2016年2月20日土曜日

英離脱防止のEU改革案 全会一致で合意―【私の論評】人口7千万人台で都市部が焼け野が原でも高度成長した移民大国日本にもう移民は必要ない(゚д゚)!



EU=ヨーロッパ連合の首脳会議は、イギリスのEUからの離脱を防ぐための鍵を握るEUの改革案について全会一致で合意し、これを受けてイギリスのキャメロン首相は離脱の賛否を問う国民投票をことし6月にも実施する方針です。

イギリスではEUの規制や政策に対する国民の不満が高まっていて、キャメロン首相はEUの改革について各国の合意を取りつけたうえで、離脱の賛否を問う国民投票を行う方針を示してきました。

この改革案を巡って、ベルギーのブリュッセルでEUの首脳会議が開かれてきましたが19日夜、各国は全会一致で採択しました。

これを受けてイギリスは、ポーランドなどから来る移民を抑える対策として、移民に給付する社会保障費を制限できることや、ほかの19の加盟国が参加するユーロ圏の規制やルールに強制されないこと、それにEUが進める政治や経済の統合政策の対象にはならないという特別な地位をもつことが認められました。

会議の後、EUのトゥスク大統領は、「イギリスがEUにとどまるようすべての国が譲歩し、連帯を示した」と述べて、合意の意義を強調しました。

キャメロン首相は20日、緊急の閣議を招集し、ことし6月にも国民投票を実施する方針を決める見通しです。ただ、イギリスではEU離脱か残留かで世論がきっ抗していて、キャメロン首相にとっては改革の内容を強調して残留に導けるかどうかが大きな課題となります。

英首相「EUにとどまるべき」

EUの首脳会議で各国がEUの改革案について全会一致で合意したことについて、キャメロン首相は記者会見で、「国をいかに強く、安全で豊かにするかについてずっと考えてきた。合意を得たいまとなっては改革後のEUにとどまることがその答えだ」と述べて評価しました。

そのうえでキャメロン首相は国民投票について、「わが国の将来を決めるまたとない重要な機会になるだろう。イギリス国民に対しては改革後のEUにとどまるべきだと、全身全霊で説得する」と述べ、イギリスはEUに残留すべきだという考えを国民に訴えていく姿勢を強調しました。

【私の論評】人口7千万人台で都市部が焼け野が原でも高度成長した移民大国日本にもう移民は必要ない(゚д゚)!

上の記事、ANNの動画も公表されていますので、その動画を以下に掲載します。


イギリスでの移民に対する風当たりは相当強くなっているようです。

ここ数年、イギリス国民は、一部の政治家からこのような寛大な言葉を聞かされてきました。「移民について懸念するのは、決して人種差別なんかではないですよ」。

こんな「お許し」が出たのは、大きな変化でした。過去10年以上にわたり、多くのイギリス人が移民の大量流入に懸念をおぼえながらも、そんな心配を口にしようものなら非難されてきたのですから。

イギリス政治に関心のある人なら、2010年の総選挙でのあの出来事を覚えているかもしれません。当時のゴードン・ブラウン首相が遊説中、テレビカメラの前である熱心な労働党支持者の女性から移民問題についての質問を受けたときのことでした。

車に戻ったブラウンは、マイクが付きっぱなしになっていることに気付かず「偏狭な差別女め」と激怒。この女性との対面を準備した選挙スタッフにも当たり散らしました。熱心な支持者との間で起こった価値観の不一致にさらされ、怒りがわいてきたというわけでした。

その折の動画を以下に掲載します。

総選挙を1週間後に控えた英国で2010年4月28日、イングランド北西部ロッチデール(Rochd­ale)を遊説していたゴードン・ブラウン(Gordon Brown)英首相は、有権者の女性のことを「頑固な女だ」と言った声をマイクに拾わ­れてしまい、女性に直接謝罪した。厳しい戦いの中、首相には大きな痛手となりました。

そうして、選挙で労働党は大敗して、政権交代により、保守党が政権与党となったのは、イギリスの政治に関心のある方ならご存知のことでしょう。


移民は大きな問題ですが、つい数年前までは話すこともままならない事実上のタブーでした。移民政策を問題視すれば人種差別主義者と呼ばれ、こう呼ばれると、社会的に抹殺され、政治キャリアもおしまいになりました。

イギリスは50年代から移民を受け入れてきましたが、90年代後半からはその量も性質も様変わりしました。

移民には総じて経済的メリットがあるという事実は広く知られています。移民は働いて税金を払うし、高齢化するイギリス社会の年金制度を支えてくれることにもなります。移民はイギリス人より低賃金で働いてくれるので、物価も抑えられます。例えば、農産物を収穫するのは主に移民労働者です。移民に利点があることに異論はありません。

とはいえ、長年語られずにきたデメリットも存在します。そうして移民のデメリットの影響を受けるのは、ほとんどがいわゆる低階層の人々です。まず、低賃金労働者が大量に供給されると、イギリス人の労働者階級は自分も低賃金で働くことを受け入れるか、失業するしかなくなってしまいます。しかし、移民の多くは、最低賃金でも母国の賃金に比べればずっと高いので満足です。微々たる貯金も、母国の家族に送れば大金になります。

移民はさまざまな側面で負担になっています。中期的にはもちろんのこと、長期的にもそうなるかもしれません。イギリスの住宅問題は慢性化し、需要に供給がまったく追い付かいていません。新築住宅の不足と小規模な世帯の増加が大きな原因ですが、突然の大規模な人口増加が明らかに拍車を掛けています。国民保険サービス(NHS)が破たん寸前なのも、イギリス人よりも子だくさんな移民がイギリスの国営医療制度をすぐに無料で利用できる、ということが少なからず影響していることでしょう。

NHS改革を主張するキャメロン首相

しかし、移民の大量流入は、選挙の際のマニフェストにも記されず、イギリス国民のコンセンサスすら得ないないまま進められ、今や廃止もできなければ制限も難しい政策になってしまいました。ブレアとブラウンの労働党政権下で移民は野放し状態でした。イギリス内務省は合法的な移民の数も不法移民の数も、滞在者数も把握していないことを事実上認めています。

アイルランドや旧植民地などイギリス旅券を所持する人々だけでなく、ソマリアやアフガニスタンの亡命者らイギリスと何ら歴史的・文化的つながりのない国からも移民を受け入れてきました。ビザのシステムも、大規模に悪用されています。偽装結婚もあれば、学校に通いもしない人々が「学生ビザ」で入国する場合もあります。

膨大な数が流入しているのは、中東欧からの移民です。ポーランドやルーマニアなどの中東欧の国々がEUに加盟したことによって、こうした国の人々がイギリスに入国して働き、育児給付や無償教育といったイギリスの社会福祉を受ける自由が保障されたからです。

最近では、労働者階級より上の階層も移民のマイナス面を感じ始めているようです。中産階級の若者(35歳未満)の多くはかつては当然の権利と思われていたロンドンの住宅を買うことができなくなっています。貧しい移民が多くの公営住宅や安い賃貸住宅を占拠する一方で裕福な駐在外国人はロンドンの不動産を投資対象として買い占め、肝心のロンドン市民が締め出されているのです。

ロンドンの住宅事情は劣悪 これが2013年当時の家賃3万円の部屋 ある日本人の留学生の部屋
ロンドンの公立学校では、さまざまな国から来た移民の子供たちで教室はあふれかえっています。移民の子どもたちは、イギリスに来てまだ日が浅く、英語が母国語ではない子が多いので、1、2年生のクラスは英語を教えることだけで精一杯という状況です。そのため、多くの地元の子どもたちの親は、大金を掛けて子どもたちを私立学校に通わせることを余儀なくされていまする

長年のあいだ、文化摩擦に苦しんできたのは貧しい地域の人々でした。高齢のイギリス人の団地住民は、次第にサリーやブルカ姿の女性に圧倒されていきました。それが今では移民の規模はこうした地域を超えて拡大する一方で、小さな町や村では新入りの移民が曜日構わずごみを捨てたり、ポーランド人の若者が夏に毎日、庭先で母国語でラップをがなりたてていたりします。

ロンドン市内のブルカ姿の女性
今になって移民を疑問視してもいいという政治家が出てきたのはなぜでしょうか。彼らがたいして気にかけていない「一般大衆」だけでなく、政治家と付き合いのあるそれなりの階層の人々にまで、移民問題が影響を与えるようになったからです。

さて、この移民の問題日本にとっても、対岸の火事ではありません。事実、2014年 2月24日の政府の経済財政諮問会議の専門調査会「『選択する未来』委員会」。内閣府が用意したペーパーには、大量に受け入れた場合の将来人口見通しがしたためられていいました。

その内閣府の試算がどんな内容だったかを、ご紹介します。これは、2015年から毎年20万人ずつ受け入れ、2030年以降には合計特殊出生率が「2・07」に回復していることを前提としています。かなり高めの設定ですが、この2条件を達成すれば、日本の総人口は2060年に1億989万人、2110年には1億1404万人となり、ほぼ1億1千万人水準を維持できるというシナリオです。

しかし、試算通り1億1千万人規模の総人口を維持できたとして、2060年時点でどういうことになるかといえば、10人に1人、2110年には約5人に1人が移民という計算になります。2012年末現在の在留外国人数は203万人余で、総人口の1・59%に過ぎません。「2千万人」というのが、いかにインパクトある数字かお分かり頂けるでしょう。

推進派の言い分の多くは、「労働力人口が減少すれば経済成長しない。日本経済を縮小させないためには、外国人で穴埋めせざるを得ない」との理屈です。

しかし、人口減少が日本社会や経済にとってマイナスばかりで、何も良いことはないというのは本当でしょうか。そもそも、人口動態は経済成長を左右する絶対的な条件ではありません。その証拠に、高度経済成長期の労働力人口は年に1%程度しか伸びていません。

世の中には、全くマクロ経済を理解しない人いて、デフレは人口減少が原因という馬鹿な節を唱える愚か者がいます。しかし、日本より人口が少ない国々、日本と同じように人口が減少している国々でもデフレでない国々がほとんどです。また、そのような国でも、一人あたりのGDPが日本よりも高い豊か国々もあります。

さらに、日本が大東亜戦争をしていた頃の人口は、当時の政府の「一億火の玉」などのキャッチフレーズで、漠然と1億人を超えていると思い込んでいる人も多いようですが、実際には8000万人を切っていました。

以下に「出せ一億火の玉」という当時のプロパガンダ用の歌の動画を掲載します。画像として、当時の写真も掲載されています。



何やら、当時は以下のようなポスターもあったようです。


現在だと問題になりそうですが、当時は特に夏の暑い時期に少女が上半身裸で農作業をしている風景は珍しくもなかったのだと思います。何ともおおらかな時代でもあったようです。

以下に大東亜戦争中の人口の実数を掲載します。

総理府統計局編「日本統計年鑑」での統計では以下の通りです。
1941年(昭和16)72、218千人
1942年(昭和17)72、880千人
1943年(昭和18)73、903千人
1944年(昭和19)74,433千人
1945年(昭和20)72、147千人
この人口で、あの広い戦線に兵士を送り込み、大戦争をしていたというのですから驚きです。1945年当時と現在を比較すると、3000万人も人口が少なかったということです。そうして、ご存知のように、市町村合併は戦後に行われるようになりましたから、この当時は今からすると想像もできないような、小さな村や、部落が多く存在していて、それが成り立っていたということです。

何やら、現在では、地方の人口が減ってどんどん疲弊していくようなことばかり言われていますが、3000万人も人口が少なくとも、あれだけの軍備をして、兵士を外地におくりだすだけの力があったし、現在では限界集落と呼ばれるような集落でも、成り立ってたということです。

そうして、このブログでは以前、大東亜戦争後の日本のスタートは決してゼロからのものではないことを掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【堀江貴文氏ブログより】私がSEALDsをdisる理由―【私の論評】ホリエモンも瀬戸内寂聴も見えない、安保の当たり前のど真ん中(゚д゚)!
詳細は、この記事をごらんいただくものとして、以下に大東亜戦争後の日本のスタートは多くの人が漠然と思っている焼け野が原の「ゼロからのスタート」では決してなかったことの説明の部分を掲載します。

"
経済合理性だけを見るというのなら、人間の複雑な面を見失ってしまいます。経済学の大家ドラッカー氏は、経済統計だけをみたとしてら、後世の歴史家は、第二次世界大戦が起こったことなど、気づかないだろうとしています。




確かに、第二次世界大戦は世界中に大惨禍をもたらし、大勢の人が亡くなり、社会が混乱しましたが、経済統計だけを見ているとそうではないというのです。

これは、にわかには信じがたいことですが、第二次世界大戦で敗北した、ドイツや日本でも、確かに戦争の惨禍で、とんでもない状況にはなりましたし、物資も不足はしましたが、それでも、戦争中には普段よりもかなり多く、兵器を製造したり、軍隊にそれを支給したりして、大きな経済活動が営まれました。

さらに、日本を例をとり、後世の歴史家が経済指標だけ見ていたら、大東亜戦争があったことなど気づかないかもしれないことを実証してみせようと思います。

以下は、最近読んだ古谷経衡氏の『戦後イデオロギーは日本人を幸せにしたか』という書籍に掲載されていた、統計資料です。

クリックすると拡大します

この統計資料に関して、古谷氏は、以下のような説明をしています。
 これを見ると、日本は先の大戦で、すべての国富のうち、その4分の1を失ったことになるが、逆説的に言えば、4分の3は残存していると見なすことができ、その水準はおおむね1935年のそれであった。 
 簡単に言えば、日本は1935年から1944年までの拡大分が戦争最後の1年、つまり戦争末期の大空襲であらかた吹き飛び、日本の敗戦時の国富は終戦時点の10年前である1935年の水準に逆戻りしたと考えればわかりやすい。 
 よって、「日本は敗戦でゼロからのスタート」を余儀なくされたのではなく、「敗戦により、おおむね1935年の国富水準からスタート」と言い換えることができるのだ。 
 1935年のレベルといえば、言うまでもなくアジアの中ではトップクラスです。戦後の日本の復興は、「ゼロからのスタート」とするのは程遠い実態です。
終戦直後にこの状況であり、温存された国富の源となった、爆撃されなかった町や村などは生産活動を継続し、さらに戦争遂行のための様々な経済活動なども加えれば、日本も経済指標だけみていれば、戦争のあったことなど後世の歴史家は気づかないかもしれません。

そうはいいながら、大東亜戦争は、日本の社会に経済とは別に深刻な悪い影響を及ぼしたことは明らかです。誰も、このような戦争を二度と味わいたくはないと思ったことでしょう。
"
戦争で、広島・長崎は原爆で破壊しつくされ、東京・大阪などの大都市だけに及ばず、地方の中核都市までことごとく爆撃で破壊された日本であっても、このように地方には国富が残っており、日本はアジアの中ではトップクラスの国富からスタートすることができたのです。

これを考えると、たとえ今の日本の人口がかなり減ったとしても、とんでもないことになるなどとは、にわかには信じがたいこどです。


それに、戦後においても、労働力人口が増えたから高度経済成長が可能だったわけではなく、機械化や生産要素の増加のみでは説明し切れない技術進歩などが寄与した結果によるものです。

それに、現在農林水産業に従事する人は、日本ではほんの数%に過ぎません。鉱工業などの第二次産業に携わる人々も、20%台に過ぎません。食べ物をつくったり、モノを製造したり運んだりする人の数はこのくらで間に合うのです。

だとすれば、人口の増減とは関係なく、無論今の日本人が戦中・戦前のような生活はできはしませんが、それでもイノベーション(技術革新)によって今後も経済成長は達成可能ということです。いままでのやり方では難しいかもしれませんが、それでもやりようは十分にあると考えられます。

さらに、ポジティブな見方をすれば、高齢社会を迎える日本は経済成長のチャンスがいくらでも転がっています。医療や介護はもちろん、住宅から乗り物、市街地の在り方に至るまで、すべてを高齢者にとって使い勝手のよいものに作り替えていかなければならないのです。この市場はとてつもない規模になることが考えられます。

それに、少子化に歯止めがかかれば、将来の人口予測は全く異なるものとなるでしょう。当面避けられない労働力人口の減少には、女性や高齢者の力を引き出すほうが先決でしょう。

総務省の労働力調査の基本集計(2014年2月速報)によれば、生産年齢人口(15~64歳)の女性は3889万人です。このうち就業者は2439万人で62・7%に過ぎません。

日本の女性や高齢者は高い教育水準にあります。言葉や文化の壁もありません。外国人を受け入れるよりもはるかにコストもトラブルも少なくて済むはずです。移民受け入れに先走るのではなく、こうした方策についても検討するのが筋というものです。

とはいいながら、労働人口の減少は避けられない現実でもあり、特に外国人との付き合い方に正面から向き合わなければならないときは来るかもしれません。

しかし、だからといって大量の移民を受け入れるかどうかという選択を、現在に生きるわれわれの利益や見込みだけで判断して良いはずがありません。

後世の日本人に顔向けできる「日本」をいかに残すのか。戦略もなく易きに走れば、国を大きく誤ります。そのことを上記のイギリスの例や、最近のEUが示していると思います。

それと、移民問題は対岸の火事ではないということには、もう一つの根拠があります。

国連人口部の定義では、移民とは「市民権(つまり国民としての主権)のある母国から1年以上離れて外国に暮らしている人」を指し、一般的には留学生や技能実習生はもちろん、特別永住者なんか言うに及ばず、1年以上の正規滞在者や不法滞在者、さらに帰化した初代も「移民」と定義づけられています。

日本にはすでに大東亜戦争以前から滞在している朝鮮人を中心とした移民が存在していて、朝鮮動乱では済州島から難民が来て定着、さらに国際化する過程で多数の移民が定着して政治活動まで発展しており、現在も難民対策の抜け道が放置されている、移民大国です。

以上のようなことを考えると、人口7千万人台で都市部が焼け野が原でも高度成長した日本は、すでに大量の移民を受け入れており、このうえさらに移民を受け入れる必要性など全くないと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2016年2月19日金曜日

【緊迫・南シナ海】米中、軍事衝突秒読み 米空母が東アジアで2隻展開も―【私の論評】南シナ海の武力衝突の趨勢は米潜水艦により決まり、中国軍はなすすべがない(゚д゚)!


米海軍のCVN-73ジョージ・ワシントンとCVN-74ジョン・C・ステニス空母戦闘群
中国が、南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島に地対空ミサイルを配備したことを受け、東アジアで緊張が高まっている。日米両政府は17日、相次いで懸念を表明した。今後、東南アジア諸国連合(ASEAN)と連携して、中国の軍事的覇権を阻止する構えだ。こうしたなか、米軍が東アジアで、空母2隻を常時展開する可能性が出てきた。(夕刊フジ)

中谷元(げん)防衛相「現状変更を試みる動きは看過できない」

ハリス米太平洋軍司令官「中国の習近平国家主席が約束を守れないことの証左だ」

中谷、ハリス両氏は17日、防衛省で会談し、中国によるミサイル配備を批判した。習氏は昨年9月の訪米時、「南シナ海を軍事拠点にする意図はない」と発言したが、真っ赤なウソだったことが明らかになった。

昨年11月24日、米ハワイのキャンプ・スミスで、ハリス米太平洋軍司令官(左)と会談する中谷防衛相
 米FOXニュースは16日、中国軍がパラセル諸島にあるウッディー(同・永興)島に今月、地対空ミサイル8基を配備したと報じた。米国防当局者と台湾の国防部(国防省に相当)も17日、配備を確認した。

米政府筋は射程125マイル(約201キロメートル)の移動式防空ミサイル「紅旗(HQ)9」としている。部隊の規模は、2個大隊という。

中国軍がパラセル諸島にあるウッディー(同・永興)島に配備した「紅旗(HQ)9」
 ケリー米国務長官は17日、「深刻な懸念」を表明し、「(中国側と)今後数日間で非常に真剣な協議をする」と語った。軍事拠点化の中止を直接要求する方針だ。

ケリー米国務長官
 これに対し、中国国防省は「西沙諸島は中国固有の領土であり、中国は防衛施設を建設する正当で合法的な権利がある」と反論しており、中国がミサイル撤去に応じる可能性は低い。

オバマ米大統領の残り任期が1年を切ったことで、中国は「米国は大胆な軍事作戦を展開できない」と足元を見ているのか。これを放置すれば、中国が南シナ海だけでなく、東シナ海や西太平洋でも軍事的覇権を握り、「航海の自由」を守ってきた米軍が自由に行動できなくなる恐れもある。

危機的現状を受けて、米海軍関係者の間では、世界最強の米空母機動部隊を常時2つ、東アジアで展開させることを議論しているという。

国際政治学者の藤井厳喜氏は「遅きに失した感はあるが、もう1部隊を東アジアに展開させるのは当然の動きだ。オバマ大統領が『米国は世界の警察官ではない』と宣言してから、中国は増長している。日本も、米国やフィリピン、ベトナムと協力して、南シナ海などで共同哨戒活動を行うべきだ」と語っている。

【私の論評】軍事衝突の趨勢は米潜水艦群により決まり、中国軍はなすすべがない(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事にある米軍の動きに呼応し、自衛隊もすでに行動を起こしています。

海上自衛隊はP3C哨戒機2機を今月18日までの3日間、ベトナム中部ダナンに派遣し、ベトナム海軍と合同で図上の洋上捜索訓練などを実施しました。日本とベトナムの防衛協力をアピールし、南シナ海における中国の実効支配強化をけん制するとともに、自衛隊の存在感を高める狙いがあります。

 海上自衛隊のP3C哨戒機
ベトナムは南シナ海のパラセル(中国名・西沙)、スプラトリー(同・南沙)両諸島の領有権を中国と争っています。

日越両国は昨年11月の中谷元(げん)防衛相のベトナム訪問の際、南シナ海情勢をにらんだ防衛協力強化に向け、人道支援、災害救援目的の共同訓練の実施や、海自艦船のベトナム・カムラン湾への寄港で合意しました。海自P3Cのベトナム訪問は昨年5月以来です。

このブログで何度か掲載したことがありますが、日本の海上自衛隊の対潜哨戒能力は実質的に世界のトップです。そうして、海上自衛隊の対潜哨戒機を南シナ海に派遣する用意はすでにできています。これについては、以前このブログに掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。

海自哨戒機、南シナ海飛行拡大へ…中国をけん制―【私の論評】これは中国にとってはかなりの脅威、南シナ海の中国の艦船と潜水艦の動きが丸裸に(゚д゚)!

 

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、世界一の対潜哨戒能力を持つ日本の海上自衛隊には米国もかなり期待しています。

この海上自衛隊の対潜哨戒機を南シナ海に派遣することの意義などを以下に述べます。

その最大の意義は、中国の潜水艦を完璧に無力化することにあります。日本の海上自衛隊の対潜哨戒能力を南シナ海で発揮すれば、日本の自衛隊は中国の艦船のすべての動きはもとより、中国の潜水艦の動きも完璧に把握することができます。

そうして、その情報は当然のことながら、米軍にも連絡がいきます。一方、中国の対潜哨戒能力はかなり劣るため、中国の潜水艦に比較すれば、はるかにステルス性の高い米国の潜水艦は、中国側から察知することはできず、この海域を自由に航行できます。

そうなると、何がおこるかといえば、中国がいかにこの地域を軍事拠点化しようとも、米国はほとんど犠牲をともなくことなく、それらをことごく潜水艦により破壊することができます。

中国側からすると、どこに潜んでいるか全く察知できない米国の潜水艦から、いつ攻撃を受けるか事前に全く察知できないわけです。

空母2隻の戦闘群が、表の顔とすれば、潜水艦は裏の顔です。空母は航行すればその姿ははっきりと中国側に捉えられ、空母群が最初に攻撃を加えるということになれば、中国側もそれをすぐに察知して、それに「紅旗(HQ)9」を用いて反撃を加えることができます。さらに、航空機を用いて、反撃することもできるでしょう。

しかし、潜水艦にはそのような対処は一切できません。突如とて米潜水艦からミサイルが発射され、それを防ぐ手立てはありません。また、米潜水艦は、当然のことながら、南シナ海の中国の軍事基地に対する弾薬、燃料、水、食料などの補給を絶つこともできます。

そのような米軍の攻撃に対して、中国側は全く打つ手がなく、大パニックに陥ることでしょう。

USSバージニアの魚雷発射管室内の制御装置
実際に武力衝突が始まるとすれば、米国側は最初は潜水艦による攻撃で口火を切るでしょぅ。先ほども述べたように、米側は、中国の艦船、潜水艦の動向をすべてつかむことができますから、まずは潜水艦によって、これらを無力化できます。これらは、初戦ですべて海の藻屑と消えます。

その後に、米潜水艦は、中国のミサイルや、その他の軍事的脅威を標的に攻撃をしかけ、これらも無力化することでしょぅ。

その後に、空母戦闘群が攻撃を加え、中国の軍事基地を無力化し、その後で海兵隊が上陸し、島嶼の基地を破壊し、戦闘員を殺害するか、捕獲して、比較的短時間に米軍の勝利に終わります。

米軍バージニア級原子力潜水艦
万に一つも、中国側に勝つ見込みはありません。中国軍は、最初から最後まで、苦しい戦いを余儀なくされるでしょう。

このように、南シナ海では日本の海上自衛隊の対潜哨戒に中国軍の監視と、米側の潜水艦による戦いにより、またたくまに趨勢が決まり中国側は、なすすべがなくなることでしょう。

そうして、当然のことながら、すでに米国の潜水艦は、南シナ海に派遣されており、いつでも攻撃ができる体制を整えていることでしょう。空母やイージス艦などは、これらを米国が南シナ海に派遣すれば、それは中国側にも、南シナ海の近隣諸国にもすぐに知られてしまうので、米側もこの海域に派遣することなどすぐに発表します。

しかし、潜水艦は違います。潜水艦はあくまで隠密行動で、米側も何も発表しません。しかし、まず間違いなく、派遣していることでしょう。

もしかすると、米原潜は、中国の潜水艦に突如として、ソナーを照射して、中国の乗組員らを震撼させているかもしれません。

そうして、上記で述べたようなことは、習近平をはじめとする中国の要人たちが、もっとも良く理解していると思います。にもかかわらず、綱渡りをしなければならない、中国の厳しい現実があります。

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2016年2月18日木曜日

【北朝鮮情勢】金正恩氏、米軍の急襲恐れる?正日氏の遺体集団参拝に加わらず―【私の論評】中国に対する牽制のためにも、米による金正恩斬首は大いに有り得る(゚д゚)!


平壌の錦繍山太陽宮殿
北朝鮮の金正恩第1書記が16日の金正日総書記の生誕記念日に取った異例の行動が、韓国で話題となっている。金正恩氏は例年、午前0時に金正日氏の遺体が安置されている平壌の錦繍山太陽宮殿を幹部らと集団参拝するが、今年は零時の集団参拝には加わらなかった。国営メディアは「16日に夫人と参拝した」と報じるのみだ。

韓国メディアは18日、金正恩氏が例年と異なる行動を取ったのは、F22戦闘機など戦略兵器を韓国周辺に展開する米軍の急襲を恐れたためとの見方を伝えた。

【私の論評】中国に対する牽制のためにも、米による金正恩斬首は大いに有り得る(゚д゚)!

錦繍山太陽宮殿 とは、主体思想の神殿であり、金日成と金正日の死屍保管所となっています。北韓政権は偶像崇拝体制ですが、この宮殿には、この二つの偶像がミイラになって横たわっています。この宮殿は北朝鮮の人民の精神を支配する聖地なのです。

金日成遺体 
金正日遺体
下の写真は、朝鮮戦争の休戦協定締結62年となった昨年7月27日午前0時、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が金日成(キム・イルソン)主席と金正日(キム・ジョンイル)総書記の遺体が安置されている平壌の錦繍山太陽宮殿を参拝した折の写真です。


ブログ冒頭の記事では、今年金正恩が、この宮殿を訪問しなかった理由を"F22戦闘機など戦略兵器を韓国周辺に展開する米軍の急襲を恐れたため"としています。

確かにその動きはありました。それについては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
在韓米軍、「金正恩斬首」の特殊部隊を配備―【私の論評】戦争に傾く混迷の2016年以降の世界を日本はどう生き抜くのか(゚д゚)!
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、米軍はF22戦闘機など戦略兵器を韓国周辺に展開するどころか、在韓米軍は今年から、第1空輸特戦団と第75レンジャー連隊所属の特殊部隊を韓国にローテーション配備したことを掲載しました。。ローテンション配備とは、韓国に一時的に駐屯するというのではなく、長期間にわたり、継続的に交代させながら配備をするということです。

その他、在韓米軍は、あの海軍の特殊部隊のSEALDsも派遣、すでに訓練も行っていたことも掲載しました。

戦略兵器の他に、このような舞台を配置するとはどのような意図があるのでしょうか。それは、はっきりしています。錦繍山太陽宮殿をもし、金正恩が訪問した場合、戦略兵器でこの宮殿を破壊することはもとより、北朝鮮の偶像にもなっている、金日成、金正日の遺体を完璧に破壊し、その上さらに金正恩を殺害するか、捕獲するということです。

そうなと、どうなるかといえば、2つの偶像と、現在のトップ指導者を3つとも米国により、捕獲されたり、破壊、斬首されれば、それは北朝鮮の崩壊につながるからです。


宮殿内の金日成と金正日の巨大像

金正恩とその追従者たちにとって、錦繍山記念宮殿は金正日と金日成の死屍が安置されているため神聖視する神殿あるいは聖殿も同然です。錦繍山記念宮殿は金正恩北鮮の最大の弱点でありかつ急所でもあります。

米軍にとっては、格好の標的です。金日成、金正日の死屍は避難させることができますが、その宮殿を地下に避難させることはできません。錦繍山記念宮殿を爆撃することで、主体思想の魂を抜いてしまうことができます。そうすれば、金正恩はびっくり驚天し心理的恐慌に陥りいるとともに、北鮮が恐慌に陥ることになります。

錦繍山記念宮殿は文化財でないため、爆撃しても国際社会の非難を受ける恐れはありません。むしろ多くの北鮮住民を餓死させながら8億ドルもかけて建てた宮殿であるため破壊されて当然の建築物ともいえます。また、そこには一般住民が居住していないため人道的な側面でも標的として不適切な場所ではありません。錦繍山記念宮殿を完全破壊することと、金一家の遺体と、金正恩を米軍確保するか、破壊してしまえば、北朝鮮の金王朝は崩壊することになります。

さて、これを恐れる金正恩は何を画策しているかといえば、韓国へのテロを想定しているようです。

本日は以下のようなニュースもありました。
金正恩氏、韓国へのテロの準備か…韓国情報機関が報告
韓国の国家情報院によると、北朝鮮の金正恩第1書記が、対南テロとサイバーテロの準備を進めているという。18日、国会で開かれた安保点検党政協議で、韓国国会情報委員会のイ・チョルウ議員(セヌリ党)が、国家情報院から受けた報告として明らかにした。 
国家情報院は、「金正恩氏が対南テロとサイバーテロ能力結集を指示して、対南工作機関である偵察総局が準備していることが把握された」と明らかにしながら、次のようなテロの可能性を指摘した。 
●反北朝鮮・脱北政府要人などに対する毒劇物攻撃、拉致
●北朝鮮に批判的な政府・政界要人や言論人へ脅迫小包や手紙の発送、身辺危害
●地下鉄やショッピングモール、電力・交通施設などへのテロ
こうした北朝鮮のテロの可能性を踏まえたうえで、国家情報院は、テロ防止法が必要だと強調した。
先の米軍の動きは、このような金正恩の動きを牽制するためのという側面もあると考えられます。

金正恩からすれば、自ら核開発は実施、弾道ミサイルは発射、さら上記のようなテロも画策しているということで、自分もこれらを実行したのだから、当然米国も実行する可能性は十分あると見ていると思います。

私自身は、米国はそれこそ、オサマ・ビンラディンの殺害の時のように、様々な条件が揃えば、これら一連の行動を取る可能性は十分にあると思います。米国は、かつてこのようことを実行していたということを忘れるべきではありません。



だからこそ、金正恩は、今年は16日の金正日総書記の生誕記念日には、錦繍山太陽宮殿を訪問しなかったのです。

さらに、米国側からすれば、最近の南シナ海での中国の傍若無人な振る舞いを牽制するという意味もあると思います。もし、様々な条件が揃って、仮に米国が、金正恩を斬首したり、 錦繍山太陽宮殿を破壊したり、遺体を破壊したり、捕獲したとしたら、これは中国にとってもかなりの脅威です。

中国が、二超大国幻想にふけり、世界を米国と中国の二国体制で仕切ろうなどという夢想を捨て去ることができない場合、中南海爆撃と、要人殺害あるいは捕獲という事態にもなりかねないということで、パニックに陥ることでしょう。習近平などの要人らも、金正恩のように、警備が手薄になりがちなところには、姿を現さなくなるかもしれません。

米国がこのような局面にある現在、日本はおそらく何もできないのだろうと思います。本来ならば、拉致問題を解決するため、日本も米軍の動きに呼応して、北朝鮮に自衛隊や特殊部隊などを派遣して、拉致された人たちを直接救助したり、直接ではなくても、北朝鮮の拉致の実態を知る高官を捕獲するなどのことをすべきです。

このようなことを日本がしたとしても、もともと北朝鮮が拉致をしたことが大犯罪なので、どこの国も日本を非難することはないでしょう。しかし、国内では批判が巻き起こることでしょう。本当に、今の日本が普通の国ではないということには、いつも忸怩たる思いをさせられます。

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2016年2月17日水曜日

GDPマイナス成長は暖冬のせいではない―【私の論評】増税派はどこまでも、8%増税が大失敗だったことを認めたくない(゚д゚)!

GDPマイナス成長は暖冬のせいではない

図表、写真はブログ管理人挿入 以下同じ
2月15日に2015年10-12月期のGDP速報値が内閣府から公表された。結果をみると、実質GDP成長率は前の四半期と比べて0.4%減、年あたりの換算で1.4%減となり、2015年4-6月期以来のマイナス成長に沈んだ。もっとも、7-9月期の実質GDP成長率も昨年11月に公表された段階(一次速報値)ではマイナス成長であったから、日本経済は2015年4-6月期以降、ほぼゼロ近傍に近い成長率で推移していることがわかる。政府は2015年度の実質GDP成長率を1.2%と見込んでいるが、見通し通りの成長率の達成はほぼ絶望的な状況だ。これは安倍政権の政策運営にも少なからず影響を及ぼすだろう。

 さて、今回公表されたGDP速報値について、石原経済再生担当大臣は記録的な暖冬により冬物衣料品などが大きく落ち込んだことで個人消費の減少幅が大きくなったことが主因との見方を示したとのことだ。

 GDPは民間最終消費支出、民間住宅、民間企業設備、民間在庫品増加、政府最終消費支出、公的固定資本形成、公的在庫品増加、財・サービスの輸出と輸入という、9つの項目から構成される。個人消費は民間最終消費支出に含まれるが、年率換算で1.4%減となった実質GDP成長率が、どの項目によって生じているのかを確認すると、民間最終消費支出の落ち込みによる影響が最も大きくなっており、石原大臣の指摘する通り、個人消費を含む民間最終消費支出の落ち込みが主因であることが確認できる。

 しかし、個人消費の落ち込みが記録的な暖冬により冬物衣料品などが大きく落ち込んだことが主因であるとはデータからは確認できない。

石原伸晃経済再生担当相の説明は統計と違う
天候不順は言い訳

 今回公表されたGDP統計では、家計消費の推移が自動車や家電製品といった耐久財、衣料品などの半耐久財、食品などの非耐久財、輸送・通信・介護・教育などを含むサービスといった4つの品目群(GDP統計では形態と言う)別にまとめられている。2015年7-9月期と比較しても、1年前の2014年10-12月期と比較しても、家計消費の落ち込みに最も大きく影響しているのは耐久財消費の落ち込みである。石原大臣の述べるとおり、家計消費の落ち込みの主因が冬物衣料品などが大きく落ち込んだことにあるのならば、その影響は半耐久財消費の大幅減という形で現れるはずだが、統計データを参照する限り、そうはなっていない。

 思い起こせば、天候不順が消費低迷の主因であるという指摘は、2014年4月の消費税増税以降繰り返されてきた。確かに天候不順が消費を落ち込ませる可能性はゼロではない。しかし消費意欲が旺盛であれば、多少の天候不順でも、消費の落ち込みがこれほど長くかつ深刻な形で続くことはないだろう。GDP速報値の結果からは、2015年10-12月期の民間最終消費支出の値は304.5兆円だが、これは、消費税増税直後に大幅な落ち込みとなった2014年4-6月期の305.8兆円をも下回っているのである。これほどの大きな変動が天候不順で生じると考えられるのだろうか?

 やや長い目で民間最終消費支出の推移をみれば、2002年から2012年までの10年間の民間最終消費支出は前期比0.2%程度のペースで緩やかに増加していたことがわかる。2013年に入るとこのペースがやや拡大したが、2014年4-6月期以降になると、民間最終消費は落ち込みが続き、2015年10-12月期の民間最終消費支出は、統計的に見て、前期比0.2%増のトレンドから有意に下ぶれしたと結論できる。つまり、統計的に「消費の底割れ」が生じたというのが今回の結果だということだ。

確かに昨年の暮れは気温が高かったが・・・・・・・
こうした「民間最終消費支出の底割れ」の主因は、大幅な落ち込みが始まったのが2014年4月以降であることから考えても消費税増税の影響と言えるだろう。消費税増税は、駆け込み需要とその反動減、さらに消費税増税に伴う物価上昇率の高まりが実質所得を減らすことの二つを通じて経済に影響を及ぼす。

 「消費税増税の影響は一時的であって、増税から1年以上経っても影響があるとは考えられない」と考える読者の方は、(仮に消費税減税といった政策が行われない限り)消費税率8%の負担が永続的にかかり続けるという事実を忘れているのではないか。加えて、わが国の場合、2017年4月から10%への消費税再増税が予定されている。多少所得が増えたとしても、2017年4月に増税が予定されているのだから、家計の財布の紐が緩まないのは当然とも言えるだろう。

消費税「減税」も検討を

 冒頭で今回のGDP速報値の結果は、安倍政権の政策運営にも少なからず影響を及ぼすのではないかと述べた。石原大臣は今年1月に成立した2015年度補正予算を素早く実施していくことが必要と述べているが、経済効果は実際の執行のタイミングを考慮すると2015年度と16年度に分散され、非常に限定的なものに留まるだろう。もう今は2015年度補正予算の早期実行が課題なのではない。さらなる新たな手立てを早急に考え、実行すべき時なのである。つまり民間最終消費支出の悪化を考慮すれば、2016年度予算の早期成立後に即座に2016年度補正予算を編成すべき局面ということだ。

 1月29日に日本銀行が決定した「マイナス金利付き量的・質的金融緩和策」の影響もあって、長期金利はさらなる低水準にとどめ置かれる可能性が濃厚な状況である。これは政府からみれば新規に国債を発行する際のコスト(金利負担)が低下している事を意味する。総需要が落ち込んでいる現状では、政府が短期的には財政政策により需要を支える必要があるし、大胆な財政政策を行ってもそのためのコストは低い。「今」は大胆な財政政策が必須であるし可能な状況なのである。

 世界経済の変調が濃厚となる中で日本経済が堅調な成長軌道に乗っていくには、国内需要を高めることが必須である。財政政策のメニューは様々なものが考えられるが、例えば、民間最終消費の落ち込みに直接影響を及ぼし、かつ分かりやすい政策をというのであれば、2017年4月から予定している消費税増税を凍結し、さらに年限を絞って消費税減税(例えば消費税率を8%から6%にする)といった方策も考えられるし、軽減税率の仕組みを使って食費の消費税率を8%ではなく5%にするといった方法もありえるのではないか。前例がない政策を全て「異次元」だと片付けていては何も進まない。こうした取り組みがいかに多くできうるのかが、今後の日本経済の帰趨を決めることになるだろう。

片岡剛士

三菱UFJリサーチ&コンサルティング、経済・社会政策部主任研究員

【私の論評】増税派はどこまでも、8%増税が大失敗だったことを認めたくない(゚д゚)!

8%増税が、実体経済に悪影響を及ぼしているのは間違いありません。以下に、10〜12月期のGDPの増減率の内訳を掲載します。


こうしてみると、やはり個人消費、住宅投資の落ち込みが大きいです。そうして、個人消費の落ち込みの要因のうちで一番大きいのは、ブログ冒頭の記事で、片岡氏が掲載しているように、耐久消費財の落ち込みです。

民間消費支出をグラフにしたものを以下に掲載します。


民間支出がいかに打撃を受けているのか、良く理解できます。

さらに、以下のグラフをみると、雇用者報酬が伸びて13年度の水準をほぼ取り戻しているにもかかわらず、個人消費がこれに比例して伸びてはいません。


これは、まさにブログ冒頭の記事で片岡氏の "「消費税増税の影響は一時的であって、増税から1年以上経っても影響があるとは考えられない」と考える読者の方は、(仮に消費税減税といった政策が行われない限り)消費税率8%の負担が永続的にかかり続けるという事実を忘れているのではないか。加えて、わが国の場合、2017年4月から10%への消費税再増税が予定されている。多少所得が増えたとしても、2017年4月に増税が予定されているのだから、家計の財布の紐が緩まないのは当然とも言えるだろう"という主張をまさに裏付けています。

要するに、どう考えても、8%増税は大失敗だったのです。しかし、なぜ石原伸晃経済再生担当相が、これを直視せず、"記録的な暖冬により冬物衣料品などが大きく落ち込んだことが主因"とするのはなぜなのでしょうか。

それは、石原氏が増税賛成派であり、8%増税は無論のこと、10%増税もすべきと腹の底から思っているからです。特に8%増税は、熱烈に支持したため、今更8%増税は失敗であったと口が裂けてもいえないからです。

ここで、時計の針を2011年、11月25日に戻します。そのころ、サイトに掲載された、長谷川 幸洋氏の記事のリンクを以下に掲載します。
小沢一郎、石原伸晃らが動き始め、「来年解散・総選挙」が漂いはじめた永田町

まだ、小沢氏が民主党にいたときのことです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より一部抜粋します。
 また「政局の季節」がめぐってきたようだ。消費税と環太平洋連携協定(TPP)をめぐって民主、自民両党で内部の意見対立が激しくなっている。永田町では「いずれにせよ来年中の解散・総選挙は間違いない」と緊張感が高まってきた。
火を付けたのは小沢一郎元民主党代表だ。 
 11月19日に出演したニコニコ生放送の番組で田原総一朗の質問に答え、消費税引き上げに反対する姿勢を明確にしたうえ、22日の小沢グループ会合では「消費税増税を強行すれば党運営は厳しくなる」と野田佳彦首相に警告した。
 自民党の石原伸晃幹事長も22日の講演で「首相が『民主党を割ってでも消費税を10%にする』と言えば、自民党も割れ、新しい政治体制ができるかもしれない」と政界再編の可能性に言及した。 
「増税法案さえ可決すれば政権はどうなってもいい」 
 民主、自民の大物たちが機を同じくして、消費税引き上げをきっかけにした政変の可能性に言及したのは、けっして偶然ではない。どちらの党も執行部は増税路線を掲げているが、内部に強い反対勢力を抱えている。党内事情がそっくりなのだ。 
 TPPも同じである。野田首相は交渉参加の意思を決めたが、民主党内には依然として強い反対論が残っている。自民党に至っては、過半数の議員が反対と言われているが賛成意見もあり、党としての方針を決められないありさまだ。
 増税やTPPのような重要課題をめぐって、どちらも党内が一致結束していないので、執行部がどちらかの路線で突っ走ろうとすると、ともに党が割れる可能性に直面してしまう。首尾一貫しているのは「霞が関党」とも呼ぶべき官僚集団とそれに鋭く対立するみんなの党(あと共産党?)くらいである。 
 これから年末の予算編成と税制改正を控えて、この意見対立は激化しこそすれ、和らぐ見通しはない。野田政権は社会保障と税の一体改革大綱で引き上げ幅と時期をはっきり書きこもうとしている。 
 財務省とすれば、上げ幅の数字と時期を明示した増税法案さえ可決成立すれば、後は野田政権がどうなろうとかまわない。野田首相が続投できればそれに越したことはないが、仮に総選挙で敗北し民主党が下野する場合でも、次の政権が増税路線を引き継ぐよう水面下の工作に全力を上げていくだろう。いや、もう着手しているだろう。 
 むしろ東京電力・福島第一原発事故の処理やTPP問題での党内分裂ぶりをみれば、民主党が次の解散・総選挙でも勝利し、野田首相が続投できる可能性は低いとみているはずだ。冷徹な財務省がそれほど楽観的になるとは思えない。財務省は実質的に政権を切り盛りしているのはいつだって自分たちなのだから、表で政権を担うのは民主党だろうが自民党だろうがどっちでもいいと思っている。 
石原発言を歓迎する財務省 
 そんな財務省の視点からみると、先の石原発言は歓迎するシナリオである。自民党が増税派と反増税派に分裂し、民主党も総選挙敗北で増税派と反増税派に分裂するなら、両党の増税派を合体させて「増税新党」をつくればいい。あとは残った両党の反増税派が合体して大きな勢力にならないように工作するだけになる。
何としても、増税をしたい財務省から増税発言を歓迎された石原氏ですから、石原氏の腹なの中は8%増税は当然、そうして10%増税もやり遂げなければならない大正義と思いこんでいることでしょう。

なぜ、このようになるかといえば、彼はマクロ経済オンチだからです。周りの人間が、増税すべきとか、増税すべき理由などを言うと、それが正しいものと単純に思い込んでしまうどころか、大増税は日本を救う大正義であると単純に信じ込んでしまっているのだと思います。

上の記事をみていると、小沢氏は増税に反対しており、当時の野田首相に対して、増税をすれば政権運営が難しくなると当時の野田総理大臣に警告しています。

実際、増税一辺倒で走った野田政権は、2012年の衆院総選挙で、大敗を喫し、政権交代を余儀なくされました。

しかし、小沢氏の上の増税反対の発言や、当時のその他の増税反対の発言を聴いていると、小沢氏は、我が国の実体経済の悪化を心配しているというよりは、選挙対策や内閣支持率の観点からそのような発言をしてるようにしか思えませんでした。

経済がどうのというより、国民の反発を招くことを恐れているような話ぶりで、まともに経済のことをわかつて、あのような発言をしているとは思えず、そのせいですか、あまり説得力がないように思えました。

増税に反対していた、小沢氏ですらこのような状況でした。当時は、民主党や自民党の多数派は、増税推進派で、増税反対派は少数でした。

その状況は今も変わっていません。12年の末に衆院選で大勝利して、安倍自民党内閣が成立したわけですが、ご存知のように13年の秋には、与野党の政治家のほとんどや、マスコミもこぞって、増税に大賛成で、特に新聞は安倍総理が増税の決断をしたと何度も報道しました。これは、驚いたことに、産経新聞も含めた全大手新聞社がそのような報道ぶりでした。

あの状況で、安倍総理が8%増税延期の決断をした場合、政治家、マスコミ、識者らのほとんどが増税賛成派であつたため、政権運営に支障をきたしたかもしれません。そのためでしょうか、安倍総理は14年度からの8%増税を決断せざるをえなくなりました。

さて、2013年の9月の主要メディアの報道ぶりををざっと振り返っておきます。実際には、これ以外も、多くの報道がありましたが、代表的なもののみにとどめます。報道に間違いがなければ、安倍首相は2013年の9月11日から20日にかけて、少なくとも4度(11日、12日、18日、20日)にわたり「決断」を繰り返したことになります。
安倍首相は11日、消費税率を来年4月に現行の5%から8%に予定通り引き上げる意向を固めた。出典:読売新聞9月12日付朝刊1面「消費税 来年4月8% 首相、意向固める 経済対策に5兆円」
安倍晋三首相が、来年4月に消費税率を5%から8%へ予定通り引き上げる方針を固めたことが12日分かった。出典:共同通信9月12日「消費増税 来年4月8%に 首相、10月1日表明へ」
安倍晋三首相は12日、現行5%の消費税率を、消費増税関連法に沿って2014年4月に8%に引き上げる意向を固めた。出典:時事通信9月12日「消費税、来年4月に8%=経済対策5兆円で下支え=安倍首相、来月1日にも表明」
安倍晋三首相は、現行5%の消費税率を、来年4月に8%へ予定通り引き上げる方針を固めた。出典:毎日新聞9月12日付夕刊1面「消費増税 来年4月8% 安倍首相『環境整う』判断 経済対策、5兆円規模検討」
安倍晋三首相は18日、現在5%の消費税率について、来年4月に8%に引き上げることを決断した。出典:産経新聞9月19日付朝刊1面「消費税来春8%、首相決断 法人減税の具体策検討指示」
安倍晋三首相は来年4月に消費税率を8%に引き上げる方針を固めた。(…)複数の政府関係者が19日、明らかにした。出典:日本経済新聞9月19日付夕刊1面「消費税来春8% 首相決断 法人減税が決着、復興税廃止前倒し 来月1日表明」
安倍晋三首相は20日、来年4月に消費税率を現在の5%から8%に予定通り引き上げることを決断した。出典:朝日新聞9月21日付朝刊1面「首相、消費税引き上げを決断 来年4月から8%に」 
安倍首相は10月1日の発表の前までは、自らの肉声で「決断」の意思を表示したわけではありません。仮に会見等の場で表明していれば「~を表明した」と報じられるし、一部の関係者に伝達していれば「決断したことを~に伝えた」と報じられるのが普通です。しかし、昨年はどのメディアも「表明」「伝達」いずれの事実も報じておらず、「意向を固めた」「決断した」といった表現で報じていました。本当に、これらは近年まれに見る大手新聞の異常報道でした。ここまでの規模になると、もう財務省が裏で暗躍していたのは、間違いないです。
安倍総理が増税の決断をしたことを報道する読売新聞
そうして、14年に実際に増税が実施されると、多くの識者が8%増税の影響は軽微としたにもかかわらず、マイナス成長は明らかとなり、12月には、ご存知のように10%増税の延期を公約の一つとして、安倍総理は衆院の解散総選挙を実施し、大勝利して、10%増税の延期が決まりました。

しかし、2011年ころから、自民党も民主党も増税推進派が圧倒的多数派です。これら増税推進派はもとより、新聞も、識者も8%増税を推進したきたため、今更これは間違いでしたとはなかなか言えません。

自民党の大多数は、本当は一昨年の暮れの10%増税の延期を公約とした、衆院解散総選挙にも反対だったと思います。しかし、当時は、安倍自民党は、選挙に何度も勝利して、内閣支持率もかなり高い状況であったため、あからさまに安倍総理に異議を唱えるわけにもいかず、面従腹背をしただけです。

実際、2月15日に2015年10-12月期のGDP速報値の発表があっても、各新聞もその事実は淡々と報道しますが、8%増税が大失敗であったことなど報道しません。

経済学者、特に日本で主流派といわれる経済学者らも、大失敗などとは論評しません。無論政治家もそのようなことはいいません。

しかし、統計数値や、ブログ冒頭の記事などから、8%増税は大失敗であることは明らかですし、10%増税などしてしまえば、実体経済、特に個人消費がとんでもなく落ち込むことは目に見えています。

もし実行してしまえば、平成18年あたりには、時の政権が誰のどの政党のものであれ、増税一辺倒だった2012年の野田政権のように、崩壊するのは目に見えています。

そんなことにならないためにも、安倍政権は今年夏の参院選については、できれば衆院も解散して、衆参同時選挙にして、10%増税延期もしくは恒久的中止、あるいはインフレ傾向がひどくなる前までは、実施しないことを公約に掲げ、大勝利していただきたいものです。

おそらく、増税派が圧倒的多数である、現状を考えると、これが増税阻止の唯一の、隘路であると思われます。安倍政権には、この隘路を何とか突破していただきたいものです。


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結局のところ、日本の政治は官僚特に財務官僚が主導しているところがまだまだ大きいです。官僚が政治に関与することは一概に悪いことではありませんが、意思決定はその時々の空気に流されることなく政治家、政府が地頭を使って行うべきものです。それすらも、官僚に譲ってしまえば、民主主義は成り立ちません。それを実感していただける三冊の書籍を以下にチョイスさせていただきこました。

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