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2024年4月27日土曜日

米、反イスラエル学生デモ拡大 バイデン氏、再選へ影響懸念―【私の論評】日本への警鐘:アイデンティティ政治とビバリーヒルズ左翼の台頭に見る危機

 米、反イスラエル学生デモ拡大 バイデン氏、再選へ影響懸念

まとめ

  • 全米の大学で、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ攻撃を非難するデモが拡大している。
  • デモはニューヨークのコロンビア大から始まり、ワシントンにも波及しており、バイデン大統領の支持基盤である若者の離反が懸念される。
  • コロンビア大では、学生らが大学にイスラエル関連企業とのつながりを断つことなどを要求し、抗議活動が行われている。
  • 全米の大学では、抗議活動に参加した数百人が拘束され、一部で授業中止や卒業式の主要式典の中止などの影響が出ている。
  • バイデン大統領は、反ユダヤ主義的な活動を非難しつつも、イスラエルへの軍事支援とガザの人道状況改善の両立に苦慮している。

イェール大学学生の親パレスチナデモ

 全米の大学で、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ攻撃を非難するデモが広がっている。これは、ニューヨークの名門コロンビア大学から火が付き、首都ワシントンにも波及している。このようなデモの拡大は、バイデン大統領にとって深刻な問題となっている。なぜなら、これらのデモは民主党支持の傾向が強い若者の離反を意味し、バイデン大統領の再選に影響を与えかねないからだ。特に、コロンビア大学では抗議活動が活発化し、学生らは大学に対しイスラエル関連企業とのつながりを断つことなどを要求している。

 全米の大学では、抗議に参加した数百人が拘束されるなどの影響が出ている。例えば、南カリフォルニア大学(ロサンゼルス市)では保安上の理由から卒業式の主要式典を中止し、エマーソン大学(ボストン市)では授業を取りやめるなどの措置が取られている。しかしながら、一部の抗議活動には反ユダヤ主義的な要素も混じっており、大学側は表現の自由と差別助長の阻止との間で難しい判断を迫られている。

 さらに、抗議活動の影響は学内にとどまらず、ホワイトハウスから数ブロック西のジョージワシントン大学で、イスラエルへの対外支援法を成立させた政権に抗議する声も上がっている。バイデン大統領は、これらのデモについて「反ユダヤ主義の抗議活動を非難する。同時に、パレスチナ人の状況を理解しない人々も非難する」との立場を示しているが、イスラエルへの軍事支援とガザの人道状況改善の両立は容易ではなく、混乱収束に向けた妙案は見えていない。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】日本への警鐘:アイデンティティ政治とビバリーヒルズ左翼の台頭に見る危機

まとめ
  • 米国での出来事は、日本が陥りかねない危険信号が現れており、これに目を向ける必要がある。
  • かつての労働者階級の代表とされた「左翼」がエリート層の価値観に同化し、"ビバリーヒルズ左翼"と呼ばれる存在になりその支持基盤から離れている。
  • アイデンティティ政治といわれる、個々のアイデンティティに基づく政治的主張が対立や分断を助長し、偏見や敵対心を増大させる恐れがある。
  • 米国では難関とされる、カリフォルニア大学アーバイン校やコロンビア大学での抗議行動や反ユダヤ主義的な行動が報告されている。
  • 日本でも米国と同様の兆候が見られ、伝統的な価値観や勤労精神を守り、エリート主義に囚われた考え方を排除する必要がある。
米国で起こっている出来事に目を向ける必要があります。なぜなら、そこには日本が陥りかねない危険信号が現れているからです。

日本が陥りかねない危険信号 AI生成画

米国では、かつて労働者階級の代表として位置づけられていた「左翼」と呼ばれる勢力が、今やその本来の支持基盤から離れ、いわゆるエリート層の価値観に同化しつつあります。

これを私は「ビバリーヒルズ左翼」と呼んでいます。これはもちろん、日本でも人気のあった米国のドラマ「ビバリーヒルズ高校白書/ビバリーヒルズ青春白書」を念頭においたものです。

この「ビバリーヒルズ左翼」は、裕福な環境で育った人々の集まりであり、勤労者の現実的な課題から目を背け、知的エリートの関心事にのみ熱心です。以前は労働組合の集会に参加していた彼らが、今やアイビーリーグの大学キャンパスに集まるようになりました。

このグループは、安全保障、国民の食の確保や雇用創出などの現実的な問題よりも、リベラルな価値観の推進やアイデンティティ政治に熱心です。彼らが関心を寄せるのは、移民問題やLGBT、マイノリティの権利など、アイデンティティに関する課題が多いです。

ビバリーヒルズ青春白書

最近の一部の名門大学での反イスラエルデモの過激化は、まさにこの「ビバリーヒルズ左翼」の影響が学生運動に及んでいる例です。デモは時に反ユダヤ的な言動に走り、大学側を危機に追いやっています。特に優秀な学生ほど、反ユダヤ主義的なプロパガンダに洗脳されやすい傾向にあると指摘されています。

米国で有名校とされる、カリフォルニア大学アーバイン校(University of California, Irvine)では、イスラエル関連のイベントに対する抗議行動や反ユダヤ主義的な行動が報告されています。

同じく有名校とされるコロンビア大学(Columbia University)でも、イスラエル関連の講演会やイベントに対する抗議行動や妨害が発生し、反ユダヤ主義的な言動が報告されています。

反イスラエルの姿勢が問題なのは、それが極端な反ユダヤ主義につながる危険性があるからです。イスラエルに対する批判が一線を越えれば、ユダヤ人への差別的な言動や憎悪犯罪に直結します。これは絶対に許されません。

このような状況に対して、大学側は厳しい対応を迫られています。大学は多様な価値観を受け入れる場であると同時に、学生に安全な環境を提供する責任があります。反ユダヤ的な言動は構内の治安を脅かし、大学の中立性や知的開放性を損なうおそれがあります。そのため、大学はデモの過激化を放置することはできません。

アイデンティティ政治への過度の焦点は、米国民の分断と対立を助長します。"ビバリーヒルズ左翼"は、米国民を"違い"で定義し、"被害者"意識を植え付けようとしています。

アイデンティティ政治とは、個々の人々や集団が自らのアイデンティティ(身元や所属、属性)に基づいて政治的主張や行動を展開することを指します。これは、性別、人種、民族、宗教、性的指向、身体的能力など、さまざまな身元や属性に関連しています。

アイデンティティ政治の負の側面は、しばしば社会の対立や分断を深め、個々のアイデンティティに基づいた偏見や敵対心を助長することです。

例えば、アイデンティティ政治が進むと、特定のアイデンティティグループが自らの権利や利益を強調し、他のグループとの摩擦が生じます。これにより、社会全体が対立状態に陥り、対話や協力が阻害される可能性があります。

また、アイデンティティ政治はしばしば単純化や過剰な一般化を招きます。特定のアイデンティティに基づいて個人やグループをラベリングし、その属性に応じて全ての行動や意見を決定付けようとする傾向があります。これにより、個々の多様性や複雑さが無視され、個人の自由や多様性が制限されるおそれがあります。

さらに、アイデンティティ政治はしばしば感情的な反応や怒りを引き起こし、合理的な討論や協力を難しくします。このような感情的な偏見や敵対心は、社会の結束や共存を脅かす要因となります。

アイデンティティ政治が過度に強調されると、社会は分断され、対立が激化する可能性があります。その結果、個々のアイデンティティが優先されることで、全体の共通の利益や社会の結束が犠牲にされるおそれがあります。

ビバリーヒルズ左翼はアイデンティ政治等のリベラルな理想論に惑わされ、現実から遠ざかった考えに走っています。多くの国民が直面する生活の困難や雇用の不安を見過ごしているのが現状です。"進歩"を掲げながらも、彼らの本当の狙いは、エリート主義的な価値観を押し付けることにあるかもしれません。

滑稽なアイデンティティ政治  AI生成画

残念ながら、日本でも同様の兆候が見られます。いわゆる「リベラル」と呼ばれる一部の層が、多くの国民の実態から遊離した理想論や表面的な正義を追求しています。例えば、最近の「LGBT理解増進法」成立をめぐっては、自民党内の保守派からも国民の生活への影響を十分に考慮せずに急いで成立させたとの批判がありました。

安倍政権は例外的であり、1990年代以降の自民党はリベラル政党とみなすことができます。自民党は結党時の保守的な価値観に立ち返り、国民の生活を最優先に考える政党に再びなるべきです。

このままでは、米国と同じ道を歩むことになりかねません。日本の伝統的な価値観、すなわち勤労を尊重し、個人の自立を重視し、国民全員が平等に自由に恵まれる社会を大切にしなければなりません。

私たち日本人は、祖先から受け継いできた誇り高い文化や価値観を決して忘れてはいけません。自由という尊い価値は、努力と責任を尊重することなくしては守られません。これを守り、次世代に継承することが、私たちの責務です。

エリート主義にとらわれた考え方が、日本に蔓延することを許してはいけません。日本の伝統的な勤労精神と自立の志こそが、国の繁栄につながる道です。

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2024年4月22日月曜日

「バイデンはウクライナを邪魔するな」ロシア製油所へのドローン攻撃に対する停止要求は不当―【私の論評】バイデン路線の致命的失敗 、ウクライナ放置とエネルギー政策の無策で同盟国は大混乱

 「バイデンはウクライナを邪魔するな」ロシア製油所へのドローン攻撃に対する停止要求は不当

岡崎研究所

まとめ
  • ウクライナがロシアの主要な製油所を自国のドローンで攻撃し、ロシアの戦争遂行能力を10~14%破壊した。
  • バイデン政権がウクライナにこうした製油所攻撃の停止を求め、石油価格上昇やロシアの報復を危惧しているようだ。
  • 米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙の社説がこうした要求を批判し、ウクライナの選択肢が限られる中で製油所攻撃の重要性を主張している。
  • ゼレンスキー大統領自身もウクライナの反撃権を主張し、バイデン政権に疑問を呈している。
  • WSJの社説は、バイデン政権に対し、少なくともウクライナの邪魔をしないよう、武器使用の自由を認めるべきと提言している。

WSJの紙面

 ウォールストリート・ジャーナル紙は4月5日付けの社説で、バイデン政権がウクライナによるロシアの製油所に対するドローン攻撃の停止を求めたことを批判的に論じている。同紙によれば、ウクライナはこれまでロシアの主要な製油所のうち少なくとも15か所を自国のドローンで攻撃し、ロシアの戦争遂行能力の10~14%を破壊したという。これらの攻撃は国境から750マイル以上離れた深く砂地に入ったところでも行われ、ウクライナの軍事的なイノベーションを示すものである。

 しかし、フィナンシャル・タイムズ紙の報道では、バイデン政権がウクライナにこうした作戦の停止を求め、「ドローン攻撃は石油価格を押し上げ、ロシアの報復を招くリスクがある」と警告したとされる。実際に米国のNATO大使も「ロシア領内の標的を攻撃することは米国が特段支持するものではない」と語っている。

 社説はこうした態度を批判し、ウクライナがロシアの侵略に対して自国の領土防衛以外に取り得る選択肢は限られている中で、製油所攻撃によりロシアの戦争資金源を遮断し、プーチン政権に打撃を与える重要性を指摘している。さらに、ゼレンスキー大統領自身も「なぜウクライナが反撃できないのか」と不満を示しており、バイデン政権の対応に疑問を投げかけている。

 結論として社説は、下院共和党の妨害でウクライナ支援が滞る中、バイデン政権が最低限すべきことは「ウクライナの邪魔をしないこと」であり、むしろウクライナの武器使用の自由を確保すべきだと提言している。

【私の論評】バイデン路線の致命的失敗 、ウクライナ放置とエネルギー政策の無策で同盟国は大混乱

まとめ
  • ウクライナにはロシアの侵略から身を守る固有の権利があり、西側諸国はウクライナの主権と自由を断固として支持しなければならない。
  • ウクライナは製油所などの重要目標への攻撃を行う権利があり、WSJの社説のこうした主張は正しい。経済的考慮によってウクライナの反撃を制限してはならない。
  • バイデン政権の弱腰な対応はウクライナに降伏と宥和の圧力をかけるものであり、歴史の教訓と自由・民主主義への断固たる取り組みから得られる強さを忘れたようなものだ。
  • バイデン政権の外交政策は全般的に弱腰であり、アフガニスタンからの撤退の失敗、ウクライナ侵攻に向けた誤解を招く発言、イラン核合意への譲歩的姿勢、エネルギー政策の失敗は世界に混乱をもたらした。
  • このようなバイデン政権の弱腰な外交政策は、敵国とその協力者を勇気づけ、同盟国を弱体化させ、世界をより危険な場所にしている。強力で断固としたリーダーシップが必要である。
ゼレンスキー ウクライナ大統領

ウクライナにはロシアの侵略から身を守る固有の権利があり、日本を含む西側諸国は彼らの主権と自由を断固として支持しなければならないです。 バイデン政権の弱気な姿勢は、ウクライナに対し、製油所などの重要目標への攻撃、降伏と宥和の圧力を控えるよう求めています。

それはあたかもバイデン政権が歴史の教訓と、自由と民主主義への断固とした取り組みから得られる強さを忘れたかのようです。 

今回の戦争は、ウラジーミル・プーチンの専制的で拡張主義的な野望によって強制された戦争です。このような紛争において、ウクライナは敵の戦争遂行能力を無力化するために必要なあらゆる手段を講じるあらゆる権利を有しており、それには製油所などの戦略的資産を標的にすることも含まれます。 

WSJの社説の主張は完全に正しいです。 ウクライナの反撃は合法であるだけでなく、道徳的にも正当化されます。 国際法は自衛権を認めており、特に戦時規則に違反し凶悪な残虐行為を繰り返してきた相手と対峙した場合、ウクライナは侵略者に対して戦いを挑む権利を有しています。

バイデン大統領

 原油価格の高騰とロシアの報復に対するバイデン氏の懸念は見当違いで短絡的です。 私たちは、侵略に対する対応が経済的考慮によって決定されることを許すべきではありません。 自由世界は明確なメッセージを送らなければなりません。

私たちはそのような行為を容認せず、私たちの価値観とそれを共有する人々を守るために団結すべきです。西側諸国の人々は、 ゼレンスキー大統領の勇気と決意にもとづく呼びかけに耳を傾け、武器であれ、諜報であれ、あるいは自国の資源を必要に応じて活用する自由であれ、ウクライナが勝利するために必要な支援をウクライナに提供すべきです。

 バイデン政権の外交政策は、弱腰でありこれが敵を刺激し、米国の立場を弱体化させたことは、明らかです。 

何よりもまず、アフガニスタンからの悲惨な撤退がそれを示しています。 バイデン氏の性急かつ無計画な撤退により、米国民とそのパートナーは立ち往生し、脆弱な立場に置かれてしまいました。

バイデンはアフガニスタンのパートナーに背を向け、彼らをタリバンのなすがままにし、決意と強さの欠如を示して敵を勇気づけることになりました。 その後、ロシアのウクライナ侵攻に向けて、バイデンの発言は弱々しく、一貫性がありませんでした。

バイデン大統領は2022年1月19日の記者会見で、「小規模な侵攻」という表現は使用しませんでした。しかし、「ロシアによるウクライナ侵攻」について問われた際、NATO加盟国間で対応が分かれる可能性があることを示唆しました。

一部メディアがバイデン発言を「小規模な侵攻なら対応が分かれる」と誤報したことから、この「小規模な侵攻」発言があったかのように広まってしまいました。

このような誤解を招いた発言は、ロシアにウクライナ侵攻のコストを過小評価させてしまった可能性があります。これは事後的に大きな非難を浴びました。

ただし、バイデン政権の当初の意図は、あくまでも本格的なウクライナ侵攻には断固たる対応をすると示唆することだったようです。しかし、発言を誤って受け止められてしまったことは間違いありません。バイデン氏が当初から徹底抗戦を主張するなどの発言をしていれば、このような間違いは起こらなかったでしょう。こればプーチンに積極的な行動を取るよう促す結果となりました。 

イラン核合意(JCPOA)もバイデン氏の弱点を示す一例です。 同政権は、テロを支援し地域の不安定化を図る政権に対して譲歩し、制裁を緩和することで、この欠陥のある協定を復活させようと躍起になっています。 

このアプローチは宥和的なメッセージを送り、ならず者国家が処罰されずに行動することを奨促す結果となっています。 中東では、バイデンは敵に立ち向かい、同盟国を支援することができませんでした。 バイデンはイランに対しては弱腰であり、シリアなどにおけるロシアの影響力に適切に対抗することもできていません。

 バイデン政権は同盟国イスラエルにも批判的で、エルサレムの首都認定を取り消すなど、イスラエルの安全を損なう政策を推進してきました。

バイデン政権の外交面での弱腰な態度や失策は、エネルギー政策の失敗にも起因しています。就任直後のキストンXLパイプライン計画の中止や、フラッキング規制の強化などにより、米国のエネルギー自給能力が低下しました。

ロシアのウクライナ侵攻に伴う制裁でロシア産原油の供給が減少する中、バイデン政権は代替調達に遅れをとり、OPECなどに原油増産を要請しましたが、応じてもらえませんでした。

こうしてエネルギーコストが高騰し、家計を直撃し、インフレ高進に拍車をかけました。エネルギーの安全保障を軽視したことで、ロシアや産油国に弱腰を強いられる結果となったと言えます。このようなエネルギー政策の失策が、バイデン政権の弱腰外交の一因ともなっているのです。

習近平とバイデン

中国に関してはバイデン氏はほとんど無力です。 新疆ウイグル自治区での人権侵害や香港での弾圧には適切に対処していません。 同政権の貿易に対するアプローチも弱く、不公正な行為や知的財産の窃盗に対する中国の責任を追及することに失敗しています。 

そして北朝鮮のことも忘れてはいけません。 バイデン氏は、核兵器と弾道ミサイル計画の継続的な開発に対して空虚なレトリックを発するばかりです。 同氏にはこの脅威に対処する明確な戦略がなく、行動の欠如が金正恩氏の攻撃性を高める結果になっています。 以上は、バイデンの弱気な外交の一部にすぎません。 

バイデンは、LGBT外交も推進しました。これは米国の国益を促進するどころか、途上国の反米感情を助長する可能性の方が高いです。中国との覇権争いが最重要課題である時に、そのような取り組みをする余裕があるのでしょうか。

 「米中新冷戦」の激化に伴い、各国は米国と中国のどちらの陣営につくべきか選択を迫られています。歪んだ価値観外交は途上国を米国から遠ざけ、中国の陣営に追いやる一因になりかねないです。

バイデンは我々西側諸国の敵を勇気づけ、同盟国を弱体化し、世界をより危険な場所にしたといえます。 バイデン政権の外交政策は西側諸国のとって災厄であり、 米国は、米国国と同盟国を危険にさらす無謀で不器用なアプローチではなく、米国の利益と価値観を守る強力で断固としたリーダーシップが必要です。

それが、同盟国にとっても良い結果をもたらすことになります。米国の軸がブレることは、中露北とその協力者たちを勇気づけることになるだけです。

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2024年4月12日金曜日

日米比、初の3カ国首脳会談-中国進出念頭に海上訓練拡充で合意―【私の論評】安倍イズムが育んだ日米比の安全保障協力 - 官僚レベルから首脳レベルまでの歴史的な絆

日米比、初の3カ国首脳会談-中国進出念頭に海上訓練拡充で合意

まとめ
  • 「日本とフィリピンを防衛する米国の決意は揺るぎない」と米大統領
  • 米は国際社会の「中心的役割」継続を、岸田首相が米議会で演説


 日本、アメリカ、フィリピンの3カ国首脳が会談を行い、自衛隊と米比両軍の海上共同訓練の拡充に合意した。

 南シナ海情勢を踏まえ、海洋安全保障が最重要議題となった。バイデン大統領は日本とフィリピンの防衛への決意を表明した。

 3カ国は、南シナ海と東シナ海における中国の行動に深刻な懸念を示し、新たな共同訓練の実施や資源サプライチェーン強化などで協力を強化することで合意した。

 岸田首相は、米議会での演説で、自由と民主主義が脅威に晒されており、特に中国の動向が課題だと指摘。米国の支援と存在が不可欠であると述べた。岸田演説は、選挙後の日米関係の重要性を米議会に訴えるものだった。

 この記事は、元記事の要約です。詳細は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】安倍イズムが育んだ日米比の安全保障協力 - 官僚レベルから首脳レベルまでの歴史的な絆

まとめ
  • 安倍前首相の日米同盟強化への尽力と指導力が、現在の日米同盟の基盤を築いた。
  • 日米協力は官僚レベルでの継続的な取り組みであり、政権交代に影響されないものだった。
  • 「自由で開かれたインド太平洋」構想は安倍前首相の外交の柱で、その延長線上にある日米比の安全保障協力が進展している。
  • 日米比3か国の防衛大臣会談、軍隊間の共同訓練、非伝統的安全保障分野での協力など、緊密な連携が進んでいる。
  • 岸田首相は、安倍イズムの外交・安全保障政策を継承し、国内においても経済政策や自民党内の調整などで安倍路線を踏襲すべきだ

昨日のこのブロクでは、安倍首相の日米同盟強化への献身的な努力とリーダーシップなくしては、現在の日米同盟の堅実な関係基盤と協力体制を築くことは不可能であり。安倍首相の尽力こそが、今日の日米同盟の地位向上に不可欠な要因だったのではないかと掲載しました。

結局のところ、今日の日米首脳会談は、安倍イズムの影響下での日米同盟強化であったと結論ずけました。

その根拠として、日米同盟の強化はすでに両国の官僚級の折衝はから始まっていたことを根拠としてあげました。それは、両国の首脳の政権がこれからも続くか続かないにかかわらず、日米という国家間で継承される合意事項であるともいえます。

今回の日米首脳会談はこれを追認したものに過ぎません。

今回の日米比の首脳会談でも同じことがいえます。日米比の安全保障協力の進展は、安倍前首相の時代から見られる「自由で開かれたインド太平洋」構想の具現化であると言えます。

安倍首相は在任中、日本の外交・安全保障政策の大きな柱として、この構想を掲げ、地域の主要国との連携強化に力を入れてきました。特にフィリピンとの関係強化は重要な課題の一つでした。

こうした安倍首相の方針は、その後の日本政府によっても継承されており、日米比三カ国の安全保障協力はその具体的な成果として表れているといえます。

日米比の3か国による安全保障協力も活発に行われてきました。
  • 2022年以降、日米比三カ国の防衛大臣会談が定期的に開催され、地域情勢への共同対応について議論が行われています。
  • 日米比三カ国の自衛隊、米軍、フィリピン軍による共同訓練の実施が活発化しており、相互運用性の向上が図られています。
  • 災害救援活動や 海洋安全保障等、非伝統的安全保障分野での協力も強化されてきました。
  • 情報共有や海上監視、訓練支援など、各国の軍事当局間での緊密な連携も進んでいます。
  • 日米両国がフィリピンに対する装備品供与や訓練支援など、二国間の取り組みも行っています。
このように、日米比三カ国間での安全保障面での協力は着実に進展してきており、地域の平和と安定に向けた重要な枠組みとなっています。特に、日米比の省庁レベルや軍事当局レベルでの緊密な対話と協調が進展してきたと言えます。

2022年には第1回日米比陸軍種ハイレベル懇談会が日本で開催された

省庁間、軍事当局間での緊密な対話と実務レベルの協力は、この構想の実現に向けた着実な取り組みの一環であると評価できます。

これは、日米比の多くの人々も認めるところであり、今回の日米比の首脳の合意は、安倍イズムの延長線上にあるものとえ、この三者が新しく始めたものではなく、安倍イズムによる「自由で開かれたインド太平洋」構想の継承とみることができます。もっといえば、安倍首相は中国をめぐる世界秩序を変えたのです。

中国への対処ということでは、「自由で開かれたインド太平洋」構想とこの構想に含まれる諸国との提携や、協力の強化の方針は、安倍イズムによってすでに方向づけられたものです。そのため日米比の現在の首脳は、これを自分たちの成果とすることはできません。

特に、大統領選、総裁選が間近に迫っている、バイデン大統領と、岸田首相はそうです。

バイデン、岸田ともに、政権を安定させたいなら、インド太平洋地域以外の外交や国内を安定させる政策を推進することが肝要です。

岸田首相は、昨日も述べたように、大きな問題は国内にあり、有り体にいえば、自民党党内です。これについては、米国はこれに干渉することはできません。ただしLGBT理解増進法案などの例外はありますが、国内の大きな方向性に関しては、もっぱら岸田首相が采配しなければなりません。ここでも岸田首相は、安倍路線を継承するべきなのです。

安倍首相は、地球儀を俯瞰する外交を実行して成果をあげており、この点で、岸田首相が外交で努力したとしても、あまり大きな成果とみなされることはありません。おそらく、岸田首相の独自での外交での成果といえば、ウクライナ電撃訪問くらいかもしれません。

安倍首相地球儀を俯瞰する外交で成果をあげた

やはり岸田首相は、安倍氏の経済状況を改善し雇用と企業収益が拡大する路線を継承し、デフレから完全脱却すべきなのです。それとともに、自民党内のリベラル派に対して一定の歯止めをかけなければなりません。さらに憲法改正もすすめるべきなのです。国内でも安倍イズムを継承することが、自民党政権を安定化させる唯一の道だと認識して、その方向に転換すべきなのです。

これは、岸田政権が崩壊して、次の政権に変わったにしても、あてはまることだと思います。

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2024年4月11日木曜日

日米首脳共同声明「未来のためのグローバル・パートナー」全文 中国の「危険な行動」に言及―【私の論評】安倍イズムの影響下での日米同盟強化: 岸田政権の課題と展望

日米首脳共同声明「未来のためのグローバル・パートナー」全文 中国の「危険な行動」に言及

まとめ
  • 日米同盟がかつてない強さに高まり、両国が大胆な措置を講じてきたことを確認
  • 防衛・安全保障協力の深化に向け、日本の防衛力強化や日米指揮統制体制の向上などを歓迎
  • 先端技術分野での共同開発・生産、経済安全保障の強化などによる日米の技術的優位性の確保
  • インド太平洋地域の自由で開かれた秩序の維持に向けた地域協力の推進
  • 気候変動対策での両国の連携強化とクリーンエネルギー分野でのリーダーシップ発揮


  日米首脳共同声明は、過去3年間にわたり、両国が勇気ある措置を講じることにより、日米同盟が前例のない高みに到達したことを確認している。この歴史的な展開を踏まえ、両首脳は新たな日米グローバル・パートナーシップの構築に合意した。

  そのための具体的な取組として、まず防衛・安全保障協力の強化が掲げられている。日米両国は、同盟がインド太平洋地域の平和、安全および繁栄の礎であり続けることを確認し、日本の防衛力強化や指揮統制体制の強化など、同盟の新たな時代に対応した取組を支持した。さらに、日米の指揮統制体制の向上や情報協力の深化、ミサイル防衛の強化など、地域の安全保障上の課題に直接対処するための具体的な施策も明記。

 加えて、宇宙開発、イノベーション、経済安全保障、気候変動対策など、幅広い分野で日米が連携して取り組むための新たな戦略的イニシアチブを発表した。特に、次世代技術の共同開発や、経済安全保障の強化に向けた政策協調の強化などが重要な柱となっている。

 一方で、北朝鮮の核・ミサイル問題、ロシアのウクライナ侵略など、地域や世界の安全保障上の重要課題に対しても、関係国と協調して対処していくことを表明。

 さらに、日米両国民の絆を一層深化させるため、人的交流の強化やグラスルーツレベルの地方自治体間連携など、多様な取組についても言及されている。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】安倍イズムの影響下での日米同盟強化: 岸田政権の課題と展望

まとめ
  • 日米首脳会談の共同声明は、日米同盟の新たな時代を示す戦略的パートナーシップの構築を目指すものであり、防衛、経済、技術、外交など広範な分野に焦点を当てている。
  • 共同声明の注目すべき点は、日本の防衛力の抜本的強化、先端技術分野での日米協力の深化、経済安全保障の強化の3つに集中している。
  • 日本の防衛力の強化は、専守防衛の原則からの転換を意味し、抑止力と対処力の強化につながる。
  • 先端技術分野での協力は、経済安全保障上も重要であり、両国の競争力を高める。
  • 日米関係の強化には、安倍首相のリーダーシップや外交努力が大きく寄与しており、岸田首相もこの路線とともに、日本国内の政策に関しても安倍イズムを継承すべきである。

この共同声明は、21世紀の課題に取り組む日米同盟の新たな時代を切り拓くべく、防衛、経済、技術、外交など、広範な分野における具体的な戦略的パートナーシップの構築を示すものとなっています。

共同声明の中で特に注目すべき点は以下の3つです。

1. 日本の防衛力の抜本的強化
共同声明では、2027年度までに日本の防衛費をGDP比2%まで増額し、反撃能力の保有や統合作戦司令部の新設など、日本の防衛力を大幅に強化することが盛り込まれています。これは注目すべき点です。
なぜなら、これまで日本は専守防衛を旨としてきましたが、今回の防衛力強化は抑止力の大幅な強化につながるものです。地域の安全保障環境が厳しさを増す中で、日米同盟の抑止力と対処力を引き上げる上で、日本の防衛力強化は不可欠な取り組みだと位置づけられているからです。

このような日本の防衛力増強は、同盟国である米国にとっても大きな意義を持ちます。日本の防衛力が強化されることで、米国の同盟国としての負担が軽減され、より効果的な抑止力の発揮が期待できるためです。

2. 先端技術分野での日米協力の深化
共同声明では、AI、量子、半導体、バイオテクノロジーなどの重要・新興技術分野で、日米が協力して研究開発や産業基盤の強化に取り組むことが明記されています。
これは注目に値する点です。先端技術分野でのリーダーシップを確立することは、経済安全保障上も極めて重要です。両国が互いの強みを活かしながら、これら次世代技術の開発や保護に協力することで、技術的な優位性を確保し、経済的な競争力を高めていくことができるためです。

また、こうした技術協力は、日米同盟の絆をより強固なものにする効果も期待できます。先端技術を共に推進していくことで、経済的な利益共同体としての側面が一層強化されるからです。

3. 経済安全保障の強化
共同声明では、日米両国が非市場的な政策や慣行への対処、信頼性のあるサプライチェーンの構築など、経済的側面からの安全保障強化に取り組むことが明記されています。
これは重要な点です。地政学的な競争が激化し、経済的な安全保障の確保が喫緊の課題となる中で、日米が緊密に協調してこの分野に取り組むことは、両国の経済的利益を守る上で不可欠だからです。

特に、先端技術分野での覇権を握ることは、経済安全保障上も極めて重要です。日米が連携して、こうした分野での優位性を確保していく狙いがうかがえます。
 
以上3点は、共同声明の中でも特に注目すべき点だと考えられます。日米同盟を21世紀の安全保障環境に合わせて強化していく上で、これらの取り組みが大きな意味を持つためです。


日米が安全保障面での一体化を模索することは、もはや多数の米国民にとって当然のことです。今回の合意に対する大きな騒ぎは起きていません。日本との同盟強化に反対する声はほとんどなく、ドナルド・トランプ前大統領や共和党支持者を含めても、日米同盟の強化に異議を唱える声はありません。

日本という国が米国にとってより身近な存在になっています。大谷翔平選手やテレビドラマ、アニメなどを通じて、日本文化が米国に浸透しており、日本人に対する親近感が高まっています。これは、中国に対する米国民の嫌悪感とは対照的であり、日本は米国人にとって好意的な国として位置付けられています。

ギャラップ世論調査では、日本が米国人にとって最も好きな国の一つに選ばれています。この好意的な姿勢は、日米関係の強化にも繋がっていると言えます。

しかし、一方で岸田首相に対する米国メディアの関心は薄いです。岸田首相の政治的地位は不安定であり、政権内部や有力派閥のスキャンダルに揺れ動いています。そのため、米国メディアは岸田首相を「影の薄い総理大臣」と見ており取り上げることが少ないです。これは安倍首相とは対照的です。

しかし、日米関係の強化に向けては、両国のまともな官僚や議員らが着実に動いているようです。両国の政治的不安定さにもかかわらず、日米関係の堅固さを確保するために、彼らは日々努力しているようです。そのため、今回の日米首脳会談も、両国の関係強化の一環として注目されています。

官僚レベルにおける日米関係強化に向けた取り組みには以下のようなものがあります。

防衛・外交面では、外務省北米局と米国務省が定期的な政治対話を行っており、北朝鮮問題に関する制裁政策の調整や台湾問題に関する協議などが実施されているほか、自衛隊と米軍の共同訓練を強化することで軍事面での協力関係を深めています。

経済・貿易面では、経済産業省と米通商代表部がIT分野など特定分野の共同研究を進める一方で、農林水産省と米農務省もTIFAにおける農産品の市場開放交渉を行っています。

文化交流面では、文部科学省と米教育省が大学間交流事業の拡大に努めるとともに、外務省と米国務省が語学研修制度を活用した若手研修生の派遣数を増やしています。

テクノロジー面では、総務省と米通信委員会が5G技術の標準化で、経済産業省も半導体技術分野で共同研究を進めることで協力体制を強化しています。

さらに、環境・エネルギー面では再生可能エネルギー分野、科学技術面では宇宙開発分野での国際協力も進められています。

上に述べた具体例は、ごく一部にすぎません。 

なぜ日米関係がこのようになっているかといえば、やはり安倍首相の尽力があったおかげです。

これなくしては、現在の日米同盟の強固な地位と日米協力体制がこの水準に達することは極めて困難であったと思います。

特に、トランプ政権下で米国第一主義が強まる中、安倍首相はトランプ大統領個人との信頼関係を築き、日米同盟の重要性を直接説得しました。加えて、日米同盟を東アジアにおける安定と繁栄の礎と位置づける戦略もトランプ政権のアジア観と合致するものでした。


この結果、トランプ政権下では一時東アジアからの関与が低下した傾向に歯止めが掛かり、日米同盟を軸とする米国の東アジアに対する関与が強化されることになりました。同時に、安倍首相の尽力により日米同盟の重要性が再確認されました。

安倍首相の日米同盟強化への献身的な努力とリーダーシップなくしては、現在の日米同盟の堅実な関係基盤と協力体制を築くことは不可能でした。安倍首相の尽力こそが、今日の日米同盟の地位向上に不可欠な要因だったのではないかと考えます。

そのことを岸田首相は再認識すべきです。岸田文雄首相は昨年2月26日の自民党大会で、2012年の政権交代後からの自公政権10年間について話しをしました。安倍元首相の強力なリーダーシップの下、経済状況は改善し雇用と企業収益が拡大したこと、デフレから脱却できたことなどを指摘しました。外交・安全保障面では「自由で開かれたインド太平洋」の推進、日米同盟の深化、平和安全法制の整備などの実績を挙げました。

10年間を振り返り、民主党政権下で失われた日本の誇りと自信、活力を取り戻すため、皆で力を合わせ国を前進させたとアピールしました。今こそ安倍元首相と菅前首相が築いた10年間の成果の上に、次の10年を創造する時だと強調しました。防衛力を抜本的に強化し、積極的な外交を展開することで、戦後最も複雑な状況の中でも国民を守り抜く考えを表明しました。

岸田首相は、今回の日米首脳会談は、安倍首相が敷いた既定路線に乗った形で、成功を収めたことを理解すべきです。

そうして、米国との関係については、米国政府という相手があることであり、安倍首相が構築した日米関係の方向性を崩すことは最早できません。さらに、日米関係を基軸とした外交・安全保障に関しても、これを崩すことはできません。


問題は、国内であり、もっと有り体にいえば、自民党党内です。これについては、米国はこれに干渉することはできず、ただしLGBT理解増進法案などの例外はありますが、国内の大きな方向性に関しては、もっぱら岸田首相が采配しなければなりません。ここでも岸田首相は、安倍路線を継承するべきなのです。

そのことを強く認識して、経済状況を改善し雇用と企業収益が拡大する路線を継承し、デフレから完全脱却すべきなのです。それとともに、自民党内のリベラル派に対して一定の歯止めをかけなければなりません。外交だけではなく、国内でも安倍イズムを継承することが、自民党政権を安定化させる唯一の道だと認識して、その方向に転換すべきです。

これをないがしろにすれば、岸田政権が崩壊するだけではなく、自民党が崩れ、それだけならまだしも、安倍首相が語っていたような、悪夢の民主党政権のよう暗黒史を自民党政権が自ら招くことになりかねません。そうなれば、いずれ自民党は再び下野することになるでしょうが、それまでの間に悪夢の自民党政権が日本国内を毀損すことになりかねません。さらには、次の政権は安倍イズムとは、逆の政権運営をするかもしれません。

これだけは、絶対に避けるべきです。岸田政権は今後、安倍イズムを定着させるべく、邁進すべきです。

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2024年2月11日日曜日

「巨悪に挑む正義のヒーロー」と思ってはいけない…日本の特捜検察が冤罪を生んでしまうワケ―【私の論評】汚職事件との違いが際立つ自民党派閥パーティー券事件の本質

「巨悪に挑む正義のヒーロー」と思ってはいけない…日本の特捜検察が冤罪を生んでしまうワケ

まとめ
  • 政治資金パーティー券事件で、検察による大物政治家の立件が見送られたが、検察の政治介入の疑惑が浮上している。
  • 事件自体がそれほど悪質ではなく、立件も難しかったことから、検察の意図が問われている。
  • 日本の司法制度・運用には深刻な問題があり、国際的にも評判が悪化している。人質司法などが代表例。
  • 検察の介入で新しいビジネスが萎縮し、推定無罪の原則もないなど法治国家として異常な状況。
  • 巨悪への対処は立法を優先し、情報公開で犯罪防止を。抜本的な司法改革が喫緊の課題。
東京地方検察庁特別捜査部が設置されている 九段合同庁舎

 自民党派閥の政治資金パーティー券事件で、東京地検特捜部が派閥幹部らの立件を見送ったことについて、評論家の八幡和郎氏は辛辣だが的確な指摘を展開している。

 まず八幡氏は、事件自体が過去の大規模汚職事件ほど悪質ではなく、立件自体が困難だったことを指摘。その上で、検察が大物逮捕を示唆する情報を流し、事実上の政治介入を行った可能性を問題視する。

 加えて、検察が本丸の森喜朗元首相には手出しできず、側近の池田議員を逮捕したことから、政権との対立が意趣返しの意図につながったのではないかと疑問を呈する。

 さらに日本司法の抱える根深い問題にも言及。国際的に評判の悪いゴーン元会長への扱いや、逮捕が刑罰以上のダメージを与える「人質司法」がその象徴であると批判する。

 検察による新ビジネスへの介入が成長を阻害している点や、推定無罪の原則がないことの異常さも指摘。日本司法の前近代性を痛烈に批判している。

 その上で、巨悪への対処は立法を優先し、情報公開で犯罪を未然に防ぐことが先決であると主張。今回の検察のやり方は到底容認できず、抜本的な司法改革が必要不可欠だと訴える。

 共同親権制度の不存在や子の連れ去り問題など、国際常識から乖離した法制度の改正も喫緊の課題であるが、法務省の妨害が指摘されているという。

八幡 和郎(やわた・かずお) 
徳島文理大学教授、評論家

 この記事は、元記事の要約です。詳細は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】汚職事件との違いが際立つ自民党派閥パーティー券事件の本質

まとめ
  • 八幡氏が指摘する「大規模汚職事件」には、ロッキード事件、リクルート事件、東京佐川急便事件が含まれる
  • これらの事件は、政治家への大規模な金銭授受が明らかになった汚職事件
  • 一方、今回のパーティー券事件は会費名目での政治資金不正に留まり、金銭授受自体は違法とはいえない
  • 検察による大物逮捕示唆のリークなど、逮捕前の「犯人扱い」が問題
  • 事件の影響力が一様ではなく、事態の鎮静化もあり得る。慎重な見極めが必要

八幡氏が指摘している「過去の大規模汚職事件」とは、具体的にはロッキード事件やリクルート事件、東京佐川急便事件を指していると考えられます。

ロッキード事件を伝える当時の新聞

その根本的な違いは次の通りです。
  • ロッキード事件は、航空機購入の代金の一部を賄賂として政治家に渡した巨大汚職事件。
  • リクルート事件は、リクルートコスモスが自社の未公開株を政治家に割り当て、影響力の見返りを得た事件。
  • 東京佐川急便事件とは、佐川急便グループが政治家秘書らに対して現金を渡していたという汚職事件です。見返りとして佐川急便の利益につながるよう国会質問の内容調整などをしていた。政治家秘書らに対し、数千万円から1億円規模の現金を渡していた 。
これらの事件は、企業から政治家への大規模な金銭のやり取りが明らかになった汚職事件でした。

一方で今回の自民党派閥のパーティー券事件は、政治資金パーティーの会費名目で政治資金を集める際に、収支報告書への虚偽記載があったというもの。金銭の受領自体は違法ではないという点で性格が異なります。

したがって、今回の事件ほど企業と政治家の癒着という観点では重大性が低く、立件も難しいというのが八幡氏の指摘するところです。

ちなみに、ロッキード事件とリクルート事件における金銭の総額は以下の通りとされています。
  • ロッキード事件 総額:約6億2,000万円 内訳:田中角栄元首相への賄賂が約4億2,000万円など
  • リクルート事件 総額:約57億円 内訳:未公開株計130万株が政治家などに割り当てられ、1株当たり最高で約44万円のプレミアムがついたとされる
  • 佐川急便事件では、朝日新聞の調べでは、少なくとも1億2千万円以上 、日本維新の会の馬場伸幸前代表(事件当時は秘書)への授受だけで約1億円 、自民党の衆議院議員秘書に対する授受が複数あったとされ、政治家秘書らへの総額は少なく見積もっても数億円規模に上ると考えられる。
このように、ロッキード事件で数億円規模、リクルート事件では50億円、佐川急便事件では数億円を超える莫大な金額が動いていたと言われています。

リクルート事件を伝える当時の新聞

一方、今回の自民党派閥のパーティー券事件では、総額こそ明らかになっていませんが、会費名目で1人数万円程度を徴収していたとされており、規模の違いは歴然としているといえます。

八幡氏は元記事で、「逮捕される前からの犯人扱い」にしていることが問題だとも指摘しています。該当する事例として、以下のような検察による情報リークが考えられます。
  • 今回の自民党派閥パーティー券事件で、検察が大物政治家の逮捕を示唆するようなリークを行い、マスコミで大々的に報じられた
  • 東京佐川急便事件でも、大物議員秘書の逮捕直前に氏名が報道されるなど、検察からの情報リークが指摘された
  • 別の汚職事件でも、逮捕前からマスコミが「汚職議員」などと報じるケースがしばしば見受けられた
こうした報道が出回ることで、世間からの批判を受けるなど、事実上の「犯人扱い」となることが問題視されているといえます。憶測報道を避けるべきである、との八幡氏の主張は妥当なものです。

検察による捜査情報のリークは法律に違反する可能性が高い行為です。

具体的には、刑事訴訟法の「捜査の秘密」(第100条)に違反するおそれがあります。

この条文では、捜査に関与する検察官、司法警察員等に対し、職務上知り得た捜査の秘密を漏らしてはならない、と定められています。

今回のパーティー券事件での大物政治家逮捕の示唆などは、まさにこの「捜査の秘密」に関わる情報のリークに該当すると考えられます。

仮に捜査情報をリークした検察官が特定されれば、刑事訴訟法違反で処罰の対象となり得るでしょう。

したがって、八幡氏の指摘するように、検察による逮捕前の情報リークは法律上も問題がある行為だと言えます。

今回の事件が過去の「政治とカネ」の問題に端を発した政界再編の動きに似ている面はあります。

ただし、過去の事例から見ても、事件の影響力は必ずしも一様ではなく、収束していく可能性も必ずしも否定できません。

理由としては、まず今回の事件そのものが過去ほどの重大性がないことがあげられます。金額や事実関係の調査の粗っぽさから、世論の怒りを買い続けづらい側面があります。今後野党やマスコミも批判を続けるでしょうが、かといってそれによって何かが変わる可能性は低いです。そうなると、一般の関心は薄れていくことでしょう。

また、捜査当局である検察の偏向ぶりが明らかになれば、むしろ世論の反発を招きやすいところでしょう。過剰なマスコミ報道も視聴者からの反発が生じています。

自民党内でも、今回の事態が過熱することへの牽制が働くと考えられ、一定の歯止めとなり得るでしょう。

こうした動向次第では、徐々に事態が鎮静化し、大きな政界再編には至らない線も十分に描けるでしょう。今後の動向に注意が必要ですが、決して悲観的なシナリオしかないわけではないです。

私は、今回の検察のリークに端を発した事件により、大きな政界再編成がおこってしまえば、検察やマスコミを一層奢り高ぶらせ、また政治に介入してくる端緒を与えかねないと懸念しています。このような懸念を自民党幹部が抱く可能性は高いです。

岸田首相

その意味では、私自身は、岸田政権には不満であるものの、岸田政権には少なくともう一期くらいは、続けさせ政治を安定化させ、マスコミや検察などの倒閣運動など通用しないことをはっきりさせた上で、次の展開を考えたほうが良いと思います。それは、自民党に野党にもいえることだと思います。

そうでないと政局はとんでもない方向に動いていき、せっかく安倍政権・菅政権で築きつつあった、官僚主導でない政治主導の政治が根底から覆され、それこそ官僚主導、その中でも最強の官庁である財務省主導の政治がより一層色濃く展開されることになりかねません。

今のままだと、岸田政権は打倒したものの、その後継政権は岸田政権以下という事になりかねません。しかも、官僚たちが一斉に蠢き出し、財務省は緊縮財政に走り、日銀は金融引き締めに走り、経済は落ち込み、中国や韓国は、これによって一息つき、さらに日本への干渉を強めるでしょう。

LGBT理解促進法案が促進され、巷で大混乱になり、移民が大勢日本にやってきたり、ポリティカル・コレクトネスがより一層日本でも促進され、混乱の極みになる可能性は否定しきれません。混乱するだけならまだ良いのですが、多くの国民が実際にその実害を被るという事態になりかねません。

無論岸田政権であっても、これは懸念されるのですが、政権が不安定になれば、一層これを進めやすくなります。岸田政権が崩壊したということになれば、官僚やマスコミ、反日勢力などが大きく勢いづくことになります。それを防止するためにも、岸田首相には、国民にもっと寄り添い、官僚機構と闘う政治家に変身していただきたいのです。

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2024年1月22日月曜日

デサンティス氏、米大統領選からの撤退表明-トランプ氏支持―【私の論評】2024年大統領選:トランプ氏の優位性と共和党内での台頭、バイデン政権との比較から見る米国と同盟国の未来

 デサンティス氏、米大統領選からの撤退表明-トランプ氏支持

まとめ
  • デサンティス氏が共和党候補指名争いから撤退
  • デサンティス氏はトランプ氏支持を表明
  • 共和党候補の指名獲得レースはトランプ氏とヘイリー氏の2人の争いとなる
ディサンティス フロリダ州知事

 2024年米大統領選挙の共和党候補指名争いで、フロリダ州のデサンティス知事が撤退を表明した。デサンティス氏は、トランプ前大統領を支持する考えを明らかにした。これにより、共和党候補の指名獲得レースは、トランプ氏とヘイリー元国連大使の2人の争いとなる。

 デサンティス氏は、2年前に知事選で地滑り的な勝利で再選を決め、共和党の大口献金者たちから党の将来を担う候補者との評価を受けていた。しかし、今回の大統領選からの撤退は、同氏の政治的命運を揺るがす打撃となる。

 デサンティス氏の撤退を受け、トランプ氏は同氏からの支持を歓迎した。ヘイリー氏は、デサンティス氏の撤退を惜しむコメントを発表した。

【私の論評】2024年大統領選:トランプ氏の優位性と共和党内での台頭、バイデン政権との比較から見る米国と同盟国の未来

まとめ
  • トランプ前大統領は2024年の共和党大統領指名候補として最有力であり、保守派から圧倒的な支持を受けている。
  • ニッキー・ヘイリーは穏健であり、共和党支持層からはRINO(名前だけの共和党員)と見なされ、勝利の可能性がないだろう。
  • デサンティス氏は若く、将来を期待される共和党の有望な候補者でありら、トランプ氏を支持をすることで、将来の大統領選において有力な立場を築くことができる。
  • トランプ氏の2024年の優位性は、支持基盤の強さ、共和党の組織的な支持、実績、経済政策、アウトサイダーとしての成功、メディア操作、支持者の熱狂などに根ざしている。
  • トランプ氏は外交においてもアメリカ・ファーストの政策を追求し、中国に対して強硬な姿勢を示し、中東での和平交渉や対ISISの成功を実現。一方バイデン政権は中国に対して軟化し、中東や外交政策において失敗が続いている。


トランプ前大統領は保守派から圧倒的な支持を得ており、2024年の共和党大統領指名候補の最有力候補であることは、疑いの余地はなくなりました。ニッキー・ヘイリーはRINO(名前だけの共和党員)にすぎません。

彼女はあまりにも穏健で、民主党と協力することを望んでいるようです。トランプ大統領は、米国保守派の価値観を守る唯一の大統領選候補者といえます。デサンティス氏はトランプ大統領を支持するという正しい選択をしました。

デサンティスはまだ若く、共和党内での明るい未来があるので、今明確な勝者を支持したのは賢明でした。2024年のトランプ大統領の地滑り的勝利は、2028年か2032年にデサンティスが出馬する道を開くことになります。

ヘイリーには勝利への道はなく、これ以上の恥をかかないためにも、今すぐ降板したほうが良いと思います。共和党支持層は圧倒的にトランプ大統領を支持しています。

トランプ氏は、減税、国境警備、軍備強化、保守派裁判官の任命など、1期目に多くのことを成し遂げました。多くの有権者は、トランプ大統領があと4年間の大統領の人気を全うすることを望んでいるようです。

ヘイリーや他の穏健派は、支持層を活気づけることも、競争に必要な資金を集めることもできないでしょう。トランプ大統領の集会は大観衆を集め続けており、彼の人気と党内での強さは他の追随を許さない状況です。

ヘイリー氏

2024年の指名は彼のものであり、民主党がいかなる有力な社会主義者を指名しようとも、トランプがこれを打ち負かすでしょう。

現時点でトランプ大統領が2024年の大統領選で圧倒的に有利な理由はいくつかあります。

1.2020年のトランプ大統領の得票数は7400万票を超え、史上2番目の多さでした。彼の支持者は依然として情熱的に忠誠を誓い、関心を持ち続けています。彼らは再びトランプに票を投じるでしょう。

2. トランプ氏は共和党を完全に掌握しています。共和党幹部や候補者は、トランプを支持しなければ有権者の怒りに直面することを理解しています。つまり、党の組織と資金調達装置はトランプを全面的に支援することになります。

 3.トランプ氏には大きな実績があります。トランプ氏は減税を実現し、規制を撤廃し、軍事費を増やし、3人の最高裁判事と200人以上の下級裁判所判事を任命しました。多くの有権者は結これらの成果を支持しており、トランプはかれらにとって好ましい結果を出したのです。

4. パンデミック前のトランプ政権下で経済は好況でした。トランプノミクスは記録的な低失業率、堅調なGDP成長、特にブルーカラー労働者の賃金上昇をもたらしました。経済が回復し続ければ、これはトランプに利益をもたらすでしょう。

5. アウトサイダー候補としての成功。トランプ氏の「沼の水を掃け(Drain the Swamp:抜本的な政治改革を意味する)というメッセージと反体制的な人柄は、通常の政治から切り離されていると感じている多くのアメリカ人の共感を呼んでいます。

彼は、今回も小市民のためのアウトサイダー「ファイター」として再出馬できるのです。

6. メディア報道を支配し、対立候補を定義づけることに長けています。トランプ氏は、ソーシャルメディアを巧みに使い、常に自分に有利な物語を作り出しています。彼は、対立候補を過激な社会主義者として描き、彼らがそれを否定することを迫ります。

7. 有権者の熱狂はトランプに有利。現時点では、トランプ支持者は民主党支持者よりもはるかに元気でやる気があるように見えます。熱意は投票率を押し上げるので、この「情熱の差」はトランプに有利に働きます。

大統領選はまだ先のことではありますが、トランプ氏とその支持者にとっては、自分の立場に非常に自信を持てる理由がたくさんあります。多くのことが変わり得ますが、現時点では、トランプ氏が共和党の指名を獲得し、再びホワイトハウスを手にするためには、明確かつ圧倒的に優位にあるのは間違いないです。

現状では、トランプが優勢であり、トランプ大統領が誕生する確立は高いです。これに対して、多くの国々のメディアや識者は、トランプ外交に脅威を抱いているようです。しかし、失敗続きのバイデン外交をみていれば、私はトランプ外交は、少なくともバイデン外交よりはるかにまともなものになると思います。

トランプ氏は、アメリカの利益を優先する「アメリカ・ファースト」政策を追求しています。バイデンは同盟国や敵対国を喜ばせることに関心があるようで、結果として米国は弱く見えます。トランプのタフで一方的なアプローチは、世界の舞台でより多くの尊敬を集めました。

そもそも、まともな人からみれば、いずれの国の指導者も自国の利益を一番に考えるのが当たり前であって、そうでない指導がいれば、馬鹿か間抜けか、あるいは魂胆があると考えるのが普通です。民間企業の指導者でも、他社の利益のために頑張るというような人間は信用されません。長期的な観点から、国益を追求するのが、まともな指導者のあり方です。

 トランプは中国に対して強硬路線をとり、不公正な貿易慣行に対処させた最初の大統領です。バイデンはすでにトランプの関税の一部を撤回し、中国に対してよりソフトな態度をとっています。

トランプの政策は功を奏し、中国に交渉を迫っていたのですが、バイデンの弱腰は中国を増長させることになるでしょう。

トランプはイスラエルとアラブ諸国との歴史的な和平交渉を仲介しました。バイデンはすでにイスラエルとアラブ諸国関係を緊張させています。トランプは、何十年もの間、他国から遠ざかっていた中東での外交的突破口を開き、懐疑論者が間違っていたことを証明しました。

 トランプは記録的な速さでISISのカリフ制国家を壊滅させました。ISISはオバマ-バイデン政権下で急成長し、トランプはその混乱を一掃しなければなりませんでした。トランプは軍を解き放ち、ISISを迅速に粉砕し、イスラム過激派のテロに対する強さを示しました。

 バイデンは、イラン核合意やパリ協定といった不公正な取引に再び参加しようとしています。トランプは、米国に不利なこれらの取引から当然のごとく脱退しました。

バイデンは、これらの取引に再び参加することで、影響力を失い、見返りも何も得られないでしょう。

トランプはメディアからの批判にもかかわらず、COVIDの蔓延を遅らせる渡航禁止措置をとりました。バイデンはこの禁止措置を「外国人嫌い」と呼びましたが、賢明な措置であることが証明されました。

バイデンの政策がボリティカル・コレクトネスによって推進されているように見えるのに対して、トランプは命を救う可能性の高い厳しい決断を早期に下しました。


バイデンやオバマのより伝統的な政治的アプローチよりも、トランプの堂々とした「アメリカ・ファースト」政策がより良い結果を生んだことは明らかです。それは、米国にとってもその同盟国にとってもそうでした。

メディアはトランプを脅威として描いていますが、彼の政策は世界における米国の地位を強化し、敵対国に責任を負わせ、外交政策で大きな勝利を収めました。トランプの外交は、世界の舞台で米国の影響力を低下させるバイデンの外交よりはるかに優れています。全体として、トランプ氏のリーダーシップのほうが、米国とその同盟国はより安全で安心できる環境をもたらしたといえます。弱い米国は、米国だけではなく、日本含む同盟国にとっても不利益をもたらすのです。

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2024年1月5日金曜日

2024年は世界的な「選挙イヤー」 各国で大型選挙が目白押し―【私の論評】世界各地で保守派の台頭が進む!日本でも「保守派の反乱」で高市自民総裁誕生か?

2024年は世界的な「選挙イヤー」 各国で大型選挙が目白押し

まとめ
  • 界最大規模の選挙イヤーとなる。
  • 世界情勢に大きな影響を与える可能性がある。
  • バングラデシュ、台湾、インドネシア、パキスタン、南アフリカ、インド、メキシコ、米国で選挙が予定されている。
  • 米国大統領選挙はバイデン対トランプ再選戦の可能性が高い。
  • 欧州議会選挙では右派政党の復活が懸念される。


2024年の世界の選挙は、史上最大規模で、世界情勢に大きな影響を与える可能性がある。

今年は、世界50カ国以上で国政選挙や地方選挙が予定されている。これらの国の人口を合計すると42億人に上り、特に世界で最も人口の多い10カ国のうち7カ国が選挙を行う。

今年最初の大規模な選挙は、バングラデシュの総選挙だ。最大野党のボイコットにより、現職のシェイク・ハシナ首相の5期目の続投がほぼ確実となっている。

中国からの脅威に直面している台湾でも、総統選挙が実施される。親米派の頼清徳副総統が世論調査でリードしている。

世界第4位の人口を誇るインドネシアでは、大統領選挙が実施される。現職のジョコ・ウィドド大統領には3期目の立候補資格がないため、新たな指導者が求められている。

世界第5位の人口を擁するパキスタンでも、総選挙が実施される。同国は憲法危機からの脱却を目指す。

アフリカ最大の経済大国である南アフリカでは、選挙が実施される予定だ。与党アフリカ民族会議(ANC)は、政権の維持を望んでいる。

世界最大の人口を擁するインドでは、総選挙が実施される。与党インド人民党(BJP)は3期目の政権確保を目指す。

メキシコでは、大統領選が実施される。現職のアンドレス・マヌエル・ロペスオブラドール大統領の側近であるクラウディア・シェインバウムが同国初の女性大統領に選出されることがほぼ確実とみられている。

米国では、大統領選挙と下院選挙が実施される。現職のジョー・バイデン大統領がドナルド・トランプ前大統領と直接対決することになれば、2020年の大統領選の再来となる可能性がある。

また、欧州連合(EU)では、欧州議会選挙が実施される。右派政党の復活が懸念されており、EUの対ウクライナ支援に大きな影響を与える可能性がある。

ロシアとイランも今年、それぞれ大統領選と議会選が予定されているが、権威主義的な政権が続いているため、自由で公正な選挙にはならないとみられている。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】世界各地で保守派の台頭が進む!日本でも「保守派の反乱」で高市自民総裁誕生か?

まとめ
  • 世界各地で保守派の台頭が進んでいる。
  • その背景には、リベラル政権のLGBT、移民、グリーン政策に対する保守派の不満がある。
  • 日本でも、高市早苗氏の次期自民党総裁選出馬など、保守派の台頭が顕著となっている。
  • 岸田政権の支持率低下や、自民党内保守派の台頭が、高市氏の総裁就任の可能性を高めている。
  • 高市氏の総裁就任は、日本の政治に大きな変化をもたらす可能性がある。

上の記事、重要なことを見逃していると思います。それは、昨年から今年にかけて、「保守派の反乱」とも呼べるような事柄が連続して起きていることです。これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
LGBTや移民をめぐって世界中で保守の反乱が起きているが日本は大丈夫か―【私の論評】世界のリーダー達が注目すべき動向と共鳴する保守の反乱の本質

詳細は、この記事をご覧いただくもとして、以下に元の要約記事より引用します。

 世界各地で「保守の反乱」と形容される政治的な変遷が広がっている。

 例えば、オランダの下院選挙では、ヘルト・ウィルダース率いる極右政党が第1党となり、連立政権の樹立を目指している。同様に、アルゼンチンの大統領選挙でも極右のハビエル・ミレイが勝利し、「アルゼンチンのトランプ」と呼ばれている。
 更に、実際のトランプ氏も来年の米国大統領選挙で再び勝利する可能性があるとの見方もある。これらの動向について、予測不可能なトランプ氏の政治的な影響が、国際的な関係や安定性にどのような影響を及ぼすかが焦点とされている。

 また、イタリアでも昨年、極右政党が第1党となり、ジョルジャ・メローニが首相に就任した。こうした政治的なシフトには、欧米諸国でリベラル政権の取り組むLGBT、移民、グリーン政策に対する保守派の不満が影響している。これらの政策に対する保守層の反発や、岩盤保守層の政党支持の変化が、極右政治家の台頭を助長している。

さてこの記事に対する【私の論評】の結論部分を以下に引用します。

保守派は、安全な国境、安全な地域社会、言論の自由、豊かな経済を望んでいます。「極右」のレッテルを貼られた指導者たちは、サイレント・マジョリティの声を返しているだけなのです。

メディアが彼らを中傷し、理性的な保守派を黙らせようとする一方で、私たちは保守派は、もう黙ってはいません。多くの人々は、法、秩序、伝統、愛国心の尊重と生存のバランスを取りながら生活しています。そうして、このバランスを崩す急激な改革は、社会を壊すと多くの人達が再認識するようになったのです。最近設立されたばかりの日本保守党の支持者の急速な拡大も、それを示しています。
壊れた社会 AI生成画像
日本はもとより、他の国々の指導者も、この傾向に耳を傾けるべきです。人々はいつまでも過激な行き過ぎを容認することはないでしょう。指導者は、騒々しい過激派グループのためだけでなく、国民全体のために政治を行わなければならないのです。

リベラル・左派的な社会工学による改革よりも、国益を優先させる賢明な改革が答えです。未来は、常識のために立ち上がり、自国の文化を守り、ポリティカル・コレクトネスやキャンセル・カルチャーの狂気に対して果敢に「もういい」と言う勇気ある政治家たちのものです。結局のところ、それこそがこの新しい保守の反乱の本質なのです。 

 このような「保守の反乱」が昨年に引き続き、来年もますます顕著になって行くことが予想されます。それが上の記事には欠けていると思います。

上の元記事は、米国の雑誌フォーブスによるものですが、世界政治についてかなりナイーブで楽観的な見方をしているようです。西側諸国では明らかに保守的なポピュリストの反乱が起きています。

伝統的な価値観やナショナリズム的な政策が復活し、急進的な左派の政策は音を立てて崩壊しつつあります。これらの選挙の多くで保守派の指導者たちが強い票を獲得することは十分にありえることです。

インドのモディ首相、ブラジルのボルソナロ大統領、そしてもちろん米国のトランプ大統領は再選を果たすでしょう。サイレント・マジョリティは、ポリティカル・コレクトネス、国境開放、信仰と家族への攻撃にうんざりしています。

EUでは、肥大化した官僚機構を弱体化させるために、反グローバリズムの欧州議会議員が急増するでしょう。イタリアのサルビーニやフランスのルペンなどの指導者が影響力を増すでしょう。

EUの悲惨な政策は、眠れる巨人を目覚めさせたのです。このフォーブスのライターは、単一世界のリベラリズムというユートピア的なビジョンを支持して、こうした巨大な底流を無視しているとしか思えません。

しかし、多くの国々で国民は声を上げており、保守主義は躍進しています。伝統的価値観、安全な国境、民族の誇りが世界的に復活しつつあります。世界的にみれば、保守派の未来は明るいです。

この新世代の強力なリーダーたちは、自由市場、エネルギーの独立、法と秩序を擁護することによって、自国を繁栄へと導くでしょう。

急進左派は今年衝撃に備えなければならなくなるでしょう。国境開放、社会主義、ポリティカル・コレクトスといった彼らのビジョンは、世界中の自由で公正な選挙で根底から否定されることになるでしょう。ポピュリズムと保守主義の新時代が幕を開けるのです。サイレント・マジョリティはもう沈黙しないのです。

日本では、秋には自民党総裁選がありますが、ここでも「保守の反乱」は起こるかもしれません。

自民党の総裁選は、実質上の総理大臣選びです。自民党の総裁は、国民が選ぶのではなく、自民党議員と、自民党員が選びます。保守派の青山繁晴参議院議員が出馬を表明しています。その他、内閣府特命担当大臣(経済安全保障担当)高市早苗氏も有力な候補者です。

二人共保守派です。他の候補者はリベラルかリベラル色の強い人ばかりです。私は、この二人が協調し、いずれか一人が総裁選に立候補するのが保守派にとっては、最上の策だと思います。


そうして、高市氏が立候補し、総裁となれば、これはかなりインパクトがあると思います。高市氏は、典型的な保守派であり、無派閥で、世襲議員でもありません。しかも、総理大臣になれば、日本初の女性総理大臣です。

これは、現政権がかなり支持率が低下して、さらに現裏金疑惑で揺れている自民党にとって、救いの神になるのではないかと思います。

高市早苗氏が次期自民党総裁になる可能性は十分にあります。高市氏は、2021年9月の総裁選で、国会議員票で岸田文雄首相に次ぐ2位を獲得しており、党内でも一定の支持を得ています。また、高市氏は、自民党内でも保守派のリーダーとして知られており、安倍晋三元首相の支持層も取り込むことができる可能性があります。

岸田文雄首相(自民党総裁)は4日、首相官邸で開いた記者会見で、自民派閥の政治資金パーティーを巡る問題を受け、党総裁直属の「政治刷新本部」(仮称)を来週発足させると表明しました。

「1月中に中間とりまとめを行い、必要があれば関連法案を提出する」と述べました。また、首相は「外部有識者の参加も得て、透明性の高い形で検討を進める」と述べました。

これがうまく行けば良いかもしれませんが、私自身はとてもそうは思えません。

秋までには、まだ時間があります。岸田首相は、未だ辞任するつもりは全くないようです。日米両政府は、岸田総理大臣の国賓としての米国訪問について、2024年3月上旬とする方向で調整に入りました。

識者の中には、これを花道として、岸田首相は辞任するのではないかという人もいます。そうなると、高市氏が総裁になる可能性は、低いと思います。

ただ、何をもってしても、任期中の総理大臣をやめさせることはできません。辞めるのは、自分自身の意思しかありません。岸田首相は任期が終了するまで辞めないどころか、次期総裁選にも出馬する可能性すらあります。

茂木幹事長は、岸田総理大臣が総裁再選を目指して立候補した場合、みずからは立候補しない考えを示しました。全く可能性がないことを、茂木氏が語るとは思えません。

そうなると、自民党、岸田政権の支持率はさらに下がり続けて、秋頃には目も当てられない水準に落ち込むことになるでしょう。特に、自民党の岩盤支持層であった保守層が完全に離れ、サイレント・マジョリティーと呼ばれていた、日本の保守派の人たちも黙ってはいられなくなり、大きな声をあげるようになるでしょう。日本保守党の動きは、それを代表するものです。

世界の多くの国々の「保守派の反乱」はこれを後押しするでしょう。もう、リベラルの衰退は止めることはできません。その声が日本でも大きくなるでしょう。

自民党内の保守派も声をあげ、それに追随する議員も大勢でてくることになるでしょう。そうして、彼らは「無派閥、無世襲、保守派の高市氏でないと次の選挙で勝てない」と声をあげることになるでしょう。こうしたことが起きれば、高市総裁の可能性はかなり、高まることになるでしょう。

このような日本の「保守の反乱」が起こる可能性は十分にあると私は思います。

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2023年12月6日水曜日

KADOKAWA、差別扇動的との批判相次ぐ書籍を刊行中止 「トランスジェンダーの安全人権を脅かしかねない」との意見書も―【私の論評】女性の権利を擁護する勇気あるフェミニスト・ジャーナリストの戦い

KADOKAWA、差別扇動的との批判相次ぐ書籍を刊行中止 「トランスジェンダーの安全人権を脅かしかねない」との意見書も

まとめ
  • KADOKAWAが刊行予定だった書籍『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』が、トランスフォビアへの批判を受け、刊行中止に。
  • 同書籍は、アメリカですでに問題視されていたもの。
  • KADOKAWAは「タイトルやキャッチコピーの内容により当事者を傷つけた」と謝罪。
  • 今後は、トランスジェンダーに関する知見を積み重ねていくとコメント。
刊行中止になった書籍

KADOKAWAは、トランスジェンダー差別を助長するとして批判を受けていた書籍『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』の刊行中止を発表した。

同書籍は、アビゲイル・シュライアー氏による洋書「Irreversible Damage: The Transgender Craze Seducing our Daughters」を日本語に翻訳したもの。SNS上などでは、同書籍はトランスフォビアであり、差別扇動的との批判が多数寄せられていた。

また、KADOKAWAに対して、出版社や書店に勤務する従業員30人以上による「トランスジェンダー差別助長につながる書籍刊行に関しての意見書」も提出されていた。

KADOKAWAは、こうした批判を受け、刊行中止を決定。学芸ノンフィクション編集部は、公式サイトで「タイトルやキャッチコピーの内容により結果的に当事者の方を傷つけることとなり、誠に申し訳ございません」と謝罪した。

今後については、「皆様よりいただいたご意見のひとつひとつを真摯に受け止め、編集部としてこのテーマについて知見を積み重ねてまいります」とコメントしている。

要約すると、KADOKAWAが刊行を予定していた書籍『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』は、トランスジェンダー差別を助長するとして批判を受け、刊行中止となった。KADOKAWAは、批判を真摯に受け止め、今後はこうした問題についてより慎重に検討していくとしている。

これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧ください。

【私の論評】女性の権利を擁護する勇気ある真正フェミニスト・ジャーナリストの戦い

まとめ
  • KADOKAWAは、公平で公開された議論と事実に基づいた議論のために立ち上がるべきだった。
  • トランス運動は、自分たちの主張と矛盾する反対意見や科学的証拠を抑圧しようとしているようだ。これは科学的探究と表現の自由にとって危険だ。
  • 『トランスジェンダー・ブーム』は、結果として若い女の子を誘惑し、危険なホルモン治療や手術を強要している。本書は、この憂慮すべき新しい傾向について、勇気を持って親たちに警告を発している。
  • KADOKAWAはノイジー・マイノリティー(やかましい少数派)とポリティカル・コレクトネスに屈したようだ。彼らは公平で公開された議論と事実に基づいた議論のために立ち上がるべきだった。
  • この本は、日本では出版中止になったが、米国ではその勇気が賞賛されている。今日の日本の現実は、開かれた議論にとっては悲しむべき日といえる。


アビゲイル・シュライアーは、勇気あるフェミニスト・ジャーナリストであり、女性の権利を擁護するために活動しています。彼女は科学と法律のバックグラウンドを持ち、主流ジャーナリズムにはない知的厳密さを備えています。

彼女の執筆活動の焦点は、女性に害をなす「目覚めた(woke:ウォーク)」左翼イデオロギーに直面しながら、女性の権利を擁護することです。彼女は、綿密に調査された著書であり、上の記事にも示されている『Irreversible Damage』で最もよく知られています。


この本の中で彼女は、ソーシャルメディアや仲間集団の影響を受けて、10代の少女たちが突然トランスジェンダーであると認識する最近の傾向を調査しています。

彼女たちの多くは思春期になるまで性別違和の兆候を示さなかったのですが、その後すぐにトランス男性であることを認められ、医学的な移行への道を歩むことになります。

アビゲイルは、これは10代にみられる不安につけ込み、少女たちが真剣に後悔するかもしれない人生を変える決断を強いる危険な兆候であると主張しています。アビゲイルは、活動家たちがいかに医療と教育を掌握し、何よりも「性の肯定」を推進しているかを暴露しています。アビゲイルは、この無責任なアプローチの犠牲になった、心配する両親や元トランスの若者たちの声を代弁しています。

彼女は、女性の権利、親の権限、イデオロギー的洗脳や医療過誤から子どもを守るために闘う勇敢な真実の語り部であり、急進的なトランス活動主義と「目覚めた(woke:ウォーク)」集団思考がいかに社会を脅かしているかについての重要な警告を発信しています。

ちなみに「Woke」は、黒人英語(AAVE)に由来する英語の形容詞で、「人種的偏見と差別に対する警告」を意味します。

「Wake」の過去形である「Woke」は、「目覚めた/悟った」を意味します。また、「Stay Woke」という言葉は、「(社会問題や不正義に対して)意識を高く持つ」という意味です。

彼女は、政治的正しさ(ポリティカル・コレくすネス)に立ち向かう勇気を持ち、事実を報道するジャーナリストの模範であり、文化戦争における知的ヒロインであり、感情や憤怒ではなく事実と証拠を用いる力強く公正な擁護者です。

私は彼女の原則的な姿勢と厳しい真実を暴こうとする献身を心から尊敬しており、彼女の使命とメッセージを全面的に支持しています。アビゲイル・シュライアーの仕事は、フェミニストを装った人々に攻撃されるのではなく、フェミニズムを前進させるものとして称賛されるべきものです。彼女こそ正真正銘のフェミニストです。

この書籍に対する怒りは、自分たちの考えを推し進めようとする活動家によって作り出されたものであり、実際に引き起こされた被害によるものではありません。米国には言論の自由があるので、この本は問題なく出版されました。

フェミニストやトランス活動家が出版社を批判し、青少年に影響を与える問題についての妥当な議論を検閲するのは悲しいことです。『トランスジェンダー・ブーム』は、若い女の子を誘惑し、危険なホルモン治療や手術を強要して傷つけています。本書は、この憂慮すべき新しい傾向について、勇気を持って親たちに警告を発しています。

KADOKAWAはノイジー・マイノリティー(やかましい少数派)とポリティカル・コレクトネスに屈したようです。彼らは公平で公開された議論と事実に基づいた議論のために立ち上がるべきでした。トランス運動は、自分たちの主張と矛盾する反対意見や科学的証拠を抑圧しようとしているようです。

以下にKADOKAWAの謝罪文を掲載します。


この謝罪文によれば、この書籍の内容そのものには触れておらず、書籍に瑕疵や誤りがあるとまでは言及していません。それが、せめてもの救いがもしれません。

これは科学的探究と表現の自由にとって危険です。私はアビゲイル・シュライアーと彼女の重要な活動を全面的に支持します。私はこれを左翼の検閲であり、言論の自由への攻撃であると考えます。

本書で示された事実は、トランスジェンダー・イデオロギーの害悪を暴露するものです。しかし、ノイジー・マイノリティーがどんなに大声で叫ぼうとも、真実を封じることはできません。KADOKAWAは勇気ではなく弱さを示し、悲しいかな過激な少数派からの圧力に屈しました。この本は、日本では出版中止になりましたが、米国ではその勇気が賞賛されています。2023年12月5日の日本の現実は、開かれた議論にとっては悲しむべき日といえます。

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2023年12月5日火曜日

前原誠司氏離党の余波、自民・国民の連携加速か…飛び出す「公明党不要論」 前原新党〝いずれ維新と合流〟の声―【私の論評】自公連立を運命づけた「日本列島総不況」が思い起こさせる政権の安定に必要不可欠なもの

 前原誠司氏離党の余波、自民・国民の連携加速か…飛び出す「公明党不要論」 前原新党〝いずれ維新と合流〟の声

まとめ
  • 国民民主党の分裂は、自民党と国民民主党の連携を加速させる可能性が高い。
  • 一方、公明党は国民民主党の連立入りを警戒し、自民党の非主流派と連携して揺さぶってくる可能性がある。
  • 自民党内では、民間労組との関係強化を進めており、国民民主党との接近はそうした動きの上でのものと考えられる。
  • こうした動きを踏まえて、自民党の一部からは「公明党不要論」まで出ている。



 国民民主党の前原代表代行らが離党し、新党「教育無償化を実現する会」を結成した。この新党は、日本維新の会の看板政策である「教育無償化」を掲げており、今後は維新の会に合流する可能性が高い。

 前原氏らの離党は、国民民主党と与党の連携を加速させる可能性がある。前原氏らは与党との協調路線に強く批判的だったため、彼らの離党で国民民主党内の与党協調派が台頭し、自民党との連携が進むと考えられる。

 これに対し、公明党は国民民主党の連立入りに警戒感を強めている。公明党は、憲法改正や安全保障政策などで自民党と協力関係にあるため、国民民主党が連立入りすれば、自民党との関係が悪化する可能性がある。

 自民党内では、公明党不要論も浮上している。自民党は、民間労組との関係強化を進めており、国民民主党との連携により、公明党の存在意義が薄れつつあるとの見方もある。

 今後、岸田政権は国民民主党とどのような形で連携していくのか、注目される。連立協議にまで突き進めば、党内政局に大きな波紋を呼ぶことになるだろう。

 この記事は元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】自公連立を運命づけた「日本列島総不況」が思い起こさせる政権の安定に必要不可欠なもの

まとめ
  • 自公連立は、日本列島総不況(全国的な不況)による自民党政権の不安定化を回避するため成立したといえる。
  • 自民党は、国民民主党と連立することで、政権運営の安定化を図ろうとしている。
  • 国民民主党の玉木代表は、マクロ経済に関するまともな認識を持っているため、連立することで、経済政策が改善する可能性がある。
  • しかし、現状では、自民党の多数派によって、国民民主党の影響力は限定的である。
  • 自民党も野党も、政権安定には経済安定化が必要不可欠であることを認識すべきである。

こうした動きは、自民党側からみれば次の選挙で勝ち、圧倒的に多数の議席を占め、政権運営を安定させるということが狙いでしょう。方法については、異論はあるでしょうが、多くの自民党議員はこのこと自体には反対しないでしょう。

しかし、現状のままで政権の運営を安定させるために、このような動きをするのは全く無駄になる可能性が高いです。それは、なぜ自民党が公明党と連立政権を組まなければならなくなったのかを振り返れば理解できます。これは、以前このブログにも述べたことです。

自民・公明が連立政権を組む前の年である、1998年度に日本経済は、主要な需要項目が前年を下回り、大部分の業種が減収減益に見舞われる「日本列島総不況」に陥りました。 こうした需要の低迷を背景に物価も弱含みとなり、物価の下落が企業経営の悪化や雇用の減少を招き、それがさらに景気を悪くする「デフレ・スパイラル」に陥る可能性さえ考えられ状態になり、実際その後日本はそうなりました。

「日本列島総不況」は1998年の流行語大賞を獲得した これを模したTシャツが販売された

日本経済が、このような状態になったのは、バブル期に確かに株価や地価はうなぎ登りでしたが、一般物価の上昇はさほどでもなかったのに、日銀官僚の誤謬によって、本来実施すべきでなかった金融引締に転じ、政府も緊縮財政に舵を切るなど、マクロ経済政策が間違ってしまったせいです。

日本列島総不況とは、1997年から1999年まで続いた不況のことです。この時期は「第2次平成不況」とも呼ばれています。

日本列島総不況は、経済状況が全国的に急速かつほぼ一様に悪化し、大都市圏と地方圏の区別なく、一気に飲み込んでしまったことを指しています。

この時期は、バブル経済が崩壊(現実には、この時期の一般物価は比較的安定していたにもかかわらず、日銀が金融引き締めをしたことによる景気の悪化)した1990年代初頭からの10年間を指す「失われた10年」に含まれます。この期間はバブルの後遺症ともいえる景気後退と長期不況が続いたため、日本の経済に大打撃を与えました。

「失われた10年」の時期は次のとおりです。
第1次平成不況(バブル崩壊・複合不況):1991年から1993年まで
第2次平成不況(日本列島総不況・複合不況):1997年から1999年まで
第3次平成不況(IT不況・デフレ不況):2000年から2002年まで
この時期に、マスコミや政治家、識者も、この不況の原因を理解せず、現象面だけをとらえ、政府は何らの抜本的解決策も取りませんでした。金融・財政政策に問題があるとした識者はごく少数にすぎませんでした。


1999年1月前後のコアコアCPIは3%少し超えた程度であり、CPIは最高で4%程度です。これでは、とてもバブルなどとは言えない水準てす。ロシアや米国で昨年は11%にも及んだことを思い出してください。ここで、金融緩和をしないというのならまだ理解できますが、金融引き締めに転じたというのはかなり悪手だったといえます。

その後は、物価の下落が続き、日本は長いデフレに入ることになります。

経済の悪化は自民党にも相当影を落とし、支持率が低迷し連立しないと過半数を取れないような状況になってしまったのです。

この時代に、日本がまともな財政・金融政策をとっていれば、経済が落ち込むこともなく、自民党の支持率もあまり落ちることかなく、連立など組まなかったかもしれません。それは、高度成長期に自民が連立を組む必要などないどころか、思いもしなかったことでもはっきりしていると思います。

実は、経済は政権維持のために重要なファクターなのです。それは当たり前です。多くの有権者にとって、天下国家の話より、まずは自分たちの生活が安定することが最優先課題です。自分の生活が安定した後に、天下国家の話になります。それに気づいたからこそ、安倍首相は第二次政権においてはアベノミックスを打ち出し、長期政権を築くことができたのです。

安倍首相

安倍政権は結果として三党合意、財務省などに阻まれ、二度消費税増税をしなければならない状況に追い込まれました。それでも金融緩和は継続されこともあり、雇用は急速に改善され続けたからこそ、長期政権になったことは否めないと思います。

国民民主党の玉木代表は、マクロ経済に関してまともな認識を持たれているようです。玉木代表は、2023年9月2日に行われた立憲民主党との合同会見において、インフレ対策について「財政出動と金融緩和の両輪を組み合わせて、経済全体を下支えすることが重要だ」と述べました。これは、インフレ対策において、財政出動による需要創出と金融緩和による資金供給の両方を組み合わせることが重要であるという、マクロ経済学の基本的な考え方に基づくものです。

また、2023年10月21日に行われた日本経済新聞のインタビューにおいて、「経済成長のためには、民間投資を促進することが重要だ」と述べました。これは、経済成長の原動力は民間投資であるという、マクロ経済学の基本的な考え方に基づくものです。

2023年11月11日に行われた自民党との会談において、「財政再建のためには、歳出削減と税収増の両方が必要だ」と述べました。これは、財政再建には、歳出削減による支出抑制と税収増による収入増の両方が必要であるという、マクロ経済学の基本的な考え方に基づくものです。

これらのエビデンスから、玉木代表はマクロ経済に関する基本的な知識と理解を有しており、マクロ経済政策に関するまともな判断ができると考えられます。

こうしたことから、国民民主党と自民党が連立することは、自民党にとっては経済面では良い影響を及ぼすものと考えられます。

ただ、国民民主党が自民と連立すれば、確かに与党内で経済政策に対して、一定の影響力を及ぼすことはできるものの、現状では、多勢に無勢でまともなマクロ経済対策が実施される状況ではないようで。

この状況では、大きな政治的な動きがあったにしても、結局雲散霧消してしまう可能性が高いでしょう。それは、過去の不況時の政治的な動をみればわかります。

経済が安定しない状況では、国民の生活や将来に対する不安が募り、政治に対する関心も低下します。そのため、政治的な動きは、短期的に盛り上がることはあっても、中長期的には支持を獲得することが難しくなります。

安倍政権は、デフレ脱却と経済成長を掲げ、国民の支持を集めました。コロナ禍においても、安倍・菅両政権で合計100兆円の補正予算を組み、経済対策を実行しました。これにより、他国にみられたような、コロナ禍中の失業率のかかなりのたかまりは日本においてはみられませんでした。

自民党は、政権を安定させるためにも、経済再生に全力を尽くす必要があります。そのためには、財政出動と金融緩和を組み合わせた積極的な経済対策を実施し、インフレ対策や物価高対策にも取り組むことが求められます。

野党も、経済再生に向けた具体的な政策を示すことで、国民の支持を獲得する必要があります。そのためには、政権交代後の経済政策を具体的に示すとともに、自民党の経済政策の課題を明確に批判する必要があります。

いずれにしても、まずは経済が安定しないと、政治の安定も望めないという点は、自民党も野党も共通認識として持つべきです。

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