これを見て思ったのが、国が主導するのは資金集めだけで十分であり、その執行は地方任せにした方がいいということだ。

筆者は、2011年3月28日付け本コラムで「財務省主導の「復旧」ではダメ!「復興」は新設する「東北州」に任せ、 福島に国会と霞ヶ関を移転せよ 円高に苦しんだ阪神大震災の過ちを繰り返すな」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2330)を書いた。

被災した3県(岩手県、宮城県、福島県)が集まれば、「道州制」ができるという道州特区法(道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律)を活用して、復興を進めるというアイディアだ。

残念ながら、民主党政権は地方分権の考え方がなく、代わりに中央集権の象徴といえる復興庁が作られた。中央主導の復興が予定通り進んでいないのは、NHKスペシャルを見てもわかる。

また、復興庁のホームページでも確認できる。復興施策の工程表(2015年7月作成)があり、公共インフラのところをみると、①海岸対策、②河川対策、③水道施設、④下水道対策、⑤交通網(道路、鉄道、空港、港湾)、⑥農地・農業用施設、⑦海岸防災林の再生、⑧漁港・漁場・養殖施設・定置網、⑨復興住宅(災害公営住宅等)、⑩復興まちづくり、⑪土砂災害対策、⑫地盤沈下・液状化対策、⑬災害廃棄物の処理、⑭都市公園の各項目について、現状と今後の予定が書かれている。

その中で、「完了」とされているものは少ない。⑤交通網のうち高速道路、仙台空港、八戸港、久慈港、茨城港、鹿島港、木更津港、千葉港、⑩復興まちづくりのうち、医療施設、公立社会教育施設にみられるだけだ。

ほとんどの項目は、2018年度以降に完了とされている。ほぼすべての項目の完了年度が同じであることはかえって不自然であり、あくまで「目標」であることを示唆している。

『報ステ』にはまたガッカリ

最後に、3月11日の『報道ステーション』はまたやらかした。学者のいう「福島の甲状腺がんの発生は、原発事故前の日本全体に比べて事故後は20~50倍」と報じて、「甲状腺がんと原発事故 専門家で割れる関連性」という見出しを付けながらも、甲状腺がんが原発事故で多発したというイメージを植え付けている。

この問題は、かなりはっきりしている。ごくわずか(おそらく1名)の学者が「原発事故で甲状腺がんの発生が多くなった」といっているだけで、その学者の論文には不適切な統計処理があることも指摘されている。

きちんとした取材をしたマスコミであれば、甲状腺がんが福島で多くなっていることについて、原発事故が影響しているという「被曝影響説」をとっている人はほぼ一人で、残りの学者は過剰診断説である、と分かるはずだ。

過剰診断説とは、他の地域では「何か症状が出ている人」が診察を受けて、その結果ガンの割合がでてくるが、福島県の場合すべての人を対象に診察するため、ガンの割合が高めにでる、ということだ。他の地域で、福島県と同様な方法で調査したら、福島県よりも数値が高かったというデータもある。

マスコミは、二つの意見があるときに公平に扱うべきということを逆手にとって、甲状腺ガンについて「被曝影響説」にバイアスをかけている報道している。何が原因かはっきりしないときであれば、こうした両論を平等に扱うのはかまわないが、5年間のデータが蓄積していると、こうした形式的平等主義は妥当とはいえない。

そういえば、増税については、それが経済を痛めつけることになるのはデータから明らかであるが、この点もマスコミには「増税が必要」とのバイアスが残っているためか、増税礼賛記事が多い。勝手な思い込みでの報道は社会に有害である。


【追記】おかげさまで2月に発売された私の本の重版が決まった。この場を借りて御礼申し上げたい。 高橋洋一

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【私の論評】財務省、政治家、メディアの総力を結集した悪辣ショック・ドクトリンに幻惑されるな(゚д゚)!

大震災の復興を増税で賄うなど、まともな国家では絶対にやらない、禁忌ともいうべき政策です。近代以降、震災や自然災害の復興のため、増税した国など、東日本大震災の復興における日本だけです。復興税制はそれほど異常なことです。通常は建設国債などで賄うものです。

これは、いわゆるショック・ドクトリンとも呼ぶべき、とんでもない蛮行としか言いようがありません。

ショック・ドクトリンとは、カナダのジャーナリスト、ナオミ・クラインが2007年に著した書籍です。マイケル・ウィンターボトムによって2009年にドキュメンタリー映画化されました。

ナオミ・クライン
クラインは、2007年9月に The Shock Doctrine: the Rise of Disaster Capitalism ; Metropolitan Books, 2007, ISBN 0805079831 を出版。同書は三十数か国語に翻訳され、日本語版は2011年9月に刊行されました。

彼女は、ケインズ主義に反対して「真の変革は、危機状況によってのみ可能となる」と述べるなど徹底した市場原理主義を主張したシカゴ学派 (経済学) のミルトン・フリードマンを批判、こうした主張を「ショック・ドクトリン」と呼び、現代の最も危険な思想とみなしている。そして、近年の悪名高い人権侵害は、反民主主義的な体制による残虐行為と見るばかりでなく、民衆を震え上がらせて抵抗力を奪うために綿密に計画され、急進的な市場主義改革を強行するために利用されてきた側面に注目すべきと説く。

「ショック・ドクトリン」の最初の応用例は、1973年の軍事クーデターによるアウグスト・ピノチェト政権下のチリであるとしています。シカゴ学派は投資家の利益を代弁、「大きな政府」や「福祉国家」をさかんに攻撃し、国家の役割は警察と契約強制のみであるべきで、他はすべて民営化し市場の決定に委ねよと説いていましたが、そのような政策は有権者の大多数から拒絶され自国で推進することができず、独裁体制下のチリで実行に移されたと述べています。


チリでは無実の一般市民の逮捕・拷問・処刑が相次ぐばかりでなく、「惨事便乗型資本主義」がはびこって、「小さな政府」主義が金科玉条となり、公共部門の民営化、福祉・医療・教育などの社会的支出の削減が断行され、多くの国民が窮地に追い込まれました。

以後、天安門事件(1989年)、ソ連崩壊(1991年)、アメリカ同時多発テロ事件(2001年)、イラク戦争(2003年)、スマトラ島沖地震 (2004年)による津波被害、ハリケーン・カトリーナ(2005年)といった、政変・戦争・災害などの危機的状態を挙げ、「惨事便乗型資本主義」(「惨事活用資本主義」、「災害資本主義」、「火事場泥棒資本主義」)はこれにつけこんで、人々がショック状態や茫然自失状態から自分を取り戻し社会・生活を復興させる前に、過激なまでの市場原理主義を導入し、経済改革や利益追求に猛進してきた、といいます。

ミルトン・フリードマン
この書籍は、当時一世を風靡して、一時日本でも多くの人々がミルトン・フリードマン氏を悪者のように思っていました。この書籍を読んだり、他の書籍などを読んだ結果、私もなんとなくそのような感想を持っていました。

しかしながら、フリードマン氏の考えを、その後きちんと学ぶ機会にめぐまたことがあり、ナオミ・クライン氏のフリードマン氏に対する見方は、極端にすぎることが理解できました。

フリードマン氏に関する、正当な評価を知りたい方は、是非とも以下の動画を御覧ください。ちなみにこの動画のシリーズ、マクロ経済に関して、てつとり早く知りたいと思っている方々にはうってつけです。平易にわかりやすく説明しています。



しかしながら、政変・戦争・災害などの危機的状態を挙げ、「惨事便乗型資本主義」(「惨事活用資本主義」、「災害資本主義」、「火事場泥棒資本主義」)はこれにつけこんで、人々がショック状態や茫然自失状態から自分を取り戻し社会・生活を復興させる前に、過激なまでの市場原理主義を導入し、経済改革や利益追求に猛進してきたという下りは、まさに、東日本大震災につけこんで、復興税制というとんでもない制度を導入してしまったこととダブります。

いかに、日本の増税派の力が強よかったにしても、復興税制などのとんでもない、制度を導入するには、それこそショック・ドクトリンのように、このような災厄がなければ、とてもできなかったことでしょう。本当にとんでもない連中です。

財務省と、その走狗に成り果てた、ブログ冒頭の記事のリストに掲載されている経済学者の連中が、普段ではとても通用しない理論で、政治家、マスコミをたぶらかして、まるで火事場泥棒のように無理やり復興増税制を導入してしまったのです。以下に当時の復興税の内容をまとめたチャートを掲載しておきます。


上の動画をご覧いただければ、よくご理解いただけると思いますが、フリードマン氏は決して悪人ではないですが、この復興税制を導入を推進した、財務省やその走狗の経済学者どもは、はっきりと悪人と言って良いです。これらに、騙された与野党政治家もまともではないですし、マスコミもはっきりいって愚鈍です。

この時に「増税反対に集まった 超党派議員211人」はまともです。そうして、このとき、この増税に反対した211人の中で、自民党で「増税によらない復興財源を求める会」会長をしていたのが、今の安倍首相ということで、やはり、安倍総理は当時からまともだったということです。

財務省やそれらの走狗となった経済学者どもは、増税の理由を社会保障と税の一体改革とか、財政赤字の解消などとしていますが、それは表向きであり、その本当の理由は財務省の省益のためです。まずは、財務省の税金の配賦の権限を強くするためですが、さらになんのためにそれをするかといえば、財務高級官僚のハッピー・リタイヤメント等のためです。

ハッピー・リタイアメント (幻冬舎文庫)


こんなもののために、復興税制など導入されてはたまったものではありません。こんなことですから、財務省主導による復興などうまく行くはずがありません。国は金の工面をして、復興は地元に任せるのが一番です。無論、資金の遣い方など、監査するのは国が実施すべきかとは思いますが、政府が直接復興を手掛けるとなると、うまくできるはずもありません。

それに、このようなからくりにも気付かず、古今東西に見ない、摩訶不思議、奇妙奇天烈な復興税制を批判することもしないマスコミも、本当に程度が低いというか、愚鈍極まりないです。

こんな復興税制を無理やり導入した、増税勢力はその後も、勢いを増し、どう考えてもデフレから完全に脱却していなかった、平成14年の4月から、8%増税を導入してしまいました。これには、財務省やブログ冒頭のリストに掲載されている経済学者、新聞なども加担して、日本経済に与える影響は軽微であること、増税しなければとてつもない事態に追い込まれるなどの理由を並べ立て、強力な増税キャンペーンを展開しました。

特に2013年の新聞報道には、ひどいものがありました。2013年の9月には、大手新聞がこぞって、安倍首相は増税を決断したと報じました。報道に間違いがなければ、安倍首相は11日から20日にかけて、少なくとも4度(11日、12日、18日、20日)にわたり「決断」を繰り返したことになります。

しかし、総理は、10月1日の発表の前までは、自らの肉声で「決断」の意思を表示したわけではありません。仮に会見等の場で表明していれば「~を表明した」と報じられるし、一部の関係者に伝達していれば「決断したことを~に伝えた」と報じられるのが普通です。しかし、昨年はどのメディアも「表明」「伝達」いずれの事実も報じておらず、「意向を固めた」「決断した」といった表現で報じていました。

 安倍総理は2013年10月1日に8%増税の決断を公表したが、新聞報道が正しいとすれば、安倍総理は
9月11日から20日かけて少なくとも4度にわたり「増税の決断」を繰り返したことになる


それと、テレビも、ブログ冒頭の記事で高橋洋一氏が、「報ステ」を批判しているようにとんでもない報道を繰り返していました。このような報道ぶり、とんでもないことです。このブログでは、以前福島の高校生たちが、独自の調査をして、福島県内の被ばく量は、「国内外と差はない」と結論づけていました。そうして、このレポートが、英学術誌に論文として掲載される運びになったことを掲載しました。

メディアは報道するならこの高校生たちのように感情ではなく、エビデンス(証拠・根拠、証言、形跡)に基づき行えと言いたいです。

マスコミが、まともな報道をせずに、とんでもない報道を繰り返せば、多くの人々が幻惑され、間違った観念を持ったり、間違った道を選択してしまいます。

これらも、今から考えると、これらは、ことごとくショツクドクトリンのようなものと思います。ジャーナリストのナオミ・クラインは、この状況を「ショック・ドクトリン再び」というような書籍にでもまとめると良いと思います。


これは、ジャーナリストとしては、格好の素晴らしい材料だと思います。今度は、ミルトン・フリードマンを悪者にしたてるというようなことはやめ、日本のような国でも、まともな経済理論のまるで反対の復興税制など導入し、その後も8%増税などという愚かな政策が導入されたことを書籍にまとめるべきです。

日本では、TPPをショック・ドクトリンとみなす人もいますが、そんなことはないと思います。私自身は、ショック・ドクトリンのようなことは実際にこの世の中に存在するとは思いますが、ミルトン・フリードマンらを悪者に仕立てるのは間違いだと思います。フリードマン氏の理論は悪者たちに、悪用されたということです。

誰が、悪者かといえば、それは無論、日本の増税勢力のような連中です。震災などを機に、とんでもない経済政策を導入するような連中こそ悪人です。自分たちの考えを通すために、無理やりに様々な経済理論を逆手に利用するような連中こそ大悪人です。


そうして、その書籍には、最近の中国の南シナ海での、暴虐ぶりにより、現状変更を試みる中国に関しても、ショック・ドクトリンとして取り上げるべきと思います。そのほかにも、災厄や戦争などを背景に現状変更を実行したりしようとする、日本の財務省、経済学者、メディアの仲間は世界中に多く存在すると思います。

このような財務省をはじめとする多くの官僚や、政治家、マスコミによる苛烈なショック・ドクトリンに8%増税では負けてしまった安倍総理も、15年秋の10%増税ではさすがに、その手には乗らず、衆院を解散して、10%増税見送りも公約として総選挙に打って出ました。そうして、選挙に大勝利して、増税は見送られました。

そうして、来年4月からの、10%増税に関しては、安倍総理は周到な準備をして、見送りをするようです。それに関しては、このブログにも以前掲載したことがあります。以下の【関連記事】の項目に加えておきますので、まだご存知のない方はぜひご覧になってください。

今後安倍総理は無論のこと、私達も、悪辣ショック・ドクトリンになど幻惑されないように、物事を正しく理解していくべきものと思います。特に、重要なことに関しては、識者、マスコミ、政治家、官僚の語っていることを鵜呑みにせずに、自分の頭で考えて、結論を出すべきものと思います。特に、不安を煽る連中のほとんどは、裏に魂胆があり、それこそ、ショック・ドクトリンのように、恐怖を与えて、自分の思う方向に操作しようとしているかもしれないと疑うべきです。

【関連記事】

安倍首相のブレーン本田参与、6月スイス赴任に高まる“消費増税先送り”―【私の論評】日本の積極財政の夜明けがはじまり、世界経済を牽引することになる(゚д゚)!



被ばく量「国内外で差はない」 福島高生、英学術誌に論文―【私の論評】発言するならこの高校生たちのように感情ではなく、エビデンス(証拠・根拠、証言、形跡)に基づき行え(゚д゚)!




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2016年3月13日日曜日

慰安婦捏造 「言語の壁」で責任を隠ぺいする朝日新聞 藤岡信勝(拓殖大学客員教授) ―【私の論評】「言葉の壁」を破る強力な助っ人登場(゚д゚)!


ジュネーブで開かれた国連の女性差別撤廃委員会の対日審査会合で、
日本の立場を説明する杉山晋輔外務審議官 =2月16日

二月十六日、ジュネーブの女子差別撤廃委員会で、日本政府を代表し、外務省の杉山晋輔外務審議官は、軍や官憲による強制連行を確認出来る資料がなかったにも関わらず、慰安婦が強制連行されたという見方が広く流布された原因について次のように述べた。(総合オピニオンサイト iRONNA)

(1)女性狩りの虚偽の事実を捏造して発表した吉田清治著『私の戦争犯罪』という本が、当時大手の新聞社の一つである朝日新聞社により事実であるかのように大きく報道され、国際社会にも大きな影響を与えた(2)「朝日新聞自身も、2014年8月5日及び6日を含め、累次にわたり記事を掲載し、事実関係の誤りを認め、読者に謝罪した(3)朝日新聞は2014年8月5日付の記事で、「20万人との数字の基になったのは、通常の戦時労働に動員された女子挺身隊と、ここで言う慰安婦を誤って混同したことにある」と自ら認めた。

このように、杉山審議官は、三度にわたって朝日新聞という固有名詞を出し、慰安婦問題の起こりを説明したのだった。朝日新聞という固有名詞こそ、この事実関係の核心である。

ところが、十七日付の朝日新聞の報道記事は、自社の誤報が国連で名指しされたことには一切触れていない。仮に自社の不名誉な内容の発言であるとしても、日本政府代表が新聞社の固有名詞を出して説明したのは客観的な事実なのであるから、それをスルーするのは、報道機関として失格だ。

さらに問題なのは、国連の女子差別撤廃委員会の議事録が、杉山発言の核心部分に当たる朝日新聞の名前を出さず、a leading newspaper in Japan (日本の大手紙の一つ)という表現で匿名化したことだ。しかも、朝日新聞の名前が二度目に登場する時も、議事録は、a leading newspaper というフレーズを繰り返した。そのため、奇妙なことが起こった。

「日本の大手紙」はもちろん何紙かあるだろう。だから、匿名化に際して初出で「a leading newspaper」とするのは当然だが、二回目以降は「the newspaper」としなければならない。なぜなら、ここに登場するのは、朝日新聞一紙だからである。議事録の新聞に関する言葉の指示対象は、あくまで朝日新聞である。ところが、英文でまた「a」を使ったため、もう一つ、別の「大手紙」が役者として登場しているかのような誤解を読者に与える結果となっている。

これは、日本政府代表が3回も名前を挙げた朝日新聞という固有名詞を消すという、作為的な議事録の改ざんが行われた結果である。その不正の痕跡が、不自然であるばかりか事実と離れた不正確な表現となって残ったのである。これは、国連の女子差別撤廃委員会の事務局の中立性に重大な疑念を抱かせるものである。

しかし、このような扱いは、国連の機関にとどまらない。朝日新聞に対する異例の批判をした日本の外務省も、この点に関して全く同じ流儀で資料を公表しているからである。すなわち、外務省のホームページには、日本文では朝日新聞という固有名詞が記録されているが、英文ではこれを公表していないのだ。

なぜ、朝日新聞の名前を公表するのを避けようとするのか。理由ははっきりしている。国際社会に、慰安婦問題が捏造された事実経過を知らせたくないのである。逆に言えば、朝日新聞の名前を出してこそ、世界の人々がこの問題の真相を具体的に理解することが出来るのである。

昨年の七月、国連対策に取り組んで来た民間団体「慰安婦の真実国民運動」による代表団の一環として、日本人の二人の女性が、発言した。山本優美子氏は英語で、杉田水脈氏はフランス語でスピーチをした。持ち時間はそれぞれわずか二分間。杉田氏は、吉田清治の嘘を朝日新聞が事実として報道したこと、朝日は記事を取り消していることを説明した。これについて委員の一人は「世界のメディアが知らされていたのとは反対の意見を聞いた。その意見の根拠を知りたい」と発言した。委員会は日本政府に説明を求め、それによって日本政府の今回の説明の機会が与えられたのである。

杉田水脈前衆院議員(前列中央)と山本優美子氏(前列右)
 事態はこうなっている。日本の周りは巨大な壁で囲まれている。言語の壁である。壁の内側は日本語の世界で、ここでは朝日新聞の責任は誰もが知っている。しかし、壁の外側の世界には、巧妙に隠蔽された情報だけが流される仕掛けになっている。この仕掛けを維持する強力な意思が存在する。一月十八日の国会における安倍首相の、「性奴隷」などを否定した答弁も、壁の外の世界のメディアでは完全に黙殺された。作為は一貫しているのである。

この「言語の壁」の存在とその利用こそ、日本の慰安婦の真実が世界に広がらない決定的な装置となっている。この壁が崩れたとき、日本の名誉が回復する筋道が開かれることになるだろう。(総合オピニオンサイト iRONNA)

【私の論評】「言葉の壁」を破る強力な助っ人登場(゚д゚)!

慰安婦問題に関して日韓合意をした安倍総理だが・・・・・
ブログ冒頭の記事は、"この「言語の壁」の存在とその利用こそ、日本の慰安婦の真実が世界に広がらない決定的な装置となっている。この壁が崩れたとき、日本の名誉が回復する筋道が開かれることになるだろう"と結んでいます。

この「言葉の壁」は厳しいものです。実際、杉田水脈氏が語っているように、杉田氏と山本氏に割り当てられた時間はわずか二分に過ぎなかったそうです。

杉田氏によると、左派系のNGO(非政府組織)の中には1人5分のところもあったそうです。そうして、左派系NGOの中には『コンサルティブ・ステイタス』という特権を持つ団体もあり、国連委員とランチミーティングできるなど、アピールの機会が彼女らより断然多く、有利だったそうです。

杉田氏や山本氏のように、「言葉の壁」を破ろうとし、発言したにしても、この有様です。これでは、本当に残念ながら焼け石に水としか言いようがありません。せっかく、樹ネーブまで赴いて、英語だけではなく、フランス語で話をしても、「言葉の壁」を破ることは困難です。

しかし、今後この「言葉の壁」を破る強力な助っ人が出現しました。

それは、誰あろう、安倍総理のブレーンである山本参事です。これについては、昨日ブログでも若干紹介しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
安倍首相のブレーン本田参与、6月スイス赴任に高まる“消費増税先送り”―【私の論評】日本の積極財政の夜明けがはじまり、世界経済を牽引することになる(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、本田参与が、スイス駐在大使なる理由を以下のように示唆させていただきました。
それと、本田参与が駐スイス大使になることについては、私なりに考えてみたのですが、最近の国連の動きを牽制するためだと思います。

このブログにも掲載したように、スイス・ジュネーブの国連女子差別撤廃委員会において、日本における「天皇男系継承は女性差別」と勧告しようとしてみたり、慰安婦問題に関する動きがあったたりで、この問題に対処する強力な人材を必要としています。

本田参与を駐スイス大使にするのは、こうした問題に対処させるという目的もあるのだと思います。
国際連合ジュネーブ事務局 
ここで、本田悦朗参与の経歴を掲載させていただきます。1978年、東京大学の法学部を卒業し、法学士号を取得した。同年、大蔵省に入省しました。

大蔵省入省後は、十和田税務署の署長を経て、本省で関税企画官や理財局国有財産第二課の課長を務め、同省の施設等機関である財務総合政策研究所では研究部の部長などを務めました。

また、外務省への出向経験も多く、在外公館としては在ソビエト連邦日本国大使館の二等書記官をはじめ、在ロサンゼルス日本国総領事館の領事、在ニューヨーク日本国総領事館の領事、在アメリカ合衆国日本国大使館の公使などを務めた。また、国際機関での経験も多く、世界銀行の金融セクタースペシャリストや、欧州復興開発銀行の日本代表理事などを務めました。

2004年より、財務省の地方支分部局の一つである四国財務局にて、トップである局長に就任しました。その後、外務省にて欧州局の審議官などを務めたのち、2011年に財務省の大臣官房にて政策評価審議官に就任しました。大蔵省、および、その後継機関である財務省には34年間在籍していました。

以上は、主に大蔵官僚としてのキャリアですが、大学教授としてもキャリアもあります。
2012年、財務省から静岡県立大学に転じ、国際関係学部の教授に就任しました。また、同大学の大学院では、国際関係学研究科の教授も兼務しました。なお、財務省時代にも、東京大学大学院や香川大学にて客員教授を兼任し、教鞭を執った経験を持ちます。

第2次安倍内閣の発足にともない、内閣官房参与を非常勤で兼務しています。同じく内閣官房参与に就任した浜田宏一氏とともに、主として国際金融を担当しています。2015年3月31日、静岡県立大学を退職しました。退職後は、同年4月よりTMI総合法律事務所にて顧問を務めました。なお、同月より、明治学院大学にて法学部の客員教授を兼任しています。

この国際経験も豊富で安倍総理ブレーンでもある本田参与が、2016年3月11日、閣議において、駐スイス大使に任命されたのです。ただし、実際に赴任するのは6月からということです。

安倍総理としては、アベノミクスのキーマンの本田参与が抜けるということですが、その前に先日も述べたように、点検会合や、伊勢志摩サミットでも十分に能力を発揮していただいた後で、スイス赴任していただくということなのでしょう。

そうして、アベノミクスのキーマンである、総理のブレーンである本田参与を国連の人権委員会などがある、スイスジュネーブに中スイス大使として送り込むということで、この問題に対する安倍総理のなみなみならぬ決意が伝わってきます。

おそらく、今年の夏くらいから、国連人権委員会などで、様々な動きが見られることになるでしょう。

経済も重要ですが、慰安婦問題の解消も重要な問題です。本田参与には、経済でも、慰安婦問題でも、辣腕を奮っていただきたいものです。


言葉の壁を破る強力な助っ人が・・・・


そうして、本田悦朗氏は駐スイス大使として、現地で様々な情報収集にあたり、女子差別撤廃委員会のみに限らず、国連の様々な日本に対する、思い込みや間違いを払拭して、「言葉の壁」の崩壊をやり遂げることと思います。

本田悦朗氏が現地で活動すれば、日本から海外に正しい情報が伝わり、海外から日本へも正しい情報が伝わるようになります。朝日新聞もこれからは、なかなか捏造をしにくい状況になることでしょう。

安倍総理は、本当に素晴らしい人を駐スイス大使に選んだものだと思います。「言葉の壁」を破る上において、今の日本でこれ以上の人選はないかもしれません。


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2016年3月12日土曜日

安倍首相のブレーン本田参与、6月スイス赴任に高まる“消費増税先送り”―【私の論評】日本の積極財政の夜明けがはじまり、世界経済を牽引することになる(゚д゚)!


本田参与の大使赴任遅れは、増税先送りのサインか
政府は11日の閣議で、駐スイス大使に、安倍晋三首相の経済ブレーンで、「反増税派の論客」として知られる本田悦朗内閣官房参与を充てる人事を決定した。発令は同日付だが、何と赴任は6月上旬という。国内外の有識者らを集め、世界経済の情勢を議論する「国際金融経済分析会合」に参加するためで、来年4月の消費税10%の先送りが高まってきた。

「アベノミクスの意義をしっかり議論していきたい」

本田氏は、16日から始まる「分析会合」について、産経新聞の取材にこう答えた。

同会議には、安倍首相や麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房長官、石原伸晃経済再生担当相ら関係閣僚に加え、日銀の黒田東彦総裁、ノーベル経済学賞を受賞した米コロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授など、海外の著名な経済学者や国際機関の研究者などを招く。

ジョセフ・スティグリッツ教授 彼なら緊縮財政の無意味なことを明快に説明するだろう。
 中国経済の減速や原油価格の低下、金融市場の混乱などをテーマに、5月の伊勢志摩サミットまで5回程度開く予定で、永田町では「消費増税延期の地ならし」(自民党中堅)とみられている。

本田氏がスイス大使に転任するという一報が流れた際、財政再建を重視する政府・自民党内の一部には「反増税派の力が弱まる」という期待感が強まった。だが、本田氏は「分析会合」の全日程に出席し、サミットまでは参与職も兼務するという。

異例の措置に、官邸関係者は「安倍首相の『再増税には慎重』というメッセージが伝わってくる」と語っている。

【私の論評】日本の積極財政の夜明けがはじまり、世界経済を牽引することになる(゚д゚)!

上の記事、消費税10%見送りに向かって、安倍総理が着々と手を打っていることが理解できる記事です。

「国際金融経済分析会合」は、今月中頃からサミットまでに5回程度開催される予定です。伊勢志摩サミットは、5月に開催されます。

本田悦朗内閣官房参与のスイス赴任が、もっと早い時期、たとえば5月より以前であれば、10%増税が実行される可能性が高まったものと判断すべきだったでしょう。

これまでも消費増税決定の前に、経済財政諮問会議の「点検会合」が開かれていました。
2014年4月の5%から8%への消費増税の時には、13年8月26日から30日まで点検会合が開かれました。この会合では、有識者・専門家60人が参加し、消費増税すべきだとする意見が7割超、予定変更すべきだという意見が1割超で、結果として増税が実行されました。消費増税をすべきという意見の人たちは、たとえ増税したとしても、日本経済への影響は軽微としていました。

この点検会合の結果を踏まえ、結局平成14年4月から8%増税が実施されました。しかし、増税後に景気は腰折れし、点検会合で出された意見の多くは間違いだったことがはっきりしました。安倍総理は、これを重く受け止め、点検会合に不信感を抱いたのではないでしょうか。

さらに、当初15年10月に予定されていた8%から10%への消費再増税をめぐり、やはり経済財政諮問会議の点検会合が14年11月4日から18日まで開催されました。この会議でも、増税すべきという意見が大勢を占めました。

平成14年11月18日の点検会合 
一方、安倍首相はアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議および、20カ国・地域(G20)首脳会合出席のために、同月9日から17日まで外遊しました。

G20に参加し、オバマ大統領と会談した安倍総理
首相はこの外遊期間中に海外から与党要人に個別に電話をかけて衆院解散を伝えた模様でした。総理は点検会合における再増税ありきの議論をまったく受け入れるつもりがなかったのです。

8%増税の悪影響は昨年10月-12月期のGDP成長率が、マイナスになったことでも明らかなように、未だに続いています。さらに、このままだと、アベノミックスの金融緩和による雇用の改善状況も、今年の夏あたりから悪化する可能性すらあります。

現状では、実際には増税による悪影響による景気の悪化を、アベノミクスは頓挫したなどと言い出す政治家や、識者などもでている状況です。これが、さらに夏になり、さらに悪化すれば、マスコミや他の識者まで、それに便乗し、増税は棚にあげ、アベノミクス自体が大失敗と大合唱し、またまた、10%増税を押し切られる可能性が高いです。

そうなれば、景気はさらに落ち込み、とんでもないことになるのはあまりにも明らかです。安倍総理自身もそうなることなど望んではいないことでしょう。

ところで、政府は、伊勢志摩サミットにおいて世界経済のために財政政策と金融政策を同時発動を打ち出す流れになっています。新たな点検会合もこれを補強するのであると考えられます。これは、増税などの緊縮財政とは真逆の積極財政を示すものなので、消費増税もこの流れからすると当然延期ということにならなければ、一貫性がありません。


5月26、27日に伊勢志摩サミット、6月1日に国会会期末という政治日程を考えると、安倍総理による次のシナリオが浮かび上がってきます。

まず、点検会合で「世界経済のためには緊縮財政からの脱却が必要」との方針を打ち出します。サミットで世界の首脳がその方針を確認します。このような外交成果も踏まえて、国会会期末に衆院解散を宣言します。

解散から40日以内の総選挙実施を定めた憲法54条により、7月10日に、衆参ダブル選挙をすることになります。

ダブル選挙の争点の第一は経済になることでしょう。緊縮財政からの脱却を掲げることになれば、増税延期と財源のダブルバズーカが発射されることになるでしょう。

増税推進派からは、積極財政の財源について追求される可能性もありますが、それは、以前もこのブログで掲載したように、外国為替資金特別会計と労働保険特別会計などの埋蔵金が存在します。

これらは、円高対策と、雇用対策にあたられるもので、金融緩和によって、円安傾向や雇用が上向いている現在、その全額を貯めこんでおく必要性などさらさらなく、今こそ経済対策に使うべきものです。そうして、これでも財源としては十分なのですが、さらに奥の手もあります。

これらを整合性を保って、日本の実情にあわせて、合理的に順序立てて誰にでも理解できるように説明できる人としては、現状では本田参与が一番です。

その本田参与が、駐スイス大使に決まってしまったのですが、その赴任がなんと6月ということです。

無論、このようなことは、安倍総理の意思決定によってのみ行われることですが、これはどう考えても、増税延期のスケジュール・シフトと考えて間違いないようです。

それと、本田参与が駐スイス大使になることについては、私なりに考えてみたのですが、最近の国連の動きを牽制するためだと思います。

このブログにも掲載したように、スイス・ジュネーブの国連女子差別撤廃委員会において、日本における「天皇男系継承は女性差別」と勧告しようとしてみたり、慰安婦問題に関する動きがあったたりで、この問題に対処する強力な人材を必要としています。

本田参与を駐スイス大使にするのは、こうした問題に対処させるという目的もあるのだと思います。

 日本の皇室典範の内容にまで、提言をしようとした、国連女子差別撤廃委員会
それにしても、とにかく、日本は積極財政と、金融緩和で、とっととデフレから完全脱却して、まともな経済に戻すべきです。

伊勢志摩サミットは8つの閣僚会議も開催されるという空前の大規模で行われます。これは、前回の洞爺湖サミットよりもかなりインパクトが大きいです。

このインパクトのある会議で、日本が世界の国々に向かって「緊縮財政からの脱却が必要」と訴えるわけです。そうして、最近では景気が悪いときに「緊縮財政」をしても全く効果はないということが、再確認されているので、各国首脳もこれに合意して、共同声明が出されるに違いありません。

そうなると、日本も当然積極財政をしなければならず、緊縮財政の手段である増税などできません。そうして、この直後に安倍総理が増税見送り、衆参両院同時選挙を宣言するわけです。素晴らしいシナリオという以外にありません。

中国経済が落ち込む中、原油安は日本にとっては良いことですし、中国のように構造的に重大な問題のない日本の経済が復活すれば、アジアや世界経済にとっても良いことです。

これを機に日本は、はやい時期にデフレから完全脱却し、世界経済を牽引することになると思います。そうして、世界の他の国々も、過去の日本のように、デフレなどの不景気なときに増税などの緊縮財政をして失敗するという二の轍を踏むこともなくなり、良い方向に向かうことになることでしょう。

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2016年3月11日金曜日

【高市総務相電波停止発言】岸井成格氏ら7人、公開討論呼びかけを無視―【私の論評】この7人は、単なる老害を撒き散らす老人グループに過ぎない(゚д゚)!


高市総務相発言で会見する(左から)青木理、大谷昭宏、金平茂紀、岸井成格、田原総一朗、鳥越俊太郎の
各氏=東京・内幸町【撮影日:2月29日】
作曲家のすぎやまこういち氏が代表呼びかけ人を務める団体「放送法遵守を求める視聴者の会」は11日、放送法をめぐる公開討論を呼びかけていたジャーナリストの田原総一朗氏、岸井成格氏ら7人から、期限までに回答を得られなかったことを明らかにした。

同会は今月7日付で、田原氏、岸井氏のほか、大谷昭宏氏、金平茂紀氏、田勢康弘氏、鳥越俊太郎氏、青木理氏の計7人に対し、3対3での公開討論を呼びかけた。だが、同会が指定した回答期限である11日午後5時までに、誰からも出欠の意思表示はなかったという。


同会は「呼びかけと提案にお応えしていただくことがかなわず、大変残念」とした上で、「公開討論会を望む声が多く存在する限り、諦めることなく実現へ向けて努力していきたい」としている。

また、同会はNHKに公開討論会の放送を要望していたが、NHKからは「番組制作に当たっては、独自の編集権や編成権に基づき、自主的・自律的に判断している」と、事実上拒否する回答があったという。

 田原氏ら7人は2月29日、高市早苗総務相の「電波停止」発言について、記者会見を開いて抗議。視聴者の会は、放送法をめぐる認識などについて「多くの点で鋭く対立すると感じた」として、公開討論を呼びかけていた。

【私の論評】この7人は、単なる老害を撒き散らす老人グループに過ぎない(゚д゚)!

高市早苗総務相
高市総務相の発言がなぜ、これほどまでに話題になったり、反発をまねいたりするのか全く理解に苦しみます。

高市総務相は、そもそも法解釈として従来通りの一般論として「停波もありうる」を述べただけで、具体的に「停波する」などとは発言していません。日本には、「放送法」という法律で定められてることを、大臣が「適用することは無い」とはっきり言うわけにはいかないでしょうし、そんなことをすれば、行政による立法の軽視や無視ということになります。

誰が総務相であろうと、あのような発言になるのは、当然のことで、放送法の趣旨を違えてまで、発言をすることは、誰にもできません。

それに、このような発言は、菅直人内閣時代の平成22年11月、平岡秀夫総務副大臣(当時)が参院総務委で「番組規律違反の場合でも業務停止命令が行えるか」と問われた際に、放送事業者が番組準則に違反した場合には、総務相は業務停止命令、運用停止命令を行うことができる」と答えています。

 バラエティー番組「そこまで言っていいんかい」で、平岡秀夫総務副大臣の発言を指摘した辛坊氏
ジャーナリストの田原総一朗氏、岸井成格氏ら7人は、この発言は問題にしないで、ななぜ高市現総務相の発言のみを問題にするのか、全く理解に苦しみます。

それに民主党といえば、政権与党だったときとんでもない発言をしていた政治家も存在しました。

「間違った情報ばかり流すなら、電波を止めてしまうぞ!政府は電波を止めることができるんだぞ。電波が止まったら、お前らリストラどころか、給料をもらえず全員クビになるんだ」このような暴言を吐く政治家がいたとは驚くほかないですが、これは民主党の輿石東氏が民主党の幹事長だったときの発言です。

当時の輿石幹事長の実績
この発言は、2012年2月23日の幹事長番記者たちとのオフレコ懇談での発言だったそうです。『野田政権が、税と社会保障の一体改革から社会保障の部分を切り離し、消費増税法案を先行させる見込み』というフジ他各社の報道を問題視し、『間違った情報を流しやがって!裏を取っていない情報を流すな!』と恫喝した際の発言だそうです。

輿石氏は「間違った情報」と語りましたが、報道の元になったのは、同じ日の前原誠司・政調会長の会見でした。前原氏が年金一元化など社会保障関連法案の提出を4月以降に先送りすると発言したため、前述のような報道になったのです。

そもそも、今でもそのような傾向があるのですが、民主党幹部の言うことがバラバラでした。結局あのようなことになってしまった原因は当時幹事長でありながら、党をまとめられない輿石氏の力量不足に他ならなかったのですが、自分のことは棚に上げ、マスコミに八つ当たりしていたというのが実情のようです。

それにしても、野田政権時代の幹部のメディアに対する高圧的な姿勢は悪質なものでした。輿石氏は2012年2月1日にも、朝日新聞の見出しが気に入らないとして、「またやったな!政治部長を呼んで抗議するからな」と吠えていました。

前原氏も、産経新聞に「言うだけ番長」と揶揄されて激怒し、同紙記者を会見から排除。与野党からの批判で撤回しましたが、政治家としての器量の小ささを、自ら曝け出していました。

「言うだけ番長」報道に激怒した前原氏に関する報道をした産経新聞紙面
さらに当時は、ポスト野田の有力候補とされる当時の玄葉光一郎外相も、2月9日の番記者とのオフレコ懇談で、沖縄の米軍基地再編問題に関する報道が気に入らないとして、「とくに共同通信の解説が酷い」などと、くどくどクレームをつけていました。

かつて小泉進次郎議員から「自由があるのが自民党。自由がないのが民主党」と揶揄された民主党ですが、意に添わない報道を目の敵にする姿勢は目に余るものがありました。

このようなこともあったので、私自身は、ジャーナリストの田原総一朗氏、岸井成格氏ら7人が、「放送法改定」の議論をするというのならまだしも理解できますが、高市総務相の、法解釈として従来通りの一般論として「停波もありうる」という発言をなぜあれほど問題にするのか全く理解に苦しみます。

放送法をめぐる公開討論の呼びかけをこれらの7人が無視するのは、公開討論ということになれば、上記のような意に添わない報道を目の敵にしていた民主党の姿勢も明らかされ、そもそも法治国家である日本において厳然と存在している「放送法」という法律を元に論議すれば、議論に負けることは必定と判断したらに他ならないのだと思います。

勝てない喧嘩はしないというつもりなのでしょうが、もしそのようなことで、公開討論に応じないというのであれば、そもそも最初から高市総務相の発言を問題にするようなことはやめるべきでした。

この7人は、まともなジャーナリストではなく、単なる老害を撒き散らす老人グループと見たほうが良いようです。

老害を撒き散らす老人グループ
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2016年3月10日木曜日

北朝鮮 日本海に向け短距離弾道ミサイル2発を発射―【私の論評】東京大空襲のあった日にミサイル発射の魂胆は?



動画・写真・図表は以下すべてブログ管理人挿入

北朝鮮が10日午前、日本海に向けてスカッドミサイルとみられる短距離弾道ミサイル2発を発射したことについて、韓国軍は、今月7日からアメリカ軍と行っている合同軍事演習に北朝鮮が反発したものとみて、警戒を強めています。

韓国国防省によりますと、北朝鮮は、10日午前5時20分ごろ、朝鮮半島西側のファンヘ(黄海)北道から北朝鮮の上空を通過して東側ウォンサン(元山)の北東方向の日本海に向けてスカッドミサイルとみられる短距離弾道ミサイル2発を発射したということです。

いずれのミサイルも500キロほど飛んで、日本海に着弾したということです。韓国国防省のムン・サンギュン(文尚均)報道官は、10日の記者会見で、「韓国軍は、綿密に追跡と監視を行っており北朝鮮の挑発に対する万全の態勢をとり続けている」と述べ、北朝鮮の挑発に対して警戒を強めていると説明しました。

韓国国防省は、北朝鮮は去年も米韓の合同軍事演習の期間中にミサイルを発射しており、今回も演習に対する威嚇との見方を示しました。

演習について北朝鮮は、韓国大統領府やアメリカ本土などへの先制攻撃も辞さないとする、軍最高司令部の「重大声明」を出したほか、9日、国営メディアを通じて核弾頭の小型化に成功したと主張して米韓両国を強くけん制するなど、合同軍事演習を中止するよう繰り返し求めています。

防衛省によりますと、弾道ミサイルは、午前5時22分ごろと午前5時27分ごろに北朝鮮西岸のナンポ(南浦)の付近から東北東に向けて発射されたとみられるということです。発射されたミサイルは、およそ500キロ飛んで日本海上に落下したと推定されるということです。

「スカッド」 発射の兆候つかむのが難しい

短距離弾道ミサイルの「スカッド」は、1950年代に旧ソビエトが開発し、その後、北朝鮮に輸出されました。北朝鮮は、スカッドの配備や改良を続け、射程はおよそ300キロから1000キロに達するとみられています。

また、スカッドは、車両で運んで発射する移動式の弾道ミサイルで、防衛省は発射の兆候を事前につかむのが難しいとしています。

北朝鮮は、おととし、5回にわたってスカッドとみられる弾道ミサイルを発射したほか、去年3月には米韓合同軍事演習の初日に北朝鮮西部のナンポ(南浦)から日本海に向けてスカッドとみられる弾道ミサイル2発を発射しています。

外相「強く非難する」 北朝鮮に抗議

岸田外務大臣は、参議院外交防衛委員会で、「一連の国連安全保障理事会の決議に違反するものだ。北朝鮮による挑発行為がエスカレートすることは、わが国や地域の安全を脅かし、強く非難する」と述べました。

そのうえで岸田大臣は、北朝鮮に対し、午前8時すぎに、中国・北京の大使館ルートを通じて抗議したことを明らかにしたうえで「引き続き、安保理の場を含め、アメリカや韓国をはじめとする関係国と緊密に連携し、関連情報の収集など、しかるべき対応に努めていきたい」と述べました。

中谷防衛相「さらなる挑発の可能性も」

中谷防衛大臣は、10日午前、防衛省で記者団に対し、「引き続き、アメリカや韓国と緊密に連携しながら、必要な情報の収集や分析、警戒監視に努めていく。北朝鮮が、国連安保理決議や米韓の演習などに反発して、さらなる挑発行動に出る可能性は否定できないので、対応に万全を尽くしていく」と述べました。

また、中谷大臣は、今回発射されたミサイルは、「スカッドミサイル」の可能性があるとしたうえで、「今回の発射が、わが国の領域や周辺海域に到達しうる弾道ミサイルの能力の増強につながるものであれば、わが国の安全保障上、強く懸念すべきものだ」と述べました。

【私の論評】東京大空襲のあった日にミサイル発射した北朝鮮の魂胆は?

本日は、このニュースあまり詳細は、報道されていないので、掲載させていただきました。

ところで、71年前の昭20年3月10日は東京大空襲と呼ばれる、実際には東京大虐殺の日です。東京は1944年(昭和19年)11月14日以降に106回もの空襲を受けましたが、特に1945年(昭和20年)3月10日、4月13日、4月15日、5月24日未明、5月25日-26日の5回は大規模でした。


その中でも「東京大空襲」と言った場合、死者数が10万人以上と著しく多い1945年3月10日の空襲(下町空襲)を指すことが多いです。この3月10日の空襲だけでも罹災者は100万人を超えました。

同時に3月10日は陸軍記念日でもあります。米国はこれに合せ東京大虐殺を企てました。明治38年(1905)日露戦争の天下分け目の奉天会戦で日本が勝利、日露戦争の勝敗を決定づけた。日本軍が奉天(現瀋陽)のロシア軍を駆逐し奉天城に入城した日でもあります。

そのため本日は、私は、平和への祈りを捧げていました、その矢先、ブログ冒頭の記事のように、北朝鮮にやるミサイル発射がありました。本日は、戦争は良くないという趣旨の慰霊祭の声が報道されましたが、どちらかと言えば親米派の私ですら、アメリカのあの爆撃に対しては怒りを感じるにもかかわらず、戦争を反対する人々から当時のアメリカへの怒りが全く感じられないというのは不思議なことです。
「大山巌の奉天入城式典」
わざわざ、この日を選んで、北朝鮮がミサイルを発射したのには、やはり東京大空襲を意識してのことでしょうか。そうして、その狙いは日本に対する威嚇と、日米の分断でしょうか?

このようなことを掲載すると、多くの方々は、「単なる偶然」とおっしゃるかもしれません。しかし、北朝鮮が東京大空襲を考慮したかどうかは、定かではないものの、この打ち上げには前もってかなり周到に準備していたと思われます。

ブログ冒頭の記事では、「演習について北朝鮮は、韓国大統領府やアメリカ本土などへの先制攻撃も辞さないとする、軍最高司令部の「重大声明」を出したほか、9日、国営メディアを通じて核弾頭の小型化に成功したと主張して米韓両国を強くけん制するなど、合同軍事演習を中止するよう繰り返し求めています」としています。

そうして、これに関する本日の朝鮮中央通信の報道全文は以下の通りです。
われわれの警告を誤って判断するな 朝鮮中央通信社論評
【平壌3月9日発朝鮮中央通信】米帝と南朝鮮のかいらい好戦狂らが、われわれの警告にもかかわらず7日から南朝鮮全域で「キー・リゾルブ」「フォール・イーグル16」合同軍事演習をとうとう開始した。 
クリックすると拡大します
今回の演習は、好戦狂らが公然と唱えた通り、朝鮮革命の首脳部を狙った「斬首作戦」と戦略的要衝を不意に占領するための奇襲上陸作戦、われわれの核打撃手段に対する核先制打撃作戦などを含む「作戦計画5015」の実戦の可能性を確定するのに目的を置いた挑発性と悪らつさ、無分別さにおいて、史上極致を成す大規模な北侵核戦争演習騒動である。 
侵略者は、犯罪的目的を公開した今回の核戦争挑発策動にも「定例的」という看板を公然と付けることによって、自分らの反共和国圧殺野望が過去も、現在も少しも変わっていないということを世界に余地もなくさらけ出した。
今、国際社会は敵対勢力がわれわれの自衛的な初の水爆実験と合法的な地球観測衛星「光明星4」号の打ち上げに言い掛かりをつけてつくり上げた不当極まりない国連「制裁決議」によって生じた朝鮮半島地域の険悪な情勢に懸念を表し、それが一日も早く緩和することをいつよりも切に願っている。 
まさにこのような時に、米国とかいらい一味が膨大な兵力とほとんどすべての3大戦略核打撃手段まで総動員してわれわれの尊厳と自主権を併呑するために最後のあがきをしているのである。 
これこそ、平和と安全を願う国際社会の念願に対する正面切っての挑戦であり、侵略者、情勢破壊の主犯としての正体を赤裸々に見せる明白な証拠である。 
凶器を振り回して横暴非道に襲い掛かる強盗は、いかなる論理や頼みごとによっては絶対に追い出すことができない。 
今日の厳しい現実は、敵の不正義の力を正義の力で圧倒するために、わが共和国が早くから自衛的戦争抑止力、核先制打撃力を千倍、万倍に打ち固めてきたのがどんなに正当で、先見の明のある措置であったのかを再びはっきり実証している。
上の文中にでてくる、「作戦計画5015」とは以下の様な作戦です。以下にハンギョレ新聞の記事をコピペします。
朝鮮半島有事「作戦計画5015」で北朝鮮の核・ミサイルを先制打撃
 2015.08.28

 韓米が今年6月に署名した作戦内容
 韓米軍当局が朝鮮半島の有事を想定し、新たな「作戦計画5015」を作成したことが分かった。安保環境の変化に合わせて先制打撃の概念を適用するなど、従来の「作戦計画5027」より迅速かつ積極的な軍事対応を強調していると伝えられた。 
 軍関係者は27日、「チェ・ユンヒ合同参謀本部議長とカーティス・スカパロッティ韓米連合司令官兼在韓米軍司令官が6月、新たに作成された作戦計画5015に署名したと聞いている」と述べた。この関係者は、「今回に合意された作戦計画は戦争勃発など有事の際、韓米軍事力運用に関する大きな下図に当たる」とし「韓米両軍は、新しい作戦計画に基づいて除隊別の隷下部隊にまで適用される具体的な作戦計画を、年末までに作業することになる」と述べた。作戦計画5015は、来年から本格的に適用される予定であることが分かった。 
 今回の作戦計画5015は、2010年10月、第42回韓米安保協議会(SCM)で韓米国防長官が北朝鮮の脅威と戦略状況の変化に総合的に対応できる新しい作戦計画樹立のため、「戦略企画指針」 (SPG)に合意したことによる後続措置だ。当時、新しい作戦計画の作成は、今年末に予定された戦時作戦統制権(戦作権)の転換に備えるための意味が大きかった。しかし、韓米軍当局は昨年、戦作権の転換を2020年代半ばまで再延期することに合意したが、「作戦計画5015」は当初の計画通りに進めてきた。 
従来の作戦計画5027と新規の作戦計画5015 
年末までに具体的な計画を完成北朝鮮による局地挑発に共同で対応し大量破壊兵器の脅威への備えに焦点既存の「5027」よりも迅速・積極的   
 ミサイルなどの大量破壊兵器の脅威の増加など、軍事安保上の環境の変化に対する韓米連合戦力の軍事的対応に焦点を当てていることが分かった。従来の作戦計画5027は、主に北朝鮮の南侵に伴う全面戦争の状況を想定したシナリオに沿って、6段階の対応で構成されている。北朝鮮軍の奇襲南侵が発生した場合、ソウル北側の防衛線で北朝鮮軍を阻止し、米軍の増援戦力が到着したら、戦列を整備して反撃に出るという概念だ。 
 今回の作戦計画5015は、北朝鮮の局地挑発による戦争拡大の可能性が大きくなるにつれ、韓米連合戦力が局地挑発にどのような手順で対応するかなどが検討されたものと見られる。韓米軍当局は、すでに2013年3月に「局地挑発への韓米共同対応計画」を策定したと発表した。今回の作戦計画5015には、当時合意された内容が以降の状況の変化まで反映して含まれたと伝えられた。軍関係者は、「作戦計画5027が、主に北朝鮮の全面的な南侵に備えるのに焦点を当てているのに比べ、今回の作戦計画5015には、北朝鮮の全面戦争挑発の前に、局地挑発の段階から韓米連合防衛体制をどのように稼働するかなどが盛り込まれた」と述べた。 
 また、北朝鮮の核・ミサイル発射の兆候が見られたら、30分以内に先制打撃するという韓国軍の「キルチェーン」の概念も、今回の作戦計画に反映されたことが分かった。軍関係者は、「北朝鮮の核・ミサイル攻撃の脅威に対しても、韓米連合防衛体制で備えるようになる」とし「北朝鮮が核・ミサイル攻撃をする前に、あらかじめ軍事的に対応して被害を予防することは、先制攻撃ではなく、自衛権に基づく対応」と述べた。 
 一方、チョ・サンホ国防部軍構造改革推進管はこの日、ソウルの戦争記念館で韓国国防安保フォーラム(KODEF)の主催で開かれた安保学術セミナーに参加し、あらかじめ配布した発表文で、「私たち(韓国)主導、私たち優位の非対称戦略概念の開発」の必要性を提起し、心理戦、情報優位性、精密打撃能力とともに「斬首作戦」を例示して問題になった。斬首作戦は、有事の際、敵国が核兵器を使用しようとする兆候が見られたら、核兵器承認権者を除去し、核兵器の使用を防ぐものだという。最近、南北が軍事衝突を防ぎようやく作り上げた対話の雰囲気に、水を差すような発言だという指摘も出ている。
 「キー・リゾルブ」「フォール・イーグル16」は、かなりの規模の軍事演習です。そうして、新たな軍事作戦「5015」もかなり大掛かりな作戦です。

この新たな軍事作戦「5015」に含まれる、要人斬首のための部隊をすでに米軍が、朝鮮半島に駐屯させていることはこのブログでも以前掲載しました。

北朝鮮の場合は、北朝鮮政府が情報を統制しているので、この軍事訓練の規模など人民には詳細までは知らせないので、混乱などおこりませんが、自分たちの実力を良く知っている幹部連中は心穏やかではないでしょう。特に斬首作戦にはかなり心理的効果があるものと思います。幹部など、警備の手薄なところにはなかなか出かけられないということになります。

最近の金正恩
このようなことを、中国と北朝鮮あたりが、日本の近海で行えば、日本はどうなることでしょう。日本なら大混乱するかもしれません。いや、それどころか、日本国民は再軍備や、核武装などを望むようになるかもしれません。そうなれば、元も子もなくなるので、今までのところ中国や、北朝鮮も日本に対しては、挑発してもある程度以上のことはしなかったのだと思います。

それにしても、斬首作戦など、本当に実行するかもしれません。何しろ、アメリカはあのオサマ・ビンラディンを斬首した国です。

本当に警備などが手薄な場所や日時を特定できたら、実行する可能性は十分にあると思います。そうして、核兵器の使用を承諾できる幹部を全員を斬首または、捕獲できた場合、その後に戦争に雪崩れ込むというシナリオも十分考えられます。

特に、最近は、南シナ海で増長する中国に対して、見せしめのために、中国の目の前でそれを実行するかもしれません。これを実行した場合、中国もパニックに陥ることでしょう。

最近、増長して身の程知らずになってしまった、北朝鮮や中国にとっては、有効な手段であると思います。それにしても、オバマは「アメリカは世界の警察官をやめる」などと公言したり、及び腰の態度で外交に臨んだため、中国、ロシア、北朝鮮、韓国などを増長させてしまいました。

これに対する見せしめにするためには、北朝鮮の要人などは、格好の標的だと思います。

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