まとめ
- 防衛省・自衛隊は、長射程ミサイル「スタンドオフミサイル」の運用で日本が主体的に発射する原則を策定。2025年3月24日に発足する「統合作戦司令部」が一元指揮を担い、敵の攻撃圏外から反撃能力を発揮し、防衛力強化を目指す。
- 2022年末の国家安全保障戦略に基づき、2027年度までに日本主導の態勢構築を目標とするが、即時運用は困難。米国製「トマホーク」や国産ミサイルは2027年度から配備、統合システム整備は2029年度まで必要で、米国との情報共有や依存回避が課題。
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令和5年「防衛白書」より スタンドオフミサイルの運用イメージ クリックすると拡大します |
自衛隊は2022年末の国家安全保障戦略に基づき、2027年度までに日本主導の態勢構築を目指すが、即時運用は困難。米国製「トマホーク」や国産「12式地対艦誘導弾能力向上型」の配備は2027年度からだが、統合指揮システムの整備は2029年度までかかる。米国との情報共有や支援依存も課題で、自衛隊は米国の許可なしでは発射できない状況を避けたい考え。
【私の論評】台湾のミサイルが中国を震えあがらせる!ウクライナの悔しさから学ぶ日本の自立戦略
まとめ
- 台湾は長距離ミサイルを自主開発、中国を牽制。雲峰、雄風IIE、雄風III、清天で武装し、国産技術で自由に撃てる。ウクライナは西側の鎖に繋がれ、ATACMS等の長距離ミサイルの使用を制限されて悔しさが煮えくり返る。
- 台湾の軍はウクライナをはるかに上回る。兵力、F-16V、「海鯤」(2023年9月28日進水)、ミサイルで精強だ。中国が舐めたら痛い目を見る。ウクライナは西側頼みでボロボロだ。
- 台湾は中国を睨み、自立を貫く。2022年のペロシ訪台後の演習で即応し、2024年の漢光演習で反撃力を誇示。ウクライナはロシアにやられ、西側の顔色を伺う。
- 日本は台湾を見習うべきだ。2025年3月24日、「統合作戦司令部」で長射程ミサイルを自力で撃つ体制を整える。ウクライナの3年(2022〜2024)の苦闘が「自立が正解」と示している。
- 中国は台湾を侮れない。台湾海峡と精密攻撃が壁だ。ウクライナの制限が教訓となり、日本も自由に撃てる道を選ぶべき。
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台湾で行われたウクライナ戦争反対デモ 2022年 |
雲峰は超音速で敵をぶち抜くミサイルだ。射程は秘密だが、1,200〜2,000キロメートルと噂される。北京や中国の奥地を射程に収める代物だ。2019年、台湾の新聞が「量産開始」と叫んだ。2021年、特別予算でかなり加速し、2024年10月のGlobal Taiwan Instituteの報告では、一部がもう配備済みだと囁かれている。蔡英文総統は中国の軍事圧力に「負けるか」と吠え、国防を鉄壁に固めてきた。2023年から中国軍機が台湾周辺をウロつく中、雲峰は「来るなら覚悟しろ」と睨みを利かせている。
雄風IIEは陸を狙う巡航ミサイルだ。射程は600〜1,000キロメートルと見積もられる。2011年に姿を現し、2010年代後半から実戦に投入された。2025年1月のAsia Timesが「中国沿岸を叩ける」と太鼓判を押す。2011年、中国の空母「遼寧」が動き出した日に模型を意図的に公開し、「こっちもやるぞ」と威嚇した。頭脳戦の火花だ。
雄風IIEは陸を狙う巡航ミサイルだ。射程は600〜1,000キロメートルと見積もられる。2011年に姿を現し、2010年代後半から実戦に投入された。2025年1月のAsia Timesが「中国沿岸を叩ける」と太鼓判を押す。2011年、中国の空母「遼寧」が動き出した日に模型を意図的に公開し、「こっちもやるぞ」と威嚇した。頭脳戦の火花だ。
雄風IIIは艦を沈める超音速ミサイルだ。射程は150〜400キロメートルで、海も陸もぶち抜く。2007年にデビューし、現在艦艇に配備されている。2019年、蔡総統が「もっと作れ」と号令をかけ、数が増えた。2016年7月、訓練で誤って漁船にあたり、死傷者が出た。戦える力はあるが、ミスは痛かった。
清天は開発中の猛者だ。射程1,200〜2,000キロメートルで、極超音速の可能性もある。2025年1月のAsia Timesが「2024年末から少しずつ配備」と伝える。将来、屏東県で移動式発射台が火を噴く予定だ。中国北部を震え上がらせる一撃が秘められている。台湾が自分独自の判断でミサイルを撃てるかは、技術と政治で決まる。全部国産で、設計から製造まで台湾の手に握られている。
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2022年3月、台湾南部で発射された、独自製造の弾道迎撃ミサイル。 |
雲峰や雄風は昔、米国らの助けを借りたが、今は自力だ。さらに2021〜2022年、中国で試験設備を直したという考えられないようなトラブルがあった。雄風シリーズや雲峰の試験に使う精密機器の一部が故障したためだ。しかし、その後修理ルートを見直し、国内や信頼できる国(米国や日本)にシフトした。現在は技術的には全く問題はない。総統が軍を牛耳り、「自分で守る」と息巻く。米国との絆は強いが、ミサイルに口出しはない。2024年10月、米国がNASAMSを売ってくれたが、攻撃ミサイルに対する指図はない。
だが、ウクライナは違う。米国からもらったATACMS(射程300キロメートル)は強烈だが、鎖に繋がれている。2024年4月、クリミアで使ったが、ロシア本土は長い間NGだった(PBS News, 2024年4月25日)。2024年11月17日、バイデンがクルスクへの攻撃をOKしたが、北朝鮮が絡んだ特別なケースだ(The New York Times, 2024年11月18日)。自由からはほど遠い。
ウクライナの悔しさは筆舌に尽くしがたい。
ウクライナの悔しさは筆舌に尽くしがたい。
2024年9月、ゼレンスキーが「制限を解け」と米国に噛みついたが、バイデンはビビって動かなかった。プーチンが「NATOが戦争に突っ込む」と脅し、火花が散った(CNN, 2024年9月13日)。ロシアの重要拠点を撃てず、「片手で戦えってか」と嘆く。2024年11月19日、ATACMSで武器庫を狙ったが、6発中5発を落とされ、成果は薄い(NPR, 2024年11月19日)とされた。米国は弾が足りないとケチる。
ただ、その状況も多少は改善され、2024年11月27日の国連安保理では、ウクライナのミサイル使用に世界がザワついた。ロシアが「オレシュニク」で反撃し、「報復だ」と吼えた(UN Press, 2024年11月27日)。ウクライナは「自衛だ」と叫ぶが、米国の鎖が重い。最近では、ウクライナが開発した。長距離ドローンを用いロシアの領土内を攻撃している。ただ、最初から長距離攻撃でロシア国内をウクライナの意思により自由に攻撃できていれば、戦況はもっと有利になっていただろう。
台湾とウクライナはまるで別世界だ。台湾は国産ミサイルを自分で撃てる。米国は味方だが、邪魔しない。ウクライナは西側の傀儡ともいえるような状況で、戦略目標に自由に手が届かなかった。台湾は中国を睨み、ウクライナは西側の顔色を伺う。立場と自立の差が大きい。
台湾の軍はウクライナをぶっちぎる。2024年の国防部報告では、常備兵16万9,000人、予備役200万人だ(Taiwan Ministry of National Defense)。F-16V戦闘機66機、自国製潜水艦「海鯤」(2024年9月28日進水、2025年運用開始)、長距離ミサイルが揃う。2025年度予算は6,200億台湾ドル(約2兆6,000億円)、GDP比2.6%だ。ウクライナは動員100万人だが、西側頼みで消耗がきつい(SIPRI, 2023年)。中国が台湾を舐めたら痛い目を見る。
台湾の強さは現場で光る。2022年8月、ペロシ訪台後に中国が演習で威張った。台湾軍は戦闘機と艦艇をぶっ放し、対空ミサイルで睨んだ(Reuters, 2022年8月4日)。2024年10月の漢光演習では、雄風IIIと雲峰がバッチリ決まり、中国に「来てみろ」と挑んだ(Taiwan News, 2024年10月15日)。中国の胡錫進(中国の記者)が「台湾は侮れねえ」と呟き、向こうもビビっている(Global Times, 2023年9月28日)。「海鯤」進水式で蔡総統が「海の新時代」とブチ上げ、中国を牽制した(CNA, 2024年9月28日)。
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昨年の台湾軍事演習「漢光40号」に参加した台湾軍のF16戦闘機 |
ウクライナは奮闘するが、ロシアにボロボロされている。2024年11月のキーウ空爆で、防空がスカスカで民が泣いた(BBC, 2024年11月20日)。台湾は戦ってないが、準備と技術で圧倒する。中国の200万兵は怖いが、台湾海峡と精密攻撃が壁だ。台湾のミサイルは、中国の艦船をメタメタにするだろうし、中国の海上輸送力は限られている。RANDの2024年報告も「中国は計算ミスるな」と警告する。
日本も台湾と同じだ。2025年3月24日、「統合作戦司令部」が動き出し、長射程ミサイルを日本主導で撃つ(産経新聞, 2025年3月23日)。射程1,000キロメートル超の「スタンドオフミサイル」を自衛隊が握る。2027年に「トマホーク」と「12式」が来るが、米軍の助けは少し要る。それでも、日本が舵を取る。ウクライナの過去3年を見ろ。2022年からATACMSの鎖で縛られ、ロシアにやられた。日本が同じ道たどるなら、中国と北朝鮮が笑う。台湾の自立が証明するように、日本も自由に撃てるのが正解だ。
結論だ。台湾は長距離ミサイルを手にし、自分で撃てる。制限はほぼゼロだ。ウクライナは米国に縛られ、自由がない。台湾の軍はウクライナを上回り、中国をビビらせる。日本も自立を選ぶべきだ。ウクライナの苦しみがそれを裏付ける。中国が台湾を舐めれば、大火傷する。日本もこれを目指すべきだ。
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