2014年10月2日木曜日

エコノミストは予測のいい人を選べ―【私の論評】そもそも昨年消費税増税に肯定的だった人の意見など聴いても百害あって一利なし、今は増税できるような状況ではないことは明らか、政府は自ら意思決定せよ(@_@;)

エコノミストは予測のいい人を選べ 

高橋洋一・株式会社政策工房 代表取締役会長


 筆者は、文系が多い霞ヶ関の中で、理系出身だ。理系の中でも数学なので文系からいれば、とんでもなく「理系」だろう。その理系から見た経済政策での不思議を述べよう。
 
 昨年、政府に呼ばれて意見を述べた人の氏名や資料は、ここ(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/tenken/)にある。おそらく日本を代表する学者も含まれている。ところが、彼らの予測は、消費増税しても経済に対する影響は軽微ということだったが、ほとんど当たっていない。それが意味するところは、経済理論を使わずに単なる願望を述べただけか、予測するまでに経済理論を使いこなせてないか、正しく経済理論を理解していないかだろう。

 経済予測を商売とするエコノミストの予測能力も低い。興味のある方は、ここ(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40156)をご覧いただきたい。3ヶ月先の予測について、デタラメにサイコロを振ったのと大差ないくらいだ。この人たちのの多くも消費増税賛成であるが、やはり1年前には消費増税しても経済への影響は軽微であると言っていた。結果としては間違いだった。

 いずれにしても、予測を外した人たちの意見をきいたところで、時間のむだ使いだ。

 ところが、政府は、来年10月からの消費増税を決断するために、再び昨年意見を聞いた有識者に聞こうとしている。

 間違った有識者の意見を聞けば、再び間違う可能性は高い。そのとき、政府はどう言い訳するのだろうか。一度間違った人の意見の逆をした方が、ひょっとしたらいい結果になるかのしれない。ということは、有識者に意見を聞くというのは、消費増税を見送るサインかもしれない。これはちょっと楽観的すぎるかもしれないが。

この記事は要約記事です。この記事の詳細はこちらから(@_@;)

【私の論評】そもそも昨年消費税増税に肯定的だった人の意見など聴いても百害あって一利なし、今は増税できるような状況ではないことは明らか、政府は自ら意思決定せよ(@_@;)

いわゆるエコノミストといわれる人々、GDPはもとより、ありとあらゆる予測を外している人が多いです。

高橋洋一氏は、予測を外した人たちの意見をきいところで、時間の無駄としています。これは、実際そうだと思います。

このブログでも過去にそのようなことは、すでにいくつか掲載してきました。それらの記事のURLを以下に掲載します。
消費増税の影響軽視は危険 エコノミストの根拠なき楽観―【私の論評】民間エコノミストには日本の過去の経済史も、イギリスの先行事例も知らない人が多数存在。そもそも、こんな人たちに先の見通しがたつのか、直近の動向だけで判断して本質は理解していないのではないか(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、高橋洋一氏が、8%増税に関する、民間エコノミストの見方があまりにも楽観的のにすぎることを批判していました。

そうして、以下の記事では、高橋洋一氏が指摘したように、全く楽観的で、8%増税後のGDP予測がもののみごと外れたにもかかわらず、熊谷亮丸氏・木下智夫景気はいずれ回復するし、だからこそ10%増税をすべきことを主張しています。
まったくはずした熊谷亮丸氏・木下智夫氏「今度こそ当とに!年末までは絶対V字回復!なにがなんでも増税だ!」WBS-TL不満大爆発!―【私の論評】無責任民間エコノミストの戯言は、捨て置け(゚д゚)! 

詳細は、この記事をごらんいただくものとして、この記事では、熊谷亮丸氏・木下智夫ともに、消費税増税後のGDPの予測をすっかり外してかなり高く予測していていました。

その彼らが、再び増税しても、WBSで景気は落ちないから、絶対に再増税すべきなどと予測したため、多くの人々から反発をかっていることを掲載しました。

まあ、当然といえば当然です。一度外した人の予測などは、よほどの根拠がない限り、信じるべきではありません。

しかし、上の記事で高橋氏が指摘してるように、政府は、来年10月からの消費増税を決断するために、再び昨年意見を聞いた有識者の意見を聞こうとしています。

この意見聴取は、ほとんど意味を持たないことでしょう。それに、現在の状況であせれば、一部の正しい予測のできなかエコノミストなどを除いて増税すべき状況ではないことは誰の目にあきらかです。

今回、こそは、政府自ら増税見送りを決めていただきたいものです。しょっちゅう予測が外れる人々の意見など聴いても時間の無駄です。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?


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2014年10月1日水曜日

沖縄知事選立候補者が唱える“琉球独立論”の不可解 沖縄出身・兼次映利加氏―【私の論評】沖縄独立を語るなら、その1000倍香港、チベット、ウイグル、内モンゴル、満州の独立を語らなければ、全くバランスを欠く発言となる(@_@;)

ジャーナリスト・兼次映利加氏

 英国からのスコットランド独立の是非を問う住民投票が注目されたが、日本でも沖縄県知事選(11月16日投開票)に絡み、2人の立候補予定者が「琉球独立論」を取り上げている。それぞれ主張は違うが、違和感を持つ県民も多いようだ。沖縄出身のジャーナリスト、兼次映利加(かねし・えりか)氏が考察した。

 独立論を取り上げているのは、元郵政民営化担当相の下地幹郎氏と、経営コンサルタント会社代表、大城浩氏だ。

 下地氏は8月26日、石垣市での講演で、普天間問題について県民投票で決着させる考えを説明し、県民投票の結果を踏まえた日本政府との交渉が決裂した場合には「琉球独立を問う住民投票をやる」と表明した。

 大城氏は4月末に立候補表明した際、「平和と繁栄のため、沖縄は琉球として日本から独立するべきだ」と訴えた。

 私は沖縄で生まれ、大学入学まで沖縄で育ち、現在も頻繁に行き来しているが、地元の知人や友人らの口から直接、「沖縄は独立するべきだ」という意見を聞いたことがない。今回の独立論にも困惑している人は多い。

 チベット生まれの国際政治学者、ペマ・ギャルポ氏は夕刊フジの集中連載「暴走中国」で今年5月、琉球独立論に触れて、「沖縄県民の反基地感情をあおって、沖縄から米軍を追い出すことは、中国が東アジアの海洋覇権を握る戦略の第一歩だ。そして、次にチベット自治区のような『琉球特別自治区』をつくることを狙うだろう」と記している。

 下地、大城両氏の考えとは関係なく、琉球独立論は中国に利用される危険性が高いというのだ。

 ただ、沖縄県民は中国に対する警戒心も強い。

 県知事選に絡んで浮上した琉球独立論だが、前出のペマ氏は「チベットの悲惨な現状を、日本国民、特に沖縄県民には教訓にしてもらいたい」と訴えている。

この記事は要約です。詳細はこちらから(@_@;)
【私の論評】沖縄独立を語るなら、その1000倍香港、チベット、ウイグル、内モンゴル、満州の独立を語らなければ、全くバランスを欠く発言となる(@_@;)

沖縄独立など、あり得ようもありません。これについては、以前のこのブログにも掲載したことですので、その記事のU}RLを以下に掲載します。
「スコットランド独立」は他人ごとでない 沖縄の日本からの分離独立、法的に可能か―【私の論評】日本にとって、沖縄独立は虚妄に過ぎず、スコットランド独立は対岸の火事。しかし、台湾独立それに続く他の中国自治区等の独立は十分にあり得る話(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとしてこの記事から以下に要点のみを掲載させていただきます。

スコットランドの民族衣装を着た女の子
スコットランドの場合は、イングランドと力が拮抗していた頃もあり、過去においては、二度もスコットランド独立戦争がありました。
沖縄と、日本とは過去にさかのぼってもこのような戦争はしたことはありません。そもそも、沖縄独立のアンケートを住民にしたところ、上の記事にもあるように、独立派は4.7%に過ぎず、半数前後にものぼる、スコットランドとは異なり、ほんの少数派に過ぎません。
これでは、独立など考えも及ばないというのが、実体です。それでも、上記の松島泰勝のような馬鹿者もでてくるわけです。
スコットランドの場合は、司法も、教育制度も独自ですが、沖縄はそうではありません。まさに、スコットランド独立問題は日本にとって、対岸の火事に過ぎません。
このブログでは、ギリシャの破綻は、日本にとっては対岸の火事であるという記事を掲載したことがありますが、沖縄独立もまさにそうです。
こんなことを語れば、どこが喜ぶかははっきりしています。無論、中国です。
しかし、沖縄独立などという妄想は、中国にとっても悩ましいところです。なぜなら、上の記事には「日本の承認がなくても諸外国がこぞって独立に賛成すれば成功するかもしれませんが、多くは国内に分離独立運動を抱えており、よほどの大義がないと二の足を踏むはずです」ということがかかれていますが、これは中国にもあてはまることだからです。
中国の、チベット、ウイグル、内モンゴル、満州、台湾はもともと、言葉も、文化も習慣も違う他国であり、これを中国が後から侵略して奪い取り、チベット自治区、新疆ウィグル自治区、内モンゴル自治区、中国東北部としたものです。
中華人民共和国設立後の支那
もうここまで、掲載すれば、私の言いたいことなどおわかりでしょう。そうです。沖縄の独立を語るというのなら、それをはるかにしのぐ1000倍程度は、チベット、ウイグル、内モンゴル、満州の独立について語らなければ、バランスを欠くということです。

それと最近では香港における、中国側による弾圧が明らかとなっており、これでは香港も中国とおなじになってしまうということで、そんなことはさせじと、香港市民がででデモを繰り返しています。

これについては、以下の記事をご覧ください。
香港民主化デモの背景、「一国二制度」に不信強まる
香港は、1990年代まではイギリスの領土であり、中国に返還されてからも、香港の独自性はたもたれてきましたが、これも中国政府によって、終止符が打たれそうです。



しかし、これだって、本来は香港市民の声を良く聞いてから、判断すべきことです。

これは、当たり前のど真ん中です。そもそも、沖縄の独立を望む人など、沖縄住民の中にはほとんど存在しないわけですし、香港、チベット、ウイグル、内モンゴル、満州に関しては、もともと中華人民共和国とは別の国です。

それらを、香港以外は、中華人民共和国が、武力によって侵略し現代の中国の版図に無理矢理におさめてしまったものです。そうして、まさに今香港の独自性、独立性が中国政府によって、毀損されようとしています。

下地幹郎氏と、大城浩氏と、その他沖縄の独立を語る人たちは、こうした国々の中国からの独立について、沖縄独立の1,000倍語って、はじめて、バランスのとれた発言になります。

それをしないで、沖縄独立だけを語るというのなら、著しくバランスを欠いており、外患誘致罪とか、支那のスパイあるいは、ど変態などと言われても仕方ないと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年9月30日火曜日

アメリカのオヤジが驚愕した“日本のすごいところ”―【私の論評】テキサス・オヤジは日本に特異な「霊を重んじる」精神を称賛している(@_@;)




「テキサス親父」と呼ばれている人物を知っているだろうか。アメリカの通信会社で30年間働き、定年退職後は動画サイトでの評論活動を行っているのが、「テキサス親父」ことアメリカ人のトニー・マラーノ氏だ。シー・シェパード問題についての動画をYouTubeでアップしたことをきっかけに、日本に興味を持ったトニー・マラーノ氏は、アメリカ保守主義者の立場からアジアの政治問題などにも言及し、その論説が話題となっているのだ。

『テキサス親父の熱血講座 日本は世界一だ!宣言』(テキサス親父/著、扶桑社/刊)では、「対世界」を軸に独自の日本論を展開し、「日本ははたして平和ボケしているのか?」「日本はガラパゴスなのか?」などのテーマをQ&A方式で紹介する一冊だ。

トニー・マラーノ氏は、日本のどんなところがすごいと感じているのか。ここではいくつかのQ&Aを挙げていく。

Q、日本のインフラや治安の在り方について、どう感じましたか?
A、ありえないよ!もちろん良い意味でな!

日本の鉄道網は非常によく整備されている。新幹線の外装もすごくきれいで、垢だらけのフランスのTGVとは大違いだったという。日本は国中どこに行っても自転車があるが、駅の駐輪場で後ろをパチッと止めて置くだけでOK。海外に比べて、治安がいいことは日本の誇れるところのひとつなのだろう。

Q、テキサス親父はクリスチャンですが、日本人の宗教観についてどう思いますか?
A、信仰の自由があって、なおかつほかの宗教にも寛容なのは素晴らしい。アメリカじゃ考えられないよ!

日本では、誰が何を信仰しようと咎められることは少なく、他の宗教を尊重したうえで、自分たちの宗教も卑下しない。これは立派なことだという。トニー・マラーノ氏は「俺は日本に来るたび、アメリカの息苦しい宗教観から解放されるんだよ」と語っている。

時間ちょうどに来る電車。駅前の駐輪場に自転車を止めて備え付けの鍵を掛ける。宗教に寛容であること。こういった日本では当たり前のことが、海外では決してそうではない。

日本が誇れることやアジアの政治問題など、アメリカ保守主義であるテキサス親父の論説は、改めて、日本人、日本という国を客観的に見ることができる。普段見ている視点とは違った角度からの新たな発見があるはずだ。

(新刊JP編集部)

以上は、要約記事です。詳細はこちらから!

【私の論評】テキサス・オヤジは日本に特異な「霊を重んじる精神」を称賛している(@_@;)

テキサス親父の新しい書籍なかなか面白そうです。確かに、日本人は宗教に寛容すぎるくらい寛容です。それは、本当に良いところです。しかし、上の記事では、なぜ日本人が宗教に寛容なのかは説明されていません。

おそらく、書籍においても、解説されていないか、されていたとしても、詳細は掲載されてはいないと思います。

日本が世界の他の国との最大の違いは、日本以外の国の人々が、宗教を信奉しているにもかかわらず、日本人は宗教とはいえない、それよりももっと奥の深い神道を信奉しているからです。

信奉というよりは、子どものころから潜在意識の中に埋め込まれ、無意識のうちにかなり影響されているといえると思います。

これがテキサス親父のいう、宗教への寛容さにつながっています。

世界の民族学者などは、日本の神道について、シャーマニズムとアニミズムが混然一体となものと解釈しています。

シャーマニズムは本来ツングース諸部族や日本などで見られる憑依による神託とそれに伴う考え方・信仰を定義したもので後に脱魂などで行われるトランス状態に関しても含める様な説も登場しその定義は広がっていますが基本的にアジア目線で登場した定義です。

アニミズムはイギリスの人類学者タイラーによって造語されたものでラテン語の「アニマ」をもじった言葉です。

アニミズムは物質・生物に関わらずすべてのものには魂が宿るという考え方を指しています。

アニミズム、シャーマニズムを信奉する人たちは、未開の地ではまだみられる

しかしシャーマニズムの定義付けと最も違うのはアニミズムが幼稚な未開社会で発生した原始的な宗教観と下点です。

シャーマニズムにも西洋での研究にはアニミズムと混同する人もいるためにそうした傾向で見る人もいますがアニミズムは始まりからそうした視点で考えられた説です。

そこにはキリスト教が先進の宗教でそれ以外は未開の原始宗教という偏見から抜け出せない西洋人の特有の思考がありヨーロッパ・アメリカの人類学・民俗学の悪い傾向です。

日本の神道で言えばアニミズム的な自然信仰とシャーマニズム的な物が渾然一体になっていますが、今も信仰する宗教に関わらず日本人にはアニミズム的な思考があります。

そうして、世界にいわゆる宗教が普及する前には、どの地域にもアニミズム、シャーマニズムが根付いていました。しかし、文明化と宗教は不可分に結びついて、文明化された地域においては、アニミズムとシャーマニズムは姿を消しました。

今でも、アニミズム、シャーマニズムが息づいている地区もありますが、そのほんどはいわゆる文明化されていない、未開の地です。

ただし、未開の地ではないところが、例外的にあります。それが、日本です。

日本では、アニミズム、シャーマニズムが宗教にとって変られることなく、継続されている稀有な国です。しかも、そのアニミズム、シャーマニズムが伝承されるだけではなく、高度化され洗練化され今の形となり、神道という形に昇華されています。

特に日本人が、霊を重んじるという精神は今でも変りません。そうして、これが中韓をはじめとする他国との大きな違いであり、日本人の寛容さの原点でもあります。

それに関しては、このブログにも以前掲載したことがありますので、その記事のリンクを以下に掲載します。
「中韓」とは異質な日本人の「精神世界」…仏作家は「21世紀は霊性の時代。日本は神話が生きる唯一の国」と予言した―【私の論評】日本は特異な国だが、その特異さが本当に世界の人々に認められ理解されたとき世界は変る。いや、変わらざるをえない(゚д゚)!
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事の結論部分を以下に掲載させていただきます。
このように、神話が現代なお生きているのが日本であり、日本それ自体が、神話そのものの国で、他国の影響を吸収し切って、連綿たる一個の超越性を保つ国が日本であり、霊性の根源に万世一系の天皇制がある国が日本なのです。そうして、マルローが指摘したかどうかは、わかりませんが、日本では、過去が現在に現在が未来につながっているのです。そうなのです。霊的に時間を超越してつながっているのです。私たちの霊は、この悠久の流れにつながっているのです。こんなことは、当然であり、だからこそ、マルローも指摘しなかったのかもしれません。
京都府神道青年会が主催したバスツアー「神主さんと行く 
伊勢参宮」。女子大生107人が応募に殺到したといわれます。
私たち日本人は、このような国日本に誇りを持ち、自信を持ち、世界に日本の素晴らしさを伝えてていくべきです。日本のやり方が、世界伝わりそれが理解されれば、世界は変わります。
日本以外の国々では、昔はいわゆる宗教戦争なるものが普通に存在し、現在でも、宗教的対立は世界中に存在し、世界中で戦争の火種となっています。

このような状況、日本のように宗教ではない、神道がバックボーンとなっていような国からは、理解できないことです。

私たち日本人からすれば、宗教の違いや、考え方の違いであそこまで、いがみあうこと自体が理解できません。

いわゆる宗教には、限界があるのです。この限界は、20世紀にもありましたが、21世紀にはますます顕著になり、世界中に禍をもたらし続けるものと予測できます。

だから、仏作家マルローは「21世紀は霊性の時代」として、宗教は終焉を迎えることを予言したのです。

今世紀において、根本的なものの考え方として、霊を重んじるという日本人の考え方は、脚光を浴びるととともに、規範となる可能性も大きいです。

宗教と、自分たちの思考方法にのみ拘泥する、日本以外の国々では、次世代を担う本当に斬新な考え方など、出てこないと思います。

とはいいながら、日本は今はデフレが長期にわたって継続し、いろいろなところにひずみをもたらしていて、多くの人々は閉塞感にさいなまされていることと思います。

しかし、これらの問題は実はそう大きなものではありません。宗教的対立がないとか、宗教などに縛られない自由な発想方法ができるということのほうがはるかに素晴らしいことです。これは、他国には絶対にできないことです。

日本人の霊を重んじる精神は、神道として昇華されてきた

このような日本人や日本の特性を感じるからこそ、テキサス親父は、『日本は世界一だ! 宣言』という書籍を書籍をだしているのです。

これは、単なる知日派、親日派の意見というだけではなく、日本の特異性、それも世界に誇り、規範ともなるべき「霊を重んじる」精神を称賛しているということにほかなりません。


私たちの「霊を重んじる精神」は、古から継承され、未来に向かって継承されていくのです。私たちの精神は、古から未来に向かってつながっているのです。このようなわたしたこれからも悠久の歴史の中に燦然として輝き続けるどころか、さらに輝きを増すことでしょう。

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2014年9月29日月曜日

【NewsPicks】経営学は経営の役に立つのか第2回 ビジネスにおける「学者」と「理屈」の意義―【私の論評】経営には原理・原則がありそれを多くの人々が知ることにより、社会は確実に変わる。しかし、知識ある者は、常に理解されるように努力する責任があることを忘れてはならない(゚д゚)!

【NewsPicks】経営学は経営の役に立つのか第2回 ビジネスにおける「学者」と「理屈」の意義

理屈じゃないから、理屈が大切

今回は、「なぜ学者が実務家とやり取りすることに意義があるか」について説明していきましょう。

最初に下図をご覧ください。理屈(論理)と理屈でないものの比率は一緒です。8割は理屈では説明がつかないにしても、ビジネスのもろもろのうち2割は、やはり何らかの理屈で動いているわけです。「ここまでは理屈だけれども、ここから先は理屈じゃない」というように、左から右へと考えてみてください。すると、「理屈じゃないから、理屈が大切」という逆説が浮かび上がってきます。
ストーリー_図01-2ai-01



何が理屈かをまるでわかっていない人には、「理屈じゃない」ものが本当のところ何なのかもわかりません。私も実務家の方々と議論しているときに、「まぁ、理屈としてはそうですが、現実は理屈じゃないので……」と言われることが少なくありません。しかし、私の経験からすれば、「現実は理屈じゃない」という声に迫力を感じる実務家に限って、総じて理屈っぽく、論理的なのです。

「いやー、ビジネスなんて理屈じゃないよね」ということで、のっけからけもの道を爆走しているだけでは、肝心の野性の勘をつかめないはずです。

野性の嗅覚が成功の8割にしても、2割の理屈を突き詰めている人は、本当のところ何が「理屈じゃない」のか、野性の嗅覚の意味合いを深いレベルで理解しています。「ここから先は理屈ではなくて気合だ」というふうに気合の輪郭がはっきり見えています。だからますます「気合」が入り、「野性の勘」に磨きがかかる。「理屈じゃないから、理屈が大切」なのです。

経営や戦略を相手にしている以上、法則定立は不可能です。しかし、それでも論理はある、「論理化」は可能だという主張です。ストーリーとしての競争戦略も「法則はないけれども、論理はある」という立場に立って、優れた戦略ストーリーの論理を明らかにすることを目的としています。

そして、その論理というのは、「イノベーションが大切だよね!」というほど元も子もない話ではありません。もう少し考えてみたほうがいい何か、しかもそれは実務の「けもの道」を走っているだけでは、なかなか見えない何かなのです。


楠木 建
一橋大学教授








上の記事は要約記事です。詳細は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】経営には原理・原則がありそれを多くの人々が知ることにより、社会は確実に変わる。しかし、知識ある者は、常に理解されるように努力する責任があることを忘れてはならない(゚д゚)!

News Picks ロゴ


皆さんは、NewsPicksをご存知でしょうか。新しいタイプのニュース・サイトです。今まで、いろいろなニュース・サイトのアプリをパソコンや、スマホ、タブレットで使用してみましたが、結局長続きせず、最初は見ても、後からはほとんど使わなくなるということがほとんどだったのですが、このサイトはこれからも使い続けると思います。

日本国内の、いわゆる普通のメディアなどに掲載されている犯罪・災害などのニュースは掲載されていませんが、主要なニュースをほぼ網羅されています。これは、犯罪などに関しては、サイトでみるまでもなく、通常のニュース・メデイアで十分であるとの考えでわざわざ掲載しないのだと思います。

しかし、通常のメディアだけだと、見逃してしまいそうにもかかわらず重要なものが掲載されているようです。そうして、この方針は良いと思います。

御嶽山の噴火のニュースなど、サイトで長々と、何度も掲載されても、確かにあまり意味はないと思います。そんなのは、テレビで十分です。

そうして、このサイトの魅力は何といっても、twitterとの連携がすごいことです。それも、ただ単に、twitterにニュースに関するコメントを掲載できるというだけではありません。なかなか優れものの機能があり、使い勝手かかなり良いです。

この使い勝手の良さもあってか、結構有名人も使っています。あの堀江貴文さんなども使っています。

これは、言葉で説明しても、なかなかご理解いただないと思いますので、是非一度ご覧になって下さい。以下にリンクを掲載しておきます。


さて、前置きが長くなってしまいましたが、本日の主題は、NewsPicksの紹介を兼ねては、いますが、それが本題ではありません。

本題は、このニュース・サイトに掲載されていた、連載企画であるブログ冒頭の記事です。

私は、この記事に興味をひかれたので、読了後すぐにコメントしました。

本日は、まずはそのコメントの内容を以下に掲載します。
私は、経営学を専攻はしませんでしたが、学生の頃からドラッカーの書籍を読んで、感動し経営学がドラッカー氏が語っているようなことを意味するのであれば、経営学は本当に役に立つと確信しています。
特に、最近では、企業内の資料である『新・時流人』という会長のお言葉をまとめた、書籍の原稿を執筆しましたが、その時にも非常に役にたちました。会長の言葉の真の意味が、ドラッカーの書籍ではこういうふうに掲載されているという具合に確認することができました。

執筆した書籍の表紙

書籍ができあがってから、結局書籍の八割が、表現は異なるものの、ドラッカー氏のいう経営の原理原則であり、後の二割が、会長ご自身の哲学のようなものということに気付きました。
しかも、会長自身は、あまりドラッカーの書籍を読んでいるといこともないようでしたので、経営には原理原則というものがあるという結論に至りました。
しかしながら、こうした会長が原理原則を自らの経験を踏まえて、誰にでも解りやすく平易な言葉で語っていたことには、改めて感動を覚えました。いくら原理原則を知っていても、それを本当に理解してもらうには、ただ原理原則を語れば良いというものではありません。多くの人々に理解できる言葉や、事例を用いなければ、誰も納得しません。
最近もドラッカー氏の"Management revised edition"を読みましたが、構成や力点の置き方が多少異なり、事例などが新しいものに置き換わっているものもありましたが、原理原則はそのままで、今でも十分に通用するもであると思いました。
経営学か全く役にたたないという方は、ドラッカー氏の書籍を読んだことがないか、読んだとしても、その本質を理解していないということではないかと思います。あるいは、教える側にも問題があって、うまく伝わらないだけではないかと思います。
そうして、ドラッカー氏の書籍を読んでいて感じるのは、まさに、経営に法則や定理はないということです。こんなものがあったら、誰も苦労しません。しかし、それでも原理・原則はあるということです。
そうして、原理・原則に従い日々の問題に取り組めば、それを知らないよりは、はるかに様々な事柄に対処しやすくなります。
私は、多くの人々がドラッカー氏が語っていたような、経営学の本質を学べば、社会は随分変わってくると思います。
私は、経営学という学問を正式に学んだことはありませんが、ドラッカー氏を抜いて現代の経営学を語ることはできないと思います。

ドラッカー氏のように、経営学の原理・原則について考えぬいた人はいないのではないかとさえ思っています。
ドラッカー氏


なぜなら、現在であれば、多くの人々が、ドラッカー氏のマネジメントにおける原理・原則を下敷きとして、様々な現象を説明したり、理解したり、積み上げたりすることが容易にできますが、その下敷きを創った人がドラッカーです。

ドラッカー氏以前にも、マネジメントについて考えた人は大勢いますし、先人の研究があったからこそ、ドラッカー氏もマネジメントの体系化ができたのではありますが、どれも部分的であって、全体像に関して考察して、体系化したのはドラッカー氏がはじめてだからです。

今の私達は、このようなものがすでにあるのですから、マネジメント関連のことで、いろいろ考えたり、疑問などがあった場合には、他の書籍や、コンサルタントにあたる前に、まず一度はドラッカー氏の書籍を熟読するべきと思います。

熟読すれば、必ずそこには、すくに役立つことや、すぐにではなくても、いずれ役に立つ原理原則がみつかるはずです。無論、特定の事柄にすぐに役立つ法則や定理などはみつかりませんが、多くの事柄に適用できる、珠玉の原理原則が散りばめられていことに気づくはずてす。

そうして現代の私達が最も気をつけなければならないことは、ドラッカー氏の語る以下の言葉です。
知識ある者は、常に理解されるように努力する責任がある。知識労働者は、直接にものを生産するわけではない。
生みだすアイデアや情報を誰かに使ってもらうことで、いわば間接的に生産する。だから、市場を理解すると同時に、組織における上下左右の人間が何を必要としているかを知らなければならない。さらに、自分のアイデアの内容や情報の価値を彼らにわかってもらう事が不可欠だ。
現在の仕事は、従来から比較すると、どの仕事も高度な知識労働となっています。だから、多かれ少なかれ、どの人の仕事もある程度以上は専門的になっています。現在では、ある人の仕事は、別の人にとっては、すぐに理解できるような簡単なものではありません。

特定の専門的知識を有する人々の中だけで、話が通じて事が足りるということはないのです。多くの人々にわかってもらえなければ、専門化した現在の知識は全く役に立たないのです。だからこそ、伝えることが本当に重要になってくるのです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年9月28日日曜日

「孔子学院」にノー 米シカゴ大、契約打ち切り―【私の論評】中国の思想侵略にノーをつきつけたシカゴ大!学問の独立を守るということはこういうことだ。日本の大学も見習え(゚д゚)!

「孔子学院」にノー 米シカゴ大、契約打ち切り

シカゴ大学キャンパス

米シカゴ大学は27日までに、学内の中国語教育機関「孔子学院」との契約更改交渉を打ち切ったと発表した。中国政府の方針に基づく運営が「学問や言論の自由を脅かす」として、多数の教授が連帯し、学院の閉鎖を求める運動が起きていた。名門シカゴ大の決定は、孔子学院を抱える他の大学にも影響を与えそうだ。

大学の担当者によると、孔子学院との契約は9月末で切れるため、既に予算が拠出された講座や研究計画の終了後、閉鎖される公算が大きい。

孔子学院は中国の「ソフトパワー」拡大の拠点として中国政府が全面的に出資し、世界各国の大学に開講されている。一方で運営をめぐるトラブルも相次ぎ、米大学教授協会は「中国政府の一機関」と批判、各大学に契約の打ち切りを促す声明を出している。

【私の論評】中国の思想侵略にノーをつきつけたシカゴ大!学問の独立を守るということはこういうことだ。日本の大学も見習え(゚д゚)!

孔子学院に関して、このブログも取り上げたことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
【自治体が危ない】福岡県太宰府市が外国人に住民投票権付与を検討 制定全国で進む―【私の論評】韓国のプロパガンダは国際問題だけではない、日本国内でも密かに進行しているということを忘れるな(゚д゚)!
毎年太宰府天満宮で開催される曲水の宴
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事で、孔子学院に関する部分のみを以下に掲載させていただきます。
欧米などの第三国に対しては「政府よりも学者、有識者、記者による発信」を積極的に利用、欧米主要メディアに「中国の発信に影響を受けた報道がある」という。さらに、国営中国中央テレビ(CCTV)の多言語チャンネルや、世界120カ国で1086校に及ぶ中国語・文化教育拠点「孔子学院・課堂」が「独自の主張を重層的に発信している」と記した。中国は2020年までに孔子学院・課堂を全世界に配置する構えだ。
ちなみに、あの石平氏はこの出来事について、以下のようなコメントをしています。
wikipediaには以下のよう概要が掲載されています。これは概要なので、詳細を知りたい方は、wikipediaをご覧になって下さい。
孔子学院(こうしがくいん)は中華人民共和国が海外の大学などの教育機関と提携し、中国語や中国文化の教育及び宣伝、中国との友好関係醸成を目的に設立した公的機関。
教育部が管轄する国家漢語国際推広領導小組弁公室が管轄し北京市に本部を設置し、国外の学院はその下部機構となる。
孔子の名を冠しているがあくまでも語学教育機関であって、儒学教育機関ではない。
 なお、孔子77代目の嫡孫である孔徳成が1949年に移住して以降、孔子直系の系譜は中華民国に居住しており(2009年9月以降は孔子79代目の嫡孫、孔垂長が世襲職大成至聖先師奉祀官となっている)、孔徳成が重慶で主宰した孔学会と孔子学院とは歴史的な繋がりは存在しない。
カナダにある孔子学院

さて、この孔子学院、表向きは単なる語学研修機関のようでもありまずか、いろいろと問題があります。

孔子学院は、全世界の各国で中国語や中国文化の教育を広めることを目論見として、ほとんどは大学内部に設置され、資金や教員は中国持ちです。世界で1000校以上、日本でも立命館大や早大、桜美林大など10数大学にあります。

こちら札幌でも、私立札幌学院大学に、孔子学院が設置されています。下は、その入口の写真です。

札幌大学孔子學院 香港教育学院一行与札幌大学孔子学院师生的合影
教師は原則として、現地採用ではなく中国国内から派遣され、教科書も全て中国当局の作成したものを 使用しています。

政府主導で自国の言葉や文化を広める組織としては中国の孔子学院だけではなく、英国のブリティッシュ・カウンシルや、フランスのアリアンス・ フランセーズなどがあります。しかし、ほとんどは独立した語学学校という形を取っていますし、あくまでも語学学校です。

しかし、孔子学院は各国の大学と提携し、その大学の中で授業を行っています。教師の給料などの費用も中国政府が支給し、 採算を完全に度外視していることが最大の特徴です。

中国の教育関係者は「大学の中に設置されていると、学生たちは、孔子学院の授業はその国の公的教育の 一環と理解しがちだ。また、その方が中国の価値観と文化を浸透させやすい」と話しているそです。

孔子学院に詳しい中国共産党関係者によると、同学院がつくられた背景には、1989年の民主化を弾圧した 天安門事件があるといいます。

事件後、海外に亡命した多くの知識人は各地で中国語教室を開きました。 言葉を教えると同時に中国共産党の一党独裁体制をも批判しました。「このままでは世界中で反中分子が増える」 と焦った中国当局が、その対策として孔子学院の設置に取りかかったとされています。

かつて中国教育省の高官は講演で、「わが国の外交と対外宣伝工作の重要な一部だ」と強調したように、孔子学院は、中国政府の政治宣伝の一翼を担っているのは周知の事実です。中国当局の価値観を現地の学生に押しつけるなど、これまでも各国で批判されてきましたし、米国のニューヨーク大では大学への強い圧力で中国の人権活動家を追放したことなどが大問題となりました。何かと大学に影響力を行使しようとす姿勢が「学問の自由」との兼ね合いで問題となっているのです。

こうした孔子学院に対しては、2012年には米国で、同学院の講師の査証(ビザ)更新が一時認められなかったこともありました。今年の5月には、シカゴ大学の教授100人以上が、同大学に設置された孔子学院の今年9月の契約更新反対の署名活動を行ったというニュースが流れていました。

請願書には、「中国政府の意向で大学職員や講義内容が決定するのは『学問の自由』に反する」と批判し、昨年7月に閉鎖されたカナダの大学でも、派遣された中国語教師たちが天安門事件や台湾問題などに触れぬよう指示されていた、と指摘していました。

中国政府から中国語教師と中国語教材が無償で提供されるため、経営にゆとりのない大学にとっては魅力のある教育機関かもしれません。しかし、「工作機関」という側面を忘れてはいけません。日本の大学はそこらあたりをどう考えているのか。おそらく何も考えていないのが実態でしょう。

アメリカの孔子学院大学の女子学生
それにしても、シカゴ大学の今回の判断は正しかったと思います。シカゴ大学は名門といわれる大学です。私も実際にシカゴ大学の講義をオンラインで受講したことがあります。素晴らしい内容でした。

アメリカの思想を押し付けるなどということはなく、純粋に学問的でありながら、かなり実用的な内容のものでした。明らかに日本の大学のものとは異なると思いました。


このような名門大学が下した決断、他の大学にも影響を及ぼすものと思います。

日本の大学なども、こうした中国による思想侵略に対しては、断固としてノーをつきつけるべきです。

シカゴ大の女子学生
確かに、日本の地方大学など、予算も厳しいですが、それと学生が教育を受ける権利とは別次元の問題です。特定の、それも明らかに間違っている思想などを学生に押し付けるべきではありません。それが、学問の独立を守るということです。

シカゴ大学が、名門であるのは、単に伝統があるとか、卒業生が各方面で働いているとか、それだけが所以ではないと思います。学問の独立を守るために、今回のように毅然とした態度で具体的な行動で対処してきたことによるものと思います。

日本の大学もこのような行動をせずに、ただただ中国の思想侵略を受け入れるのであれば、いずれのに日にか、朝日新聞やNHKのようになってしまい、国民の信頼を失い社会から離反され、存続さえ危ぶまれるようになってしまうと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年9月27日土曜日

【日本人の座標軸(9)】利己欲、大衆迎合、ゆとり教育、欲望の肥大化…「日本の自殺」から学ぶ4つの教訓―【私の論評】日本は自殺しつつあるのか? 本当に自殺しつつあるのは中国ではないか?『中国の自殺』が相応しいタイトルではないか!!

【日本人の座標軸(9)】利己欲、大衆迎合、ゆとり教育、欲望の肥大化…「日本の自殺」から学ぶ4つの教訓

画像はブログ管理人挿入 以下同じ


神戸に単身赴任していた昭和50年頃のことである。帰宅途中にふらっと立ち寄った書店で、「グループ1984年」という匿名グループが執筆している「日本の自殺」と題した論文が掲載された『文藝春秋』に出会う幸せに恵まれた。以下はその要点である。

過去6千年間における21の文明について、栄枯盛衰の歴史のドラマを比較研究した。諸文明の没落の原因を探り求めて、われわれの到達した結論は、あらゆる文明が外からの攻撃によってではなく、内部からの社会的崩壊によって破滅するという基本的命題であった。

トインビーによれば、諸文明の没落は宿命的、決定論的なものでもなければ、天災や外敵の侵入などの災害によるものでもない。それは根本的には「魂の分裂」と「社会の崩壊」による「自己決定能力の喪失」こそにある。

第1の教訓は、国民が狭い利己的な欲の追求に没頭して、自らのエゴを自制することを忘れるとき、経済社会は自壊していく以外にないということである。

第2の教訓は、国際的にせよ、国内的にせよ、国民が自らのことは自らの力で解決するという自立の精神と気概を失うとき、その国家社会は滅亡するほかないということである。

福祉の代償の恐ろしさはまさにこの点にある。エリートが精神の貴族主義を失って大衆迎合主義に走るとき、その国は滅ぶということである。

およそ指導者は指導者たることの誇りと責任とをもって言うべきことは言い、なすべきことはなさねばならない。

第3の教訓は、年上の世代はいたずらに年下の世代にこびへつらってはならないということである。若い世代は、古い世代との厳しいたたかいと切磋琢磨のなかに初めて成長していくものである。

古い世代がやたらに物わかりよくなり過ぎ、若者にその厚い胸を貸し、鍛えてやることを忘れるとき、若者はひ弱な精神的「もやしっ子」になるほかない。

第4の教訓は、人間の幸福や不幸というものが、決して賃金の額や、年金の多少や、物質の豊富さなどによって計れるものではないという極当たり前のことである。

欲望は際限なく広がり、とどまる所を知らないものである。欲望の肥大化のサイクルから解放されて自由にならない限り、人間は常に不平不満の塊りとなり、欲求不満にさいなまされ続け、心の安らぎを得ることはないであろう。

足立勝美(あだち・かつみ)兵庫県立高校教諭、県立「但馬文教府」の長、豊岡高校長などを務め、平成10年に退職。24年、瑞宝小綬章受章。『教育の座標軸』など著書多数。個人通信「座標」をホームページで発信。養父市八鹿町在住。鳥取大農学部卒。76歳。

この記事は、要約記事です。詳細はこちらから。

【私の論評】日本は自殺しつつあるのか? 本当に自殺しつつあるのは中国ではないか?『中国の自殺』が相応しいタイトルではないか!!

この記事を書かれた、足立勝美氏の元記事では、「日本の自殺」に関して、要点と感想も書かれています。上の要約記事では、足立氏の感想はカットさせていただきました。

この「グループ1984年」という匿名グループが執筆している「日本の自殺」と題した論文が掲載された『文藝春秋』ですが、今は手に入りませんが、この論文そのものは、書籍かされていて、現在でも手に入るようです。

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Amazonで調べて見ましたが、やはり手に入るようですが、現在は品切れ状態のようです。ただし、また入荷するようです。

足立氏による元記事は、日本のことを事例として、たとえば数年前にミイラ化された死体が見つかり、親の死後も年金をもらい続けていた話、民主党政権の話などを事例として感想を述べています。

この書籍の内容は、読んではいないので、書籍そのものに関する論評はしませんが、足立氏の記事に関する論評をしようと思います。

この記事の元になっている論文では、21の文明を検証したとしています。その中には当然中華文明も含まれていることでしょう。

1970年代といえば、日本は上記で示すような様々な矛盾が出ている時代でした。しかし、中国では鄧小平のよる改革・開放路線が始まったばかりで、経済的にも軍事的にもとるにとらない存在でした。

しかし、後でわかったことですが、中国では2010年くらいまでは、毎年平均で暴動が他2万件ほど発生していました。だから、この当時も暴動がかなり発生していたのだと思います。

そうして、経済発展したことを除けば、今と変わらぬ日本などからは理解も及ばない、異質な世界であったと思います。

ただし、当時はインターネットもないですから、人々の伝聞による不確な情報しか得られず、中国の筆舌に尽くし型ほどの異質性はほとんど理解されていなかったのだと思います。

だから、この論文にも、その当時の中国の記載などもあまりなく、日本のことが中心になったのだと思います。

現代中国を念頭におきながら、『日本の自殺』の内容をみてみると、まさに、これは日本というより、現代中国により多く当てはまっているようです。

まず、第1の教訓については本当に現代中国に当てはまっています。

国民が狭い利己的な欲の追求に没頭して、自らのエゴを自制することを忘れるとき、経済社会は自壊していく以外にない。

これは、不動産バブルが崩壊した、現代中国そのものです。とにかく、現代中国人は自らのエゴを自制することもできず、経済社会が自壊しつつあります。これなど、裸官の話一つとっても明らかです。

中国の裸官を揶揄した漫画
中央政府や、地方政府の官僚がこの有り様ですから、一般人民も似たようなものです。とにかく、金になれば何でも良いということで、地溝油なる酷いものを人に平気で売りつけたり、安全でない食品を儲けのためなら平気で売るし、他商品のコピーなども平気で日常茶飯事のことです。


中国の地溝油の業者

日本でも似たようなこともありましたが、それにしても、中国のこれらの危険な食品の間口の広さと、奥行きの深さには、驚かされ、唖然として、怒りを通り越して絶望的になります。私は、今なら中国に行っても、中国のレストランの食事はしないと思います。

第2の教訓も良く当てはまっています。国民が自らのことは自らの力で解決するという自立の精神と気概を失うとき、その国家社会は滅亡するほかないのですが、中国では建国以来いわゆる選挙というものが一回も実施されたことがありません。

それも、国単位でもありませんし、地方レベルでもありません。

国民が自らのことは自らの力で解決しようにも、そもそも選挙権がないということでは、自分たちに関わる大きなことなど、ほとんど何もできません。

厳密な意味において、中国には政治家は一人も存在しません。なにしろ、選挙がないのですから、中国に存在するのは、官僚のみです。この第2の教訓も、ドンピシャで現代中国にあてはまります。

第3の教訓は、年上の世代はいたずらに年下の世代にこびへつらってはならないということですが、現代中国はご存知のように、一人っ子政策を実施してから随分たちますし、現在でも実施中です。

そのため、多くの子どもがかなり甘やかされて育ち、自己主張が強くなっています。そのため、子どものことを小皇帝と呼ぶ有り様です。子どもの頃から甘やかされて育った子どもどうなるのか、想像にあまりあります。

子どもの頃から甘やかされて育った小皇帝

軍事評論家の、井上和彦氏は、「戦争になったら一人っ子の兵士は我先に後方へ逃げていく」としています。これに関しては、以下の動画をご覧になって下さい。



第4の教訓は、人間の幸福や不幸というものが、決して賃金の額や、年金の多少や、物質の豊富さなどによって計れるものではないというものですが、現代中国は、1907年代から始まった鄧小平主導による改革により、すっかり金銭的な尺度のみが定着し横行してしまいました。

鄧小平の改革のスローガンは、「富めるものから富め」というものですが、確かに富裕層ができたものの、貧困層も増える一方で、今の中国はとんでもない状況になっています。

現状では、「富めるものから富め」というスローガンがそのまま生き残り、富の偏在化がさらに拡大されているだけです。

こうみてくると、1970年代に発表された「日本の自殺」は、「現代中国の自殺」を言い当てているのではないかと思えてくるほどです。

足立氏は、民主党政権を例に出して、「鳩山、菅、野田と続いた民主党政権はこのとおりであった。いま振り返ってみると全く、ひどかった。何も決めないし、決められなかった。この様子を、かつての野田首相からとって“のだる”という流行語が若者の間で流行したものだ」としています。

私自身としては、あのトンデモない民主党政権を誕生させてしまいながらも、日本が内乱状態にもならず、日本という国体も崩さず、結局崩壊してしまったということを評価しています。

日本は、民主党政権という愚かな政権が政権の座についても、何とか統治された、まともな国だということです。

それが、間違いか正しいかは別にして、現中国で政権交代など絶対に起こりえません。体制が崩壊して、新しい体制になることは、あっても現体制の中で、民主的な手続きによって、それまでとは全く異なる政権が新しい体制を創りだすなどということはありません。

こうしたことを考えると、日本は素晴らしい国だと思います。

そうして、私達としては、確かに「日本の自殺」による教訓は、現代では日本よりは、「中国」のほうが当てはまるのですが、これを他山の石として、日本のことを考えていくべきと思います。

その意味では、『日本の自殺』は多いに参考になる論文であり、今なお読まれ続けているのだと思います。

私は、そう思います。皆さんはどう思われますか?

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