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2023年6月13日火曜日

LGBTの野党〝丸飲み〟法案を拙速可決へ 13日に衆院通過 読売新聞、名指しで岸田首相を批判 島田洋一氏、修正案は「改悪だ」―【私の論評】LGBT法案の成立には、バイデン政権の積極的な働きかけがあった(゚д゚)!

LGBTの野党〝丸飲み〟法案を拙速可決へ 13日に衆院通過 読売新聞、名指しで岸田首相を批判 島田洋一氏、修正案は「改悪だ」


LGBT法案の成立を急ぐ岸田首相

 自民党などの与党は、LGBTなど性的少数者への理解増進を目的とした法案の修正案を可決し、衆議院を通過させました。

保守派や女性団体、LGBT当事者団体などは法案の拙速な法制化に反対しています。

 読売新聞は社説で、法案の内容が女性の安全を守れるのか、教育現場は混乱しないのかという懸念を残し、拙速に法整備を図ることは許されないと批判しました。

 与党修正案は参議院でも審議・採決が行われ、成立する見通しです。修正案には賛否があり、自民党内でも雰囲気は重苦しいです。

 自民党議員は修正案の受けが悪くなっているとし、慎重な審議を約束したにもかかわらず、日程ありきの強行採決は大打撃と述べています。また、修正案自体にも問題点があり、一部の専門家は改悪と指摘しています。

これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は是非元記事をご覧になってください。

【私の論評】LGBT法案の成立には、バイデン政権の積極的な働きかけがあった(゚д゚)!

今回の日本でのLGBT法案の成立しそうな状況は、以前から予想されていたことです。それについしては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
LGBT外交の復活、異質な価値観を押し付け―【私の論評】LGBT外交で中国を利するバイデンは、国内で足元をすくわれる(゚д゚)!

この記事は、2021年3月19日のものです。この記事の元記事より、以下に一部を引用します。

 バイデン米大統領は2月4日に国務省で行った就任後初の外交政策演説で高らかに訴えた。

 「米国が戻って来たと世界に伝えたい」

 トランプ前大統領が掲げた「米国第一」から多国間主義に回帰し、国際問題に積極的に関与していく決意を示したものだ。だが、途上国、特にアフリカ諸国では、別の意味で米国が戻って来たと受け止めた人も多いに違いない。

 別の意味とは何か。オバマ元政権が推し進めたLGBT(性的少数者)の国際的な権利向上、いわゆる「LGBT外交」の復活である。外交演説は中国やロシアに関する発言に注目が集まったため、大手メディアはほとんど報じなかったが、バイデン氏は次のように宣言している。 トランプ前大統領が掲げた「米国第一」から多国間主義に回帰し、国際問題に積極的に関与していく決意を示したものだ。だが、途上国、特にアフリカ諸国では、別の意味で米国が戻って来たと受け止めた人も多いに違いない。

さらに以下にこの記事の結論部分から引用します。

中国政府のLGBTに対する態度は「合理的」です。ゲイは社会の安定や経済発展のために「使える」ので支持し、レズビアンなどは放置されるか、意見の違いを公にすれば弾圧されます。多様な個人が集合体として社会をつくるという考えはなく、権力者がつくりたい社会の部品として有用かどうかという、いわば自分の都合で峻別しているにすぎないです。

セクシュアリティーだけではありません。現在の中国社会は合理性や生産性のみを優先して設計され、その枠に当てはまらない少数民族、宗教者、障がい者などのマイノリティーに対しては一貫して冷たい態度を取っています。これをやめない限り中国はまともにならないでしょう。

ただ、現状においては、LGBT外交で、結果として中国を利するバイデンは、国内で足元をすくわれることになりかねません。実際、そのようになりつつあります。日本でも自民党が、これを推進すれば、そうなりかねません。

今日この予測が見事にあたったと思います。 当の米国では、民主党が包括的なLGBT差別禁止法案(名称は平等法)を提出したものの、共和党が一致して反対する姿勢を崩しておらず、予見しうる将来、成立の見込みはありません。

無論、州レベルでは包括的なLGBT差別禁止法案を定めているところもありますが、反LGBT法案を定めている州も増えてきています。

それにしても、バイデン政権がLGBT法案の成立に熱心だったことは間違いありません。

バイデン大統領は就任初日に、国務省にLGBTの権利に関する特使を設置するよう指示する大統領令に署名しました。

また、政権は、世界中のLGBTの権利団体を支援する「グローバル・イコリティ・ファンド」の資金を回復させました。

2021年6月には、政権の主催で、LGBTの権利に焦点を当てた初の「米国・ASEAN人権サミット」を開催しました。

また、政権は世界各国で反LGBTの法律や差別に対して発言しています。

これらは、バイデン政権がLGBTの権利と外交を推進するための取り組みのほんの一例にすぎません。政権は、性的指向や性自認にかかわらず、すべての人が尊厳と尊敬をもって扱われるよう取り組むことを明確にしています。

以下、それぞれの取り組みについて、さらに詳しくご紹介します。

LGBTの権利のための特使: LGBTの権利のための特使は、世界中のLGBTの人々の人権を促進し保護する責任を負う国務省の高官です。特使は、外国政府、市民社会組織、その他の関係者と協力し、LGBTの権利問題に関する認識を高め、変化を提唱しています。

エマニュエル大使とジェシカ・スターンLGBTQI+特使は、2月8日に公明党の山口那津男氏と会談

グローバル・イコリティー・ファンド (Global Equality Fund):これは、世界中のLGBTの権利団体を支援する数百万ドルの基金です。基金は、アドボカシー活動、法的活動、サービス提供など、LGBTの人々の平等を促進するために活動している団体に助成金を提供しています。

人権に関する米国・ASEANサミット: 米国・ASEAN人権サミットは、米国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の政府高官による会議でした。このサミットでは、LGBTの権利に焦点が当てられ、参加者はASEAN地域におけるLGBTの人々の平等を促進する方法について議論しました。

反LGBTの法律や差別への反対: バイデン政権は、世界各国の反LGBT法や差別に反対を表明しています。また、LGBTの人たちの人権を侵害する国に対して制裁を課してきました。

バイデン政権のLGBTの権利向上と外交への取り組みは、オバマ政権のLGBTの権利に関する取り組みの多くを後退させたトランプ政権とは大きく異なるものです。

バイデン政権による日本のLGBT法案への支援は、世界中でLGBTの権利を促進するためのより広範な取り組みの一部でした。2021年、バイデン政権は、トランスジェンダーを軍務から排除するトランプ政権の方針を撤回すると発表しました。バイデン政権はまた、初のオープンリー・ゲイ(社会に対して自身が同性愛者であることをカムアウトしている男性を指す言葉)の駐ドイツ米国大使を任命しました。

バイデン政権そのものが、LGBT法案に関して積極的なのですから、エマニュエル駐日大使も積極的になるのは、当然といえば当然のことです。

エマニュエル駐日米国大使が日本のLGBT法案の成立にかなり積極的だったという点を裏付ける事実があり、それがバイデン政権の方針に基づくものであると考えられるので紹介します。

2023年2月、エマニュエル大使は岸田文雄首相と会談し、同性婚を合法化する法案を可決するよう促しました。

2023年3月、エマニュエル大使は、日本におけるLGBTの権利に関するフォーラムで講演し、日本がまだ同性婚を合法化していないことにバイデン政権は「深く失望している」と述べました。

2023年5月、エマニュエル大使は日本の国会議員に会い、雇用や住宅などにおけるLGBTへの差別を禁止する法律の成立を促しました。

こうしたエマニュエル大使の行動から、日本のLGBTの権利に強い姿勢で臨んでいることがうかがえます。これは、LGBTの権利を最優先事項としているバイデン政権の方針と合致していると思われます。

エマニュエル大使の行動以外にも、バイデン政権は日本におけるLGBTの権利を促進するための措置を講じています。例えば、同政権はLGBTの権利に関する特使を任命し、外国政府と協力してLGBTの平等を推進する責任を負っています。

バイデン政権がLGBTの権利に重点を置いていることは、オバマ政権時代のLGBTに対する多くの保護を後退させたトランプ政権とは大きく異なる点です。バイデン政権の行動は、米国が世界中でLGBTの平等を推進することにコミットしていることを示すものです。

現在、日本でLGBT法案が成立しそうなことの背景には、バイデン政権による積極的な働きかけがあったことは、忘れるべきではありません。さらに自民党内のLGBT利権に群がる政治家の存在もこれを後押したことを忘れるべきではありません。

米国の民主党政権の積極的な働きかけに関しては、米国内でも評価が定まっていない事柄に関する、日本への押しつけであり、内政干渉であると考えられます。このようなことを日本以外の国々でも行えば、反発必至です。

米国における反LGBT法案の最新状況は、過去最高を記録しているとのことです。ヒューマン・ライツ・キャンペーンによると、今年に入ってから全国の州議会で145以上の反LGBTQ+法案が提出されています。そのうち、24件が法律として成立しています。

これらの法案の大半は、トランスジェンダーの若者をターゲットにしており、特にジェンダーを確認するための医療へのアクセスを対象にしています。また、LGBTQ+の人々が養子を迎える権利、軍務に就く権利、性自認に沿った公衆トイレを利用する権利を制限する法案もあります。

これらの法案は、近年、全米を席巻している反LGBTQ+の大きなトレンドの一部です。2021年には、州議会に240以上の反LGBTQ+法案が提出され、100以上が法律として制定されました。

このような揺り返しが米国でもあるのです。日本でも、LGBT法案が成立してしまえば、必ず揺り返しがきます。この揺り返しが、LGBTの人々に対するさらなる差別につながらないように祈るばかりです。

私自身は、LGBの人たちを差別するつもりなど全くありません。こういうひとた人たちが、差別されることがあってはならないのです。ただ、Tに関しては正直わかりません。実際医学的にも明らかにはされていません。わからないものに関しては、わからないというしかありません。

ただ、トランスジェンダーの女性とされる人(実際にはそうではなくて、単なる犯罪者)が、女性への脅威となることだけは避けていただきたいです。LGBT法案推進派、様々な屁理屈でそのようなことはないと主張しますが、とてもそのようなことは信じることはできません。

たとえ、LGBT理解増進法が、理念上は犯罪を犯罪でなくする法律ではないとしても、そんなことは犯罪者に関係ありません。公衆浴場などに入り込み、つかまったら「私は女だ」と主張されたらどうするのでしょう。
それと、利権の源である、学校での外部講師を依頼しての教育活動には反対です。特に、低学年の児童にはそのようなことはしてもらいたくありません。そのような教育はもっと大人になってから、しかも、それを自発的に求める人に限って行うべきであり、多くの人に施す筋合いのものではないと思います。間違っても、利権などにすべきではありません。

私は、多くの人はそう思っているか、LGBT法案について様々なことを知ることによって、そのように思うようになるのではないかと思います。

LGBT法案は16日にも成立しそうですが、成立したとしても、これから懸念は他の法律や、都道府県など条例などでも払拭できると思います。

ただ、心配なのは、LGBT法が成立したことを機に、条例などで、さらにこれを拡張しようとする勢力がいることも忘れるべきではないです。あるいは、これを利用しようとする犯罪者の存在を忘れるべきではありません。多数派である普通の女性や男性の権利が侵害されることがないように、私達が監視を続けていくべきと思います。

米国では、来年大統領選挙があります。日本のマスコミでは、トランプ氏優勢が伝えられてはいませんが、トランプ氏圧勝と予測する人もいます。仮にトランプ氏が大統領にならなくても、共和党政権になる確率は高そうです。

そうなれば、LGBT法案をなし崩しにできるかもしれません。その日に備えて準備しておきたいものです。特に地方自治体レベルでは、それは私達の責任で、LGBT法案が拡張されることがないように監視を続けるべきと思います。

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2021年3月19日金曜日

LGBT外交の復活、異質な価値観を押し付け―【私の論評】LGBT外交で中国を利するバイデンは、国内で足元をすくわれる(゚д゚)!

LGBT外交の復活、異質な価値観を押し付け

バイデン大統領

 バイデン米大統領は2月4日に国務省で行った就任後初の外交政策演説で高らかに訴えた。

 「米国が戻って来たと世界に伝えたい」

 トランプ前大統領が掲げた「米国第一」から多国間主義に回帰し、国際問題に積極的に関与していく決意を示したものだ。だが、途上国、特にアフリカ諸国では、別の意味で米国が戻って来たと受け止めた人も多いに違いない。

 別の意味とは何か。オバマ元政権が推し進めたLGBT(性的少数者)の国際的な権利向上、いわゆる「LGBT外交」の復活である。外交演説は中国やロシアに関する発言に注目が集まったため、大手メディアはほとんど報じなかったが、バイデン氏は次のように宣言している。 トランプ前大統領が掲げた「米国第一」から多国間主義に回帰し、国際問題に積極的に関与していく決意を示したものだ。だが、途上国、特にアフリカ諸国では、別の意味で米国が戻って来たと受け止めた人も多いに違いない。

 「LGBT問題で国際的なリーダーシップを回復する。LGBTを犯罪として扱う動きと戦い、LGBTの難民や亡命申請者を守るなど権利向上に努める」

 バイデン氏はさらに、海外援助をLGBT外交のツールとして利用することなどを政府機関に指示する行政命令を出した。これは経済援助の条件として途上国に同性愛行為の非犯罪化などを迫ったオバマ政権の手法を踏襲したものだ。

 米国が超大国のパワーを振りかざし、保守的な倫理観を保つ途上国に同性愛を肯定する異質な価値観を押し付けるのは、弱い者いじめにほかならない。特に植民地支配された歴史のあるアフリカ諸国は、オバマ政権の脅迫的なやり方を文化的に侵略しようとする「文化帝国主義」だと激しく反発していた。

 このため、アフリカの宗教界はトランプ氏の再選を熱烈に望んでいた。各国の国家主権や伝統的価値観、信仰の自由を尊重するトランプ氏の姿勢を高く評価していたためだ。

 アフリカの宗教界では既にバイデン政権への警戒感が高まっているが、懸念を一段と強めたのは、国務省傘下の対外援助機関、国際開発局(USAID)のトップにサマンサ・パワー元国連大使が起用されたことだ。パワー氏はオバマ政権でLGBT外交を主導した人物の一人であり、パワー氏は海外援助とLGBT問題を露骨に紐(ひも)付けすると予想される。

 ナイジェリア・カトリック教会のエマニュエル・バデジョ司教は、USAIDはパワー氏の下で「アフリカの宗教的・文化的価値観に対し、思想的・文化的な襲撃を仕掛けてくることは間違いない」と、悲観的な見通しを示した。

 バデジョ司教は、オバマ政権で国務長官を務めたヒラリー・クリントン氏をこう酷評したことがある。

 「世界には3種類の人間がいる。神を信じる者、神を信じない者、自分を神と思う者だ。クリントン氏は自分を神と思う人間の一人だ。宗教的価値や信念はクリントン氏にとって大切でないとしても、それを変えろと要求する権利はない」

 バデジョ司教は、パワー氏に対しても同じ見方をしているに違いない。

 一方、アントニー・ブリンケン国務長官は、LGBT問題担当特使を任命する意向を示している。

 LGBT外交は米国の国益を促進するどころか、途上国の反米感情を助長する可能性の方が高い。中国との覇権争いが最重要課題である時に、そのような取り組みをする余裕があるのだろうか。

 「米中新冷戦」の激化に伴い、各国は米国と中国のどちらの陣営につくべきか選択を迫られている。歪(ゆが)んだ価値観外交は途上国を米国から遠ざけ、中国の陣営に追いやる一因になりかねない。

(編集委員・早川俊行)

【私の論評】LGBT外交で中国を利するバイデンは、国内で足元をすくわれる(゚д゚)!

米国のバイデン大統領(78)が就任初日の20日に「LGBTQ差別禁止」に関する大統領令にサインしたことが思わぬ波紋を呼んでいます。長年、差別を受け続けてきた全米中の性的マイノリティーの人たちから称賛の声が上がった一方で、スポーツ界からは「女性アスリートが抹殺される」という批判的が上がっています。

米国の第46代大統領に就任した直後から数々の大統領令にサインし、自らの政策をさっそく実行し始めたバイデン氏。就任初日の20日には17の大統領令にサインしたが、その中の一つ「LGBTQ差別禁止」は、全米中の性的マイノリティーの人たちを歓喜さましせた。

というのも、トランプ政権時代は、保守的な支持層を意識して性的マイノリティーの権利保護に否定的だったため、不当な差別で職を失ったり、医療を受けられなかったりするケースが少なくなかったからです。

一方、バイデン氏は副大統領だったオバマ政権時代から性的マイノリティーの権利保護で指導的立場を取ってきました。その姿勢は閣僚人事にも表れ、運輸長官に指名されたピート・ブティジェッジ氏はゲイを公表した初の閣僚となりました。

今回の「LGBTQ差別禁止」の大統領令は、昨年6月に連邦最高裁が「職場でLGBTQを性的指向・性自認に基づいて解雇することは違法」とした歴史的判決に基づいているといいます。

一方でこの大統領令に問題点を指摘する声も上がっているといいます。

「大統領令には『性同一性や性的指向に関係なく、すべての人は法律の下で平等に扱われる』としたうえで『子供たちはトイレ、更衣室、学校のスポーツへのアクセスが拒否されるかどうかを心配することなく、勉学に励むことができる』という一節がある。この部分が元男性のトランスジェンダーアスリートの増加につながるととらえられ『女子アスリートが抹殺される』と保守派から問題視する声が上がった」(在米ジャーナリスト)

    コネチカット州の高校生陸上選手、テリー・ミラー。トランスジェンダー女性である
    彼女や他の選手が州の大会で優勝を独占した結果、3人の女性選手が競技への参加資格
    において「自認する性」を優先する州の方針に異議を唱えた

この声は思った以上に大きく、ツイッターでは「#BidenErasedWomen」というハッシュタグがつけられ、全米でトレンド入りするまでに拡大しています。

スポーツの世界で、元男性のトランスジェンダーアスリートをどう扱うかは、いまだに議論されている難しい課題です。

IOC(国際オリンピック委員会)では2015年にガイドラインを制定。「性適合手術を受けていなくても男性ホルモンのテストステロンを1年以上、一定レベルに抑制できている」などの条件で出場を認めています。東京五輪もこのガイドラインを基に女性としての出場を認めています。

ある五輪競技関係者は「難しい問題ですね。女性として生まれてきた女子アスリートから見たら、元男性のトランスジェンダーアスリートはもともと体のつくりが違うため、フィジカルの差が大きくなりすぎる。いくらテストステロンを抑えたとしても、女性では超えられない潜在的な壁がある」と明かしています。

皮肉にもトランプ前大統領は退任前の17日、こんな事態を想定してかせずか、バイデン氏の大統領令を担保する昨年6月の連邦最高裁判決について「長年性別によって分けられてきた分野にまで解釈を広げるべきではない」として、適用範囲の限定を狙った司法省通達を出していました。

バイデン氏にとっては、長年LGBTQの権利を守る活動を続けてきて、それを実現する大統領令にサインしただけのつもりが、まさかの部分にケチをつけられた形です。

バイデン氏の「LGBT外交」は、外交ではなくて、足元から崩れていく可能性が大きいです。トランスジェンダーの女性が、女子スポーツに進出するようになれば、米女子スポーツは崩壊するでしょう。

下は、中国のトランスジェンダー女性とされる人の写真です。

  2019年7月11日、中国の全国陸上競技選手権大会で優勝した湖南女子チーム。
  「男女混合リレー?」と2選手の性別に首をかしげる人が多いようだ


それでも、米国がトランスジェンダー女性を女子スポーツに参加することを認め続ければ、米国の女子スポーツは、多くのの種目で、米国トランズジェンター女性が勝つことになり、世界の女子スポーツは崩壊するでしょう。

最後に、日本の国会議員杉田水脈氏は「LGBTの人たちは生産性がない」と主張したことで、かなり叩かれましたが、彼女は言葉のつかいかたを間違えたと思います。私なら「全人類が、LGBTになれば、特にLGだけになれば、人類が崩壊する。BTはそれを助長する」といいます。これは紛れもない事実です。私自身は、彼女はこれを言いたかったのだと思います。無論これは、LGBTとされる人々を差別せよ、と言っているわけではありません。

これには現状では誰も反論できないでしょう。反論したとしても無意味です。これも、いずれ人工子宮なるものができれば、そうとばかりは言っていられなくなるのかもしれませんが、それにしても、これには確実に倫理的な問題が絡むでしょうし、それに現状では、普及しておらず、まだ未来の話です。

LGBTの人たちを不当に差別することはやめるべきだと思うのですが、スポーツの世界まで、LGBTを貫けば、とんでもないことになります。これは、誰にでもわかりやすいことなのですが、それ以外の分野でも、表には出てこない問題もかなりあるのではないかと思います。それが、表にでてくれば、バイデン政権は弱体化するでしょう。

中国にも上の写真で示したように、トランスジェンダーの女性スポーツ選手はいます。しかし、習近平自身は「トランスジェンダー外交」までは考えていないようです。

中国政府のLGBTに対する態度は「合理的」です。ゲイは社会の安定や経済発展のために「使える」ので支持し、レズビアンなどは放置されるか、意見の違いを公にすれば弾圧されます。多様な個人が集合体として社会をつくるという考えはなく、権力者がつくりたい社会の部品として有用かどうかという、いわば自分の都合で峻別しているにすぎないです。

セクシュアリティーだけではありません。現在の中国社会は合理性や生産性のみを優先して設計され、その枠に当てはまらない少数民族、宗教者、障がい者などのマイノリティーに対しては一貫して冷たい態度を取っています。これをやめない限り中国はまともにならないでしょう。

ただ、現状においては、LGBT外交で、結果として中国を利するバイデンは、国内で足元をすくわれることになりかねません。実際、そのようになりつつあります。日本でも自民党が、これを推進すれば、そうなりかねません。

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2024年7月13日土曜日

バイデン大統領の衰退が国際危機を生む―【私の論評】バイデン大統領の認知能力低下と米国の危機:新たな指導者の必要性と世界秩序への影響

バイデン大統領の衰退が国際危機を生む

まとめ
  • アメリカの現職大統領の明らかな能力弱化は国際危機をも生みかねない。
  • 反米陣営が対米警戒を減らして、より大胆な侵略や膨張の行動に出る危険が生まれた。
  • 不法入国者問題、露中朝イランの反米的な行動の激化を懸念する声も。


 バイデン大統領の認知能力の衰えが顕著になり、民主党内からも撤退を求める声が上がっている状況は、単なる国内政治の問題にとどまらず、国際的な影響を及ぼす可能性がある。大統領の能力低下は、国際的な危機を引き起こす潜在的な要因となり得る。特に懸念されるのは、中国やロシアなどの反米勢力が、バイデン大統領の弱みにつけ込む危険性が高まっていることだ。

 歴史的に見ても、アメリカの大統領選挙の年は国際的な異変が起きやすい傾向がある。今回の状況は、アメリカでの大統領選挙による空白や混乱が、バイデン大統領の衰退によってさらに強調されている。これにより、アメリカの国際的な指導力や軍事抑止力が弱くなったと判断する材料を、対立的な立場の国々に提供してしまっている可能性がある。

 専門家らは、バイデン大統領の衰退により、様々な危険な動きが起こる可能性を指摘している。例えば、メキシコ国境からの危険分子の侵入増加、ロシアの反米的行動の激化、中国の反米的言動の増加、北朝鮮の対外姿勢の強硬化、イランとその傘下のテロ組織の活動の活発化などが懸念されている。これらの推測は、アメリカの国際的な影響力の低下と、反米勢力の台頭を示唆しており、国際秩序の不安定化につながる可能性がある。

 このような分析は、バイデン大統領の個人的な状況が、より広範な国際的な安全保障の問題につながる可能性があることを強調している。大統領選挙の結果や、バイデン氏の今後の対応が、単にアメリカ国内の政治だけでなく、世界の安全保障環境にも大きな影響を与える可能性がある。したがって、この問題は慎重に観察し、対応していく必要があるだろう。

 この記事は、元記事の要約です。詳細は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】バイデン大統領の認知能力低下と米国の危機:新たな指導者の必要性と世界秩序への影響

まとめ
  • バイデン大統領の認知能力低下が米国の国益と世界秩序の安定を脅かしている。
  • 外交政策の失敗(アフガニスタン撤退、ウクライナ対応、イラン核問題、日本のLGBT法への介入など)が顕著。
  • エネルギー政策(キーストーンXLパイプライン中止など)が米国の経済と安全保障を危険にさらしている。
  • バイデン大統領は安倍元首相の決断を見習い、国家の利益のために退くべき。
  • 民主党は新たな候補者を擁立し、エネルギー自立、国境管理、毅然とした外交政策を実行すべき。
米民主党は、米国の国益と世界秩序の安定のために、即刻バイデン大統領に代わる新たな候補者を擁立すべきです。これは単なる政治的駆け引きの問題ではなく、国家の安全保障と世界の安定に関わる緊急の課題です。

アフガニスタンの首都カブールからカタールに向け出発した米空軍の大型輸送機の機内。米空軍提供(2021年8月15日撮影)。

バイデン大統領の認知能力低下は、もはや隠しようのない事実となっています。アフガニスタンからの無秩序な撤退、ロシアのウクライナ侵攻に対する優柔不断な対応、イランの核開発を事実上容認する弱腰外交など、その影響は国際社会全体に及んでいます。

特に懸念すべきは、日本のLGBT理解増進法への不適切な介入です。バイデン政権は、自国内で実現できていないLGBT関連の連邦法を、同盟国である日本に押し付けようとしました。

これは日本の国内事情や文化的背景を無視した、一方的な圧力です。日本の法案は、「全ての国民が安心して生活できるよう留意する」という文言が盛り込まれるなど、日本社会の実情に配慮した内容となっていましたが、バイデン政権はより急進的な内容を求めたとされています。無論こうした圧力を跳ね返すことができない、岸田政権にも問題はありますが、このような介入は、同盟国の主権を軽視し、国際関係を損なう危険性があります。

東京レインボープライドに参加するエマニュエル米国大使 SNSより

さらに、イエメンのフーシ派テロリスト指定解除、記者会見での度重なる言い間違いや混乱、国境管理の失敗と不法移民の急増、インフレ対策の遅れと経済政策の混乱、同盟国との関係悪化、中国に対する一貫性のない外交姿勢など、問題は山積しています。

エネルギー政策においても、大統領就任直後に、キーストーンXLパイプライン建設の中止しています。このパイプラインは、カナダのアルバータ州から米国のテキサス州までの原油輸送を目的とした大規模プロジェクトでしたが、環境への懸念を理由に建設許可が取り消されました。

そうして、連邦所有地での石油・ガス掘削制限など、米国のエネルギー自立を脅かす決定が次々と下されています。これらの政策は、米国の経済と安全保障を危険にさらすものです。

この状況下で、バイデン大統領は日本の安倍元首相の高潔な判断を見習うべきです。安倍元首相は、持病の悪化により二度にわたって自ら総理の職を辞しました。これは個人の野心よりも国家の安定を優先した、真のリーダーシップの表れでした。

バイデン大統領も同様に、自身の健康状態が国家の安全保障と世界の安定に与える影響を真摯に受け止め、潔く退く勇気を持つべきです。


米民主党は、党利党略を超えて、国家の利益を最優先に考えるべきです。バイデン大統領の続投は、米国の国際的地位をさらに低下させ、敵対国の挑発を招くリスクがあります。新たな候補者を擁立することで、米国の指導力を回復し、同盟国との信頼関係を再構築する必要があります。

具体的には、エネルギー自立政策の推進、強固な国境管理、そして毅然とした対外政策を実行できる候補者を選ぶべきです。同時に、同盟国の主権と文化的多様性を尊重し、一方的な圧力を避ける外交姿勢も求められます。それによって初めて、米国の国益を守り、世界の安定に貢献することができるのです。

民主党が自らの政治的利益よりも国家の未来を優先するなら、今こそバイデン大統領に代わる新たな候補者を擁立する時です。これは、米国の将来と世界秩序の安定のために不可欠な決断なのです。バイデン大統領自身も、安倍元首相の決断を見習い、個人の地位よりも国家の利益を優先する勇気を持つことが求められています。

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2023年6月16日金曜日

社会に禍根残すLGBT法案 公約にないのに成立急いだ背景、米国や公明党への配慮か 女性用浴場に女装した男が侵入する事件も―【私の論評】米国でも、評価の定まっていない法律を導入してしまった日本では必ず一波乱ある(゚д゚)!

高橋洋一「日本の解き方」

LGBT法案成立を日本に求めているエマニュエル駐日米大使

 LGBTなど性的少数者への理解増進を目的とした法案が16日にも成立する見通しだ。

 LGBT法案は、自民党の公約の変遷から見ると、2016年参院選から21年衆院選まで公約に含まれていたが、最近の公約ではその記述がなく、政策集でも記述がトーンダウンしていた。しかし、今年2月に岸田首相が国会提出に向けた準備を指示し、法案が急速に進展した。

 法案成立を急いだ理由としては、岸田首相が取り組みたい政策であり、元首相秘書官の差別的な発言を奇貨として利用したと考えられている。法案成立には米国や公明党への配慮も影響していると言われている。

 法案成立によって社会には様々な影響が生じるだろう。例えば、性的少数者の権利や差別の防止が強化されることで、社会全体の理解と受容が進む可能性がある。しかし、賛否は価値観に依存し、保守層からは反発も予想される。また、逮捕された女性用浴場への男性の侵入事件など、法案成立後の具体的な事例によって、議論が起こるだろう。

 LGBT法案は解散風を後押しし、左派の立憲民主党や共産党なども反対している。これにより内閣不信任案が提起される可能性もあり、解散に繋がるかもしれない。ただし、解散は国民にとって良いこととは限らないとの意見もある。

これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】米国でも、評価の定まっていない法律を導入してしまった日本では必ず一波乱ある(゚д゚)!

現在米国を含めて世界で巻き起こっているLGBT運動は、左翼運動の一環でもあることは否めないです。

まず、米国においては、LGBTの人々は、保守的または右翼よりもリベラルまたは左翼であると認識する傾向があります。2017年のピュー・リサーチ・センターの調査によると、米国のLGBT成人の72%がリベラルまたは左寄りと認識しているのに対し、保守的または右寄りと認識しているのは24%でした。

LGBTの権利は、しばしば左派の問題とみなされます。左派は一般的に、性的指向や性自認にかかわらず、すべての人々の社会正義と平等を支持する傾向が強いからです。

多くの左翼団体が、LGBTの権利のための戦いの最前線に立ってきました。例えば、全米のLGBT擁護団体であるヒューマン・ライツ・キャンペーン(HRC)は、民主党の候補者や活動に対する主要な寄付者です。

LGBT運動は、左派系政府の支援からも恩恵を受けています。例えば、オバマ政権は、ゲイやレズビアンを公言する人の兵役を禁止していた「Don't Ask, Don't Tell」政策を撤廃しました。

注意すべきは、すべてのLGBTが左翼であるわけではなく、すべての左翼がLGBTの権利を支持しているわけでもないことです。しかし、LGBTのアイデンティティと左翼的な政治的見解には強い相関があります。これは、一般的に左派が社会正義やすべての人の平等を支持する傾向が強いためと思われます。

米国のLGBT運動

ただ、社会正義や万人の平等への支持が極端になれば、かえって社会正義を破壊し、人々を分裂させる可能性があります。

自分のアイデンティティが攻撃されていると感じると、人は防衛的になり、変化に対して抵抗するようになります。これは、二極化と分裂の激化につながります。

人々は、自分が不当に扱われていると感じると、暴言を吐いたり、有害な行動をとったりしやすくなります。これは、紛争や暴力の増加につながる可能性があります。

人々は、自分が排除されている、あるいは疎外されていると感じると、孤立や孤独を感じやすくなります。これは、うつ病や不安症などの精神衛生上の問題を引き起こす可能性があります。

これらは、社会正義と平等を極端に支持することで起こりうるマイナスの結果の一部に過ぎないということに注意することが重要です。社会問題に対する意識の向上、差別の減少、社会的結束の向上など、ポジティブな結果も多くあります。しかし、過激主義の潜在的な危険性を認識し、それを回避するための努力をすることは重要です。

これらの主張を裏付ける資料をいくつか紹介します。

"The Psychology of Social Justice and Intergroup Relations." By John T. Jost and Mahzarin R. Banaji.
"The Social Psychology of Inclusion and Exclusion." By Rupert Brown.
"The Handbook of Social Justice." Edited by Ilja J.M. van den Bos and Tom R. Tyler.

これらの情報源は、社会正義と過激主義というテーマで行われた研究のほんの一例に過ぎないということに注意することが重要です。引用できる研究はもっとたくさんありますが、これらの資料は、社会正義への極端な支持がもたらす潜在的な悪影響について、わかりやすく概要を提供しています。

さて、下の写真は6月14日ホワイトハウスのLGBTプライドイベントでのものです。左が女性、右が男性で、左の傷跡を見てください。これが本当に、LGBT運動全体が望み、祝福するものなのでしょうか?これが本当に子供たちの模範となるべき人たちなのでしょうか?

米ホワイトハウスは13日、LGBTなど性的少数者の権利擁護を呼びかける「プライド月間」のイベントで活動家が上半身裸の動画(下写真)を撮影し、公開したのは不適切だとして、この人物を今後は招待しないと明らかにしています。

活動家はローズ・モントーヤら。ホワイトハウスが10日開いたイベントで上半身裸になって両胸を手で包んで揺らす動画をソーシャルメディア上で公開しました。バイデン大統領夫妻と会話する姿も投稿していました。

モントーヤはツイッターで「わいせつなことをする意図は全くなかった」とし、性的少数者の権利擁護を祝う「喜び」を表現しようとしただけだと弁明しました。


さて、米国では、連邦政府レベルでは日本の「LGBT理解増進法」に相当する法律はありません。州レベルでは、LGBT法を定めてい州もあれば、反LGBT法を定めている州もあります。

ここでは、米国でLGBT関連の州レベルでの法律をあげます。

LGBTに配慮した法律
  • 差別禁止法: 住宅、雇用、公共施設などにおいて、性的指向や性自認に基づく差別を禁止する法律です。2023年3月現在、29の州とコロンビア特別区が性的指向と性自認を含む差別禁止法を制定しています。
  • 同性婚の実現 2015年、米連邦最高裁は「オベルゲフェル対ホッジス裁判」において、米国憲法修正第14条のデュープロセス条項および平等保護条項により、同性カップルに結婚する基本的権利が保証されるとの判決を下した。2023年3月現在、50州すべてで同性婚が合法化されています。
  • 養子縁組: 全50州で同性カップルの養子縁組が認められています。
  • 健康管理: 50州すべてで、同性カップルがパートナーのために医療上の決定を下すことが認められています。
反LGBT法
  • 信教の自由に関する法律: 企業や個人が宗教上の信念に基づいてLGBTの人々へのサービスを拒否することを認める法律です。2023年3月現在、19の州で宗教の自由に関する法律が制定されており、LGBTの人々への差別に利用される可能性もあると指摘されています。
信教の自由に関する法律の成立には、賛否両論があります。宗教者の権利を守るために必要だと考える人もいます。また、LGBTやその他の少数派を差別するための手段であると考える人もいます。信教の自由に関する法律をめぐる議論は、今後もずっと続くと思われます。

米国憲法修正第1条は、信教の自由の権利を保証しています。この権利は、政府からの干渉を受けずに、自由に宗教を実践する権利を含むと、裁判所によって解釈されてきました。

20世紀初頭、最高裁判所は、宗教の自由には、自分の宗教的信念に反する政府主催の活動への参加を拒否する権利も含まれるとの判決を下しました。この判決は、宗教家が兵役や納税を拒否し、特定の政府プログラムに参加する権利を正当化するために使われたこともありました。
  • コンバージョンセラピー(転換療法): これは、人の性的指向や性自認を変えようとする有害な行為です。2023年3月現在、20の州とコロンビア特別区が未成年者への転換療法を禁止しています。
http://en.wikipedia.org/wiki/2004_Kentucky_Amendment_1

反LGBT法に関しては、日本ではあまり紹介されないので、その他具体的な事例をあげます。

2022年3月、フロリダ州で「Don't Say Gay」法案とも呼ばれるHB1557が可決されました。この法案は、幼稚園から3年生までの性的指向と性自認に関する指導を禁止しています。また、自分の子どもが法律に違反してこれらのテーマについて教えられていると考える場合、保護者が学区を訴えることもできるようになります。

この法案は、LGBTQの擁護者や教育関係者から、LGBTQの生徒や家族に害を及ぼすと批判されています。彼らは、この法案が学校内に恐怖と不安の風潮を作り出し、LGBTQの生徒が必要なサポートを受けることをより困難にすると主張しています。

法案の支持者は、幼い頃に性的なコンテンツにさらされることから子どもたちを守るために必要なことだと述べています。このような話題について、いつ、どのように子どもに話すかを決めるのは親であるべきだと主張しています。

この法案は現在、法廷で争われています。

その他、米国における反LGBT法の例をいくつか紹介します。

テネシー州のHB 1184は、トランスジェンダーの選手が、自分の性自認に沿ったチームで競技することを禁止するものです。

アイダホ州のSB1309は、医師が宗教的または道徳的な異議に基づき、LGBTQ患者への治療を拒否することを可能にするものです。

アーカンソー州のHB 1570は、トランスジェンダーの青少年に対するジェンダーアファメーションケアを禁止するものです。

これらの法律は、近年米国で提案または可決された多くの反LGBT法のほんの一例にすぎません。これらの法律が作られた理由はさまざまです。LGBTの人々の権利を守りたいという動機のものもあれば、過激なLGBT運動を避ける動機のものもあります。

ここで、誤解を避けるために、一つ付け加えておきます。LGBTの人々にも当然人権はあります。しかし、私はそれは一般的に人権ということで捉えられるものであるべきと考えます。それには、日本をはじめ米国でも、EU諸国も、憲法や法律に定めがあります。

LGBTの人々に特定して、法律を定めることは、そうではない人を差別することにつながりかねません。それがひいては、LGBTの人たちを差別することにもつながりかねません。

人権侵害を防ぐために、法律を定めるなら、特定の人や集団を対象にしたものではなく、当該国の国民全体を対象にすべきです。それは、男に関する法律、女に関する法律を定めてしまえば、ことさら男女差別を助長することになりかねないのと同じです。これは、中国における、人民と国民の違いをみてもわかることです。

周恩来首相はよりは、「人民と国民には区別がある。人民は労働者階級、農民階級、反動階級から目覚めた一部の愛国民主分子である」としています。そして、人民に含まれない人たちについては「中国の一国民ではあるので当面、彼らには人民の権利を享受させないが、国民の義務は遵守させなければならない」と説明しています。

国民の権利を守ることは当然のことであり、その対象は男限定でも、女限定でもなく、LGBT限定であってはならないと思います。全国民を対象であるべきなのです。そのため私は、LGBTの権利を守ることと、いわゆるLGBT運動とを混同すべきではないと考えています。ただ、Tについては医学的にも証明されていないので、なんともいえません。

ただ、そのような人が存在するとすれば、犯罪者で無い限りは、その人の人権も認めるべきでしょう。無論T特有の人権を認めるというのではなく、国民として、多くの人が守られている権利を認め、人権を尊重するという意味におて、認めるのは当然のことと思います。そうして、権利が認められるなら、義務も応分に果たさなければならないことは、いうまでもありません。

米国の反LGBT運動

さて、2024年の大統領選挙の結果が、米国におけるLGBT運動の未来に大きな影響を与える可能性が高いです。民主党は長い間、LGBTの権利を支持してきた歴史がありますが、共和党はもっと複雑な記録を持っています。近年、共和党はLGBT運動に対する危機感を強めており、共和党が支配する州議会ではLGBT運動を否定する法律が可決されることもあります。

近年、反LGBTの法律を可決する州が増えているのは事実です。LGBTの権利を擁護する全米の団体「ヒューマン・ライツ・キャンペーン」によると、2022年に州議会に提出された反LGBTの法案は245件にのぼります。このうち、75の法案が法制化されました。これは、ヒューマン・ライツ・キャンペーンが2010年にこのデータの追跡を開始して以来、単年度に提出・成立した反LGBT法案の数としては最多となります。

しかし、反LGBT法に対する反対運動も活発化しています。近年、反LGBT法を支持する企業や個人に対する抗議やボイコット運動が行われています。また、これらの法律に対する法的な異議申し立てが行われています。

最終的に裁判所がこれらの法律のいくつかを打ち消す可能性もあります。しかし、共和党が議会を支配する州では、これらの法律が引き続き新たなに制定される可能性もあります。

米国におけるLGBT運動の将来は不確実です。2024年の大統領選挙の結果や、LGBTの人々やそのアライの継続的な活動によってかなり左右されるでしょう。

米国においては、LGBT運動の将来は不確実であるにもかかわらず、日本では、慎重な議論もされないまま、国レベルでの「LGBT理解増進法」が制定されてしまったのです。

米国では、評価の定まっていない法律を導入してしまったのですから、これは日本でも一波乱ありそうです。

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2020年10月15日木曜日

日本のメディアが絶対に報道しないジョー・バイデン米民主党大統領候補の恐るべき正体(立沢賢一)―【私の論評】日本は次期米大統領が誰になって転んでもただで起きるべきではない(゚д゚)!

日本のメディアが絶対に報道しないジョー・バイデン米民主党大統領候補の恐るべき正体(立沢賢一)

トランプ大統領

アメリカのメディアの大半が「反トランプ派」

本年11月に行われる米国大統領選挙はメデイアの影響を強烈に受けます。

米国において、ワシントンポスト紙やニューヨークタイムズ紙などの新聞や、CNN、NBC、ABC、CBSなどのテレビを中心とするメインストリート・メディアは、全て反トランプ派のメディアです。

トランプ大統領に好意的なメディアはオーストラリアのメディア王・ルパート・マードックが設立したFOXテレビくらいです。

日本を含めた海外のメディアは米国のメインストリーム・メディアの翻訳バージョンのニュースばかりを配信していますから、かなり反トランプの色彩が濃い、偏見に満ち溢れた情報が日本では大量に流れていると言って良いでしょう。

その辺に関しては私が過去に配信したYouTube動画をご視聴頂ければ理解が深まると思います。

因みに、監視機関「メディア・リサーチ・センター(Media Research Center)」のプロジェクトである「ニュースバスターズ(NewsBusters)」は6月1日~7月31日までのABC、CBS、NBCによる夕方のニュースを分析しました。その結果、トランプ大統領に関する報道時間は512分で、バイデン候補の58分の9倍でした。

同センターの分析によりますと、大統領に対する評価的陳述の668件のうち634件つまり95%が否定的で、これに対してバイデン候補は12件のうち4件が否定的でした。

これはトランプ大統領のネガテイブな報道はバイデンの158倍以上という事実をあらわしていますが、流石にやり過ぎ感満載と言うべきでしょう。

トランプ大統領が6/22にオクラホマ州で開催した集会では、トランプ大統領から槍玉にあげられているtiktokのユーザーが、この集会に欠席する前提で、大量のチケットをオンラインで予約し、実際の参加者を減らしていたことがわかっています。

因みに、この集会には100万件以上もの参加申し込みがありましたが、上述のような意図的なキャンセルがあったおかげで、実際には19,000人しか参加しなかったのです。

それ故に、SNSが今年の大統領選における大切な武器の1つであるのは間違いないと言えるのです。

蛇足ですが、日本で皆さんがもし総理大臣だとして、一つのテレビ局以外の全てのメデイアが皆さんの足を引っ張る報道しかしないとしたら、それはフェアなメディアのあり方だと思われますか?

トランプ大統領は億万長者です。どちらかと言えば、米国の中産階級よりも、グローバリストに遥かに近い立場にあるにもかかわらず、何故グローバリストを敵にまわして大統領になり続けるのでしょうか?

トランプ大統領がそんなことをしなくても裕福に暮らしていける身分にあるにも関わらず、人生最期の時間を、本来自分とはあまり関係ない中産階級の人たちの生活を良くするために使おうという意味はどこにあるのでしょうか?

なぜ「初期の認知症」のバイデン氏が民主党の大統領候補になったのか

バイデン候補は77歳。米国のZogbyの調査によれば、米国の有権者の実に55%が「バイデンは初期の認知症である」と感じているようで、若者になるとその比率は60%を超えています。

若くて有能な人材で豊富なはずの米国で1973年から47年間も議員生活をして別段実績を出して来なかった老人政治家が、何故このタイミングで米国大統領候補になったのでしょう?

バイデン候補以外の候補者は社会主義派のバーニー・サンダース、エリザベス・ウォーレン、億万長者のマイケル・ブルムバーグ、LGBTのピート・ブティジェッジ、中道・穏健派ですが無名のエイミー・クロプシャーでした。

しかし、2016年のヒラリークリントンの時のように、別格な候補者は居ませんでした。従いまして、結果的には、消去法で候補者を選ぶことになったようです。

黒人とのハーフであるオバマ元大統領や初の女性大統領候補のヒラリークリントンの様に民主党はこれまで話題性のある候補者を選出していることから、LGBT代表のピート・ブティジェッジを当初は押していました。

ところがまだLGBTの大統領を選出するには時代が早かったようで、ブティジェッジ氏は票を伸ばせず撃沈しました。続くバーニー・サンダースとエリザベス・ウォーレンは社会主義思想が強すぎてやはり同様に無理と判断しました。ウォール街出身のマイケル・ブルムバーグは知名度もあり、個人資産が全米トップ11にランクする富豪ですので、資産を使って大統領になることが期待されましたが、出馬表明が遅すぎたため撤退しました。

結果、残ったのがバイデンなのです。

メディアは当初、バイデン候補をけなしていましたが、急遽、持ち上げまくるようになり、現在に至っています。

日本のメディアが絶対に書かないバイデン候補の正体

バイデン候補は、いわゆる「叩けば埃が出る」ような人だと言われています。

バイデン候補だけでなく、息子のハンター・バイデンも灰色の人物であり、要するにバイデン一家は問題一家だとも言えるのです。

それではどのような灰色の事案がバイデン候補の周りに見られるのかをここで紹介します。

1) バイデン候補の息子ハンターが、国防総省の定める「戦略的競争相手」である中国の企業に、積極的に投資していることが注目されていました。

バイデン候補は、息子ハンターが上海の未公開株投資会社BHRパートナーズの取締役を辞任したと発表しましたが、専門家の分析によれば、ハンターはまだ420万ドルの資産を保有しています。

2) バイデン候補が副大統領時代に、ハンターがウクライナエネルギー企業プリスマ社の取締役として2014-2019年に毎月5万ドルの給与を受けていました。

3) 倫理を監視するNPO団体・国家法律政策センター(National Legal and Policy Center、NLPC)は5月21日、教育省へ文書を提出したと発表しました。

NLPCは、バイデン・センターが過去3年間で「中国から受け取っている7000万ドル以上の資金のうち、2200万ドルは匿名」であり、情報の開示と全面的な調査を要求しています。

バイデン・センターとは、ペンシルベニア大学にバイデン氏が創設した公共政策提言組織です。公的記録によりますと、バイデン・センターは開設以来、中国から多額の寄付を受けていて、2018年の1件の寄付は「匿名」からで、総額1450万ドルでした。

ハンター・バイデン氏

4) バイデン候補自身の複数のセクハラ疑惑

などなどです。

「スキャンダルのデパート」バイデン候補がなぜ大統領候補になるのか?

バイデン候補が大統領選挙で勝利した場合、彼は米中貿易摩擦縮小、TPP導入、学生ローン負担減少、オバマケア継続、再生可能エネルギー需要増加、国境廃止による米国への移民増加、中国の通信機器大手・ファーウェイへの制裁解除、イラン制裁解除、公共投資減少などを推進すると表明しています。

まさに、トランプ大統領が強力に進めた政策の多くが反転することになります。

また、議会の反対もありますから可能かどうかはわかりませんが、バイデン候補は中国への経済制裁を解除する意向も口にしています。

つまり、彼が大統領になれば、グローバリスト(無国籍企業の宝庫であるシリコンバレーや国際金融資本家のるつぼであるウォール街やその他大企業群)は皆、恩恵を受けることができるのです。

ですから、バイデン候補はこうした利益受益者たちから凄まじい金額の選挙資金を受けていると言われています。

その証拠にバイデン候補はテレビCMに2億2000万ドル、デジタル広告に6000万ドルの予算をあてていると表明しています。

一方、トランプは現職の大統領にも拘らず、僅か1億4700万ドルに過ぎません。その額はバイデン候補の半分程度に過ぎないのです。

11月の米国大統領選はグローバリストとナショナリストとの戦争

11月の米国大統領選はバイデン候補の後ろ盾となって国境を無くそうとしているグローバリストVS豊かになれない米国中産階級の支持を得たトランプ大統領をはじめとするナショナリストの戦いです。

そして、万が一、バイデン候補が勝利した暁には、米国はグローバリストの餌食となり米国衰退のスピードが急速になると言われています。

それでもトランプ大統領が勝利する?

バイデン候補はほぼ1年近くのあいだ、全国的な世論調査でトランプ大統領に対してずっとリードしつづけてきました。

ここ最近ではバイデン候補の支持率は50%前後で、トランプ大統領に10ポイントもの差をつけることもありました。

しかし、これはメディアによってかなり歪められた結果であるとも考えられます。

投票日までまだ1カ月以上ありますが、メディアが正しい情報を報道していない中、果たして米国民に正しい決断が出来るのかが問題です。

これに関しては、以前私はYoutubeの動画を配信しましたので是非、ご視聴ください。



現在、多くの方々がバイデン候補の当選を予測しているようですが、私はトランプ大統領が再選すると確信しています。

そうでなければ、グローバリストの餌食となった米国民の未来は間違いなく暗黒化するからです。

たとえ多くのメディアに大多数の米国民が騙されているとしても、彼らは本能的にバイデン候補を大統領にしてはいけないと分かっている、と私は信じています。

日本のメディアによって情報統制されている皆さんには嘘のように聴こえるかも知れませんが、トランプ大統領は米国民にとって一筋の希望の光なのです。

立沢賢一(たつざわ・けんいち)

元HSBC証券社長、京都橘大学客員教授。会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、ゴルフティーチングプロ、書道家、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資家サロンで優秀な投資家を多数育成している。

Youtube https://www.youtube.com/channel/UCgflC7hIggSJnEZH4FMTxGQ/

投資家サロン https://www.kenichi-tatsuzawa.com/neic

【私の論評】日本は次期米大統領が誰になっても、転んでもただで起きるべきではない(゚д゚)!

米国大統領選において日本のメディアのほとんどは、常に民主党のジョー・バイデンのリードが伝えられています。

米国のテレビ局は、バイデン派とトランプ派にはっきりと分かれて報道し、中立という立場はないようです。

冒頭の記事にもあり、私がこのブログも以前から掲載してきたように、米国のメディアのうち大手新聞は全部がリベラル派で、バイデン推しです。大手テレビ局は、foxTVのみが、保守派であとは全部がリベラル派です。

日本のテレビ局のすべてはリベラル派で、新聞は産経新聞だけが保守派であとはすべてがリベラル派です。そのためもあってか、日本のメディアを観ていると、トランプ大統領がいかにも悪辣な人物に思えてくる偏向報道ぶりです。

米国のテレビ局のように露骨ではないですが、バイデンに好意的です。

さて、問題の対中政策ですが、多くの識者が、たとえバイデンが勝ち民主党政権になっても、対中強硬策は変わらないと予想しています。

確かに、中国はアメリカの覇権に挑戦しているわけなので、それを跳ね返すのは超党派の方針のはずです。しかし、本当にそうでしょうか?

バイデンは中国が知的財産を盗んでいることは認めていますが、現在の対中関税は撤廃し、WHOにも復帰すると言っています。それでいて、どうやって中国の攻勢を止めるのか具体策は述べません。この点では、トランプ氏とは対照的です。

「中国は態度を改めなければならない」等とは言うのですが、一体どうやって改めさせるのか、よくわかりません。本人も自分で何を言っているのか、本当にわかっているのか定かでない印象は、SNSの動画を見ても十分わかります。

これではトランプ嫌いやバイデン推しの人たちも心配になるわけです。確かに米国においては中国の脅威については、超党派で理解されているようではあります。

しかし、ここで問題なのは、その脅威にどう対処するかです。ひとつの考え方が、中国に関与しながらも望ましい方向へ誘導することです。

一方、トランプ政権が推進しているのが、デカップリグです。つまり、中国と関わらないようにするという政策です。

最近、ポンペイオ国務長官が『クリーンネットワーク』という構想を発表しました。通信ネットワークから中国企業を徹底的に排除するという政策です。

ファーウェイなど中国企業による情報の抜き取りリスクを考えれば当然の措置ですが、まさにデカップリング政策です。

バイデンは、中国のリスクを理解していると言いながら、中国に関与しながらも望ましい方向へ誘導する立場(エンゲージメント派)のようです。

このブログにも掲載したように、2018年に習近平が「米国を頂点とする現在の世国際秩序を中国が塗り替えていく」と公表して以来、米国では天安門事件以降のエンゲージメント政策が完全に失敗したという前提に立って、現在の対中強硬策があるのですが、どうもバイデンは、時計の針を2年前に戻してしまおうと考えているようです。

エンゲージメント派というと体裁は良いですが、一言で言ってしまえば、中国市場で散々金儲けに励みながら、中国が豊かになって行けば自分たちと同じような自由主義的な資本主義に移行し、自分たちに脅威を与えることはないだろうと勝手に楽観視していただけです。それが完璧に間違いであったことは、すでに白日の下に晒されたと言って良いです。

サイレント・インベージョンの著者であるクライブ・ハミルトン教授は、マレイキ・オールバーグ氏との共著『Hidden Hand (隠れた手)』で、バイデンについて以下のように記述しています。

クライブ・ハミルトン教授

●2019年5月、ジョー・バイデンは、中国がアメリカにとって戦略的脅威であるという考えを嘲笑することで、民主党の大統領候補の他の全ての候補者とは一線を画した。

●バイデンは長年、中国に対してソフトなアプローチを採用していた。

●2013年12月にバイデン副大統領が中国を公式訪問した際には、息子のハンターがエアフォース2に搭乗していた。

●バイデンが中国の指導者とソフトな外交をしている間、息子のハンターは別の種類の会議をしていた。

●そして、渡航から 2 週間も経たないうちに、2013年6月にジョン・ケリーの継嗣子を含む他の2人の実業家と一緒に設立したハンターの会社は、プライベート・エクイティの経験が乏しいにもかかわらず、中国政府が運営する中国銀行を筆頭株主とするファンドBHRパートナーズを開設するための契約を最終決定した。
バイデンセンターについては、冒頭の記事にも掲載されています。これがバイデンとその息子のチャイナ・エンゲージメントです。バイデンはこれらを失いたくないのかもしれません。そうであれば、バイデンこそ自由主義諸国にとって最大のリスクになり得ます。

では今後、日本はどうしたら良いのでしょうか。仮に最悪バイデンが大統領になったとしても、米国議会や司法当局は、ほとんどが反エンゲージメント派です。日本は、相対的自立度を高めながらも、米国議会との連携を強め、さらに豪印との連携を強めていくべきです。

先日もこのブログに掲載したように、日米豪印外相が日本で会合を開催しました。マイク・ポンペオ米国務長官は10月6日、中国共産党政権に対抗するため、米国・日本・オーストラリア・インドによる4カ国安保対話(Quad、クアッド)を公式化し、拡大する意思を示しました。連携を深めていくことが重要です。

この対話は元々は安倍元総理大臣が呼びかけたものです。そうして米国は、これに他国も加えて将来的にはアジア版NATOにしていく構想もあります。

バイデンが何かの間違いで大統領になった場合は、日本が旗振り役となって、アジア版NATOを推進していくべきです。日本は、米国が抜けたTPPも推進して成立させたこともあります。日本ならきっとできます。

バイデンが大統領になれば、おそらく最初に言い出した米国は、TPPに再加入することが予想されます。これが、バイデンが大統領になったときの唯一の良い点かもしれません。ただし、トランプが大統領になった場合は、日本は米国を再度TPPに加入させるべく努力し、そうさせるべきです。

中国は今のままでは、TPPに加盟することはできません。これに参加するには、中国は体制を変えなければならず、それを実行すれば、中国共産党は統治の正当性を失い崩壊する恐れもあるからです。

中国が加入できないTPPは、経済的に中国を囲い込むことにもなります。これをトランプ大統領に理解させべきです。

トランプが大統領になってしばくらくしてから、米国は日本に対して過大な要求をしなくなりました。従来の米国は、理不尽ともいえるような過大な要求をしたこともありましたが、それは影を潜めました。

トランプ大統領も、中国が国際秩序を塗り替えると表明する前までは、時には過大・理不尽とも思える要求をしましたが、結局それはことごとく実現されませんでした。それは、米国にとっては中国という米国が中心となって構築してきた国際秩序を塗り替えようとするとんでもないことを考える国がでてきたことと、やはり安倍前総理大臣の力が大きいです。

国際ルールに沿った形で、自由貿易を推進し、紛争などに介入することもなく世界平和に貢献してきた日本は国際秩序を塗り替えようとまでは考えていないのは明白です。中国のように米国を毀損することなどあり得ず、むしろ米国にとって最も頼りになる同盟国です。

安倍総理(当時)とトランプ大統領

安倍前総理が築いた太いパイプもあり、そのことをトランプ氏はやっと理解できたようです。ここで、バイデンが大統領になり時計の針を2年前に戻ってしまえば、バイデン政権が中国に対しては現在よりは寛容になり、日本対しては、しばらく影を潜めていた過大で理不尽な要求をしてくる可能性が大です。

現状を考えると、日本にとっては、いや世界にとってバイデンよりもトランプのほうが良いです。しかし、米メディアはトランプ氏を「狂ったピエロ」のように報道し、日本のメディアも右に習えです。

しかし、たとえバイデンが大統領になったとしても、日本は米国議会、豪、印と結束して、これをはねのけ、バイデンがデカップリングを進めざるを得ないようにすべきです。

トランプが大統領になって、中国への制裁が一段落すれば、また日本に対する過大で理不尽な要求がでてくるようになるかもしれません。しかし、それに対しても菅政権が安倍政権のレガシーを引き継ぎ、たくみに対処し、米国との良い関係をさらに強くしていくべきです。

日本は、誰が次期大統領になって転んでもただで起きるべきではありません。

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2024年4月22日月曜日

「バイデンはウクライナを邪魔するな」ロシア製油所へのドローン攻撃に対する停止要求は不当―【私の論評】バイデン路線の致命的失敗 、ウクライナ放置とエネルギー政策の無策で同盟国は大混乱

 「バイデンはウクライナを邪魔するな」ロシア製油所へのドローン攻撃に対する停止要求は不当

岡崎研究所

まとめ
  • ウクライナがロシアの主要な製油所を自国のドローンで攻撃し、ロシアの戦争遂行能力を10~14%破壊した。
  • バイデン政権がウクライナにこうした製油所攻撃の停止を求め、石油価格上昇やロシアの報復を危惧しているようだ。
  • 米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙の社説がこうした要求を批判し、ウクライナの選択肢が限られる中で製油所攻撃の重要性を主張している。
  • ゼレンスキー大統領自身もウクライナの反撃権を主張し、バイデン政権に疑問を呈している。
  • WSJの社説は、バイデン政権に対し、少なくともウクライナの邪魔をしないよう、武器使用の自由を認めるべきと提言している。

WSJの紙面

 ウォールストリート・ジャーナル紙は4月5日付けの社説で、バイデン政権がウクライナによるロシアの製油所に対するドローン攻撃の停止を求めたことを批判的に論じている。同紙によれば、ウクライナはこれまでロシアの主要な製油所のうち少なくとも15か所を自国のドローンで攻撃し、ロシアの戦争遂行能力の10~14%を破壊したという。これらの攻撃は国境から750マイル以上離れた深く砂地に入ったところでも行われ、ウクライナの軍事的なイノベーションを示すものである。

 しかし、フィナンシャル・タイムズ紙の報道では、バイデン政権がウクライナにこうした作戦の停止を求め、「ドローン攻撃は石油価格を押し上げ、ロシアの報復を招くリスクがある」と警告したとされる。実際に米国のNATO大使も「ロシア領内の標的を攻撃することは米国が特段支持するものではない」と語っている。

 社説はこうした態度を批判し、ウクライナがロシアの侵略に対して自国の領土防衛以外に取り得る選択肢は限られている中で、製油所攻撃によりロシアの戦争資金源を遮断し、プーチン政権に打撃を与える重要性を指摘している。さらに、ゼレンスキー大統領自身も「なぜウクライナが反撃できないのか」と不満を示しており、バイデン政権の対応に疑問を投げかけている。

 結論として社説は、下院共和党の妨害でウクライナ支援が滞る中、バイデン政権が最低限すべきことは「ウクライナの邪魔をしないこと」であり、むしろウクライナの武器使用の自由を確保すべきだと提言している。

【私の論評】バイデン路線の致命的失敗 、ウクライナ放置とエネルギー政策の無策で同盟国は大混乱

まとめ
  • ウクライナにはロシアの侵略から身を守る固有の権利があり、西側諸国はウクライナの主権と自由を断固として支持しなければならない。
  • ウクライナは製油所などの重要目標への攻撃を行う権利があり、WSJの社説のこうした主張は正しい。経済的考慮によってウクライナの反撃を制限してはならない。
  • バイデン政権の弱腰な対応はウクライナに降伏と宥和の圧力をかけるものであり、歴史の教訓と自由・民主主義への断固たる取り組みから得られる強さを忘れたようなものだ。
  • バイデン政権の外交政策は全般的に弱腰であり、アフガニスタンからの撤退の失敗、ウクライナ侵攻に向けた誤解を招く発言、イラン核合意への譲歩的姿勢、エネルギー政策の失敗は世界に混乱をもたらした。
  • このようなバイデン政権の弱腰な外交政策は、敵国とその協力者を勇気づけ、同盟国を弱体化させ、世界をより危険な場所にしている。強力で断固としたリーダーシップが必要である。
ゼレンスキー ウクライナ大統領

ウクライナにはロシアの侵略から身を守る固有の権利があり、日本を含む西側諸国は彼らの主権と自由を断固として支持しなければならないです。 バイデン政権の弱気な姿勢は、ウクライナに対し、製油所などの重要目標への攻撃、降伏と宥和の圧力を控えるよう求めています。

それはあたかもバイデン政権が歴史の教訓と、自由と民主主義への断固とした取り組みから得られる強さを忘れたかのようです。 

今回の戦争は、ウラジーミル・プーチンの専制的で拡張主義的な野望によって強制された戦争です。このような紛争において、ウクライナは敵の戦争遂行能力を無力化するために必要なあらゆる手段を講じるあらゆる権利を有しており、それには製油所などの戦略的資産を標的にすることも含まれます。 

WSJの社説の主張は完全に正しいです。 ウクライナの反撃は合法であるだけでなく、道徳的にも正当化されます。 国際法は自衛権を認めており、特に戦時規則に違反し凶悪な残虐行為を繰り返してきた相手と対峙した場合、ウクライナは侵略者に対して戦いを挑む権利を有しています。

バイデン大統領

 原油価格の高騰とロシアの報復に対するバイデン氏の懸念は見当違いで短絡的です。 私たちは、侵略に対する対応が経済的考慮によって決定されることを許すべきではありません。 自由世界は明確なメッセージを送らなければなりません。

私たちはそのような行為を容認せず、私たちの価値観とそれを共有する人々を守るために団結すべきです。西側諸国の人々は、 ゼレンスキー大統領の勇気と決意にもとづく呼びかけに耳を傾け、武器であれ、諜報であれ、あるいは自国の資源を必要に応じて活用する自由であれ、ウクライナが勝利するために必要な支援をウクライナに提供すべきです。

 バイデン政権の外交政策は、弱腰でありこれが敵を刺激し、米国の立場を弱体化させたことは、明らかです。 

何よりもまず、アフガニスタンからの悲惨な撤退がそれを示しています。 バイデン氏の性急かつ無計画な撤退により、米国民とそのパートナーは立ち往生し、脆弱な立場に置かれてしまいました。

バイデンはアフガニスタンのパートナーに背を向け、彼らをタリバンのなすがままにし、決意と強さの欠如を示して敵を勇気づけることになりました。 その後、ロシアのウクライナ侵攻に向けて、バイデンの発言は弱々しく、一貫性がありませんでした。

バイデン大統領は2022年1月19日の記者会見で、「小規模な侵攻」という表現は使用しませんでした。しかし、「ロシアによるウクライナ侵攻」について問われた際、NATO加盟国間で対応が分かれる可能性があることを示唆しました。

一部メディアがバイデン発言を「小規模な侵攻なら対応が分かれる」と誤報したことから、この「小規模な侵攻」発言があったかのように広まってしまいました。

このような誤解を招いた発言は、ロシアにウクライナ侵攻のコストを過小評価させてしまった可能性があります。これは事後的に大きな非難を浴びました。

ただし、バイデン政権の当初の意図は、あくまでも本格的なウクライナ侵攻には断固たる対応をすると示唆することだったようです。しかし、発言を誤って受け止められてしまったことは間違いありません。バイデン氏が当初から徹底抗戦を主張するなどの発言をしていれば、このような間違いは起こらなかったでしょう。こればプーチンに積極的な行動を取るよう促す結果となりました。 

イラン核合意(JCPOA)もバイデン氏の弱点を示す一例です。 同政権は、テロを支援し地域の不安定化を図る政権に対して譲歩し、制裁を緩和することで、この欠陥のある協定を復活させようと躍起になっています。 

このアプローチは宥和的なメッセージを送り、ならず者国家が処罰されずに行動することを奨促す結果となっています。 中東では、バイデンは敵に立ち向かい、同盟国を支援することができませんでした。 バイデンはイランに対しては弱腰であり、シリアなどにおけるロシアの影響力に適切に対抗することもできていません。

 バイデン政権は同盟国イスラエルにも批判的で、エルサレムの首都認定を取り消すなど、イスラエルの安全を損なう政策を推進してきました。

バイデン政権の外交面での弱腰な態度や失策は、エネルギー政策の失敗にも起因しています。就任直後のキストンXLパイプライン計画の中止や、フラッキング規制の強化などにより、米国のエネルギー自給能力が低下しました。

ロシアのウクライナ侵攻に伴う制裁でロシア産原油の供給が減少する中、バイデン政権は代替調達に遅れをとり、OPECなどに原油増産を要請しましたが、応じてもらえませんでした。

こうしてエネルギーコストが高騰し、家計を直撃し、インフレ高進に拍車をかけました。エネルギーの安全保障を軽視したことで、ロシアや産油国に弱腰を強いられる結果となったと言えます。このようなエネルギー政策の失策が、バイデン政権の弱腰外交の一因ともなっているのです。

習近平とバイデン

中国に関してはバイデン氏はほとんど無力です。 新疆ウイグル自治区での人権侵害や香港での弾圧には適切に対処していません。 同政権の貿易に対するアプローチも弱く、不公正な行為や知的財産の窃盗に対する中国の責任を追及することに失敗しています。 

そして北朝鮮のことも忘れてはいけません。 バイデン氏は、核兵器と弾道ミサイル計画の継続的な開発に対して空虚なレトリックを発するばかりです。 同氏にはこの脅威に対処する明確な戦略がなく、行動の欠如が金正恩氏の攻撃性を高める結果になっています。 以上は、バイデンの弱気な外交の一部にすぎません。 

バイデンは、LGBT外交も推進しました。これは米国の国益を促進するどころか、途上国の反米感情を助長する可能性の方が高いです。中国との覇権争いが最重要課題である時に、そのような取り組みをする余裕があるのでしょうか。

 「米中新冷戦」の激化に伴い、各国は米国と中国のどちらの陣営につくべきか選択を迫られています。歪んだ価値観外交は途上国を米国から遠ざけ、中国の陣営に追いやる一因になりかねないです。

バイデンは我々西側諸国の敵を勇気づけ、同盟国を弱体化し、世界をより危険な場所にしたといえます。 バイデン政権の外交政策は西側諸国のとって災厄であり、 米国は、米国国と同盟国を危険にさらす無謀で不器用なアプローチではなく、米国の利益と価値観を守る強力で断固としたリーダーシップが必要です。

それが、同盟国にとっても良い結果をもたらすことになります。米国の軸がブレることは、中露北とその協力者たちを勇気づけることになるだけです。

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2021年4月4日日曜日

ハンター・バイデン、NYP暴露の中心となったMacBookが「確かに」自分のものである可能性あるとついに認める―【私の論評】TIME誌とハンター・バイデンの暴露は、いずれも司法取引の一環か(゚д゚)!

ハンター・バイデン、NYP暴露の中心となったMacBookが「確かに」自分のものである可能性あるとついに認める

<引用元:ニューヨーク・ポスト 2021.4.2

ハンター・バイデンは、昨年本紙が暴露した衝撃的ニュースの中心となったノートパソコンが「確かに」自分のものである可能性があると白状した。2日のインタビューで明かしたものだ。

CBSの「Sunday Morning」とのインタビューで、バイデン大統領の渦中の息子は、2019年4月にデラウェア州のコンピューター修理店持ち込まれたMacBook Proが実際に自分のものであるかどうかを「イエスかノー」であからさまに質問された。


「私は答えが何なのかよく分かりません。それが正直な答えです」「見当もつきません」とハンター・バイデンは2日に公開されたインタビューの抜粋の中で述べた。

だが自分のものである可能性があるかどうかと質問されると、「確かに」と答えた。

「確かに、私から盗まれたノートパソコンがそこにあった可能性はあります。私がハッキングされたものである可能性があり、それがロシアの情報機関だった可能性があります。私から盗まれた可能性があります」と彼は続けた。

ハンター・バイデンは、「Beautiful Things」というSimon & Schuster系のGallery Booksから4月6に新たに出版される回顧録の宣伝で珍しくメディアに登場した。

白熱した2020年大統領選挙の最終盤に、本紙はハンター・バイデンのノートパソコンにあったメールの山を暴露し、腐敗とつながりのあるウクライナの天然ガス会社であるブリスマを含め、当時の大統領候補だった父親と息子の外国でのビジネス・ベンチャーとのつながりに疑問が提起された。

メールから、バイデンの息子が当時副大統領だった父親にブリスマの役員を紹介したことが発覚した。その後1年足らず後にバイデン副大統領は確かに、同社を捜査していた検察官を解任するようウクライナ高官に圧力を掛けた。

決して明かされることのなかった会議について、ブリスマの相談役であるVadym Pozharskyiが2015年4月17日にハンターに送った感謝のメールの中で言及されている。

水濡れで損傷したMacBook Pro―ボー・バイデン財団のステッカーが貼ってあった―は、2019年4月にデラウェア州のコンピューターショップに持ち込まれたが、持ち込んだ人物は引き取りに現れなかった。

それはその年の12月にFBIによって押収された。

ウクライナとのつながりに加えて、コンピューター上の他のメールからハンターが中国最大の民間エネルギー企業との取引の可能性について話していたことが分かった。

ある取引はバイデン息子の関心を相当引いたようであり、「私と家族にとって興味深い」と呼んでいた。

コンピューターには非常に個人的な写真と録画も含まれており、露骨な12分間の動画には、(過去に薬物依存で苦労していた)ハンターがコカインを吸引して身元不明の女性とセックスに及んだ様子があったようだ。

さらに上院共和党は、9月にハンター・バイデンの海外での取引に対する調査結果を公開した。彼らは、オバマ政権が当時の副大統領の息子がエネルギー産業で何の経験もないのにブリスマの役員に加わった際に「明白な警告サイン」を無視したと述べた。

腐敗していたと報じられるエネルギー企業―「月に5万ドルも」支払っていた―でのハンター・バイデンの立場は、父親がウクライナに対する米国の政策に関与していたことから差し迫った利益相反の可能性を生み出した、と報告書には書かれていた。

バイデン大統領と息子はどちらも不正を否定し続けている。

(以下略)

【私の論評】TIME誌とハンター・バイデンの暴露は、いずれも司法取引の一環か(゚д゚)!

バイデンの息子ハンター・バイデン氏の自伝が発売されるという発表があったのは、かれこれ2ヶ月くらい前でした。

当時は米アマゾンの中国系ランキングで1位になったことも話題となりました。


バイデン親子

父親である、ジョー・バイデン氏が権力の座についた直後の出版であることから、アルコール中毒やコカイン中毒になったことくらいは無論掲載するものの、そこから家族の愛情や自らの使命感から立ち直るといういような美談を演出した書籍になるのかと、想像していましたが、どうもそうでもないようです。

ただ、ハンター・バイデンの実の母親と、姉が交通事故でなくなったという悲劇に見舞われたことは、掲載されていると思います。

既に漏れ伝わってくる前評判を聞く限り、当初私が想像していた内容とは随分違うようです。

アル中、コカイン中毒は隠し仰せないので掲載されているのは、当然のことながら、義理姉との不倫、不特定多数の人との性生活、裏社会との繋がり、さらにはウクライナからの賄賂や中国との疑惑など、今まで話題になったハンターバイデンの疑惑を全て網羅する形になっているようで、しかも「その噂は事実であった」と暴露した内容のようです。以下にこの書籍の表紙の写真を掲載します。

この表紙から察するに「父親との思い出」などの美談も掲載されているのでしょうが、それがメインではないようです。

これについては、少し前にあったTIME誌の「不正選挙疑惑」暴露と同質のものを感じました。

TIME誌は、米大統領選投票にかかわる不正行為について、自己肯定をしてはいるものの、「噂とされていた事は全部事実でした」と結果として吐露した形になっていました。

カバール(いわゆるディープステート)等が、スウィングステート(米国合衆国大統領選挙の勝者総取り方式において、共和党・民主党の支持率が拮抗し選挙の度に勝利政党が変動する州を指す言葉)の議会の同意なしに州政府が有権者法を変更するように違法に働きかけ、それに成功したとしています。

本来いずれの州においても、選挙法を変えるには合法的には議会の同意が必要ですが、この手続をせずに州政府の独断でこれを変えたスウィングステートがあったのです。

このあたりは、他のメディアでも詳細に解説しているものがあるので、詳細はそちらにあたっていただきたいです。

私には、このタイム誌による、不正選挙の暴露と、ハンターバイデンの自伝による暴露は非常に似たところがあるように感じられます。

ハンターバイデンは、書籍プロモーションのためもあり、最近はテレビのインタビューも受けているのですが、そこでも衝撃的な話をしています。

米大統領選前話題になった「ハンター氏のラップトップ」ですが、あのPCは冒頭の記事にもある通り概ね自分のものと認めています。

ラップトップ本体については「分からない」としたものの、データについてはどうやら彼のものとみて間違いないようです。

あの衝撃的なデータの数々は「自分の物」と認めた衝撃は大きいです。

米大統領選前から民主党は、ハンター関連の疑惑を一切封殺する動きを見せていて、主要メディアも同様に封殺していました。TwitterやFaceBookですら、そのようなコメントを検閲し、封殺する動きをしていました。

にもかかわらず、わざわざ今になって、どうしてここまでの暴露をするのでしょうか。過去の民主党の体質を考えれば、クリントンの違法なメールの件もあったように、知らぬ存ぜずを突き通すのが彼らのやり方に見えたのですが、本当に不思議です。

ただ、バイデン就任の時から様々な噂があったように、この政権が実質的にな権力を掌握していないなら話は別です。

この憶測が事実であれば、これも予定調和的な動きなのかもしれません。

また今回のハンターバイデンの行動で思い出されるのが、以下の動画です。これはホワイトハウス公式動画なのですが、1時間16分30秒くらいからはっきり聞こえる奇妙な声が入っています。




この声は「この時を待っていた。司法取引に応じる」と言っていて、発したのはハンター・バイデンではないかとも噂されていました。

もうすぐ発売されるハンターの自叙伝及びそれに関連する行動を見ている限り、やはりあの声はハンターだったのではないかと思ってしまいます。

そして、今目の前で起きている自伝による告白なども「司法取引の一貫」なのではないかと思っています。そうして、Time誌の暴露自体も司法取引の一種だったのではないかと思えてきます。

というか、先に紹介したあの動画(司法取引するという声が入っていた動画)が公開されたのは、1月22日。今から2ヶ月半前ですが、不思議なことにこの動画は公開され続けています。

2ヶ月もあれば、変な声を無くした形でアップし直す時間も充分あるし、ましてや非公開にすることだってできます。なぜそうしないのでしょうか。

しかも、ホワイトハウスといえば、国家の中枢機関にもかかわらず、なぜしないのでしょう。

ちなみに、背景にトランプ元大統領らしき人が映り込んでしまう動画(ホワイトハウス公式)も、まだ公開し続けています。不思議です。


しかし先ほど申し上げた通り、この政権が実質的にな権力を掌握していないなら話は別です。バイデンは自らの意図で、ホワイトハウス公式動画を削除することもできない状況にあるということなのかもしれません。実質的に権力を掌握している何者かが、このようにして、バイデンに因果を含めているとも受け取れます。

そう言えば、4月9日にアメリカで開催される予定となっていた日米首脳会談の日程変更になりましたね。当初は9日の会談日程を検討していたのすが、1週間先送りしました。

新型コロナウイルス対応が影響したとみられますが、サキ報道官は詳細には言及しませんでした。

これも普通であれば、あり得ないことなのですが、これがバイデン政権の現実です。1周間先送りしなければならない切実な理由があるのでしょう。

菅総理がワシントンD.C.入りできるのかどうか、入ってみたらどんなことになっていたのか、注目です。

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2023年4月26日水曜日

「性自認」が焦点 LGBT法案、国会で議論開始へ 保守派は「差別」訴訟乱発、悪用を懸念 山田宏氏「拙速に進めることは慎むべき」―【私の論評】米英では、反LGBTの声も大きくなった昨今、周回遅れで拙速に法律を制定するな(゚д゚)!

「性自認」が焦点 LGBT法案、国会で議論開始へ 保守派は「差別」訴訟乱発、悪用を懸念 山田宏氏「拙速に進めることは慎むべき」


 終盤国会の焦点に、LGBTなど性的少数者に対する理解増進法案が浮上してきた。公明党などは来月広島で開催されるG7(先進7カ国)首脳会議前の成立を求めている。自民党は週内に党内議論を再開する方針を決めたが、党内保守派は自分の性別を個人の判断に委ねる色彩が濃い「性自認」という文言などを問題視し、慎重な議論を求めている。

 「理解増進のための取り組みや課題について復習したい」

 自民党「性的マイノリティに関する特命委員会」の高階恵美子委員長は25日、党本部での会合で、こう語った。

 法案は2021年5月に与野党の実務者間で合意したが、「性自認を理由とする差別は許されない」などの文言が加わったことで、自民党内で賛否が割れた。

 保守派は当時、「差別」の定義があいまいなことで訴訟が乱発したり、トイレや更衣室、お風呂などの利用で混乱が生じると懸念を示し、法案の国会提出は見送られていた。

 一方、世耕弘成参院幹事長は同日の記者会見で、「スケジュールありきで議論を拙速に進めると、逆に亀裂を深める」と語った。

 当事者団体からも慎重論が挙がる。性同一性障害の人たちでつくる「性別不合当事者の会」など4団体は先月、拙速な法案審議を避けるよう求める共同要請書を岸田文雄首相に送付している。

この問題をどうみるか。

自民党の山田宏参院議員は「『性自認』という言葉の定義すらはっきりせずに、法律の文言に入れるのは時期尚早ではないか。多くの人は、身体と心の性が違っていることは理解するだろう。ただ、『自分が考えたから男、女』というのでは、心の中の問題で証明しようがない。これを悪用することも懸念され、スポーツやトイレ、浴場などで、他の利用者が不安に陥ることにもなる。LGBTの側からも『性自認』にさまざまな意見がある。拙速に進めることは慎んだ方がいいと考える」と語った。

【私の論評】米英では、反LGBTの声も大きくなった昨今、周回遅れで拙速に法律を制定するな(゚д゚)!

米国の州レベルでは、反LGBT法が可決された13州、LGBT法令自体ない州が14州と米国の半分以上が「差別禁止法」がありません。国レベルで共和党の反対にあってLGBT法案を成立させられないバイデン政権に急かされて浮き足立つ日本の政治家の愚かさが恥ずかしいです。


米国大使が公明山口代表、維新の吉村知事、立憲の泉代表とも面談。当然、政権の官房長官、西村大臣などと精力的に会合。はては、欧州駐日大使と連名でLGBTの法整備を要求。バイデン夫人の岸田夫人への説得。異常です。日本は、米国の内政干渉に屈するべきではありません。

近年、LGBT政策推進の先進国と言われてきた米国では、多様性や差別禁止をといったポリティカル・コレクトネスを信奉する過激な急進リベラル派の活動により、価値観を押し付ける全体主義の様相が強まりつつありました。

これに反対する国民は対峙することになり、事実、社会の分断が認識されるようになり、文化戦争とまで言われるようになり、ついにはリベラルメディアまでもが行き過ぎたLGBT運動の弊害を直視し、客観的に精査する動きが出ています。

米英では教育者による行き過ぎたジェンダー教育の影響で、たった15分の医療診断で性適合手術に踏み込み、後に取り返しのつかない状況となり、医師らが訴えられ、集団訴訟となっていること等が報道され、大きな社会問題になっています。 

行き過ぎた性教育による子供のアイデンティティ形成に混乱が生じることを懸念した米国の10州では、既に誤りに気が付き、幼稚園や小学校低学年での性的指向や性自認に関する教育を禁止する州法を制定しています。

それらどころか、むしろ最近ではLGBTQに対する反発も強まっており、2017年1月時点ですら19の州で50件を超える「反LGBTQ法」が制定されました。LGBT理解増進を目的にしていたはずの条文が、かえって当事者に対するタブー意識を強めてしまうだけでなく、対立や分断を生じさせてしまうことになったのです。

現在平穏の中で生活している「そっとしておいてほしい」と考える性的少数者の当事者と国民全体を不幸にすることになってしまったのです。

米国では「差別を禁止する法律や条例を作ることを禁ずる州法」もあり、全米の31州では「スポーツの性区分は出生時の性とする」と州法で定めています。

東京五輪に出場したトランスジェンダー・アスリート

英国では、「トランスジェンダーであると主張した性犯罪者が女子刑務所に収監され、女性の囚人をレイプ」「性別違和を訴える思春期女子が急増」「思春期抑制剤や性交差ホルモンの投与、外科手術など性別適合治療を受けた後で健康被害を訴えたり、元の性別に戻す事例が現れる」など、LGBT問題、特に「性自認」をめぐるトラブルや事件が注目を集めています。 

スコットランドでは性別変更の要件を簡素化する法律が昨年末に可決されましたが、女性スペースが危機にさらされるなどの批判もあって英国政府が実効化を阻止しました。 

日本にも同様の軽薄な状況がマスコミの後押しで広がっていることを直視する必要があります。 

これに対して英国政府は1月17日、同法案は国内の性専用スペースに身震いするような影響を及ぼすとして、国王による同意を得ることを阻止しました。青少年の性同一性サービスに関する中間レビューによれば、定期的かつ一貫したデータ収集が行われていないため、子供たちがジェンダー・サービスによってたどる経路や結果を正確に追跡できないため、特定のイデオロギーの理論的観点からデータを解釈する危険性が高いといいます。

性の多様性と「性的自己決定権」を尊重する「包括的性教育」によって、子供たちの性転換手術が急増し、大混乱に陥った英国が今、「性自認」の扱いに苦慮している現状、小学生に性の多様性と「性的自己決定権」を教えた米国で「差別を禁止する法律や条例を作ることを禁ずる州法』が制定され、性教育をめぐって親と学校の対立が深刻化している現実を直視する必要があります。

LGBT理解増進法の審議は先送りされたとされましたが、復活の可能性も出てきました。「こども家庭庁」が発足し、秋までに策定する「こども大綱」に向けて審議が本格化します。子供の最善の利益・ウェルビーイングを第一に考える「こどもまんなか社会」の実現に向けた「性の多様性尊重」の法律や条例はいかにあるべきかについて、欧米の教訓を踏まえて、慎重に議論を尽くす必要があります。

法律を制定するにしても、しないにしても、拙速に決めるべきではありません。米英などで多数発生した問題も踏まえて、じっくり検討してからにすべきです。

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2024年1月22日月曜日

デサンティス氏、米大統領選からの撤退表明-トランプ氏支持―【私の論評】2024年大統領選:トランプ氏の優位性と共和党内での台頭、バイデン政権との比較から見る米国と同盟国の未来

 デサンティス氏、米大統領選からの撤退表明-トランプ氏支持

まとめ
  • デサンティス氏が共和党候補指名争いから撤退
  • デサンティス氏はトランプ氏支持を表明
  • 共和党候補の指名獲得レースはトランプ氏とヘイリー氏の2人の争いとなる
ディサンティス フロリダ州知事

 2024年米大統領選挙の共和党候補指名争いで、フロリダ州のデサンティス知事が撤退を表明した。デサンティス氏は、トランプ前大統領を支持する考えを明らかにした。これにより、共和党候補の指名獲得レースは、トランプ氏とヘイリー元国連大使の2人の争いとなる。

 デサンティス氏は、2年前に知事選で地滑り的な勝利で再選を決め、共和党の大口献金者たちから党の将来を担う候補者との評価を受けていた。しかし、今回の大統領選からの撤退は、同氏の政治的命運を揺るがす打撃となる。

 デサンティス氏の撤退を受け、トランプ氏は同氏からの支持を歓迎した。ヘイリー氏は、デサンティス氏の撤退を惜しむコメントを発表した。

【私の論評】2024年大統領選:トランプ氏の優位性と共和党内での台頭、バイデン政権との比較から見る米国と同盟国の未来

まとめ
  • トランプ前大統領は2024年の共和党大統領指名候補として最有力であり、保守派から圧倒的な支持を受けている。
  • ニッキー・ヘイリーは穏健であり、共和党支持層からはRINO(名前だけの共和党員)と見なされ、勝利の可能性がないだろう。
  • デサンティス氏は若く、将来を期待される共和党の有望な候補者でありら、トランプ氏を支持をすることで、将来の大統領選において有力な立場を築くことができる。
  • トランプ氏の2024年の優位性は、支持基盤の強さ、共和党の組織的な支持、実績、経済政策、アウトサイダーとしての成功、メディア操作、支持者の熱狂などに根ざしている。
  • トランプ氏は外交においてもアメリカ・ファーストの政策を追求し、中国に対して強硬な姿勢を示し、中東での和平交渉や対ISISの成功を実現。一方バイデン政権は中国に対して軟化し、中東や外交政策において失敗が続いている。


トランプ前大統領は保守派から圧倒的な支持を得ており、2024年の共和党大統領指名候補の最有力候補であることは、疑いの余地はなくなりました。ニッキー・ヘイリーはRINO(名前だけの共和党員)にすぎません。

彼女はあまりにも穏健で、民主党と協力することを望んでいるようです。トランプ大統領は、米国保守派の価値観を守る唯一の大統領選候補者といえます。デサンティス氏はトランプ大統領を支持するという正しい選択をしました。

デサンティスはまだ若く、共和党内での明るい未来があるので、今明確な勝者を支持したのは賢明でした。2024年のトランプ大統領の地滑り的勝利は、2028年か2032年にデサンティスが出馬する道を開くことになります。

ヘイリーには勝利への道はなく、これ以上の恥をかかないためにも、今すぐ降板したほうが良いと思います。共和党支持層は圧倒的にトランプ大統領を支持しています。

トランプ氏は、減税、国境警備、軍備強化、保守派裁判官の任命など、1期目に多くのことを成し遂げました。多くの有権者は、トランプ大統領があと4年間の大統領の人気を全うすることを望んでいるようです。

ヘイリーや他の穏健派は、支持層を活気づけることも、競争に必要な資金を集めることもできないでしょう。トランプ大統領の集会は大観衆を集め続けており、彼の人気と党内での強さは他の追随を許さない状況です。

ヘイリー氏

2024年の指名は彼のものであり、民主党がいかなる有力な社会主義者を指名しようとも、トランプがこれを打ち負かすでしょう。

現時点でトランプ大統領が2024年の大統領選で圧倒的に有利な理由はいくつかあります。

1.2020年のトランプ大統領の得票数は7400万票を超え、史上2番目の多さでした。彼の支持者は依然として情熱的に忠誠を誓い、関心を持ち続けています。彼らは再びトランプに票を投じるでしょう。

2. トランプ氏は共和党を完全に掌握しています。共和党幹部や候補者は、トランプを支持しなければ有権者の怒りに直面することを理解しています。つまり、党の組織と資金調達装置はトランプを全面的に支援することになります。

 3.トランプ氏には大きな実績があります。トランプ氏は減税を実現し、規制を撤廃し、軍事費を増やし、3人の最高裁判事と200人以上の下級裁判所判事を任命しました。多くの有権者は結これらの成果を支持しており、トランプはかれらにとって好ましい結果を出したのです。

4. パンデミック前のトランプ政権下で経済は好況でした。トランプノミクスは記録的な低失業率、堅調なGDP成長、特にブルーカラー労働者の賃金上昇をもたらしました。経済が回復し続ければ、これはトランプに利益をもたらすでしょう。

5. アウトサイダー候補としての成功。トランプ氏の「沼の水を掃け(Drain the Swamp:抜本的な政治改革を意味する)というメッセージと反体制的な人柄は、通常の政治から切り離されていると感じている多くのアメリカ人の共感を呼んでいます。

彼は、今回も小市民のためのアウトサイダー「ファイター」として再出馬できるのです。

6. メディア報道を支配し、対立候補を定義づけることに長けています。トランプ氏は、ソーシャルメディアを巧みに使い、常に自分に有利な物語を作り出しています。彼は、対立候補を過激な社会主義者として描き、彼らがそれを否定することを迫ります。

7. 有権者の熱狂はトランプに有利。現時点では、トランプ支持者は民主党支持者よりもはるかに元気でやる気があるように見えます。熱意は投票率を押し上げるので、この「情熱の差」はトランプに有利に働きます。

大統領選はまだ先のことではありますが、トランプ氏とその支持者にとっては、自分の立場に非常に自信を持てる理由がたくさんあります。多くのことが変わり得ますが、現時点では、トランプ氏が共和党の指名を獲得し、再びホワイトハウスを手にするためには、明確かつ圧倒的に優位にあるのは間違いないです。

現状では、トランプが優勢であり、トランプ大統領が誕生する確立は高いです。これに対して、多くの国々のメディアや識者は、トランプ外交に脅威を抱いているようです。しかし、失敗続きのバイデン外交をみていれば、私はトランプ外交は、少なくともバイデン外交よりはるかにまともなものになると思います。

トランプ氏は、アメリカの利益を優先する「アメリカ・ファースト」政策を追求しています。バイデンは同盟国や敵対国を喜ばせることに関心があるようで、結果として米国は弱く見えます。トランプのタフで一方的なアプローチは、世界の舞台でより多くの尊敬を集めました。

そもそも、まともな人からみれば、いずれの国の指導者も自国の利益を一番に考えるのが当たり前であって、そうでない指導がいれば、馬鹿か間抜けか、あるいは魂胆があると考えるのが普通です。民間企業の指導者でも、他社の利益のために頑張るというような人間は信用されません。長期的な観点から、国益を追求するのが、まともな指導者のあり方です。

 トランプは中国に対して強硬路線をとり、不公正な貿易慣行に対処させた最初の大統領です。バイデンはすでにトランプの関税の一部を撤回し、中国に対してよりソフトな態度をとっています。

トランプの政策は功を奏し、中国に交渉を迫っていたのですが、バイデンの弱腰は中国を増長させることになるでしょう。

トランプはイスラエルとアラブ諸国との歴史的な和平交渉を仲介しました。バイデンはすでにイスラエルとアラブ諸国関係を緊張させています。トランプは、何十年もの間、他国から遠ざかっていた中東での外交的突破口を開き、懐疑論者が間違っていたことを証明しました。

 トランプは記録的な速さでISISのカリフ制国家を壊滅させました。ISISはオバマ-バイデン政権下で急成長し、トランプはその混乱を一掃しなければなりませんでした。トランプは軍を解き放ち、ISISを迅速に粉砕し、イスラム過激派のテロに対する強さを示しました。

 バイデンは、イラン核合意やパリ協定といった不公正な取引に再び参加しようとしています。トランプは、米国に不利なこれらの取引から当然のごとく脱退しました。

バイデンは、これらの取引に再び参加することで、影響力を失い、見返りも何も得られないでしょう。

トランプはメディアからの批判にもかかわらず、COVIDの蔓延を遅らせる渡航禁止措置をとりました。バイデンはこの禁止措置を「外国人嫌い」と呼びましたが、賢明な措置であることが証明されました。

バイデンの政策がボリティカル・コレクトネスによって推進されているように見えるのに対して、トランプは命を救う可能性の高い厳しい決断を早期に下しました。


バイデンやオバマのより伝統的な政治的アプローチよりも、トランプの堂々とした「アメリカ・ファースト」政策がより良い結果を生んだことは明らかです。それは、米国にとってもその同盟国にとってもそうでした。

メディアはトランプを脅威として描いていますが、彼の政策は世界における米国の地位を強化し、敵対国に責任を負わせ、外交政策で大きな勝利を収めました。トランプの外交は、世界の舞台で米国の影響力を低下させるバイデンの外交よりはるかに優れています。全体として、トランプ氏のリーダーシップのほうが、米国とその同盟国はより安全で安心できる環境をもたらしたといえます。弱い米国は、米国だけではなく、日本含む同盟国にとっても不利益をもたらすのです。

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